JP2003247069A - 抵抗体 - Google Patents

抵抗体

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JP2003247069A JP2002043752A JP2002043752A JP2003247069A JP 2003247069 A JP2003247069 A JP 2003247069A JP 2002043752 A JP2002043752 A JP 2002043752A JP 2002043752 A JP2002043752 A JP 2002043752A JP 2003247069 A JP2003247069 A JP 2003247069A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低抵抗・低応力の発熱層を高い成膜速度にて安
定的に形成した抵抗体を提供する。 【解決手段】基板1上にアモルファスシリコンからなる
発熱層3を触媒CVD法により成膜形成した抵抗体であ
って、触媒CVD法に用いる触媒体をTa、W、Moか
ら選択される触媒元素にて成し、発熱層3に触媒元素を
0.5ppm〜15%の原子比率にて、かつ周期律表第I
II族元素を1.5ppm〜1.8%の原子比率にて含有
せしめている。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はアモルファスシリコ
ン層を形成した抵抗体に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、抵抗体の発熱層を薄膜形成方法に
て成膜する場合には、真空蒸着法、プラズマCVD法、
光CVD法、熱CVD法、反応性スパッタリング法、イ
オンプレーティング法などが用いられる。 【0003】たとえば、発熱層をアモルファスシリコン
層にて形成した場合には、このアモルファスシリコン層
については、特にプラズマCVD法により成膜体が形成
されている。 【0004】特開平9-120907号公報によれば、
高周波スパッタリングによりTa、Si、C、Oからな
る抵抗体を作製した技術が報告されている。 【0005】また、特開平11-10879号公報にお
いては、プラズマCVD法等により、C、SiOに金属
を添加した発熱抵抗体が報告されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たようにプラズマCVD法やスパッタリング法等によっ
て抵抗体を成膜した場合、低抵抗化した膜、特に比抵抗
が103〜100 (Ω・cm)の膜を形成するためにはボ
ロンやリン等を大量にドーピングする必要があり、これ
により、成膜速度が遅くなり、生産コストが増大し、量
産化に適していなかった。 【0007】しかも、このような発熱層であれば、膜応
力が大きくなり、これによって密着性が低下し、その結
果、剥離等の不良が大量に発生していた。 【0008】本発明者は上記事情に鑑みて鋭意研究に努
めたところ、触媒CVD法を用いて、さらに触媒体をT
a、W、Moから選択される触媒元素にて成し、しか
も、周期律表第III族元素を1.5ppm〜1.8%の原
子比率にて含有させたことで、かかる課題が解消される
ことを見出した。 【0009】したがって本発明は上記知見により完成さ
れたものであり、その目的は低抵抗・低応力のアモルフ
ァスシリコン層を高い成膜速度にて安定的に形成した抵
抗体を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明の抵抗体は、基体
上にアモルファスシリコン層を触媒CVD法により成膜
形成した抵抗体であって、前記触媒CVD法に用いる触
媒体をTa、W、Moから選択される触媒元素にて成
し、このアモルファスシリコン層に触媒元素を0.5p
pm〜15%の原子比率にて、かつ周期律表第III族元
素を1.5ppm〜1.8%の原子比率にて含有せしめ
たことを特徴とする。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明の抵抗体を、インク
ジェット用発熱部を例にして、図でもって説明する。 【0012】図1は本発明の抵抗体であるインクジェッ
ト用発熱部の要部断面図である。図2は本発明に係る触
媒CVD法の概略構成を示す図である。 【0013】図1に示す抵抗体によれば、前記基体であ
るガラスやセラミックスなどの絶縁性の基板1の上にア
ルミニウムやクロム等の金属からなる電極2を成膜し、
この電極2上に前記アモルファスシリコン層である発熱
層3を触媒CVD法により形成し、さらに発熱層3の上
にアルミニウムやクロム等の金属からなる他の電極4を
成膜したものである。 【0014】電極2や電極4は真空蒸着法やスパッタリ
ング法にて形成すればよい。 【0015】発熱層3については、アモルファスシリコ
ンからなる。アモルファスシリコンについては、さらに
カーボンや窒素を、酸素をドープしてもよい。 【0016】そして、本発明においては、発熱層3の抵
抗値の調整用に周期律表第III族元素を1.5ppm〜
1.8%の原子比率にて含有させている。この周期律表
第III族元素には、ホウ素(B)があるが、その他にA
l,Ga,Zn,Tlがあり、いずれの元素も本発明の
範囲内である。 【0017】そして、この周期律表第III族元素によっ
て、発熱層3の比抵抗値を4.3×103〜1.1×1
1Ω・cmの範囲にできる。 【0018】かかる発熱層3は触媒CVD法により成膜
形成する。参考までに特開平6−338491号公報に
記載された技術を用いればよい。 【0019】図2にて触媒CVD装置の構成を示す。ま
た、好適な例として、周期律表第III族元素としてホウ
素(B)を用いた場合を示す。 【0020】同図にて、5は真空容器であり、この真空
容器5の内部に支持体6が配置され、この支持体6の上
に被成膜用基板7を配設する。さらに、8はガス導入部
であり、ガス導入部8と被成膜用基板7との間に、前記
触媒体であるフィラメント9を配している。 【0021】そして、半導体ガスを導入すると、ガス導
入部8より噴出し、フィラメント9を通して被成膜用基
板7上に成膜される。 【0022】この成膜条件は、たとえば真空度13.3P
a、基板温度250℃、触媒体(フィラメント9)の温度
2200℃である。 【0023】原料用ガスとしては、水素化珪素ガス(モ
ノシラン、ジシラン)等を用いられ、キャリアガスとし
ては一般に常用される水素ガスあるいはアルゴンガス等
が用いられる。さらに、抵抗値の調整用に若干のドーピ
ングガスを添加するとよく、そのためのガスとして、B
26等のガスを用いればよい。 【0024】本発明によれば、触媒体には、Ta、W、
Moから選択される触媒元素にて成し、触媒体温度をた
とえば2200℃にまでに高めることで、触媒体を蒸発
させ、そして、薄膜層中に触媒体の元素を取り込んでい
る。 【0025】かくして本発明によれば、かかる触媒CV
D法により、少ないドーピングガス(B26等のガス)
を添加するだけで、所望の比抵抗の成膜体を安価に得る
ことができた。 【0026】本発明者が繰り返し行った実験によれば、
かかる触媒元素を含有しない場合には、B含有量:20
000ppm(2%)以上必要であったが、これに対
し、本発明によれば、B含有量であれば、1.5ppm
以上にて、4.3×103Ω・cm以下の比抵抗の成膜
体が得られた。 【0027】また、本発明においては、触媒CVD法に
て成膜を行なったことで、プラズマのダメージを受けな
くなり、これにより、膜の内部応力が小さくなり、剥れ
にくい膜が形成できた。 【0028】 【実施例】(例1)図3に示すごとく、AF45ガラス
からなる基板11(40mm×10mm×厚み0.1m
m)の上に発熱層13を触媒CVD法(触媒体:Ta)
により形成する。この層は表1に示す成膜条件により2
0,000Åの厚みでアモルファスシリコン層を成膜形
成した。そして、ソリ量から測定した。 【0029】同図によれば、基板11の端部を基板支持
体10に固定し、そして、この基板11の上に薄膜層
(発熱層)13を成膜して、ソリ量δを測定した。 【0030】他方、その他の特性を測定するには、#7
059ガラスからなる基板1(40mm×10mm×厚
み1mm)の上に1mm幅のアルミ電極2を蒸着させ、
その上に発熱層3を触媒CVD法(触媒体:Ta)によ
り形成し、発熱抵抗体用にする。この層は表1に示す成
膜条件により20,000Åの厚みでアモルファスシリ
コン層を成膜形成した。 【0031】 【表1】 【0032】かくして得られた本発明の抵抗体につい
て、その内部応力をソリ量から測定したところ、そのよ
うなソリもなかった。さらに抵抗体の上に1mm幅の電
極を十字方向に蒸着し、発熱の有無を評価したところ、
十分なる発熱を確認することができた。 【0033】また、抵抗の測定用として#7059ガラ
スからなる基板1(40mm×10mm×厚み1mm)
上に発熱層3を触媒CVD法(触媒体:Ta)により形
成し、発熱抵抗体用にする。この層は表1に示す成膜条
件により20000Åの厚みでアモルファスシリコン層
を成膜形成した。この試料によれば、基板上に直接発熱
層を形成し、その上に櫛形電極を蒸着し、測定を行っ
た。その結果、比抵抗は101 Ω・cmとなり、良好な
結果が得られた。 【0034】(例2)つぎに(例1)に示す抵抗体を作
製するに当たり、発熱層の成膜において、触媒体を15
00〜2500℃の範囲で変え、その他の成膜条件を
(例1)の抵抗体と同じにて設定し、各種抵抗体を作製
した。 【0035】このように触媒体温度を増減させることに
より、触媒元素Taの含有量を0.05ppm以上に幾
とおりにも変えた各種抵抗体を作製した。そして、これ
ら抵抗体の比抵抗、発熱および内部応力と密着性を測定
したところ、表2に示すような結果が得られた。 【0036】発熱の評価は、○、△、×の3とおりに区
分し、○印は規格の発熱量を満足している場合、△印は
一部のみ規格の発熱量を満足している場合、×印は全面
が規格の発熱量を満足していない場合を示す。 【0037】また、密着性の評価は、○、△、×の3と
おりに区分し、○印は膜ハガレの全くない状態の場合、
△印は一部のみ膜ハガレがある状態の場合、×印は全面
に膜ハガレがある状態の場合を示す。 【0038】 【表2】【0039】この表から明らかなとおり、触媒体温度が
増大することで触媒体元素の含有量が多くなり、比抵抗
が小さくなることがわかる。これは、触媒体温度が上昇
することで、触媒元素が蒸発し、膜中に元素が入るため
である。そして、触媒元素が膜中に入っていくことで、
比抵抗が小さくなり、発熱性が向上したことがわかる。 【0040】Taの場合、触媒体温度が2000℃〜2
300℃では、発熱・密着性ともに良好な結果が得られ
た。触媒体温度が2450℃では、膜中に触媒元素が入
りすぎ、粗な膜となりボロボロと剥がれてしまう結果と
なった。また、温度が高すぎて触媒体が切れてしまうこ
ともあった。さらに、2500℃以上では、触媒体が成
膜中に常時切れてしまい、膜が付着しない結果となっ
た。 【0041】内部応力については、一般的なプラズマC
VD法で作製されたアモルファスシリコン膜であれば、
1.0×108〜7.5×108(N/m2)であるが、本
例にて作製された抵抗体については、相当に小さい値
(一桁小さい)であり、密着性等に顕著な効果を奏す
る。 【0042】(例3)つぎに(例1)に示す抵抗体を作
製するに当たり、薄膜層(発熱層13)の成膜におい
て、B26ガスの流量(0.2%にて水素希釈)を0〜
1000sccmの範囲にて変え、そして、SiH4
スは20sccmの流量にて、その他の成膜条件を(例
1)の抵抗体と同じにて設定し、各種抵抗体を作製し
た。 【0043】すなわち、薄膜層を成膜形成するに際し、
SiH4ガスに対するB26ガス流量を増減させること
により、B(ボロン)の含有量を0〜8.0%にまで幾
とおりにも変えた各種抵抗体を作製した。 【0044】そして、これら抵抗体の比抵抗、発熱、内
部応力および密着性を測定したところ、表3に示すよう
な結果が得られた。 【0045】 【表3】 【0046】同表から明らかなとおり、B26流量が増
大することで、ボロン元素の含有量が多くなり、比抵抗
が小さくなることがわかる。これは、B26流量が増大
することで、SiH4ガスに対する流量比が高くなり、
ボロン元素がシリコンの膜中に多く入っていくからであ
る。そして、ボロン元素が膜中に入っていくことで、比
抵抗が小さくなり、発熱性が向上したことがわかる。 【0047】また、ボロン含有量が1.5ppm〜1.
8%の原子比率にて含有させたことで、発熱・密着性と
もに、良好な結果が得られた。 【0048】ボロン含有量が1.3ppm以下では、比
抵抗が大きくなり、発熱しない結果となった。一方、ボ
ロン含有量が3.3%以上になると、膜中にボロン元素
が入りすぎて、内部応力が大きくなり、これにより、基
板のソリが大きくなり、膜が剥がれ、さらに粗な膜とな
り、ボロボロと剥がれてしまう結果となった。 【0049】さらに、ボロン元素の含有量を2.0%以
上に多くすると、成膜速度が極端に遅くする必要があ
り、量産には不向きであると考えられる。成膜速度が大
きくなると、ボロンの分解効率が低下し、粗な膜質とな
るためである。 【0050】(例4)本例において、(例2)のよう
に、触媒元素をTaを用いた実施例に代えて、Wにした
場合でもって(例1)に示す抵抗体を作製した。 【0051】この抵抗体によれば、発熱層の成膜におい
て、触媒体を1500〜3000℃の範囲で変え、その
他の成膜条件を(例1)の抵抗体と同じにて設定し、各
種抵抗体を作製した。 【0052】このように触媒体温度を増減させることに
より、触媒元素Wの含有量を0.05ppm以上に幾と
おりにも変えた各種抵抗体を作製した。そして、これら
抵抗体の比抵抗、発熱および内部応力と密着性を測定し
たところ、表4に示すような結果が得られた。 【0053】 【表4】 【0054】この表から明らかなとおり、触媒体温度が
増大することで触媒体元素の含有量が多くなり、比抵抗
が小さくなることがわかる。これは、触媒体温度が上昇
することで、触媒元素が蒸発し、膜中に元素が入るため
である。そして、触媒元素が膜中に入っていくことで、
比抵抗が小さくなり、発熱性が向上している。 【0055】Wの場合、触媒体温度が2000℃〜27
00℃では、発熱・密着性ともに良好な結果が得られ
た。触媒体温度が2800℃では、膜中に触媒元素が入
りすぎ、粗な膜となりボロボロと剥がれてしまう結果と
なった。また、温度が高すぎて触媒体が切れてしまうこ
ともあった。さらに、3000℃以上では、触媒体が成
膜中に常時切れてしまい、膜が付着しない結果となっ
た。 【0056】内部応力については、一般的なプラズマC
VD法で作製されたアモルファスシリコン膜であれば、
1.0×108〜7.5×108(N/m2)であるが、本
例にて作製された抵抗体については、相当に小さい値
(一桁小さい)であり、密着性等に顕著な効果を奏す
る。 【0057】(例5)つぎに(例4)に示す抵抗体を作
製するに当たり、薄膜層(発熱層13)の成膜におい
て、B26ガスの流量(0.2%にて水素希釈)を0〜
1000sccmの範囲にて変え、そして、SiH4
スは20sccmの流量にて、その他の成膜条件を(例
1)の抵抗体と同じにて設定し、各種抵抗体を作製し
た。 【0058】すなわち、薄膜層を成膜形成するに際し、
SiH4ガスに対するB26ガス流量を増減させること
により、B(ボロン)の含有量を0〜7.2%にまで幾
とおりにも変えた各種抵抗体を作製した。 【0059】そして、これら抵抗体の比抵抗、発熱、内
部応力および密着性を測定したところ、表5に示すよう
な結果が得られた。 【0060】 【表5】【0061】同表から明らかなとおり、B26流量が増
大することで、ボロン元素の含有量が多くなり、比抵抗
が小さくなることがわかる。これは、B26流量が増大
することで、SiH4ガスに対する流量比が高くなり、
ボロン元素がシリコンの膜中に多く入っていくからであ
る。そして、ボロン元素が膜中に入っていくことで、比
抵抗が小さくなり、発熱性が向上したことがわかる。 【0062】また、ボロン含有量が1.5ppm〜1.
8%の原子比率にて含有させたことで、発熱・密着性と
もに、良好な結果が得られた。 【0063】ボロン含有量が1.3ppm以下では、比
抵抗が大きくなり、発熱しない結果となった。一方、ボ
ロン含有量が2.4%以上になると、膜中にボロン元素
が入りすぎて、内部応力が大きくなり、これにより、基
板のソリが大きくなり、膜が剥がれ、さらに粗な膜とな
り、ボロボロと剥がれてしまう結果となった。 【0064】さらに、ボロン元素の含有量を2.0%以
上に多くすると、成膜速度が極端に遅くする必要があ
り、量産には不向きであると考えられる。成膜速度が大
きくなると、ボロンの分解効率が低下し、粗な膜質とな
るためである。 【0065】(例6)本例において、(例2)のよう
に、触媒元素をTaを用いた実施例に代えて、Moした
場合でもって(例1)に示す抵抗体を作製した。 【0066】この抵抗体によれば、発熱層の成膜におい
て、触媒体を1500〜3000℃の範囲で変え、その
他の成膜条件を(例1)の抵抗体と同じにて設定し、各
種抵抗体を作製した。 【0067】このように触媒体温度を増減させることに
より、触媒元素Moの含有量を0.04ppm以上に幾
とおりにも変えた各種抵抗体を作製した。そして、これ
ら抵抗体の比抵抗、発熱および内部応力と密着性を測定
したところ、表6に示すような結果が得られた。 【0068】 【表6】 【0069】この表から明らかなとおり、触媒体温度が
増大することで触媒体元素の含有量が多くなり、比抵抗
が小さくなることがわかる。これは、触媒体温度が上昇
することで、触媒元素が蒸発し、膜中に元素が入るため
である。そして、触媒元素が膜中に入っていくことで、
比抵抗が小さくなり、発熱性が向上している。 【0070】Moの場合、触媒体温度が2000℃〜2
700℃では、発熱・密着性ともに良好な結果が得られ
た。触媒体温度が2800℃では、膜中に触媒元素が入
りすぎ、粗な膜となりボロボロと剥がれてしまう結果と
なった。また、温度が高すぎて触媒体が切れてしまうこ
ともあった。さらに、3000℃以上では、触媒体が成
膜中に常時切れてしまい、膜が付着しない結果となっ
た。 【0071】内部応力については、一般的なプラズマC
VD法で作製されたアモルファスシリコン膜であれば、
1.0×108〜7.5×108(N/m2)であるが、本
例にて作製された抵抗体については、相当に小さい値
(一桁小さい)であり、密着性等に顕著な効果を奏す
る。 【0072】(例7)つぎに(例6)に示す抵抗体を作
製するに当たり、薄膜層(発熱層13)の成膜におい
て、B26ガスの流量(0.2%にて水素希釈)を0〜
1000sccmの範囲にて変え、そして、SiH4
スは20sccmの流量にて、その他の成膜条件を(例
1)の抵抗体と同じにて設定し、各種抵抗体を作製し
た。 【0073】すなわち、薄膜層を成膜形成するに際し、
SiH4ガスに対するB26ガス流量を増減させること
により、B(ボロン)の含有量を0〜6.3%にまで幾
とおりにも変えた各種抵抗体を作製した。 【0074】そして、これら抵抗体の比抵抗、発熱、内
部応力および密着性を測定したところ、表7に示すよう
な結果が得られた。 【0075】 【表7】 【0076】同表から明らかなとおり、B26流量が増
大することで、ボロン元素の含有量が多くなり、比抵抗
が小さくなることがわかる。これは、B26流量が増大
することで、SiH4ガスに対する流量比が高くなり、
ボロン元素がシリコンの膜中に多く入っていくからであ
る。そして、ボロン元素が膜中に入っていくことで、比
抵抗が小さくなり、発熱性が向上したことがわかる。 【0077】また、ボロン含有量が1.5ppm〜1.
8%の原子比率にて含有させたことで、発熱・密着性と
もに、良好な結果が得られた。 【0078】ボロン含有量が1.3ppm以下では、比
抵抗が大きくなり、発熱しない結果となった。一方、ボ
ロン含有量が2.0%以上になると、膜中にボロン元素
が入りすぎて、内部応力が大きくなり、これにより、基
板のソリが大きくなり、膜が剥がれ、さらに粗な膜とな
り、ボロボロと剥がれてしまう結果となった。 【0079】さらに、ボロン元素の含有量を2.0%以
上に多くすると、成膜速度が極端に遅くする必要があ
り、量産には不向きであると考えられる。成膜速度が大
きくなると、ボロンの分解効率が低下し、粗な膜質とな
るためである。 【0080】なお、本発明は上記の実施形態例に限定さ
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で
種々の変更や改良等はなんら差し支えない。たとえば、
本発明によれば、触媒体には、Ta、W、Moを単独に
て用いたが、これに代えて、これらを組合せた複合材に
て、そして、複数の触媒元素を発熱層に添加してもよ
い。 【0081】 【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、基板支
持体上にアモルファスシリコン層を触媒CVD法により
成膜した抵抗体において、Ta、W、Moから選択され
る触媒元素を0.5ppm〜15%の範囲で含有させ、
しかも、周期律表第III族元素を1.5ppm〜1.8%
の原子比率にて含有したことで、すぐれた発熱性が得ら
れ、さらに、安価で品質が安定し(密着性等)量産性に
優れた抵抗体が提供できた。 【0082】また、本発明の抵抗体によれば、サーマル
ヘッド用発熱部、インクジェット用発熱部に、また、半
導体露光装置の電子ビーム機構部の帯電防止コートとし
て、エッチング部材用(反応炉)の保護コ−トとしても適
用できる。たとえば、インクジェット用発熱部ならびに
半導体露光装置の帯電防止コートとして、比抵抗10 3
〜100 (Ω・cm)の膜が形成できる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の抵抗体の断面図である。 【図2】本発明に係る触媒CVD法の概略構成を示す図
である。 【図3】抵抗体のソリ量の測定方法を示す説明図であ
る。 【符号の説明】 1・・・基板 2、4・・・電極 5・・・真空容器 6・・・支持体 7・・・被成膜用基板 8・・・ガス導入部 9・・・フィラメント
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C057 AF65 AG46 AP03 AP14 AP52 AP53 AP54 4K030 BA12 BA17 BA20 BA30 BA55 FA17 LA11 5F045 AA06 AB04 AC01 AC19 BB17 5F056 EA11

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】基体上にアモルファスシリコン層を触媒C
    VD法により成膜形成した抵抗体であって、前記触媒C
    VD法に用いる触媒体をTa、W、Moから選択される
    触媒元素にて成し、前記アモルファスシリコン層に触媒
    元素を0.5ppm〜15%の原子比率にて、かつ周期
    律表第III族元素を1.5ppm〜1.8%の原子比率に
    て含有せしめたことを特徴とする抵抗体。
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