JP2003294312A - 流体加熱装置 - Google Patents

流体加熱装置

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  • Instantaneous Water Boilers, Portable Hot-Water Supply Apparatuses, And Control Of Portable Hot-Water Supply Apparatuses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガス滞留性に優れ、また熱交換効率に優れ、
しかもパーティクル等の発生を抑制でき、小型化可能な
流体加熱装置を提供する。 【解決手段】 流体供給源から供給される流体を加熱す
る加熱管2と、前記加熱管の外周囲に螺旋状に形成され
たヒータ部3と、前記加熱管及びヒータ部を収容するハ
ウジング5とを備えた流体加熱装置において、前記加熱
管2の内部に、通過する流体の抵抗となる充填物12が
配設されると共に、該充填物12の上流側面に拡散板1
3が一体に形成されていることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスもしくは液体
である流体加熱装置に関し、例えば、半導体製造工程中
で使用される各種半導体加熱処理炉に接続され、前記半
導体加熱処理炉に供給されるガスの温度を昇降制御する
流体加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製造プロセスにおいて、例えば、
不純物拡散炉、酸化炉、アニール炉、薄膜製造装置、エ
ッチング装置等において種々の半導体加熱処理炉が用い
られている。これら半導体加熱処理炉には、その目的、
用途に応じ、枚葉式、縦型、横型バッチ式等のタイプの
ものが存在している。これら半導体加熱処理炉におい
て、ウエハに生成される膜厚、膜質を均一になすため
に、特開昭63−316425号公報、特開平7−17
6498号公報に見られるように、反応ガスを炉内に導
入する前に加熱装置を用いて加熱し、半導体加熱処理炉
の処理温度に見合う所定温度に予熱昇温して、炉内温度
分布の均一化を図ることがなされている。
【0003】更に、前記特開平7−176498号公報
に示されたガス加熱装置について図12に基づいて説明
すると、このガス加熱装置70は、細長い蛇行状に形成
された加熱経路部73と前記加熱経路部73中に設けら
れた均熱体(発熱体)72とを備え、ガス入口71から
導入された反応ガスは、ガス加熱装置の均熱体(発熱
体)72により加熱されながら、細長い蛇行状に形成さ
れた加熱経路部73内を流れ、炉74内に導入されるよ
うに構成されている。なお、図12中の矢印は反応ガス
の流れを示している。
【0004】また、前記特開昭63−316425号公
報には、枚葉式ベルジャー炉を用いたエピタキシャル薄
膜気相成長装置内へ導入する反応ガスを所定の温度に加
熱制御するガス加熱装置が示されている。このガス加熱
装置について図13、14に基づいて説明すると、この
ガス加熱装置80はスパイラル管81と、前記スパイラ
ル管81の外側に設けられたヒータ部82とを備え、反
応ガスはスパイラル管81を通過する間に、ヒータ部8
2からの熱で所定温度にまで加熱された後、ノズル83
からベルジャー84内に供給されるように構成されてい
る。なお、図13、14中の矢印は反応ガスの流れを示
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記したい
ずれの加熱装置も、加熱経路部73、スパイラル管81
の内部を反応ガスが通過するように構成されているが、
ガスの滞留性が悪く、加熱経路部73、スパイラル管8
1の長さを相当長くしなければ、所定温度にまで加熱す
ることができなかった。一方、ガスを所定温度にまで加
熱するため、加熱経路部73、スパイラル管81の長さ
を長くするとガス加熱装置の小型化が図れないという問
題があった。かかる問題を解決するために、本願出願人
らは、前記加熱管の内部に、通過する流体の抵抗となる
充填物が配設された流体加熱装置を提案している(特願
2001−38424)。
【0006】この提案した流体加熱装置について、図9
乃至図11に基づいて説明すると、流体供給源から供給
される流体を加熱する加熱管90と、前記加熱管90の
外周囲に螺旋状に形成されたヒータ部91と、前記加熱
管90及びヒータ部91を収容するハウジング92とを
備えている。なお、図9中、符号94は、ガス導入管、
95はガス導出管である。そして、前記加熱管90の内
部に、通過する流体の抵抗となる充填物93が配設され
ている。この充填物93は短柱状の石英ガラスビーズを
融着することによって形成された成形体である。このよ
うに、加熱管90の内部に充填物93が配設されている
ため、通過する流体の抵抗となり、ガスの滞留性が良
く、加熱管90の長さが短くても、所定温度にまで加熱
することができる。一方、加熱管90の長さを短くでき
るため、流体加熱装置の小型化を図ることができる。
【0007】しかしながら、提案した流体加熱装置は、
従来の装置に比べてガスの滞留性が向上したものの、図
10に示すようにガスの滞留にほとんど寄与しない部分
93aが存在することが知見された。即ち、図10に示
すように、ガス導入管94から加熱管90に導入された
ガスは、加熱管90の外周部方向に拡散しながらガス導
出管95の方向に流れるため、図10に示すようにガス
の滞留にほとんど寄与しない部分93aが発生する。し
たがって、ガスの滞留に寄与しない部分93aは流通す
るガスに対する熱交換にほとんど寄与しないため、より
熱交換効率の向上が望まれていた。なお、図10中の2
点鎖線はガスの流れを示している。
【0008】また、この充填物93は、図11に示すよ
うに加熱管90の内部にカーボン治具96を置き、その
上に短柱状の石英ガラスビーズを収容し、所定温度まで
加熱した後、カーボン治具(図示せず)等を用い、圧力
を加えて石英ガラスビーズ同士を融着することによって
形成される。そのため、カーボン治具96の近傍の石英
ガラスビーズには充分な力が加わらず、石英ガラスビー
ズ同士が確実に融着され難いという技術的課題があっ
た。特に、大きな石英ガラスビーズに挟まれた小さな石
英ガラスビーズには力が加わらないため、石英ガラスビ
ーズ同士が確実に融着されず、石英ガラスビーズが脱落
する虞があった。また、それに共にパーティクル等が発
生する虞があった。
【0009】本発明は、上記技術的課題を解決するため
になされたものであり、ガス滞留性に優れ、しかもパー
ティクル等の発生を抑制でき、小型化可能な流体加熱装
置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るためになされた本発明にかかる流体加熱装置は、流体
供給源から供給される流体を加熱する加熱管と、前記加
熱管の外周囲に形成されたヒータ部と、前記加熱管及び
ヒータ部を収容するハウジングとを備えた流体加熱装置
において、前記加熱管の内部に、通過する流体の抵抗と
なる充填物が配設されると共に、該充填物の上流側面に
拡散板が充填物と一体に形成されていることを特徴とし
ている。
【0011】このように、加熱管の内部に、通過する例
えばガスの抵抗となる充填物が配設されているため、通
過する流体に対して適度な滞留時間を付与することがで
きる。その結果、加熱管内部を通過する流体は、前記ヒ
ータ部からの輻射熱により、充分な熱を得ることがで
き、所定温度まで昇温させることができる。また、加熱
管内部を通過する流体を滞留させることができるため、
加熱管、ヒ−タ部を小型化することができる。特に、該
充填物の上流側面に拡散板が充填物と一体に形成されて
いるため、加熱管の内部に導入されたガスは該拡散板に
よって拡散され、充填物の上流側面の全面からガスが流
入する。その結果、ガスは充填物の全領域を流れるた
め、ガスの滞留性が向上すると共に、熱交換効率を向上
させることができる。また、充填物の上流側面に拡散板
が充填物と一体に形成されているため、充填物の一部が
脱落することもなく、それに伴うパーティクル等の発生
を防止することができる。
【0012】ここで、前記充填物の下流側面に拡散板が
充填物と一体に形成されていることが望ましい。このよ
うに、充填物の下流側面に拡散板が充填物と一体に形成
されていることによって、ガスの滞留性をより向上させ
ることができる。また、充填物の一部が脱落することも
なく、それに伴うパーティクル等の発生を防止すること
ができる。
【0013】また、前記充填物が短柱状の石英ガラスビ
ーズであると共に、前記拡散板が石英ガラス板であり、
前記石英ガラスビーズを融着することによって形成され
た充填物の少なくとも一面に、前記拡散板が融着されて
いることが望ましい。このように、充填物を短柱状の石
英ガラスビーズとし、拡散板を石英ガラス板とした場合
には、融着させることにより容易に一体物を製造するこ
とができる。
【0014】更に、前記拡散板が、複数の貫通穴を有す
る円板状の石英ガラスからなり、貫通穴による単位面積
あたりの開口率が、中心部より外周部の方が大きいこと
が望ましい。このように、外周部における単位面積あた
りの開口率が、中心部より大きく形成されているため、
加熱管内部に導入されたガスは加熱管の外周部方向によ
り拡散し、充填物の上流側面の全面からガスが流入す
る。その結果、ガスは充填物の全領域を流れるため、ガ
スの滞留性が向上すると共に、熱交換効率を向上させる
ことができる。また、ヒータ部が外周囲に配置されてい
るため、ガスを外周部方向により拡散させることによ
り、より効率的に加熱することができ、熱交換効率をよ
り確実に高めることができる。
【0015】また、短柱状の石英ガラスビーズを融着す
ることによって形成された充填物が、直径6乃至12m
m、長さ6乃至12mmのビーズと、直径4乃至10m
m、長さ4乃至10mmのビーズの大小二種類のビーズ
を、個数比で1:4乃至4:1の割合で混合して、融着
することによって形成された成形体であることが望まし
い。
【0016】このように、石英ガラスビーズを融着する
ことによって形成された成形体よりなる充填物が加熱管
内に配設されているため、加熱管内に導入されたガスが
前記充填物により形成された複雑に屈曲交差する微細な
流路を通過することにより適度な滞留時間が付与され
る。また、前記ヒータ部からの輻射熱は、前記成形体内
部で、複雑に透過、屈折、散乱、反射を繰り返す。その
結果、導入されたガスに充分な熱量を付与することがで
きるため、熱交換効率が優れ、加熱管、ヒ−タ部を小型
にすることができる。
【0017】また、短柱状の石英ガラスビーズを融着す
ることによって形成された充填物の下流側の気孔率が、
上流側の気孔率よりも小さいことが望ましい。このよう
に、下流側の気孔率が上流側の気孔率よりも小さく形成
されているため、ガスの滞留性を向上させることができ
る。
【0018】前記ヒータ部が、カーボンワイヤー発熱体
と、前記カーボンワイヤー発熱体を封入した石英ガラス
管からなることが望ましい。このように、カーボンワイ
ヤー発熱体を石英ガラス管に封入したヒータ部は、従来
の高純度炭化珪素製ヒータに比較して熱容量が小さく、
半導体ウエハに有害な金属汚染やパーティクルの生成、
不純物ガスの発生等が少ない。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明にかかる流体加熱
装置の第一の実施形態で、特にこの流体としてガスを用
いる場合を図1乃至図6に基づいて、詳細に説明する。
なお、図1は、本発明にかかるガス加熱装置の第一の実
施形態を示す側面断面図、図2は、図1におけるA−A
線切断断面図を示す。図3は、加熱管内に配設された充
填物および拡散板を示す図であり、図4は、ガスの流れ
を模式的に示した図である。図5は、充填物及び拡散板
の製造過程を示す図、図6は拡散板の正面図である。
【0020】本発明にかかるガス加熱装置1は、図1に
示すように、ガス供給源から供給されるガスを加熱する
加熱管2と、前記加熱管2の外周囲に螺旋状に形成され
たヒータ部3と、前記加熱管2とヒータ部3とが、収納
された石英ガラス製の熱遮蔽体4と、前記加熱管2及び
ヒータ部3を収納する熱遮蔽体4を更に収容するハウジ
ング5と、熱遮蔽体4とハウジング5との間に設けられ
た高純度な断熱材6と、一端がガス供給源に接続される
と共に他端が加熱管2に接続されたガス導入管である接
続管7と、一端が加熱管2に接続されると共に他端が半
導体加熱処理炉(図示せず)に接続されたガス導出管で
ある接続管8とから構成されている。また、前記加熱管
2の内部には、図3に示すように通過するガスの抵抗と
なる充填物12および拡散板13が配設されている。
【0021】また、前記ヒータ部3は、その発熱部が、
カーボンファイバー束からなるカ−ボンワイヤー発熱体
(図示せず)を封入した石英ガラス管11からなり、前
記加熱管2の表面を螺旋状にように配設されている。こ
の石英ガラス管11は、図1に示されているように、螺
旋状の石英ガラス管11aと、前記螺旋状の石英ガラス
管11aの一端に接続して前記石英ガラス管11aの螺
旋構造を支持する石英ガラス製の直管11bと、前記螺
旋状の石英ガラス管11a他端に接続して前記石英ガラ
ス管11aの螺旋構造を支持する石英ガラス製の直管1
1c(図示せず)とから構成されている。
【0022】螺旋状の石英ガラス管11aは、直管11
b、11cと連通しており、カーボンワイヤー発熱体
は、螺旋状の石英ガラス管11aに収容され、直管11
b、11cから導出される。また、直管11b、11c
の各端部には、図1に示すような封止端子部20が設け
られている。この封止端子部17には接続線17aが設
けられ、電力が供給されるように構成されている。
【0023】このカーボンワイヤー発熱体は、極細いカ
ーボン単繊維を束ねたカーボンファイバー束を、編紐形
状、あるいは組紐形状に複数束編み上げて作製したもの
であり、従来の金属製やSiC製の発熱体に比べて、熱
容量が小さく昇降温特性に優れ、また非酸化性雰囲気中
では高温耐久性にも優れている。また、細いカーボン単
繊維の繊維束を複数本編んで作製されたものであるた
め、ムクのカーボン材からなる発熱体に比べフレキシビ
リティに富み、形状変形順応性や加工性に優れている。
このように、カーボンワイヤー発熱体を石英ガラス管1
1に封入したヒータ部3は、従来の高純度炭化珪素製ヒ
ータに比較して熱容量が小さく、半導体ウエハに有害な
金属汚染やパーティクルの生成、不純物ガスの発生等が
少ない。
【0024】また、前記加熱管2は、通常、厚さ1乃至
3mm程度の透明石英ガラス材で円筒状に形成されてい
る。また、加熱管2は充填物12および拡散板13を内
部に収容した後、接続管7、8が形成された側端板によ
って閉塞され、密閉される。なお、前記加熱管2のサイ
ズ(有効径、有効長)は、加熱するガス量、加熱温度、
ガスの熱容量等の諸要素を勘案して適宜設定されるが、
通常、有効直径50乃至100mm、長さ100乃至2
00mm程度である。
【0025】また、加熱管2の内部に配設される充填物
12として、図3に示すような短柱状の透明石英ガラス
ビーズを融着して形成された成形体が用いられる。な
お、石英ガラスビーズの形状としては、輻射熱を吸収し
て通過ガスに有効に熱を付与できる形状のものであれ
ば、必ずしも短柱状に限定されるものではなく、球状、
回転楕円体状、短柱円筒状、鞍型形状等のものを随意採
用して差し支えない。しかしながら、融着時に歪みを生
じたり、取り扱い時、使用時等に割れや欠けが生じ易い
ものは好ましくなく、またできるだけ安価で、かつ形状
加工が容易な点等から短柱円柱形状のものが好ましい。
【0026】前記石英ガラス等の石英質の熱伝導性は大
きくないため、前記ヒータ部3のカーボンワイヤー発熱
体10から、それを封入する石英ガラス管11を介して
前記加熱管2内部に伝達される熱エネルギーの大部分
は、輻射熱である。そのため、前記加熱管2内の充填物
12は、黒色体であるより、むしろ透明体である方が好
ましい。前記充填物12が黒色体の場合、黒色体の表面
部分で輻射線が吸収されてしまい、前記表面部のみが局
部に加熱されしまうためである。これに対して充填物1
2が透明体の場合、照射された輻射熱は、複雑に透過、
反射、屈折して中心部分にまで達し、前記充填物12内
部を均等に加熱することができる。その結果、加熱管2
内部を通過するガスを均一に、加熱することができる。
【0027】また、前記透明石英ガラスビーズの形状は
短柱円柱形状になされ、通気性(通気抵抗圧損)に応じ
て適宜選択されるが、通常、直径4乃至15mm、長さ
4乃至15mm程度、より好ましくは直径6乃至12m
m、長さ6乃至12mm程度のものが用いられる。特
に、直径6乃至12mm、長さ6乃至12mmの石英ガ
ラスビーズと直径4乃至10mm、長さ4乃至10mm
の石英ガラスビーズの大小二種類の短柱円柱状ビーズ
を、個数比で1:4乃至4:1の割合(より好ましくは
6:4乃至8:2)の個数比率で混合したものを融着し
成形した成形体は、破損や欠けが生じにくく、また充填
率やガス圧損の点でも適当であるため好ましい。
【0028】また、前記石英ガラスビーズの成形体(充
填物12)の上流側面には、石英ガラスからなる円板状
の拡散板13がこの石英ガラスビーズの成形体と融着等
により一体に形成されている。この拡散板13には、図
6に示すように、複数の貫通穴13aが形成されてい
る。この貫通穴13aは中心部から外周部に行くにした
がって、数多くの貫通穴が設けられている。即ち、単位
面積あたりの開口率が、中心部より外周部の方が大きく
形成されている。
【0029】このように、前記石英ガラスビーズの成形
体(充填物12)の上流側面には、石英ガラスからなる
円板状の拡散板13がこの石英ガラスビーズの成形体
(充填物12)と融着等により一体に形成されているた
め、加熱管2の内部に導入されたガスは、拡散板13に
よって中心部から外周部へ拡散され、充填物12の上流
側面の全面から内部に流入する。特に、外周部における
単位面積あたりの開口率が、中心部より大きく形成され
ているため、加熱管2に導入されたガスは加熱管2の外
周部方向により拡散し、充填物12の上流側面の全面か
らガスが流入する。その結果、ガスは充填物12の全領
域を流れるしたがって、充填物12の全域をガスが流通
するため、熱交換効率が向上するとともに、ガスの滞留
性をより向上させることができる。
【0030】また、充填物12の上流側面に拡散板13
が融着等により一体に形成されているため、充填物12
の一部(石英ガラスビーズ)が脱落することもなく、そ
れに伴うパーティクル等の発生を防止することができ
る。
【0031】なお、上記のように充填物12の上流側の
全面からガスが流入される手段として、拡散板13の外
径を加熱管2の内径よりも小さく形成し、両者の間に隙
間を形成し、前記拡散板13を加熱管2に融着しない構
造としても良い。また、このような構造によれば、製造
時に加熱管2の変形を防止でき、寸法安定性をより高め
ることができる。
【0032】前記拡散板13の外周面と加熱管の内周面
との間に隙間が存在する構造における拡散板13につい
て具体的に示せば、前記加熱管2が内径φ56mm、長
さ205mm、肉厚3mmである場合、拡散板13とし
て、外径φ53mm、厚さ3mm、貫通穴径φ3mmの
貫通穴37個を均等間隔に配置したものを用いることが
できる。なお、上記拡散板13の外周面と加熱管2の内
周面が密接あるいは融着された構造とするには前記加熱
管2の内径と拡散板13の外径とを略同等に形成すれば
良い。
【0033】前記熱遮蔽体4は、ヒータ部3から外部側
に向けて輻射する熱線を反射してヒータ部3の熱効率を
より一層向上させるため、前記加熱管2とヒータ部3と
を覆っている。そして前記熱遮蔽体4はハウジング5内
に配設される。また、前記熱遮蔽体4とハウジング5の
空間、また熱遮蔽体4とヒータ部3との間の空間に、例
えばグラスウール等の高純度断熱材6を充填することが
好ましい。また、熱遮蔽体4を内部に収納し、ガス加熱
装置1の外形を形成するハウジング5は、石英ガラス材
で作製されているのが好ましいが、石英ガラス材に限っ
たものではなく、例えば金属性ケースであってもよい。
このハウジング5は筒状をなし、加熱管2、ヒ−タ部
3、熱遮蔽板4を収納した後、密閉される。なお、ハウ
ジング5の側端面には接続管7、8、ヒ−タ部3の封止
端子部17を導出する開孔部が設けられている。
【0034】次に、前記した石英ガラスビーズを用いて
成形体(充填物12)および拡散板13を製造する方法
について説明する。まず、直径6乃至12mm程度の透
明石英ガラスのムク棒を6〜12mm程度に切断して形
成される2種類の大きさの石英ビーズを例えば7(寸法
の大きいビーズ):3(寸法の小さいビーズ)に混ぜ
(通常600乃至1000個)を製造する。また、拡散
板13を石英ガラス板により製造するとともに、貫通穴
を所定位置、所定数形成する。
【0035】そして、図5に示すようにカーボン治具1
4を石英筒(加熱管2)に入れて、その上に拡散板13
を載せる。更に、この拡散板13の上に石英ガラスビー
ズを入れる。その後、この石英筒(加熱管2)をカーボ
ン製の筒形の割り型15内に投入し、上からカーボン製
の重りを用いて押しつけ、1450℃以上に加熱して前
記石英ガラスビーズ同士を部分的に融着させて円柱状成
形体とする。また同時に、前記拡散板13と前記円柱成
形体とが融着し、一体に形成される。このとき、前記円
柱状成形体は、石英筒(加熱管2)と融着し、一体化す
る。
【0036】このように製造する場合においても、従来
と同様に上部に加えられた荷重は、拡散板13の近傍の
石英ガラスビーズには充分に加わらないが、石英ガラス
ビーズの自重によって拡散板13と融着される。その結
果、石英ガラスビーズの脱落を抑制でき、それに共にパ
ーティクル等の発生を抑制することができる。
【0037】以上のようにして製造された充填物12が
加熱管2に配設されているため、加熱管2に導入された
ガスは、前記充填物12により形成された複雑に屈曲交
差する微細な流路を通過し、適度な滞留時間が付与され
る。また、前記カーボンワイヤー発熱体からの輻射熱
は、前記充填物12の内部で、複雑に透過、屈折、散
乱、反射を繰り返す。その結果、導入されたガスに充分
な熱量を付与することができるため、熱交換効率が優
れ、加熱管、ヒ−タ部を小型にすることができる。
【0038】また、該充填物12の上流側面に拡散板1
3が一体に形成されているため、図4に示すように加熱
管2の内部に導入されたガスは該拡散板13によって拡
散され、充填物12の上流側面の全面からガスが流入す
る。その結果、ガスは充填物12の全領域を流れるた
め、ガスの滞留性が向上すると共に、熱交換効率を向上
させることができる。また、充填物12の一部が脱落す
ることもなく、それに伴うパーティクル等の発生を防止
することができる。なお、図4の2点鎖線はガスの流れ
を示している。
【0039】次に、第二の実施形態を図7、図8に基づ
いて説明する。この実施形態にあっては、前記第一の実
施形態が充填物12の上流面に拡散板13が形成されて
いるのに対して、充填物(円柱成形体)12の上流面お
よび下流面に拡散板13,16が形成されている点が相
違する。なお、この上流面に設けられる拡散板13は、
第一の実施形態の拡散板と同一の構成を備えている。ま
た、拡散板16は第一の実施形態の拡散板と基本的には
同一の構成を備えているが、拡散板16の外径を加熱管
2の内径よりも小さく形成されている。更に、上流面に
設けられる拡散板13を、拡散板16と同様に、その外
径を加熱管2の内径よりも小さく形成しても良い。
【0040】このような石英ガラスビーズを用いて成形
体および拡散板13,16を製造するには、第一の実施
形態の場合と同様に、石英ガラスビーズおよび第一、第
二の拡散板13,16を製造し、図7に示すようにカー
ボン治具14を石英筒(加熱管2)に入れて、その上に
拡散板13を載せる。更に、この拡散板13の上に石英
ガラスビーズおよび第二の拡散板16を入れる。
【0041】その後、この石英筒(加熱管2)をカーボ
ン製の筒形の割り型15内に投入し、上からカーボン製
の重りを用いて押しつけ、1450℃以上に加熱して前
記石英ガラスビーズ同士を部分的に融着させて円柱状成
形体とする。また同時に、前記第一、第二の拡散板1
3,16と前記円柱成形体とが融着し、一体に形成され
る。更に、前記円柱状成形体12aは、石英筒(加熱管
2)と融着し、一体化する。
【0042】なお、前記第一の拡散板13の外径が加熱
管2の内径よりも小さく形成されている場合には、両者
の間には隙間が形成される。また第一の拡散板13の外
径と加熱管2の内径とが同径の場合には、両者は融着
し、一体化する。一方、第二の拡散板16は、その外径
を加熱管2の内径よりも小さく形成されているため、両
者は融着、一体化しない。即ち、第二の拡散板16を押
付けることによって石英ガラスビーズに荷重を加えるた
め、石英ガラスビーズの変形によって第二の拡散板16
が沈み込む。そのため、第二の拡散板16が加熱管2の
内径と同径に形成され、両者が融着していると、第二の
拡散板16のみならず加熱管2に変形が生じ、寸法安定
性が欠け、好ましくない。
【0043】また、上からの荷重によって、上方の石英
ガラスビーズには充分な力が加わるため、石英ガラスビ
ーズ同士の融着される部分(ネック部)が大きい。これ
に対して、上から下に行くにしたがって荷重が分散さ
れ、下方向の石英ガラスビーズに加わる力は小さくなる
ため、石英ガラスビーズ同士の融着される部分が、上方
の石英ガラスビーズ同士の融着される部分(ネック部)
に比べて、小さくなる。これはネック部が大きくなる
と、石英ガラスビーズの間の隙間が小さく、これに対し
てネック部が小さいと、石英ガラスビーズの間の隙間は
大きいことを意味している。したがって、石英ガラスビ
ーズを融着することによって形成された前記成形体の上
側の気孔率が、下側の気孔率よりも小さく形成される。
なお、この成形体の上側が加熱管の下流側に対応し、下
側が加熱管の上流側に対応する。
【0044】ここで、石英ガラスビーズ同士の融着され
る部分(ネック部)の大きさを具体的に測定した。測定
は、成形体をフッ化水素液に漬し、石英ガラスビーズが
脱落するまでの時間を測定し、前記時間からネック部の
大きさを算出した。具体的には、16%濃度のHF溶液
では8μm/hの速さで石英ガラスがエッチングされる
ため、石英ガラスビーズが脱落するまでの時間を測定
し、この時間に該エッチング速さ及び定数(エッチング
はネック部両側から進むため、定数は2)を掛けること
により、ネック部がエッチングされた量(ネック部の大
きさ)を求めた。その結果、図8に示すように、上流側
が4μmであるのに対して、下流側が80μmであっ
た。これから明らかなように、上流側の気孔率が大き
く、下流側の気孔率が小さいことが認められた。
【0045】このように、石英ガラスビーズを融着する
ことによって形成された前記成形体の下流側の気孔率
が、上流側の気孔率よりも小さいため、ガスの滞留性を
向上させることができ、熱交換効率を向上させることが
できる。また、前記充填物の上下流側面に拡散板が一体
に形成されているため、充填物の一部が脱落することも
なく、それに伴うパーティクル等の発生を防止すること
ができる。
【0046】上述の説明においては、本発明の流体加熱
装置について、特に流体としてガスを用いる場合を説明
したが、ガスに換えて例えば純水等の液体を用いる場合
においても同等の作用、効果を示すものである。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ガス滞
留性に優れ、また熱交換効率に優れ、しかもパーティク
ル等の発生を抑制でき、小型化可能な流体加熱装置を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかるガス加熱装置の第一の
実施形態を示す側面断面図である。
【図2】図2は、図1におけるA−A線切断断面図であ
る。
【図3】図3は、加熱管内に配設された充填物および拡
散板を示す図である。
【図4】図4は、ガスの流れを模式的に示した図であ
る。
【図5】図5は、充填物及び拡散板の製造過程を示す図
である。
【図6】図6は拡散板の正面図である。
【図7】図7は、第二の実施形態における充填物及び拡
散板の製造過程を示す図である。
【図8】図8は、本発明にかかる流体加熱装置の第二の
実施形態を示す断面図およびネック部の変化を示す図で
ある。
【図9】図9は、本願出願人が先に提案した流体加熱装
置の概念図である。
【図10】図10は、図9に示した流体加熱装置におけ
るガスの流れを示した概念図である。
【図11】図11は、図9に示した充填物の製造過程を
示す図である。
【図12】図12は、従来型のガス予熱装置を配設した
縦型バッチ式酸化反応炉の一例を示す図である。
【図13】図13は、従来型のガス予熱装置を配設した
枚葉型ベルジャー炉エピタキシャル薄膜成長装置の一例
を示す図である。
【図14】図14は、図13の装置のガス予熱装置構造
を示す概略図である。
【符号の説明】
1 ガス加熱装置 2 加熱管 3 ヒ−タ部 4 熱遮蔽板 5 ハウジング 6 断熱材 7 接続管 8 接続管 11 石英ガラス管 11a 螺旋管 11b 直管 12 充填物 13 拡散板 13a 貫通穴 16 拡散板 17 封止端子部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金 富雄 山形県西置賜郡小国町大字小国町378番地 東芝セラミックス株式会社小国事業所内 (72)発明者 永田 智浩 山形県西置賜郡小国町大字小国町378番地 東芝セラミックス株式会社小国事業所内 (72)発明者 瀬古 順 山形県西置賜郡小国町大字小国町378番地 東芝セラミックス株式会社小国事業所内 (72)発明者 斎藤 孝規 東京都港区赤坂五丁目3番6号 TBS放 送センター 東京エレクトロン株式会社内 (72)発明者 三浦 一敏 東京都港区赤坂五丁目3番6号 TBS放 送センター 東京エレクトロン株式会社内 (72)発明者 長谷川 陽成 東京都港区赤坂五丁目3番6号 TBS放 送センター 東京エレクトロン株式会社内 (72)発明者 星 丈治 東京都港区赤坂五丁目3番6号 TBS放 送センター 東京エレクトロン株式会社内 (72)発明者 石井 勝利 東京都港区赤坂五丁目3番6号 TBS放 送センター 東京エレクトロン株式会社内 Fターム(参考) 3L034 BA14 BA16 BA17 BB02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体供給源から供給される流体を加熱す
    る加熱管と、前記加熱管の外周囲に形成されたヒータ部
    と、前記加熱管及びヒータ部を収容するハウジングとを
    備えた流体加熱装置において、 前記加熱管の内部に、通過する流体の抵抗となる充填物
    が配設されると共に、該充填物の上流側面に拡散板が充
    填物と一体に形成されていることを特徴とする流体加熱
    装置。
  2. 【請求項2】 前記充填物の下流側面に拡散板が充填物
    と一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載された流体加熱装置。
  3. 【請求項3】 前記充填物が短柱状の石英ガラスビーズ
    であると共に、前記拡散板が石英ガラス板であり、前記
    石英ガラスビーズを融着することによって形成された充
    填物の少なくとも一面に、前記拡散板が融着されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された
    流体加熱装置。
  4. 【請求項4】 前記拡散板が、複数の貫通穴を有する円
    板状の石英ガラス板からなり、貫通穴による単位面積あ
    たりの開口率が、中心部より外周部の方が大きいことを
    特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載され
    た流体加熱装置。
  5. 【請求項5】 短柱状の石英ガラスビーズを融着するこ
    とによって形成された前記充填物が、直径6乃至12m
    m、長さ6乃至12mmのビーズと、直径4乃至10m
    m、長さ4乃至10mmのビーズの大小二種類のビーズ
    を、個数比で1:4乃至4:1の割合で混合して、融着
    することによって形成された成形体であることを特徴と
    する請求項3に記載された流体加熱装置。
  6. 【請求項6】 短柱状の石英ガラスビーズを融着するこ
    とによって形成された前記充填物の下流側の気孔率が、
    上流側の気孔率よりも小さいことを特徴とする請求項3
    または請求項5に記載された流体加熱装置。
  7. 【請求項7】 前記ヒータ部が、カーボンワイヤー発熱
    体と、前記カーボンワイヤー発熱体を封入した石英ガラ
    ス管からなることを特徴とする請求項1乃至請求項6の
    いずれかに記載された流体加熱装置。
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