JP2003273084A - 大気圧プラズマ装置、大気圧プラズマ処理方法及びデバイス並びにデバイス製造方法 - Google Patents

大気圧プラズマ装置、大気圧プラズマ処理方法及びデバイス並びにデバイス製造方法

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JP2003273084A
JP2003273084A JP2002072873A JP2002072873A JP2003273084A JP 2003273084 A JP2003273084 A JP 2003273084A JP 2002072873 A JP2002072873 A JP 2002072873A JP 2002072873 A JP2002072873 A JP 2002072873A JP 2003273084 A JP2003273084 A JP 2003273084A
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plasma
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atmospheric pressure
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Yoshiaki Mori
義明 森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大気圧プラズマ装置において、高周波回路に
おける高周波インピーダンスの変動を防止することによ
って、プラズマの変動を防ぐ。 【解決手段】 被処理物2が配置される接地した下部電
極であるステージ1と、このステージ1の上方に放電空
間3を介して配置した上部電極である高周波電極4と、
この高周波電極4にマッチング回路5を介して接続さ
れ、高周波電極4に高周波電力を供給する高周波電源6
と、高周波電極4とマルチング回路5とをー体に、ステ
ージ1の面に沿って移動させるようにしたアクチュエー
タ7とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体基板などの
被処理物の表面処理装置に係り、特に被処理物を大気圧
またはその近傍の圧力下において表面処理を行うための
大気圧プラズマ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置の分野においては、半導体基
板等の被処理材に対して有機物を除去するアッシングや
被処理材の表面を除去するエッチング、更には酸化や窒
化等の種々の表面処理が行われる。従来、被処理材の表
面に存在する有機物をアッシングする場合には、被処理
材を配置した真空容器内に酸素を導入して真空プラズマ
を発生させ、真空プラズマによって生成した活性な酸素
により有機物を燃焼させていた。また、被処理材をエッ
チングする場合には、被処理材を酸などの溶液に浸漬し
たり、被処理材を配置した真空容器中にCF4などの処
理ガスを導入し、真空プラズマによって活性なフッ素な
どを生成して被処理材をエッチングしていた。
【0003】しかし、真空プラズマを用いたアッシング
やエッチングは、高価な真空機器を設置しなければなら
ないとともに、容器内を真空にするための処理に多くの
時間を必要とする。しかも、真空プラズマを発生させる
ために大きなエネルギーを必要とし、半導体装置の製造
コストを上昇させる要因となる。また、被処理材を酸溶
液などに浸漬するウエットエッチングは、エッチング後
に純水による洗浄、乾燥を行わなければならないため、
多くの時間と手間が必要で、生産性が低下して製造コス
トを増大させる要因となる。そこで、大気圧又はその近
傍の圧力において処理ガスをプラズマ化し、いわゆる大
気圧プラズマによって活性化したガスを用いてアッシン
グやエッチングを行うことが提案されている。
【0004】図12は、従来の、大気圧プラズマによる
表面処理装置の説明図である。図12において、シリコ
ンウエハなどの被処理物2を配置する下部電極であるス
テージ31の上方には、高周波電源32に接続した高周
波電極(上部電極)33が対向して配置してあって、高
周波電極32とステージ31との間が放電空間34とな
っている。高周波電源32と高周波電極33の間に高周
波マッチング回路35が設けられている。
【0005】そして、表面処理の進行とともに、ステー
ジ31が移動するようになっている。ステージ31の移
動は、ステージ31の下部に設けられた金属ナット3
6、37に螺合した金属ボールネジ38の回転により行
う。金属ボールネジ38はその端部に設けられたモータ
39によって回転する。金属ボールネジ38の他端に
は、金属ボールネジ38を保持するための軸受40が配
置してあり、この軸受40にアース41が連絡してい
る。
【0006】そして、放電空間34の側方には、処理ガ
ス供給ノズル42が配置してあって、放電空間34にヘ
リウムと酸素の混合ガスや、ヘリウムと四フッ化炭素
(CF 4)との混合ガスなどの処理ガスを供給できるよ
うにしてある。また、処理ガス供給ノズル42を覆って
フード43が設けられており、フード43に排気弁44
を備えた排気管45のー端が接続してある。排気管45
の他端には、排気ポンプ46が接続してあって、排気ポ
ンプ46によってフード43内のガスを排気できるよう
にしてある。排気ポンプ46の吐出した排気ガスは、必
要に応じて図示しない除害装置に送られる。
【0007】表面処理を行う場合、ステージ31上に被
処理部物2を配置した後、処理ガス供給ノズル42から
放電空間34に処理ガスを供給し、高周波電源32によ
って高周波電極33とステージ31との間に高周波電圧
を印加する。これにより放電空間34内の処理ガスが電
離してプラズマ47が発生し、処理ガスが電離した励起
状態となって活性化される。そして、放電空間34に発
生したプラズマ47がステージ31の上に配置した被処
理材2に衝突することにより、被処理物2の表面処理が
行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の装置
には次のような問題があった。表面処理の進行にとも
ない、ステージ31が移動するため、ステージ31とア
ース41間の距離が変化する。これにより、ステージ3
1とアース41間の高周波インピーダンスが変化するた
め、プラズマに強弱が生じて不安定となる。特に最近、
被処理材としての半導体基板が大きくなってきたので、
ステージ31の移動量が大きくなってきたため、ー層プ
ラズマが不安定になってきている。そして、処理材が
大きくなってくることにより、大きな装置が必要とな
り、設備費が大きくなってきた。なおこの装置では、ス
テージ31の移動距離は被処理材2の長さの2倍必要で
ある。ステージ31とアース41の間に、金属ボール
ネジ38、金属ナット36、37が介在しているため、
ボールネジ38の回転によるステージ31の移動にとも
ない、ボールネジ38と金属ナット36、37との接触
位置が変わることにより、ボールネジ38と金属ナット
36、37間に接触不良が発生することがある。これに
より、プラズマが不安定となる。ステージ31とアー
ス41の間の距離が長いため、高周波電圧の損失が発生
していた。
【0009】これらの、電気回路上の問題に加えて、更
に、次のような問題があった。処理ガス供給ノズル4
2から供給される処理ガスは、開放されている放電空間
に継続的に供給するため、大量の供給量が必要である。
供給ガス又は排気ガスが腐食性の場合には、処理ガス
や反応生成物が周囲に拡散して付近の装置を腐食させる
ので、装置に高価な材料を使用する必要があり、装置の
寿命も短い。処理空間が密閉されていないため、被処
理材に埃が付着して被処理材の品質を低下させる。本発
明は、これらの問題を解決した大気圧プラズマ装置を提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、被処理物が配
置される接地した下部電極と、この下部電極の上方に放
電空間を介して配置した上部電極と、この上部電極にマ
ッチング回路を介して接続され、前記上部電極に高周波
電力を供給する高周波電源と、前記上部電極と前記マル
チング回路とをー体に、前記下部電極の面に沿って移動
させるアクチュエータと、を有することを特徴とする。
【0011】このように構成した本発明は、下部電極と
アース間の距離が変化しないので、下部電極とアース間
の高周波インピーダンスが変動せず、プラズマの変動を
防ぐことができる。また、従来の装置に装備されていた
ボールネジ及びナットを使用しないので、接触不良によ
るプラズマの変動を防ぐことができる。また、下部電極
とアース間の距離を短縮できることにより、高周波電圧
の損失を無くすことができる。また、装置を小さくする
ことができるので、設備に要する費用を低減できる。
【0012】また、マッチング回路が、高周波電極とー
体に移動することができるので、ー層、高周波回路を安
定化することができ、プラズマをさらに安定化すること
ができる。また、マッチング回路と高周波電極間の距離
を短くすることができ、電力ロスを小さくすることがで
きる。
【0013】そして、本発明は、前記下部電極は、配置
された被処理物の上方を覆い、前記被処理物の上部に放
電空間を形成する誘電体を有し、前記高周波電極は前記
誘導体の上面を接触移動することを特徴とする。
【0014】このように構成した本発明は、下部電極の
上方に放電空間を介して高周波電極を配置する際に、極
めて効率的な構造により、アーク放電などの異常放電の
発生を防止でき、プラズマを安定化することができる。
【0015】そして、本発明は、前記誘導体は、前記被
処理物を収容可能な閉空間を有する処理室に形成され、
前記処理室に前記被処理室を処理するための処理ガスを
導入するガス供給口と、処理後のガスを排気するための
排気口とを設けたことを特徴とする。
【0016】このように構成した本発明は、処理室を小
さくすることができるので、供給される処理ガスの量を
低減することができる。また、供給ガス及び排気ガスを
閉空間の処理室内に密閉できるので、処理ガスや反応生
成物が周囲に拡散して他の装置に触れるのを防ぐことが
でき、装置の腐食等を防ぐことができる。また、処理室
が密閉されているため、被処理材に埃等が付着して被処
理材の品質が低下するのを防ぐことができる。
【0017】また、本発明は、処理物を収容可能な空間
を有し、かつ誘電体で形成された処理室内にて前記被処
理物の表面処理を行う大気圧プラズマ処理装置を載置し
て、前記処理室の上部を他の電極が移動することにより
前記処理室の所定箇所を表面処理することを特徴とす
る。
【0018】このようにした本発明は、下部電極とアー
ス間の距離が変化しないので、下部電極とアース間の高
周波インピーダンスが変化せず、プラズマの変動を防ぐ
ことができる。
【0019】また、本発明は、デバイスに所定の表面処
理を行って前記デバイスを製造するデバイス製造方法に
おいて、被処理物を収容可能な空間を有する誘電体で形
成された処理室の前記空間に前記被処理物を収容し、一
方の電極であるステージ上に前記処理室を載置して、前
記処理室の上部を他の電極が移動することにより前記処
理室内の前記被処理物の所定箇所を表面処理することを
含むことを特徴とする。また、本発明の大気圧プラズマ
処理装置を用いて製造されたデバイスは、本発明の大気
圧プラズマ処理装置による効果を享受できる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施形態
を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の大気圧プ
ラズマ装置の説明図、図2は本発明の電極移動装置を概
略的に示した平面図である。
【0021】図1において、本発明の大気圧プラズマ装
置は、シリコンウエハなどの被処理物2を配置する下部
電極であるステージ1と、このステージ1の上方に放電
空間3を介して配置され移動可能な上部電極である高周
波電極4と、マッチング回路5を介して高周波電極4に
接続した高周波電源6と、高周波電極4をステージ1の
上面に沿って移動させるモータなどのアクチュエータ7
とを有している。
【0022】そして、ステージ1は、金属などの導電体
からなっていて、ステージ1の上面に、放電空間3を形
成している閉空間21を有する誘電体8が配設してあ
り、高周波電極4が誘導体8の上面を接触移動するよう
にしてある。ここで、マッチング回路5は、高周波電極
4とー体に移動するようになっている。ステージ1は配
線10によりアース9に接地しており、表面処理が進行
しても高周波電極4が移動するー方、ステージ1は移動
しないから、ステージ1とアース9間の距離は変化しな
い。なお、高周波電源6は配線11によりアース10に
接地している。
【0023】次に、高周波電極4の移動装置について説
明する。図2において、高周波電極4を保持する絶縁体
からなる電極ホルダ12の上部に、マッチング回路5が
固定されており、電極ホルダ12の両端部には夫々、ナ
ット部材13及び支持部材14が設けられている。ナッ
ト部材13は電極ホルダ12と直角に配置されたネジ1
5に螺合している。ネジ15の端部には、ネジ15を回
転させるモータなどのアクチュエータ7が設けられてお
り、ネジ15の他端は軸受16で支持されている。支持
部材14は、ネジ15と反対側に電極ホルダ12と直角
に配置されたガイドバー17と移動可能に嵌着されてい
る。なお、ガイドバー17はその両端部をブラッケット
18、19によって支持されている。そして、高周波電
極4は、マッチング回路5とー体に制御装置20に制御
されるアクチュエータ7によって誘電体8上を移動す
る。
【0024】この実施の形態では、誘導体8は、被処理
物2を収容可能な閉空間21を有する箱状の処理室22
に形成されている。処理室22の側部には、被処理物を
処理するための処理ガスを閉空間21に導入するための
ガス供給口23が設けられている。ガス供給口23には
ガス供給管24を介して処理ガス供給部25が接続して
あり、閉空間21に酸素やオゾン、CF4などの処理ガ
スを供給できるようになっている。そして、ガス供給管
24には、流量制御弁26が設けてあり、閉空間21に
供給する処理ガスの量を調節することができるようにし
てある。更に、処理室22の他側部には、閉空間21内
の処理後の処理ガスや反応生成物を排気するための排気
口27が設けられている。排気口27には、排気弁28
を備えた排気管29のー端が接続してある。排気管29
の他端には、排気ポンプ30が接続してあり、排気ポン
プ30により処理室22の内部を排気することができる
ようにしてある。排気ポンプ30の吐出した排気ガス
は、必要に応じて図示しない除害装置に送られる。
【0025】表面処理を行う場合、ステージ1上の処理
室22の閉空間21内に被処理物2を配置する。そし
て、処理ガス供給部25から供給管24を介して処理ガ
スを閉空間21に供給するとともに、排気ポンプ30に
より閉空間21内を排気して、閉空間21内を大気圧状
態に維持して閉空間21内の処理ガスの濃度を調節す
る。その後、高周波電源6によって高周波電極4とステ
ージ1との間に高周波電圧を印加する。これにより放電
空間3内の処理ガスが電離してプラズマ31が発生し、
処理ガスが電離した励起状態となって活性化される。そ
して、放電空間である閉空間21に発生したプラズマ3
1がステージ1の上に配置した被処理材2に衝突するこ
とにより、被処理材2の表面処理が行われる。高周波電
極4は、制御装置20に制御されるアクチュエータ7に
より誘電体8上で所定の移動を行い、被処理材2に対す
る表面処理が進行する。
【0026】このように構成した本発明は、下部電極で
あるステージ1を移動させないために、ステージ1とア
ース9間の距離が変化しないので、ステージ1とアース
9間の高周波インピーダンスが変動せず、プラズマの変
動を防ぐことができる。また、ステージ1は従来のよう
にボールネジを介して接地されていないので、ボールね
じの接触不良によるプラズマの変動を防ぐことができ
る。また、ステージ1は移動しないため、ステージ1と
アース9間の距離を短縮できることにより、高周波電圧
の損失を無くすことができる。また、被処理材2を移動
させないため、装置を小さくすることができるので、設
備に要する費用を低減できる。
【0027】そして、マッチング回路5を高周波電極4
と共に移動させるようにしたので、ー層、高周波回路を
安定化することができ、これにより、更に、プラズマを
安定化することができる。また、高周波電極4とマッチ
ング回路5とがー体に移動するため、マッチング回路5
と高周波電極6間の距離を短くすることができ、電力ロ
スを小さくすることができる。
【0028】そして、誘電体8を被処理物2を収容可能
な閉空間21を有する箱状の処理室22に形成し、処理
室22の閉空間21内に、被処理物2を配置するととも
に、閉空間21内に処理ガスを供給して被処理物2の処
理を行うようにしたことにより、処理に必要な処理ガス
の量を大幅に削減することができる。また、処理室22
の閉空間21内で処理を行うため、処理ガスや反応生成
物が周囲に拡散するのを防止でき、処理ガスや反応生成
物による処理装置や周辺機器の腐食や汚染などを防止す
ることができる。さらに、被処理物2を処理室22の閉
空間21内に配置して処理するため、大気中に浮遊する
塵埃等が被処理物2に付着するのを防止できるばかりで
なく、被処理物2の上方を移動する高周波電極4の移動
に伴い発生するごみや粒子などの付着を確実に防止する
ことができる。そして、処理ガスを活性化する放電が誘
電体8を介して行なわれるため、アーク放電などの異常
放電の発生を防ぐことができ、安定したプラズマを生成
することができる。
【0029】なお、前記実施形態においては、誘電体8
により閉空間21を有する処理室22を形成した場合に
ついて説明したが、誘電性の板をステージ2の上方に配
置しただけでもよい。この場合、処理ガスの供給ノズル
を高周波電極4とー体に移動させるようにする。
【0030】本発明の大気圧プラズマ処理装置による表
面処理が施されることにより製造されるデバイスの適用
例として、カラーフィルタや有機エレクトロルミネッセ
ンス(EL)が挙げられる。具体的には、カラーフィル
タ製造時や、有機EL装置の製造時における親液処理、
或いは撥液処理に本発明の大気圧プラズマ処理を適用す
ることができる。
【0031】以下に有機EL装置の発光素子部の製造に
おいて本発明の大気圧プラズマ処理方法及び装置を適用
した具体例を示す。先ず、本実施形態に係る有機EL装
置は、図3に示すように、ガラス等からなる透明な基板
100と、マトリックス状に配置された発光素子を具備
して基板100上に形成された発光素子部101と、発
光素子部101上に形成された陰極102とを具備して
いる。発光素子部101と陰極102とにより表示素子
104が構成される。この表示装置は、基板100上
に、TFTなどの回路等が形成された回路素子部10
5、機能層110が形成された発光素子部101及び陰
極102が順次積層されて構成されている。そして、機
能層110から基板100側に発した光が、回路素子部
105及び基板100を透過して基板100の下側(観
測者側)に出射されるとともに、機能層110から基板
100の反対側に発した光が陰極102により反射され
て、回路素子部105及び基板100を透過して基板1
00の下側(観測者側)に出射されるようになってい
る。なお陰極102として、透明な材料を用いることに
より陰極側から発光する光を出射させることができる。
【0032】発光素子部101は、複数の画素電極11
1・・・上の各々に積層された機能層110と、各画素
電極111及び機能層110の間に備えられて各機能層
110を区画するバンク部112とを主体として構成さ
れている。機能層110上には陰極102が配置されて
いる。これら画素電極111、機能層110及び陰極1
02によって発光素子が構成されている。
【0033】バンク部112は、基板100側に位置す
る無機バンク層112aと基板100から離れて位置す
る有機物バンク層112bとが積層されて構成されてい
る。無機物バンク層112aは、例えばSiO2、Ti
2等の無機材料からなる。この無機バンク層112a
の膜厚は、50〜200nmの範囲が好ましい。有機バ
ンク層112bは、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等の
耐熱性、耐溶剤性のあるレジストから形成されている。
【0034】バンク部112には、親液性を示す領域と
撥液性を示す領域が形成されている。親液性を示す領域
は、無機物バンク層112aの画素電極111との第1
積層部112e及び画素電極111の電極面111aで
あり、これらの領域は、酸素を処理ガスとするプラズマ
処理によって親液性に表面処理されるが、この表面処理
に、後述のように本発明を適用することができる。ま
た、撥液性を示す領域は、有機物バンク層112bの上
部開口部112dの壁面及び有機バンク層112bの上
面112fであり、これらの領域は4フッ化メタン、テ
トラフルオロメタン(4フッ化炭素)を処理ガスとする
プラズマ処理によって撥液性に表面処理されるが、この
表面処理に、後述のように本発明を適用することができ
る。
【0035】なお、図3において、回路素子部105に
は、基板100上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜
106が形成され、この下地保護膜106上に多結晶シ
リコンからなる島状の半導体膜141が形成されてい
る。半導体141には、ソース領域141a及びドレイ
ン領域141bが高濃度Pイオン打ち込みにより形成さ
れている。Pイオンが導入されなかった部分がチャンネ
ル領域141cとなっている。更に、回路素子部105
には、下地保護膜106及び半導体膜141及び半導体
膜141を覆う透明なゲート絶縁膜142が形成され、
ゲート絶縁膜142上にはAl、Mo、Ta、Ti、W
等からなるゲート電極143が形成され、ゲート電極1
43及びゲート絶縁膜142上には透明な第1層間絶縁
膜144aと第2層間絶縁膜144bが形成されてい
る。ゲート電極143は半導体膜141のチャンネル領
域141cに対応する位置に設けられている。また、第
1、第2層間絶縁膜144a、144bを貫通して、半
導体膜141のソース、ドレイン領域141a、141
bに夫々接続されるコンタクトホール145、146が
形成されている。そして、第2層間絶縁膜144bに
は、ITO等からなる透明な画素電極111が所定の形
状にパターニングされて形成され、一方のコンタクトホ
ール145がこの画素電極111に接続されている。ま
た、もう一方のコンタクトホール146が電源線103
に接続されている。このようにして、回路素子部には、
各画素電極111に接続された駆動用の薄膜トランジス
タ123が形成される。
【0036】上記の有機EL装置の製造方法は、例え
ば、(1)バンク部形成工程、(2)プラズマ処理工
程、(3)正孔注入/輸送層形成工程、(4)発光層形
成工程、(5)対向電極形成工程、及び(6)封止工程
とを順次具備して構成される。そして、本発明の製造方
法及び装置は(2)のプラズマ処理工程に適用すること
ができるのであるが、先ずバンク部形成工程について説
明する。
【0037】バンク形成工程は、基板100の所定の位
置にバンク部112を形成する工程である。バンク部1
12は、第1のバンク層として無機物バンク層112a
が形成され、第2のバンク層として有機物バンク層11
2bが形成された構造である。無機物バンク層112a
を形成するには、基板100の所定の位置に無機物バン
ク層112aを形成する。無機バンク層112aが形成
される位置は、第2層間絶縁膜144b上及び電極11
1上である。第2層間絶縁膜144bは薄膜トランジス
タ、走査線、信号線等が配置された回路素子部105上
に形成されている。無機物バンク層112aは、例え
ば、SiO2、TiO2等の無機物膜を材料として用いる
ことができる。これらの材料は、例えば、CVD法、コ
ート法、スパッタ法、蒸着法によって形成される。次
に、第2のバンク層として、無機物バンク層112aの
上に有機物バンク層112bを形成する。有機物バンク
層112bとして、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の
耐熱性、耐溶剤性を有する材料を用いる。これらの材料
を用い、有機物バンク層112bをフォトリソグラフィ
技術等によりパターニングして形成される。パターニン
グする際、有機物バンク層112bに上部開口部112
dを形成する。上部開口部112dは、電極面111a
及び下部開口部112c対応する位置に設けられてい
る。
【0038】次に、プラズマ処理工程では、画素電極1
11の表面を活性化すること、更に、バンク部112の
表面を表面処理することを目的として行われる。活性化
工程では、画素電極111上の洗浄、仕事関数の調整を
主な目的として行っている。更に、画素電極111の表
面の親液化処理、バンク部112表面の撥液化処理を行
う。このプラズマ処理工程は例えば予備加熱工程、活性
化処理工程(親液性にする親液化工程)、撥液化処理工
程、及び冷却工程に大別される。
【0039】先ず、図4は、プラズマ処理工程で用いら
れるプラズマ処理装置を示す。図4に示すプラズマ処理
装置50は、予備加熱処理室51、第1プラズマ処理室
52、第2プラズマ処理室53、冷却処理室54、これ
らの各処理室51〜54に基板100を搬送する搬送装
置55とから構成されている。各処理室51〜54は、
搬送装置55を中心として放射状に配置されている。
【0040】これらの装置を用いた概略の工程を説明す
る。予備加熱工程は、図4に示す予備加熱処理室51に
おいて行われる。そして、この加熱室51により、バン
ク部形成工程から搬送された基板100を所定の温度に
加熱する。予備加熱工程の後、親液化工程及び撥液化処
理工程を行う。即ち、基板100は、第1、第2プラズ
マ処理室52、53に順次搬送され、それぞれの処理室
52、53においてバンク部112にプラズマ処理を行
い親液化する。この親液化処理後に撥液化処理を行う。
撥液化処理の後に基板100を冷却処理室54に搬送
し、冷却処理室54において基板2を室温まで冷却す
る。この冷却工程後、搬送装置により次の工程である正
孔注入/輸送層形成工程に基板2を搬送する。
【0041】以下に、それぞれの工程について詳細に説
明する。 (a)予備加熱工程 予備加熱工程は予備加熱処理室51において行われる。
この処理室51において、バンク部112を含む基板1
00所定の温度まで加熱する。基板2の加熱方法は、例
えば処理室51内にて基板100を載せるステージにヒ
ータを取付け、このヒータで当該ステージごと基板2を
加熱する手段がとられている。
【0042】予備加熱処理室51において、例えば70
〜80℃の範囲に基板2を加熱する。この温度は次工程
であるプラズマ処理における処理温度であり、次工程に
合わせて基板100を事前に加熱し、基板100の温度
ばらつきを解消することを目的としている。仮に予備加
熱工程を加えなければ、基板100は室温から上記のよ
うな温度に加熱されることになり、工程開始から工程終
了までのプラズマ処理工程中において温度が常に変動し
ながら処理されることになる。したがって、基板100
の温度が変化しながらプラズマ処理を行うことは、特性
の不均一につながる可能性がある。したがって、処理条
件を一定に保ち、均一な特性を得るために予備加熱を行
う。
【0043】そこで、プラズマ処理工程においては、第
1、第2プラズマ処理装置52、53内の試料ステージ
上に基板100を載置した状態で親液化工程または撥液
化工程を行う場合に、予備加熱温度を、親液化工程また
は撥液化化工程を連続して行う試料ステージ56の温度
にほぼ一致させることが好ましい。
【0044】そこで、第1、第2プラズマ処理装置5
2,53内の試料ステージの温度が上昇する温度、例え
ば70〜80℃まで予め基板100を予備加熱すること
により、多数の基板100にプラズマ処理を連続的に行
った場合でも、処理開始直後と処理終了直前でのプラズ
マ条件をほぼ一定にすることができる。これにより、基
板100の表面処理条件を同一にし、バンク部112の
組成物に対する濡れ性を均一化することができる。ま
た、基板2を予め予備加熱しておくことにより、後のプ
ラズマ処理における処理時間を短縮することができる。
【0045】(b)活性化処理 次に、第1プラズマ処理室52では、活性化処理が行わ
れる。活性化処理には、画素電極111における仕事関
数の調整、制御、画素電極表面の洗浄、画素電極表面の
親液化処理が含まれる。
【0046】親液化処理として、大気雰囲気中で酸素を
処理ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を、
図1に示す本発明の装置を使用して行う。図1におい
て、バンク部112を含む基板100は、ステージ1上
に配置される。そして、処理ガス供給部25から供給管
24を介して処理ガスを閉空間21に供給するととも
に、排気ポンプ30により閉空間21内を排気して、閉
空間21内を大気圧状態に維持して閉空間21内の処理
ガスの濃度を調節する。その後、高周波電源6によって
高周波電極4とステージ1との間に高周波電圧を印加す
る。これにより放電空間3内の処理ガスが電離してプラ
ズマ31が発生し、処理ガスが電離した励起状態となっ
て活性化される。そして、放電空間である閉空間21に
発生したプラズマ31がステージ1の上に配置したバン
ク部112を含む基板100に衝突することにより表面
処理が行われる。高周波電極4は所定の速度、例えば
0.5〜30mm/secで移動し、その間に基板10
0に対してプラズマ状態の酸素が照射される。O2プラ
ズマ処理の条件は、例えば、プラズマパワー100〜8
00W、酸素ガス流量50〜100ml/min、基板
温度70〜90℃の条件で行われる。
【0047】このプラズマ処理により、図5に示すよう
に、画素電極111a、無機バンク層112aの第1積
層部112e及び有機バンク層112bの上部開口部1
12dの壁面並びに上面112fが親液処理される。こ
の親液処理により、これらの各面に水酸基が導入されて
親液性が付与される。図5では、親液処理された部分を
一点鎖線で示している。なお、このプラズマ処理は、親
液性を付与するのみならず、上述の通り画素電極である
ITO上の洗浄、仕事関数の調整も兼ねている。
【0048】(c)撥液処理工程 次に、第2プラズマ処理室では、撥液化工程として、大
気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプ
ラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行う。第2プラズ
マ処理室53の内部構造は、図1に示した第1プラズマ
処理室の内部構造と同じである。即ち、基板100はス
テージ1上に載置される。そして、高周波電極4は所定
の速度で移動し、その間に基板100に対してプラズマ
状態のテトラフルオロメタン(四フッ化炭素)が照射さ
れる。CH4プラズマ処理の条件は、例えば、プラズマ
パワー100〜800W、四フッ化メタンガス流量50
〜100/min、基板温度70〜90℃の条件で行わ
れる。なお、処理ガスは、テトラフルオロメタン(四フ
ッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを
用いることができる。
【0049】CF4プラズマ処理により、図6に示すよ
うに、上部開口部112d壁面及び有機バンク層の上面
112fが撥液処理される。この撥液処理により、これ
らの各面にフッ素基が導入されて撥液処理される。図6
では、撥液性を示す領域を二点鎖線で示している。有機
物バンク層112bを構成するアクリル樹脂、ポリイミ
ド樹脂等の有機物は、プラズマ状態のフルオロカーボン
を照射することで容易に撥液化させることができる。ま
た、O2プラズマにより前処理した方がフッ素化されや
すい、という特徴を有しており、本実施形態には特に有
効である。なお、画素電極111の電極面111a及び
無機物バンク層112aの第1積層部112eもこのC
4プラズマ処理の影響を多少受けるが、濡れ性に影響
を与えることは少ない。図6では、親液性を示す領域を
一点鎖線で示している。
【0050】(d)冷却工程 次に、冷却工程として、冷却処理室54を用い、プラズ
マ処理のために加熱された基板2を管理温度まで冷却す
る。これは、これ以降の工程であるインクジェット工程
(液滴吐出工程)の管理温度まで冷却するために行う工
程である。この冷却処理室54は、基板2を配置するた
めのプレートを有し、そのプレートは基板2を冷却する
ように水冷装置が内蔵された構造となっている。
【0051】また、プラズマ処理後の基板2を室温また
は所定の温度(例えばインクジェット工程を行う管理温
度)まで冷却することにより、次の正孔注入/輸送層形
成工程において、基板100の温度が一定となり、基板
100の温度変化が無い均一な温度で次工程を行うこと
ができる。
【0052】(e)正孔注入/輸送層形成工程 次に、図7に基づき、正孔注入/輸送層形成工程につい
て説明する。正孔注入/輸送層注入工程では、液滴吐出
として例えばインクジェット装置を用いることにより、
正孔注入/輸送層形成材料を含む第1組成物を電極面1
11a上に吐出する。その後に乾燥処理及び熱処理を行
い、画素電極111上及び無機物バンク層112a上に
正孔注入/輸送層110aを形成する。
【0053】インクジェットによる製造方法は以下の通
りである。図7に示すように、インクジェットヘッドH
1に形成されてなる複数のノズルから正孔注入/輸送層
形成材料を含む第1組成物を吐出する。ここではインク
ジェットヘッドH1を走査することにより、各画素毎に
組成物を充填しているが、基板100とを相対的に移動
させることによっても組成物を充填させることができ
る。
【0054】インクジェットヘッドH1による吐出は以
下の通りである。即ち、インクジェットヘッドH1に形
成されてなる吐出ノズルH2を電極面111aに対向し
て配置し、ノズルH2から第1組成物を吐出する。画素
電極111の周囲には下部開口部112cを区画するバ
ンク112が形成されており、この下部開口部112c
内に位置する画素電極面111aにインクジェットヘッ
ドH2を対向させ、このインクジェットヘッドH1と基
板100とを相対移動させながら、吐出ノズルH2から
1滴当たりの液量が制御された第1組成物滴110cを
電極面111a上に吐出する。
【0055】ここで用いる第1組成物としては、例え
ば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等
のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(P
SS)等の混合物を、極性溶媒に溶解させた組成物を用
いることができる。極性溶媒としては、例えばイソプロ
ピルアルコール(IPA)、ノルマルブタノール、γ−
ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、ブ
チルカルビトールアセテート等のグリコールエーテル類
等を挙げることができる。
【0056】なお、正孔注入/輸送層形成材料は、赤
(R)、緑(G)、青(G)の各発光層110b1〜1
10b3に対して同じ材料を用いてもよく、各発光層毎
に変えてもよい。
【0057】図7に示すように、吐出された第1組成物
滴110cは、親液処理された電極面111a及び第1
積層部112e上に広がり、下部、上部開口部112
c、112d内に充填される。仮に、第1組成物滴11
0cが所定の吐出位置から外れて上面112f上に吐出
されたとしても、上面112fが第1組成物滴110c
で濡れることがなく、はじかれた第1組成物110cが
下部、上部開口部112c、112d内に転がり込む。
【0058】(f)乾燥工程 次に、乾燥工程を行う。乾燥工程を行うことにより、吐
出後の第1組成物を乾燥処理し、第1組成物滴110c
に含まれる極性溶媒を蒸発させ、正孔注入/輸送層11
0aを形成する。
【0059】乾燥処理を行うと、第1組成物滴110c
に含まれる極性溶媒の蒸発が、主に無機物バンク層11
2a及び有機物バンク層112bに近いところで起き、
極性溶媒の蒸気に併せて正孔注入/輸送層形成材料が濃
縮されて析出する。
【0060】これにより、図8に示すように、第1積層
部112e上に、正孔注入/輸送層形成材料からなる周
縁部112a2が形成される。この周縁部110a2
は、上部開口部112dの壁面(有機物バンク層112
b)に密着している。
【0061】(e)引き続き、陰極形成工程において陰
極層102を形成し、封止工程において発光素子が形成
された基板100と封止基板とを封止樹脂により封止
し、一連も工程を完了する。
【0062】次に、カラーフィルタ製造の場合、例えば
ガラス基板にレジスタ等によりバンクを形成し、そのバ
ンク内に機能性液体である所定のカラーフィルタ用液剤
を注入することにより、カラーフィルタを形成するので
あるが、本発明の大気圧プラズマ処理装置を用いてバン
ク上に撥液処理を施し、機能性液体であるカラーフィル
タ用液材が注入させる部分に親液処理を施すことにより
品質のよいカラーフィルタを製造することが可能とな
る。
【0063】ここで、カラーフィルタの製造工程を概略
的に説明すると、先ず図9(1)に示すように、ガラス
基板150の表面に光遮断のためのクロム膜151を成
膜する。次に、図9(2)に示すように、クロム膜15
1の上にフォトレジスト膜152を設ける。そして、フ
ォトマスク(図示せず)を介して露光し、現像により図
9(3)レジスト膜152をパターニングする。次に、
図9(4)のように、クロムエッチングにより、クロム
膜151をパターンニングする。そして、レジスト膜1
52を剥離して、図9(5)のように、ブラックマトリ
ックスが完成する。
【0064】次に、図10(1)に示すように、ブラッ
クマトリックスが形成されたガラス基板150の表面
に、フォトレジスト膜153を設ける。そして、図10
(2)のように、マスク(図示せず)露光し、現像して
クロム膜151の表面に、フォトレジストから成るバン
ク部154を形成する。次に、バンク部154の上面1
54aに撥液化処理を施す。そして、凹部155、15
6、157に親液化処理を施す。この撥液化処理及び親
液化処理に本発明の方法及び装置を適用することができ
る。具体的には、上記の有機EL装置におけると同様に
図1の装置において各処理を行う。
【0065】親液化処理として、大気雰囲気中で酸素を
処理ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を、
図1に示す本発明の装置と同様の第1プラズマ処理室を
使用して行う。図1において、バンク部154を含む基
板150は、ステージ1上に配置される。そして、処理
ガス供給部25から供給管24を介して処理ガスを閉空
間21に供給するとともに、排気ポンプ30により閉空
間21内を排気して、閉空間21内を大気圧状態に維持
して閉空間21内の処理ガスの濃度を調節する。その
後、高周波電源6によって高周波電極4とステージ1と
の間に高周波電圧を印加する。これにより放電空間3内
の処理ガスが電離してプラズマ31が発生し、処理ガス
が電離した励起状態となって活性化される。そして、放
電空間である閉空間21に発生したプラズマ31がステ
ージ1の上に配置したバンク部154を含む基板150
に衝突することにより表面処理が行われる。高周波電極
4は所定の速度、例えば0.5〜30mm/secで移
動し、その間に基板150に対してプラズマ状態の酸素
が照射される。O2プラズマ処理の条件は、例えば、プ
ラズマパワー100〜800W、酸素ガス流量50〜1
00ml/min、基板温度70〜90℃の条件で行わ
れる。このプラズマ処理により、クロム層151の壁面
151a、バンク部154の壁面154b及びバンク部
154の上面154aが親液処理される。この親液処理
により、これらの各面に水酸基が導入されて親液性が付
与される。
【0066】次に、撥液処理として、第2プラズマ処理
室で、大気雰囲気中においてテトラフルオロメタンを処
理ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行
う。第2プラズマ処理室53の内部構造は、図1に示し
た第1プラズマ処理室の内部構造と同じである。即ち、
基板150はステージ1上に載置される。そして、高周
波電極4は所定の速度で移動し、その間に基板150に
対してプラズマ状態のテトラフルオロメタン(四フッ化
炭素)が照射される。CH4プラズマ処理の条件は、例
えば、プラズマパワー100〜800W、四フッ化メタ
ンガス流量50〜100/min、基板温度70〜90
℃の条件で行われる。なお、処理ガスは、テトラフルオ
ロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカー
ボン系のガスを用いることができる。
【0067】CF4プラズマ処理により、バンク部15
41の上面154aが撥液処理される。この撥液処理に
より、この面にフッ素基が導入されて撥液処理される。
次に冷却工程を経て、図10(3)に示すように、イン
クジェット方式により、インクジェットヘッドH3か
ら、凹部155に赤(R)の着色樹脂を塗布する。吐出
された赤(R)の着色樹脂は、親液処理された凹部15
5に広がり、充填される。仮に、赤(R)の着色樹脂が
所定の吐出位置から外れてバンク層154の上面154
a上に吐出されたとしても、上面154aが赤(R)の
着色樹脂で濡れることがなく、はじかれた赤(R)の着
色樹脂が凹部155内に転がり込む。次に、凹部156
に緑(G)、凹部157に青(B)の着色樹脂を塗布す
る。そして、着色樹脂を乾燥して図10(4)の状態と
なる。その後、保護膜を設けてカラーフィルタが完成す
る。
【0068】なお、上記工程では、遮光膜としてクロム
層151を設けたが、バンク層154aの材料に遮光性
物質を混入、分散させることにより、カラーフィルタの
構造を、クロム膜151を設けずに、図11に示すよう
な構造にすることができる。これにより、クロム膜15
1によるブラックマトリックスを形成する工程を省くこ
とができる。この場合も、インクジェットヘッドH3か
ら凹部158、159、160に着色樹脂を吐出する工
程をとる。図(2)は着色樹脂を乾燥した状態を示す。
【0069】本発明の大気圧プラズマ装置は、上記のデ
バイスの例の他に様々な分野への応用が可能である。つ
まり、目的とする処理に応じて処理ガスを選択すること
により、基板等の被処理物の所定部分に、アッシングや
エッチング、親液処理や撥液処理を施す必要がある様々
なデバイスに適用することができる。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ステージを固定し高周波電極を移動させるようにしたの
で、ステージとアース間の距離が変化せず、ステージと
アース間の高周波インピーダンスが変動せず、プラズマ
の変動を防ぐことができる。また、従来の装置に装備さ
れていたボールネジ及びナットを使用しないので、接触
不良によるプラズマの変動を防ぐことができる。また、
ステージとアース間の距離を短縮できることにより、高
周波電圧の損失を無くすことができる。また、装置を小
さくすることができるので、設備に要する費用を低減で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る大気圧プラズマ装置の
説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る大気圧プラズマ装置の
平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る大気圧プラズマ装置を
使用して製造した有機EL装置の要部を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る大気圧プラズマ装置を
使用して有機EL装置を製造する場合の装置の配置例を
示す平面模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る有機EL装置の製造方
法を説明する工程図である。
【図6】本発明の実施形態に係る有機EL装置の製造方
法を説明する工程図である。
【図7】本発明の実施形態に係る有機EL装置の製造方
法を説明する工程図である。
【図8】本発明の実施形態に係る有機EL装置の製造方
法を説明する工程図である。
【図9】本発明の実施形態に係るカラーフィルタの製造
方法を説明する工程図である。
【図10】本発明の実施形態に係るカラーフィルタの製
造方法を説明する工程図である。
【図11】本発明の実施形態に係るカラーフィルタの製
造方法を説明する工程図である。
【図12】従来の大気圧プラズマ装置の説明図である。
【符号の説明】
1………ステージ、2………被処理物、3………放電空
間、4………高周波電極、5………マッチング回路、6
………高周波電源、7………アクチュエータ、8………
誘電体、9………アース、10………配線、11………
配線、12………電極ホルダ、13………ナット部材、
14………支持部材、15………ネジ、16………軸
受、17………ガイドバー、18………ブラケット、1
9………ブラケッ、20………制御装置、21………閉
空間、22………処理室、23………ガス供給口、24
………ガス供給管、25………ガス供給部、26………
流量制御弁、27………排気口、28………排気弁、2
9………排気管、30………排気ポンプ、31………プ
ラズマ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部電極と、被処理物を収容可能な空間
    を有する誘電体と、前記下部電極の上方に前記誘導体を
    介して配置された上部電極と、前記上部電極にマッチン
    グ回路を介して接続され前記上部電極に高周波電力を供
    給する高周波電源と、前記上部電極と前記マッチング回
    路とを前記下部電極の面に沿って移動させるアクチュエ
    ータと、を有することを特徴とする大気圧プラズマ装
    置。
  2. 【請求項2】 前記下部電極は、前記誘電体の下部に配
    置されてなり、前記上部電極は前記誘電体の上面を移動
    してなることを特徴とする請求項1に記載の大気圧プラ
    ズマ装置。
  3. 【請求項3】 前記誘電体は、前記被処理物を処理する
    ための処理ガスを導入するガス供給口と、処理後のガス
    を排気するための排気口とを設けてなることを特徴とす
    る請求項2に記載の大気圧プラズマ装置。
  4. 【請求項4】 被処理物を収容可能な空間を有し、かつ
    誘電体で形成された処理室内にて前記被処理物の表面処
    理を行う大気圧プラズマ方法において、一方の電極であ
    るステージ上に前記処理室を載置して、前記処理室の上
    部を他の電極が移動することにより前記被処理室内の前
    記被処理物の所定箇所を表面処理することを特徴とする
    大気圧プラズマ処理方法。
  5. 【請求項5】 デバイスに所定の表面処理を行って前記
    デバイスを製造するデバイス製造方法において、被処理
    物を収容可能な空間を有する誘電体で形成された処理室
    の前記空間に前記被処理物を収容し、一方の電極である
    ステージ上に前記処理室を載置して、前記処理室の上部
    を他の電極が移動することにより前記処理室内の前記被
    処理物の所定箇所を表面処理することを含むことを特徴
    とするデバイス製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載の大気圧プラズマ装置を用いて処理されたことを特徴
    とするデバイス。
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