JP2003292384A - 乾燥性に優れた不定形耐火物用炭化けい素原料及び不定形耐火物原料 - Google Patents

乾燥性に優れた不定形耐火物用炭化けい素原料及び不定形耐火物原料

Info

Publication number
JP2003292384A
JP2003292384A JP2002096098A JP2002096098A JP2003292384A JP 2003292384 A JP2003292384 A JP 2003292384A JP 2002096098 A JP2002096098 A JP 2002096098A JP 2002096098 A JP2002096098 A JP 2002096098A JP 2003292384 A JP2003292384 A JP 2003292384A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
silicon carbide
mass
refractory
amorphous refractory
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002096098A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Aida
広治 合田
Hatsuo Taira
初雄 平
Yoshitoshi Saito
吉俊 齋藤
Masahiko Amano
正彦 天野
Yasukuni Tanaka
泰邦 田中
Kazuyuki Sugiyama
一行 杉山
Toshihiro Isobe
利弘 礒部
Hiroyoshi Tomono
弘義 友納
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Krosaki Harima Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Krosaki Harima Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp, Krosaki Harima Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2002096098A priority Critical patent/JP2003292384A/ja
Publication of JP2003292384A publication Critical patent/JP2003292384A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ceramic Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 非常に緻密で耐食性に優れた炭化けい素含有
不定形耐火物を効率良く製造するための炭化けい素原料
および不定形耐火物原料を提供する。 【解決手段】 炭化けい素原料の粒子の表面が樹脂及び
/又はピッチで被覆されていることを特徴とする乾燥性
と耐食性に優れた不定形耐火物用炭化けい素原料。その
炭化けい素原料を5〜80質量%、残部はアルミナ及び/
又はスピネルからなる耐火骨材100質量%に対し、結合
材としてアルミナセメントを外掛けで0.5〜10質量%添
加した不定形耐火物原料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属容器、溶
融金属処理装置、焼却炉等に使用する炭化珪素含有不定
形耐火物の原料に適した炭化けい素原料、及びその炭化
けい素原料を用いた不定形耐火物原料に関する。
【0002】
【従来の技術】工業的に使用されている炭化けい素質原
料は、ほとんどの場合、原料の珪石・珪砂と炭素材とを
アチソン型電気炉で通電加熱し、珪石・珪砂(酸化けい
素)を炭素で還元して炭化けい素を合成するいわゆるア
チソン法によって製造されている。アチソン法によって
比較的に大きな炭化けい素質インゴットを製造すること
が可能であり、目的に応じて粉砕・分級して炭化けい素
原料として使用する。得られた炭化けい素原料中の不純
物は、原料の珪石・珪砂と炭素材の反応生成物、未反応
残留物である遊離けい素、遊離けい酸、遊離炭素、ある
いは、原料の珪石・珪砂と炭素材中の不純物や粉砕媒体
からの混入が起因となる鉄、アルミニウムが主な成分と
なっている。
【0003】炭化けい素は、溶融ガラスに対して化学的
に安定であり、耐酸化性が比較的大きく、酸化物と比較
すると熱膨張係数が小さく、高い硬度を有しているの
で、定形耐火物や不定形耐火物用の原料、発熱体、研磨
材として主に使用されている。また、ファインセラミッ
クス用の原料や炭化けい素の導電性を利用した塗料用の
原料として、粒径が1μm以下の炭化けい素超微粉が利
用される。尚、塗料用のSiC原料は、特開平6−18
3717号公報に示されるように、塗料中の水ガラスと
反応する物質を除去する目的で酸洗浄やアルカリ洗浄が
実施される場合がある。
【0004】炭化けい素を使用した不定形耐火物として
は、アルミナ−炭化けい素質、アルミナ−スピネル−炭
化けい素質、アルミナ−炭化けい素−炭素質、アルミナ
−スピネル−炭化けい素−炭素質の材料等が有り、鉄鋼
製造関連では高炉、混銑車や溶銑鍋等の製銑工程で主に
使用されている。例えば、高炉出銑樋用としては、一般
的にアルミナ−炭化けい素−炭素質不定形耐火物が用い
られ、アルミナ、炭化けい素、炭素以外の原料として
は、主に、アルミナセメント等の結合材、炭化ホウ素や
ホウ珪酸系ガラス等の炭素の酸化防止材、アルミニウ
ム、有機発泡剤や有機繊維等の乾燥爆裂防止材等が添加
されている。
【0005】これらの不定形耐火物の成形方法として
は、流し込み法、吹付け法等がある。流し込み法では、
前記の原料と水をミキサーで混練後、所定形状に流し込
んで成形し、養生して形状付与する。また、吹付け法
は、乾式法、半乾式法、湿式法があり、例えば乾式法で
は、前記材料を圧縮空気によってホース圧送し、ホース
の出口直前で水と混合し、被施工体に吹付けて形状付与
する。吹付け法は、吹付けられた不定形材料を急速に硬
化させる必要があり、そのために前記原料の他に消石
灰、アルミン酸ソーダ、水ガラス等の急結剤が使用され
る。
【0006】成形された不定形耐火物は、加熱乾燥して
混練水を除去してから使用される。前記原料の中で乾燥
爆裂防止材は、乾燥時に急速加熱しても不定形耐火物内
部に大きな水蒸気圧が発生しないように事前に水蒸気の
逃げ道となる通気経路を形成して、不定形耐火物の爆裂
や亀裂発生を防止する目的で添加される。アルミニウム
は(1)式に示すように養生時にアルミナセメント等に
よってアルカリ性となった混練水と反応して水素ガスを
発生し、水素ガスが不定形耐火物から抜ける時に通気経
路を形成する。
【0007】 2Al + 2OH + 6HO → 2Al(OH) + 3H (1) 有機発泡剤は、同様に養生時にガスを発生し、ガスが不
定形耐火物から抜ける時に通気経路を形成する。有機繊
維は、加熱乾燥中の熱水への溶解や脱水収縮によって通
気経路を形成する。
【0008】このように乾燥爆裂防止材は、乾燥中に水
蒸気が不定形耐火物の外に抜けるための通気経路を事前
に形成して不定形耐火物の乾燥時の爆裂や亀裂発生を防
止するので、不定形耐火物の施工の観点からは優れた添
加材であるが、材料特性の観点からは欠点も有してい
る。通気経路を形成することによって乾燥時の爆裂や亀
裂発生を防止する方法なので、得られる不定形耐火物の
気孔径は大きくなり、耐酸化性や耐スラグ浸潤性の観点
からは好ましくない。また、アルミニウムと有機発泡剤
は、不定形耐火物の硬化が不十分な養生中に発生するガ
スによって材料に微細なクラックを形成する場合があ
り、極端な場合は、材料が大きく膨れる場合がある。有
機繊維は混練水分量を増加させると共に、有機繊維が加
熱焼失した部分は気孔となるので、得られる不定形耐火
物の気孔径と気孔率は大きくなる。つまり、乾燥爆裂防
止材の添加は、不定形耐火物中に欠陥を形成し気孔率を
大きくするので、材料特性の観点からは好ましくない。
【0009】特開平6−183717号公報に開示され
たSiC粉末をアルカリ処理する発明は、平均粒径が1
μm以下の超微粉で、Si含有量が0.02質量%以下とい
う非常に高純度のSiCを対象としたカラーブラウン管
の内装用導電性塗料の原料に関し、水素ガス発生を防止
することを目的とするものであり、本発明が対象とする
不定形耐火物用SiCとは平均粒径、純度が異なり、養
生・乾燥中の不定形耐火物の爆裂や欠陥発生を防止し、
耐食性に優れた不定形耐火物を製造することについて、
何も記載されていない。
【0010】爆裂防止剤を使用しないで緻密化した不定
形耐火物は、時間をかけて乾燥すれば水蒸気圧による爆
裂を回避できるが、製造効率が非常に悪くなってしま
う。この場合、本出願人が特公昭54−32175号公
報や特願2001−117335号に開示したように、
マイクロ波を不定形耐火物に照射して内部加熱するマイ
クロ波乾燥を用いると、効率良く乾燥することが可能で
ある。
【0011】しかしながら、炭化けい素質を含有する不
定形耐火物は、爆裂防止剤の添加量を少なくし、かつ、
緻密化すると、マイクロ波乾燥しても乾燥中に60℃以上
で亀裂が発生する場合や爆裂する場合がある。これは、
下記(2)式のように炭化けい素原料中に不純物として
含まれる遊離けい素が、不定形耐火物原料中のアルミナ
セメントや塩基性原料によってアルカリ性となった混練
水と反応して発生する水素ガスの圧力が原因となる。
【0012】 Si + 2OH + HO → SiO 2− + 2H (2) マイクロ波による加熱は、高精度の温度制御が可能であ
り、内部加熱なので乾燥中における材料の温度分布のバ
ラツキを非常に小さくすることが可能である。したがっ
て、材料全体を均一に温度制御することで、内部に発生
する水蒸気圧を制御し、水蒸気圧による亀裂の発生や爆
裂を防止することができる。ところが、(2)式による
水素ガスの発生は化学反応であり、温度によって制御す
ることが困難である。マイクロ波乾燥は、材料全体を均
一に加熱し、材料全体で(2)式により一斉に水素ガス
が発生することになり、通常の熱風乾燥よりも乾燥亀裂
や爆裂が発生し易くなる。
【0013】原料専門委員会報告集第61回(耐火物技
術協会、平成13年9月13日発行)第22頁「緻密質
キャスタブルブロックへの炭化けい素添加の問題点」に
は、Si(遊離けい素)を微量含む炭化けい素原料につ
いて、事前にアルカリ水溶液と反応させ、Si(遊離け
い素)を除去することが爆裂防止に有効であることが記
載されているが、アルカリ洗浄以外の手段で爆裂を防止
する方法や耐食性に優れた不定形耐火物を製造する方法
について、何も記載されていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、炭化けい素
原料とアルカリ水溶液を反応させる前処理を行うことな
く、養生・乾燥中の不定形耐火物の爆裂や欠陥発生を防
止し、乾燥性と耐食性に優れた不定形耐火物を製造する
ための炭化けい素原料および不定形耐火物原料を提供す
ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)〜(9)のとおりである。
【0016】(1)炭化けい素原料の粒子表面が樹脂及
び/又はピッチで被覆されていることを特徴とする乾燥
性に優れた不定形耐火物用炭化けい素原料。
【0017】(2)平均粒径が0.01mm〜3mmの炭化け
い素原料であって、遊離けい素含有量が0.1〜1.5質量%
であり、粒径0.125mm以下の炭化けい素原料の粒子表
面が樹脂及び/又はピッチで被覆されていることを特徴
とする乾燥性に優れた不定形耐火物用炭化けい素原料。
【0018】(3)80℃でのアルカリ水溶液中で24時間
加熱した時に、炭化けい素原料の単位質量当りのガス発
生量が0.0055Nm3/kg以下であることを特徴とする
前記(1)又は(2)に記載の乾燥性に優れた不定形耐火
物用炭化けい素原料。
【0019】(4)不定形耐火物原料の最大粒径10mm
以下の部分が、前記(1)〜(3)の何れか1項に記載の
炭化けい素原料5〜80質量%と残部がアルミナ原料及び
/又はスピネル原料からなる耐火骨材100質量%に対
し、結合材としてアルミナセメントを外掛けで0.5〜10
質量%添加したことを特徴とする乾燥性に優れた不定形
耐火物原料。
【0020】(5)更に、最大粒径10mm以下の耐火骨
材100質量%に対し、内掛けで炭素原料を0.5〜10質量%
含有することを特徴とする前記(4)記載の乾燥性に優
れた不定形耐火物原料。
【0021】(6)更に、最大粒径10mm以下の耐火骨
材100質量%に対し、粒径10〜100mmのアルミナ原料、
スピネル原料、炭化けい素原料、アルミナ及び/又はス
ピネル−炭化けい素質、アルミナ及び/又はスピネル−
炭化けい素−炭素質の材料の1種又は2種以上を外掛けで
5〜100質量%含有することを特徴とする前記(4)又は
(5)に記載の乾燥性に優れた不定形耐火物原料。
【0022】(7)最大粒径10mm以下の耐火骨材100質
量%に対し、外掛けでアルミニウム、有機発泡剤、有機
繊維の何れか1種又は2種以上を合計で0.01〜1質量%含
有することを特徴とする前記(4)〜(6)の何れか1項
に記載の乾燥性に優れた不定形耐火物原料。
【0023】(8)不定形耐火物原料を水と混練後、80
℃で24時間加熱した時に、不定形耐火物単位質量当りの
ガス発生量が0.001Nm3/kg以下であることを特徴と
する前記(4)〜(7)の何れか1項に記載の乾燥性に優
れた不定形耐火物原料。
【0024】(9)マイクロ波乾燥に用いることを特徴
とする前記(4)〜(8)の何れか1項に記載の乾燥性に
優れた不定形耐火物原料。
【0025】尚、本発明において、0.125mm以下の炭
化けい素原料とは,0.125mmのJISふるいを通過し
た炭化けい素原料のことである。また、平均粒径は、0.
125mmより大きい粒径をJISふるいで測定し、0.125
mm以下の粒径を堀場製レーザー回折/散乱式粒度分布
測定装置で測定し、それらの値から算出したメジアン粒
径と定義した。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明者らは、不定形耐火物の耐
食性を向上させる一つの手段として、不定形耐火物の緻
密化と爆裂防止材の除去を同時に達成し、かつ水蒸気圧
によって爆裂することなく効率良く乾燥するためにマイ
クロ波乾燥を検討した。その結果、マイクロ波乾燥は、
非常に効率の良い水の乾燥方法であるが、炭化けい素原
料を含有する不定形耐火物の乾燥に使用すると、炭化け
い素原料中の遊離けい素が原因となって発生する水素ガ
スによる乾燥亀裂や爆裂の発生が従来の熱風乾燥よりも
顕著となることを発見した。
【0027】本発明者らは、この水素ガスの発生を防止
するには炭化けい素原料の表面を樹脂あるいはピッチで
被覆することが有効であり、その炭化けい素原料を使用
すると緻密な炭化けい素含有不定形耐火物を製造するこ
とが可能であることを発見した。
【0028】以下、本発明について、詳細に説明する。
【0029】前記(1)に係る発明において、不定形耐
火物に使用する炭化けい素原料は、原料粒子の表面が樹
脂及び/又はピッチで被覆されているものとする。炭化
けい素原料の表面を被覆することで、アルミナセメント
等によってアルカリとなった混練水と炭化けい素原料中
の遊離けい素が接触しなくなり、(2)式の反応によっ
て乾燥中に水素ガスが発生することを防止できる。
【0030】また、前記(2)に係る発明において、不
定形耐火物に使用する炭化けい素原料は、平均粒径が0.
01mm〜3mmの炭化けい素原料であって、遊離けい素
含有量が0.1〜1.5質量%であり、粒径0.125mm以下の
炭化けい素原料の粒子表面が樹脂及び/又はピッチで被
覆されているものとする。
【0031】平均粒径が0.01mm未満の炭化けい素原料
を不定形耐火物原料に使用した場合には、超微粉領域に
偏ることになり、一方、平均粒径が3mmを超える炭化
けい素原料を不定形耐火物原料に使用した場合には、粗
粒領域に偏ることになる。このように、炭化けい素原料
が不定形耐火物原料の超微粉領域あるいは粗粒領域に偏
ることになると、不定形耐火物を施工する時に必要な流
動性が得られなくなるばかりか、不定形耐火物に炭化け
い素原料を添加する目的である溶融スラグに対する化学
的安定性向上や低熱膨張性付与の効果が得られない。
【0032】炭化けい素原料中の遊離けい素含有量が1.
5質量%を超えると、乾燥中に、アルミナセメント等に
よってアルカリとなった混練水と遊離けい素が反応して
発生する水素ガスが多くなり、緻密な不定形耐火物は亀
裂が発生する場合や爆裂する場合がある。また、不定形
耐火物への用途の場合、効果とコストの観点から、炭化
けい素中の平均遊離けい素含有量を0.1質量%未満にす
る必要はない。従って、炭化けい素原料中の遊離けい素
含有量は0.1〜1.5質量%とする。ここで炭化けい素原料
中の遊離けい素含有量はJIS−R6124の炭化けい
素研削材の化学分析方法に従って測定した遊離けい素含
有量と定義する。
【0033】粒径0.125mm以下の炭化けい素原料の表
面を樹脂及び/又はピッチで被覆することで、(2)式
の反応による乾燥中の水素ガス発生を実用上問題無く防
止することができ、緻密な炭化けい素含有不定形耐火物
を製造することができるが、これは以下の理由によると
考えられる。
【0034】アチソン法では、珪石・珪砂(SiO2)を炭
素(C)で還元して炭化けい素インゴットを製造する
が、その際に、炭化けい素インゴットの炭化けい素結晶
中や結晶粒界に微細な遊離けい素が生成する。不定形耐
火物の原料となる炭化けい素原料は、その炭化けい素イ
ンゴットを粉砕して得られるため、炭化けい素原料中の
遊離けい素は、炭化けい素原料の粒子の内部や表面に存
在する場合と、粉砕過程で遊離けい素単独の微粒子にな
って存在する場合がある。粉砕によって、単独相の粒子
として存在する遊離けい素は炭化けい素原料の微粉部に
存在し、微粉部の粒径の小さい炭化けい素粒子は遊離け
い素が炭化けい素粒子の表面に現れている確率が大きく
なっている。したがって、炭化けい素原料の微粉部に存
在する遊離けい素は、周囲を炭化けい素で囲まれてない
ものが多いので、不定形耐火物原料中のアルミナセメン
トや原料によってアルカリ性となった混練水と接触し、
不定形耐火物の乾燥過程で60℃以上になると(2)式に
よって活発に水素ガスが発生し、緻密な不定形耐火物の
乾燥亀裂や爆裂の発生原因となる。したがって、微粉の
炭化けい素けい素原料の表面を樹脂及び/又はピッチで
被覆すると、大部分の水素ガス発生を防止することがで
き、緻密な炭化けい素含有不定形耐火物を製造すること
ができる。0.125mm以下の炭化けい素原料の80質量%
以上を樹脂及び/又はピッチによって被覆することが好
ましい。
【0035】上記(1)の発明も含め、炭化けい素原料
の粒子表面を被覆する樹脂としては、アセタール、アク
リル、エポキシ、塩化ビニル、シリコーン、ナイロン、
フェノール、フッ素、ポリウレタン、ポリエチレン、ポ
リカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、メタ
クリル、メチルペンテン、メラミン、ABS等の1種ま
たは2種以上を使用することができる。また、ピッチと
しては、コールタールピッチ、石油ピッチ等の1種また
は2種以上を使用することができる。
【0036】被覆は、樹脂あるいはピッチを溶解した溶
液と炭化けい素原料粒子を混合し、それを液中乾燥ある
いは噴霧乾燥することで実施できる。
【0037】液中乾燥は、例えば、樹脂あるいはピッチ
を水より沸点の低い有機溶媒に溶解し、その溶液と炭化
けい素原料粒子を混合し、炭化けい素原料粒子を溶液中
に単粒子分散させる。引き続いて炭化けい素原料粒子が
分散した溶液を水に導入して乳化させた後、有機溶媒の
沸点以上で100℃以下の温度に加熱して有機溶媒を乾燥
すると、樹脂あるいはピッチによって被覆された炭化け
い素原料粒子が沈殿する。水を乾燥すれば、樹脂あるい
はピッチによって被覆された炭化けい素原料粒子が得ら
れる。
【0038】噴霧乾燥は、例えば、樹脂あるいはピッチ
を有機溶媒に溶解し、その溶液と炭化けい素原料粒子を
混合し、炭化けい素原料粒子を溶液中に単粒子分散させ
た後、噴霧乾燥する。または、樹脂あるいはピッチのエ
マルジョンと炭化けい素原料粒子を混合し、炭化けい素
原料粒子をエマルジョン中に単粒子分散させた後、噴霧
乾燥すると、樹脂あるいはピッチによって被覆された炭
化けい素原料粒子が得られる。
【0039】また、炭化けい素原料粒子と樹脂あるいは
ピッチをニーダー等で混練して被覆処理することができ
る。ピッチあるいは熱可塑性の樹脂を使用する場合は、
加熱後に混練しながら冷却することで炭化けい素原料の
粒子表面を被覆することができる。熱硬化性の樹脂を使
用する場合は、混練しながら加熱することで、また、常
温硬化性あるいは気硬性の樹脂を使用する場合は、常温
で樹脂が硬化するまで混練することで、炭化けい素原料
の粒子表面を被覆することができる。
【0040】前記(3)に係る発明において,不定形耐
火物に使用する炭化けい素原料は、100gの炭化けい素
原料を,200gの5質量%水酸化ナトリウム水溶液中80℃
で24時間加熱した時に、炭化けい素原料の単位質量当り
のガス発生量が0.0055Nm3/kg以下であることとす
る。炭化けい素原料の単位質量当りのガス発生量が0.00
55Nm3/kgを超えると、非常に緻密な不定形耐火物
は、乾燥中に亀裂が発生する場合や爆裂する場合があ
る。特に、好ましくは、炭化けい素の単位質量当りのガ
ス発生量が0.003Nm3/kg以下、更に好ましくは0.00
2Nm3/kg以下であることが望ましい。特に、マイク
ロ波を利用して乾燥する場合は、0.002Nm3/kg以下
であることが望ましい。
【0041】前記(4)に係る発明において,不定形耐
火物原料の最大粒径10mm以下の部分が、前記(1)〜
(3)の何れか1項に記載の炭化けい素原料5〜80質量%
と残部がアルミナ原料及び/又はスピネル原料からなる
耐火骨材100質量%からなり、前記(5)に係る発明で
は,更に内掛けで炭素原料を0.5〜10質量%含有する耐
火骨材100質量%に対し、結合材としてアルミナセメン
トを外掛けで0.5〜10質量%添加する。不定形耐火物原
料の最大粒径10mm超の部分は特に限定しないので、最
大粒径10mmを超える原料を含有するものだけでなく、
含有しないものも前記(4)又は(5)に係る発明の範囲
内とする。
【0042】このようにして調整した不定形耐火物原料
は、非常に緻密な不定形耐火物を製造することが可能で
あり、耐食性、耐スポーリング性、乾燥性に優れたアル
ミナ及び/又はスピネル−炭化けい素質不定形耐火物、
または、アルミナ及び/又はスピネル−炭化けい素−炭
素質不定形耐火物を得ることができる。
【0043】ここで炭化けい素原料は、前記の条件を満
たす炭化けい素原料を最大粒径10mm以下の耐火骨材10
0質量%に対して内掛けで5〜80質量%使用する。使用量
が5質量%より少ないと溶融スラグに対する耐食性や耐
スポーリング性が低下し、80質量%を超えると溶融した
鉄に対する耐食性が低下する。
【0044】アルミナ原料は、電融又は焼結アルミナ、
仮焼アルミナ、焼成ボ−キサイト、ばん土頁岩等のアル
ミナ含有量が80質量%以上のアルミナ質耐火骨材の中か
ら1種又は2種以上を使用する。
【0045】スピネル原料は、電融又は焼結スピネル、
仮焼スピネル等のスピネル質耐火骨材の中から1種又は
2種以上を使用する。このスピネルは、コモンタイプ、
アルミナリッチタイプのいずれでも良い。また、テルミ
ット法によって、鉄−バナジウム合金の製造過程により
副生する廃滓に代表されるMgO−Al23系バナジウ
ム滓をスピネルとして使用することもできる。
【0046】アルミナ原料及び/又はスピネル原料の合
計の使用量は、最大粒径10mm以下の耐火骨材100質量
%に対して内掛けで10〜80質量%とすることが好まし
い。使用量が10質量%より少ないと溶融した鉄に対する
耐食性が低下し、80質量%を超えると溶融スラグに対す
る耐食性や耐スポーリング性が低下する。
【0047】炭素原料は、ピッチ、メソフェーズピッ
チ、カーボンブラック、人造黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒
鉛、コークス、無煙炭等の中から1種又は2種以上を、
耐火骨材100質量%に対して内掛けで0.5〜10質量%使用
する。緻密な不定形耐火物を得るためには、ピッチ、メ
ソフェーズピッチ、カーボンブラックを使用することが
好ましい。炭素原料は、溶融スラグに濡れ難い性質を利
用して、スラグ浸潤を防止する目的等で使用する場合が
有るが、使用量が0.5質量%より少ないとその様な効果
が得られない。また、使用量が10質量%を超えると混練
水分量が多くなって緻密な不定形耐火物が得られなくな
る。
【0048】その他の耐火骨材として、電融又は合成ム
ライト、シリマナイト、アンダリューサイト、カイヤナ
イト、シャモット、粘土、ロー石、珪石、溶融シリカ、
蒸発シリカ等の珪酸質微粒子、電融又は焼結マグネシ
ア、電融又は焼結ジルコニア、ジルコン、クロム鉱、電
融又は焼結マグネシア−ライム、電融ジルコニア−ムラ
イト、電融アルミナ−ジルコニア、窒化珪素、窒化珪素
鉄、チタニア等の耐火原料及び、アルミナ及び/又はス
ピネル−炭化けい素質、アルミナ及び/又はスピネル−
炭化けい素−炭素質等の材料を最大粒径10mm以下の耐
火骨材100質量%中に内掛けで30質量%以内の範囲で使
用することができる。
【0049】尚、本発明における耐火骨材100質量%と
は、前記の粒径10mm以下のアルミナ原料、スピネル原
料、炭素原料、及び、その他の耐火骨材の合計使用量を
100質量%とした値である。これらの耐火骨材は、不定
形耐火物として適する粒度構成に調整して使用する。ま
た、その他の耐火骨材として使用することができるアル
ミナ及び/又はスピネル−炭化けい素質、アルミナ及び
/又はスピネル−炭化けい素−炭素質等の材料は、前記
材質の実炉未使用、あるいは、実炉使用後の定形れん
が、あるいは、不定形耐火物を粒径10mm以下に調整し
て用いることが可能である。無論、前記材質となるよう
に前記の耐火原料を粒径10mm以下に成形して用いるこ
とができる。
【0050】アルミナセメントは、例えばJIS規格の
1種、2種もしくは3種等に分類されるものの中から1
種又は2種以上を、耐火骨材100質量%に対して外掛け
で0.5〜10質量%使用する。使用量が0.5質量%より少な
いと不定形耐火物の強度が小さくなり、10質量%を超え
ると耐食性が低下する。アルミナセメントは結合材とし
て使用するが、その他の結合材としてリン酸塩、ケイ酸
塩、マグネシアセメント、乳酸アルミニウム、グリコー
ル酸アルミニウム、乳酸−グリコール酸アルミニウム等
を組み合わせて用いても良い。
【0051】その他、不定形耐火物原料に一般に添加さ
れている分散剤等の添加剤、酸化防止材、金属ファイバ
ー、乾燥爆裂防止材等は、必要に応じて使用することが
できる。
【0052】添加剤は、例えば分散剤として、トリポリ
リン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラポリリン酸、酸性
ヘキサメタリン酸、ポリメタリン酸等の縮合リン酸、ホ
ウ酸、炭酸等の無機酸及びその塩類や、クエン酸、酒石
酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリカルボン
酸、スルホン酸、リグニンスルホン酸、メラミンスルホ
ン酸、ポリスチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸
等の有機酸及びその塩類等の中から1種又は2種以上
を、耐火骨材100質量%に対して外掛けで0.01〜1質量
%程度添加することができる。その他の添加剤として、
硬化促進剤、硬化遅延剤、増粘剤等を耐火骨材100質量
%に対して外掛けで0.01〜1質量%程度添加することが
できる。
【0053】酸化防止材は、加熱時の炭素の酸化を防止
する目的で、炭化ホウ素、窒化珪素、ホウ化ジルコニウ
ム、ホウ化カルシウム、リン酸ガラス、ホウ珪酸ガラ
ス、ホウリン酸ガラス等を耐火骨材100質量%に対して
外掛けで0.01〜5質量%程度使用することできる。ま
た、酸化防止材として、アルミニウム、シリコン、アル
ミニウム−シリコン合金等の金属を耐火骨材100質量%
に対して外掛けで0.01〜10質量%程度添加することがで
きるが、その場合、混練、養生、乾燥中に金属が水と反
応しないように、例えば金属表面を被覆する等の処置が
必要である。
【0054】金属ファイバーは不定形耐火物使用中の亀
裂発生の低減を目的として、鋼製やステンレス製等のフ
ァイバーを耐火骨材100質量%に対して外掛けで0.1〜10
質量%程度添加することができる。形状は長さ10〜50m
m、断面長さ0.1〜1mmの線状とすることが好ましい。
【0055】後述する(7)の発明のように、本発明に
おいて乾燥爆裂防止材として、アルミニウム粉末、有機
発泡剤、有機繊維等の何れか1種又は2種以上を添加す
ることができるが、これらを添加すると気孔径及び気孔
率が大きくなるので、無添加とすることが好ましい。
【0056】更に、前記(6)に係る発明において、最
大粒径10mm以下の耐火骨材100質量%に対し、粒径10
〜100mmのアルミナ原料、スピネル原料、炭化けい素
原料、アルミナ及び/又はスピネル−炭化けい素質、ア
ルミナ及び/又はスピネル−炭化けい素−炭素質の材料
の1種又は2種以上を外掛けで5〜100質量%添加して使用
することができる。アルミナ原料とスピネル原料は、前
記の耐火骨材用のアルミナ原料及びスピネル原料と同材
質のものを用いることができる。炭化けい素原料は、通
常のアチソン法で製造したものを使用する。炭化けい素
原料中の遊離けい素含有量、遊離けい素と遊離けい酸の
合計の含有量と遊離炭素含有量は、通常アチソン法で工
業的に製造されている炭化けい素の範囲であれば問題な
いが、0.125mm以下の部分と同じ規定範囲を満足する
ことが好ましい。
【0057】アルミナ及び/又はスピネル−炭化けい素
質、アルミナ及び/又はスピネル−炭化けい素−炭素質
の材料は、前記の耐火骨材用のアルミナ原料、スピネル
原料、炭化けい素原料、炭素原料が主原料の材料であ
り、結合材や前記のその他の耐火骨材等を内掛けで30質
量%以内の範囲で含有することができる。
【0058】アルミナ及び/又はスピネル−炭化けい素
質、アルミナ及び/又はスピネル−炭化けい素−炭素質
の材料は、前記材質の実炉未使用、あるいは、実炉使用
後の定形れんが、あるいは、不定形耐火物を粒径10〜10
0mmに調整して用いることができる。また、前記材質
となるように前記の耐火原料を粒径10〜100mmに成形
して用いることができる。
【0059】更に、粒径10〜100mmのその他の組成の
原料、例えば前記のその他の耐火骨材やマグネシア−炭
素質材料のようなその他の組成の材料の1種又は2種以
上を、耐火骨材100質量%に対して外掛けで20質量%以
内であれば,添加して使用することができる。
【0060】前記(7)に係る発明において、乾燥爆裂
防止材として、アルミニウム、有機発泡剤、有機繊維等
の何れか1種又は2種以上を合計で耐火骨材100質量%
に対して0.01〜1質量%使用することができる。有機発
泡剤は、例えばアゾジカルボンアミド等が有り、また、
有機繊維は、ビニロン(ポリビニールアルコールを含
む)、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピ
レン、ポリエチレンなどの高分子有機繊維が有る。
【0061】ただし、アルミニウム、有機発泡剤、有機
繊維は、前述したように不定形耐火物中に欠陥を形成し
気孔径及び気孔率を大きくするので、緻密な不定形耐火
物を製造する場合は、耐火骨材100質量%に対して,ア
ルミニウムは0.1質量%以下、有機発泡剤は0.1質量%以
下、有機繊維は0.1質量%以下とすることが望ましい。
【0062】前記(8)に係る発明において、本発明の
不定形耐火物原料は、水と混練後、80℃で24時間加熱し
た時に、不定形耐火物単位質量当りのガス発生量が0.00
1Nm 3/kg以下、好ましくは0.0005Nm/kg以下
であることとする。ガス発生量が0.001Nm3/kgより
多い場合、緻密な不定形耐火物は乾燥中に亀裂が発生す
る場合や爆裂する場合がある。
【0063】不定形耐火物の成形は、従来と同様に、本
発明の最大粒径10mm以下の不定形耐火物原料100質量
%に対して混練水を外掛けで3〜10質量%程度添加・混
合し、流し込み法あるいは吹き付け法等によって実施す
る。流し込み成形の場合は、混練水が3〜7質量%好まし
くは3〜5質量%となるように調整して、緻密な不定形耐
火物を得る。吹付け法では、吹付けた不定形材料を急速
に硬化させる必要があり、そのために前記原料の他に消
石灰、アルミン酸ソーダ、水ガラス等の急結剤を使用す
る。
【0064】前記(9)に係る発明において、本発明の
不定形耐火物原料は成形後、養生、乾燥してから使用さ
れるが、マイクロ波を利用した乾燥に用いることに適し
ている。(2)式に従って、炭化けい素原料中の遊離け
い素が原因となって発生する水素ガスは、乾燥中に60℃
以上の温度になると急激に発生量が多くなる。マイクロ
波を利用した乾燥は、効率の良い内部加熱方法であり、
均一加熱が可能な乾燥方法であるが、均一加熱であるた
めに、乾燥中に不定形耐火物の内部は均一に60℃以上に
達し、不定形耐火物の内部全体で一斉に水素ガスが発生
することになる。したがって、マイクロ波を利用した乾
燥は、従来の外部加熱による乾燥の場合よりも、この水
素ガスが原因となる内部ガス圧の上昇が大きく、乾燥中
に亀裂や爆裂の発生が生じやすい。本発明の不定形耐火
物原料は、炭化けい素原料中の遊離けい素が原因となる
水素ガスの発生が少ないので、マイクロ波を利用して緻
密な不定形耐火物を効率良く乾燥することができる。
【0065】
【実施例】〔実施例1〕表1に、本発明の実施例と比較
例の炭化けい素原料を示す。
【0066】
【表1】
【0067】炭化けい素原料の「最大粒子径(mm)」
は、JISふるいを通して測定した値である。「平均粒
子径(mm)」は、0.125mmより大きい粒径はJIS
ふるいで測定し、0.125mm以下の粒径は堀場製レーザ
ー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定し、それらの値
から算出したメジアン粒径である。「遊離けい素含有量
(質量%)」は、JIS−R6124の炭化けい素研削
材の化学分析方法に従って測定した炭化けい素原料の遊
離けい素含有量である。
【0068】実施例A〜Dは、以下に示す方法によって
ポリプロプレン樹脂で被覆した本発明の条件を満足する
炭化けい素原料である。まず、ポリプロピレン樹脂3部
を加熱しながらトルエン26部に溶解し、その中に炭化け
い素原料20部を加えてから、撹拌して炭化けい素原料粒
子を単分散させた。得られた分散液を3質量%PVA水
溶液100部に加え、撹拌して乳化させた。乳化液体を60
℃に加熱してトルエンを蒸発させた。
【0069】沈殿した粒子を水洗いした後、60℃で乾燥
して、ポリプロピレン被覆炭化けい素原料を得た。実施
例A、B及びDは、それぞれ最大粒径が0.125mm、1m
m及び5.6mmの炭化けい素原料であり、全部の原料を
ポリプロピレンで被覆した。また、実施例Cは最大粒径
が1mmの炭化けい素原料であり、粒径が0.125mm以下
の粒子だけをポリプロピレンで被覆した。尚、ポリプロ
ピレンによる被覆は、原料を5.6〜2.8mm、2.8〜1.0m
m、1.0〜0.5mm、0.5〜0.125mm、0.125〜0.075m
m、0.075mm以下に分級し、それぞれの粒度範囲別に
実施した。
【0070】実施例Eは、以下に示す方法によって最大
粒径が0.125mmの炭化けい素原料をコールタールピッ
チで被覆したものである。まず、軟化点が120℃のコー
ルタールピッチ20部と炭化けい素原料100部を170℃に加
熱後、ニーダーで混練しながら冷却した。固まった固形
物を解砕して0.3mmのふるいを通過させ、コールター
ルピッチで被覆した本発明を満足する炭化けい素原料を
得た。
【0071】また、比較例F〜Hは、被覆処理をしてい
ない炭化けい素原料の例である。
【0072】表1中の「「ガス発生量」は、炭化けい素
原料をV型コーンミキサーで1時間混合した後、炭化け
い素原料と10質量%水酸化ナトリウム水溶液を質量比
1:2で混合し、80℃で24時間加熱した時の炭化けい素
原料単位質量当りのガス発生量を示す。
【0073】樹脂あるいはピッチで被覆処理した実施例
の炭化けい素原料は、アルカリ水溶液と接した時に発生
するガス量が少ないが、被覆処理をしていない比較例の
炭化けい素原料はガス発生量が多い。 〔実施例2〕表2と表3に本発明の不定形耐火物原料の
実施例と比較例を示す。
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】表中の「ガス発生量」の欄は、養生後の不
定形耐火物を湿潤状態80℃で24時間加熱した時の不定形
耐火物単位質量当りのガス発生量を示す。ガス発生量
は、表に示した割合の不定形耐火物原料と水とを混練
後、2kgを三角フラスコに充填して24hr養生し、その後
三角フラスコ内に0.3kgの水を加え,前記条件で加熱し
た時、加熱中に発生するガスを水上置換法で採取して計
量した。尚、混練と養生は、25℃で実施した。
【0077】表中の「乾燥後の亀裂の有無」の欄は、表
に示した割合の不定形耐火物原料と水とを混練後、500
×500×300mmの形状に流し込み成形し、24hr養生して
から脱枠した後に、マイクロ波乾燥あるいは熱風乾燥を
実施した時に、爆裂あるいは亀裂発生があった場合は
「有」、無かった場合は「無」と記入している。「乾燥
方法」の欄は、マイクロ波乾燥した不定形耐火物は「M
W」、熱風乾燥した不定形耐火物は「熱風」と記入して
いる。マイクロ波乾燥は、ステンレス製のアプリケータ
ー(内寸が1000×1000×1000mm)内に不定形耐火物を
設置し、2.45GHzのマイクロ波を照射すると共に、不定
形耐火物の中央部より10〜20℃低い温度の空気をアプリ
ケーター内に送り込んで、不定形耐火物から発生する水
蒸気をアプリケーター外に排出する方法で実施した。加
熱は、中央部温度が図1に示したスケジュールとなるよ
うにマイクロ波の出力を調整した。熱風乾燥は、不定形
耐火物を設置した乾燥機に送り込む熱風温度を、図1に
示したスケジュールとなるように調整して実施した。
【0078】表中の「圧縮強度」、「見掛け気孔率」、
「溶損指数」は、前記の方法で乾燥した500×500×300
mm形状の不定形耐火物の中央部から試験片を切り出し
て測定した値を示す。「圧縮強度」と「見掛け気孔率」
は、40×40×40mmの試験片で測定した。「溶損指数」
は、侵食剤として高炉スラグと銑鉄を用いた高周波内張
り法で1550℃において測定した溶損量について、実施例
1の溶損量を100とした指数で示した値であり、指数が小
さいほど溶損量が小さく耐食性が高いことを表してい
る。
【0079】実施例1〜13は、本発明の不定形耐火物原
料であり、緻密な不定形耐火物を製造しても、乾燥中の
爆裂や亀裂発生がなかった。
【0080】比較例1〜3は、被覆処理をしていない炭化
けい素原料を使用した不定形耐火物原料であり、不定形
耐火物の乾燥中に発生するガス量が多いために、緻密な
不定形耐火物を乾燥すると亀裂が発生した。比較例4
は、炭化けい素の使用量が本発明の規定より少ない場合
であり、実施例と比較すると溶損量が大きかった。比較
例5は、アルミナセメントの使用量が本発明の規定より
少ない場合であり、非常に強度が小さく、物性測定用サ
ンプルを切り出すこともできなかった。比較例6は、ア
ルミナセメントの使用量が本発明の規定より多い場合で
あり、実施例と比較すると溶損量が大きかった。
【0081】
【発明の効果】本発明の乾燥性に優れた不定形耐火物用
炭化けい素原料、その製造方法及び不定形耐火物原料
は、極めて緻密な不定形耐火物を製造することが可能で
あり、近年における溶融金属容あるいは溶融金属処理装
置の操業条件の過酷化と、耐火物原単位の低減とに対応
できる耐火物材料として、その産業的価値はきわめて大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】加熱温度のスケジュールを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平 初雄 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 齋藤 吉俊 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 天野 正彦 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 (72)発明者 田中 泰邦 福岡県北九州市八幡西区東浜町1番1号 黒崎播磨株式会社技術研究所内 (72)発明者 杉山 一行 福岡県北九州市八幡西区東浜町1番1号 黒崎播磨株式会社技術研究所内 (72)発明者 礒部 利弘 福岡県北九州市八幡西区東浜町1番1号 黒崎播磨株式会社第二製造事業部八幡不定 形工場内 (72)発明者 友納 弘義 福岡県北九州市八幡西区東浜町1番1号 黒崎播磨株式会社第二製造事業部八幡不定 形工場内 Fターム(参考) 4G033 AA02 AA09 AA14 AA16 AA17 AA22 AB21 AB25 AB27

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化けい素原料の粒子表面が樹脂及び/
    又はピッチで被覆されていることを特徴とする乾燥性に
    優れた不定形耐火物用炭化けい素原料。
  2. 【請求項2】 平均粒径が0.01mm〜3mmの炭化けい
    素原料であって、遊離けい素含有量が0.1〜1.5質量%で
    あり、粒径0.125mm以下の炭化けい素原料の粒子表面
    が樹脂及び/又はピッチで被覆されていることを特徴と
    する乾燥性に優れた不定形耐火物用炭化けい素原料。
  3. 【請求項3】 80℃でのアルカリ水溶液中で24時間加熱
    した時に、炭化けい素原料の単位質量当りのガス発生量
    が0.0055Nm3/kg以下であることを特徴とする請求
    項1又は2記載の乾燥性に優れた不定形耐火物用炭化けい
    素原料。
  4. 【請求項4】 不定形耐火物原料の最大粒径10mm以下
    の部分が、請求項1〜3の何れか1項に記載の炭化けい素
    原料5〜80質量%と残部がアルミナ原料及び/又はスピ
    ネル原料からなる耐火骨材100質量%に対し、結合材と
    してアルミナセメントを外掛けで0.5〜10質量%添加し
    たことを特徴とする乾燥性に優れた不定形耐火物原料。
  5. 【請求項5】 更に、最大粒径10mm以下の耐火骨材10
    0質量%に対し、内掛けで炭素原料を0.5〜10質量%含有
    することを特徴とする請求項4に記載の乾燥性に優れた
    不定形耐火物原料。
  6. 【請求項6】 更に、最大粒径10mm以下の耐火骨材10
    0質量%に対し、粒径10〜100mmのアルミナ原料、スピ
    ネル原料、炭化けい素原料、アルミナ及び/又はスピネ
    ル−炭化けい素質、アルミナ及び/又はスピネル−炭化
    けい素−炭素質の材料の1種又は2種以上を外掛けで5〜1
    00質量%含有することを特徴とする請求項4又は5に記載
    の乾燥性に優れた不定形耐火物原料。
  7. 【請求項7】 最大粒径10mm以下の耐火骨材100質量
    %に対し、外掛けでアルミニウム、有機発泡剤、有機繊
    維の何れか1種又は2種以上を合計で0.01〜1質量%含有
    することを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の
    乾燥性に優れた不定形耐火物原料。
  8. 【請求項8】 不定形耐火物原料を水と混練後、80℃で
    24時間加熱した時に、不定形耐火物単位質量当りのガス
    発生量が0.001Nm3/kg以下であることを特徴とする
    請求項4〜7の何れか1項に記載の乾燥性に優れた不定形
    耐火物原料。
  9. 【請求項9】 マイクロ波乾燥に用いることを特徴とす
    る請求項4〜8の何れか1項に記載の乾燥性に優れた不定
    形耐火物原料。
JP2002096098A 2002-03-29 2002-03-29 乾燥性に優れた不定形耐火物用炭化けい素原料及び不定形耐火物原料 Withdrawn JP2003292384A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002096098A JP2003292384A (ja) 2002-03-29 2002-03-29 乾燥性に優れた不定形耐火物用炭化けい素原料及び不定形耐火物原料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002096098A JP2003292384A (ja) 2002-03-29 2002-03-29 乾燥性に優れた不定形耐火物用炭化けい素原料及び不定形耐火物原料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003292384A true JP2003292384A (ja) 2003-10-15

Family

ID=29239309

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002096098A Withdrawn JP2003292384A (ja) 2002-03-29 2002-03-29 乾燥性に優れた不定形耐火物用炭化けい素原料及び不定形耐火物原料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003292384A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007011038A1 (ja) * 2005-07-22 2007-01-25 Krosaki Harima Corporation カーボン含有耐火物及びその製造方法並びにピッチ含有耐火原料
JP2018020928A (ja) * 2016-08-03 2018-02-08 品川リフラクトリーズ株式会社 高炉主樋スラグライン用流し込み耐火物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007011038A1 (ja) * 2005-07-22 2007-01-25 Krosaki Harima Corporation カーボン含有耐火物及びその製造方法並びにピッチ含有耐火原料
US8182599B2 (en) 2005-07-22 2012-05-22 Krosaki Harima Corporation Carbon-containing refractory, production method thereof, and pitch-containing refractory raw material
JP2018020928A (ja) * 2016-08-03 2018-02-08 品川リフラクトリーズ株式会社 高炉主樋スラグライン用流し込み耐火物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ghasemi-Kahrizsangi et al. A Review on Recent Advances on Magnesia-Doloma Refractories by Nano-Technology.
JP5943032B2 (ja) 軽量断熱アルミナ・マグネシア質耐火物の製造方法
JP4602379B2 (ja) アルミナセメントの製造方法
JP5361795B2 (ja) 内張り流し込み材
JP4234330B2 (ja) 不定形耐火組成物
JP2006282486A (ja) アルミナセメント、アルミナセメント組成物及び不定形耐火物
JP2000016843A (ja) アルミナセメント、アルミナセメント組成物、その不定形耐火物、及びそれを用いた吹付施工方法
JP2003321276A (ja) 乾燥性に優れた不定形耐火物用炭化けい素原料及び不定形耐火物原料
JP5073791B2 (ja) アルミナ−マグネシア質耐火れんが及びその製造方法
JP4141158B2 (ja) 耐食性、耐スポーリング性、乾燥性に優れた不定形耐火物用SiC、及び不定形耐火物原料
KR101047358B1 (ko) 철강산업용 내화 조성물
CN107032808A (zh) 一种刚玉质电炉盖
JP2018154516A (ja) マグネシア・スピネル質焼成煉瓦の製造方法
JP4546934B2 (ja) 使用後耐火物利用の不定形耐火物の製造方法
JP4220131B2 (ja) 溶鋼取鍋用不定形耐火組成物
JP2005154180A (ja) アルミナセメント組成物及び不定形耐火物
JP2003292384A (ja) 乾燥性に優れた不定形耐火物用炭化けい素原料及び不定形耐火物原料
WO2001090030A1 (en) Insulating raw material for high temperature applications
JP4204246B2 (ja) 乾燥性と耐食性に優れた不定形耐火物用炭化けい素原料及び不定形耐火物原料
JP2004203702A (ja) 蛇紋石又はタルクを含有する不定形耐火物と施工体およびこれらで内張りされた窯炉
EP1502905A1 (en) Monothilic refractory composition
RU2140407C1 (ru) Огнеупорная бетонная смесь
JP2000178074A (ja) 高炉樋用キャスタブル耐火物
JP2008001565A (ja) カルシウムアルミネート、アルミナセメント組成物及びその製造方法
JP2000016874A (ja) 耐火物用急結剤及びそれを用いた吹付施工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050607