JP2003254966A - 抗カルパスタチン抗体の測定法及び測定キット - Google Patents
抗カルパスタチン抗体の測定法及び測定キットInfo
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Abstract
実用的な測定方法及び測定キット並びに疾患の検出方法
及び検出キットを提供することを目的とする。 【解決手段】 下記工程(A)及び(B)を少なくとも含む、
関節液中の抗カルパスタチン抗体の測定方法。 工程(A):カルパスタチンが固着された固相に関節液を
接触させる工程。 工程(B):固相に固着されたカルパスタチンに結合した
抗カルパスタチン抗体を検出する工程。
Description
抗体の測定方法及び測定キットに関する。また本発明
は、疾患の検出方法及び検出キットに関する。
ンプロテアーゼの一種であり、慢性関節リウマチ(以
下、単に「RA」という)の軟骨破壊に関与する酵素の
一つと考えられている。一方、カルパスタチンはカルパ
インの特異的な内在性インヒビターである。
ーゼの一種であることからすると、かかるプロテアーゼ
のインヒビターであるカルパスタチンに対する自己抗体
(抗カルパスタチン抗体)が、リウマチ疾患、特にRA
の発症や炎症の進展に関与している可能性がある。よっ
て抗カルパスタチン抗体の測定は、RAの検出や病態の
把握等に有用であると考えられる。
1164-1171 (1998)及びRheumatology, 40, p1126-1134
(2001)には、血清中の抗カルパスタチン抗体を、カルパ
スタチンのC末端側27アミノ酸(SSKAPKNGGKAKDSAKTTE
ETSKPKDD)に対応する合成ペプチド又は精製したカルパ
スタチンが固着された固相を用いた酵素結合免疫吸着ア
ッセイ(ELISA)によって測定した旨が記載されて
いる。しかし、関節液中の抗カルパスタチン抗体の測定
については記載も示唆もない。
増加すること等が知られていることから、関節液中の抗
カルパスタチン抗体を測定することで、より正確なRA
の検出や病態把握ができる可能性がある。
タチン抗体を、より高感度、特異的かつ正確に、定量性
良く、かつ簡便に測定できる方法やキットが提供できれ
ば、関節液中の抗カルパスタチン抗体の極めて実用性が
高い測定方法が提供され、リウマチ疾患等の高感度な検
出や病態把握が極めて容易となる可能性がある。
タチン抗体の極めて実用的な測定方法及び測定キット並
びに疾患の検出方法及び検出キットを提供することを目
的とする。
解決すべく鋭意検討を重ねた結果、関節液中の抗カルパ
スタチン抗体をELISA法で測定する場合に、汎用さ
れているカルパスタチンの部分ペプチドを固着させた固
相を用いるのではなく、全長のポリペプチドを固着させ
た固相を用いることによって、より高感度、特異的かつ
正確に、再現性・定量性良く、かつ簡便に測定できるこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。
少なくとも含む、関節液中の抗カルパスタチン抗体の測
定方法(以下、「本発明測定方法」という)を提供す
る。 工程(A):カルパスタチンが固着された固相に関節液を
接触させる工程。 工程(B):固相に固着されたカルパスタチンに結合した
抗カルパスタチン抗体を検出する工程。
当該抗体に結合能を有する抗イムノグロブリン抗体を用
いて行われることが好ましい。また、この抗イムノグロ
ブリン抗体は、標識されているものが好ましい。
ン抗体を測定し、その測定結果と疾患とを関連づけるこ
とを特徴とする、疾患の検出方法(以下、「本発明検出
方法」という)を提供する。関節液中の抗カルパスタチ
ン抗体の測定は、本発明測定方法によって行われること
が好ましい。また検出対象となる疾患はリウマチ疾患で
あることが好ましく、なかでもRAであることが好まし
い。
少なくとも含む、関節液中の抗カルパスタチン抗体の測
定キット(以下、「本発明測定キット」という)を提供
する。 (A)カルパスタチンが固着された固相。 (B)抗カルパスタチン抗体に結合能を有する抗イムノグ
ロブリン抗体。 ここで、抗イムノグロブリン抗体は、標識されているも
のが好ましい。
成分(A)及び(B)を少なくとも含む、疾患の検出キット
(以下、「本発明検出キット」という)を提供する。検
出対象となる疾患はリウマチ疾患であることが好まし
く、なかでもRAであることが好ましい。
明する。まず、本発明測定方法、本発明検出方法、本発
明測定キット及び本発明検出キットを通じて共通する事
項について説明する。
ルパスタチンの一部のアミノ酸配列からなるペプチド
(いわゆる部分ペプチド)ではなく、天然に存在するカ
ルパスタチンの全アミノ酸配列を有するポリペプチドで
ある。本明細書において単に「カルパスタチン」と表記
した場合には、「天然に存在するカルパスタチンの全ア
ミノ酸配列を有するポリペプチド」を意味するものであ
り、その一部のアミノ酸配列からなるペプチドは包含し
ない趣旨である。
方法は、最終的に「天然に存在するカルパスタチンの全
アミノ酸配列を有するポリペプチド」が取得できる限り
において特に限定されない。例えば、カルパスタチンを
含有する天然物から単離・精製することによって製造し
てもよく、カルパスタチンをコードするDNA等を用い
た遺伝子工学的手法によって製造してもよく、化学合成
的手法によって製造してもよい。本発明で用いるカルパ
スタチンは、これらいずれの製造方法で取得されたもの
であってもよい。このようなカルパスタチンは、市販さ
れているものを用いることもできる。
のアミノ酸配列が少しずつ異なっているが、本発明で用
いるカルパスタチンは、測定対象たる抗カルパスタチン
抗体(これを含有する関節液)が由来する動物種と同一
の動物種のものを選択することが好ましい。例えば、ヒ
トの関節液中の抗カルパスタチン抗体の測定を意図する
場合には、ヒトのカルパスタチンを用いることが好まし
い。
ン」として、その一部のアミノ酸配列からなるペプチド
を用いるのではなく「天然に存在するカルパスタチンの
全アミノ酸配列を有するポリペプチド」を用いる点にあ
り、これにより関節液中の抗カルパスタチン抗体を高感
度かつ定量性良く測定することができる。
む、関節液中の抗カルパスタチン抗体の測定方法であ
る。 工程(A):カルパスタチンが固着された固相に関節液を
接触させる工程。 工程(B):固相に固着されたカルパスタチンに結合した
抗カルパスタチン抗体を検出する工程。
された固相」とは、カルパスタチンが、通常のELIS
A法におけるプロセス(ブロッキング、抗原抗体反応、
洗浄、酵素反応、発色反応及び測定等)を通じて遊離し
ない程度に結合している固相を意味する。すなわち本明
細書において「固着」とは、通常のELISA法におけ
るプロセスを通じて遊離しない程度に結合することをい
う。
は、カルパスタチンが固着可能な水不溶性の固相である
限りにおいて、その形状や材質等も限定されない。
としては、プレート(例えばマイクロプレートのウェル
等)、チューブ、ビーズ、メンブレン、ゲル、ラテック
ス等を例示することができる。同様に固相の材質として
は、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリア
クリルアミド等が例示される。これらの中でも、ポリス
チレンを材質としたプレートが好ましい。
る方法としては、物理的吸着法、共有結合法、包括法等
固定化酵素の調製法として一般的な方法(固定化酵素、
1975年、講談社発行、第9〜75頁参照)を応用すること
ができる。これらの中でも、物理的吸着法が、操作が簡
便かつ頻用されていることから好ましい。
の方法が挙げられ、かつ好ましい;カルパスタチン抗体
を、pH7〜9程度の緩衝液(例えばホウ酸塩緩衝液、
リン酸緩衝液、リン酸緩衝食塩液(PBS)、炭酸緩衝液
等)に溶解して固相と接触させ、4℃で一晩静置して固
着させる方法。なお、この後に固相の表面を洗浄液で洗
浄してもよい。洗浄液としては緩衝液(例えばトリス塩
酸緩衝液、リン酸緩衝液、PBS等)等を用いることが
できる。
接触させて、カルパスタチンが固着していない部分を被
覆しておくことが好ましい。このようなブロッキング物
質としては、血清アルブミン(BSA)、ゼラチン、カ
ゼイン、スキムミルク等が例示される。これらは単独の
成分で用いてもよく、2種以上の成分として用いてもよ
い。なお、ブロッキング物質として市販されているもの
を使用してもよい。
もよい。洗浄液としては緩衝液(例えばトリス塩酸緩衝
液、リン酸緩衝液、PBS等)等を用いることができ
る。以上により、「カルパスタチンが固着された固相」
を製造することができる。工程(A)は、このようにして
製造された固相に、関節液を接触させる工程からなる。
タチン抗体が含有されているか、又は含有されている可
能性があるものであればよい。また、関節液は単離・精
製等の処理が施されている必要もない。すなわち本発明
測定方法によれば、関節液中に抗カルパスタチン抗体以
外の各種蛋白質成分等が含有されていても、測定対象た
る抗カルパスタチン抗体を特異的に測定することができ
る。
相)に関節液を接触させると、関節液中の抗カルパスタ
チン抗体が、固相に固着されたカルパスタチンに結合す
る。
「関節液」とを接触させる方法は、当該固相に固着され
たカルパスタチン分子と関節液中の抗カルパスタチン抗
体分子とが接触する状態となる限りにおいて限定されな
い。両者を接触させる方法として具体的には、固相に関
節液を添加する方法、関節液に固相を添加する方法、別
体の容器に両者を同時に添加する方法等が例示される
が、これらに限定されるものではなく、固相の形状や材
質等に応じて当業者が適宜決定することができる。
体反応させるためにインキュベートすることが好まし
い。インキュベートの温度は、抗原抗体反応が起こる温
度である限りにおいて特に限定されず、室温が例示され
る。インキュベートの時間は、前記両者が十分に反応す
る限りにおいて特に限定されないが、0.5時間〜2時
間程度、より好ましくは1〜1.5時間程度を例示する
ことができる。
ることが好ましい。この洗浄は、固相に固着したカルパ
スタチン及びこれに結合した抗カルパスタチン抗体が遊
離しない条件下で行われる。洗浄液としては、例えば、
トゥイーン(Tween)系界面活性剤等の非イオン性界面活
性剤を含有する緩衝液(例えばトリス塩酸緩衝液、リン
酸緩衝液、PBS等)を用いることが好ましい。
る。
チンに結合した抗カルパスタチン抗体を検出する工程で
ある。本発明測定方法は、固相に固着されているカルパ
スタチンと関節液中の抗カルパスタチン抗体との抗原抗
体反応を利用しており、固相に固着されたカルパスタチ
ンに結合した抗カルパスタチン抗体を検出することによ
って、関節液中の抗カルパスタチン抗体を測定すること
ができる。
ンに結合した抗カルパスタチン抗体の検出量が多けれ
ば、関節液中の抗カルパスタチン抗体量は多いと判定さ
れる。逆に、固相に固着されたカルパスタチンに結合し
た抗カルパスタチン抗体の検出量が少なければ、関節液
中の抗カルパスタチン抗体量は少ないと判定される。
合した抗カルパスタチン抗体の検出は、例えば、抗カル
パスタチン抗体に結合能を有する抗イムノグロブリン抗
体を用いることができる。この「抗イムノグロブリン抗
体」が結合するイムノグロブリンのクラスは特に限定さ
れないが、IgGが好ましい。すなわち「抗イムノグロ
ブリン抗体」としては、「抗IgG抗体」が好ましい。
そのアミノ酸配列が少しずつ異なっており、これに対応
して種々の抗イムノグロブリン抗体が存在するが、本発
明で用いる抗イムノグロブリン抗体は、測定対象たる抗
カルパスタチン抗体(これを含有する関節液)が由来す
る動物種と同一の動物種のイムノグロブリンに対する抗
体を選択することが好ましい。例えば、ヒトの関節液中
の抗カルパスタチン抗体の測定を意図する場合には、ヒ
トのイムノグロブリンに対する抗体を用いることが好ま
しく、抗ヒトIgG抗体を用いることがより好ましい。
ン抗体は、当業者が適宜調製することもでき、市販され
ているものを用いることもできる。この抗イムノグロブ
リン抗体は、検出を容易にするため、標識物質で標識さ
れていることから好ましい。
る標識物質としては、酵素(ペルオキシダーゼ、アルカ
リフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェ
ラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ等)、蛍光色素
(ルミノール、フルオレセインイソチオシアネート(FIT
C)など)、化学発光物質、ビオチン、アビジン、放射性
同位元素等が挙げられるが、蛋白質の標識に可能なもの
であれば特に限定されない。標識方法は、標識物質に適
した公知の方法、例えば、グルタルアルデヒド法、過ヨ
ウ素酸架橋法、マレイミド架橋法、カルボジイミド法、
活性化エステル法等(「タンパク質の化学(下)」、東
京化学同人、1987年発行参照)から適宜選択することが
できる。また標識物質としてビオチンを使用する場合
は、ビオチンのヒドラジド誘導体を用いる方法(Avidin-
Biotin Chemistry:A Handbook, p57-63, PIERCE CHEMIC
AL COMPANY, 1994年発行参照)、またフルオレセインイ
ソチオシアネートを使用する場合は特公昭63-17843号公
報記載の方法等から適宜選択できる。
して結合能を有する物質」を、抗カルパスタチン抗体が
カルパスタチンを介して固着した固相に接触させること
によって、当該物質と抗カルパスタチン抗体とを結合さ
せ、当該物質を抗カルパスタチン抗体とカルパスタチン
を介して固相に固着させることができる。この場合の接
触の方法や、反応の条件、洗浄等に関しては、前記と同
様である。
結合能を有する物質」が標識されている場合には、その
標識を検出することによって、カルパスタチンを介して
固相に固着した抗カルパスタチン抗体(固相に固着され
たカルパスタチンに結合した抗カルパスタチン抗体)を
検出することができる。標識の検出の方法は、標識に用
いた標識物質に応じて当業者が適宜決定することができ
る。
等)を標識物質として用いた場合には、これに酵素の基
質や発色基質等を加え、酵素反応による生成物の発色の
度合いを吸光度の変化で検出する方法などを採用でき
る。また、蛍光物質や化学発光物質を標識物質として用
いた場合には、反応後の溶液の蛍光や発光を検出する方
法などを採用できる。放射性同位元素を標識物質として
用いた場合は、この同位元素から発せられる放射線を検
出すればよい。
は、これにストレプトアビジン等を結合させた酵素(例
えばペルオキシダーゼ等)を添加してビオチンとストレ
プトアビジンとを結合させ、次いで酵素の基質や発色基
質等を加えて、酵素反応による生成物の発色の度合いを
吸光度の変化で検出する方法などを採用できる。
節液中の抗カルパスタチン抗体の有無を調べることがで
きる。また関節液中の抗カルパスタチン抗体の量(濃
度)も、予め既知濃度の抗カルパスタチン抗体標準液を
用いて抗カルパスタチン抗体濃度と標識の検出結果(例
えば吸光度)との関係について検量線又は関係式を作成
しておき、これを用いることによって測定することがで
きる。すなわち本発明測定方法において「測定」とは、
抗カルパスタチン抗体の有無という定性的な測定や、そ
の量(濃度)の測定という定量的な測定の双方を含む概
念である。
測定し、その測定結果と疾患とを関連づけることを特徴
とする、疾患の検出方法である。
は、関節液中の抗カルパスタチン抗体量に変化が生じる
ような疾患である限りにおいて特に限定されない。また
関節液中の抗カルパスタチン抗体を測定する方法も特に
限定されないが、本発明測定方法によって行われること
が好ましい。
と疾患との関連づけ、及びこれによる疾患の検出も、検
出対象となる疾患に応じて適宜行うことができる。例え
ば検出対象とする疾患が、関節液中の抗カルパスタチン
抗体量が増加するような疾患の場合には、関節液中の抗
カルパスタチン抗体量が健常な動物(当該疾患がない動
物)の関節液中の抗カルパスタチン抗体量に比して増加
するので、本発明測定方法等で測定された抗カルパスタ
チン抗体量が健常な個体の関節液中の量に比して多い場
合には、「当該疾患である」、又は「当該疾患である可
能性が高い」と関連づけられ、これにより当該疾患を検
出することができる。
中の抗カルパスタチン抗体量が減少するような疾患の場
合には、関節液中の抗カルパスタチン抗体量が健常なヒ
ト(当該疾患がないヒト)の関節液中の抗カルパスタチ
ン抗体量に比して減少するので、本発明測定方法等で測
定された抗カルパスタチン抗体量が健常な個体の関節液
中の量に比して少ない場合には、「当該疾患である」、
又は「当該疾患である可能性が高い」と関連づけられ、
これにより当該疾患を検出することができる。
チン抗体量が増加又は減少するような疾患を検出対象と
する場合において、本発明測定方法等で測定された抗カ
ルパスタチン抗体量が健常な個体の関節液中の抗カルパ
スタチン抗体量と同等であれば、「当該疾患でない」、
又は「当該疾患である可能性は低い」と関連づけること
ができる。
の有無のみでなく、上記疾患の程度の検出も含まれる。
例えば個体の関節液中の抗カルパスタチン抗体量を本発
明測定方法等により定期的に測定し、抗カルパスタチン
抗体量が健常な個体のレベルから離れる傾向にある場合
には「上記疾患が進行している」、又は「上記疾患が進
行している可能性が高い」と関連づけることができる。
また本発明測定方法等により測定された抗カルパスタチ
ン抗体量が健常な個体のレベルに近づく傾向にある場合
には、「上記疾患が改善方向にある」、又は「上記疾患
が改善方向にある可能性が高い」と関連づけることがで
きる。また本発明測定方法等により測定された抗カルパ
スタチン抗体量が健常な個体のレベルの範囲内で変化し
ない場合には、「健常性に変化がない」、又は「健常性
に変化がない可能性が高い」と関連づけることができ、
抗カルパスタチン抗体量が健常な個体のレベルの範囲外
で変化しない場合には、「上記疾患の程度に変化がな
い」、又は「上記疾患の程度に変化がない可能性が高
い」と関連づけることができる。
スタチン抗体量は、抗カルパスタチン抗体標準品溶液の
濃度と標識物質の検出結果との関係について作成した検
量線又は関係式を用いて求めた抗カルパスタチン抗体濃
度であっても良く、また当該検量線又は関係式を用いず
に健常な個体(上記疾患がない個体)の体液中の抗カル
パスタチン抗体量に対する比であっても良い。
節液中の抗カルパスタチン抗体が増加する。したがっ
て、リウマチ疾患、特にRAの検出を行う場合には、関
節液中の抗カルパスタチン抗体を本発明測定方法等によ
り測定し、この抗体量が健常な個体(リウマチ疾患(R
A)がないヒト)の関節液中の抗カルパスタチン抗体量
に比して増加している場合には、「リウマチ疾患(RA)
である」、又は「リウマチ疾患(RA)である可能性が高
い」と関連づけることができる。
よって関節液中の抗カルパスタチン抗体を測定し、関節
液中の抗カルパスタチン抗体量とリウマチ疾患(特にR
A)とを関連づけることによりリウマチ疾患(特にR
A)を検出する方法であることが好ましい。
とも含む、関節液中の抗カルパスタチン抗体の測定キッ
トである。 (A)カルパスタチンが固着された固相。 (B)抗カルパスタチン抗体に結合能を有する抗イムノグ
ロブリン抗体。
体については、<1>本発明測定方法における説明と同
様である。したがって、抗イムノグロブリン抗体は標識
されているものが好ましい。
なくとも含む限りにおいて特に限定されず、さらに検量
線や関係式の作成のための標準となる既知濃度の抗カル
パスタチン抗体標準品、標識物質の検出試薬、抗イムノ
グロブリン抗体を標識する試薬等を構成成分として加え
ることができる。また、これらの構成成分の他に、前記
のブロッキング物質、前記の洗浄液、関節液を希釈する
ための液、酵素反応停止液等が含まれていてもよい。
に収容しておき、使用時に本発明測定方法に従って使え
るキットとして保存しておくことができる。
ン抗体の測定は、前記<1>の本発明測定方法に従って
行うことができる。
及び(B)を少なくとも含む、疾患の検出キットである。
びにその他の点については、上記<3>の本発明測定キ
ットにおける説明と同様である。
患については、前記<2>における説明と同様である。
したがって、疾患としてはリウマチ疾患であることが好
ましく、RAであることがより好ましい。本発明検出キ
ットを用いた疾患の検出は、上記<2>の本発明検出方
法に従って行うことができる。
るが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
めて説明する。
製)(コード番号 3860-096) カルパスタチン(ヒト赤血球由来)(カルビオケム製;
カタログ番号 208901) HRPO(西洋ワサビのペルオキシダーゼ)−アフィニ
・ピュア ウサギ抗ヒトIgG(H+L)(ジャクソン
・イムノ・リサーチ・ラボラトリー製;コード番号 309
-035-003) TBS:20mM Tris-HCl(pH7.5)/0.5M NaCl TTBS:0.05% トゥイーン(Tween)20/TBS OPD:o−フェニレンジアミン(25mlの0.1M クエン
酸-0.2M リン酸緩衝液(pH5.0)中に10mgを含有)+H2
O2 5μl
ogen製;カタログ番号 PR59191)なお、この「抗カルパ
スタチン抗体検出ELISA」は市販されており、血清
又は血漿中に存在する「カルパスタチンのC末端側に特
異的な自己抗体」の定量キットである。固相に固着され
ているものが、本発明では「天然に存在するカルパスタ
チンの全アミノ酸配列を有するポリペプチド」であるの
に対し、当該市販キットでは「カルパスタチンのC末端
側のペプチド」である点で異なっている。また対象とな
る検体も、本発明では「関節液」であるのに対し、当該
市販キットでは「血清又は血漿」である点でも異なって
いる。
>カルパスタチンを2μg/ml濃度となるように0.1M ホ
ウ酸緩衝液(pH8.4)に溶解し、96ウエル マイクロプレ
ートに50μl/ウエルずつ添加して、4℃で一晩インキ
ュベートした。TBSで3回洗浄した後、2% BSA
/1% ゼラチンを含有するTBSを100μl/ウエルず
つ添加して、37℃で1時間インキュベートした。次い
でTBSで3回洗浄することにより、カルパスタチンが
固着された96ウエル マイクロプレートを作製した。
品溶液との接触>上記で作製したカルパスタチン固着プ
レートに、種々の濃度のヒト抗カルパスタチン抗体(Ig
G)標準品溶液(2ng/ml、4ng/ml、8ng/ml、15ng/ml、30n
g/ml、60ng/ml又は120ng/ml;1% BSA/TBSで希釈)をそ
れぞれ100μl/ウエル添加した。室温で1.5時間イン
キュベートした後、TTBSで3回洗浄した。 <カルパスタチンを介して固相に固着された抗カルパス
タチン抗体の検出>次いで、上記プレートに1% BSA/T
TBSで希釈したHRPO−ウサギ 抗ヒトIgGを 50μl
/ウエルずつ添加して、室温で1時間インキュベートし
た。TTBSで3回洗浄した後、OPD溶液を100μl/
ウエルで添加して、暗条件下、室温で15分間インキュ
ベートした。H2SO4を50μl/ウエルで添加して発
色反応を停止させ、492nmにおける吸光度を測定し
た。抗カルパスタチン抗体濃度と吸光度との関係を図1
に示す。
種々の濃度の抗カルパスタチン抗体(IgG)標準品溶液に
ついての吸光度を測定した。詳細な操作は、当該キット
に添付されている説明書に従った。抗カルパスタチン抗
体濃度と吸光度との関係を図2に示す。
(天然に存在するカルパスタチンの全アミノ酸配列を有
するポリペプチド)が固着されたプレートを用いた方
が、市販のキット(カルパスタチンのC末端側のペプチ
ド)を用いた場合に比して測定感度が高いことが判明し
た。また図1より、カルパスタチン(天然に存在するカ
ルパスタチンの全アミノ酸配列を有するポリペプチド)
が固着されたプレートを用いても、抗カルパスタチン抗
体量が正確かつ定量性良く測定できることが示された。
なお、図1の結果はそのまま検量線として利用すること
ができる。
体量の測定>RA患者(16人)の関節液中の抗カルパ
スタチン抗体量について、上記と同様に測定を行った。
なお、上記で作製したカルパスタチン固着プレートに接
触させる場合には関節液を1% BSA/TBSで2000倍に
希釈し、市販のキットに接触させる場合には関節液を同
溶液で200倍に希釈してそれぞれ用いた。同一の検体
について上記プレートで測定した結果と、市販のキット
で測定した結果との比較を図3に示す。
ルパスタチン固着プレートを用いて関節液中の抗カルパ
スタチン抗体量を測定すると、市販のキットよりも検体
の希釈率が10倍高いにもかかわらず、測定感度は顕著
に高かった。このことは本発明によれば、市販のキット
に比してより少ない量の関節液検体で、より感度が高い
測定が可能であることを示している。
ットオフ値(30mU/ml)に対して、市販のキットでは1
検体しか陽性にならなかったのに対し、上記で作製した
キットでは1検体を除いて全て陽性となり、RAを極め
て感度良く検出できることが示された。
レートを用いると、関節液中の抗カルパスタチン抗体を
精製せずとも特異的に測定できることが示された。
の作成>以下の構成からなる本発明測定キット及び本発
明検出キットを作成した。 1.カルパスタチンがウェルに固着されたイムノプレー
ト(96ウェル) 1枚 2.HRPO−ウサギ 抗ヒトIgG 1本 3.発色剤(OPD) 1本 4.反応停止液(6N H2SO4) 1本 5.ヒト抗カルパスタチン抗体(IgG)標準品溶液 1セ
ット 標準液1( 2ng/ml) 1本 標準液2( 4ng/ml) 1本 標準液3( 8ng/ml) 1本 標準液4(15ng/ml) 1本 標準液5(30ng/ml) 1本 標準液6(60ng/ml) 1本 標準液7(120ng/ml) 1本
スタチン抗体をより高感度に測定できることから、患者
から採取する関節液量も少なくて済み、極めて有用であ
る。また本発明測定方法は、関節液中の抗カルパスタチ
ン抗体を特異的かつ正確に、定量性良く、簡便に測定で
きる方法であり、極めて有用である。また本発明検出方
法は本発明測定方法を応用したものであり、RAをはじ
めとする種々の疾患を極めて簡便に検出できるので、非
常に実用性が高い方法である。また本発明測定キット及
び本発明検出キットは、本発明測定方法及び本発明検出
方法を利用するキットであるので、これを用いて関節液
中の抗カルパスタチン抗体を高感度、特異的かつ正確
に、定量性良く、かつ簡便に測定でき、またRAをはじ
めとする種々の疾患を極めて簡便に検出できる。
トは、その構成が単純であり、構成試薬も少ないため、
安価に提供することができる。
じめとする種々の疾患の検出のみならず、状態の把握、
治療方針の決定、治療効果の確認、医薬品開発における
候補物質の評価等へも応用することができ、極めて有用
である。
したプレートを用いた場合の、抗カルパスタチン抗体の
測定結果(検量線)を示す。
ペプチドを固相化したプレート)を用いた場合の、抗カ
ルパスタチン抗体の測定結果(検量線)を示す。
の、本発明測定方法と市販のキットによる方法との比較
を示す。図中の「RF−SF改良法」は本発明測定方法
による結果を、「RA−SF Kit」は市販のキット
による結果を示す。
Claims (12)
- 【請求項1】 下記工程(A)及び(B)を少なくとも含む、
関節液中の抗カルパスタチン抗体の測定方法。 工程(A):カルパスタチンが固着された固相に関節液を
接触させる工程。 工程(B):固相に固着されたカルパスタチンに結合した
抗カルパスタチン抗体を検出する工程。 - 【請求項2】 抗カルパスタチン抗体の検出が、当該抗
体に結合能を有する抗イムノグロブリン抗体を用いて行
われることを特徴とする、請求項1に記載の測定方法。 - 【請求項3】 抗イムノグロブリン抗体が標識されてい
ることを特徴とする、請求項2に記載の測定方法。 - 【請求項4】 関節液中の抗カルパスタチン抗体を測定
し、その測定結果と疾患とを関連づけることを特徴とす
る、疾患の検出方法。 - 【請求項5】 関節液中の抗カルパスタチン抗体の測定
が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の測定方法によ
って行われることを特徴とする、請求項4に記載の検出
方法。 - 【請求項6】 疾患が、リウマチ疾患である、請求項4
又は5に記載の検出方法。 - 【請求項7】 リウマチ疾患が、慢性関節リウマチであ
る、請求項6に記載の検出方法。 - 【請求項8】 下記構成成分(A)及び(B)を少なくとも含
む、関節液中の抗カルパスタチン抗体の測定キット。 (A)カルパスタチンが固着された固相。 (B)抗カルパスタチン抗体に結合能を有する抗イムノグ
ロブリン抗体。 - 【請求項9】 抗イムノグロブリン抗体が標識されてい
ることを特徴とする請求項8に記載の測定キット。 - 【請求項10】 請求項8又は9に記載の測定キットの
構成成分(A)及び(B)を少なくとも含む、疾患の検出キッ
ト。 - 【請求項11】 疾患が、リウマチ疾患である、請求項
10に記載の検出キット。 - 【請求項12】 疾患が、慢性関節リウマチである、請
求項11に記載の検出キット。
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---|---|---|---|
JP2002055051A JP3768165B2 (ja) | 2002-02-28 | 2002-02-28 | 抗カルパスタチン抗体の測定法及び測定キット |
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Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP3768165B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010115745A3 (en) * | 2009-03-30 | 2010-12-16 | INSERM (Institut National de la Santé et de la Recherche Médicale) | Biomarkers, methods and kits for the diagnosis of rheumatoid arthritis |
-
2002
- 2002-02-28 JP JP2002055051A patent/JP3768165B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US9267946B2 (en) | 2009-03-30 | 2016-02-23 | Inserm (Institut National De La Sante Et De La Rec | Biomarkers, methods and kits for the diagnosis of rheumatoid arthritis |
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