JP2003269397A - 圧縮機のチップクリアランス制御装置 - Google Patents

圧縮機のチップクリアランス制御装置

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JP2003269397A
JP2003269397A JP2002075607A JP2002075607A JP2003269397A JP 2003269397 A JP2003269397 A JP 2003269397A JP 2002075607 A JP2002075607 A JP 2002075607A JP 2002075607 A JP2002075607 A JP 2002075607A JP 2003269397 A JP2003269397 A JP 2003269397A
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Japan
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liner
compressor
shrink
tip clearance
pump
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JP2002075607A
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English (en)
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Kensaku Abe
健作 阿部
Shinji Abe
慎治 阿部
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IHI Corp
Original Assignee
IHI Corp
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Publication date
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  • Control Of Positive-Displacement Air Blowers (AREA)
  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)
  • Control Of Positive-Displacement Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧縮機の運転状態の変動に対応してチップク
リアランスを調整する。 【解決手段】 ケーシング(12)内周面の動翼列に対応す
る位置に円筒状に形成された収縮ライナー(16)を、可変
機構(18)により径方向に移動する。可変機構は、ポンプ
(26)と、ポンプコントローラ(28)とを備え、ケーシング
は内面に円周帯状に形成された凹部(32)を有し、収縮ラ
イナーはこの凹部に嵌め込まれた状態でポンプ圧によっ
て凹部側面との間で摺動してその内径を変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧縮機のチップクリ
アランス制御装置に係るものであり、より詳しくは、圧
縮機の運転状態の変動に対応してチップクリアランスを
調整することが可能なチップクリアランス制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】図5はターボジェットエンジンの模式的
構成図であり、空気取入口1、圧縮機2、燃焼機3、ガ
スタービン4、アフターバーナ5、ジェットノズル6、
等を備えている。かかるジェットターボエンジンでは、
空気を空気取入口1から導入し、圧縮機2でこの空気を
圧縮し、燃焼機3内で燃料を燃焼させて高温の燃焼ガス
を発生させ、発生した燃焼ガスでガスタービン4を駆動
し、このガスタービン4で圧縮機2を駆動し、アフター
バーナ5でタービンを出た排ガスにより燃料を再度燃焼
させ、高温の燃焼排ガスをジェットノズル6で膨張させ
て後方に噴出し、推進力を発生するようになっている。
この構成は、ターボジェットエンジン以外のジェットエ
ンジンでも同様である。
【0003】上述したジェットエンジンやその他のガス
タービン、或いは圧縮機単体において、圧縮機を構成す
る動翼の先端(チップ)とケーシング内周面との隙間を
一般にチップクリアランスと呼ぶ。チップクリアランス
は、圧縮機の圧縮効率を高める上で、常に小さいほど好
ましいが、実際の運転においては、(1)動翼の遠心力
による伸び、(2)動翼の熱膨張、(3)ケーシングの
熱膨張、等の影響を受けるため、運転状態により種々に
変化する。
【0004】圧縮機の停止状態では、動翼、動翼が取り
付けられたローター、ケーシング等がすべて常温(例え
ば20〜30℃)であり、チップクリアランスは最大と
なる。圧縮機を起動し、動翼が回転を始めると、遠心力
により動翼やローターに伸びが生じ、チップクリアラン
スが小さくなる。次いで空気の断熱圧縮により圧縮空気
が温度上昇し、これにより熱容量の小さい動翼が先ず熱
膨張してチップクリアランスが最小にまで小さくなる。
次いで、熱容量が大きいケーシング及びローターが熱膨
張し、チップクリアランスが徐々に増大し、定常状態で
はほぼ一定の設計範囲となる。
【0005】空気温度は、圧縮機の入口において、上流
側にファンがない場合、常温(20〜30℃)であり、
ファンがある場合には、100〜200℃である。ま
た、圧縮機で圧縮された後の空気温度は、圧縮比が20
前後の場合でも500〜700℃に達する。上述したチ
ップクリアランスはこのような温度条件において最適値
となるように設計されており、チップクリアランスは例
えば起動前では約0.6〜0.8mm程度であり、起動
後の定常状態では0.3〜0.5mm程度である。
【0006】すなわち、圧縮機の起動直後、動翼及びロ
ーターの遠心力による伸びと動翼の熱膨張が生じた場合
にチップクリアランスが最小になるが、この際にもケー
シング内周面と動翼の先端(チップ)が接触することが
ないように、所定の隙間を形成するようにチップクリア
ランスは設計されている。なお、圧縮機の起動から定常
状態に達するまでの起動時間は、通常数分から10分前
後である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来
は、圧縮機の起動時において動翼の先端がケーシング内
周面とが接触することがないように、最小のチップクリ
アランスが設計上設定されていたが、起動中に回転速度
が急上昇する過渡現象など圧縮機の運転状態の変化によ
り、チップクリアランスが無くなり動翼の先端とケーシ
ング内周面とがわずかに接触するラビング現象が起こる
ことがある。
【0008】そのため、動翼列の位置するケーシング内
周面にはアブレダブルコーティングと呼ばれる、例えば
ハニカムを多孔質の表皮材で補強したライナーが貼付さ
れ、仮に動翼の先端がこれに接触した場合にも、ライナ
ーが削られることで圧縮機の運転の確保が図られてい
る。
【0009】しかしながら圧縮機の性能や寿命を向上さ
せるためには、ラビング現象の発生は極力回避する必要
がある。また起動中にラビング現象が発生しうる不安定
領域は短時間に通過することが望まれる。
【0010】そこで近年では、高温の圧縮空気でケーシ
ングを暖め、チップクリアランスを制御する手段が広く
用いられている。すなわち圧縮機の起動時に、高温の圧
縮空気でケーシングを暖めることによりケーシングの熱
膨張を早め、ケーシングの内径を短時間で拡大して最小
チップクリアランスを大きくすると共に、定常状態に達
するまでの起動時間を短縮してラビング現象が発生しう
る不安定領域を短時間に通過させている。
【0011】このような手段により起動時におけるラビ
ング現象の発生を回避する努力がなされているものの、
上記制御手段は加熱に用いた圧縮空気を外部又は圧縮機
の低圧側に排気するため、圧縮空気の損失を伴い、圧縮
効率が大きく低下するといった問題点があった。
【0012】そのため「ケーシング加熱によるクリアラ
ンスの制御手段」は、起動時にのみ用いられており、定
常状態に達した後には、圧縮空気による加熱を中止して
圧縮空気の損失をなくし、圧縮効率を高めていた。
【0013】しかしながらこの場合、圧縮機の運転状態
(回転速度、圧縮比、外気温度、等)が変動した際に
は、逆にチップクリアランスが過小となってラビング現
象を引き起こすおそれがあった。
【0014】なお、定常状態に達した後も、上述の「ケ
ーシング加熱によるクリアランス制御手段」を用いる
と、圧縮空気の損失により圧縮率が大きく低下するばか
りでなく、高温(500〜700℃)の圧縮空気の流量
を制御する高温流量調整弁の寿命が短くなり信頼性が低
下するといった問題があった。
【0015】さらに「ケーシング加熱によるクリアラン
ス制御手段」では、圧縮空気の温度以上の高温空気は得
られないため、クリアランスの調整範囲が狭く、必要な
クリアランス制御が行えないことがあった。また、ロー
ターはケーシングよりも冷えにくいため、運転中に回転
速度が下がった場合に、圧縮空気温度が下がりケーシン
グが収縮してもローターの冷却が遅れる結果、クリアラ
ンスが狭くなりすぎる場合があった。
【0016】このように従来のクリアランス制御手段で
は、圧縮空気の損失、圧縮効率の低下を将来することな
くラビング現象の発生を十分に防止することができず、
また、クリアランスの調整範囲が狭く、圧縮機の運転状
態の変動に対する応答性にも欠けるといった問題があっ
た。
【0017】本発明は上記問題に鑑みてなされたもので
あって、チップクリアランスの調整範囲を拡大してチ
ップクリアランスを最適化してラビング現象の発生を回
避すると共に、圧縮空気の損失をなくし、圧縮効率
を高め、好ましくは、圧縮機の運転状態の変動による
チップクリアランスの変化に迅速に応答することができ
る、圧縮機のチップクリアランス制御装置を提供するこ
とを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、ケーシング(12)内周面の動翼列に対応する位
置に円筒状に形成され、軸方向に円筒を分断する少なく
とも一以上の連結箇所(14)を有する収縮ライナー
(16)と、該収縮ライナーを移動させる可変機構(1
8)と、からなり、該可変機構は、前記収縮ライナーを
径方向に移動して収縮ライナーの内径を変化させ、圧縮
機の運転状態に応じて動翼(22)の先端と収縮ライナ
ーとの隙間(δ)を最適化する、ことを特徴とする圧縮
機のチップクリアランス制御装置を提供する。
【0019】本発明によれば、ケーシングの内周面に円
筒状に形成された収縮ライナーを、可変機構によって圧
縮機径方向内側に押し出してその内径を調整し、圧縮機
の運転状態に応じて動翼の先端と収縮ライナーとの隙
間、すなわちチップクリアランスを狭小化することによ
って、ラビング現象の発生を回避すると共に、圧縮機の
圧縮効率を高め、また従来の「ケーシング加熱によるク
リアランス制御手段」を用いる場合に必要とされた圧縮
空気を不要とすることで圧縮空気の損失をなくすことが
できる。
【0020】なお、円筒状に形成された収縮ライナー
は、軸方向に円筒を分断する連結箇所において、周方向
長さを調整することによってその内径を変化させる。
【0021】ここで、前記可変機構(18)は、液体
(24)を加圧して送り出すポンプ(26)と、該ポン
プから送り込まれる液体流量の制御を行うポンプコント
ローラ(28)と、を備え、前記ケーシング(12)
は、内面に円周帯状に形成された凹部(32)を有し、
該凹部には、前記収縮ライナー(16)が径方向外方に
向けて付勢された状態で凹部側面に摺動自在に嵌め込ま
れ、かつ、凹部底面と収縮ライナーとの間には前記ポン
プから送り込まれた液体を保持する内部空間(34)が
形成され、これにより内部空間は前記ポンプから送り込
まれた液体を取り入れることで拡張して収縮ライナーの
内径を縮小させ、保持した液体を流出することで収縮し
て収縮ライナーの内径を拡大させる、ものとすることが
できる。
【0022】収縮ライナーとケーシングとの間に内部空
間を設け、この内部空間にポンプから液体、例えば油を
送り込むことによって、円筒状の収縮ライナーを径方向
内側に押し出してその内径を小さくし、チップクリアラ
ンスが過大である場合にはこれを狭小化することができ
る。なお、逆にチップクリアランスが過小である場合に
は、ポンプ圧を抜くことにより収縮ライナーは押し戻さ
れ、チップクリアランスは最適化される。
【0023】また本発明の好ましい実施例では、前記内
部空間(34)には、可撓性の多孔質材(36)が充填
される。
【0024】内部空間に予め多孔質材を充填することに
より、内部空間に送り込む液体の量を減らし、またこの
内部空間から仮に液体が漏れ出すことがあったとしても
その流出速度を遅らせることができる。さらにこの多孔
質材は一定のダンパ機能を発揮するため、万一、収縮ラ
イナーと動翼の先端とが接触した場合にも収縮ライナー
が周方向外側に逃げることができ、削りによる損傷を最
小限化することができる。
【0025】さらに、前記連結箇所(14)には、係止
部(38)がそれぞれ形成されており、該係止部は、遊
び(Δ)を持った状態で相互に噛み合わされて連結さ
れ、前記収縮ライナーは、前記係止部の遊びにおいてそ
の内周面をほぼ面一にした状態で周方向に摺動して、前
記内部空間(34)内の液体をシーリングしながら内径
を変化させる、ことも好ましい。
【0026】連結箇所に形成した係止部を相互に遊びを
持って噛み合わせて連結し、円筒状の収縮ライナーを構
成することで、円筒状の収縮ライナーは遊び(Δ)の範
囲で摺動してその周方向長さを変化させ、結果として収
縮ライナーの内径を変化させることができる。なお、係
止部の噛み合わせは内部空間内の液体が漏れ出すことの
ないように、シーリング状態で行われる。
【0027】さらに、前記収縮ライナー(16)に、収
縮ライナーを径方向外側に付勢する付勢バネを取り付け
ることもできる。
【0028】圧縮機の運転中には、収縮ライナーは圧縮
機内部の圧縮空気の圧力によって径方向外側に付勢され
るが、圧縮空気の生成前や圧縮空気の圧力が低い場合な
どにも、可変機構による収縮ライナーの径方向外側への
移動を可能とするため、収縮ライナーに付勢バネを取り
付けてやる。これによって、例えばポンプによる外部か
らの加圧により収縮ライナーはその内径を縮小する一
方、その圧力を弱めることでその内径を拡大する。この
ように収縮ライナーに作用する圧力の調整により、自由
に収縮ライナーの内径を調節することができるようにな
る。
【0029】なお、前記連結箇所が1カ所である場合に
は、円筒状に形成した収縮ライナー自体にその内径を拡
大する方向のバネ作用を持たせてもよい。
【0030】加えて本発明の好ましい実施例によれば、
動翼(22)の先端と前記収縮ライナー(16)との隙
間(δ)の大きさを非接触に検出し、検出した隙間の大
きさを電気的信号に変換して前記ポンプコントローラ
(28)に送信する非接触センサ(42)と、をさらに
備えている。
【0031】非接触センサによりチップクリアランスを
監視して、その情報を基礎に内部空間へ注入する液体流
量を調整することで、圧縮機の運転状態の変動に迅速に
対応してチップクリアランスを最適化することができ
る。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
を図面を参照して説明する。なお、各図において共通す
る部分には同一の符号を付して使用する。
【0033】図1は、本発明の圧縮機のチップクリアラ
ンス制御装置を備えた圧縮機の模式的断面図である。図
1からも分かるようにこの圧縮機は軸流圧縮機であり、
流路断面積を徐々に狭める気体流路を内部に有するケー
シング12と、気体流路に設けられ流れ方向上流側から
下流側に段階的に空気を圧縮する複数(この例では7
段)の動翼列および静翼列と、動翼22が取り付けられ
たローター23と、ローター23に回転動力を与える回
転軸と、ポンプ26、ポンプコントローラ26、非接触
センサ42、等を含んで構成されている。
【0034】図1におけるX部分の拡大図である図2に
示すように、ケーシング12内周面の動翼列に対応する
位置には、円周帯状の凹みからなる凹部32が形成さ
れ、この凹部32の底面には外部から油を注入するため
の配管44が取り付けられている。この凹部32には一
定の深さまで可撓性を有する多孔質材36、例えば多孔
質に成形したエポキシ樹脂や編み込むことで多孔質状態
にしたカーボン繊維が充填されている。この多孔質材
は、注入された油を含んで膨張する。また凹部32に
は、次に述べる円筒状に形成された収縮ライナー16が
嵌め込まれる。
【0035】この収縮ライナー16の構造を図3および
4を用いて説明する。ここで図3は組み立て段階の収縮
ライナーの全体像を示し、図4(a)および(b)は収
縮ライナーの連結箇所14部分(図3参照)の平面図お
よび正面図をそれぞれ拡大して表している。
【0036】図3に示すようにこの収縮ライナー16
は、その周方向の両端(連結箇所14)が軸方向に対し
て傾斜した1/4円の薄板(15)四枚が組み合わされ
て円筒状に形成されており、その内径をケーシング内面
の内径とほぼ同じくする。各薄板15の組み合わせ部分
(連結箇所14)には、カギ状の係止部38がそれぞれ
形成さおり、この係止部38は遊び(Δ)を持った状態
で相互に噛み合って隣接する薄板を連結している。隣接
する薄板15は、遊び(Δ)の範囲内で破線矢印で示し
た周方向に摺動して、収縮ライナー16の周方向長さを
変化させ、その結果として収縮ライナー16の内径を変
化させる。また係止部38の摺動は、収縮ライナー内面
の面一をほぼ保ちながら、後述する内部空間内の液体
(例えば油)がこの連結箇所14から漏れ出ることがな
いように、凹部側面との摺動面をシーリングした状態で
行われる。
【0037】なお本実施形態では、収縮ライナー16を
4枚の薄板15で構成しているが、収縮ライナーはその
内径を変化させうる摺動可能な連結箇所を有していれば
よく、1枚乃至3枚、もしくは5枚以上の薄板を用いて
構成するものであってもよい。
【0038】収縮ライナー16は、底面に多孔質材36
を挟み込んだ凹部へ径方向内側から外側へ向けて付勢さ
れた状態で凹部32に対して摺動自在に嵌め込まれる。
すなわち、収縮ライナー16と凹部32の底面との間に
は一定の空間(内部空間34)が形成される。なお、収
縮ライナーの付勢は、収縮ライナーとケーシングとを結
ぶ付勢バネ(図示せず)を取り付けて行うことが好まし
いが、収縮ライナーの連結箇所が1カ所である場合に
は、円筒状に形成した収縮ライナー自体にその内径を拡
大する方向のバネ作用を持たせてもよい。
【0039】凹部32に取り付けられた配管44は、内
部空間34に油を注入するためにポンプ26につながれ
ている。また、ケーシング12には、動翼22の先端と
収縮ライナー16との隙間(δ)の大きさを非接触に検
出し、検出した隙間の大きさを電気的信号に変換してポ
ンプコントローラ28に送信する非接触センサ42が取
り付けられている。ポンプコントローラ28は非接触セ
ンサ42からの信号を受信してポンプ出力を調整し、内
部空間34に送り込む液体24の量を調整する。
【0040】外周側に向けて付勢された状態で凹部32
に取り付けられた収縮ライナー16は、ポンプによる加
圧がない状態では多孔質材36を圧縮し、圧縮された多
孔質材の厚み分を残して凹部32底面側、すなわち径方
向外側に広がってその内径を最大化する。このとき係止
部38は周方向に引っ張り合う形で係止している。
【0041】係止部38の噛み合わせは内部空間34内
の液体24が漏れ出すことのないように、シーリング状
態で行われが、係止部38の噛み合わせ部分から仮に液
体24がケーシング12内面側に漏れ出すことがあった
としても、内部空間32には多孔質材36が充填されて
いるため、その流出速度を遅らせることができる。な
お、この多孔質材36は可撓性を有し一定のダンパ機能
をも発揮するため、万一、収縮ライナー16と動翼22
の先端とが接触した場合にも、収縮ライナーを周方向外
側に逃がして、収縮ライナーの損傷を最小限化すること
ができる。
【0042】ポンプコントローラ28からの信号によっ
てポンプ出力が上昇すると、ポンプ26から配管44を
経て内部空間34に液体が送り込まれる。この液体は内
部空間34内の多孔質材36の細孔に流れ込み、多孔質
材36を膨張させて内部空間34の容積を増大させる。
内部空間34の容積が増大すると収縮ライナー16は径
方向内側へ付勢されるため、係止部38に設けられた遊
び(Δ)の範囲内で摺動し、隣接する薄板15との重な
り部分を多くしてその周方向長さを縮める。収縮ライナ
ー16の周方向長さが縮まると、結果としてその内径も
縮小することになる。
【0043】なお、摺動が進行すると、係止部38が周
方向に押し合う形で係止するため、収縮ライナー16の
内径の縮小は一定の範囲(Δ)で制限される。しかしな
がら、従来の圧縮空気によるケーシングの熱膨張による
クリアランス制御と比してその調整範囲が広く、必要か
つ十分なクリアランス制御は可能である。
【0044】本実施例では、チップクリアランスの制御
を非接触センサからの信号に基づいて行っているが、圧
縮機の運転状態(回転速度、圧縮比、外気温度、等)を
種々変化させて予め採取したチップクリアランスのデー
タを基礎に、圧縮機の運転状態によってポンプ出力の調
整を行い、収縮ライナーの内径を変化させるものとする
こともできる。
【0045】次に圧縮機の各運転状態における、本発明
の圧縮機のチップクリアランス制御装置の動作および効
果を説明する。
【0046】従来の圧縮機では、熱容量が小さく起動直
後から断熱圧縮により昇温した空気によって容易に熱膨
張し、また大きな遠心力が作用することでその長さを変
化させる動翼に対して、熱容量が大きく起動直後には容
易に熱膨張しないケーシングとの関係から、圧縮機の停
止状態のチップクリアランスは最大に設定される。
【0047】本発明のチップクリアランス制御装置を備
えた圧縮機では、圧縮機の起動直後には、ポンプ26か
ら加圧した液体24を配管44を通じて内部空間34へ
注入し、多孔質材36を膨張させることによって収縮ラ
イナー16の内径を縮小し、チップクリアランスを狭小
化する。チップクリアランスが狭小化されると、チップ
クリアランスからの圧縮空気の抜けが少なくなるため圧
縮効率を高めることができる。
【0048】次いで、熱容量が大きいケーシング12及
びローター23が熱膨張し、チップクリアランスが徐々
に増大し始めると、非接触センサ42がこの増大を検出
し、その大きさを電気的信号に変換してポンプコントロ
ーラ28に送信する。ポンプコントローラ28はポンプ
26の出力を調整して、各動翼列の内部空間34に注入
する液体24の量をコントロールし、ケーシング12及
びローター23の熱膨張に迅速に追従して、収縮ライナ
ー16の内径を縮小してチップクリアランス(δ)を最
適化する。
【0049】圧縮機が定常状態となった後も非接触セン
サ42はチップクリアランスを監視し、圧縮機の運転状
態(回転速度、圧縮比、外気温度、等)が変動した際に
もチップクリアランスが過小となることのないように、
収縮ライナー16の内径の調節を行いラビング現象の発
生を防止する。
【0050】なお、圧縮機の運転の中止は、ポンプ26
の圧力を抜き、収縮ライナー16の内径を最大化した後
に行う。
【0051】本発明は上述した実施例に限定されず、本
発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿
論である。
【0052】
【発明の効果】以上述べたように本発明の圧縮機のチッ
プクリアランス制御装置によれば、圧縮機の運転状態に
迅速かつ適切に対応したチップクリアランスの制御を可
能とし、従来のチップクリアランスの制御手段が有して
いた、圧縮空気の損失、圧縮効率の低下、圧縮機
の運転状態の変動への低応答性、等の問題を解消し、ま
た、チップクリアランスの調整範囲を拡大してチップク
リアランスを常に最適化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の圧縮機のチップクリアランス制御装
置を備えた圧縮機の模式的断面図である。
【図2】 図1におけるX部分の拡大図である。
【図3】 組み立て段階の収縮ライナーの全体像であ
る。
【図4】 収縮ライナーの連結箇所部分の平面図および
正面図である。
【図5】 ターボジェットエンジンの模式的構成図であ
る。
【符号の説明】
1 空気取入口 2 圧縮機 3 燃焼機 4 ガスタービン 5 アフターバーナ 6 ジェットノズル 12 ケーシング 14 連結箇所 15 薄板 16 収縮ライナー 18 可変機構 22 動翼 24 液体 26 ポンプ 28 ポンプコントローラ 32 凹部 34 内部空間 36 多孔質材 38 係止部 42 非接触センサ δ 隙間 Δ 遊び
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H021 AA02 BA01 BA11 CA05 DA00 DA09 DA13 EA04 EA07 3H022 AA03 BA02 BA07 CA32 CA34 CA51 CA56 DA08 DA09 3H034 AA02 AA16 BB03 BB08 BB17 CC04 CC07 DD24 DD26 DD28 DD30 EE09 EE13 EE15 EE18 3H045 AA06 AA09 AA13 AA26 AA31 BA01 BA31 BA33 CA12 DA11 EA12 EA20 EA26 EA34

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング(12)内周面の動翼列に対
    応する位置に円筒状に形成され、軸方向に円筒を分断す
    る少なくとも一以上の連結箇所(14)を有する収縮ラ
    イナー(16)と、 該収縮ライナーを移動させる可変機構(18)と、から
    なり、 該可変機構は、前記収縮ライナーを径方向に移動して収
    縮ライナーの内径を変化させ、圧縮機の運転状態に応じ
    て動翼(22)の先端と収縮ライナーとの隙間(δ)を
    最適化する、ことを特徴とする圧縮機のチップクリアラ
    ンス制御装置。
  2. 【請求項2】 前記可変機構(18)は、液体(24)
    を加圧して送り出すポンプ(26)と、 該ポンプから送り込まれる液体流量の制御を行うポンプ
    コントローラ(28)と、を備え、 前記ケーシング(12)は、内面に円周帯状に形成され
    た凹部(32)を有し、 該凹部には、前記収縮ライナー(16)が径方向外方に
    向けて付勢された状態で凹部側面に摺動自在に嵌め込ま
    れ、かつ、凹部底面と収縮ライナーとの間には前記ポン
    プから送り込まれた液体を保持する内部空間(34)が
    形成され、 これにより内部空間は前記ポンプから送り込まれた液体
    を取り入れることで拡張して収縮ライナーの内径を縮小
    させ、保持した液体を流出することで収縮して収縮ライ
    ナーの内径を拡大させる、ことを特徴とする請求項1に
    記載の圧縮機のチップクリアランス制御装置。
  3. 【請求項3】 前記内部空間(34)には、可撓性の多
    孔質材(36)が充填されている、ことを特徴とする請
    求項2に記載の圧縮機のチップクリアランス制御装置。
  4. 【請求項4】 前記連結箇所(14)には、係止部(3
    8)がそれぞれ形成されており、 該係止部は、遊び(Δ)を持った状態で相互に噛み合わ
    されて連結され、 前記収縮ライナーは、前記係止部の遊びにおいてその内
    周面をほぼ面一にした状態で周方向に摺動して、前記内
    部空間(34)内の液体をシーリングしながら内径を変
    化させる、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の圧
    縮機のチップクリアランス制御装置。
  5. 【請求項5】 動翼(22)の先端と前記収縮ライナー
    (16)との隙間(δ)の大きさを非接触に検出し、検
    出した隙間の大きさを電気的信号に変換して前記ポンプ
    コントローラ(28)に送信する非接触センサ(42)
    と、をさらに備える、ことを特徴とする請求項2乃至4
    に記載の圧縮機のチップクリアランス制御装置。
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