JP2003270434A - エタロンおよびエタロンの製造方法 - Google Patents

エタロンおよびエタロンの製造方法

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JP2003270434A
JP2003270434A JP2003002779A JP2003002779A JP2003270434A JP 2003270434 A JP2003270434 A JP 2003270434A JP 2003002779 A JP2003002779 A JP 2003002779A JP 2003002779 A JP2003002779 A JP 2003002779A JP 2003270434 A JP2003270434 A JP 2003270434A
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Yoshiyuki Shiono
嘉幸 塩野
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄型であり、かつ高い温度安定性を有するエ
タロンを提供する。 【解決手段】 少なくとも1枚の透明板から成るエタロ
ンであって、前記透明板はタンタル酸リチウム単結晶か
ら成るエタロン。および少なくとも1枚の透明板から成
るエタロンであって、前記透明板はニオブ酸リチウム単
結晶から成るエタロン。ならびにエタロンの製造方法に
おいて、少なくともチョクラルスキー法により、タンタ
ル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶を育
成し、前記単結晶から透明板を製造してエタロンを製造
するエタロンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学フィルタなどに
用いられるエタロンに関する。
【0002】
【従来の技術】連続あるいは不連続に分布した光の中か
ら特定の波長域を取り出す光学フィルタは様々な分野で
使用されている。このような光学フィルタの中で、エタ
ロンを用いたフィルタは古くから気体の屈折率測定用、
長さの精密測定用として、また干渉分光器として広く用
いられている。またエタロンは、その他の計測機器、光
散乱の研究、レーザの性能分析、レーザライン幅の狭帯
域化、天文学等の分野で、基本的には一連のシャープな
透過ピークを作り出す干渉フィルタとして使われている
(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0003】エタロンとは、例えば、ファブリーペロー
干渉計において2枚の多重反射面の間にインバーなどで
作られたスペーサーを入れて面間隔を固定したものをい
い、これを特にファブリーペローのエタロンとよぶ。一
方の反射面を平行に保つことが難しいので、面間隔を固
定するのである(例えば、非特許文献3参照)。また、
平行な両面を有する1枚の透明板から成り、透明板の両
面が2つの反射面となるように構成されたエタロンもあ
る。このようなエタロンをソリッドエタロンと呼ぶこと
がある。このような1枚の透明板から成るソリッドエタ
ロンでは、透明板の両面に高反射コーティングがなされ
る場合もある。ここで使われるエタロンの透明板は光学
ガラス、石英ガラス、空気などから成るものである。以
上のようなエタロンを透過する透過波長のピークはエタ
ロン内で多重反射した光の位相がエタロンの射出面で揃
ったときに生じる。
【0004】
【非特許文献1】工藤、上原著、基礎光学(第3版)、
現代工学社、1999年発行、336〜338ページ
【非特許文献2】王、オプトロニクス、2001年、N
o.9、167〜171ページ
【非特許文献3】物理学辞典編集委員会編、物理学辞
典、培風館、1992年発行
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、計測器をはじめ
とする、様々なエタロン応用で薄型化への要求が強くな
っている。工藤、上原著、基礎光学(第3版)、現代工
学社、1999年によると、前述したような1枚の透明
板から構成されるソリッドエタロンの透過度は次式によ
り与えられる。 T=1/(1+H sinδ) (1) ここで H=4R/(1−R) (2) δ=(π/λ)2nd cosi−φ (3) T:エタロンの透過度 R:エタロンの反射度 λ:波長 n:屈折率 d:透明板の厚さ i:入射角 φ:エタロン内の反射による位相変化 Tの特性はsinδ=0、すなわちδ=mπ(m=1、
2、3・・・)のときに最大透過度が得られる。入射角
i=0とすると位相変化φ=0と置くことができ、その
場合のδは δ=(π/λ)2nd (4) となる。
【0006】本発明の課題の1つである、エタロンの薄
型化を実現するということは、(4)式の透明板の厚さ
dを小さくすることと等価である。δ=mπであり、λ
は所望の波長により決定されるため、透明板の厚さdを
小さくするにはnを大きくすることがエタロンを薄型に
する方法である。
【0007】このように屈折率の大きい材料を用いてエ
タロンを作製することで薄型化を図ることができるが、
同時に高い温度安定性も達成しなければならない。これ
は温度変化が生じても(4)式のndの値がなるべく変
化しないことと言い換えることができる。これが本発明
のもう1つの課題である。従来の屈折率の大きい材料
は、温度安定性が低くなってしまう傾向があり、エタロ
ンを薄くすることと、温度安定性を高めることを同時に
満足させることができなかった。
【0008】以上のように、本発明が解決しようとする
課題は次の2つを同時に満足する材質からなるエタロン
を提供することである。 屈折率nが大きい 屈折率nと透明板の厚さdとの積の温度変化が小さ
【0009】本発明は、かかる問題点を解決するために
為されたものであり、1枚の透明板から成るソリッドエ
タロンであって、薄型であり、かつ高い温度安定性を有
するエタロンを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに為された本発明は、少なくとも1枚の透明板から成
るエタロンであって、前記透明板はタンタル酸リチウム
単結晶から成ることを特徴とするエタロンである(請求
項1)。
【0011】このように、本発明はエタロンを構成する
透明板をタンタル酸リチウム単結晶から成るものとす
る。タンタル酸リチウムの常光屈折率は波長1550n
mで2.13と屈折率2以上を満足し、温度による透過
波長のピーク変動は2.5pm/℃と高い温度安定性を
有するものである。従って、エタロンを構成する透明板
をタンタル酸リチウム単結晶より成るものとすることに
より、薄形でありかつ高い温度安定性を有するエタロン
とすることができる。
【0012】また本発明は、少なくとも1枚の透明板か
ら成るエタロンであって、前記透明板はニオブ酸リチウ
ム単結晶から成ることを特徴とするエタロンである(請
求項2)。
【0013】このように、本発明はエタロンを構成する
透明板をニオブ酸リチウム単結晶から成るものとする。
ニオブ酸リチウムの常光屈折率は波長1550nmで
2.22と屈折率2以上を満足し、温度による透過波長
のピーク変動は5pm/℃とタンタル酸リチウム同様、
高い温度安定性を有する。そのため、エタロンを構成す
る透明板をこれらの物質より成るものとすることによ
り、薄形でありかつ高い温度安定性を有するエタロンと
することができる。
【0014】この場合、前記透明板の光入出射面の法線
と前記透明板を構成する単結晶の六方晶系表示における
c軸との角度が0°以上10°以下であることが好まし
い(請求項3)。
【0015】前述のようにタンタル酸リチウムおよびニ
オブ酸リチウムは共に屈折率2以上を満足し、温度によ
る透過波長のピーク変動は5pm/℃以下と高い温度安
定性を有するものである。これらは単結晶のc軸方向と
光の進行方向(以後、光軸と記す)が平行、言い換える
と例えばエタロンの光入出射面の法線及び光軸を一致さ
せ、この光軸とタンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチ
ウムのc軸との角度が0°のとき、良好な温度安定性を
得ることができる。
【0016】しかし、エタロンを使用する場合には、光
軸と光入出射面との間に角度をつけて中心波長を調整す
ることがある。タンタル酸リチウムおよびニオブ酸リチ
ウムは異方性を有しているため、光軸と光入出射面の法
線との角度を大きくすると温度による透過波長のピーク
変動が大きくなってしまう。これは屈折率の温度依存
性、熱膨張係数が結晶方位により異なることと、異常光
屈折率の影響によるものである。しかし、このような場
合でも、この角度が0°以上10°以下、望ましくは0
°以上5°以下であれば高い温度安定性を保つことが可
能である。そこで、本発明のエタロンでは、透明板の光
入出射面の法線と透明板を構成する単結晶の六方晶系表
示におけるc軸との角度を0°以上10°以下とするこ
とにより高い温度安定性を保つことができる。
【0017】この場合、前記透明板は、チョクラルスキ
ー法により育成された単結晶から成るものであることが
好ましい(請求項4)。このように、エタロンを構成す
る透明板がチョクラルスキー法により育成された単結晶
から成るものであれば、チョクラルスキー法により育成
したタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム単結晶は屈
折率の均一性が良く、大きな直径の単結晶とできるた
め、再現性良く高歩留りで生産されたものとなり、安価
なものとできる。
【0018】また本発明は、エタロンの製造方法におい
て、少なくともチョクラルスキー法により、タンタル酸
リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶を育成
し、前記単結晶から透明板を製造してエタロンを製造す
ることを特徴とするエタロンの製造方法である(請求項
5)。
【0019】このように、チョクラルスキー法によりタ
ンタル酸リチウム単結晶またはニオブ酸リチウム単結晶
を育成することにより、屈折率の均一性が良く、大きな
直径の単結晶を得ることができる。さらに、タンタル酸
リチウム単結晶およびニオブ酸リチウム単結晶は、高屈
折率と高い温度安定性を有するため、この単結晶から透
明板を製造してエタロンを製造することにより、薄型で
高い温度安定性を有するエタロンを再現性良く、高生産
性で製造することができる。
【0020】この場合、直径75mm以上の単結晶を育
成し、前記単結晶から直径75mm以上の単結晶板を製
造した後、前記単結晶板を分割して複数の透明板を製造
してエタロンを製造することが好ましい(請求項6)。
【0021】エタロンは加工における面の平坦度、平行
度が特性を左右し、面の平坦度λ/40、平行度1秒以
下が要求されることも少なくない。本発明はこのような
高精度のエタロンを量産する製造方法であり、屈折率の
均一性が良い直径75mm以上の大きな単結晶板を分割
して複数の透明板を製造してエタロンを製造することに
より、高精度のエタロンを量産することができる。この
場合、例えば大直径の単結晶板の高平坦度、高平行度の
部分からエタロンを採取するようにすれば、さらに良好
な特性を有するエタロンを再現性良く作製することが可
能である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、詳細に説明するが本発明はこれに限定されるもので
はない。本発明に係るエタロンは、タンタル酸リチウム
単結晶、ニオブ酸リチウム単結晶から成るエタロンであ
る。ここで波長1550nmにおける常光屈折率が2.
13であるタンタル酸リチウム単結晶を用いて、透過波
長ピーク間隔であるFSR(Free Spectral range)が
50GHzとなるようにエタロンフィルタを作製した場
合の波長透過特性を図1に示す。図1の特性は、光入出
射面の法線とタンタル酸リチウム単結晶の六方晶系表示
におけるc軸との角度が0°であるエタロンについて、
光入出射面の法線と光軸とを平行とした場合を示す。こ
のエタロンを構成する透明板の厚さは1.408mmで
ある。
【0023】このような場合、石英ガラスを用いて、同
じ50GHzのFSRの特性を有するエタロンを得るた
めには、2.083mmの透明板の厚さが必要である。
また、空気エタロンの場合、仮に屈折率1.00として
エタロンが作製できたとして、50GHzのFSRを得
るためには、透明板の厚さ3.000mmに相当するス
ペースが必要となる。このことから、本発明のエタロン
が大幅な薄型化を実現することができることが分かる。
【0024】また、波長1550nmにおける常光屈折
率が2.22のニオブ酸リチウム単結晶を用いて、光入
出射面の法線とニオブ酸リチウム単結晶のc軸との角度
を0°として、光入出射面の法線と光軸とが平行である
場合に50GHzのFSRを得るためのエタロンを作製
した場合、そのエタロンを構成する透明板の厚さは1.
351mmである。よって、この場合も大幅な薄型化が
実現可能である。
【0025】これらエタロンの温度による透過波長のピ
ーク変動はタンタル酸リチウムで2.5pm/℃、ニオ
ブ酸リチウムで5pm/℃であり、良好な温度安定性を
有している。
【0026】タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムを
用い、光入出射面の法線とc軸とを平行に作製したエタ
ロンは、光入出射面の法線と光軸との間に角度を設けて
所望の波長に透過ピークを設定調整することはもちろん
可能である。その際、この角度が0°以上10°以下で
あれば温度による透過波長のピーク変動はタンタル酸リ
チウムで2.5pm/℃、ニオブ酸リチウムで5pm/
℃を維持することが可能である。そこで本発明のエタロ
ンは、透明板の光入出射面の法線と透明板を構成する単
結晶の六方晶系表示におけるc軸との角度を0°以上1
0°以下とすることにより高い温度安定性を保つことが
できる。
【0027】本発明はエタロンを再現性良く量産する方
法も提供する。タンタル酸リチウム及びニオブ酸リチウ
ム単結晶は直径1、2、3、4、5、6インチ等の単結
晶が入手可能である。大きな単結晶板が得られることは
エタロンを再現性良く作製するための非常に重要な項目
である。小さい板を初めから多数製造した場合、厚さば
らつきが個々に発生するため、多数ある板の1つ1つの
厚さを調整することが必要となる。しかし、大きな板を
製造してから必要な大きさに分割する場合、その大きな
板の厚さは非常に均一であるため、必要な大きさに小さ
く切り分けても、1つ1つの厚さを調整することが不要
となる。また、非常に高平坦度、高平行度の要求にも大
きい板の内の良好な平坦度、平行度の部分を使うことで
実現可能である。
【0028】そして、チョクラルスキー法により育成さ
れたこれらの単結晶の屈折率均一性は非常に高い。特
に、直径75mm以上を有するタンタル酸リチウム及び
ニオブ酸リチウム単結晶は屈折率の均一製が非常に高
く、単結晶内の屈折率差0.001以下のものが入手可
能である。そのため、チョクラルスキー法により直径7
5mm以上を有するタンタル酸リチウムまたはニオブ酸
リチウム単結晶を育成し、この単結晶から直径75mm
以上の単結晶板を製造した後、単結晶板を分割して複数
の透明板を製造してエタロンを製造することにより、エ
タロンを再現性良く量産することができる。
【0029】タンタル酸リチウム単結晶は、例えば次の
ように育成される。高純度のLiCO及びTa
を秤量、混合した原料粉体をイリジウム製ルツボに充
填し、高周波加熱方式にてルツボを加熱する。ルツボ内
の原料粉体が溶融したのち、c軸方向が長手方向である
種結晶を融液に接触させ、種結晶を引上げていく。その
間、直径が例えば75mmと大きくなるように加熱温度
をゆっくりと下げていく。直径が75mmになったとこ
ろで、その直径を維持するように加熱温度を調整する。
引上げ長さが例えば75mmとなったところで単結晶を
融液から切り離し、室温まで徐々に冷却する。
【0030】ニオブ酸リチウム単結晶の育成は、例え
ば、まず高純度のLiCO及びNbを秤量、
混合した原料粉体を白金製ルツボに充填し、高周波加熱
方式にてルツボを加熱する。その後は、前述のタンタル
酸リチウム単結晶と同様に育成することができる。
【0031】育成後のタンタル酸リチウム、ニオブ酸リ
チウムは多分域構造となっているため、単分域化する必
要がある。キュリー温度以上で直流電圧をかけ、そのま
ま冷却することで単分域化できる。
【0032】タンタル酸リチウム及びニオブ酸リチウム
の大きな単結晶板は、例えば内周刃式切断機を用いて得
られる。切断面の法線とc軸との角度はX線回折を利用
した、例えば、リガク製のカット面検査機等により測定
可能である。測定した角度が所定の角度になっていない
場合は切断機の角度を調整し、所定の角度が得られるよ
うにすることができる。
【0033】大きな単結晶板は研磨機により切断面が鏡
面に研磨される。砥粒、例えばコロイダルシリカを用い
て両面を鏡面研磨し、同時に所定の厚さとなるようにし
ていく。そして、得られた大きな単結晶板から所望の大
きさに内周刃式切断機等により切断、分割して複数の透
明板を製造してエタロンとする。また、必要であれば両
面に高反射コーティングを施して透過ピークの波長狭帯
域化を行なっても良い。
【0034】このように、本発明によるエタロンは、タ
ンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムを用いたものであ
ることを特徴としている。そして本発明に係るエタロン
は薄型で、かつ高温度安定性を有しており、光学フィル
タ等、様々な用途で適用可能である。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例を挙げて
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 (実施例1) [タンタル酸リチウムでのエタロンの作製−FSR:5
0GHz]純度99.99%以上のLiCO及びT
をコングルエント組成となるように秤量、混合
した。この原料粉体をイリジウム製ルツボに充填し、高
周波加熱方式にてルツボを加熱した。ルツボ内の原料粉
体が溶融したのち、c軸方向が長手方向(5mm×5m
m×50mmの角棒)である種結晶を融液に接触させ、
回転速度を10rpm一定で回転させながら種結晶を速
度1mm/h一定で引上げた。育成結晶の重量をロード
セルで逐次計測しながら、直径が75mmと大きくなる
ように加熱温度をゆっくりと下げていった。直径が75
mmになったところで、その直径を維持するように加熱
温度をコンピュータで制御した。引上げ長さが75mm
となったところで単結晶を融液から切り離し、室温まで
24時間かけて冷却した。
【0036】育成後のタンタル酸リチウムは多分域構造
となっているため、単分域化した。育成結晶のc軸方向
が電圧印加方向となるように電極を固定し、電気炉にて
650℃まで昇温した。その後、電圧を印加したまま室
温まで24時間かけて冷却した。
【0037】タンタル酸リチウムの直径75mmの単結
晶板は内周刃式切断機を用いて単結晶をスライスするこ
とで採取した。切断面の法線とc軸との角度が0°とな
るように単結晶板を採取した。これはc軸と垂直である
結晶面{001}と平行に切断することと等価である。
これは006反射によるX線回折ピークを用いることで
行い、{001}と切断面との角度を測定した。回折ピ
ークの測定は、リガク製、カット面検査機を用い、X線
源はCuとし、2θ=39.3°にて行なった。測定し
た角度が0°になっていない場合は切断機の角度を調整
し、切断面が0°となったところで、1.6mm間隔で
平行に単結晶を切断した。
【0038】採取した直径75mmの単結晶板は両面研
磨機により切断面が鏡面になるまでコロイダルシリカを
用いて研磨した。さらに、その屈折率に対応させて厚さ
1.408mmとなるまで研磨を行なった。
【0039】[平坦度、平行度評価]次に、単結晶板の
平坦度、平行度評価を行った。平坦度はTropel
製、Flatmaster100、斜入射干渉計を用い
て測定した。直径75mmの両面鏡面研磨が施された状
態で真空チャックに固定した後に干渉縞を計測した。解
析は外周7.5mmを除いた範囲にて行い、5mmサイ
トのPLTIRを評価値とした。
【0040】PLTIRとは設定したLTIR(Loc
al Total Indicated Readin
g)許容値に含まれるサイトの数を解析エリア全域のサ
イト数で割ったものをパーセントにて示した値であり、
設定したLTIR許容値は0.03μmとした。またL
TIRとは、図2に示すように、スリーポイント焦平面
Pを基準として、各サイトについて、その基準面の上部
にある最高点Aから、その面の下部にある最低点Bまで
の距離を表したものである。
【0041】平行度はオートコリメータを用いて測定し
た。直径75mmの両面鏡面研磨が施された状態にて、
単結晶板を回転させながら表面と裏面の相対角度を目盛
りから読み取り、その最大値を評価値とした。
【0042】測定結果は、平坦度(PLTIR)は94
%、平行度は1秒以下であった。このことから、このよ
うな単結晶板を分割して製造された透明板を用いてエタ
ロンを製造すれば、エタロンを再現性良く製造すること
ができることが期待できる。
【0043】次に、両面が鏡面に研磨され直径75mm
の単結晶板の外周10%を除いた、すなわち外周7.5
mmを除いた領域から一辺が5mmの正方形となるよう
に内周刃式切断機により切断、分割して透明板を製造
し、これらからエタロンを製造した。このエタロンを構
成する透明板の厚さは、その屈折率に対応させた結果、
1.408mmである。
【0044】[温度による透過波長のピーク変動評価]
製造されたエタロンの温度によるピーク変動を評価し
た。測定光学系を図3に示す。LED光源1からの発光
は光ファイバを通ってコリメータ2から出射し、空間伝
搬によりエタロン3を透過し、コリメータ4に入射後、
光ファイバ通ってヒューレットパッカード製、光スペク
トルアナライザ5に導入して、エタロンフィルタの波長
透過特性を得た。
【0045】エタロン3は温度制御器6の中に設置され
ており、25℃及び35℃のときのピーク波長をスペク
トルアナライザから読み取り、1℃当たりのピーク変動
を算出し、この値を評価値とした。温度制御器6の中に
は回転台7が設置されており、光軸とエタロンとの角度
を変えてピーク波長を読み取ることも可能であり、0°
〜15°まで角度を変えて、温度による透過波長のピー
ク変動量も評価した。表1に角度を変えたときの温度に
よる透過波長のピーク変動量を示した。
【0046】
【表1】
【0047】表1より、実施例1のエタロンの温度によ
る透過波長のピーク変動量は小さく、高い温度安定性を
有していることが判る。特に角度が0〜10℃の範囲で
は、3pm/℃以下となっており、非常に高い温度安定
性を示している。この結果より、透明板の光入出射面の
法線と透明板を構成する単結晶の六方晶系表示における
c軸との角度を0°以上10°以下とすることにより高
い温度安定性を保つことができることが判る。
【0048】(実施例2) [ニオブ酸リチウムでのエタロンの作製−FSR:50
GHz]純度99.99%以上のLiCO及びNb
をコングルエント組成となるように秤量、混合し
た。この原料粉体を白金製ルツボに充填し、高周波加熱
方式にてルツボを加熱した。あとは実施例1の単結晶育
成と同様に行なった。また、単分域化処理は電気炉の温
度を1180℃とした以外は実施例1と同様に行なっ
た。そして、育成された単結晶から単結晶板を製造し
た。回折ピークの測定は2θ=38.9°にて行い、そ
の屈折率に対応させて厚さ1.351mmとなるまで鏡
面研磨を行なった以外は実施例1と同様に行なった。
【0049】実施例1と同様に、単結晶板の平坦度、平
行度評価を行った。その結果、平坦度は95%、平行度
は1秒以下であった。このことから、このような単結晶
板を分割して製造された透明板を用いてエタロンを製造
すれば、エタロンを再現性良く製造することができるこ
とが期待できる。
【0050】次に実施例1と同様にしてエタロンフィル
タを製造した。このエタロンを構成する透明板の厚さ
は、その屈折率に対応させた結果、1.351mmとな
った。このエタロンの温度による透過波長のピーク変動
評価を実施例1と同様に行った。表2に角度を変えたと
きの温度による透過波長のピーク変動量を示した。
【0051】
【表2】
【0052】表2より、実施例2のエタロンの温度によ
る透過波長のピーク変動量は小さく、高い温度安定性を
有していることが判る。特に角度が0〜10℃の範囲で
は、6pm/℃以下となっており、非常に高い温度安定
性を示している。この結果より、透明板の光入出射面の
法線と透明板を構成する単結晶の六方晶系表示における
c軸との角度を0°以上10°以下とすることにより高
い温度安定性を保つことができることが判る。
【0053】(比較例) [石英ガラスでのエタロンの作製−FSR:50GH
z]直径50mm、厚さ2.083mmの石英ガラス板
を用意した。実施例1と同様に平坦度、平行度評価を行
った。その結果、平坦度(PLTIR)は83%、平行
度は3秒であった。このことから、このような石英ガラ
ス板を分割して製造された透明板を用いてエタロンを製
造した場合は、製造されるエタロンの再現性が悪く、特
性にバラツキがあることが予想される。
【0054】次に、石英ガラス板から一辺が5mmの正
方形となるように、内周刃式切断機により切断、分割し
て透明板を製造した。これらよりエタロンフィルタを製
造した。このエタロンを構成する透明板の厚さは、その
屈折率に対応させた結果、2.083mmとなった。こ
れは、実施例1および実施例2のエタロンに比べて、3
0%以上厚い物となった。
【0055】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、薄
型で、かつ高温度安定性を有しているエタロンを高生産
性で提供することができる。そして、本発明のエタロン
はその優れた特性により、光学フィルタ等、様々な用途
で適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における波長透過特性図である。
【図2】LTIRの説明図である。
【図3】波長透過特性を測定する光学系の概略図であ
る。
【符号の説明】
1…LED光源、 2…コリメータ、 3…エタロン、
4…コリメータ、5…光スペクトルアナライザ、 6
…温度制御器、 7…回転台、P…スリーポイント焦平
面、A…最高点、B…最低点。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1枚の透明板から成るエタロ
    ンであって、前記透明板はタンタル酸リチウム単結晶か
    ら成ることを特徴とするエタロン。
  2. 【請求項2】 少なくとも1枚の透明板から成るエタロ
    ンであって、前記透明板はニオブ酸リチウム単結晶から
    成ることを特徴とするエタロン。
  3. 【請求項3】 前記透明板の光入出射面の法線と前記透
    明板を構成する単結晶の六方晶系表示におけるc軸との
    角度が0°以上10°以下であることを特徴とする請求
    項1または請求項2に記載のエタロン。
  4. 【請求項4】 前記透明板は、チョクラルスキー法によ
    り育成された単結晶から成るものであることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のエタ
    ロン。
  5. 【請求項5】 エタロンの製造方法において、少なくと
    もチョクラルスキー法により、タンタル酸リチウム単結
    晶またはニオブ酸リチウム単結晶を育成し、前記単結晶
    から透明板を製造してエタロンを製造することを特徴と
    するエタロンの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のエタロンの製造方法に
    おいて、直径75mm以上の単結晶を育成し、前記単結
    晶から直径75mm以上の単結晶板を製造した後、前記
    単結晶板を分割して複数の透明板を製造してエタロンを
    製造することを特徴とするエタロンの製造方法。
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