JP2003284073A - 画像符号/復号方法及び装置並びにプログラム及び記録媒体 - Google Patents

画像符号/復号方法及び装置並びにプログラム及び記録媒体

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JP2003284073A
JP2003284073A JP2002080127A JP2002080127A JP2003284073A JP 2003284073 A JP2003284073 A JP 2003284073A JP 2002080127 A JP2002080127 A JP 2002080127A JP 2002080127 A JP2002080127 A JP 2002080127A JP 2003284073 A JP2003284073 A JP 2003284073A
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vector
dictionary
gain
shape
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JP2002080127A
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Inventor
Takashi Miura
高志 三浦
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Hudson Soft Co Ltd
Original Assignee
Hudson Soft Co Ltd
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Publication date
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  • Compression Or Coding Systems Of Tv Signals (AREA)
  • Compression, Expansion, Code Conversion, And Decoders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像データを高速に高圧縮可能なことを課題
とする。 【解決手段】 原画像データよりブロック平均値が分離
された誤差ベクトル<D1 6>をベクトル量子化する画像符
号方法であって、ノルムが1に正規化された低次元形状
辞書ベクトルを格納している形状辞書と、ノルムが1に
正規化された低次元利得辞書ベクトルを格納している利
得辞書を備え、誤差ベクトルを、そのノルムKと、ノル
ムが1の正規化誤差ベクトル<D16N>との積に変換する
ステップと、正規化誤差ベクトルを、複数の低次元ベク
トル<Bi>(i=0〜3)に分割し、夫々を、そのノル
ムからなる利得係数giと、ノルムが1の形状ベクトル<
4_ i>との積に変換するステップと、形状辞書から各形
状ベクトル<D4_i>との差の大きさが最小となる各形状
辞書ベクトル<D'4_i>を抽出するステップと、利得辞書
から各利得係数giの集合からなる利得ベクトル<AA>
との差の大きさが最小となる利得辞書ベクトル<AA'>
を抽出するステップとを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像符号/復号方法
及び装置並びにプログラム及び記録媒体に関し、更に詳
しくは、ハイブリッドベクトル量子化(HVQ:Hybrid
Vector Quantization)方式を利用した画像符号/復
号方法及び装置並びにプログラム及び記録媒体に関す
る。
【0002】HVQ方式は、JPEGと同様にブロック
符号化の一種であるが、ベクトル量子化と直交変換符号
化の中間方式である適応的直交変換(AOT:Adaptive
Orthogonal Transform)を画像圧縮原理としてい
る。ここで、AOTはベクトル量子化のコードブックに
相当する基底の巣(ネスト)から必要最少数の非直交基
底系を選択し、符号対象ブロックを所望の許容誤差Z未
満に近似する方式である。HVQ方式では、復号演算を
整数型で行えるため、復号が極めて高速である。またJ
PEGに特有なモスキートノイズやブロックノイズ、G
IFに特有な擬似輪郭が発生しないため、自然画像,人
工画像(アニメーション画像,CG画像)を高画質で高
圧縮できる。
【0003】近年、ハイビジョンテレビや数百万画素の
デジタルカメラ等の高画質画像に接する機会が増加して
おり、これらの画像データを通信手段で伝送したり、又
は画像データベースとして記憶手段に保管、管理するた
めに、画像データの高画質を維持して高速に高圧縮する
技術が求められている。
【0004】
【従来の技術】本件出願人は画像が有する自己相似性を
利用したHVQ方式による画像符号/復号方法を既に提
案している{PCT/JP99/02962(WO 00/02393)},特願
2000−141675号}。以下その内容を概説す
る。なお、本明細書を通して記号〈a〉はベクトルa、
記号‖a‖はベクトルaの大きさ(ノルム)、記号〈a
・b〉はベクトルa,bの内積を表す。また、図や
[数]中のベクトルや配列を太文字で表す。また、本願
明細書の末尾に主要な技術用語を定義しておく。
【0005】図22は従来の画像符号装置(エンコー
ダ)のブロック図で、図において、11は原画像データ
を記憶する原画像メモリ、12は原画像データの各画素
ブロック(4×4画素)につきブロック平均(DC)値
を求めるDC値生成部、13は各DC値につき差分予測
符号化を行う差分PCM符号部(DPCM)、14は差
分PCM符号から各DC値を復号する逆DPCM符号部
(IDPCM)、15は復号DC画像を記憶するDC画
像メモリ、16はDC画像の一部から所定サイズのDC
ネスト(基底の巣)を切り出すDCネスト生成部、17は
DCネストを記憶するDCネストメモリである。
【0006】更に、18は符号化対象のターゲット画像
ブロック〈RJ〉から対応する復号DC値DCJを分離す
る減算器、19はDC分離された残差ベクトル〈dJ
を記憶するバッファ、20はDCネスト17からダウン
サンプルされた4×4画素の基底候補ブロック〈Ui
を記憶するバッファ、21は基底候補ブロック〈Ui
のブロック平均値aiを求める平均器、22は基底候補
ブロック〈Ui〉からブロック平均値aiを分離する減算
器、23は平均値分離された基底候補ベクトル〈ui
を記憶するバッファ、24は、残差ベクトルの2乗ノル
ム‖dJ2が許容誤差Zを超える場合に、DCネスト1
7を探索して残差ベクトル〈dJ〉を許容誤差Z以下に
近似するための直交基底系αk〈uk'〉(k=1〜m)を
生成する適応的直交変換処理部(AOT)、25は生成
された直交基底系αk〈uk'〉(k=1〜m)につき、各
対応する非直交基底ベクトル〈uk〉(k=1〜m)に掛
けて等価な非直交基底系βk〈uk〉(k=1〜m)を生
成するための展開係数βkを求める係数変換部、26は
上記DC値のDPCM符号や非直交基底系βk〈uk〉等
の情報を更に圧縮符号化するためのハフマン,ランレン
グス,固定長符号等による符号部である。
【0007】図23は従来の画像符号処理のフローチャ
ートである。ステップS1では原画像メモリ11に原画
像データ(例えば輝度データY)を読み込む。ステップ
S2ではDC値生成部12が全画像データにつき4×4
画素毎のブロック平均(DC)値を求める。ステップS
3ではDPCM13が全DC値を公知の2次元DPCM
法等により符号化して出力する。ステップS4ではID
PCM14が全DPCM出力を復号してDC画像を再生
し、DC画像メモリ15に格納する。ステップS5では
DCネスト生成部16がDC画像から例えば縦39×横
71画素分の領域をコピーしてDCネスト(基底の巣)
とし、これをDCネストメモリ17に格納する。ステッ
プS6'では原画像メモリ11及びDC画像メモリ15
に対する各インデクスカウンタJを0に初期化する。
【0008】ステップS7'では減算器18がターゲッ
トブロック〈RJ〉から対応する復号DC値DCJを分離
して残差ベクトル〈dJ〉を求め、かつ基底数カウンタ
kを0に初期化する。ステップS8'ではk>4(最大
基底数)か否かを判別し、k>4の場合は、これ以上残
差ベクトル〈dJ〉をAOT近似しても符号圧縮のメリ
ットが少ないので、ステップS18'に進み、基底数
「5」及びターゲットブロック〈RJ〉の各画素値その
ものを符号出力する。またk>4でない場合はステップ
S9'で残差ベクトルの2乗ノルム‖dJ2>Z(許容
誤差)か否かを判別し、‖dJ2>Zの場合はステップ
S10'で基底数カウンタkに+1する。ステップS1
1'では後述の適応的直交変換(AOT)処理により残
差ベクトル〈dJ〉を近似するための直交基底ベクトル<
u'k>とスカラー係数αの組を求める。ステップS12'
ではその時点の残差ベクトル〈dJ〉から上記求めた近
似残差ベクトル〈d'k〉(=α<u'k>)を差し引いて残
差ベクトル〈dJ〉を更新し、ステップS8'に戻る。ま
た、上記ステップS9'の判別で‖dJ2>Zでない場
合は、ステップS13に進み、k≠0ならスカラー係数
αk(k=1〜m)の展開係数βk(k=1〜m)への変換を
行う。以下、これを具体的に説明する。
【0009】今、AOT24からスカラー係数αk,直
交基底ベクトル〈vk〉(k=1〜m)の組が得られ、こ
れらの一次結合により残差ベクトル〈dJ〉を許容誤差
Z以下に近似できるとする。係数変換部25はαk
〈vk〉(k=1〜m)の組を展開係数βk,非直交基底ベ
クトル〈uk〉(k=1〜m)の組に変換すべく、以下の
方法により展開係数βkを求める。即ち、今,基底候補
ベクトル〈uk〉,展開係数β k,直交化された正規化基
底ベクトル〈vk〉,スカラー係数αkの各行列を以下と
する時に、
【0010】
【数1】
【0011】これらを次式で関係つける。
【0012】
【数2】
【0013】これを行列<B>について解くため、まず行
列<U>を正方行列に変換すべく、両辺に行列<U>の転置
行列<UT>を左側から掛ける。
【0014】
【数3】
【0015】この行列(UTU)は、次の様に展開され
る。
【0016】
【数4】
【0017】ここで、内積〈ui・uj〉=〈uj・ui
であるから、対角要素に対して対称な正方行列が得ら
れ、かつ〈ui〉と〈uj〉とが異なるから、逆行列が存
在する。そこで、更に両辺の左側から行列(UTU)の
逆行列(UTU)-1を掛けることで次式が得られ、βk
求まる。
【0018】
【数5】
【0019】このように正規直交基底系αk,〈vk
(k=1〜m)の組を非直交基底系βk,〈uk〉(k=1
〜m)の組に変換することで、復号側では各基底候補ベ
クトル〈uk〉を一々直交化する必要は無く、夫々にβk
を掛けて加算するだけで残差ベクトル〈dJ〉を復元で
きる。従って、復号処理を簡単かつ高速に行える。
【0020】ステップS14'では基底数「k」,展開
係数βk及び非直交基底ベクトル〈u k〉の各インデクス
情報iを夫々符号出力する。ステップS15ではカウン
タJに+1する。但し、カウンタJに対する+1は1画
素ブロック分の更新を意味する。ステップS16ではJ
≧M(全画像ブロック数)か否かを判別し、J≧Mでな
い場合はステップS7'に戻り、次のターゲットブロッ
ク〈RJ〉につき上記同様の符号処理を行う。以下同様
にして進み、やがて、ステップS16の判別でJ≧Mに
なると、ステップS17ではハフマン符号化等を行う。
こうして1画像分の符号処理を終了する。
【0021】図24は従来の適応的直交変換(AOT)
処理のフローチャート、図25は適応的直交化処理のイ
メージ図である。図24において、残差ベクトルの2乗
ノルム‖〈dJ〉‖2>Zであるとこの処理に入力する。
ステップS122では最小値保持レジスタE'に大きな
値(例えば100000)をセットする。ステップS1
23では基底候補ブロック〈Ui〉のインデクスカウン
タi=0に初期化する。これはDCネスト17の開始ア
ドレス(px,py)=(0,0),サブサンプル間隔
(sx,sy)=(1,1)に対応する。ステップS1
24では基底候補ブロック〈Ui〉からそのブロック平
均値aiを分離して基底候補ベクトル〈u i〉を生成す
る。ステップS125では必要(即ち、基底数カウンタ
k>1)なら基底候補ベクトル〈ui〉をそれ以前の直
交基底ベクトル〈uk'〉に直交化する。
【0022】図25(A),(B)にベクトル直交化処
理のイメージ図を示す。図25(A)において、まず第
1基底候補ベクトル〈u1〉はそのままで第1基底ベク
トル〈u1'〉となり得る。次に第2基底候補ベクトル
〈u2〉は以下の方法により第1基底ベクトル〈u1'〉
に直交化される。即ち、第2基底候補ベクトル〈u2
の第1基底ベクトル〈u1'〉への射影は次式の関係で得
られる。
【0023】
【数6】
【0024】第2直交ベクトル〈u2'〉は第2基底候補
ベクトル〈u2〉から前記射影分のベクトルを引くこと
で得られる。
【0025】
【数7】
【0026】図25(B)において、次に第3基底候補
ベクトル〈u3〉を第1,第2の基底ベクトル
〈u1'〉,〈u2'〉に直交化する。この図は3次元的に
描かれている。まず第3基底候補ベクトル〈u3〉を第
1基底ベクトル〈u1'〉に直交化すると上記同様にして
中間の直交ベクトル〈u3''〉が得られる。
【0027】
【数8】
【0028】更にこの中間直交ベクトル〈u3''〉を第
2基底ベクトル〈u2'〉に直交化すると第3基底ベクト
ル〈u3'〉が得られる。
【0029】
【数9】
【0030】図24に戻り、ステップS126では得ら
れた直交ベクトル〈ui'〉を使用し、残差ベクトル〈d
k〉(但し、最初は〈dJ〉)との間の距離を最小とする
様なスカラー係数αiを求める。
【0031】図25(C)にその処理イメージを示す。
今、ある時点の残差ベクトルを〈d k〉とする時に、こ
れを直交ベクトル〈ui'〉で近似した後の誤差ベクトル
の2乗ノルムei(=‖〈dk〉−αi〈ui'〉‖2)が最
小となるのは、図より明らかなように、直交ベクトル
〈ui'〉にスカラー係数αiを掛けたものと、誤差ベク
トル{〈dk〉−αi〈ui'〉}とが直交する時(内積=
0)である。従って、スカラー係数αiは次式の関係に
より求まる。
【0032】
【数10】
【0033】なお、図25(C)には残差ベクトル〈d
k〉(但し、k=0)を他の第1基底候補ベクトル
〈uj'〉で近似した場合が描かれている。第1基底候補
ベクトル〈uj'〉は任意の方向をとり得るから、図示の
ようなイメージとなる。
【0034】図24に戻り、ステップS127では残差
ベクトル〈dk〉を基底候補ベクトルαi〈ui'〉で近似
した後の誤差ベクトルの2乗ノルムeiを求める。
【0035】
【数11】
【0036】ステップS128ではei<E'か否かを判
別し、ei<E'の場合はステップS129でE'の内容
をeiで更新する。またその時のαi,〈ui'〉,
〈ui〉等に係る情報を配列[αk],[uk'],
[uk]に保持する。またei<E'でない場合は上記ス
テップS129の処理をスキップする。
【0037】ステップS130ではカウンタiに+1
し、更にステップS131ではi≧N(=8192)か
否かを判別する。i≧Nでない場合はステップS124
に戻り、次の基底候補ベクトル〈ui〉につき上記同様
の処理を行う。この場合に、ステップS124における
基底候補ブロック〈Ui〉のダウンサンプルは、縦横1
DC値毎に頂点(px,py)∈[0,63]×[0,
31]を設定し、かつそのサブサンプル間隔は(sx,
sy)∈{(1,1),(1,2),(2,1),
(2,2)}の計4種類とする。従って、トータルでは
N(=8192)個の基底候補ブロック〈Ui〉が存在
し、これらはAOT24からのインデクスカウンタiで
順次参照される。
【0038】こうして、やがて、ステップS131の判
別でi≧Nになるとこの段階における全基底候補ベクト
ル〈ui〉が試されたことになり、この時点で配列
[αk],[uk'],[uk]には今回の探索で残差ベク
トル<dJ>に対する最適近似を与えることになったαi
〈ui'〉,〈ui〉等が得られている。
【0039】
【発明が解決しようとする課題】一般に、ベクトル量子
化では辞書サイズを増加して近似利得を向上する必要が
ある。しかし、辞書サイズを増加するとベクトル探索演
算負荷が増加して符号処理が低速になる。例えば、上記
従来方式によると、残差ベクトル〈dJ〉の近似には1
基底当たり8192個の候補ベクトルと逐次比較をする
必要があるため、その演算量が極めて膨大であった。し
かも、残差ベクトル〈dJ〉の近似に2以上の基底ベク
トルを必要とする場合には、新たな基底候補ベクトルを
それ以前の各基底ベクトルに対して直交化する必要があ
るため、更に演算負荷が増大していた。このため,従来
は、画像符号化に多大の時間を要していた。
【0040】本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなさ
れたもので、その目的とする所は、画像データを高速に
高圧縮可能な画像符号/復号方法及び装置並びにプログ
ラム及び記録媒体を提供することにある。
【0041】
【課題を解決するための手段】上記の課題は例えば図1
の構成により解決される。但し、図1は本発明の理解を
助けるための一具体的数値例を示すものであり、本発明
がこれに限定されないことは明らかである。図におい
て、本発明(1)の画像符号方法は、所定ブロックサイ
ズの原画像データよりブロック平均値が分離された誤差
ベクトル<D16>をベクトル量子化する画像符号方法であ
って、ノルムが1に正規化された低次元の複数の形状辞
書ベクトルを格納している形状辞書を備え、前記誤差ベ
クトル<D1 6>を、そのノルムKと、ノルムが1の正規化
誤差ベクトル<D16N>との積に変換するステップと、正
規化誤差ベクトル<D16N>を、複数の低次元ベクトル<B
i>(i=0〜3)に分割すると共に、各低次元ベクトル
<Bi>を、そのノルムgからなる利得係数と、ノルムが
1の形状ベクトル<D4_i>との積に変換するステップ
と、前記形状辞書を使用して各形状ベクトル<D4_i>と
の差の大きさが最小となるような各形状辞書ベクトル<
D'4_i>を抽出するステップとを備えるものである。
【0042】本発明(1)によれば、低次元の各形状ベ
クトル<D4_i>はそれぞれノルムが1に正規化(規格
化)されているため、そのベクトル量子化には予め作成
された所定の形状辞書を使用できる。また、低次元の形
状ベクトル<D4_i>と比較をするための形状辞書サイズ
は小さくできるため、ベクトル量子化処理が極めて高速
になる。また、各形状ベクトル<D4_i>をベクトル量子
化するため、画像データの高圧縮が得られる。
【0043】本発明(2)においては、上記本発明
(1)において、ノルムが1に正規化された低次元の複
数の利得辞書ベクトルを格納している利得辞書を備え、
該利得辞書を使用して各利得係数gi(i=0〜3)の
集合からなる利得ベクトル<AA>との差の大きさが最小
となるような利得辞書ベクトル<AA'>を抽出するステ
ップを備えるものである。
【0044】本発明(2)によれば、全利得係数につい
てもベクトル量子化するため、画像データの更なる高圧
縮が得られる。また、利得ベクトル<AA>のノルムが1
に正規化されているため、そのベクトル量子化には予め
作成された所定の利得辞書を利用できる。また、低次元
の利得ベクトル<AA>と比較するための利得辞書サイズ
は小さくできるため、ベクトル量子化処理が極めて高速
になる。
【0045】本発明(3)においては、上記本発明
(1)において、前記抽出された各形状辞書ベクトル<
D'4_i>(i=0〜3)に各対応する利得係数giを乗算
して高次元の正規化基底ベクトル<D'16N>を合成するス
テップと、該正規化基底ベクトル<D'16N>に乗算するス
カラー係数αであって、誤差ベクトル<D16>との差の大
きさを最小とするもの、を求めるステップとを備えるも
のである。
【0046】本発明(3)によれば、形状辞書から抽出
した各形状辞書ベクトル<D'4_i>に対し夫々に対応する
利得係数giを乗算することで、高次元の正規化基底ベ
クトル<D'16N>を容易に合成できる。また、前記合成さ
れた正規化基底ベクトル<D' 16N>にスカラー係数αを乗
算することで、誤差ベクトル<D16>を最適に近似(ベク
トル量子化)できる。
【0047】本発明(4)においては、上記本発明
(2)において、前記抽出された各形状辞書ベクトル<
D'4_i>(i=0〜3)に対して前記抽出された利得辞
書ベクトル<AA'>の各利得要素g'i(i=0〜3)を
夫々乗算して高次元の正規化基底ベクトル<D'16N>を合
成するステップと、該正規化基底ベクトル<D'16N>に乗
算するスカラー係数αであって、誤差ベクトル<D16>と
の差の大きさを最小とするもの、を求めるステップとを
備えるものである。
【0048】本発明(4)によれば、辞書から抽出した
各形状辞書ベクトル<D'4_i>(i=0〜3)に利得辞書
ベクトル<AA'>の各対応する利得要素g'i(i=0〜
3)を夫々乗算することで、高次元の正規化基底ベクト
ル<D'16N>を容易に合成できる。また、前記合成された
正規化基底ベクトル<D'16N>にスカラー係数αを乗算す
ることで、誤差ベクトル<D16>を最適に近似(ベクトル
量子化)できる。
【0049】本発明(5)においては、上記本発明
(1)又は(2)において、形状辞書ベクトルの所定の
要素値につき予め昇順又は降順にソートされた複数の形
状辞書ベクトルを格納している形状辞書と、前記所定の
要素値を代表する各サンプル値の対応に予め形状辞書の
探索範囲を規定した形状辞書位置テーブルとを備え、形
状ベクトル<D4_i>との差の大きさが最小となるような
形状辞書ベクトル<D'4_i>を、該形状ベクトル<D4_i>
の前記所定の要素値に基づき前記形状辞書位置テーブル
から読み出した探索範囲内で探索・抽出するものであ
る。本発明(5)によれば、形状辞書のベクトル探索範
囲を限定することで、ベクトル量子化処理が更に高速化
される。
【0050】本発明(6)においては、上記本発明
(2)において、利得辞書ベクトルの所定の要素値につ
き予め昇順又は降順にソートされた複数の利得辞書ベク
トルを格納している利得辞書と、前記所定の要素値を代
表する各サンプル値の対応に予め利得辞書の探索範囲を
規定した利得辞書位置テーブルとを備え、利得ベクトル
<AA>との差の大きさが最小となるような利得辞書ベク
トル<AA'>を、該利得ベクトル<AA>の前記所定の要
素値に基づき前記利得辞書位置テーブルから読み出した
探索範囲内で探索・抽出するものである。本発明(6)
によれば、利得辞書のベクトル探索範囲を限定すること
で、ベクトル量子化処理が更に高速化される。
【0051】本発明(7)においては、上記本発明
(2),(4)又は(6)において、異なる辞書サイズ
の形状辞書と異なる辞書サイズの利得辞書との任意組み
合わせからなる複数の辞書セットを備え、誤差ベクトル
<D16>に対する要求近似利得に応じて複数の辞書セット
を切換えるステップを備える。本発明(7)によれば、
誤差ベクトル<D16>に対する要求近似利得に応じて、必
要最小限サイズの辞書セットを選択できるため、画像デ
ータの高圧縮が得られる。
【0052】本発明(8)においては、上記本発明
(3)又は(4)において、誤差ベクトル<D16>を近似
するための2以上の正規化基底ベクトル<D'16N>を使用
する場合は、新たに合成された正規化基底ベクトル<D'
16N>をそれ以前に直交化された各直交基底ベクトルに直
交化するステップを備えるものである。本発明(8)に
よれば、新たに合成された正規化基底ベクトル<D'16N>
をそれ以前の各直交基底ベクトルに直交化するため、誤
差ベクトル<D16>の近似利得が向上する。
【0053】本発明(9)においては、上記本発明
(3)又は(4)において、合成した正規化基底ベクト
ル<D'16N>からベクトル要素の平均値を除去して後、得
られたベクトルのノルムを1に正規化するステップを備
えるものである。本発明(9)によれば、合成した正規
化基底ベクトル<D'16N>からベクトル要素の平均値を除
去するため、DC(ブロック平均値)分離された誤差ベ
クトル<D16>をより適正に近似できる。
【0054】また、本発明(10)の画像復号方法は、
上記本発明(2)に記載の方法により符号化された符号
情報から誤差ベクトル<D16>を近似した近似誤差ベクト
ル<D'16>を再生する画像復号方法であって、本発明
(2)に記載と同一の形状辞書及び利得辞書を備え、符
号情報から復号した各インデクス情報に基づき、形状辞
書から抽出した各形状辞書ベクトル<D'4_i>に対し利得
辞書から抽出した利得辞書ベクトル<AA'>の各利得要
素値を夫々乗算して高次元の正規化基底ベクトル<D'
16N>を合成するステップと、前記合成した正規化基底ベ
クトル<D'16N>に対し別途復号したスカラー係数αを乗
算して近似誤差ベクトル<D'16>を生成するステップと
を備えるものである。本発明(10)によれば、低次元
の形状辞書ベクトルや利得辞書ベクトルを格納するため
の辞書サイズは小さくできるので、復号処理をコンパク
トに構成できる。
【0055】また、本発明(11)の画像符号装置は、
所定ブロックサイズの原画像データよりブロック平均値
が分離された誤差ベクトル<D16>をベクトル量子化する
画像符号装置において、ノルムが1に正規化された複数
の低次元の形状辞書ベクトルを格納している形状辞書
と、ノルムが1に正規化された複数の低次元の利得辞書
ベクトルを格納している利得辞書と、誤差ベクトル<D
16>を、そのノルムKと、ノルムが1の正規化誤差ベク
トル<D16N>との積に変換し、該正規化誤差ベクトル<D
16N>を複数の低次元ベクトル<Bi>(i=0〜3)に分
割すると共に、各低次元ベクトルを、そのノルムgから
なる利得係数と、ノルムが1の形状ベクトル<D4_i>
(i=0〜3)との積に変換する変換手段と、各形状ベ
クトル<D4_i>と、全利得係数を集めて生成した利得ベ
クトル<AA>とを形状辞書及び利得辞書を使用してベク
トル量子化する量子化手段とを備えるものである。
【0056】また、本発明(12)の画像復号装置は、
上記本発明(11)に記載の画像符号装置により符号化
された符号情報から誤差ベクトル<D16>を近似した近似
誤差ベクトル<D'16>を再生する画像復号装置におい
て、ノルムが1に正規化された複数の低次元の形状辞書
ベクトルを格納している形状辞書と、ノルムが1に正規
化された複数の低次元の利得辞書ベクトルを格納してい
る利得辞書と、符号情報から復号した各インデクス情報
に基づき、形状辞書から抽出した各形状辞書ベクトル<
D'4_i>(i=0〜3)に対し利得辞書から抽出した利
得辞書ベクトル<AA'>の各利得要素値を夫々乗算して
高次元の正規化基底ベクトル<D'16N>を合成する合成手
段と、前記合成した正規化基底ベクトル<D'16N>に対し
別途復号したスカラー係数αを乗算して近似誤差ベクト
ル<D'16>を生成する生成手段とを備えるものである。
【0057】また、本発明(13)のプログラムは、上
記本発明(1)〜(9)の何れか1つに記載の画像符号
方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ実
行可能なプログラムである。
【0058】また、本発明(14)の記録媒体は、上記
本発明(1)〜(9)の何れか1つに記載の画像符号方
法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録
したコンピュータ読取可能な記録媒体である。
【0059】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に従って本発明に
好適なる複数の実施の形態を詳細に説明する。なお、全
図を通して同一符号は同一又は相当部分を示すものとす
る。
【0060】図2は第1の実施の形態による画像符号装
置のブロック図で、符号対象の誤差ベクトル<DJ>を予
め作成された所定の辞書ベクトルを使用してベクトル量
子化する場合を示している。図において、51は予め作
成された辞書ベクトルを格納している辞書、52aは形
状辞書ベクトルを格納している形状辞書(SG)、53
aは利得辞書ベクトルを格納している利得辞書(A
G)、61は入力の誤差ベクトル<DJ>を辞書51の各
辞書ベクトルを使用してベクトル量子化するベクトル量
子化部である。その他の構成については、上記図22で
述べたものと同様でよい。但し、図2の構成では、予め
作成された固定の辞書51を使用するために、図22の
DCネスト生成部16,DCネスト17及びDCネスト
17から基底候補ブロックをダウンサンプルするための
構成20〜23が削除されている。
【0061】図3は第1の実施の形態による画像符号
(メイン)処理のフローチャートで、図2の辞書51を
使用した場合の画像符号処理を示している。なお、上記
図23と同様の処理には同一ステップ番号を付して説明
を省略する。この図3では、予め作成された固定の辞書
51を使用するために、ステップS5のDCネスト作成
処理が削除されている。また、従来の残差ベクトル<dJ
>に相当するものを誤差ベクトル<DJ>と表記し、また従
来の基底数カウンタkに相当するものを基底数カウンタ
nと表記する。
【0062】そして、ステップS6では画像ブロックの
インデクスカウンタJ=0、最大基底数N*=2と初期
化する。ステップS7ではターゲットブロック〈RJ
から対応する復号DC値DCJを分離して残差ベクトル
〈DJ〉を求め、かつ基底数カウンタn=0に初期化す
る。ステップS8ではn>N*か否かを判別し、n>N*
の場合は、これ以上誤差ベクトル〈DJ〉をベクトル量
子化近似しても符号圧縮のメリットが少ないので、ステ
ップS18に進み、基底数「3」及びターゲットブロッ
ク〈RJ〉の各画素値そのものを符号出力する。またn
>N*でない場合はステップS9で誤差ベクトルの2乗
ノルム‖DJ2>Z(許容誤差)か否かを判別し、‖D
J2>Zの場合はステップS10で基底数カウンタnに
+1する。ステップS11では後述のベクトル量子化処
理により誤差ベクトル〈DJ〉を近似するための正規化
基底ベクトル<D'16N>とスカラー係数αの組を求める。
ステップS12ではその時点の誤差ベクトル〈DJ〉か
ら上記求めた近似誤差ベクトル<D'16>(=α<D'
16N>)を差し引いて誤差ベクトル〈DJ〉を更新し、ス
テップS8に戻る。また、上記ステップS9の判別で‖
J2>Zでない場合は、ステップS14に進み、基底
数「n」、スカラー係数αi(i=1〜n)、辞書51
の各辞書ベクトルを参照するためのインデクス番号を夫
々符号出力する。
【0063】図4は第1の実施の形態によるベクトル量
子化処理のフローチャート、図5,図6は第1の実施の
形態によるベクトル量子化処理を説明する図(1),
(2)である。図4において、ステップS22〜S26
では入力の16次元誤差ベクトル<D16>を1つの4次元
利得ベクトル<AA>と、夫々にノルムが1に正規化され
た4つの4次元形状ベクトル<D4_i>(i=0〜3)と
に分解する。即ち、まずステップS22では誤差ベクト
ル<D16>を、そのノルムからなる乗算係数Kと、ノルム
が1の16次元正規化誤差ベクトル<D16N>との積の形
で表す。図5(A)にその数値例を示す。
【0064】
【数12】
【0065】ステップS23では16次元正規化誤差ベ
クトル<D16N>のベクトル要素を4個づつ順にまとめ
て、4個の4次元サブベクトル<Bi>(i=0〜3)に
分解する。図5(B)にその数値例を示す。
【0066】
【数13】
【0067】なお、低次元サブベクトル<Bi>への分割
の仕方については図示のものに限定されない。ステップ
S24では各4次元ベクトル<Bi>(i=0〜3)を、
夫々のノルムからなる利得係数gi(i=0〜3)と、
ノルムが1の4次元形状ベクトル<D4_i>(i=0〜
3)との積の形で表す。図5(B)にその数値例を示
す。
【0068】
【数14】
【0069】なお、図5(B)の右欄に各4次元形状ベ
クトル<D4_i>のノルムの計算結果を確認の意味で示し
ている。ステップS25では誤差ベクトル<D16>は次の
様に表される。
【0070】
【数15】
【0071】ステップS26では4個の利得係数g
i(i=0〜3)をまとめて、4次元利得ベクトル<AA
>を生成する。図5(C)にその数値例を示す。
【0072】
【数16】
【0073】ここで、ノルム‖D16N‖=1より、ノル
ム‖AA‖=1である。かくして、入力の誤差ベクトル
<D16>は、固定の形状辞書52aと比較をするための4
つの4次元正規化形状ベクトル<D4_i>(i=0〜3)
と、同じく固定の利得辞書53aと比較をするための1
つの4次元正規化利得ベクトル<AA>とに分解された。
【0074】次に上記4個の形状ベクトル<D4_i>を形
状辞書52aを使用してベクトル量子化する。図7
(A)に一例の形状辞書ベクトル<SG>を示す。但し、
辞書サイズM1=16としている。各ベクトル番号j=
0〜15の対応に4つのベクトル要素1〜要素4が配列
しており、各要素は各形状辞書ベクトル<SG(j)>の
ノルムが1となるように正規化されている。図の右欄に
ノルムの計算結果を確認の意味で示す。図4に戻り、ス
テップS27では、4個の形状ベクトル<D4_i>(i=
0〜3)を形状辞書ベクトル<SG(j)>によりベクト
ル量子化する。
【0075】
【数17】
【0076】ここで、演算(arg min)0≦j<M1
(j)は、jの値を0以上、M1未満とした時に、関数
値F(j)=‖D4_j−SG[j]‖2が最小となるような
ベクトル番号jの値を返す処理を表す。
【0077】図6(A)に第1の形状ベクトル<D4_0>
についての処理例を具体的に示す。形状辞書のベクトル
番号j=0〜15につき、形状ベクトル<D4_0>と形状
辞書ベクトルSG(j)との間で差{<D4_0>−SG
(j)}をとり、得られた差ベクトルのノルムが最小と
なるようなベクトル番号jの値を返す。
【0078】図6(B)に各差ベクトルのノルムのグラ
フ図を示す。この例では、j=5で差ベクトルのノルム
が最小となっており、よってベクトル番号「5」を返
す。残りの第2〜第4の各形状ベクトル<D4_1>〜<D
4_3>についても同様に処理し、各対応するベクトル番号
「0」,「11」,「11」を返す。
【0079】次に、上記得られた利得ベクトル<AA>を
利得辞書53aを使用してベクトル量子化する。図7
(B)に一例の利得辞書ベクトル<AG>を示す。但し、
辞書サイズM2=16としている。各ベクトル番号j=
0〜15の対応に4つのベクトル要素1〜要素4が配列
しており、これらは各利得辞書ベクトル<AG(j)>の
ノルムが1となるように正規化されている。図4に戻
り、ステップS28では、利得ベクトル<AA>を利得辞
書ベクトル<AG(j)>によりベクトル量子化する。
【0080】
【数18】
【0081】ここで、演算(arg min)0≦j<M2
(j)は、jの値を0以上、M2未満とした時に、関数
値F(j)=‖AA−SG[j]‖2が最小となるようなベ
クトル番号jの値を返す処理を表す。図6(C)に利得
差ベクトルのノルムのグラフ図を示す。この例では、j
=8で差ベクトルのノルムが最小となっており、よって
ベクトル番号「8」を返す。
【0082】図4に戻り、ステップS29では上記ベク
トル量子化で抽出された5個の4次元ベクトル<AA'
>,<D'4_i>(i=0〜3)を合成して、16次元の正
規化誤差ベクトル<D16N>を近似するための正規化基底
ベクトル<D'16N>を生成する。図5(D)に正規化基底
ベクトル<D'16N>の数値例を示す。
【0083】
【数19】
【0084】ステップS30では正規化基底ベクトル<
D'16N>を第n番目の基底ベクトル<Un>として配列U
nに保存する。ステップS31では正規化基底ベクトル
<Un>(=<D'16N>)を用いて誤差ベクトル<D16>を近
似するための乗算係数αnを求め、近似誤差ベクトル<
D'16>を生成する。図5(E)に近似誤差ベクトル<D'
1 6>の数値例を示す。
【0085】
【数20】
【0086】ステップS32では上記抽出された4個の
形状辞書ベクトルSG[ki](i=0〜3)と1個の利得
辞書ベクトルAG[k4]に対する各インデクス情報ki
(i=0〜4)をIDXnとして出力する。また、これ
らの情報を元に、図3のステップS12では、現時点の
誤差ベクトル<D16>から近似誤差ベクトル<D'16>を差
し引いて誤差ベクトル<D16>を更新する。図5(F)に
近似後の誤差ベクトル<D16>の数値例を示す。
【0087】
【数21】
【0088】<辞書サイズと近似利得の関係について>
一般に、ベクトル量子化では、誤差ベクトル<d>は辞書
ベクトル<V>を使用して、次式により更新され、PSN
Rが向上する。
【0089】
【数22】
【0090】この時、更新後の新たな誤差ベクトル<d'
>の2乗ノルムは次式により表される。
【0091】
【数23】
【0092】ここで、θ(0°≦θ≦180°)は誤差
ベクトル<d>と辞書ベクトル<V>とのなす角度を表す。
従って、近似後の誤差ベクトル<d'>の2乗ノルムを小
さくするためには、任意の誤差ベクトル<d>に対して出
来るだけ角度θが小さい辞書ベクトル<V>が存在するよ
うに、多種類のベクトルを含む辞書が必要となる。そこ
で、以下に辞書に含まれるベクトル数(即ち、辞書サイ
ズ)と近似利得との関係について多少の考察を行う。
【0093】誤差ベクトル<d>と、辞書ベクトル<V>に
より近似後の誤差ベクトル<d'>の画品質を夫々PE0
PE1とすると、次式で表される。
【0094】
【数24】
【0095】従って、誤差ベクトル<d>を辞書ベクトル
<V>で近似した場合のPSNRの向上(近似利得AG)
は次式で示される。
【0096】
【数25】
【0097】これは、もし辞書ベクトル<V>が角度δ=
2θの間隔で16次元空間を埋め尽くしている場合に
は、任意の符号対象ベクトル<d>との角度がθ以内とな
り、ブロックのPSNRが最低でもAGだけ向上すると
言うことを表している。このことから、以下ではAGを
最低近似利得と表記する。16次元空間の各座標軸に対
して、δ=2θの間隔でベクトルを作成する場合、辞書
ベクトルの総数DicNumは次式で推定される。
【0098】
【数26】
【0099】
【表1】
【0100】表1は角度間隔δに対する辞書ベクトル数
と最低近似利得AGとの関係を示す。表1より、約8d
Bの最低近似利得を得るために必要な辞書サイズは約4
0億個(4.29E+09)という膨大なものになることが分か
る。また、上記数式(25),(26)より、必要な近
似利得AGを与える辞書サイズDicNumは下式によって求
めることが出来る。
【0101】
【数27】
【0102】
【表2】
【0103】表2に数式(27)による近似利得に対す
る辞書サイズ(ベクトル数)を示す。また、辞書サイズ
nに対する最低近似利得AGは下式によって求めること
が出来る。
【0104】
【数28】
【0105】
【表3】
【0106】表3に数式(28)による辞書サイズに対
する最低近似利得AGを示す。表3より、PCT/JP99/029
62(WO 00/02393)における辞書の近似利得は2dB程
度であることが推定されるが、最低近似利得AGの実測
値は1.5dBであったので、上記数式(25)〜(2
8)の推定値は妥当であるといえる。次に、数式(2
8)を4次元ベクトル用に変更すると、次式となる。
【0107】
【数29】
【0108】
【表4】
【0109】表4に4次元ベクトルにおける辞書サイズ
に対する近似利得AGを示す。表4によると、PCT/JP99
/02962(WO 00/02393)の辞書と同等の近似利得を得る
ためには、辞書サイズが8〜256程度の非常に小さな
辞書で間に合うことが期待できる。
【0110】<辞書の作成>図8に実施の形態による辞
書ベクトルの作成イメージを示す。多数の画像データを
用いて2乗ノルムが16を越えるような誤差ベクトル<
D>を収集して集合V 0となし、これに基づき形状辞書S
Gと利得辞書AGを作成した。
【0111】<形状辞書の作成>図8(A)に形状辞書
の作成イメージを示す。形状辞書のトレーニングベクト
ル数を4倍に増加するために、次の手順で形状辞書を作
成した。 (1)誤差ベクトル集合V0のベクトル要素を逆順に並
べ替えて誤差ベクトル集合V1を作成 (2)誤差ベクトル集合V0のベクトル要素の正負符号
を反転して誤差ベクトル集合V2を作成 (3)誤差ベクトル集合V1のベクトル要素の正負符号
を反転して誤差ベクトル集合V3を作成 (4)4つの誤差ベクトル集合Vi(i=0〜3)から
ベクトル要素を4個づつ取り出して4次元ベクトルと
し、ノルムを1に正規化し、約650万個のトレーニン
グベクトルを収集 (5)LBGアルゴリズム(末尾の文献1を参照)によ
り、辞書サイズが16,64,128及び256の各形
状辞書を作成 (6)辞書の名称を辞書サイズに応じてS16,S6
4,S128及びS256とする。
【0112】<利得辞書の作成>図8(B)に実施の形
態による利得辞書の作成イメージを示す。利得辞書のト
レーニングベクトル数を2倍に増加するために、次の手
順で利得辞書を作成した。 (1)誤差ベクトル集合V0のベクトル要素を逆順に並
べ替えて、誤差ベクトル集合V1を作成 (2)2つの誤差ベクトル集合Vi(i=0,1)から
16次元ベクトルを取り出してノルムを1に正規化し、
4要素毎に4次元ベクトルとみなして4個のノルムから
なる4次元ベクトルを生成し、約80万個のトレーニン
グベクトルを収集 (3)LBGアルゴリズムによりサイズが16,64,
128及び256の利得辞書を作成 (4)辞書の名称を辞書サイズに応じてA16,A6
4,A128及びA256とする。
【0113】<辞書の組合せによる近似利得の測定>形
状辞書と利得辞書の辞書サイズは独立に選択できるの
で、各種辞書の組合せにおける近似利得を測定した。
【0114】
【表5】
【0115】表5に辞書の組合せと近似利得の関係を示
す。表5において、近似利得の測定は、まず16次元誤
差ベクトル<D16>から4個の形状ベクトルと1個の利得
ベクトルを生成し、これらを表5の左欄の形状辞書Sと
利得辞書Aとの組み合わせを用いてベクトル量子化を行
い、16次元誤差ベクトル<D16>を近似するための5個
の4次元辞書ベクトルを抽出する。抽出した5個の4次
元辞書ベクトルから16次元基底ベクトル(D'16N)を
合成し、更に誤差ベクトル<D16>に対するスカラー係数
αを計算して近似を行う。この時の近似後の誤差ベクト
ルのノルムと近似前の誤差ベクトルのノルムとの比によ
り近似利得を測定した。この時、表5には第1基底と第
2基底に対する夫々の最低近似利得、平均近似利得及び
最高近似利得を測定し、また2個の基底による合計近似
利得も合わせて表示してある。
【0116】以後の実験のために、多数の組合せの中か
ら、表5の右欄の4種類の辞書セットDSi(i=0〜
3)を選択した。辞書セットは、形状辞書サイズ毎に、
できるだけ小さな利得辞書で近似利得が適度に高くなる
組合せとした。また、テスト画像としては、財団法人日
本規格協会が発行している高精細カラーデジタル標準画
像データ(ISO/JIS−SCID,JISX920
1.1995準拠)に含まれるN1A,N2A,N5A
及びN7Aを用いた。画像サイズは全て1536×19
20である。
【0117】表5により、4次元ベクトル用の辞書で
は、辞書サイズが16以上であればPCT/JP99/02962(WO
00/02393)と同等以上の近似利得が得られることが確
認できた。辞書S256−A256の組合せによる辞書
セットDS3を使用する場合には、4次元ベクトルの比
較回数は高々256×5=1280回であり、16次元
ベクトルを比較する演算負荷に換算すると1280/4
=320回分に相当する。これにより合成されるベクト
ルの種類は2565=1012(1兆)種類という膨大な
数になるから、実質的には辞書サイズが1兆であるよう
な辞書を使用して、わずか320回のベクトル比較で最
適なベクトルが探索できることを意味している。
【0118】<要求近似利得による辞書セットの切換技
術>上記表5によれば、4個の辞書セットDS0〜DS3
は形状辞書Sのサイズが大きい程、近似利得が高くなっ
ている。しかし、辞書サイズが大きくなると辞書ベクト
ルのインデクスに使用する符号量が増加する。ここで、
1基底当たりに要する符号量は、辞書セットDS0〜D
3に応じて例えば以下の様になる。
【0119】DS0の場合:4×4+6=22ビット DS1の場合:4×6+6=30ビット DS2の場合:4×7+7=35ビット DS3の場合:4×8+8=40ビット そこで、誤差ベクトル<D16>に対する要求近似利得が
小さい場合には、サイズができるだけ小さい辞書セット
を用いてベクトル量子化を行う。
【0120】図9は第2の実施の形態による画像符号装
置のブロック図で、誤差ベクトル〈D16〉に対する要求
近似利得Zに応じて辞書セットの使用を切換可能な場合
を示している。図において、この辞書51は、形状辞書
S16〜S256を有する形状辞書52bと、利得辞書
A64〜A256を有する利得辞書53bとを備え、こ
れらを組み合わせることで辞書セットDS0〜DS3を実
現する。要求近似利得Zに応じて各辞書セットDS0
DS3を最適に切換えるためには、例えば3つの閾値T
i(i=0〜3)を用い、辞書セットDS0〜DS3
切換えを行う。
【0121】図10は第2の実施の形態によるベクトル
量子化処理を説明する図で、図10(A)は辞書セット
を切換えるための最適な閾値を探索する処理を示してい
る。なお、この処理は符号処理を調整するために実行さ
れるものであり、調整が完了した後は、画像の符号処理
が直接実行され、閾値の決定処理は実行されない。ステ
ップS511では閾値TH0〜TH2に初期値を設定す
る。この初期値は、例えば表5の合計近似利得における
平均利得の約85%の値とする。即ち、TH0=11、
TH1=17及びTH2=21と設定する。次に、最大基
底数N*を2及び3として、以下の手順により最適な閾
値を探索した。
【0122】ステップS512では閾値TH1,TH2
初期値に固定し、閾値TH0を1dBから16dBまで
1dB間隔で変更しながらテスト画像を符号化し、PS
NRとデータ量を測定して、最適と思われる閾値の周辺
をさらに細かく調査することで、TH0=4.75を得
た。ステップS513ではTH0=4.75とTH2を初
期値に固定して、閾値TH1を5dBから20dBまで
1dB間隔で変更しながらテスト画像を符号化し、PS
NRとデータ量を測定して、最適と思われる閾値TH1
=8.0を得た。ステップS514ではTH0=4.7
5とTH1=8.0を固定して、閾値TH2を9dBから
25dBまで1dB間隔で変更しながらテスト画像を符
号化し、PSNRとデータ量を測定して、最適と思われ
る閾値TH2=13.0を得た。以上により、選択され
た4個の辞書セットDS0〜DS3を使用する場合の本実
施例においては、辞書の切換えの閾値は、例えばTH0
=4.75、TH1=8.0及びTH2=13.0と設定
する。
【0123】上記選択された4個の辞書セットDS0
DS3は、多数のトレーニングベクトルから作成された
ものであるから、「大数の法則」によって、誤差ベクト
ルに対する近似利得が正規分布に従うものと考えられ
る。従って、表5の第1基底に対する最低近似利得AG
minと平均近似利得AGavから、近似利得の標準偏差σ
はおおむねσ≒(AGav−AGmin)/4と計算され
る。この場合に、AG90=AGav−1.6σとすると、
近似利得がAG90以上となる確率は約90%になると考
えられる。
【0124】表5より、辞書セットDS0とDS1のAG
90はそれぞれ5.29>TH0及び8.31>TH1とな
るので、辞書セットDS0とDS1が選択された場合に
は、90%以上の誤差ベクトルが1個の基底ベクトルに
よって許容誤差以内に近似されると思われる。また、D
2が選択された場合には、AGav≒TH2なので、50
%以上の誤差ベクトルが1個の基底ベクトルで近似され
ると思われる。更に、DS3が選択された場合でも、2
個の基底ベクトルによる合計近似利得が27.86dB
なので、ほとんどの誤差ベクトルは2個以内の基底ベク
トルで近似されると思われる。よって、本第2の実施の
形態では、最大基底数N*=2として符号化を行う。
【0125】図10(B)は第2の実施の形態によるベ
クトル量子化処理の一部フローチャートを示し、上記図
4(第1の実施の形態)のベクトル量子化処理に加える
変更部分を示している。以下、4組の辞書セットDS0
〜DS3を使用する場合を例として説明する。上記図4
のステップS21の処理を次のように変更する。ここ
で、許容誤差Zに対する目標画品質をPTとする。ステ
ップS211では後述の辞書セット決定処理を既に行っ
た旨を表す辞書決定フラグJKF=1か否かを判別す
る。最初はフラグJKF=0に初期化されているので、
ステップS212に進み、誤差ベクトル<D16>の画品質
をPE、目標画品質をPTとする場合の要求近似利得P
R=PT−PEを計算する。ステップS213では要求
近似利得PRを閾値TH0〜TH2と比較して、使用する
辞書セットを決定する。
【0126】即ち、ステップS2131の判別でPR<
TH0ならステップS2132で辞書セットDS0を選択
し、またステップS2133の判別でTH0≦PR≦T
1なら、ステップS2134で辞書セットDS1を選択
し、またステップS2135の判別でTH1≦PR<T
2ならステップS2136で辞書セットDS2を選択
し、そして、上記以外の場合はステップS2137で辞
書セットDS3を選択する。こうして選択された形状辞
書SGの辞書サイズをM1、利得辞書AGの辞書サイズ
をM2とする。従って、誤差ベクトル<D16>を要求近似
利得PRに応じた最適(最小)の辞書サイズで高速に符
号化できる。
【0127】<候補ベクトル探索数の削減技術>上記表
5の辞書サイズは、PCT/JP99/02962(WO 00/02393)に
おける辞書サイズよりもかなり小いため、このままでも
ベクトル探索処理は大幅に高速化される。しかし、近似
利得を損なわない範囲内であれば、辞書ベクトルの探索
範囲を限定することで、符号処理を更に高速化できる余
地がある。以下、これを説明する。
【0128】形状辞書ベクトルは、ノルムが1に正規化
されているため、ベクトル要素の値域は「―1.0」〜
「1.0」の範囲内にある。また利得辞書ベクトルも、
ノルムが1であるため、ベクトル要素の値域は「0.
0」〜「1.0」の範囲内にある。なお、上記図7
(A),(B)の各辞書ベクトルSG,AGは、この本
第3の実施の形態にも適用可能なものとして、予め先頭
のベクトル要素(要素1)を降順にソートし、これに昇順
のインデクス番号を付したものを示している。但し、上
記第1,第2の実施の形態で使用する各辞書ベクトルS
G,AGについては、そのベクトル要素がソートされて
いないものを使用しても良いことは明らかである。
【0129】図11は第3の実施の形態による画像符号
装置のブロック図で、ベクトル量子化時の辞書ベクトル
探索数を削減できる場合を示している。 図において、
この形状辞書52aの第1要素は図7(A)に示す如く
降順にソートされており、これに対応して形状辞書位置
テーブル54aが設けられている。またこの利得辞書5
3aの第1要素は図7(B)に示す如く降順にソートさ
れており、これに対応して利得辞書位置テーブル55a
が設けられている。
【0130】図12,図13は第3の実施の形態による
ベクトル量子化処理を説明する図(1)、(2)で、図
12は辞書ベクトルの探索範囲を決めるための位置テー
ブル作成処理のフローチャートを示している。処理の概
要を言うと、辞書ベクトルの例えば先頭要素を降順にソ
ートし、該先頭要素の値につき0.1 の間隔で近似利
得を損なわない候補ベクトルの範囲を調査し、候補ベク
トルの範囲を保持するための位置テーブルを作成した。
以下、形状辞書(利得辞書も同様)に対する位置テーブ
ルの作成例を具体的に説明する。
【0131】ステップS51では形状辞書を4次元ベク
トルの先頭要素の降順にソートする。ステップS52で
はレジスタE=21(形状辞書の位置テーブルサイズ)と
する。ステップS53では配列要素数がE個である配列
STと配列EDとを作成する。ステップS54では探索
距離をwとし、v=1.0とする。ステップS55では
カウンタn=0とする。
【0132】ステップS56ではソート後の形状辞書の
先頭から、ベクトルの先頭要素の値がmin(1.0,
v+w)未満となるベクトル番号を探索し、配列ST
[n]に格納する。ここで、min(1.0,v+w)は
値1.0と値(v+w)のうちの小さい方の値を選択す
ることを表す。ステップS57では辞書の先頭から、ベ
クトルの先頭要素の値がmax(−1.0,v−w)未
満となるベクトル番号を探索し、配列ED[n]に格納す
る。ここで、max(−1.0,v−w)は値−1.0
と値(v−w)のうちの大きい方の値を選択することを
表す。ステップS58ではv=v−0.1及びn=n+
1とする。ステップS59ではn=Eか否かを判別し、
n=Eなら処理を終了する。またn<Eの場合はステッ
プS56に戻る。なお、図示しないが、利得辞書につい
ても上記同様にして位置テーブルを作成する。但し、ス
テップS52ではE=11(利得辞書の位置テーブルサ
イズ)とする。
【0133】上記の作成方法で、探索距離wは0.1〜
0.9の範囲を0.05の間隔で変更しながら位置テー
ブルを作成し、位置テーブルに従ってテスト画像を符号
化し、近似利得が損なわれない最小の探索距離を調査
し、表6の結果を得た。
【0134】
【表6】
【0135】表6は辞書毎の探索距離を示す。
【0136】
【表7】
【0137】表7は、図12のステップS54におい
て、形状辞書のサイズに応じた表6の探索距離wによっ
て作成した形状辞書の位置テーブルを示す。形状ベクト
ル<D4 _i>の先頭要素の値をv0とすると、該v0に対
応する位置テーブルのインデクスj=10−(int)
{(v0+0.05)・10}の関係にある。ここで、
演算(int)は整数化(小数点以下切捨)を表す。候
補ベクトルの探索範囲は、各サイズの形状辞書S16〜
S256につき夫々に、開始ST[j]から終了ED[j]
未満、と規定されている。
【0138】次に、表7の位置テーブル54aを参照し
て、図5(B)の形状ベクトル<D4 _i>(i=0〜3)
の各探索範囲が例えば形状辞書S16上でどの様に決定
されるかを具体的に説明する。まず、形状ベクトル<D
4_0>の先頭要素=0.5により、位置テーブル54aの
インデクスj=10−(int){(0.5+0.0
5)・10}=5となり、よって、表7の第5行より、
候補ベクトルの探索範囲は形状辞書S16上の0〜(1
2−1)番目となる。従って、候補ベクトルの探索数は
16個から12個に削減される。
【0139】また、形状ベクトル<D4_1>の先頭要素=
0.38により、位置テーブル54aのインデクスj=
10−(int){(0.38+0.05)・10}=
6となり、よって、表7の第6行より、候補ベクトルの
探索範囲は形状辞書S16上の0〜(12−1)番目と
なる。また、形状ベクトル<D4_2>の先頭要素=−0.
38により、位置テーブル54aのインデクスj=10
−(int){(−0.38+0.05)・10}=1
3となり、よって、表7の第13行より、候補ベクトル
の探索範囲は形状辞書S16上の4〜(16−1)番目
となる。そして、形状ベクトル<D4_3>の先頭要素=−
0.76により、位置テーブルのインデクスj=10−
(int){(−0.76+0.05)・10}=17
となり、よって、表7の第17行より、候補ベクトルの
探索範囲は形状辞書S16上の7〜(16−1)番目と
なる。他の形状辞書S64,S128,S256を使用
した場合も同様に参照できる。
【0140】表7から、形状辞書S16(辞書サイズ=
16)に対する候補ベクトル探索数は平均で63.7%
(≒10/16)に削減される。一方、形状辞書S25
6(辞書サイズ=256)に対する候補ベクトル探索数
は平均で41.9%(≒107/256)に削減される
が、削減の効果は、辞書サイズが大きくなるほど大き
い。
【0141】
【表8】
【0142】表8は、図12のステップS54におい
て、利得辞書のサイズに応じた表6の探索距離wによっ
て作成した利得辞書の位置テーブルを示す。図5(C)
の利得ベクトル<AA>についても、表8の位置テーブル
55aを参照することで、候補ベクトルの探索数を削減
できる。利得辞書についても候補ベクトル探索数削減の
効果は、辞書サイズが大きくなるほど大きい。
【0143】表7,表8の平均候補数(%)によると、
平均の候補ベクトル探索数は辞書サイズの半分程度に削
減されており、ベクトル探索が高速化されることがわか
る。よって、候補ベクトル探索数の削減技術を用いるこ
とで、画像符号処理が更に高速化される。
【0144】図13は第3の実施の形態によるベクトル
量子化処理の一部フローチャートを示し、上記図4(第
1の実施の形態)のベクトル量子化処理に加える変更部
分を示している。このステップS27では4個の形状ベ
クトル<D4_i>(i=0〜3)を形状辞書SGにより
以下のように量子化する。
【0145】
【数30】
【0146】ここで、D4_i[0](i=0〜3)は形状
ベクトル<D4_i>の最初のベクトル要素を表し、p
i(i=0〜3)は形状辞書位置テーブル54aのイン
デクス番号を表す。またSTs[pi],EDs[pi]は位
置テーブル54aのpi行から読み出した形状辞書SG
の探索範囲(探索開始,終了位置)を表す。また、この
ステップS28では利得ベクトル<AA>を利得辞書A
Gにより以下のように量子化する。
【0147】
【数31】
【0148】ここで、AA[0]は利得ベクトル<AA>の
最初のベクトル要素を表し、pは利得辞書位置テーブル
55aのインデクス番号を表す。またSTa[p],ED
a[p]は位置テーブル55aのp行から読み出した利得
辞書AGの探索範囲(探索開始,終了位置)を表す。
【0149】図14は第4の実施の形態による画像符号
装置のブロック図で、許容誤差に応じて辞書セットDS
0〜DS3を選択可能な辞書52b,53bと、これらに
対応して設けた位置テーブル54b,55bとを備える
場合を示している。
【0150】図15は第4の実施の形態によるベクトル
量子化処理を説明する図で、上記図4(第1の実施の形
態)のベクトル量子化処理に加える変更部分を示してい
る。このステップS21に加えた変更は、許容誤差に応
じて辞書セットDS0〜DS3の選択を可能にするもので
あり、上記図10(B)で述べたものと同様でよい。ま
たこのステップS27,S28に加えた変更は、候補ベ
クトルの探索数を削減するものであり、上記図13(第
3の実施の形態)で述べたものと同様でよい。
【0151】<基底ベクトルの直交化に関する技術>ベ
クトル量子化では誤差ベクトル<d>を辞書ベクトルで近
似し、許容誤差Z未満となるまでに複数の合成(基底)ベ
クトルを使用する場合がある。このとき、新たに合成さ
れた基底ベクトルをそれ以前の基底ベクトルに直交化す
ると、以下に示す如く誤差ベクトル<d>に対する近似誤
差が減少するので、近似利得が向上する。今、誤差ベク
トル<d>をベクトル量子化して得られた第1基底ベクト
ルを<V1>とし、2乗ノルム‖V12=1かつ内積(d
・V1)≠0とする。この時、第1基底ベクトル<V1>に
よる近似後の誤差ベクトル<d1>は次式となり、<V1>と
直交する。
【0152】
【数32】
【0153】2乗ノルム‖d12>Zの場合は、第2基
底ベクトル<V2>を作成して誤差ベクトル<d1>を近似す
る。第2基底ベクトル<V2>による近似後の誤差ベクト
ル<d2>は次式で表される。
【0154】
【数33】
【0155】ここで、θ2はベクトル<d1>と<V2>との
なす角度を表す。一方、<V2>を<V1>に直交化した場合
の第2基底ベクトル<V'2>は次式で表される。
【0156】
【数34】
【0157】ここで、α2はベクトル<V1>と<V2>との
なす角度を表す。<d1>を<V'2>で近似した後の誤差ベ
クトルは<d'2>は次式で表される。
【0158】
【数35】
【0159】従って、直交化していない<V2>で近似す
る場合よりも直交化した<V'2>で近似する方が誤差が小
さくなるので、基底ベクトルの直交化によって近似利得
が向上する。
【0160】図16は第5の実施の形態による画像符号
装置のブロック図で、辞書51から抽出され、かつ合成
された正規化基底ベクトル<D'16N>をそれ以前の各直交
基底ベクトルに直交化する場合を示している。図におい
て、51は第1の実施の形態と同様の辞書、62は適応
的直交化処理部(AOT)、25は係数変換部である。
なお、この基底ベクトルを直交化する技術を上記第2又
は第4の実施の形態による辞書51と組み合わせて用い
ても良いことは明らかである。
【0161】図17は第5の実施の形態によるベクトル
量子化処理を説明する図であり、図17(A)は上記図
4(第1の実施の形態)のベクトル量子化処理に加える
変更部分を示している。このステップS30において、
ステップS301では、辞書から合成された基底ベクト
ル<D'16N>を第n番目の基底として配列Unに保存す
る。ステップS302では基底数カウンタn>1か否か
を判別し、n=1の場合は、ステップS304で配列U
nの基底ベクトル<D'16N>を第1番目の直交基底として
配列Vnに保存する。またn>1の場合は、ステップS
303で配列Unの基底ベクトル<D'16N>をそれ以前の
直交基底V1,…,Vn−1に直交化して後、第n番目
の直交基底として配列Vnに保存する。また、このステ
ップS31では、この時点の誤差ベクトル<D16>を前記
直交化された基底ベクトル<Vn>で近似し、その乗算係
数Kをスカラー係数αnに更新する。
【0162】
【数36】
【0163】そして、このステップS32では4個の形
状辞書ベクトル<D'4_i>と1個の利得辞書ベクトル<A
A'>に各対応するインデクスki(i=0〜4)をイン
デクスIDXnとして出力する。
【0164】図17(B)は第5の実施の形態による画
像符号処理の一部フローチャートであり、上記図3(第
1の実施の形態)の画像符号処理に加える変更部分を示
している。即ち、このステップS11では上記図17
(A)で述べた適応的直交変換処理(AOT)を行う。
また、ステップS9の判別で‖DJ2>Zでない場合は
テップS13に進み、スカラー係数αから展開係数βへ
の変換処理を行う。
【0165】
【数37】
【0166】ステップS14では、基底数「n」、展開
係数βi(i=1〜n)、基底ベクトル<Ui>(i=1
〜n)を生成(合成)するための辞書の各インデクス情報
j(j=0〜4)を符号出力する。
【0167】<合成(基底)ベクトルから各要素の平均
値を分離する技術>ところで、誤差ベクトル<D16>は画
像ブロック<RJ>の各画素値からブロック平均値DCJ
減じて作成したベクトルであるから、該誤差ベクトル<
16>のベクトル要素の平均値はゼロとなる。しかし、
形状辞書52と利得辞書53に含まれる各4次元ベクト
ルではベクトル要素の平均値は必ずしもゼロにはならな
いので、5個のベクトルから合成された正規化基底ベク
トル<D‘16N>もその平均値がゼロにはならない。そこ
で、第6の実施の形態では、合成された基底ベクトル<
D‘16N>からベクトル要素の平均値を減じると共に、得
られたベクトルのノルムを1に正規化して誤差ベクトル
<D16>の近似に用いることとする。
【0168】図18は第6の実施の形態によるベクトル
量子化処理を説明する図で、上記図4(第1の実施の形
態)のベクトル量子化処理に加える変更部分を示してい
る。このステップS29において、ステップS291で
は正規化誤差ベクトル<D16N>を近似するための基底ベ
クトル<D'16N>を合成する。
【0169】
【数38】
【0170】ステップS292では基底ベクトル<D'
16N>の各ベクトル要素から該ベクトル要素の平均値を減
じて基底ベクトル<D'16N>を更新し、得られた基底ベク
トル<D'16N>のノルムを1に正規化する。
【0171】図19は実施の形態による画像復号処理の
フローチャートである。なお、図示しないが、この画像
復号装置(デコーダ)は上記各実施の形態による画像符
号装置と同一の辞書51を備える。ステップS101で
は画像符号データを読み込む。ステップS102では画
像符号装置におけると同様のIDPCM法によりDC値
を解凍(復号)し、DC画像を再生する。ステップS1
04では原画像メモリ45及びDC画像メモリ47に対
するインデクスカウンタJを0に初期化する。
【0172】ステップS105では1ブロック画像分の
符号データを入力する。ステップS106では基底数k
=0か否かを判別する。k=0の場合はステップS11
4で後述する交流成分予測法によりターゲットブロック
〈RJ〉を再生する。
【0173】またk≠0の場合は更にステップS107
で1≦k≦N*(例えばN*=2)か否かを判別し、1≦
k≦N*の場合はステップS112で誤差ベクトル
〈DJ〉を逆量子化する。即ち、符号データにより辞書
51から抽出し、合成した各基底ベクトル〈Uk〉(直
交化しない)に展開係数βkを掛けてこれらを基底数k
個分累積加算し、誤差ベクトル〈DJ〉を再生する。ス
テップS113では得られた誤差ベクトル〈DJ〉に対
応するDC値DCJを加算する。
【0174】また上記ステップS107の判別で1≦k
≦N*でない場合はステップS108でターゲットブロ
ック〈RJ〉の復号データよりターゲットブロック
〈RJ〉を直接再生する。こうして、上記何れかの方法
により4×4画素のターゲットブロック〈RJ〉が再生
される。
【0175】ステップS109ではターゲットブロック
〈RJ〉を再生画像メモリに格納する。ステップS11
0ではカウンタJに+1し、更にステップS111では
J≧M(全画素ブロック数)か否かを判別する。J≧M
でない場合はステップS105に戻り、次のブロック画
像符号データにつき上記同様の復号・再生処理を行う。
以下同様にして進み、やがて、ステップS111の判別
でJ≧Mになると、1画像分の復号処理を終了する。
【0176】図20は実施の形態における交流成分予測
処理のイメージ図で、例えば本件出願人による既提案の
非段階的交流成分予測法を使用できる。復号対象の画像
ブロックSが、図20のように16個の画素からなる
時、注目画像ブロックS及びその上下左右の各画像ブロ
ックのDC値S,U,L,R,Bを用いて注目画像ブロ
ックSの16個の画素値P1〜P16を以下の演算によ
り一気に近似する。
【0177】 P1=S+(2U+2L−2S−B−R)/8 P2=S+(2U−B−R)/8 P5=S+(2L−B−R)/8 P6=S+(2S−B−R)/8 P3=S+(2U−B−L)/8 P4=S+(2U+2R−2S−B−L)/8 P7=S+(2S−B−L)/8 P8=S+(2R−B−L)/8 P9=S+(2L−U−R)/8 P10=S+(2S−U−R)/8 P13=S+(2B+2L−2S−U−R)/8 P14=S+(2B−U−R)/8 P11=S+(2S−U−L)/8 P12=S+(2R−U−L)/8 P15=S+(2B−U−L)/8 P16=S+(2B+2R−2S−U−L)/8 <本発明方式の符号性能>上記第4の実施の形態(辞書
サイズ選択+辞書ベクトル探索範囲の削減)に第5の実
施の形態(基底ベクトルの直交化)を追加した実施例に
おける符号性能を測定した。辞書セットは、DSi(i
=0〜3)の4個を使用した。符号性能比較では、色座
標系としてYUV座標系を用いた。尚、U及びV成分の
4画素平均によるダウンサンプリングを適用し、PCT/JP
99/02962(WO 00/02393)と比較を行うために、Y:
U:V=4:1:1の画素比で符号化実験を行った。ま
た、アップサンプルに関しては、フィルタ等は使用せず
にU,V成分の値を対応する4画素に使用した。
【0178】図21(A)に本発明方式(上記実施例)
に対するPCT/JP99/02962(WO 00/02393)の符号時間の
倍率を示す。本発明方式は、PCT/JP99/02962(WO 00/0
2393)と比較して40倍以上の符号速度であることが確
認された。特に、符号量が多くなる高画質領域において
は60倍程度の速度差に拡大されていることが読み取れ
る。Y:U:V=4:1:1による符号化では、40d
B以上のPSNRを得ることが困難であるので、Y:
U:V=4:4:4による符号化を行い、JPEG方式
との性能を比較した。JPEGにおける輝度及び色差に
関する量子化テーブルは、すべての係数値を16とし、
ハフマン符号帳は画像毎に最適化を行った。
【0179】図21(B)は本発明方式(上記実施例)
とJPEGのBPP対PSNRの比較を示す。本発明方
式は符号量が同じであれば、JPEG方式よりもPSN
Rが高くなり、逆にPSNRが同じであれば、より少な
い符号量となることが分かる。PSNR=40dBの場
合、本発明方式では5.5BPPであるのに対してJP
EGでは8.0BPPとなり、PSNR=42dBの場
合には、本発明方式では6.5BPPに対してJPEG
では10.2BPPとなることが読み取れる。これらの
数値から、本発明方式では、Y:U:V=4:4:4に
よる高画質符号化において、JPEGより約35%少な
い符号量で同等のPSNR(画品質)が得られると云え
る。
【0180】<用語の定義> 「残差ベクトル<D>」:符号化対象のターゲット画像ブ
ロック〈RJ〉からDC値を分離した後のベクトルを表
す。但し、誤差ベクトルとも呼ぶ。
【0181】「誤差ベクトル<D>」:残差ベクトル又は
誤差ベクトル<D>から近似ベクトル<V>を差し引いた後
のベクトルを表す。
【0182】「BPP (Bit Per Pixel)」:1画素
当たりのビット数を表す。例えば入力のカラー画像デー
タR,G,Bは各8ビットであり、24BPPとなる。
【0183】「PSNR (Peak Signal to Noise
Ratio)」:復号画像が元画像に対してどの程度の画品質
であるかを表す。元画像との誤差の平均値errは、次
式で計算される。
【0184】
【数39】
【0185】ここで、M:全画素数 Gi:元画像の画素値 Fi:復号画像の画素値 PSNRは次式で計算され、PSNRの値が大きい程高
画質である。
【0186】
【数40】
【0187】「ノルム‖V‖」:ベクトル<V>の大きさ
を表す。
【0188】
【数41】
【0189】ここで、vi:要素 「2乗ノルム‖V‖2」:ノルムの2乗を表す。
【0190】
【数42】
【0191】「許容誤差Z」:誤差ベクトル<D>をベク
トル<V>で近似する場合に許容できる最大の2乗誤差を
表す。近似誤差ベクトル<E>は次式で求められ、ベクト
ル量子化では‖E‖2<Zとなるまで、複数のベクトル
を使用して近似を行う。
【0192】
【数43】
【0193】但し、‖V‖=1 「目標画品質PT」:許容誤差Zで符号化した場合の目
標画品質を表す。許容誤差Zでは、全画像ブロックの2
乗誤差がZ以内で符号化される。許容誤差の値は16画
素に対する2乗誤差の上限を表すから、1画素に対する
平均誤差値errは、
【0194】
【数44】
【0195】以内となるように符号化され、PSNRは
次式、
【0196】
【数45】
【0197】で表される。
【0198】「誤差ベクトルの画品質PE」:誤差(残
差)ベクトル<D>は画像ブロックの各画素値から画像ブ
ロックの平均値を減じて作成される。仮に、符号化対象
画像ブロックを画像ブロックの平均値だけで近似する場
合は、誤差(残差)ベクトルの2乗ノルムに等しい2乗
誤差‖V‖2が発生する。従って、このときのPSNR
は次式で表される。
【0199】
【数46】
【0200】PEを誤差ベクトルの画品質と表記する。
【0201】「近似利得AG」:誤差ベクトル<D>を最
良の辞書ベクトル<V>で近似する場合に、近似誤差ベク
トルは<E>=<D>−<D・V><V>となる。この時、近似
誤差ベクトル<E>の画品質PEEと誤差ベクトル<D>の
画品質PEDとの差AG=PEE−PED(dB)を近
似利得と表記する。これは、近似により画品質がAGだ
け向上することを表す。
【0202】「要求近似利得PR」:許容誤差Zから計
算される目標画品質PTに対して、誤差ベクトルの画品
質がPEであれば、対象画像ブロックの画品質をPT以
上とするためには、PR=PT−PE(dB)以上の近
似利得が必要である。このPRを要求近似利得と表記す
る。PRは誤差ベクトル毎に変化する。
【0203】文献1:YOSEPH LINDE, ANDRES BUZO,
ROBERT M. GRAY,“An algorithm for vector
quantizer design”,IEEE TRANSACTIONS ON COMMUN
ICATIONS, VOL. COM-28, NO.1,JANUARY pp.84-95,
1980。
【0204】なお、上記実施の形態では、辞書サイズが
16,64,128,256である場合を述べたが、こ
れに限らない。辞書サイズは他の任意サイズ(4,8,
32,512,1024等)であっても良い。
【0205】また、上記実施の形態では符号化する(4
×4)画素ブロックの対応に生成された16次元正規化
誤差ベクトル<D16N>を、4行分の各要素からなる各4
次元ベクトルBi(i=0〜3)に分割する場合を述べ
たが、これに限らない。例えば、4列分の各要素からな
る各4次元ベクトルに分割しても良いし、又は(2×
2)の各ブロック要素からなる各4次元ベクトルに分割
しても良い。また、符号対象の画素ブロックサイズが
(4×4)に限定されないことは明らかである。
【0206】また、上記実施の形態では形状辞書と利得
辞書とを組み合わせた4種類の辞書セットDS0〜DS3
を使用する場合を述べたが、これに限らない。辞書セッ
トの個数及び組み合わせは他にも任意に選択可能であ
る。
【0207】また、上記実施の形態では本発明(1),
(3)及び(5)に対応する構成(即ち、利得ベクトル
<AA>をベクトル量子化しない構成)について具体的に
示していないが、上記各実施の形態の説明から自明であ
る。
【0208】また、上記第3,第4の実施の形態では、
候補ベクトルの探索範囲を限定するためにベクトルの先
頭要素の値にのみ着目する場合を述べたが、これに限ら
ない。ベクトルの先頭要素の値に加えて、他のベクトル
要素の要素値にも着目することにより、候補ベクトルの
探索数を更に削減することが可能である。またベクトル
の任意要素の値にのみ着目しても良い。
【0209】また、上記本発明に好適なる複数の実施の
形態を述べたが、本発明思想を逸脱しない範囲内で各部
の構成、制御、処理及びこれらの組み合わせの様々な変
更が行えることは言うまでも無い。
【0210】
【発明の効果】以上述べた如く本発明によれば、ベクト
ル量子化処理の高速化によって画像符号化への適用分野
が更に拡大され、広くIT社会に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明する図である。
【図2】第1の実施の形態による画像符号装置のブロッ
ク図である。
【図3】第1の実施の形態による画像符号処理のフロー
チャートである。
【図4】第1の実施の形態によるベクトル量子化処理の
フローチャートである。
【図5】第1の実施の形態によるベクトル量子化処理を
説明する図(1)である。
【図6】第1の実施の形態によるベクトル量子化処理を
説明する図(2)である。
【図7】実施の形態による辞書ベクトルを説明する図
(1)である。
【図8】実施の形態による辞書ベクトルを説明する図
(2)である。
【図9】第2の実施の形態による画像符号装置のブロッ
ク図である。
【図10】第2の実施の形態によるベクトル量子化処理
を説明する図である。
【図11】第3の実施の形態による画像符号装置のブロ
ック図である。
【図12】第3の実施の形態によるベクトル量子化処理
を説明する図(1)である。
【図13】第3の実施の形態によるベクトル量子化処理
を説明する図(2)である。
【図14】第4の実施の形態による画像符号装置のブロ
ック図である。
【図15】第4の実施の形態によるベクトル量子化処理
を説明する図である。
【図16】第5の実施の形態による画像符号装置のブロ
ック図である。
【図17】第5の実施の形態によるベクトル量子化処理
を説明する図である。
【図18】第6の実施の形態によるベクトル量子化処理
を説明する図である。
【図19】実施の形態による画像復号処理のフローチャ
ートである。
【図20】実施の形態における交流成分予測処理のイメ
ージ図である。
【図21】実施の形態による符号性能を説明する図であ
る。
【図22】従来の画像符号装置のブロック図である。
【図23】従来の画像符号処理のフローチャートであ
る。
【図24】従来の適応的直交変換(AOT)処理のフロ
ーチャートである。
【図25】適応的直交化処理のイメージ図である。
【符号の説明】
11 原画像メモリ 12 DC値生成部 13 差分PCM符号部(DPCM) 14 逆DPCM符号部(IDPCM) 15 DC画像メモリ 18 減算器 19 残差(誤差)ベクトルバッファ 24 適応的直交変換処理部(AOT) 25 係数変換部 26 符号部 51 辞書 52 形状辞書(SG) 53 利得辞書(AG) 54 形状辞書位置テーブル 55 利得辞書位置テーブル 61 ベクトル量子化部 62 適応的直交変換処理部(AOT)

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定ブロックサイズの原画像データより
    ブロック平均値が分離された誤差ベクトルをベクトル量
    子化する画像符号方法であって、 ノルムが1に正規化された低次元の複数の形状辞書ベク
    トルを格納している形状辞書を備え、 前記誤差ベクトルを、そのノルムKと、ノルムが1の正
    規化誤差ベクトルとの積に変換するステップと、 正規化誤差ベクトルを、複数の低次元ベクトルに分割す
    ると共に、各低次元ベクトルを、そのノルムgからなる
    利得係数と、ノルムが1の形状ベクトルとの積に変換す
    るステップと、 前記形状辞書を使用して各形状ベクトルとの差の大きさ
    が最小となるような各形状辞書ベクトルを抽出するステ
    ップとを備えることを特徴とする画像符号方法。
  2. 【請求項2】 ノルムが1に正規化された低次元の複数
    の利得辞書ベクトルを格納している利得辞書を備え、 該利得辞書を使用して各利得係数の集合からなる利得ベ
    クトルとの差の大きさが最小となるような利得辞書ベク
    トルを抽出するステップを備えることを特徴とする請求
    項1に記載の画像符号方法。
  3. 【請求項3】 前記抽出された各形状辞書ベクトルに各
    対応する利得係数を乗算して高次元の正規化基底ベクト
    ルを合成するステップと、 該正規化基底ベクトルに乗算するスカラー係数αであっ
    て、誤差ベクトルとの差の大きさを最小とするもの、を
    求めるステップとを備えることを特徴とする請求項1に
    記載の画像符号方法。
  4. 【請求項4】 前記抽出された各形状辞書ベクトルに対
    して前記抽出された利得辞書ベクトルの各利得要素を夫
    々乗算して高次元の正規化基底ベクトルを合成するステ
    ップと、 該正規化基底ベクトルに乗算するスカラー係数αであっ
    て、誤差ベクトルとの差の大きさを最小とするもの、を
    求めるステップとを備えることを特徴とする請求項2に
    記載の画像符号方法。
  5. 【請求項5】 形状辞書ベクトルの所定の要素値につき
    予め昇順又は降順にソートされた複数の形状辞書ベクト
    ルを格納している形状辞書と、 前記所定の要素値を代表する各サンプル値の対応に予め
    形状辞書の探索範囲を規定した形状辞書位置テーブルと
    を備え、 形状ベクトルとの差の大きさが最小となるような形状辞
    書ベクトルを、該形状ベクトルの前記所定の要素値に基
    づき前記形状辞書位置テーブルから読み出した探索範囲
    内で探索・抽出することを特徴とする請求項1又は2に
    記載の画像符号方法。
  6. 【請求項6】 利得辞書ベクトルの所定の要素値につき
    予め昇順又は降順にソートされた複数の利得辞書ベクト
    ルを格納している利得辞書と、 前記所定の要素値を代表する各サンプル値の対応に予め
    利得辞書の探索範囲を規定した利得辞書位置テーブルと
    を備え、 利得ベクトルとの差の大きさが最小となるような利得辞
    書ベクトルを、該利得ベクトルの前記所定の要素値に基
    づき前記利得辞書位置テーブルから読み出した探索範囲
    内で探索・抽出することを特徴とする請求項2に記載の
    画像符号方法。
  7. 【請求項7】 異なる辞書サイズの形状辞書と異なる辞
    書サイズの利得辞書との任意組み合わせからなる複数の
    辞書セットを備え、 誤差ベクトルに対する要求近似利得に応じて複数の辞書
    セットを切換えるステップを備えることを特徴とする請
    求項2,4又は6に記載の画像符号方法。
  8. 【請求項8】 誤差ベクトルを近似するための2以上の
    正規化基底ベクトルを使用する場合は、新たに合成され
    た正規化基底ベクトルをそれ以前に直交化された各直交
    基底ベクトルに直交化するステップを備えることを特徴
    とする請求項3又は4に記載の画像符号方法。
  9. 【請求項9】 合成した正規化基底ベクトルからベクト
    ル要素の平均値を除去して後、得られたベクトルのノル
    ムを1に正規化するステップを備えることを特徴とする
    請求項3又は4に記載の画像符号方法。
  10. 【請求項10】 請求項2に記載の方法により符号化さ
    れた符号情報から誤差ベクトルを近似した近似誤差ベク
    トルを再生する画像復号方法であって、 請求項2に記載と同一の形状辞書及び利得辞書を備え、 符号情報から復号した各インデクス情報に基づき、形状
    辞書から抽出した各形状辞書ベクトルに対し利得辞書か
    ら抽出した利得辞書ベクトルの各利得要素値を夫々乗算
    して高次元の正規化基底ベクトルを合成するステップ
    と、 前記合成した正規化基底ベクトルに対し別途復号したス
    カラー係数αを乗算して近似誤差ベクトルを生成するス
    テップとを備えることを特徴とする画像復号方法。
  11. 【請求項11】 所定ブロックサイズの原画像データよ
    りブロック平均値が分離された誤差ベクトルをベクトル
    量子化する画像符号装置において、 ノルムが1に正規化された複数の低次元の形状辞書ベク
    トルを格納している形状辞書と、 ノルムが1に正規化された複数の低次元の利得辞書ベク
    トルを格納している利得辞書と、 誤差ベクトルを、そのノルムKと、ノルムが1の正規化
    誤差ベクトルとの積に変換し、該正規化誤差ベクトルを
    複数の低次元ベクトルに分割すると共に、各低次元ベク
    トルを、そのノルムgからなる利得係数と、ノルムが1
    の形状ベクトルとの積に変換する変換手段と、 各形状ベクトルと、全利得係数を集めて生成した利得ベ
    クトルとを形状辞書及び利得辞書を使用してベクトル量
    子化する量子化手段とを備えることを特徴とする画像符
    号装置。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の画像符号装置によ
    り符号化された符号情報から誤差ベクトルを近似した近
    似誤差ベクトルを再生する画像復号装置において、 ノルムが1に正規化された複数の低次元の形状辞書ベク
    トルを格納している形状辞書と、 ノルムが1に正規化された複数の低次元の利得辞書ベク
    トルを格納している利得辞書と、 符号情報から復号した各インデクス情報に基づき、形状
    辞書から抽出した各形状辞書ベクトルに対し利得辞書か
    ら抽出した利得辞書ベクトルの各利得要素値を夫々乗算
    して高次元の正規化基底ベクトルを合成する合成手段
    と、 前記合成した正規化基底ベクトルに対し別途復号したス
    カラー係数αを乗算して近似誤差ベクトルを生成する生
    成手段とを備えることを特徴とする画像復号装置。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至9の何れか1つに記載の
    画像符号方法をコンピュータに実行させるためのコンピ
    ュータ実行可能なプログラム。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至9の何れか1つに記載の
    画像符号方法をコンピュータに実行させるためのプログ
    ラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008061215A (ja) * 2006-09-01 2008-03-13 Avaya Technology Llc 拡張プロトコル・ヘッダを含む通信の提供
JP2012005076A (ja) * 2010-06-21 2012-01-05 Fujitsu Ltd 文字画像圧縮装置及び文字画像復元装置、文字画像圧縮方法及び文字画像復元方法、並びに文字画像圧縮プログラム及び文字画像復元プログラム

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