JP2003251285A - 電極の自動洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高濃度スラリー液および高温液においても使
用可能な電極の自動洗浄装置を提供することである。 【解決手段】 ＰＨ／ＯＲＰ計の電極の自動洗浄装置１
を、測定対象の液体２０に浸漬可能な電極２を有するホ
ルダ４と、このホルダ４を昇降可能な状態で収納する洗
浄用外筒５と、洗浄用外筒５の内部に向けて噴射口６を
有する洗浄液噴射用のノズル７と、電極２を洗浄用外筒
５内へ引揚げて、電極２を噴射口６に対向させるアクチ
ュエータ（８）とで構成し、洗浄時に、アクチュエータ
（８）によりホルダ４を引揚げて、電極２を噴射口６に
対向させ、ノズル７から適切な洗浄圧の洗浄液１５を噴
射することにより、電極２を洗浄する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液体例えば高濃度
スラリー液中および高温液中で使用される浸漬型ＰＨ／
ＯＲＰ計の電極を自動的に洗浄する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、浸漬型ＰＨ計／ＯＲＰ計の電極に
付着した異物は、希釈した塩酸などに電極を浸し、手動
で除去されていたが、近年では、これら作業の自動化が
検討され、各種の自動洗浄装置が開発され、使用されて
いる。このような電極の自動洗浄装置には、超音波洗浄
装置、ブラシ洗浄装置、薬液洗浄装置、圧縮空気噴射洗
浄装置等がある。

【０００３】超音波洗浄装置は、測定液中の電極の側に
超音波発振子を設け、超音波発振子で発生する振動によ
り、電極の表面の汚れを取り除くものである。ブラシ洗
浄装置は、測定液中で電極の下部に備えたブラシをエア
圧または水圧で電極の表面に押し付け、そのブラシを回
転させて、電極の表面の汚れを落とすものである。薬液
洗浄装置は、測定液中の電極の側に洗浄薬液吹出しノズ
ルを備え、電極の表面に薬液を吹き付けて、汚れを薬液
で分解して落とすものである。圧縮空気噴射洗浄装置
は、電極を洗浄液中に浸した状態で洗浄液中にエアを注
入し、洗浄液をバブリングさせることで、電極の表面の
汚れを落とすものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の各洗浄
装置には、それぞれ下記の解決すべき課題がある。超音
波洗浄装置では、測定対象の液体がスラリー液の場合、
スラリーにより音波が電極の表面まで十分に届かないと
いう問題がある。ブラシ洗浄装置では、測定対象の液体
がスラリー液の場合、ブラシにスラリーが付着し、重く
なることや、エア圧、水圧の吹出し口が固形物により塞
がれるという問題がある。また、薬液洗浄装置には、測
定対象の液体がスラリー液の場合、上記と同様に吹出し
ノズルが詰まることや、薬液が十分に電極の表面に届か
ないという問題がある。さらに、圧縮空気噴射装置に
は、測定対象の液体が高温の場合、洗浄時にヒートショ
ックにより電極が割れることや、装置の部品数が増え、
制御が複雑で、高価になるという問題がある。

【０００５】このように、いずれにしても、従来の各洗
浄装置は、高濃度スラリー液や高温液の槽内で用いられ
る浸漬型ＰＨ／ＯＲＰ計の電極の洗浄に不適当である。

【０００６】したがって、本発明の目的は、上記諸問題
を解消し、高濃度スラリー液および高温液においても使
用可能な電極の自動洗浄装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的のもとに、請求
項１の発明は、ＰＨ／ＯＲＰ計の電極の自動洗浄装置
を、測定対象の液体に浸漬可能な電極を有するホルダ
と、このホルダを昇降可能な状態で収納する洗浄用外筒
と、洗浄用外筒の内部に向けて噴射口を有する洗浄液噴
射用のノズルと、電極を洗浄用外筒内へ引揚げて電極を
噴射口に対向させるアクチュエータとで構成し、洗浄時
にアクチュエータによりホルダを引揚げて、電極を噴射
口に対向させ、ノズルから適切な洗浄圧の洗浄液を噴射
することにより電極を洗浄することとしている。

【０００８】また、請求項２の発明は、請求項１記載の
電極の自動洗浄装置において、洗浄液噴射用のノズルを
複数のノズルにより構成し、一部のノズルの噴射口を水
平方向へ向けて設置し、他のノズルを斜め方向に設置す
ることとしている。

【０００９】さらに、請求項３の発明は、請求項１また
は２記載の電極の自動洗浄装置において、洗浄液として
温水を用いることとしている。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１ないし図４は、本発明による
電極の自動洗浄装置１を示す。電極の自動洗浄装置１
は、浸漬型ＰＨ計／ＯＲＰ計の電極２を洗浄するため
に、ホルダ４、洗浄用外筒５、洗浄液噴射用のノズル
７、およびアクチュエータとして例えばロッドレスシリ
ンダ８とを有している。

【００１１】浸漬型ＰＨ計／ＯＲＰ計の電極２は、電極
保護筒３に覆われた状態でホルダ４の下端に取り付けら
れており、測定対象の液体２０に浸漬可能となってい
る。ホルダ４は、洗浄用外筒５の内部に対し昇降可能な
状態で貫通するように配置されており、その上端でリニ
アアクチュエータとしてのロッドレスシリンダ８のスラ
イダ９に連結具９ａにより連結されている。ロッドレス
シリンダ８には、電磁弁１０、エアチューブ１１を通じ
てエアー供給源から圧力空気１２が供給されており、ま
た、電磁弁１０は、コントローラ１９により切り換え制
御されるようになっている。

【００１２】洗浄用外筒５は、その下端でフランジ５ａ
により、測定対象の液体２０としての高濃度スラリー液
を貯蔵するタンク１３の上部のノズル口１３ａに固定さ
れている。洗浄用外筒５には、洗浄用外筒５の内部に向
けて噴射口６を有する洗浄液噴射用のノズル７が１つた
は２以上取りつけられており、ノズル７には、タンク１
４に貯蔵された洗浄液１５例えば温水または洗浄溶液が
ポンプ１６、電磁弁１７、配管１８を通じて供給されて
いる。なお、電磁弁１７は、コントローラ１９によりオ
ンオフ制御される。

【００１３】図１、図２のほか、図３および図４は、洗
浄液噴射用のノズル７の好ましい取り付け態様を示して
いる。これらの図で、複数の洗浄液噴射用のノズル７
は、洗浄用外筒５の外壁面に接し、洗浄用外筒５の噴射
口６に通じる状態で、洗浄用外筒５の同一円周上に等間
隔に４個ずつ、つまり４方向として配置され、上中下の
３段として合計１２個設置されている。ここで上段およ
び中段の８個のノズル７の噴射口６は、洗浄用外筒５の
軸心に向けて水平方向に設置されており、下段の４個の
ノズル７の噴射口６は、洗浄用外筒５の軸心に向けて斜
め上向きあるいは斜め下向きに設置されている。

【００１４】このように、複数のノズル７を異なる向き
として設置するのは、電極２に対して洗浄液１５の噴射
力を異なる方向から作用させることにより、電極２を効
率よく洗浄し、また、電極保護筒３内側まで洗浄液１５
を到達させて、電極２の先端部を十分に洗浄できるよう
にするためである。もちろん、ノズル７の設置方向は、
水平面上で４方向にかぎらず、１方向のみ、中心角１８
０度として２方向、中心角１２０度として３方向あるい
は５方向など必要に応じて適宜設定される。

【００１５】つぎに、本発明の電極の自動洗浄装置１の
動作を説明する。洗浄時に、まず、コントローラ１９
は、電磁弁１０の通路を切り換えて、ロッドレスシリン
ダ８を動作させ、スライダ９およびこれと一体のホルダ
４を下降限の測定位置から上昇方向に移動させて、液体
２０中から電極２および電極保護筒３を洗浄用外筒５の
内部に引き上げ、電極２を噴射口６に対向する洗浄位置
でスライダ９を停止させる。

【００１６】つぎに、コントローラ１９は、電磁弁１７
を開くとともに、ポンプ１６を起動し、配管１８を通じ
て、洗浄液１５を加圧しながら複数のノズル７へ送る。
ノズル７へ送られた洗浄液１５は、噴射口６から適切な
洗浄圧で電極４に向けて噴射され、電極４の表面を洗浄
する。所定の時間洗浄後、コントローラ１２は、ポンプ
１６を止めるとともに、電磁弁１７を閉じて、洗浄を停
止し、ロッドレスシリンダ８によりホルダ４を下げてタ
ンク１３内へ、電極２を液体２０中に戻し、測定動作に
備える。以下、所定の時間経過毎に、コントローラ１９
は、同様の洗浄動作を繰り返す。

【００１７】なお、洗浄動作に、電極２が噴射口６に対
向する位置で停止してから洗浄を行っているが、洗浄動
作は、電極２を上方もしくは下方または上下方向に移動
させながら行ってもよい。また、洗浄液１５として温水
を用いているが、タンク１３内の液体２０の性質に応じ
て適切な洗浄溶液が用いられる。なお、アクチュエータ
は、ロッドレスシリンダ８に限らず、モータ・送りねじ
ユニット、通常のシリンダなどにより構成することもで
きる。

【００１８】

【実施例】本発明の電極の自動洗浄装置１を容量４０
〔立方メートル〕のタンク中のＯＲＰ連続測定に使用し
た。測定する液体は、硫黄、銅、ニッケル等を２００
〔ｇ／ｌ〕含む温度１０９〔℃〕の高濃度スラリーの塩
化ニッケル液である。従来の手動洗浄では、２週間程度
で管理値から外れ、電極割れなどの不具合が発生してい
たが、本装置の使用により、洗浄効果が向上し、その結
果、１ヶ月以上の連続測定が可能になった。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば、高濃度スラリー液およ
び高温液の槽内で用いられる浸漬型ＰＨ／ＯＲＰ計の電
極の自動洗浄が効率よく可能となる。また、装置の部品
点数が少なくて済み、装置が安価でシンプルになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電極の自動洗浄装置の取付け状態の正
面図である。

【図２】本発明の電極の自動洗浄装置の要部の正面図で
ある。

【図３】ノズルの取付け部分の拡大水平断面図である。

【図４】ノズルの取付け部分の拡大垂直断面図である。

【符号の説明】

１ 電極の自動洗浄装置 ２ 電極 ３ 電極保護筒 ４ ホルダ ５ 洗浄用外筒 ５ａ フランジ ６ 噴射口 ７ ノズル ８ アクチュエータとしてのロッドレスシリンダ ９ スライダ ９ａ 連結具 １０ 電磁弁 １１ エアチューブ １２ 圧力空気 １３ タンク １３ａ ノズル口 １４ タンク １５ 洗浄液 １６ ポンプ １７ 電磁弁 １８ 配管 １９ コントローラ ２０ 液体（高濃度スラリー液）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 健吾 愛媛県新居浜市西原町３−５−３ 住友金 属鉱山株式会社別子事業所内 Ｆターム(参考） 3B201 AA47 AB08 AB43 BB23 BB82 BB90 BB92 CD43

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 浸漬型ＰＨ計／ＯＲＰ計の電極を自動的
   に洗浄する装置であって、測定対象の液体に浸漬可能な
   電極を有するホルダと、このホルダを昇降可能な状態で
   収納する洗浄用外筒と、洗浄用外筒の内部に向けて噴射
   口を有する洗浄液噴射用のノズルと、電極を洗浄用外筒
   内へ引揚げて電極を噴射口に対向させるアクチュエータ
   とを有し、洗浄時にアクチュエータによりホルダを引揚
   げて、電極を噴射口に対向させ、ノズルから適切な洗浄
   圧の洗浄液を噴射することにより電極を洗浄することを
   特徴とする電極の自動洗浄装置。
2. 【請求項２】 洗浄液噴射用のノズルを複数のノズルに
   より構成し、一部のノズルの噴射口を水平方向へ向けて
   設置し、他のノズルを斜め方向に設置することを特徴と
   する請求項１記載の電極の自動洗浄装置。
3. 【請求項３】 洗浄液として温水を用いることを特徴と
   する請求項１または請求項２記載の電極の自動洗浄装
   置。