JP2003260794A - インクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法 - Google Patents

インクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法

Info

Publication number
JP2003260794A
JP2003260794A JP2002065670A JP2002065670A JP2003260794A JP 2003260794 A JP2003260794 A JP 2003260794A JP 2002065670 A JP2002065670 A JP 2002065670A JP 2002065670 A JP2002065670 A JP 2002065670A JP 2003260794 A JP2003260794 A JP 2003260794A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
pulse voltage
ejection
ink chamber
drive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002065670A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisashi Yoshimura
久 吉村
Naozumi Ueno
直純 上野
Takeshi Kaneda
剛士 家根田
Susumu Hirata
進 平田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2002065670A priority Critical patent/JP2003260794A/ja
Publication of JP2003260794A publication Critical patent/JP2003260794A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク室を構成する隔壁の最後の駆動により
残るヒステリシスの存在の有無によってインク滴の吐出
の状態が異なってしまい、これによって画質の劣化を招
くことを回避する。 【解決手段】 インク吐出制御対象のインク室6からの
インク滴の吐出動作に先立って、このインク室6を構成
する両隔壁22,22を内向きにヒステリシスが残る状
態に整える補正パルス電圧を印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク滴の吐出に
より記録媒体(記録用紙)上に画像形成を行うインクジ
ェット画像形成装置及びこの画像形成装置において実行
されるインクジェット画像形成方法に係る。特に、本発
明は、電歪素子を用いてインク滴の吐出圧を得る方式に
よって画像形成を行う場合の高画質化を図るための対策
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、インクジェット方式の画像形成
装置(以下、インクジェットプリンタと称す)では、給
紙される記録用紙の表面にインク滴が吐出されて画像形
成が行われる。つまり、形成しようとする画像に対して
2以上の多値化を行い、その処理によって得られたドッ
トのオン・オフの信号に基づいてインクジェットヘッド
の各ノズルからのインク滴の吐出制御を行って記録用紙
上に所定のドットを形成するようになっている。
【0003】また、このインク滴を吐出するための機構
としては種々の方式が提案されている。その一つとし
て、例えば特開昭63−247051号公報に開示され
ているように、電歪素子を用いてインク滴の吐出圧を得
るようにした方式がある。具体的には、図14に示すよ
うに、圧電材料より成るベースプレートaに複数の溝
b,b,…を形成すると共に、各溝b,b,…を仕切っ
ている隔壁c,c,…を、溝bの内部空間であるインク
室dの深さ方向に分極し、この隔壁cの所定領域(例え
ば上側半分)に駆動電極eを形成する。また、この溝b
の上部を閉塞するようにベースプレートa上にカバープ
レートfを取り付ける。尚、上記各溝b,b,…はダイ
ヤモンドブレード等による切削加工により形成されてい
る。また、駆動電極eはスパッタリング等によって形成
されている。
【0004】そして、画像信号に応じたパルス電圧を各
駆動電極e,e,…に個別に印加することで、各駆動電
極e,e,…間に電位差を与え、これによって上記分極
方向に直交する電界を生じさせる。このときに生じる圧
電剪断歪み効果により、各隔壁c,c,…が剪断変形す
る。この変形により、インク室d内に圧力波が発生し、
その圧力によりインク滴の吐出動作が行われるようにな
っている。
【0005】この各壁部c,c,…の剪断変形動作とし
ては、一般には、インク室dが拡張する方向に隔壁cが
作動するように所定の駆動電極eに吐出パルス電圧を与
えた後に、インク室dが収縮する方向に隔壁cが作動す
るように所定の駆動電極eに非吐出パルス電圧を与え
る。これにより、インク室d内のインクに圧力波動を作
用させ、このインク室dから図示しないインクノズルを
経てインク滴を吐出するようになっている。
【0006】また、この種のインク滴吐出方式では、隣
接する2つのインク室d,dから同時にインク滴を吐出
することができない。何故なら、互いに隣接するインク
室d,d同士が1つの隔壁cを共有しており、この隔壁
cの変形動作は、互いに隣接するインク室d,dのうち
一方のみからインク滴を吐出するように作動するからで
ある。
【0007】そのため、この種のインクジェットヘッド
では、一般には、所定数おき(例えば2つおき)に配置
された複数のインク室d,d,…を1つの相とする複数
のインク室相を構成しておき、各相に対してインク滴の
吐出制御を順次行うようにしている。以下、各相におけ
るインクの吐出動作について具体的に説明する。
【0008】今、図15に示すように、2つおきに配置
された複数のインク室同士を同一の相として構成して、
A,B,Cの3つの相によりインク滴の吐出制御を行う
場合について考える。図15においては、個々の相は、
第1,第2,第3の3つのインク室1A〜3Cから成っ
ている。この図15では、A相における第1インク室に
符号1Aを、第2インク室に符号2Aを、第3インク室
に符号3Aをそれぞれ付している。また、B相における
第1インク室に符号1Bを、第2インク室に符号2B
を、第3インク室に符号3Bをそれぞれ付している。C
相についても同様の符号を付している。
【0009】今、インク滴の吐出制御対象相がB相であ
って、このB相の第2インク室2B及び第3インク室3
Bからインク滴を吐出する場合を考える。この際、先
ず、これら各インク室2B,3Bの両側に隣接するイン
ク室2A,2C、3A,3Cの駆動電極e1,e1,…
をローレベルとし、第2インク室2B及び第3インク室
3Bの駆動電極e2,e2,…にハイレベルの電圧(上
記吐出パルス電圧)を印加する。これにより、この第2
インク室2B及び第3インク室3Bの駆動電極e2,e
2,…と、それぞれに隣り合う駆動電極e1,e1,…
との間に電位差が生じ、その際に発生する電界の作用に
よって第2インク室2B及び第3インク室3Bを構成し
ている各隔壁c,c,…は剪断変形してこれらインク室
2B,3Bの内部を拡大させる(図15(b)参照)。
その後、B相の第2インク室2B及び第3インク室3B
の駆動電極e2,e2,…へのハイレベルの電圧印加を
解除すると共に、これらインク室2B,3Bの両側に位
置するインク室2A,2C、3A,3Cの駆動電極e
1,e1,…にハイレベルの電圧(上記非吐出パルス電
圧)を印加する。これにより、インク室2B,3Bの駆
動電極e2,e2,…と、それぞれに隣り合う駆動電極
e1,e1,…との間に上記とは逆方向の電界が作用
し、これによって第2インク室2B及び第3インク室3
Bを構成している隔壁c,c,…は剪断変形して、これ
らインク室2B,3Bの内部を縮小させる(図15
(c)参照)。これにより、インク室2B,3B内に所
定の吐出圧力(波動)が発生し、ノズルからインク滴が
吐出される。図16は、上記吐出パルス電圧及び非吐出
パルス電圧の印加タイミングを示すパルス波形である。
このように、吐出パルス電圧の印加解除と同時に非吐出
パルス電圧を印加することで、インク室2B,3Bの拡
大、縮小を連続して行わせてインク滴吐出動作が行われ
る。
【0010】一方、上記インク滴吐出動作の場合、B相
の第1インク室1Bはインク滴を吐出しないため、この
第1インク室1Bの駆動電極e3,e3へは、この第1
インク室1Bの両側に位置するインク室1A,1Cの駆
動電極e4,e4,…と同一の電圧が同タイミングで印
加され、電極間に電位差を生じさせないことで上記剪断
変形が起こらないようにしている。
【0011】以上のようなB相に対するインク滴の吐出
制御動作が行われた後、次に、C相の各インク室1C,
2C,3Cに対するインク滴の吐出制御動作が行われ
る。このようにして、駆動パルス電圧の制御をA,B,
Cの各相に対して順に遷移させていくことにより、全て
のインク室1A〜3Cを有効に利用しながら連続的なイ
ンク吐出動作が行われるようになっている。
【0012】更に、この種のインクジェットプリンタに
おいて、各ノズルから吐出されるインク滴の大きさを変
えることなしに、記録用紙上の1ドットに対して打ち込
むインク滴の数を可変にして濃度階調を行うマルチドロ
ップ方式の画像形成動作も一般に知られている(例えば
特開平11−170521号公報参照)。この方式にお
いても、上述したような各駆動電極への印加電圧制御に
よってインク室からのインク滴の吐出制御を行うように
なっている。
【0013】図17は、このマルチドロップ方式におけ
る各駆動パルス電圧の印加タイミングを示すパルス波形
であって、単位時間(インク滴の吐出制御対象である相
の制御時間)当たりに、駆動パルス電圧を印加するため
の7つのパルス波形を生成し、それぞれのパルス波形を
制御することによって、1つのドットを形成するインク
滴の数を設定する場合を示している。このように、非吐
出期間にあるインク室(インク滴の吐出制御対象でない
相のインク室であって、上述したインク滴吐出動作にあ
ってはA相とC相の各インク室)にあっては非吐出パル
ス電圧が継続的に印加される(図17(b)参照)。一
方、吐出期間にあるインク室(インク滴の吐出制御対象
である相のインク室であって、上述したインク滴吐出動
作にあってはB相の各インク室)にあっては所定期間だ
け吐出パルス電圧を印加することで、この吐出パルス電
圧のパルス数だけインク滴が連続して吐出されて、これ
らインク滴により記録用紙上の1ドットを形成するよう
になっている。図17(c)は、この際の電極間の電位
差を示している。尚、この図17に示すパルス波形で
は、吐出期間にあるインク室の7つのパルス波形のうち
前側の4波形を吐出パルス波形とすることで4発のイン
ク滴が連続して吐出される。また、後側の3波形は、非
吐出パルス波形と同一の波形としている。このため、こ
の後側の3波形のパルス電圧が印加されている期間は、
電極間に電位差が生じず、上記剪断変形が起こらないた
め、インク滴は吐出されない。このように、吐出パルス
電圧のパルス数を制御することにより8階調(パルス数
0〜7)の濃度でドットを形成することができるように
なっている。
【0014】以下、このマルチドロップ方式において各
相を順に制御していく駆動パルス電圧の印加タイミング
について図18を用いて具体的に説明する。この図18
における(a)はA相の吐出期間を、(b)はB相の吐
出期間を、(c)はC相の吐出期間をそれぞれ示してい
る。
【0015】図18(a)のA相の吐出期間において、
グループ2(図中2Aのパルス波形参照)では2個のイ
ンク滴を吐出しているのに対し、グループ3(図中3A
のパルス波形参照)では5個のインク滴を吐出してい
る。この場合、グループ3(インク室3Aから吐出され
たインク滴により形成されるドット)の方がグループ2
(インク室2Aから吐出されたインク滴により形成され
るドット)よりも階調の濃い印字を行うことになる。
【0016】また、この図18に示すように、非吐出パ
ルスから吐出パルスに移行する間には休止期間(図17
におけるRT)が存在している。これは、インクを吐出
するノズルの先端に形成されたメニスカスの振動や、イ
ンク室(チャンネル)内のインクを吐出させたことによ
り発生した流動波などを静止させるためである。
【0017】更に、この種の駆動方式では、吐出パルス
の波形は全てが同じ波形となっている。同様に、非吐出
パルスの波形も全てが同じ波形となっている。これは、
各チャンネルの吐出条件を同じにすることにより、チャ
ンネルより吐出されるインク滴の体積を同じにするため
である。即ち、同じ階調で表現された印字媒体の各印字
ポイントにおいて、同じ色の濃淡にするためである。更
に、各休止期間も全て同じ幅(時間)となっている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の如く
パルス電圧を印加して隔壁を剪断変形させる際、この隔
壁には最後に駆動した電位の方向にヒステリシスとし
て、隔壁に変形状態が残る。具体的には、あるインク室
に対し、その両隣のインク室からの吐出駆動がないと
き、及び階調吐出2個目以降の場合には、このインク室
における前の駆動において、その両壁が内向きのヒステ
リシスを持った状態(前のインク吐出動作においてイン
ク室が収縮する方向に隔壁が作動した状態)となってお
り、この状態から上記のインク吐出動作が開始されるこ
とになる。このため、その開始と共に両壁は外向きへの
剪断変形となる。
【0019】一方、あるインク室においてインク吐出動
作を開始する際、その前に隣のインク室からのインク吐
出駆動があったときには、その隣のインク室との間の壁
が外向きのヒステリシスを持った状態(隣のインク室か
らのインク吐出動作に伴ってインク室が拡大する方向
(隣のインク室では収縮する方向)に隔壁が作動した状
態)から、インク吐出動作の開始と共に両壁は外向きへ
の剪断変形となる。つまり、両隣にインク吐出動作があ
った後には、両方の壁が外向きのヒステリシスを持った
状態からインク吐出動作の開始に伴って外向きへの剪断
変形となる。
【0020】このように、ヒステリシスにより隔壁に微
小の変形が残っている場合、反対方向に変形する場合
と、同方向に変形する場合との変形量に差が生じること
になり、この差が原因となって、インク滴の吐出状態が
異なってしまうといった現象が生じていることを本発明
の発明者らは見出した。
【0021】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、上記ヒステリシスの
存在の有無によってインク滴の吐出の状態が異なってし
まい、これによって画質の劣化を招くことを回避するこ
とにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】−発明の概要− 上記の目的を達成するために、本発明は、インク吐出制
御対象のインク室からのインク滴の吐出動作に先立っ
て、このインク室を構成する両隔壁を所定の方向、特に
内向きにヒステリシスが残る状態に整えるようにしてい
る。
【0023】−解決手段− 具体的には、少なくとも一部が圧電部材で構成され所定
方向に分極された隔壁と、この隔壁によって隔てられた
複数のインク室と、上記隔壁に設けられた駆動電極とを
備え、この駆動電極に所定の駆動パルス電圧を印加する
ことにより隔壁に電界を作用させて隔壁に剪断変形を生
じさせ、インク室からインク滴を吐出するインクジェッ
ト画像形成装置を前提とする。このインクジェット画像
形成装置に対し、インク吐出制御対象のインク室からの
インク滴の吐出動作に先立って、このインク室を構成し
ている両隔壁を共にインク室内側方向またはインク室外
側方向に剪断変形させるための補正パルス電圧を印加す
る駆動パルス発生手段を備えさせている。
【0024】例えば、チャンネル「n」にインクの連続
吐出が実行された場合、1個目のインク吐出動作が終了
した際のこのチャンネル「n」の両隔壁は共に内向きと
なっている。そして、連続吐出の2回目以降またはその
両側のチャンネルが駆動していないときには、その状態
から次のインク吐出動作が行われる。一方、チャンネル
「n+1」のみにおいてインク吐出動作が行われた場
合、チャンネル「n」のインク吐出動作の開始時には、
チャンネル「n−1」とチャンネル「n」との間の隔壁
はチャンネル「n」側に変形しており、チャンネル
「n」とチャンネル「n+1」との間の隔壁はチャンネ
ル「n+1」側に変形している。また、チャンネル「n
−1」及びチャンネル「n+1」の双方においてインク
吐出動作が行われた場合、チャンネル「n」のインク吐
出動作の開始時には、チャンネル「n−1」とチャンネ
ル「n」との間の隔壁はチャンネル「n−1」側に変形
しており、チャンネル「n」とチャンネル「n+1」と
の間の隔壁はチャンネル「n+1」側に変形している。
このように、隣のチャンネルの駆動の有無によってチャ
ンネル「n」の吐出前の両隔壁のヒステリシスの状態は
異なっており、インク吐出動作にバラツキが生じること
になる。
【0025】本解決手段では、隣のチャンネルが如何な
る駆動状態であっても、チャンネル「n」からのインク
滴の吐出動作に先立って、このインク室を構成している
両隔壁をインク室の所定方向、つまり、両隔壁を共にイ
ンク室内側方向またはインク室外側方向に剪断変形させ
るための補正パルス電圧を印加し、ヒステリシスの状態
を常に一定に維持している。このため、ヒステリシスの
状態がインク吐出動作にバラツキを生じさせるといった
ことがなくなり、常に安定したインク吐出動作を行うこ
とができる。
【0026】具体的な補正パルス電圧の印加状態として
は、インク吐出制御対象のインク室からのインク滴の吐
出動作に先立って、このインク室を構成している両隔壁
を共にインク室内側方向に剪断変形させるための補正パ
ルス電圧を印加するようにしている。
【0027】また、インク吐出制御対象のインク室が拡
張する方向に隔壁を変形させるように駆動電極に吐出パ
ルス電圧を与えた後に、このインク室が収縮する方向に
隔壁を変形させるように駆動電極に非吐出パルス電圧を
与えることによりインク吐出制御対象のインク室からイ
ンク滴を吐出するようにした場合において、インク吐出
制御対象のインク室からのインク滴の吐出動作に先立っ
て、隔壁に作用する電界方向がインク吐出制御対象のイ
ンク室の吐出時の上記非吐出パルス電圧印加時と同じと
なる補正パルス電圧を駆動電極に印加するようにしてい
る。
【0028】これらの特定事項により、インク吐出制御
対象のインク室からインク吐出を行うための吐出パルス
電圧の印加前には必ず両隣からインク吐出制御対象のイ
ンク室へ向かうヒステリシスを生じさせることができ
る。
【0029】また、所定数おきに配置された複数のイン
ク室同士を同一の相とする複数のインク室相を構成して
おき、各相に対してインク滴の吐出制御を順次行うよう
に構成されていると共に、インク吐出制御対象のインク
室が拡張する方向に隔壁を変形させるように駆動電極に
吐出パルス電圧を与えた後に、このインク室が収縮する
方向に隔壁を変形させるように駆動電極に非吐出パルス
電圧を与えることによりインク吐出制御対象のインク室
からインク滴を吐出するようになっている場合におい
て、インク吐出制御対象のインク室相のインク室からの
インク滴の吐出動作が終了した際、次のインク吐出制御
対象のインク室相のインク室からのインク滴の吐出動作
に先立って、上記吐出動作が終了したインク室相のイン
ク室の隔壁に作用する電界方向がそのインク室の吐出時
の上記吐出パルス電圧印加時と同じとなる補正パルス電
圧を駆動電極に印加するようにしている。これにより、
比較的簡単な補正パルス電圧印加動作によって、両隣か
らインク吐出制御対象のインク室へ向かうヒステリシス
を生じさせることが可能となる。
【0030】また、補正パルス電圧の電圧値を、インク
吐出制御対象のインク室に印加される吐出パルス電圧及
び非吐出パルス電圧の電圧値と同一値としている。これ
により、駆動回路で発生させる電圧値の数を減らすこと
が可能となり、駆動回路の簡素化を図ることができる。
【0031】更に、インク吐出制御対象のインク室相が
切り換わる際の休止期間中に補正パルス電圧を印加する
よう構成しておき、この休止期間を、補正パルス電圧を
印加するための時間よりも長い時間で且つ一定の時間に
設定している。このため、常に同じタイミングで補正パ
ルス電圧を印加する手法が容易に制御可能となる。
【0032】上記補正パルス電圧の印加時間は、50n
s〜1μsの時間幅に設定されている。補正パルス電圧
を印加することでインク室内に大きな圧力波が発生する
ことは、次のインク吐出動作に影響を及ぼすことになる
ため、この影響度はできるだけ少ない方が好ましい。ま
た、時間的にも長い補正パルス電圧を印加することは、
ヘッド駆動に長い時間が必要となるため駆動の周波数が
遅くなる。このため、隔壁が必要最小限だけ変形するの
が最も好ましく、上記期間によりそれを実現することが
可能になる。
【0033】また、指定されたインク滴数の吐出パルス
電圧の印加後、両隣のインク室に臨む駆動電極と同等の
吐出パルス電圧を印加することにより電極間を同電位と
して隔壁に剪断変形を生じさせない駆動方式(所謂マル
チドロップ方式)である場合にヒステリシスを解除する
手法として以下のものが掲げられる。つまり、インク吐
出制御対象のインク室に臨む駆動電極に印加される駆動
パルス電圧の1個、複数個または全数に対して、両隣の
インク室に臨む駆動電極に印加される駆動パルス電圧よ
りも遅れたタイミングで駆動パルス電圧の印加を終了す
るようにしている(図12参照)。この方式によって
も、上記補正パルス電圧を印加する場合と同様に、ヒス
テリシスの状態を常に一定に維持し、ヒステリシスの状
態がインク吐出動作にバラツキを生じさせるといったこ
とがなくなり、常に安定したインク吐出動作を行うこと
ができる。
【0034】この場合において、インク吐出が全階調数
で行われる状況にあっては、両隣のインク室に臨む駆動
電極に印加される駆動パルス電圧の印加時間に一部分が
短時間だけ重なる補正パルス電圧を印加するようにして
いる(図13参照)。インク吐出が全階調数で行われる
場合は、そうでない場合に比べて上記パルス印加時間だ
け長くなる。そのため、できるだけ短い時間で同等の効
果を得る必要がある。本解決手段はこれを実現するもの
である。
【0035】この場合に、駆動パルス電圧の遅れ時間は
50ns〜1μsの時間幅に設定されている。上記駆動
パルス電圧を印加することでインク室内に大きな圧力波
が発生することは、次のインク吐出動作に影響を及ぼす
ことになるため、この影響度はできるだけ少ない方が好
ましい。このため、隔壁が必要最小限だけ変形するのが
最も好ましく、上記期間によりそれを実現することが可
能になる。
【0036】また、上記各手段のインクジェット画像形
成装置において実行されるインクジェット画像形成方法
も本発明の技術的思想の範疇である。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0038】−インクジェットヘッドの構成説明− 先ず、本形態に係るインクジェットプリンタに搭載され
たインクジェットヘッドの基本構成について説明する。
図1はインクジェットヘッド1の外観を示す斜視図であ
る。図2はインクジェットヘッド1の分解斜視図であ
る。これら図に示すように、インクジェットヘッド1
は、ベースプレート2、カバープレート3、ノズルプレ
ート4及びインクインレット5を備えている。
【0039】ベースプレート2は、図3にも示すよう
に、底壁21と、この底壁21の上面に配置された複数
の隔壁22,22,…とを備えている。これら隔壁2
2,22,…同士は所定間隔を存して平行に配置されて
いる。これにより、各隔壁22,22,…同士の間には
後述するインク室6を構成するための複数の溝23,2
3,…が形成されている。また、上記ベースプレート2
の隔壁22は、その高さ方向(図3に矢印で示す方向)
に分極されている。
【0040】カバープレート3は、上記ベースプレート
2の上部に一体的に組み付けられて、各溝23,23,
…の上部を閉鎖している。具体的には、図4(図3にお
けるIV-IV線に沿った断面図)にも示すように、このカ
バープレート3は、ベースプレート2の上部に組み付け
られ、これにより、ベースプレート2の底壁21及び隔
壁22と、カバープレート3とによって囲まれた空間が
インク室6として構成され、このインク室6が隔壁22
を挟んで水平方向に複数配置されている。
【0041】上記ベースプレート2の内側には、駆動電
極7が形成されている。この駆動電極7は、図3に示す
ように、ベースプレート2の各隔壁22の側面のうち上
側約半分に形成されている。更に、これら駆動電極7
は、同一のインク室6内に配設されているもの同士が、
カバープレート3に設けられた接続電極73(図5参
照)によって接続されている。また、接続電極73には
外部取り出し電極71が接続されている。この外部取り
出し電極71にパルス電圧発生器72からのパルス電圧
の印加により、インク室6内で対面する両駆動電極7,
7には同パルス電圧が印加される構成となっている。ま
た、図1に示すように、上記外部取り出し電極71に
は、フレキシブル回路基板11を介してドライバIC1
2が接続されている。
【0042】ノズルプレート4は、ベースプレート2及
びカバープレート3の前面側(図2における手前側)に
取り付けられて、インク室6を閉鎖していると共に、各
インク室6,6,…に対応してノズル41,41,…が
形成されている。つまり、インク室6内にインク吐出用
の圧力が発生した場合、このインク室6に臨むノズル4
1から所定量のインク滴が水平方向(図2の矢印参照)
に吐出されるようになっている。
【0043】インクインレット5は、インク導入開口と
なるインク室6の後端面を覆うように取り付けられてお
り、図示しないインクタンクからインク室6,6,…へ
供給されるインクを濾過するフィルタ材51が設けられ
ている。
【0044】具体的に、本形態に係るインクジェットヘ
ッド1では、上記各インク室6は、高さ寸法が300μ
m、幅寸法が71μmであり、隔壁22の幅寸法が70
μmであり、インク室6のピッチが180dpiとなって
いる。また、駆動電極7は隔壁22の上端から150μ
mの位置まで斜め真空蒸着法により形成されたAl膜で
成っている。この駆動電極7の形成動作としては、上記
斜め真空蒸着によって隔壁22の側面の略上側半分及び
上面に亘って付着したAl膜のうち上面の膜を研磨によ
り削除することで隔壁22の各側面のAl膜を分離した
後、インク室6内で対向するAl膜同士を電気的に接続
するようにしている。また、カバープレート3は隔壁2
2の上面に接着剤によって接着されており、この接着層
(図示省略)の厚さ寸法は1μm以下に設定されてい
る。更に、ノズルプレート4に形成されたノズル41の
吐出側の径は20μmとなっている。このノズルプレー
ト4は、ポリイミドフィルムに撥水膜を塗布した後、エ
キシマレーザによりスルーホールで成る複数のノズル4
1,41,…を形成することにより得られる。このノズ
ル41,41,…のピッチは上記インク室6,6,…の
ピッチと同じく180dpiである。尚、上記各寸法及び
製造方法はこれに限られるものではない。
【0045】そして、本インクジェットヘッド1におけ
るインク滴吐出の基本動作としては、上記図15及び図
16を用いて説明した場合と同様に、所定数おき(例え
ば2つおき)に配置された複数のインク室6,6,…同
士を1つのインク室相とする複数の相を構成しておき、
各相に対してインク滴の吐出制御を順次行うようにして
いる。具体的には、図15に示すように、2つおきに配
置された複数のインク室同士を1つの相として構成し
て、A,B,Cの3つの相によりインク滴の吐出制御を
行う。
【0046】図6は、インク室NA,NB,NCを構成
する隔壁の変形状態を示し、インク室NBからインクの
吐出を行う場合である。図6(a)は全てのチャンネル
に駆動パルス電圧を印加していない状態である。この状
態を休止期間という。図6(b)はチャンネルNBを拡
張させることにより、このチャンネルNBにインクが吸
引されている状態を示す。図6(c)はチャンネルNB
を収縮させることにより、このチャンネルNBのノズル
からインクを吐出する状態を示す。
【0047】また、図7(a)は、チャンネルNBのノ
ズルからインクを吐出させるための駆動パルス電圧の波
形を示している。図7(b)は、何れのチャンネルのノ
ズルからもインクを吐出させないための駆動パルス電圧
の波形を示している。図7(c)は、何れのチャンネル
にも駆動パルス電圧を印加しない上記休止期間の波形を
示している。ここで、図6(b)に示すチャンネルNB
の拡張時、及び図6(c)に示すチャンネルNBの収縮
時のパルス波形は図7(a)に示すものである。このパ
ルス波形の電圧印加によるインクの吐出動作は上述した
場合と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0048】また、本インクジェットヘッド1は、各ノ
ズル41,41,…から吐出されるインク滴の大きさを
変えることなしに、記録用紙上の1ドットに対して打ち
込むインク滴の数を可変にして濃度階調を行うマルチド
ロップ方式が採用されている。つまり、上記図17を用
いて説明した場合と同様に、所定の駆動電極7に吐出パ
ルス電圧を与えてインク室6が拡張する方向に隔壁22
を作動させた後に、所定の駆動電極7に非吐出パルス電
圧を与えてインク室6が収縮する方向に隔壁22を作動
させるインク滴吐出動作を、1ドットに対して打ち込む
インク滴の数に応じて繰り返すことにより、必要滴数の
インク滴が連続してノズル41から吐出されるようにな
っている。このようにして吐出された複数のインク液
は、飛翔中に合体するかまたは記録用紙への着弾と同時
に合体して1ドットを形成するべく記録用紙上に付与さ
れる。
【0049】尚、駆動電極7に吐出パルス電圧を与えて
インク室6が拡張する方向に隔壁22を作動させた際、
この吐出パルス電圧の印加維持時間(吐出パルスのパル
ス幅)は、インク室6内の圧力波がインク室6の長手方
向を片道伝播する時間L/a(Lはインク室6の長さ寸
法、aはインク中の音速)である場合に、最も有効に圧
力変動を増大させることができ、吐出効率の向上を図る
ことができて、インク滴の吐出速度を高く得ることがで
きる。本形態では、各駆動パルス電圧の印加時間として
は、インク滴吐出用の圧力波がインク室の後端部から先
端のインク吐出部へ伝播する時間をALとしたとき、吐
出パルス電圧の印加時間がAL、非吐出パルス電圧の印
加時間が2AL、インク滴の吐出周期が3.5ALにそ
れぞれ設定されている。また、各駆動パルス電圧の電圧
値は互いに同一に設定されており、電源の共有化が図ら
れている。
【0050】−駆動パルス発生手段の構成説明− 本インクジェットヘッド1は、上述した吐出パルス電圧
及び非吐出パルス電圧を発生させるための駆動パルスコ
ントローラ81を備えている(図5参照)。そして、こ
の駆動パルスコントローラ81の特徴としては、上記各
パルス電圧発生器72,72,…に対して、吐出パルス
電圧及び非吐出パルス電圧を発生させる制御信号を送信
するだけでなく、各インク室6,6,…のインク吐出動
作において最後に駆動した電位の方向にヒステリシスと
して隔壁22に残っている変形を解除するための補正パ
ルス電圧を各パルス電圧発生器72,72,…に発生さ
せるための制御信号を送信するよう構成されていること
にある。これにより、上記駆動パルスコントローラ81
及び各パルス電圧発生器72,72,…によって本発明
でいう駆動パルス発生手段8が構成されている。
【0051】このヒステリシスを解除するための補正パ
ルス電圧は、インク吐出制御対象のインク室6からのイ
ンク滴の吐出動作に先立って、このインク室6を構成し
ている両隔壁22,22をインク室6内側に剪断変形さ
せるためのものである。具体的には、インク吐出制御対
象のインク室6からのインク滴の吐出動作に先立って、
このインク室6に臨む駆動電極7にLOW、その隣の駆動
電極7にHIGHとなる補正パルス電圧を印加するようにな
っている。具体的な印加動作については後述する。
【0052】−ヒステリシス解除動作の説明− 次に、ヒステリシス解除動作について説明する。先ず、
1ドットの1相のみの駆動(図8a)、1ドットの2相
のみの駆動(図8b)、1ドットの3相全ての駆動(図
8c)、これらの駆動電圧とインク吐出速度との関係
(図9)について説明する。
【0053】上述したように、駆動前のヒステリシス発
生状況として、図8(a)では両隔壁共に内向き、図8
(b)では片方の隔壁のみが内向き、図8(c)では両
隔壁共に外向きとなっている。図9に示すように、これ
ら駆動電圧に対するインク吐出速度は異なっている。本
形態では、この駆動前にヒステリシスを合わせるための
制御動作が行われる。
【0054】図10に示す駆動パルス電圧波形によれ
ば、インク吐出動作を開始する前の休止期間中に、イン
ク吐出制御対象のチャンネルの両隣のチャンネルに比較
的短い時間幅をもった補正パルス電圧(隔壁に作用する
電界方向がインク吐出制御対象のインク室の吐出時の上
記非吐出パルス電圧印加時と同じとなる補正パルス電
圧)を印加している。これにより、インク吐出制御対象
のチャンネルを駆動する前にヒステリシスがそのチャン
ネルのインク室6の内向きになるように整えている。
【0055】このように補正パルス電圧を印加すること
により、隣のチャンネルが如何なる駆動状態でインク吐
出動作を終了したとしても、制御対象であるチャンネル
の両隔壁のヒステリシスの状態を常に一定に維持するこ
とができる。このため、ヒステリシスの状態がインク吐
出動作にバラツキを生じさせるといったことがなくな
り、常に安定したインク吐出動作を行うことができる。
【0056】また、他の例として、図11に示す駆動パ
ルス電圧波形によれば、あるチャンネルを駆動した後、
次のチャンネルに駆動が切り換わる前の休止期間中に、
この駆動が終了したチャンネルのみに対してヒステリシ
スが外側に向くようにパルス電圧(吐出動作が終了した
インク室相のインク室の隔壁に作用する電界方向がその
インク室の吐出時の上記吐出パルス電圧印加時と同じと
なる補正パルス電圧)を印加している。これにより、次
のチャンネル(インク吐出制御対象となるチャンネル)
が駆動する前に、そのチャンネルの両側の隔壁22,2
2が内向きのヒステリシスの状態になる。従って、この
場合にも常に安定したインク吐出動作を行うことができ
る。
【0057】また、上述した図10及び図11の駆動パ
ルス電圧波形を印加する場合において、最後のパルス電
圧の印加から次の相における最初のパルス電圧の印加ま
での間に、ヒステリシスを整えるための補正パルス電圧
を印加するために、図中RTで示す休止期間が従来の時
間よりも、この補正パルス電圧を印加する時間分だけ長
く必要になる。
【0058】また、この補正パルス電圧の印加により隔
壁22が変形し、ヒステリシスの方向が変わるが、隔壁
22の変形によって圧力波が発生するとインク吐出に悪
影響が及んでしまう可能性がある。そのため、隔壁22
の変形によって圧力波が発生する前に隔壁22が戻るく
らいの短いパルスが望ましい。最適なものとしては、ヒ
ステリシスを解消する量だけ隔壁22が変形するような
パルス幅に設定する。
【0059】隔壁22の厚さ寸法が70μmである場
合、その隔壁22に形成されている駆動電極7に電圧を
印加してから隔壁22の変形が終了するまでの時間は2
00nsである。従って、この200nsの補正パルス
電圧を印加すれば、隔壁22が変形後に直ちに戻るた
め、圧力波への影響は殆どなくなる。
【0060】また、他の方法として図12に示す駆動パ
ルス電圧波形を印加するものが掲げられる。つまり、吐
出が終了したチャンネルの駆動は両隣のチャンネルと同
等のNONACTパルスを印加することで、隔壁の両面
の電位差をなくし、隔壁の変形をなくしている。
【0061】そのため、選択されているチャンネルの信
号のみパルス幅を長くすることで上記の場合と同様にヒ
ステリシスの方向を揃えることが可能である。図12で
は、このパルス幅が延長された部分をLTで示してい
る。
【0062】また、全階調数のインク滴を吐出したとき
には、図13に示すように、NONACTパルスの立ち
下がるタイミングで上記補正パルス電圧を印加し、両隣
のNONACTパルスを延長する(延長幅LT’)。ま
た、それより50nsから1μsの時間だけ遅れてパル
スAを立ち下げる方法を採用することが望ましい。
【0063】このとき、両隣のNONACTパルスを延
長しない方法も考えられる。ところが、この場合、両壁
面の変形が内方向から一気に外方向になってしまう。こ
れに対し、図13のパルス波形を採用すれば、壁面22
の両側に電圧を印加することで電位差が生じず、壁面の
中立状態をつくり、その後に、外方向に変形させること
になり、圧力波の発生が少なくなるため好ましい。
【0064】−その他の実施形態− 上記実施形態では、単位時間当たりに第1〜第7の7つ
のパルス波形を制御することによって連続吐出するイン
ク滴の数を設定し、このインク滴によって1つのドット
を形成する場合について説明した。つまり、8階調の濃
度でドットを形成できるように構成されたインクジェッ
トヘッド1に本発明を適用した場合について説明した。
本発明は、これに限らず、6つ以下のパルス波形を制御
することでインク滴の数を設定したり、8つ以上のパル
ス波形を制御することでインク滴の数を設定するインク
ジェットヘッドに対しても適用可能である。
【0065】また、上記実施形態では、インク室両側の
隔壁22,22のヒステリシスがインク室6の内向きに
なるように整えていたが、本発明はこれに限らず、イン
ク室両側の隔壁22,22のヒステリシスをインク室6
の外向きになるように整えてもよい。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明では、インク吐出
制御対象のインク室からのインク滴の吐出動作に先立っ
て、このインク室を構成する両隔壁を共に内向きまたは
外向きにヒステリシスが残る状態に整えるようにしてい
る。このため、ヒステリシスの状態がインク吐出動作に
バラツキを生じさせるといったことがなくなり、常に安
定したインク吐出動作を行うことができ、その結果、形
成される画像の高画質化を図ることができる。
【0067】また、指定された吐出ドットの吐出パルス
電圧の印加後、両隣のインク室に臨む駆動電極と同等の
吐出パルス電圧を印加することにより電極間を同電位と
して隔壁に剪断変形を生じさせない駆動方式である場合
に、インク吐出制御対象のインク室に臨む駆動電極に印
加される駆動パルス電圧の1個、複数個または全数にお
いて、両隣のインク室に臨む駆動電極に印加される駆動
パルス電圧よりも遅れたタイミングで駆動パルス電圧の
印加を終了するようにしている。この場合にも、上記補
正パルス電圧を印加する場合と同様に、ヒステリシスの
状態を常に一定に維持し、ヒステリシスの状態がインク
吐出動作にバラツキを生じさせるといったことがなくな
り、常に安定したインク吐出動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るインクジェットヘッドの外観を
示す斜視図である。
【図2】インクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図3】インクジェットヘッドをインク吐出方向から見
た断面図である。
【図4】図3におけるIV-IV線に沿った断面図である。
【図5】駆動電極に対して電圧を印加するための制御ブ
ロック図である。
【図6】インク室を構成する隔壁の変形動作を説明する
ための図である。
【図7】各チャンネルに対する駆動パルス電圧及び電極
間の電位差の変化を説明するための図である。
【図8】ヒステリシスの発生状態を説明するための各駆
動パルス電圧の印加タイミングを示す図である。
【図9】駆動電圧とインク吐出速度との関係を示す図で
ある。
【図10】ヒステリシス解除動作を説明するための各駆
動パルス電圧波形の一例を示す図である。
【図11】ヒステリシス解除動作を説明するための各駆
動パルス電圧波形の他の一例を示す図である。
【図12】ヒステリシス解除動作を説明するための各駆
動パルス電圧波形の他の一例を示す図である。
【図13】ヒステリシス解除動作を説明するための各駆
動パルス電圧波形の他の一例を示す図である。
【図14】従来例における図3相当図である。
【図15】各インク室相のインク滴吐出制御動作を説明
するための図3相当図である。
【図16】吐出パルス電圧及び非吐出パルス電圧の印加
タイミングを示す図である。
【図17】従来のマルチドロップ方式における各駆動パ
ルス電圧の印加タイミングを示す図である。
【図18】従来のマルチドロップ方式における各相の吐
出期間における駆動パルス電圧の印加タイミングの一例
を示す図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 22 隔壁 6 インク室 7 駆動電極 8 駆動パルス発生手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 家根田 剛士 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 平田 進 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF21 AG45 AM21 AM22 AR08 AR16 BA03 BA14

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一部が圧電部材で構成され所
    定方向に分極された隔壁と、この隔壁によって隔てられ
    た複数のインク室と、上記隔壁に設けられた駆動電極と
    を備え、この駆動電極に所定の駆動パルス電圧を印加す
    ることにより隔壁に電界を作用させて隔壁に剪断変形を
    生じさせ、インク室からインク滴を吐出するインクジェ
    ット画像形成装置において、 インク吐出制御対象のインク室からのインク滴の吐出動
    作に先立って、このインク室を構成している両隔壁を共
    にインク室内側方向またはインク室外側方向に剪断変形
    させるための補正パルス電圧を印加する駆動パルス発生
    手段を備えていることを特徴とするインクジェット画像
    形成装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のインクジェット画像形成
    装置において、 駆動パルス発生手段は、インク吐出制御対象のインク室
    からのインク滴の吐出動作に先立って、このインク室を
    構成している両隔壁を共にインク室内側方向に剪断変形
    させるための補正パルス電圧を印加するよう構成されて
    いることを特徴とするインクジェット画像形成装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のインクジェット画像形成
    装置において、 インク吐出制御対象のインク室が拡張する方向に隔壁を
    変形させるように駆動電極に吐出パルス電圧を与えた後
    に、このインク室が収縮する方向に隔壁を変形させるよ
    うに駆動電極に非吐出パルス電圧を与えることによりイ
    ンク吐出制御対象のインク室からインク滴を吐出するよ
    うになっており、 駆動パルス発生手段は、インク吐出制御対象のインク室
    からのインク滴の吐出動作に先立って、隔壁に作用する
    電界方向がインク吐出制御対象のインク室の吐出時の上
    記非吐出パルス電圧印加時と同じとなる補正パルス電圧
    を駆動電極に印加するよう構成されていることを特徴と
    するインクジェット画像形成装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のインクジェット画像形成
    装置において、 所定数おきに配置された複数のインク室同士を同一の相
    とする複数のインク室相を構成しておき、各相に対して
    インク滴の吐出制御を順次行うように構成されていると
    共に、インク吐出制御対象のインク室が拡張する方向に
    隔壁を変形させるように駆動電極に吐出パルス電圧を与
    えた後に、このインク室が収縮する方向に隔壁を変形さ
    せるように駆動電極に非吐出パルス電圧を与えることに
    よりインク吐出制御対象のインク室からインク滴を吐出
    するようになっている一方、 駆動パルス発生手段は、インク吐出制御対象のインク室
    相のインク室からのインク滴の吐出動作が終了した際、
    次のインク吐出制御対象のインク室相のインク室からの
    インク滴の吐出動作に先立って、上記吐出動作が終了し
    たインク室相のインク室の隔壁に作用する電界方向がそ
    のインク室の吐出時の上記吐出パルス電圧印加時と同じ
    となる補正パルス電圧を駆動電極に印加するよう構成さ
    れていることを特徴とするインクジェット画像形成装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載のインクジェット
    画像形成装置において、 補正パルス電圧の電圧値は、インク吐出制御対象のイン
    ク室に印加される吐出パルス電圧及び非吐出パルス電圧
    の電圧値と同一値となるよう構成されていることを特徴
    とするインクジェット画像形成装置。
  6. 【請求項6】 請求項4記載のインクジェット画像形成
    装置において、 駆動パルス発生手段は、インク吐出制御対象のインク室
    相が切り換わる際の休止期間中に補正パルス電圧を印加
    するよう構成されており、この休止期間は補正パルス電
    圧を印加するための時間よりも長い時間で且つ一定の時
    間に設定されていることを特徴とするインクジェット画
    像形成装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のうち何れか一つに記載の
    インクジェット画像形成装置において、 駆動パルス発生手段による補正パルス電圧の印加時間
    は、50ns〜1μsの時間幅に設定されていることを
    特徴とするインクジェット画像形成装置。
  8. 【請求項8】 少なくとも一部が圧電部材で構成され所
    定方向に分極された隔壁と、この隔壁によって隔てられ
    た複数のインク室と、上記隔壁に設けられた駆動電極と
    を備え、この駆動電極に所定の駆動パルス電圧を印加す
    ることにより隔壁に電界を作用させて隔壁に剪断変形を
    生じさせ、駆動パルス電圧のパルス数に応じてインク室
    から吐出するインク滴の数を制御してドット径を調整可
    能とするインクジェット画像形成装置において、 指定されたインク滴数の吐出パルス電圧の印加後、両隣
    のインク室に臨む駆動電極と同等の吐出パルス電圧を印
    加することにより電極間を同電位として隔壁に剪断変形
    を生じさせない駆動方式となっており、 インク吐出制御対象のインク室に臨む駆動電極に印加さ
    れる駆動パルス電圧の1個、複数個または全数に対し
    て、両隣のインク室に臨む駆動電極に印加される駆動パ
    ルス電圧よりも遅れたタイミングで駆動パルス電圧の印
    加を終了するよう構成されていることを特徴とするイン
    クジェット画像形成装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のインクジェット画像形成
    装置において、 インク吐出が全階調数で行われる場合、両隣のインク室
    に臨む駆動電極に印加される駆動パルス電圧の印加時間
    に一部分が短時間だけ重なる補正パルス電圧を印加する
    よう構成されていることを特徴とするインクジェット画
    像形成装置。
  10. 【請求項10】 請求項8記載のインクジェット画像形
    成装置において、 駆動パルス電圧の遅れ時間は、50ns〜1μsの時間
    幅に設定されていることを特徴とするインクジェット画
    像形成装置。
  11. 【請求項11】 上記請求項1〜10のうち何れか一つ
    に記載のインクジェット画像形成装置において実行され
    るインクジェット画像形成方法。
JP2002065670A 2002-03-11 2002-03-11 インクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法 Pending JP2003260794A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002065670A JP2003260794A (ja) 2002-03-11 2002-03-11 インクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002065670A JP2003260794A (ja) 2002-03-11 2002-03-11 インクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003260794A true JP2003260794A (ja) 2003-09-16

Family

ID=28671294

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002065670A Pending JP2003260794A (ja) 2002-03-11 2002-03-11 インクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003260794A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7661785B2 (en) 2005-06-16 2010-02-16 Toshiba Tec Kabushiki Kaisha Ink jet head driving method and apparatus
JP2016022645A (ja) * 2014-07-18 2016-02-08 株式会社東芝 インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
JP2018114642A (ja) * 2017-01-17 2018-07-26 東芝テック株式会社 インクジェットヘッド

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7661785B2 (en) 2005-06-16 2010-02-16 Toshiba Tec Kabushiki Kaisha Ink jet head driving method and apparatus
JP2016022645A (ja) * 2014-07-18 2016-02-08 株式会社東芝 インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
JP2018114642A (ja) * 2017-01-17 2018-07-26 東芝テック株式会社 インクジェットヘッド
JP7012436B2 (ja) 2017-01-17 2022-01-28 東芝テック株式会社 インクジェットヘッド

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6488349B1 (en) Ink-jet head and ink-jet type recording apparatus
EP3702159B1 (en) Liquid discharge head and printer
JP2002137390A (ja) インクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法
JP4313388B2 (ja) インクジェット記録装置の駆動方法および駆動装置
JP2004058606A (ja) 液体噴射装置
JP3241352B2 (ja) インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置
US8057002B2 (en) Method of driving an ink-jet head, ink-jet head, and ink-jet recording apparatus
JP2008049713A (ja) インクジェット式記録装置
JP3500692B2 (ja) インクジェット記録装置
JP3661731B2 (ja) インクジェット式記録装置
JP2004042414A (ja) インクジェットヘッドの駆動方法およびその駆動方法を用いたインクジェット印刷装置
JPH08174823A (ja) インクジェット式プリントヘッド及びその駆動方法
JP2003260794A (ja) インクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法
JP2003266667A (ja) インクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法
JP2001179949A (ja) インクジェット式記録装置
JP3260351B2 (ja) インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置
JP5304498B2 (ja) インクジェット記録装置
JP2020055213A (ja) 液体吐出ヘッド
JP3648598B2 (ja) インク吐出制御方法およびインク吐出装置
JP7458914B2 (ja) 液体吐出ヘッド及びプリンタ
JP3978752B2 (ja) インクジェットプリンタ、ならびにインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置および方法
JP3767659B2 (ja) インクジェットプリンタ、ならびにインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置および方法
JP3767658B2 (ja) インクジェットプリンタ、ならびにインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置および方法
JP3413790B2 (ja) インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動装置、インクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法およびインクの吐出方法
JP2006150983A (ja) インクジェットプリンタ、およびインクジェットプリンタ用記録ヘッドの駆動方法