JP2003250933A

JP2003250933A - 中空ゴルフクラブヘッド

Info

Publication number: JP2003250933A
Application number: JP2002380399A
Authority: JP
Inventors: Norihiko Nakahara; 紀彦中原; Tomoaki Mori; 智朗森; Masahiko Miyamoto; 昌彦宮本
Original assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Current assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date: 2001-12-28
Filing date: 2002-12-27
Publication date: 2003-09-09

Abstract

(57)【要約】【課題】異種素材を複合することで、耐久性を維持し
ながら、単一金属材料のみで構成される場合に比べて、
反発性を高くし、設計自由度を大きくした中空ゴルフク
ラブヘッドを提供する。【解決手段】ヘッド本体１を金属から成形した中空ゴ
ルフクラブヘッドにおいて、ヘッド本体１におけるクラ
ウン部２の中央近辺に孔部２ａを形成し、孔部２ａをヘ
ッド本体１とは異なる材料からなるカバー材６で閉塞
し、ヘッド本体１の比重ρｍとカバー材６の比重ρｆと
の比（ρｍ／ρｆ）を１．３以上にすると共に、ヘッド
本体１のフェース部３に繊維強化プラスチックからなる
補強材７を積層し、ヘッド本体１のフェース面積に対す
る補強材７とヘッド本体１とが複合された部分のフェー
ス面積の比率を２０％以上にする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、中空構造を有する
ゴルフクラブヘッドに関し、更に詳しくは、異種素材を
複合することで、耐久性を維持しながら、単一金属材料
のみで構成される場合に比べて、反発性を高くし、設計
自由度を大きくした中空ゴルフクラブヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】金属製の中空ゴルフクラブヘッドは、一
般にソール部への重量配分を多くすることで低重心化を
図っている。しかしながら、近年では限られたヘッド質
量の中でヘッド体積を出来るだけ大きくすることが要求
されているため、低重心化などを実現するための重量マ
ージンが狭くなり、設計自由度が小さくなっている。そ
して、ヘッドの低重心化が不十分であると、フェース面
の反発力を最大限に活かすことができないという不都合
がある。

【０００３】ところで、異種素材を複合してなるゴルフ
クラブヘッドが開示されている（例えば、特許文献１、
特許文献２及び特許文献３参照。）。しかしながら、こ
のように異種素材の特性を組み合わせたゴルフクラブヘ
ッドにおいても、依然として設計自由度や反発性が不十
分であった。

【０００４】

【特許文献１】特許第２７６４８８３号公報

【特許文献２】特開２０００−２２９１３５号公報

【特許文献３】特許第２７７３００９号公報

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、異種
素材を複合することで、耐久性を維持しながら、単一金
属材料のみで構成される場合に比べて、反発性を高く
し、設計自由度を大きくすることを可能にした中空ゴル
フクラブヘッドを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の中空ゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体を金
属から成形した中空ゴルフクラブヘッドにおいて、前記
ヘッド本体におけるクラウン部の中央近辺に孔部を形成
し、該孔部を前記ヘッド本体とは異なる材料からなるカ
バー材で閉塞し、前記ヘッド本体の比重ρｍと前記カバ
ー材の比重ρｆとの比（ρｍ／ρｆ）を１．３以上にす
ると共に、前記ヘッド本体のフェース部に繊維強化プラ
スチックからなる補強材を積層し、前記ヘッド本体のフ
ェース面積に対する前記補強材と前記ヘッド本体とが複
合された部分のフェース面積の比率を２０％以上にした
ことを特徴とするものである。

【０００７】また、上記目的を達成するための本発明の
中空ゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体を金属から成形
した中空ゴルフクラブヘッドにおいて、前記ヘッド本体
におけるクラウン部及びソール部の中央近辺にそれぞれ
孔部を形成し、該孔部を前記ヘッド本体とは異なる材料
からなるカバー材で閉塞し、前記ヘッド本体の比重ρｍ
と前記カバー材の比重ρｆとの比（ρｍ／ρｆ）を１．
３以上にすると共に、前記ヘッド本体のフェース部に繊
維強化プラスチックからなる補強材を積層し、前記ヘッ
ド本体のフェース面積に対する前記補強材と前記ヘッド
本体とが複合された部分のフェース面積の比率を２０％
以上にしたことを特徴とするものである。

【０００８】このようにヘッド本体のクラウン部又はク
ラウン部とソール部の両方に孔部を設け、その孔部をヘ
ッド本体とは異なる材料からなるカバー材で閉塞し、ヘ
ッド本体の比重ρｍとカバー材の比重ρｆとの比（ρｍ
／ρｆ）を１．３以上にしたことにより、より大きな重
量マージンを確保することができる。従って、単一金属
材料のみで構成される場合に比べて、設計自由度が大き
くなり、その結果として、低重心化による反発性の増大
が可能になる。また、ヘッド本体のフェース部に繊維強
化プラスチックからなる補強材を積層し、ヘッド本体の
フェース面積に対する補強材とヘッド本体とが複合され
た部分のフェース面積の比率を２０％以上にしたことに
より、耐久性を維持しながら、フェース部の金属部分を
可及的に薄くして反発性を更に改善することが可能にな
る。

【０００９】本発明において、フェース部の金属材料に
基づく反発性とフェース面の耐外傷性を損なわないよう
に、補強材はヘッド本体のフェース部の内側に積層する
ことが好ましい。また、より優れた反発性を得るため
に、フェース部の金属部分は金属の種類に応じて薄くす
ると良い。例えば、ヘッド本体のフェース部を構成する
材料がチタン合金である場合、該フェース部のチタン合
金の肉厚は３．０ｍｍ以下であることが好ましい。ヘッ
ド本体のフェース部を構成する材料が鉄合金である場
合、該フェース部の鉄合金の肉厚が２．５ｍｍ以下であ
ることが好ましい。ヘッド本体のフェース部を構成する
材料がアルミニウム合金である場合、該フェース部のア
ルミニウム合金の肉厚が４．０ｍｍ以下であることが好
ましい。

【００１０】一方、インパクト時の衝撃に対する耐久性
を十分に確保するために、補強材を構成する繊維強化プ
ラスチックの繊維の弾性率は３５ton/mm²以下であるこ
とが好ましい。

【００１１】カバー材の材料としては、上記比重関係を
満足する限り特に限定されるものではないが、いずれの
材料を使用する場合であっても、重量マージンを確保す
るために、孔部の仮想面積と仮想厚さとヘッド本体の比
重ρｍとの積から求められる欠落部の総質量Ｗｘより
も、その孔部を閉塞するカバー材の総質量Ｗｆを軽くす
ることが望ましい。

【００１２】本発明では、ヘッド本体に設けた孔部をカ
バー材で閉塞することが好ましいが、それ以外の複合構
造を有する中空ゴルフクラブヘッドを構成することも可
能である。即ち、本発明の中空ゴルフクラブヘッドは、
ヘッド本体の少なくともクラウン部の一部及びフェース
部の一部を該ヘッド本体とは異なる材料から構成し、前
記ヘッド本体のクラウン部及びフェース部を除いた部分
の比重ρｂと前記クラウン部の比重ρｃとの比（ρｂ／
ρｃ）を１．３以上にしたことを特徴とするものであ
る。

【００１３】このようにヘッド本体の少なくともクラウ
ン部の一部及びフェース部の一部を該ヘッド本体とは異
なる材料から構成し、ヘッド本体のクラウン部及びフェ
ース部を除いた部分の比重ρｂとクラウン部の比重ρｃ
との比（ρｂ／ρｃ）を１．３以上にしたことにより、
重量マージンを十分に確保することが可能になる。従っ
て、単一金属材料のみで構成される場合に比べて、設計
自由度が大きくなり、その結果として、低重心化による
反発性の増大が可能になる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付
の図面を参照しながら詳細に説明する。

【００１５】図１（ａ）〜（ｃ）は本発明の第１実施形
態からなるゴルフクラブヘッドを示すものである。図１
（ａ）〜（ｃ）に示すように、本実施形態のゴルフクラ
ブヘッドは中空構造を有し、そのヘッド本体１がチタン
合金やアルミニウム合金やステンレス鋼等の金属から構
成されている。ヘッド本体１はクラウン部２、フェース
部３、ソール部４及びネック部５を有し、クラウン部２
の中央近辺には孔部２ａが形成されていると共に、クラ
ウン部２の周縁には下方が空洞となるフランジ２ｂが形
成されている。そして、孔部２ａはヘッド本体１より低
比重の材料からなるカバー材６によって閉塞されてい
る。また、ヘッド本体１のフェース部３の内側には、繊
維強化プラスチックからなる補強材７が積層されてい
る。

【００１６】図２（ａ）〜（ｃ）は本発明の第２実施形
態からなるゴルフクラブヘッドを示すものである。図２
（ａ）〜（ｃ）に示すように、本実施形態のゴルフクラ
ブヘッドは中空構造を有し、そのヘッド本体１がチタン
合金やアルミニウム合金やステンレス鋼等の金属から構
成されている。ヘッド本体１はクラウン部２、フェース
部３、ソール部４及びネック部５を有し、クラウン部２
及びソール部４の中央近辺にはそれぞれ孔部２ａ，４ａ
が形成されていると共に、クラウン部２の周縁には下方
が空洞となるフランジ２ｂが形成され、ソール部４の周
縁には上方が空洞となるフランジ４ｂが形成されてい
る。そして、孔部２ａ，４ａはそれぞれヘッド本体１よ
り低比重の材料からなるカバー材６によって閉塞されて
いる。また、ヘッド本体１のフェース部３の内側には、
繊維強化プラスチックからなる補強材７が積層されてい
る。

【００１７】このようにヘッド本体１のクラウン部２に
孔部２ａを設け、更に必要に応じてソール部４に孔部４
ａを設け、その孔部２ａ，４ａをヘッド本体１より低比
重の材料からなるカバー材６で閉塞することにより、よ
り大きな重量マージンを確保し、設計自由度を大きくす
ることができる。特に、クラウン部２にカバー材６を設
けた場合は、重量マージンの増加によって慣性モーメン
トの増大と低重心化が可能になり、ソール部４にカバー
材６を設けた場合は、重量マージンの増加によって慣性
モーメントの増大が可能になる。ここで、ヘッド本体１
の比重ρｍとカバー材６の比重ρｆとの比（ρｍ／ρ
ｆ）を１．３以上にすることが必要である。この比（ρ
ｍ／ρｆ）が１．３未満であると、十分な重量マージン
を確保することができなくなる。比（ρｍ／ρｆ）の上
限は、特に限定しないが、現存するゴルフクラブヘッド
に適する材料の組み合わせより１６程度である。

【００１８】しかも、ヘッド本体１のフェース部３に繊
維強化プラスチックからなる補強材７を積層したことに
より、耐久性を維持しながら、フェース部３の金属部分
を可及的に薄くして反発性を更に改善することが可能に
なる。ここで、ヘッド本体１のフェース面積（打球面の
面積）に対する補強材７とヘッド本体１とが複合された
部分のフェース面積の比率（以下、フェース複合面積比
率という）は２０％以上にすることが必要である。ここ
でフェース面積とは、フェース部の縁によって囲まれる
部分の表面積である。また、縁が明確でない場合は、ゴ
ルフクラブヘッドを切断し、内面の接合部分を調べるこ
とで、フェース部の縁を知ることもできる。フェース複
合面積比率を２０％以上にすることによって、ゴルフク
ラブヘッドの耐久性と反発性の良好なバランスを得るこ
とができる。

【００１９】ヘッド本体１のフェース部３を構成する材
料がチタン合金である場合、該フェース部３のチタン合
金の肉厚は、好ましくは３．０ｍｍ以下、より好ましく
は２．５ｍｍ以下、更に好ましくは２．０ｍｍ以下と
し、その下限値を１．５ｍｍにすると良い。ヘッド本体
１のフェース部３を構成する材料が鉄合金である場合、
該フェース部３の鉄合金の肉厚は、好ましくは２．５ｍ
ｍ以下、より好ましくは２．０ｍｍ以下、更に好ましく
は１．５ｍｍとし、その下限値を１．０ｍｍにすると良
い。ヘッド本体１のフェース部３を構成する材料がアル
ミニウム合金である場合、該フェース部３のアルミニウ
ム合金の肉厚は、好ましくは４．０ｍｍ以下、より好ま
しくは３．５ｍｍ以下、更に好ましくは３．０ｍｍと
し、その下限値を２．０ｍｍにすると良い。

【００２０】このようにフェース部３の金属部分を薄く
することで反発性を更に改善することができる。また、
フェース部３の金属部分を上記の如く薄くしても、補強
材７の存在により十分な耐久性を確保することができ
る。

【００２１】上記孔部２ａ，４ａは、その形状が特に限
定されるものではない。例えば、クラウン部２の孔部２
ａは、図３（ａ）〜（ｏ）のように種々の形状にするこ
とができる。但し、ヘッド平面視において、孔部２ａの
面積をクラウン部２の面積の４０〜９０％の範囲にする
ことが好ましい。前記範囲内にすることによって設計の
自由度をより向上することが可能になる。ここでクラウ
ン部の面積とは、サイド部の縁、フェース部の縁及びネ
ック部の縁によって囲まれる部分の表面積である。同様
に、ヘッド底面視において、孔部４ａの面積をソール部
４の面積の４０〜９０％の範囲にすることが好ましい。
前記範囲内にすることによって設計の自由度をより向上
することが可能になる。ここでソール部の面積とは、サ
イド部の縁及びフェース部の縁によって囲まれる部分の
表面積である。また、縁が明確でない場合は、ゴルフク
ラブヘッドを切断し、内面の接合部分を調べることで、
サイド部、フェース部、クラウン部及びソール部の縁を
知ることもできる。更に、クラウン部の縁が明確でない
場合、打球面をゴルフクラブヘッドのロフト角度に合わ
せて平面上にゴルフクラブを置き、そのゴルフクラブヘ
ッドを平面に対して垂直上方から見下ろした時の打球面
を除く投影面積を用いても良い。

【００２２】上記フランジ２ｂ，４ｂは、必ずしも必要
ではないが、好ましくはクラウン部２及びソール部４の
周縁の少なくとも一部に存在し、より好ましくは少なく
ともフェース側に存在し、更に好ましくは全周縁にわた
って存在すると良い。つまり、フランジ２ｂ，４ｂをヘ
ッド本体１の適切な部位に配置することにより、ヘッド
本体１の耐久性を確保すると共に、そのフランジ２ｂ，
４ｂをカバー材６の重なり代として利用することができ
る。

【００２３】上記カバー材６は、ヘッド本体１の少なく
ともフェース側でフランジ２ｂ，４ｂに対して重ね合わ
せると良い。この場合、図４（ａ），（ｂ）のようにカ
バー材６がフェース側でフランジ２ｂの一部だけを覆う
ようにしても良く、或いは、図４（ｃ），（ｄ）のよう
にカバー材６がフェース側でフランジ２ｂの全面を覆う
ようにしても良い。カバー材６のフェース側でのフラン
ジ２ｂに対する重なり代の幅ｔ１は５ｍｍ以上にすると
良い。この重なり代の幅ｔ１を５ｍｍ以上にすることに
よってより十分な耐久性の確保が可能になる。また、フ
ェース側でのフランジ２ｂの幅ｔ２は５ｍｍ以上３０ｍ
ｍ未満であれば良い。カバー材６をソール部４のフラン
ジ４ｂに対して重ね合わせる場合も、上記と同様の積層
形態及び寸法を選択することが好ましい。

【００２４】ヘッド本体１に対するカバー材６の固着形
態は、特に限定されるものではない。例えば、図１
（ｃ）及び図２（ｃ）においては、カバー材６の周縁部
を２層に分割し、その部分でフランジ２ｂ，４ｂを内外
から挟み込むようにしているが、図５（ａ）〜（ｄ）の
ようにカバー材６をフランジ２ｂの片面に貼り付けるよ
うにしても良く、或いは、図５（ｅ）のようにカバー材
６をフランジを介することなくフェース部３の端面など
に貼り付けても良い。また、図６（ａ），（ｂ）及び図
７（ａ），（ｂ）に示すように、ヘッド本体１のカバー
材６と接合する部分に、カバー材６を収容するようにフ
ランジ２ｂを設けても良い。

【００２５】カバー材６の材料としては、繊維強化プラ
スチックを使用することが好ましい。この繊維強化プラ
スチックとしては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊
維等の強化繊維に、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル
樹脂、ビニルエステル樹脂等のマトリックス樹脂を含浸
させてなる繊維強化プラスチックを挙げることができ、
特に炭素繊維を強化繊維とするものが好ましい。

【００２６】また、カバー材６の材料として、マグネシ
ウム合金、アルミニウム合金又はチタン合金を用いるよ
うにしても良く、場合によっては、硬質ゴムのほか、ナ
イロン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ＰＥＴ樹脂、ＡＢＳ樹脂等を使用することも可能で
ある。

【００２７】いずれの材料を使用する場合であっても、
重量マージンを確保するために、孔部２ａ，４ａの仮想
面積と仮想厚さとヘッド本体１の比重ρｍとの積から求
められる欠落部の総質量Ｗｘよりも、その孔部２ａ，４
ａを閉塞するカバー材６の総質量Ｗｆを軽くすること、
即ちＷｘ＞Ｗｆとすることが望ましい。

【００２８】例えば、クラウン部２の中央付近に孔部２
ａを形成すると共に、クラウン部２の全周縁にフランジ
２ｂを形成し、そのクラウン部２の外側にカバー材６を
貼り付けた場合、カバー材６の面積Ａｆ、比重ρｆ、厚
さｔｆより、カバー材６の総質量Ｗｆは、Ｗｆ＝Ａｆ・
ρｆ・ｔｆとなる。一方、カバー材６とヘッド本体１と
の重なり部の面積Ａｍ、ヘッド本体１の比重ρｍ、重な
り部におけるヘッド本体１のクラウン部やソール部の平
均厚さｔｍより、欠落部の総質量Ｗｘは、Ｗｘ＝（Ａｆ
−Ａｍ）・ρｍ・ｔｍとなる。つまり、孔部２ａ，４ａ
の仮想面積はカバー材６の面積Ａｆと重なり部の面積Ａ
ｍとの差から求めることができ、孔部２ａ，４ａの仮想
厚さは重なり部におけるヘッド本体１のクラウン部やソ
ール部の平均厚さｔｍと等価と見做すことができる。

【００２９】ヘッド本体１に対する補強材７の固着形態
は、特に限定されるものではない。例えば、図１（ｃ）
及び図２（ｃ）においては、補強材７をフェース全域に
配置しているが、図８（ａ）〜（ｄ）のように補強材７
をフェース全域に配置すると共にその厚さをフェース中
心部から周縁部に向けて徐々に薄くしても良く、或い
は、図８（ｅ）〜（ｈ）のように補強材７をフェース中
心部だけに配置しても良い。また、図９（ａ）〜（ｆ）
はヘッド正面から見た補強材の配置を例示するものであ
るが、図９（ｃ）〜（ｆ）のように補強材７をフェース
周縁部だけに配置することも可能である。

【００３０】補強材７を構成する繊維強化プラスチック
としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強
化繊維に、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビ
ニルエステル樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させてな
る繊維強化プラスチックを挙げることができ、特に炭素
繊維を強化繊維とするものが好ましい。但し、補強材７
を構成する繊維強化プラスチックの繊維の弾性率は、好
ましくは３５ton/mm²以下、より好ましくは２４ton/mm
²以下とする。この弾性率を上記範囲内にすることによ
ってより十分な耐久性の確保が可能になる。

【００３１】図１０（ａ）〜（ｃ）は本発明の第３実施
形態からなるゴルフクラブヘッドを示すものである。図
１０（ａ）〜（ｃ）に示すように、本実施形態のゴルフ
クラブヘッドは中空構造を有し、そのヘッド本体１がチ
タン合金やアルミニウム合金やステンレス鋼等の金属か
ら構成されている。ヘッド本体１はクラウン部２、フェ
ース部３、ソール部４及びネック部５を有し、そのクラ
ウン部２の外表面にはカバー材６が積層されている。ま
た、ヘッド本体１のフェース部３の内側には、繊維強化
プラスチックからなる補強材７が積層されている。つま
り、クラウン部２の一部及びフェース部３の一部がヘッ
ド本体１とは異なる材料から構成されている。

【００３２】そして、ヘッド本体１のクラウン部２及び
フェース部３を除いた部分の比重ρｂとクラウン部２の
比重ρｃとの比（ρｂ／ρｃ）が１．３以上になってい
る。ここでクラウン部とは、サイド部の縁、フェース部
の縁及びネック部の縁によって囲まれる部分である。フ
ェース部とは、クラウン部の縁、サイド部の縁及びソー
ル部の縁によって囲まれる部分である。縁が明確でない
場合は、ゴルフクラブヘッドを切断し、内面の接合部分
を調べることで、サイド部、フェース部、クラウン部及
びソール部の縁を知ることもできる。更に、クラウン部
の縁が明確でない場合は、打球面をゴルフクラブヘッド
のロフト角度に合わせて平面上にゴルフクラブを置き、
そのゴルフクラブヘッドを平面に対して垂直上方から見
下ろした時の打球面を除く輪郭線にてクラウン部の縁を
知ることができる。

【００３３】このようにヘッド本体１の少なくともクラ
ウン部２の一部及びフェース部３の一部をヘッド本体１
とは異なる材料から構成し、ヘッド本体１のクラウン部
２及びフェース部３を除いた部分の比重ρｂとクラウン
部２の比重ρｃとの比（ρｂ／ρｃ）を１．３以上にし
たことにより、重量マージンを十分に確保することが可
能になる。従って、単一金属材料のみで構成される場合
に比べて、設計自由度が大きくなり、その結果として、
低重心化による反発性の増大が可能になる。

【００３４】本実施形態において、ヘッド本体１のクラ
ウン部２とフェース部３を除いた部分及びクラウン部２
は、単一素材から構成しても良く、或いは、複合素材か
ら構成しても良い。複合素材から構成する場合、比重ρ
ｂ及び比重ρｃはそれぞれヘッド本体１のクラウン部２
とフェース部３を除いた部分及びクラウン部２の比重で
ある。

【００３５】

【実施例】ヘッド本体を金属から成形した中空ゴルフク
ラブヘッドにおいて、単一金属材料からなる比較例１
（従来例）と、クラウン部やソール部の中央近辺に孔部
を形成し、その孔部を種々異なる材料からなるカバー材
で閉塞すると共に、ヘッド本体のフェース部の内側に繊
維強化プラスチックからなる補強材を積層した実施例１
〜４及び比較例２〜４をそれぞれ作製した。表１におい
て、「ＳＵＳ合金」はステンレス鋼、「ＦＲＰ」は繊維
強化プラスチック、「ＧＦＲＰ」はガラス繊維強化プラ
スチック、「ＣＦＲＰ」は炭素繊維強化プラスチックを
意味する。

【００３６】これらゴルフクラブヘッドについて、反発
係数、設計自由度及び耐久性を評価し、その結果を表１
に併せて示した。評価結果は、比較例１を１００とする
指数にて示した。反発係数は、指数値が大きいほどボー
ル初速が大きく飛距離が大きいことを意味する。設計自
由度は、ヘッド総質量を１９０ｇとしたときの重量マー
ジンであり、指数値が大きいほど重量マージンが大きい
ことを意味する。耐久性については、指数値が大きいほ
ど耐久性が良好であることを意味する。

【００３７】

【表１】

【００３８】この表１から判るように、実施例１〜４の
ゴルフクラブヘッドは、いずれも比較例１に比べて、耐
久性を維持しながら、設計自由度が大きく、反発係数が
大きいものであった。比較例２，４は、フェース複合面
積比率が小さ過ぎるため、耐久性が悪いものであった。
また、比較例３，４は、カバー材の比重が大き過ぎるた
め、設計自由度が小さく、反発係数が小さいものであっ
た。

【００３９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ヘ
ッド本体を金属から成形した中空ゴルフクラブヘッドに
おいて、前記ヘッド本体におけるクラウン部の中央近辺
に孔部を形成し、該孔部を前記ヘッド本体とは異なる材
料からなるカバー材で閉塞し、前記ヘッド本体の比重ρ
ｍと前記カバー材の比重ρｆとの比（ρｍ／ρｆ）を
１．３以上にすると共に、前記ヘッド本体のフェース部
に繊維強化プラスチックからなる補強材を積層し、前記
ヘッド本体のフェース面積に対する前記補強材と前記ヘ
ッド本体とが複合された部分のフェース面積の比率を２
０％以上にしたから、耐久性を維持しながら、単一金属
材料のみで構成される場合に比べて、反発性を高くし、
設計自由度を大きくすることができる。

【００４０】更には、中空ゴルフクラブヘッドにおい
て、ヘッド本体の少なくともクラウン部の一部及びフェ
ース部の一部を該ヘッド本体とは異なる材料から構成
し、前記ヘッド本体のクラウン部及びフェース部を除い
た部分の比重ρｂと前記クラウン部の比重ρｃとの比
（ρｂ／ρｃ）を１．３以上にしたから、単一金属材料
のみで構成される場合に比べて、反発性を高くし、設計
自由度を大きくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態からなるゴルフクラブヘ
ッドを示し、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）
はＡ−Ａ矢視断面図である。

【図２】本発明の第２実施形態からなるゴルフクラブヘ
ッドを示し、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、（ｃ）
はＡ’−Ａ’矢視断面図である。

【図３】本発明のゴルフクラブヘッドのヘッド本体の変
形例を示し、（ａ）〜（ｏ）はそれぞれ平面図である。

【図４】本発明のゴルフクラブヘッドの変形例を示し、
（ａ）〜（ｄ）はそれぞれ平面図である。

【図５】本発明のゴルフクラブヘッドの変形例を示し、
（ａ）〜（ｅ）はそれぞれ断面図である。

【図６】本発明のゴルフクラブヘッドの変形例を示し、
（ａ）は平面図、（ｂ）はＸ−Ｘ矢視断面図である。

【図７】本発明のゴルフクラブヘッドの変形例を示し、
（ａ）は平面図、（ｂ）はＹ−Ｙ矢視断面図である。

【図８】本発明のゴルフクラブヘッドの変形例を示し、
（ａ）〜（ｈ）はそれぞれ断面図である。

【図９】本発明のゴルフクラブヘッドの変形例を示し、
（ａ）〜（ｆ）はそれぞれ正面図である。

【図１０】本発明の第３実施形態からなるゴルフクラブ
ヘッドを示し、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面図、
（ｃ）はＡ''−Ａ''矢視断面図である。

【符号の説明】

１ヘッド本体２クラウン部２ａ，４ａ孔部２ｂ，４ｂフランジ３フェース部４ソール部５ネック部６カバー材７補強材

フロントページの続き (72)発明者宮本昌彦神奈川県平塚市追分２番１号横浜ゴム株式会社平塚製造所内Ｆターム(参考） 2C002 AA02 CH01 CH06 MM02 PP03

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ヘッド本体を金属から成形した中空ゴル
フクラブヘッドにおいて、前記ヘッド本体におけるクラ
ウン部の中央近辺に孔部を形成し、該孔部を前記ヘッド
本体とは異なる材料からなるカバー材で閉塞し、前記ヘ
ッド本体の比重ρｍと前記カバー材の比重ρｆとの比
（ρｍ／ρｆ）を１．３以上にすると共に、前記ヘッド
本体のフェース部に繊維強化プラスチックからなる補強
材を積層し、前記ヘッド本体のフェース面積に対する前
記補強材と前記ヘッド本体とが複合された部分のフェー
ス面積の比率を２０％以上にしたことを特徴とする中空
ゴルフクラブヘッド。
【請求項２】ヘッド本体を金属から成形した中空ゴル
フクラブヘッドにおいて、前記ヘッド本体におけるクラ
ウン部及びソール部の中央近辺にそれぞれ孔部を形成
し、該孔部を前記ヘッド本体とは異なる材料からなるカ
バー材で閉塞し、前記ヘッド本体の比重ρｍと前記カバ
ー材の比重ρｆとの比（ρｍ／ρｆ）を１．３以上にす
ると共に、前記ヘッド本体のフェース部に繊維強化プラ
スチックからなる補強材を積層し、前記ヘッド本体のフ
ェース面積に対する前記補強材と前記ヘッド本体とが複
合された部分のフェース面積の比率を２０％以上にした
ことを特徴とする中空ゴルフクラブヘッド。
【請求項３】前記補強材を前記ヘッド本体のフェース
部の内側に積層した請求項１又は請求項２に記載の中空
ゴルフクラブヘッド。
【請求項４】前記ヘッド本体のフェース部を構成する
材料がチタン合金であり、該フェース部のチタン合金の
肉厚が３．０ｍｍ以下である請求項１〜３のいずれかに
記載の中空ゴルフクラブヘッド。
【請求項５】前記ヘッド本体のフェース部を構成する
材料が鉄合金であり、該フェース部の鉄合金の肉厚が
２．５ｍｍ以下である請求項１〜３のいずれかに記載の
中空ゴルフクラブヘッド。
【請求項６】前記ヘッド本体のフェース部を構成する
材料がアルミニウム合金であり、該フェース部のアルミ
ニウム合金の肉厚が４．０ｍｍ以下である請求項１〜３
のいずれかに記載の中空ゴルフクラブヘッド。
【請求項７】前記繊維強化プラスチックの繊維の弾性
率が３５ton/mm²以下である請求項１〜６のいずれかに
記載の中空ゴルフクラブヘッド。
【請求項８】前記孔部の仮想面積と仮想厚さと前記ヘ
ッド本体の比重ρｍとの積から求められる欠落部の総質
量Ｗｘよりも、前記孔部を閉塞するカバー材の総質量Ｗ
ｆを軽くした請求項１〜７のいずれかに記載の中空ゴル
フクラブヘッド。
【請求項９】ヘッド本体の少なくともクラウン部の一
部及びフェース部の一部を該ヘッド本体とは異なる材料
から構成し、前記ヘッド本体のクラウン部及びフェース
部を除いた部分の比重ρｂと前記クラウン部の比重ρｃ
との比（ρｂ／ρｃ）を１．３以上にしたことを特徴と
する中空ゴルフクラブヘッド。