JP2003283138A - 三次元積層モジュール - Google Patents

三次元積層モジュール

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JP2003283138A JP2002080233A JP2002080233A JP2003283138A JP 2003283138 A JP2003283138 A JP 2003283138A JP 2002080233 A JP2002080233 A JP 2002080233A JP 2002080233 A JP2002080233 A JP 2002080233A JP 2003283138 A JP2003283138 A JP 2003283138A
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Yukio Ono
幸夫 大野
Mitsuhiro Takayama
光広 高山
Tatsuro Saruwatari
達郎 猿渡
Narutoshi Murota
考俊 室田
Takuo Kodaira
拓郎 小平
Katsuhide Ishida
克英 石田
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Taiyo Yuden Co Ltd
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Taiyo Yuden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子部品を埋め込む際の破損を防止できる適
切な構造を有する三次元積層モジュールを提供する。 【解決手段】 三次元積層モジュール10は、樹脂絶縁
材料12b_1、12b_2の間に電子部品16を入
れ、前記樹脂絶縁材料を加熱プレスして一体化すること
により、該樹脂絶縁材料の積層体の内部に前記電子部品
を埋設するが、前記電子部品よりも機械的強度が強く、
且つ、前記電子部品の高さを上回る高さを有するスペー
サ部材42、43を前記電子部品と共に入れたことを特
徴とする。加熱プレスの際の圧力が、もっぱら背丈の高
いスペーサ部材(またはスペーサ部材の代わりの電子部
品)によって受け止められるため、電子部品に加えられ
る圧力が弱められ、その結果、電子部品の破損を防止で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品の高密度
実装が可能な三次元積層モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子部品の高密度実装への取
り組みとして、パッケージの小型化が精力的に行われて
きた。たとえば、最近では、チップサイズパッケージ
(CSP)や、パッケージそのものを不要にした究極の
ベアチップ実装も実現しつつある。しかし、これらは、
いずれも複数の電子部品を二次元的(平面的)に並べて
実装(平面実装方式)することを前提とするものであ
り、単純計算で、それぞれの電子部品の面積を足し合わ
せたサイズ以下に、実装面積を削減できないという原理
上の限界がある。
【0003】一方、上記の平面実装方式の限界を打破す
るものとして、三次元積層方式が注目されている。これ
は、電子部品を実装した層(平面実装層)を、あたかも
ビルディングのように積み重ねたものである。多層化す
ることによって上記の平面実装方式で無視されていた空
間の利用を図り、平面実装方式の限界を一気に越え、格
段の高密度化を実現するというものである。積層数をn
とするとき、単純計算で、平面実装方式と比べてn倍の
実装密度向上を図ることができる。
【0004】三次元積層方式を適用したモジュール(以
下「三次元積層モジュール」という)は、たとえば、次
のようにして製作することができる。図8(a)は、三
次元積層モジュール1の構造図である。この図におい
て、2は樹脂絶縁材料の積層体である。この積層体2の
内部に所要の電子部品(図では便宜的に四つの電子部品
3〜6)が三次元的に埋め込まれ、さらに、特に必須で
はないが、積層体2の表面に電子部品7、8が外付けさ
れている。なお、“電子部品”とは、半導体チップ、抵
抗素子、容量素子、インダクタンス素子またはその他の
電気的部品の総称である。
【0005】図示のとおり、この三次元積層モジュール
1にあっては、積層体2の内部に四つの電子部品3〜6
が多層(図示の例では2層)で埋め込まれているから、
たとえば、前述の平面実装方式と比べて、単純計算でn
倍(図では表面実装も数えてn=3であるから、3倍)
の実装密度向上が得られる。
【0006】ここに、電子部品3〜6を内部に有する樹
脂絶縁材料の積層体2は、以下のようにして製作され
る。図8(b)、(c)は、その製造工程図である。こ
の図において、2a及び2bは、それぞれ樹脂絶縁材料
である。これらの樹脂絶縁材料2a、2bは熱可塑性を
有する素材であり、熱プレスをかけることによって軟化
流動し、且つ、所定の冷却期間を経て硬化するという特
性を持っている。
【0007】今、図示のとおりに、一の樹脂絶縁材料2
aの上に電子部品5、6を載置し、その上に二の樹脂絶
縁材料2bを被せた状態で、プレス板9で二の樹脂絶縁
材料2bを上から所定の圧力Paと温度で加熱プレスす
ると、二の樹脂絶縁材料2bが軟化流動し、電子部品
5、6を取り囲むように一の樹脂絶縁材料2aと一体化
して、電子部品5、6を内部に有する積層体2′が製作
される。なお、この積層体2′は、図8(a)の積層体
2の下半分に相当する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
製造工程にあっては、二枚の樹脂絶縁材料2a、2bの
間に電子部品5、6を挟み込み、所定の圧力Paをかけ
て積層体2′を製作しているが、上記圧力Paにより、
電子部品3〜6が物理的損傷(たとえば角部の破損;図
8(d)参照/または真っ二つに割れることもある)を
受けることがあるという問題点があった。
【0009】したがって、本発明の目的は、電子部品を
埋め込む際の破損を防止できる適切な構造を有する三次
元積層モジュールを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る三次元積層
モジュールは、上記目的を達成するために、以下の構成
を備える。すなわち、樹脂絶縁材料の間に電子部品を入
れ、前記樹脂絶縁材料を加熱プレスして一体化すること
により、該樹脂絶縁材料の積層体の内部に前記電子部品
を埋設した三次元積層モジュールにおいて、前記電子部
品よりも機械的強度が強く、且つ、前記電子部品の高さ
を上回る高さを有するスペーサ部材を前記電子部品と共
に入れたことを特徴とするものである。
【0011】また、上記発明の好ましい態様は、前記ス
ペーサ部材は、電子部品であることを特徴とし、また
は、前記スペーサ部材を複数個備えると共に、スペーサ
部材の間隔をプレス板の撓みを考慮して適切に設定した
ことを特徴とするものである。
【0012】ここで、「“入れ”または“入れた”」と
は、前記の加熱プレスによって樹脂絶縁材料の積層体を
作る際に、結果として、その積層体の内部に電子部品と
スペーサ部材が一緒に埋め込まれるようにするための事
前準備行為を意味する。
【0013】本発明では、加熱プレスの際の圧力が、も
っぱら背丈の高いスペーサ部材によって受け止められ
る。したがって、電子部品に加えられる圧力が弱めら
れ、その結果、電子部品の破損を防止できる適切な構造
を有する三次元積層モジュールを提供することができ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明における
様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他
の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あ
くまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によ
って本発明の思想が限定されないことは明らかである。
また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャ
および周知の回路構成等(以下「周知事項」)について
はその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔
にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一
部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は
本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるの
で、以下の説明に当然含まれている。
【0015】図1は、本発明の思想を適用した三次元積
層モジュールの概念的構造図であり、この図は、完成状
態の三次元積層モジュールの断面を示している。
【0016】ここに、“モジュール(英:modul
e)”とは、一般に「規格化された構成単位」のことを
意味する。モジュールはユニットや部品の一種とも解さ
れるが、ユニットは通常、交換可能な構成要素として位
置づけられ、また、部品はそれ自体が最小の構成単位と
して位置づけられるのに対して、モジュールは、交換を
想定しないことが多く、さらに、特定の機能を持つもの
として設計製作されることが多い。
【0017】しかしながら、厳密な区分が定められてい
ないことも事実であるから、本明細書においては、この
用語(“モジュール”)を以下のように定義して用いる
こととする。すなわち、モジュールとは、その内部に、
半導体チップ、抵抗素子、容量素子またはその他の電子
部品(これらを総称して「電子部品」という)を一つま
たは複数(異なる種類の電子部品の組み合わせを含む)
実装して所要の電子回路機能を実現したものであり、且
つ、市場において単独で流通可能なもののことをいう。
任意の電子機器に組み込んだ(実装した)後の交換容易
性は考慮しない。コネクタ等によって着脱可能な実装形
態であってもよいし、半田付け等によってほぼ固定状態
で実装される形態であってもよい。
【0018】これから説明する本実施の形態の三次元積
層モジュール(以下、単に「モジュール」という)は、
たとえば、携帯電話機や無線通信機能付き携帯情報端末
におけるRF(高周波)部の構成要素であるパワーアン
プモジュール、アンテナスイッチモジュール、または、
それらを一体化したRFモジュールなどとして機能する
ことができるものであり、それ自体を製品として市場に
流通させることができるものである。
【0019】また、以下の説明からも明らかになるが、
本実施の形態の究極のポイントは、当該モジュールに実
装する電子部品の機械的破損(製造時の加熱プレス応力
による破損)を防止するための専用部品(後述の「スペ
ーサ部材」)を、電子部品と一緒に実装した点にある。
【0020】図において、モジュール10は、基板11
と、その基板11の上に積層された樹脂絶縁材料積層体
12とを有して構成されている。基板11は樹脂絶縁材
料積層体12を担持するための基体(ベース)であり、
絶縁性を有しかつ比較的頑丈な素材、たとえば、ガラス
エポキシ樹脂、アルミナ、低温焼成ガラス系セラミック
などである。なお、本発明の思想上、基板11は必須の
構成要件ではない。基板なしのモジュール10としても
かまわない。ただし、実用上の観点から、基板11を構
成要件に加えることは何ら差し支えない。
【0021】また、樹脂絶縁材料積層体12は任意の電
子部品(図では便宜的に四つの電子部品13〜16)を
埋め込み状態で保持するための要素であり、絶縁性を有
すると共に、熱可塑性を有し、しかも、所定の冷却期間
後に硬化する性質がある素材、たとえば、PEEK(ポ
リエーテルエーテルケトン)、SPS(シンジオタクチ
ックポリスチレン)、PPS(ポリフェニルサルファイ
ド)、LCP(リキッドクリスタルポリマー)、フッ素
系樹脂等である。または、熱硬化性を有する素材であっ
てもよい。たとえば、エポキシ、ポリイミド、シアネー
トエステル、BCB(ベンゾシクロブテン)などは熱硬
化型の樹脂である。さらに、図示を略すが樹脂絶縁材料
積層体12の表面(好ましくは側面も)を保護するため
のカバーを取り付けてもよい。カバーは比較的頑丈な素
材、たとえば、Cu材、SUS材、Al材等の金属を用
いることができる。なお、モジュール10が高周波を取
り扱う場合は、EMI(Electro Magnet
ic Interference)対策のために、カバ
ーの素材として電磁遮蔽効果(シールド効果)を有する
ものを採用することが望ましい。
【0022】樹脂絶縁材料積層体12の内部には、上記
のとおり、電子部品13〜16が埋め込まれており、さ
らに、樹脂絶縁材料積層体12の表面には電子部品17
が外付けされている。これらの電子部品13〜17は、
たとえば、特に限定しないが、MOS型集積回路やGa
AsFETなどの能動素子部品、積層コンデンサ部品、
積層インダクタ部品、薄膜やセラミック等の抵抗部品、
SAWフィルタ等の圧電部品などの受動素子部品であっ
てもよい。
【0023】樹脂絶縁材料積層体12は、この例にあっ
ては、2層の積層部(第一積層部12aと第二積層部1
2b)から構成されている。第一積層部12aの内部に
は三つの電子部品13〜15が埋め込まれ、第2積層部
12bには一つの電子部品16が埋め込まれている。さ
らに、第一積層部12aの表面(第一積層部12aと第
二積層部12bの積層界面)には、埋設配線18〜22
が形成されており、埋設配線18、19と電子部品13
の間がバイア電極23、24によって接続され、埋設配
線19、20と電子部品14の間がバイア電極25、2
6によって接続され、埋設配線21、22と電子部品1
5の間がバイア電極27、28によって接続されてい
る。また、第二積層部12bの表面(樹脂絶縁材料積層
体12の表面)には、露出配線29〜36が形成されて
おり、露出配線30、31と電子部品16の間がバイア
電極37、38によって接続され、露出配線30、31
と電子部品17の間が直接に接続されている。
【0024】さて、第一積層部12a及び第二積層部1
2bの内部には、電子部品13〜16と一緒にスペーサ
部材39〜43が埋め込まれている。すなわち、第一積
層部12aの内部には、電子部品13〜15と一緒に三
つのスペーサ部材39〜41が埋め込まれており、第二
積層部12bの内部には、電子部品16と一緒に二つの
スペーサ部材42、43が埋め込まれている。これらの
スペーサ部材39〜43は、同一層内に一緒に埋め込ま
れた電子部品13〜16の保護部材として機能する。
【0025】図2は、電子部品13〜16とスペーサ部
材39〜43の関係模式図である。この図において、L
aは第一積層部12aに一緒に埋め込まれた電子部品1
3〜15とスペーサ部材39〜41の共通底面レベルを
示す線である。また、Lbは第二積層部12bに一緒に
埋め込まれた電子部品16とスペーサ部材42、43の
共通底面レベルを示す線である。今、このLa、Lbを
基準にした電子部品13〜16とスペーサ部材39〜4
3の高さを、それぞれの符号を添え字にして、H39、H
13、H14、H40、H15、H41、H42、H16、H43で表す
ことにすると、これらの高さは、以下の全て(〜)
を満たす関係にある。
【0026】 H39>H13 ・・・・ H40>H14 ・・・・ H40>H15 ・・・・ H41>H15 ・・・・ H42>H16 ・・・・ H43>H16 ・・・・ これらの関係は、要するに、(イ)「任意の電子部品に
隣り合うスペース部材の高さが、その電子部品の高さを
上回る」というものである。図示の例では、分かりやす
くするために、電子部品13〜16の高さ(H13
16)と、スペーサ部材39〜43の高さ(H39
43)とを明確に異ならせている(高さの差を大きくし
ている)が、上記の関係(イ)を満たしている限り、見
た目にわからない程度(微小な高さの差)としてもよ
い。
【0027】また、電子部品13〜16とスペーサ部材
39〜43の他の関係は、機械的強度の大小関係であ
り、少なくとも、(ロ)「任意の電子部品に隣り合うス
ペース部材の機械的強度が、その電子部品の機械的強度
を上回る」というものである。ここに、“機械的強度”
とは、ある物体に力を加えたときにその物体の全部また
は一部に物理的損傷が生じる限界の強度のことをいう。
たとえば、圧力Aを越えると物理的損傷を起こす可能性
がある物体aと、圧力Bを越えると物理的損傷を起こす
可能性がある物体bとを比較した場合、A>Bであるな
らば、物体aの機械的強度は、物体bの機械的強度をA
−Bだけ上回っている。
【0028】以上、説明した二つの関係(高さと機械的
強度の関係(イ)及び(ロ))を有する電子部品13〜
16とスペーサ部材39〜43を埋め込んで構成する本
実施の形態のモジュール10は、以下の特徴的な作用効
果を奏することができる。
【0029】図3は、その作用説明図である。なお、こ
の図は、図1の第二積層部12bについて示している
が、第一積層部12aについても同様である。この図に
おいて、12b_1、12b_2は、それぞれ樹脂絶縁
材料である。一方の樹脂絶縁材料12b_1の所定位置
に電子部品16とスペーサ部材42、43とを載置した
状態で、その上から他方の樹脂絶縁材料12b_2を被
せてサンドイッチ状態(発明の要旨に記載の「樹脂絶縁
材料の間に電子部品を入れ」た状態に相当する)にし、
それら二つの樹脂絶縁材料12b_1、12b_2にプ
レス板50を用いて熱を加えながらプレス(加熱プレ
ス)する。その際の熱量やプレス圧(Pa)は、樹脂絶
縁材料12b_1、12b_2の素材や厚さによって一
概に言えないが、たとえば、熱可塑性なら300〜35
0℃、熱硬化型なら85℃〜110℃、Pa=10気圧
程度である。
【0030】樹脂絶縁材料12b_1、12b_2が熱
可塑性樹脂の場合、加熱プレスによって樹脂絶縁材料1
2b_1、12b_2が軟化流動し、その後の所要の冷
却期間を経て硬化して、内部の所定位置に電子部品16
とスペーサ部材42、43とを埋め込んだ状態の第二積
層部12bが形作られる。
【0031】さて、先にも述べたとおり、本実施の形態
の究極のポイントは、上記二つの関係(高さと機械的強
度の関係(イ)及び(ロ))を有する電子部品13〜1
6とスペーサ部材39〜43とを埋め込んで構成した点
にある。すなわち、(イ)「任意の電子部品に隣り合う
スペース部材の高さが、その電子部品の高さを上回
る」、且つ、(ロ)「任意の電子部品に隣り合うスペー
ス部材の機械的強度が、その電子部品の機械的強度を上
回る」という二つの関係を満たすことにある。
【0032】たとえば、図において、左側のスペーサ部
材42の高さH42は中央の電子部品16の高さH16より
も高く、さらに、右側のスペーサ部材43の高さH43
同電子部品16の高さH16よりも高い関係(H42
16、H43>H16)にあり、且つ、二つのスペーサ部材
42、43の機械的強度は同電子部品16の機械的強度
を上回る関係にある。
【0033】図4は、本実施の形態におけるモジュール
10の製造工程の一部(第二積層部12bのスペーサ部
材42、43と電子部品16の埋め込み工程)を示す図
である。この図において、まず、たとえば、SiO2フィ
ラーを適量(例:20vol%程度)分散させた半硬化状
態の2枚のフィルム状の樹脂絶縁材料12b_1、12
b_2を用意する。次いで、一方の樹脂絶縁材料12b
_1を硬化させて単板を形成し、その単板の上の所定位
置にスペーサ部材42、43と電子部品16を載置す
る。
【0034】次いで、プレス板50を用い、他方の樹脂
絶縁材料12b_2でスペーサ部材42、43と電子部
品16をラミネーションする。ここで、ラミネーション
は加熱を伴うプレスによって行い、その温度は、樹脂絶
縁材料12b_2の軟化流動を促す程度の温度とする。
なお、ラミネーションはボイド等を作らないようにする
ため、真空中で行うことが望ましい。
【0035】樹脂絶縁材料12b_2が熱可塑性樹脂の
場合、ラミネーション後、所要の冷却期間を経て、樹脂
絶縁材料12b_2を硬化させることにより、内部にス
ペーサ部材42、43と電子部品16とを埋め込んだ第
二積層部12bが生成される。
【0036】ここで、図4(a)に示すように、ラミネ
ーション工程においては、プレス板50からの圧力Pa
により、樹脂絶縁材料12b_2を介してスペーサ部材
42、43と電子部品16に所要の力が加えられるが、
先の第一の関係((イ)高さの関係)により、その力の
多くはスペーサ部材42、43で受け止められる。スペ
ーサ部材42、43の背丈(H42、H43)が、その間に
挟まれた電子部品16の背丈(H16)よりも高いからで
ある。このため、電子部品16には小さな力しか加えら
れない。また、スペーサ部材42、43の機械的強度は
電子部品16の機械的強度を上回っているため、上記の
力により、スペーサ部材42、43が座屈変形すること
もない。
【0037】したがって、ラミネーション工程における
プレス圧力に起因する電子部品16の物理的損傷問題
(図8(d)参照)を効果的に回避することができ、製
造歩留まりを改善してコストダウンを図ることができる
という特有のメリットが得られる。
【0038】なお、以上の説明では、埋設配線18〜2
2、バイア電極23〜28、露出配線29〜36、バイ
ア電極37、38の製造方法に触れなかったが、これら
の構成要素は、たとえば、次のようにして作り込むこと
ができる。
【0039】第一積層部12aの表面に、たとえば、C
2レーザ加工により開口部を形成する。開口部の位置
は、バイア電極23〜28の位置に対応する。次に、導
電材料(たとえば、銅)メッキを施し、導電材料メッキ
の必要な部分(埋設配線18〜22)だけを残してパタ
ーニングする。この時、レーザー加工により形成した開
口部もメッキされ、電気的な導通(バイア電極23〜2
8)が確保される。次いで、第一積層部12aの上に第
二積層部12bを形成し、たとえば、CO2レーザ加工
により開口部を形成する。開口部の位置は、バイア電極
37、38の位置に対応する。その第二積層部12bの
表面に導電材料(たとえば、銅)メッキを施し、導電材
料メッキの必要な部分(露出配線29〜36)だけを残
してパターニングする。この時、レーザー加工により形
成した開口部もメッキされ、電気的な導通(バイア電極
37、38)が確保される。これにより、樹脂絶縁材料
積層体12の内部に埋設配線18〜22とバイア電極2
3〜28を形成し、且つ、樹脂絶縁材料積層体12の表
面に露出配線29〜36とバイア電極37、38を形成
することができる。
【0040】また、スペーサ部材39〜43の間隔は、
次のようにして設定することが望ましい。図5は、任意
層(図では第二積層部12bを示すが、第一積層部12
aも同様である)に埋め込まれたスペーサ部材42、4
3の水平間隔Hを示す図である。この図において、5
0′は加熱プレスの際にプレス板50が“撓む(しな
る)”最大の位置を示している。水平間隔Hを大きくと
った場合は、プレス板50の“撓み”が大きくなり、電
子部品16に過大な応力が加えられることとなるから、
電子部品16の損傷防止の観点で好ましくない。一方、
水平間隔Hを狭くとった場合は、プレス板50の“撓
み”が小さくなり、電子部品16に過大な応力が加えら
れないため、電子部品16の損傷防止の観点で好ましい
ものの、実装上の困難さが増すという不都合がある。適
切な水平間隔Hは、プレス板50の撓みを考慮し、電子
部品16に過剰な応力が加わらない程度の値を試行錯誤
的に設定すればよい。たとえば、以下の条件の場合、水
平間隔Hを20mm以内とすればよい。
【0041】 プレス板50の素材と厚さ:ステンレス、1.0mm プレス圧:1MPa スペーサ部材42、43の高さ(H42、H43):0.1
5mm 電子部品16の高さ(H16):0.10mm
【0042】なお、本発明の技術思想は、上記の実施の
形態に限定されない。その思想の範囲内で様々な変形態
様をとり得ることはもちろんである。たとえば、上記の
実施の形態では、電子部品13〜16を保護するために
専用の部品(スペーサ部材39〜43)を実装している
が、これに限定されず、たとえば、前記のスペーサ部材
39〜43の代わりに「電子部品」を用いてもよい。
【0043】図6は、本発明の思想を適用した三次元積
層モジュールの他の実施の形態を示す概念的構造図であ
り、この図は、完成状態の三次元積層モジュールの断面
を示している。図において、モジュール60は、樹脂絶
縁材料積層体61を有して構成されている。なお、樹脂
絶縁材料積層体61は、不図示の基板(図1の基板11
参照)の上に積層されたものであってもよい。
【0044】樹脂絶縁材料積層体61は任意の電子部品
(図では便宜的に九つの電子部品62〜70)を埋め込
み状態で保持するための要素であり、絶縁性を有すると
共に、熱可塑性(硬化前の熱硬化製樹脂でもよい。以
下、説明の便宜上、熱可塑性樹脂とする)を有し、しか
も、所定の冷却期間後に硬化する性質がある素材、たと
えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、SP
S(シンジオタクチックポリスチレン)、PPS(ポリ
フェニルサルファイド)、LCP(リキッドクリスタル
ポリマー)、フッ素系樹脂である。さらに、図示を略
すが樹脂絶縁材料積層体61の表面(好ましくは側面
も)を保護するためのカバーを取り付けてもよい。カバ
ーは比較的頑丈な素材、たとえば、銅材、SUS材、A
l材等を用いることができる。なお、モジュール60が
高周波を取り扱う場合は、EMI対策のために、カバー
の素材として電磁遮蔽効果(シールド効果)を有するも
のを採用することが望ましい。
【0045】樹脂絶縁材料積層体61の内部には、上記
のとおり、電子部品62〜70が埋め込まれており、さ
らに、樹脂絶縁材料積層体61の表面には電子部品71
が外付けされている。これらの電子部品62〜71は、
たとえば、特に限定しないが、MOS型集積回路やGa
AsFETなどの能動素子部品、積層コンデンサ部品、
積層インダクタ部品、薄膜やセラミック等の抵抗部品、
SAWフィルタ等の圧電部品などの受動素子部品であっ
てもよい。
【0046】樹脂絶縁材料積層体61は、この例にあっ
ては、2層の積層部(第一積層部61aと第二積層部6
1b)から構成されている。第一積層部61aの内部に
は六つの電子部品62〜67が埋め込まれ、第2積層部
51bには三つの電子部品68〜70が埋め込まれてい
る。さらに、第一積層部61aの表面(第一積層部61
aと第二積層部61bの積層界面)には、埋設配線72
〜78が形成されており、埋設配線72と電子部品62
の間がバイア電極79によって接続され、埋設配線7
3、74と電子部品63の間がバイア電極80、81に
よって接続され、埋設配線74、75と電子部品64の
間がバイア電極82、83によって接続され、埋設配線
76と電子部品65の間がバイア電極84によって接続
され、埋設配線77、78と電子部品66の間がバイア
電極85、86によって接続され、埋設配線78と電子
部品67の間がバイア電極87によって接続されてい
る。また、第二積層部61bの表面(樹脂絶縁材料積層
体61の表面)には、露出配線88〜91が形成されて
おり、露出配線88と電子部品68の間がバイア電極9
2によって接続され、露出配線89、90と電子部品6
9の間がバイア電極93、94によって接続され、露出
配線90と電子部品70の間がバイア電極95によって
接続され、露出配線90、91と電子部品71の間が直
接に接続されている。
【0047】さて、この実施の形態では、第一積層部6
1a及び第二積層部61bの内部には、電子部品62〜
70しか埋め込まれていない。言い換えれば、先の実施
の形態におけるスペーサ部材39〜43は埋め込まれて
いない。すなわち、第一積層部61aの内部には、六つ
の電子部品62〜67しか埋め込まれておらず、また、
第二積層部61bの内部には、三つの電子部品68〜7
0しか埋め込まれていない。先の実施の形態におけるス
ペーサ部材39〜43の代わりは、それらの電子部品6
2〜70のうちの背丈の高いものが行う。
【0048】すなわち、図面から認められるように、第
一積層部61aにあっては、左端の電子部品62、左か
ら4番目の電子部品65及び右端の電子部品67の背丈
が高く描かれており、また、第二積層部61bにあって
は、左端の電子部品68及び右端の電子部品70の背丈
が高く描かれているから、これら五つの電子部品62、
65、67、68、70は、それ自体が、半導体チッ
プ、抵抗素子、容量素子またはその他の電子部品であっ
て、且つ、先の実施の形態におけるスペーサ部材39〜
43の条件、すなわち、(イ)「任意の電子部品に隣り
合うスペース部材の高さが、その電子部品の高さを上回
る」、及び、(ロ)「任意の電子部品に隣り合うスペー
ス部材の機械的強度が、その電子部品の機械的強度を上
回る」を満たすものである。
【0049】このような構成においても、先の第一の関
係((イ)高さの関係)により、ラミネーションの際の
力の多くは五つの電子部品62、65、67、68、7
0で受け止められるため、それらの電子部品62、6
5、67、68、70に保護された他の電子部品63、
64、66、69には小さな力しか加えられない。ま
た、五つの電子部品62、65、67、68、70の機
械的強度は、他の電子部品63、64、66、69の機
械的強度を上回っているため、上記の力によって、五つ
の電子部品62、65、67、68、70が座屈変形す
ることもない。
【0050】したがって、前記の実施の形態と同様に、
ラミネーション工程(図3及び図4参照)におけるプレ
ス圧力に起因する電子部品63、64、66、69の物
理的損傷問題を効果的に回避することができ、製造歩留
まりを改善してコストダウンを図ることができるという
特有のメリットが得られる。
【0051】なお、以上の説明では、スペーサ部材(図
1のスペーサ部材39〜43参照)によって電子部品を
取り囲む例を示したが、これに限らず、たとえば、任意
形状(円柱状や球体状など)のスペーサ部材を電子部品
の周囲の適当な位置に配置してもよい。あるいは、ラミ
ネーション工程後に、樹脂絶縁材料積層体の一部を切り
落とした(カットした)ものをモジュールの最終形態と
してもよい。図7は、そのカット状態図であり、前記の
図1に対応するものである。図1との相違は、ラミネー
ション工程後に、白抜き矢印で示す箇所から樹脂絶縁材
料積層体12の一部(A部)をカットして取り除く点に
ある。この例では、A部を除く樹脂絶縁材料積層体12
がモジュールの最終形態となる。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、加熱プレスの際の圧力
が、もっぱら背丈の高いスペーサ部材(またはスペーサ
部材の代わりの電子部品)によって受け止められる。し
たがって、電子部品に加えられる圧力が弱められ、その
結果、電子部品の破損を防止できる適切な構造を有する
三次元積層モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の思想を適用した三次元積層モジュール
の概念的構造図である。
【図2】電子部品13〜16とスペーサ部材39〜43
の関係模式図である。
【図3】実施の形態の作用説明図である。
【図4】本実施の形態におけるモジュール10の製造工
程の一部を示す図である。
【図5】スペーサ部材42、43の水平間隔Hを示す図
である。
【図6】本発明の思想を適用した三次元積層モジュール
の他の実施の形態を示す概念的構造図である。
【図7】ラミネーション工程後に樹脂絶縁材料積層体の
一部を切り落とした(カットした)例の構造図である。
【図8】従来例の三次元積層モジュール1の構造図、そ
の製造工程図及び物理的損傷の概念図である。
【符号の説明】
10 モジュール(三次元積層モジュール) 12b_1 樹脂絶縁材料 12b_2 樹脂絶縁材料 13〜16 電子部品 39〜43 スペーサ部材 50 プレス板 62〜70 電子部品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猿渡 達郎 東京都台東区上野6丁目16番20号 太陽誘 電株式会社内 (72)発明者 室田 考俊 東京都台東区上野6丁目16番20号 太陽誘 電株式会社内 (72)発明者 小平 拓郎 東京都台東区上野6丁目16番20号 太陽誘 電株式会社内 (72)発明者 石田 克英 東京都台東区上野6丁目16番20号 太陽誘 電株式会社内 Fターム(参考) 5E346 AA12 AA13 AA36 CC04 CC09 CC17 CC18 CC21 DD02 DD07 EE08 EE12 EE18 EE20 FF45 GG07 GG08 GG15 GG22 GG28 HH07 HH33 HH40

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂絶縁材料の間に電子部品を入れ、 前記樹脂絶縁材料を加熱プレスして一体化することによ
    り、 該樹脂絶縁材料の積層体の内部に前記電子部品を埋設し
    た三次元積層モジュールにおいて、 前記電子部品よりも機械的強度が強く、且つ、前記電子
    部品の高さを上回る高さを有するスペーサ部材を前記電
    子部品と共に入れたことを特徴とする三次元積層モジュ
    ール。
  2. 【請求項2】 前記スペーサ部材は、電子部品であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の三次元積層モジュール。
  3. 【請求項3】 前記スペーサ部材を複数個備えると共
    に、スペーサ部材の間隔をプレス板の撓みを考慮して適
    切に設定したことを特徴とする請求項1記載の三次元積
    層モジュール。
  4. 【請求項4】 樹脂絶縁材料を加熱プレスして一体化し
    た樹脂絶縁材利用積層体の内部に、電子部品とスペーサ
    部材とを埋設して構成した三次元積層モジュールにおい
    て、 前記電子部品の高さよりも前記スペーサ部材の高さが上
    回り、且つ、前記電子部品の機械的強度よりも前記スペ
    ーサ部材の機械的強度が上回っていることを特徴とする
    三次元積層モジュール。
  5. 【請求項5】 前記スペーサ部材は、電子部品であるこ
    とを特徴とする請求項4記載の三次元積層モジュール。
  6. 【請求項6】 前記スペーサ部材を複数個備えると共
    に、スペーサ部材の間隔をプレス板の撓みを考慮して適
    切に設定したことを特徴とする請求項4記載の三次元積
    層モジュール。
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