JP2003282020A - 放電灯 - Google Patents

放電灯

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JP2003282020A
JP2003282020A JP2002080453A JP2002080453A JP2003282020A JP 2003282020 A JP2003282020 A JP 2003282020A JP 2002080453 A JP2002080453 A JP 2002080453A JP 2002080453 A JP2002080453 A JP 2002080453A JP 2003282020 A JP2003282020 A JP 2003282020A
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quartz glass
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sioh
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JP2002080453A
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Tsutomu Nishimura
強 西村
Shin Kuzuu
伸 葛生
Masahiro Kurano
正宏 倉野
Izumi Serizawa
和泉 芹澤
Akiyoshi Fujimori
昭芳 藤森
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Orc Manufacturing Co Ltd
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Orc Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 OH基を含む石英ガラスを光透過部とする放電
灯を、長時間使用しても割れないようにする。 【解決手段】 放電灯の発光管を石英ガラスで構成す
る。発光管の少なくとも一部を、光透過性の紫外線放射
部aとする。紫外線放射部aにおける独立SiOH基(他の
ガラス構造要素と水素結合していない自由なSiOH基)の
割合を、全SiOH基とH2Oを併せた全OH基全体の0.44以上
とする。希ガスを0.1×105Pa以上封入し、0.1mg/cc以
上60mg/cc以下の量の水銀を封入する。点灯中の紫外線
照射によって、水素結合によるメカニズムで石英ガラス
構造が変化し、衝撃に対する耐性が低下するが、独立Si
OH基の割合を多くしたので、石英ガラス構造の変化が少
なくなり、劣化が低減される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放電灯に関し、特
に、紫外線放射部分の石英ガラスを脆化しにくくして、
長時間割れないで使用できるようにした放電灯に関す
る。
【0002】
【従来の技術】誘電体バリア放電ランプなどの紫外線を
発生する放電灯は、紫外線放射部分に石英ガラスが使用
されている。このような誘電体バリア放電ランプは、従
来の低圧水銀ランプや高圧アーク放電ランプにない特徴
をもっている。例えば、中心波長が172nmという短い波
長の真空紫外線を放射する。しかも、線スペクトルに近
い単一波長の光を選択的に高効率で発生する。誘電体及
び光透過窓として石英ガラスを選べば、市販のものを使
うことができ、簡単に製造できる。
【0003】誘電体バリア放電ランプについては、特開
平1-144560号公報や米国特許9,837,484号明細書などに
記載されている。そこには、放電容器にエキシマ分子を
作るガスを充填し、誘電体バリア放電によってエキシマ
分子から放射される光を取り出す放射器、すなわち誘電
体バリア放電ランプについて記載されている。この誘電
体バリア放電は、別名をオゾナイザ放電あるいは無声放
電といい、文献1[電気学会発行改定新版「放電ハンド
ブック」平成1年6月再版7刷発行第263ページ]に説
明されている。文献1には、略円筒状の放電容器の少な
くとも一部が誘電体バリア放電の誘電体を兼ねているこ
と、また、誘電体は光透過性であって、エキシマ分子か
らの光が放射されることが記載されている。そして、こ
のような光を透過する誘電体としては、石英ガラスが適
用されるべきことも開示されている。
【0004】放電灯を長時間点灯すると、紫外線放射部
分の石英ガラスが変質して脆化し、わずかな衝撃でも割
れてしまう。石英ガラスに高出力レーザーを照射する
と、石英ガラスが破壊あるいは損傷する。この破壊ある
いは損傷のしきい値は、素材の性質によって決まること
が知られている。例えば、文献2[リアライズ社発行
「非晶質シリカ材料応用ハンドブック」第261〜268ペー
ジ]参照。しかしながら、素材の違いによって、放電灯
の劣化がどのように異なるかについては知られていな
い。
【0005】ところで、この石英ガラスは、適量のOH基
(水酸基)を含ませる方が、純粋なシリカ(SiO2)で構成
するより、放射する紫外線によるダメージを軽減できる
ということが知られている。つまり、石英ガラスにOH基
を含ませる方が良いわけであるが、その含有量があまり
に多くなると、OH基自体による紫外線吸収によって、早
期に所望の放射量が得られなくなるという問題がある。
逆に、OH基の含有量があまりに少なすぎる場合は、紫外
線のダメージを受けてしまい、石英ガラスの劣化を招く
などの問題を生ずる。
【0006】石英ガラスに含ませるOH基の量を調節し
て、放電ランプの寿命を延ばす方法が、いくつか提案さ
れている。以下に、従来の放電ランプの例をあげる。
【0007】特開昭56-130070号公報に開示された「高
圧放電灯」は、封体の軸が鉛直方向以外の方向に沿った
状態で点灯されたときでも、封体が破裂することのない
ものである。水酸基含有率が100ppm以下の石英ガラスよ
り成る封体により構成した。
【0008】特許第2891997号公報に開示された「紫外
線ランプ」は、高い放射輝度で真空紫外域〜紫外域の光
が効率よく得られ、放射光束維持率が高くて寿命が長
く、安全に点灯使用できる紫外線ランプである。石英ガ
ラス製放電容器に、アルゴン、クリプトン、キセノンの
うち、少なくとも1種類の希ガスが、300K換算で、全圧
0.1×105Pa以上封入される。必要に応じて、0.7mg/cc
以上7mg/cc以下の量の水銀が封入される。放電容器の
少なくとも一部は、その内表面から200μmまでの深さ
での平均OH基濃度が、7.8×1024個/m3以上である。内
表面から深さ20μmまでの領域の平均OH基濃度が、1.5
×1025個/m3以上1.2×1026個/m3以下である。内表面
からの深さ200μmより深い領域から、放電容器の外表
面からの深さ600μmまでの領域間の平均OH基濃度が、
6.2×1025個/m3以下である。
【0009】特開平6-231732号公報に開示された「誘電
体バリア放電ランプ」は、点灯時間の経過にしたがって
光出力が低下しない誘電体バリア放電ランプである。放
電容器内に、誘電体バリア放電によってエキシマ分子を
形成する放電用ガスを充填する。該誘電体バリア放電に
よって発生したエキシマ分子から放射される光を取り出
す窓部材を有する。窓部材に使用される石英ガラスのOH
基含有量を、重量で100ppm以上のものを使用する。
【0010】特開平6-231733号公報に開示された「誘電
体バリア放電ランプ」は、点灯時間の経過にしたがって
光出力が低下しない、寿命特性が十分である誘電体バリ
ア放電ランプである。放電容器内に誘電体バリア放電に
よってエキシマ分子を形成する放電用ガスを充填する。
誘電体バリア放電によって発生したエキシマ分子から放
射される光を取り出す窓部材を有する。窓部材に使用さ
れる石英ガラスのOH基の含有量を、重量で10ppm以下に
する。
【0011】特許第2991933号公報に開示された「半導
体露光用放電ランプ」は、波長248nmにピークを有す
る、波長240nmから254nmの範囲の光を、効率良く長時間
取り出せる放電ランプである。放電ランプを構成する発
光管の石英ガラスに、カラーセンターの生じにくいもの
を使用する。また、金属不純物が少ないことにより熱振
動による吸収の少ないものを使用する。石英ガラス製の
発光管内に、近接して一対の電極を配置する。封入物と
して、水銀と希ガスとを封入する。波長240nmから254nm
の範囲の水銀分子の発光を、効率良く取り出せるように
する。石英ガラスのOH基含有量を、重量ppmで300から80
0とする。
【0012】特開平9-171799号公報に開示された「放電
ランプおよび真空紫外光源装置」は、可視光を肉眼で観
察することにより、動作状態の診断が可能な放電ランプ
である。放電容器又はランプハウスの窓部材の真空紫外
光の透過率が低下せず、使用寿命の長い放電ランプであ
る。放電ランプは、真空紫外光を放出する。定格動作状
態において、波長650nm付近の蛍光が目視で観測されな
い石英ガラスにより、放電容器が構成されている。真空
紫外光源装置は、放電容器を有し、真空紫外光を放出す
る放電ランプと、放電ランプからの真空紫外光を取り出
す窓部材を有するランプハウスとを具える。ランプハウ
ス内が不活性ガスで充満された状態で作動する。放電ラ
ンプの定格動作状態において、波長650nm付近の蛍光が
目視で観測されない石英ガラスで、放電容器および窓部
材の少なくとも一方が構成されている。
【0013】特開2000-48772号公報に開示された「誘電
体バリア放電ランプ、および照射装置」は、OH基を含有
した石英ガラスを光透過性部分とした誘電体バリア放電
ランプである。誘電体バリア放電ランプを光源とし、OH
基を含有した石英ガラスを窓部材とした照射装置であ
る。石英ガラスの紫外線によるダメージを良好に抑え、
かつ、十分な紫外線放射量を得ることができるランプで
ある。石英ガラスからなる放電容器の内部に、誘電体バ
リア放電によってエキシマ分子を形成する放電用ガスが
充填される。この放電容器の少なくとも一部に、光透過
性部分が形成されている。この光透過性部分における非
水素結合性OH基の割合が、全体のOH基の0.36以下であ
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の放電灯
では、長時間点灯した場合、紫外線放射部分の石英ガラ
スが変質して脆化するという問題がある。
【0015】本発明は、上記従来の問題を解決して、長
時間点灯した場合における紫外線放射部分の石英ガラス
の変質や脆化を低減して、長時間安定して割れることな
く使用できる放電灯を実現することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明では、放電灯を、SiOH基を有する石英ガラ
スで構成されている放電容器を具備し、放電容器の一部
に、石英ガラス中の他の構造要素と水素結合していない
自由なSiOH基の割合が、SiOH基とH2Oを併せたOH基全体
の0.44以上である光透過性部分を備えた構成とした。
【0017】このように構成したことにより、長時間点
灯しても、紫外線放射部分の石英ガラスの変質や脆化の
程度が小さくなり、長時間安定して割れることなく使用
できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1〜図6を参照しながら詳細に説明する。
【0019】(第1の実施の形態)本発明の第1の実施
の形態は、SiOH基を有する石英ガラスで構成されている
発光管の一部に、独立SiOH基の割合がOH基全体の0.44以
上である光透過性部分を備え、希ガスを0.1×105Pa以上
封入し、0.1mg/cc以上60mg/cc以下の量の水銀を封入
したショートアーク型放電灯である。
【0020】図1は、本発明の第1の実施の形態におけ
るショートアーク型放電灯の断面図である。図1におい
て、紫外線放射部aは、紫外線を放射する石英ガラス製
発光管である。電極bは、陽極である。電極cは、陰極
である。チップ部dは、希ガス及び水銀を入れる部分で
ある。第1の実施の形態におけるショートアーク型放電
灯の基本的な構成は、従来のものと同じである。石英ガ
ラスの材質が異なる。
【0021】図2は、ショートアーク型放電灯の耐圧テ
ストの結果を示す表である。図3は、石英ガラスに含ま
れる各種のOH基の説明図である。図4は、石英ガラスの
吸収帯における5つの要素バンドの中心波数の設定値の
表である。図5は、吸収帯を5つの要素バンドに分離し
た例を示すグラフである。1〜5は、要素バンドの番号
である。要素バンド5は、グラフ上では判別できない。
【0022】上記のように構成された本発明の第1の実
施の形態におけるショートアーク型放電灯の特性と製法
を説明する。紫外線放射部aである石英ガラス製発光管
の内部に、電極bと電極cが対向配置され、発光管の両
側で、密閉封止されている。図1に示す構造のショート
アーク型放電灯の発光管内部に、水銀と希ガスを封入す
る。水銀は、0.1mg/cc以上60mg/cc以下の量を封入す
る。希ガスは、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノ
ンのうち少なくとも1種類以上を、温度300K換算で全圧
が0.1×105Pa以上となるように封入する。直流の定電力
電源を使い、約2500Wでこの放電灯を点灯する。
【0023】発光管内部に、ネオン、アルゴン、クリプ
トン、キセノンのうち少なくとも1種類以上の希ガス
を、温度300K換算で、全圧が0.1×105Pa以上となるよう
に封入する理由は、封入された希ガス全圧が、温度300K
換算で0.1×105Pa未満であると、希ガスによる紫外線発
光効率が十分に高くならないからである。また、水銀を
封入する場合に、水銀封入量を、0.1mg/cc以上60mg/c
c以下とする理由は、0.1mg/cc未満であると、十分な紫
外線発光効率を得ることができず、60mg/ccを越える
と、使用時の発光管の内圧が高くなり、破裂してしまう
からである。ここまでは、従来の放電灯と基本的には同
じである。
【0024】ショートアーク型放電灯は、点灯すると高
温になるとともに、エネルギーの高い光を少なからず発
生する。したがって、発光管材料であると同時に光透過
材料である石英ガラスは、高温でしかもエネルギーの高
い紫外線の暴露下にある。従来例の説明で述べたよう
に、石英ガラス中のOH基がSiと結合してSiOH基ができ、
SiOH基が紫外線を吸収して、石英ガラスの特性を変化さ
せる。SiOH基の主な効果としては、次の2つがある。
【0025】1つは、紫外線劣化防止効果である。SiOH
基には紫外線劣化防止効果があることが、紫外レーザー
などの研究ですでに知られている。石英ガラスは非晶質
であるために、歪んだ結合を多くもっている。特に、Si
-O-Si結合角は、安定な値からずれやすい。SiOH基があ
ると、石英ガラス網目構造が切断されることにより、不
安定なSi-O-Si結合角をもった部分の割合が少なくな
る。それと同時に、網目構造の切断により、網目構造の
柔軟性が増し、いったん切断されても再結合しやすくな
る。そのため、紫外線耐性が高まる。ところが、SiOH基
が水素結合すると、SiOH基の自由度が奪われ、ガラス骨
格構造が硬くなる。その結果、紫外線照射に対して劣化
しやすくなる。
【0026】2つ目は、水の拡散効果である。SiOH基同
士が水素結合していると、これから水がとれて、Si-O-S
i結合と水分子になる。その後、この水が再び他のSi-O-
Si構造と反応することにより、別の部分に水素結合した
SiOH基の対を作る。このような過程を繰り返して、水が
拡散する。放電灯が点灯により高温になると、この過程
を繰り返して、水の拡散が生じる。放電灯内部の方が外
部より高温であるため、水の拡散に伴って石英ガラスの
粘度が低下し、外側の比較的硬い部分の負荷が高まる。
その結果、最悪の場合には、点灯中に破裂するという事
態になる。
【0027】長時間の紫外線照射によって、石英ガラス
の衝撃耐性が低下する原因は、紫外線照射によって、上
記の水素結合によるメカニズムで石英ガラス構造が変化
し、衝撃に対する耐性が低下することである。したがっ
て、石英ガラス中の他の構造要素と水素結合していない
自由なSiOH基(独立SiOH基)の割合が多くなれば、石英
ガラス構造が変化せず、劣化が起こらない。
【0028】独立SiOH基とは、図3(a)に示すよう
に、1つのケイ素(Si)とOH基が結合したものを意味す
る。OH基全体とは、独立SiOH基と、図3(b−1)、
(b−2)に示すような水素結合したOH基と、図3
(c)に示す石英ガラスに含まれる水分子(H2O)のOH
基とを含めた全てのOH基を意味する。
【0029】石英ガラス中のOH基が光を吸収する吸収帯
には、文献3[Journal of Non-Crystalline Solids 261
(2000)186-194]や、文献4[Journal of Non-Crystall
ineSolids 201(1996)177-198]などに記載されている
ように、波数3672cm-1を中心とする幅の広い吸収帯があ
る。この幅の広い吸収帯のうち、高振動数側の吸収帯
は、独立SiOH基による吸収帯であり、低振動数側の吸収
帯は、H2Oによる吸収帯であり、この中間の吸収帯は、
水素結合したOH基による吸収帯であり、この波数3672cm
-1を中心とする幅の広い吸収帯中には3種類のOH基に対
応する吸収帯がそれぞれ位置しているということが、文
献4に述べられている。
【0030】3種類のOH基の濃度の測定方法を説明す
る。波数3672cm-1を中心とする幅の広い吸収帯におい
て、独立SiOH基と水素結合したOH基と、H20のOH基との
存在位置が示されていることを利用して、独立SiOH基の
割合(濃度)を、以下のよう測定する。石英ガラス中に
含まれる3種類のOH基の濃度比率を測るために、波数36
72cm-1の幅の吸収帯を細かく分ける。ガウス分布で表さ
れる5つの吸収帯(要素バンド)を仮定する。この5つ
の要素バンドの和が、赤外透過スペクトルで測定された
波数3672cm-1を中心とする幅の広い吸収帯にできるだけ
一致するように、要素バンドの強度を設定する。この点
を、さらに詳細に説明する。
【0031】一般的に、ガウス分布強度は、 I(ν)={Is/(σ√(2π))}exp{−(ν−ν0)2/(2σ
2)} で表される。ここで、Isは強度(面積強度)、νは波
数、σは標準偏差、ν0は要素バンドの中心波数であ
る。5つの要素バンドの中心波数は、何れの場合も、図
4に示す値に設定する。強度Isは、波数3672cm-1の吸
収帯を再現するように決定する。図4中、独立SiOH基
は、要素バンド1、2に対応し、水素結合したOH基は、
要素バンド3、4に対応し、H2Oは、要素バンド5に対
応する。但し、幅というのは半値全幅Δνで、標準偏差
との間に、 Δν=σ√(2ln2) の関係がある。
【0032】図5に、5つの要素バンドに吸収帯を分離
した例を示す。横軸は光の波数であり、左側が波数が大
である短波長側となっている。縦軸は、測定対象物であ
る石英ガラスでの吸光度である。このようにして求めた
5つの要素バンドから、独立SiOH基と、水素結合したOH
基と、H2OのOH基とを求める。独立SiOH基の割合とは、
要素バンド1、2のグラフ下の面積の和(すなわち、独
立SiOH基の要素バンドの和)を、要素バンド1、2、
3、4、5のグラフ下の面積の和(すなわち、OH基の要
素バンドの合計で波数3672cm-1を中心とする幅の広い吸
収帯の面積)で除したものである。したがって、ある石
英ガラスの独立SiOH基が、全体のOH基に対してどのくら
いであるかを評価するには、図3に示すような、要素バ
ンドのグラフを求めて、グラフ下の面積の割合を求める
ことで判定できる。
【0033】耐圧試験の方法を説明する。石英ガラス中
のOH基全体に対する独立SiOH基の比率が異なる放電灯を
作成する。この放電灯を1500時間だけ点灯する。その
後、耐圧テストを行う。その結果を、図2に示す。耐圧
テストとは、図1中に示すチップ部dから水を封入して
加圧していき、何kPaの圧力で破裂するかを調べるテス
トである。
【0034】図1に示すショートアーク型放電灯の場
合、種類によっては、点灯時に発光管内部が非常に高圧
になり、おおよそ2600kPaにもなる。即ち、長時間の使
用後における耐圧テストで、2600kPa以上の耐圧性能が
ないと、使用中に割れる可能性が高くなる。ショートア
ーク型放電灯における耐圧テストの結果、未点灯(紫外
線未照射)の放電灯は、全て3500kPa以上の耐圧力をも
っていた。しかし、1500時間点灯した放電灯の内、独立
SiOH基の比率が0.44以上の放電灯のみ、2600kPa以上の
耐圧力を維持していた。
【0035】ショートアーク型放電灯の発光管に用いる
石英ガラスの製造方法を説明する。天然の石英粉を電気
的に溶融して、電気溶融石英ガラスにすることにより、
放電灯の発光管の石英ガラスを製造する。あるいは、放
電灯の石英ガラスを、天然の石英粉を火炎中で溶融し
て、火炎溶融石英ガラスとすることにより製造する。ま
たは、放電灯の石英ガラスとして、ケイ素化合物を火炎
中で加水分解して堆積ガラス化することにより、直接法
合成石英ガラスを製造する。または、放電灯の石英ガラ
スとして、ケイ素化合物を火炎柱で加水分解して、シリ
カの多孔質体を形成したのち、適当な雰囲気中で加熱処
理することによりOH基などの量を制御したのち、さらに
高温でガラス化することによりスート再溶融法石英ガラ
スを製造する。これらの製造方法は周知の方法であり、
プロセスのパラメータを変えることで、各OH基の濃度を
調整することができる。石英ガラス中の全OH基の量は、
重量濃度で10ppm以上である必要がある。望ましくは、
石英ガラス中の全OH基の量が、重量濃度で50ppm以上で
ある。
【0036】上記のように、本発明の第1の実施の形態
では、ショートアーク型放電灯を、SiOH基を有する石英
ガラスで構成されている発光管の一部に、独立SiOH基の
割合がOH基全体の0.44以上である光透過性部分を備え、
希ガスを0.1×105Pa以上封入し、0.1mg/cc以上60mg/c
c以下の量の水銀を封入した構成としたので、紫外線放
射部分の石英ガラスが脆化しにくくなり、長時間割れる
ことなく使用できる。
【0037】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施
の形態は、SiOH基を有する石英ガラスで構成されている
発光管の一部に、独立SiOH基の割合がOH基全体の0.44以
上である光透過性部分を備え、希ガスを数十Pa以上封入
し、1mgから数100mgの量の水銀を封入した低圧水銀灯
である。
【0038】図6は、本発明の第2の実施の形態におけ
る低圧水銀灯の側面図である。図6において、紫外線放
射部eは、紫外線を放射する石英ガラス発光管である。
電極fは、水銀蒸気に電流を流す放電電極である。口金
gは、内部に配置された電極fと発光管を保持する部材
である。チップ部hは、希ガス及び水銀を封入する部分
である。図2は、低圧水銀灯の耐圧テストの結果を示す
表である。
【0039】上記のように構成された本発明の第2の実
施の形態における低圧水銀灯の特性を説明する。図6に
示す構造の低圧水銀灯において、発光管内部に水銀と希
ガスを封入する。交流の定電力電源を使い、約40Wでこ
の水銀灯を点灯する。低圧水銀灯の基本的な構造は、従
来のものと同じである。発光管の石英ガラスの材質が、
従来のものと異なる。
【0040】低圧水銀灯の耐圧試験の方法を説明する。
紫外線放射部の石英ガラスの成分が異なる発光管を有す
る低圧水銀灯を複数用意する。すなわち、石英ガラスの
OH基全体に対する独立SiOH基の比率が異なる水銀灯を各
種作成する。これらの水銀灯を1500時間点灯した後、耐
圧テストを行う。その結果を、図2(b)に示す。耐圧
テストとは、図6中に示すチップ部hから水を封入して
加圧していき、何kPaで破裂するかを調べるテストであ
る。
【0041】図6に示す低圧水銀灯の場合、点灯時の発
光管内部の圧力は、数十kPaになる。即ち、長時間の使
用後における耐圧テストで、100kPa以上の耐圧性能がな
ければ、使用中に割れる可能性が高くなる。水銀灯の安
全性を考えた場合、300kPa以上の耐圧を持つ方が良い。
低圧水銀灯における耐圧テストの結果、未点灯(紫外線
未照射)の水銀灯は、全て950kPa以上の耐圧力をもって
いた。しかし、1500時間点灯した水銀灯の内、独立SiOH
基の比率が0.44以上の水銀灯のみ、300kPa以上の耐圧力
を維持していた。独立SiOH基の比率が0.37未満の水銀灯
は、耐圧テスト準備中に割れてしまった。その他の点
は、第1の実施の形態と同じである。
【0042】上記のように、本発明の第2の実施の形態
では、低圧水銀灯を、SiOH基を有する石英ガラスで構成
されている発光管の一部に、独立SiOH基の割合がOH基全
体の0.44以上である光透過性部分を備え、希ガスを数10
Pa以上封入し、1mgから数100mgの量の水銀を封入した
構成としたので、紫外線放射部分の石英ガラスが脆化し
にくくなり、長時間割れることなく使用できる。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
では、放電灯を、SiOH基を有する石英ガラスで構成され
ている放電容器を具備し、放電容器の一部に、石英ガラ
ス中の他の構造要素と水素結合していない自由なSiOH基
の割合が、SiOH基とH2Oを併せたOH基全体の0.44以上で
ある光透過性部分を備えた構成としたので、長時間点灯
しても、紫外線放射部分の石英ガラスの変質や脆化の程
度が小さくなり、長時間安定して割れることなく使用で
きるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるショートア
ーク型放電灯の断面図、
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるショートア
ーク型放電灯の耐圧テストの結果を示す表、
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるショートア
ーク型放電灯の石英ガラス中のOH基の説明図、
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるショートア
ーク型放電灯の石英ガラス中のOH基による吸収帯中の5
つの要素バンドの中心波数の設定値の表、
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるショートア
ーク型放電灯の石英ガラス中のOH基による吸収帯中の5
つの要素バンドを分離したグラフ、
【図6】本発明の第2の実施の形態における低圧水銀灯
の側面図である。
【符号の説明】
a 紫外線放射部 b 電極 c 電極 d チップ部 e 紫外線放射部 f 電極 g 口金 h チップ部
フロントページの続き (72)発明者 倉野 正宏 長野県茅野市玉川4896 株式会社オーク製 作所諏訪工場内 (72)発明者 芹澤 和泉 長野県茅野市玉川4896 株式会社オーク製 作所諏訪工場内 (72)発明者 藤森 昭芳 長野県茅野市玉川4896 株式会社オーク製 作所諏訪工場内 Fターム(参考) 4G014 AH00 AH23 5C015 PP02 PP03 PP04 PP05 5C043 AA07 AA14 AA20 CC01 CD01 DD02 EA19 EB15 EC20

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiOH基を有する石英ガラスで構成されて
    いる放電容器を具備し、前記放電容器の一部に、石英ガ
    ラス中の他の構造要素と水素結合していない自由なSiOH
    基の割合が、全SiOH基とH2Oを併せたOH基全体の0.44以
    上である光透過性部分を備えたことを特徴とする放電
    灯。
  2. 【請求項2】 前記放電容器に、ネオン、アルゴン、ク
    リプトン、キセノンのうち少なくとも1種類以上の希ガ
    スを、温度300K換算で全圧が0.1×105Pa以上となるよう
    に封入したことを特徴とする請求項1記載の放電灯。
  3. 【請求項3】 0.1mg/cc以上60mg/cc以下の量の水銀
    を封入したことを特徴とする請求項2記載の放電灯。
  4. 【請求項4】 1mg〜数100mgの量の水銀を封入したこ
    とを特徴とする請求項2記載の放電灯。
  5. 【請求項5】 前記石英ガラス中の全OH基の量が、重量
    濃度で10ppm以上であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載の放電灯。
  6. 【請求項6】 前記石英ガラス中の全OH基の量が、重量
    濃度で50ppm以上であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載の放電灯。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の放電灯
    の石英ガラスを、天然の石英粉を電気的に溶融すること
    により製造することを特徴とする放電灯の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載の放電灯
    の石英ガラスを、天然の石英粉を火炎中で溶融すること
    により製造することを特徴とする放電灯の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれかに記載の放電灯
    の石英ガラスを、ケイ素化合物を火炎中で加水分解して
    堆積ガラス化することにより製造することを特徴とする
    放電灯の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6のいずれかに記載の放電
    灯の石英ガラスを、ケイ素化合物を火炎柱で加水分解し
    て、石英の多孔質体を形成したのち、適当な雰囲気中で
    加熱処理することによりOH基などの量を制御したのち、
    さらに高温でガラス化することにより製造することを特
    徴とする放電灯の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007042542A (ja) * 2005-08-05 2007-02-15 Ushio Inc フラッシュランプ
JP2013073697A (ja) * 2011-09-26 2013-04-22 Iwasaki Electric Co Ltd ショートアーク型放電ランプ

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