JP2003249756A - ガラスセラミック基板の製造方法 - Google Patents

ガラスセラミック基板の製造方法

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JP2003249756A
JP2003249756A JP2002050559A JP2002050559A JP2003249756A JP 2003249756 A JP2003249756 A JP 2003249756A JP 2002050559 A JP2002050559 A JP 2002050559A JP 2002050559 A JP2002050559 A JP 2002050559A JP 2003249756 A JP2003249756 A JP 2003249756A
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glass
glass ceramic
green sheet
ceramic substrate
conductor
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Tsutomu Mikura
勉 三倉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャビティ等の凹部の底面に配置された貫通
導体についても凸のない、寸法精度が高いガラスセラミ
ック基板を得る方法を提供することである。 【解決手段】 (i)凹部4の底面にコート層無機組成
物2が塗布された貫通導体5を配置したガラスセラミッ
ク・グリーンシート積層体1を作製し、(ii)積層体1
の両面にガラスと密着剤とを含む密着剤層を介在させて
拘束グリーンシート3を積層し、(iii)焼成して拘束
シートを保持し凹部の底面にコート層で被覆された貫通
導体5が形成されたガラスセラミック基板を作製し、
(iv)拘束シートおよびコート層無機物を除去する工程
からなり、(v)密着剤層のガラス含有量が焼成時にガ
ラスセラミック・グリーンシートと結合しかつ積層面内
で実質的に収縮させない量であり、(vi)コート層無機
組成物2のガラス含有量が焼成時に貫通導体5と結合
し、かつ焼成後にコート層が拘束シートと共に除去され
る量である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体LSI、チ
ップ部品等を搭載し、それらを相互配線するための多層
ガラスセラミック基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体LSIやチップ部品等は小
型化、軽量化が進んでおり、これらを実装する配線基板
も小型化、軽量化が望まれている。このような要求に対
して、基板内に内部電極等を配した多層セラミック基板
は、要求される高密度配線が可能となり、かつ薄型化が
可能なことから、今日のエレクトロニクス業界において
重要視されている。
【0003】多層セラミック基板としては、アルミナ質
焼結体からなり、表面または内部にタングステン、モリ
ブデン等の高融点金属からなる配線層が形成された絶縁
基板が従来より広く用いられている。
【0004】一方、近年の高度情報化時代を迎え、使用
される周波数帯域はますます高周波帯に移行しつつあ
る。このような高周波の信号の伝送を行なう高周波配線
基板においては、高周波信号を高速で伝送する上で、配
線層を形成する導体の抵抗が小さいことが要求され、絶
縁基板にもより低い誘電率が要求される。
【0005】しかし、従来のタングステン(W)、モリ
ブデン(Mo)等の高融点金属は導体抵抗が大きく、信
号の伝播速度が遅く、また30GHz以上の高周波領域の
信号伝播も困難であることから、タングステン、モリブ
デン等の金属に代えて銅(Cu)、銀(Ag)、金(A
u)等の低抵抗金属を使用することが必要である。とこ
ろが、上記のような低抵抗金属は融点が低いため、800
〜1000℃程度の低温で焼成することが必要であることか
ら、この低抵抗金属からなる配線層は、高温焼成が必要
なアルミナと同時焼成することができなかった。また、
アルミナ基板は誘電率が高いため、高周波回路基板には
不適切である。
【0006】このため、最近では、ガラスとセラミック
ス(無機質フィラー)との混合物を焼成して得られるガ
ラスセラミックスを絶縁基板として用いることが注目さ
れている。すなわち、ガラスセラミックスは誘電率が低
いため高周波用絶縁基板として好適であり、またガラス
セラミックスは800〜1000℃の低温で焼成することがで
きることから、銅、銀、金等の低抵抗金属を配線層とし
て使用できるという利点がある。
【0007】多層ガラスセラミック基板は、ガラスと無
機質フィラーとの混合物に有機バインダ、可塑剤、溶剤
等を加えてスラリーとし、ドクターブレード等によりガ
ラスセラミック・グリーンシートを成形した後、銅、
銀、金等の低抵抗金属の粉末を含有する導体ペーストを
印刷するなどして前記グリーンシート上に導体パターン
を形成し、次いで複数枚のグリーンシートを積層して80
0〜1000℃の温度で焼成して得られる。
【0008】ところが、多層ガラスセラミック基板は、
焼成過程において焼結に伴う収縮を生じるという問題が
ある。このような収縮の程度は一様ではなく、使用する
基板用無機材料、グリーンシート組成、原料である粉体
粒度のバラツキ、導体パターン、内部電極材料等により
収縮率や収縮方向が異なってくる。このことは、多層ガ
ラスセラミック基板の作製において、いくつかの問題を
ひき起こす。
【0009】先ず、内部電極印刷用のスクリーン版を作
製する際、基板の収縮率から逆算してスクリーン版の大
きさを決定しなければならないが、上記のように基板の
収縮率や収縮方向は一定でないため、スクリーン版は基
板の製造ロット毎に作り直さなければならず不経済であ
り現実的ではない。さらに、上記のようなグリーンシー
ト積層法によって作製される多層ガラスセラミック基板
では、グリーンシートの造膜方向によって積層面内の縦
方向と横方向の収縮率が異なるため、多層ガラスセラミ
ック基板の作製がより一層困難なものになる。
【0010】これに対して、収縮誤差を許容するように
必要以上に大きい面積の電極を形成する場合には、高密
度な配線ができなくなる。
【0011】これらの収縮変化を小さくするためには、
回路設計による基板の収縮率の傾向を調べたり、製造工
程において基板材料およびグリーンシート組成の管理、
粉体粒度のバラツキ、プレス圧や温度等の積層条件を充
分管理する必要がある。しかし、それでも一般に収縮率
の誤差として±0.5%程度はどうしても発生するといわ
れている。
【0012】このことは多層ガラスセラミック基板にか
かわらずセラミックスやガラスセラミックス等の焼結を
伴うものに共通する課題である。このような課題を解決
するために、特開平4−243978号公報、特開平5−2886
7号公報、特開平5−102666号公報では、以下の(1)
〜(4)の工程を含む基板の製造方法が提案されてい
る。 (1)ガラスセラミック成分とバインダ、可塑剤等の有
機成分とを含むガラスセラミック・グリーンシートに導
体パターンを形成したものを所望枚数積層し、(2)得
られたガラスセラミック・グリーンシートの積層体の両
面または片面に、前記ガラスセラミック成分の焼成温度
では焼結しない無機材料とバインダ、可塑剤等の有機成
分とを含む拘束グリーンシートを積層し、(3)これら
ガラスセラミック・グリーンシートの積層体と拘束グリ
ーンシートとの積層体を加熱して、まず有機成分を除去
し、次いで焼成して、それぞれガラスセラミック基板お
よび拘束シートとなし、(4)最後に、ガラスセラミッ
ク基板から拘束シートを除去する。
【0013】この方法によれば、前記拘束グリーンシー
トがガラスセラミック・グリーンシートの焼成時の収縮
を拘束するため、積層体の厚さ方向のみに収縮が起こ
り、積層面の縦・横方向には収縮が起こらなくなり、ガ
ラスセラミック基板の寸法精度が向上すると考えられて
いる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記の(1)〜(4)
の工程を含む方法では、ガラスセラミック・グリーンシ
ートと拘束グリーンシートとの結合は、それらのグリー
ンシート内に含有されているバインダ等の有機成分によ
り行なわれる。しかし、(3)の焼成工程において、バ
インダ、可塑剤等の有機成分が分解し揮散した後は、拘
束グリーンシート中の粉体とガラスセラミック・グリー
ンシート中の粉体とが単に密着して接触しているだけで
あり、それらのシート間にはファンデルワールス力によ
る弱い結合が働いているだけである。
【0015】このような弱い結合は、(4)の工程にお
ける拘束シートの除去が簡単になるという利点があるも
のの、(3)の焼成工程でガラスセラミック・グリーン
シート積層体から拘束グリーンシートがそれらの熱膨張
差等により不用意に剥離するおそれがある。
【0016】焼成途中で拘束グリーンシートが剥離する
と、ガラスセラミック・グリーンシートの焼結収縮を防
止できなくなる。また、拘束グリーンシートの剥離がた
とえ一部であっても、当該部分において収縮が起こるた
めガラスセラミック基板の変形が発生することになる。
【0017】また、ガラスセラミック・グリーンシート
積層体と拘束グリーンシートとは結合力が小さいため、
焼成前のそれらの密着状態や、ガラスセラミック成分の
種類によるガラスセラミック・グリーンシート中のガラ
ス成分の拘束グリーンシート内への浸透性によってはそ
れらの結合力にムラが生じやすい。結合力にムラがある
と、ガラスセラミックスの焼結収縮を拘束する力にムラ
ができ、収縮ムラが起こり、ガラスセラミック基板の反
り、変形等が発生することになる。その結果、寸法精度
の高い基板が得られないという問題がある。
【0018】さらに、キャビティ等の凹部を有するガラ
スセラミック基板においては、拘束グリーンシートが積
層されている部分では焼成途中に、貫通導体から拘束グ
リーンシートにガラスが拡散することにより貫通導体の
焼結開始点がガラスセラミックスの焼結開始点に近くな
り、焼成後の貫通導体の表面は平坦になる。しかし、凹
部の底面に露出する貫通導体は、凹部内では拘束グリー
ンシートが積層されていないため、貫通導体の焼結開始
点がガラスセラミックスの焼結開始点より早くなり、焼
成後の凹部の底面に露出する貫通導体はガラスセラミッ
クスの表面から凸になるという問題がある。
【0019】本発明の目的は、ガラスセラミック・グリ
ーンシートの積層面内での焼結収縮を確実に拘束して、
しかもキャビティ等の凹部の底面に配置された貫通導体
についても凸のない、寸法精度の高いガラスセラミック
基板を得る方法を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(I)拘束グリーン
シートとガラスセラミック・グリーンシートとの間にガ
ラス成分を含有させた密着剤層を介在させておくと、そ
のガラス成分が焼成過程でガラスセラミック・グリーン
シートと拘束グリーンシートとを結合する結合材として
作用するため、それらの間の結合力が高まり、拘束グリ
ーンシートが剥離するのを防止できること、(II)密着
剤層中のガラス成分の含有量は焼成後に拘束シートとと
もにガラスセラミック基板から除去される量であるこ
と、その結果、(III)拘束グリーンシートによりガラ
スセラミック・グリーンシート積層体の収縮が確実に抑
えられ、寸法精度の高いガラスセラミック基板を得るこ
とができること、さらに(IV)キャビティ等の凹部の底
面に形成された貫通孔に導体ペーストを充填するととも
にこの貫通孔上にコート層無機組成物を塗布することに
よって、凹部の底面に配置された貫通導体となる導体ペ
ーストよりコート層無機組成物中にガラスが拡散して、
貫通導体の焼結開始点がガラスセラミックスの焼結開始
点に近づき、貫通導体の凸を抑え、凹部を有するガラス
セラミック基板においても寸法精度の高いガラスセラミ
ック基板を得ることができるという新たな事実を見出
し、本発明を完成するに到った。
【0021】すなわち、本発明のガラスセラミック基板
の製造方法は、(i)有機バインダを含有し表面に導体
パターンが形成されたガラスセラミック・グリーンシー
ト、および凹部を形成するための貫通穴が形成された前
記ガラスセラミック・グリーンシート、ならびに貫通導
体を形成するための貫通孔に導体ペーストを充填すると
ともに前記貫通孔上に難焼結性無機材料とガラスと有機
バインダを含むコート層無機組成物を塗布した前記ガラ
スセラミック・グリーンシートの複数枚を積層して、凹
部を有するとともにこの凹部の底面に前記コート層無機
組成物が塗布された前記貫通孔を配置したガラスセラミ
ック・グリーンシート積層体を作製する工程と、(ii)
前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の両面に
ガラスと溶剤とを含む密着剤層を介在させて、難焼結性
無機材料と有機バインダとを含む拘束グリーンシートを
積層する工程と、(iii)前記拘束グリーンシートとガ
ラスセラミック・グリーンシート積層体との積層体から
有機成分を除去し、次いで焼成して拘束シートを保持す
るとともに凹部の底面にコート層で被覆された貫通導体
が形成されたガラスセラミック基板を作製する工程と、
(iv)前記ガラスセラミック基板から前記拘束シートお
よび前記コート層を除去する工程とを含み、(v)前記
密着剤層のガラス含有量が、前記焼成時に拘束グリーン
シートを前記ガラスセラミック・グリーンシートと結合
させ、かつ拘束グリーンシートをその積層面内で実質的
に収縮させない量であり、(vi)前記コート層無機組成
物中のガラス含有量が、前記焼成時にコート層無機組成
物を前記貫通孔に充填された前記導体ペーストの露出端
面と結合させ、かつ焼成後に前記コート層が前記拘束シ
ートと共に前記ガラスセラミック基板から除去される量
であることを特徴とする。
【0022】ここで、「実質的に収縮させない」とは、
拘束グリーンシートの収縮が1%以下、好ましくは0.8
%以下、より好ましくは0.5%以下に抑制されているこ
とを意味する。また、「積層面内」とは、三次元座標に
おいて厚さ方向をZ方向としたときのX方向およびY方
向によって規定される面内をいい、具体的にはシートの
縦方向およびこれに直交する方向である横方向によって
規定される面内を意味する。
【0023】本発明において、密着剤層およびコート層
無機組成物中に含有されるガラスの軟化点は、ガラスセ
ラミック・グリーンシート積層体の焼成温度以下である
のがよい。これにより、焼成工程で拘束グリーンシート
およびコート層無機組成物中のガラスが軟化し、結合力
が高まる。
【0024】また、密着剤層およびコート層無機組成物
中に含有されるガラスの軟化点は、有機成分の除去温度
よりも高いのがよい。ガラスの軟化点が有機成分の除去
温度よりも低い場合には、分解・揮散した有機成分が通
過するための除去経路が軟化したガラスによって閉塞さ
れてしまうおそれがある。
【0025】密着剤層中のガラス含有量は、密着剤層成
分のうち5〜50質量%であるのがよい。通常はこの範囲
が積層時に前記ガラスセラミック・グリーンシートと拘
束グリーンシートの密着性を損なわず、焼成時に前記ガ
ラスセラミック・グリーンシートと結合しかつ焼成後に
拘束シートとともにガラスセラミック基板から除去され
る量となる。5質量%より少ない場合は、焼成時に結合
剤として働くガラス量が少ないために拘束シートとガラ
スセラミック・グリーンシートの結合が不十分となる。
50質量%より多い場合は、ガラス量が多いために積層時
に拘束グリーンシートとガラスセラミック・グリーンシ
ートとが密着する面積が小さくなり焼成前の密着性が悪
くなるおそれがある。また、焼成後に拘束シートを除去
する際にはガラスセラミック基板上に強固なガラス層が
形成されるために拘束シートの除去が困難になる。な
お、使用するガラスの種類等によってガラス含有量は変
化するが、5〜50質量%程度がよい。
【0026】キャビティ等の凹部の底面に塗布するコー
ト層無機組成物中のガラス含有量は、コート層無機組成
物中の0.5〜20質量%であるのがよい。通常は、この範
囲が焼成時にコート層無機組成物を貫通孔に充填された
前記導体ペーストの露出端面と結合させ、前記導体ペー
スト中よりコート層無機組成物にガラスが十分に拡散
し、かつ焼成後にコート層が拘束シートと共にガラスセ
ラミック基板から除去される量となる。0.5質量%より
少ない場合には、焼成時にコート層無機組成物が導体ペ
ーストと充分に結合しにくくなる傾向があり、ガラスの
拡散が不十分となる。20質量%より多い場合は、焼成後
にコート層無機組成物がガラスセラミック基板と強固に
反応するため、除去が困難になる傾向がある。なお、使
用するガラスの種類等によってガラス含有量は変化する
が、0.5〜20質量%程度がよい。
【0027】本発明によれば、ガラスセラミック基板が
キャビティ等の凹部を有し、その底面に貫通導体が配置
された場合であっても、コート層無機組成物を凹部の貫
通導体上に塗布したガラスセラミック・グリーンシート
の複数枚を積層して、凹部を有するとともに該凹部の底
面に前記コート層無機組成物が塗布された前記貫通孔を
配置したガラスセラミック・グリーンシート積層体を作
製し、後に拘束グリーンシートが積層されてガラスセラ
ミック・グリーンシート積層体の収縮を拘束することと
なるので、焼成後における凹部の貫通導体の凸をほとん
どなくすことができ、凹部を有するガラスセラミック基
板についても寸法精度の高いものを得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明のガラスセラミック基板の
製造方法について以下に詳細に説明する。
【0029】本発明におけるガラスセラミック・グリー
ンシートは、ガラス粉末、フィラー粉末(セラミック粉
末)、さらに有機バインダ、可塑剤、有機溶剤等を混合
したものが用いられる。
【0030】ガラス成分としては、例えばSiO2−B2
3系、SiO2−B23−Al23系、SiO2−B2
3−Al23−MO系(但し、MはCa、Sr、Mg、
BaまたはZnを示す)、SiO2−Al23−M1O−
2O系(但し、M1およびM 2は同一または異なってC
a、Sr、Mg、BaまたはZnを示す)、SiO2
23−Al23−M1O−M2O系(但し、M1および
2は前記と同じである)、SiO2−B23−M3 2O系
(但し、M3はLi、NaまたはKを示す)、SiO2
23−Al23−M3 2O系(但し、M3は前記と同じ
である)、Pb系ガラス、Bi系ガラス等が挙げられ
る。
【0031】また、前記フィラーとしては、例えばAl
23、SiO2、ZrO2とアルカリ土類金属酸化物との
複合酸化物、TiO2とアルカリ土類金属酸化物との複
合酸化物、Al23およびSiO2から選ばれる少なく
とも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル、ムライ
ト、コージェライト)等が挙げられる。
【0032】上記ガラスとフィラーの混合割合は質量比
で40:60〜99:1であるのが好ましい。
【0033】ガラスセラミック・グリーンシートに配合
される有機バインダとしては、従来からセラミックグリ
ーンシートに使用されているものが使用可能であり、例
えばアクリル系(アクリル酸、メタクリル酸またはそれ
らのエステルの単独重合体または共重合体、具体的には
アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共
重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共
重合体等)、ポリビニルブチラ−ル系、ポリビニルアル
コール系、アクリル−スチレン系、ポリプロピレンカー
ボネート系、セルロース系等の単独重合体または共重合
体が挙げられる。
【0034】ガラスセラミック・グリーンシートは、上
記ガラス粉末、フィラー粉末、有機バインダに必要に応
じて所定量の可塑剤、溶剤(有機溶剤、水等)を加えて
スラリーを得て、これをドクターブレード、圧延、カレ
ンダーロール、金型ブレス等により厚さ約50〜500μm
に成形することによって得られる。
【0035】また、得られたガラスセラミック・グリー
ンシートには、必要に応じて所定の位置にキャビティ等
の凹部を形成するための所定形状および寸法の貫通穴が
パンチング加工等により形成される。
【0036】ガラスセラミック・グリーンシート表面に
導体パターンを形成するには、例えば導体材料粉末をペ
ースト化したものをスクリーン印刷法やグラビア印刷法
等により印刷するか、あるいは所定パターン形状の金属
箔を転写する等の方法が挙げられる。導体材料として
は、例えばAu、Ag、Cu、Pd、Pt等の1種また
は2種以上が挙げられ、2種以上の場合は混合、合金、
コーティング等のいずれの形態であってもよい。
【0037】なお、表面の導体パターンには、上下の層
間の導体パターン同士を接続するためのビア導体やスル
ーホール導体等の貫通導体が表面に露出した部分も含ま
れる。これら貫通導体は、パンチング加工等によりガラ
スセラミック・グリーンシートに形成した貫通孔に、導
体材料粉末をペースト化したもの(導体ペースト)を印
刷により埋め込む等の手段によって形成される。
【0038】ガラスセラミック・グリーンシートの凹部
の底面にコート層無機組成物を塗布するには、例えば難
焼結性無機材料粉末とガラス粉末とからなる無機成分を
ペースト化したものをスクリーン印刷法やグラビア印刷
法等により印刷する方法が挙げられる。
【0039】ガラスセラミック・グリーンシートの凹部
の底面に塗布するコート層無機組成物の厚さは、5〜30
μmであることが好ましい。この厚みが5μmよりも薄
いと貫通導体からガラスが十分にコート層無機組成物に
拡散しにくくなりやすい。他方、30μmを超えると焼成
後のコート層の除去が困難となりやすい。
【0040】ガラスセラミック・グリーンシートの積層
には、積み重ねたグリーンシートに熱と圧力を加えて熱
圧着する方法、有機バインダ、可塑剤、溶剤等からなる
接着剤をシート間に塗布して熱圧着する方法等が採用可
能である。
【0041】本発明における拘束グリーンシートは、難
焼結性無機材料からなる無機成分に有機バインダ、可塑
剤、溶剤等を加えたスラリーを成形して得られる。難焼
結性無機材料としては、Al23およびSiO2から選
ばれる少なくとも1種が挙げられるが、これらに制限さ
れるものではない。
【0042】また、拘束グリーンシート中に密着剤層と
同じガラス成分を含有させて拘束グリーンシートとガラ
スセラミック・グリーンシートとの結合力をより高める
ようにしてもよい。その場合のガラス成分の量は、焼結
時に拘束グリーンシートをその積層面内で実質的に収縮
させない量とするのがよい。
【0043】なお、コート用無機組成物の難焼結性無機
材料は、以上のような拘束グリーンシートの難焼結性無
機材料および密着剤層のガラスと同様のものを用いても
よい。
【0044】拘束グリーンシートは、ガラスセラミック
・グリーンシートの作製と同様にして、有機バインダ、
可塑剤、溶剤等を用いて成形することによって得られ
る。有機バインダ、可塑剤および溶剤としては、ガラス
セラミック・グリーンシートで使用したのと同様な材料
が使用可能である。ここで、可塑剤を添加するのは、拘
束グリーンシートに可撓性を付与し、積層時にガラスセ
ラミック・グリーンシートとの密着性を高めるためであ
る。
【0045】また、コート層無機組成物としてのコート
層形成用ペーストには、難焼結性無機材料とガラスとか
らなる無機成分に、ペースト化するために有機バイン
ダ、可塑剤、溶剤等を添加したものを用いればよい。有
機バインダとしては、例えばポリビニルアルコールを難
焼結性無機材料とガラスに対して5質量%程度添加すれ
ばよいが、これに限らず、エチルセルロース系やニトロ
セルロース系の有機成分、アクリル酸メチル、ポリアク
リル酸メチル、メタクリル酸メチル等を5〜15質量%程
度添加してもよい。また、有機溶剤としては、トルエン
や各種アルコール類を5〜40質量%程度添加してもよ
い。
【0046】拘束グリーンシートおよびコート層無機組
成物に添加する有機バインダ、あるいは可塑剤、溶剤と
しては、上記の他にもガラスセラミック・グリーンシー
トで使用したのと同様な材料が使用可能である。ここ
で、可塑剤は、拘束無機組成物層に可撓性を付与し、積
層時にガラスセラミック・グリーンシートとの密着性を
高めるために添加してもよいものである。
【0047】ガラスセラミック・グリーンシート積層体
の両面に積層される拘束グリーンシートの厚さは、片面
だけでガラスセラミック・グリーンシート積層体の厚さ
に対して10%以上であるのが好ましく、これよりも薄い
と拘束グリーンシートの拘束性が低下するおそれがあ
る。また、有機成分の揮散を容易にしかつ焼成後のガラ
スセラミック基板からの拘束シートの除去を考慮する
と、拘束グリーンシートの厚さはガラスセラミック・グ
リーンシート積層体の厚さの約200%以下であるのがよ
い。また、積層される拘束グリーンシートは1枚のもの
であってもよく、あるいは所定の厚みになるように複数
層を積層したものであってもよい。具体的な厚さとして
は、50〜300μm程度とすることが適当である。
【0048】密着剤層形成用の密着剤は、ガラス粉末、
有機溶剤等を混合したものが用いられる。さらに、有機
バインダ成分を含有させて焼成前のグリーンシート間の
結合力を高めたり、塗布しやすい粘度に調整したりする
こともできる。また、分散剤等を添加して密着剤中のガ
ラスの分散性を良くすることもできる。
【0049】密着剤中のガラスについても、特に制限さ
れるものではなく、前記したガラスセラミック・グリー
ンシートに配合されるガラスと同様のものが使用可能で
ある。また、密着剤中のガラスは、ガラスセラミック・
グリーンシート中のガラスと同一組成のものであっても
よく、異なる組成のものであってもよい。
【0050】密着剤中のガラスの軟化点は、ガラスセラ
ミック・グリーンシート積層体の焼成温度以下で、かつ
グリーンシート中の有機成分の分解・揮散温度よりも高
いのが好ましい。具体的には、密着剤中のガラスの軟化
点は450〜1100℃程度であるのが好ましい。ガラスの軟
化点が450℃未満の場合には、ガラスセラミック・グリ
ーンシート積層体からの有機成分の除去時に、軟化した
ガラスが分解・揮散した有機成分の除去経路を塞ぐこと
になり有機成分を完全に除去できないおそれがある。一
方、ガラスの軟化点が1100℃を超える場合には、通常の
ガラスセラミック・グリーンシートの焼成条件ではこの
グリーンシートへの結合材として作用しなくなるおそれ
がある。
【0051】密着剤中のガラスの粒径は10μm以下であ
ることが望ましい。これより大きいと、グリーンシート
積層時にガラス粒子がガラスセラミック・グリーンシー
ト積層体上の導体パターンに食い込むことがあり、それ
により焼成後の導体の表面粗さが大きくなったり、導体
中に欠陥が発生したりするおそれがあるからである。な
お、拘束グリーンシートが導体パターンより軟らかく、
ガラスが拘束グリーンシートの方に食い込む場合は、こ
のような制限を受けるものではない。
【0052】密着剤中の溶剤はガラスを均一に分散さ
せ、グリーンシート間の結合性を阻害しないものであれ
ば特に制限されるものではない。また、複数の溶剤を混
合して用いることもできる。グリーンシートに可撓性を
付与したり、グリーンシート表面を膨潤させたり、溶解
させたりしてグリーンシート間の結合力を高めるような
ものを用いるとよい。具体的にはジエチレングリコール
モノブチルエーテルアセテート(BCA)、フタル酸ジ
−n−ブチル(dibutyl phthalate:DBP)、フタル
酸ジ−2−エチルヘキシル(di-sec-octyl phthalat
e:DOP)、テルピネオール、トルエン、酢酸ブチ
ル、酢酸エチル等が挙げられるが、グリーンシートによ
り適当な溶剤として異なるものを使用してもよい。
【0053】成形された拘束グリーンシートをガラスセ
ラミック・グリーンシートの両面に積層するには、この
両面に密着剤層を介して拘束グリーンシートを配置し、
例えば5〜22MPa程度の圧力で加圧して積層する。
【0054】拘束グリーンシートを積層した後、有機成
分の除去と焼成を行なう。有機成分の除去は、100〜800
℃の温度範囲でこの積層体を加熱することによって行な
い、有機成分を分解・揮散させる。また、焼成温度はガ
ラスセラミック組成により異なるが、通常は約800〜110
0℃の範囲内である。焼成は通常、大気中で行なうが、
導体材料にCuを使用する場合には100〜700℃の水蒸気
を含む窒素雰囲気中で有機成分の除去を行ない、次いで
窒素雰囲気中で焼成を行なう。
【0055】また、有機成分の除去時ならびに焼成時に
は、積層体の反りを防止するために、積層体の上面に重
しを載せる等して荷重をかけるとよい。このような重し
による荷重は50Pa〜1MPa程度が適当である。荷重
が50Pa未満である場合は、積層体の反りを抑制する作
用が充分でなくなるおそれがある。また、荷重が1MP
aを超える場合は、使用する重しが大きくなることとな
るため、焼成炉に入らなくなったり、また焼成炉に入っ
ても重しが大きいために熱容量が不足することになり焼
成できなくなったりするなどの問題をひき起こすおそれ
がある。
【0056】この重しとしては、ガラスセラミック基板
の焼成中に変形・溶融等して荷重が不均一になったり、
分解した有機成分の揮散を妨げたりすることがないよう
な耐熱性の多孔質のものが適している。具体的にはセラ
ミックス等の耐火物、あるいは高融点の金属等が挙げら
れる。また、積層体の上面に多孔質の重しを置き、その
上に非多孔質の重しを置いてもよい。
【0057】このようにして焼成後、ガラスセラミック
基板の凹部の底面の導体ペーストが充填された貫通導体
上にコート層が形成され、コート層が貫通導体より剥離
していないとともに、両面に拘束シートが積層され、拘
束シートがガラスセラミック基板より剥離していない、
両面に拘束シートを保持したガラスセラミック基板が得
られる。
【0058】焼成により両面に拘束シートを保持したガ
ラスセラミック基板が得られた後、拘束シートおよびコ
ート層を除去する。除去方法としては、ガラスセラミッ
ク基板の表面に結合した拘束シートおよびコート層を除
去できる方法であれば特に制限はなく、例えば超音波洗
浄、研磨、ウォータージェット、ケミカルブラスト、サ
ンドブラスト、ウェットブラスト(砥粒と水とを空気圧
により噴射させる方法)等が挙げられる。
【0059】得られたガラスセラミック基板は、焼成時
の収縮が拘束グリーンシートによって厚さ方向だけに抑
えられているので、その積層面内の収縮をおよそ0.5%
以下にも抑えることが可能となり、しかもガラスセラミ
ック・グリーンシートは拘束グリーンシートによって全
面にわたって均一にかつ確実に結合されているので、拘
束グリーンシートの一部剥離等によって反りや変形が起
こるのを防止することができる。
【0060】さらに、ガラスセラミック基板の凹部の底
面に配置された貫通導体の表面にはコート層が形成され
て、貫通導体よりコート層無機組成物へガラスが拡散す
ることにより貫通導体の焼結開始点がガラスセラミック
スの焼結開始点に近くなり、貫通導体の凸がないガラス
セラミック基板を得ることができる。
【0061】
【実施例】以下、実施例、比較例および試験例を挙げて
本発明の方法を詳細に説明するが、本発明は以下の実施
例のみに限定されるものではない。 <実施例1>ガラスセラミック成分として、SiO2
Al23−MgO−B23−ZnO系ガラス粉末60質量
%、CaZrO3粉末20質量%、SrTiO3粉末17質量
%およびAl23粉末3質量%を使用した。このガラス
セラミック成分100質量%に有機バインダとしてアクリ
ル樹脂12質量%、フタル酸系可塑剤6質量%および溶剤
としてトルエン30質量%を加え、ボールミル法により混
合しスラリーとした。このスラリーを用いてドクターブ
レード法により厚さ300μmのガラスセラミック・グリ
ーンシートを成形した。
【0062】次いで、所定のガラスセラミック・グリー
ンシートに打ち抜き型またはパンチングマシーンを用い
て所定の位置に貫通導体ペーストを充填する貫通孔を形
成し、スクリーン印刷法にて貫通孔に導体ペーストを充
填した。導体ペーストとしては、Agの粉末(平均粒径
1.0μm)100質量%に対してAl23粉末2質量%およ
び前記ガラスと同組成のガラス粉末5質量%、さらにビ
ヒクル成分として所定量のエチルセルロース系樹脂、テ
ルピネオールを加え、3本ロールにより適度な粘度にな
るように混合したものを用いた。
【0063】次いで、このグリーンシート上に銀−パラ
ジウムペーストを用いて導体パターンをスクリーン印刷
にて形成した。導体ペーストとしては、Ag:Pdが質
量比で85:15である合金粉末(平均粒径1.0μm)100質
量%に対してAl23粉末2質量%および前記ガラスと
同組成のガラス粉末2質量%、さらにビヒクル成分とし
て所定量のエチルセルロース系樹脂、テルピネオールを
加え、3本ロールにより適度な粘度になるように混合し
たものを用いた。
【0064】次いで、このグリーンシートに配置された
貫通導体上にコート層無機組成物の層をスクリーン印刷
法にて10μmの厚みに形成した。この際、コート層無機
組成物ペーストとしては、Al23粉末90質量%と軟化
点720℃のSiO2−Al23−MgO−B23−ZnO
系ガラス粉末10質量%とを用い、エチルセルロース樹脂
をアルコールで溶かしたビヒクルを30質量%、テルピネ
オールを加えて適度な粘度になるように混練したものを
用いた。
【0065】一方、無機成分としてAl23粉末を用い
て、前記ガラスセラミック・グリーンシートと同様にし
てスラリーを作製し、次いで成形して厚さ250μmの拘
束グリーンシートを得た。
【0066】密着剤は、軟化点720℃のSiO2−Al2
3−MgO−B23−ZnO系ガラス粉末25質量%と
DBP39質量%、BCA31.2質量%、アクリル系バイン
ダ4.8質量%を混合したものを用いた。
【0067】所定のガラスセラミック・グリーンシート
に打ち抜き型またはパンチングマシーンを用いて所定の
位置に凹部となる貫通穴を形成し、表面に導体パターン
を形成した前記ガラスセラミック・グリーンシートとと
もに所定枚数を積み重ねて、温度55℃、圧力20MPaで
圧着して、積層面内の縦方向および横方向の寸法がそれ
ぞれ200mmの、凹部が形成されたガラスセラミック・
グリーンシート積層体を得た。その後、そのガラスセラ
ミック・グリーンシート積層体の両面に密着剤を塗布し
て密着剤層を形成した拘束グリーンシートを重ね合わせ
て、温度55℃、圧力20MPaで圧着して積層体を得た。
【0068】得られた積層体をアルミナセッターに載置
し、その上に重しを載せて約0.5MPaの荷重をかけつ
つ大気中500℃で2時間加熱して有機成分を除去した
後、900℃で1時間焼成した。焼成後は、コート層は貫
通導体より剥離することなく、ガラスセラミック基板の
両面に拘束シートが付着していた。この状態では、軽く
叩いても拘束シートが剥がれることはなかった。
【0069】ガラスセラミック基板の表面に付着した拘
束シートは、凹部の底面のコート層とともに擦り取るこ
とにより大部分は除去できたが、ガラスセラミック基板
表面に薄く残留していた。この残留した拘束シートおよ
びコート層を、球状Al23微粉末と水との混合物を高
圧の空気圧で投射するウェットブラスト法により除去し
た。拘束シートおよびコート層を除去した後のガラスセ
ラミック基板の表面は、表面粗さRaが1μm以下の平
滑な面となり、導体の半田濡れ性も問題なかった。
【0070】また、得られたガラスセラミック基板の積
層面内での収縮は0.5%以下であり、基板に反りや変形
も認められず、凹部に配置された貫通導体の凸も認めら
れなかった。 <実施例2および3>軟化点が600℃および700℃のガラ
スをそれぞれ用いて密着剤層およびコート層無機組成物
を作製した以外は実施例1と同様にしてガラスセラミッ
ク基板を得た。 <比較例1>ガラスを含有しない密着剤層およびコート
層無機組成物を作製した以外は実施例1と同様にしてガ
ラスセラミック基板を得た。 <比較例2>軟化点が920℃のガラスを用いて密着剤層
およびコート層無機組成物を作製した以外は実施例1と
同様にしてガラスセラミック基板を得た。 <比較例3>軟化点が400℃のガラスを用いて密着剤層
およびコート層無機組成物を作製した以外は実施例1と
同様にしてガラスセラミック基板を得た。
【0071】その結果、実施例2および3で得たガラス
セラミック基板は、実施例1と同様に積層面内での収縮
が0.5%以下(すなわち、収縮率99.5%以上)であり、
基板の反りや凹部の底面に配置された貫通導体の凸等は
認められなかった。
【0072】これに対して、比較例1および2で得たガ
ラスセラミック基板は、使用した密着剤層およびコート
層無機組成物がガラスを含まないか、あるいは焼成温度
よりも高い軟化点を有するガラスを含んでいるために、
いずれも焼成後のガラスセラミック基板から拘束グリー
ンシートが簡単に剥がれてしまい、コート層無機組成物
も凹部の貫通導体の露出端面と十分結合されていなく、
貫通導体の凸があった。また、ガラスセラミック・グリ
ーンシートと拘束グリーンシートとの間の結合力が弱い
ため、ガラスセラミック基板の積層面内での収縮率は85
%程度になるか、基板の一部のみが拘束シートに結合さ
れているためにガラスセラミック基板の外辺および凹部
の周辺が大きく変形した。
【0073】一方、比較例3では、密着剤層およびコー
ト層無機組成物に含まれるガラスの軟化点が低いため、
有機成分が完全に除去されず、このためガラスセラミッ
ク基板の積層面内での収縮は0.5%以下と良好であった
が、ガラスセラミック基板の色調が灰色になった。ま
た、この色調の変化は凹部およびその周辺で特に顕著で
あった。 <実施例4および5>コート層無機組成物中のガラス含
有量が、コート層無機組成物中の0.5質量%および20質
量%であるコート層無機組成物を作製した以外は実施例
1と同様にしてガラスセラミック基板を得た。 <比較例4および5>ガラスを含有しないコート層無機
組成物およびコート層無機組成物中のガラス含有量が、
該コート層無機組成物中の25質量%であるコート層無機
組成物から成る層を作製した以外は実施例1と同様にし
てガラスセラミック基板を得た。
【0074】得られたガラスセラミック基板の凹部の底
面に配置された貫通導体の凸量とウェットブラストによ
るコート層の除去状態を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】表1から、コート層無機組成物中のガラス
含有量が、実施例1、4および5の量であるコート層無
機組成物を塗布して得られたガラスセラミック基板は、
凹部の底面に配置された貫通導体の凸が抑制され、ウェ
ットブラストによりコート層が除去されていることが分
かる。これに対し、比較例4のガラスを含有しないコー
ト層無機組成物を塗布して得られたガラスセラミック基
板は、凹部の貫通導体の露出端面と結合が不十分で、貫
通導体の凸量が大きかった。また、比較例5のコート層
中のガラス含有量がこのコート層無機組成物中の25質量
%であるコート層無機組成物を塗布して得られたガラス
セラミック基板は、凹部の貫通導体の露出面と結合が過
剰であり、ウェットブラストによりコート層が除去され
ず、また、貫通導体中のガラス量よりコート層無機組成
物中のガラス量が多いため、コート層無機組成物より貫
通導体へガラスが拡散し、貫通導体の焼結開始点がガラ
スセラミックスの焼結開始点より早くなり、貫通導体の
凸量が大きかった。 <実施例6〜9>ガラスセラミック成分として、SiO
2−MgO−CaO−Al23系ガラス粉末70質量%、
Al23粉末30質量%を使用した。このガラスセラミッ
ク成分100質量%に有機バインダとしてアクリル樹脂9.0
質量%、フタル酸系可塑剤4.5質量%および溶剤として
トルエン30質量%を加え、ボールミル法により混合しス
ラリーとした。このスラリーを用いてドクターブレード
法により厚さ300μmのガラスセラミック・グリーンシ
ートを成形した。
【0077】次いで、このグリーンシート上に実施例1
と同じ銀−パラジウムペーストを用いて導体パターンを
スクリーン印刷にて形成した。
【0078】一方、無機成分としてAl23粉末を用い
て、ガラスセラミック・グリーンシートと同様にスラリ
ーを作製し、次いで成形して、厚さ250μmの拘束グリ
ーンシートを得た。
【0079】また、密着剤は軟化点720℃のSiO2−M
gO−CaO−Al23系ガラス粉末とDBP、BC
A、アクリル系バインダをそれぞれ表2に示す割合で混
合したものを用いて作製した。
【0080】所定のガラスセラミック・グリーンシート
の所定位置に所定の形状・寸法の貫通穴を形成し、表面
に導体パターンを形成し、凹部の底面に貫通導体層およ
びコート層無機組成物からなる層を形成した前記ガラス
セラミック・グリーンシートの所定枚数を積み重ねて、
温度55℃、圧力20MPaで圧着して、積層面内の縦方向
および横方向の寸法がそれぞれ200mmの、凹部を有す
るガラスセラミック・グリーンシート積層体を得て、そ
のガラスセラミック・グリーンシート積層体の両面に拘
束グリーンシートを重ね合わせて温度55℃、圧力20MP
aで圧着して積層体を得た。
【0081】得られた積層体をアルミナセッターに載置
し、その上に重しを載せて約0.5MPaの荷重をかけつ
つ大気中500℃で2時間加熱して有機成分を除去した
後、850℃で1時間焼成した。次いで、ガラスセラミッ
ク基板の表面に付着した拘束シートおよびコート層無機
組成物を除去した。得られたガラスセラミック基板の表
面は、表面祖さRaが1μm以下の平滑な面となり、導
体の半田濡れ性も問題なかった。
【0082】また、得られたガラスセラミック基板の積
層面内での収縮率を表2に併せて示す。なお、ガラスセ
ラミック基板に反りや変形は認められなかった。
【0083】
【表2】
【0084】表2から、実施例6〜9の各拘束グリーン
シートを使用して得られたガラスセラミック基板は、焼
成時の収縮が抑制されていることが分かる。これらのガ
ラスセラミック基板は、高い寸法精度を有していた。
【0085】
【発明の効果】本発明によれば、ガラスセラミック・グ
リーンシート積層体の凹部の底面に焼成時にコート層無
機組成物を貫通導体層の露出端面と結合させ、貫通導体
よりコート層無機組成物へガラスを拡散させることによ
り貫通導体の焼結開始温度をガラスセラミックスの焼結
温度に近づけ、かつ焼成後にコート層が拘束シートと共
にガラスセラミック基板から除去されるコート層無機組
成物を塗布するとともに、このガラスセラミック・グリ
ーンシート積層体の両面に、焼成時に結合剤として働く
ガラスを含む密着剤層を介してこの積層体と結合し、か
つ焼成時に実質的に収縮しない拘束グリーンシートを積
層して焼成するので、焼成時におけるガラスセラミック
・グリーンシート積層体の積層面内の収縮を確実に抑え
ることができ、反りや変形のない、また凹部の貫通導体
に凸のない、寸法精度の高いガラスセラミック基板が得
られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラスセラミック基板の製造方法にお
けるガラスセラミック・グリーンシート積層体の一例を
示す断面図である。
【符号の説明】 1・・・・・ガラスセラミック・グリーンシート積層体 2・・・・・コート層無機組成物 3・・・・・拘束グリーンシート 4・・・・・凹部 5・・・・・貫通導体

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機バインダを含有し表面に導体パターン
    が形成されたガラスセラミック・グリーンシート、およ
    び凹部を形成するための貫通穴が形成された前記ガラス
    セラミック・グリーンシート、ならびに貫通導体を形成
    するための貫通孔に導体ペーストを充填するとともに前
    記貫通孔上に難焼結性無機材料とガラスと有機バインダ
    を含むコート層無機組成物を塗布した前記ガラスセラミ
    ック・グリーンシートの複数枚を積層して、凹部を有す
    るとともに該凹部の底面に前記コート層無機組成物が塗
    布された前記貫通孔を配置したガラスセラミック・グリ
    ーンシート積層体を作製する工程と、 前記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の両面に
    ガラスと溶剤とを含む密着剤層を介在させて、難焼結性
    無機材料と有機バインダとを含む拘束グリーンシートを
    積層する工程と、 前記拘束グリーンシートとガラスセラミック・グリーン
    シート積層体との積層体から有機成分を除去し、次いで
    焼成して拘束シートを保持するとともに凹部の底面にコ
    ート層で被覆された貫通導体が形成されたガラスセラミ
    ック基板を作製する工程と、 前記ガラスセラミック基板から前記拘束シートおよび前
    記コート層を除去する工程とを含み、 前記密着剤層のガラス含有量が、前記焼成時に拘束グリ
    ーンシートを前記ガラスセラミック・グリーンシートと
    結合させ、かつ拘束グリーンシートをその積層面内で実
    質的に収縮させない量であり、 前記コート層無機組成物のガラス含有量が、前記焼成時
    にコート層無機組成物を前記貫通孔に充填された前記導
    体ペーストの露出端面と結合させ、かつ焼成後に前記コ
    ート層が前記拘束シートと共に前記ガラスセラミック基
    板から除去される量であることを特徴とするガラスセラ
    ミック基板の製造方法。
  2. 【請求項2】前記密着剤層および前記コート層無機組成
    物中に含有されるガラスの軟化点が、前記ガラスセラミ
    ック・グリーンシート積層体の焼成温度以下である請求
    項1記載のガラスセラミック基板の製造方法。
  3. 【請求項3】前記密着剤層および前記コート層無機組成
    物中に含有されるガラスの軟化点が、前記有機成分の揮
    発温度よりも高い請求項1または請求項2記載のガラス
    セラミック基板の製造方法。
  4. 【請求項4】前記密着剤層中のガラス含有量が、前記密
    着剤層成分のうち5〜50質量%である請求項1記載の
    ガラスセラミック基板の製造方法。
  5. 【請求項5】前記拘束グリーンシートの厚さが片面で前
    記ガラスセラミック・グリーンシート積層体の厚さに対
    して10%以上である請求項1記載のガラスセラミック
    基板の製造方法。
  6. 【請求項6】前記コート層無機組成物中のガラス含有量
    が、該コート層無機組成物中の全無機成分の0.5〜2
    0質量%である請求項1記載のガラスセラミック基板の
    製造方法。
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