JP2003257860A - 半導体素子およびその製造方法 - Google Patents

半導体素子およびその製造方法

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JP2003257860A
JP2003257860A JP2002262137A JP2002262137A JP2003257860A JP 2003257860 A JP2003257860 A JP 2003257860A JP 2002262137 A JP2002262137 A JP 2002262137A JP 2002262137 A JP2002262137 A JP 2002262137A JP 2003257860 A JP2003257860 A JP 2003257860A
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semiconductor
film
layer
semiconductor layer
thermal conductivity
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JP2002262137A
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Junichiro Nakayama
純一郎 中山
Shinya Okazaki
真也 岡崎
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザ照射により溶融した半導体素子の冷却
速度を均一にし、成長する結晶を均一かつ大きくするこ
とで、デバイス特性を向上できる半導体素子およびその
製造方法を提供することにある。 【解決手段】 透明基板2上に、下地膜3、シリコン膜
4の順に積み重ねられた半導体素子1であって、下地膜
3は、半導体膜4よりも熱伝導度が高く、半導体膜4
は、半導体素子1をレーザ照射することにより溶融され
た半導体が結晶化された層であることを特徴とする半導
体素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザを用いて非
晶質半導体材料を結晶化した半導体素子およびその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、半導体デバイスの製造方法と
して、単結晶シリコン(Si)材料を用いる方法がある
が、この製造方法の他にもガラス基板上にシリコン薄膜
を形成したシリコン薄膜を用いる製造方法がある。ガラ
ス基板上に形成したシリコン薄膜を用いることによって
製造された半導体デバイスは、イメージセンサやアクテ
ィブマトリクス液晶表示装置の一部として用いられる。
【0003】ここで、液晶表示装置において、半導体デ
バイスは、透明な基板上に規則的なアレイとして配列さ
れるTFT(Thin Film Transistor,薄膜トランジス
タ)として用いられる。そして、上記TFTの各トラン
ジスタは、液晶表示装置における画素コントローラとし
て作用する。なお、従来、液晶表示装置のTFTは、非
晶質シリコン膜により形成されている。
【0004】ところが、近年、電子の移動度の低い非晶
質シリコン膜の代わりに、電子の移動度の高い多結晶シ
リコン膜を用いて、TFTのスイッチング特性を増強
し、表示速度を高速化したTFT液晶表示装置が製造さ
れるようになってきている。ここで、多結晶シリコン膜
を製造する方法として、例えば、基板上に堆積している
非晶質または微結晶シリコン膜にエキシマレーザを照射
して結晶化(ELC,Excimer Lazer Crystalization)
する方法がある。
【0005】上記ELC法は、サンプルに対し、一定速
度で走査しながら、長さ200〜400mm、幅0.2
〜1.0mm程度の線状レーザビームを半導体膜上に連
続的に照射する方法が一般的である。このときレーザを
照射した部分の半導体膜は、厚さ方向全域に亘って溶融
するのではなく、一部の半導体膜領域を残したまま溶融
する。このため、未溶融領域/溶融領域界面全面におい
て、いたるところに結晶核が発生し、半導体膜最表層に
向かって結晶が成長し、ランダムな方位の結晶粒が形成
されるため、結晶粒径は100〜200nmと非常に小
さくなる。
【0006】多結晶シリコン膜の結晶粒界には、不対電
子が多数存在するためポテンシャル障壁を形成し、キャ
リアの強い散乱体として作用する。従って結晶粒界が少
ない、つまり結晶粒径が大きい多結晶シリコン膜で形成
されたTFTほど、一般に電界効果移動度は高くなる。
【0007】しかしながら、従来のELC法では、前述
のように、未溶融領域/溶融領域界面のランダムな位置
において結晶化が起こる縦方向結晶成長であるので、大
粒径の多結晶シリコン膜を得ることは難しいため、電界
効果移動度の高いTFTを得ることが困難であった。ま
た、ランダムに結晶化するため、このような場合、各T
FT相互間で構造の不均一性が生じると共に、TFTア
レイにスイッチング特性の不均一性が生じてしまうとい
う不具合が生じる。また、このような不具合が生じる
と、TFT液晶表示装置において、1つの表示画面中に
表示速度の速い画素と表示速度の遅い画素とが並存する
という問題が生じる。
【0008】そこで、特表2000−505241号公
報では、いわゆる非晶質材料の結晶横方向成長(SL
S,Sequential Lateral Solidification )法が提案さ
れている。この方法は、図5に示すようなレーザ加工装
置によって、微細幅のパルスレーザを半導体に照射し、
半導体膜をレーザ照射領域の厚さ方向全域にわたって溶
融、凝固させて結晶化を行うものである。このレーザ加
工装置によれば、光源100から出射したエキシマレー
ザが、ビームスプリッタ101により分離され、光透過
性を有する透明基板102上における半導体膜(半導体
材料)103の両面に照射される。ここで、半導体膜1
03は、図6に示すように下地膜104とシリコン膜1
05とから構成される。
【0009】以下、上記方法の手順を示す。まず、図6
に示すように、透明基板102上の半導体膜103の延
設方向(図中AB方向)に沿って結晶領域を形成するに
当たり、半導体膜103内の領域Cに熱を誘導する。熱
の誘導は、半導体膜103の領域C以外の領域をマスキ
ングした後、半導体膜103をレーザ露光することによ
り行われる。これにより、領域Cに照射されたレーザ光
のエネルギーが熱エネルギーに変換され、半導体膜10
3内の領域Cに熱を誘導することができると共に、その
厚さにわたって溶融することができる。
【0010】つぎに、領域Cにて溶融されている半導体
膜103を冷却することにより凝固させると、図7
(a)に示すように、領域Cとそれ以外の領域との境界
から、領域Cの中心に向かうようにして、結晶(同図中
の斜線部)が成長する。なお、図7(a)は、図6にお
ける半導体膜103をE方向に向けて写した上面図であ
る。
【0011】さらに、図7(b)に示すように、領域C
内の結晶が形成されていない部分が含まれるように、領
域Cと隣り合う新たな領域Dを設定し、上記手順と同様
に領域Dを溶融する。そして、上記同様、領域Dにて溶
融されている半導体膜103を凝固させると、図7
(c)に示すように、領域D内に結晶が成長する。
【0012】このような手順を繰り返し、所望の結晶を
半導体膜103の延設方向に沿って段階的に形成させる
ことで、図7(d)に示すように、多結晶構造の半導体
結晶を拡大させることができる。これにより、結晶粒の
大きい多結晶シリコン膜を形成することができる。
【0013】上記方法によれば、例えば2〜10μmの
微細幅のレーザ照射によって、レーザ照射領域が溶融
し、未溶融領域/溶融領域界面から横方向、すなわち基
板に水平な方向に結晶成長し、溶融領域中央部において
発生した微結晶と、両側から成長した結晶が衝突し、成
長が終了する。
【0014】ここで、上記多結晶シリコン膜を構成する
各結晶が小さい場合、各結晶の方向および配列がランダ
ムになると共に、角度のある粒界が増加する(大傾角粒
界)。このような状態では、上記多結晶シリコン膜にお
いて、大傾角粒界が電子の移動を阻害する。この結果、
電子の移動度があまり高くならず、TFT液晶表示装置
の動作速度はあまり速くならない。一方、各結晶が大き
い場合は、このような問題が生じない。したがって、多
結晶シリコン膜を構成する各結晶は、規則的かつ均一な
構造で結晶化されているのみならず、デバイス性能が制
限されない程度にまで、上記各多結晶シリコン膜を構成
する各結晶を大きく成長させる必要がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記結
晶横方向成長法では、一回のレーザ照射によって成長す
る各結晶は針状結晶で、その長さは高々1μm程度であ
り、デバイス性能が制限されない程度の長さの結晶とす
るためには、多数回のレーザ照射をしなければならな
い。ところが、上記結晶横方向成長法では、結晶成長方
向が一方向であるため、一方向にのみ長い針状結晶を成
長させることができるが、この針状結晶の太さをより太
くすることができない。
【0016】そこで、上記結晶横方向成長方法では、結
晶が成長する方向をコントロールし、各結晶をできるだ
け大きくする試みがなされている。具体的には、半導体
膜103の照射エリアを変形させることや(例えば山形
のマスクを使用する)、下地膜104またはシリコン膜
105を予め変形させることで、結晶が成長する方向を
コントロールし、可能な限り、結晶を大きくする工夫が
なされている。
【0017】しかしながら、照射エリアを変形したとし
ても、結晶が成長するエリアの広さは結晶化段階での冷
却過程に関連するものであり、単に溶融エリアを変形し
ただけでは成長する結晶の大きさに限界がある。例え
ば、照射エリアを上記山形に変形すれば、結晶は山形の
頂点から広がる範囲の大きさしか広がらない。
【0018】また、結晶化エリアを予めパターニングす
ることにより、多結晶構造体を構成する各結晶を大きく
する手段も考えられる。しかし、この手段によれば、基
板全面の結晶化が困難であり、コスト面で不利である。
【0019】さらに、特開平10−163112号公報
に記載されている技術では、結晶化される半導体膜の下
地膜において、部分的に熱伝導度の異なる材料を設ける
ことにより、結晶化を均一にしようとする試みがなされ
ている。ところが、この製造プロセスによれば、下地層
を部分的に成膜しなければならず、工程が複雑になる。
【0020】本発明は、上記の問題を解決するためにな
されたものであり、その目的は、結晶横方向成長法を用
いて、成長する結晶を均一かつ大きくすることで、デバ
イス特性を向上できる半導体素子およびその製造方法を
提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明に係る半導体素子
は、上記の課題を解決するために、基板上に、下地層、
半導体層の順に積み重ねられた半導体素子であって、上
記下地層は、上記半導体層よりも熱伝導度が高く、上記
半導体層は、上記半導体素子をレーザ照射することによ
り溶融された半導体が結晶化された層であることを特徴
とする。
【0022】また、本発明に係る半導体素子の製造方法
は、上記の課題を解決するために、基板上に、下地層、
半導体層を順に積層させた半導体素子の製造方法であっ
て、上記半導体素子をレーザ照射することにより半導体
層を溶融し、溶融した半導体層を結晶化する工程を備
え、上記下地層は、上記半導体層よりも熱伝導度が高い
ことを特徴とする。
【0023】上記構成または方法によれば、半導体層が
レーザ照射されるとレーザが有するエネルギーの作用に
より、上記半導体層においてレーザ照射がなされた部分
に熱が潜在することとなる。それと共に、レーザ照射な
された上記半導体層から上記下地層へと熱が伝搬する。
【0024】ここで、上記下地層は半導体層よりも熱伝
導度が高いので、伝搬された熱が膜全体に亘って拡散す
る。
【0025】しかし、レーザ照射後、結晶化段階で、高
熱伝導性の上記下地層は、吸熱および熱の拡散効果が高
いので、半導体層全面に熱が均一に潜在することになる
と同時に、上記下地層全面に拡散している熱が上記半導
体層全面に作用するので、半導体層全面における冷却速
度を均一にできる。すなわち、上記下地層には、半導体
層に偏在している熱を均一に潜在させる作用があり、こ
れにより半導体層全面における冷却速度を均一にするこ
とができる。
【0026】一方、半導体層において、結晶化段階で局
所的に冷却されずに均一に冷却されると、微結晶の発生
が抑制されるため、これに伴って成長する結晶が大きく
なる。したがって、上記構成によれば、半導体層全面に
おいて、成長する結晶を大きくすることができる。これ
により、電子の移動度が高い半導体素子を提供すること
ができる。
【0027】本発明に係る半導体素子は、上記の課題を
解決するために、上記の構成に加えて、下地層は半導体
層よりも熱伝導度が7倍以上高いことを特徴とする。
【0028】上記構成によれば、上記下地層は上記半導
体層よりも熱伝導度が7倍以上高いので、上記下地層は
高熱伝導性材料であるといえる。また、上記下地層が上
記半導体層よりも熱伝導度が7倍以上高い場合、半導体
層上に成長する結晶が顕著に大きくなることが期待され
る。
【0029】本発明に係る半導体素子は、上記の課題を
解決するために、基板上に、下地層、半導体層の順に積
み重ねられた半導体素子であって、上記下地層は、上記
基板よりも熱伝導度が高く、上記半導体層は、上記半導
体素子をレーザ照射することにより溶融された半導体が
結晶化された層であることを特徴とする。
【0030】また、本発明に係る半導体素子の製造方法
は、上記の課題を解決するために、基板上に、下地層、
半導体層を順に積層させた半導体素子の製造方法であっ
て、上記半導体素子をレーザ照射することにより半導体
層を溶融し、溶融した半導体層を結晶化する工程を備
え、上記下地層は、上記基板よりも熱伝導度が高いこと
を特徴とする。
【0031】上記構成または方法によれば、半導体層が
レーザ照射されるとレーザが有するエネルギーの作用に
より、上記半導体層においてレーザ照射がなされた部分
に熱が潜在することとなる。それと共に、レーザ照射な
された上記半導体層から上記下地層へと熱が伝搬する。
【0032】ここで、上記SLS法による結晶化では、
基本的に、溶融領域で発生した熱は未溶融シリコン領域
の方へ横方向に拡散し、溶融領域で発生した熱の一部が
基板方向へと拡散することになる。しかしながら、基板
が低熱伝導率材料であるので、従来のように該基板に近
い熱伝導度の下地層を用いていると、この基板方向へ拡
散した熱は横方向への拡散に乏しかったのに対して、本
発明では下地層は基板よりも熱伝導度が高いので、この
熱が下地層内を横方向に拡散することが可能になる。
【0033】したがって、レーザ照射後、結晶化段階
で、高熱伝導性の上記下地層は、吸熱および熱の拡散効
果が高いので、半導体層全面に熱が均一に潜在すること
になると同時に、上記下地層全面に拡散している熱が上
記半導体層全面に作用するので、半導体層全面における
冷却速度を均一にできる。これによって、半導体層全面
において、成長する結晶を大きくすることができ、電子
の移動度が高い半導体素子を提供することができる。
【0034】本発明に係る半導体素子は、上記の課題を
解決するために、上記の構成に加えて、下地層は基板よ
りも熱伝導度が10倍以上高いことを特徴とする。
【0035】上記構成によれば、上記下地層は上記基板
よりも熱伝導度が10倍以上高いので、上記下地層は高
熱伝導性材料であるといえる。また、上記下地層が上記
基板よりも熱伝導度が10倍以上高い場合、半導体層上
に成長する結晶が顕著に大きくなることが期待される。
【0036】本発明に係る半導体素子は、上記の課題を
解決するために、上記の構成に加えて、下地層は窒化ア
ルミニウムを主成分とすることを特徴とする。
【0037】上記構成によれば、窒化アルミニウムの熱
伝導度は、35(W/mK)程度である。したがって、
窒化アルミニウムは高熱伝導性を示す。すなわち、下地
層として窒化アルミニウムを用いると、成長する結晶を
より大きくすることができる。
【0038】本発明に係る半導体素子は、上記の課題を
解決するために、上記の構成に加えて、下地層が窒化シ
リコンを主成分とすることを特徴とする。
【0039】上記構成によれば、窒化シリコンの熱伝導
度は、10(W/mK)程度である。したがって、窒化
シリコンは高熱伝導性を示す。また、下地膜としての窒
化シリコンは、構成元素にシリコンを含むため、積層す
るアモルファスシリコンとの整合性がよい。
【0040】さらに、下地膜としての窒化シリコンおよ
びアモルファスシリコンは、いずれもCVD(Chemical
Vapor Deposition )で成膜することができる。また、
下地膜として窒化シリコンを用いた場合、同一のシリコ
ンターゲットを用いて、反応性スパッタリングにより窒
化シリコンを成膜すると共に、通常のスパッタリングに
よりアモルファスシリコンを成膜できる。したがって、
下地膜として窒化アルミニウムを用いずに窒化シリコン
を用いると、上記半導体素子の製造工程を簡略化でき
る。
【0041】本発明に係る半導体素子は、上記の課題を
解決するために、上記の構成に加えて、下地層が窒化ア
ルミニウムおよび窒化シリコンの混合物を主成分とする
ことを特徴とする。
【0042】上記構成によれば、窒化アルミニウムと窒
化シリコンとの組成比率に従って、下地層の熱伝導度を
自由に設計することが可能である。これにより、成膜さ
れる結晶の大きさを調整することができるので、レーザ
発振装置に対応したデバイスの膜厚、構成を設計するこ
とが可能になる。
【0043】本発明に係る半導体素子は、上記の課題を
解決するために、上記の構成に加えて、下地層が酸化マ
グネシウムを主成分とすることを特徴とする。
【0044】上記構成によれば、下地膜として酸化マグ
ネシウムが用いられているが、酸化マグネシウムは熱伝
導度が高いだけでなく、多結晶ながら非常に結晶配向性
が高い。したがって、酸化マグネシウムの下地層上に形
成される半導体層の結晶が同一方向に配向される可能性
が高くなる。これにより、半導体層においても結晶の配
向性を高めることができ、半導体素子の電子の移動度を
高くすることができる。
【0045】本発明に係る半導体素子は、上記の課題を
解決するために、上記の構成に加えて、下地層が酸化セ
リウムを主成分とすることを特徴とする。
【0046】上記構成によれば、下地層として酸化セリ
ウムが用いられているが、酸化セリウムは熱伝導度が高
いだけでなく、多結晶ながら非常に配向性が高い。した
がって、酸化セリウムの下地層上に形成される半導体層
の結晶が同一方向に配向される可能性が高くなる。これ
により、半導体層においても結晶の配向性を高めること
ができ、半導体素子の電子の移動度を高くすることがで
きる。さらに酸化セリウムの格子定数は5.41Aと、
シリコンの格子定数5.43Aに非常に近いという特徴
をもち、シリコンとの整合性もよい。
【0047】本発明に係る半導体素子は、上記の課題を
解決するために、基板上に、下地層、半導体層の順に積
み重ねられた半導体素子であって、上記下地層は、窒化
アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウムおよび
窒化シリコンの混合物、酸化マグネシウムまたは酸化セ
リウムを主成分とし、上記半導体層は、上記半導体素子
をレーザ照射することにより溶融された半導体が結晶化
された層であることを特徴とする。
【0048】上記構成によれば、上記材料から成る下地
層は、従来材料の二酸化シリコンなどに比べて熱伝導度
が高く、半導体層および基板よりも熱伝導度が高いの
で、伝搬された熱が膜全体に亘って拡散する。したがっ
て、該下地層には、半導体層に偏在している熱を均一に
潜在させる作用があり、これにより半導体層全面におけ
る冷却速度を均一にすることができる。
【0049】本発明に係る半導体素子は、上記の課題を
解決するために、上記の構成に加えて、半導体層は、上
記半導体素子を局部的にレーザ照射することにより、層
の厚みに亘って溶融された半導体層を結晶化し、照射部
分を半導体層の面方向に段階的に移動させることにより
結晶領域が拡大された層であることを特徴とする。
【0050】上記構成による半導体層は、いわゆる結晶
横方向成長方法により結晶領域が拡大された層である。
結晶横方向成長方法によれば、上記半導体素子を局部的
にレーザ照射し、層の厚みに亘って半導体層を溶融する
と、完全に溶融されていない部分から層の面方向(延設
方向)に向けて結晶が成長する。さらに照射部分を半導
体層の面方向に段階的にスライドさせることで、半導体
層における結晶領域を拡大できる。
【0051】さらに、上記構成によれば、半導体層全面
における冷却速度を均一にできる。したがって、半導体
層に形成される各結晶をより大きくできると共に、各結
晶の大きさをより均一に揃えることができる。これによ
り、例えば、多結晶構造の上記半導体がTFTアレイと
して用いられる場合、各結晶から製造される各TFT相
互間で、スイッチング特性を揃えることができる。
【0052】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明の実施の
一形態を、図1、図2、図8および図9に基づいて説明
すると以下の通りである。
【0053】図1は、本発明の実施の一形態に係る半導
体素子1の側面図を示す。半導体素子1は、透明基板
(基板)2上に、下地膜(下地層)3、シリコン膜(半
導体層)4の順に積層されて構成されている。ここで、
本実施の形態1では、シリコン膜4および透明基板2と
熱伝導度が大幅に異なる窒化アルミニウムが下地膜3と
して用いられている点に特徴がある。なお、本実施の形
態1では、下地膜3の膜厚を100nm、シリコン膜4
の膜厚を50nmとしているが、これらの数値に限定さ
れるものではない。
【0054】下地膜3は、蒸着、イオンプレーティン
グ、またはスパッタリングなどにより透明基板2上に積
層される。そして、シリコン膜4は、プラズマエンハン
スド化学気相堆積(PECVD,Plasuma Enhanced Che
mical Vapor Deposition)、蒸着、またはスパッタリン
グなどにより下地膜3上に積層される。この時点で、シ
リコン膜4は、アモルファス(非晶質)の状態である。
【0055】次に、室温において、短パルスレーザを図
中F方向へ向けて、シリコン膜4の表面に照射する。こ
の短パルスレーザのエネルギーにより、アモルファス状
態のシリコン膜4は一旦溶融する。その後、冷却するこ
とにより、溶融したシリコン膜4は、結晶化する。な
お、本実施の形態1では、短パルスレーザとして、波長
308nm(XeCl),パルス幅30nsのエキシマ
レーザを用いているが、レーザであれば上記エキシマレ
ーザに限定されない。
【0056】ここで、本実施の形態1のプロセスにより
結晶化させたシリコン膜4と従来のプロセスにより結晶
化させたシリコン膜とを比較するため、SEM(Scanin
g Electron Microscope )により結晶表面の観察を行
う。まず、本実施の形態1の半導体素子1および従来の
半導体素子について、1回のレーザ照射によりシリコン
膜を結晶化させ、SECOエッチングを行う。このよう
にして処理された後のシリコン膜について、SEMによ
り拡大観察した結果を図9に示す。
【0057】図9(a)は本実施の形態1のプロセスに
より結晶化したシリコン膜4の膜表面を上記SEMによ
って撮影した膜表面像であり、図9(b)は従来のプロ
セスにより結晶化したシリコン膜の膜表面を上記SEM
によって撮影した膜表面像である。また、図2は、図9
に示した結晶の大きさ、配置をより分かり易く模式化し
た図である。すなわち、図2(a)は本実施の形態1の
プロセスにより結晶化したシリコン膜4の膜表面を示し
た拡大模式図であり、図2(b)は従来のプロセスによ
り結晶化したシリコン膜の膜表面を示した拡大模式図で
ある。なお、本実施の形態1と従来のプロセスとの相違
点は、上述のように、本実施の形態1では下地膜3とし
て窒化アルミニウムが用いられているが、従来のプロセ
スでは二酸化シリコンが用いられている点である。
【0058】図2(a)と図2(b)とを比較すれば、
従来のプロセスよりも本実施の形態1によるプロセスの
方が、成長する結晶が大きいことがわかる。
【0059】これは、シリコン膜4の熱伝導度が1(W
/mK)程度であり、下地膜3としての窒化アルミニウ
ムの熱伝導度が図8(a)で示すように35(W/m
K)程度であり、透明基板2の熱伝導度が図8(b)で
示すように0.8(W/mK)程度であり、下地膜3と
しての窒化アルミニウムの熱伝導度がシリコン膜4およ
び透明基板2に比べて大幅に高いことに起因する。
【0060】つまり、下地膜3の熱伝導度が大幅に高い
と、レーザ照射することにより、下地膜3に到達した熱
は、下地膜3内を速やかに延設方向(図1のGH方向)
に拡散、潜在化する。一方、レーザ照射により、シリコ
ン膜4は溶融するが、シリコン膜内の熱は拡散しにく
く、熱の潜在エリアに偏りが生じている。
【0061】そして、シリコン膜4の結晶化プロセスに
おいて、高熱伝導性の下地膜3は、シリコン膜4に偏っ
て潜在している熱を吸収して拡散する。これに伴い、シ
リコン膜4全面に熱が均一に潜在することになると同時
に、上記下地膜3全面に拡散している熱が上記シリコン
膜4全面に作用するので、シリコン膜4全面における冷
却速度が均一になる。
【0062】一方、従来のプロセスにおいて、下地膜3
としての二酸化シリコンの熱伝導度は、上記図8(b)
で示すように1.4(W/mK)程度であり、シリコン
膜4の熱伝導度とほぼ等しい。したがって、下地膜3と
しての二酸化シリコンは熱伝導性が小さく、シリコン膜
4の結晶化プロセスにおいて、下地膜3がシリコン膜4
の冷却速度を均一にさせる役割を担うことはない。
【0063】したがって、本実施の形態1のプロセスで
は、下地膜3としての窒化アルミニウムが、シリコン膜
4の冷却速度を均一にさせる役割を担うので、従来より
も溶融領域中央部が周辺部より先に冷却されることな
く、シリコン膜4の周辺部から中央部に向かって順に冷
却されてゆくため、溶融領域中央部における微結晶の発
生を抑制することができる。このため、溶融領域の凝固
過程において、未溶融領域と溶融領域との界面から横方
向に成長する結晶は、溶融領域中央部において従来では
発生していた微結晶によって、その成長を抑制されるこ
とがない。その結果、未溶融領域と溶融領域との界面か
ら横方向に成長する結晶は非常に大きくなる。
【0064】〔実施の形態2〕本発明に係る他の実施の
一形態を、説明すると以下の通りである。なお、以下に
示す本実施の形態2の各部材は、実施の形態1で下地膜
3として使用されている「窒化アルミニウム」が、「窒
化シリコン」に変更されている以外に変更点がない。し
たがって、本実施の形態2では、説明の便宜上、図1、
図2、図8および図9を用いて説明する。
【0065】上記図1に、本発明の実施の形態2に係る
半導体素子1の側面図を示す。半導体素子1は、透明基
板2上に、下地膜3、シリコン膜4の順に積層されて構
成されている。ここで、本実施の形態2では、上述のよ
うに、窒化シリコンが下地膜3として用いられている点
に特徴がある。なお、本実施の形態2では、下地膜3の
膜厚を100nm、シリコン膜4の膜厚を50nmとし
ているが、これらの数値に限定されるものではない。
【0066】下地膜3は、蒸着、イオンプレーティング
またはスパッタリングなどにより透明基板2上に積層さ
れる。そして、シリコン膜4は、プラズマエンハンスド
化学気相堆積(PECVD)、蒸着、またはスパッタリ
ングなどにより下地膜3上に積層される。この時点で、
シリコン膜4は、アモルファス(非晶質)の状態であ
る。
【0067】次に、室温において、短パルスレーザを図
中F方向へ向けて、シリコン膜4の表面に照射する。こ
の短パルスレーザのエネルギーにより、アモルファス状
態のシリコン膜4は一旦溶融する。その後、冷却するこ
とにより、溶融したシリコン膜4は、結晶化する。な
お、本実施の形態2では、短パルスレーザとして、波長
308nm(XeCl),パルス幅30nsのエキシマ
レーザを用いているが、レーザであれば上記エキシマレ
ーザに限定されない。
【0068】ここで、本実施の形態2のプロセスにより
結晶化させたシリコン膜4と従来のプロセスにより結晶
化させたシリコン膜とを比較するため、SEMにより結
晶表面の観察を行う。まず、本実施の形態2の半導体素
子1および従来の半導体素子について、1回のレーザ照
射によりシリコン膜を結晶化させ、SECOエッチング
を行う。このようにして処理された後のシリコン膜につ
いて、SEMにより拡大観察した結果は、上述の実施の
形態1と同様に、図9に示すようになる。
【0069】図9(a)は本実施の形態2のプロセスに
より結晶化したシリコン膜4の膜表面を上記SEMによ
って撮影した膜表面像であり、図9(b)は従来のプロ
セスにより結晶化したシリコン膜の膜表面を上記SEM
によって撮影した膜表面像である。また、図2は、図9
に示した結晶の大きさ、配置をより分かり易く模式化し
た図である。すなわち、図2(a)は本実施の形態2の
プロセスにより結晶化したシリコン膜4の膜表面を示し
た拡大模式図であり、図2(b)は従来のプロセスによ
り結晶化したシリコン膜の膜表面を示した拡大模式図で
ある。なお、本実施の形態2と従来のプロセスとの相違
点は、上述のように、本実施の形態2では下地膜3とし
て窒化シリコンが用いられているが、従来のプロセスで
は二酸化シリコンが用いられている点である。
【0070】図2(a)と図2(b)とを比較すれば、
従来のプロセスよりも本実施の形態2によるプロセスの
方が、成長する結晶が大きいことがわかる。
【0071】これは、シリコン膜4の熱伝導度が1(W
/mK)程度であり、下地膜3としての窒化シリコンの
熱伝導度が上記図8(a)で示すように10(W/m
K)程度であり、下地膜3としての窒化シリコンの熱伝
導度がシリコン膜4および透明基板2に比べて大幅に高
いことに起因する。
【0072】つまり、下地膜3の熱伝導度が大幅に高い
と、レーザ照射することにより、下地膜3に到達した熱
は、下地膜3内を速やかに延設方向(図1のGH方向)
に拡散、潜在化する。一方、レーザ照射により、シリコ
ン膜4は溶融するが、シリコン膜4内の熱は拡散しにく
く、熱の潜在エリアに偏りが生じている。
【0073】そして、シリコン膜4の結晶化プロセスに
おいて、シリコン膜4全面に熱が均一に潜在することに
なると同時に、上記下地膜3全面に拡散している熱が上
記シリコン膜4全面に作用するので、シリコン膜4全面
における冷却速度が均一になる。
【0074】一方、従来のプロセスにおいて、下地膜3
としての二酸化シリコンの熱伝導度は、1.4(W/m
K)程度で、シリコン膜4の熱伝導度とほぼ等しい。し
たがって、下地膜3としての二酸化シリコンは熱伝導性
が小さく、シリコン膜4の結晶化プロセスにおいて、下
地膜3がシリコン膜4の冷却速度を均一にさせる役割を
担うことはない。
【0075】したがって、本実施の形態2のプロセスで
は、下地膜3としての窒化シリコンが、シリコン膜4の
冷却速度を均一にさせる役割を担うので、従来よりも溶
融領域中央部が周辺部より先に冷却されることなく、シ
リコン膜4の周辺部から中央部に向かって順に冷却され
てゆくため、溶融領域中央部における微結晶の発生を抑
制することができる。このため、溶融領域の凝固過程に
おいて、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成
長する結晶は、溶融領域中央部において従来では発生し
ていた微結晶によって、その成長を抑制されることがな
い。その結果、未溶融領域と溶融領域との界面から横方
向に成長する結晶は非常に大きくなる。
【0076】また、下地膜3としての窒化シリコンは、
実施の形態1の下地膜である窒化アルミニウムより熱伝
導度は低いものの、構成元素がシリコンであることか
ら、積層するアモルファスシリコンとの整合性がよい。
【0077】さらに、下地膜3としての窒化シリコンお
よびシリコン膜4は、いずれもCVDで成膜することが
できる。また、下地膜3として窒化シリコンを用いた場
合、同一のシリコンターゲットを用いて、反応性スパッ
タリングにより窒化シリコンを成膜すると共に、通常の
スパッタリングによりアモルファス状態のシリコンを成
膜できる。したがって、下地膜3として窒化アルミニウ
ムを用いずに窒化シリコンを用いると、下地膜3の熱伝
導度が下がるものの、製造プロセスを簡略化できる。
【0078】〔実施の形態3〕本発明に係る他の実施の
一形態を、説明すると以下の通りである。なお、以下に
示す本実施の形態3の各部材は、実施の形態1で下地膜
3として使用されている「窒化アルミニウム」が、「窒
化アルミニウムと窒化シリコンとの混合物」に変更され
ている以外に変更点がない。したがって、本実施の形態
3では、説明の便宜上、図1、図2、図8および図9を
用いて説明する。
【0079】上記図1に、本発明の実施の形態3に係る
半導体素子1の側面図を示す。半導体素子1は、透明基
板2上に、下地膜3、シリコン膜4の順に積層されて構
成されている。ここで、本実施の形態3では、上述のよ
うに窒化アルミニウムと窒化シリコンとの混合物が、下
地膜3として用いられている点に特徴がある。なお、本
実施の形態3では、下地膜3の膜厚を100nm、シリ
コン膜4の膜厚を50nmとしているが、これらの数値
に限定されるものではない。
【0080】下地膜3は、蒸着、イオンプレーティン
グ、またはスパッタリングなどにより透明基板2上に積
層される。そして、シリコン膜4は、プラズマエンハン
スド化学気相堆積(PECVD)、蒸着またはスパッタ
リングなどにより下地膜3上に積層される。この時点
で、シリコン膜4は、アモルファス(非晶質)の状態で
ある。
【0081】次に、室温において、短パルスレーザを図
中F方向へ向けて、アモルファスシリコン膜4の表面に
照射する。この短パルスレーザのエネルギーにより、ア
モルファス状態のシリコン膜4は一旦溶融する。その
後、冷却することにより、溶融したシリコン膜4は、結
晶化する。なお、本実施の形態3では、短パルスレーザ
として、波長308nm(XeCl),パルス幅30n
sのエキシマレーザを用いているが、レーザであれば上
記エキシマレーザに限定されない。
【0082】ここで、本実施の形態3のプロセスにより
結晶化させたシリコン膜4と従来のプロセスにより結晶
化させたシリコン膜とを比較するため、SEMにより結
晶表面の観察を行う。まず、本実施の形態3の半導体素
子1および従来の半導体素子について、1回のレーザ照
射によりシリコン膜を結晶化させ、SECOエッチング
を行う。このようにして処理された後のシリコン膜につ
いて、SEMにより拡大観察した結果は、上述の実施の
形態1,2と同様に、図9に示すようになる。
【0083】図9(a)は本実施の形態3のプロセスに
より結晶化したシリコン膜4の膜表面を上記SEMによ
って撮影した膜表面像であり、図9(b)は従来のプロ
セスにより結晶化したシリコン膜の膜表面を上記SEM
によって撮影した膜表面像である。また、図2は、図9
に示した結晶の大きさ、配置をより分かり易く模式化し
た図である。なお、本実施の形態3と従来のプロセスと
の相違点は、上述のように、本実施の形態3では下地膜
3として窒化アルミニウムと窒化シリコンとの混合物が
用いられているが、従来のプロセスでは下地膜として二
酸化シリコンが用いられている点である。
【0084】図2(a)と図2(b)とを比較すれば、
従来のプロセスよりも本実施の形態3によるプロセスの
方が、成長する結晶が大きいことがわかる。
【0085】これは、シリコン膜4の熱伝導度が1(W
/mK)程度であり、下地膜3としての窒化アルミニウ
ムと窒化シリコンとの混合物の熱伝導度は上記図8
(a)で示すように20(W/mK)程度に設定されて
おり、下地膜3としての窒化アルミニウムと窒化シリコ
ンとの混合物の熱伝導度が大幅に高いことに起因する。
【0086】つまり、下地膜3の熱伝導度が大幅に高い
と、レーザ照射することにより、下地膜3に到達した熱
は、下地膜3内を速やかに延設方向(図1のGH方向)
に拡散、潜在化する。一方、レーザ照射により、シリコ
ン膜4は溶融するが、シリコン膜内の熱は拡散しにく
く、熱の潜在エリアに偏りが生じている。
【0087】そして、シリコン膜4の結晶化プロセスに
おいて、半導体膜4全面に熱が均一に潜在することにな
ると同時に、上記下地膜3全面に拡散している熱が上記
シリコン膜4全面に作用するので、シリコン膜4全面に
おける冷却速度が均一になる。
【0088】一方、従来のプロセスにおいて、下地膜3
としての二酸化シリコンの熱伝導度は、上記のように
1.4(W/mK)程度であり、シリコン膜4の熱伝導
度とほぼ等しい。したがって、下地膜3としての二酸化
シリコンは熱伝導性が小さく、シリコン膜4の結晶化プ
ロセスにおいて、下地膜3がシリコン膜4の冷却速度を
均一にさせる役割を担うことはない。
【0089】したがって、本実施の形態3のプロセスで
は、下地膜3としての窒化アルミニウムと窒化シリコン
との混合物が、シリコン膜4の冷却速度を均一にさせる
役割を担うので、従来よりも溶融領域中央部が周辺部よ
り先に冷却されることなく、シリコン膜4の周辺部から
中央部に向かって順に冷却されてゆくため、溶融領域中
央部における微結晶の発生を抑制することができる。こ
のため、溶融領域の凝固過程において、未溶融領域と溶
融領域との界面から横方向に成長する結晶は、溶融領域
中央部において従来では発生していた微結晶によって、
その成長を抑制されることがない。その結果、未溶融領
域と溶融領域との界面から横方向に成長する結晶は非常
に大きくなる。
【0090】また、本実施の形態3では、窒化アルミニ
ウムと窒化シリコンの混合物からなる下地膜3の熱伝導
度を上記のように20(W/mK)程度と設定している
が、窒化アルミニウムと窒化シリコンとの組成比率に従
って熱伝導度を自由に設計することが可能である。
【0091】〔実施の形態4〕本発明に係る他の実施の
一形態を、説明すると以下の通りである。なお、以下に
示す本実施の形態4の各部材は、実施の形態1で下地膜
3として使用されている「窒化アルミニウム」が、「酸
化マグネシウム」に変更されている以外に変更点がな
い。したがって、本実施の形態4では、図1〜図3、図
8および図9を用いて説明する。
【0092】上記図1に、本発明の実施の形態4に係る
半導体素子1の側面図を示す。半導体素子1は、透明基
板2上に、下地膜3、シリコン膜4の順に積層されて構
成されている。ここで、本実施の形態4では、上述のよ
うに、酸化マグネシウムが、下地膜3として用いられて
いる点に特徴がある。なお、本実施の形態4では、下地
膜3の膜厚を100nm、シリコン膜4の膜厚を50n
mとしているが、これらの数値に限定されるものではな
い。
【0093】下地膜3は、蒸着、イオンプレーティング
またはスパッタリングなどにより透明基板2上に積層さ
れる。そして、シリコン膜4は、プラズマエンハンスド
化学気相堆積(PECVD)、蒸着またはスパッタリン
グなどにより下地膜3上に積層される。この時点で、シ
リコン膜4は、アモルファス(非晶質)の状態である。
【0094】次に、室温において、短パルスレーザを図
中F方向へ向けて、シリコン膜4の表面に照射する。こ
の短パルスレーザのエネルギーにより、アモルファス状
態のシリコン膜4は一旦溶融する。その後、冷却するこ
とにより、溶融したシリコン膜4は、結晶化する。な
お、本実施の形態4では、短パルスレーザとして、波長
308nm(XeCl),パルス幅30nsのエキシマ
レーザを用いているが、レーザであれば上記エキシマレ
ーザに限定されない。
【0095】ここで、本実施の形態4のプロセスにより
結晶化させたシリコン膜4と従来のプロセスにより結晶
化させたシリコン膜とを比較するため、SEMにより結
晶表面の観察を行う。まず、本実施の形態4の半導体素
子1および従来の半導体素子について、1回のレーザ照
射によりシリコン膜を結晶化させ、SECOエッチング
を行う。このようにして処理された後のシリコン膜につ
いて、SEMにより拡大観察した結果は、上述の実施の
形態1〜3と同様に、図9に示すようになる。
【0096】図9(a)は本実施の形態4のプロセスに
より結晶化したシリコン膜4の膜表面を上記SEMによ
って撮影した膜表面像であり、図9(b)は従来のプロ
セスにより結晶化したシリコン膜の膜表面を上記SEM
によって撮影した膜表面像である。また、図2は、図9
に示した結晶の大きさ、配置をより分かり易く模式化し
た図である。なお、本実施の形態4と従来のプロセスと
の相違点は、上述のように、本実施の形態4では下地膜
3として酸化マグネシウムが用いられているが、従来の
プロセスでは二酸化シリコンが用いられている点であ
る。
【0097】図2(a)と図2(b)とを比較すれば、
従来のプロセスよりも本実施の形態4によるプロセスの
方が、成長する結晶が大きいことがわかる。
【0098】これは、シリコン膜4の熱伝導度が1(W
/mK)程度であり、下地膜3としての酸化マグネシウ
ムの熱伝導度は上記図8(a)で示すように60(W/
mK)程度であり、下地膜3としての酸化マグネシウム
の熱伝導度が大幅に高いことに起因する。
【0099】つまり、下地膜3の熱伝導度が大幅に高い
と、レーザ照射することにより、下地膜3に到達した熱
は、下地膜3内を速やかに延設方向(図1のGH方向)
に拡散、潜在化する。一方、レーザ照射により、シリコ
ン膜4は溶融するが、シリコン膜内の熱は拡散しにく
く、熱の潜在エリアに偏りが生じている。
【0100】そして、シリコン膜4の結晶化プロセスに
おいて、半導体膜4全面に熱が均一に潜在することにな
ると同時に、上記下地膜3全面に拡散している熱が上記
シリコン膜4全面に作用するので、シリコン膜4全面に
おける冷却速度が均一になる。
【0101】一方、従来のプロセスにおいて、下地膜と
しての二酸化シリコンの熱伝導度は、上記1.4(W/
mK)程度であり、シリコン膜4の熱伝導度とほぼ等し
い。したがって、下地膜3としての二酸化シリコンは熱
伝導性が小さく、シリコン膜4の結晶化プロセスにおい
て、下地膜3がシリコン膜4の冷却速度を均一にさせる
役割を担うことはない。
【0102】したがって、本実施の形態4のプロセスで
は、下地膜3としての酸化マグネシウムが、シリコン膜
4の冷却速度を均一にさせる役割を担うので、従来より
も溶融領域中央部が周辺部より先に冷却されることな
く、シリコン膜4の周辺部から中央部に向かって順に冷
却されてゆくため、溶融領域中央部における微結晶の発
生を抑制することができる。このため、溶融領域の凝固
過程において、未溶融領域と溶融領域との界面から横方
向に成長する結晶は、溶融領域中央部において従来では
発生していた微結晶によって、その成長を抑制されるこ
とがない。その結果、未溶融領域と溶融領域との界面か
ら横方向に成長する結晶は非常に大きくなる。
【0103】また、酸化マグネシウムは、熱伝導度が高
いだけでなく、多結晶ながら非常に結晶配向性が高い。
ここで、酸化マグネシウムの結晶構造についてのXRD
測定を行った。この結果を図3(a)に示す。このよう
に、酸化マグネシウムの結晶格子においては、図3
(a)(b)に示すように、例えば(111)方向のみ
に配向させることが可能であるので、シリコン膜4の結
晶が同一方向に結晶化される可能性が高くなる。したが
って、シリコン膜4における結晶の配向性を高めること
ができるので、半導体素子1の移動度を高くできる。
【0104】〔実施の形態5〕本発明に係る他の実施の
一形態を、説明すると以下の通りである。なお、以下に
示す本実施の形態5の各部材は、実施の形態1で下地膜
3として使用されている「窒化アルミニウム」が、「酸
化セリウム」に変更されている以外に変更点がない。し
たがって、本実施の形態5では、説明の便宜上、上述の
図1、図2、図8および図9を用いて説明する。
【0105】上記図1に、本発明の実施の形態5に係る
半導体素子1の側面図を示す。半導体素子1は、透明基
板2上に、下地膜3、シリコン膜4の順に積層されて構
成されている。ここで、本実施の形態5では、上述のよ
うに酸化セリウムが、下地膜3として用いられている点
に特徴がある。なお、本実施の形態5では、下地膜3の
膜厚を100nm、シリコン膜4の膜厚を50nmとし
ているが、これらの数値に限定されるものではない。
【0106】下地膜3は、蒸着、イオンプレーティング
またはスパッタリングなどにより透明基板2上に積層さ
れる。そして、シリコン膜4は、プラズマエンハンスド
化学気相堆積(PECVD)、蒸着またはスパッタリン
グなどにより下地膜3上に積層される。この時点で、シ
リコン膜4は、アモルファス(非晶質)の状態である。
【0107】次に、室温において、短パルスレーザを図
中F方向へ向けて、シリコン膜4の表面に照射する。こ
の短パルスレーザのエネルギーにより、アモルファス状
態のシリコン膜4は一旦溶融する。その後、冷却するこ
とにより、溶融したシリコン膜4は、結晶化する。な
お、本実施の形態5では、短パルスレーザとして、波長
308nm(XeCl),パルス幅30nsのエキシマ
レーザを用いているが、レーザであれば上記エキシマレ
ーザに限定されない。
【0108】ここで、本実施の形態5のプロセスにより
結晶化させたシリコン膜4と従来のプロセスにより結晶
化させたシリコン膜とを比較するため、SEMにより結
晶表面の観察を行う。まず、本実施の形態5の半導体素
子1および従来の半導体素子について、1回のレーザ照
射によりシリコン膜を結晶化させ、SECOエッチング
を行う。このようにして処理された後のシリコン膜につ
いて、SEMにより拡大観察した結果は、上述の実施の
形態1〜4と同様に、図9に示すようになる。
【0109】図9(a)は本実施の形態5のプロセスに
より結晶化したシリコン膜4の膜表面を上記SEMによ
って撮影した膜表面像であり、図9(b)は従来のプロ
セスにより結晶化したシリコン膜の膜表面を上記SEM
によって撮影した膜表面像である。また、図2は、図9
に示した結晶の大きさ、配置をより分かり易く模式化し
た図である。なお、本実施の形態5と従来のプロセスと
の相違点は、上述のように、本実施の形態5では下地膜
3として酸化セリウムが用いられているが、従来のプロ
セスでは二酸化シリコンが用いられている点である。
【0110】図2(a)と図2(b)とを比較すれば、
従来のプロセスよりも本実施の形態4によるプロセスの
方が、成長する結晶が大きいことがわかる。
【0111】これは、シリコン膜4の熱伝導度が1(W
/mK)程度であり、下地膜3としての酸化セリウムの
熱伝導度は上記図8(a)で示すように10(W/m
K)程度であり、下地膜3としての酸化セリウムの熱伝
導度が大幅に高いことに起因する。
【0112】つまり、下地膜3の熱伝導度が大幅に高い
と、レーザ照射することにより、下地膜3に到達した熱
は、下地膜3内を速やかに延設方向(図1のGH方向)
に拡散、潜在化する。一方、レーザ照射により、シリコ
ン膜4は溶融するが、シリコン膜内の熱は拡散しにく
く、熱の潜在エリアに偏りが生じている。
【0113】そして、シリコン膜4の結晶化プロセスに
おいて、半導体膜4全面に熱が均一に潜在することにな
ると同時に、上記下地膜3全面に拡散している熱が上記
シリコン膜4全面に作用するので、シリコン膜4全面に
おける冷却速度が均一になる。
【0114】一方、従来のプロセスにおいて、下地膜と
しての二酸化シリコンの熱伝導度は、上記1.4(W/
mK)程度であり、シリコン膜4の熱伝導度とほぼ等し
い。したがって、下地膜3としての二酸化シリコンは熱
伝導性をほとんど示さないので、シリコン膜4の結晶化
プロセスにおいて、下地膜3がシリコン膜4の冷却速度
を均一にさせる役割を担うことはない。
【0115】したがって、本実施の形態5のプロセスで
は、下地膜3としての酸化セリウムが、シリコン膜4の
冷却速度を均一にさせる役割を担うので、従来よりも溶
融領域中央部が周辺部より先に冷却されることなく、シ
リコン膜4の周辺部から中央部に向かって順に冷却され
てゆくため、溶融領域中央部における微結晶の発生を抑
制することができる。このため、溶融領域の凝固過程に
おいて、未溶融領域と溶融領域との界面から横方向に成
長する結晶は、溶融領域中央部において従来では発生し
ていた微結晶によって、その成長を抑制されることがな
い。その結果、未溶融領域と溶融領域との界面から横方
向に成長する結晶は非常に大きくなる。
【0116】また、酸化セリウムは、熱伝導度が高いだ
けでなく、実施の形態4で説明した酸化マグネシウムと
同じように結晶配向性が高い。したがって、シリコン膜
4の結晶が同一方向に結晶化される可能性が高くなる。
よって、シリコン膜4における結晶の配向性を高めるこ
とができるので、半導体素子1の移動度を高くできる。
さらに酸化セリウムの格子定数は5.41Aと、シリコ
ンの格子定数5.43Aに非常に近いという特徴をも
ち、酸化セリウムはシリコンとの整合性がよいので、よ
り移動度を高めることができる。
【0117】〔実施の形態6〕本発明の実施の形態6に
ついて、図4、図7および図10を用いて簡単に説明す
ると以下の通りである。
【0118】本実施の形態6に係る半導体素子1の構成
は、上述の実施の形態1〜5に記載のものと同様である
ので、説明を省略する。図4はシリコン膜4を結晶化す
るための装置の概念図を示しており、エキシマレーザ1
1、可変減衰器12、フィールドレンズ13、パターン
化された投影マスク14、結像レンズ15、サンプルス
テージ16および複数のミラー17…から構成される。
このレーザ加工装置を用いることにより、ステージ16
上の半導体素子1に放射パルスを供給することができ
る。なお、エキシマレーザ11には、波長308nmの
XeClエキシマレーザが用いられる。
【0119】なお、エキシマレーザ11およびサンプル
ステージ16は、コントローラ18により制御されてい
て、レーザの照射タイミングおよびサンプルステージ1
6の位置を調整することができる。これにより、上記装
置において、サンプルステージを図中矢印方向に移動さ
せることで、レーザ光が照射されるエリアを移動させる
ことができる。
【0120】ここで、本実施の形態6では、結晶を成長
させる手順として、結晶横方向成長方法を用いる。この
方法によれば、1回のレーザ照射で、半導体膜における
結晶を延設方向に成長させることができるので、レーザ
照射が行われる毎に、照射エリアを段階的に移動させる
(ステップ移動)ことで、結晶領域を段階的に拡大でき
る。これにより、多結晶構造の半導体素子における各結
晶の成長方向を延設方向に揃えることが可能となる。
【0121】さらに、本発明の半導体素子1では、下地
膜3がシリコン膜4全面における結晶化段階の冷却速度
を均一にさせる役割を担うので、多結晶構造を構成する
各結晶を大きくすることができる。すなわち、本発明の
半導体素子1によれば、レーザ照射1回あたりに成長さ
せることができる結晶を従来よりも大きくすることがで
きるので、結晶が成長する方向をコントロールさせるこ
とで、さらに大きな結晶を成長させ、成長方向を揃える
ことも可能となる。
【0122】さらに、本実施の形態6の手順によれば、
下地層3は、透明基板2上の全面に亘って成膜されるの
で、下地膜3を部分的に成膜する工程を含んだ特開平1
0−163112号公報記載の技術よりも製造工程(結
晶化プロセス)を短縮化できる。
【0123】なお、多結晶構造の半導体素子1が、照射
エリアを段階的に移動させることで形成される具体的手
順については、従来技術で説明したので、ここでは省略
する。
【0124】また、上記の実施の形態1〜5では、下地
膜3の膜厚を100nmとして説明したが、上述のよう
にこれらの数値に限定されるものではない。そこで、実
施の形態1のように、下地膜3として窒化アルミニウム
を用いて、該下地膜3の膜厚を2〜200nmの範囲で
変化させた場合の結晶成長長さを図10に示す。図10
において、○印は結晶成長長さが従来構造よりも長くな
ったことを表している。この図10から明らかなよう
に、4〜120nmで結晶成長長さが従来構造よりも長
くなり、特に4〜50nmではより効果が顕著であっ
た。
【0125】また、上記下地膜3として、主成分が窒化
アルミニウムであって、窒化シリコンを含む誘電体材料
が用いられてもよい。
【0126】さらにまた、上述の説明では、シリコン膜
4と下地層3との熱伝導度の関係について述べているけ
れども、透明基板2としては、図8(b)で示すよう
に、下地層3に比べて熱伝導度が1/10より小さい低
熱伝導度の材料を採用することで、該透明基板2側への
熱の放散が少なくなって上述のような下地層3内での熱
の拡散が顕著になり、好適である。
【0127】最後に、上述した実施の形態1〜5は、本
発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で
種々の変更が可能である。
【0128】
【発明の効果】本発明に係る半導体素子は、以上のよう
に、基板上に、下地層、半導体層の順に積み重ねられた
半導体素子であって、上記下地層は、上記半導体層より
も熱伝導度が高く、上記半導体層は、上記半導体素子を
レーザ照射することにより溶融された半導体が結晶化さ
れた層であることを特徴とする。
【0129】また、本発明に係る半導体素子の製造方法
は、以上のように、基板上に、下地層、半導体層を順に
積層させた半導体素子の製造方法であって、上記半導体
素子をレーザ照射することにより半導体層を溶融し、溶
融した半導体層を結晶化する工程を備え、上記下地層
は、上記半導体層よりも熱伝導度が高いことを特徴とす
る。
【0130】それゆえ、結晶化段階で、高熱伝導性の上
記下地層は、吸熱および熱の拡散効果が高いので、半導
体層に偏って潜在している熱を吸収して拡散する。これ
に伴い、半導体層全面に熱が均一に潜在することになる
と同時に、上記下地層全面に拡散している熱が上記半導
体層全面に作用するので、半導体全面における冷却速度
を均一にできる。すなわち、上記下地層には、半導体層
に偏在している熱を均一に潜在させる作用があり、これ
により半導体層全面における冷却速度を均一にすること
ができる。そして、半導体層において、結晶化段階で冷
却速度が均一になると、これに伴って成長する結晶が大
きくなる。したがって、上記構成によれば、半導体層全
面において、成長する結晶を大きくすることができる。
これにより、電子の移動度が高い半導体素子を提供する
ことができるという効果を奏する。
【0131】本発明に係る半導体素子は、以上のよう
に、上記の構成に加えて、下地層は半導体層よりも熱伝
導度が7倍以上高いことを特徴とする。
【0132】それゆえ、上記下地層は高熱伝導性材料で
あるといえる。また、上記下地層が上記半導体層よりも
熱伝導度が7倍以上高い場合、半導体層上に成長する結
晶が顕著に大きくなるという効果を奏する。
【0133】本発明に係る半導体素子は、以上のよう
に、基板上に、下地層、半導体層の順に積み重ねられた
半導体素子であって、上記下地層は、上記基板よりも熱
伝導度が高く、上記半導体層は、上記半導体素子をレー
ザ照射することにより溶融された半導体が結晶化された
層であることを特徴とする。
【0134】また、本発明に係る半導体素子の製造方法
は、以上のように、基板上に、下地層、半導体層を順に
積層させた半導体素子の製造方法であって、上記半導体
素子をレーザ照射することにより半導体層を溶融し、溶
融した半導体層を結晶化する工程を備え、上記下地層
は、上記基板よりも熱伝導度が高いことを特徴とする。
【0135】それゆえ、レーザ照射後、結晶化段階で、
高熱伝導性の上記下地層は、吸熱および熱の拡散効果が
高いので、半導体層全面に熱が均一に潜在することにな
ると同時に、上記下地層全面に拡散している熱が上記半
導体層全面に作用するので、半導体層全面における冷却
速度を均一にできる。これによって、半導体層全面にお
いて、成長する結晶を大きくすることができ、電子の移
動度が高い半導体素子を提供することができるという効
果を奏する。
【0136】本発明に係る半導体素子は、以上のよう
に、上記の構成に加えて、下地層は基板よりも熱伝導度
が10倍以上高いことを特徴とする。
【0137】それゆえ、上記下地層は上記基板よりも熱
伝導度が10倍以上高いので、上記下地層は高熱伝導性
材料であるといえる。また、上記下地層が上記基板より
も熱伝導度が10倍以上高い場合、半導体層上に成長す
る結晶が顕著に大きくなるという効果を奏する。
【0138】本発明に係る半導体素子は、以上のよう
に、上記の構成に加えて、下地層は窒化アルミニウムを
主成分とすることを特徴とする。
【0139】それゆえ、窒化アルミニウムの熱伝導度
は、〜35(W/mK)であり、下地層は高熱伝導性を
示すので、成長する結晶をより大きくすることができ
る。
【0140】本発明に係る半導体素子は、以上のよう
に、上記の構成に加えて、下地層が窒化シリコンを主成
分とすることを特徴とする。
【0141】それゆえ、下地膜としての窒化シリコン
は、構成元素にシリコンを含むため、積層するアモルフ
ァスシリコンとの整合性がよい。さらに、下地膜として
の窒化シリコンおよびアモルファスシリコンは、いずれ
もCVDで成膜することができる。また、下地膜として
窒化シリコンを用いた場合、同一のシリコンターゲット
を用いて、反応性スパッタリングにより窒化シリコンを
成膜すると共に、通常のスパッタリングによりアモルフ
ァスシリコンを成膜できる。したがって、下地膜として
窒化アルミニウムを用いずに窒化シリコンを用いると、
上記半導体素子の製造工程を簡略化できるという効果を
奏する。
【0142】本発明に係る半導体素子は、以上のよう
に、上記の構成に加えて、下地層が窒化アルミニウムお
よび窒化シリコンの混合物を主成分とすることを特徴と
する。
【0143】それゆえ、成膜される結晶の大きさを調整
することができるので、レーザ発振装置に対応したデバ
イスの膜厚、構成を設計することが可能になる。
【0144】本発明に係る半導体素子は、以上のよう
に、上記の構成に加えて、下地層が酸化マグネシウムを
主成分とすることを特徴とする。
【0145】それゆえ、半導体層においても結晶の配向
性を高めることができ、半導体素子の電子の移動度を高
くすることができる。
【0146】本発明に係る半導体素子は、以上のよう
に、上記の構成に加えて、下地層が酸化セリウムを主成
分とすることを特徴とする。
【0147】それゆえ、半導体層においても結晶の配向
性を高めることができ、半導体素子の電子の移動度を高
くすることができるという効果を奏する。
【0148】本発明に係る半導体素子は、上記の課題を
解決するために、基板上に、下地層、半導体層の順に積
み重ねられた半導体素子であって、上記下地層は、窒化
アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウムおよび
窒化シリコンの混合物、酸化マグネシウムまたは酸化セ
リウムを主成分とし、上記半導体層は、上記半導体素子
をレーザ照射することにより溶融された半導体が結晶化
された層であることを特徴とする。
【0149】上記構成によれば、上記材料から成る下地
層は、従来材料の二酸化シリコンなどに比べて熱伝導度
が高く、半導体層および/または基板よりも熱伝導度が
高いので、伝搬された熱が膜全体に亘って拡散する。し
たがって、該下地層には、半導体層に偏在している熱を
均一に潜在させる作用があり、これにより半導体層全面
における冷却速度を均一にすることができる。
【0150】本発明に係る半導体素子は、以上のよう
に、上記の構成に加えて、半導体層は、上記半導体素子
を局部的にレーザ照射することにより、層の厚みに渡っ
て溶融された半導体層を結晶化し、照射部分を半導体層
の面方向に段階的に移動させることにより結晶領域が拡
大された層であることを特徴とする。
【0151】それゆえ、照射部分を半導体層の面方向に
段階的にスライドさせることで、半導体層における結晶
領域を拡大できる。さらに、上記構成によれば、半導体
層全面における冷却速度を均一にできる。したがって、
半導体層に形成される各結晶をより大きくできると共
に、各結晶の大きさをより均一に揃えることができる。
これにより、例えば、多結晶構造の上記半導体がTFT
アレイとして用いられる場合、各結晶から製造される各
TFT相互間で、スイッチング特性を揃えることができ
るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体素子の側面図である。
【図2】(a)は、上記半導体素子において、結晶化し
た半導体膜をSEMで撮影した膜表面像を示した模式図
であり、(b)は、従来の半導体素子において、結晶化
した半導体膜をSEMで撮影した膜表面像を示した模式
図である。
【図3】(a)は、上記半導体素子の下地膜である酸化
マグネシウムの結晶について、XRD測定をした際の回
折パターンを示した説明図であり、(b)は、上記酸化
マグネシウムの結晶の配向を示した説明図である。
【図4】上記半導体素子を製造できるレーザ加工装置を
示した概略構成図である。
【図5】従来技術である横方向結晶成長法を実現できる
レーザ加工装置を示した概略構成図である。
【図6】上記横方向結晶成長法により製造される半導体
素子を示した側面図である。
【図7】(a)ないし(d)は、上記横方向結晶成長法
によって、膜表面に結晶を成長させる手順を示したもの
であり、半導体素子の上面図である。
【図8】各種材料の熱伝導度を示した説明図である。
【図9】(a)は、上記半導体素子において、結晶化し
た半導体膜をSEMで撮影した膜表面像を示した図であ
り、(b)は、従来の半導体素子において、結晶化した
半導体膜をSEMで撮影した膜表面像を示した図であ
る。
【図10】下地膜として窒化アルミニウムを用いて、膜
厚を変化させた場合の結晶成長長さの変化を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 半導体素子 2 透明基板(基板) 3 下地膜(下地層) 4 シリコン膜(半導体層) 11 エキシマレーザ 12 可変減衰器 13 フィールドレンズ 14 投影マスク 15 結像レンズ 16 サンプルステージ 17 ミラー 18 コントローラ
フロントページの続き Fターム(参考) 5F052 AA02 BA01 BA07 BA12 BA18 BB07 CA04 CA10 DA02 DB03 DB05 DB07 EA11 FA01 JA01 5F110 AA16 AA17 AA30 BB01 BB10 DD12 DD13 DD14 GG02 GG13 GG16 GG17 GG25 GG43 GG45 PP04

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、下地層、半導体層の順に積み重
    ねられた半導体素子であって、 上記下地層は、上記半導体層よりも熱伝導度が高く、 上記半導体層は、上記半導体素子をレーザ照射すること
    により溶融された半導体が結晶化された層であることを
    特徴とする半導体素子。
  2. 【請求項2】下地層は半導体層よりも熱伝導度が7倍以
    上高いことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子。
  3. 【請求項3】基板上に、下地層、半導体層の順に積み重
    ねられた半導体素子であって、 上記下地層は、上記基板よりも熱伝導度が高く、 上記半導体層は、上記半導体素子をレーザ照射すること
    により溶融された半導体が結晶化された層であることを
    特徴とする半導体素子。
  4. 【請求項4】下地層は基板よりも熱伝導度が10倍以上
    高いことを特徴とする請求項3に記載の半導体素子。
  5. 【請求項5】下地層は窒化アルミニウムを主成分とする
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記
    載の半導体素子。
  6. 【請求項6】下地層が窒化シリコンを主成分とすること
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の
    半導体素子。
  7. 【請求項7】下地層が窒化アルミニウムおよび窒化シリ
    コンの混合物を主成分とすることを特徴とする請求項1
    ないし4のいずれか1項に記載の半導体素子。
  8. 【請求項8】下地層が酸化マグネシウムを主成分とする
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記
    載の半導体素子。
  9. 【請求項9】下地層が酸化セリウムを主成分とすること
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の
    半導体素子。
  10. 【請求項10】基板上に、下地層、半導体層の順に積み
    重ねられた半導体素子であって、 上記下地層は、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化
    アルミニウムおよび窒化シリコンの混合物、酸化マグネ
    シウムまたは酸化セリウムを主成分とし、 上記半導体層は、上記半導体素子をレーザ照射すること
    により溶融された半導体が結晶化された層であることを
    特徴とする半導体素子。
  11. 【請求項11】半導体層は、上記半導体素子を局部的に
    レーザ照射することにより、層の厚みに亘って溶融され
    た半導体層を結晶化し、照射部分を半導体層の面方向に
    段階的に移動させることにより結晶領域が拡大された層
    であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか
    1項に記載の半導体素子。
  12. 【請求項12】基板上に、下地層、半導体層を順に積層
    させた半導体素子の製造方法であって、 上記半導体素子をレーザ照射することにより半導体層を
    溶融し、溶融した半導体層を結晶化する工程を備え、 上記下地層は、上記半導体層よりも熱伝導度が高いこと
    を特徴とする半導体素子の製造方法。
  13. 【請求項13】基板上に、下地層、半導体層を順に積層
    させた半導体素子の製造方法であって、 上記半導体素子をレーザ照射することにより半導体層を
    溶融し、溶融した半導体層を結晶化する工程を備え、 上記下地層は、上記基板よりも熱伝導度が高いことを特
    徴とする半導体素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007053364A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Samsung Electronics Co Ltd 多結晶シリコーン薄膜の製造方法及びこの方法を利用した薄膜トランジスタの製造方法

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JP2007053364A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Samsung Electronics Co Ltd 多結晶シリコーン薄膜の製造方法及びこの方法を利用した薄膜トランジスタの製造方法

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