JP2003267751A - 電極被覆用ガラス組成物および電極被覆用ガラス形成用塗料、並びにそれを用いたプラズマディスプレイパネルとその製造方法 - Google Patents
電極被覆用ガラス組成物および電極被覆用ガラス形成用塗料、並びにそれを用いたプラズマディスプレイパネルとその製造方法Info
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- JP2003267751A JP2003267751A JP2003002551A JP2003002551A JP2003267751A JP 2003267751 A JP2003267751 A JP 2003267751A JP 2003002551 A JP2003002551 A JP 2003002551A JP 2003002551 A JP2003002551 A JP 2003002551A JP 2003267751 A JP2003267751 A JP 2003267751A
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Abstract
膜を製造できるガラス組成物およびガラス形成用塗料
と、それを用いたプラズマディスプレイパネルおよびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明のガラス組成物は、粘度η[dP
a・s]と温度T[℃]の関係式logη=A+B/(T
−C)において、A:−9.5〜−4、B:3000〜
3900、C:240〜320を満たす。さらに、軟化
点+50℃と−50℃とのlogηの値の差の絶対値が
4.2以上である。このようなガラス組成物の組成は、
例えば、BaO+Al2O3>0で、PbO:40〜66
重量%、SiO2:2〜25重量%、B2O3:5〜40
重量%、BaO:0〜20重量%、Al2O3:0〜8重
量%、CuO:0〜2重量%、CeO2:0〜2重量%
である。
Description
組成物および電極被覆用ガラス形成用塗料、並びにそれ
を用いたプラズマディスプレイパネルとその製造方法と
に関するものである。
高まっている。従来から用いられているCRT(cathod
e-ray tube)は、解像度や画質の点で、プラズマディス
プレイや液晶ディスプレイに対して優れているが、奥行
きと重量の点で、40インチ以上の大画面には不向きで
ある。また、液晶ディスプレイは、消費電力が小さく、
駆動電圧も低いという優れた性能を有しているが、大画
面化や視野角に限界がある。これに対し、プラズマディ
スプレイは、大画面で狭い奥行きの実現が可能であり、
すでに60インチクラスの製品が開発されている。
プレイパネルの構造を示した斜視図である。なお、プラ
ズマディスプレイパネルの構成をわかりやすく示すため
に、図1においては、プラズマディスプレイパネルの前
面板と背面板とを別々に(一体化されていない状態で)
示している。
ある。前面板1は、前面基板11上に表示電極12およ
びブラックストライプ13が設けられ、さらにこれら表
示電極12およびブラックストライプ13を被覆する誘
電体ガラス層14が設けられ、さらに誘電体保護層15
が設けられて構成されている。前面基板11は、例え
ば、フロート法により作製された硼硅酸ナトリウム系ガ
ラスまたは鉛系ガラスよりなる。表示電極12は帯状の
電極であり、例えば、ITO(indium tin oxide)と、
銀(Ag)膜またはクロム(Cr)−銅(Cu)−クロ
ム(Cr)の積層膜等とからなる。誘電体ガラス層14
は、平均粒径0.1μm〜20μmのガラス粉末を用い
て形成されており、コンデンサの誘電体層として機能す
る。誘電体保護層15は、例えば酸化マグネシウム(M
gO)にて形成される。一方、背面板2は、背面基板2
1上に複数のアドレス電極22が設けられ、さらにアド
レス電極22を被覆する誘電体ガラス層23が設けら
れ、さらにその上に隔壁24および蛍光体層25が設け
られている。背面基板21は、前面基板11と同様にガ
ラスからなる基板である。アドレス電極22は、前面板
1の表示電極12と直交する帯状の電極であり、Ag膜
またはCr−Cu−Cr積層膜等からなる。隔壁24
は、帯状に設けられた複数のアドレス電極22を互いに
隔離して放電空間を形成している。すなわち、互いに隣
接する隔壁間が、放電ガスを封入する放電空間である。
蛍光体層25はアドレス電極22の上部から隔壁24の
側面にわたって設けられている。蛍光体層25は、カラ
ー表示を可能とするために、赤(R)、緑(G)、青
(B)の可視光を発する材質にて形成された3色の蛍光
体層25a,25b,25cが、隔壁24を挟んで順に
配置されている。
おいては、前面板1に設けられる誘電体ガラス層14が
高い絶縁耐電圧を有することが要求される。この誘電体
ガラス層14の絶縁耐電圧の特性は、誘電体ガラス層1
4の表面状態および膜欠陥に大きく左右される。
成する方法としては、ガラス粉末と、溶剤と、バインダ
ーとして機能する樹脂(以下、バインダー樹脂と記
す。)と、可塑剤や分散剤等とから構成されたペースト
を、スクリーン印刷法、スプレー法、ブレードコータ
法、またはダイコート法を用いて前面板1の表示電極1
2上に塗布し、乾燥後焼成する方法が知られている(例
えば、特許文献1参照。)。
5−9頁、第1図)
極12を被覆する誘電体ガラス層14の従来の形成方法
や材料では、膜中に気泡が多く残留するため誘電体ガラ
ス層14の透明性が低く、さらに絶縁破壊が発生しやす
い等の問題が生じ、高い透明性と高い絶縁耐電圧を有す
る誘電体ガラス層14を形成することが困難であった。
用ガラス組成物は、軟化点+50℃におけるlogηの値
と、軟化点−50℃におけるlogηの値との差の絶対値
|Δlogη|が、4.2以上であることを特徴としてい
る。ただし、ηはガラスの粘度(単位は[dPa・
s])である。
成物は、粘度の温度依存性を示す関係式logη=A+B
/(T−C)において、係数A,B,Cが、A:−9.
5〜−4、B:3000〜3900、C:240〜32
0、であることを特徴としている。ただし、上記関係式
において、ηはガラスの粘度(単位は[dPa・
s])、Tは温度(℃)である。
成物は、BaOおよびAl2O3のうちの少なくとも一方
を含み、かつ、PbO:40〜66重量%、SiO2:
2〜25重量%、B2O3:5〜40重量%、BaO:0
〜20重量%、Al2O3:0〜8重量%、CuO:0〜
2重量%、CeO2:0〜2重量%、を含むことを特徴
としている。なお、ここでの各組成の重量%は、厳密に
は、各元素の酸化物を化学量論的酸化物に換算したとき
の値である。
本発明の第一〜第三の電極被覆用ガラス組成物の何れか
一つからなるガラス粉末と、溶剤と、バインダー樹脂と
を含むことを特徴としている。
前面板と、前記前面板と対向して配置された背面板とを
含むプラズマディスプレイパネルであって、前記前面板
は、前面基板と、前記前面基板上に設けられた表示電極
と、前記前面基板の前記表示電極が設けられた面に形成
された誘電体ガラス層とを含み、前記誘電体ガラス層
が、本発明の第一〜第三の電極被覆用ガラス組成物の何
れか一つを含むことを特徴としている。
造方法は、(a)前面基板上に表示電極を形成する工程
と、(b)前記前面基板の前記表示電極が形成された面
に、本発明の電極被覆用ガラス形成用塗料を塗布する工
程と、(c)前記電極被覆用ガラス形成用塗料の塗膜を
乾燥させる工程と、(d)前記塗膜を焼成して誘電体ガ
ラス層を形成する工程と、を含むことを特徴としてい
る。
組成物は、軟化点前後、すなわちガラスが焼結する温度
前後において粘度の変化量が大きいので、焼結したガラ
ス膜中の残存気泡数が少なくなり、光透過率が向上す
る。さらに、残存気泡数が少ないため、残存気泡による
ガラス膜の実効膜厚の低下も抑制でき、絶縁耐電圧も向
上する。このように、本発明の第一の電極被覆用ガラス
組成物によれば、透明性が高く、かつ、絶縁耐電圧の高
いガラス膜を形成することができる。
は、軟化点前後での粘度の変化量が大きくなり、焼結し
たガラス膜中の残存気泡数が少なくなる。このため、本
発明の第二の電極被覆用ガラス組成物によれば、本発明
の第一の電極被覆用ガラス組成物と同様、透明性が高
く、かつ、絶縁耐電圧の高いガラス膜を形成することが
できる。さらに、より高い効果を得るために、本発明の
第二の電極被覆用ガラス組成物において、関係式logη
=A+B/(T−C)の係数Aは、−8〜−6であるこ
とが好ましい。また、係数Bは、3300〜3700で
あることが好ましい。また、係数Cは260〜300で
あることが好ましい。
は、従来の電極被覆用ガラス組成物と比較して、PbO
およびSiO2との割合が少なく、BaOおよびAl2O
3のうち少なくとも何れか一方が必ず含まれている。こ
の第三の電極被覆用ガラス組成物によれば、透明性が高
く、かつ絶縁耐電圧の高いガラス膜を形成することがで
きる。さらに、より高い効果を得るために、本発明の第
三の電極被覆用ガラス組成物においては、BaOとAl
2O3との合計含有量が5重量%以上であることが好まし
い。
ラス組成物において、軟化点は600℃以下であること
が好ましい。基板として用いるガラスよりも軟化点を低
くするためである。
ラス組成物において、30〜300℃における熱膨張係
数が68×10-7/℃〜86×10-7/℃であることが
好ましい。基板として用いるガラスとの間の熱膨張係数
の差を小さくし、この熱膨張係数の差により生じる歪で
ガラス膜が割れるのを防ぐためである。
料について説明する。本発明の電極被覆用ガラス形成用
塗料によれば、従来用いられていたスクリーン印刷法、
スプレー法、ブレードコータ法、あるいはダイコート法
等を用いて、透明性が高く、かつ絶縁耐電圧の高いガラ
ス膜を、電極上に形成できる。また、本発明の電極被覆
用ガラス形成用塗料において、ガラス粉末は、最大粒径
が16μm以下であって、かつその粒度分布が粒径0.
9〜1.3μmおよび5〜6μmにピークを有すること
が好ましい。このようなガラス粉末によれば、塗膜(乾
燥膜)を形成する際にガラス粒子が緻密に積み重ねられ
て余分な空間が少なくなり残留気泡が減るので、さらに
高い光透過率と高い絶縁耐電圧を有するガラス膜を形成
できるからである。
ルについて説明する。本発明のプラズマディスプレイパ
ネルによれば、誘電体ガラス層の光透過率および絶縁耐
電圧が高くなるため、高輝度で信頼性の高いプラズマデ
ィスプレイパネルを提供できる。
ルの製造方法について説明する。本発明のプラズマディ
スプレイパネルの製造方法によれば、高輝度で信頼性の
高いプラズマディスプレイパネルを製造できる。また、
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法におい
て、塗膜を乾燥させる温度は70〜110℃であること
が好ましく、また、塗膜を焼成する温度は500〜60
0℃であることが好ましい。
を参照しながら説明する。
は、プラズマディスプレイパネルの表示電極を被覆する
誘電体ガラス層の形成に好適に用いられる。なお、本実
施の形態のプラズマディスプレイパネルの構造は、前述
した図1に示すプラズマディスプレイパネルと同様であ
るので、ここでは説明を省略する。
性、すなわち温度(T)−粘度(η)関係は、以下の関
係式(Fulcherの実験式)において示される。この実験
式において、A,B,Cはそれぞれ実験によって求めら
れる係数である。
Fulcherの実験式において、実験により求められる係数
A,B,Cが、A:−9.5〜−4、B:3000〜3
900、C:240〜320を満たすものである。ま
た、より好ましくは、係数A,B,Cが、A:−8〜−
6、B:3300〜3700、C:260〜300のガ
ラス組成物を用いることである。
は、Fulcherの実験式の係数A,B,Cにおいて上記の
数値範囲を満たすことにより、ガラスが焼結する温度前
後、すなわちガラスの軟化点前後で粘度の変化が大きく
なり、焼結したガラス膜中の残存気泡数が少なくなる。
このため、形成されたガラス膜の光透過率が向上し、ガ
ラス膜の透明性が高くなる。また、残存気泡数が少ない
ので、形成されたガラス膜の実効膜厚が薄くなることも
ないため、ガラス膜の絶縁耐電圧も向上する。従って、
本実施の形態の電極被覆用ガラス組成物によれば、透明
性が高く、かつ絶縁耐電圧が高いガラス膜を形成するこ
とができる。
め、電極被覆用ガラス組成物については、ガラスの軟化
点前後での粘度の変化の大きさが次のような条件を満た
すようにする。その条件とは、軟化点+50℃における
logηの値と、軟化点−50℃におけるlogηの値との差
の絶対値|Δlogη|が、4.2以上となることであ
る。また、|Δlogη|は10以下であることが好まし
い。軟化点付近の粘度差があまり大きすぎると、焼成設
定温度から少しでも低いと未焼成となり、焼成設定温度
から少しでも高いと電極との過剰反応が生じる、という
問題が生じ、焼成温度の制御が困難になるからである。
B,Cの決定方法について説明する。Fulcherの実験式
における係数A,B,Cは、各温度でのガラス粘度を温
度領域に応じた測定方法で測定し、その測定値を用いて
算出される。高温域(1000℃〜1550℃)におい
ては試料引き下げ法を用いて粘度を測定することができ
る。中温域(300℃〜1000℃)においては貫入法
を用いて粘度を測定することができる。低温域(500
℃以下)においてはビームベンディング法を用いて粘度
を測定することができる。各測定方法の原理は次のとお
りである。
にこの球体にかかる負荷荷重をこの球体と連結された電
子天秤により測定し、その負荷荷重を用いて粘度を算出
する。図2に示すように、電子天秤31と連結している
Pt球32を測定試料である溶融ガラス33が入った坩
堝34内に入れ、試料受け台35を等速で引き下げて坩
堝34を降下させる。これにより、Pt球32は相対的
に溶融ガラス33内を等速で上昇するので、その際にP
t球32にかかる負荷荷重を電子天秤31により測定す
る。この測定は、高温域の温度に制御された電気炉36
内において行われる。このようにPt球32が溶融ガラ
ス33内において等速度運動を行っている場合の粘度
は、Stokesの法則により以下の式により求められる。
より求められる。
一定荷重で圧着し(例えば0.5mm押し込む)、その
貫入圧子42の貫入速度から、試料41の粘度を次式に
より算出する。貫入圧子42は貫入棒43を介してロー
ドセル44に接続され、このロードセル44には荷重検
出装置45が接続されている。この測定は、中温域の温
度に制御された電気炉46内において行われる。
より求められる。
を行い、試験片51の粘度を次式により算出する。3点
曲げは、52を支点として試験片51の中央部に荷重5
5をかけることにより行われる。荷重55はロードセル
54と接続されており、ロードセル54には記録装置5
6が接続されている。この測定は、低温域の温度に制御
された電気炉53内において行われる。
ーメント M:荷重 ρ:試料密度 v:試料中央部分のたわみ速度 A:試
料断面積
において上記のような数値範囲を実現する電極被覆用ガ
ラス組成物は、例えば、BaOおよびAl2O3のうち少
なくとも一方を含み、かつ、PbO:40〜66重量%
(好ましくは40〜50重量%、より好ましくは40〜
47重量%)、SiO2:2〜25重量%(好ましくは
2〜9重量%、より好ましくは5〜8.5重量%)、B
2O3:5〜40重量%(好ましくは20〜30重量%、
より好ましくは20〜27重量%)、BaO:0〜20
重量%(好ましくは10〜20重量%、より好ましくは
15〜19重量%)、Al2O3:0〜8重量%(好まし
くは1〜7重量%、より好ましくは3〜6.5重量
%)、CuO:0〜2重量%(好ましくは0.1〜1重
量%、より好ましくは0.1〜0.4重量%)、CeO
2:0〜2重量%(好ましくは0.1〜1重量%、より
好ましくは0.1〜0.4重量%)であるガラス組成物
によって実現することができる。BaO+Al2O3は5
重量%以上が好ましく、より好ましくは10〜28重量
%、特に20〜25重量%が好適である。ただし、本発
明は上記組成物以外の上記A〜Cを満たすガラス組成物
も含有する。
て、図1に示したような、プラズマディスプレイパネル
の表示電極12を被覆する誘電体ガラス層14を形成す
る方法について説明する。
成物からなるガラス粉末と、溶剤と、バインダー樹脂と
を含むペースト(電極被覆用ガラス形成用塗料)を用意
する。このとき、ガラス粉末は、最大粒径が16μm以
下であって、かつその粒度分布が粒径0.9〜1.3μ
mおよび5〜6μmにピークを有するようにしておく。
このペーストをスクリーン印刷法、スプレー法、ブレー
ドコータ法、またはダイコート法を用いて、表示電極1
2が形成された前面基板11上に塗布する。遠赤外線乾
燥装置、ホットプレート、または熱風乾燥装置を用い
て、70〜110℃で塗膜を乾燥させた後、500℃〜
600℃で焼成して、誘電体ガラス層14を形成する。
ルピネオールなどのテルペン類、エチレングリコールモ
ノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキル
エーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテ
ル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、エ
チレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、
エチレングリコールジアルキルエーテルアセテート類、
ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート
類、ジエチレングリコールジアルキルエーテルアセテー
ト類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、
プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレ
ングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロ
ピレングリコールジアルキルエーテルアセテート類、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノ
ールなどのアルコール類等から選択される1種、もしく
は2種類以上を混合したものを使用することができる。
ては、ニトロセルロース、エチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリブチル
アクリレート、ポリメタクリレート等のアクリル系樹
脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等か
ら選択される1種、もしくは2種以上を併用して使用で
きる。
ラス形成用のペーストに分散剤や可塑剤等を加えること
も可能である。
4は、高い絶縁耐電圧を有し、かつ非常に高い光透過率
を有する。
は、基板として用いるガラスの軟化点よりも低くするた
め、600℃以下であることが好ましく、さらに、前面
板と背面板の封着温度で誘電体ガラス層14が変化しな
いように、500℃以上であることが好ましい。また、
電極被覆用ガラス組成物の30〜300℃における熱膨
張係数は、基板として用いるガラスとの熱膨張係数の差
で生じる歪で割れが生じるのを防ぐため、68×10-7
/℃〜86×10-7/℃であることが好ましい。
明する。
1に、実施例1〜13および比較例1〜3において電極
被覆用ガラス組成物として用いたガラス粉末の組成比
(酸化物基準重量%)を記載する。
においては貫入法、低温域においてはビームベンディン
グ法、を用いてサンプルの粘度測定を行った。この測定
結果から、実施例1〜13および比較例1〜3のガラス
組成物におけるFulcherの実験式の係数A,B,Cの値
を求めた。表1には、その結果も示されている。
軟化点を算出し、軟化点+50℃におけるlogηの値
と、軟化点−50℃におけるlogηの値との差の絶対値
|Δlogη|を算出した結果を、表2に示す。なお、軟
化点は粘度が107.65dPa・sの時の温度である。
ガラス組成物は、Fulcherの実験式において、A:−
9.5〜−4、B:3000〜3900、C:240〜
320を満たしている。これに対し、比較例1〜3のガ
ラス組成物は、A,B,Cの何れかが上記の数値範囲を
満たしていない。
13のガラス組成物は|Δlogη|が4.2以上であ
り、比較例1〜3のガラス組成物は|Δlogη|が4.
2未満である。
のガラス組成物について、熱膨張係数、絶縁耐電圧、お
よび全光線透過率を求めた。
機械分析(TMA)機(リガク社製)によって測定し
た。ガラス粉末の焼結体を5mm×5mm×30mmに
加工し、10gの荷重をかけながら、5℃/minで昇
温していく際の形状変化の測定から熱膨張係数を算出し
た。上述したように、30〜300℃における熱膨張係
数は68×10-7/℃〜86×10-7/℃であることが
好ましい。
ず、実施例1〜13および比較例1〜3の組成のガラス
組成物を用いてガラスペーストを作製した。具体的に
は、各実施例および比較例の組成のガラス粉末を用い、
バインダー樹脂としてはエチルセルロース、溶剤として
はα−テルピネオールを用いた。ガラス粉末65重量
%、エチルセルロース4重量%、α−テルピネオール3
1重量%を配合し、3本ローラーの分散機によって各種
成分を均質に混合分散して、ガラスペーストを作製し
た。次に、前面基板として42インチのガラス基板を用
意し、このガラス基板上に表示電極としてAg電極を形
成した。さらに、Ag電極が形成されたガラス基板上に
ダイコート法を用いてガラスペーストを塗布し、この塗
膜を100℃で乾燥させた後585℃で焼成して、誘電
体ガラス層を作製した。このように形成された前面板の
誘電体ガラス層に対して、絶縁破壊テスト(耐電圧テス
ト)を行った。誘電体ガラス層の耐電圧テストは、金属
板(ここではアルミニウム板を用いた。)の上に前面板
を置き、前面板と金属板との間に希ガス(ここではネオ
ンガスを用いた。)を通して、表示電極をプラス、金属
板をマイナスとしてAC電圧を印加した。このときの誘
電体ガラス層1μm厚当たりの絶縁耐電圧(V)を測定
した。なお、本試験における合格基準は、100V/μ
mであった。
た。まず、絶縁耐電圧測定の場合と同じようにガラスペ
ーストを形成した。次に、そのガラスペーストを用い
て、電極が設けられていないガラス基板上に、絶縁耐電
圧測定の場合と同様の方法で厚さ30μmのガラス膜を
作製した。この厚さ30μmのガラス膜に対し、分光測
色計(ミノルタ社製)を用いて、波長550nm時の全
光線透過率を測定した。なお、本試験における合格基準
は、VGA(video graphics array)用で85%以上、
XGA(extended graphics array)用で90%とし
た。
3に示す。
ス組成物の場合、絶縁耐電圧が100V/μm以上、か
つ全光線透過率が85%以上であり、さらに実施例7の
ガラス組成物は全光線透過率が90%以上である。これ
に対し、比較例1〜3のガラス組成物は、絶縁耐電圧1
00V/μmと全光線透過率85%以上の両方を満たし
ていない。さらに、実施例1〜13は、30〜300℃
における熱膨張係数が68×10-7/℃〜86×10-7
/℃、および軟化点600℃以下についても、同時に満
たしている。
ガラス組成物の粒度分布は図5に示すとおりである。各
ガラス粉末における粒径は、分級機(日清エンジニアリ
ング社製)を用いて、所定の粒度分布となるように調整
した。ただし、実施例14〜19のガラス組成物の組成
は全て同じで、表1に示す実施例7のものに統一されて
いる。実施例14〜19のガラス組成物について、実施
例1〜13および比較例1〜3の場合と同じ方法で諸特
性の測定を行った結果が表4に示されている。
ら、最大粒径が16μm以下で、かつ粒径0.9〜1.
3μmおよび5〜6μmにピークを有する粒度分布を有
する実施例14〜16のガラス粉末を用いると、より特
性の良好な誘電体ガラス層が得られることが確認でき
た。
ス組成物および電極被覆用ガラス形成用塗料によれば、
透明性が高く、かつ絶縁耐電圧が高いガラス膜を形成す
ることができる。さらに、本発明のプラズマディスプレ
イパネルおよびその製造方法によれば、高輝度で信頼性
の高いプラズマディスプレイパネルを提供することがで
きる。
示す斜視図である。
料引き下げ法を用いて粘度測定を行っている様子を示す
説明図である。
入法を用いて粘度測定を行っている様子を示す説明図で
ある。
ームベンディング法を用いて粘度測定を行っている様子
を示す説明図である。
粒度分布図である。
Claims (15)
- 【請求項1】 軟化点+50℃におけるlogηの値と、
軟化点−50℃におけるlogηの値との差の絶対値|Δl
ogη|が、4.2以上であることを特徴とする電極被覆
用ガラス組成物。ただし、ηはガラスの粘度(単位は
[dPa・s])である。 - 【請求項2】 粘度の温度依存性を示す関係式logη=
A+B/(T−C)において、係数A,B,Cが、 A:−9.5〜−4 B:3000〜3900 C:240〜320 であることを特徴とする電極被覆用ガラス組成物。ただ
し、上記関係式において、ηはガラスの粘度(単位は
[dPa・s])、Tは温度(℃)である。 - 【請求項3】 前記係数Aが−8〜−6である請求項2
に記載の電極被覆用ガラス組成物。 - 【請求項4】 前記係数Bが3300〜3700である
請求項2に記載の電極被覆用ガラス組成物。 - 【請求項5】 前記係数Cが260〜300である請求
項2に記載の電極被覆用ガラス組成物。 - 【請求項6】 酸化バリウム(BaO)および酸化アル
ミニウム(Al2O3)のうちの少なくとも一方を含み、
かつ、 酸化鉛(PbO) :40〜66重量% 二酸化珪素(SiO2) :2〜25重量% 三酸化ホウ素(B2O3) :5〜40重量% 酸化バリウム(BaO) :0〜20重量% 酸化アルミニウム(Al2O3) :0〜8重量% 酸化銅(CuO) :0〜2重量% 酸化セリウム(CeO2) :0〜2重量% を含むことを特徴とする電極被覆用ガラス組成物。 - 【請求項7】 BaOとAl2O3との合計含有量が、5
重量%以上である請求項6に記載の電極被覆用ガラス組
成物。 - 【請求項8】 軟化点が600℃以下である請求項1、
2、および6の何れか一項に記載の電極被覆用ガラス組
成物。 - 【請求項9】 30〜300℃における熱膨張係数が6
8×10-7/℃〜86×10-7/℃である請求項1、
2、および6の何れか一項に記載の電極被覆用ガラス組
成物。 - 【請求項10】 請求項1、2、および6の何れか一項
に記載の電極被覆用ガラス組成物からなるガラス粉末
と、溶剤と、バインダー樹脂とを含むことを特徴とする
電極被覆用ガラス形成用塗料。 - 【請求項11】 前記ガラス粉末は、最大粒径が16μ
m以下であって、かつその粒度分布が粒径0.9〜1.
3μmおよび5〜6μmにピークを有する請求項10に
記載の電極被覆用ガラス形成用塗料。 - 【請求項12】 前面板と、前記前面板に対向して配置
された背面板とを含むプラズマディスプレイパネルであ
って、 前記前面板は、前面基板と、前記前面基板上に設けられ
た表示電極と、前記前面基板の前記表示電極が設けられ
た面に形成された誘電体ガラス層とを含み、 前記誘電体ガラス層は、請求項1、2、および6の何れ
か一項に記載の電極被覆用ガラス組成物を含むことを特
徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項13】 (a)前面基板上に表示電極を形成す
る工程と、 (b)前記前面基板の前記表示電極が形成された面に、
請求項10に記載の電極被覆用ガラス形成用塗料を塗布
する工程と、 (c)前記電極被覆用ガラス形成用塗料の塗膜を乾燥さ
せる工程と、 (d)前記塗膜を焼成して誘電体ガラス層を形成する工
程と、を含むことを特徴とするプラズマディスプレイパ
ネルの製造方法。 - 【請求項14】 前記塗膜を乾燥させる温度が70〜1
10℃であることを特徴とする請求項13に記載のプラ
ズマディスプレイパネルの製造方法。 - 【請求項15】 前記塗膜を焼成する温度が500〜6
00℃であることを特徴とする請求項13に記載のプラ
ズマディスプレイパネルの製造方法。
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JP2006269261A (ja) * | 2005-03-24 | 2006-10-05 | Lintec Corp | 誘電体層又は絶縁体層形成用組成物、グリーンシート及びフラットパネルディスプレイ基板 |
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KR100895226B1 (ko) | 2005-01-14 | 2009-05-04 | 아사히 가라스 가부시키가이샤 | 전극 피복용 유리, 플라즈마 디스플레이 패널 전면 기판 및플라즈마 디스플레이 패널 배면 기판 |
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