JP2003272943A - 磁気異方性ボンド磁石およびその製造方法 - Google Patents

磁気異方性ボンド磁石およびその製造方法

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JP2003272943A JP2002072077A JP2002072077A JP2003272943A JP 2003272943 A JP2003272943 A JP 2003272943A JP 2002072077 A JP2002072077 A JP 2002072077A JP 2002072077 A JP2002072077 A JP 2002072077A JP 2003272943 A JP2003272943 A JP 2003272943A
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Yoshitsugu Fujimoto
義継 藤本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平均粒径が0.5〜5μmの微細な磁粉を扱うS
m−Fe−N系磁気異方性ボンド磁石において、磁気特
性および磁粉率改善したもの、およびその製造方法を提
供する。 【解決手段】 磁気異方性を示すSm−Fe−N系の磁
石粉末と樹脂を混合したコンパウンドを作成し、前記コ
ンパウンドを常温の金型内で配向・圧縮して成形体と
し、得られた成形体に323K以上かつ前記熱硬化性樹脂の
硬化温度未満の温度を付与し、高密度化する工程を行
い、その後前記熱硬化性樹脂の硬化温度以上に温度を上
げて成形体を硬化することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気異方性ボンド磁
石の製造方法であって、サマリウム・鉄・窒素系の圧縮
成形方法に最適な方法を提供するものである。また、そ
の製造方法によって得た高特性の磁気異方性ボンド磁石
を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】異方性を付与したサマリウム・鉄・窒素
系ボンド磁石は、磁場中射出成形によるものが主流であ
る。これは、サマリウム・鉄・窒素系磁石粉末と熱可塑
性樹脂あるいは熱硬化性樹脂とから実質的になる成形原
料(コンパウンド)を用いて、373Kから523Kの高温化で磁
場をかけ、成形原料を射出して成形体を得る手法であ
る。熱硬化性樹脂の場合は、射出成形時に高温下に保持
する時間が、樹脂粘度が100Pa・s以下に到達する前の時
間以内に抑えないと、樹脂の粘度増加により異方性が付
与されにくくなる恐れがある。磁場中射出成形による場
合は、コンパウンドの流動性を確保する為に20〜50体積
%の樹脂を添加するので、サマリウム・鉄・窒素系磁石
粉末の充填比率が相対的に低くなり、より高性能の異方
性ボンド磁石を得ることが困難である。
【0003】次に磁場中射出成形のほかに、磁場中圧縮
成形により異方性ボンド磁石を得る手法がある。圧縮成
形は、コンパウンドを射出する必要がないため、樹脂の
添加量を減らすことができ、希土類・鉄・窒素系磁石粉
末の充填比率を相対的に高くすることが出来る利点があ
る。例えば特開平8−31677号には、磁気異方性を
有する磁石粉末と熱硬化性樹脂粉末とを主成分とする原
料粉末を、樹脂の軟化点+323K前後の温度の範囲で加熱
しながら磁場中成形して配向・圧縮成形させ、それによ
る成形体に硬化処理を行うことが記載されている。ま
た、実施例には磁石粉末として、Nd−Fe−B系、S
m−Fe−N系、Sm−Co系が記載されている。どの
系においても製造条件を同一に実施例が記載されてお
り、例えば実施例1では磁石粉末と熱硬化性樹脂粉末の
体積比が83:17の原料粉末を用い、423Kの成形用金
型に原料粉末を給粉し、熱硬化性樹脂粉末が溶融して液
体状になり樹脂の粘度が低下した時点から1274kA/m(16k
Oe)の磁界の印可を開始することが記載されている。し
かしながら、特開平8−31677号では磁粉同士の摩
擦による影響を十分考察しているとは言えない。特にサ
マリウム・鉄・窒素系磁気異方性ボンド磁石では粉末の
粒径分布が0.5μmから30μmと小さいため、磁粉表面積
が大きく磁粉同士の摩擦が高くなり、磁粉の配向度の低
下は顕著に現れ問題である。
【0004】また、磁粉の平均粒径分布がNd−Fe−
B系、Sm−Co系と比較して非常に小さい。例えば特
開平8−31677号中ではNd−Fe−B系が212
μm以下、Sm−Co系が30μm以下のものを使用し
ているのに対し、Sm−Fe−N系では1〜3μmと具
体的な小さい値を開示している。希土類を含む磁粉は非
常に酸化しやすく、特に微粉化されて表面積が大きくな
るほど酸化しやすい。現場の作業では取扱いが非常に難
しく、常温で発火することもある。特開平8−3167
7号では423Kもの高温をもつ成形用金型を使用して製造
しており、実際の取扱いでは磁粉の発火などの不具合が
発生する可能性がある。
【0005】特開平8-31677号では酸化ならびに
脱泡対策として成形圧を加えながら真空引きをする手法
が開示されているが、大量にボンド磁石を作成すること
を考えるとプレス1回毎に真空引きをすることはランニ
ングコストを高めることになる。また磁気特性向上のた
め超音波振動を与える手法が開示されているが、金型中
のコンパウンドに超音波振動を与えることは極めて困難
である。さらに超音波振動を与えたものでも最大エネル
ギー積(BH)maxは164.7kJ/m3(20.7MGOe)と改良の余地
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の課
題は、平均粒径が0.5〜5μmの微細な磁粉を扱うSm−
Fe−N系磁気異方性ボンド磁石において、磁気特性お
よび磁粉率改善したものを提供することである。また、
そのための適した製造方法を適用することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明は、磁気異方性を示すSm−Fe−N系の磁石粉末と
樹脂を混合したコンパウンドを作成し、前記コンパウン
ドを常温の金型内で配向・圧縮して成形体とし、得られ
た成形体に323K以上かつ前記熱硬化性樹脂が1時間で硬
化終了する温度未満の温度を付与して、高密度化する工
程を行い、その後前記熱硬化性樹脂の硬化温度以上に温
度を上げて成形体を硬化することを特徴とする。配向の
際、磁場はパルス磁場や縦磁場や横磁場を含む静磁場を
用いて磁粉を配向させることが好ましい。また、磁場を
かけるタイミングは圧縮成形前、圧縮成形中のどちらで
もよい。得られた成形体を無磁場中で323K以上かつ
熱硬化性樹脂の硬化温度未満の温度に1.5時間から5時間
保持しながら高密度化(コイニング、サイジング等)し
て密度を高め、その後前記熱硬化性樹脂の硬化温度以上
に温度を上げて1.5時間から5時間硬化した異方性ボンド
磁石を得る事ができる。高密度化の際は無磁場中でよ
い。本発明において、圧縮成形時の「常温下」とは、例
えば金型を直接加熱して、金型温度を制御することのな
い状態である。しかし、金型を加熱したとしても323
Kを超える温度まで金型を加熱しない状態であれば、実
質的に常温下と同様である。成形時は常温で行い、成形
後に熱間で高密度化処理を行うことで酸化やさらには発
火しやすいSm−Fe−N系の微粉末磁粉を用いても安
定的に製造が可能である。また、圧縮成形時に熱を加え
ないので磁気特性も良好なものが得られる。これによ
り、粒径分布が0.5μmから30μmのR αT100-α-βNβ(T
はFeまたはFeとCo)、α、βはそれぞれ原子百分率で、
5≦α≦20、5≦β≦30からなる組成の磁石粉末と樹脂と
からなる磁気異方性ボンド磁石であり、(BH)maxが175.1
2kJ/m3(22MGOe)以上(残留磁束密度Br=0.8T(8kG)以
上かつ保磁力iHc=676.6kA/m(8.5kOe)以上)を有する磁
気異方性ボンド磁石を得る事ができる。また、配向度が
85%以上で、かつ磁粉率が75%以上と非常に良好な値を得
る事ができる。
【0008】また本発明において、固体粉末状の熱硬化
性エポキシ樹脂(必要に応じて硬化剤や触媒も含む)を使
用することが好ましい。磁粉の配向度を高めるために、
樹脂に液状の熱硬化性樹脂(必要に応じて硬化剤や触媒
も含む)を用い、必要に応じ有機溶媒(エチルアルコー
ル、メチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの
アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケ
トン類、他様々な有機溶媒)を用いて樹脂濃度を低下さ
せ、この樹脂を磁粉表面にからめ磁粉のすべりを向上さ
せ、磁粉の配向度を向上させた手法が知られている。液
状の熱硬化性樹脂を使用すると、磁粉の充填率および磁
粉の配向度が向上し、かつ空隙率が低減することで高性
能の異方性ボンド磁石を得ることができる。しかしなが
らコンパウンドを金型に投入する際、まず磁粉のみを金
型に投入して、その後液状樹脂を投入・注入する手法が
あるが、液状であると取扱いが困難である上に設備が煩
雑になる。また、あらかじめ磁粉と液状樹脂を絡めたコ
ンパウンドを金型に投入する手法もあるが、やはり設備
が煩雑になる。この固体粉末状の熱硬化性エポキシ樹脂
の粒度分布は、0.1μmから200μmが望ましい。これは磁
石粉末の粒度分布が0.5μmから30μmであるため、固体
粉末樹脂の粒度が200μmを超えると得られる異方性ボン
ド磁石の空隙率が大きくなるおそれがあり、0.1μmより
小さくなると固体粉末状の樹脂同士の凝集が強くなり、
得られる異方性ボンド磁石の空隙率が大きくなるおそれ
がある。樹脂同士の凝集を防ぐために、固体粉末状エポ
キシ樹脂に酸化珪素などの公知の固体粉末粒子を離形剤
として分散させてもよい。なお固体粉末状のエポキシ樹
脂はその種類により硬化開始温度が様々であるが、硬化
開始温度が393Kから473Kである固体粉末状のエポキシ樹
脂を使うことが望ましい。
【0009】本発明で用いるサマリウム・鉄・窒素系磁
気異方性ボンド磁石粉末の製造方法は、窒化処理に供す
る母合金粉末の作成または窒化処理後の粉末を微粒化す
るために粉砕を行う。この粉砕は不活性ガス雰囲気を保
持したハンマーミル、ディスクミル、振動ミル、アトラ
イター、ジェットミル、あるいはボールミルで効率的に
行うことができる。続いて、粉砕して得られた窒化用母
合金粉末に窒化処理を施すことにより高い飽和磁化およ
び高い異方性磁界を付与する。窒化処理は、窒化用母合
金粉末を、窒素ガスあるいはアンモニアを含む還元性の
混合ガス(例えばアンモニアと水素の混合ガス、アンモ
ニアと窒素の混合ガス、アンモニアとアルゴンの混合ガ
ス)雰囲気(気流中)に573〜923K×0.1〜30時間加熱保持
することにより行う。573K×0.1時間未満および923K×3
0時間を超えると上記の最適な窒素含有量のものを得る
ことが困難である。窒化用母合金粉末は窒化処理の有無
に関係なく不可避の水素を含むが、水素を含む窒化ガス
中にさらされることにより、最終的に100ppm以下の
水素を含有する。窒化用母合金粉末が芯部まで窒化され
るように、粉末粒径分布を0.5〜30μmとすることが好ま
しい。30μmを越えると窒化されない芯部が多くなり磁
気特性が低下する。0.5μm未満では酸化が顕著になり
磁気特性が劣化する、その後、窒化、粉砕、磁場中圧縮
成形、加熱硬化、必要に応じてコイニング(サイジング)
を順次行う。本発明では前記磁石粉末または固体粉末状
エポキシ樹脂に、予めシラン系またはチタネート系カッ
プリング剤等の公知の表面処理改質剤を0.5質量%(磁粉
を100質量%として)以下混合することが、結着強度およ
び磁気特性を向上させるために好ましい。0.5質量%よ
り多く表面処理改質剤を添加すると磁気特性が劣化す
る。
【発明の実施の形態】
【0010】以下、実施例により本発明を詳しく説明す
るが、これらの実施例により本発明が限定されるもので
はない。 (実施例1)磁石粉末として平均粉末粒径が約15μmで粉
末粒径分布が0.5〜30μmであり、かつat%でSm9.1Fe77.3
N13.6の組成を有する窒化磁石粉末を準備した。磁石粉
末の測定にはシンパテック(Sympatec GmbH)社製のSYMPA
TEC HELOS&RODOS Laser Diffraction Analyser (レーザ
回折(光散乱方)式粒度分布測定装置HELOS(へロス)シス
テム)を用い、測定方法はThe RODOS feeding and dispe
rsing systemで行った。続いてイソプロアルコールまた
はメチルエチルケトンまたはヘキサンを用いた湿式ボー
ルミル粉砕と乾式ジェットミル粉砕を行って微粉砕し、
粉末粒径分布が0.5〜30μmの範囲内にあり、かつ平均
粉末粒径2.0〜3.0μmの磁粉を得た。本磁石粉末の磁気
特性を測定したところ、Br=1.38T(13.8kG)、iHc=79
6kA/m(10.0kOe)、(BH)max=278.6kJ/m3(35MGOe)であっ
た。この磁石粉末100重量に対し、1.5重量の固体粉末状
エポキシ樹脂を混合しコンパウンドを得た。このコンパ
ウンドを磁場強度159.2〜3184kA/m(2〜40kOe)のパルス
磁場と静磁場を用いて、成形圧力784MPaで圧縮成形を
し、高密度化工程を経て、N2雰囲気中で443K×2時間加
熱硬化することにより本発明の磁気異方性ボンド磁石を
得た。高密度化工程は、試料に圧力をかけ、無磁場中で
高温下のトンネル内を通過させた。なおトンネル内部は
N2雰囲気になっており、トンネル入り口を経て20cmから
100cmまではヒーターでトンネル内壁を423Kに加熱し、
そのヒーター加熱部は試料が進行する方向に内径がしぼ
んでいる。加熱部は内径がしぼんでいるため、加熱部を
ボンド磁石が進行するにつれ、密度が向上する。入り口
を経て100cmから200cmまでの間は冷却域であり、その中
を進行するにつれボンド磁石は冷却され、出口ではボン
ド磁石は常温に冷却されている。得られたボンド磁石の
密度、空隙率、配向度、磁気特性を評価した結果を表1
に示す。磁気特性は293Kにおいて測定された。配向度を
(式1)で、磁粉率を(式2)で定義する。
【0011】
【式1】
【式2】
【0012】
【表1】
【0013】(実施例2)実施例1において、トンネル
の温度とボンド磁石の密度との関係を調べた。図1に示
す。トンネルの温度が上がるにつれボンド磁石の密度が
向上し、トンネルの温度が373Kでは5.39Mg/m3、403
Kでは5.78Mg/m3が得られた。423K以上においてはボ
ンド磁石の密度向上は少なかった。用いる樹脂によりこ
のトンネル温度とボンド磁石の密度の関係は異なるが、
443K×1時間で硬化するエポキシ樹脂を用いた場合はト
ンネル内壁部の温度が393〜433K近傍で行うことが好ま
しいことが解った。
【0014】(実施例3)実施例1と同様のボンド磁石粉
末を用いて、磁石粉末100重量に対し、1.5重量の固体粉
末状エポキシ樹脂を混合しコンパウンドを得た。このコ
ンパウンドを磁場強度159.2〜3184kA/m(2〜40kOe)の
パルス磁場と静磁場を用いて、成形圧力784Kで圧縮成形
をし、高密度化工程を経て、N2雰囲気中で443K×2時間
加熱硬化して磁気異方性ボンド磁石を得た。高密度化工
程は、得られた成形体をN2雰囲気下で408K×2h加熱し、
その後常温無磁場中で784MPaの圧力を加えた工程であ
る。
【0015】(実施例4)実施例3において高密度化工
程でのN雰囲気温度を変え、それによるボンド磁石の
密度の影響を調べた。図2に示す。本実施例において、
398〜418Kに樹脂を熱して圧力を加えることでボンド磁
石の密度を5.76Mg/m3以上に、403〜413Kにすること
でボンド磁石の密度を5.78Mg/m3以上にすることが
できた。
【0016】(実施例5)実施例1と同様のボンド磁石粉
末を用いて、磁石粉末100重量に対し、1.5重量の固体粉
末状エポキシ樹脂を混合しコンパウンドを得た。このコ
ンパウンドを磁場強度159.2〜3184kA/m(2〜40kOe)の
パルス磁場と静磁場を用いて、成形圧力784MPaで圧縮成
形をし、高密度化工程を経て、N2雰囲気中で443K×2時
間加熱硬化することにより本発明の磁気異方性ボンド磁
石を得た。高密度化工程は、得られた成形体をN2雰囲気
下で、408K×2h加熱し、その後433K N雰囲気下で無磁
場中で784MPaの圧力を加えた工程である。
【0017】(実施例6)実施例5における433KのN
雰囲気中での高密度化工程で、成形圧とボンド磁石の密
度の関係を調べた。図3に示す。また、実施例3の常温
雰囲気中での成形圧とボンド磁石の密度の関係を記す。
比較して433KのN雰囲気中での高密度化工程の方が低
い成形圧で高い密度が得られていることが解る。
【0018】(比較例1)実施例1と同様のボンド磁石粉末
を用いて、下記の通り磁場中射出成形法により比較例の
磁気異方性ボンド磁石を作成し評価した。前記磁石粉末
100重量部に対し、11.6重量部のナイロン樹脂を混合
後、シリンダー部を473Kに加熱し796kA/m(10kOe)の静磁
場中へ80MPaの圧力で射出し冷却硬化させ、比較例のボ
ンド磁石を得た。実施例1と同様にして測定した結果を
表1に示す。コンパウンドの流動性を確保するため樹脂
量が多く、Br、(BH)maxを高めることが出来なかっ
た。
【0019】(比較例2)実施例1と同様のボンド磁石粉末
を用いて、この磁石粉末100重量部に対し、1.5重量部の
固体粉末状エポキシ樹脂を混合しコンパウンドを得た。
このコンパウンドを磁場強度159.2〜3184kA/m(2〜40kO
e)のパルス磁場と静磁場を用いて、成形圧力784MPaで
圧縮成形をし、N2雰囲気中で443K×2時間加熱硬化する
ことにより磁気異方性ボンド磁石を得た。測定結果を表
1に示す。比較例1の射出成形品よりは高い磁気特性、
密度および磁粉率が高いものの、本発明のボンド磁石ほ
どではなく、(BH)maxは171.1kJ/m3 (21.5MGOe)と目標の
175.1kJ/m3(22MGOe)には及ばなかった。
【0020】(比較例3)実施例1と同様のボンド磁石粉末
を用いて、この磁石粉末100重量部に対し、1.5重量部の
固体粉末状エポキシ樹脂を混合しコンパウンドを得た。
N2雰囲気下で423Kに加熱保持している金型にコンパウン
ドを投入し、磁場強度159.2〜3184kA/m(2〜40kOe)の
パルス磁場と静磁場を用いて、3分後樹脂の粘度が低下
したときに、圧力784MPaで圧縮成形をし、その後27分成
形体を金型内に放置し、ある程度樹脂の架橋反応が進ん
だ後、金型から取り出し、成形体を443Kで2時間加熱硬
化することを試みた。樹脂の粘度が低下しているときに
784MPaの加圧を行うと、SmFeN磁粉の磁粉は平均粒径が2
〜3μmと非常に小さいために、ダイスとパンチの隙間か
ら、樹脂や磁粉の漏れが発生し高圧で成形は不可能であ
った。NdFeB異方性磁粉やSmCo異方性磁粉のように、磁
粉がある程度大きければ、樹脂は漏れるものの磁粉の漏
れは防ぐことができ、ある程度は成形できるが、SmFeN
磁粉はその磁粉が極めて小さいために、樹脂の粘度が低
下したときに成形することは実現不可能である。また、
SmFeN異方性磁粉は平均粒径が2〜3μmと非常に小さいた
め加熱保持した成形用金型にコンパウンドを投入する
と、磁粉が発火して成形できなかった。そこで、次ぎに
磁粉の酸化・発火を防ぐため、N2雰囲気に金型を設置
し、成形ならびに硬化を行った。さらに成形圧に工夫を
し、まずコンパウンド投入後3分後樹脂の粘度が低下し
たときに98MPaの圧力で、磁場強度159.2〜3184kA/m(2
〜40kOe)のパルス磁場と静磁場を用いて成形を行い、
その後98MPa成形後5分後に784MPaの圧力で無磁場中で加
圧し、その後22分金型内に成形体を放置し、ある程度樹
脂の架橋反応が進んだ時点で成形体を取り出し、成形体
を443Kで2時間加熱硬化することを試みた。これによ
り、樹脂や磁粉が、ダイスとパンチの隙間から漏れるこ
となく、成形体を得ることができた。しかしながら、表
1に示したように成形体のiHcは実施例1ならびに実施例
2よりも小さくなった。さらにiHc低下のため、非常に簡
単なプロセスで作成した比較例2の成形体よりも(BH)max
は低下した。これはSmFeN異方性磁粉は平均粒径が2〜3
μmと小さいため、磁粉表面が活性化しており、たとえN
2雰囲気下でも423Kという高温によってダメージが与え
られたと考えられる。
【0021】(参考例)エポキシ樹脂の粘度の低下を利用
した圧縮成形では、ダイスとパンチの隙間からコンパウ
ンドを漏らさぬように成形するためには、SmFeNのよう
に平均粒径が2〜3μmと小さな磁粉を使う場合は、少な
くとも147MPa以下に圧力を抑えないと、コンパウンドの
金型漏れが発生し、良好な成形は不可能であることが解
った。逆に30MPa以上に圧力を加えなければ、硬化後の
成形体密度は5.7Mg/m3に達しなくなり(BH)maxは低下す
ることが解った。また、98MPa成形後5分後に784MPaの圧
力で無磁場中で加圧することで樹脂の金型漏れを抑制で
きたが、樹脂の架橋反応がある程度進んでいるために高
圧での加圧にも密度上昇には限界があり、比較例3のコ
ンパウンド投入の3分後樹脂の粘度が低下したときの圧
力を30MPaの圧力に変更し、あとはすべて比較例3と同じ
手法で行ったが、Br,(BH)maxとも比較例3よりさらに低
下することが解った。
【0022】(実施例7)金型にコンパウンドを投入す
る際の金型温度による磁気特性の変化を検討した。図4
に示す。金型温度が323K近傍までは保磁力の低下が見ら
れないが、323Kを越すと保磁力の低下が始まった。さら
に金型の温度を上げていくと353Kのあたりからコンパウ
ンドの発火減少が健著となり、実用に耐える製造方法を
確立することができなかった。
【0023】
【発明の効果】以上の記述通り、本発明によれば、配向
度85%以上かつ磁粉率65%以上かつBrが0.8T(8kG)以上か
つiHcが676.6kA/m(8.5kOe)以上かつ(BH)maxが175kJ/m
3(22MGOe)以上を有する、サマリウム・鉄・窒素系、磁
気異方性圧縮成形ボンド磁石およびその製造方法を、温
間磁場中成形で作成した異方性SmFeN圧縮成形ボンド磁
石よりも低コストかつ高磁気特性で提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】トンネル温度とボンド磁石密度の関係を示す図
である。
【図2】高密度化工程で成形体に付与する温度とボンド
磁石の密度との関係を示す図である。
【図3】高密度化工程での雰囲気温度と密度との関係を
示す図である。
【図4】金型キャビティ表面温度とボンド磁石の保磁力
との関係を示す図である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気異方性を示すSm−Fe−N系の磁
    石粉末と樹脂を混合したコンパウンドを作成し、前記コ
    ンパウンドを常温の金型内で配向・圧縮して成形体と
    し、得られた成形体に323K以上かつ前記熱硬化性樹脂の
    硬化温度未満の温度を付与し、高密度化する工程を行
    い、その後前記熱硬化性樹脂の硬化温度以上に温度を上
    げて成形体を硬化することを特徴とする磁気異方性ボン
    ド磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記高密度化する工程は、成形体に圧力
    を加えながら、押し出し、サイジング、コイニング等に
    より成形体密度を向上させることである請求項1に記載
    の磁気異方性ボンド磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記樹脂は平均粒径が実質的に0.1〜
    200μmの固体粉末状の熱硬化性樹脂である請求項1
    に記載の磁気異方性ボンド磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】 磁石粉末と樹脂とを混合したコンパウン
    ドを金型内で配向・圧縮して成形体を形成する工程を用
    いて得られる磁気異方性ボンド磁石であって、前記磁石
    粉末が磁気異方性を示すSm−Fe−N系の磁石粉末で
    あり、前記磁気磁気異方性ボンド磁石の(BH)maxが175kJ
    /m3(22MGOe)以上を有することを特徴とする磁気異方性
    ボンド磁石。
  5. 【請求項5】 磁気異方性を示すSm−Fe−N系の磁
    石粉末を用いた磁気異方性ボンド磁石であって、(BH)ma
    xが175kJ/m3(22MGOe)以上を有する磁気異方性ボンド磁
    石。
  6. 【請求項6】 前記磁気異方性を示すSm−Fe−N系
    の磁石粉末が、実質的にRαT100-α-βNβ(TはFeまた
    はFeとCo、α、βはそれぞれ原子百分率で、5≦α≦2
    0、5≦β≦30)組成の磁石粉末であることを特徴とする
    請求項4又は5に記載の磁気異方性ボンド磁石。
  7. 【請求項7】 前記磁気異方性ボンド磁石は配向度が85
    %以上で、かつ磁粉率が75%以上である請求項4〜6のい
    ずれかに記載の磁気異方性ボンド磁石。
  8. 【請求項8】 前記磁気異方性を示すSm−Fe−N系
    の磁石粉末の平均粒径が0.5〜5μmであることを特
    徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の磁気異方性ボ
    ンド磁石。
  9. 【請求項9】 前記磁気異方性を示すSm−Fe−N系
    の磁石粉末の粒径分布が0.5〜30μmであることを
    特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の磁気異方性
    ボンド磁石。
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