JP2003262726A - 粘着型光学フィルム、光学フィルム用粘着剤組成物および画像表示装置 - Google Patents

粘着型光学フィルム、光学フィルム用粘着剤組成物および画像表示装置

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JP2003262726A
JP2003262726A JP2002065568A JP2002065568A JP2003262726A JP 2003262726 A JP2003262726 A JP 2003262726A JP 2002065568 A JP2002065568 A JP 2002065568A JP 2002065568 A JP2002065568 A JP 2002065568A JP 2003262726 A JP2003262726 A JP 2003262726A
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pressure
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film
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Yasushi Takahashi
寧 高橋
Kadoaki Urahama
圭彬 浦濱
Kunio Nagasaki
国夫 長崎
Nobuaki Maruoka
伸明 丸岡
Makoto Azusawa
誠 小豆澤
Mie Ota
美絵 太田
Masayuki Satake
正之 佐竹
Akiko Ogasawara
晶子 小笠原
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学フィルムの一方の面に粘着剤層が積層さ
れている粘着型光学フィルムであって、当該粘着型光学
フィルムを液晶パネル等に貼り合わせた際、微小気泡の
発生を低減できる粘着型光学フィルムを提供すること。 【解決手段】 光学フィルムの一方の面に粘着剤層が積
層されている粘着型光学フィルムであって、粘着剤層を
介して、接着面積10mm×10mmで基板に固着し、
500gの荷重をかけ、t秒後のひずみ量(μm)の測
定値ε(t)から下式により求められる遅延スペクトル
値:L(τ)が、10秒での遅延スペクトル値をA、
1.0×103 秒での遅延スペクトル値をBとした場合
に、A/B≧1. 5を満足することを特徴とする粘着型
光学フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学フィルムの一
方の面に粘着剤層が積層されている粘着型光学フィルム
に関する。また、粘着型光学フィルムに用いる光学フィ
ルム用粘着剤組成物に関する。さらには前記粘着型光学
フィルムを用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、P
DP等の画像表示装置に関する。前記光学フィルムとし
ては、偏光フィルムまたはこれに位相差フィルム、光学
補償フィルム、輝度向上フィルム、防眩シート等が積層
されているものがあげられる。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイは、その画像形成方式
から液晶パネルを形成するガラス基板の両側に偏光素子
を配置することが必要不可欠であり、一般的には偏光フ
ィルムが液晶パネルの最表面に貼着されている。また液
晶パネルの最表面には偏光フィルムの他に、ディスプレ
イの表示品位を向上させるために様々な光学素子が用い
られるようになってきている。例えば、着色防止として
の位相差フィルム、液晶ディスプレイの視野角を改善す
るための視野角拡大フィルム、さらにはディスプレイの
コントラストを高めるための輝度向上フィルム等が用い
られる。これらのフィルムは総称して光学フィルムと呼
ばれる。
【0003】前記光学フィルムを液晶パネルに貼着する
際には、通常、粘着剤が使用される。また、光学フィル
ムを液晶パネルに瞬時に固定できること、光学フィルム
を固着させるのに乾燥工程を必要としないこと等のメリ
ットを有することから、粘着剤は、光学フィルムの片面
に予め粘着剤層として設けられている。すなわち、液晶
パネルの最表面への光学フィルムの貼着には粘着型光学
フィルムが一般的に用いられる。
【0004】前記粘着剤に要求される必要特性として
は、(1)光学フィルムを液晶パネルに貼り合わせる
際、貼り合わせ位置を誤ったり、貼合せ面に異物が噛み
込んだような場合にも光学フィルムを液晶パネル最表面
から剥離し、再度貼り合わせ(リワーク)が可能である
こと、(2)光学フィルムの寸法変化により生じる光学
むらを防止するため応力緩和性を有すること、(3)環
境促進試験として通常行われる加熱および加湿等による
耐久試験に対して粘着剤に起因する不具合が発生しない
こと、等が挙げられる。
【0005】また最近では、粘着型光学フィルムを積層
して保存する際に、粘着型光学フィルムの粘着剤層/離
型シート側に凹状の窪みが形成されにくいような粘着型
偏光フィルムの要望が高まっている。前記粘着型光学フ
ィルムに形成される凹状の窪みは、粘着型光学フィルム
の積層時に、層間に混入する5〜1000μm程度の異
物が原因で発生する。凹状の窪みは、一般に、深さ0 .
5 〜30μm程度、直径20〜2000μm程度の範囲
の窪みを指す。凹状の窪みが光学フィルム面上に存在す
ると、液晶パネル等へ光学フィルムを貼り合わせた際、
20〜2000μm径の微小気泡が発生し、液晶ディス
プレイの視認性を著しく低下させる。従来の粘着型光学
フィルムではこの問題を解消することができていなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光学フィル
ムの一方の面に粘着剤層が積層されている粘着型光学フ
ィルムであって、当該粘着型光学フィルムを液晶パネル
等に貼り合わせた際、微小気泡の発生を低減できる粘着
型光学フィルムを提供することを目的とする。また当該
粘着型光学フィルムに用いる光学フィルム用粘着剤組成
物を提供すること、さらには当該粘着型光学フィルムを
用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく、鋭意研究したところ、下記粘着型光学フ
ィルムにより上記目的を達成できることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、光学フィルムの一方の
面に粘着剤層が積層されている粘着型光学フィルムであ
って、粘着剤層を介して、接着面積10mm×10mm
で基板に固着し、500gの荷重をかけ、t秒後のひず
み量(μm)の測定値ε(t)から下式により求められ
る遅延スペクトル値:L(τ)が、10秒での遅延スペ
クトル値をA、1.0×103 秒での遅延スペクトル値
をBとした場合に、A/B≧1. 5を満足することを特
徴とする粘着型光学フィルム。
【0009】 式(1):遅延スペクトル値:L(τ)=(d/dlnt)×J(t)[m2 /(N・logt)] J(t)=ε(t)/σにより求められるクリープコン
プライアンスであり、ε(t)は荷重負荷を行ってから
t秒後のひずみ量、σは粘着剤の単位断面積あたりの応
力値である。ここでτは緩和時間を示す。
【0010】上記本発明の粘着型光学フィルムは、その
粘着剤層の物性から、これを積層した際にその層間に微
小異物が混入して凹状の窪みが発生した場合にも、凹状
の窪みが回復しやすくなるように設計されており、異物
を除去してから300秒以内に大幅に回復することがで
きる。そのため、粘着型光学フィルムを積層した際に層
間に異物が混入することにより凹状の窪みが発生したと
しても、実際に粘着型光学フィルムを液晶パネル等のガ
ラス基板へ貼り合わせる際には微小気泡の発生を大幅に
低減でき液晶ディスプレイの視認低下を抑えられる。
【0011】前記遅延スペクトル値A、Bは詳しくは実
施例に記載の方法により測定される値である。前記遅延
スペクトル値は、A/Bの値が1. 5以上、さらには
2.5以上であるのが、液晶パネル等へ光学フィルムを
貼り合わせる際に発生する微小気泡を防止するうえで好
ましい。一方、A/Bの値が大きくなりすぎると、液晶
パネル等へ光学フィルムを固着するだけの接着力が得ら
れないため、A/Bの値は25以下とするのが好まし
い。なお、遅延スペクトル値Aは、粘着剤層のTgが変
動すると上下する傾向にあり、遅延スペクトル値Aが小
さすぎると粘着剤として硬くなりすぎ初期接着性に劣
る。また、遅延スペクトル値Bは、大きすぎると粘着剤
の流動性が高く、長時間の使用により、糊がはみ出す不
具合が生じやすい。これらの点から、遅延スペクトル値
Aは、5.0×10-6〜1.0×10-4[m2 /(N・
logt)]、遅延スペクトル値Bは、1.0×10-7
〜1.0×10-5[m2 /(N・logt)]の範囲に
あるのが好ましい。
【0012】前記粘着型光学フィルムにおいて、前記粘
着剤層が、重量平均分子量50万〜250万のアクリル
系ポリマー(P1)、重量平均分子量10万以下のアク
リル系ポリマー(P2)および多官能性化合物を含有す
る組成物の架橋物により形成されていることが好まし
い。
【0013】また、本発明は前記粘着型光学フィルムの
粘着剤層の形成に用いられる光学フィルム用粘着剤組成
物、に関する。さらに本発明は、前記粘着型光学フィル
ムを用いた画像表示装置、に関する。本発明の粘着型光
学フィルムは、液晶表示装置等の各種の画像表示装置の
使用態様に応じて、液晶パネル等のガラス基板に貼り合
わせて用いられる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の粘着型光学フィルムの粘
着剤層は、前記遅延スペクトル値A、Bが、A/B≧
1. 5を満足するものを特に制限なく使用することがで
きる。かかる粘着剤層の調製は、ベースポリマーの分子
量、Tg、粘着剤層の架橋度、添加物等をコントロール
することにより行うことができる。
【0015】前記粘着剤層は、たとえば、アクリル系ポ
リマーおよび多官能性化合物を含有する組成物の架橋物
により形成することができる。
【0016】アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)
アクリレートのモノマーユニットを主骨格とする。な
お、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/また
はメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の
意味である。アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、
アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の平均炭素
数は1〜12程度のものであり、アルキル(メタ)アク
リレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
イソオクチル(メタ)アクリレート等を例示でき、これ
らは単独または組合せて使用できる。これらのなかでも
アルキル基の炭素数1〜12のアルキル(メタ)アクリ
レートが好ましい。
【0017】前記アクリル系ポリマーには、多官能性化
合物と反応する官能基を有するモノマーを共重合するの
が好ましい。官能基を有するモノマーとしては、カルボ
キシル基、水酸基、エポキシ基等を含有するモノマーが
あげられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては
アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イ
タコン酸等があげられる。水酸基を有するモノマーとし
ては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキ
シル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)ア
クリルアミド等、エポキシ基を含有するモノマーとして
は、グリシジル(メタ)アクリレート等があげられる。
【0018】また前記アクリル系ポリマーには、N元素
を有するモノマーユニット等を導入することができる。
N元素含有モノマーとしては、(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N
−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロ
イルモルホリン、(メタ)アセトニトリル、ビニルピロ
リドン、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミ
ド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルア
ミド等があげられる。その他、アクリル系ポリマーに
は、粘着剤の性能を損なわない範囲で、さらには酢酸ビ
ニル、スチレン等を用いることもできる。これらモノマ
ーは1種または2種以上を組み合わせることができる。
【0019】アクリル系ポリマー中の前記共重合モノマ
ーのモノマーユニットの割合は、特に制限されないが、
アルキル(メタ)アクリレート100重量部に対して、
共重合モノマーを、0.1〜12重量部程度、さらには
0.5〜10重量部とするのが好ましい。
【0020】アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、
50万以上であるのが好ましい。アクリル系ポリマーの
重量平均分子量は、通常、50万〜250万程度であ
る。前記アクリル系ポリマーの製造は、各種公知の方法
により製造でき、たとえば、バルク重合法、溶液重合
法、懸濁重合法等のラジカル重合法を適宜選択できる。
ラジカル重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系の各
種公知のものを使用でき、反応温度は通常50〜85℃
程度、反応時間は1〜8時間程度とされる。また、前記
製造法のなかでも溶液重合法が好ましく、アクリル系ポ
リマーの溶媒としては一般に酢酸エチル、トルエン等の
極性溶剤が用いられる。溶液濃度は通常20〜80重量
%程度とされる。アクリル系ポリマーのTgは−50〜
−25℃であるのが好ましい。
【0021】本発明では、アクリル系ポリマーとして、
重量平均分子量50万以上のアクリル系ポリマー(P
1)を用いるとともに、アクリル系ポリマー(P1)と
相溶性の良い重量平均分子量10万以下のアクリル系ポ
リマー(P2)が好適に用いられる。アクリル系ポリマ
ー(P2)の使用量は特に制限されないが、アクリル系
ポリマー(P1)100重量部(固形分)に対して、1
50重量部 (固形分)以下、好ましくは10〜50重量
部である。
【0022】アクリル系ポリマー(P2)の重量平均分
子量は5万以下、さらには1万以下であるのがより好ま
しい。重量平均分子量が10万以下のアクリル系ポリマ
ー(P2)は、前記アクリル系ポリマーと同様のアルキ
ル(メタ)アクリレートのモノマーユニットを主骨格と
するものを用いることができ、同様の共重合モノマーを
共重合したものを用いることもできる。
【0023】また、前記粘着剤層を形成する粘着剤組成
物は、多官能性化合物を含有する。多官能性化合物とし
ては、有機系架橋剤や多官能性金属キレートがあげられ
る。有機系架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イソシ
アネート系架橋剤、イミン系架橋剤などがあげられる。
有機系架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤が好ま
しい。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物
と共有結合または配位結合しているものである。多価金
属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、F
e、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、C
e、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等があげられ
る。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子と
しては酸素原子等があげられ、有機化合物としてはアル
キルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、
エーテル化合物、ケトン化合物等があげられる。
【0024】アクリル系ポリマーに対する多官能性化合
物の配合割合は特に制限されないが、通常、アクリル系
ポリマー (固形分)100重量部に対して、多官能性化
合物(固形分)0.01〜6重量部程度が好ましく、さ
らには0.1〜3重量部程度が好ましい。
【0025】また、粘着剤層の架橋度は20〜80%程
度、さらには30〜60%が好ましい。なお、架橋度
は、粘着剤層を、25℃の酢酸エチルに7日間間浸漬し
た場合の、初期重量と浸漬乾燥後の重量から、下記式で
求められる。架橋度={(浸漬乾燥後重量)/(初期重
量)}×100(%)。
【0026】さらには、前記粘着剤組成物には、必要に
応じて、粘着付与剤、可塑剤、ガラス繊維、ガラスビー
ズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔
料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シラ
ンカップリング剤等を、また本発明の目的を逸脱しない
範囲で各種の添加剤を適宜に使用することもできる。ま
た微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層などであっ
てもよい。
【0027】本発明の粘着型光学フィルムは、図1に示
すように、光学フィルム1の片面には、液晶パネル等に
貼着するための粘着剤層2が設けられている。また、粘
着剤層2には離型シート3を設けることができる。
【0028】光学フィルム1としては液晶表示装置等の
形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限
されない。たとえば、光学フィルムとしては偏光フィル
ム(偏光板)があげられる。偏光フィルムは偏光子の片
面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般
に用いられる。
【0029】偏光子は、特に制限されず、各種のものを
使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルア
ルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアル
コール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部
分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素
や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸した
もの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビ
ニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげ
られる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィ
ルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適で
ある。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般
的に、5〜80μm程度である。
【0030】ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素
で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニル
アルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染
色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することが
できる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を
含んでいてもよいヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬す
ることもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビ
ニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよ
い。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することで
ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキ
ング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニル
アルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラな
どの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色
した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよい
し、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸
やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸する
ことができる。
【0031】前記偏光子の片面または両面に設けられる
透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機
械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れる
ものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート
やポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマ
ー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等
のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等
のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリ
ル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリ
マー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないし
はノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン
・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマ
ー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミ
ド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン
系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエ
ーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスル
フィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化
ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、
アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマ
ー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレン
ド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの
例としてあげられる。透明保護フィルムは、アクリル
系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シ
リコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層
として形成することもできる。これらのなかでもセルロ
ース系ポリマーが好ましい。透明保護フィルムの厚さは
特に制限されないが、一般には500μm以下であり、
1〜300μmが好ましい。特に5〜200μmとする
のが好ましい。
【0032】前記透明保護フィルムの偏光子を接着させ
ない面(前記塗布層を設けない面)には、ハードコート
層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないし
アンチグレアを目的とした処理を施したものであっても
よい。
【0033】ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防
止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル
系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による
硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルム
の表面に付加する方式などにて形成することができる。
反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に
施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形
成により達成することができる。また、スティッキング
防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
【0034】またアンチグレア処理は偏光板の表面で外
光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止
等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト
方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子
の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表
面に微細凹凸構造を付与することにより形成することが
できる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒
子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリ
カ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化イ
ンジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる
導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポ
リマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用い
られる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使
用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重
量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜
25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過
光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡
大機能など)を兼ねるものであってもよい。
【0035】なお、前記反射防止層、スティッキング防
止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルム
そのものに設けることができるほか、別途光学層として
透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもで
きる。
【0036】前記偏光子と透明保護フィルムとの接着処
理には、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコー
ル系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス
系、水系ポリエステル等が用いられる。
【0037】本発明の光学フィルムは、前記偏光板に、
実用に際して他の光学層を積層して用いることができ
る。その光学層については特に限定はないが、例えば反
射板や半透過板、位相差板(1/2 や1/4等の波長板
を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形
成に用いられることのある光学層を1層または2層以上
用いることができる。特に、偏光板に更に反射板または
半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透
過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕
円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィル
ムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に
更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好まし
い。
【0038】反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けた
もので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表
示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのもの
であり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶
表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反
射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して
偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式な
どの適宜な方式にて行うことができる。
【0039】反射型偏光板の具体例としては、必要に応
じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニ
ウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射
層を形成したものなどがあげられる。また前記透明保護
フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、
その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげ
られる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱
反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防
止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また
微粒子含有の透明保護フィルムは、入射光及びその反射
光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制
しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面
微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成
は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、
スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適
宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法
などにより行うことができる。
【0040】反射板は前記の偏光板の透明保護フィルム
に直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じ
た適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなど
として用いることもできる。なお反射層は、通常、金属
からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板
等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の
低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護
層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0041】なお、半透過型偏光板は、上記において反
射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透
過型の反射層とすることにより得ることができる。半透
過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表
示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、
視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示
し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバ
ックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源
を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを
形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲
気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節
約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用い
て使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用で
ある。
【0042】偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕
円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を
楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏
光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向
を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直
線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える
位相差板としては、いわゆる1 /4 波長板(λ/4 板と
も言う)が用いられる。1 /2 波長板(λ/2 板とも言
う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用い
られる。
【0043】楕円偏光板はスーパーツイストネマチック
(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じ
た着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のな
い白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三
次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を
斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)するこ
とができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー
表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場
合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有す
る。
【0044】位相差板としては、高分子素材を一軸また
は二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマ
ーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムに
て支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特
に制限されないが、20〜150μm程度が一般的であ
る。
【0045】高分子素材としては、たとえば、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニ
ルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレ
ート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリ
フェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、
ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セ
ルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種
共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげら
れる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フ
ィルム)となる。
【0046】液晶性ポリマーとしては、たとえば、液晶
配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)が
ポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各
種のものなどがあげられる。主鎖型の液晶性ポリマーの
具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲ
ン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリ
エステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマー
やコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の
液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポ
リアクリレート、ポリメタクリレート又はポリマロネー
トを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなる
スペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環
状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあ
げられる。これら液晶性ポリマーは、たとえば、ガラス
板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の
薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化珪素を斜方蒸
着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液
を展開して熱処理することにより行われる。
【0047】位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の
複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなど
の使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであって
よく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特
性を制御したものなどであってもよい。
【0048】また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板
は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せ
で積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射
型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液
晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっ
ても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学
フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に
優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点
がある。
【0049】視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面
を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合で
も、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるた
めのフィルムである。このような視角補償位相差板とし
ては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フ
ィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持し
たものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に
一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用
いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる
位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有す
るポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ
方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折
を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延
伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとして
は、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着し
て加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを
延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマー
を斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素
材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと
同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく
視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡
大などを目的とした適宜なものを用いうる。
【0050】また良視認の広い視野角を達成する点など
より、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液
晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリ
アセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相
差板が好ましく用いうる。
【0051】偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた
偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用
される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバッ
クライトや裏側からの反射などにより自然光が入射する
と所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射
し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィ
ルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光
源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると
共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射され
る。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後
ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フ
ィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態
の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の
増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給
して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図る
ことにより輝度を向上させうるものである。すなわち、
輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液
晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合に
は、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する
光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透
過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によって
も異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてし
まい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少
し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸
収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させ
ずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側
に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィ
ルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反
射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るよ
うな偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは
透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの
光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画
面を明るくすることができる。
【0052】輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡
散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって
反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置
された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏
光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板
は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、す
なわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を
介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルム
に再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィ
ルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にも
どす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持
しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均
一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板
を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回
数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の
明るい表示画面を提供することができたものと考えられ
る。
【0053】前記の輝度向上フィルムとしては、例えば
誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィル
ムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過し
て他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液
晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム
基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいず
れか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示
すものなどの適宜なものを用いうる。
【0054】従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を
透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光
をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることによ
り、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過さ
せることができる。一方、コレステリック液晶層の如く
円偏光を投下するタイプの輝度向上フィルムでは、その
まま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑
制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化し
て偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相
差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を
直線偏光に変換することができる。
【0055】可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板
として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡
色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他
の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板とし
て機能する位相差層とを重畳する方式などにより得るこ
とができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に
配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層から
なるものであってよい。
【0056】なお、コレステリック液晶層についても、
反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3
層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域
等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることが
でき、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得る
ことができる。
【0057】また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板
の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層し
たものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏
光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型
楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
【0058】偏光板に前記光学層を積層した光学フィル
ムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する
方式にても形成することができるが、予め積層して光学
フィルムとしたのものは、品質の安定性や組立作業等に
優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる
利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用い
うる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それら
の光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配
置角度とすることができる。
【0059】前述した光学フィルム1への粘着剤層2の
形成方法としては、特に制限されず、粘着剤組成物(溶
液)を塗布し乾燥する方法、粘着剤層2を設けた離型シ
ート3により転写する方法等があげられる。粘着剤層2
(乾燥膜厚)は厚さ、特に限定されないが、10〜40
μm程度とするのが好ましい。
【0060】なお、離型シート3の構成材料としては、
紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレ
フタレート等の合成樹脂フィルム、ゴムシート、紙、
布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラ
ミネート体等の適宜な薄葉体等があげられる。離型シー
ト3の表面には、粘着剤層2からの剥離性を高めるた
め、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、
フッ素処理な剥離処理が施されていても良い。
【0061】なお本発明の粘着型光学フィルムの光学フ
ィルムや粘着剤層などの各層には、例えばサリチル酸エ
ステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾト
リアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニ
ッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式な
どの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであっ
てもよい。
【0062】本発明の粘着型光学フィルムは液晶表示装
置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができ
る。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。す
なわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと粘着型光学フ
ィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品
を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成
されるが、本発明においては本発明による偏光板または
光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来
に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やST
N型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0063】液晶セルの片側又は両側に粘着型光学フィ
ルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバック
ライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表
示装置を形成することができる。その場合、本発明によ
る偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又は両側
に設置することができる。両側に偏光板または光学フィ
ルムを設ける場合、それらは同じものであってもよい
し、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置
の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反
射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシー
ト、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な
位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0064】次いで有機エレクトロルミネセンス装置
(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機
EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と
金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミ
ネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層
は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニ
ルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン
等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あ
るいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電
子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入
層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み
合わせをもった構成が知られている。
【0065】有機EL表示装置は、透明電極と金属電極
とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と
電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によっ
て生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍
光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原
理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般
のダイオードと同様であり、このことからも予想できる
ように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴
う強い非線形性を示す。
【0066】有機EL表示装置においては、有機発光層
での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透
明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(IT
O)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として
用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上
げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが
重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を
用いている。
【0067】このような構成の有機EL表示装置におい
て、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜
で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と
同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に
透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを
透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面
側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示
装置の表示面が鏡面のように見える。
【0068】電圧の印加によって発光する有機発光層の
表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面
側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス
発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表
面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光
板との間に位相差板を設けることができる。
【0069】位相差板および偏光板は、外部から入射し
て金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するた
め、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視
認させないという効果がある。特に、位相差板を1 /4
波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向の
なす角をπ/4 に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に
遮蔽することができる。
【0070】すなわち、この有機EL表示装置に入射す
る外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過す
る。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光とな
るが、とくに位相差板が1 /4 波長板でしかも偏光板と
位相差板との偏光方向のなす角がπ/4 のときには円偏
光となる。
【0071】この円偏光は、透明基板、透明電極、有機
薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透
明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光
となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と
直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、
金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0072】
【実施例】以下に、実施例によって本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるも
のではない。重量平均分子量はゲルパーミェーションク
ロマトグラフィー法により求めた値である。なお、各例
中、部は重量部である。
【0073】実施例1 ブチルアクリレート100部、アクリル酸1部、2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート0.2部、アゾビスイソブ
チロニトリル0.4部および酢酸エチル150部を攪拌
しながら60℃近傍で6時間反応を行い、重量平均分子
量135万のアクリル系ポリマー溶液(Tg:−38
℃)を得た。上記アクリル系ポリマー溶液にポリブチル
アクリレート(重量平均分子量3000,Tg:−40
℃)を、ポリマー固形分100部に対して30部、3官
能性イソシアネート系化合物である日本ポリウレタン社
製コロネートLを0. 6部加え、粘着剤溶液を調製し
た。
【0074】比較例1 実施例1において、ポリブチルアクリレートを配合しな
いこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤溶液を調製
した。
【0075】比較例2 実施例1において、ポリブチルアクリレートを配合せ
ず、3官能性イソシアネート系化合物の配合量を0.0
2重量部に変えたこと以外は実施例1と同様にして、粘
着剤溶液を調製した。
【0076】比較例3 ブチルアクリレート50部、メチルアクリレート50
部、アクリル酸4部、アゾビスイソブチロニトリル0.
4部および酢酸エチル50部を攪拌しながら60℃近傍
で6時間反応を行い、重量平均分子量160万のアクリ
ル系ポリマー溶液(Tg:−25℃)を得た。上記アク
リル系ポリマー溶液に、ポリブチルアクリレート(重量
平均分子量3000)を、ポリマー固形分100部に対
して30部、3官能性イソシアネート系化合物である日
本ポリウレタン社製コロネートLをポリマー固形分10
0部に対して0. 3部加え、粘着剤溶液を調製した。
【0077】(粘着型光学フィルムの作製)厚さ80μ
mのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で
5倍に延伸したのち乾燥させ,両側にトリアセチルセル
ロースフィルムを接着剤を介して接着し、偏光フィルム
を得た。上記実施例および比較例で作製された粘着剤溶
液を、35μmの厚みを有する離型紙上に乾燥後の厚み
が25μmとなるよう塗布し、粘着剤バルクを得た。こ
れを上記により作製された偏光フィルムにラミネートし
粘着型偏光フィルムを得た。なお粘着剤層の架橋度は、
実施例1:60%、比較例1:70%、比較例2:20
%、比較例3:55%であった。
【0078】上記粘着型偏光フィルムについて以下の遅
延スペクトル等を測定を行った。その測定結果を表1に
示す。
【0079】(粘着剤層の遅延スペクトル測定)75m
m×30mm、厚み2mmのベークライト板に、10m
m×30mmにカットした粘着型偏光フィルムを接着面
積が10mm×10mmとなるように粘着剤を介して貼
り合わせ、23℃/65%RHに16時間放置した。こ
のサンプルを鉛直方向に固定し、偏光フィルムの端部に
500gの荷重を8時間かけた。その間、粘着型偏光フ
ィルムのひずみ量を連続的に測定タした。この測定か
ら、荷重をかけた後、10秒での遅延スペクトル値A、
1.0×103 秒での遅延スペクトル値Bを以下の式に
より求めた。結果を表1に示す。式(1)よりクリープ
コンプライアンスJ(t)を求めた。 式(1):J(t)=ε(t)/σ ε(t)は荷重負荷を行ってからt秒後のひずみ量、σ
は粘着剤の単位断面積あたりの応力値である。ここで求
められたJ(t)より、遅延スペクトル値:L(τ)を
以下の式(2)にて算出した。 式(2):L(τ)=(d/dlnt)×J(t)[m
2 /(N・logt)] ここでτは緩和時間を示す。
【0080】
【表1】 上記粘着型偏光フィルムについて微小気泡発生数の確認
を評価した。その評価結果を表2に示す。
【0081】(粘着型偏光フィルムのガラスへの貼り合
わせによる微小気泡発生数の確認)粘着型偏光フィルム
を280mm×210mmの大きさにカットし50枚積
層し、その上に0.01Mpaの荷重を16時間かけ
た。荷重を除去して偏光フィルムを一枚ずつ平面上に5
分放置した後、各粘着型偏光フィルムの粘着剤層をコー
ニング製無アルカリガラス板#1737上に貼り合わ
せ、50℃×0.05Mpa雰囲気下に5分間放置し
た。このサンプルを目視にて確認し、視認できる微小気
泡が確認されたサンプルの枚数をカウントした。
【0082】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着型光学フィルムの断面図である。
【符号の説明】
1 光学フィルム 2 粘着剤層 3 離型シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C09J 7/02 C09J 7/02 Z (72)発明者 長崎 国夫 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 丸岡 伸明 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 小豆澤 誠 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 太田 美絵 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 佐竹 正之 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 小笠原 晶子 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA06 BB51 BC14 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FA15Z FB02 FB08 FB12 FB13 FC02 FC03 FC06 FC07 FC09 FC25 FD14 GA17 HA07 HA10 LA02 LA16 4J004 AA10 AB01 CA01 CA03 CA06 CC03 FA01 FA08 4J040 DF011 DF041 DF051 DF061 DF101 EC232 EF262 HC01 HD41 JA09 JB09 KA16 LA01 MB03 NA17 PA23 5G435 AA01 BB12 FF05 HH02 HH03 HH05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学フィルムの一方の面に粘着剤層が積
    層されている粘着型光学フィルムであって、粘着剤層を
    介して、接着面積10mm×10mmで基板に固着し、
    500gの荷重をかけ、t秒後のひずみ量(μm)の測
    定値ε(t)から下式により求められる遅延スペクトル
    値:L(τ)が、10秒での遅延スペクトル値をA、
    1.0×103 秒での遅延スペクトル値をBとした場合
    に、A/B≧1. 5を満足することを特徴とする粘着型
    光学フィルム。 式(1):遅延スペクトル値:L(τ)=(d/dlnt)×J(t)[m2 /(N・logt)] J(t)=ε(t)/σにより求められるクリープコン
    プライアンスであり、ε(t)は荷重負荷を行ってから
    t秒後のひずみ量、σは粘着剤の単位断面積あたりの応
    力値である。ここでτは緩和時間を示す。
  2. 【請求項2】 前記粘着剤層が、重量平均分子量50万
    〜250万のアクリル系ポリマー(P1)、重量平均分
    子量10万以下のアクリル系ポリマー(P2)および多
    官能性化合物を含有する組成物の架橋物により形成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の粘着型光学フィ
    ルム。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の粘着型光学フィ
    ルムの粘着剤層の形成に用いられる光学フィルム用粘着
    剤組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の粘着型光学フィ
    ルムを用いた画像表示装置。
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