JP2003265168A - 固定化デオキシリボザイム - Google Patents

固定化デオキシリボザイム

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JP2003265168A
JP2003265168A JP2002069930A JP2002069930A JP2003265168A JP 2003265168 A JP2003265168 A JP 2003265168A JP 2002069930 A JP2002069930 A JP 2002069930A JP 2002069930 A JP2002069930 A JP 2002069930A JP 2003265168 A JP2003265168 A JP 2003265168A
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Japan
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rna
deoxyribozyme
immobilized
cleavage
immobilized catalyst
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JP2002069930A
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English (en)
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Naoki Sugimoto
直己 杉本
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 固相担体上に固定化されたデオキシリボ
ザイムを含む固定化触媒;該固定化触媒に標的RNAを
接触させる工程と該固定化触媒の作用により生じたRN
A切断物を測定する工程を含むRNAの高次構造の分析
方法;生体分子相互作用測定用センサーチップであっ
て、センサーチップ上に固定化されたデオキシリボザイ
ムを含むセンサーチップ;該センサーチップに標的RN
Aを接触させ、デオキシリボザイムの作用による標的R
NAの切断に基づいて発生するシグナルの変化を測定す
る工程を含む標的RNAの高次構造を分析する方法。 【効果】 本発明によればRNAの高次構造の分析など
に有用なデオキシリボザイムを含む固定化触媒が提供さ
れる。本発明の固定化触媒は、デオキシリボザイムが固
定化されていることにより反応基質と反応産物との分離
が容易であり、基質反応物の測定を容易に行えるほか、
繰り返し使用できるので経済的にも有利である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、触媒活性のあるオ
リゴDNAであるデオキシリボザイムを含む固定化触媒
に関する。詳しくは一本鎖RNA分解活性を有するデオ
キシリボザイムを含み、RNAの二次構造の分析などに
有用な固定化触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】リボザイムは、1981年チェック
(T.Cech)により繊毛虫の細胞の中に酵素活性を
持つ特殊なRNA分子として初めて見出され、RNAを
塩基配列特異的に切断する機能を有する。遺伝子発現の
第一段階では、それぞれの遺伝子の情報をもったRNA
が合成されるので、いろいろな情報(塩基配列)を認識
し切断するリボザイムを自在に設計できれば、遺伝子発
現を自在に制御できることとなり、多くの遺伝子病やウ
イルス病などの克服、ウイルス耐性作物の創製などが可
能となることが期待される。実際、リボザイムの抗ウイ
ルス剤などの医薬への応用についてはこれまで数々の報
告がある(Santro, S. W., and Joyce, G. F., (1997)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 4262-4266等)。
【0003】現在、上記目的のために、ハンマーヘッド
リボザイム、ヘアピンリボザイム、デオキシリボザイム
(DNA酵素)と呼ばれる触媒的核酸がそれぞれに研究さ
れてきている。なかでもデオキシリボザイムは構造が簡
単で安定性がありコストが安価であるという理由から、
バイオテクノロジーにおける興味深い新たなツールとし
て近年研究が進んでいる。強いヌクレアーゼ分解耐性、
ダウンサイジング化、高い金属選択性を満足するデオキ
シリボザイムとして、部位特異的RNA切断活性を有す
る小型のCa2+−依存性デオキシリボザイムが報告され
ている(Sugimoto,N., Okamoto, Y., and Ohmichi, T.
(1999) J. Chem. Soc. Perkin Trans. 2,1382-1388)。
【0004】RNA配列に存在する変異に起因してRN
A分子は多様な二次構造(折りたたみ構造)をとりう
る。RNAの折りたたみはRNAスプライシングやプロ
セシングに影響を与え、その結果、RNA分子と他の細
胞分子との相互作用が変化して異なった生物学的機能を
導く(Mohan, A., and Levinger, L. (2000) J. Mol. Bi
ol. 303, 605-616及びBarrette, I., Poisson, G., Gen
dron, P., and Major, F.(2001) Nucleic Acids Res. 2
9, 753-758)。従って、RNAの折りたたみ構造の違い
を識別することは疾患や薬物応答に関連した遺伝子機能
を検出するための指針の一つとなる。
【0005】標的RNAのステム領域はリボザイムやデ
オキシリボザイムが標的部位に結合するのを阻む可能性
があり、これらの触媒的核酸によるRNA切断率は標的
RNAの二次構造(折りたたみ構造)に依存するところ
が大きい。すなわち、触媒的核酸は標的RNAの折りた
たみ構造の違いを識別できるツールとして利用できる可
能性を有している。しかしながら、これまで触媒的核酸
によりRNAの折りたたみ構造を分析した例は知られて
いない。
【0006】一方、配列特異的分析のためのツールとし
てDNAチップ及びマイクロアレーなどのオリゴヌクレ
オチド捕獲手段が開発されてきている(Debouck, C., a
nd Goodfellow, P.N. (1999) Nat. Genet. 21, 48-5
0)。これらは、SNPs及びmRNA/遺伝子発現の
ゲノム分析のための強力なツールである(Selinger, D.
W.,Cheung, K. J., Mei, R., Johansson, E.M., Richm
ond, C. S., Blattner, F.R., Lockhart, D. J., and C
hurch, G. M. (2000) Nat. Biotechnol. 18, 1262-1268
及びGentalen, E., and Chee, M. (1999) Nucleic Acid
s Res. 27., 1485-1491)。しかしながら、触媒的核酸
を設けた表面プラズモン共鳴(SPR)センサーなどの
生体分子相互作用測定用センサーのチップは未だ報告が
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するため
の手段】本発明の課題は、RNAの二次構造の分析など
に有用な手段を提供することにある。本発明者らは上記
課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、部位特異
的RNA切断活性を有するデオキシリボザイムを固相担
体上に固定化した場合にも触媒活性が失われず、一本鎖
RNAのみを選択的かつ効率的に切断できることを見出
した。また、その切断がRNA中の特定の部位に特異的
に生じることから、この切断反応をSPRなどの生体分
子相互作用測定用センサーで測定されるシグナル変化と
して検出することにより、RNAの折りたたみ構造の違
いをRNAを標識することなく簡便に識別できることを
見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたも
のである。
【0008】すなわち、本発明は、固相担体上に固定化
されたデオキシリボザイムを含む固定化触媒を提供する
ものである。本発明の好ましい態様によれば、上記デオ
キシリボザイムが部位特異的RNA切断活性を有するデ
オキシリボザイムである上記固定化触媒;上記デオキシ
リボザイムが二価金属イオン依存性の部位特異的RNA
切断活性を有するデオキシリボザイムである上記固定化
触媒;上記デオキシリボザイムがカルシウムイオン依存
性の部位特異的RNA切断活性を有するデオキシリボザ
イムである上記固定化触媒;上記デオキシリボザイムが
一本鎖RNAに対してカルシウムイオン依存性の部位特
異的RNA切断活性を有するデオキシリボザイムである
上記固定化触媒が提供される。
【0009】また、本発明の好ましい態様により、固相
担体が生体分子相互作用測定用センサーのチップである
上記固定化触媒;生体分子相互作用測定用センサーが表
面プラズモン共鳴(SPR)センサーである上記固定化
触媒;生体分子相互作用測定用センサーが水晶発振子マ
イクロバランスセンサーである上記固定化触媒;RNA
のループ構造の測定用に用いる上記固定化触媒;RNA
の高次構造、好ましくは二次構造の分析に用いる上記固
定化触媒が提供される。
【0010】別の観点からは、RNAの高次構造の分析
方法であって、標的RNAを上記固定化触媒に接触させ
る工程;及び上記固定化触媒の作用により生じたRNA
切断物を測定する工程を含む方法が本発明により提供さ
れる。典型的には、上記方法は、上記固定化触媒に標識
化した標的RNAを含む試料を作用させ、試料中の標的
RNAとRNA切断物をゲル電気泳動によって分離し、
標識を指標としてRNA切断物を測定する工程を含んで
いる。
【0011】さらに別の観点からは、本発明により、生
体分子相互作用測定用センサーチップであって、センサ
ーチップ上に固定化されたデオキシリボザイムを含むセ
ンサーチップが提供される。好ましくは、上記デオキシ
リボザイムが部位特異的RNA切断活性を有するデオキ
シリボザイムである上記センサーチップ;上記デオキシ
リボザイムが二価金属イオン依存性の部位特異的RNA
切断活性を有するデオキシリボザイムである上記センサ
ーチップ;上記デオキシリボザイムがカルシウムイオン
依存性の部位特異的RNA切断活性を有するデオキシリ
ボザイムである上記センサーチップ;及び上記デオキシ
リボザイムが一本鎖RNAに対してカルシウムイオン依
存性の部位特異的RNA切断活性を有するデオキシリボ
ザイムである上記センサーチップが本発明により提供さ
れる。
【0012】また、上記の生体分子相互作用測定用セン
サーチップを用いて標的RNAの高次構造、好ましくは
二次構造を分析する方法であって、上記センサーチップ
に標的RNAを接触させ、上記デオキシリボザイムの作
用による標的RNAの切断に基づいて発生するシグナル
の変化を測定する工程を含む方法が提供される。典型的
には、上記方法は、上記デオキシリボザイムが一本鎖R
NAに対してカルシウムイオン依存性の部位特異的RN
A切断活性を有するデオキシリボザイムである上記セン
サーチップを用いて、(1)上記センサーチップに標的R
NAを接触させる工程、(2)ハイブリダイズしないRN
Aを除去する工程;(3)カルシウムイオンを反応系に添
加する工程;及び(4)標的RNAの切断に基づいて発生
するシグナルの変化を測定する工程により行われる。
【0013】さらに、本発明により、デオキシリボザイ
ムとして一本鎖RNAに対して二価金属イオン依存性の
部位特異的RNA切断活性を有するデオキシリボザイム
を用い、RNAの切断活性を指標として二価金属イオン
の濃度を測定する方法が提供される。好ましくは、デオ
キシリボザイムとして一本鎖RNAに対してカルシウム
イオン依存性の部位特異的RNA切断活性を有するデオ
キシリボザイムが固定化された生体分子相互作用測定用
センサーチップを用い、RNAの切断に基づいて発生す
るシグナルの変化を測定することによりカルシウムイオ
ンの濃度を測定することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の固定化触媒は、固相担体
上に固定化されたデオキシリボザイムを含むことを特徴
としている。本明細書において、デオキシリボザイムと
は触媒活性を有するDNAを意味しているが、触媒活性
の種類やDNAのサイズは特に限定されない。好ましく
は、触媒活性としてRNAの加水分解やRNAの伸長反
応などを挙げることができるが、触媒活性はこれらに限
定されることはない。特に好ましい触媒活性はRNAの
加水分解であり、一本鎖RNAに対して部位特異的切断
活性を有するデオキシリボザイムが好ましい。
【0015】また、二価金属イオンの存在下で触媒活性
を発揮するデオキシリボザイムも好ましい。例えば、カ
ルシウムイオンの存在下でRNAの加水分解活性を発揮
できるデオキシリボザイムが好ましい。より具体的に
は、一本鎖DNA、RNA/DNAハイブリッド、及び
RNA/DNA二重らせんを切断せず、一本鎖RNAだ
けを切断できる触媒活性を有し、カルシウムイオンに依
存して触媒活性を発揮できるデオキシリボザイムが好ま
しい。このようなデオキシリボザイムを用いることによ
って、一本鎖RNAのヘアピンループにある特定の部位
を選択的に切断できる。
【0016】本発明の固定化触媒に含まれるデオキシリ
ボザイムのサイズは触媒活性を有するものであれば特に
限定はされないが、取扱いの上で小型であることが好ま
しい。具体的には10〜50塩基であることが好まし
く、20〜40塩基であることがさらに好ましい。
【0017】本発明に特に好適に利用可能なデオキシリ
ボザイムとしては、例えば、カルシウムイオン依存性の
部位特異的RNA切断活性を有するデオキシリボザイム
を挙げることができる(Sugimoto, N., Okumoto, Y., a
nd Ohmichi, T. (1999) J. Chem. Soc. Pekin Trans.
2, 1382-1388及びOkumoto, Y., and Sugimoto, N. (200
0) J. Inorg. Biochem. 82, 189-195)。このようなデ
オキシリボザイムは、例えば、図1に示すようなループ
部分を形成可能な小型デオキリリボザイムである。図1
に示されるデオキシリボザイムは5’−GGCTACA
ACGA−3’からなるループ部分に触媒活性部位が存
在しており、その前後の塩基配列で標的RNAにハイブ
リダイズして標的RNAのUとAの間を切断することが
できる。もっとも、本発明に利用可能なデオキシリボザ
イムは上記の特定のものに限定されることはない。
【0018】上記デオキシリボザイムを固定化するため
の固相担体は特に限定されず、固定化触媒の製造に利用
可能な固相担体であればいかなるものを用いてもよい。
例えば、固相担体として、ポリスチレン、ナイロンなど
の合成樹脂のビーズ、ラテックス粒子、ガラスビーズ、
あるいはAu,Agなどの金属微粒子などを用いること
ができる。またタンパク質などの高分子物質を用いるこ
ともできる。固相担体の形状は特に限定はされず、球
状、線状、又は板状、あるいはそれらの組み合わせのい
ずれでもよい。
【0019】デオキシリボザイムを固相担体に固定化す
る方法は特に限定されず、固定化触媒の製造に利用可能
な固定化手段であればいかなるものを用いてもよい。例
えば、吸着法や共有結合法のほか、オリゴDNA末端に
付加した特定のポリペプチドに特異的に結合する分子
(以下、「リガンド」と称する)と、固相担体表面に結
合させた該リガンドと結合する特定のポリペプチド(以
下、「アダプタータンパク質」と称する)との特異的結
合を利用する方法などがある。
【0020】上記アダプタータンパク質/リガンドの組
み合わせとしては、例えば、アビジン及びストレプトア
ビジン等のビオチン結合タンパク質/ビオチン、マルト
ース結合タンパク質/マルトース、Gタンパク質/グア
ニンヌクレオチド、ポリヒスチジンペプチド/ニッケル
又はコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トラ
ンスフェラーゼ/グルタチオン、DNA結合タンパク質
/DNA、抗体/抗原分子(エピトープ)、カルモジュ
リン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパ
ク質/ATP、あるいはエストラジオール受容体タンパ
ク質/エストラジオールなどの各種受容体タンパク質/
そのリガンドなどが挙げられるが、特にストレプトアビ
ジン/ビオチンが好ましい。
【0021】アダプタータンパク質の固相担体表面への
結合手段は特に限定されず、タンパク質の固相担体への
固定化手段として利用可能なものであればいかなる手段
を用いてもよい。例えば、タンニン酸、ホルマリン、グ
ルタルアルデヒド、ピルビックアルデヒド、ビス−ジア
ゾ化ベンジゾン、トルエン-2,4-ジイソシアネート、ア
ミノ基、カルボキシル基、又は水酸基などを利用する方
法を挙げることができるが、これらに限定されることは
ない。
【0022】本明細書において、「標的RNA」とは上
記の固定化触媒により触媒作用を受けるRNAを意味し
ており、デオキシリボザイムを酵素としてみた場合の基
質に相当するRNAである。好ましい標的RNAは、本
発明の固定化触媒による切断様式からその二次構造を分
析しようとする対象となるRNAである。標的RNA
は、天然由来のRNA又は化学的に合成されたRNAの
いずれでよい。塩基配列あるいは機能が既知のRNAで
も、未知のRNAでもよい。例えばウイルスなどのRN
Aが含まれる血清、尿、各種生体細胞や生体組織の培養
液などをRNA試料として用いることができる。
【0023】固定化触媒による触媒作用の進行の程度を
RNA切断物によって検出する場合には、標的RNAの
5’末端を標識物質により標識しておくことが好まし
い。標識物質の種類は標識後のRNA及びRNAフラグ
メントが測定可能であれば特に限定されないが、通常
は、蛍光物質や色素など通常の手段により標識化可能な
化合物を用いることができる。これらのうち、蛍光物質
が好ましく、例えばフルオレセインイソチオシアネー
ト、テトラメチルローダミンイソチオシアネートを用い
ることができる、標的RNAに蛍光物質を結合する方法
としては、例えばチオカルバミド結合やペプチド結合な
どの共有結合による方法が利用できる。
【0024】本発明の固定化触媒を用いて、RNAの高
次構造、好ましくは二次構造の分析を行うことができ
る。本明細書において「構造の分析」という用語には、
構造に関する情報を入手する手段及び該情報の構造決定
への利用などの概念が包含され、典型的には構造の決定
又は推定などを意味している。また、典型的には、RN
Aの高次構造の分析は、標的RNAの切断工程及び切断
されたRNAフラグメントの測定工程を含んでいる。例
えば、高次構造の分析には、RNAが形成する安定な折
りたたみ構造である分子内ヘアピンループの大きさをデ
オキシリボザイムによる切断の有無に関する情報から決
定することも含まれる。また、本明細書において「測
定」という用語は、検出、同定、及び定量などの概念を
含めて最も広義に解釈しなければならず、いかなる意味
においても限定的に解釈してはならない。
【0025】本発明の固定化触媒を用いた標的RNAの
高次構造の分析は、例えば以下のように行うことができ
る。まず、5’末端が標識化された標的RNAを含む試
料に固定化触媒のデオキシリボザイムを作用させる。こ
の場合、好ましくは標的RNAを生化学的に通常使用さ
れる緩衝液に適当な濃度で溶解した溶液中で、より好ま
しくはカルシウムイオンを添加した前記溶液中でデオキ
シリボザイムを作用させるとよい。反応後、試料中の標
的RNAとRNA切断物をゲル電気泳動によって分離
し、標識によってそれらのゲル上の位置を確認する。ゲ
ル上に標的RNA以外のバンドが観察されなければ固定
化触媒による標的RNAの切断が生じていないと判定す
ることができ、標的RNA以外にRNA切断物のバンド
が観察された場合には固定化触媒による標的RNAの切
断が生じたと判定できる。後者の場合、RNA切断物の
バンドの数、位置によってその切断パターンを解析する
ことができ、その情報に基づいてRNAの高次構造、好
ましくは二次構造(折りたたみ構造)を分析することが
できる。
【0026】デオキシリボザイムによる標的RNAの切
断に基づいて発生するシグナルの変化を測定することに
より、標的RNAの高次構造の分析を行うこともでき
る。シグナル変化を測定するための手段としては、例え
ば、表面プラズモン共鳴(SPR)法、水晶発振子マイ
クロバランス(QCM)法、エバネッセント場分子イメ
ージング法、蛍光イメージングアナライズ法等が挙げら
れるが、これらの手段に限定されることはない。本発明
の固定化触媒は、このようなシグナル変化に基づいた標
的RNAの高次構造の分析を行うために特に好適に用い
られる。
【0027】RNAの高次構造の分析を簡便に行うため
に、生体分子相互作用測定用センサーチップにデオキシ
リボザイムを固定化してもよい。このようなセンサーチ
ップを用いた標的RNAの高次構造の分析は、上記セン
サーチップに標的RNAを含む試料を作用させ、センサ
ーチップ上に固定化されたデオキシリボザイムによる標
的RNAの切断に基づくシグナル変化を測定することに
より行うことができる。なお、デオキシリボザイムによ
る標的RNAの切断に基づいて発生するシグナルの変化
を測定する方法、特にデオキシリボザイムが固定化され
た生体分子相互作用測定用センサーチップによりシグナ
ル変化を測定する方法においては、標的RNAの標識化
は一般的には不要である。
【0028】表面プラズモン共鳴法は、金属/液体界面
で相互作用する分子によって表面プラズモンが励起さ
れ、これを反射光の強度変化で測定する方法である(Cu
llen, D.C., et al., Biosensors, 3(4), 211-225(1987
-88))。この方法で用いるセンサーチップとしては、通
常の表面プラズモン共鳴装置用基板を用いることができ
るが、一般的には透明基板と該基板上に配置される金、
銀、白金等の金属薄膜とから構成される。透明基板とし
ては、通常表面プラズモン共鳴装置用に用いられるもの
であればいかなるものであってもよく、レーザー光に対
して透明な材料からなるものとして一般的にはガラスや
プラスチック等からなるものが好ましい。このような表
面プラズモン共鳴装置用固基板としては市販されている
ものを用いることができる。オリゴDNAの上記基板へ
の固定化は前述した方法により行うことができる。
【0029】本方法において標的RNAをセンサーチッ
プに固定化したデオキシリボザイムに接触させる方法は
特に限定されず、デオキシリボザイムが触媒活性を発揮
できる程度に標的RNAがデオキシリボザイムに接触で
きるものであれば特に限定されないが、好ましくは生化
学的に通常使用される緩衝液に標的RNAを適当な濃度
で溶解した溶液を調製し、その溶液を好ましくはカルシ
ウムイオンの存在下でデオキシリボザイムに接触させる
とよい。本方法の各工程は、市販の表面プラズモン共鳴
装置、例えばBIAcore2000 (Pharmacia Biosensor社製)
などを用いて行うことができる。標的RNAをデオキシ
リボザイムに接触させた後、例えば、表面プラズモン共
鳴装置を用いてそれぞれの反射光の相対強度の時間的変
化を測定することにより、デオキシリボザイムによる標
的RNAの切断を検出できる。
【0030】水晶発振子マイクロバランス(QCM)法
は、生体分子間の相互作用を水晶発振子の周波数変化に
よりナノグラムオーダーで定量化できる方法である。水
晶発振子は電極表面上に物質が付着することにより、そ
の重さに比例して振動数が変化することからマイクロバ
ランスとして知られている。この水晶振動子の電極上に
デオキシリボザイムを固定化し、標的RNAを水溶液と
して接触させることにより、デオキシリボザイムによる
標的RNAの切断反応を振動数の変化から検出できる。
水晶発振子は、市販の水晶発振子マイクロバランス装置
の付属品として市販されているものを用いることができ
る。オリゴDNAの上記水晶発振子への固定化は前述し
た方法により行うことができる。
【0031】デオキシリボザイムとして、一本鎖RNA
に対して二価金属イオン依存性の部位特異的RNA切断
活性を有するデオキシリボザイムを用いることにより、
RNAの切断活性を指標として二価金属イオン、好まし
くはカルシウムイオンの濃度を測定することができる。
例えば、カルシウムイオン依存性の部位特異的RNA切
断活性を有するデオキシリボザイム(Sugimoto, N., Ok
umoto, Y., and Ohmichi, T. (1999) J. Chem. Soc. Pe
kin Trans. 2, 1382-1388及びOkumoto, Y., andSugimot
o, N. (2000) J. Inorg. Biochem. 82, 189-195)に対
して、このデオキシリボザイムにより特異的に切断され
るRNAを基質として作用させると、該RNAの切断量
はカルシウムイオンの濃度に比例して上昇する。この原
理に基づいて、上記デオキシリボザイムが固定化された
生体分子相互作用測定用センサーチップを用い、上記R
NAの切断に基づいて発生するシグナルの変化を測定す
ることによりカルシウムイオンの濃度を測定することが
できる。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定される
ことはない。 例1 (1)固定化デオキシリボザイムの調製 DNA及びRNAオリゴマーを化学的に合成し、逆相H
PLC及び20%ポリアクリルアミド/7M尿素変性ゲ
ル上で精製した(Sugimoto, N., Okumoto, Y., and Ohm
ichi, T., J. Chem. Soc. Pekin Trans. 2, 1382-1388,
1999及びOkumoto, Y., and Sugimoto, N., J. Inorg.
Biochem. 82, 189-195, 2000に従う)。ビオチン及びd
UホスホアミダイトはGlen Research Co., Ltd.から購
入した。オリゴヌクレオチドの最終純度は99%以上で
あることを確認した。オリゴヌクレオチドは使用前にS
ep−PakC18カートリッジで脱塩処理した。精製
オリゴヌクレオチドの一本鎖濃度は260nm又は28
0nmにおける吸光度により測定した。一本鎖吸光係数
をモノヌクレオチド及びジヌクレオチドを介して計算し
た(Richards, E.G., in Handbook of Biochemistry an
d Molecular Biology:Nucleic Acids (Fasman, G.D.,E
d), Vol.1, pp.597, 1975, CRC Press, Cleveland, O
H)。標的RNAはATPγS、T4ポリヌクレオチド
キナーゼ、及び5−IAFを用いて37℃にて5’−末
端を標識化した。5’−末端ビオチニル化デオキシリボ
ザイムを20mM Na2HPO4(pH7.5)及び50
0mM NaClを含む緩衝液中、25℃で20分間イ
ンキュベートすることによってImmunoPure Avidin gel
(PIERCE)に固定化した。
【0033】(2)デオキシリボザイムによる標識切断
反応 デキオキシリボザイムによる標的切断反応は、50mM
Tris−HCl(pH8.0)及び25mM Ca2+
を含む緩衝液中で300nM標的RNA及び15nMデ
オキシリボザイムを用いる多重ターンオーバー条件、又
は10nM標的RNA及び200nMデオキシリボザイ
ムを用いる単一ターンオーバー条件下、37℃にて行っ
た。適当な間隔で反応混合物を分取し、100mM N
2EDTA及び7M尿素を混合して切断反応を終結さ
せた。5’−末端蛍光標識切断産物及び標的RNAを2
0又は16%ポリアクリルアミド/7M尿素変性ゲル上
で電気泳動することによって分離した。標的RNAの切
断率は5’−末端蛍光標識切断産物及び標的RNAのバ
ンドにおける放射活性をFluor−S(登録商標)Multimag
er (Bio-Rad)を用いて定量することにより測定した。観
察された速度定数(kobs)は下記式を用いて計算し
た(Sugimoto, N., Kierzek, R., and Turner,D.H., Bi
ochemistry, 27, 6384-6392, 1988)。 [P]=[P](1−e-kobs×t) (ここで、[P]は切断率、[P]は最終切断率、及びtは
反応時間を示す)。 切断率対反応時間のプロットをIgor ver 1.27 software
(Wave Mertits)を用いて非線形最小二乗の速度式にあ
てはめることによりkobs値を得た。
【0034】例2 本発明の固定化デオキシリボザイムの触媒活性について
反応速度論的解析を行った。300nM標的RNAを1
5nMの遊離(■)又は固定化(○)デオキシリボザイ
ムによって処理した。全ての実験は50mMTris−
HCl(pH8.0)及び25mMCa2+を含む緩衝液
中で37℃にて行った。図2に、反応時間に対するRN
A切断率のプロットを示す。破線は標的RNAとデオキ
シリボザイムの濃度が等しい場合の条件を示す。図2に
示されるように、遊離のデオキシリボザイムと同様に、
固定化デオキシリボザイムでは反応の初期段階中に急な
反応速度増加がない。これは固定化デオキシリボザイム
が遊離のデオキシリボザイムと同様にその標的RNAを
切断することを示している。
【0035】例3 本発明の固定化デオキシリボザイムの標的に対する切断
様式を調べた。図3(a)に示す一本鎖RNA(r1
5、r’15及びr25)、一本鎖DNA(d15)、
RNA/DNAハイブリッド(rd’15)、及びRN
A/DNA(rr’15)を試料とし、遊離又は固定化
デオキシリボザイムによって処理した。反応は50mM
Tris−HCl(pH8.0)及び25mMCa2+
含有する緩衝液中で37℃にて20分インキュベーショ
ンすることによって行った。図3(b)に、遊離の又は
固定化デオキシリボザイムによる標的切断物の7M尿素
含有変性20%ポリアクリルアミドゲル電気泳動図を示
す。図3(b)に示されるように、固定化デオキシリボ
ザイムは一本鎖DNA、RNA/DNAハイブリッド、
及びRNA/RNA二重らせんは切断しないが、一本鎖
RNA内の部位だけを切断した。
【0036】例4 固定化デオキシリボザイムと標的RNAとの複合体内の
ステムの最適な安定性を調べた。デオキシリボザイムの
酵素活性はデオキシリボザイムとその基質におけるステ
ム領域の熱力学的安定性に依存している(Ota, N., War
ashina, M., Hirano, K., Hatanaka, K., and Taira,
K. (1998) Nucleic Acids Res 26, 3385-3391)。ハン
マーヘッドリボザイムに関し、リボザイムによる基質結
合の自由エネルギーは最近接塩基対パラメータを用いて
計算される2つの基質結合アームの形成から推定した値
とよく相関している(Hertel, K. J., Stage-Zimmerman
n, T.K., Ammons, G., and Uhlenbeck, O.C.(1998) Bio
chemistry 37, 16983-16988)。
【0037】全ての実験は50mMTris−HCl
(pH8.0)及び25mMCa2+を含む緩衝液中で3
7℃にて行った。種々の長さの標的RNA(r24、r
22、r20、r18、r16、r14、r12、r1
0又はr8)を調製し、固定化デオキシリボザイムとそ
の標的RNAとの複合体内のステム間の安定性をRNA
/DNAハイブリッドに関する我々の最近接塩基対のパ
ラメータを用いて予想した(Sugimoto, N. et al., (199
5) Biochemistry 34, 11211-11216)及びTurner, D.H.,
Sugimoto, N., and Freier, S. M. (1988) Annu. Rev.
Biophys. Biophys.Chem. 17, 167-192)。予想安定性[予
想Go37(1MNa+、ステム間)]は下式から計算した。 予想ΔGo37(1MNa+、ステム)]=ΔGo37(左ステ
ム)+ΔGo37(右ステム) (ΔGo37(左ステム)+ΔGo37(右ステム)はそれぞれ
左及び右ステムの予想値である)。
【0038】図4(a)は固定化デオキシリボザイムと
各標的RNAの複合体の二次構造を示し、図4(b)
は、kobs値と固定化デオキシリボザイム−標的RN
A複合体内のステム領域間の安定性(ΔGo37)を示
す。最適反応速度は−10から−20kcal/mol
の安定性の範囲内で得られ、プロットは対称である(図
4(b))。安定性(ΔGo37)が−20kcal/
molより小さいとき、標的(r24、r22、r2
0)のRNA配列が長いので、それらはRNAの分子内
構造を形成している可能性がある。安定性(ΔGo
7)が−10kcal/molより大きいとき、右ステ
ムと左ステム内の低い安定性のために、デオキシリボザ
イムはその標的RNAと複合体を形成することが難し
い。
【0039】例5 RNAヘアピンループサイズの効果を調べるために、図
5(a)に示す8つのRNAヘアピンループ(L15、L
17、L19、L21、L23、L25及びL29)の
固定化デオキシリボザイムによる切断反応を50mMT
ris−HCl(pH8.0)及び25mMCa2+を含
む緩衝液中37℃にて単一ターンオーバー条件で行っ
た。L15のヘアピンループの配列はr15に一致す
る。L17,L19,L21,L23,L25,L27
及びL29のヘアピンループの主要部もまたr15に一
致し、そして1,2、3、4、5、6、及び7塩基スペ
ーサー(dAs)が規則正しくこれらのヘアピンループ
の5’−及び3’−末端の両方にそれぞれ付加されてい
る。
【0040】図5(b)はkobs対ヘアピンループサ
イズのプロットを示す。L15については、切断反応は
ほとんど観察されなかった。他方、17nt以上のヘア
ピンループサイズ(L17,L19,L21,L23,
L25,L27及びL29)については、切断反応は一
つの部位でのみ観察された。これらの結果はヘアピンル
ープの両末端にある少なくとも一つのヌクレオチドスペ
ーサーが固定化デオキシリボザイムによる効率的な切断
に必要であることを示唆している。酵素活性はヘアピン
ループサイズとして23以上で飽和に達する(L23,
L25,L27及びL29)。
【0041】図6(a)はL15[1.6×10-5M(白い四
角)及び1.9×10-7M(細線)]の260nmにおける標
準化された融解曲線を示す。図6(b)はL29[2.1×
10-5M(白い四角)及び1.5×10-7M(細線)の260
nmにおける標準化された融解曲線を示す。緩衝液は5
0mMTris−HCl(pH8.0)及び25mMC
2+を含む。これらのRNA配列は2相性挙動で融解し
ており、Tm値はRNAの濃度に依存していない(図6
参照)。これは、これらのRNAの折りたたみ構造が安
定な分子内ヘアピンループであり、分子間ループ構造で
はないことを示している(Dale, T., Smith, R., and S
erra, M. J. (2000) RNA 6, 608-615及びKawakami, J.,
Yoneyama, M., and Sugimoto, N. (2001) Chem. Let
t., 258-259)。
【0042】例6 固定化デオキシリボザイムによる切断部位はRNA折り
たたみ構造の違いを検出するのに重要である。切断部位
の効果を調べるために、図7(a)に示すRNAヘアピン
ループ(L27−0、L27−2、L27−4、L27
−6、L27−8、L27−10、及びL27−12)
の固定化デオキシリボザイムによる切断反応を50mM
Tris−HCl(pH8.0)及び25mMCa2+
含む緩衝液中37℃60分にて単一ターンオーバー条件
で行った。これらのヘアピンループ配列はr15に相当
し、12ntスペーサー(dAs)を有しており、全ヘ
アピンループサイズは図7(a)に示されるように27
ntと同じである。RNAヘアピンループ領域は規則正
しく固定化デオキシリボザイムの認識部位内で5’−末
端から3’−末端へスライドしている。
【0043】図7(b)に固定化デオキシリボザイムに
よる標的切断物の16%ポリアクリルアミド/7M尿素
ゲル電気泳動図を示す。固定化デオキシリボザイムによ
るこれらのRNA切断率は図7(b)に示すようにおお
よそ等量である。この結果はRNAヘアピンループが一
つの部位でのみ切断されることを示している。
【0044】例7:デオキシリボザイムアレイを用いる
標的切断反応 固定化デオキリボザイムによるRNA切断は標的RNA
と固定化デオキシリボザイムの間の結合及び切断ステッ
プを要する。これらのステップの性質を明らかにするた
めに、BIA core (BIAcore1000, Biacore AB, Uppsala,
Sweden)をSPR測定のために用いた(Okumoto, Y., an
d Sugimoto, N., J. Inorg. Biochem., 82, 189-195, 2
000)。SPRシグナルはセンサーグラムにおいて時間
に対しプロットされた相対RU(レゾナンスユニット)
で表される。相対RUの1はほとんどの生体分子に対し
約0.15ng/mm2の表面濃度における変化に等し
い(In BIAtechnology Hanbook, version AB, (reprint
ed 1998) contents 2., Bioacore AB, Uppsala, Swede
n)。
【0045】例1(1)で調製した5’−末端ビオチニ
ル化デオキシリボザイムをSPRチップ上の結合ストレ
プトアビジンに固定化したところ、約4相対RUを示し
た。インジェクトした標的RNAとデキストランマトリ
ックスに固定化したストレプトアビジンとの間のバック
グラウンド結合又はインジェクションにおける反射イン
デックスの変化を除去するために、標的RNAを含む緩
衝液をリガンドなしで被覆したセンサーチップ上に流し
た後、SPRトレースをリガンドありのものから差し引
いた。標的RNAは50mMTris−HCl(pH
8.0)及び100mMNa+を含む緩衝液に5μL/
分という遅い流速で37℃にてインジェクトした。25
mMCa2+を添加することによって標的切断反応を開始
した。
【0046】図8は、標的RNA(r15及び擬似RN
A(rGAAGAC(dA)UGCCAGCG))と固
定化デオキシリボザイム間の結合及び切断ステップに関
する典型的なSPRセンサーグラムを示す。標的RNA
がSPRセンサーチップ上の固定化デオキシリボザイム
に結合するときに観察される反応(レゾナンス)ユニッ
トはリアルタイムのRU値によって示されるように反射
インデックスの変化によって増加する(Karlin, S., an
d Broccheieri, L. (1996) J.Bacterol.178, 1881-189
5)。擬似RNAを固定化デオキシリボザイムで被覆し
たセンサーチップ上に流したとき、相対RU値はCa2+
の添加によって変わらなかったが、r15の場合、相対
RU値はCa2+の添加によってゆっくり減少した。30
分間反応後の相対RU値の違いは69%であった。試料
を回収後、切断産物及び標的RNAは20%ポリアクリ
ルアミド/7M尿素変性ゲル上の電気泳動によって分離
できた。擬似RNAに対しては切断バンドが全く観察さ
れなかったが、r15に対してはただ一つの切断バンド
が観察された。切断部位は非対称内部ループの中のrA
p↓Uの部位だけであった。これらの結果から判断する
と、RU値の減少はRNA切断反応後に切断産物が遊離
するプロセスを示しているといえる。
【0047】
【発明の効果】本発明によればRNAの高次構造の分析
などに有用なデオキシリボザイムを含む固定化触媒が提
供される。本発明の固定化触媒は、デオキシリボザイム
が固定化されていることにより反応基質と反応産物との
分離が容易であり、基質反応物の測定を容易に行えるほ
か、繰り返し使用できるので経済的にも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 小型Ca2+依存性デオキシリボザイムとその
標的RNA(r15)の複合体の二次構造を示す。デオ
キシリボザイムはそれぞれワトソン−クリック塩基対
(黒丸)を含む2つの基質−認識領域を介してその標的
RNAに結合する。
【図2】 300nM標的RNAを15nMの遊離
(■)又は固定化(○)デオキシリボザイムによって処
理した場合の反応時間に対するRNA切断率のプロット
を示す。破線は標的RNAとデオキシリボザイムの濃度
が等しい場合の条件を示す。
【図3】 (a)一本鎖RNA(r15、r’15及び
r25)、一本鎖DNA(d15)、RNA/DNAハ
イブリッド(rd’15)、及びRNA/DNA(r
r’15)の標的分子を示す。矢印は各標的分子の切断
部位を示す。太字はデオキシリボザイムによって認識さ
れる領域を示す。(b)遊離又は固定化デオキシリボザ
イムによる標的分子の切断を示す7M尿素含有変性20
%ポリアクリルアミドゲル電気泳動図を示す。
【図4】 (a)固定化デオキシリボザイムとのその標
的RNA(r24、r22、r20、r18、r16、
r14、r12、r10又はr8)の複合体の二次構造
を示す。(b)kobs値と固定化デオキシリボザイム
−RNA複合体内のステム領域間の安定性(ΔGO
7)を示す。
【図5】 (a)RNAヘアピンループ(L15、L1
7、L19、L21、L23、L25及びL29)を示
す。矢印は各切断部位、太字はデオキシリボザイムによ
って認識される領域を示す。(b)kobs対ヘアピン
ループサイズのプロットを示す。
【図6】 (a)L15[1.6×10-5M(白い四角)及び
1.9×10-7M(細線))の260nmにおける標準化さ
れた融解曲線を示す。(b)L29[2.1×10-5M(白い
四角)及び1.5×10-7M(細線)の260nmにおける
標準化された融解曲線を示す。
【図7】 (a)RNAヘアピンループ(L27−0、L
27−2、L27−4、L27−6、L27−8、L2
7−10、及びL27−12)の複合体の二次構造を示
す。矢印は各切断部位を示す。太字はデオキシリボザイ
ムによって認識される領域を示す。(b)標的分子の固
定化リボザイムによる切断を示す変性16%ポリアクリ
ルアミド/7M尿素ゲル電気泳動図を示す。
【図8】 標的分子と50mMTris−HCl(pH
8.0)を含む緩衝液中のSPRセンサーチップ上の固
定化デオキシリボザイム間の37℃での結合及び切断ス
テップから成る典型的なSPRセンサーグラムを示す。
サンプルはr15(黒線)又は擬似RNA基質(灰色
線)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 G01N 33/566

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固相担体上に固定化されたデオキシリボ
    ザイムを含む固定化触媒。
  2. 【請求項2】 デオキシリボザイムが部位特異的RNA
    切断活性を有するデオキシリボザイムである請求項1に
    記載の固定化触媒。
  3. 【請求項3】 デオキシリボザイムが二価金属イオン依
    存性の部位特異的RNA切断活性を有するデオキシリボ
    ザイムである請求項1に記載の固定化触媒。
  4. 【請求項4】 二価金属イオンがカルシウムイオンであ
    る請求項3に記載の固定化触媒。
  5. 【請求項5】 固相担体が生体分子相互作用測定用セン
    サーのチップである請求項1ないし4のいずれか1項に
    記載の固定化触媒。
  6. 【請求項6】 生体分子相互作用測定用センサーが表面
    プラズモン共鳴(SPR)センサーである請求項5に記
    載の固定化触媒。
  7. 【請求項7】 RNAの高次構造の分析に用いる請求項
    1ないし6のいずれか1項に記載の固定化触媒。
  8. 【請求項8】 RNAの高次構造の分析方法であって、
    標的RNAを請求項1ないし7のいずれか1項に記載の
    固定化触媒に接触させる工程;及び該固定化触媒の作用
    により生じたRNA切断物を測定する工程を含む方法。
  9. 【請求項9】 生体分子相互作用測定用センサーチップ
    であって、センサーチップ上に固定化されたデオキシリ
    ボザイムを含むセンサーチップ。
  10. 【請求項10】 デオキシリボザイムがカルシウムイオ
    ン依存性の部位特異的RNA切断活性を有するデオキシ
    リボザイムである請求項9に記載のセンサーチップ。
  11. 【請求項11】 請求項9又は10に記載の生体分子相
    互作用測定用センサーチップを用いて標的RNAの高次
    構造を分析する方法。
  12. 【請求項12】 請求項9又は10に記載のセンサーチ
    ップに標的RNAを接触させ、デオキシリボザイムの作
    用による標的RNAの切断に基づいて発生するシグナル
    の変化を測定する工程を含む請求項11に記載の方法。
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