JP2003273428A - 光増幅装置 - Google Patents

光増幅装置

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JP2003273428A
JP2003273428A JP2002068836A JP2002068836A JP2003273428A JP 2003273428 A JP2003273428 A JP 2003273428A JP 2002068836 A JP2002068836 A JP 2002068836A JP 2002068836 A JP2002068836 A JP 2002068836A JP 2003273428 A JP2003273428 A JP 2003273428A
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JP
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light
optical fiber
amplification
noise
noise suppression
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Application number
JP2002068836A
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English (en)
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Takamasa Yamashita
高雅 山下
実 ▲吉▼田
Minoru Yoshida
Mamoru Hashimoto
守 橋本
Shinsuke Tanaka
信介 田中
Tomomoto Yazaki
智基 矢崎
Hideaki Tanaka
英明 田中
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KDDI Submarine Cable Systems Inc
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
KDDI Submarine Cable Systems Inc
Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】広い帯域にわたる雑音特性とパワー変換効率と
の両立。 【解決手段】励起光供給器3、4、6、7から励起光が
供給される増幅用光ファイバ2に対して、その信号伝播
方向の逆方向に沿って雑音抑制光を供給する雑音抑制光
供給器を設けることで、増幅用光ファイバ2中において
励起準位にあるエネルギーを誘導放出して、光ファイバ
内部において残存自然放出光となりうる励起準位のエネ
ルギーを雑音抑制光の増幅に消費する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、増幅用光ファイバ
を用いて信号光を増幅する光増幅装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、光増幅装置においては、増幅用
光ファイバに対して、その信号伝播方向の前方側から励
起光を供給する構成(前方励起)と、後方側から励起光
を供給する構成(後方励起)とがある。
【0003】前方励起の構成においては、主として増幅
用光ファイバにおける信号伝播方向の前端側部位におい
て信号光の増幅が実施される。そのため、増幅後の信号
光や、増幅中に生じて信号伝播方向に沿って放出される
残存自然放出光は、増幅用光ファイバを比較的長い距離
にわたって通過することになる。これにより、前方励起
の構成では、増幅により生じて信号伝播方向に沿って放
出される残存自然放出光は増幅用光ファイバ中において
吸収されやすくなり、その分、雑音特性(雑音指数:N
F)が向上する。しかしながら、増幅後の信号光も増幅
用光ファイバ中において吸収されやすくなり、その分、
パワー変換効率が低下する。
【0004】一方、後方励起の構成においては、主とし
て増幅用光ファイバにおける信号伝播方向の後端側部位
において信号光の増幅が実施される。そのため、増幅後
の信号光や、増幅により生じて信号伝播方向に沿って放
出される残存自然放出光は、増幅用光ファイバを比較的
短い距離にわたって通過することになる。これにより、
後方励起の構成では、増幅後の信号光が増幅用光ファイ
バ中において吸収されにくくなり、その分、パワー変換
効率が向上する。しかしながら、増幅中に生じて信号伝
播方向に沿って放出される残存自然放出光になりうる励
起準位のエネルギーが増幅用光ファイバ中において消費
されにくくなり、その分、雑音特性が劣化する。
【0005】従来から、Lバンド(1570〜1610
nm)の光信号を増幅する光増幅装置においては、双方
向励起型の光増幅装置が用いられている。この光増幅装
置は、増幅用光ファイバに対して、前方励起を行う手段
と後方励起を行う手段とを、両方持ち合わせて構成され
ている。この光増幅装置によれば、上述した前方励起、
後方励起それぞれの特性を活用することで変換効率と雑
音特性とを両立させた増幅器構成の設計が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに構成された双方向励起型の光増幅装置においても、
次のような課題があった。
【0007】双方向励起型の光増幅装置において、Lバ
ンド増幅を実施する場合、パワー変換効率の向上を目的
として、前方励起光と後方励起光との出力比率を最適化
していくと、後方励起光による増幅比率が高くなり、そ
のためにLバンド領域の短波長側帯域(1590nm以
下)において雑音指数NFが劣化する。特に、1570
nm以下では、利得が生じているにも拘わらず、雑音指
数NFの劣化が激しいために、この波長帯域を増幅波長
帯域として利用することができない。このような課題
は、増幅波長帯域が短波長側に広がるに連れてさらに顕
著になる。
【0008】このように、双方向励起型の光増幅装置に
おいては、パワー変換効率と雑音指数とは二律背反に近
い関係にあり、両者を両立させた特性を得ることは容易
ではなかった。
【0009】なお、このような課題を解決するために、
光増幅装置を多段に組み合わせることも考えられるが、
そうすると、可変パラメータが多くなり過ぎて装置設計
に多大な手間がかかるうえに、部品点数が増加する。そ
のため、製造コストアップを招くうえに、故障率が高く
なり、最適な解決索とはいえない。
【0010】したがって、本発明の主たる目的は、広い
帯域にわたって雑音特性とパワー変換効率とを両立させ
ることができる光増幅装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、本発明は、励起光を用いて信号光を増幅する増
幅用光ファイバと、前記増幅用光ファイバに前記励起光
を供給する励起光供給器と、前記増幅用光ファイバに対
して、その信号伝播方向の逆方向に沿って雑音抑制光を
供給する雑音抑制光供給器とを有して、光増幅装置を構
成している。これにより、本発明は、次のような作用を
発揮する。
【0012】増幅用光ファイバで信号光を増幅する場合
には、増幅用光ファイバの内部で生じた自然放出光(Am
plified Spotaneous Emission)の一部は増幅用光ファ
イバ内で再吸収されることがなく、増幅された信号光と
ともにファイバの信号伝播方向に沿って放出される。そ
のため、信号伝播方向に沿って放出される残存自然放出
光は信号光にとって雑音成分となってその背景レベルを
押し上げる。これに対して本発明では、増幅用光ファイ
バに対してその信号伝播方向の逆方向に沿って雑音抑制
光を供給している。このようにして増幅用光ファイバに
雑音抑制光を供給すると、増幅用光ファイバ中において
励起準位にあるエネルギーが誘導放出される結果、光フ
ァイバ内部において残存自然放出光となりうる励起準位
のエネルギーは雑音抑制光の増幅に消費されてしまう。
これにより雑音は吸収されることになる。つまり、光フ
ァイバ内部に残存する自然放出光は前記誘導放出により
雑音抑制光に吸収されてしまうことになる。そのため、
信号伝播方向に沿って増幅用光ファイバから放出される
残存自然放出光の出力レベルは低減されることになる。
【0013】なお、このようにして増幅用光ファイバに
供給される雑音抑制光は信号光にとって雑音となること
が懸念される。しかしながら、本発明では増幅用光ファ
イバに対してその信号伝播方向の逆方向に沿って雑音抑
制光を供給している。そのため、雑音抑制光は、増幅用
光ファイバを通過する間に、自然放出光になりうる励起
準位のエネルギーを消費して雑音を抑制したのち、増幅
用光ファイバの信号入力端から信号光とは逆方向に沿っ
て放出されることになる。したがって、増幅用光ファイ
バ内において雑音抑制光の反射が生じない限り、雑音抑
制光は増幅用光ファイバの出力端から信号光の伝播方向
に沿って放出されることはない。このような理由により
雑音抑制光は信号光にとって雑音成分とはならない。
【0014】このようにして増幅用光ファイバで生じる
雑音成分を抑制するためには、請求項2に記載したよう
に、前記雑音抑制光供給器は、前記増幅用光ファイバで
自然放出光になりうる励起準位のエネルギーを誘導放出
により消費する光を、前記雑音抑制光として前記増幅用
光ファイバに供給するものであるのが好ましい。そうす
れば、効率よく雑音成分を抑制することができる。
【0015】同様に、請求項3に記載したように、前記
雑音抑制光供給器は、信号光の増幅時において前記増幅
用光ファイバで自然放出光になりうる励起準位のエネル
ギーを誘導放出により消費する光を、前記雑音抑制光と
して前記増幅用光ファイバに供給するものであるのが好
ましい。そうすれば、効率よく雑音成分を抑制すること
ができる。
【0016】なお、前記励起光供給器が、前記増幅用光
ファイバに対してその信号伝播方向の前方側と後方側と
のそれぞれから励起光を供給するものである場合には、
請求項4に記載したように、前記雑音抑制光供給器は、
前記増幅用光ファイバに対して、その信号出力端側から
前記雑音抑制光を供給するものであるのが好ましく、そ
うすれば、次のような作用を発揮する。
【0017】後方励起の構成においては、前述したよう
に、主として増幅用光ファイバにおける信号伝播方向の
後端側部位において信号光の増幅が実施されるため、自
然放出光となりうる励起準位のエネルギーも増幅用光フ
ァイバ中において消費されにくくなり、その分、雑音特
性が劣化するという特徴がある。これに対して、本発明
では、増幅用光ファイバに対して、その信号出力端側か
ら雑音抑制光を供給しているので、後方励起光により増
幅用光ファイバの後端側で生じる雑音光(残存自然放出
光)となりうる励起準位のエネルギーを雑音抑制光によ
って効率よく消費することが可能となり、その分、雑音
抑制効果が高まることになる。
【0018】本発明は、請求項5に記載したように、前
記雑音抑制光供給器は、前記増幅用光ファイバからその
信号伝播方向の逆方向に沿って放出される自然放出光を
取り込んで、前記雑音抑制光として用いるものであるの
が好ましく、そうすれば、雑音抑制光用の光源を設ける
必要がなくなり、その分、部品点数を減らすことができ
るうえに全ての部品を受動部品(カプラ等)で構成する
こともできるようになる。これにより、製作コストの削
減および故障率の改善を図ることが可能になる。
【0019】同様に、請求項6に記載したように、前記
雑音抑制光供給器は、前記増幅用光ファイバからその信
号伝播方向に沿って放出される自然放出光を前記増幅用
光ファイバに向けて反射する光反射器を含んでおり、こ
の光反射器で反射された自然放出光を、前記雑音抑制光
として用いるものであるのが好ましく、そうしても、雑
音抑制光用の光源を設ける必要がなくなり、その分、部
品点数を減らすことができるうえに全ての部品を受動部
品(カプラ等)で構成することもできるようになる。こ
れにより、製作コストの削減および故障率の改善を図る
ことが可能になる。
【0020】請求項6の構成においては、請求項8に記
載したように、前記光反射器を、前記増幅用光ファイバ
からその信号伝播方向に沿って放出される前記自然放出
光を前記増幅用光ファイバに向けて反射する反射フィル
タにより構成することができる。
【0021】また、請求項6の構成においては、請求項
9に記載したように、前記光反射器を、前記増幅用光フ
ァイバからその信号伝播方向に沿って放出される前記自
然放出光を信号伝播路から分波する分波器と、前記分波
器によって分波された前記自然放出光を前記増幅用光フ
ァイバに向けて反射する反射鏡とを含んで構成すること
ができる。
【0022】本発明は、請求項7に記載したように、前
記増幅用光ファイバは多段構成とされたものであり、前
記雑音抑制光供給器は、多段構成とされた前記増幅用光
ファイバの中間部において、その信号伝播方向の逆方向
に沿って放出される自然放出光を取り込んで前記雑音抑
制光として用いるものであるのが好ましい。そうすれ
ば、後段側の増幅用光ファイバから信号伝播方向の逆方
向に沿って放出される自然放出光を取り出して雑音抑制
光として用いることで、信号光パワーが最小となる前段
側の増幅用光ファイバにおける自然放出光を小さくする
ことができ、その分、さらにノイズ特性が向上する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態の光
増幅装置の構成図である。
【0024】この光増幅装置1は、双方向励起型の光増
幅装置であって、増幅用光ファイバ2と、前方励起光用
光源3と、後方励起光用光源4と、雑音抑制光用光源5
と、第1の合波器6と、第2の合波器7と、第3の合波
器8と、アイソレータ9A、9Bとを備えている。
【0025】増幅用光ファイバ2は、信号源Aから入力
される信号光を増幅している。前方励起光用光源3は、
レーザーダイオード等の光源装置から構成されており、
増幅用光ファイバ2に対してその信号光入力端側から供
給される励起光(以下、この励起光を前方励起光とい
う)を生成している。後方励起光用光源4は、レーザー
ダイオード等の光源装置から構成されており、増幅用光
ファイバ2に対してその信号光出力端側から供給される
励起光(以下、この励起光を後方励起光という)を生成
している。雑音抑制光用光源5は、レーザーダイオード
等の光源装置から構成されており、増幅用光ファイバ2
に対してその信号光出力端側から供給される雑音抑制光
を生成している。
【0026】第1の合波器5は、前方励起光用光源3で
生成した前方励起光を増幅用光ファイバ2の入力端側に
配置された信号伝播路(通信用光ファイバおよび増幅用
光ファイバ2により構成される)に対して、その信号伝
播方向に沿って合波している。これにより、第1の合波
器6は、増幅用光ファイバ2に対してその信号入力端側
から信号伝播方向に沿って前方励起光を供給している。
【0027】第2の合波器7は、後方励起光用光源4で
生成した後方励起光を増幅用光ファイバ2の出力端側に
配置された信号伝播路に対して、その信号伝播方向の逆
方向に沿って合波している。これにより、第2の合波器
7は、増幅用光ファイバ2に対してその信号出力端側か
ら信号伝播方向の逆方向に沿って後方励起光を供給して
いる。
【0028】第3の合波器8は、雑音抑制光用光源5で
生成した雑音抑制光を増幅用光ファイバ2の出力端側に
配置された信号伝播路に対して、その信号伝播方向の逆
方向に沿って合波している。これにより、第3の合波器
8は、増幅用光ファイバ2に対してその信号出力端側か
ら信号伝播方向の逆方向に沿って雑音抑制光を供給して
いる。
【0029】アイソレータ9A、9Bは、反射波を吸収
している。ここで、第3の合波器8とアイソレータ9B
とは、図2に示すように、光サーキュレータ20により
代用することができる。
【0030】本実施形態では、前方励起光用光源3と第
1の合波器6とにより前方励起光供給器が構成され、後
方励起光用光源4と第2の合波器7とにより後方励起光
供給器が構成され、雑音抑制光用光源5と第3の合波器
8とにより雑音抑制光供給器が構成されている。そし
て、前方励起光供給器と後方励起光供給器とにより励起
光供給器が構成されている。
【0031】以下、この光増幅装置1による信号光の増
幅動作を説明する。前方励起光用光源3では、波長1.
48μmの前方励起光を生成する。前方励起光用光源3
で生成された前方励起光は、第1の合波器6を経て信号
伝播方向に沿って増幅用光ファイバ2に供給される。そ
して、このようにして供給される前方励起光を用いた誘
導放出により、増幅用光ファイバ2はLバンド(157
0〜1610nm)の信号光を増幅する。
【0032】このとき、信号光の増幅は、主として増幅
用光ファイバ2における信号伝播方向の前端側部位にお
いて実施される。そのため、前述した従来例に記載した
ように、自然放出光となりうる励起準位のエネルギーは
増幅用光ファイバ2中において消費されやすくなり、そ
の分、雑音特性(雑音指数:NF)が向上するものの、
増幅後の信号光も増幅用光ファイバ2中において吸収さ
れやすくなり、そのためにパワー変換効率が若干低下す
る。
【0033】一方、後方励起光用光源4では、波長1.
48μmの後方励起光を生成する。後方励起光用光源4
で生成された後方励起光は、第2の合波器7を経て、信
号伝播方向の逆方向に沿って増幅用光ファイバ2に供給
される。そして、このようにして供給された後方励起光
を用いた誘導放出により、増幅用光ファイバ2はLバン
ド(1570〜1610nm)の信号光を増幅する。
【0034】このとき、信号光の増幅は、主として増幅
用光ファイバ2における信号伝播方向の後端側部位にお
いて実施される。そのため、前述した従来例に記載した
ように、増幅後の信号光が増幅用光ファイバ2中におい
て吸収されにくくなり、その分、パワー変換効率が向上
する。しかしながら、自然放出光となりうる励起準位の
エネルギーも増幅用光ファイバ2中において消費されに
くくなり、その分、雑音特性が劣化する。
【0035】これに対して光増幅装置1では、前方励起
と後方励起とを同時に実施することで、雑音特性を維持
したうえでパワー変換効率を向上させている。しかしな
がら、光増幅装置1において、パワー変換効率の向上を
目的として、前方励起光と後方励起光との出力比率を最
適化していくと、Lバンド領域の短波長側帯域(159
0nm以下)において雑音指数NFが劣化する。特に、
1570nm以下では、利得が生じているにも拘わら
ず、雑音指数NFの劣化が激しいために、この波長帯域
を増幅波長帯域として実質的に利用できない。さらに
は、増幅波長帯域が短波長側に広がるに連れて雑音指数
NFの劣化がさらに顕著になる。
【0036】そこで、光増幅装置1では、雑音抑制光用
光源5によって雑音抑制光を生成し、その雑音抑制光
を、第3の合波器8を介して信号伝播方向の逆方向に沿
って増幅用光ファイバ2に供給している。このようにし
て増幅用光ファイバ2に雑音抑制光を供給すると、増幅
中の増幅用光ファイバ2内において発生する自然放出光
は抑制されることになる。つまり増幅用光ファイバ2の
内部で発生する自然放出光になりうる励起準位にあるエ
ネルギーは、誘導放出の作用により雑音抑制光の増幅に
使用されてしまうことになる。そのため、増幅用光ファ
イバ2から信号伝播方向に沿って放出される残存自然放
出光(雑音)の出力レベルは低減されることになる。
【0037】なお、このようにして増幅用光ファイバ2
に供給する雑音抑制光が信号光にとって雑音となること
が懸念される。しかしながら、この光増幅装置1では、
増幅用光ファイバ8に対してその信号伝播方向の逆方向
に沿って雑音抑制光を供給している。そのため、雑音抑
制光は、増幅用光ファイバ2を通過する間に残存自然放
出光となりうる励起準位のエネルギーを消費したのち、
増幅用光ファイバ2の信号入力端から信号光とは逆方向
に沿って放出されることになる。そのため、増幅用光フ
ァイバ2内において雑音抑制光の反射が生じない限り、
雑音抑制光は信号光にとって雑音成分とはならない。
【0038】ここで、雑音抑制光のパワーを光増幅装置
1への信号入力端において信号パワーよりも小さくして
おけば、光増幅器1の雑音特性(NF)の低下を招来す
ることがないので好ましい。
【0039】このようにして増幅用光ファイバ2で生じ
る雑音成分を効率よく抑制するために、この光増幅装置
1においては、増幅用光ファイバ2に生じる雑音光(残
存自然放出光)となりうる励起準位のエネルギーを誘導
放出により高効率に使用できる光を、雑音抑制光として
増幅用光ファイバ2に供給している。
【0040】雑音抑制光の帯域設定は次にようにしてい
る。波長1.48μmの光を前方励起光や後方励起光と
して増幅用光ファイバ8に供給する場合には、自然放出
光として波長1.55μm帯(詳細にいえば、1.52
〜1.56μmの帯域)の光が発生する。もちろん、こ
の自然放出光は信号光の増幅にとって必要な光である。
しかしながら、増幅後に残存する自然放出光は、1.5
8μm以下の信号帯域にとっては雑音となる。
【0041】光増幅装置1では、このような波長1.5
5μm帯の残存自然放出光となりうる励起準位のエネル
ギーを消費して雑音を吸収することが可能な帯域の光を
雑音抑制光として設定している。具体的な例としては、
本実施形態では、1.55μm帯の光を雑音抑制光とし
て用いていることで、効率よく雑音成分を抑制してい
る。
【0042】また、光増幅装置1は双方向励起型の増幅
器を構成している。このような光増幅装置1において、
本実施形態では、雑音抑制光を合波する第3の合波器8
を増幅用光ファイバ2の出力端側に設けている。これに
より、光増幅装置1では、増幅用光ファイバ2に対し
て、その信号出力端側から前記雑音抑制光を供給してい
る。
【0043】前方励起により信号光の増幅を実施する場
合には、前述したように、残存自然放出光は、信号伝播
方向に沿って増幅用光ファイバ2の出力端から外部に雑
音成分として放出されにくいものの、高いパワー変換効
率が得られれない。
【0044】一方、後方励起により信号光の増幅を実施
する場合には、前述したように、高いパワー変換効率が
得られるものの、自然放出光となりうる励起準位のエネ
ルギーは、増幅用光ファイバ2の内部において完全に消
費されにくい。そのため、そのような励起準位のエネル
ギーは残存自然放出光となって、信号伝播方向に沿って
増幅用光ファイバ2の出力端から外部に雑音成分として
放出されやすい。
【0045】このように、双方向励起型である光増幅装
置1では、信号伝播方向に沿って増幅用光ファイバ2の
出力端から外部に雑音成分として放出される残存自然放
出光は、主として後方励起を行う際に生じ、発生場所は
増幅用光ファイバ2の後端側となる。
【0046】そこで光増幅装置1においては、増幅用光
ファイバ2に対して、その信号出力端側から雑音抑制光
を供給している。これにより、後方励起光により増幅用
光ファイバ2の後端側で生じる雑音光(残存自然放出
光)となりうる励起準位のエネルギーを効率よく消費す
ることが可能となり、その分、雑音抑制効果が高まる。
【0047】このようにして増幅用光ファイバ2に供給
される雑音抑制光は信号光にとって雑音とはならない。
それは次の理由によっている。
【0048】光増幅装置1においては、増幅用光ファイ
バ2に対してその信号伝播方向の逆方向に沿って雑音抑
制光を供給している。そのため、雑音抑制光は、増幅用
光ファイバ2を通過する間に、自然放出光となりうる励
起準位のエネルギーを消費したのち、増幅用光ファイバ
の信号入力端から信号光とは逆方向に沿って放出される
ことになる。したがって、増幅用光ファイバ2内におい
て雑音抑制光の反射が生じない限り、雑音抑制光は増幅
用光ファイバ2の出力端から信号光に沿って雑音光とし
て放出されることはない。
【0049】次に、光増幅装置1により信号光を増幅す
る際において、利得の波長特性を所定の値に固定にした
状態で、各波長の雑音指数NFがどのように変動するか
を調べた結果を、図3〜図7を参照して説明する。これ
らの図においては、横軸は信号光の波長を示し、縦軸は
利得と雑音指数NFとを示している。図3は、雑音抑制
光を供給しない状態における測定結果を示し、図4〜図
7は、前方励起光の出力パワーを所定値に固定した状態
で所望の利得波長特性が得られるように、後方励起光の
出力パワーを設定するという条件において、雑音抑制光
の出力パワーを各種変動させて測定した結果を示してい
る。図4は、前方励起光の出力パワーを65mWに固定
した状態での測定結果であり、図5は、前方励起光の出
力パワーを100mWに固定した状態での測定結果であ
り、図6は、前方励起光の出力パワーを125mWに固
定した状態での測定結果であり、図7は、前方励起光の
出力パワーを150mWに固定した状態での測定結果で
ある。
【0050】これらの測定においては、増幅用光ファイ
バ2として、濃度条長積94kppm*mとしたエルビ
ウムドーブファイバ(Er濃度:210ppm、Al濃
度:1000ppm、P濃度:4.8mol%、比屈折
率差1.08%)を用い、さらには、信号光として、0
dBm(−12.04dBm×16波)の多重信号を光
増幅装置1に入力した。
【0051】まず、雑音抑制光を供給しない状態におけ
る測定結果を説明する。図3に示すように、利得を所望
値に固定にした状態で、後方励起光の出力パワーを低く
し、その分、前方励起光の出力パワーを200mW、3
00mW、440mWと高くした場合には、雑音特性の
良い前方励起光に基づく光増幅によって出力パワーの大
部分を維持する分、1590nm以下の短波長側帯域に
おいても良好な雑音指数NFが得られる。しかしなが
ら、パワー変換効率の悪い前方励起光によって出力パワ
ーの大部分を維持しなければならない分、前方励起光の
出力パワーが440mW、300mW、200mWとい
った高い値となり、そのためにパワー変換効率が低下す
るのは否めない。
【0052】これに対して、利得を所望値に固定にした
状態で、後方励起光の出力パワーを高くし、その分、前
方励起光の出力パワーを150mW、100mW、70
mWと低くした場合には、パワー変換効率の高い後方励
起光によって出力パワーの大部分を維持することができ
る分、高いパワー変換効率が得られる(但し、一定値以
上、前方励起光パワーを小さくすると増幅用ファイバの
前端側で信号増幅ができず損失が大きくために効率が低
下する)。しかしながら、雑音特性の悪い後方励起光に
よって出力パワーの大部分を維持する分、1590nm
以下の短波長側帯域における雑音指数NFが悪化するの
は否めない。
【0053】このように、双方向励起型の光増幅装置1
においては、パワー変換効率と雑音指数とは二律背反に
近い関係にあり、雑音抑制光を供給しない状態において
は、両者を両立させた特性を得ることは困難である。
【0054】これに対して、雑音抑制光を供給する状態
においては、図4〜図7の各特性に示すように、雑音抑
制光を適量供給することにより、1590nm以下の短
波長側帯域においても良好な雑音指数NFが得られてい
る。なお、図示はしないが、雑音抑制光の出力パワー
を、信号光の出力パワーの0.1〜10倍程度に設定す
れば、前述した雑音抑制効果が得られる。さらには、前
方励起光の出力パワーをいずれの値にしようとも、雑音
抑制光の出力パワーを5mWとした場合において最も優
れた雑音指数(NF)を得ることができる。
【0055】特に、前方励起光の出力パワーを125m
W以上としたうえで、雑音抑制光の出力パワーを5mW
とした場合においては、同一の測定条件で光増幅装置1
に対して200mWの出力パワーの前方励起光を供給し
た場合における雑音指数と等しいことを、本願発明者は
測定により確認している。
【0056】次に、光増幅装置1のパワー変換効率につ
いて説明する。図8は、前方励起光、後方励起光それぞ
れの出力パワーを各種変動させたときにおいて、1mW
の信号光を入力した際における出力パワーおよびパワー
変換効率の変化を示している。また、図8においては、
雑音抑制光を供給しない状態の光増幅装置1(従来例と
同じ構成)の測定値を示している。
【0057】図9は、光増幅装置1により信号光を増幅
する際において、前方励起光の出力パワーを所定値に固
定した状態で所望の利得波長特性が得られるように、後
方励起光の出力パワーを各種設定するという条件におい
て、雑音抑制光の出力を各種設定した際におけるパワー
変換効率を示している。
【0058】本実施形態の光増幅装置1では、前方励起
光の出力パワーを125mW以上にしたうえで、雑音抑
制光の出力パワーを5mWとした場合における雑音指数
NFが、同一の測定条件で200mWの出力パワーの前
方励起光を供給した場合における雑音指数NFと等しい
ことは前述した。
【0059】そこで、雑音抑制光無供給状態で前方励起
光の出力パワー200mWとした場合のパワー変換効率
と、5mWの雑音抑制光供給状態で前方励起光の出力パ
ワー125mWとした場合のパワー変換効率とを比較す
る。両データを比較すれば、本発明の構成(雑音抑制光
の供給手段)を設けることで、パワー変換効率が向上す
ることが理解できる。以下、このことを、図8、図9の
データの一部を取り出して詳細に説明する。
【0060】雑音抑制光無供給状態で前方励起光の出力
パワー200mWとした場合のパワー変換効率は、図8
に示すように、17.26%である。一方、5mWの雑
音抑制光供給状態で前方励起光の出力パワー125mW
とした場合のパワー変換効率は、図9に示すように、2
2.11%である。このことから明らかなように、同等
の雑音指数NFが得られる状態で比較すると、雑音抑制
光無供給状態(従来の構成)より、雑音抑制光供給状態
(本発明の構成)の方が、パワー変換効率が約5%向上
している。つまり、雑音抑制光を適切に供給すること
で、同等の雑音指数NFが得られる状態におけるパワー
変換効率を約1.28倍にすることが可能であることを
示している。
【0061】次に、光増幅装置1により16波多重信号
を増幅処理した際における増幅スペクトルを図10に示
す。ここでは、雑音抑制光供給状態、無供給状態それぞ
れにおいて以下の条件を設定して増幅スペクトルを測定
した。・互いに同等の利得波長特性が得られるようにす
る。・雑音抑制光を供給する場合には、前方励起光の出
力パワーを100mWに固定した状態で、互いに同等の
利得波長特性が得られるように、後方励起光の出力パワ
ーを設定する。
【0062】図10により明らかなように、雑音抑制光
無供給状態であるものの、前方励起光の出力パワーを3
00mWと大きく設定した場合には、パワー変換効率の
低下は否めない。しかしながら、この場合、雑音特性に
優れた前方励起光による光増幅量が多い分、Lバンド
(1570〜1610nm)帯域の短波長側における背
景レベルが抑制されている。
【0063】これに対して、雑音抑制光を供給する場合
においては、雑音抑制光を供給することにより、前方励
起光の出力パワーを100mWと低く抑えた状態でもっ
て背景レベルを抑制した結果が得られている。
【0064】この測定結果から明らかなように、光増幅
装置1では、パワー変換効率を低下させることなく、雑
音特性を向上させることができる。
【0065】次に、雑音抑制光供給器の他の例を図11
〜図13を参照して説明する。以下、説明する変形例に
おいては、その基本的な構成は上述した実施の形態と同
様である。そのため、図11〜図13において図1と同
一ないし同等の部品、部分については、図1と同一の符
号を付し、それらのついての詳細な説明は省略する。
【0066】図11に示す変形例においては、バイパス
用光ファイバ路10と、第1のサーキュレータ11と、
バンドパスフィルタ12と、第2のサーキュレータ13
とを有している。
【0067】バイパス用光ファイバ路10は、増幅用光
ファイバ2の入力端と出力端とを、増幅用光ファイバ2
を通過することなく短絡させるように設けられている。
第1のサーキュレータ11は、増幅用光ファイバ2の入
力端側において信号伝播路とバイパス用光ファイバ路1
0との分岐点に設けられている。バンドパスフィルタ1
2は、バイパス用光ファイバ路10の中途に設けられて
いる。第2のサーキュレータ13は、増幅用光ファイバ
2の出力端側において信号伝播路とバイパス用光ファイ
バ路10との分岐点に設けられている。
【0068】この変形例においては、第1、第2のサー
キュレータ11、13と、バンドパスフィルタ12とに
よって雑音抑制光供給器が構成されている。
【0069】この変形例は、次のように機能する。増幅
中において増幅用光ファイバ2内で発生して、増幅用光
ファイバ2の入力端から信号伝播方向とは逆の方向に沿
って放出される残存自然放出光は、第1のサーキュレー
タ11により信号伝播路から取り出されてバイパス用光
ファイバ路10に導入される。バイパス用光ファイバ路
10には、雑音抑制光として用いる帯域の光(例えば、
1.56μm帯)だけを通過させる機能を有するバンド
パスフィルタ12が配置されている。そのため、バイパ
ス用光ファイバ路10に導入された光のうち、残存自然
放出光だけがバンドパスフィルタ12を通過すること
で、この残存自然放出光が雑音抑制光として選択的に取
り出される。
【0070】バンドパスフィルタ12により取り出され
た雑音抑制光は、第2のサーキュレータ13を介して信
号伝播路に再投入される。このとき、雑音抑制光は、第
2のサーキュレータ13の機能により信号伝播方向の逆
方向に沿って再投入されて増幅用光ファイバ2に供給さ
れる。
【0071】このようにして増幅用光ファイバ2に供給
される雑音抑制光により増幅時の雑音は抑制される。雑
音抑制のメカニズムは上述した実施形態と同様であるた
め、その説明は省略する。
【0072】この変形例においては、雑音抑制光用の光
源を別途設ける必要がない分、構成が簡単になるうえ
に、部品点数の削減を図ることができる。なお、この変
形例の構成においては、バイバス用光ファイバ路10を
通過する残存自然放出光を発振させる必要はないのは勿
論である。
【0073】なお、図11に示す変形例においては、バ
ンドパスフィルタ12を省略することができる。これ
は、残存自然放出光をそのまま増幅用光ファイバ2の出
力端から増幅用光ファイバ2に入射しても雑音抑制効果
があるためである。
【0074】図12に示す変形例においては、増幅用光
ファイバ2の出力端側に反射フィルタ15を一つもしく
は複数設けている(図12では一つ)。反射フィルタ1
5は、信号光と重ならない1.58μm以下の短波長域
の光を反射する機能を有するもの(例えば、短周期グレ
ーティング)から構成されている。
【0075】この変形例においては、反射フィルタ15
により雑音抑制光供給器が構成されている。
【0076】この変形例では次のようにして雑音抑制光
を生成している。信号光中に含まれる自然放出光は1.
58μm以下の短波長域であるため、増幅用光ファイバ
2の出力端から信号伝播方向に沿って放出される残存自
然放出光は、反射フィルタ15により反射されることに
なる。その結果、反射された残存自然放出光は、雑音抑
制光となって、信号伝播方向とは逆の向きに沿って増幅
用光ファイバ2にその出力端から導入される。
【0077】このようにして増幅用光ファイバ2に供給
される雑音抑制光により増幅時の雑音は抑制される。雑
音抑制のメカニズムは上述した実施形態と同様であるた
め、その説明は省略する。
【0078】なお、増幅用光ファイバ2の出力端から信
号伝播方向に沿って放出される雑音(残存自然放出光)
の出力レベルは、反射フィルタ15による反射作用によ
っても低減されるのは勿論である。
【0079】図13に示す変形例においては、増幅用光
ファイバ2の出力端側に信号伝播路から分岐する分岐用
光ファイバ路16を設けるとともに、分岐用光ファイバ
路16と信号伝播路との分岐点に、信号伝播路伝送中の
信号光から1.58μm以下の短波長域の光を分波する
分波器17を設ける。そして、分岐用光ファイバ路16
の路端に反射ミラー18を設ける。分岐用光ファイバ路
16と、分波器17と反射ミラー18との組合せは、増
幅用光ファイバ2の出力端側に単一設けてもよいし、複
数設けてもよい。分波器16としては、WDMカプラを
用いることができる。
【0080】この変形例においては、分岐用光ファイバ
路16と分波器17と反射ミラー18とにより雑音抑制
光供給器が構成されている。
【0081】この変形例では、次のようにして雑音抑制
光を生成している。信号光中に含まれる残存自然放出光
は1.58μm以下の短波長域である。そのため、増幅
用光ファイバ2の出力端から信号伝播方向に沿って放出
される残存自然放出光は、分波器17を介して分岐用光
ファイバ路16に導入される。分岐用光ファイバ路16
に導入される残存自然放出光は反射ミラー18により反
射されたのち、分岐用光ファイバ路16と分波器17と
を介して信号伝播路に導入される。このようにして反射
されて信号伝播路に導入される残存自然放出光は雑音抑
制光となって、信号伝播方向とは逆の向きに沿って増幅
用光ファイバ2にその出力端から導入される。
【0082】このようにして増幅用光ファイバ2に供給
される雑音抑制光により増幅時の雑音は抑制される。雑
音抑制のメカニズムは上述した実施形態と同様であるた
め、その説明は省略する。
【0083】なお、図11〜図13に示す変形例は互い
に並存させることもでき、その場合であっても、同等も
しくはそれ以上の雑音抑制効果を発揮することができ
る。
【0084】上述した実施の形態やその変形例において
は、増幅用光ファイバ2に対して前方励起光と後方励起
光をそれぞれ供給する双方向励起型の光増幅装置におい
て、本発明を実施していたが、後方励起型の光増幅装置
において、本発明を実施しても同様の効果が得られる。
また、前方励起型の光増幅装置において、本発明を実施
しても同様の効果が得られる。
【0085】さらには、上述した実施形態やその変形例
においては、増幅用光ファイバ2に対して雑音抑制光を
合波させる第3の合波器8を増幅用光ファイバ2の出力
端に設けており、これにより、雑音抑制光を増幅用光フ
ァイバ2に対してその出力端から供給していた。しかし
ながら、本発明は、雑音抑制光の供給箇所をこのような
位置に限定するものではなく、供給箇所は増幅用光ファ
イバ2のいずれの位置であってもよい。要は、雑音抑制
光を、信号伝播方向の逆方向に沿って増幅用光ファイバ
2に供給することができれば、前述した各種効果を奏す
ることが可能となる。
【0086】例えば、図14に示すように、構成しても
よい。この例において、増幅用光ファイバ2'は、前段
側光ファイバ2Aと後段側光ファイバ2Bとを直列に接
続してなる多段構成としている。さらに、この光増幅装
置は、バイパス用光ファイバ路30と、第1のサーキュ
レータ31と、バンドパスフィルタ32と、第2のサー
キュレータ33とを有している。
【0087】バイパス用光ファイバ路30は、後段側光
ファイバ路2Bの入力端と出力端とを、後段側光ファイ
バ2Bを通過することなく短絡させるように設けられて
いる。第1のサーキュレータ31は、後段側光ファイバ
2Bの入力端側において信号伝播路とバイパス用光ファ
イバ路30との分岐点に設けられている。バンドパスフ
ィルタ32は、バイパス用光ファイバ路30の中途に設
けられている。第2のサーキュレータ33は、後段側光
ファイバ2Bの出力端側において信号伝播路とバイパス
用光ファイバ路30との分岐点に設けられている。
【0088】この変形例においては、第1、第2のサー
キュレータ31、33と、バンドパスフィルタ32とに
よって雑音抑制光供給器が構成されている。
【0089】この変形例は、次のように機能する。増幅
中において後段側光ファイバ2B内で発生して、後段側
光ファイバ2Bの入力端から信号伝播方向とは逆の方向
に沿って放出される残存自然放出光は、第1のサーキュ
レータ31により信号伝播路から取り出されてバイパス
用光ファイバ路30に導入される。バイパス用光ファイ
バ路30には、雑音抑制光として用いる帯域の光(例え
ば、1.56μm帯)だけを通過させる機能を有するバ
ンドパスフィルタ32が配置されている。そのため、バ
イパス用光ファイバ路30に導入された光のうち、残存
自然放出光だけがバンドパスフィルタ32を通過するこ
とで、この残存自然放出光が雑音抑制光として選択的に
取り出される。
【0090】バンドパスフィルタ32により取り出され
た雑音抑制光は、第2のサーキュレータ33を介して信
号伝播路に再投入される。このとき、雑音抑制光は、第
2のサーキュレータ33の機能により信号伝播方向の逆
方向に沿って再投入されて後段側光ファイバ2Bに供給
される。
【0091】このようにして後段側光ファイバ2Bに供
給される雑音抑制光により後段側光ファイバ2Bが実施
する光増幅の際に生じる雑音は抑制される。雑音抑制の
メカニズムは上述した実施形態と同様であるため、その
説明は省略する。
【0092】また、後段側光ファイバ2Bから信号伝播
方向の逆方向に沿って放出される自然放出光を取り出し
て雑音抑制光として用いることで、信号光パワーが最小
となる前段側光ファイバ2Aのおける自然放出光を小さ
くすることができ、その分、さらにノイズ特性が向上す
る。
【0093】この変形例においては、雑音抑制光用の光
源を別途設ける必要がない分、構成が簡単になるうえ
に、部品点数の削減を図ることができる。なお、この変
形例の構成においては、バイバス用光ファイバ路30を
通過する残存自然放出光を発振させる必要はないのも勿
論である。
【0094】なお、図14に示す変形例においては、バ
ンドパスフィルタ32を省略することができる。これ
は、残存自然放出光をそのまま後段側光ファイバ2Bの
出力端から後段側光ファイバ2Bに入射しても雑音抑制
効果があるためである。
【0095】次に多段の光増幅用光ファイバを有する光
増幅装置において本発明を実施した図14に示す変形例
がさらに有効である点を説明する。
【0096】図11に示す変形例においては、上述した
ように、増幅用光ファイバ2の入力端側に設けた第1の
サーキュレータ11から残存自然放出光を取り出し、取
り出した残存自然放出光を増幅用光ファイバ2の出力端
側に設けた第2のサーキュレータ13から増幅用光ファ
イバ2に導入している。このような図11の変形例に示
す構成を、多段の光増幅用光ファイバを有する光増幅装
置に適用することが考えられる。しかしながら、この構
成は次の点で不都合がある。
【0097】一般に増幅用光ファイバの入力側には、反
射光(戻り光)の吸収遮断等を目的にしてアイソレータ
類(サーキュレータも含まれる)が配置される。増幅用
光ファイバを多段に配置する場合には、光ファイバの中
間位置にもアイソレータ類が配置される。
【0098】サーキュレータは、上述したアイソレータ
類の機能(反射光の吸収遮断等)を発揮することができ
るほか、残存自然放出光を取り出す機能を発揮すること
ができる。そのため、増幅用光ファイバを多段に配置し
た構成においては、増幅用光ファイバの入力端に設ける
アイソレータ類と中間位置に配置するアイソレータ類と
のうちのいずれか一方をサーキュレータにすることで残
存自然放出光を取り出すことができる。
【0099】これに対して、サーキュレータは一般にア
イソレータより挿入損失が大きいという特徴がある。し
たがって、増幅用光ファイバ2Aの入力端にあるアイソ
レータ類としてサーキュレータを用いることで残存自然
放出光を取り出した場合(図11の変形例に示す構成)
では、信号光は、サーキュレータという挿入損失が比較
的大きい素子を通過したうえで増幅用光ファイバ2A、
2Bに入力されることになる。そのため、このようにし
て残存自然放出光を取り出した場合には、信号光は挿入
損失が比較的大きい状態で増幅用光ファイバ2A、2B
で増幅されることになり、雑音特性(NF)の劣化は大
きくなる。
【0100】一方、多段に配置した増幅用光ファイバ2
A、2Bの中間位置にあるアイソレータ類としてサーキ
ュレータ31を用いることで残存自然放出光を取り出し
た場合(図14に示す変形例の構成)では、信号光は、
アイソレータ9Aという挿入損失が比較的小さい素子を
通過したうえで増幅用光ファイバ2A、2Bに入力され
ることになる。したがって、このようにして残存自然放
出光の取り出した場合には、信号光は挿入損失が比較的
小さい状態のままで増幅用光ファイバ2A、2Bで増幅
されることになる。そのため、前述した構成(図11の
変形例に示す構成を多段の光増幅用光ファイバを有する
光増幅装置に適用した構成)に比べて雑音特性(NF)
の劣化は小さくなる。図14に示す変形例は、このよう
な点で有効である。
【0101】さらには、図14に示す変形例では、より
大きな残存自然放出光を取り出すことができるという利
点もある。すなわち、図11の変形例に示す構成を、多
段の増幅用光ファイバを有する光増幅装置に適用した場
合には、前段の増幅用光ファイバから放出される残存自
然放出光しか取り出すことができない。これは、後段の
増幅用光ファイバから信号伝播方向の逆方向に沿って放
出される残存自然放出光は増幅用光ファイバの中間位置
に設けられたアイソレータ類により吸収されるためであ
る。
【0102】これに対して、図14に示す変形例では、
後段の増幅用光ファイバ2Bから信号伝播方向の逆方向
に沿って放出される残存自然放出光を取り出すことがで
きるほか、前段の増幅用光ファイバ2Aから信号伝播方
向に沿って放出される残存自然放出光も次のようにして
取り出すことができる。すなわち、前段の増幅用光ファ
イバ2Aから信号伝播方向に沿って放出される残存自然
放出光と励起光とは第1のサーキュレータ31を通過し
て後段の増幅用光ファイバ2Bに取り込まれる。後段の
増幅用光ファイバ2Bでは第1のサーキュレータ31か
ら取り込まれた残存自然放出光と励起光とによっても自
然放出光が発生する。そして、発生した自然放出光の一
部は信号伝播方向の逆方向に沿って放出される。そのた
め、このようにして放出される残存自然放出光は、第1
のサーキュレータ31を介して取り出すことができる。
【0103】このように図14に示す変形例では、前
段、後段それぞれの増幅用光ファイバ2A、2Bから放
出される残存自然放出光を有効に取り出すことができ
る。
【0104】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
広い帯域にわたって雑音特性とパワー変換効率とを両立
させることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の光増幅装置の構成を示す
構成図である。
【図2】実施形態の光増幅装置の変形例を示す構成図で
ある
【図3】従来と同等の構成を有する光増幅装置の雑音特
性を示す図である。
【図4】本発明の光増幅装置の雑音特性を示す図であ
る。
【図5】本発明の光増幅装置の雑音特性を示す図であ
る。
【図6】本発明の光増幅装置の雑音特性を示す図であ
る。
【図7】本発明の光増幅装置の雑音特性を示す図であ
る。
【図8】従来と同等の構成を有する光増幅装置のパワー
変換効率の変化を示す表である。
【図9】本発明の光増幅装置のパワー変換効率の変化を
示す表である。
【図10】本発明の光増幅装置の増幅スペクトルの波長
特性を示す図である。
【図11】本発明の第1の変形例を示す図である。
【図12】本発明の第2の変形例を示す図である。
【図13】本発明の第3の変形例を示す図である。
【図14】本発明の第4の変形例を示す図である。
【符号の説明】
A 信号源 1 光増幅装置 2 増幅用光ファ
イバ 2'増幅用光ファイバ 2A前段側光ファイバ 2B後
段側光ファイバ 3 前方励起光用光源 4 後方励起用光源 5
雑音抑制光用光源 6 第1の合波器 7 第2の合波器 8 第3の
合波器 9A、9B アイソレータ 10 バイパス用光ファイバ路 11 第1のサーキュレータ 12 バンドパスフィルタ 13 第2のサーキュレータ 15 反射フィル
タ 16 分岐用光ファイバ路 17 分波器 18 反射ミラー 20 サーキュレータ 30 バイパス用光ファイバ路 31 第1のサーキュレータ 32バンドパスフ
ィルタ 33 第2のサーキュレータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲吉▼田 実 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 橋本 守 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 田中 信介 埼玉県上福岡市大原2丁目1番15号 株式 会社ケイディーディーアイ研究所内 (72)発明者 矢崎 智基 埼玉県上福岡市大原2丁目1番15号 株式 会社ケイディーディーアイ研究所内 (72)発明者 田中 英明 埼玉県上福岡市大原2丁目1番15号 株式 会社ケイディーディーアイ研究所内 Fターム(参考) 5F072 AB07 AB09 AK06 JJ20 PP07 RR01 YY17

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励起光を用いて信号光を増幅する増幅用
    光ファイバと、 前記増幅用光ファイバに前記励起光を供給する励起光供
    給器と、 前記増幅用光ファイバに対して、その信号伝播方向の逆
    方向に沿って雑音抑制光を供給する雑音抑制光供給器
    と、 を有することを特徴とする光増幅装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光増幅装置において、 前記雑音抑制光供給器は、前記増幅用光ファイバで自然
    放出光になりうる励起準位のエネルギーを誘導放出によ
    り消費する光を、前記雑音抑制光として前記増幅用光フ
    ァイバに供給するものである、 ことを特徴とする光増幅装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の光増幅装置において、 前記雑音抑制光供給器は、信号光の増幅時において前記
    増幅用光ファイバで自然放出光になりうる励起準位のエ
    ネルギーを誘導放出により消費する光を、前記雑音抑制
    光として前記増幅用光ファイバに供給するものである、 ことを特徴とする光増幅装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の光
    増幅装置において、 前記励起光供給器は、前記増幅用光ファイバに対して、
    その信号伝播方向の前方側と後方側とのそれぞれから励
    起光を供給するものであり、 前記雑音抑制光供給器は、前記増幅用光ファイバに対し
    て、その信号出力端側から前記雑音抑制光を供給するも
    のである、 ことを特徴とする光増幅装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の光
    増幅装置において、 前記雑音抑制光供給器は、前記増幅用光ファイバからそ
    の信号伝播方向の逆方向に沿って放出される自然放出光
    を取り込んで、前記雑音抑制光として用いるものであ
    る、 ことを特徴とする光増幅装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4のいずれかに記載の光
    増幅装置において、 前記雑音抑制光供給器は、前記増幅用光ファイバからそ
    の信号伝播方向に沿って放出される自然放出光を前記増
    幅用光ファイバに向けて反射する光反射器を含んでお
    り、この光反射器で反射された自然放出光を、前記雑音
    抑制光として用いるものである、 ことを特徴とする光増幅装置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし4のいずれかに記載の光
    増幅装置において、 前記増幅用光ファイバは多段構成とされたものであり、 前記雑音抑制光供給器は、多段構成とされた前記増幅用
    光ファイバの中間部において、その信号伝播方向の逆方
    向に沿って放出される自然放出光を取り込んで前記雑音
    抑制光として用いるものである、 ことを特徴とする光増幅装置。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の光増幅装置において、 前記光反射器は、前記増幅用光ファイバからその信号伝
    播方向に沿って放出される前記自然放出光を前記増幅用
    光ファイバに向けて反射する反射フィルタである、 ことを特徴とする光増幅装置。
  9. 【請求項9】 請求項6に記載の光増幅装置において、 前記光反射器は、前記増幅用光ファイバからその信号伝
    播方向に沿って放出される前記自然放出光を信号伝播路
    から分波する分波器と、前記分波器によって分波された
    前記自然放出光を前記増幅用光ファイバに向けて反射す
    る反射鏡とを含むものである、 ことを特徴とする光増幅装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010287839A (ja) * 2009-06-15 2010-12-24 Fujitsu Ltd 光増幅器及び光増幅器の偏波依存性利得抑制方法

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