JP2003278996A - ガス貯蔵タンク - Google Patents

ガス貯蔵タンク

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JP2003278996A
JP2003278996A JP2002088534A JP2002088534A JP2003278996A JP 2003278996 A JP2003278996 A JP 2003278996A JP 2002088534 A JP2002088534 A JP 2002088534A JP 2002088534 A JP2002088534 A JP 2002088534A JP 2003278996 A JP2003278996 A JP 2003278996A
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gas storage
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adsorbent
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JP2002088534A
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Mamoru Inoue
衞 井上
Tsutomu Sugiura
勉 杉浦
Katsumi Kaneko
克美 金子
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガス吸着材の吸発熱に対応した効率的な熱交
換が可能なガス貯蔵タンクを提供する。 【解決手段】 金属板とガス吸着層とを交互に積層させ
たタンク構造体11を、容器12内部に収納してなるガ
ス貯蔵タンク10。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス吸着材が内部
に収納されてなるガス貯蔵タンクに関し、より詳しく
は、ガス吸着材の熱授受およびガスの流れが改善された
ガス貯蔵タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】ガスを貯蔵する技術としては、単に加
圧することによって体積を圧縮してボンベに充填する方
法、冷却により液化して断熱容器に充填する方法、
アセチレンの場合に使用されるような、溶剤に溶解して
ボンベに充填する方法、ガスを吸着するガス吸着材を
用いてガスを貯蔵する方法、等が知られている。この中
では、比較的低い圧力でのガスの多量貯蔵を可能にする
方法である、ガス吸着材を用いてガスを貯蔵する方法が
近年注目を集めている。
【0003】ガス吸着材は、ガスの吸着時および脱着時
に発熱または吸熱する特性を有している。吸着時の発熱
は、ガス分子が細孔内に吸着されることによって、分子
運動が止まってしまい、今まで持っていた運動エネルギ
ーが熱として放出されることを要因とする。逆に脱着時
には、外部よりエネルギーを与える必要があり、断熱系
では吸熱現象が確認できる。
【0004】吸着剤の温度変化は、吸着性能に多大な影
響を及ぼすことが知られており、ガス吸着材の温度変化
は極力避けることが好ましい。例えば、ガス吸着材から
ガスが脱着する反応が吸熱反応であると、ガス脱着に伴
いガス吸着材温度が徐々に低下し、ガス貯蔵タンクから
ガスを取り出すことが次第に困難になる問題がある。逆
に、ガス吸着材にガスが吸着する反応が発熱反応である
と、ガス吸着に伴いガス吸着材温度が徐々に向上し、ガ
ス貯蔵タンクへのガスの吸着が次第に困難になる問題が
ある。
【0005】このような問題解決のため、ガス吸着材の
吸発熱作用に対応して熱交換を促進させる技術が各種開
発されている。例えば、特開2000−146092号
公報には、ガス貯蔵タンク中のガス吸着材が収納される
領域を、複数のセルに分割し、セルを構成する壁部内部
に冷媒または熱媒を流通させる技術が開示されている。
この発明においては、壁部内部を流通する冷媒によりガ
ス吸着材の発熱が除去される。また熱媒を流通させてガ
ス吸着材が吸熱する熱量を供給することができる。これ
らの作用により、ガス吸着材温度の上昇や低下を抑制す
る。
【0006】しかしながら、ガス貯蔵タンクの壁部内部
に熱媒体を通過させることは、装置を非常に複雑なもの
とし、ガス貯蔵タンクを高価な特殊装置にしてしまう。
また、上述のガス貯蔵タンクは、壁部内部を流通する冷
媒または熱媒からの距離が小さい領域においては、効果
的な熱交換が図れるかもしれない。しかしながら、冷媒
または熱媒が流通する流路からの距離に応じた熱分布が
生じてしまうため、前記流路から離れた領域に存在する
ガス吸着材の熱交換を促進させることが困難である。
【0007】冷媒または熱媒が流通する流路からの距離
に応じた熱分布を抑制するためには、前記流路の数を増
加させる手段も考えられる。しかしながら、流路を増加
させればガス貯蔵タンクにおけるガス吸着材領域の体積
が減少するため、当然の結果としてガス貯蔵能力が低下
してしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事実に
鑑み完成されたものであり、ガス吸着材の吸発熱に対応
した効率的な熱交換が可能なガス貯蔵タンクを提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、金属板とガス吸着層と
を交互に積層させたタンク構造体を、容器内部に収納し
てなるガス貯蔵タンクによって、上記目的を達成できる
ことを見出した。かかる構成を有する本発明のガス貯蔵
タンクは、金属板とガス吸着層との接触面による伝熱
と、非接触面におけるガス流れの促進によって、ガス貯
蔵タンク全体に渡って均一なガスの吸脱着が可能であ
る。活性炭、ゼオライト、金属錯体などのガス吸着剤を
ガス貯蔵タンク内に圧密すると、ガスの流れが阻害さ
れ、貯蔵タンク内にデッドゾーンが生じてしまう問題も
生じうる。しかしながら、本発明の貯蔵タンクは、ガス
流れと熱流れとのバランスをとることができるため、デ
ッドゾーンが生じにくく、効率的で安定したガスの吸脱
着が図れる。
【0010】本発明の具体的構成は以下の通りである。
【0011】本発明は、金属板とガス吸着層とを交互に
積層させたタンク構造体を、容器内部に収納してなるガ
ス貯蔵タンクである。
【0012】前記タンク構造体は、渦巻状に捲回されて
なることが好ましい。
【0013】前記金属板の平均厚さが10〜1000μ
mであることが好ましい。より好ましくは10〜100
μmである。
【0014】前記金属板は、熱伝導率が15W/(m・
K)以上であることが好ましい。
【0015】前記金属板は、ステンレス鋼板、銅板また
は表面処理鋼板であることが好ましい。
【0016】前記金属板は、表面に深さ0.2mm以上
の溝を有することが好ましい。
【0017】前記ガス吸着層は、貯蔵されるガスに関す
る吸脱着等温線がヒステリシスループを示すガス吸着材
から形成されてなることが好ましい。
【0018】前記ガス吸着材は、粒径分布が1〜3mm
であることが好ましい。
【0019】前記ガス吸着層の平均厚さが0.5〜10
mmであることが好ましい。より好ましくは0.5〜5
mm、さらに好ましくは0.5〜3mmである。
【0020】前記金属板を加熱または冷却する手段をさ
らに有してなることが好ましい。
【0021】また本発明は、前記タンク構造体が複数備
えられてなることを特徴とする前記記載のガス貯蔵タン
クである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明のガス貯蔵タンクの
構成要素について詳細に説明する。
【0023】図1に、本発明に係るガス貯蔵タンク10
の一実施形態の部分破断斜視図を示す。また図2に、図
1のガス貯蔵タンクのII−II面での断面図を示す。図
中、11はタンク構造体であり、12は容器であり、1
3はガスプラグであり、14は金属板であり、15はガ
ス吸着層である。なお、図の記載は説明の便宜上簡略化
してあり、金属板14の厚さやガス吸着材の配置量など
が図面の記載に限定されるものではない。タンク構造体
11は、図2に示すように金属板14と吸着層15とが
交互に積層された構造を有するが、金属板14と吸着層
15との積層回数は特に限定されるものではない。通常
は、容器12の大きさに応じて、効率良い熱伝導が確保
できるような積層回数が採用される。また、吸着層15
の保持を考慮すると、タンク構造体11の積層端面は金
属板14であることが好ましいといえる。
【0024】本発明において「タンク構造体」とは、金
属板14とガス吸着層15とが積層された構造体をい
う。ただし、タンク構造体11の形状は特に限定される
ものではなく、容器12の形状に応じてタンク構造体1
1の形状も調節するとよい。一般的には、タンク構造体
11の外輪郭と容器12の内輪郭とを同形として、空隙
部をできる限り少なくすることによって、ガス貯蔵タン
ク10の容積を小さくすることが好ましい。
【0025】タンク構造体は、例えば、図3に示すよう
に、金属板14とガス吸着層15とを積層させた積層体
を捲回することによって、渦巻状に捲回してもよい。図
3には捲回されたタンク構造体11が円形の実施形態に
ついて記載したが、このような実施形態に限定されるも
のではなく、容器形状に合わせて変形させることも可能
である。例えば、楕円形状に変形させたものや、半円状
に変形させたものが考えられる。本願においては、この
ような渦巻状の変体も、渦巻状の概念に含む。
【0026】図4には、図3のIV−IV面での断面図を示
す。場合によっては、図4に示すタンク構造体11が存
在しない空隙部16に熱媒または冷媒を流通させてもよ
い。このような実施形態においては、タンク構造体11
の直接的な加熱または冷却が図れるため、高効率化を図
ることができる。
【0027】また、図3に示すように渦巻状に捲回され
てなるタンク構造体11においては、タンク構造体11
の中心から外周に向かって金属板14とガス吸着層15
とが交互に積層するが、金属板14とガス吸着層15と
の間には空間が形成されていてもよい。空間が形成され
るように捲回することによって、貯蔵されるガスの流路
を確保できる。ただし、ガス貯蔵タンクの単位体積あた
りのガス貯蔵量を増やすためには、金属板14とガス吸
着層15との間に形成される空間は少ないほど好まし
い。
【0028】タンク構造体11を構成する金属板14
は、平均厚さが10〜1000μmであることが好まし
く、10〜100μmであることが好ましい。金属板1
4を薄くすることによって、ガス貯蔵タンク10の容積
を小さくすることができる。ただし、金属板14を薄く
しすぎると充分な熱伝導を確保できなくなる恐れがあ
る。一方、金属板14が厚すぎると、ガス貯蔵タンク1
0における単位体積当たりのガス吸着材量が少なくな
り、ガス貯蔵タンクの貯蔵容量が少なくなる恐れがあ
る。従って、上記範囲内であることが好ましい。使用す
る金属板14の縦および横のサイズは、適用される容器
のサイズに応じて決定すればよく、特に限定されるもの
ではない。
【0029】効率良い熱伝導のためには、金属板14の
熱伝導率が15W/(m・K)以上であることが好まし
い。15W/(m・K)以上の熱伝導率を有している
と、金属板14を利用したガス貯蔵タンクの熱制御が促
進される。
【0030】金属板14は、ガス吸着材に吸着されるガ
スの種類や貯蔵条件に適合する強度および耐蝕性を備え
たものであれば材料に特に制限はなく、ガス貯蔵タンク
に一般に用いられている各種材料を用いることができ
る。例えば、ステンレス鋼板、炭素鋼板、マンガン鋼
板、クロム鋼板、モリブデン鋼板、アルミニウム板など
が挙げられる。この中では熱伝導性、強度、耐蝕性に優
れるステンレス鋼板が好ましい。ステンレス鋼板は一般
に熱伝導性がよいので、ステンレス鋼板を通じた、熱媒
または冷媒によるガス吸着材の温度コントロールが容易
である。ステンレス鋼板としては各種SUS鋼板を用い
ることができ、具体的にはSUS304、304L、S
US316、SUS316Lなどが使用できる。装置材
料費用は上昇するが、SUS316L以上の高級材質を
使用してもよい。金属板の内壁などに吸着されている微
量の不純物ガスや粒子などがガス中に混入することを抑
制するためには、表面が電解研磨処理または酸化皮膜形
成処理された表面処理鋼板を用いることが好ましい。熱
伝導性に優れる銅板を用いても良い。
【0031】ガスの流れを促進させるためには、金属板
14には0.2mm以上、好ましくは0.5mm以上深
さの溝を形成することが好ましい。このような溝を設け
ることによって、ガス貯蔵タンク10内部へのガスの導
入を容易ならしめることができる。溝の深さの上限は特
に限定はないが、深すぎると金属板14の耐久性低下や
金属板14の厚さ上昇を実質的に招いてしまうので留意
が必要である。溝は2〜5mmピッチで加工することが
好ましい。
【0032】金属板14には、ガスの吸着が行われるガ
ス吸着層15が積層される。ガス吸着層15は、吸着特
性を有するガス吸着材から形成される。ガス吸着材を用
いたガス吸着層の形成方法は、特に限定されるものでは
なく、プレス成型、スラリーを用いた層形成など各種公
知方法を用いることができる。治具などを用いてもよ
い。ガス吸着材が粉状である場合には、加圧して粒径を
制御したり、多孔質物質などに担持させたりすることが
できる。要は、使用するガス吸着材に応じて、適切な公
知技術を使いわけるとよい。
【0033】ガス吸着材は、ガス吸着性を有する金属錯
体、活性炭、セラミック炭、ゼオライト、カーボンナノ
チューブ、シリカゲル、活性アルミナなどを用いること
ができる。以上例示した以外の材料をガス吸着材として
用いてもよい。実際に使用するガス吸着材は、貯蔵する
ガスの吸着特性に優れる材料を適宜選択して用いればよ
い。なお、ガス貯蔵タンクに貯蔵されるガスは、特に限
定されるものではなく、水素、ヘリウム、窒素、酸素、
フッ素、ネオン、塩素、アルゴン、二酸化炭素、一酸化
炭素などのガス、またはこれらの2以上を含む混合ガス
が挙げられる。
【0034】また、貯蔵されるガスに関する吸脱着等温
線がヒステリシスループを示す化合物をガス吸着材とし
て用いることも有効である。このような特性を有してい
る化合物をガス吸着材として用いることによって、ガス
貯蔵性能を根本的に改善することが可能である。圧力と
吸着量との関係において言えば、ある圧力までは実質的
にガスはガス吸着材に吸着せず、ある圧力を超えるとガ
スの吸着が始まり、さらに圧力を増加させると急激に吸
着量が増加する傾向を保持させることが可能である。ま
た、吸着量が飽和状態に達すると、圧力をそれ以上増加
させてもガス吸着量の増加は極めて緩やかなものとな
る、または実質的にガス吸着量が増加しない傾向を有す
る。逆に、ガスを吸着させた後にガス圧力を減少させた
場合は、吸着時に吸着が開始された圧力以下に圧力を下
げても、高いガス吸着量を維持しうる。このため、搬送
時や保存時のガス圧力を減少させることが可能となる。
また、搬送時や保存時のガス圧力を減少させることがで
きるため、ガス貯蔵タンクの形状自由度が向上する。こ
の効果は、ガス貯蔵タンクを自動車用燃料タンクとして
用いた場合に特に有効であり、車両の小型化・荷物スペ
ースの確保・車両の軽量化に伴う燃費向上などの各種効
果が得られる。さらに、搬送時・保存時のガス圧力が低
いと、ガス貯蔵装置が安全であり、また、特殊な貯蔵設
備を必要としないため、民生用ガス貯蔵タンクへの適用
が容易である。ガス圧力を法的規制値以下に設定できる
場合には、法的規制に伴う各種設備コストを抑制するこ
とも可能である。
【0035】吸脱着等温線がヒステリシスループを示す
化合物の具体例としては、[Cu(bpy)(BF42
(H2O)2・(bpy)]n(式中、bpyは4,4’−
ビピリジンを表す。以下同様。)、[Cu(bpy)
(BF42(H2O)4・(bpy)]nなどを挙げること
ができる。これらの化合物は公知技術を用いて製造する
ことができ、市販の材料を用いてもよい。例えば、[C
u(bpy)(BF42(H2O)2・(bpy)]n(式
中、bpyは4,4’−ビピリジンを表す)は、Che
mical Physics Letters 335
(2001)に記載の方法に準拠して調製することがで
きる。
【0036】また、ガス吸着材は、ガスの吸着時に発熱
し、ガスの脱着時に吸熱する特性を有することが好まし
い。ガス吸着材がこのような特性を有していると、ガス
貯蔵装置の安全性を飛躍的に向上させることができる。
例えば、自動車用燃料を貯蔵するためにガス貯蔵タンク
が用いられた場合において、事故によりガス貯蔵タンク
が破損した場合を考えてみる。ガス貯蔵タンクの破損に
よりガスの脱着が生じるが、ガスの脱着時に発熱する特
性を有している場合、ガスの脱着が促進されてしまい大
災害に結びつく恐れも否定できない。逆にガスの脱着時
に吸熱する特性を有していれば、脱着に応じてガス貯蔵
タンクが冷却され、自然にガスの脱着が抑制されること
となる。安全性の更なる向上を図る観点からは、常温で
はガスが実質的に脱着しないガス吸着材を用いた場合、
ガスを脱着させるにはガス貯蔵タンクを例えば200℃
に加熱して用いることとなる。このようなガス貯蔵タン
クからのガスの脱着中に事故が生じても、自己冷却によ
りガス貯蔵タンクは冷却され、ガスの脱着が自動的に停
止する。
【0037】ガス吸着材は、粒度分布の幅が大きい場合
には、図2に示すような積層構造を取ることが困難とな
るので、事前に粒径を1〜3mmに粒度調整したものを
用いることが好ましい。粒度調整は、圧縮成形やバイン
ダー添加による造粒など公知の粒度調整方法を用いるこ
とが可能である。3mm超のバルク体にすると、圧縮成
形やバインダー添加によってガス吸着性能が著しく低下
する恐れがあるので、3mm以下にとどめることが好ま
しい。また、粒径1mm未満とすると取り扱いにくくな
る恐れがある。粒度分布は、市販されている装置などを
用いて測定することができる。
【0038】ガス吸着層15の厚さは、厚すぎるとガス
流れの均一性が保てなくなる恐れがあるため、10mm
以下とすることが好ましく、5mm以下とすることがよ
り好ましく、3mm以下とすることが特に好ましい。一
方、ガス吸着層15の厚さは、薄すぎるとガス貯蔵タン
クのガス貯蔵性能が低下する恐れがある。このことを考
慮すると、0.5mm以上の厚さを有していることが好
ましい。
【0039】金属板14表面におけるガス吸着材の配置
量は、特に限定されるものではなく、ガス貯蔵タンク1
0の所望するガス貯蔵容量や熱伝導性を考慮して決定す
ればよい。ガス吸着材の配置量を犠牲にしてもガス吸着
材に生じる温度分布を少なくしたいのであれば、ガス吸
着材の配置量を少なくして、金属板14による加熱また
は冷却を促進すればよい。逆に、ガス吸着材にある程度
の温度分布が生じてもよいのであれば、ガス吸着材の配
置量を多くすればよい。
【0040】タンク構造体が備え付けられる容器12
は、形状、材質ともに特に制限はなく、ガス貯蔵タンク
に一般に用いられる各種材料を用いることができる。容
器12の形状は、円形、楕円形、四角形など各種形状と
することができる。図5および図6に示すように、自動
車のトランク室などに空いた空間を利用して配置するた
めに、複数の形状の異なる容器12を用いて、ユニット
を組み上げることも可能である。容器12は、内部にタ
ンク構造体を収納した後、溶接などの手法を用いて耐圧
性を有するように密封される。
【0041】容器12の材質は、ガス吸着材が配置され
る金属板14の材質と同様のものを用いてもよく、例え
ば、ステンレス鋼、炭素鋼、マンガン鋼、クロム鋼、モ
リブデン鋼などが挙げられる。金属板14の内壁などに
吸着されている微量の不純物ガスや粒子などがガス中に
混入することを抑制するために、金属板表面に金属メッ
キ処理、電解研磨処理または酸化皮膜形成処理を施して
もよい。
【0042】なお、ガス貯蔵の際に高圧にする必要があ
るため、タンク構造体11が備え付けられる容器12は
ある程度の耐圧性を有している必要がある。耐圧性の程
度は、使用するガス吸着材の性質や吸着量、吸着ガスな
ど様々の要素から決定されるべきものであり、これらを
総合的に勘案する必要がある。通常は、30atm程度
の内圧に耐えうるものが好ましい。
【0043】続いて、本発明のガス貯蔵タンクを用いた
ガス貯蔵方法について説明する。
【0044】ガス貯蔵タンク10にガスを貯蔵する場
合、または、貯蔵したガスをガス貯蔵タンク10から取
り出す場合には、ガスプラグ13を介して行う。ガスの
注入は、コンプレッサー等の公知技術を用いて行うこと
ができる。この際に、圧力制御と併せて温度制御を行う
ことによって効率的なガスの注入および取り出しが実現
できる。温度制御は場合によっては周囲環境への自然放
熱によって行ってもよいが、より効率良く吸着を進行さ
せるには冷媒を用いて強制的に冷却することが好まし
い。本発明においてガス吸着材の温度制御は、ガスタン
ク内部のガスを介して行われるとともに、ガス吸着材が
配置されてなる金属板14を介して行われる。金属板1
4はガス吸着材からの距離が比較的短いため、金属板1
4の加熱または冷却によって、ガス吸着材を効率良くか
つ比較的均一に加熱または冷却し得る。
【0045】金属板14の加熱または冷却の方法は、特
に限定されるものではない。例えば、容器12を加熱ま
たは冷却することによって、間接的に金属板14を加熱
または冷却してもよい。この場合には、ガス貯蔵タンク
10の構成が比較的簡素で済むため、取り扱い性や耐久
性に優れるガス貯蔵タンクとなる。ただし、容器12を
介して間接的に加熱または冷却する際には、効率良く熱
制御が行えるよう工夫することが好ましい。例えば、金
属板14と容器12とが密着するようにタンク構造体1
1を備え付け、容器12を熱伝導性に優れる材料から構
成するとよい。容器12の加熱または冷却は、熱媒また
は冷媒を容器12周辺に流通させることにより行える。
熱媒または冷媒の種類は、ガス貯蔵タンクが設置される
環境に応じて適宜選択すればよい。例えば、ガス貯蔵タ
ンク10が自動車の燃料タンクとして用いられる場合に
は、熱源としては燃焼排ガスやエンジン冷却水を再利用
する形態が考えられる。また冷媒としては、一般の自動
車に用いられるような冷却液を用いる実施形態や、ガス
貯蔵タンク10から取り出された燃料ガスの温度を昇温
させるためにガス貯蔵タンク10の周囲を循環させる実
施形態などが考えられる。間接的な金属板14の加熱ま
たは冷却は、強制的な加熱や冷却をせず、周囲環境によ
る自然加熱または自然冷却を用いてもよい。強制的な加
熱や冷却を適用しない場合であっても、本発明のガス貯
蔵タンクは積層された金属板14の作用により効率的な
熱交換が可能である。
【0046】金属板14を直接的に加熱または冷却して
もよい。この場合には金属板14を熱媒または冷媒によ
り直接的に加熱または冷却できるように工夫する必要が
ある。例えば、金属板14の一部が容器12を貫通する
ガス貯蔵タンク(図示せず)が考えられる。この場合
は、金属板14の容器12から突き出した部分を加熱ま
たは冷却できる。ただしこの場合は、ガス貯蔵タンク1
0の内圧を上昇させても問題ない程度の耐圧性を有する
ように、金属板14が突き出した部分を溶接等する必要
がある。
【0047】一実施形態においては、熱媒または冷媒
は、図7に示すようなインレットパイプ17を通じて容
器12内部に引き入れられ、アウトレットパイプ18を
通じて容器12外部に排出される。ただし、この実施形
態を適用するためには、ガスが貯蔵される領域と熱媒ま
たは冷媒が流通する領域とを明確に分け、かつ、これら
の領域を隔てる壁は耐圧性を有している必要がある。こ
のような条件を満たすためには、図7に示すようにガス
プラグをタンク構造体11それぞれに対して設けるなど
の措置を講じる必要があるため、装置構成は比較的複雑
化する傾向がある。
【0048】金属板14の直接的な加熱または冷却は上
述の方法を組み合わせてもよい。また、上記説明した金
属板14の直接的な加熱または冷却に加えて、容器12
を介した金属板14の間接的な加熱または冷却を併用し
てもよい。また、他にも種々の実施形態が考えられる
が、これらについても本発明の構成要素を備えている限
り本発明の技術的範囲に属するものである。例えば、空
隙部16には、熱伝導率の高い材料を充填してもよい。
熱伝導率の高いエラストマを充填した場合、タンク構造
体11を容器12内部で固定する効果も有する。
【0049】
【実施例】以下、本発明のガス貯蔵タンクについて、実
施例を用いて説明する。しかしながら、下記の実施例
は、単なる一実施形態を例示したものであり、本発明の
ガス貯蔵タンクがかような実施形態に限定されるもので
は勿論ない。
【0050】<合成例1:[Cu(bpy)(BF4)2(H2O)2(bpy)]
nの合成>まず、ガス吸着材として、都市ガスを吸着
し、ガスに関する吸脱着等温線がヒステリシスループを
示す化合物である、[Cu(bpy)(BF42(H2
O)2(bpy)]nをChemical Physic
s Letters 335(2001)に記載の方法
に準拠して調製した。
【0051】<実施例1>合成例1で得たガス吸着材
を、圧縮成形して、平均粒度が2mmのペレット状に粒
度を調整した。50μmのSUS鋼板(1m×1.4
m)の間に、上記金属錯体を層厚が3mmになるように
積層し、プレス成形をして全体が1m×1.4m×10
cmになるように外枠治具で固定した。続いて、内容積
がこれより僅かに大きい肉厚2mmのSUS製容器に収
納し、溶接加工により密閉し、ガス貯蔵タンクとした。
【0052】都市ガスを5MPaに昇圧して、当該ガス
貯蔵タンクに導入したところ、約5分で50m3を吸蔵
し、その後2MPaに減圧しても、タンク内には45m
3の都市ガスが貯蔵されたままであった。
【0053】
【発明の効果】上記説明したように、本発明のガス貯蔵
タンクは、ガス吸着材の吸発熱に対応した効率的な熱交
換が可能であり、ガス貯蔵特性に優れるガス貯蔵タンク
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るガス貯蔵タンクの一実施形態の
一部破断斜視図である。
【図2】 ガス貯蔵タンクのII−II面での断面図であ
る。
【図3】 本発明に係るガス貯蔵タンクの他の実施形態
の一部破断斜視図である。
【図4】 ガス貯蔵タンクのIV−IV面での断面図であ
る。
【図5】 本発明に係るガス貯蔵タンクのさらに他の実
施形態の斜視図である。
【図6】 本発明に係るガス貯蔵タンクのさらに他の実
施形態の斜視図である。
【図7】 本発明に係るガス貯蔵タンクのさらに他の実
施形態の斜視図である。
【符号の説明】
10 ガス貯蔵タンク 11 タンク構造体 12 容器 13 ガスプラグ 14 金属板 15 ガス吸着層 16 空隙部 17 インレットパイプ 18 アウトレットパイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 克美 千葉県市原市青葉台6−25−1 Fターム(参考) 3E072 EA01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板とガス吸着層とを交互に積層させ
    たタンク構造体を、容器内部に収納してなるガス貯蔵タ
    ンク。
  2. 【請求項2】 前記タンク構造体は、渦巻状に捲回され
    てなることを特徴とする請求項1に記載のガス貯蔵タン
    ク。
  3. 【請求項3】 前記金属板の平均厚さが10〜1000
    μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の
    ガス貯蔵タンク。
  4. 【請求項4】 前記金属板は、熱伝導率が15W/(m
    ・K)以上であることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項に記載のガス貯蔵タンク。
  5. 【請求項5】 前記金属板は、ステンレス鋼板、銅板ま
    たは表面処理鋼板であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか1項に記載のガス貯蔵タンク。
  6. 【請求項6】 前記金属板は、表面に深さ0.2mm以
    上の溝を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か1項に記載のガス貯蔵タンク。
  7. 【請求項7】 前記ガス吸着層は、貯蔵されるガスに関
    する吸脱着等温線がヒステリシスループを示すガス吸着
    材から形成されてなることを特徴とする請求項1〜6の
    いずれか1項に記載のガス貯蔵タンク。
  8. 【請求項8】 前記ガス吸着材は、粒径分布が1〜3m
    mであることを特徴とする請求項7に記載のガス貯蔵タ
    ンク。
  9. 【請求項9】 前記ガス吸着層の平均厚さが0.5〜1
    0mmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか
    1項に記載のガス貯蔵タンク。
  10. 【請求項10】 前記金属板を加熱または冷却する手段
    をさらに有してなることを特徴とする請求項1〜9のい
    ずれか1項に記載のガス貯蔵タンク。
  11. 【請求項11】 前記タンク構造体が複数備えられてな
    ることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記
    載のガス貯蔵タンク。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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