JP2003282310A - 磁性ポリマー粒子およびその製造方法 - Google Patents
磁性ポリマー粒子およびその製造方法Info
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Abstract
良好であり、かつ、磁性微粒子のイオン化や脱離がな
く、幅広い用途に使用可能な磁性ポリマー粒子とその製
造方法を提供する。 【解決手段】 ポリマー粒子11の外周に多数の磁性微
粒子12が凝集し、さらにその外周にポリマー被膜13
が形成された磁性ポリマー粒子10であって、当該磁性
ポリマー粒子10中の前記磁性微粒子12の質量割合が
20〜70質量%である。この磁性ポリマー粒子10
は、ポリマー粒子11を含有する分散液に多数の磁性微
粒子12を添加する第1工程と、アニオン性高分子電解
質と磁性微粒子12とを添加する第2工程と、重合性モ
ノマーを含有するモノマー組成物を添加してこれを重合
させる第3工程とにより製造できる。
Description
体などの担体、磁性トナー、磁性インク、磁性塗料など
に使用される磁性ポリマー粒子とその製造方法に関す
る。
属化合物とが複合化された磁性ポリマー粒子は、磁性ト
ナー、磁性インク、磁性塗料などにも使用可能である
が、特に、その磁力を利用することにより容易に分離、
回収が可能であることから、診断薬担体、細菌分離単
体、核酸分離精製担体、蛋白質精製担体、固定化酵素担
体、ドラッグデリバリー担体などの担体としての利用が
期待されている。このような磁性ポリマー粒子として
は、例えば特開平11−191510号公報に、磁性微
粒子をポリマーで被覆した粒子が開示されている。ま
た、ポリマー粒子の外周に多数の磁性微粒子が単層にヘ
テロ凝集した形態の磁性ポリマー粒子も報告されてい
る。
11−191510号公報に開示されている磁性ポリマ
ー粒子は、表面がシランカップリング剤などの親油化処
理された磁性微粒子を、重合性モノマー液に分散させた
後、この重合性モノマーを重合する方法で製造されてい
る。したがって、得られた1つの磁性ポリマー粒子は、
磁性微粒子からなるマトリックスの中にポリマーが分散
した形態となっていると考えられ、磁性微粒子の有効表
面積が小さく、磁気応答性が十分ではないという問題が
あった。また、重合性モノマーを重合する際における分
散液の安定性も不十分であった。
粒子がヘテロ凝集した形態の磁性ポリマー粒子では、こ
の磁性ポリマー粒子の使用時に磁性微粒子がイオン化し
て溶出したり、磁性微粒子がポリマー粒子から脱離した
りする可能性や、磁性微粒子が生体物質と直接接触する
ことにより生体機能が失活してしまう可能性があり、そ
の用途が限定されるという問題があった。そこで、磁性
微粒子からなる単層の外周にポリマー被膜を形成するこ
とにより、磁性微粒子のイオン化や脱離を抑制する方法
も検討されている。しかしながら、このような方法で
は、ポリマー粒子の外周には磁性微粒子は単層に凝集す
るだけであって凝集量に限界があるうえ、さらにその磁
性微粒子がポリマーで被覆された状態となるため、磁気
応答性が不十分となる問題があった。
で、比較的簡単な方法で製造でき、磁気応答性が良好で
あり、かつ、磁性微粒子のイオン化や脱離がなく、診断
薬担体などの担体をはじめ、幅広い用途に使用可能な磁
性ポリマー粒子とその製造方法を提供することを課題と
する。
子は、ポリマー粒子の外周に多数の磁性微粒子が凝集
し、さらにその外周にポリマー被膜が形成された磁性ポ
リマー粒子であって、当該磁性ポリマー粒子中の前記磁
性微粒子の質量割合が20〜70質量%であることを特
徴とする。本発明の磁性ポリマー粒子の製造方法は、ポ
リマー粒子を含有する分散液に磁性微粒子を添加して、
ポリマー粒子の外周に多数の磁性微粒子を凝集させる第
1工程と、アニオン性高分子電解質と磁性微粒子とを添
加して、前記第1工程で凝集した磁性微粒子の外周に多
数の磁性微粒子をさらに凝集させる第2工程と、重合性
モノマーを含有するモノマー組成物を添加してこれを重
合させ、前記第2工程で凝集した磁性微粒子の外周にポ
リマー被膜を形成する第3工程とを有することを特徴と
する。前記アニオン性高分子電解質は、ポリスチレンス
ルホン酸ナトリウムであることが好ましい。
図1は、本発明の磁性ポリマー粒子10の一例を模式的
に示す断面図であって、1つのポリマー粒子11の外周
に多数の磁性微粒子12が凝集、すなわちヘテロ凝集
し、さらにその外周にポリマー被膜13が形成されたも
のである。ここでポリマー粒子11を形成するポリマー
の種類としては、特に制限はなく、例えば、ビニル系ポ
リマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、
ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリ
アセタール、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリス
ルフィドなどを挙げることができ、これらは官能性基を
有するものであってもよい。
が比較的容易であることからビニル系ポリマーが好まし
く、ビニル系ポリマーを構成する重合性モノマーとして
は、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエ
ン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、ジビニ
ルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリ
ル酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸類;メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メ
タ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、
t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アク
リレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レートなどの(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリ
ロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル
化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、
フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンなどのハロ
ゲン化ビニル化合物などを挙げることができる。これら
は単独で使用しても、2種以上を適宜併用してもよい。
ここで主成分の重合性モノマーとともに、アクリル酸、
スチレンスルホン酸ナトリウムなどの親水性モノマーを
適宜使用すると、比較的粒子径の小さなポリマー粒子1
1が得られる。よって、必要に応じて、親水性モノマー
を使用することが好ましい。
する微粒子であれば特に制限はなく、四酸化三鉄(Fe
3O4)、γ−三酸化二鉄(γ−Fe2O3)、各種フェラ
イト、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、クロムなど
の金属、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、亜鉛の合
金などを挙げることができる。
微粒子12の粒子径DMは、1つのポリマー粒子11の
外周に多数の磁性微粒子12がヘテロ凝集可能なよう
に、その比DP/DMが十分に大きいことが必要であると
ともに、磁性微粒子12が液中において敏速にブラウン
運動可能な大きさであることが必要である。したがっ
て、DPおよびDMは、DPが好ましくは0.2〜100
μm、より好ましくは0.2〜60μmで、DMが好ま
しくは0.001〜0.1μm、より好ましくは0.0
1〜0.05μmであって、かつ、両者の比DP/DMが
好ましくは10以上となる範囲で適宜設定することが好
ましい。DP、DM、DP/DMのいずれかがこのような範
囲外であると、磁性ポリマー粒子10を製造する際の、
後述する第1工程や第2工程が、十分に進行しなくなる
可能性がある。
膜13を形成するポリマーの種類としては特に制限はな
く、ポリマー粒子11を形成するポリマーとして上記で
例示したものと同様のポリマーなどを使用できる。ま
た、ポリマー粒子11を形成するポリマーの種類と、ポ
リマー被膜13を形成するポリマーの種類とは、同じで
あっても異なっていても良い。このようなポリマー被膜
13は、磁性微粒子12を被覆して、磁性微粒子12の
イオン化や脱離を防止できる程度の厚さに形成されてい
れば特に制限はなく、通常0.1〜1μm程度である。
0.1μm未満では、ポリマー被膜13の形成自体が困
難な傾向にあり、一方、1μmを超えると、得られる磁
性ポリマー粒子10の粒径が大きくなるとともに磁気応
答性も低下し、体外診断薬などの用途には不適当となる
可能性がある。
ポリマー粒子11の外周に多数の磁性微粒子12がヘテ
ロ凝集し、さらにその外周にポリマー被膜13が形成さ
れたものであるが、ここで磁性微粒子12は複数層に凝
集していて、その結果、磁性ポリマー粒子10中におけ
る磁性微粒子12の質量割合が20〜70質量%となっ
ている。例えば図1の例では、詳しくは後述するアニオ
ン性高分子電解質の作用により、磁性微粒子12が2層
に凝集している。このように磁性微粒子12が凝集した
層を2層以上の複数とすることによって、磁性ポリマー
粒子10中における磁性微粒子12の質量割合を20質
量%以上とすることができる。また、磁性ポリマー粒子
10における磁性微粒子12の質量割合は、ポリマー粒
子11の外周に磁性微粒子12を何層凝集させるかによ
って任意に制御でき、その用途、要求される磁力などに
応じて所望の程度とすることができるが、後述する製造
方法における製造工程の安定性などから、その上限は7
0質量%である。
磁性微粒子12が複数層に凝集しているため、ポリマー
粒子11の質量WPとこれに凝集した磁性微粒子12の
質量WMとの質量比WM/WPが0.5〜2.6である。
なく、ポリマー粒子11の粒子径、磁性微粒子12の粒
子径、磁性微粒子12の層数、ポリマー被膜13の膜厚
によって決まるが、0.5〜100μmとすることが好
ましい。
方法について具体的に説明する。まず、純水に重合性モ
ノマーと重合性開始剤とを添加して、これを50〜90
℃程度に加温して重合を開始させる。重合開始剤は、重
合性モノマー100質量部に対して、0.1〜3質量部
程度使用する。また、溶媒である純水は、重合性モノマ
ー100質量部に対して、100〜900質量部程度使
用する。
示したものなどを使用でき、スチレンなどの芳香族ビニ
ル化合物を主成分として使用することが好ましいが、こ
こで芳香族ビニル化合物とともに、例えばアクリル酸、
スチレンスルホン酸ナトリウムなどの親水性の重合性モ
ノマーを適宜使用することにより、調製するポリマー粒
子11の粒子径を小さく制御することができる。親水性
の重合性モノマーを使用する場合には、通常、重合性モ
ノマーのうち0.1〜5質量%の範囲で使用する。
カル重合開始剤などを使用でき、例えば、過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫
酸塩などを例示できる。これら重合開始剤は、重合性モ
ノマー100質量部に対して、通常0.1〜5質量部の
範囲で使用する。このように、重合時に使用する親水性
の重合性モノマー量と、使用する重合開始剤の種類や量
を適宜設定することによって、調製するポリマー粒子1
1の粒子径を制御することができる。
を70〜90℃程度まで上げて3〜10時間程度さらに
保持して重合を完了させ、ポリマー粒子11を含有する
ラテックスを製造する。その後、得られたラテックス
を、必要に応じて遠心分離し、精製し、ポリマー粒子1
1を得る。
子11に、例えば硝酸水溶液などの酸性水溶液を加え
て、ポリマー粒子11が分散したpH2〜5の分散液を
調製する。ついで、この分散液に、あらかじめ多数の磁
性微粒子12を超音波などで分散させた同じくpH2〜
5の磁性微粒子分散液を一括で添加し、超音波分散して
ポリマー粒子11と磁性微粒子12とを均一に分散さ
せ、1つのポリマー粒子11の外周に多数の磁性微粒子
12がほぼ一層に凝集した単層型ヘテロ凝集体を生成さ
せる第1工程を行う。また、磁性微粒子分散液の磁性微
粒子濃度は0.1〜10質量%程度のものを使用するこ
とが好ましい。
5、好ましくは3〜5として、ポリマー粒子11と磁性
微粒子12とを混合することによって、ポリマー粒子1
1の表面電荷と磁性微粒子12の表面電荷とが異符号と
なり、ポリマー粒子11の外周に多数の磁性微粒子12
を速やかにヘテロ凝集させることができ、かつ、ポリマ
ー粒子11同士、あるいは、磁性微粒子12同士のホモ
凝集を抑制することができる。このようなpHにおいて
は、ポリマー粒子11の表面電荷がマイナス(−)とな
り、磁性微粒子12の表面電荷がプラス(+)となる。
子11の外周を多数の磁性微粒子12が完全に、かつ、
むらなく被覆するようにポリマー粒子11の総数NPと
磁性微粒子12の総数NMとの比NP/NMを調整して、
ポリマー粒子11と磁性微粒子12とを混合する。比N
P/NMは、ポリマー粒子11の粒子径DPと磁性微粒子
12の粒子径DMとの比DP/DMによるが、例えば、こ
こで、ポリマー粒子11が粒子径1.2μm程度のポリ
スチレン粒子であり、磁性微粒子12が粒子径0.02
4μmのγ−Fe2O3微粒子である場合、第1工程にお
ける好ましいこれらの比を質量比に換算すると、ポリマ
ー粒子11の質量をWP、磁性微粒子12の質量をWMと
した場合、WM/WPは0.2〜0.6である。
ー粒子11の外周に磁性微粒子12がほぼ一層凝集して
生成した単層型ヘテロ凝集体は、その表面電位がゼロと
なり液中を沈降する。そこで、pH2〜5の酸性水溶液
を使用してデカンテーションを適宜行い、ポリマー粒子
11の外周に凝集せず、上澄み液中にフリーな状態で存
在する磁性微粒子12を除去する。なお、デカンテーシ
ョン時には、超音波分散して単層型ヘテロ凝集体を均一
に分散させた後に、上澄み液を取り除くことが好まし
い。
酸水溶液などの酸性水溶液を加えてpHを2〜5に調製
するとともに超音波分散して、酸性水溶液中に単層型ヘ
テロ凝集体を再分散させる。その後、これに、アニオン
性高分子電解質の水溶液と、多数の磁性微粒子12をあ
らかじめ超音波などで分散させたpH2〜5の磁性微粒
子分散液とを順次添加して、単層型ヘテロ凝集体の外周
にさらに多数の磁性微粒子12を凝集させる第2工程を
行う。
凝集体は、ポリマー粒子11と磁性微粒子12とが電気
的に中和することによって生成し、ポリマー粒子11の
外周に磁性微粒子12がほぼ一層に凝集したものであ
る。このような単層型ヘテロ凝集体の界面電位は、外側
に存在する磁性微粒子12の電荷に支配され、ここでは
プラス(+)に荷電している。そこで、第2工程におい
て、まず、マイナス(−)に荷電したアニオン性高分子
電解質を添加すると、アニオン性高分子電解質は、単層
型ヘテロ凝集体の界面電位を中和する量よりも過剰に、
この単層型ヘテロ凝集体に付着する。このように、荷電
固体粒子をその表面と異符号の高分子電解質で吸着処理
すると、高分子電解質は化学的中和を超えて過剰に吸着
し、固体粒子と異符号電荷を持つ高分子吸着膜を形成す
ることは、例えば、高分子論文集vol.57,No.
6,2000などに記載されている。したがって、第2
工程においてアニオン性高分子電解質を添加することに
よって、第1工程で得られた単層型ヘテロ凝集体の表面
は、マイナス(−)に荷電した状態となる。よって、そ
こにプラス(+)に荷電した磁性微粒子12をさらに添
加することにより、第1工程で得られた単層型ヘテロ凝
集体の外周にさらに磁性微粒子12が凝集し、ポリマー
粒子11に対して磁性微粒子12がほぼ2層に凝集した
多層型ヘテロ凝集体が生成する。
例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリアク
リル酸ナトリウム、アクリルアミド/アクリル酸ナトリ
ウム共重合体などを使用することができる。また、その
使用量は、第1工程で得られた単層型ヘテロ凝集体10
0質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲とすること
が好ましい。また、使用に際しては、通常、アニオン性
高分子電解質を純水に溶解させた希薄水溶液の状態で使
用し、例えば0.001〜1質量%程度の濃度の水溶液
として使用する。
って、単層型ヘテロ凝集体の外周に磁性微粒子12がほ
ぼ一層形成され、最終的には図1に示すような磁性ポリ
マー粒子10が得られるが、必要に応じて第2工程を2
回以上繰り返すことによって、単層型ヘテロ凝集体の外
周に磁性微粒子12が2層以上形成され、磁気応答性が
より優れた磁性ポリマー粒子10を製造することも可能
である。
た多層型ヘテロ凝集体はその表面電位がゼロとなり、液
中を沈降する。そこで、pH2〜5の酸性水溶液を使用
してデカンテーションを適宜行い、単層型ヘテロ凝集体
の外周に凝集せず、上澄み液中にフリーな状態で存在す
る磁性微粒子12を除去する。なお、デカンテーション
時には、超音波分散して、多層型ヘテロ凝集体を均一に
分散させた後に上澄み液を取り除くことが好ましい。
ロ凝集体に純水を添加し、さらに、オレイン酸ナトリウ
ムなどの表面改質剤の水溶液を添加して、多層型のヘテ
ロ凝集体を疎水化する。ついで、この分散液に、重合性
モノマーと重合性開始剤とを含有するモノマー組成物を
添加して、これを50〜90℃程度に加温して重合を開
始させ、多層型ヘテロ凝集体の外周にポリマー被膜13
を形成する第3工程を行う。
凝集体を表面改質することによって、この多層型ヘテロ
凝集体の外周を、ポリマー被膜13が形成されやすい状
態にすることができる。また、ここで多層型のヘテロ凝
集体の分散液の分散濃度が好ましくは0.1〜10質量
%となるように、純水量や表面改質剤の水溶液量を制御
しておく。こうすることによって、多層型ヘテロ凝集体
間に作用する相互作用を非常に小さく制御でき、ポリマ
ー被膜13を形成する第3工程を安定に行うことができ
る。また、第3工程における分散液のpHは4〜6であ
ることが好ましく、ここで必要に応じて液のpHを調製
してもよい。
の質量の5〜20%となる質量を添加することが好まし
い。表面改質剤の使用量が多層型ヘテロ凝集体の5%未
満では多層型ヘテロ凝集体同士がホモ凝集する場合があ
り、一方、20%を超えると多層型ヘテロ凝集体から磁
性微粒子12が脱離してしまう可能性がある。また、表
面改質剤は通常水溶液の形態で使用され、その水溶液の
濃度は、0.1〜5質量%程度である。また、表面改質
剤としてはオレイン酸ナトリウムが好ましいが、これ
は、オレイン酸ナトリウムは電離して、磁性微粒子12
などの無機物と親和性のある−COO-基を発生するこ
と、高分子系の表面改質剤に比べて配向性を有している
こと、炭化水素基に二重結合を有しているため重合中に
液中で著しい凝集を誘発しないことなどによる。
で得られた多層型ヘテロ凝集体100質量部に対して、
通常10〜300質量部の範囲で添加する。ここで添加
する重合性モノマーの量によって、形成されるポリマー
被膜の厚さを適宜制御することができる。
に応じて1回以上行い、そして、第3工程を行うことに
よって、ポリマー粒子11の外周に多数の磁性微粒子1
2が凝集し、さらにその外周にポリマー被膜13が形成
され、磁性微粒子12の質量割合が20〜70質量%で
ある磁性ポリマー粒子10のラテックスを製造すること
ができる。このようにして得られた磁性ポリマー粒子1
0は、そのままのラテックスの状態で、あるいは、ラテ
ックスから沈降分離、遠心分離、磁気分離などの方法で
分離された後、種々の用途、例えば、磁性トナー、磁性
インク、磁性塗料などの他、診断薬担体、細菌分離単
体、核酸分離精製担体、蛋白質精製担体、固定化酵素担
体、ドラッグデリバリー担体などの担体として使用され
る。
マー粒子11の外周に多数の磁性微粒子12が凝集し、
さらにその外周にポリマー被膜13が形成されたもので
あって、磁性ポリマー粒子10中における磁性微粒子1
2の質量割合が20〜70質量%である。したがって、
従来の磁性微粒子に比べて磁気応答性が良好であり、か
つ、磁性微粒子12のイオン化や脱離がなく、幅広い用
途に使用可能である。また、このような磁性ポリマー粒
子10は、ポリマー粒子11を含有する分散液に磁性微
粒子12を添加して、ポリマー粒子11の外周に多数の
磁性微粒子12を凝集させる第1工程と、該第1工程の
後に、アニオン性高分子電解質と磁性微粒子12とを添
加して、前記第1工程で凝集した磁性微粒子12の外周
に多数の磁性微粒子12をさらに凝集させる第2工程
と、該第2工程の後に、重合性モノマーを含有するモノ
マー組成物を添加してこれを重合させ、前記第2工程で
凝集した磁性微粒子の外周にポリマー被膜を形成する第
3工程とを有する方法で製造できる。このような製造方
法は、比較的簡単であり、しかも、第2工程を必要に応
じて繰り返すことにより、磁性微粒子12の凝集量を所
望の程度に制御できるので、高い磁気応答性を有する磁
性ポリマー粒子10を製造することも可能となる。
する。 [実施例1] (第1工程)2Lのフラスコに純水800gとスチレン
モノマー200gを投入し、80℃に昇温した後、重合
開始剤である過硫酸カリウムを2g添加して重合を開始
した。その後、80℃で7時間保持し、ついで、90℃
で3時間保持して、重合を完了させた。得られたラテッ
クス中のスチレンポリマー粒子の粒子径は、SEM観察
により1.2μmであった。得られたラテックスを遠心
精製した後、ポリマー粒子11の固形分が0.5gとな
るようにこれを取り出し、これと、pH3の硝酸水溶液
100gとを、300mlのビーカーに投入した。そし
て、このビーカーに、シーアイ化成株式会社製のγ−F
e2O3微粒子(商品名:Nanotech、TEM写真から測定
した粒子径:0.024μm)0.2gをpH3の硝酸
水溶液100gに添加し超音波分散により分散させた磁
性微粒子分散液を加え、スチレンポリマー粒子の外周に
γ−Fe2O3微粒子がほぼ一層に凝集した単層型ヘテロ
凝集体を生成させた。その後、pH3の硝酸水溶液によ
るデカンテーションを2回行った。なお、デカテーショ
ンに際しては、超音波分散により単層型ヘテロ凝集体を
良好に再分散させてから行った。
単層型ヘテロ凝集体0.7gと、pH3の硝酸水溶液1
00gを300mlのビーカーに添加し、単層型ヘテロ
凝集体を分散させた。そして、ポリスチレンスルホン酸
ナトリウムの2.5×10-3質量%水溶液5gと、第1
工程で使用したものと同じγ−Fe2O3微粒子0.2g
をpH3の硝酸水溶液60gに分散させた磁性微粒子分
散液とを、さらにこのビーカーに添加して、単層型ヘテ
ロ凝集体の外周に、さらにγ−Fe2O3微粒子を凝集さ
せ、多層型ヘテロ凝集体を得た。その後、pH3の硝酸
水溶液によるデカンテーションを2回行った。なお、デ
カテーションに際しては、超音波分散により、多層型ヘ
テロ凝集体を良好に再分散させてから行った。なお、こ
こで得られた多層型ヘテロ凝集体を別途熱重量分析した
結果、スチレンポリマー粒子の質量WPとこれに凝集し
たγ−Fe2O3微粒子の質量WMとの質量比WM/WPは
0.79であった。
後、このビーカーへpH5の酸性水溶液を200g添加
してpHを調整し、ついで表面改質剤である0.2質量
%のオレイン酸ナトリウム水溶液を28g添加して、多
層型ヘテロ凝集体の表面を表面改質した。こうして調製
された分散液の濃度は0.9質量%であった。ついで、
このビーカーにスチレンモノマー0.5gと、重合開始
剤である過硫酸カリウムを0.05g添加して重合を開
始した。その後70℃で8時間保持して、γ−Fe2O3
微粒子の外周にスチレンポリマー被膜を形成した。この
ようにしてスチレンポリマー粒子の外周に多数のγ−F
e2O3微粒子が凝集し、さらにその外周にスチレンポリ
マー被膜が形成された粒子径1.5μmの磁性ポリマー
粒子のラテックスが得られた。
離により分離して、これを熱重量分析した結果、磁性ポ
リマー粒子中のγ−Fe2O3微粒子の質量割合は40質
量%であった。また、TEM観察から、ポリマー被膜の
厚さは0.1μmであることがわかった。
γ−Fe2O3微粒子を0.05gとした以外は、実施例
1と同様に行って、粒子径1.5μmの磁性ポリマーの
ラテックスを得た。なお、第2工程で得られた多層型ヘ
テロ凝集体を別途熱重量分析した結果、W M/WPは0.
5であった。さらに、第3工程終了後、ラテックス中の
磁性ポリマー粒子を磁気分離により分離して、これを熱
重量分析した結果、磁性ポリマー粒子中のγ−Fe2O3
微粒子の質量割合は28.6%で、ポリマー被膜の厚さ
は0.1μmであった。
り返した以外は実施例1と同様に行って、粒子径1.8
μmの磁性ポリマーのラテックスを得た。なお、第2工
程で得られた多層型ヘテロ凝集体を別途熱重量分析した
結果、W M/WPは1.6であった。さらに、第3工程終
了後、ラテックス中の磁性ポリマー粒子を磁気分離によ
り分離して、これを熱重量分析した結果、磁性ポリマー
粒子中のγ−Fe2O3微粒子の質量割合は62%で、ポ
リマー被膜の厚さは0.1μmであった。
かった以外は実施例1と同様に行って、粒子径1.5m
の磁性ポリマーのラテックスを得た。らに、第3工程終
了後、ラテックス中の磁性ポリマー粒子を磁気分離によ
り分離して、これを熱重量分析した結果、磁性ポリマー
粒子中のγ−Fe2O3微粒子の質量割合は18%で、ポ
リマー被膜の厚さは0.1μmであった。
ー粒子は、比較的簡単な方法で製造でき、磁気応答性が
良好であり、かつ、磁性微粒子のイオン化や脱離がな
く、診断薬担体などの担体をはじめとして、幅広い用途
に使用可能である。また、本発明の磁性ポリマー粒子の
製造方法によれば、磁気応答性を所望の程度に制御した
磁性ポリマー粒子を容易に製造することができる。
図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 ポリマー粒子の外周に多数の磁性微粒子
が凝集し、さらにその外周にポリマー被膜が形成された
磁性ポリマー粒子であって、 当該磁性ポリマー粒子中の前記磁性微粒子の質量割合が
20〜70質量%であることを特徴とする磁性ポリマー
粒子。 - 【請求項2】 ポリマー粒子を含有する分散液に磁性微
粒子を添加して、ポリマー粒子の外周に多数の磁性微粒
子を凝集させる第1工程と、 アニオン性高分子電解質と磁性微粒子とを添加して、前
記第1工程で凝集した磁性微粒子の外周に多数の磁性微
粒子をさらに凝集させる第2工程と、 重合性モノマーを含有するモノマー組成物を添加してこ
れを重合させ、前記第2工程で凝集した磁性微粒子の外
周にポリマー被膜を形成する第3工程とを有することを
特徴とする磁性ポリマー粒子の製造方法。 - 【請求項3】 前記アニオン性高分子電解質が、ポリス
チレンスルホン酸ナトリウムであることを特徴とする請
求項2に記載の磁性ポリマー粒子の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002082045A JP2003282310A (ja) | 2002-03-22 | 2002-03-22 | 磁性ポリマー粒子およびその製造方法 |
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JP2002082045A JP2003282310A (ja) | 2002-03-22 | 2002-03-22 | 磁性ポリマー粒子およびその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2003282310A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005048104A (ja) * | 2003-07-30 | 2005-02-24 | Sekisui Chem Co Ltd | 金属含有樹脂粒子 |
JP2006036841A (ja) * | 2004-07-23 | 2006-02-09 | Trial Corp | イオン交換樹脂で被覆された複合粒子 |
JP2015189812A (ja) * | 2014-03-27 | 2015-11-02 | 東ソー株式会社 | 被覆された微粒子の製造方法 |
-
2002
- 2002-03-22 JP JP2002082045A patent/JP2003282310A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005048104A (ja) * | 2003-07-30 | 2005-02-24 | Sekisui Chem Co Ltd | 金属含有樹脂粒子 |
JP4540314B2 (ja) * | 2003-07-30 | 2010-09-08 | 積水化学工業株式会社 | 金属含有樹脂粒子の製造方法 |
JP2006036841A (ja) * | 2004-07-23 | 2006-02-09 | Trial Corp | イオン交換樹脂で被覆された複合粒子 |
JP2015189812A (ja) * | 2014-03-27 | 2015-11-02 | 東ソー株式会社 | 被覆された微粒子の製造方法 |
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