JP2004006637A - 光増幅装置 - Google Patents

光増幅装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004006637A
JP2004006637A JP2003013189A JP2003013189A JP2004006637A JP 2004006637 A JP2004006637 A JP 2004006637A JP 2003013189 A JP2003013189 A JP 2003013189A JP 2003013189 A JP2003013189 A JP 2003013189A JP 2004006637 A JP2004006637 A JP 2004006637A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
optical fiber
noise suppression
noise
amplification
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003013189A
Other languages
English (en)
Inventor
Takamasa Yamashita
山下 高雅
▲吉▼田 実
Minoru Yoshida
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Cable Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Cable Industries Ltd
Priority to JP2003013189A priority Critical patent/JP2004006637A/ja
Publication of JP2004006637A publication Critical patent/JP2004006637A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Lasers (AREA)

Abstract

【課題】広い帯域にわたる雑音特性とパワー変換効率との両立。
【解決手段】励起光供給器3、4、6、7から励起光が供給される増幅用光ファイバ2に対して、その信号伝播方向の逆方向に沿って雑音抑制光を供給する雑音抑制光供給器を設ける。さらには、・信号光の波長より短い波長領域である、・信号光の波長領域付近において自然放出光となりうるエネルギーを誘導放出可能な波長領域である、・希土類元素による吸収がその吸収帯のおける最大吸収ピークの19%以上となる波長領域である、という波長条件を満たす光を、雑音抑制光として増幅用光ファイバ2に供給する。これにより、増幅用光ファイバ2中において励起準位にあるエネルギーを誘導放出して、光ファイバ2内部において残存自然放出光となりうる励起準位のエネルギーを雑音抑制光の増幅に消費する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、増幅用光ファイバを用いて信号光を増幅する光増幅装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光増幅装置においては、増幅用光ファイバに対して、その信号伝播方向の前方側から励起光を供給する構成(前方励起)と、後方側から励起光を供給する構成(後方励起)とがある。
【0003】
前方励起の構成においては、主として増幅用光ファイバにおける信号伝播方向の前端側部位において信号光の増幅が実施される。そのため、増幅後の信号光や、増幅中に生じて信号伝播方向に沿って放出される残存自然放出光は、増幅用光ファイバを比較的長い距離にわたって通過することになる。これにより、前方励起の構成では、増幅により生じて信号伝播方向に沿って放出される残存自然放出光は増幅用光ファイバ中において吸収されやすくなり、その分、雑音特性(雑音指数:NF)が向上する。しかしながら、増幅後の信号光も増幅用光ファイバ中において吸収されやすくなり、その分、パワー変換効率が低下する。
【0004】
一方、後方励起の構成においては、主として増幅用光ファイバにおける信号伝播方向の後端側部位において信号光の増幅が実施される。そのため、増幅後の信号光や、増幅により生じて信号伝播方向に沿って放出される残存自然放出光は、増幅用光ファイバを比較的短い距離にわたって通過することになる。これにより、後方励起の構成では、増幅後の信号光が増幅用光ファイバ中において吸収されにくくなり、その分、パワー変換効率が向上する。しかしながら、増幅中に生じて信号伝播方向に沿って放出される残存自然放出光になりうる励起準位のエネルギーが増幅用光ファイバ中において消費されにくくなり、その分、雑音特性(NF)が劣化する。
【0005】
従来から、Lバンド(1565〜1625nm)の光信号を増幅する光増幅装置においては、双方向励起型の光増幅装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。この光増幅装置は、増幅用光ファイバに対して、前方励起を行う手段と後方励起を行う手段とを、両方持ち合わせて構成されている。この光増幅装置によれば、上述した前方励起、後方励起それぞれの特性を活用することで変換効率と雑音特性(NF)とを両立させた増幅器構成の設計が可能となる。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−229238号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように構成された双方向励起型の光増幅装置においても、次のような課題があった。
【0008】
双方向励起型の光増幅装置において、Lバンド増幅を実施する場合、パワー変換効率の向上を目的として、前方励起光と後方励起光との出力比率を最適化していくと、後方励起光による増幅比率が高くなり、そのためにLバンド領域の短波長側帯域(1590nm以下)において雑音指数NFが劣化する。特に、1570nm以下では、利得が生じているにも拘わらず、雑音指数NFの劣化が激しいために、この波長帯域を増幅波長帯域として利用することができない。このような課題は、増幅波長帯域が短波長側に広がるに連れてさらに顕著になる。
【0009】
このように、双方向励起型の光増幅装置においては、パワー変換効率と雑音指数とは二律背反に近い関係にあり、両者を両立させた特性を得ることは容易ではなかった。
【0010】
なお、このような課題を解決するために、光増幅装置を多段に組み合わせることも考えられるが、そうすると、可変パラメータが多くなり過ぎて装置設計に多大な手間がかかるうえに、部品点数が増加する。そのため、製造コストアップを招くうえに、故障率が高くなり、最適な解決策とはいえない。
【0011】
したがって、本発明の主たる目的は、広い帯域にわたって雑音特性とパワー変換効率とを両立させることができる光増幅装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明は、希土類元素が添加されており励起光を用いて信号光を増幅する増幅用光ファイバと、前記増幅用光ファイバに前記励起光を供給する励起光供給器と、前記増幅用光ファイバに対して、その信号伝播方向の逆方向に沿って雑音抑制光を供給する雑音抑制光供給器とを有し、
前記雑音抑制光供給器は、
・前記信号光の波長より短い波長領域である、
・前記信号光の波長領域付近において自然放出光となりうるエネルギーを誘導放出可能な波長領域である、
・前記希土類元素による吸収効率が、その吸収帯における最大吸収ピークの19%以上となる波長領域である、
という条件を満たす光を、前記雑音抑制光として前記増幅用光ファイバに供給するものである、ことに特徴を有している。
【0013】
これにより、本発明は、次のような作用を発揮する。
【0014】
増幅用光ファイバで信号光を増幅する場合には、増幅用光ファイバの内部で生じた自然放出光(Amplified Spotaneous Emission)の一部は増幅用光ファイバ内で再吸収されることがなく、増幅された信号光とともにファイバの信号伝播方向に沿って放出される。そのため、信号伝播方向に沿って放出される残存自然放出光は信号光にとって雑音成分となってその背景レベルを押し上げる。これに対して本発明では、増幅用光ファイバに対してその信号伝播方向の逆方向に沿って雑音抑制光を供給している。このようにして増幅用光ファイバに雑音抑制光を供給すると、増幅用光ファイバ中において励起準位にあるエネルギーが誘導放出される結果、光ファイバ内部において残存自然放出光となりうる励起準位のエネルギーは雑音抑制光の増幅に消費されてしまう。これにより雑音は吸収されることになる。つまり、光ファイバ内部に残存する自然放出光は前記誘導放出により雑音抑制光に吸収されてしまうことになる。そのため、信号伝播方向に沿って増幅用光ファイバから放出される残存自然放出光の出力レベルは低減されることになる。
【0015】
なお、このようにして増幅用光ファイバに供給される雑音抑制光は信号光にとって雑音となることが懸念される。しかしながら、本発明では増幅用光ファイバに対してその信号伝播方向の逆方向に沿って雑音抑制光を供給している。そのため、雑音抑制光は、増幅用光ファイバを通過する間に、自然放出光になりうる励起準位のエネルギーを消費して雑音を抑制したのち、増幅用光ファイバの信号入力端から信号光とは逆方向に沿って放出されることになる。したがって、増幅用光ファイバ内において雑音抑制光の反射が生じない限り、雑音抑制光は増幅用光ファイバの出力端から信号光の伝播方向に沿って放出されることはない。このような理由により雑音抑制光は信号光にとって雑音成分とはならない。
【0016】
また、このような構成を有する本発明の光増幅装置においては、信号光と同等波長の雑音抑制光を用いた場合、信号光と同等波長の雑音抑制光が増幅用光ファイバに存在することによって雑音特性(NF)やパワー変換効率が劣化する。そのため、本発明では、雑音抑制光として信号光の波長より短い波長領域の光を用いている。
【0017】
信号光と同等波長の雑音抑制光が存在することによってパワー変換効率が劣化するのは次のような理由によっている。すなわち、信号光と同等波長の雑音抑制光が存在することにより雑音抑制光も増幅作用を受けることになる。その際、本来、信号光の増幅に用いられるエネルギーが雑音抑制光の増幅により消費される。そのため、パワー変換効率が劣化してしまう。
【0018】
さらに本発明の光増幅装置においては、雑音抑制光の波長を信号光の波長から(短波長側に)離間させればさせる程、信号光付近において自然放出光となりうるエネルギーを誘導放出させることが困難となる。そのため、本発明では、雑音抑制光として、信号光の波長領域付近において自然放出光となりうるエネルギーを誘導放出可能な波長領域の光を用いている。具体的には、できるだけ信号光の波長領域に近い波長の光を、雑音抑制光として用いている。
【0019】
さらには、雑音抑制光は増幅用光ファイバ内において自然放出光となりうるエネルギーを誘導放出により吸収する。そして、自然放出光となりうるエネルギーを誘導放出により吸収した雑音抑制光は、増幅用光ファイバを伝播する際に希土類元素により吸収されることにより励起光と同等の機能を発揮する。そのため、パワー変換効率の向上に着目した場合、雑音抑制光は、希土類元素による吸収効率が成る丈高い光であるのが望ましい。
【0020】
そこで、本発明では、雑音抑制光として、希土類元素により比較的良好な吸収率で吸収される波長領域の光を用いることで、パワー変換効率の向上を図っている。具体的には、希土類元素による吸収効率がその吸収帯における最大吸収ピークの19%以上となる波長領域の光を雑音抑制光として用いることで、パワー変換効率の向上を図っている。パワー変換効率を向上させることにより、出力成分中における信号成分の比率を高めることで雑音特性(NF)を向上させることができる。
【0021】
さらには、双方向励起型の光増幅装置において全体のパワー変換効率が高まると、パワー変換効率を主として担っている後方励起構成の増幅比率を減らすことが可能となる。後方励起の構成ではパワー変換効率が良好なものの雑音特性(NF)は前方励起の構成より劣る。このことは前述した。そのため、全体のパワー変換効率を高めることが可能な本発明の構成では、同一のパワー変換効率を得るという条件下において、雑音特性(NF)の劣る後方励起構成の増幅比率を減らすことが可能となり、その分でも雑音特性(NF)を向上させることができる。
【0022】
記増幅用光ファイバとして、Lバンド波長帯域(1565〜1625nm)の信号光を増幅するEDF(エルビウムが添加された光ファイバ)である場合を例にして、本発明における雑音抑制光の波長選択を、図29を参照して具体的に説明する。図29では、横軸が波長を示し、縦軸の一方がエルビウムによる光吸収αを示している。縦軸のもう一方が信号光付近において自然放出光となりうるエネルギーを誘導放出させる際の効率βを示している。
【0023】
EDFにおいては、エルビウムによる光の吸収αは、図29に示すように、1530nm付近をピークとする吸収波長特性を有している。このような吸収波長特性を有するEDFに対して、最大吸収d1に対して19%となる吸収d2(d2/d1=0.19)を下限値とするという条件を課した場合、雑音抑制光の波長領域は1560nm以下となる。これにより、雑音抑制光の長波長側の閾値は1560nmと設定される。
【0024】
一方、EDFにおいては、Lバンド波長帯域(1565〜1625nm)付近において自然放出光となりうるエネルギーを誘導放出可能な波長領域は、図29に示すように、厳密にいうと、1525〜1610nmとなる。この誘導放出可能な波長領域に基づけば、雑音抑制光の短波長側の閾値は1525nmとなるはずである。
【0025】
しかしながら、1525nm付近においては、Lバンド波長帯域(1565〜1625nm)付近において自然放出光となりうるエネルギーを実用的なレベルに誘導放出させることは不可能である。
【0026】
ここでの誘導放出を詳細に検討してみると、図29に示すように、雑音抑制光の波長が信号光の波長領域(1565〜1625nm)に近づけば近づく程、Lバンド波長帯域(1565〜1625nm)付近において自然放出光となりうるエネルギーを誘導放出させる際の効率βは高くなる。このことに着目すると、実用的に実施可能なレベルでこの誘導放出を実施するには、1550nm以上の波長領域の雑音抑制光が必要となることがわかる。これにより、雑音抑制光の短波長側の閾値は1550nmと設定される。
【0027】
そこで、本発明では、Lバンド波長帯域(1565〜1625nm)の信号光を増幅するEDFから増幅用光ファイバを構成する場合、波長帯域1550〜1560nmの光を雑音抑制光として増幅用光ファイバに供給している。さらには、同様の構成において最適には、波長帯域1555nmの光を雑音抑制光として増幅用光ファイバに供給している。
【0028】
本発明において雑音抑制光の波長選択を行う際に重要視した上述の波長特性は、EDFによりLバンド帯域(1565〜1625nm)の信号光を増幅する際にだけ存在するものではない。このような波長特性は、他の帯域の信号光を増幅する際にも存在するし、他の希土類元素を添加したファイバからなる増幅用光ファイバにおいても存在するのはいうまでもない。
【0029】
また、励起光供給器として、信号伝播方向の逆方向に沿って前記増幅用光ファイバの信号伝播方向後端側から前記増幅用光ファイバに後方励起光を供給する後方励起光供給部を備えたものを用いる場合には、後方励起光と雑音抑制光とを合波した後に、増幅用光ファイバの信号伝播方向後端側から前記増幅用光ファイバに供給するのが好ましい。すなわち、後方励起光と雑音抑制光とを第1の合波器で合波し、この第1の合波器の出力と信号光とを第2合波器で合波するのが好ましい。かかる構成によれば、後方励起光と信号光とを合波する合波器の後方から雑音抑制光を入射させる構成のように、雑音抑制光が、合波器で反射されて該合波器の出力ポートから信号光と共に出力されるといったことがない。この場合、雑音抑制光と後方励起光との間に生じる非線形光学効果によるパワー劣化が生じないように、後方励起光と雑音抑制光の各々の偏波を直交させて合波してもよい。
【0030】
また、励起光供給器として、信号伝播方向に沿って前記増幅用光ファイバの信号伝播方向前端側から前方励起光を前記増幅用光ファイバに供給する前方励起光供給部と、信号伝播方向の逆方向に沿って前記増幅用光ファイバの信号伝播方向後端側から前記増幅用光ファイバに後方励起光を供給する後方励起光供給部とを備えたものを用いる場合には次のように構成するのが好ましい。すなわち、後方励起光供給部は、後方励起光として雑音抑制光と同等の波長条件を満たす光を増幅用光ファイバに供給するものであるとすれば、この後方励起光供給部により雑音抑制光供給部を兼務させることが可能となる。
【0031】
なお、このようにして増幅用光ファイバで生じる雑音成分を抑制するためには、雑音抑制光供給器は、増幅用光ファイバで自然放出光になりうる励起準位のエネルギーを誘導放出により消費する光を、雑音抑制光として前記増幅用光ファイバに供給するものであるのが好ましい。そうすれば、効率よく雑音成分を抑制することができる。
【0032】
同様に、雑音抑制光供給器は、信号光の増幅時において前記増幅用光ファイバで自然放出光になりうる励起準位のエネルギーを誘導放出により消費する光を、雑音抑制光として増幅用光ファイバに供給するものであるのが好ましい。そうすれば、効率よく雑音成分を抑制することができる。
【0033】
なお、励起光供給器が、増幅用光ファイバに対してその信号伝播方向の前方側と後方側とのそれぞれから励起光を供給するものである場合には、雑音抑制光供給器は、前記増幅用光ファイバに対して、その信号出力端側から雑音抑制光を供給するものであるのが好ましい。そうすれば、次のようになる。
【0034】
後方励起の構成においては、前述したように、主として増幅用光ファイバにおける信号伝播方向の後端側部位において信号光の増幅が実施される。そのため、自然放出光となりうる励起準位のエネルギーも増幅用光ファイバ中において消費されにくくなり、その分、雑音特性(NF)が劣化する。これに対して、上述した構成(増幅用光ファイバに対して、その信号出力端側から雑音抑制光を供給する構成)をさらに有しておれば、増幅用光ファイバに対して、その信号出力端側から雑音抑制光を供給しているので、後方励起光により増幅用光ファイバの後端側で生じる雑音光(残存自然放出光)となりうる励起準位のエネルギーを雑音抑制光によって効率よく消費することが可能となる。したがって、その分、雑音抑制効果が高まることになる。
【0035】
雑音抑制光供給器は、増幅用光ファイバからその信号伝播方向の逆方向に沿って放出される自然放出光を取り込んで雑音抑制光として用いるものであるのが好ましい。そうすれば、雑音抑制光用の光源を設ける必要がなくなり、その分、部品点数を減らすことができるうえに全ての部品を受動部品(カプラ等)で構成することもできるようになる。これにより、製作コストの削減および故障率の改善を図ることが可能になる。
【0036】
同様に、雑音抑制光供給器は、増幅用光ファイバからその信号伝播方向に沿って放出される自然放出光を増幅用光ファイバに向けて反射する光反射器を含んでおり、この光反射器で反射された自然放出光を雑音抑制光として用いるものであるのが好ましい。そうすれば、雑音抑制光用の光源を設ける必要がなくなり、その分、部品点数を減らすことができるうえに全ての部品を受動部品(カプラ等)で構成することもできるようになる。これにより、製作コストの削減および故障率の改善を図ることが可能になる。
【0037】
なお、光反射器を、増幅用光ファイバからその信号伝播方向に沿って放出される自然放出光を前記増幅用光ファイバに向けて反射する反射フィルタにより構成することができる。
【0038】
また、光反射器を、増幅用光ファイバからその信号伝播方向に沿って放出される自然放出光を信号伝播路から分波する分波器と、分波器によって分波された自然放出光を増幅用光ファイバに向けて反射する反射鏡とを含んで構成することができる。
【0039】
また、増幅用光ファイバは多段構成とされたものであり、雑音抑制光供給器は、多段構成とされた増幅用光ファイバの中間部において、その信号伝播方向の逆方向に沿って放出される自然放出光を取り込んで前記雑音抑制光として用いるものであるのが好ましい。そうすれば、後段側の増幅用光ファイバから信号伝播方向の逆方向に沿って放出される自然放出光を取り出して雑音抑制光として用いることで、信号光パワーが最小となる前段側の増幅用光ファイバにおける自然放出光を小さくすることができ、その分、さらに雑音特性(NF)が向上する。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態の光増幅装置の構成図である。
【0041】
この光増幅装置1は、双方向励起型の光増幅装置であって、増幅用光ファイバ2と、前方励起光用光源3と、後方励起光用光源4と、雑音抑制光用光源5と、第1の合波器6と、第2の合波器7と、第3の合波器8と、アイソレータ9A、9Bとを備えている。
【0042】
増幅用光ファイバ2は、信号源Aから入力される信号光を増幅している。本実施形態では、EDF(エルビウムが添加された光ファイバ)から増幅用光ファイバ2は構成されている。前方励起光用光源3は、レーザーダイオード等の光源装置から構成されている。前方励起光用光源3は増幅用光ファイバ2に対してその信号光入力端側から供給する励起光(以下、この励起光を前方励起光という)を生成している。後方励起光用光源4はレーザーダイオード等の光源装置から構成されている。後方励起光用光源4は増幅用光ファイバ2に対してその信号光出力端側から供給される励起光(以下、この励起光を後方励起光という)を生成している。雑音抑制光用光源5は、レーザーダイオード等の光源装置から構成されている。雑音抑制光用光源5は増幅用光ファイバ2に対してその信号光出力端側から供給する雑音抑制光を生成している。
【0043】
第1の合波器6は、前方励起光用光源3で生成した前方励起光を増幅用光ファイバ2の入力端側に配置された信号伝播路(通信用光ファイバおよび増幅用光ファイバ2により構成される)に対して、その信号伝播方向に沿って合波している。これにより、第1の合波器6は、増幅用光ファイバ2に対してその信号入力端側から信号伝播方向に沿って前方励起光を供給している。
【0044】
第2の合波器7は、後方励起光用光源4で生成した後方励起光を増幅用光ファイバ2の出力端側に配置された信号伝播路に対して、その信号伝播方向の逆方向に沿って合波している。これにより、第2の合波器7は、増幅用光ファイバ2に対してその信号出力端側から信号伝播方向の逆方向に沿って後方励起光を供給している。
【0045】
第3の合波器8は、雑音抑制光用光源5で生成した雑音抑制光を増幅用光ファイバ2の出力端側に配置された信号伝播路に対して、その信号伝播方向の逆方向に沿って合波している。これにより、第3の合波器8は、増幅用光ファイバ2に対してその信号出力端側から信号伝播方向の逆方向に沿って雑音抑制光を供給している。
【0046】
アイソレータ9A、9Bは、反射波を吸収している。ここで、第3の合波器8とアイソレータ9Bとは、図2に示すように、光サーキュレータ20により代用することができる。
【0047】
本実施形態では、前方励起光用光源3と第1の合波器6とにより前方励起光供給器が構成され、後方励起光用光源4と第2の合波器7とにより後方励起光供給器が構成され、雑音抑制光用光源5と第3の合波器8とにより雑音抑制光供給器が構成されている。そして、前方励起光供給器と後方励起光供給器とにより励起光供給器が構成されている。
【0048】
以下、この光増幅装置1による信号光の増幅動作を説明する。前方励起光用光源3では、波長1480nmの前方励起光を生成する。前方励起光用光源3で生成された前方励起光は、第1の合波器6を経て信号伝播方向に沿って増幅用光ファイバ2に供給される。そして、このようにして供給される前方励起光を用いた誘導放出により、増幅用光ファイバ2はLバンド(1565〜1625nm)の信号光を増幅する。
【0049】
このとき、信号光の増幅は、主として増幅用光ファイバ2における信号伝播方向の前端側部位において実施される。そのため、前述した従来例に記載したように、自然放出光となりうる励起準位のエネルギーは増幅用光ファイバ2中において消費されやすくなり、その分、雑音特性(雑音指数:NF)が向上するものの、増幅後の信号光も増幅用光ファイバ2中において吸収されやすくなり、そのためにパワー変換効率が若干低下する。
【0050】
一方、後方励起光用光源4では、波長1480nmの後方励起光を生成する。後方励起光用光源4で生成された後方励起光は、第2の合波器7を経て、信号伝播方向の逆方向に沿って増幅用光ファイバ2に供給される。そして、このようにして供給された後方励起光を用いた誘導放出により、増幅用光ファイバ2はLバンド(1565〜1625nm)の信号光を増幅する。
【0051】
このとき、信号光の増幅は、主として増幅用光ファイバ2における信号伝播方向の後端側部位において実施される。そのため、前述した従来例に記載したように、増幅後の信号光が増幅用光ファイバ2中において吸収されにくくなり、その分、パワー変換効率が向上する。しかしながら、自然放出光となりうる励起準位のエネルギーも増幅用光ファイバ2中において消費されにくくなり、その分、雑音特性(NF)が劣化する。
【0052】
これに対して光増幅装置1では、前方励起と後方励起とを同時に実施することで、雑音特性(NF)を維持したうえでパワー変換効率を向上させている。しかしながら、光増幅装置1において、パワー変換効率の向上を目的として、前方励起光と後方励起光との出力比率を最適化していくと、Lバンド領域の短波長側帯域(1590nm以下)において雑音指数NFが劣化する。特に、1570nm以下では、利得が生じているにも拘わらず、雑音指数NFの劣化が激しいために、この波長帯域を増幅波長帯域として実質的に利用できない。さらには、増幅波長帯域が短波長側に広がるに連れて雑音指数NFの劣化がさらに顕著になる。
【0053】
そこで、光増幅装置1では、雑音抑制光用光源5によって雑音抑制光を生成し、その雑音抑制光を、第3の合波器8を介して信号伝播方向の逆方向に沿って増幅用光ファイバ2に供給している。このようにして増幅用光ファイバ2に雑音抑制光を供給すると、増幅中の増幅用光ファイバ2内において発生する自然放出光は抑制されることになる。つまり増幅用光ファイバ2の内部で発生する自然放出光になりうる励起準位にあるエネルギーは、誘導放出の作用により雑音抑制光の増幅に使用されてしまうことになる。そのため、増幅用光ファイバ2から信号伝播方向に沿って放出される残存自然放出光(雑音)の出力レベルは低減されることになる。
【0054】
なお、このようにして増幅用光ファイバ2に供給する雑音抑制光が信号光にとって雑音となることが懸念される。しかしながら、この光増幅装置1では、増幅用光ファイバ8に対してその信号伝播方向の逆方向に沿って雑音抑制光を供給している。そのため、雑音抑制光は、増幅用光ファイバ2を通過する間に残存自然放出光となりうる励起準位のエネルギーを消費したのち、増幅用光ファイバ2の信号入力端から信号光とは逆方向に沿って放出されることになる。そのため、増幅用光ファイバ2内において雑音抑制光の反射が生じない限り、雑音抑制光は信号光にとって雑音成分とはならない。
【0055】
ここで、雑音抑制光のパワーを光増幅装置1への信号入力端において信号パワーよりも小さくしておけば、光増幅器1の雑音特性(NF)の低下を招来することがないので好ましい。
【0056】
このようにして増幅用光ファイバ2で生じる雑音成分を効率よく抑制するために、この光増幅装置1においては、雑音抑制光として次の光を増幅用光ファイバ2に供給している。すなわち、増幅用光ファイバ2で雑音光(残存自然放出光)となりうる励起準位のエネルギーを誘導放出により高効率に使用できる光を、雑音抑制光として増幅用光ファイバ2に供給している。
【0057】
雑音抑制光の帯域設定は次にようにしている。波長1480nmの光を前方励起光や後方励起光として増幅用光ファイバ8に供給する場合には、自然放出光として波長1550nm帯(詳細にいえば、1520n〜1560nmの帯域)の光が発生する。もちろん、この自然放出光は信号光の増幅にとって必要な光である。しかしながら、増幅後に残存する自然放出光は、1580nm以下の信号帯域にとっては雑音となる。
【0058】
光増幅装置1では、このような波長1550nm帯の残存自然放出光となりうる励起準位のエネルギーを消費して雑音を吸収することが可能な帯域の光を雑音抑制光として設定している。具体的な例としては、本実施形態では、1550〜1560nmの波長領域の光を雑音抑制光として用いることで、効率よく雑音成分を抑制している。さらには、好ましくは、1555nmの光を雑音抑制光として用いることで、最も効率よく雑音成分を抑制している。このような雑音抑制光の波長選択は、次のような条件において有効となる。
【0059】
すなわち、増幅用光ファイバ2としてエルビウムが添加されたものを用い、このような増幅用光ファイバによりLバンド波長帯域(1565〜1625nm)の信号光を増幅する条件において、上記波長選択は有効となる。
【0060】
また、光増幅装置1は双方向励起型の増幅器を構成している。このような光増幅装置1において、本実施形態では、雑音抑制光を合波する第3の合波器8を増幅用光ファイバ2の出力端側に設けている。これにより、光増幅装置1では、増幅用光ファイバ2に対して、その信号出力端側から前記雑音抑制光を供給している。
【0061】
前方励起により信号光の増幅を実施する場合には、前述したように、残存自然放出光は信号伝播方向に沿って増幅用光ファイバ2の出力端から外部に雑音成分として放出されにくい。しかしながら、この場合、高いパワー変換効率は得られれない。
【0062】
一方、後方励起により信号光の増幅を実施する場合には、前述したように、高いパワー変換効率が得られる。しかしながら、この場合、自然放出光となりうる励起準位のエネルギーは、増幅用光ファイバ2の内部において完全に消費されにくい。そのため、そのような励起準位のエネルギーは残存自然放出光となって、信号伝播方向に沿って増幅用光ファイバ2の出力端から外部に雑音成分として放出されやすい。
【0063】
このように、双方向励起型である光増幅装置1では、信号伝播方向に沿って増幅用光ファイバ2の出力端から外部に雑音成分として放出される残存自然放出光は、主として後方励起を行う際に生じ、その発生場所は増幅用光ファイバ2の後端側となる。
【0064】
そこで光増幅装置1においては、増幅用光ファイバ2に対して、その信号出力端側から雑音抑制光を供給している。これにより、後方励起光により増幅用光ファイバ2の後端側で生じる雑音光(残存自然放出光)となりうる励起準位のエネルギーを効率よく消費することが可能となり、その分、雑音抑制効果が高まる。
【0065】
このようにして増幅用光ファイバ2に供給される雑音抑制光は信号光にとって雑音とはならない。それは次の理由によっている。
【0066】
光増幅装置1においては、増幅用光ファイバ2に対してその信号伝播方向の逆方向に沿って雑音抑制光を供給している。そのため、雑音抑制光は、増幅用光ファイバ2を通過する間に、自然放出光となりうる励起準位のエネルギーを消費したのち、増幅用光ファイバの信号入力端から信号光とは逆方向に沿って放出されることになる。したがって、増幅用光ファイバ2内において雑音抑制光の反射が生じない限り、雑音抑制光は増幅用光ファイバ2の出力端から信号光に沿って雑音光として放出されることはない。
【0067】
次に、光増幅装置1により信号光を増幅する際において、利得の波長特性を所定の値に固定した状態で、各波長の雑音指数NFがどのように変動するかを調べた結果を、図3〜図7を参照して説明する。これらの図においては、横軸は信号光の波長を示し、縦軸は利得と雑音指数NFとを示している。図3は、雑音抑制光を供給しない状態における測定結果を示し、図4〜図7は、前方励起光の出力パワーを所定値に固定した状態で所望の利得波長特性が得られるように、後方励起光の出力パワーを設定するという条件において、雑音抑制光の出力パワーを各種変動させて測定した結果を示している。図4は、前方励起光の出力パワーを65mWに固定した状態での測定結果であり、図5は、前方励起光の出力パワーを100mWに固定した状態での測定結果であり、図6は、前方励起光の出力パワーを125mWに固定した状態での測定結果であり、図7は、前方励起光の出力パワーを150mWに固定した状態での測定結果である。
【0068】
これらの測定においては、増幅用光ファイバ2として、濃度条長積94kppm*mとしたエルビウムドーブファイバ(Er濃度:210ppm、Al濃度:1000ppm、P濃度:4.8mol%、比屈折率差1.08%)を用い、さらには、信号光として、0dBm(−12.04dBm×16波)の多重信号を光増幅装置1に入力した。
【0069】
まず、雑音抑制光を供給しない状態における測定結果を説明する。図3に示すように、利得を所望値に固定にした状態で、後方励起光の出力パワーを低くし、その分、前方励起光の出力パワーを200mW、300mW、440mWと高くした場合には、雑音特性(NF)の良い前方励起光に基づく光増幅によって出力パワーの大部分を維持する分、1590nm以下の短波長側帯域においても良好な雑音指数NFが得られる。しかしながら、パワー変換効率の悪い前方励起光によって出力パワーの大部分を維持しなければならない分、前方励起光の出力パワーが440mW、300mW、200mWといった高い値となり、そのためにパワー変換効率が低下するのは否めない。
【0070】
これに対して、利得を所望値に固定にした状態で、後方励起光の出力パワーを高くし、その分、前方励起光の出力パワーを150mW、100mW、70mWと低くした場合には、パワー変換効率の高い後方励起光によって出力パワーの大部分を維持することができる分、高いパワー変換効率が得られる(但し、一定値以上、前方励起光パワーを小さくすると増幅用ファイバの前端側で信号増幅ができず損失が大きくために効率が低下する)。しかしながら、雑音特性(NF)の悪い後方励起光によって出力パワーの大部分を維持する分、1590nm以下の短波長側帯域における雑音指数NFが悪化するのは否めない。
【0071】
このように、双方向励起型の光増幅装置1においては、パワー変換効率と雑音指数とは二律背反に近い関係にあり、雑音抑制光を供給しない状態においては、両者を両立させた特性を得ることは困難である。
【0072】
これに対して、雑音抑制光を供給する状態においては、図4〜図7の各特性に示すように、雑音抑制光を適量供給することにより、1590nm以下の短波長側帯域においても良好な雑音指数NFが得られている。なお、図示はしないが、雑音抑制光の出力パワーを、信号光の出力パワーの0.1〜10倍程度に設定すれば、前述した雑音抑制効果が得られる。さらには、前方励起光の出力パワーをいずれの値にしようとも、雑音抑制光の出力パワーを5mWとした場合において最も優れた雑音指数(NF)を得ることができる。
【0073】
特に、前方励起光の出力パワーを125mW以上としたうえで、雑音抑制光の出力パワーを5mWとした場合においては、同一の測定条件で光増幅装置1に対して200mWの出力パワーの前方励起光を供給した場合における雑音指数と等しいことを、本願発明者は測定により確認している。
【0074】
次に、光増幅装置1のパワー変換効率について説明する。図8は、前方励起光、後方励起光それぞれの出力パワーを各種変動させたときにおいて、1mWの信号光を入力した際における出力パワーおよびパワー変換効率の変化を示している。また、図8においては、雑音抑制光を供給しない状態の光増幅装置1(従来例と同じ構成)の測定値を示している。
【0075】
図9は、光増幅装置1により信号光を増幅する際において、前方励起光の出力パワーを所定値に固定した状態で所望の利得波長特性が得られるように、後方励起光の出力パワーを各種設定するという条件において、雑音抑制光の出力を各種設定した際におけるパワー変換効率を示している。
【0076】
本実施形態の光増幅装置1では、前方励起光の出力パワーを125mW以上にしたうえで、雑音抑制光の出力パワーを5mWとした場合における雑音指数NFが、同一の測定条件で200mWの出力パワーの前方励起光を供給した場合における雑音指数NFと等しいことは前述した。
【0077】
そこで、雑音抑制光無供給状態で前方励起光の出力パワー200mWとした場合のパワー変換効率と、5mWの雑音抑制光供給状態で前方励起光の出力パワー125mWとした場合のパワー変換効率とを比較する。両データを比較すれば、本発明の構成(雑音抑制光の供給手段)を設けることで、パワー変換効率が向上することが理解できる。以下、このことを、図8、図9のデータの一部を取り出して詳細に説明する。
【0078】
雑音抑制光無供給状態で前方励起光の出力パワー200mWとした場合のパワー変換効率は、図8に示すように、17.26%である。一方、5mWの雑音抑制光供給状態で前方励起光の出力パワー125mWとした場合のパワー変換効率は、図9に示すように、22.11%である。このことから明らかなように、同等の雑音指数NFが得られる状態で比較すると、雑音抑制光無供給状態(従来の構成)より、雑音抑制光供給状態(本発明の構成)の方が、パワー変換効率が約5%向上している。つまり、雑音抑制光を適切に供給することで、同等の雑音指数NFが得られる状態におけるパワー変換効率を約1.28倍にすることが可能であることを示している。
【0079】
次に、光増幅装置1により16波多重信号を増幅処理した際における増幅スペクトルを図10に示す。ここでは、雑音抑制光供給状態、無供給状態それぞれにおいて以下の条件を設定して増幅スペクトルを測定した。
・互いに同等の利得波長特性が得られるようにする。
・雑音抑制光を供給する場合には、前方励起光の出力パワーを100mWに固定した状態で、互いに同等の利得波長特性が得られるように、後方励起光の出力パワーを設定する。
【0080】
図10により明らかなように、雑音抑制光無供給状態であるものの、前方励起光の出力パワーを300mWと大きく設定した場合には、パワー変換効率の低下は否めない。しかしながら、この場合、雑音特性(NF)に優れた前方励起光による光増幅量が多い分、Lバンド(1565〜1625nm)帯域の短波長側における背景レベルが抑制されている。
【0081】
これに対して、雑音抑制光を供給する場合においては、雑音抑制光を供給することにより、前方励起光の出力パワーを100mWと低く抑えた状態でもって背景レベルを抑制した結果が得られている。
【0082】
この測定結果から明らかなように、光増幅装置1では、パワー変換効率を低下させることなく、雑音特性(NF)を向上させることができる。
【0083】
次に、この光増幅装置1において、1535nm〜1570nmの範囲で雑音抑制光の波長を変更しつつ、その特性を測定した結果を図11〜図20を参照して説明する。これらの測定においては、増幅用光ファイバ2として、濃度条長積94kppm*mとしたエルビウムドーブファイバ(Er濃度:210ppm、Al濃度:1000ppm、P濃度:4.8mol%、比屈折率差1.08%)を用い、さらには、信号光として、0dBm(−12.04dBm×16波)の多重信号を光増幅装置1に入力した。
【0084】
まず、前方励起光のパワーを65mWに固定した状態において、雑音抑制光の波長を1535〜1560nmまで5nm間隔で変更した状態で増幅スペクトルをそれぞれ測定した結果を図11に示す。また、同様の状態で雑音特性(NF)を測定した結果を図12に示す。これらの測定において、雑音抑制光の出力は5mWとしている。また、後方励起光の出力は光スペクトルアナライザで観測しながら調整した。その際、信号ピーク差が最小となるように(所望の利得波長特性が得られるように)調整した。
【0085】
図11、図12に示すように、雑音抑制光の波長が1535nmから長波長側になるにしたがい、信号光ではLバンド領域(1565〜1625nm)より短波長側となる波長領域において自然放出光の抑制効果が発揮されているのがわかる。このような残存自然放出光の抑制効果は、雑音抑制光の波長が1560nmになるまで維持される。しかも、この雑音抑制光の波長領域では、雑音抑制光が長波長になるほど残存自然放出光の抑制効果が高い。しかしながら、雑音抑制光の波長が1555nmを超えて、1560nmになると、1555nmの雑音抑制光を供給した状態より残存自然放出光の発生量は若干ながら増加している。このことから明らかなように、雑音抑制光の波長が1535nmから増加するにつれて残存自然放出光の抑制効果は高まることが理解できる。しかも、1555nmの雑音抑制光を供給すると、残存自然放出光の抑制効果が最大となって雑音特性(NF)が最良となることが理解できる。これは、次のような理由によっている。
【0086】
増幅用光ファイバ2に導入された雑音抑制光は信号波長(Lバンド領域)付近の波長領域で発生する自然放出光となりうるエネルギーを誘導放出により吸収したうえで増幅用光ファイバ2を信号伝播方向の逆方向に沿って伝播する。その際、雑音抑制光は増幅用光ファイバ2に添加されたエルビウムにより吸収されて励起光と同様の機能(信号光増幅機能)を発揮する。そのため、雑音抑制光を増幅用光ファイバ2に導入すると、パワー変換効率が向上する。
【0087】
このような特徴を有する雑音抑制光においては、信号光付近の波長領域で自然放出光となるエネルギーを吸収する効率は、1555nmを中心としてその周囲(1550〜1560nm)の波長領域が最も高く、最良となるのが1555nmである。
【0088】
次に、前方励起光のパワーを65mWに固定した状態で各波長(1535〜1560nmまで5nm間隔)の雑音抑制光を供給しながら雑音特性(NF)を測定した結果を図13〜図20に示す。これらの測定においては、雑音抑制光の出力をそれぞれ変動させた状態(0mW、0.1mW、0.5mW、…80mW)で雑音特性(NF)を測定した。なお、後方励起光の出力は光スペクトルアナライザで観測しながら調整した。その際、信号ピーク差が最小となるように(所望の利得波長特性が得られるように)調整した。
【0089】
信号光波長領域(1565〜1625nm)内、ないしその領域の端部の波長領域に位置する雑音抑制光(1570nm、1565nm)を供給する場合には、図13、図14に示すように、短波長側における雑音特性(NF)が大きく劣化している。一方、信号光波長領域(1565〜1625nm)より比較的大きく短波長側に離間した波長領域に位置する雑音抑制光(1545nm、1540nm、1535nm)を供給する場合には、図18、図19、図20に示すように、短波長側の雑音特性(NF)の改善が比較的小さい。
【0090】
これに対して、雑音抑制光として、本発明で選択した波長帯域(1560nm、1555nm、1550nm)の雑音抑制光を供給する場合には、図15、図16、図17に示すように、良好な雑音特性(NF)が得られている。特に、1555nmの雑音抑制光を供給する場合に最も雑音特性(NF)が向上している。
【0091】
図21は、本発明の他の実施の形態の構成図であり、上述の図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0092】
図1の実施の形態では、後方励起光を合波する合波器7の後方から雑音抑制光を入射している。このため、合波器7として用いられるWDMカプラにおいて、雑音抑制光の反射が生じ、WDMカプラの出力ポートに雑音抑制光が、増幅された信号光と共に出力されてまう。
【0093】
図22は、図1の実施の形態による出力スペクトルであり、この図22の矢符Dで示されるように、雑音抑制光の反射光が出力されることになる。
【0094】
このような雑音抑制光の反射光を含む信号光を、Cバンドの信号光と合波したときには、波長が重なるなどCバンドの信号光に悪影響を及ぼすことになる。
【0095】
そこで、この実施の形態では、図21に示されるように、後方励起光用光源4からの後方励起光と雑音抑制光用光源5からの雑音抑制光とを合波した後に、増幅用光ファイバ2に対してその信号出力端側から信号伝播方向とは逆方向に沿って供給している。
【0096】
すなわち、後方励起光供給部を構成する後方励起光用光源4からの後方励起光と、雑音抑制光供給器を構成する雑音抑制光用光源5からの雑音抑制光とを合波する第1の合波器21を備えるとともに、この第1の合波器21の出力と信号光とを合波する第2の合波器22とを備えている。
【0097】
第2の合波器22として用いられるWDMカプラは、波長1480nmの後方励起光および波長が1565nmより短い雑音抑制光を合波する透過特性を有している。
【0098】
かかる構成によれば、雑音抑制光が反射しても雑音抑制光用光源5側に戻るだけであって、第2の合波器22の出力ポートから出力されることはなく、信号光の伝送に悪影響を及ぼすことがない。
【0099】
なお、図23に示されるように、第2の合波器22に代えて、サーキュレータ23を設けてもよく、この場合には、出力側のアイソレータ9Bを省略することができる。
【0100】
また、雑音抑制光と後方励起光との合波は、両者の間に生じる非線形光学効果によるパワー劣化が生じないように、後方励起光と雑音抑制光の各々の偏波を直交させて合波するようにしてもよい。すなわち、1480nmの後方励起光で励起した場合には、1560nm付近は、ラマン利得が発生する波長帯となるので、僅かではあるが、後方励起光が非効率的に雑音抑制光の増幅に使用される可能性があり、それを防止するために、後方励起光と雑音抑制光の各々の偏波を直交させて合波するのである。
【0101】
なお、本発明においては、後方励起光供給部によって雑音抑制光供給部を兼務することができる。その構成を図24を参照して説明する。この構成においては、後方励起光供給部を構成する後方励起光光源4’が、雑音抑制光と同等の波長条件を満たす光を後方励起光として増幅用光ファイバ2に供給している。具体的には、後方励起光光源4’は、1550〜1560nmの波長帯域の後方励起光を増幅用光ファイバ2に供給している。なお、この構成において前方励起光光源3は、従来と同様、1480nmの光を前方励起光として増幅用光ファイバ2に供給している。
【0102】
後方励起光光源4’を有する図24の構成では、後方励起光供給部(特に、後方励起光光源4’)が雑音抑制光供給部を兼務している。そして、このように構成しても、前述した実施の形態と同等の増幅特性(雑音特性)が得られる。さらには、この場合、雑音抑制光供給部を別途設ける必要がない分、構成が簡単になるとともに部品点数の削減が図れる。
【0103】
本願発明者は、図24に示す構成において、後方励起光供給部(後方励起光光源4’)が供給する後方励起光の波長を種々変更して雑音特性(NF)を測定した。その結果、1555nmの後方励起光を供給した際における雑音特性が5.70dBと最も低いことを本願発明者は確認した。また、その際、280mWの前方励起光と80mWの後方励起光とを必要とし、パワー変換効率は14%であることも確認した。
【0104】
波長1480nmの前方励起光と波長1480nmの後方励起光とを供給する構成において上述した5.70dBの雑音特性を得るためには、400mWの前方励起光と40mWの後方励起光とを必要とすることを本願発明発明は測定により確認した。この場合、パワー変換効率は11%であった。
【0105】
このように、後方励起光によって雑音抑制光を兼用する構成においても、前述した実施の形態の構成(後方励起光とは別に雑音抑制光を設ける構成)と同様の効果(ノイズ特性やパワー変換効率)が得られる。さらには、この構成における最適波長の選択においても、前述した実施の形態と同様の選択結果(1555nm)が導き出されている。
【0106】
次に、雑音抑制光供給器の他の例を図25〜図27を参照して説明する。以下、説明する変形例においては、その基本的な構成は上述した実施の形態と同様である。そのため、図25〜図27において図1と同一ないし同等の部品、部分については、図1と同一の符号を付し、それらのついての詳細な説明は省略する。
【0107】
図25に示す変形例においては、バイパス用光ファイバ路10と、第1のサーキュレータ11と、バンドパスフィルタ12と、第2のサーキュレータ13とを有している。
【0108】
バイパス用光ファイバ路10は、増幅用光ファイバ2の入力端と出力端とを、増幅用光ファイバ2を通過することなく短絡させるように設けられている。第1のサーキュレータ11は、増幅用光ファイバ2の入力端側において信号伝播路とバイパス用光ファイバ路10との分岐点に設けられている。バンドパスフィルタ12は、バイパス用光ファイバ路10の中途に設けられている。第2のサーキュレータ13は、増幅用光ファイバ2の出力端側において信号伝播路とバイパス用光ファイバ路10との分岐点に設けられている。
【0109】
この変形例においては、第1、第2のサーキュレータ11、13と、バンドパスフィルタ12とによって雑音抑制光供給器が構成されている。
【0110】
この変形例は、次のように機能する。増幅中において増幅用光ファイバ2内で発生して、増幅用光ファイバ2の入力端から信号伝播方向とは逆の方向に沿って放出される残存自然放出光は、第1のサーキュレータ11により信号伝播路から取り出されてバイパス用光ファイバ路10に導入される。バイパス用光ファイバ路10には、雑音抑制光として用いる帯域の光(例えば、1560nm帯)だけを通過させる機能を有するバンドパスフィルタ12が配置されている。そのため、バイパス用光ファイバ路10に導入された光のうち、残存自然放出光だけがバンドパスフィルタ12を通過することで、この残存自然放出光が雑音抑制光として選択的に取り出される。
【0111】
バンドパスフィルタ12により取り出された雑音抑制光は、第2のサーキュレータ13を介して信号伝播路に再投入される。このとき、雑音抑制光は、第2のサーキュレータ13の機能により信号伝播方向の逆方向に沿って再投入されて増幅用光ファイバ2に供給される。
【0112】
このようにして増幅用光ファイバ2に供給される雑音抑制光により増幅時の雑音は抑制される。雑音抑制のメカニズムは上述した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0113】
この変形例においては、雑音抑制光用の光源を別途設ける必要がない分、構成が簡単になるうえに、部品点数の削減を図ることができる。なお、この変形例の構成においては、バイバス用光ファイバ路10を通過する残存自然放出光を発振させる必要はないのは勿論である。
【0114】
なお、図25に示す変形例においては、バンドパスフィルタ12を省略することができる。これは、残存自然放出光をそのまま増幅用光ファイバ2の出力端から増幅用光ファイバ2に入射しても雑音抑制効果があるためである。また、増幅用光ファイバ2の中間部分にアイソレータ等を挿入してループを遮断し得る構成とすればより安定な動作を達成できるので好ましい。
【0115】
図26に示す変形例においては、増幅用光ファイバ2の出力端側に反射フィルタ15を一つもしくは複数設けている(図26では一つ)。反射フィルタ15は、信号光と重ならない1580nm以下の短波長域の光を反射する機能を有するもの(例えば、短周期グレーティング)から構成されている。
【0116】
この変形例においては、反射フィルタ15により雑音抑制光供給器が構成されている。
【0117】
この変形例では次のようにして雑音抑制光を生成している。信号光中に含まれる自然放出光は1580nm以下の短波長域であるため、増幅用光ファイバ2の出力端から信号伝播方向に沿って放出される残存自然放出光は、反射フィルタ15により反射されることになる。その結果、反射された残存自然放出光は、雑音抑制光となって、信号伝播方向とは逆の向きに沿って増幅用光ファイバ2にその出力端から導入される。
【0118】
このようにして増幅用光ファイバ2に供給される雑音抑制光により増幅時の雑音は抑制される。雑音抑制のメカニズムは上述した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0119】
なお、増幅用光ファイバ2の出力端から信号伝播方向に沿って放出される雑音(残存自然放出光)の出力レベルは、反射フィルタ15による反射作用によっても低減されるのは勿論である。
【0120】
図27に示す変形例においては、増幅用光ファイバ2の出力端側に信号伝播路から分岐する分岐用光ファイバ路16を設けるとともに、分岐用光ファイバ路16と信号伝播路との分岐点に、信号伝播路伝送中の信号光から1580nm以下の短波長域の光を分波する分波器17を設ける。そして、分岐用光ファイバ路16の路端に反射ミラー18を設ける。分岐用光ファイバ路16と、分波器17と反射ミラー18との組合せは、増幅用光ファイバ2の出力端側に単一設けてもよいし、複数設けてもよい。分波器16としては、WDMカプラを用いることができる。
【0121】
この変形例においては、分岐用光ファイバ路16と分波器17と反射ミラー18とにより雑音抑制光供給器が構成されている。
【0122】
この変形例では、次のようにして雑音抑制光を生成している。信号光中に含まれる残存自然放出光は1580nm以下の短波長域である。そのため、増幅用光ファイバ2の出力端から信号伝播方向に沿って放出される残存自然放出光は、分波器17を介して分岐用光ファイバ路16に導入される。分岐用光ファイバ路16に導入される残存自然放出光は反射ミラー18により反射されたのち、分岐用光ファイバ路16と分波器17とを介して信号伝播路に導入される。このようにして反射されて信号伝播路に導入される残存自然放出光は雑音抑制光となって、信号伝播方向とは逆の向きに沿って増幅用光ファイバ2にその出力端から導入される。
【0123】
このようにして増幅用光ファイバ2に供給される雑音抑制光により増幅時の雑音は抑制される。雑音抑制のメカニズムは上述した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0124】
なお、図25〜図27に示す変形例は互いに並存させることもでき、その場合であっても、同等もしくはそれ以上の雑音抑制効果を発揮することができる。
【0125】
上述した実施の形態やその変形例においては、増幅用光ファイバ2に対して前方励起光と後方励起光をそれぞれ供給する双方向励起型の光増幅装置において、本発明を実施していたが、後方励起型の光増幅装置において、本発明を実施しても同様の効果が得られる。また、前方励起型の光増幅装置において、本発明を実施しても同様の効果が得られる。
【0126】
さらには、上述した実施形態やその変形例においては、増幅用光ファイバ2に対して雑音抑制光を合波させる第3の合波器8を増幅用光ファイバ2の出力端に設けており、これにより、雑音抑制光を増幅用光ファイバ2に対してその出力端から供給していた。しかしながら、本発明は、雑音抑制光の供給箇所をこのような位置に限定するものではなく、供給箇所は増幅用光ファイバ2のいずれの位置であってもよい。要は、雑音抑制光を、信号伝播方向の逆方向に沿って増幅用光ファイバ2に供給することができれば、前述した各種効果を奏することが可能となる。
【0127】
例えば、図28に示すように、構成してもよい。この例において、増幅用光ファイバ2’は、前段側光ファイバ2Aと後段側光ファイバ2Bとを直列に接続してなる多段構成としている。さらに、この光増幅装置は、バイパス用光ファイバ路30と、第1のサーキュレータ31と、バンドパスフィルタ32と、第2のサーキュレータ33とを有している。
【0128】
バイパス用光ファイバ路30は、後段側光ファイバ路2Bの入力端と出力端とを、後段側光ファイバ2Bを通過することなく短絡させるように設けられている。第1のサーキュレータ31は、後段側光ファイバ2Bの入力端側において信号伝播路とバイパス用光ファイバ路30との分岐点に設けられている。バンドパスフィルタ32は、バイパス用光ファイバ路30の中途に設けられている。第2のサーキュレータ33は、後段側光ファイバ2Bの出力端側において信号伝播路とバイパス用光ファイバ路30との分岐点に設けられている。
【0129】
この変形例においては、第1、第2のサーキュレータ31、33と、バンドパスフィルタ32とによって雑音抑制光供給器が構成されている。
【0130】
この変形例は、次のように機能する。増幅中において後段側光ファイバ2B内で発生して、後段側光ファイバ2Bの入力端から信号伝播方向とは逆の方向に沿って放出される残存自然放出光は、第1のサーキュレータ31により信号伝播路から取り出されてバイパス用光ファイバ路30に導入される。バイパス用光ファイバ路30には、雑音抑制光として用いる帯域の光(例えば、1560nm帯)だけを通過させる機能を有するバンドパスフィルタ32が配置されている。そのため、バイパス用光ファイバ路30に導入された光のうち、残存自然放出光だけがバンドパスフィルタ32を通過することで、この残存自然放出光が雑音抑制光として選択的に取り出される。
【0131】
バンドパスフィルタ32により取り出された雑音抑制光は、第2のサーキュレータ33を介して信号伝播路に再投入される。このとき、雑音抑制光は、第2のサーキュレータ33の機能により信号伝播方向の逆方向に沿って再投入されて後段側光ファイバ2Bに供給される。
【0132】
このようにして後段側光ファイバ2Bに供給される雑音抑制光により後段側光ファイバ2Bが実施する光増幅の際に生じる雑音は抑制される。雑音抑制のメカニズムは上述した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0133】
また、後段側光ファイバ2Bから信号伝播方向の逆方向に沿って放出される自然放出光を取り出して雑音抑制光として用いることで、信号光パワーが最小となる前段側光ファイバ2Aのおける自然放出光を小さくすることができ、その分、さらに雑音特性(NF)が向上する。
【0134】
この変形例においては、雑音抑制光用の光源を別途設ける必要がない分、構成が簡単になるうえに、部品点数の削減を図ることができる。なお、この変形例の構成においては、バイパス用光ファイバ路30を通過する残存自然放出光を発振させる必要はないのも勿論である。
【0135】
なお、図28に示す変形例においては、バンドパスフィルタ32を省略することができる。これは、残存自然放出光をそのまま後段側光ファイバ2Bの出力端から後段側光ファイバ2Bに入射しても雑音抑制効果があるためである。また、増幅用光ファイバ2’(具体的に後段側光ファイバ2B)の中間部分にアイソレータ等を挿入してループを遮断し得る構成とすることもできる。そうすればより安定な動作を達成できるので好ましい。
【0136】
次に多段の光増幅用光ファイバを有する光増幅装置において本発明を実施した図28に示す変形例がさらに有効である点を説明する。
【0137】
図25に示す変形例においては、上述したように、増幅用光ファイバ2の入力端側に設けた第1のサーキュレータ11から残存自然放出光を取り出し、取り出した残存自然放出光を増幅用光ファイバ2の出力端側に設けた第2のサーキュレータ13から増幅用光ファイバ2に導入している。このような図25の変形例に示す構成を、多段の光増幅用光ファイバを有する光増幅装置に適用することが考えられる。しかしながら、この構成は次の点で不都合がある。
【0138】
一般に増幅用光ファイバの入力側には、反射光(戻り光)の吸収遮断等を目的にしてアイソレータ類(サーキュレータも含まれる)が配置される。増幅用光ファイバを多段に配置する場合には、光ファイバの中間位置にもアイソレータ類が配置される。
【0139】
サーキュレータは、上述したアイソレータ類の機能(反射光の吸収遮断等)を発揮することができるほか、残存自然放出光を取り出す機能を発揮することができる。そのため、増幅用光ファイバを多段に配置した構成においては、増幅用光ファイバの入力端に設けるアイソレータ類と中間位置に配置するアイソレータ類とのうちのいずれか一方をサーキュレータにすることで残存自然放出光を取り出すことができる。
【0140】
これに対して、サーキュレータは一般にアイソレータより挿入損失が大きいという特徴がある。したがって、増幅用光ファイバ2Aの入力端にあるアイソレータ類としてサーキュレータを用いることで残存自然放出光を取り出した場合(図25の変形例に示す構成)では、信号光は、サーキュレータという挿入損失が比較的大きい素子を通過したうえで増幅用光ファイバ2A、2Bに入力されることになる。そのため、このようにして残存自然放出光を取り出した場合には、信号光は挿入損失が比較的大きい状態で増幅用光ファイバ2A、2Bで増幅されることになり、雑音特性(NF)の劣化は大きくなる。
【0141】
一方、多段に配置した増幅用光ファイバ2A、2Bの中間位置にあるアイソレータ類としてサーキュレータ31を用いることで残存自然放出光を取り出した場合(図28に示す変形例の構成)では、信号光は、アイソレータ9Aという挿入損失が比較的小さい素子を通過したうえで増幅用光ファイバ2A、2Bに入力されることになる。したがって、このようにして残存自然放出光を取り出した場合には、信号光は挿入損失が比較的小さい状態のままで増幅用光ファイバ2A、2Bで増幅されることになる。そのため、前述した構成(図25の変形例に示す構成を多段の光増幅用光ファイバを有する光増幅装置に適用した構成)に比べて雑音特性(NF)の劣化は小さくなる。図28に示す変形例は、このような点で有効である
さらには、図28に示す変形例では、より大きな残存自然放出光を取り出すことができるという利点もある。すなわち、図25の変形例に示す構成を、多段の増幅用光ファイバを有する光増幅装置に適用した場合には、前段の増幅用光ファイバから放出される残存自然放出光しか取り出すことができない。これは、後段の増幅用光ファイバから信号伝播方向の逆方向に沿って放出される残存自然放出光は増幅用光ファイバの中間位置に設けられたアイソレータ類により吸収されるためである。
【0142】
これに対して、図28に示す変形例では、後段の増幅用光ファイバ2Bから信号伝播方向の逆方向に沿って放出される残存自然放出光を取り出すことができるほか、前段の増幅用光ファイバ2Aから信号伝播方向に沿って放出される残存自然放出光も次のようにして取り出すことができる。すなわち、前段の増幅用光ファイバ2Aから信号伝播方向に沿って放出される残存自然放出光と励起光とは第1のサーキュレータ31を通過して後段の増幅用光ファイバ2Bに取り込まれる。後段の増幅用光ファイバ2Bでは第1のサーキュレータ31から取り込まれた残存自然放出光と励起光とによっても自然放出光が発生する。そして、発生した自然放出光の一部は信号伝播方向の逆方向に沿って放出される。そのため、このようにして放出される残存自然放出光は、第1のサーキュレータ31を介して取り出すことができる。
【0143】
このように図28に示す変形例では、前段、後段それぞれの増幅用光ファイバ2A、2Bから放出される残存自然放出光を有効に取り出すことができる。
【0144】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、広い帯域にわたって雑音特性とパワー変換効率とを両立させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の光増幅装置の構成を示す構成図である。
【図2】実施形態の光増幅装置の変形例を示す構成図である。
【図3】従来と同等の構成を有する光増幅装置の雑音特性(NF)を示す図である。
【図4】本発明の光増幅装置の雑音特性(NF)を示す図である。
【図5】本発明の光増幅装置の雑音特性(NF)を示す図である。
【図6】本発明の光増幅装置の雑音特性(NF)を示す図である。
【図7】本発明の光増幅装置の雑音特性(NF)を示す図である。
【図8】従来と同等の構成を有する光増幅装置のパワー変換効率の変化を示す表である。
【図9】本発明の光増幅装置のパワー変換効率の変化を示す表である。
【図10】本発明の光増幅装置の増幅スペクトルの波長特性を示す図である。
【図11】本発明の光増幅装置の増幅スペクトルの波長特性を示す図である。
【図12】本発明の光増幅装置の雑音特性(NF)と利得特性を示す図である。
【図13】本発明の光増幅装置の雑音特性(NF)と利得特性を示す図である。
【図14】本発明の光増幅装置の雑音特性(NF)と利得特性を示す図である。
【図15】本発明の光増幅装置の雑音特性(NF)と利得特性を示す図である。
【図16】本発明の光増幅装置の増幅スペクトルの波長特性を示す図である。
【図17】本発明の光増幅装置の雑音特性(NF)と利得特性を示す図である。
【図18】本発明の光増幅装置の雑音特性(NF)と利得特性を示す図である。
【図19】本発明の光増幅装置の雑音特性(NF)と利得特性を示す図である。
【図20】本発明の光増幅装置の雑音特性(NF)と利得特性を示す図である。
【図21】本発明の第1の変形例を示す図である。
【図22】図1の光増幅装置の増幅スペクトルの波長特性を示す図である。
【図23】本発明の第2の変形例を示す図である。
【図24】本発明の第3の変形例を示す図である。
【図25】本発明の第4の変形例を示す図である。
【図26】本発明の第5の変形例を示す図である。
【図27】本発明の第6の変形例を示す図である。
【図28】本発明の第7の変形例を示す図である。
【図29】本発明の光増幅装置において雑音抑制光に対して実施する波長選択の説明に供する図である。
【符号の説明】
A 信号源   1 光増幅装置  2 増幅用光ファイバ
2’増幅用光ファイバ 2A前段側光ファイバ 2B後段側光ファイバ
3 前方励起光用光源  4 後方励起用光源  5 雑音抑制光用光源
6 第1の合波器  7 第2の合波器  8 第3の合波器
9A、9B アイソレータ
10 バイパス用光ファイバ路
11 第1のサーキュレータ
12 バンドパスフィルタ
13 第2のサーキュレータ    15 反射フィルタ
16 分岐用光ファイバ路     17 分波器
18 反射ミラー  20 サーキュレータ
30 バイパス用光ファイバ路
31 第1のサーキュレータ    32バンドパスフィルタ
33 第2のサーキュレータ

Claims (6)

  1. 希土類元素が添加された光ファイバからなり励起光を用いて信号光を増幅する増幅用光ファイバと、
    前記増幅用光ファイバに前記励起光を供給する励起光供給器と、
    前記増幅用光ファイバに対して、その信号伝播方向の逆方向に沿って雑音抑制光を供給する雑音抑制光供給器とを有し、
    前記雑音抑制光供給器は、
    ・前記信号光の波長より短い波長領域である、
    ・前記信号光の波長領域付近において自然放出光となりうるエネルギーを誘導放出可能な波長領域である、
    ・前記希土類元素による吸収が、その吸収帯における最大吸収ピークの19%以上となる波長領域である、
    という波長条件を満たす光を、前記雑音抑制光として前記増幅用光ファイバに供給するものである、
    ことを特徴とする光増幅装置。
  2. 請求項1に記載の光増幅装置において、
    前記増幅用光ファイバは、前記希土類元素としてエルビウムが添加されたものであって、Lバンド波長帯域(1565〜1625nm)の前記信号光を増幅するものであり、
    前記雑音抑制光供給器は、波長帯域1550〜1560nmの光を前記雑音抑制光として前記増幅用光ファイバに供給するものである、
    ことを特徴とする光増幅装置。
  3. 請求項2に記載の光増幅装置において、
    前記雑音抑制光供給器は、波長帯域1555nmの光を前記雑音抑制光として前記増幅用光ファイバに供給するものである、
    ことを特徴とする光増幅装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の光増幅装置において、
    前記励起光供給器は、前記増幅用光ファイバに対して、その信号伝播方向の逆方向に沿って後方励起光を供給する後方励起光供給部を備えており、
    前記雑音抑制光および前記後方励起光を合波した後に、前記増幅用光ファイバに供給することを特徴とする光増幅装置。
  5. 請求項4に記載の光増幅装置において、
    前記雑音抑制光供給器は、前記雑音抑制光を生成する雑音抑制光用光源を備える一方、前記後方励起光供給部は、後方励起光を生成する後方励起光用光源を備えており、
    前記両光源からの雑音抑制光および前記後方励起光を合波する第1の合波器と、この第1の合波器の出力および前記信号光を合波する第2の合波器とを備えることを特徴とする光増幅装置。
  6. 請求項1ないし3のいずれかに記載の光増幅装置において、
    前記励起光供給器は、信号伝播方向に沿って前記増幅用光ファイバの信号伝播方向前端側から前方励起光を前記増幅用光ファイバに供給する前方励起光供給部と、信号伝播方向の逆方向に沿って前記増幅用光ファイバの信号伝播方向後端側から前記増幅用光ファイバに後方励起光を供給する後方励起光供給部とを備えており、
    前記後方励起光供給部は、前記後方励起光として前記雑音抑制光と同等の波長条件を満たす光を前記増幅用光ファイバに供給することで、前記雑音抑制光供給部を兼務する、
    ことを特徴とする光増幅装置。
JP2003013189A 2002-04-22 2003-01-22 光増幅装置 Pending JP2004006637A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003013189A JP2004006637A (ja) 2002-04-22 2003-01-22 光増幅装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002119298 2002-04-22
JP2003013189A JP2004006637A (ja) 2002-04-22 2003-01-22 光増幅装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004006637A true JP2004006637A (ja) 2004-01-08

Family

ID=30447270

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003013189A Pending JP2004006637A (ja) 2002-04-22 2003-01-22 光増幅装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004006637A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6731426B2 (en) Long wavelength optical amplifier
EP1263096B1 (en) Improved wide band erbium-doped fiber amplifier (EDFA)
JP3936533B2 (ja) 希土類ドープファイバ増幅器および多段ファイバ増幅器
GB2340297A (en) Long-wavelength optical fibre amplifier
US20050185261A1 (en) Wide band erbium-doped fiber amplifier with gain enhancement
PL164795B1 (pl) Wzmacniacz optyczny z wlóknem aktywnym PL PL PL PL PL
US7508575B2 (en) Cascaded pump delivery for remotely pumped erbium-doped fiber amplifiers
US6507430B2 (en) Long wavelength optical amplifier
CN113746552A (zh) C+l掺铒光纤放大器中的增益均衡
KR100424630B1 (ko) 엘-밴드 어븀첨가 광섬유 증폭기
US6927898B2 (en) Ultra-wide bandwidth optical amplifier
KR100498938B1 (ko) 광대역 광증폭기
US6690507B2 (en) Double-pumped raman amplifier
US6466363B1 (en) Broadband amplification with first and second amplifiers having different pump wavelength requirements
US6781748B2 (en) Long wavelength optical amplifier
US6256138B1 (en) Fiber filter to improve return loss at signal band of a fiber amplifier for pump laser modules
CN114884574A (zh) 一种l波段扩展混合光纤放大器
US7440172B2 (en) Optical amplifier
JP2004006637A (ja) 光増幅装置
JP2002319726A (ja) 光増幅器
JP2009117720A (ja) 光ファイバ増幅器
US20070014514A1 (en) Optical component
JP2003318468A (ja) 広帯域ase光源
JP2003273428A (ja) 光増幅装置
WO2003044569A2 (en) L band optical amplifier

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071211

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080408