JP2003265582A - 血液バッグシステムおよび病原微生物の不活化方法 - Google Patents

血液バッグシステムおよび病原微生物の不活化方法

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JP2003265582A JP2002377041A JP2002377041A JP2003265582A JP 2003265582 A JP2003265582 A JP 2003265582A JP 2002377041 A JP2002377041 A JP 2002377041A JP 2002377041 A JP2002377041 A JP 2002377041A JP 2003265582 A JP2003265582 A JP 2003265582A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】病原微生物の不活化効果が大きく、該不活化効
果に持続性があり、かつ光、温度などの環境条件に対し
て安定な血液製剤用血液バッグシステムの提供。 【解決手段】液体を収納可能な1以上の容器と、該容器
に液密に接続される連結チューブと、を含む血液バッグ
システムであって、該容器の少なくとも1つには、血液
に含まれる病原微生物を不活性化する不活化剤および/
または抗凝固剤が収容されており、該不活化剤は、該微
生物の核酸に結合できる白金化合物または該白金化合物
のアコ錯体を主成分とするものであることを特徴とする
血液バッグシステム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液中の病原微生
物を不活化する方法、および微生物学的、毒性学的に安
全な血液製剤を供給する血液バッグシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】現代の医療に欠かせない輸血であるが、
1985年に米国赤十字社がHIV(ヒト免疫不全ウイ
ルス)汚染血液除去のためのスクリーニングを開始する
までに、9000人が輸血によりHIVに感染した。そ
れ以降、血液製剤はウイルス感染のスクリーニングが行
われ、感染血液製剤が排除されたことで輸血による感染
者数は僅か41人となった。しかし、それでもなお、現
在のスクリーニング技術では、検査項目以外のウイルス
や細菌といった輸血による感染症の原因となる病原微生
物を検出することは不可能で、新種のウイルス等に感染
する危険性を排除することはできない。そのため血液製
剤に対して、病原微生物の不活化処理を行うことが必要
となる。
【0003】これまでに開発されたウイルス、細菌等の
病原微生物に対する不活化技術として、血漿製剤におけ
るSolvent/Detergent(SD) 処理が知られるが、ノンエン
ベロープウイルスに効果がないなど、必ずしも安全な血
液製剤が供給されていると言えない状況にある。このた
め、近年、安全な血液を供給するために病原微生物の不
活化剤の開発が活発である。
【0004】例えば、エチレンイミンオリゴマーを含む
ウイルス不活化剤が提案されている(特許文献1および
2参照)が、エチレンイミンオリゴマーはウイルスの不
活化に優れるが、不安定な構造のため室温で気化して爆
発を起こす。このため、エチレンイミンオリゴマーを用
いて血液製剤中の病原微生物を不活化する場合には、作
業者が感染する危険性が非常に高い。
【0005】また、エチレンイミンオリゴマーの製造・
保存には、低温維持が必要になるため、エチレンイミン
オリゴマーを含む病原微生物の不活化剤は、製造設備や
輸送、保管にも多大な費用がかかるばかりでなく、医療
現場で使用する際にもエチレンイミンオリゴマーを含む
病原微生物の不活化剤の安全管理により一層の注意が求
められるのである。
【0006】
【特許文献1】国際公開第97/7674号パンフレッ
【特許文献2】国際公開第99/17802号パンフレ
ット
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、従来の病原微生物の不活化剤がもたらす諸問題
が解消された血液中の病原微生物を不活化する方法、お
よび微生物学的、毒性学的に安全な血液製剤を供給する
血液製剤用血液バッグシステムを提供することにある。
特に、病原微生物の不活化効果が大きく、該不活化効果
に持続性があり、かつ光、温度などの環境条件に対して
安定な血液製剤用血液バッグシステムを提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下の本
発明により達成される。本発明は、液体を収納可能な1
以上の容器と、該容器に液密に接続される連結チューブ
と、を含む血液バッグシステムであって、該容器の少な
くとも1つには、血液に含まれる病原微生物を不活性化
する不活化剤および/または抗凝固剤が収容されてお
り、該不活化剤は、該微生物の核酸に結合できる白金化
合物または該白金化合物のアコ錯体を主成分とするもの
であることを特徴とする血液バッグシステムを提供す
る。
【0009】本発明の血液バッグシステムにおいて、前
記容器は2つ以上であり、前記不活化剤と、前記抗凝固
剤とは、各々異なる容器に収容されており、前記不活化
剤が収容されている容器と、前記抗凝固剤が収容されて
いる容器とは、前記連結チューブで連結されていてもよ
い。また、本発明の血液バッグシステムにおいて、前記
不活化剤と、前記抗凝固剤とは、同一の容器に収容され
ていてもよい。
【0010】したがって、本発明の血液バッグシステム
は、抗凝固剤が収容された血液バッグと、血液に含まれ
る微生物を不活化する不活化剤が収容された容器とが連
結された血液バッグシステムであって、該不活化剤が、
該微生物の核酸に結合できる白金化合物または該白金化
合物のアコ錯体を主成分とするものであることを特徴と
する血液バッグシステムであり、また、抗凝固剤および
血液に含まれる病原微生物を不活化する不活化剤が収容
された血液バッグシステムであって、該不活化剤が、該
微生物の核酸に結合できる白金化合物または該白金化合
物のアコ錯体を主成分とするものであることを特徴とす
る血液バッグシステムである。
【0011】本発明の血液バッグシステムにおいて、前
記白金化合物が、シスプラチン、カルボプラチンおよび
ネダプラチンからなる群から選択される少なくとも一つ
であるのが好ましい。
【0012】本発明の血液バッグシステムにおいて、前
記白金化合物のアコ錯体が、モノアコ錯体(例えばcis-
monochloromonoaqua diammineplatinous(II)chlorid
e)、ジアコ錯体(例えばcis-diaquodiammineplatinous
(II)dinitrate)、モノアコモノヒドロキソ錯体(例え
ばcis-monohydroxymonoaqua diammineplatinous(II)chl
oride )およびジヒドロキソ錯体(例えばcis-dihydrox
ydiammineplatinum(II) )からなる群から選択される少
なくとも一つであるのが好ましい。
【0013】本発明の血液バッグシステムにおいて、前
記病原微生物が、DNA型ウイルス、RNA型エンベロ
ープウイルスおよび細菌からなる群から選択される少な
くとも一つであるのが好ましい。
【0014】本発明は、また、血液に含まれる微生物を
不活化する方法であって、予め採取した血液が収容され
た血液バッグに、該病原微生物の核酸に結合できる白金
化合物または該白金化合物のアコ錯体を主成分とする微
生物不活化剤を添加することを特徴とする病原微生物を
不活化する方法を提供する。
【0015】本発明の病原微生物を不活性化する方法に
おいて、前記微生物不活化剤を0.07mM(μmol/mL)
以上の濃度となるように添加し、前記血液バッグに収容
された血液中の1log 10以上の前記病原微生物を不活化
させるのが好ましい。
【0016】本発明の病原微生物を不活性化する方法に
おいて、前記微生物不活化剤を添加した後に、アミノ酸
化合物またはチオ硫酸塩を主成分とする中和剤を添加し
て該不活化剤を中和処理するのが好ましい。
【0017】本発明の病原微生物を不活性化する方法に
おいて、前記中和剤が、メチオニンまたはチオ硫酸ナト
リウムであるのが好ましい。
【0018】本発明の病原微生物を不活性化する方法に
おいて、前記中和剤を前記微生物不活化剤の10〜50
0倍の濃度となるように添加するのが好ましい。
【0019】本発明は、さらにまた、白金化合物または
該白金化合物のアコ錯体を有効成分とする予め採血され
た血液中の病原微生物を不活化する不活化剤を提供す
る。
【0020】本発明の不活化剤において、前記白金化合
物が、シスプラチン、カルボプラチンおよびネダプラチ
ンからなる群から選択される少なくとも1つであること
が好ましい。
【0021】本発明は、さらにまた、白金化合物または
該白金化合物のアコ錯体を予め採血された血液中の病原
微生物の不活化剤として使用する方法を提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明の血液バッグシステムは、少なくとも1つ以
上の液体収納可能な容器と、該液体収納可能な容器に液
密に連結されており、該容器内に収納された液体の出し
入れに使用される連結チューブと、を含んで構成されて
いる。該システムを構成する容器のうち少なくとも1つ
には、採取した血液を収納するために抗凝固剤が収容さ
れている。以下、この抗凝固剤が収容されている容器を
「血液バッグ」という。該血液バッグシステムは、血液
バッグ以外に、薬剤や、分離後の赤血球、白血球、血小
板または血漿といった血液成分を収容するのに使用され
る1またはそれ以上の他の容器を有していてもよい。
【0023】該血液バッグシステムにおいて、容器が複
数ある場合、容器間は互いに連結チューブによって連結
されており、該連結チューブを介して該容器内に収納さ
れている液体、例えば血液、をやり取りすることができ
る。また、血液バッグシステムは、一方の端部のみが容
器と連結している連結チューブを含んでいてもよい。こ
のような一方の端部のみが容器と連結しているチューブ
は、主として血液バッグシステムの外部との血液のやり
取りに使用されるものであり、具体的には、例えば容器
に連結される側の端部とは反対側の端部に採血針が装着
された採血チューブが挙げられる。
【0024】図1は、本発明の血液バッグシステムの1
構成例を示す概念図である。図1に示す血液バッグシス
テムでは、血液バッグ1と、血液中に含まれる病原微生
物を不活化する不活化剤が収容された容器2と、他の容
器として複数(図では2つ)の血液成分バッグ3、4と
が連結チューブ5により連結されている。血液バッグ1
には、採血チューブ6が連結され、その先端には採血針
7が装着されている。連結チューブ5はアルミリングで
圧着したり、ヒートシーラーで熱融着されて、封止でき
るようになっている。また、分離後の血液成分を収容す
るための血液成分バッグ3、4はバッグ毎に容易に切り
離しできるようになっている。
【0025】図2は、本発明の血液バッグシステムの別
の1構成例を示す概念図である。図2に示す血液バッグ
システムでは、血液バッグ1と、血液中に含まれる病原
微生物を不活化する不活化剤が収容された容器2とが、
連結チューブ5により連結されている。連結チューブ5
には、必要な場合以外に、血液バッグ1および容器2間
で内容物が移行されることを防止するため、連結チュー
ブ5の開閉手段である弁51が設けられている。なお、
図示していないが、図1に示す血液バッグシステムで
も、血液バッグ1、容器2および血液成分バッグ3、4
を連結する連結チューブ5には、開閉手段であるクレン
メが設けられていることが好ましい。
【0026】血液バッグ1には、採血チューブ6が連結
され、その先端には採血針7が装着されている。また、
血液バッグ1には、エア抜き用のチューブ10が設けら
れている。血液バッグ1に採血チューブ6から採血した
血液を導入する際、または容器2から不活化剤を導入す
る際には、チューブ10から血液バッグ1内部のエアを
排出することで、血液バッグ1への血液または不活化剤
の導入を容易に行うことができる。
【0027】図1および図2に示す血液バッグシステム
の各構成要素は、安全性に配慮して、可塑剤入り塩化ビ
ニル樹脂などの熱可塑性樹脂の成形品であるのが好まし
い。
【0028】図示した血液バッグシステムにおいて、血
液バッグ1には、抗凝固剤が収容されており、採取され
た血液の凝固を防止することができる。血液バッグ1に
収容される抗凝固剤は、公知の抗凝固剤から広く選択す
ることができ、具体的には例えばクエン酸、ヘパリン、
低分子ヘパリン、メシル酸ナファモスタット、メシル酸
ガベキサート、EDTA等が使用できる。これらの抗凝
固剤は、通常は生理食塩水やブドウ糖水溶液で希釈さ
れ、収納される血液との液比が通常の割合、具体的には
例えば、血液との液比(抗凝固剤液:血液)が(1:2
〜1:20)程度になる量、で収容される。これらの抗
凝固剤は、血液保存液の一部をなすものであってもよ
く、このような血液保存液としては、アデニン、マンニ
トール、ソルビトール、グアノシン等を1種類以上含む
生理溶液、例えばACD液、CPD液等が挙げられる。
【0029】容器2には、血液に含まれる病原微生物を
不活化する不活化剤が収容されている。該不活化剤は、
必要な場合には、好ましくは開閉手段である弁51を開
放することにより、連結チューブ5を通って血液バッグ
1に導入される。これにより、血液バッグ1中の血液に
含まれる病原微生物が不活化される。
【0030】なお、図示した血液バッグシステムでは、
血液バッグ1に抗凝固剤が収容され、容器2に不活化剤
が収容された構成、すなわち抗凝固剤と不活化剤とが異
なる容器に収容された構成であるが、抗凝固剤と不活化
剤とが同じ容器に収容されていてもよい。すなわち、図
示した構成において、不活化剤を予め血液バッグ1に収
容しておいてもよい。この場合、採血した血液が血液バ
ッグ1に導入された時点から血液に含まれる病原微生物
の不活化が行われる。ただし、アデニンおよびグアノシ
ンを含む血液保存液を用いる場合は、アデニンおよびグ
アノシンが白金化合物と反応するので、病原微生物を不
活化する前に、白金化合物とアデニンおよびグアノシン
を混合することを回避しなければならない。
【0031】本発明において、血液に含まれており、不
活化が必要な病原微生物は、DNA型ウイルス、RNA
エンベロープウイルス、細菌などである。ウイルスは遺
伝学的にはDNA型とRNA型に分類され、構造的には
ウイルス膜(エンベロープ)の有無で分類されている。
現在、輸血感染で問題となるHIV、HCV(ヒトC型
肝炎ウイルス)はRNA型のエンベロープウイルスであ
り、HBV(ヒトB型肝炎ウイルス)はDNA型のエン
ベロープウイルスである。
【0032】また、輸血感染で問題となる細菌は、Yers
inia enterocolitica (エルシニア菌)、Serratia mar
cescens (セラチア菌)などである。これらに感染して
いる患者の血中菌数は1×101 〜1×102 CFU/mLで
あるが、不活化剤が含有されていない血液バッグを使用
して採血すると、約3週間で1×106 〜1×108CFU
/mLに増加し、このような濃度の血液を輸血するとエン
ドトキシンショックで死亡することもある。
【0033】本発明では、輸血用血液中のこれらの病原
微生物を不活化する薬剤(以下、不活化剤と称する)と
して、抗がん剤として知られる白金化合物、より具体的
には、病原微生物の核酸と結合できる白金化合物および
/または該白金化合物のアコ錯体(両者を単に白金化合
物と称することもある)を用いることを特徴とする。不
活化剤として、これらの白金化合物を使用した場合、病
原微生物の核酸に該白金化合物が結合することにより、
病原微生物が不活化されるものと推定される。
【0034】本発明に使用される白金化合物は病原微生
物の核酸に結合性を有するものであり、具体的には、例
えばシスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチンなど
が例示される。これらは2種以上併用することもでき
る。また、本発明には、該白金化合物のアコ錯体、すな
わち、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチンな
どのアコ錯体を使用することができる。アコ錯体として
は、モノアコ錯体として、例えばcis-monochloromonoaq
ua(II)chloride、ジアコ錯体として、例えばcis-diaquo
diammineplatinous(II)dinitrate、モノアコモノヒドロ
キソ錯体として、例えばcis-monohydroxymonoaqua diam
mineplatinous(II)chloride 、ジヒドロキソ錯体とし
て、例えばcis-dihydroxydiammineplatinum(II) が好適
である。これらは2種以上併用することができる。ま
た、前記白金化合物と併用することもできる。
【0035】白金化合物は、好ましくは開閉手段である
弁51を開放することにより、連結チューブ5を介して
容器2から血液バッグ1に導入できるように生理食塩水
やブドウ糖水溶液に溶解させて浸透圧比1前後の液体の
状態で容器2に収容されることが好ましい。また、白金
化合物は、光により分解したり、イオン濃度により安定
性が変わるので、不活化剤を収容する容器2に遮光容器
を用いたり、塩化ナトリウムなどによりイオン濃度を調
整した状態で容器2に収容するのが好ましい。
【0036】本発明の病原微生物を不活性化する方法
は、予め血液が収容された血液バッグに、上記した白金
化合物または該白金化合物のアコ錯体を主成分とする不
活化剤を添加することにより、血液中に含まれる病原微
生物を不活化するものであり、上記した本発明の血液バ
ッグシステムにより好ましく実施される。以下、図2の
血液バッグシステムを用いて本発明の病原微生物を不活
化する方法を説明する。
【0037】具体的には、図2の血液バッグシステムに
おいて、採血針7および採血チューブ6を介して採血し
た血液を収容した血液バッグ1に、連結チューブ5に取
り付けられた弁51を開放することで、容器2から血液
バッグ1に不活化剤が導入され、本発明の病原微生物を
不活化する方法が実施される。
【0038】本発明の方法において、白金化合物の使用
量は、時間、温度、病原微生物を含む血液成分組成と濃
度などにより変化する。不活化処理時において、血液バ
ッグ1中の白金化合物の最終濃度が0.02mM(μmol/
mL)程度、具体的には0.0209mMであっても、血液
バッグ内に収容された血液中の病原微生物を不活化させ
ることができる。ただし、血液バッグ1中における白金
化合物の最終濃度は、0.07〜100mMであることが
好ましく、より好ましくは1〜10mMである。白金化合
物の最終濃度が該濃度であれば、血液中の病原微生物を
不活化させる効果が大きく、具体的には血液中の病原微
生物を1log10 以上不活化させることができる。白金化
合物の最終濃度が100mM超であると、溶媒によっては
容易に溶解することができず溶液を調整するのが困難で
ある。なお、ここでいう白金化合物の最終濃度とは、不
活化処理の際、使用される白金化合物を実質的にほぼ全
て血液バッグ1に導入した時点における白金化合物の濃
度(mM)である。
【0039】本発明の方法における白金化合物の使用量
を具体的に示すと、白金化合物がシスプラチンであっ
て、濃厚赤血球製剤(RC−MAP)中の病原微生物を
不活化処理する場合、最終濃度が21μg/mL〜30mg/m
L 、好ましくは0.3mg/mL 〜3mg/mL になる量で使用
する。
【0040】なお、シスプラチンのがん細胞に対する有
効濃度は0.25μg/mL( Ehrlichがん初代培養細胞に
対する増殖阻害活性(IC50))であるから、上記したシス
プラチン最終濃度21μg/mLは84倍もの高濃度であ
る。すなわち、血液製剤の場合には、ヒトへの抗がん剤
としての使用濃度より遥かに高濃度で使用することにな
る。
【0041】本発明の方法において、白金化合物を血液
に添加し、白金化合物と病原微生物の核酸とを反応させ
る温度は、0℃以上であればよいが、血液製剤への影響
を考慮して、4〜30℃であるのが好ましい。また、本
発明の方法において、白金化合物を血液に添加すると、
白金化合物と病原微生物の核酸とは直ちに反応を開始す
るが、病原微生物の不活化をより完璧にするために3時
間以上反応させるのが好ましい。
【0042】本発明の方法で使用される白金化合物は毒
性学的には毒物に属すものであり、かつ上記したように
非常に高濃度で使用するため、不活化処理後白金化合物
による毒性を和らげるために、中和処理することが好ま
しい。このような中和処理では、白金化合物を含む抗が
ん剤の毒性を毒性学的に安全にするために通常使用され
る中和剤を、不活化後の白金化合物を含有する血液製剤
に添加するのが好ましい。また、光照射して、中和処理
することもできる。なお、中和処理は白金化合物の微生
物の核酸に対する反応性を低下させることでもあり、不
活化反応を終了させる役割も果たすことができる。
【0043】上記所望の時間不活化反応した後、白金化
合物を含有する血液製剤に中和剤を添加するには、例え
ば、開閉手段である弁を有する連結チューブを介して血
液バッグ1に中和剤を含有する容器を連結しておき、必
要に応じて弁を開放して血液バッグ1に中和剤を導入す
ればよい。また、シリンジ等を用いてエア抜き用のチュ
ーブ10から血液バッグ1に中和剤を導入してもよい。
【0044】中和剤は微生物不活化剤である白金化合物
濃度の42倍以上の濃度で、白金化合物と反応させれば
完全に中和処理できるが、通常は10〜500倍、好ま
しくは25〜100倍の濃度になるように添加される。
中和処理は、0℃以上の温度であれば効果が現れるが、
血液製剤の機能への影響を考慮して4〜30℃で反応さ
せるのが好ましい。また、白金化合物を添加すると直ち
に反応を開始するが、中和処理を確実にするために30
分〜1時間程度反応させるのがよい。
【0045】中和剤は、例えば、シスプラチンに対して
はチオ硫酸ナトリウムなどのチオ硫酸塩、メチオニン、
システインなどのアミノ酸、グルタチオン、補酵素Aな
どのチオール化合物であるが、チオ硫酸ナトリウムやメ
チオニンが好適である。これらの中和剤は、血液バッグ
1に導入する際に都合がよいように、生理食塩水または
ブドウ糖水溶液に溶解させて浸透圧比1前後の液体の状
態で添加されることが好ましい。なお、メチオニンのよ
うな光分解性中和剤は、遮光容器で保存するのが好まし
い。
【0046】以上、図1および図2の血液バッグシステ
ムを用いて本発明の病原微生物を不活化する方法を説明
したが、本発明の方法はこれに限定されない。例えば、
本発明の血液バッグシステムが、血液バッグ中に抗凝固
剤および不活化剤を予め収容しているのであれば、採血
した血液を血液バッグに導入した時点から血液中の病原
微生物の不活化反応が開始される。また、予め血液が収
容された血液バッグに注射器等を用いて不活化剤を導入
することで本発明の方法を実施してもよい。したがっ
て、上記した白金化合物および該白金化合物のアコ錯体
を有効成分とする予め採血された血液中の病原微生物の
不活化剤および上記白金化合物および該白金化合物のア
コ錯体を予め採血された血液中の病原微生物の不活化剤
として使用する方法も本発明に含まれる。
【0047】
【実施例】(実施例1) [DNA型のノンエンベロープウイルスであるシミアン
ウイルス40(SV−40)のウイルス不活化]図1に
示す血液バッグシステムの400mLのCPDA血液バッ
グに、ヒト健常人より採血を行い、RC−MAP(濃厚
赤血球製剤)を調整した。その後、RC−MAP2mLを
無菌的に15mLの遠心管に採取し、108 TCID50/m
L (50%感染終末点)のSV−40を2mL添加し、軽
く攪拌した。これに、不活化剤として、塩化ナトリウム
および塩酸を含む水溶液中にシスプラチンを濃度1.6
7mMで含有するシスプラチン溶液(プリプラチン(登録
商標名))を2mL加え、軽く攪拌した後、室温(暗所)
で7時間反応させ、不活化を行なった。不活化終了後、
不活化生成液を3000rpm で1分間遠心分離し、遠心
上清をウイルス不活化評価に用いた。また、シスプラチ
ン溶液の代わりに、不活化剤として、りん酸緩衝液にカ
ルボプラチン(パラプラチン(登録商標名))を溶解さ
せた濃度3.5mMのカルボプラチン溶液、りん酸緩衝液
にネダプラチン(アクプラ(登録商標名))を溶解させ
た濃度3.5mMのネダプラチン溶液を用いて同様に不活
化を行い、不活化生成液の遠心上清をウイルス不活化評
価に用いた。
【0048】ウイルス不活化評価は、96ウエルのマイ
クロプレートを用いたTCID50で行った。25cm2
細胞培養用フラスコ中で、SV−40の増殖細胞である
CV−1細胞(サル腎臓由来細胞)を10%胎児牛血清
加MEM培地で3日間培養し、増殖させた後、0.5mL
の0.05%トリプシン−EDTAで浮遊させ、25mL
の10%胎児牛血清加MEM培血で細胞浮遊液を調製し
た。
【0049】該細胞浮遊液を96ウエルのマイクロプレ
ートの各ウエルに90μL づつ添加した後、96ウエル
のマイクロプレート上の第一列目に反応液(前記遠心上
清)を10μL 添加し、ピペッティングを行い、攪拌し
た。さらに、第一列目の各ウエルの溶液を第二列目の各
ウエルに10μL 添加して10倍の段階希釈操作を第十
二列目のウエルまで行った。これを37℃の5%炭酸ガ
スインキュベーター内で10日間の培養を行い、SV−
40による細胞変性(CPE)の有無を光学顕微鏡で確
認し、対数値(log 10)としてTCID50を算出した。
同時に白金化合物の代わりにりん酸緩衝液を添加したも
のを陽性コントロールとし、対数値(log 10)としてT
CID50を求めた。そして、陽性コントロールのTCI
50、不活化生成液のTCID50を差し引いた値をSV
−40の死滅効果とした。
【0050】結果を図3に示す。図3において、不活化
効果とは、上記した陽性コントロールのTCID50(対
数値(log10 ))から、不活化生成液のTCID50(対
数値(log10 ))を差し引いた値である。ここで、陽性
コントロールのTCID50は6.5log10 であり、不活
化剤としてシスプラチン溶液、カルボプラチン溶液、ネ
タプラチン溶液と反応させた不活化生成液のTCID50
は、それぞれ1.25log10 、5.50log10 、2.2
5log10 であった。ここから前者から後者を差し引いた
結果として、濃度1.67mMのシスプラチン溶液では
5.25log 10、濃度3.5mMのカルボプラチン溶液で
は1.00log 10、濃度3.5mMのネダプラチン溶液で
は4.25log 10の不活化効果があったことが確認され
た。
【0051】(実施例2) [本発明の血液バッグシステムを用いたDNA型のノン
エンベロープウイルスであるシミアンウイルス40(S
V−40)のウイルス不活化]ヒト健常人より採血を行
い、RC−MAP(濃厚赤血球製剤)を調製して図2に
示す血液バッグシステムの血液バッグ1(400mLのC
PDA血液バッグ)に導入した。その後、エア抜き用の
チューブ10から、注射器を用いてRC−MAP2mL当
たりの量で108 TCID50/mL (50%感染終末点)
のSV−40を2mL添加して血液バッグ1を軽く攪拌し
た。
【0052】次に、弁51を開放することにより、容器
2から不活化剤としてシスプラチンを塩化ナトリウムお
よび食塩水を含む水溶液中に濃度1.67mM(μmol/m
L)で含有するシスプラチン溶液(プリプラチン(登録
商標名)、ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社
製)をRC−MAP2mL当たりの量で2mL血液バッグ1
に導入した。その後、軽く攪拌した後、室温(暗所)で
7時間反応させ、不活化を行なった。不活化終了後、血
液バッグ1から不活化生成液4mLを採取して3000rp
m で1分間遠心分離し、遠心上清をウイルス不活化評価
に用いた。
【0053】また、シスプラチン溶液の代わりに、不活
化剤として、りん酸緩衝液にカルボプラチン(パラプラ
チン(登録商標名)、ブリストル製薬株式会社製)を溶
解させた濃度3.5mMのカルボプラチン溶液、リン酸緩
衝液にネダプラチン(アクプラ(登録商標名)、塩野義
製薬株式会社製)を溶解させた濃度3.5mMのネダプラ
チン溶液を用いて同様に不活化を行い、血液バッグ1か
ら採取した不活化生成液の遠心上清をウイルス不活化評
価に用いた。
【0054】ウイルス不活化評価は、96ウエルのマイ
クロプレートを用いたTCID50で行った。25cm2
細胞培養用フラスコ中で、SV−40の増殖細胞である
CV−1細胞(サル腎臓由来細胞)を10%胎児牛血清
加MEM培地で3日間培養し、増殖させた後、0.5mL
の0.05%トリプシン−EDTAで浮遊させ、25mL
の10%胎児牛血清加MEM培血で細胞浮遊液を調製し
た。
【0055】該細胞浮遊液を96ウエルのマイクロプレ
ートの各ウエルに90μL ずつ添加した後、96ウエル
のマイクロプレート上の第一列目に反応液(前記遠心上
清)を10μL 添加し、ピペッティングを行い、攪拌し
た。さらに、第一列目の各ウエルの溶液を第二列目の各
ウエルに10μL 添加して10倍の段階希釈操作を第十
二列目のウエルまで行った。これを37℃の5%炭酸ガ
スインキュベーター内で10日間の培養を行い、SV−
40による細胞変性(CPE)の有無を光学顕微鏡で確
認し、対数値(log10 )としてTCID50を算出した。
同時に白金化合物の代わりにりん酸緩衝液を添加したも
のを陽性コントロールとし、対数値(log10 )としてT
CID50を求めた。そして、陽性コントロールのTCI
50から、不活化生成液のTCID50を差し引いた値を
SV−40の死滅効果(不活化効果)とした。
【0056】結果を図4に示す。図4において、不活化
効果とは、上記した陽性コントロールのTCID50(対
数値(log10 ))から、不活化生成液のTCID50(対
数値(log10 ))を差し引いた値である。ここで、陽性
コントロールTCID50は6.0log10 であり、不活化
剤として、シスプラチン溶液、カルボプラチン溶液、ネ
タプラチン溶液と反応させた不活化生成液のTCID50
は、それぞれ1.0log10 、4.5log10 、2.5log
10であった。ここから前者から後者を差し引いた結果と
して、図4には濃度1.67mMのシスプラチン溶液では
5.0log 10、濃度3.5mMのカルボプラチン溶液では
1.5log 10、濃度3.5mMのネダプラチン溶液では
3.5log 10の不活化効果があったことが示されてい
る。
【0057】(実施例3) [DNA型エンベロープウイルスであるヒトサイトメガ
ロウイルス(HCMV)のウイルス不活化]図1に示す
血液バッグシステムの血液バッグ1(400mLのCPD
A血液バッグ)に、ヒト健常人より採血を行い、RC−
MAP(濃厚赤血球製剤)を調製した。その後、RC−
MAP2mLを無菌的に15mLの遠心管に採取し、107
TCID50/mL のHCMVを2mL添加し、軽く攪拌し
た。これに不活化剤として、塩化ナトリウムおよび塩酸
を含む水溶液中にシスプラチンを濃度1.67mMで含有
するシスプラチン溶液(プリプラチン(登録商標名))
を2mL加え、軽く攪拌した後、室温(暗所)で7時間反
応させ、不活化を行なった。不活化終了後、不活化生成
液を3000rpm で1分間遠心分離し、遠心上清をウイ
ルス不活化評価に用いた。
【0058】ウイルス不活化評価は、96ウエルのマイ
クロプレートを用いたTCID50で行った。25cm2
細胞培養用フラスコ中で、HCMVの増殖細胞であるH
EL細胞(初代ヒト胎児肺繊維芽細胞)を10%胎児牛
血清加MEM培地で3日間培養し、増殖させた後、0.
5mLの0.05%トリプシン−EDTAで浮遊させ、2
5mLの10%胎児牛血清加MEM培血で細胞浮遊液を調
製した。
【0059】この細胞浮遊液を96ウエルのマイクロプ
レートの各ウエルに90μL ずつ添加した後、96ウエ
ルのマイクロプレート上の第一列目に生成液(前記遠心
上清)を10μL 添加し、ピペッティングを行い、攪拌
した。さらに、第一列目の各ウエルの溶液を第二列目の
各ウエルに10μL 添加して10倍の段階希釈操作を第
十二列目のウエルまで行った。これを37℃の5%炭酸
ガスインキュベーター内で14日間の培養を行った後、
HCMVによる細胞変性(CPE)の有無を光学顕微鏡
で確認し、対数値(log 10)としてTCID50を算出し
た。同時に白金化合物の代わりにりん酸緩衝液を添加し
て陽性コントロールとし、対数値(log 10)としてTC
ID50を求めた。そして、陽性コントロールのTCID
50から、不活化生成液のTCID50を差し引いた値をシ
スプラチンの抗HCMV効果(不活化効果)とした。
【0060】ここで、陽性コントロールのTCID
50は、5.25log10 であり、シスプラチン溶液と反応
させた不活化生成液のTCID50は、1.25log10
あった。そして前者から後者を差し引くことにより、濃
度1.67mMのシスプラチン溶液は、RC−MAP中で
HCMVを4.00log 10死滅させたことが確認され
た。
【0061】(実施例4) [RNA型エンベロープウイルスであるマウス肝炎ウイ
ルス(MHV)のウイルス不活性化]図1に示す血液バ
ッグシステムの血液バッグ1(400mLのCPDA血液
バッグ)に、ヒト健常人より採血を行い、RC−MAP
(濃厚赤血球製剤)を調製した。その後、RC−MAP
2mLを無菌的に15mLの遠心管に採取し、107 TCI
50/mL のMHVを2mL添加し、軽く攪拌した。これに
不活化剤として、塩化ナトリウムおよび塩酸を含む水溶
液中にシスプラチンを濃度1.67mMで含有するシスプ
ラチン溶液(プリプラチン(登録商標名))を2mL加
え、軽く攪拌した後、室温(暗所)で7時間反応させ、
不活化を行なった。不活化終了後、不活化生成液を30
00rpm で1分間遠心分離し、遠心上清をウイルス不活
化評価に用いた。
【0062】ウイルス不活化評価は、96ウエルのマイ
クロプレートを用いたTCID50で行った。25cm2
細胞培養用フラスコ中で、MHVの増殖細胞であるDB
T細胞を5%胎児牛血清加MEM培地で3日間培養し、
増殖させた後、0.5mLの0.05%トリプシン−ED
TAで浮遊させ、25mLの10%胎児牛血清加MEM培
血で細胞浮遊液を調製した。
【0063】この細胞浮遊液を96ウエルのマイクロプ
レートの各ウエルに90μL ずつ添加した後、96ウエ
ルのマイクロプレート上の第一列目に生成液を10μL
添加し、ピペッティングを行い、攪拌した。さらに、第
一列目の各ウエルの溶液を第二列目の各ウエルに10μ
L 添加して10倍の段階希釈操作を第十二列目のウエル
まで行った。これを37℃の5%炭酸ガスインキュベー
ター内で14日間の培養を行った後、MHVによる細胞
変性(CPE)の有無を光学顕微鏡で確認し、対数値
(log10 )としてTCID50を算出した。同時に白金化
合物の代わりにりん酸緩衝液を添加して陽性コントロー
ルとし、対数値(log10 )としてTCID 50を求めた。
そして、陽性コントロールのTCID50から白金化合物
と反応させた生成液のTCID50を差し引いた値をシス
プラチンのMHV不活化効果とした。
【0064】ここで、陽性コントロールのTCID
50は、5.50log10 であり、シスプラチン溶液と反応
させた不活化生成液のTCID50は、1.25log10
あった。そして前者から後者を差し引くことにより、濃
度1.67mMのシスプラチン溶液は、RC−MAP中で
MHVを4.0log 10死滅させたことが確認された。
【0065】(実施例5) [細菌Yersinia enterocolitica (エルシニア菌)の細
菌不活化]図1に示す血液バッグシステムの血液バッグ
1(400mLのCPDA血液バッグ)に、ヒト健常人よ
り採血を行い、RC−MAP(濃厚赤血球製剤)を調製
した。その後、RC−MAP2mLを無菌的に15mLの遠
心管に採取し、108 CFU/mLのエルシニア菌を2mL添加
し、軽く攪拌した。これに不活化剤として、生理食塩水
にシスプラチン(和光純薬株式会社製)を溶解させて濃
度4.00mMに調整したシスプラチン溶液を2mL加え、
軽く攪拌した後、室温(暗所)で7時間反応させ、不活
化を行なった。不活化終了後、不活化生成液を3000
rpm で1分間遠心分離し、遠心上清をウイルス不活化評
価に用いた。同様に、不活化剤として、生理食塩水中に
シスプラチン(和光純薬株式会社製)を溶解させて、濃
度2.00mM、1.00mM、0.50mM、0.25mM、
0.125mM、0.0625mMとしたシスプラチン溶液
を用いて不活化を行い、遠心上清を細菌不活化評価に用
いた。
【0066】抗細菌活性の評価は、生成液1mLを9mLの
滅菌生理食塩液に添加した後、タッチミキサーで攪拌
し、得られた液を、さらに、9mLの生理食塩液に添加し
て希釈した10倍の段階希釈操作を行ったものを対象に
した。各段階の希釈液1mLまたは100μL を、15mL
のソイビーンカゼインダイジェスト寒天培地を含む直径
9cmのシャーレ中で混釈した。これを31℃で2日間培
養し、出現したコロニー数を生残菌数とした。なお、シ
スプラチンを添加していないものを陽性コントロールと
し、陽性コントロールの生残菌数(対数値(log 10))
からシスプラチンを添加した不活化生成液での生残菌数
(対数値(log 10))を差し引いて細菌不活化効果とし
た。
【0067】結果を図5に示す。ここで、陽性コントロ
ールの生残菌数は、5.00log 10であり、シスプラチ
ン溶液で不活化させた不活化生成液の生残菌数は以下の
通りであった。 シスプラチン濃度 生残菌数 1.33mM 0.06log 10 0.67mM 1.48log 10 0.33mM 2.27log 10 0.17mM 2.80log 10 0.083mM 3.79log 10 0.042mM 4.52log 10 0.0209mM 4.82log 10
【0068】そして前者から後者を差し引いた結果、各
不活化剤の細菌死滅効果は以下の通りであった。 不活化剤のシスプラチン濃度 細菌死滅効果 1.33mM 4.94log 10 0.67mM 3.52log 10 0.33mM 2.73log 10 0.17mM 2.20log 10 0.083mM 1.21log 10 0.042mM 0.48log 10 0.0209mM 0.18log 10
【0069】(実施例6) [シスプラチンの無毒化/チオ硫酸ナトリウムまたはメ
チオニンと反応させた後の抗エルシニア菌活性]図1に
示す血液バッグシステムの血液バッグ1(400mLのC
PDA血液バッグ)に、ヒト健常人より採血を行い、R
C−MAP(濃厚赤血球製剤)を調製した。その後、R
C−MAP2mLを無菌的に15mLの遠心管に採取し、こ
れに不活化剤として、生理食塩水にシスプラチン(和光
純薬株式会社製)を溶解させて濃度4.00mMに調整し
たシスプラチン溶液を2mL添加し、軽く攪拌した。これ
に、生理食塩水にL-メチオニンを溶解させた濃度168
mMのL-メチオニン溶液を2mL添加し、室温で30分間反
応させた。
【0070】同様に、中和剤として、生理食塩水中にL-
メチオニンを溶解させた濃度84mM、42mM、21mM、
10.5mM、5.25mM、2.63mM、1.31mMのL-
メチオニン溶液、または生理食塩水にチオ硫酸ナトリウ
ムを溶解させた濃度168mM、84mM、42mM、21m
M、10.5mM、5.25mM、2.63mM、1.31mM
のチオ硫酸ナトリウム溶液を用いて反応を行った。ま
た、コントロールとして、不活化剤および中和剤の代わ
りにりん酸緩衝液を添加したもの(シスプラチンなし)
を調製し、同様に反応を行った。その後、108 CFU/mL
のエルシニア菌を10μL 添加し、攪拌した後の菌数を
測定した。
【0071】菌数測定は、生成液1mLを9mLの滅菌生理
食塩液に添加した後、タッチミキサーで攪拌した液を、
さらに9mLの生理食塩液に添加して希釈を行う10倍の
段階希釈操作を3回行ったものを対象にした。各段階の
希釈液10mL、1mLまたは100μL を15mLのソイビ
ーンカゼインダイジェスト寒天培地を含む直径9cmのシ
ャーレ中で混釈した。これを31℃で2日間培養し、出
現したコロニー数を生残菌数とし、その対数値(log
10)を中和効果とした。
【0072】図6に中和剤としてメチオニンを用いた中
和処理の結果を示す。その結果、メチオニン濃度が56
mMの中和剤を用いた例では、シスプラチンなしと同じ結
果(生残菌数5.1log 10)が得られ、エルシニア菌は
全く死滅しなかったことが確認された。他の濃度の中和
剤を用いた例では、生残菌数が以下の通りであった。 中和剤のメチオニン濃度 生残菌数 28mM 3.36log 10 14mM 1.87log 10 7mM 1.43log 10 3.5mM 1.22log 10 1.75mM 0.89log 10 0.88mM 0.73log 10 0.44mM 0.34log 10
【0073】一方、中和剤としてチオ硫酸ナトリウムを
用いた中和処理の結果を図7に示す。チオ硫酸ナトリウ
ム濃度が56mMの中和剤を用いた例は、シスプラチンな
しと同じ結果(生残菌数5.1log 10)が得られ、エル
シニア菌は全く死滅しなかったことが確認された。他の
濃度の中和剤を用いた例では、生残菌数が以下の通りで
あった。 中和剤のチオ硫酸ナトリウム濃度 生残菌数 28mM 4.22log 10 14mM 2.35log 10 7mM 1.98log 10 3.5mM 1.51log 10 1.75mM 1.28log 10 0.88mM 0.86log 10 0.44mM 0.44log 10
【0074】(実施例7) [シスプラチンの中和処理/シスプラチンをチオ硫酸ナ
トリウムまたはメチオニンと反応させた後の抗SV−4
0活性]図1に示す血液バッグシステムの血液バッグ1
(400mLのCPDA血液バッグ)に、ヒト健常人より
採血を行い、RC−MAP(濃厚赤血球製剤)を調製し
た。その後、RC−MAP1mLを無菌的に15mLの遠心
管に採取し、これに不活化剤として、生理食塩水にシス
プラチン(和光純薬株式会社製)を溶解させて濃度3.
5mMに調整したシスプラチン溶液を1mL添加し、軽く攪
拌した。これに中和剤として、チオ硫酸ナトリウムを生
理食塩水に溶解した濃度175mMのチオ硫酸ナトリウム
溶液を1mL添加し、室温で30分間反応させた。その
後、108 TCID50/mL のSV−40を0.5mL添加
し、軽く攪拌した後、室温のインキュベーター内(暗
所)で30分間反応させた。反応終了後、生成液を30
00rpmで1分間遠心分離し、遠心上清をウイルス不活
化評価に用いた。
【0075】ウイルス不活化評価は、96ウエルのマイ
クロプレートを用いたTCID50で行った。25cm3
細胞培養用フラスコ中で、SV−40の増殖細胞である
CV−1細胞(サル腎臓由来細胞)を10%胎児牛血清
加MEM培血で3日間培養し、増殖させた後、0.5mL
の0.05%トリプシン−EDTAで浮遊させ、25mL
の10%胎児牛血清加MEM培血で細胞浮遊液を調製し
た。
【0076】この細胞浮遊液を96ウエルのマイクロプ
レートの各ウエルに90μL ずつ添加した後、96ウエ
ルのマイクロプレート上の第一列目に生成液を10μL
添加し、ピペッティングを行い、攪拌した。さらに、第
一列目の各ウエルの溶液を第二列目の各ウエルに10μ
L 添加して10倍の段階希釈操作を第十二列目のウエル
まで行った。これを37℃の5%炭酸ガスインキュベー
ター内で10日間の培養を行った後、SV−40による
細胞変性(CPE)の有無を光学顕微鏡で確認し、対数
値(log 10)としてTCID50を算出した。同時にシス
プラチンの代わりにりん酸緩衝液を添加した陽性コント
ロールとし、対数値(log 10)としてTCID50を求め
た。そして、陽性コントロールのTCID50から、不活
化生成液のTCID50を差し引いた値をSV−40の死
滅効果(不活化効果)とした。
【0077】その結果、陽性コントロールのTCID50
(6.00log10 )から、不活化剤として濃度3.5mM
のシスプラチン溶液を添加しその後に中和剤として濃度
175mMのチオ硫酸ナトリウム溶液を添加した例のTC
ID50(6.00log10 )を差し引いたところ、SV−
40の死滅効果、すなわち不活化効果は認められなかっ
た。これは、シスプラチンを濃度3.5mMで含有する不
活化剤がチオ硫酸ナトリウムを濃度175mMで含有する
中和剤の添加により中和処理されたことを意味する。
【0078】(実施例8) [シスプラチンの赤血球製剤への溶血毒性]図1に示す
血液バッグシステムの血液バッグ1(400mLのCPD
A血液バッグ)に、ヒト健常人より採血を行い、RC−
MAP(濃厚赤血球製剤)を調製した。その後、RC−
MAP1mLを無菌的に15mLの遠心管に採取し、これに
シスプラチンを塩化ナトリウムおよび食塩水を含む水溶
液中に濃度1.67mMで含有するシスプラチン溶液(プ
リプラチン(登録商標名))1mLと、生理食塩水1mLと
を軽く混和して添加し、室温(暗所)で7時間反応させ
た。その後、生成液を2000rpm で5分間遠心分離
し、遠心上清にDrabkin's 試薬を加えて反応させ、54
0nmの吸光度を測定して、溶血率をシアンメトヘモグロ
ビン法により測定した。その結果、シスプラチンの溶血
率は0.1%以下であり、赤血球製剤に対して溶血毒性
が低いことが確認された。
【0079】
【発明の効果】本発明では、抗がん剤として使用される
特性が広く知られている白金化合物を、血液中の病原微
生物の不活化剤として使用するため、安全であり、かつ
不活化剤の入手が容易である。また、不活化剤を新たに
開発する必要がないのでコスト的にも優れている。ま
た、本発明において、白金化合物を0.07mM以上とい
う本来の抗がん剤としての使用量よりも遥かに高濃度で
使用すれば、病原微生物を不活化する効果が大きく、か
つ不活化効果の持続性に優れる。本発明において、不活
化された血液を、抗がん剤の中和処理または洗浄処理を
行ってから輸血すれば、がん治療に使用する抗がん剤の
本来の用法とは全く異なり、微生物学的および毒性学的
に安全な血液製剤を供給することが可能である。本発明
において、病原微生物が不活化され、好ましくは中和処
理された血液または血液成分は、バッグ毎に切り離さ
れ、輸血に使用される。保存、輸送に際しては、従来の
バッグに適用される方法、手段をそのまま適用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の血液バッグシステムの1構成例の概
念図である。
【図2】 本発明の血液バッグシステムの別の1構成例
の概念図である。
【図3】 実施例1における白金化合物のSV−40死
滅効果を示すグラフであり、SV−40の死滅効果は、
不活化効果(対数値(log10 ))として示されている。
【図4】 実施例2における白金化合物のSV−40死
滅効果を示すグラフであり、SV−40の死滅効果は、
不活化効果(対数値(log10 ))として示されている。
【図5】 実施例5におけるシスプラチンのエルシニア
菌不活化効果を示すグラフである。
【図6】 実施例6におけるシスプラチンのメチオニン
を用いた中和効果を示すグラフである。
【図7】 実施例6におけるシスプラチンのチオ硫酸ナ
トリウムを用いた中和効果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 血液バッグ 2 容器 3,4 血液成分バッグ 5 連結チューブ 51:弁 6 採血チューブ 7 採血針 10 エア抜き用のチューブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C077 BB10 CC01 DD12 DD13 KK11 NN15 PP24 4C087 AA02 AA10 DA06 DA07 DA08 DA10 MA16 MA66 NA01 NA04 NA07 ZA51

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体を収納可能な1以上の容器と、該容器
    に液密に接続される連結チューブと、を含む血液バッグ
    システムであって、 該容器の少なくとも1つには、血液に含まれる病原微生
    物を不活性化する不活化剤および/または抗凝固剤が収
    容されており、 該不活化剤は、該微生物の核酸に結合できる白金化合物
    または該白金化合物のアコ錯体を主成分とするものであ
    ることを特徴とする血液バッグシステム。
  2. 【請求項2】前記容器は、2つ以上であり、 前記不活化剤と、前記抗凝固剤とは、各々異なる容器に
    収容されており、 前記不活化剤が収容されている容器と、前記抗凝固剤が
    収容されている容器とは、前記連結チューブで連結され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の血液バッグシ
    ステム。
  3. 【請求項3】前記白金化合物が、シスプラチン、カルボ
    プラチンおよびネダプラチンからなる群から選択される
    少なくとも一つである請求項1または2に記載の血液バ
    ッグシステム。
  4. 【請求項4】前記白金化合物のアコ錯体が、モノアコ錯
    体、ジアコ錯体、モノアコモノヒドロキソ錯体およびジ
    ヒドロキソ錯体からなる群から選択される少なくとも一
    つである請求項1または2に記載の血液バッグシステ
    ム。
  5. 【請求項5】前記病原微生物がDNA型ウイルス、RN
    A型エンベロープウイルスおよび細菌からなる群から選
    択される少なくとも一つである請求項1ないし4のいず
    れかに記載の血液バッグシステム。
  6. 【請求項6】血液に含まれる病原微生物を不活化する方
    法であって、予め採取した血液が収容された血液バッグ
    に、該病原微生物の核酸に結合できる白金化合物または
    該白金化合物のアコ錯体を主成分とする微生物不活化剤
    を添加することを特徴とする病原微生物を不活化する方
    法。
  7. 【請求項7】前記微生物不活化剤を0.07mM(μmol/
    mL)以上の濃度となるように添加し、前記血液バッグに
    収容された血液中の1log10 以上の前記病原微生物を不
    活化させる請求項6に記載の病原微生物を不活化する方
    法。
  8. 【請求項8】前記微生物不活化剤を添加した後に、アミ
    ノ酸化合物またはチオ硫酸塩を主成分とする中和剤を添
    加して該不活化剤を中和処理する請求項6または7に記
    載の病原微生物を不活化する方法。
  9. 【請求項9】前記中和剤が、メチオニンまたはチオ硫酸
    ナトリウムである請求項8に記載の病原微生物を不活化
    する方法。
  10. 【請求項10】前記中和剤を前記微生物不活化剤の10
    〜500倍の濃度となるように添加する請求項8または
    9に記載の病原微生物を不活化する方法。
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