JP2003253317A - 溶鋼の製造方法 - Google Patents

溶鋼の製造方法

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JP2003253317A JP2002058306A JP2002058306A JP2003253317A JP 2003253317 A JP2003253317 A JP 2003253317A JP 2002058306 A JP2002058306 A JP 2002058306A JP 2002058306 A JP2002058306 A JP 2002058306A JP 2003253317 A JP2003253317 A JP 2003253317A
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slag
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Yoshiteru Kikuchi
良輝 菊地
Fumihiro Washimi
郁宏 鷲見
Tomoo Izawa
智生 井澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転炉脱炭精錬において添加されるマンガン鉱
石を、精錬時間の延長を来すことなく高いレベルにまで
還元し、マンガン歩留まりを従来到達されない高レベル
まで高める。 【解決手段】 高炉から出銑された溶銑を予備脱燐処理
した後に転炉にて脱炭精錬して溶鋼を製造する溶鋼の製
造方法において、前記予備脱燐処理では、溶銑中の燐濃
度を鋼材製品の燐濃度レベルまで低減し、転炉脱炭精錬
では、マンガン鉱石とプラスチックとから成形した含マ
ンガンプラスチック成形体を脱炭精錬の後半で添加して
プラスチックに含まれる炭素及び水素によりマンガン酸
化物を還元する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高炉から出銑され
た溶銑を用い、溶銑中の不純物成分を除去して鋼材製品
の要求する溶鋼を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高炉で製造された溶銑から鋼材製品を製
造するには、製鋼精錬工程を経る必要がある。この製鋼
精錬工程では、溶銑に含まれる不純物成分を除去した上
で、鋼材製品の材料特性上要求される組成への調整が行
われる。溶銑に含まれる不純物成分としては、4mass%
以上含有される炭素の他、燐、硫黄等があり、又、鋼材
製品の要求成分としては、強度や靭性を高めるマンガン
や珪素等がある。
【0003】炭素や燐を除去するために、溶銑に大量の
酸素を添加する酸化反応の適用や脱燐能に優れたスラグ
と溶銑とを反応させているが、転炉を用い、溶銑中の炭
素及び燐を同時に除去していた従来の溶鋼精錬方法に対
し、最近では、燐のみ溶銑段階で事前に除去し(溶銑予
備脱燐処理)、その後、転炉での脱炭を主とする精錬に
より溶鋼を製造する方法が行われている。その結果、転
炉での脱炭精錬においては、脱燐のためのスラグを添加
する必要がなくなり、マンガン鉱石を投入してマンガン
酸化物を還元することが可能となり、出鋼時に添加され
るマンガン合金鉄の使用量を削減した操業が行われるよ
うになった。
【0004】しかし、添加されたマンガン鉱石中のマン
ガンの一部は転炉脱炭精錬工程のスラグ中に残留し、マ
ンガン歩留まりは60〜70%程度であり、これ以上に
マンガン歩留まりを高くすることは極めて困難であっ
た。特に、転炉精錬終点(脱炭終点ともいう)でマンガ
ン歩留まりを高くするためには、スラグ中マンガンのメ
タル(溶鋼)への還元を促進し、スラグとメタルとのマ
ンガン分配比を低めることが必要であるが、これを低め
ることは極めて困難である。転炉精錬終点においては、
溶鋼中炭素濃度が減少し、スラグの酸化度が増加するた
め、マンガンも酸化マンガンとなりやすく、このため、
スラグからのマンガンの還元が抑制されたり、逆にメタ
ル中マンガンが酸化され、スラグ中へ移行したりするか
らである。
【0005】スラグの酸化度を高めないようにするた
め、脱炭精錬末期の送酸速度を減少させることが通常行
われているが、送酸速度を下げると酸素ジェットによる
攪拌効率も低下するため、スラグの酸化度を下げる効果
に限界があり、更に、送酸速度を下げることによる排ガ
ス回収率の低下や精錬時間の延長が避けられないという
問題も生じる。
【0006】又、マンガンのスラグ及びメタルへの収支
上、スラグ組成を制御したり、スラグ量を少なくするこ
とも必要である。例えば、マンガン分配比を低めるた
め、スラグ塩基度を高めに制御する方法が用いられる
が、溶銑予備脱燐処理での燐の低下が不充分な場合には
脱燐剤としてのCaOが必要になり、更に、マンガン鉱
石には酸化珪素(SiO2 )を主体とする脈石を含むた
め生石灰の添加量が増え、スラグ量を減らすにも限界が
ある。この場合、スラグ中のマンガン酸化物の濃度は減
少しても、スラグ量が多くなるため、スラグ中に存在す
る酸化マンガンの量はそれほど減少しないという問題が
ある。
【0007】更に、スラグの酸化度を積極的に低下させ
る手段として、転炉精錬中に黒鉛等の炭材を投入添加す
ることが行われているが、炭材に含有される窒素や硫黄
が鋼材製品に悪影響を及ぼすため、添加量は極少なく限
られ、スラグのフォーミング制御に用いられる程度であ
り、スラグ中のマンガン酸化物を還元するほどには添加
されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みなされたもので、その目的とするところは、転炉脱炭
精錬工程において添加されるマンガン鉱石を、精錬時間
の延長を来すことなく高いレベルにまで還元し、マンガ
ン歩留まりを従来到達されない高レベルまで高めること
のできる溶鋼の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の第1の発明による溶鋼の製造方法は、高炉から出銑さ
れた溶銑を予備脱燐処理した後に転炉にて脱炭精錬して
溶鋼を製造する溶鋼の製造方法において、前記予備脱燐
処理では、溶銑中の燐濃度を鋼材製品の燐濃度レベルま
で低減し、転炉脱炭精錬では、マンガン鉱石とプラスチ
ックとから成形された含マンガンプラスチック成形体を
脱炭精錬の後半で添加してプラスチックに含まれる炭素
及び水素によりマンガン酸化物を還元することを特徴と
するものである。
【0010】第2の発明による溶鋼の製造方法は、第1
の発明において、前記予備脱燐処理後の溶銑中燐濃度を
0.02mass%以下とし、前記転炉脱炭精錬での炉内ス
ラグ量を溶銑トン当たり25kg以下とすることを特徴と
するものである。
【0011】第3の発明による溶鋼の製造方法は、第1
の発明又は第2の発明において、前記転炉脱炭精錬で
は、含マンガンプラスチック成形体中のマンガン鉱石を
含めてマンガン純分で溶銑トン当たり2kg以上のマンガ
ン鉱石を添加することを特徴とするものである。
【0012】第4の発明による溶鋼の製造方法は、第1
の発明ないし第3の発明の何れかにおいて、前記プラス
チックは、プラスチック製造工程或いはプラスチック加
工工程で発生するプラスチック廃材か、若しくは、プラ
スチック製品の使用後発生する廃棄プラスチックである
ことを特徴とするものである。
【0013】第5の発明による溶鋼の製造方法は、第1
の発明ないし第4の発明の何れかにおいて、前記含マン
ガンプラスチック成形体は、プラスチックの配合量に対
するマンガン鉱石の配合量の比αが3以下であることを
特徴とするものである。
【0014】第6の発明による溶鋼の製造方法は、第1
の発明ないし第5の発明の何れかにおいて、前記含マン
ガンプラスチック成形体でのプラスチック配合量に対す
るマンガン鉱石配合量の比αと、含マンガンプラスチッ
ク成形体の添加速度W(kg/min・T)と、送酸速度Q(Nm
3 /min・T)とが下記の(1)式の範囲内であることを特
徴とするものである。尚、添加速度W及び送酸速度Q
は、溶銑トン当たり及び1分間当たりの供給量で表示し
た値である。
【0015】
【数1】
【0016】本発明では、溶銑中の炭素濃度が低下した
転炉精錬の後半にプラスチックを添加するので、溶銑中
の炭素濃度が低下した状態であっても、プラスチック中
の炭素や水素により、スラグの酸化度上昇が抑制され
る。従って、送酸速度を低下させなくてもスラグの酸化
度上昇が抑制され、且つ、添加したプラスチック中の炭
素及び水素によるマンガン鉱石の直接還元のみならず、
スラグ中の鉄酸化物やマンガン酸化物も還元されるの
で、マンガン歩留まりを従来到達されない高レベルまで
高めることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。高炉から出銑された溶銑は高炉鋳床を経由して溶
銑鍋に注湯され、溶銑鍋内に貯留される。この溶銑鍋を
脱燐処理場まで搬送し、溶銑の予備脱燐処理を施す。
【0018】溶銑の予備脱燐処理は、酸素ガス等の気体
酸素源及び鉄鉱石やミルスケール等の固体酸素源を溶銑
に供給して行われる。この予備脱燐処理では、溶銑のガ
ス攪拌等を付与し更に生石灰等によりCaO分を添加し
て処理される。この予備脱燐処理は、溶銑鍋のみなら
ず、酸素源や副原料の添加及び溶銑の攪拌機能を備えた
設備ならば行うことができ、例えば、溶銑鍋と同様な溶
銑搬送容器であるトーピードカーでも当然良く、又、転
炉等の脱燐専用の容器に移し替えて行っても良い。脱燐
処理時、スラグの過酸化を防止するために適正な攪拌を
行う必要があり、一般にはガス攪拌が行われる。
【0019】特に、安定して脱燐処理を行うには、スラ
グ量を極力少なくする必要があり、少ないスラグ量でも
十分に脱燐させるため、脱燐能の高いスラグを生成する
必要がある。これには、スラグの塩基度(CaO/Si
2 )を高めることが効果的であり、スラグの塩基度を
高める観点から事前に溶銑中の珪素を除去(「脱珪処
理」という)しておくことが好ましい。事前に溶銑中珪
素濃度を0.2mass%以下まで脱珪しておけば、少ない
CaOの添加でスラグの塩基度を3以上に高めることが
できる。予備脱燐処理後、生成したスラグを溶銑鍋から
取り除き、溶銑を次工程の転炉脱炭精錬に供する。
【0020】尚、次工程の転炉脱燐精錬におけるスラグ
量を少なくするためには、予備脱燐処理後の溶銑中燐濃
度を下げるほど望ましく、この観点から、予備脱燐処理
後の溶銑中燐濃度が0.02mass%以下となるまで脱燐
処理することが好ましい。溶銑の燐濃度が0.02mass
%以下であれば、転炉脱炭精錬におけるスラグ量を溶銑
トン当たり25kg(以下「kg/T」と記す)以下にするこ
とができる。転炉脱炭精錬におけるスラグ量が少ないほ
ど、転炉内に供給されるマンガン鉱石の還元が促進さ
れ、マンガンの歩留まりが向上する。
【0021】転炉内に、このようにして予備脱燐処理を
施した溶銑を装入し、上吹きランス等から酸素を供給し
て転炉脱炭精錬を行う。図1に、本発明による転炉脱炭
精錬を実施する際に用いた転炉設備の1例を示す。図1
において、1は転炉、2は上吹きランス、3は原料投入
装置、4は底吹きノズル、5は溶銑、6はスラグ、7は
マンガン鉱石とプラスチックとから成形した含マンガン
プラスチック成形体であり、上吹きランス2から酸素を
供給して脱炭精錬を行う。そして、この脱炭精錬の後半
即ち酸素吹錬の後半に、含マンガンプラスチック成形体
7を原料投入装置3を介して転炉1内に投入する。この
場合、脱炭精錬の後半とは、酸素を供給する期間の中間
点よりも後半部分の期間を意味する。
【0022】この転炉脱炭精錬では、酸素吹錬時に生成
する酸化鉄の薄め剤として、若しくは、浴面からの粒滴
の飛散や放熱を抑制するために、少量のカバー用スラグ
6は必要であるが、本発明における転炉脱炭精錬では脱
燐反応の必要性がほとんどないため、媒溶剤の量は、脱
燐反応に規定されずにマンガン鉱石中の脈石等から持ち
来される酸化珪素(SiO2 )分の塩基度調整分のみの
少量で良い。即ち、少ないスラグ量で十分である。特
に、予備脱燐処理にて溶銑中燐濃度を0.02mass%以
下まで脱燐しておけば、実質的に鋼材製品の燐濃度レベ
ルまで燐濃度が低下しているので、スラグ6の脱燐能が
必須でなく、スラグ組成の変動も問題ないため、炉内へ
のスラグ残留操業等で繰り返しスラグ6を使用し、新規
に供給する媒溶剤をなくすることもできる。
【0023】溶鋼中のマンガン濃度は最終的には鋼材製
品のマンガン濃度に調整される。この場合、転炉脱炭精
錬時に添加されるマンガン鉱石のマンガン量で十分に鋼
材製品のマンガン量が確保される場合には、当然Fe−
Mn等のマンガン合金が不用であり、一方、鋼材製品の
マンガン濃度が高く、転炉脱炭精錬時に添加されるマン
ガン鉱石のマンガン量では不足する場合には、マンガン
合金が使用される。このように、転炉脱炭精錬時に添加
されるマンガン鉱石量は鋼材製品のマンガン濃度に依存
しており、いちがいに決めることができない。従って、
含マンガンプラスチック成形体7のみの添加では、マン
ガン添加量が不足する場合には、転炉脱炭精錬の初期か
らマンガン鉱石を単体で転炉内に供給することができ、
それでも不足する場合には、出鋼時に更にマンガン合金
を添加することができる。この場合、転炉1内に供給す
るマンガン鉱石量が少ない場合にはプラスチックを用い
てマンガン鉱石を還元するまでもなく、従って、供給す
るマンガン鉱石量がマンガン純分で2kg/T以上の場合
に、本発明を適用することが好ましい。
【0024】上吹きランス2からの送酸により脱炭が進
行し同時に酸化鉄も生成して溶湯温度が上昇する。酸素
吹錬の初期から中期にかけては生石灰が添加され、又、
前述したように必要に応じて単体のマンガン鉱石が添加
される。添加されたマンガン鉱石は溶融し、その一部は
溶銑中炭素により還元される。酸素吹錬の中期から後期
においては、スラグ6の酸化度が上昇し、スラグ6の酸
化度に応じてスラグ6中にはマンガンがマンガン酸化物
(MnO)の形態で一部残留するが、含マンガンプラス
チック成形体7を添加することにより、スラグ6がプラ
スチック中の炭素や水素により還元され、スラグ6の酸
化度が低下してスラグ6中のマンガン酸化物や鉄酸化物
も還元される。同時に、含マンガンプラスチック成形体
7に含まれるマンガン鉱石もプラスチック中の炭素や水
素により直接還元される。この場合、スラグ6と含マン
ガンプラスチック成形体7との反応を促進させるため
に、スラグ6の量は25kg/T以下であることが好まし
い。
【0025】含マンガンプラスチック成形体7を構成す
るプラスチック原料は、基本的にはプラスチックであれ
ば何でも使用可能であるが、経済性の観点から、プラス
チック製造工程或いはプラスチック加工工程で発生する
プラスチック廃材か、若しくは、プラスチック製品の使
用後発生する廃棄プラスチックを用いることが好まし
い。又、プラスチック廃棄物の処理の観点からも廃棄プ
ラスチックを使用することが好ましい。殆どのプラスチ
ックは熱可塑性があり、マンガン鉱石と攪拌・混合す
る、或いは、加熱しながらマンガン鉱石と攪拌・混合す
ることにより、プラスチックが半溶融若しくは溶融し、
バインダーとして機能するため、含マンガンプラスチッ
ク成形体7を容易に製造することができる。
【0026】含マンガンプラスチック成形体7中のプラ
スチックは、含マンガンプラスチック成形体7中のマン
ガン鉱石を還元し、更には、単体で添加されたマンガン
鉱石から持ち来されるスラグ6中のマンガン酸化物及び
鉄酸化物をも還元する必要があることから、プラスチッ
ク中の炭素とマンガン鉱石中の酸素とで決まる概略の化
学反応当量を考慮して、含マンガンプラスチック成形体
7におけるプラスチックの配合量に対するマンガン鉱石
の配合量の比α(マンガン鉱石の配合量/プラスチック
の配合量)を3以下とすること、即ち、マンガン鉱石の
配合量を75mass%以下とすることが好ましい。この場
合、成形性の観点から、プラスチック配合量が2〜40
mass%の場合にはブリケット状に成形し、40mass%を
超える場合には押出し成形により成形することが好まし
い。但し、比αが3以上であってもプラスチックが含有
される限り、マンガン鉱石やスラグ成分の部分的な還元
は進行するので、使用しても問題はない。
【0027】含マンガンプラスチック成形体7を添加す
ることによりスラグ6は還元されるが、上吹きランス2
からの送酸速度が大きすぎると、プラスチックによる還
元反応が損なわれることになる。含マンガンプラスチッ
ク成形体7中のプラスチックによりマンガン酸化物を還
元するには、定性的に、マンガン鉱石の配合量の比αを
小さくし、含マンガンプラスチック成形体7の添加速度
Wを大きくし、上吹きランス3からの送酸速度Qを小さ
くすれば良いことが明らかである。
【0028】そこで、本発明者等はマンガン鉱石の配合
量の比αと、含マンガンプラスチック成形体7の添加速
度W(kg/min・T)と、送酸速度Q(Nm3 /min・T)とを種
々変更した試験を実施してマンガン歩留まりを調査し
た。その結果、これらの3つの因子が下記の(1)式を
満足している場合には、マンガン酸化物の還元が促進さ
れるとの知見を得た。即ち、下記の(1)式を満足する
範囲内で本発明を実施することにより、安定してマンガ
ン歩留まりを従来にない高レベルまで向上させることが
できる。
【0029】
【数2】
【0030】このようにして溶銑5を脱燐処理し更に脱
炭精錬することにより、溶銑5中の炭素濃度が低下した
状態であっても、送酸速度を低下させなくてもプラスチ
ック中の炭素や水素により、スラグ6の酸化度の上昇が
抑制される。そして、添加したプラスチック中の炭素及
び水素によりマンガン鉱石が直接還元されるのみなら
ず、スラグ6中の鉄酸化物やマンガン酸化物も還元され
るので、マンガン歩留まりを従来到達されない高レベル
まで高めることができる。
【0031】
【実施例】高炉から出銑された溶銑に対し、高炉鋳床で
の脱珪処理、転炉での予備脱燐処理、転炉での脱炭精錬
処理の一連の処理を施した試験操業を説明する。
【0032】高炉鋳床での脱珪時、塊状の酸化鉄を12
kg/Tの原単位で上置き添加した。鋳床から溶銑鍋への落
下流の攪拌により、溶銑中珪素濃度は0.09mass%ま
で低下した。生成したスラグを排滓後、溶銑を図1に示
す転炉と同一仕様の転炉に装入して予備脱燐処理を施し
た。この予備脱燐処理では合計8kg/Tの生石灰と蛍石と
を添加し、上吹きランスから12Nm3 /Tの酸素を供給し
て行い、処理後の溶銑中燐濃度を0.010mass%まで
低下させた。
【0033】予備脱燐処理が施された溶銑を一旦取鍋
(装入鍋)に出湯し、図1に示す別の転炉に溶銑を装入
し、脱炭精錬を施した。用いた転炉は250トン容量で
あり、脱炭精錬では、酸素吹錬の初期に転炉内にマンガ
ン鉱石を投入した。用いたマンガン鉱石は、マンガン濃
度が48mass%で、酸化珪素(SiO2 )濃度が4mass
%のものであり、投入マンガン鉱石量はマンガン純分で
10kg/Tとした。
【0034】炉底部の底吹きノズルから0.1Nm3 /min
・Tの窒素若しくはArを供給して溶銑を攪拌しつつ、上
吹きランスからの送酸を行った。この脱炭精錬では、混
入する酸化珪素に対してスラグの塩基度が3.5となる
ように媒溶剤として生石灰を添加した。上吹きランスか
らの送酸速度は2水準とし、送酸パターンIは、酸素吹
錬開始時から11分経過時までを3.1Nm3 /min・T、1
1分経過以降から転炉精錬終点の15分までを2.0Nm
3 /min・Tとし、送酸パターンIIは、酸素吹錬開始時から
転炉精錬終点の15分までの全範囲を3.1Nm3 /min・T
とした。転炉精錬終点は、溶鋼中炭素濃度が略0.05
mass%で、溶鋼温度が略1650℃であった。
【0035】この脱炭精錬中に含マンガンプラスチック
成形体を添加した。用いた含マンガンプラスチック成形
体は、プラスチックの配合量に対するマンガン鉱石の配
合量の比αが0.25(マンガン鉱石:20mass%、プ
ラスチック:80mass%)であり、吹錬開始から11分
経過した以降に添加した。含マンガンプラスチック成形
体の添加量は、4kg/T、8kg/T、15kg/Tの3水準とし
た。又、比較のために含マンガンプラスチック成形体を
添加しない試験も実施した。
【0036】脱炭精錬終了後、溶鋼及びスラグから分析
用試料を採取して、スラブ組成及びメタル(溶鋼)組成
を調査し、マンガンの歩留まりを求めた。表1に、転炉
脱炭精錬における試験条件と試験結果とを示す。又、表
1には、前述の(1)式左辺の計算値を併せて示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1に示されるように、含マンガンプラス
チック成形体を添加することで、スラグの酸化度を低く
すること、即ち、スラグ中の鉄酸化物及びマンガン酸化
物を低減させることができ、マンガンの損失を少なくし
て溶鋼中のマンガン濃度を高くすることができた。含マ
ンガンプラスチック成形体を15kg/T(プラスチック添
加量に換算すると12kg/T)とした場合には、90%を
超える極めて高いマンガン歩留まりを得ることができ
た。又、溶鋼中の燐の上昇量も高くなく、発生スラグ量
も少なくすることができた。尚、表1の備考欄には、本
発明の範囲内の試験には本発明例と表示し、それ以外の
試験には比較例と表示した。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、転炉脱炭精錬工程にお
いて添加されるマンガン鉱石を、精錬時間の延長を来す
ことなく高いレベルにまで還元し、マンガン歩留まりを
従来到達されない高レベルまで高めることが可能とな
り、省資源や省エネルギーに寄与し、工業上有益な効果
がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による脱炭精錬を実施する際に用いた転
炉設備の1例を示す図である。
【符号の説明】
1 転炉 2 上吹きランス 3 原料投入装置 4 底吹きノズル 5 溶銑 6 スラグ 7 含マンガンプラスチック成形体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井澤 智生 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K070 AB03 AB10 AB13 AB14 AB20 AC11 BB02 BD13 BD18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉から出銑された溶銑を予備脱燐処理
    した後に転炉にて脱炭精錬して溶鋼を製造する溶鋼の製
    造方法において、前記予備脱燐処理では、溶銑中の燐濃
    度を鋼材製品の燐濃度レベルまで低減し、転炉脱炭精錬
    では、マンガン鉱石とプラスチックとから成形された含
    マンガンプラスチック成形体を脱炭精錬の後半で添加し
    てプラスチックに含まれる炭素及び水素によりマンガン
    酸化物を還元することを特徴とする溶鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記予備脱燐処理後の溶銑中燐濃度を
    0.02mass%以下とし、前記転炉脱炭精錬での炉内ス
    ラグ量を溶銑トン当たり25kg以下とすることを特徴と
    する請求項1に記載の溶鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記転炉脱炭精錬では、含マンガンプラ
    スチック成形体中のマンガン鉱石を含めてマンガン純分
    で溶銑トン当たり2kg以上のマンガン鉱石を添加するこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶鋼の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記プラスチックは、プラスチック製造
    工程或いはプラスチック加工工程で発生するプラスチッ
    ク廃材か、若しくは、プラスチック製品の使用後発生す
    る廃棄プラスチックであることを特徴とする請求項1な
    いし請求項3の何れか1つに記載の溶鋼の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記含マンガンプラスチック成形体は、
    プラスチックの配合量に対するマンガン鉱石の配合量の
    比αが3以下であることを特徴とする請求項1ないし請
    求項4の何れか1つに記載の溶鋼の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記含マンガンプラスチック成形体での
    プラスチック配合量に対するマンガン鉱石配合量の比α
    と、含マンガンプラスチック成形体の添加速度W(kg/m
    in・T)と、送酸速度Q(Nm3 /min・T)とが下記の(1)
    式の範囲内であることを特徴とする請求項1ないし請求
    項5の何れか1つに記載の溶鋼の製造方法。 Q-W(1-0.28α) ≦5.0 …(1)
JP2002058306A 2002-03-05 2002-03-05 溶鋼の製造方法 Pending JP2003253317A (ja)

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