JP2003245073A - Dnaシャッフリング方法 - Google Patents

Dnaシャッフリング方法

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JP2003245073A
JP2003245073A JP2003028596A JP2003028596A JP2003245073A JP 2003245073 A JP2003245073 A JP 2003245073A JP 2003028596 A JP2003028596 A JP 2003028596A JP 2003028596 A JP2003028596 A JP 2003028596A JP 2003245073 A JP2003245073 A JP 2003245073A
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sequences
polynucleotides
nucleic acid
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JP2003028596A
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Jay M Short
ショート,ジェイ,エム.
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    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ランダムポリヌクレオチドの製造方法の提供。 【解決手段】 2以上の関連ポリヌクレオチドを好適な
宿主細胞中に導入することによりハイブリッドポリヌク
レオチドを組換え及び減少的再組み合わせによって生産
させるランダムポリヌクレオチドの製造方法を開示す
る。また、そのようなポリヌクレオチドを含むベクター
及び発現媒体、ハイブリッドポリヌクレオチドによって
発現されるポリペプチド、及びハイブリッドポリペプチ
ドをスクリーニングする方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本出願は、1996年7月9日出願の米国特許出
願第08/677,112号の一部継続出願である。
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般的には組換え
に関し、より具体的には、部分的に相同な領域を含むポ
リヌクレオチド配列のin vivo再組み合わせ(reassortm
ent)、ポリヌクレオチドを組み立てて(assembling)
少なくとも1つのポリヌクレオチドを形成し、有用な特
性を有するポリペプチドの製造に対してポリヌクレオチ
ドをスクリーニングすることからなる方法による、ポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドの製造方法に関
する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】タンパク質内のアミノ
酸を目的をもってまたはランダムに組合せることにより
有用なハイブリッドタンパク質を生成し、そしてそれに
対応するハイブリッドタンパク質をコードする生物分
子、すなわちDNA、RNA等を生成することは数えき
れない可能性を秘めている。従って、有用な用途につい
て広範な種類のそのようなハイブリッドタンパク質、特
に広範な種類を有するランダムタンパク質を製造しスク
リーニングする必要がある。
【0004】生物学的巨大分子、例えばタンパク質、D
NA等の活性な配列の複雑さは、情報内容("IC")と呼ば
れており、これは同じ機能を有する関連する配列のファ
ミリーを表すために必要なアミノ酸配列変化に対する活
性タンパク質の抵抗性(不変アミノ酸の最小数(ビット)
から計算される)と定義される。ランダム突然変異誘発
に対して感受性の高いタンパク質は高い情報内容を有し
ている。
【0005】分子ライブラリーのような分子生物学の発
達により、かなり大きい数の可変塩基を同定することが
可能となり、ランダムライブラリーからの機能的配列を
選択する方法さえ提供されている。そのようなライブラ
リーにおいては、殆どの残基は変化し得(同時に全てと
いうことはないのが通常であるが)、これはそのような
状況下で補正的な変化に応じたものである。すなわち、
100アミノ酸のタンパク質は2000の異なる変異を含み
得、20100の配列の組合せが可能である。
【0006】情報密度とは、配列の単位長さ当たりのIC
である。酵素の活性部位は高い情報密度を有する傾向が
ある。それに対し、酵素中の情報のフレキシブルなリン
カーは低い情報密度を有する。
【0007】ライブラリー形式の変異体タンパク質を形
成するために現在広く使用されている方法は、エラーを
起こしやすいポリメラーゼ連鎖反応とカセット突然変異
誘発であり、これらにおいては、最適化されるべき特異
的な領域が、合成により突然変異誘発されたオリゴヌク
レオチドに置き換えられる。両者において、実質的な数
の変異部位が当初の配列中の特定の部位の周辺に生成さ
れる。
【0008】エラーを起こしやすいPCRは低い忠実度の
重合条件を使用して、長い配列にわたって点突然変異を
低いレベルでランダムに導入する。未知の配列の断片の
混合物においては、混合物に突然変異を起こすのにエラ
ーを起こしやすいPCRを使用できる。これまでに記載さ
れたエラーを起こしやすいPCRプロトコールは、ポリメ
ラーゼの低いプロセッシビリティの影響を受ける。従っ
て、このプロトコールは平均的なサイズの遺伝子のラン
ダム突然変異を生じることができない。この能力がない
ことにより、エラーを起こしやすいPCRの実用化が制限
されている。いくつかのコンピューターシミュレーショ
ンにより、点突然変異のみでは、連続的で劇的な配列の
進化に必要とされる大規模なブロックの変化を起こすに
は緩やか過ぎるものであることが多いことが示唆されて
いる。さらに、これまでに記載されたエラーを起こしや
すいPCRプロトコールでは0.5〜1.0 kbより大きいDNA
断片の増幅は不可能であり、その実用化を阻んでいる。
さらに、エラーを起こしやすいPCRのサイクルを反復す
ることにより、例えばタンパク質の結合アフィニティで
はなくその免疫原性に影響を与えるような、望ましくな
い結果を伴う中性変異の蓄積を招き得る。
【0009】オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発に
おいては、短い配列が合成により突然変異を生じさせた
オリゴヌクレオチドに置き換えられる。この方法は離れ
た変異の組合せを生成することができず、従って組合せ
的なものではない。大きな配列長に対してライブラリー
のサイズが限定されていることは、タンパク質を最適化
するためには選択の多数回の反復が避けられないことを
意味する。合成オリゴヌクレオチドを使用した突然変異
誘発は、各選択サイクルの後に個々のクローンの配列決
定をし、クローンをファミリーにグループ化し、任意に
単一のファミリーを選択し、それを1つのコンセンサス
モチーフに還元することを必要とする。そのようなモチ
ーフを再合成し、単一の遺伝子に再挿入し、さらに選択
する。この工程の過程は統計的なボトルネックを構成
し、労働集約的であり、多数回の突然変異誘発には実用
的でない。
【0010】従って、エラーを起こしやすいPCR及びオ
リゴヌクレオチド指向突然変異誘発は、配列の微調整の
単一のサイクルには有用であるが、多数回のサイクルに
応用する場合には急速に制限を受けるものとなる。
【0011】エラーを起こしやすいPCRの別の重大な制
限は、低変異の率が配列の情報内容に従って高くなるこ
とである。情報内容、ライブラリーサイズ、及び突然変
異誘発率が上昇するに従って、低変異の高変異に対する
バランスは、さらに改良するための選択を統計的に阻害
する(統計的限度)。
【0012】カセット突然変異誘発においては、単一の
鋳型の配列ブロックを(部分的に)ランダム化された配列
により置き換えるのが通常である。従って、得ることが
できる最大の情報内容はランダム配列の数(すなわちラ
イブラリーサイズ)により統計的に制限される。これは
その時点で最良ではないその他の配列ファミリーを除外
するが、より長い期間能力を有する可能性がある。
【0013】また、合成オリゴヌクレオチドによる突然
変異誘発は、各選択サイクルの後に個々のクローンを配
列決定することを必要とする。すなわち、そのような方
法は冗長であり、突然変異誘発を多数回行うには実用的
でない。
【0014】従って、エラーを起こしやすいPCR及びカ
セット突然変異誘発は、比較的低い情報内容の微調整の
領域に最も適しており、広く使用されている。一つの明
らかな例外は、エラーを起こしやすいPCR及び選択によ
る多数回の増幅を使用するランダムライブラリーからの
RNAリガーゼリボザイムの選択である。
【0015】自然においては、殆どの生物の進化は自然
の選択及び性的生殖により起こる。性的生殖により、選
択された個体の子孫における遺伝子の混合及び組合せが
確保される。減数分裂の間、両親からの相同な染色体が
互いに整列し、その長さに沿った交差部分を形成し、ラ
ンダムに遺伝物質を交換する。このようなDNAの交換
またはシャッフリングにより生物がより速く進化するこ
とが可能となる。
【0016】組換えにおいては、挿入された配列は相同
な環境において判明している有用性を有することから、
挿入された配列はそれらが新たな配列に挿入された後も
実質的な情報内容を依然として有している可能性が高
い。
【0017】「応用分子進化(AME)」という用語は、進
化の設計アルゴリズムを特異的な有用な目的に応用する
ことを意味する。ポリヌクレオチド、ペプチド及びタン
パク質(ファージ、lacI及びポリソーム)についてAMEの
ための種々のライブラリー形式が報告されているが、こ
れらの形式には、組合せライブラリーを精巧に形成する
ためのランダムな交差による組換えを与えるものはな
い。
【0018】理論的には、100アミノ酸のタンパク質に
は2000の異なる単一の変異体が存在し得る。しかし100
アミノ酸のタンパク質は20100の配列の組合せの可能性
を有し、この数は慣用の方法により探査し尽くすには大
きすぎる。これらの可能性のある組合せの変異の全てを
生成し、スクリーニングすることを可能とするシステム
を開発することは有利であろう。
【0019】当分野のある研究者達はin vivoにおける
部位特異的組換え系を使用して、ファージ系における発
現のために軽鎖抗体遺伝子を重鎖抗体遺伝子と組合せた
ハイブリッドを作製した。しかしこの系は組換えの特異
的な部位に依存しており、従って限定されたものであ
る。オーバーラップ伸長及びPCRによる単鎖抗体(scFv)
における抗体CDR領域の同時の突然変異誘発が報告され
ている。
【0020】別の研究者は、ランダムin vivo組換えを
使用して多数のハイブリッドの大きな集団を生成する方
法を記載している。この方法は、各ライブラリーが異な
る選択マーカーを有する二つの異なるプラスミドのライ
ブラリーの組換えを必要とする。この方法は、存在する
選択マーカーの数に等しい組換えの限られた数に限定さ
れ、同時に選択された配列に結合したマーカー遺伝子の
数が直線的に増加する。
【0021】プラスミド上の二つの相同であるが切断さ
れた昆虫毒素遺伝子の間のin vivo組換えが、ハイブリ
ッド遺伝子の製造方法として報告されている。欠陥ミス
マッチ修復酵素を有する宿主細胞における実質的にミス
マッチのDNA配列のin vivo組換えであって、ハイブ
リッド分子の形成を生じるものが報告されている。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、分子を
組換え及び/又は相同な領域を含む配列の複雑さ及び反
復又は連続的配列の程度を減らす減少的プロセスを仲介
する細胞の自然の性質を利用する。
【0023】本発明は、増強された活性を有する生物学
的に活性なハイブリッドポリペプチドをコードするハイ
ブリッドポリヌクレオチドの生産方法を提供することを
目的とする。これら及び他の目的を達成するには、本発
明の1つの態様に従い、ポリヌクレオチドを、好適な宿
主細胞に導入し、ハイブリッドポリヌクレオチドが製造
される条件下で宿主細胞を増殖させる方法が提供され
る。
【0024】本発明のもう1つの態様では、本発明は、
ハイブリッドポリヌクレオチドによってコードされる生
物学的に活性なハイブリッドポリペプチドをスクリーニ
ングする方法を提供する。この方法は、増強された生物
学的活性を有する生物学的に活性なハイブリッドポリペ
プチドの同定を可能にする。
【0025】本発明の他の目的、特徴及び利点は、下記
の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしなが
ら、詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい
実施態様を示しているが、本発明の精神及び範囲内での
種々の変更及び修正は当業者にはこの詳細な説明から明
らかであろうから、例証のためだけに与えられていると
理解すべきである。
【0026】
【発明の実施の形態】本明細書中に記載の発明は、DN
A、RNA又はタンパク質完全組換え(proteins thorough
recombination)などの、高度に複雑な線状配列を指定
分子進化(directed molecular evolution)させる、減
少的再組み合わせ、組換え及び選択の反復サイクルの使
用に関する。
【0027】分子のin vivoシャッフリングは、多量体
(multimers)を組み換える細胞の自然の性質を利用し
て行うことができる。in vivo組換えは、分子の多様性
への主要な自然の経路を提供してきたが、遺伝子的組換
えは、1)相同性の認識;2)組換えキアズマ(chiasma)
の製造を導く鎖開裂、鎖侵入、及び代謝ステップ;及び
最後に、3)キアズマの個々の組換え分子への分解(reso
lution)を含む、依然として比較的複雑なプロセスであ
る。キアズマの形成は、相同な配列の認識を必要とす
る。
【0028】好ましい実施態様では、本発明は、少なく
とも第1ポリヌクレオチド及び第2ポリヌクレオチド由
来のハイブリッドポリヌクレオチドの製造方法に関す
る。本発明は、部分的に配列相同な少なくとも1つの領
域を共有する、少なくとも第1ポリヌクレオチド及び第
2ポリヌクレオチドを、好適な宿主細胞中に導入するこ
とによってハイブリッドポリヌクレオチドを製造するた
めに使用できる。部分的に配列相同な領域は、ハイブリ
ッドポリヌクレオチドを製造する配列再編成をもたらす
プロセスを促進する。本明細書中で用いる、語句「ハイ
ブリッドポリヌクレオチド」は、本発明の方法から生
じ、少なくとも2つのオリジナルポリヌクレオチド配列
由来の配列を含む任意のヌクレオチド配列である。その
ようなハイブリッドポリヌクレオチドは、DNA分子間の
配列組込みを促進する分子間組換えイベントから生じ得
る。さらに、そのようなハイブリッドポリヌクレオチド
は、反復配列を利用してDNA分子内のヌクレオチド配列
を改変する分子内減少的再組み合わせプロセスから生じ
得る。本発明は、生物学的に活性なハイブリッドポリペ
プチドをコードし得るハイブリッドポリヌクレオチドを
生産する手段を提供する。1つの態様では、オリジナル
ポリヌクレオチドは、生物学的に活性なポリペプチドを
コードする。本発明の方法は、オリジナルポリヌクレオ
チドの配列を組込み、得られたハイブリッドポリヌクレ
オチドが、オリジナルの生物学的に活性なポリペプチド
から誘導される活性を示すポリペプチドをコードする、
細胞プロセスを利用して新規なハイブリッドポリペプチ
ドを製造する。例えば、オリジナルポリヌクレオチド
は、異なる微生物由来の特定の酵素をコードできる。1
つの生物由来の第1ポリヌクレオチドによってコードさ
れる酵素は、例えば、特定の環境条件下、例えば、高塩
度で有効に機能し得る。別の生物由来の第2ポリヌクレ
オチドによってコードされる酵素は、極端に高い温度な
どの、別の環境条件下で有効に機能し得る。第1及び第
2オリジナルポリヌクレオチド由来の配列を含むハイブ
リッドポリヌクレオチドは、オリジナルポリヌクレオチ
ドによってコードされる両者の酵素の特徴を示す酵素を
コードし得る。すなわち、ハイブリッドポリヌクレオチ
ドによってコードされる酵素は、第1及び第2ポリヌク
レオチドによってコードされる酵素のそれぞれによって
共有される環境条件下、例えば、高塩度及び極端な温度
で有効に機能し得る。
【0029】本発明のオリジナルポリヌクレオチドによ
ってコードされる酵素類は、これらに限定されないが、
酸化還元酵素類、転移酵素類、加水分解酵素類、リアー
ゼ類、イソメラーゼ類及びリガーゼ類を含む。本発明の
方法から生じるハイブリッドポリペプチドは、オリジナ
ル酵素では現れない、特殊化された酵素活性を示し得
る。例えば、加水分解酵素活性をコードするポリヌクレ
オチドの組換え及び/又は減少的再組み合わせの後、得
られたハイブリッドポリヌクレオチドによってコードさ
れるハイブリッドポリペプチドを、オリジナル酵素のそ
れぞれから得られる特殊化された加水分解酵素活性、す
なわち、その加水分解酵素が作用する結合のタイプ及び
加水分解酵素が機能する温度に対してスクリーニングで
きる。よって、例えば、その加水分解酵素をスクリーニ
ングすることにより、ハイブリッド加水分解酵素を、
(a)アミド(ペプチド結合)、すなわち、プロテアー
ゼ;(b)エステル結合、すなわち、エステラーゼ及びリ
パーゼ;(c)アセタール、すなわち、グリコシダーゼ及
び、例えば、そのハイブリッドポリペプチドが機能する
温度、pH又は塩濃度のような、オリジナル加水分解酵素
から区別するそれらの化学的機能性を確かめることがで
きる。
【0030】オリジナルポリヌクレオチドの供給源は、
個々の生物(「分離株(isolates)」)、規定培地中で
増殖された生物の収集物(「濃縮培養物」)、又は、最
も好ましくは、未培養(uncultivated)生物(「環境サ
ンプル」)から単離することができる。環境サンプル由
来の新規な生物活性をコードするポリヌクレオチドを誘
導するための培地非依存的アプローチは未開発の生物多
様性の供給源へのアクセスを可能にすることから最も好
ましい。
【0031】「環境ライブラリー」は、環境サンプルか
ら作製され、好適な原核生物宿主中で増殖され得るクロ
ーニングベクター中に保管された天然生物の集合的ゲノ
ムを提示するものである。クローン化されたDNAは、最
初に環境サンプルから直接抽出されるので、ライブラリ
ーは、純培養で増殖できる原核生物の小さな画分に限定
されない。さらに、これらのサンプル中に存在する環境
DNAの標準化(normalization)により、オリジナルサン
プル中に存在する全ての種由来のDNAをより等しく提示
し得る。これによって、優性な種と比べて提示が数桁低
くあり得るサンプル中の少数の構成員から興味ある遺伝
子を見出す効率が劇的に増加され得る。
【0032】例えば、1以上の未培養微生物から生産さ
れる遺伝子ライブラリーを、目的の活性に対してスクリ
ーニングする。目的の生物活性分子をコードする潜在的
な経路は、遺伝子発現ライブラリーの形で原核細胞中に
最初に捕獲される。目的の活性をコードするポリヌクレ
オチドを、そのようなライブラリーから単離し、宿主細
胞中に導入する。宿主細胞を、新規な又は増強された活
性を有する潜在的に活性な生物分子を作り出す組換え及
び/又は減少的再組み合わせを促進する条件下で増殖さ
せる。
【0033】ポリヌクレオチドが調製され得る微生物に
は、真性細菌(Eubacteria)、始原菌(Archaebacteri
a)などの原核微生物、及び真菌、ある種の藻類、原生
動物などの下等な真核微生物がある。ポリヌクレオチド
は、核酸が生物を培養せずに回収され得るか、又は1以
上の培養生物から回収され得る場合に環境サンプルから
単離できる。ある態様では、そのような微生物は、好温
菌、好冷菌、低温菌、好塩菌、好圧菌、好酸菌などのエ
クストレモフィル(extremophiles)であり得る。エクス
トレモフィル微生物から単離された酵素をコードするポ
リヌクレオチドは、特に好ましい。そのような酵素は、
陸上の温泉及び深海の熱排出口中において100℃を超え
る温度で、北極の水中で0℃未満の温度で、死海の飽和
塩環境中で、石炭堆積物及び地熱の硫黄リッチ泉中で0
付近のpH値で、又は下水汚泥中で11を超えるpH値で機能
し得る。例えば、エクストレモフィル生物からクローン
化され発現された幾つかのエステラーゼ及びリパーゼ
は、広範囲の温度及びpHに渡って高い活性を示す。
【0034】上記のように選択され単離されたポリヌク
レオチドを、好適な宿主細胞中に導入する。好適な宿主
細胞は、組換え及び/又は減少的再組み合わせを促進す
る能力を有する任意の細胞である。選択されたポリヌク
レオチドは、好ましくは、すでに、適当な制御配列を含
むベクター中に存在する。宿主細胞は、哺乳動物細胞な
どの高等真核細胞、又は酵母細胞などの下等原核細胞で
あり得るものであり、好ましくは、宿主細胞は、細菌細
胞などの原核細胞であり得る。構築物の宿主細胞への導
入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−
デキストラン仲介トランスフェクション、又はエレクト
ロポレーション(Davis, L., Dibner, M., Battey, I.,
分子生物学における基本的方法(Basic Methods in Mo
lecularBiology), (1986))によって行うことができ
る。
【0035】適当な宿主の代表例としては、次のものが
挙げられる:大腸菌(E.coli)、ストレプトマイセス(Str
eptomyces)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonel
la typhimurium)などの細菌細胞;酵母などの真菌細
胞;ショウジョウバエ(Drosophila)S2、スポドプテラ
(Spodoptera)Sf9などの昆虫細胞;CHO、COS、ボーズ
(Bowes)黒色腫などの動物細胞;アデノウイルス;及
び植物細胞。当業者であれば、本明細書中の教示から適
当な宿主の選択ができるであろう。
【0036】特に、組換えタンパク質を発現するために
採用できる種々の哺乳動物細胞培養系に関しては、哺乳
動物発現系の例には、Gluzman, Cell, 23:175 (1981)に
記載のサル腎繊維芽細胞のCOS-7系、及び適合性ベクタ
ーを発現する能力を有する他の細胞系、例えば、C127、
3T3、CHO、HeLa及びBHK細胞系がある。哺乳動物発現ベ
クターは、複製起点、好適なプロモーター及びエンハン
サーを含み、そして任意の必要なリボソーム結合部位、
ポリアデニル化部位、スプライスドナー部位、スプライ
スアクセプター部位、転写終結配列、及び5'隣接非転写
配列をも含む。SV40スプライスから誘導されたDNA配
列、及びポリアデニル化部位は、必要な非転写遺伝子エ
レメントを提供するために使用され得る。
【0037】目的のポリヌクレオチドを含む宿主細胞
は、プロモーターを活性化し、形質転換体を選択し又は
遺伝子を増幅するのに適当なように修飾された従来の栄
養培地中で培養できる。温度、pHなどの培養条件は、発
現のために選択された宿主細胞によって前もって使用さ
れたものであり、当業者には明らかであろう。次いで、
指定の酵素活性を有すると同定されたクローンは、配列
決定され、増強された活性を有する酵素をコードするポ
リヌクレオチド配列を同定できる。
【0038】もう1つの態様では、本発明の方法は、1
以上のオペロン若しくは遺伝子クラスター又はその部分
由来の生化学的経路をコードする新規なポリヌクレオチ
ドを生産するのに使用できることを想定している。例え
ば、細菌及び多くの真核生物は、その生成物が関連プロ
セスに含まれる、遺伝子を調節するための共同作用機構
を有する。その遺伝子は、単一の染色体上で、「遺伝子
クラスター」と呼ばれる構造中で、塊になっており、ク
ラスター全体の転写を開始する単一のプロモーターを含
む単一の調節配列の制御下で一緒に転写される。このよ
うに、遺伝子クラスターは、通常それらの機能に関し
て、同一であるか又は関連する隣接する遺伝子の一群で
ある。遺伝子クラスターによってコードされる生化学経
路の例は、ポリケタイド類(polyketides)である。ポ
リケタイド類は、抗生物質(テトラサイクリン類及びエ
リスロマイシンなど)、及び抗癌剤(ダウノマイシン
(daunomycin))、免疫抑制剤(FK506及びラパマイシ
ン(rapamycin))、及び獣医産物(veterinary produc
ts)(モネンシン(monensin))を含む、生物活性の極
めて豊富な供給源となる分子である。(ポリケタイドシ
ンターゼによって製造される)多くのポリケタイド類
は、治療薬として価値がある。ポリケタイドシンターゼ
は、長さ、機能性及び環化パターンの異なる非常に多様
な炭素鎖の生合成を触媒する多機能性酵素である。ポリ
ケタイドシンターゼ遺伝子は、遺伝子クラスターに分類
され、ポリケタイドシンターゼの(タイプIと指定され
た)少なくとも1つのタイプは、遺伝子操作及びこれら
の遺伝子/タンパク質のin vitro研究を複雑にする大き
なサイズの遺伝子及び酵素を有する。
【0039】ポリケタイド、又はその断片のライブラリ
ー由来の所望の構成要素、及び研究のための新規なポリ
ケタイドの生産のためのポリケタイド生合成遺伝子を選
択し組み合わせる能力は魅力的である(appealing)。
本発明の方法は、分子内組換えによって新規なポリケタ
イドシンターゼの製造を促進することを可能にする。
【0040】好ましくは、遺伝子クラスターDNAは、異
なる生物から単離でき、特に連結された遺伝子クラスタ
ー由来の検出可能なタンパク質又はタンパク質関連整列
(array)活性の製造を制御し調節できる発現調節配列
を含むベクター中に連結できる。外因性DNA導入に特別
に大きなキャパシティーを有するベクターの使用は、そ
のような遺伝子クラスターによる使用に特に適当であ
り、大腸菌のf因子(又は稔性因子)を含むことが本明
細書中の実施例によって記載されている。この大腸菌の
f因子は、コンジュゲーション(conjugation)の間のそ
れ自身の高頻度の転移に影響を及ぼし、混合微生物サン
プル由来の遺伝子クラスターなどの、大きなDNA断片を
達成し安定に増殖させるのに理想的なプラスミドであ
る。一旦適当なベクター中に連結されれば、異なるポリ
ケタイドシンターゼ遺伝子クラスターを含む2以上のベ
クターは、好適な宿主細胞中に導入できる。遺伝子クラ
スターによって共有される部分的に配列相同な領域は、
ハイブリッド遺伝子クラスターを与える配列再編成をも
たらすプロセスを促進するだろう。次いで、新規なハイ
ブリッド遺伝子クラスターは、オリジナル遺伝子クラス
ターには見い出されない増強された活性でスクリーニン
グできる。
【0041】従って、好ましい実施態様では、本発明
は、生物学的に活性なハイブリッドポリペプチドを製造
し、
【0042】少なくとも、機能し得る連結物中の第1ポ
リヌクレオチド及び機能し得る連結物中の第2のポリヌ
クレオチド(該少なくとも第1ポリヌクレオチド及び第
2ポリヌクレオチドは、部分的に配列相同な少なくとも
1つの領域を共有する)を、好適な宿主細胞中に導入
し;
【0043】該宿主細胞を、作動可能連結中にハイブリ
ッドポリヌクレオチドを与える配列再編成を促進する条
件下で増殖させ;
【0044】該ハイブリッドポリヌクレオチドによって
コードされるハイブリッドポリペプチドを発現させ;
【0045】増強された生物学的活性の同定を促進する
条件下に該ハイブリッドポリペプチドをスクリーニング
し;そして
【0046】該ハイブリッドポリペプチドをコードする
該ポリヌクレオチド単離することによるそのようなポリ
ペプチドの増強された活性をスクリーニングする方法に
関する。種々の酵素活性のスクリーニング方法は、当業
者に公知であり、本明細書中で検討されている。そのよ
うな方法は、本発明のポリペプチド及びポリヌクレオチ
ドを単離するときに使用できる。
【0047】語句「単離された」は、物質がその元の環
境(例えば、それが自然に存在するならば、自然の環
境)から除去されることを意味する。例えば、生きてい
る動物に存在する天然に存在するポリヌクレオチド又は
ポリペプチドは、単離されていないが、自然系(natura
l system)に共存する物質の幾らか又は全てから分離さ
れた同じポリヌクレオチド又はポリペプチドは、単離さ
れている。
【0048】本明細書中で用いる、語句「機能し得るよ
うに連結された」は、機能性関係にあるポリヌクレオチ
ド要素の連鎖をいう。核酸は、もう1つの核酸配列と機
能性関係に置かれているとき、「機能し得るように連結
されて」いる。例えば、プロモーター又はエンハンサー
は、コード配列の転写に影響を及ぼすならば、そのコー
ド配列に機能し得るように連結されている。「機能し得
るように連結された」は、連結されているDNA配列が典
型的に隣接していること、及び隣接しており、リーディ
ングフレーム中の2つのタンパク質コード領域を結合す
るのに必要な場合を意味する。
【0049】使用できる発現ベクターの代表例として
は、ウイルス粒子、バキュロウイルス、ファージ、プラ
スミド、ファージミド、コスミド、フォスミド、細菌性
人工染色体、ウイルスDNA(例えば、ワクシニア、アデ
ノウイルス、ファールポックス(foul pox)ウイルス、
仮性狂犬病ウイルス及びSV40の誘導体)、P1系(P1-bas
ed)人工染色体、酵母プラスミド、酵母人工染色体、及
び目的の特定宿主に特異的なその他のベクター(バシラ
ス、アスペルギルス及び酵母など)が挙げられる。この
ように、例えば、DNAは、ポリペプチドを発現する多様
な発現ベクターのいずれか1つに含まれ得る。そのよう
なベクターは、染色体、非染色体及び合成DNA配列を含
む。多数の好適なベクターは、当業者に公知であり、商
業的に入手可能である。下記のベクターは、例として提
供される;細菌性:pQEベクター(Qiagen社製)、pBlue
scriptプラスミド、pNHベクター、(λ−ZAPベクター
(Stratagene社製));ptrc99a、pLL223-3、pDR540、p
RIT2T(Pharmacia社製);真核生物性:pXT1、pSG5(St
ratagene社製)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVLSV40(Pharm
acia社製)。しかしながら、その他のプラスミド又はそ
の他のベクターは、それらが複製可能であり、宿主中で
生存できる限り使用できる。複製数の低い又は高いベク
ターが、本発明によって利用できる。
【0050】本発明で使用するためのベクターの好まし
いタイプは、f因子起源複製体を含む。大腸菌中のf因子
(又は稔性因子)は、コンジュゲーションの間のそれ自
身の高頻度転移及び細菌性染色体それ自身の低頻度転移
をもたらすプラスミドである。特に好ましい実施態様
は、「フォスミド」と呼ばれるクローニングベクター又
は細菌性人工染色体(BAC)ベクターを使用する。これ
らは、ゲノムDNAの大きなセグメントを安定に組み入れ
ることができる大腸菌f因子から誘導される。混合され
た未培養環境サンプル由来のDNAが組み入れられたと
き、これは、大きなゲノム断片を安定な「環境DNAライ
ブラリー」の形で得ることを可能にする。
【0051】本発明で使用するベクターのもう1つの好
ましいタイプは、コスミドベクターである。コスミドベ
クターは、本来、ゲノムDNAの大きなセグメントをクロ
ーン化し、増殖させるために設計された。コスミドベク
ター中へのクローニングは、Sambrookら, 分子クローニ
ングA実験室マニュアル(Molecular Cloning A Laborat
ory Manual),第2版, Cold Spring Harbor Laboratory
Press, 1989中に詳細に記載されている。
【0052】発現ベクター中のDNA配列は、適当な発現
制御配列(プロモーター)に機能し得るように連結して
おり、RNA合成を指令する。特に有名な細菌性プロモー
ターは、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λPR、PL及びtrpを
含む。真核プロモーターは、CMV前初期、HSVチミジンキ
ナーゼ、初期及び後期SV40、レトロウイルス由来のLTR
s、及びマウスメタロチオネイン−I(metallochionein-
I)を含む。適当なベクター及びプロモーターの選択
は、十分当業者の水準内である(well within theleve
l)。発現ベクターはまた、翻訳開始のためのリボソー
ム結合部位及び転写ターミネーターをも含む。ベクター
はまた、発現を増幅するための適当な配列をも含むこと
ができる。プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニ
コールトランスフェラーゼ)ベクター又は選択マーカー
を有する他のベクターを使用して、任意の所望の遺伝子
から選択できる。
【0053】さらに、発現ベクターは、好ましくは、形
質転換宿主細胞の選択のための表現型特性を提供する、
真核細胞培養に対してはジヒドロフォレートレダクター
ゼ又はネオマイシン耐性など、又は大腸菌中では、テト
ラサイクリン又はアンピシリン耐性などの、1以上の選
択マーカー遺伝子を含む。
【0054】一般に、組換え発現ベクターは、複製起点
及び宿主細胞の形質転換を許す選択マーカー、例えば、
大腸菌のアンピシリン耐性遺伝子及びエス・セレビシア
(S.cerevisiae)TRP1遺伝子、並びに下流の構造配列の
転写を指令する高度に発現された遺伝子から誘導された
プロモーターを含むだろう。そのようなプロモーター
は、中でも、3−ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)、
α因子、酸性ホスファターゼ、又は熱ショックタンパク
質などの解糖系酵素をコードするオペロンから誘導され
得る。異種構造配列は、翻訳開始及び停止配列、好まし
くは、翻訳されたタンパク質の細胞周辺腔又は細胞外液
培地中への分泌を指令し得るリーダー配列を有する適当
な相(phase)で組み立てられる。
【0055】クローニング戦略は、誘導されたベクター
及び内生のプロモーターの両者によって発現を可能に
し;ベクター助成(promotion)は、その内因性プロモ
ーターが大腸菌中で機能しない、遺伝子の発現にとって
重要となり得る。
【0056】微生物から単離又は誘導されたDNAは、好
ましくは、選択されたDNAのプロービングの前にベクタ
ー又はプラスミド中に挿入され得る。そのようなベクタ
ー又はプラスミドは、好ましくは、プロモーター、エン
ハンサーなどを含む発現調節配列を含むものである。そ
のようなポリヌクレオチドは、ベクター及び/又は組成
物の一部であることができるし、そのようなベクター又
は組成物がその自然環境の一部ではなく、さらに単離さ
れていてもよい。特に好ましいファージ又はプラスミド
及びそれらへの導入及びパッケージングの方法は、本明
細書中で述べたプロトコールに詳細に記載されている。
【0057】クローニングベクターの選択は、採用する
アプローチに依存し、例えば、ベクターは、配列の複合
的な(multiply)反復複写、又はうまく形質転換され、
宿主細胞中で選択できる複合的な配列に対する適切なキ
ャパシティーを有する任意のクローニングベクターであ
り得る。そのようなベクターの1つの例は、「ポリコス
ベクター類:線維状ファージをパッケージングするシス
テム及び抽出物をパッケージングするλファージを用い
るファージミドベクター類(Polycos vectors:a system
for packaging filamentous phage and phagemid vect
ors using lambda phage packaging extracts)」, Alt
ing-Mecs MA, Short JM, Gene, 1993年12月27日, 137:
1, 93-100中に記載されている。増殖/維持は、クロー
ニングベクターが有する抗生物質耐性によってなされ得
る。増殖期間後、自然に短縮化された分子は、ゲル又は
カラムによるサイズ分画によって回収され、同定される
か、又は直接増幅される。利用されたクローニングベク
ターは、冗長な構築物の挿入によって中断される選択遺
伝子を含むことができる。減少的再組み合わせが進むに
つれて、反復単位の数は減少し、中断された遺伝子は、
再度発現され、こうして、加工された構築物の選択に用
いることができる。ベクターは、望ましい生物学的性質
を有する発現生成物を選択させる発現/選択ベクターで
あり得る。挿入物は、機能性プロモーターの下流に位置
することができ、望ましい性質は適当な手段によってス
クリーニングできる。
【0058】in vivo再組み合わせは、一般に「RecA依
存」現象と考えられている細菌中での「組換え」と集合
的に呼ばれる「分子間」プロセスに焦点が合わされてい
る。本発明は、配列を組換え、再組み合わせするための
宿主細胞の組換えプロセス、又は欠失による細胞中の擬
反復(quasi-repeated)配列の複雑性を減らす減少的プ
ロセスを仲介する細胞の能力に基づく。この「減少的再
組み合わせ」のプロセスは、「分子間」のRecA非依存プ
ロセスによって起こる。
【0059】従って、本発明のもう1つの態様では、新
規なポリヌクレオチドは、減少的再組み合わせのプロセ
スによって生産され得る。この方法は、連続した配列
(配列をコードするオリジナル)を含む構築物の作成、
それらの適当なベクター中への挿入、及びそれらの適当
な宿主細胞中への次の導入を含む。個々の分子同一性
(identities)の再組み合わせは、相同性を有する領域
を含む構築物中の連続配列の間、又は擬反復配列単位の
間の組換え的プロセスによって起こる。再組み合わせプ
ロセスは、反復配列の複雑性及び程度を組換え及び/又
は減少させ、新規な分子種の製造をもたらす。組換え率
を増大させるために種々の処理が適用できる。これら
は、紫外光による処理、又はDNA損傷薬品、及び/又は
増大したレベルの「遺伝子不安定性」を示す宿主細胞株
の使用を含む。すなわち、再組み合わせプロセスは、同
種組換え又はそれら自身の進化を指令する擬反復配列の
自然の性質を含むことができる。
【0060】反復又は「擬反復」配列は、遺伝子不安定
性に影響を及ぼす。本発明において、「擬反復」は、そ
れらのオリジナル単位構造に制限されない反復である。
擬反復単位は、構築物中のずらりと並んだ配列(an arr
ay of sequences);類似配列の連続単位として存在し
得る。一旦連結されれば、連続した配列の間の接合部
は、必然的に見えなくなり、得られる構築物の擬反復的
性質は、今や分子レベルで継続する。細胞が得られる構
築物の複雑性を減らすことを実行する欠失プロセスは、
擬反復配列の間で働く。擬反復単位は、減少(slippag
e)イベントが起こり得る鋳型の事実上制限のないレパ
ートリー(repertoire)を提供する。擬反復物を含む構
築物は、このように、欠失(及び潜在的な挿入)イベン
トが、擬反復単位内のどこかで実質的に起こり得るとい
う十分な分子弾性を効率的に提供する。
【0061】擬反復配列が全て同じ配向、例えば、ヘッ
ド−トゥ−テイル(head-to-tail)又は反対に連結され
ている場合、細胞は、個々の単位を識別できない。その
結果として、減少的プロセスは、配列全体に渡って起き
得る。これに対し、例えば、単位がヘッド−トゥ−テイ
ルよりもむしろヘッド−トゥ−ヘッドである場合、この
逆位(inversion)は、隣接した単位の終点を線引き
し、欠失形成が、不連続単位の喪失に有利に働く(favo
r)だろう。すなわち、本方法では、配列が、同じ配向
にあるのが好ましい。擬反復配列のランダム配向は、再
組み合わせ効率の損失をもたらす一方、同じ配向の配列
は最も高い効率を提供するであろう。しかしながら、同
じ配向の隣接する配列がより少ないと、効率は低下する
が、それでも新規な分子の効率的な回収のための十分な
弾力性を提供することができる。構築物は、より高い効
率を可能にする同じ配向の擬反復配列によって作製され
得る。
【0062】配列は、下記の方法を含む多様な方法のい
ずれかを使用してヘッド−トゥ−テイル配向で組み立て
ることができる:
【0063】a)一本鎖を作る場合に、配向を与えるだろ
うポリAヘッド及びポリTテイルを含むプライマーを利用
することができる。これは、プライマーの最初の数個の
塩基を、RNAから作らせ、その後RNAseHを容易に除去さ
せることによって達成される。
【0064】b)ユニークな制限開裂部位を含むプライマ
ーを利用できる。複合部位、一組のユニーク配列、並び
に反復合成及び連結ステップが必要であろう。
【0065】c)プライマーの内部の数個の塩基をチオー
ル化し、エクソヌクレアーゼを適当に断尾された分子を
製造するために使用できるだろう。
【0066】再組み合わせされた配列の回収は、減少し
たRIを有するクローニングベクターの同定に基づく。次
いで、再組み合わせされたコード配列は、増幅によって
回収できる。生成物は、再クローニングされ、発現され
る。減少したRIを有するクローニングベクターの回収
は、下記によって行うことができる:
【0067】1)構築物が複雑性を減少されたときにのみ
安定に維持されるベクターの使用。
【0068】2)物理的工程によって短縮化されたベクタ
ーの物理的回収。この場合、クローニングベクターは、
標準プラスミド単離工程及び標準工程を利用したアガロ
ースゲル、又はカラムによる低分子量カットオフのサイ
ズ分画のいずれかを用いて回収されるだろう。
【0069】3)挿入物サイズが減少したとき選択され得
る中断された遺伝子を含むベクターの回収。
【0070】4)発現ベクター及び適当な選択による直接
選択技術の使用。
【0071】関連生物由来のコード化配列(例えば、遺
伝子)は、高い程度の相同性を示し、極めて多様なタン
パク質生成物をコードできる。これらの配列のタイプ
は、本発明で擬反復物として特に有用である。しかしな
がら、下記の図解された例は、ほぼ同一のオリジナルコ
ード化配列(擬反復物)の再組み合わせを示している
が、このプロセスは、そのようなほぼ同一の反復物に限
定されない。
【0072】下記の例は、本発明の方法を明示してい
る。3つのユニーク種から誘導されたコード化核酸配列
(擬反復物)が描かれている。各配列は、異なるセット
の特性を有するタンパク質をコードする。配列のそれぞ
れは、「A」、「B」及び「C」で指定された配列中のユ
ニークな位置での単一又は2、3の塩基対によって異なっ
ている。擬反復配列は、別々に又は集合的に増幅され、
ランダムアッセンブリ中に連結されて、全ての可能な順
列及び組み合わせが連結分子の集団中で入手できる。擬
反復単位の数は、アッセンブリ条件によって制御でき
る。構築物中の擬反復単位の平均数は、繰り返し指数
(repetitive index)(RI)として定義される。図2
は、組み立てらた構築物の例を描いている。
【0073】下記の図表は、コード化配列(擬反復物)
のサンプルセットを示す。この図表では、配列は3つの
異なる種として示されており、それぞれは「A」、「B」
及び「C」と名付けられたユニーク配列の相違点(突然
変異又は変種)を有する。
【表1】
【0074】下記の図表は、前記図表で示した3つのユ
ニーク配列からなるランダム組み合わせを含む組み立て
られた構築物の例である。構築物の長さ及びコード化単
位の数は、アッセンブリの間に制御され、個々の実験的
な必要性に合わせることができる。
【表2】
【0075】一旦形成されれば、構築物は、公表されて
いるプロトコールに従ってアガロースゲルでのサイズ分
画を行っても、行わなくてもよく、クローニングベクタ
ー中に挿入され、適当な宿主細胞にトランスフェクショ
ンされ得る。次いで、その細胞は増殖され、「減少的再
組み合わせ」が達成される。減少的再組み合わせプロセ
スの率は、所望ならば、DNA損傷の導入によって促進さ
れ得る。RIの減少が、「分子内」機構による反復配列の
間の欠失形成によって仲介されるか、又は「分子間」機
構による組換え類似イベントによって仲介されるかは、
重要ではない。最終結果は、図7に描かれているように
全ての可能な組み合わせへの、分子の再組み合わせであ
る。
【0076】任意に、前記方法は、シャッフルされたプ
ールのライブラリーのメンバーをスクリーニングし、所
定の巨大分子、例えばタンパク質受容体、ペプチドオリ
ゴサッカライド、ヴィロン、またはその他の所定の化合
物もしくは構造に結合するか、あるいはそれと相互作用
する(例えば、触媒抗体等)能力を有するシャッフルされ
たライブラリーの個々のメンバーを同定する工程を含
む。
【0077】そのようなライブラリーから同定される提
示されたポリペプチド、抗体、ペプチド模倣抗体、及び
可変領域配列は、治療用、診断用、研究用及び関連する
目的(例えば、触媒、水溶液の増加した浸透圧を得るた
めの溶質等)に使用することができ、及び/またはシャ
ッフリング及び/またはアフィニティ選択の一以上の追
加的なサイクルに供することができる。前記方法は、表
現型の特徴についての選択の工程が所定の分子に対する
結合アフィニティ以外のもの(例えば、触媒活性、安定
性酸化抵抗性、薬剤耐性、または宿主細胞に与えられた
検出可能な表現型等)とし得るように改変することがで
きる。
【0078】本発明は、アフィニティ相互作用スクリー
ニングに適する提示抗体のライブラリーを生成する方法
を提供する。該方法は、(1) 提示抗体及び該提示抗体を
コードする関連するポリヌクレオチドを含む第一の複数
の選択されたライブラリーのメンバーを得、前記提示抗
体をコードする関連するポリヌクレオチドを得、前記関
連するポリヌクレオチドまたはそのコピーを得、前記関
連するポリヌクレオチドが実質的に同一の可変領域フレ
ームワーク配列の領域を含むものとし、(2) 前記ポリヌ
クレオチドを好適な宿主細胞に導入し、組換えおよび減
少的再組み合わせが促進され、シャッフルされたポリヌ
クレオチドを得ることを含む。シャッフルされたプール
に含まれるCDRの組合せは最初の複数の選択されたライ
ブラリーのメンバーには存在せず、前記シャッフルされ
たプールは、CDRの順列を含み、アフィニティ相互作用
スクリーニングに適した提示抗体のライブラリーを構成
する。任意に、前記シャッフルされたプールをアフィニ
ティスクリーニングに供し、所定のエピトープ(抗原)に
結合するシャッフルされたライブラリーのメンバーを選
択し、それにより複数の選択されたシャッフルされたラ
イブラリーのメンバーを選択する。さらに、選択的にシ
ャッフルされたライブラリーの複数のメンバーを、1〜
約1000サイクルまで、または所望のように、所望の結合
アフィニティを有するライブラリーのメンバーが得られ
るまで相互作用的にシャッフル及びスクリーニングする
ことができる。
【0079】本発明のもう1つの態様では、組換え若し
くは再組み合わせの前又は間に、本発明の方法によって
生産されたポリヌクレオチドが、オリジナルポリヌクレ
オチド中への突然変異の導入を促進する試薬又はプロセ
スに付すことができることを想定している。そのような
突然変異の導入は、得られるハイブリッドポリヌクレオ
チド及びそれからコードされるポリペプチドの多様性を
増加するだろう。突然変異誘発を促進する試薬又はプロ
セスは、これらに限定されないが、(+)-CC-1065、若し
くは(+)-CC-1065-(N3-アデニン)などの合成アナログ(B
iochem. 31, 2822-2829 (1992)を参照されたい);DNA
合成を阻害できるN−アセチル化若しくは脱アセチル化
4'−フルオロ−4−アミノビフェニル付加物(例えば、
発癌(Carcinogenesis), 13巻, No. 5, 751-758 (199
2)を参照されたい);DNA合成を阻害できるN−アセチル
化若しくは脱アセチル化4−アミノビフェニル付加物
(同書,751-758を参照されたい);3価クロム、3価クロ
ム塩、7−ブロモメチル−ベンズ[a]アントラセン(「BM
A」)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェイト
(「トリス−BP」)、1,2−ジブロモ−3−クロロプロパ
ン(「DBCP」)、2−ブロモアクロレイン(2BA)、ベン
ゾ[a]ピレン−7,8−ジヒドロジオール−9,10−エポキシ
ド(「BPDE」)、白金(II)ハロゲン塩、N−ヒドロキシ
−2−アミノ−3−メチルイミダゾ[4,5−f]−キノリン
(「N−ヒドロキシ−IQ」)、及びN−ヒドロキシ−2−
アミノ−1−メチル−6−フェニルイミダゾ[4,5−f]−ピ
リジン(「N−ヒドロキシ−PhIP」)などのDNA複製を阻
害できるポリ環状芳香族炭化水素(「PAH」)DNA付加物
を含む。特に好ましい「PCR増幅を遅らせる又は停止す
る手段」は、UV光(+)-CC-1065及び(+)-CC-1065-(N3-ア
デニン)からなる。特に、ポリヌクレオチド又はポリヌ
クレオチドプール由来のDNA付加物を含むDNA付加物又は
ポリヌクレオチド、そしてそれは、さらなる加工の前に
ポリヌクレオチドを含む溶液を加熱することを含むプロ
セスによって放出又は除去される手段が含まれる。
【0080】本発明の別の態様は、生物学的活性を有す
る組換えタンパク質の製造方法に関するものであり、該
方法は、ハイブリッドもしくは再組み合わせのポリヌク
レオチドの生産を与える本発明の条件下で、野性型タン
パク質をコードする二本鎖鋳型ポリヌクレオチドを含む
サンプルを処理するものである。
【0081】本発明はまた、ウイルス遺伝子の集団(例
えば、カプシドタンパク質、スパイク糖タンパク質、ポ
リメラーゼ、およびプロテアーゼ等)、またはウイルス
ゲノム(例えば、パラミクソウイルス科、オルソミクソ
ウイルス科、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、レオ
ウイルス、ライノウイルス等)をシャッフルするための
ポリヌクレオチドシャッフリングの使用を提供する。あ
る実施態様においては、本発明は、免疫原性のウイルス
タンパク質の全体または部分をコードする配列をシャッ
フルして、エピトープ及び組換えにより生成された新た
なエピトープの新たな組合せを生成する方法を提供する
のものであり、そのようなシャッフルされたウイルスタ
ンパク質は、エピトープ、またはエピトープと組換えに
より生成された新たなエピトープの新たな組合せを含み
得、そのようなシャッフルされたウイルスタンパク質
は、ウイルスの進化(例えば、インフルエンザウイルス
株の組換え)の結果として天然環境中に生じる可能性が
あるエピトープまたはエピトープの組合せを含み得る。
【0082】本発明はまた、遺伝子治療ベクター及び複
製欠陥遺伝子治療構築物、例えば、限定するものではな
いが、DNAに基づいたワクチン接種のためのワクチン
接種ベクター、並びに抗新生物遺伝子治療及びその他の
一般的な治療方法に使用し得るもの等を含むヒト遺伝子
治療に使用し得るものを生成するために、ポリヌクレオ
チド配列をシャッフルするのに適した方法を提供する。
【0083】用語「DNAシャッフリング」は、本明細
書では、実質的に相同であるが、同一ではない配列の間
に起こる組換えを示すのに使用され、ある態様において
は、DNAシャッフリングは非相同組換え、例えばcer/
lox及び/またはflp/frt系等を介する交差を含み得る。
【0084】用語「増幅」は、ポリヌクレオチドのコピ
ー数が増加することをいう。
【0085】用語「同一の」または「同一性」は、二つ
の核酸配列が同じ配列あるいは相補的な配列を有するこ
とを意味する。すなわち、「同一性を有する領域」は、
ポリヌクレオチドの領域もしくは部分あるいはポリヌク
レオチドの全体が別のポリヌクレオチドの部分あるいは
そのポリヌクレオチドに同一であるか、相補的であるこ
とを意味する。
【0086】用語「対応する」は、本明細書において
は、ポリヌクレオチド配列が参照するポリヌクレオチド
配列の全体あるいは部分に相同(すなわち同一であり、
厳密に進化上関連していない)であるか、ポリペプチド
配列が参照ポリペプチド配列に同一であることを意味す
るのに使用する。これに対して、用語「相補的な」は、
本明細書においては、相補的な配列が参照ポリヌクレオ
チド配列の全体あるいは部分に相同であることを意味す
るのに使用される。具体的には、ヌクレオチド配列「TA
TAC」は参照される「TATAC」に一致し、参照配列「GTAT
A」に相補的である。
【0087】本明細書中で用いる、遺伝子不安定性と
は、非常に繰り返しの多い配列が、一般に反復配列の喪
失による配列簡易化を含む減少的イベントのプロセスを
通して失われる自然の傾向をいう。欠失は、ひとつの反
復物のコピー及び反復物の間のすべてのものを喪失する
ことを含む傾向がある。
【0088】本明細書中で用いる、擬反復単位は、再組
み合わせされ、同一でないと定義された反復物をいう。
確かに、この方法は、同一のスタート配列の突然変異誘
発によって製造された事実上同一のコード化単位だけで
なく、ある領域では顕著に異なり得る類似の又は関連の
配列の再組み合わせをも提案する。しかしながら、配列
が、このアプローチによって再組み合わせされる十分な
相同性を含んでいれば、それらを、「擬反復」単位と呼
ぶことができる。
【0089】本明細書中で用いる、減少的再組み合わせ
は、反復配列によって仲介される欠失(及び/又は挿
入)イベントを通して増加する分子の多様性の増加をい
う。
【0090】本明細書中で用いる、繰り返し指数(RI)
は、クローニングベクター中に含まれる擬反復単位のコ
ピーの平均数である。
【0091】語句「関連ポリヌクレオチド」は、ポリヌ
クレオチドの領域(regions)又は範囲(areas)が同一
であり、ポリヌクレオチドの領域又は範囲が異種である
ことを意味する。
【0092】本明細書中で用いる語句「集団」は、ポリ
ヌクレオチド、ポリヌクレオチド若しくはタンパク質の
部分などの構成要素の収集物を意味する。「混合集団」
は、核酸又はタンパク質の同じファミリーに属する(す
なわち、関連の)が、それらの配列において異なり(す
なわち、同一でない)、それ故それらの生物学的活性が
異なる構成要素の収集物を意味する。
【0093】用語「特異的ポリヌクレオチド」は、ある
特定の終点を有しており、特定の核酸配列を有している
ポリヌクレオチドを意味する。一つのポリヌクレオチド
が二つ目のポリヌクレオチドの部分と同一の配列を有す
るが、異なる末端を有している二つのポリヌクレオチド
は、二つの異なる特異的ポリヌクレオチドを構成する。
【0094】以下の用語、「参照配列」、「比較ウィン
ドウ」、「配列同一性」、「配列同一性のパーセンテー
ジ」、及び「実質的な同一性」は、二以上のポリヌクレ
オチドの間の配列の関係を示すのに使用される。「参照
配列」は、配列の比較の基準として使用される配列と定
義され、参照配列は、例えば配列表に示した完全長cD
NAあるいは遺伝子配列のセグメントとしてのより大き
い配列のサブセットであり得、あるいは完全なcDNA
あるいは遺伝子配列を含むことができる。一般には、参
照配列は少なくとも20ヌクレオチドの長さであり、しば
しば少なくとも25ヌクレオチドの長さであり、少なくと
も50ヌクレオチドの長さであることが多い。二つのポリ
ヌクレオチドはそれぞれ、(1) 二つのポリヌクレオチド
間で類似する配列(すなわち完全なポリヌクレオチド配
列の部分)を含み得、(2) さらに二つのポリヌクレオチ
ド間で異なる配列を含み得るので、二つ(あるいはそれ
以上)のポリヌクレオチドの間の比較は、「比較ウィン
ドウ」における二つのポリヌクレオチドの配列を比較
し、配列の類似性の局所的な領域を特定し比較すること
により通常行われる。
【0095】本明細書で使用する「比較ウィンドウ」
は、少なくとも20の連続したヌクレオチド位置の概念的
なセグメントをいい、ポリヌクレオチド配列は少なくと
も20の連続したヌクレオチドの参照配列と比較すること
ができ、比較ウィンドウのポリヌクレオチド配列の部分
は、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して20
パーセント以下の付加あるいは欠失(すなわちギャップ)
を含ませ、二つの配列のアラインメントを最適化するよ
うにしてもよい。比較ウィンドウを整列させる配列の最
適なアラインメントは、Smith及びWaterman (1981) Ad
v. Appl. Math. 2:482の局所相同性アルゴリズム、Need
lemen及びWuncsch, J. Mol. Biol. 48:443(1970)の相同
性アラインメントアルゴリズム、Pearson及びLipman, P
roc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 85:2444 (1988)の類
似性のサーチ方法、これらのアルゴリズムをコンピュー
ター化した手段(Wisconsin Genetics Software Package
Release 7.0, Genetics Computer Group, 575 Science
Dr., Madison, WIのGAP、BESTFIT、FASTA及びTFAST
A)、あるいは観察により行うことができ、種々の方法に
より生成された最良のアラインメント(すなわち比較ウ
ィンドウにおいて最高の相同性のパーセンテージを示す
もの)を選択する。
【0096】用語「配列同一性」は、二つのポリヌクレ
オチド配列が比較ウィンドウにおいて同一(すなわちヌ
クレオチドごとの比較に基づいて)であることを意味す
る。用語「配列同一性のパーセンテージ」は、比較のウ
ィンドウにわたって二つの配列を最適に整列させて比較
し、両方の配列において同一の核酸塩基(例えばA, T,
C, G, UまたはI)が存在する位置の数を求めてマッチし
た位置の数を得、マッチした位置の数を比較のウィンド
ウにおける位置の総数(すなわちウィンドウのサイズ)で
割り、得られた値に100を掛けて配列同一性のパーセン
テージとすることにより計算される。本明細書で使用す
るこの「実質的な同一性」は、少なくとも25〜50ヌクレ
オチドの比較ウィンドウの参照配列と比較して、少なく
とも80パーセントの配列同一性、好ましくは少なくとも
85パーセントの配列同一性、しばしば90〜95パーセント
の配列同一性、最も一般的には少なくとも99パーセント
の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列の特徴を示
すものであり、配列同一性のパーセンテージは、比較の
ウィンドウに対して参照配列の20パーセント以下の欠失
あるいは付加を含み得るポリヌクレオチド配列と参照配
列を比較することにより計算される。
【0097】「保存アミノ酸置換」は、類似した側鎖を
有する残基の互換性をいう。例えば、脂肪族側鎖を有す
るアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイ
シン、及びイソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側
鎖を有するアミノ酸の群は、セリン及びスレオニンであ
り、アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラ
ギン及びグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ
酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプト
ファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リ
シン、アルギニン、及びヒスチジンであり、硫黄含有側
鎖を有するアミノ酸の群は、システイン及びメチオニン
である。好ましい保存アミノ酸置換群は、バリン-ロイ
シン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシ
ン-アルギニン、アラニン-バリン、及びアルパラギン-
グルタミンである。
【0098】用語「相同な」は、一つの一本鎖核酸配列
が相補的な一本鎖核酸配列にハイブリダイズし得ること
を意味する。ハイブリダイゼーションの程度は、配列間
の同一性の大きさ、及び後述するような温度や塩濃度の
ようなハイブリダイゼーション条件等のいくつかの要因
に依る。好ましくは、同一性を有する領域は、約5 bpよ
り大きく、より好ましくは同一性の領域は10 bpよりも
大きいものである。
【0099】用語「異種構造の」は、一つの一本鎖核酸
配列が別の一本鎖核酸配列あるいはその相補物にハイブ
リダイズできないことを意味する。すなわち異種構造の
部分とは、ポリヌクレオチドの領域あるいはポリヌクレ
オチドが、別の核酸あるいはポリヌクレオチドにハイブ
リダイズできない部分あるいは領域をその配列内に有し
ていることを意味する。そのような領域あるいは部分
は、例えば変異の部分である。
【0100】用語「同族の」は、本明細書においては、
種の間で進化上及び機能的に関連している遺伝子配列を
いう。例えば、限定するものではないが、ヒトゲノムに
おいては、ヒトCD4遺伝子はマウス3d4遺伝子に同族の遺
伝子であり、これはこれらの二つの遺伝子の配列及び構
造がそれらが高度に相同であることを示し、両方の遺伝
子がMHCクラスII制限抗原認識によりT細胞活性化のシグ
ナルを発生することにおいて機能するタンパク質をコー
ドすることによるものである。
【0101】用語「野性型」は、ポリヌクレオチドが変
異を含んでいないことを意味する。「野性型」タンパク
質は、そのタンパク質が自然界において見られる活性の
レベルで活性であり、自然界で見られるアミノ酸配列を
含んでいることを意味する。
【0102】用語「変異」は、野性型核酸配列における
変化、あるいはペプチドの配列における変化を意味す
る。そのような変異はトランジションやトランスバージ
ョンのような点突然変異であってもよい。変異は欠失、
挿入あるいは重複であってもよい。
【0103】本明細書で使用するポリペプチドの表記法
においては、標準的な用法及び慣例に従って、左手方向
がアミノ末端方向であり、右手方向がカルボキシ末端方
向である。同様に、特に明記しない限り、一本鎖ポリヌ
クレオチド配列の左側の末端は5'末端であり、二本鎖ポ
リヌクレオチド配列の左側方向は5'方向をいうものであ
る。発生期のRNA転写物の5'から3'への付加の方向を
転写方向といい、RNAと同じ配列を有し、RNA転写
物の5'から5'末端へのものであるDNA鎖上の配列領域
は「上流配列」といい、RNAと同じ配列を有し、コー
ドRNA転写物の3'から3'末端へのものであるDNA鎖
上の配列領域は「下流配列」という。
【0104】本明細書で対象に対して使用される用語
「天然の」は、その対象が自然界において見られるとい
う事実をいう。例えば、天然の起源から単離できる生物
(ウイルスを含む)に存在するものであって実験室で人に
より意図的に修飾されていないポリペプチドあるいはポ
リヌクレオチド配列は天然のものである。一般に、天然
のという用語はその種に典型的なもののような非病理的
(非疾患)個体に存在する対象をいう。
【0105】本明細書でいう「薬剤」は、化学化合物、
化学化合物の混合物、間隔をあけて位置させた化合物の
アレイ(例えばVLSIPSペプチドアレイ、ポリヌクレオチ
ドアレイ、及び/または組合せの小分子アレイ)、生物
高分子、バクテリオファージペプチド提示ライブラリ
ー、バクテリオファージ抗体(例えばscFv)提示ライブラ
リー、ポリソームペプチド提示ライブラリー、あるいは
細菌、植物、真菌、もしくは動物(特に哺乳動物)細胞ま
たは組織等の生物材料から製造された抽出物等を示す。
薬剤は、以下に記載するスクリーニングアッセイに含め
ることによって、抗新生物剤、抗炎症剤、あるいはアポ
トーシス調節剤としての可能性のある活性を評価する。
薬剤は、以下に記載するスクリーニングアッセイに含め
ることにより、特異的タンパク質相互作用阻害剤(すな
わち、二つの所与のポリペプチドの間の結合相互作用を
選択的に阻害するが、細胞の生存可能性を実質的に阻害
しない薬剤)としての可能性のある活性を評価する。
【0106】本明細書で使用する「実質的に純粋な」
は、対象の種が存在する優勢な種であり(すなわち、組
成物中においてモル基準でその他のいずれの個々の高分
子よりも豊富であり)、好ましくは実質的に精製された
分画とは、対象の種が、存在する全ての高分子種の少な
くとも約50パーセント(モル基準で)を構成する組成物で
ある。一般に、実質的に純粋な組成物は組成物中に存在
する全ての高分子の約80〜90パーセントを越える部分を
構成する。最も好ましくは、対象の種が実質的に均質に
なるまで精製されたものであり(同時に存在する種が慣
用の検出法によっては検出できない)、組成物が実質的
に単一の高分子種からなるものである。ここで、溶媒
種、小分子(<500ダルトン)、及び元素イオン種は高分子
種とは考えない。
【0107】本明細書で使用する用語「生理的条件」
は、温度、pH、イオン強度、粘度等をいい、生存可能な
生物に適合し、及び/または生存可能な培養酵母細胞あ
るいは哺乳動物細胞の細胞中に通常存在するような生化
学的パラメーターのようなものである。例えば、通常の
実験室での培養条件において増殖された酵母細胞の細胞
内条件は生理的条件である。in vitro転写混合物に適し
たin vitro反応条件は一般に生理的条件である。一般
に、in vitro生理的条件は、50〜200 mM NaClまたはKC
l、pH 6.5〜8.5、20〜45℃、及び0.001〜10 mM 二価カ
チオン(例えばMg++、Ca++)からなり、好ましくは150 mM
NaClまたはKCl、pH 7.2〜7.6、5 mM 二価カチオンであ
り、しばしば0.01〜1.0パーセントの非特異的タンパク
質(例えばBSA)を含む。非イオン性洗剤(Tween, NP-40,
Triton X-100)もしばしば存在させることができ、通常
約0.001〜2%、典型的には0.05〜0.2% (v/v)で存在させ
る。慣用の方法により実験者が特定の水性条件を選択す
ることができる。一般的な指針としては、以下の緩衝化
水性条件、10〜250 mM NaCl、5〜50 mMトリスHCl、pH 5
〜8で、任意に二価カチオン及び/または金属キレート
化剤及び/または非イオン性洗剤及び/または膜分画及
び/または消泡剤及び/またはシンチレーション物質を
含むものを使用できる。
【0108】本明細書においては、「特異的ハイブリダ
イゼーション」は、第一のポリヌクレオチドと第二のポ
リヌクレオチド(例えば第一のポリヌクレオチドとは異
なるが実質的に同一の配列を有するポリヌクレオチド)
の間のハイブリッドの形成と定義され、実質的に無関係
のポリヌクレオチド配列は混合物中でハイブリッドを形
成しない。
【0109】本明細書で使用する用語「単鎖抗体」は、
ポリペプチド結合した、一般的にスペーサーペプチド
(例えば[Gly-Gly-Gly-Gly-Ser]x)により結合されたVHド
メイン及びVLドメインを含むポリペプチドをいい、アミ
ノ末端及び/またはカルボキシ末端に追加的なアミノ酸
配列を含んでもよい。例えば、単鎖抗体はコードポリヌ
クレオチドに結合するための結合セグメントを含む。例
としては、scFvは単鎖抗体である。単鎖抗体は、一般的
には免疫グロブリンスーパーファミリーの遺伝子により
実質的にコードされ(例えば、The Immunoglobulin Gene
Superfamily, A.F. Williams及びA.N. Barclay, Immun
oglobulin Gene, T. Honjo, F.W. Alt及びTHE. Rabbit
s, eds., (1989) Academic press: San Diego, CA, pp.
361-368参照、これは引用により本明細書の一部とす
る)、最も多くは齧歯動物、非ヒト霊長類、鳥類、ブ
タ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、あるいはヒト重鎖もしくは軽
鎖遺伝子配列によりコードされた、少なくとも10の連続
したアミノ酸のポリペプチドセグメントの一以上からな
るタンパク質である。機能的な単鎖抗体は一般的には免
疫グロブリンスーパーファミリー遺伝子産物の十分な部
分を含み、特異的な標的分子、典型的には受容体または
抗原(エピトープ)に結合する性質を保持するものであ
る。
【0110】本明細書で使用する用語「相補性決定領
域」及び「CDR」は、Kabat及びChothiaにより例示され
たような当分野で認められた用語を示すものであり、CD
Rの定義は超可変領域あるいはハイパー可変ループとし
ても一般に知られている(Chothia及びLeks (1987) J. M
ol. Biol. 196; 901; Clothiaら、(1989) Nature 342;
877; E.A. Kabatら、Sequences of Proteins of Immuno
logical Interest (National Institute of Health, Be
thesda, MD)(1987);及びTramontanoら、(1990) J.Mol.
Biolog. 215; 175)。可変領域ドメインは通常、天然の
免疫グロブリン鎖のアミノ末端の約105〜115アミノ酸
(例えばアミノ酸1〜110)を含むが、いくらか短いか長い
可変ドメインも単鎖抗体を形成するのに適している。
【0111】免疫グロブリン軽鎖または重鎖可変領域
は、CDRとも呼ばれる三つのハイパー可変領域で中断さ
れている「フレームワーク」領域からなる。フレームワ
ーク領域及びCDRの範囲は詳細に定義されている("Seque
nces of Proteins of Immunological Interest," E. Ka
batら、4th Ed., U.S. Department of Health and Huma
n Service, Bethesda MD (1987)参照)。異なる軽鎖ある
いは重鎖のフレームワーク領域の配列は種内で比較的保
存されている。本明細書で使用する「ヒトフレームワー
ク領域」は、天然のヒト免疫グロブリンのフレームワー
ク領域に実質的に同一(約85以上、通常は90〜95以上)の
フレームワーク領域である。構成的軽鎖及び重鎖の組み
合わされたフレームワーク領域である抗体のフレームワ
ーク領域は、CDRの位置を決定し整列させる働きを有す
る。CDRは主として抗原のエピトープへの結合に関与し
ている。
【0112】本明細書で使用する用語「可変セグメン
ト」は、ランダムであるか、偽ランダムであるか、定義
された核配列を含む新生ペプチドの部分をいう。可変セ
グメントは、変異及び非変異残基位置の両方を含み得、
変異残基位置の残基変異の程度は限定され得るが、両者
の選択は実験者の考慮により決定される。通常は、可変
セグメントは約5〜20アミノ酸の長さ(例えば8〜10)であ
るが、可変セグメントはより長くてもよく、例えば抗体
断片、核酸結合タンパク質、受容体タンパク質等の抗体
部分あるいは受容体タンパク質を含み得る。
【0113】本明細書で使用する「ランダムペプチド配
列」は、二以上のアミノ酸モノマーを含み、確率論的あ
るいはランダムな方法により構築されたアミノ酸配列を
いう。ランダムペプチドは、フレームワークあるいは骨
格モチーフを含み得、これは非変異配列を含み得る。
【0114】本明細書で使用する「ランダムペプチドラ
イブラリー」は、ランダムペプチドのセットをコードす
るポリヌクレオチド配列のセット、これらのポリヌクレ
オチド配列によりコードされたランダムペプチドのセッ
ト、並びにこれらのランダムペプチドを含む融合タンパ
ク質をいう。
【0115】本明細書で使用する用語「偽ランダム」
は、可変性が制限された配列のセットをいうものであ
り、例えば残基の可変性の程度が、別の位置ではなく、
偽ランダム位置ではいずれもある程度の残基変化が可能
であるものの制限されているものである。
【0116】本明細書で使用する用語「定義された配列
フレームワーク」は、非ランダムな形式で、一般的には
実験データあるいは構造データに基づいて選択された定
義された配列のセットをいい、例えば定義された配列フ
レームワークは、β-シート構造を形成すると予測され
るアミノ酸配列のセットを含み得、あるいはロイシンジ
ッパーヘプタッドリピートモチーフ、ジンクフィンガー
ドメイン、その他の変化を含み得る。「定義された配列
核」は、可変性の限定された範囲を包含する配列のセッ
トである。(1) 慣用の20のアミノ酸の完全にランダムな
10-マーは(20)10の配列のいずれかのものであり得、(2)
慣用の20のアミノ酸の偽ランダムな10-マーは(20)10の
配列のいずれかのものであり得るが、特定の位置及び/
または全体にわたって特定の残基についてのバイアスを
示すものであり、(3) 定義された配列核は、各残基位置
が許容される20の慣用のアミノ酸(及び/または可能な
非慣用的なアミノ/イミノ酸)のいずれかであることが許
容される場合の配列のサブセットである。定義された配
列核は一般的には、選択されたライブラリーの個々のメ
ンバーの配列のセグメントについて、あるいは全長にわ
たって、変異及び非変異残基位置を含み、及び/または
アミノ酸残基の定義されたサブセットから選択された残
基等を含み得る変異残基位置等を含む。定義された配列
核は、アミノ酸配列あるいはポリヌクレオチド配列のい
ずれかを表し得る。例示であって限定するものではない
が、配列(NNK)10及び(NNM)10(NはA、T、GあるいはCを表
し、KはGまたはTを表し、MはAあるいはCを表す)は定義
された配列核である。
【0117】本明細書で使用する「エピトープ」は、抗
原、あるいは抗体の可変領域結合部分と相互作用する結
合相互作用を形成し得るその他の高分子の部分をいう。
通常はそのような結合相互作用はCDRの1以上のアミノ酸
残基との分子間接触として顕在化する。
【0118】本明細書で使用する「受容体」は、所与の
リガンドにアフィニティを有する分子をいう。受容体は
天然分子、合成分子のいずれでもよい。受容体は、変化
させない状態、あるいはその他の種との凝集物として使
用することができる。受容体は、結合相手に対し、直接
あるいは特異的結合物質を介して共有結合によりあるい
は非共有結合的に結合することができる。受容体の例と
しては、限定するものではないが、モノクローナル抗体
等の抗体、特異的な抗原決定基(例えばウイルス、細
胞、その他の物質)と反応性を有する抗血清、細胞膜受
容体、複合体炭水化物、及び糖タンパク質、酵素、及び
ホルモン受容体が挙げられる。
【0119】本明細書で使用する「リガンド」は、特定
の受容体により認識される、ランダムペプチドあるいは
可変セグメント配列のような分子をいう。当業者に理解
されるように、一つの分子(あるいは高分子複合体)が受
容体とリガンドの両者であり得る。一般には、より小さ
い分子量を有する結合相手がリガンドと呼ばれ、より大
きい分子量を有する結合相手が受容体と呼ばれる。
【0120】本明細書で使用する「リンカー」あるいは
「スペーサー」は、二つの分子、例えばDNA結合タン
パク質とランダムペプチドを結合する分子あるいは分子
の群をいい、二つの分子を好ましい構造に配置する働き
を有し、例えば、DNA結合タンパク質からの立体障害
が最小になるようにランダムペプチドが受容体に結合で
きるようにする。
【0121】方法 核酸シャッフリングは、より短いあるいはより小さいポ
リヌクレオチドのプールのin vitroまたはin vivoでの
相同組換えにより一種以上のポリヌクレオチドを製造す
る方法である。関連する核酸配列あるいはポリヌクレオ
チドの混合物を性的PCRにかけ、ランダムポリヌクレオ
チドを生成し、再構成して組換え変異体核酸分子あるい
はポリヌクレオチドのライブラリーあるいは混合集団を
生成する。
【0122】カセット突然変異誘発とは異なり、シャッ
フリング及びエラーを起こしやすいPCRのみが盲目的に
(プライマー以外の配列情報なしに)配列のプールに変異
を起こすことを可能とする。
【0123】反復する選択のためのエラーを起こしやす
いPCRのみに対する本発明の突然変異誘発性シャッフリ
ングの利点は、抗体作成からの例により最もよく説明で
きる。図1においては、DNAシャッフリングの先行技
術の概略図をエラーを起こしやすいPCR(性的PCRではな
い)と比較して示す。選択されたプール配列の最初のラ
イブラリーは種々の起源の関連配列(すなわち天然のm
RNAからの抗体)からなるものとし得、あるいは単一
の抗体遺伝子の突然変異誘発(シャッフリングを含む)の
任意の形態のものから得ることができる。選択された相
補性決定領域("CDR")の回収物はアフィニティ選択の最
初の回の後に得られる(図1)。図においては、厚いCDRが
抗体分子の抗原に対するアフィニティを増加させる。シ
ャッフリングによりCDR1の全てと、CDE2の全て、CDR3の
全て等との自由な組合せによる結合が可能となる。
【0124】この方法は、逆鎖反応である点でエラーを
起こしやすいPCRと異なっている。エラーを起こしやす
いPCRにおいては、ポリメラーゼ開始部位の数及び分子
の数は指数的に増加する。しかし、ポリメラーゼ開始部
位の配列及び分子の配列は実質的に同じままである。こ
れに対し、核酸再構成あるいはランダムポリヌクレオチ
ドのシャッフリングにおいては開始部位の数及びランダ
ムポリヌクレオチドの数(サイズではなく)は経時的に減
少する。全プラスミドから得られたポリヌクレオチドに
ついては、理論的な終点は単一の大きなコンカテマー分
子である。
【0125】相同の領域で交差が起こるので、組換えは
主として同じ配列ファミリーのメンバーの間で起こる。
これにより甚だしく不適合なCDRの組合せ(例えば同じ抗
原の異なるエピトープに対して指向されたもの)が低下
される。配列の複数のファミリーを同じ反応でシャッフ
リングすることができると考えられる。さらに、シャッ
フリングは相対的な順序を維持し、例えばCDR1はCDR2の
位置においては見られない。
【0126】シャッフラント(shufflant)が最高の(例え
ば最高のアフィニティ)CDRの大きな数を含むことは稀に
しかなく、これらの稀なシャッフラントはその優れたア
フィニティに基づいて選択することができる(図1)。100
の異なる選択された抗体配列のプールからのCDRは、100
6の異なる形態で入れ替えることができる。このような
多数の入替えはDNA配列の単一のライブラリーにおい
て提示することはできない。従って、所望の配列の長さ
及び配列の多様性によりDNAシャッフリング及び選択
の多数のサイクルが必要となり得る。
【0127】これに対し、エラーを起こしやすいPCRは
同じ相対的配列における選択されたCDRの全てを保持し
(図1)、非常に小さい変異体集団を生成する。
【0128】本発明の方法において使用できる鋳型ポリ
ヌクレオチドは、DNAあるいはRNAとし得る。これ
は遺伝子あるいは組換えまたは再構成されるより短いも
しくはより小さいポリヌクレオチドのサイズにより種々
の長さとし得る。好ましくは、鋳型ポリヌクレオチドは
50 bp〜50 kbである。対象のタンパク質をコードする核
酸を含む全ベクターを本発明の方法に使用することがで
きると考えられ、実際に成功裏に使用された。
【0129】鋳型ポリヌクレオチドは、PCR反応(米国特
許第4,683,202号及び第4,683,195号)、あるいはその他
の増幅もしくはクローニング方法を使用した増幅により
得ることができる。しかし、PCR産物をそのプール化と
性的PCRにかける前にPCR産物から遊離のプライマーを除
去することによりより効率のよい結果が得られる。性的
PCRの前に最初のプールからのプライマーをうまく除去
できない場合、交差クローンの頻度が低下し得る。
【0130】鋳型ポリヌクレオチドは二本鎖でなければ
ならない場合が多い。得られる一本鎖ポリヌクレオチド
の領域が互いに相補的であり、従ってハイブリダイズし
て二本鎖分子を形成することができることを確実にする
ために二本鎖核酸分子が推奨される。
【0131】鋳型ポリヌクレオチドに同一の領域及び鋳
型ポリヌクレオチドと異種構造の領域を有する一本鎖あ
るいは二本鎖核酸ポリヌクレオチドを、この段階で鋳型
ポリヌクレオチドに加えることができると考えられる。
また、二種の異なるが関連したポリヌクレオチド鋳型を
この段階で混合することが考えられる。
【0132】二本鎖ポリヌクレオチド鋳型及び添加され
た二本鎖あるいは一本鎖ポリヌクレオチドを性的PCRに
かけるが、これは遅延化あるいは停止を含み、約5 bp〜
5 kbあるいはそれ以上の混合物を与える。好ましくはラ
ンダムポリヌクレオチドのサイズは約10 bp〜1000 bp、
より好ましくはポリヌクレオチドのサイズは約20 bp〜5
00 bpである。
【0133】あるいは、複数のニックを有する二本鎖核
酸を本発明の方法に使用できることも考えられる。ニッ
クは二本鎖核酸の一方の鎖の破断である。そのようなニ
ックの間の距離は好ましくは5 bp〜5 kb、より好ましく
は10 bp〜1000 bpである。これにより自己プライミング
の領域が与えられ、例えばランダムプライマーから得ら
れるポリヌクレオチドとともに含まれるより短いあるい
はより小さいポリヌクレオチドを生成することができ
る。
【0134】任意の一種の特定のポリヌクレオチドの濃
度は全ポリヌクレオチドの1重量%を越えないものとし、
より好ましくは任意の一種の特定の核酸配列の濃度は全
核酸の0.1重量%を越えないものとする。
【0135】混合物中の異なる特定のポリヌクレオチド
の数は少なくとも約100、好ましくは少なくとも約500、
より好ましくは少なくとも約1000である。
【0136】この段階において、合成または天然の一本
鎖あるいは二本鎖ポリヌクレオチドをランダムな二本鎖
のより短いあるいはより小さいポリヌクレオチドに加え
てポリヌクレオチドの混合物の不均質性を高めてもよ
い。
【0137】また、二本鎖のランダムに破断されたポリ
ヌクレオチドの集団をこの段階で性的PCR過程からのポ
リヌクレオチドと混合するかまたは組合せ、任意に一以
上の追加的な性的PCRサイクルにかけることが考えられ
る。
【0138】鋳型ポリヌクレオチドへの変異の挿入が望
まれる場合は、鋳型ポリヌクレオチドに同一の領域及び
鋳型ポリヌクレオチドと異種構造の領域を有する一本鎖
または二本鎖ポリヌクレオチドを全核酸と比較して重量
で20倍過剰に加えることができ、より好ましくは一本鎖
ポリヌクレオチドは全核酸と比較して重量で10倍過剰に
加えることができる。
【0139】異なるが関連した鋳型ポリヌクレオチドの
混合物が望まれる場合には、鋳型のそれぞれからのポリ
ヌクレオチドの集団を約1:100未満の比率、より好まし
くは約1:40未満の比率で合わせることができる。例え
ば、野性型ポリヌクレオチドと変異ポリヌクレオチドの
集団との戻し交配が中性変異(例えば選択された表現型
特性において実質的な変化を生じない変異)を除去する
ために望まれる場合がある。そのような例においては、
加えることができるランダムに与えられた野性型ポリヌ
クレオチドのランダムに与えられた性的PCRサイクル変
異体ポリヌクレオチドに対する比は約1:1〜約100:1であ
り、より好ましくは約1:1〜40:1である。
【0140】ランダムポリヌクレオチドの混合集団は変
性されて一本鎖ポリヌクレオチドを形成し、その後再ア
ニーリングされる。これらの別の一本鎖ポリヌクレオチ
ドと相同な領域を有する一本鎖ポリヌクレオチドのみが
再アニールする。
【0141】ランダムポリヌクレオチドは加熱により変
性することができる。当業者であれば二本鎖核酸を完全
に変性するのに必要な条件を決定できるであろう。好ま
しくは、温度は80℃〜100℃であり、より好ましくは温
度は90℃〜96℃である。ポリヌクレオチドを変性するの
に使用されるその他の方法としては圧力(36)及びpHが挙
げられる。
【0142】前記ポリヌクレオチドは冷却により再アニ
ールすることができる。好ましくは温度は20℃〜75℃で
あり、より好ましくは温度は40〜65℃である。相同の連
続的な4つの塩基のみの平均に基づいて交差の高い頻度
が必要とされる場合、低いアニーリング温度により組換
えを起こすことができるが、過程はより困難なものとな
る。生じる復元の程度は一本鎖ポリヌクレオチドの集団
の間の相同性の程度に依存する。
【0143】復元はポリエチレングリコール("PEG")あ
るいは塩の添加により促進することができる。塩濃度は
好ましくは0 mM〜200 mMであり、より好ましくは塩濃度
は10mM〜100 mMである。塩はKClあるいはNaClとするこ
とができる。PEGの濃度は好ましくは0%〜20%、より好ま
しくは5%〜10%である。
【0144】アニールされたポリヌクレオチドは次に核
酸ポリメラーゼ及びdNTP(すなわちdATP、dCTP、dGTP、
及びdTTP)の存在下でインキュベートする。核酸ポリメ
ラーゼはクレノウ断片、Taqポリメラーゼあるいは任意
の当分野で公知のその他のDNAポリメラーゼとするこ
とができる。
【0145】組立てに使用する方法は、依然として交差
を生じる相同性の最小の程度に依存する。同一性の領域
が大きい場合、45℃〜65℃のアニーリング温度でTaqポ
リメラーゼを使用することができる。同一性を有する領
域が小さい場合は、20℃〜30℃のアニーリング温度でク
レノウポリメラーゼを使用することができる。当業者で
あれば、得られる交差の数を増加させるためにアニーリ
ングの温度を変化させることができるであろう。
【0146】上記のポリメラーゼは、アニーリングの
前、あるいはアニーリングと同時に、あるいはアニーリ
ングの後にランダムポリヌクレオチドに加えることがで
きる。
【0147】ポリメラーゼの存在下における変性、復
元、及びインキュベーションのサイクルは、本明細書に
おいては核酸のシャッフリングあるいは再構成という。
このサイクルは所望の回数だけ反復する。好ましくはサ
イクルは2〜50回繰り返し、より好ましくは配列は10〜4
0回繰り返される。
【0148】得られる核酸は、約50 bp〜約100 kbのよ
り大きい二本鎖ポリヌクレオチドであり、好ましくは、
このより大きいポリヌクレオチドは500 bp〜約50 kbで
ある。
【0149】このより大きいポリヌクレオチドは、鋳型
ポリヌクレオチドと同じサイズを有するポリヌクレオチ
ドのいくつかのコピーをタンデムに含むことができる。
このコンカテマーポリヌクレオチドを次に鋳型ポリヌク
レオチドの単独のコピーに変性する。得られるのは鋳型
ポリヌクレオチドとほぼ同じサイズのポリヌクレオチド
の集団である。この集団は、シャッフリング前に相同の
領域及び異種構造の領域を含む一本鎖あるいは二本鎖ポ
リヌクレオチドが鋳型ポリヌクレオチドに加えられた混
合集団である。
【0150】これらのポリヌクレオチドを次に適当なベ
クター中にクローニングし、結合混合物を細菌を形質転
換するのに使用する。
【0151】単独のポリヌクレオチドは、より大きいコ
ンカテマーポリヌクレオチドから、コンカテマーの消化
ではなく、PCR (米国特許第4,683,195号及び第4,683,20
2号)等の種々の方法によりクローニングの前に単独のポ
リヌクレオチドを増幅することにより得ることができる
と考えられる。
【0152】クローニングに使用するベクターは、所望
のサイズのポリヌクレオチドを受容するものであれは特
に制限されることはない。特定のポリヌクレオチドの発
現が所望される場合は、クローニングビヒクルはさらに
ポリヌクレオチドの挿入部位に隣接した転写及び翻訳シ
グナルを含み、宿主細胞中でのポリヌクレオチドの発現
を可能とするものでなければならない。好ましいベクタ
ーとしてはプラスミドのpUC系、及びpBR系が挙げられ
る。
【0153】得られる細菌集団は無作為突然変異を有す
る多数の組換えポリヌクレオチドを含む。この混合集団
を試験して所望の組換えポリヌクレオチドを同定するこ
とができる。選択方法は所望のポリヌクレオチドに依存
する。
【0154】例えば、リガンドに対する結合効率が増加
しているタンパク質をコードするポリヌクレオチドが望
まれる場合、集団もしくはライブラリ中のポリヌクレオ
チドの各々の部分が発現するタンパク質を、リガンドに
結合するそれらの能力について、当該技術分野において
公知の方法(すなわち、パニング、アフィニティクロマ
トグラフィー)によって試験することができる。薬剤耐
性が高まっているタンパク質をコードするポリヌクレオ
チドが望まれる場合、集団もしくはライブラリ中の各々
のポリヌクレオチドが発現するタンパク質を、宿主生物
に薬剤耐性を付与するそれらの能力について試験するこ
とができる。所望のタンパク質に関する知識を有する当
業者は、この集団を試験して所望の特性をタンパク質に
付与するポリヌクレオチドを同定することが容易にでき
る。
【0155】タンパク質の断片が融合タンパク質として
ファージ表面上に発現するファージ提示系(Pharmaci
a、ミルウォーキー、WI)を当業者が使用可能であるこ
とが意図されている。組換えDNA分子を、一部がその
組換えDNA分子によってコードされる融合タンパク質
の転写を生じる部位でファージDNAにクローン化す
る。その組換え核酸分子を含むファージを細胞内で複製
及び転写させる。融合タンパク質のリーダー配列は、融
合タンパク質のファージ粒子の先端への搬送を指令す
る。このようにして、上述の方法による検出及び選択の
ため、組換えDNA分子によって部分的にコードされる
融合タンパク質がファージ粒子上に提示する。
【0156】さらに、第1の集団の亜集団に由来するポ
リヌクレオチドを用いて何回かの核酸シャッフリング
(nucleic acid shuffling)サイクルを行うことができ
ることが意図されており、この亜集団は所望の組換えタ
ンパク質をコードするDNAを含む。この方法において
は、より高い結合親和性又は酵素活性を有するタンパク
質を達成することができる。
【0157】また、サイレント突然変異を亜集団から除
去するため、野生型ポリヌクレオチドと最初の、もしく
は引き続く核酸シャッフリングからの核酸の亜集団との
混合物を用いて何回かの核酸シャッフリングサイクルを
行うことができることも意図されている。
【0158】精製された形態のあらゆる核酸源を出発核
酸として用いることができる。したがって、この方法は
DNA又は伝令RNAを含むRNAを用いることが可能
であり、このDNA又はRNAは一本鎖であっても二本
鎖であってもよい。加えて、各々1本の鎖を含むDNA
−RNAハイブリッドを用いることができる。核酸配列
は、突然変異を受ける核酸配列のサイズに応じて、様々
な長さのものであり得る。好ましくは、特定の核酸配列
は50ないし50000塩基対である。目的のタンパク質をコ
ードする核酸を含むベクター全体を本発明の方法におい
て用いることができることが意図されている。
【0159】核酸はいかなる源からも、例えば、pBR322
のようなプラスミド、クローン化DNAもしくはRNA
又は細菌、酵母、ウイルス並びに植物もしくは動物のよ
うな高等生物を含むあらゆる源に由来する天然DNAも
しくはRNAから得ることができる。DNA又はRNA
は血液又は組織材料から抽出することができる。鋳型ポ
リヌクレオチドは、ポリヌクレオチド連鎖反応(PCR)
を用いる増幅により得ることができる(米国特許第4,68
3,202号及び第4,683,195号)。あるいは、ポリヌクレオ
チドは細胞内に存在するベクター中に存在していてもよ
く、その細胞を培養し、当該技術分野において公知の方
法によりその細胞から核酸を抽出することにより十分な
核酸を得ることができる。
【0160】いかなる特定の核酸配列をも、本発明の方
法によるハイブリッド集団の生成に用いることができ
る。その特定の核酸配列のハイブリッド配列の小集団が
存在するか、もしくは本発明の方法の前にそれが作製さ
れることのみが必要である。
【0161】突然変異を有する特定の核酸配列の初期小
集団は幾つかの異なる方法により作製することができ
る。突然変異は誤り易発性(error-prone)PCRにより生
成させることができる。誤り易発性PCRは、長い配列全
体にわたって低水準の点突然変異を無作為に導入するの
に低忠実度重合条件を用いる。あるいは、オリゴヌクレ
オチド指向性突然変異誘発により鋳型ポリヌクレオチド
に突然変異を導入することもできる。オリゴヌクレオチ
ド指向性突然変異誘発においては、制限酵素分解を用い
てポリヌクレオチドの短い配列をそのポリヌクレオチド
から除去し、様々な塩基が元の配列から変更されている
合成ポリヌクレオチドで置き換える。また、化学的突然
変異誘発によりポリヌクレオチド配列を変更することも
できる。化学的突然変異原には、例えば、亜硫酸水素ナ
トリウム、亜硝酸、ヒドロキシルアミン、ヒドラジンも
しくはギ酸が挙げられる。ヌクレオチド前駆体の類似体
である他の薬剤としては、ニトロソグアニジン、5−ブ
ロモウラシル、2−アミノプリン、もしくはアクリジン
が挙げられる。一般に、これらの薬剤はヌクレオチド前
駆体の代わりにPCR反応に加え、それによりその配列に
突然変異を生成させる。また、プロフラビン、アクリフ
ラビン、キナクリン等の挿入剤を用いることもできる。
ポリヌクレオチド配列の無作為突然変誘発は、X線又は
紫外光を照射することによって達成することもできる。
一般には、そのようにして突然変異が生成したプラスミ
ドポリヌクレオチドを大腸菌に導入し、ハイブリッドプ
ラスミドのプールもしくはライブラリーとして増殖させ
る。
【0162】あるいは、特定の核酸の小混合集団は自然
界において見出すことも可能であり、それらは同じ遺伝
子又は異なる関連種に由来する同じ遺伝子(すなわち、
同族遺伝子)の異なる対立遺伝子からなるものであって
もよい。あるいは、それらは、1つの種内に見出される
関連DNA配列、例えば、免疫グロブリン遺伝子であっ
てもよい。
【0163】特定の核酸配列の混合集団がひとたび生成
されると、それらのポリヌクレオチドを直接用いるか、
又は当該技術分野において公知の技術を用いて適切なク
ローニングベクターに挿入することができる。
【0164】ベクターの選択はそのポリヌクレオチド配
列のサイズ及び本発明の方法において用いられる宿主細
胞に依存する。本発明の鋳型はプラスミド、ファージ、
コスミド、ファージミド、ウイルス(例えば、レトロウ
イルス、パラインフルエンザウイルス、ヘルペスウイル
ス、レオウイルス、パラミクソウイルス等)、又はそれ
らの選択された部分(例えば、外殻タンパク質、スパイ
ク糖タンパク質、キャプシドタンパク質)であり得る。
例えば、突然変異を誘発しようとする特定の核酸配列が
大きい場合にはコスミド及びファージミドが好ましく、
これは、これらのベクターが大きなポリヌクレオチドを
安定に増殖させることが可能であるためである。
【0165】特定の核酸配列の混合集団をベクターにク
ローン化すると、各々のベクターを宿主細胞に挿入し、
その宿主細胞にそのベクターを増幅させることによりそ
れをクローンとして増幅させることができる。これは、
核酸配列の絶対数が増加するにも関わらずハイブリッド
の数は増加しないため、クローン的増幅と呼ばれる。有
用性は、発現したポリペプチドをスクリーニングするこ
とにより容易に決定することができる。
【0166】本発明のDNAシャッフリング法は、未知
配列のプールに対して盲目的に行うことができる。再構
築混合オリゴヌクレオチド(それらの再構築されている
配列に相同である末端を有するもの)を添加することに
より、いかなる配列混合物をも、いかなる特定の位置で
あっても、別の配列混合物に組み込むことができる。し
たがって、合成オリゴヌクレオチドもしくはPCRポリヌ
クレオチドの混合物又は全遺伝子の混合物でさえも別の
配列ライブラリーに決められた位置で混合することが可
能であることが意図されている。1つの配列(混合物)
の挿入は、鋳型の別の部分の配列の挿入から独立してい
る。したがって、組換えの程度、必要とされる相同性、
及びライブラリーの多様性は、再構築DNAの長さに従
って独立して、同時に変化し得る。
【0167】2つの遺伝子を混合するこのアプローチは
ネズミのハイブリドーマに由来する抗体のヒト化に有用
であり得る。この2つの遺伝子を混合し、又は変異体配
列を遺伝子に挿入するアプローチは、治療上用いられる
あらゆるタンパク質、例えば、インターロイキンI、抗
体、tPA、成長ホルモン等に有用であり得る。また、こ
のアプローチは、あらゆる核酸、例えば、遺伝子のプロ
モーターもしくはイントロン、又は31非翻訳領域もしく
は51非翻訳領域においても有用であり、タンパク質の発
現を増加させ、もしくはその発現の特異性を変更するこ
とができる。このアプローチは変異体リボザイム又はア
プタマーにも用いることができる。
【0168】シャッフリングは、多様性を有する領域を
分離する相同領域の存在を必要とする。足場(scaffol
d)様タンパク質構造がシャッフリングに特に適するも
のであり得る。この保存された足場は、特異的結合を仲
介する比較的制限されていないループを現しながら、自
己会合による全体的な折り畳みを決定する。このような
足場の例は、当該技術分野において公知の免疫グロブリ
ンβ−バレル、及び4らせん束(four-helix bundle)で
ある。このシャッフリングは、結合のための突然変異配
列の様々な組み合わせを有する足場様タンパク質の作製
に有用であり得る。
【0169】In Vitroシャッフリング 幾つかの標準遺伝的接合と等価のものもシャッフリング
によりin vitroで行うことができる。例えば、目的の突
然変異を選択しながらハイブリッドの核酸を野生型核酸
と繰り返し混合することにより、“分子的戻し交雑”を
行うことができる。伝統的な育種におけるものと同様
に、このアプローチは異なる源に由来する表現型を組み
合わせて選り抜きの背景とするのに用いることができ
る。これは、例えば、選択されていない特徴(すなわ
ち、免疫原性)に影響を及ぼす中立突然変異の除去に有
用である。したがって、これはタンパク質におけるどの
突然変異が生物学的活性の増強に関与し、どれが関与し
ないのかの決定に有用であり、これは誤り易発性突然変
異誘発又はカセット突然変異誘発法によっては達成する
ことができない利点である。
【0170】小無作為ポリヌクレオチドの混合物から大
きな機能的遺伝子を正確に組み立てることができる。こ
の反応は、高度に断片化した化石のDNAからの遺伝子
の再構築に用いることができる。加えて、化石に由来す
る無作為核酸断片を関連種由来の類似遺伝子からのポリ
ヌクレオチドと組み合わせることもできる。
【0171】また、本発明の方法は、様々な研究及び診
断用途に必要とされる1つの細胞からの全ゲノムのin vi
tro増幅に使用可能であることも意図されている。PCRに
よるDNA増幅は、実用上、約40kbの長さに制限され
る。大腸菌のもの(5,000kb)のような全ゲノムの増幅
には約250個のプライマーを必要とし、これは125個の40
kbポリヌクレオチドを生じる。このアプローチは十分な
配列データを入手することができないため実用的ではな
い。他方、性的PCRサイクル(sexual PCR cycles)を用
いるゲノムのポリヌクレオチドの無作為生成、続く小ポ
リヌクレオチドのゲル精製により多数の可能性のあるプ
ライマーがもたらされる。PCR反応においてこの無作為
小ポリヌクレオチド混合物をプライマーとして単独で、
又は鋳型としての全ゲノムと共に用いることにより、そ
のゲノムの多くのコピーを含む単一の鎖状体を理論的な
終末点とする逆連鎖反応が生じるはずである。
【0172】無作為ポリヌクレオチドのみが用いられる
場合、コピー数が100倍の増幅及び50kbを上回る平均ポ
リヌクレオチドサイズを得ることができる。大きな鎖状
体は多くのより小さなポリヌクレオチドの重複によって
生じると考えられる。合成プライマーを用いて得られる
特異的PCR産物の質は非増幅DNAから得られる産物と
区別することができない。このアプローチはゲノムのマ
ッピングに有用であることが期待される。
【0173】シャッフルしようとするポリヌクレオチド
は、実施者の判断で、無作為又は非無作為ポリヌクレオ
チドとして生成させることができる。
【0174】In Vivoシャッフリング In vivoシャッフリングの態様においては、特定の核酸
配列の混合集団を、各々の宿主細胞内に少なくとも2つ
の異なる核酸配列が存在するような条件下において細菌
又は真核細胞に導入する。ポリヌクレオチドは様々な異
なる方法により宿主細胞に導入することができる。宿主
細胞は、当該技術分野において公知の方法、例えば、塩
化カルシウムでの処理により、より小さなポリヌクレオ
チドで形質転換することができる。ポリヌクレオチドが
ファージゲノムに挿入される場合には、宿主細胞を特定
の核酸配列を有する組換えファージゲノムでトランスフ
ェクトすることができる。あるいは、電気穿孔、トラン
スフェクション、リポフェクション、微粒子銃、接合等
を用いて核酸配列を宿主細胞に導入することができる。
【0175】一般に、この態様においては、特定の核酸
配列は宿主細胞においてこの配列を安定に複製すること
が可能なベクター中に存在する。加えて、このベクター
は、このベクターを有する宿主細胞を選択することがで
きるようにマーカー遺伝子をコードすることが意図され
ている。これは、宿主細胞に導入した後に変異した特定
の核酸配列を確実に回収できるようにする。しかしなが
ら、特定の核酸配列の混合集団全体がベクター配列上に
存在する必要はないことが意図されている。むしろ、ポ
リヌクレオチドを宿主細胞に導入した後に、各々の宿主
細胞がその内部に少なくとも1つの特定核酸配列を有す
る1つのベクターを含むことを確実なものとするのに十
分な数の配列のみが、ベクターにクローン化されること
が必要である。また、ベクターにクローン化されている
特定核酸配列の集団の下位集団を有するのではなく、こ
の下位集団が既に宿主細胞に安定に組み込まれている可
能性も意図されている。
【0176】同一の領域を有する2つのポリヌクレオチ
ドが宿主細胞に挿入されている場合、これらの2つのポ
リヌクレオチドの間で相同組換えが生じることが見出さ
れている。このような突然変異が生成した2つの特定核
酸配列の間での組換えはある状況において二重もしくは
三重の変異体を生じる。
【0177】また、直鎖核酸分子上に突然変異が生成し
た幾つかの特定核酸配列が存在する場合、組換えの頻度
が増加することも見出されている。したがって、好まし
い態様においては、幾つかの特定核酸配列が直鎖ポリヌ
クレオチド上に存在する。
【0178】形質転換の後、宿主細胞形質転換体を選択
下に置き、所望の質を有する変異特定核酸配列を含む宿
主細胞形質転換体を同定する。例えば、特定の薬物に対
する耐性の増加が望まれる場合には、濃度を高めたその
特定の薬物に形質転換した宿主細胞を晒し、高められた
薬剤耐性を付与することが可能な変異タンパク質を産生
する形質転換体を選択すればよい。特定のタンパク質の
受容体に結合する能力の増強が望まれる場合には、これ
らの形質転換体からタンパク質の発現を誘発し、生じる
タンパク質を当該技術分野で公知の方法によりリガンド
結合アッセイにおいてアッセイして、リガンドに対する
結合の増強を示す変異集団の下位集団を同定することが
できる。あるいは、このタンパク質を別の系において発
現させて適切なプロセシングを確実なものとすることも
できる。
【0179】所望の特徴を有する第1の組換え特定核酸
配列(娘配列)の下位集団がひとたび同定されたら、そ
れらを第2の組換えに処する。
【0180】組換えの第2サイクルにおいては、組換え
特定核酸配列を元の変異した特定核酸配列(親配列)と
混合し、このサイクルを上述のように繰り返すことがで
きる。このようにして、特徴が増強され、もしくは特性
が高められたタンパク質をコードする、一組の第2組換
え特定核酸配列を同定することができる。このサイクル
は所望の回数繰り返すことができる。
【0181】また、第2の、もしくは引き続く組換えサ
イクルにおいては、戻し交雑が実施可能であることが意
図されている。分子的戻し交雑は、形質転換後に少なく
とも1つの野生型核酸配列及び1つの変異核酸配列が同じ
宿主細胞内に存在するように、所望の特定核酸配列を多
数の野生型配列と混合することにより行うことができ
る。野生型特定核酸配列との組換えは、免疫原性のよう
な選択されていない特徴には影響を及ぼし得るが選択さ
れた特徴には影響を及ぼさない中立突然変異を排除す
る。
【0182】本発明の別の態様においては、第1の組換
え(round)の間に、宿主細胞に導入する前にPCR増幅を
遅速もしくは停止することにより特定の核酸配列の下位
集団をより小さいポリヌクレオチドとして生成させるこ
とが可能であることが意図されている。ポリヌクレオチ
ドのサイズは、他の配列と相同的に再結合するため、そ
の他の配列と同一の幾つかの領域を含むのに十分な大き
さでなければならない。これらのポリヌクレオチドのサ
イズは0.03kbないし100kbの範囲をとり、より好ましく
は0.2kbないし10kbである。また、引き続く組換えにお
いて、先行する組換えから選択される配列以外の全ての
特定核酸配列を宿主細胞への導入の前にPCRポリヌクレ
オチドの産生に用いることができることが意図されてい
る。
【0183】これらのより短いポリヌクレオチド配列は
一本鎖であっても二本鎖であってもよい。これらの配列
が元来一本鎖であり、かつ二本鎖になっている場合に
は、宿主細胞に挿入する前にそれらを熱、化学薬品又は
酵素で変性させることができる。核酸の鎖を分離するの
に適する反応条件は当該技術分野において公知である。
【0184】この方法の工程は無制限に繰り返すことが
可能であり、達成することができる可能なハイブリッド
の数によってのみ制限される。特定数のサイクルの後に
は全ての可能なハイブリッドが達成され、さらなるサイ
クルは余計である。
【0185】一態様においては、同じ変異した鋳型核酸
を繰り返し再結合させ、生じる組換え体を所望の特徴に
ついて選択する。
【0186】したがって、変異した鋳型核酸の初期プー
ル又は集団を大腸菌のような細菌において複製可能なベ
クターにクローン化する。大腸菌において自律複製が可
能である限り特定のベクターは本質的なものではない。
好ましい態様において、ベクターは、そのベクターに連
結する変異した特定核酸によってコードされるあらゆる
タンパク質の発現及び産生を可能にするように設計され
る。また、ベクターが選択可能なマーカーをコードする
遺伝子を含むことも好ましい。
【0187】変異した核酸配列のプールを含むベクター
の集団を大腸菌宿主細胞に導入する。このベクター核酸
配列は、形質転換、トランスフェクション、又はファー
ジの場合には感染により導入することができる。細菌の
形質転換に用いられるベクターの濃度は、各々の細胞に
多数のベクターが導入されるようなものである。ひとた
び細胞内に存在すると、相同的組換えの効率は様々なベ
クター間で相同的組換えが生じるようなものである。こ
れにより、元来の親変異配列とは異なる突然変異の組み
合わせを有するハイブリッド(娘)の産生が生じる。
【0188】その後、宿主細胞をクローン的に複製し、
ベクター上に存在するマーカー遺伝子について選択す
る。プラスミドを有する細胞のみが選択下で成長する。
【0189】次に、ベクターを含む宿主細胞を有利な突
然変異の存在について試験する。このような試験は、こ
れらの細胞を例えば、選択しようとする遺伝子が改善さ
れた薬剤耐性遺伝子であるか否か、選択的な圧力下に置
くことからなり得る。ベクターが変異核酸配列によって
コードされるタンパク質を発現することが可能である場
合、このような選択には、そのようにコードされるタン
パク質を発現させ、そのタンパク質を単離し、かつその
タンパク質を試験して、例えば、それが高められた効率
で目的のリガンドと結合するかどうかを決定することを
含み得る。
【0190】所望の特徴を付与する特定の娘ハイブリッ
ド核酸配列がひとたび同定されたら、既にベクター連結
した形態又はベクターとは分離した形態のいずれかでそ
の核酸を単離する。次いで、この核酸を第1の、すなわ
ち親の核酸集団と混合し、サイクルを繰り返す。
【0191】この方法により所望の特性が高められてい
る核酸配列を選択できることが示されている。
【0192】更なる態様においては、変異体の第1世代
が細胞内に保持され、親変異配列が再度それらの細胞に
加えられる。したがって、態様Iの第1サイクルが上述の
通りに行われる。しかしながら、娘核酸配列が同定され
た後には、これらの配列を有する宿主細胞が保持され
る。
【0193】親変異特定核酸集団を、ポリヌクレオチド
として、又は同じベクターにクローン化して、既に娘核
酸を有する宿主細胞に導入する。これらの細胞において
組換えを生じさせ、次世代の組換え体、すなわち孫娘を
上述の方法により選択する。
【0194】このサイクルは、所望の特徴を有する核酸
もしくはペプチドが得られるまで、多数回繰り返すこと
ができる。引き続くサイクルにおいては、好ましいハイ
ブリッドに加えられる変異配列の集団が親ハイブリッド
又は引き続くあらゆる世代に由来するものであり得るこ
とが意図されている。
【0195】更なる態様において、本発明は、あらゆる
中立突然変異を排除するために得られた組換え特定核酸
の“分子的”戻し交雑を実施する方法を提供する。中立
突然変異は、核酸又はペプチドに所望の特性を付与する
ことがない突然変異である。しかしながら、このような
突然変異は望ましくない特徴を核酸又はペプチドに付与
することがある。したがって、このような中立突然変異
は排除することが望ましい。本発明の方法はそれを行う
手段を提供する。
【0196】この態様においては、所望の特徴を有する
変異体核酸が本発明の態様の方法によって得られた後、
その核酸、その核酸を有するベクター又はそのベクター
及び核酸を有する宿主細胞を単離する。
【0197】次に、その核酸又はベクターを、大過剰の
野生型核酸と共に宿主細胞に導入する。ハイブリッドの
核酸と野生型配列の核酸とを再結合させる。得られた組
換え体をハイブリッド核酸と同じ選択下に配する。所望
の特徴を保持する組換え体のみが選択される。所望の特
徴をもたらさないあらゆるサイレント突然変異は野生型
DNAとの組換えにより失われる。このサイクルは全て
のサイレント突然変異が排除されるまで、多数回繰り返
すことができる。
【0198】このように、本発明の方法は、分子的戻し
交雑において、不必要な、又はサイレント突然変異を除
去するのに用いることができる。
【0199】有用性 本発明のin vivo組換え法は、特定のポリヌクレオチド
又は配列の未知ハイブリッド又は対立遺伝子のプールに
対して盲目的に実施することができる。しかしながら、
その特定のポリヌクレオチドの実際のDNA又はRNA
配列を知る必要はない。
【0200】遺伝子の混合集団内で組換えを用いるこの
アプローチは、あらゆる有用なタンパク質、例えば、イ
ンターロイキンI、抗体、tPA、成長ホルモン等の生成に
有用であり得る。このアプローチは特異性又は活性が変
更されているタンパク質の生成に用いることができる。
また、このアプローチは、変異体核酸配列、例えば、遺
伝子のプロモーター領域、イントロン、エクソン、エン
ハンサー配列、31非翻訳領域もしくは51非翻訳領域の生
成にも有用であり得る。したがって、このアプローチ
は、発現の割合が増加している遺伝子の生成に用いるこ
とができる。また、このアプローチは反復DNA配列の
研究においても有用であり得る。最後に、このアプロー
チはリボザイム又はアプタマーの突然変異生成に有用で
あり得る。
【0201】タンパク質における多様性を有する領域を
分離する足場様領域は本発明の方法に特に適するもので
あり得る。保存された足場は、特異的結合を仲介する比
較的制限されていないループを現しながら、自己会合に
よる全体的な折り畳みを決定する。このような足場の例
は、免疫グロブリンβ−バレル、及び4らせん束であ
る。本発明の方法は、結合のための変異配列の様々な組
み合わせを有する足場様タンパク質の作製に用いること
ができる。
【0202】幾つかの標準的な遺伝的接合と等価のもの
を本発明の方法により実施することもできる。例えば、
目的の変異体を選択しながらハイブリッドの核酸を野生
型核酸と繰り返し混合することにより、“分子的”戻し
交雑を行うことができる。伝統的な育種におけるものと
同様に、このアプローチは異なる源に由来する表現型を
組み合わせて選り抜きの背景とするのに用いることがで
きる。これは、例えば、選択されていない特徴(すなわ
ち、免疫原性)に影響を及ぼす中立突然変異の除去に有
用である。したがって、これはタンパク質におけるどの
突然変異が生物学的活性の増強に関与し、どれが関与し
ないのかの決定に有用であり得る。
【0203】ペプチド提示方法 本発明は、開示される方法のいずれか、及びあらゆる組
み合わせによるin vitro及び/又はin vivo組換えによ
る、ペプチド提示方法により選択されるポリヌクレオチ
ド配列のシャッフルに用いることができ、そこでは会合
するポリヌクレオチドが表現型(例えば、予め決められ
た受容体(リガンド)に対する親和性)についてスクリ
ーニングされている提示ペプチドをコードする。
【0204】生物薬剤学的医薬品の開発及び分子生物学
のますます重要となっている側面は、生物学的高分子と
相互作用するペプチド又はペプチド疑似体の、一次アミ
ノ酸配列を含むペプチド構造の同定である。所望の構造
又は機能的特性、例えば、予め決められた生物学的高分
子(例えば、受容体)への結合、を有するペプチドを同
定する方法の1つには、大ライブラリー又はペプチド
を、そのペプチドのアミノ酸配列によって付与される所
望の構造又は機能的特性を有する個々のライブラリー構
成要素についてスクリーニングすることが包含される。
【0205】ペプチドライブラリーを生成させるための
直接化学合成法に加えて、幾つかの組換えDNA法も報
告されている。その1つの型として、バクテリオファー
ジ粒子もしくは細胞の表面上でのペプチド配列、抗体、
又は他のタンパク質の提示が含まれる。一般にこれらの
方法においては、各々のバクテリオファージ粒子又は細
胞は、その天然バクテリオファージ又は細胞タンパク質
の配列に加えて、提示されたペプチドの単一種を提示す
る個々のライブラリー構成要素としての機能を果たす。
各々のバクテリオファージ又は細胞は特定の提示ペプチ
ド配列をコードするヌクレオチド配列情報を含む;した
がって、提示されたペプチド配列は単離されたライブラ
リー構成要素のヌクレオチド配列決定により確認するこ
とができる。
【0206】公知のペプチド提示法は、糸状バクテリオ
ファージの表面上に、典型的にはバクテリオファージ外
殻タンパク質との融合タンパク質として、ペプチド配列
を提示することを包含する。このバクテリオファージラ
イブラリーは固定化された、予め決められた高分子又は
小分子(例えば、受容体)と共にインキュベートするこ
とが可能であり、その結果、その固定化高分子に結合す
るペプチド配列を提示するバクテリオファージ粒子を、
その予め決められた高分子と結合するペプチド配列を提
示しないものから弁別的に分離することができる。次
に、固定化高分子に結合するバクテリオファージ粒子
(すなわち、ライブラリー構成要素)を回収し、複製し
て、引き続く親和性富化及びファージ複製のために選択
されたバクテリオファージ下位集団を増幅させる。数回
の親和性富化及びファージ複製の後、そのようにして選
択されたバクテリオファージライブラリー構成要素を単
離して提示ペプチド配列をコードするヌクレオチド配列
を決定し、それにより予め決められた高分子(例えば、
受容体)に結合するペプチドの配列(1つもしくは複
数)を同定する。このような方法はPCT特許公開第91/1
7271号、第91/18980号、並びに第91/19818号及び第93
/08278号にさらに記述されている。
【0207】後者のPCT公開には、融合タンパク質のラ
イブラリーの作成を包含するペプチドリガンドを提示さ
せるための組換えDNA法であって、各々の融合タンパ
ク質が、予め決められた高分子への潜在的な結合に利用
可能な、典型的には可変配列を含む第1ポリペプチド部
分、及び個々の融合タンパク質をコードするDNAベク
ターのようなDNAに結合する第2ポリペプチド部分を
含んでなる方法が記述されている。形質転換宿主細胞を
この融合タンパク質の発現を可能にする条件下で培養す
ると、この融合タンパク質はそれをコードするDNAベ
クターに結合する。この宿主細胞を溶解することによ
り、ファージに基づく提示系においてバクテリオファー
ジ粒子をスクリーニングするのとほぼ同じ方法でその融
合タンパク質/ベクターDNA複合体を予め決められた
高分子に対してスクリーニングすることができ、選択さ
れた融合タンパク質/ベクターDNA複合体におけるD
NAベクターの複製及び配列決定は選択されたライブラ
リーペプチド配列(1つもしくは複数)を同定するため
の基礎としての役目を果たす。
【0208】ペプチド及び同様のポリマーのライブラリ
ーを生成するための他の系は組換え及びin vitro化学合
成法の両者の側面を有する。これらの混成法において
は、ライブラリー構成要素(すなわち、ペプチド又はポ
リヌクレオチド)のin vitro合成を達成するのに細胞を
含まない酵素的機構が用いられる。この方法の1つの型
では、予め決められたタンパク質又は予め決められた染
料分子に結合する能力を有するRNA分子が更なる選択
及びPCR増幅により選択された(Tuerk及びGold (1990)
Science 249: 505;Ellington及びSzostak (1990) Natu
re 346: 818)。同様の技術が予め決められたヒト転写
因子に結合するDNA配列の同定に用いられた(Thiese
n及びBach (1990) Nucleic Acids Res. 18:3203;Beaud
ry及びJoyce (1992) Science 257: 635;PCT特許公開第
92/05258号及び92/14843号)。同様の方式で、in vit
ro翻訳の技術が目的のタンパク質の合成に用いられてお
り、かつペプチドの大ライブラリーを生成するための方
法として提唱されている。Invitro翻訳に依存し、一般
に安定化されたポリソーム複合体を含むこれらの方法
は、PCT特許公開第88/08453号、第90/05785号、第90
/07003号、第91/02076号、第91/05058号、及び第92
/02536号にさらに記述されている。出願人は、ライブ
ラリー構成要素がDNA結合活性を有する第1ポリペプ
チド部分とそのライブラリー構成要素を独自のペプチド
配列とする第2ポリペプチド部分とを有する融合タンパ
ク質を含む方法を記述している;このような方法は、と
りわけ、細胞非含有in vitro選択形式における使用に適
する。
【0209】提示されるペプチド配列は長さが可変で、
典型的には3−5000アミノ酸長以上、頻繁には5−100ア
ミノ酸長、しばしば約8−15アミノ酸長を有するもので
あり得る。ライブラリーは可変長の提示ペプチド配列を
有するライブラリー構成要素を含むことが可能であり、
又は固定長の提示ペプチド配列を有するライブラリー構
成要素を含んでいてもよい。提示ペプチド配列(1つも
しくは複数)の一部又は全体は無作為、疑似無作為、定
義されたセット・カーナル(set kernal)、固定された
もの等であり得る。本発明の提示方法は、可変領域配列
の広範な多様性及び結合特異性を有するscfvライブラリ
ーの大規模スクリーニングを可能にする、ポリソーム上
の新生scFv又はファージ上に提示されたscfvのような、
一本鎖抗体のin vitro及びin vivo提示の方法を含む。
【0210】また、本発明は、無作為、疑似無作為、及
び定義された配列のフレームワークペプチドライブラリ
ー、並びにそれらのライブラリーを生成及びスクリーニ
ングして目的の受容体分子もしくはエピトープ、又はペ
プチドもしくはRNAを所望の方式で修飾する遺伝子産
物に結合する有用な化合物(例えば、一本鎖抗体を含む
ペプチド)を同定する方法も提供する。この無作為、疑
似無作為、及び定義された配列のフレームワークペプチ
ドは、提示ペプチド又は提示一本鎖抗体を含み、これら
がその提示ペプチドが合成されるポリヌクレオチド鋳型
に結合しているペプチドライブラリー構成要素のライブ
ラリーから生成する。結合の様式は選択される本発明の
特定の態様によって変化しても良く、ファージ粒子への
封入又は細胞への組み込みが含まれ得る。
【0211】親和性富化の方法によって、スクリーニン
グしようとするペプチド及び一本鎖抗体、並びに選択し
ようとする所望のペプチド(1つもしくは複数)もしく
は一本鎖抗体をコードするポリヌクレオチド配列の非常
に大きなライブラリーが可能となる。次に、このポリヌ
クレオチドを単離してシャッフルし、選択されたペプチ
ド(1つもしくは複数)(もしくはそれらの予め決めら
れた部分)又は一本鎖抗体(もしくはそれらのちょうど
VHI、VLIもしくはCDRの部分)のアミノ酸配列を組み合
わせ的に再結合させる。これらの方法を用いて、ペプチ
ド又は一本鎖抗体を分子に対する所望の結合親和性を有
するものとして同定することができ、所望の高親和性ペ
プチド又はscfvに急速に収束させるシャッフリングプロ
セスを開発することが可能である。次いで、そのペプチ
ド又は抗体をあらゆる適切な用途のために(例えば、治
療又は診断薬として)通常の手段によりバルクで合成す
ることができる。
【0212】本発明の大きな利点は、目的のペプチドリ
ガンド又は抗体の単離のために予想されるリガンドの構
造に関する事前の情報が必要ないことである。同定され
るペプチドは生物学的活性を有することが可能であり、
これは選択された受容体分子に対する特異的結合親和性
を少なくとも含むことを意味し、ある場合には、他の化
合物の結合の阻止、代謝経路の刺激もしくは阻害、シグ
ナルもしくは伝令としての作用、細胞活性の刺激もしく
は阻害等の能力をさらに含むことを意味する。
【0213】また、本発明は、新生ペプチド(一本鎖抗
体を含む)を提示するポリソームのライブラリーを、予
め決められた受容体(例えば、哺乳動物タンパク性受容
体、例えば、ペプチド作動性ホルモン受容体、細胞表面
受容体、他のタンパク質(1つもしくは複数)に結合し
てヘテロダイマー等の細胞内タンパク質複合体を形成す
る細胞内タンパク質等)又はエピトープ(例えば、固定
化タンパク質、糖タンパク質、オリゴ糖等)に結合する
ライブラリー構成要素について親和性スクリーニングす
ることにより選択されるポリヌクレオチド配列のプール
をシャッフルするための方法も提供する。
【0214】(典型的には、受容体(例えば、リガン
ド)への結合についての親和性選択による)第1の選択
においてこれらの方法のいずれかにより選択されたポリ
ヌクレオチド配列をプールし、このプール(1つもしく
は複数)をin vitro及び/又はin vivo組換えによりシ
ャッフルして、再結合した選択ポリヌクレオチド配列の
集団を含むシャッフル済みのプールを生成する。再結合
した選択ポリヌクレオチド配列を少なくとも1回の次の
選択に処する。次の選択(1回もしくは複数回)におい
て選択されたポリヌクレオチド配列は直接使用し、配列
決定し、及び/又は1回以上のさらなるシャッフリング
及びその次の選択に処することができる。また、選択さ
れた配列を中性の(すなわち、結合に対して実質的な機
能的効果を持たない)配列をコードするポリヌクレオチ
ド配列と戻し交雑させることも可能であり、これは、例
えば、選択された配列と実質的に同一の野生型もしくは
天然配列と戻し交雑させて免疫原性に劣る可能性のある
本来のものに近い機能的ペプチドを生成することにより
行う。一般には、戻し交雑の間に、引き続く選択を適用
して予め決められた受容体(リガンド)に結合する特性
を保持する。
【0215】選択された配列のシャッフリングの前又は
それと同時に、それらの配列に突然変異を生成させるこ
とができる。態様の1つにおいては、選択されたライブ
ラリー構成要素が原核性ベクター(例えば、プラスミ
ド、ファージミド、又はバクテリオファージ)にクロー
ン化され、ここで別個のライブラリー構成要素を表す個
々のコロニー(もしくはプラーク)の蓄積(collectio
n)が生じる。次に、個々の選択されたライブラリー構
成要素を(例えば、部位特異的突然変異誘発、カセット
突然変異誘発、化学的突然変異誘発、PCR突然変異誘発
等により)操作し、選択されたライブラリー構成要素の
配列に基づいて配列多様性の核(kernal)を表すライブ
ラリー構成要素の蓄積を生成することができる。個々の
選択されたライブラリー構成要素の配列又はプールを操
作して、無作為突然変異、疑似無作為突然変異、限定さ
れた核の突然変異(defined kernal mutation)(すな
わち、可変及び不変残基位置を含み、及び/又はアミノ
酸残基の限定されたサブセットから選択される残基を含
んでいてもよい可変残基位置を含むもの)、コドンベー
スの突然変異等を断片的に、又はその個々の選択された
ライブラリー構成要素の配列の全長にわたって組み込む
ことができる。次いで、突然変異を生成した選択ライブ
ラリー構成要素をここに開示されるin vitro及び/又は
in vivo組換えシャッフリングによりシャッフルする。
【0216】また、本発明は、本発明の個別のライブラ
リー構成要素を複数含むペプチドライブラリーであっ
て、(1)この複数のうちの個別のライブラリー構成要
素の各々が選択された配列のプールのシャッフリングに
より生じる配列を含み、かつ(2)個々のライブラリー
構成要素の各々が(幾つかのライブラリー構成要素は不
均一な増幅、確率的蓋然性等のためにライブラリー当た
り1コピーを上回って存在する可能性があるものの)こ
の複数のうちの他の個別のライブラリー構成要素の可変
ペプチドセグメント配列又は一本鎖抗体配列とは異なる
可変ペプチドセグメント配列又は一本鎖抗体セグメント
配列を含むペプチドライブラリーも提供する。
【0217】また、本発明は、予め決められた結合特異
性を有する(又は、それを有するペプチドをコードす
る)選択されたポリヌクレオチド配列が、以下の方法に
よって形成されるものであって、その方法が、(1)提
示されたペプチド又は提示された一本鎖抗体ライブラリ
ーを予め決められた受容体(例えば、リガンド)もしく
はエピトープ(例えば、抗原高分子)に対してスクリー
ニングし、かつこの予め決められた受容体もしくはエピ
トープに結合するライブラリー構成要素を同定及び/又
は富化して選択されたライブラリー構成要素のプールを
生成し、(2)この予め決められたエピトープに結合
し、かつそれによりライブラリーから単離及び/又は富
化されている選択されたライブラリー構成要素(又はそ
れらの増幅もしくはクローン化コピー)を組換えにより
シャッフリングしてシャッフル化ライブラリーを生成
し、及び(3)このシャッフル化ライブラリーをその予
め決められた受容体(例えば、リガンド)もしくはエピ
トープ(例えば、抗原高分子)に対してスクリーニング
し、かつその予め決められた受容体もしくはエピトープ
に結合するシャッフル化ライブラリー構成要素を同定及
び/又は富化して選択されたシャッフル化ライブラリー
構成要素のプールを生成する方法である、プロダクト・
バイ・プロセスも提供する。
【0218】抗体提示及びスクリーニング法 本発明は、開示される方法のいずれかによるin vitro及
び/又はin vivo組換えによる、及びあらゆる組み合わ
せでの、抗体提示法により選択されるポリヌクレオチド
配列のシャッフルに用いることができ、そこでは会合す
るポリヌクレオチドが表現型(例えば、予め決められた
抗原(リガンド)に結合する親和性)についてスクリー
ニングされている提示抗体をコードする。
【0219】様々な分子遺伝的アプローチが、免疫グロ
ブリン鎖に存在し得る非常に多数の別個の可変領域によ
って表される巨大な免疫学的レパートリーを捕捉するた
めに考案されている。天然の生殖系列免疫グロブリン重
鎖遺伝子座は多様性セグメント遺伝子のタンデムアレイ
の上流に位置する可変セグメント遺伝子の別々のタンデ
ムアレイを含んでなり、この多様性セグメント遺伝子の
タンデムアレイはそれら自体連結(i)領域遺伝子のタ
ンデムアレイの上流に位置し、この連結(i)領域遺伝
子のタンデムアレイは定常領域遺伝子の上流に位置す
る。Bリンパ球の発生の間にV−D−J再編成が生じ、そこ
では重鎖可変領域遺伝子(VH)が再編成により形成され
て融合Dセグメントを形成し、次いでVセグメントとの再
編成が生じてV−D−J連結産生物遺伝子を形成し、これ
は、生産的に再編成された場合には、重鎖の機能的可変
領域(VH)をコードする。同様に、軽鎖遺伝子座は幾つ
かのVセグメントのうちの1つを幾つかのJセグメントの
うちの1つと再編成して軽鎖の可変領域(VL)をコード
する遺伝子を形成する。
【0220】免疫グロブリン中に存在し得る可変領域の
巨大なレパートリーは、部分的には、B細胞発生におけ
る再編成の間のV及びiセグメント(及び重鎖遺伝子座の
場合にはDセグメント)の連結の多くの組み合わせの可
能性から派生する。重鎖可変領域におけるさらなる配列
多様性は、V−D−J連結の間のDセグメントの不均一な再
編成及びN領域付加から生じる。さらに、特異的B細胞ク
ローンの抗原選択は、重鎖及び軽鎖可変領域の一方もし
くは両者における非生殖系列突然変異を有するより高親
和性の変種を選択する;“親和性成熟”又は“親和性鋭
敏化”と呼ばれる表現型。典型的には、これらの“親和
性鋭敏化”突然変異はその可変領域の特定の領域、最も
一般的には相補性決定領域(CDR)に群を形成する。
【0221】抗原刺激β細胞の発生(すなわち、免疫
化)により高親和性免疫グロブリンを産生及び同定する
上での多くの制限を克服するため、特異的抗原に対する
高親和性の抗体についてスクリーニングすることができ
る組み合わせ抗体ライブラリーを産生するように操作す
ることが可能な様々な原核発現系が開発されている。大
腸菌及びバクテリオファージ系における抗体発現の最近
の進歩(“代替ペプチド提示法”、下記を参照)は、特
徴付けられたハイブリドーマからの抗体遺伝子のクロー
ン化、又は(例えば、Ig CDNAからの)抗体遺伝子ライ
ブラリーを用いる新たな選択のいずれかにより事実上あ
らゆる特異性を得ることができる可能性を提起してい
る。
【0222】抗体の組み合わせライブラリーはバクテリ
オファージラムダ発現系において生成されており、バク
テリオファージプラークとして、又は溶原のコロニーと
してスクリーニングすることができる(Huseら (1989)
Science 246: 1275;Caton及びKoprowski (1990) Proc.
Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 87: 6450;Mullinaxら(19
90) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 87: 8095;Pers
sonら (1991) Proc.Natl. Acad. Sci. (TJ.S.A.) 88:
2432)。様々な態様のバクテリオファージ抗体提示ライ
ブラリー及びラムダファージ発現ライブラリーが記述さ
れている(Kangら (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.
S.A.) 88: 4363;Clacksonら (1991)Nature 352: 624;
McCaffertyら (1990) Nature 348: 552;Burtonら (199
1) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 88: 10134;Hoog
enboomら (1991) Nucleic Acids Res. 19: 4133;Chang
ら (1991) J. Immunol. 147: 3610;Breitlingら (199
1) Gene 104: 147;Marksら (1991) J. Mol. Biol. 222
@: 581;Barbasら (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.
S.A.) 89: 4457;Hawkins及びWinter (1992) J.Immuno
l. 22: 867;Marksら (1992) Biotechnology 10: 779;
Marksら (1992) J. Biol. Chem. 267: 16007;Lowmanら
(1991) Biochemistry 30: 10832;Lernerら (1992) Sc
ience 258: 1313、これらは参考として本明細書に組
み込まれる)。典型的には、バクテリオファージ抗体提
示ライブラリーは、(例えば、アフィニティクロマトグ
ラフィーによって反応性ファージを富化させるために共
有結合によりクロマトグラフィー樹脂に)固定化され、
及び/又は(例えば、プラークもしくはコロニーリフト
(colony lift)をスクリーニングするため)標識され
ている受容体(例えば、ポリペプチド、炭水化物、糖タ
ンパク質、核酸)を用いてスクリーニングする。
【0223】特に有利なアプローチの1つはいわゆる単
鎖断片可変(scfv)ライブラリーの使用である(Marks
ら (1992) Biotechnology 10; 779;Winter G及びMilst
ein C(1991) Nature 349: 293;Clacksonら (1991) 前
掲書中;Marksら (1991) J. Mol. Biol. 222: 581;Cha
udharyら (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 87:10
66;Chiswellら (1992) TIBTECH 10: 80;McCaffertyら
(1990) 前掲書中;及びHustonら (1988) Proc. Natl.
Acad. Sci. (USA) 85: 5879)。バクテリオファージ外
殻タンパク質上に提示されるscfvライブラリーの様々な
態様が記述されている。
【0224】1988年に始まって、Fv断片の単鎖類似体及
びそれらの融合タンパク質が抗体加工法により高い信頼
性で生成されている。その第1工程は、一般に、所望の
結合特性を有するVH及びVLドメインをコードする遺伝子
を得ることを包含する;これらのV遺伝子は特定のハイ
ブリドーマ細胞系から単離し、組み合わせV遺伝子ライ
ブラリーから選択し、又はV遺伝子の合成により作製す
ることができる。単鎖Fvは、成分V遺伝子を、適切に設
計されたリンカーペプチド、例えば、(Gly−Gly−Gly
−Gly−Ser)3もしくは等価のリンカーペプチド(1つも
しくは複数)をコードするオリゴヌクレオチドと連結さ
せることにより形成する。このリンカーは、第1V領域の
C−末端と第2領域のN−末端とを、VH−リンカー−VL又
はVL−リンカー−VH’のいずれかの順序で架橋する。原
理的には、scfv結合部位はその親抗体結合部位の親和性
及び特異性の両者を忠実に複製することができる。
【0225】このように、scfv断片は、柔軟なリンカー
ペプチドによって単一のポリペプチド鎖に連結されるVH
及びVLドメインを含んでなる。scfv遺伝子を組み立てた
後、それらをファージミドにクローン化し、M13ファー
ジ(又は類似の糸状バクテリオファージ)の先端にバク
テリオファージPIII(遺伝子3)外殻タンパク質との融
合タンパク質として発現させる。関心のある抗体を発現
するファージの富化は、予め決められたエピトープ(例
えば、標的抗原、受容体)に結合するための集合scfvを
提示する組換えファージをパンニングすることにより達
成する。
【0226】ライブラリー構成要素の連結したポリヌク
レオチドはスクリーニング又は選択手順の後のそのライ
ブラリー構成要素の複製の基礎をもたらし、また、提示
されるペプチド配列又はVH及びVLアミノ酸配列の同一性
のヌクレオチド配列決定による決定の基礎ももたらす。
提示されるペプチド(1つもしくは複数)又は単鎖抗体
(例えば、scfv)並びに/又はそのVH及びVLドメインも
しくはそれらのCDRを適切な発現系にクローン化して発
現させることができる。しばしば、単離されたVH及びVL
ドメインをコードするポリヌクレオチドを定常領域(CH
及びCL)をコードするポリヌクレオチドにライゲートし
て完全な抗体(例えば、キメラもしくは完全なヒト
の)、抗体断片等をコードするポリヌクレオチドを形成
する。しばしば、単離されたCDRをコードするポリヌク
レオチドを適切な可変領域フレームワーク(及び任意に
定常領域)をコードするポリヌクレオチドに移植して完
全な抗体(例えば、ヒト化もしくは完全なヒトの)、抗
体断片等をコードするポリヌクレオチドを形成する。調
製量の抗原をイムノアフィニティークロマトグラフィー
によって単離するのに抗体を用いることができる。この
ような抗体の他の様々な用途は、疾患(例えば、腫瘍形
成)の診断及び/又は段階付け、及び、例えば腫瘍形
成、自己免疫疾患、AIDS、心血管疾患、感染症のような
疾患を治療する治療用途である。
【0227】scfvライブラリーの組み合わせ多様性を増
大させて結合種のレパートリー(イディオタイプスペク
トル)を広げるための様々な方法が報告されている。PC
Rの使用は、可変領域を特定のハイブリドーマ源から、
もしくは非免疫細胞からの遺伝子ライブラリーとして迅
速にクローン化させ、これは、組み合わせることが可能
なVH及びVLカセットの分類における組み合わせの多様性
をもたらす。さらに、これらのVH及びVLカセットは、例
えば無作為、疑似無作為、又は特異的突然変異誘発によ
り、それ自体で多様化することが可能である。典型的に
は、VH及びVLカセットが相補性決定領域(CDRS)、しば
しば第3CDR、CDR3において、又はその近傍で多様化す
る。酵素的逆PCR突然変異誘発は、誤り易発性PCR及び化
学的突然変異誘発を有するものとして(Dengら (1994)
J. Biol. Chem. 269: 953 3)、scfv部位特異的変異体
の比較的大きなライブラリーを構築するための簡潔かつ
信頼性の高い方法であることが示されている(Stemmer
ら (1993) Biotechniques 14:256)。Riechmannら (199
3) Biochemistry 32: 8848では、変性オリゴヌクレオチ
ドPCR及び生じたscfv変異体の引き続くファージ提示に
よる、部位特異的無作為化を用いる抗体scfv断片の半合
理的設計が示された。Barbasら (1992) 前掲書中では、
偏向した可変領域配列を用いる結果としてレパートリー
サイズが制限される問題を、ヒト破傷風トキソイド結合
Fabの合成CDR領域においてその配列を無作為化すること
により回避することが試みられた。
【0228】CDR無作為化は、重鎖CDR3単独について約1
×1020のCDRを創出し、かつほぼ同数の重鎖CDR1及びCDR
2の変種、並びに軽鎖CDR1−3変種を創出する潜在性を有
する。個別に、又は一緒に考えると、重鎖及び/又は軽
鎖のCDR無作為化の組み合わせの可能性は、法外の数の
バクテリオファージクローンを産生して可能性のある全
ての組み合わせを表すクローンライブラリーを生成する
ことを必要とし、その組み合わせの大部分は非結合性で
ある。このような多数の一次形質転換体の産生は、現在
の形質転換技術及びバクテリオファージ提示系では実現
可能ではない。例えば、Barbasら (1992) 前掲書中では
僅かに5×107個の形質転換体のみが産生され、これは、
完全に無作為化されたCDRのライブラリーの潜在的な多
様性の極めて小さい割合しか占めない。
【0229】これらの実質的な制限にも関わらず、scfv
のバクテリオファージ提示は既に様々な有用な抗体及び
抗体融合タンパク質を産生している。二特異的(bispec
ific)単鎖抗体が効率的な腫瘍細胞の溶解に介在するこ
とが示されている(Gruberら(1994) J. Immunol. 152:
5368)。抗−Rev scfvの細胞内発現がin vitroでHIV−1
ウイルスの複製を阻害することが示されており(Duanら
(1994) Proc. Natl.Acad. Sci. (USA) 91: 5075)、抗
−p21rar scfvの細胞内発現がアフリカツメガエル(Xen
opus)卵母細胞の減数分裂性成熟を阻害することが示さ
れている(Bioccaら (1993) Biochem. Bioshys. Res. C
ommun. 197: 422)。HIV感染の診断に用いることができ
る組換えscfvも報告されており、これはscfvの診断上の
利用性を示す(Lilleyら (1994) J. Immunol. Meth. 17
1: 211)。scFvが毒素もしくは線維素溶解活性化因子タ
ンパク質のような第2ポリペプチドに連結する融合タン
パク質も報告されている(Holvostら (1992) Eur. J. B
iochess. 210: 945;Nichollsら (1993) J. Biol. Che
m. 268: 5302)。
【0230】より広い抗体多様性を有し、かつ潜在的な
配列の組み合わせの非常に小さい割合しか取り扱うこと
ができない従来のCDR突然変異誘発及び無作為化法の多
くの制限を克服するscfbライブラリーを生成することが
可能であったならば、治療及び診断用途に適するscfv抗
体の数及び質を大きく改善することが可能であった。こ
れに取り組むため、選択された提示抗体から得られた核
酸から(典型的には、PCR増幅又はクローン化により)
得られているCDRの組換えに本発明のin vitro及びin vi
voシャッフリング法を用いる。このような提示抗体は細
胞、バクテリオファージ粒子、ポリソーム、又はその抗
体がコードする核酸(1つもしくは複数)と会合するあ
らゆる適切な抗体提示系で提示させることができる。1
つの変形においては、これらのCDRが抗体産生細胞(例
えば、免疫野生型マウス、ヒト、又はWO92/03918号、W
O93/12227号、及びWO94/25585号におけるもののよう
なヒト抗体を作製することが可能なトランスジェニック
マウスに由来する血漿細胞/脾臓細胞)に由来するmR
NA(もしくはcDNA)からまず得られ、この抗体産
生細胞にはそれらから誘導されるハイブリドーマが含ま
れる。
【0231】第1の選択において、(典型的には、抗原
(例えば、リガンド)に結合する提示抗体についての親
和性選択により)これらの方法のいずれかによって選択
されたポリヌクレオチド配列をプールし、そのプール
(1つもしくは複数)をin vitro及び/又はin vivo組換
え、特にはCDRのシャッフリング(典型的には、他の重
鎖CDRとの重鎖CDRのシャッフリング及び他の軽鎖CDRと
の軽鎖CDRのシャッフリング)によってシャッフルし
て、組換えられた選択ポリヌクレオチド配列の集団を含
むシャッフル済みプールを生成する。これらの組換えら
れた選択ポリヌクレオチド配列を選択方式で提示抗体と
して発現させ、少なくとも1回の引き続く選択に供す
る。引き続く選択(1回もしくは複数回)において選択
されたポリヌクレオチド配列は、直接使用し、配列決定
し、並びに/又は所望の結合親和性を有する抗体が得ら
れるまで1回以上のさらなるシャッフリング及び引き続
く選択に供することができる。また、選択された配列は
中性抗体フレームワーク配列(すなわち、抗原結合に対
する機能的効果が実質的にはない)をコードするポリヌ
クレオチド配列と戻し交雑させることが可能であり、例
えば、ヒト可変領域フレームワークとの戻し交雑により
ヒト様配列の抗体を産生する。一般には、戻し交雑の間
に、引き続く選択を適用して予め決められた抗原に結合
する特性を保持する。
【0232】あるいはまた、又は注記される変形と組み
合わせて、標的エピトープの原子価を変化させて選択さ
れたscfvライブラリー構成要素の平均結合親和性を制御
することができる。この標的エピトープは、例えば、競
合エピトープを含めることにより、希釈により、又は当
業者に公知の他の方法により、表面又は基体に様々な密
度で結合させることができる。高密度(原子価)の予め
決められたエピトープを用いて比較的低い親和性を有す
るscfvライブラリー構成要素を富化することができ、こ
れに対して、低密度(原子価)はより親和性の高いscfv
ライブラリー構成要素を優先的に富化する。
【0233】多様な可変セグメントを生成させるため、
無作為もしくは疑似無作為ペプチド配列、又はペプチド
配列の定義された配列核セットをコードする合成オリゴ
ヌクレオチドの集合をライゲーションにより予め決めら
れた部位(例えば、CDR)に挿入することができる。同
様に、単鎖抗体カセット(1つもしくは複数)の1つ以上
のCDRの配列多様性は、部位特異的突然変異誘発、CDR置
換等によりそのCDR(1つもしくは複数)を突然変異させ
ることにより拡大させることができる。得られたDNA
分子はシャッフリングに先立ってクローン化及び増幅す
るために宿主において増殖させることができ、又は直接
用いることが可能であり(すなわち、宿主細胞内での増
殖の際に生じ得る多様性の損失を回避することが可能で
あり)、続いてその選択されたライブラリー構成要素を
シャッフルする。
【0234】関心のある可変セグメントペプチド配列又
は関心のある単鎖抗体をコードする提示ペプチド/ポリ
ヌクレオチド複合体(ライブラリー構成要素)をそのラ
イブラリーから親和性富化技術により選択する。これ
は、関心のあるペプチド配列、例えば、受容体、他の巨
大分子、又は他のエピトープ種に特異的な固定化巨大分
子又はエピトープにより達成される。この親和性選択手
順を繰り返すことにより所望の配列をコードするライブ
ラリー構成要素の富化がもたらされ、次にそれをプール
及びシャッフリング、配列決定、及び/又はさらなる増
殖及び親和性富化のために単離することができる。
【0235】所望の特異性を持たないライブラリー構成
要素を洗浄により除去する。必要とされる洗浄の程度及
びストリンジェンシーは関心のあるペプチド配列又は単
鎖抗体及び固定化された所定の巨大分子又はエピトープ
の各々について決定される。結合インキュベーション及
び引き続く洗浄の条件を調節することにより回収された
新生ペプチド/DNA複合体の結合特性全体にわたって
特定の程度の制御を行うことができる。温度、pH、イオ
ン強度、二価カチオン濃度、並びに洗浄液の容積及び時
間は、新生ペプチド/DNA複合体について、固定化巨
大分子に対する親和性の特定の範囲内で選択する。通常
高親和性を前提とする遅い解離速度に基づく選択が、し
ばしば、最も実際的な経路である。これは、飽和量の遊
離の予め決められた巨大分子の存在下における連続イン
キュベーションにより、又は洗浄の容積、回数、及び長
さを増加させることにより行うことができる。各々の場
合において、解離した新生ペプチド/DNAもしくはペ
プチド/RNA複合体の再結合が妨げられ、時間の増加
に伴い、次第に親和性が高い新生ペプチド/DNAもし
くはペプチド/RNA複合体が回収される。
【0236】結合及び洗浄手順のさらなる改変を適用し
て特別な特徴を有するペプチドを見出すことができる。
幾つかのペプチドの親和性はイオン強度又はカチオン濃
度に依存する。これは、様々なタンパク質の親和性精製
において用いられるペプチドについて、そのペプチドか
らタンパク質を取り除くのに穏やかな条件が必要とされ
る場合に有用な特徴である。
【0237】1つの変形は、異なる結合特異性を有するs
cfvの多重度についてscfvライブラリーを同時にスクリ
ーニングできるように、複数の結合標的(複数のエピト
ープ種、複数の受容体種)の使用を包含する。scfvライ
ブラリーの大きさによりしばしば潜在的なscfv配列の多
様性が制限されることを考慮すると、典型的には、可能
な限り大きなサイズのscfvライブラリーを用いることが
望ましい。多数の非常に大きなポリソームscFv提示ライ
ブラリーを生成する時間及び経済的考慮は法外なものと
なる可能性がある。この実質的な問題を回避するため、
複数の予め決められたエピトープ種(受容体種)を単一
のライブラリーにおいて同時にスクリーニングすること
が可能であり、又は多数のエピトープ種に対する逐次的
なスクリーニングを用いることができる。1つの変形に
おいては、各々別のビーズ(又はビーズのサブセット)
上にコードされる複数の標的エピトープ種を混合し、ポ
リソーム提示scfvライブラリーと共に適切な結合条件下
でインキュベートすることができる。その後、複数のエ
ピトープ種を含むビーズの集合を親和姓選択によるscfv
ライブラリー構成要素の単離に用いることができる。一
般に、引き続く親和性スクリーニングには、ビーズ、そ
れらのサブセット、又は1つもしくは2つの個々のエピト
ープ種のみを有するビーズの同じ混合物を含めることと
ができる。このアプローチは効率的なスクリーニングを
もたらし、実験室の自動化、バッチ処理、及びハイスル
ープットスクリーニング法と適合する。
【0238】様々な技術を、本発明において、ペプチド
ライブラリーもしくは単鎖抗体ライブラリーの多様化
に、又はシャッフリングに先立ち、もしくはシャッフリ
ングと同時に、予め決められた巨大分子もしくはエピト
ープに対する結合活性を十分にするための早期のパンニ
ングにおいて見出される可変セグメントペプチド周辺の
多様化に用いることができる。1つのアプローチにおい
ては、陽性の選択ペプチド/ポリヌクレオチド複合体
(早期の親和性富化において同定されるもの)を配列決
定して活性ペプチドの同一性を決定する。次に、これら
の活性ペプチドの配列に基づいてオリゴヌクレオチドを
合成するが、これには、その一次オリゴヌクレオチド配
列に僅かな変異を生成させるために、各工程で全ての塩
基が低濃度で用いられている。次いで、この(僅かに)
変性したオリゴヌクレオチドの混合物を可変セグメント
配列の適切な位置にクローン化する。この方法は出発ペ
プチド配列の体系的な、制御された変種を生成し、これ
は次にシャッフルすることができる。しかしながら、個
々の陽性の新生ペプチド/ポリヌクレオチド複合体を突
然変異誘発に先立って配列決定し、したがって、それが
少数の回収された複合体の多様性の拡大及びより高い結
合親和性及び/又はより高い結合特異性を有する変種の
選択に有用であることが必要である。1つの変形におい
ては、陽性の選択ペプチド/ポリヌクレオチド複合体
(特には、可変領域配列)の変異原性PCR増幅を行い、
その増幅産生物をin vitro及び/又はin vivoでシャッ
フルし、かつ配列決定に先立って1回以上の追加のスク
リーニングを行う。同じ一般的なアプローチを単鎖抗体
に関して多様性を拡大し、かつ結合親和性/特異性を増
強するために用いることができ、これは、典型的には、
シャッフリングに先立ち、もしくはシャッフリングと同
時に、CDR又は隣接フレームワーク領域を多様化するこ
とにより行う。所望であれば、選択されたライブラリー
構成要素とのin vitro組換えが可能な変異原性オリゴヌ
クレオチドをシャッフリング反応に加えることが可能で
ある。したがって、合成オリゴヌクレオチド及び(誤り
易発性又は高忠実度法により合成された)PCR産生ポリ
ヌクレオチドの混合物をin vitroシャッフリング混合物
に添加し、生じるシャッフル済みライブラリー構成要素
(シャッフラント(shufflant))に組み込むことが可
能である。
【0239】本発明のシャッフリングはCDR変異単鎖抗
体の巨大ライブラリーの生成を可能にする。このような
抗体を産生する方法の1つは、シャッフリングに先立
ち、もしくはシャッフリングと同時に、合成CDRを単鎖
抗体に挿入し、及び/又はCDR無作為化を行うことであ
る。この合成CDRカセットの配列はヒトCDRの既知配列デ
ータを参照することにより選択され、かつ以下の指針に
従って熟練者の判断で選択される;合成CDRは既知CDR配
列と少なくとも40パーセントの位置的配列同一性を有
し、好ましくは既知CDR配列と少なくとも50〜70パーセ
ントの位置的同一性を有する。例えば、合成CDR配列の
集合はKabatら (1991) 前掲書中に記載される天然ヒトC
DR配列に基づいてオリゴヌクレオチド配列の集合を合成
することにより生成することができる;合成CDR配列の
プール(1つもしくは複数)は、少なくとも1つの既知天
然ヒトCDR配列と少なくとも40パーセントの配列同一性
を有するCDRペプチド配列をコードするように算出され
る。あるいは、ある残基位置に頻繁に(すなわち、既知
CDR配列の少なくとも5パーセント)用いられるアミノ酸
が合成CDRの対応位置(1つもしくは複数)に組み込まれ
るように、天然CDR配列の集合を比較してコンセンサス
配列を生成することができる。典型的には、幾つか(例
えば、3〜約50)の既知CDR配列を比較し、それらの既知
CDR間に観察される天然配列の変動を表にして、観察さ
れる天然配列の変動の順列を全て、もしくは大部分包含
するCDRペプチド配列をコードするオリゴヌクレオチド
の集合を合成する。例えば、以下に限定されるものでは
ないが、ヒトVH CDR配列の集合がTyr、Val、Phe、もし
くはAspのいずれかであるカルボキシ末端アミノ酸を有
する場合、カルボキシ末端CDR残基がこれらのアミノ酸
のいずれかであるように合成CDRオリゴヌクレオチド配
列のプール(1つもしくは複数)を設計する。一部の態
様においては、CDR配列の集合においてある残基位置に
自然に生じるもの以外の残基が組み込まれる:保存アミ
ノ酸の置換がよく取り込まれ、既知天然CDR配列との比
較での非保存アミノ酸置換を取り込むために5つまでの
残基位置を変化させることができる。このようなCDR配
列は(初回のスクリーニング前の)一次ライブラリー構
成要素に用いることができ、及び/又は選択されたライ
ブラリー構成要素配列のin vitroシャッフリング反応を
スパイクするのに用いることができる。このような定義
された、及び/又は変性した配列のプールの構築は当業
者が容易に達成することができる。
【0240】合成CDR配列の集合は、天然CDR配列である
ことが知られていない構成要素を少なくとも1つ含む。
重鎖CDRにおけるN領域付加に相当する無作為もしくは疑
似無作為配列の一部を含めるか、含めないかは熟練者の
判断に任される;このN領域配列はV−D及びD−J接合部
に生じる1ヌクレオチド〜約4ヌクレオチドの範囲であ
る。合成重鎖CDR配列の集合は少なくとも約100のユニー
クなCDR配列、典型的には少なくとも約1,000のユニーク
なCDR配列、好ましくは少なくとも約10,000のユニーク
なCDR配列、頻繁には50,000を上回るユニークなCDR配列
を含む;しかしながら、時には、特に天然ヒトCDRにお
いて保存アミノ酸置換が存在しないか、もしくは希(す
なわち、0.1パーセント未満)である位置での保存アミ
ノ酸置換が可能である場合には1×107〜1×108のユニー
クなCDR配列が存在することもあるが、通常は約1×106
以下のユニークなCDR配列がこの集合に含まれる。一般
には、ライブラリーに含まれるユニークなCDR配列の数
はそのライブラリーにおける一次形質転換体の予想数を
係数10を上回って越えるべきではない。このような単鎖
抗体は、一般には少なくとも約1×10m〜、好ましくは少
なくとも約5×107M−1の親和性、より好ましくは約1×1
08〜1×109M−1以上の親和性、時には1×1010M−1まで
もしくはそれ以上で結合する。頻繁には、予め決められ
た抗原はヒトタンパク質、例えば、ヒト細胞表面抗原
(例えば、CD4、CD8、IL−2受容体、EGF受容体、PDGF受
容体)、他のヒト生物学的巨大分子(例えば、トロンボ
モジュリン、プロテインC、炭水化物抗原、シアリルル
イス抗原、Lセレクチン)、又は非ヒト疾患関連巨大分
子(例えば、細菌LPS、ビリオンのキャプシドタンパク
質もしくはエンベロープ糖タンパク質)等である。
【0241】所望の特異性を有する高親和性単鎖抗体
は、様々な系において加工し発現させることができる。
例えば、scfvは植物において産生されており(Firekら
(1993)Plant Mol. Biol. 23: 861)、かつ原核細胞系に
おいて容易に生成することができる(Owens RJ及びYoun
g RJ (1994) J. Immunol. Meth. 168: 149;JohnsonS及
びBird RE (1991) Methods Enzymol 203: 88)。さら
に、単鎖抗体を全抗体又はそれらの様々な断片の構築の
基礎として用いることができる(Kettleboroughら (199
4) Eur. J. Immunol. 24: 952)。可変領域コーディン
グ配列を(例えば、PCR増幅又はサブクローン化によ
り)単離して所望のヒト定常領域をコードする配列にス
プライシングし、免疫原性が好ましく最小化されてい
る、ヒトの治療用途により適するヒト配列抗体をコード
することができる。この結果生じる完全なヒトコーディ
ング配列(1つもしくは複数)を有するポリヌクレオチ
ド(1つもしくは複数)を(例えば、哺乳動物細胞中の
発現ベクターから)宿主細胞において発現させ、医薬処
方のために精製することができる。
【0242】このDNA発現構築体は、典型的には、自
然に会合するプロモーター配列又は異種プロモーター配
列を含む、そのコーディング配列に作動可能に結合した
発現制御DNA配列を含む。好ましくは、その発現制御
配列は、真核宿主細胞を形質転換又はトランスフェクト
することが可能なベクター中の真核プロモーター系であ
る。ひとたびそのベクターが適切な宿主に組み込まれる
と、その宿主はそれらのヌクレオチド配列の高レベルの
発現、並びにその変異体の“加工済み”抗体の回収及び
精製に適する条件下に保持される。
【0243】前述したように、これらのDNA配列は、
これらの配列が発現制御配列に作動可能に結合された
(すなわち、その構造遺伝子の転写及び翻訳を確実なも
のとするように位置した)後に宿主内で発現する。これ
らの発現ベクターは、典型的には宿主生物においてエピ
ソームとして、又はその宿主の染色体DNAを構成する
一部として複製可能である。通常は、発現ベクターは、
所望のDNA配列で形質転換されている細胞の検出を可
能とする選択マーカー、例えば、テトラサイクリンもし
くはネオマイシンを含む(例えば、米国特許第4,704,36
2号を参照、これは参考として本明細書に組み込まれ
る)。
【0244】酵母のような真核微生物に加えて、哺乳動
物組織細胞培養物も本発明のポリペプチドの生成に用い
ることができる(Winnacker, “遺伝子からクローンへ
(From Genes to Clones)” VCH Publishers, N.i.,
N.Y. (1987)を参照、これは参考として本明細書に組み
込まれる)。真核細胞は、未変性の免疫グロブリンを分
泌することが可能な多くの適切な宿主細胞系が当該技術
分野において開発されているために実際好ましく、これ
にはCHO細胞系、様々なCOS細胞系、HeLa細胞、ミエロー
マ細胞系等が含まれるが、好ましくは形質転換B細胞又
はハイブリドーマである。これらの細胞の発現ベクター
は発現制御配列、例えば、複製起点、プロモーター、エ
ンハンサー(Queenら (1986) Immunol. Rev. 89: 4
9)、並びに必要なプロセシング情報部位、例えば、リ
ボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニ
ル化部位、及び転写終結部位を含むことができる。好ま
しい発現制御配列は、免疫グロブリン遺伝子、サイトメ
ガロウイスル、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマ
ウイルス等に由来するプロモーターである。
【0245】真核性DNA転写はエンハンサー配列をベ
クターに挿入することに増大させることができる。エン
ハンサーは、プロモーターによる転写を増大させる10〜
300bpのシス作動性配列である。エンハンサーは転写単
位に対して51もしくは31のいずれかである場合に転写を
効果的に増大させることができる。また、イントロン内
又はコーディング配列自体の内に位置する場合にも有効
である。典型的には、SV40エンハンサー、サイトメガロ
ウイルスエンハンサー、ポリオーマエンハンサー及びア
デノウイスルエンハンサーを含むウイルスエンハンサー
が用いられる。マウス免疫グロブリン重鎖エンハンサー
のような、哺乳動物系に由来するエンハンサー配列も一
般的に用いられる。
【0246】哺乳動物発現ベクターも、典型的には、選
択可能なマーカー遺伝子を含む。適切なマーカーの例に
はジヒドロフォレートリダクターゼ遺伝子(DHFR)、チ
ミジンキナーゼ遺伝子(TK)又は薬剤耐性を付与する原
核生物遺伝子が含まれる。最初の2つのマーカー遺伝子
には、成長培地にチミジンを添加することなく成長する
能力を欠く変異体細胞系を使用することが好ましい。そ
の後、それらの非補足培地での成長能力により形質転換
細胞を同定することができる。マーカーとして有用な原
核生物薬物耐性遺伝子の例には、G418に対する耐性を付
与する遺伝子、ミコフェノール酸(mycophenolic aci
d)及びハイグロマイシンが含まれる。
【0247】関心のあるDNAセグメントを含むベクタ
ーを、細胞性宿主のタイプに応じて、公知の方法により
宿主細胞に移入することができる。例えば、塩化カルシ
ウムトランスフェクションは原核細胞に対して一般的に
用いられ、これに対して、リン酸カルシウム処理、リポ
フェクション、又は電気穿孔法を他の細胞性宿主に用い
ることができる。哺乳動物細胞の形質転換に用いられる
他の方法には、ポリブレン、プロトプラスト融合、リポ
ソーム、電気穿孔法、及び微量注入が含まれる(概要
は、Sambrookら、前出を参照)。
【0248】ひとたび発現させると、本発明の抗体、個
々の変異免疫グロブリン鎖、変異抗体断片、及び他の免
疫グロブリンポリペプチドを、硫酸アンモニウム沈殿、
分画カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動等を含む
当該技術分野の標準手順に従って精製することができ
る。(概要は、Scopes, R. Protein Purification, Spr
inger-Verlag, N.Y. (1982)を参照)。ひとたび部分的
に、もしくは所望に応じて均質にまで精製すると、それ
らのポリペプチドを治療の上で用い、又はアッセイ手
順、免疫蛍光染色等の開発もしくは実施において用いる
ことができる(一般には、免疫学的方法(Immunologica
l Methods)、第I巻及び第II巻、Lefkovits及びPernis
編、Academic Press、ニューヨーク、N.Y. (1979年及
び1981年)を参照)
【0249】本発明の方法によって産生した抗体は診断
及び治療に用いることができる。説明としてであって限
定するものではないが、これらは癌、自己免疫疾患、又
はウイルス感染症の治療に用いることができる。癌の治
療については、これらの抗体は、典型的には、erbB−
2、CEA、CD33並びに当業者に公知の他の多くの抗原及び
結合構成要素のような癌細胞上に優先的に発現する抗原
に結合する。
【0250】酵母2ハイブリッドスクリーニングアッセ
イ シャッフリングは、2ハイブリッドスクリーニング系を
スクリーニングして予め決められたポリペプチド配列に
結合するライブラリー構成要素を同定することにより得
られる選択ライブラリー構成要素のプールの組換え的な
多様化にも用いることができる。選択されたライブラリ
ー構成要素をプールし、in vitro及び/又はin vivo組
換えによりシャッフルする。次に、シャッフルしたプー
ルを酵母2ハイブリッド系においてスクリーニングし、
前述の予め決められたポリペプチド配列(例えば、SH2
ドメイン)に結合、又は代替の予め決められたポリペプ
チド配列(例えば、別のタンパク質種に由来するSH2ド
メイン)に結合するライブラリー構成要素を選択する。
【0251】予め決められたポリペプチド配列に結合す
るポリペプチド配列を同定するアプローチは、その予め
決められたポリペプチド配列が融合タンパク質中に存在
するいわゆる“2ハイブリッド”系に用いられている(C
hienら (1991) Proc. Natl.Acad. Sci. (USA) 88: 957
8)。このアプローチは、転写アクチベーター、酵母Gal
4転写タンパク質の再構築によりin vivoにおけるタンパ
ク質−タンパク質相互作用を同定する(Fields S及びSo
ng O (1989) Nature 340: 245)。典型的には、この方
法は酵母Gal4タンパク質の特性に基づいており、これは
DNA結合及び転写活性の原因となる分離可能なドメイ
ンからなる。2つのハイブリッドタンパク質をコード
し、その一方が既知タンパク質のポリペプチド配列に融
合した酵母Gal4 DNA結合ドメインからなり、かつ他
方が第2のタンパク質のポリペプチド配列に融合したGal
4活性化ドメインからなるポリヌクレオチドを構築し、
酵母宿主細胞に導入する。これらの2つの融合タンパク
質の間の分子間結合はGal4活性化ドメインを有するGal4
DNA結合ドメインを再構成し、これはGal4結合部位
に作動可能に連結するレポーター遺伝子(例えば、lac
z、HIS3)の転写活性化を導く。典型的には、この2ハイ
ブリッド法は既知タンパク質と相互作用する新規ポリペ
プチド配列の同定に用いられる(Silver SC及びHunt SW
(1993) Mol. Biol. Rep. 17: 155;Durfeeら (1993)
Genes Devel. 7: 555;Yangら (1992) Science 257: 68
0;Lubanら (1993) Cell 73: 1067;Hardyら (1992) Ge
nes Devel.6: 801;Bartelら (1993) Biotechniques 1
4: 920;及びVojtekら (1993) Cell74: 205)。しかし
ながら、この2ハイブリッド法の変形が、第2の既知タン
パク質への結合を自ら生じる既知タンパク質の突然変異
の同定に用いられている(LiB及びFields S (1993) FAS
EB J. 7: 957;Laloら (1993) Proc. Natl. Acad. Sci.
(USA) 90: 5524;Jacksonら (1993) Mol. Cell. Biol.
13: 2899;及びMaduraら (1993) J. Biol-Chem. 268:
12046)。また、2ハイブリッド系は2つの既知タンパク
質の相互作用する構造ドメイン(Bardwellら (1993) me
d. Microbial.8: 1177;Chakrabartyら (1992) J. Bio
l. Chem. 267: 17498;Staudingerら (1993) J. Biol.
Chem. 268: 4608;及びMilne GT.及びWeaver DT (1993)
Genes Devel. 7: 1755)又は単一のタンパク質のオリ
ゴマー化の原因であるドメイン(Iwabuchiら (1993) On
cogene 8: 1693;Bogerdら (1993) J. Virol. 67: 503
0)の同定にも用いられている。2ハイブリッド系の変形
が原核生物の酵素のin vivo活性の研究に用いられてい
る(Dasmahapatraら (1992) Proc. Natl. Acad. Sci.(U
SA) 89: 4159)。その代わりに、大腸菌/BCCP相互作用
スクリーニング系(Germinoら (1993) Proc. Natl. Aca
d. Sci. (U.S.A.) 90: 933;Guarente L (1993) Proc.
Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 90: 1639)を、相互作用す
るタンパク質配列(すなわち、ヘテロダイマー化、もし
くはより高次のヘテロマルチマーを形成するタンパク質
配列)の同定に用いることができる。2ハイブリッド系
によって選択された配列をプールしてシャッフルし、引
き続き1回以上スクリーニングして予め決められた結合
配列を含むハイブリッドに結合するポリペプチド配列を
同定するために2ハイブリッド系に導入することができ
る。このようにして同定された配列を比較し、コンセン
サス配列(1つもしくは複数)及びコンセンサス配列核
を同定することができる。
【0252】一般には、組換えDNA技術の標準技術は
様々な刊行物、例えば、Sambrookら、1989、分子クロー
ニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Labor
atory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory;Aus
ubelら、1987、分子生物学における現在のプロトコル
(Current Protocols in Molecular Biology)、第1巻
及び第2巻及び補遺、並びにBerger及びKimmel、酵素学
における方法(Methods in Enzymology)、第152巻、分
子クローニング技術の手引き(Guide to Molecular Clo
ning Technicrues)(1987)、Academic Press, Inc.、
サンディエゴ、CAに記述されており、これらの各々は参
考としてそれら全体が本明細書に組み込まれる。ポリヌ
クレオチド修飾酵素は製造者の推奨に従って用いた。オ
リゴヌクレオチドは、アプライド・バイオシステムズ社
(Applied Biosystems Inc.)モデル394DNA合成機で
ABIケミカルズ(ABI chemicals)を用いて合成した。所
望であれば、予め決められたDNA配列を増幅するため
のPCR増幅器(PCR amplimers)を熟練者の判断で選択す
ることができる。
【0253】鋳型DNAのサンプル1 μgを得て、UV光によ
って処理することにより、TT二量体、特にプリン二量体
を含む、二量体を形成させる。UV暴露は、鋳型DNAサン
プル上の遺伝子当たりほんの2、3個の光化学反応生成物
が生産されるように制限される。複数のサンプルを、UV
光で種々の時間処理することにより、UV暴露から種々の
数の二量体を有する鋳型DNAサンプルを得る。
【0254】非プルーフリーディングポリメラーゼ(例
えば、Stratagene Cloning Systems社製プライム−It I
Iランダムプライマーラベリングキット(Prime-It II R
andom Primer Labeling kit))を利用するランダムプ
ライミング(priming)キットを利用して、UV光(上記
のように)により調製される鋳型上のランダム部位でプ
ライミングし、そして鋳型にそって伸長させることによ
って異なるサイズのポリヌクレオチドを作製する。プラ
イム−It IIランダムプライマーラベリングキットに記
載されたようなプライミングプロトコールを利用して、
プライマーを伸長することができる。UV暴露によって形
成された二量体は、非プルーフリーディングポリメラー
ゼによる伸長の妨害物として作用する。このように、ラ
ンダムサイズポリヌクレオチドのプールは、ランダムプ
ライマーによる伸長が終了した後に与えられる。
【0255】本発明は、さらに、典型的には増幅及び/
またはクローン化されたポリヌクレオチドの形態の、選
択された変異体ポリヌクレオチド配列(または選択され
たポリヌクレオチド配列の集団)を生成する方法であっ
て、前記選択されたポリヌクレオチド配列が少なくとも
一種の所望の選択可能な発現型の特徴(例えばポリペプ
チドをコードすること、結合したポリヌクレオチドの転
写を促進すること、タンパク質に結合すること等)を有
する前記方法に関する。所望の構造または機能的特性、
例えば所定の生物学的巨大分子(例えば受容体)に結合す
る特性を有するハイブリッドポリペプチドを同定する一
つの方法は、ポリペプチドのアミノ酸配列により与えら
れた所望の構造または機能的特性を有する個々のライブ
ラリーのメンバーについてポリペプチドの大きなライブ
ラリーをスクリーニングすることを含む。
【0256】一つの態様においては、本発明は、アフィ
ニティ相互作用スクリーニングまたは表現型スクリーニ
ングに適した提示ポリペプチドまたは提示抗体のライブ
ラリーを生成する方法を提供する。該方法は、(1) 提示
ポリペプチドもしくは提示抗体及びこれらの提示ポリペ
プチドもしくは提示抗体をコードする関連するポリヌク
レオチドを含む第一の複数の選択されたライブラリーの
メンバーを得、前記関連するポリヌクレオチドまたはそ
のコピーを得、前記関連するポリヌクレオチドが実質的
に同一の配列の領域を含むものとし、最適には前記ポリ
ヌクレオチドまたはそのコピーに変異を導入し、(2) 前
記ポリヌクレオチドまたはコピーをプールし、(3) ラン
ダムなもしくは特定されたプライミング及び合成過程、
または増幅過程を中断することにより、より小さいまた
はより短いポリヌクレオチドを製造し、(4) 増幅、好ま
しくはPCR増幅、及び任意に突然変異誘発を行い、新た
に合成されたポリヌクレオチドを相同的に組換えること
を含む。
【0257】本発明の特に好ましい目的は、以下の一連
の工程により有用なハイブリッドポリペプチドを発現す
るハイブリッドポリヌクレオチドを製造する方法を提供
することである。上記一連の工程は、(a) 増幅または合
成過程をブロックまたは中断する手段を用いてポリヌク
レオチド増幅または合成過程を中断することによりポリ
ヌクレオチドを製造し、それにより完成の種々の段階に
あるポリヌクレオチドの複製により、より小さいまたは
より短い複数のポリヌクレオチドを与え、(b) 得られた
一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドの集団に、一種以
上の一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチドを加え、こ
こで添加されるオリゴヌクレオチドは前記集団の一本鎖
または二本鎖ポリヌクレオチドの一以上に対して異種構
造の部分中の同一の部分を含むものとし、(c) 得られた
一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチドを変性させて一
本鎖ポリヌクレオチドの混合物を生成し、任意により短
いまたはより小さいポリヌクレオチドを種々の長さのポ
リヌクレオチドのプールに分離し、さらに任意に前記ポ
リヌクレオチドをPCR法に供して前記ポリヌクレオチド
プールの少なくとも一つに含まれる一種以上のオリゴヌ
クレオチドを増幅し、(d) 複数の前記ポリヌクレオチド
または前記ポリヌクレオチドの少なくとも一のプールを
ポリメラーゼとともに、一本鎖ポリヌクレオチド間で同
一の領域において前記一本鎖ポリヌクレオチドのアニー
リングが起こる条件下でインキュベートし、そのように
して突然変異が誘発された二本鎖ポリヌクレオチド鎖を
形成し、(e) 任意に工程(c)及び(d)を反復し、(f) 前記
一種以上のポリヌクレオチド鎖から少なくとも一種のハ
イブリッドポリペプチドを発現させ、(g) 前記少なくと
も一種以上のハイブリッドポリペプチドを有用な活性に
ついてスクリーニングする、ことを含む。本発明の好ま
しい態様において、増幅または合成プロセスをブロック
しまたは妨害する手段は、紫外線、DNA付加物、DN
A結合タンパク質によるものである。
【0258】本発明の一つの実施態様においては、DN
A付加物、またはDNA付加物を含むポリヌクレオチド
は、例えば、さらに処理する前にDNA断片を含む溶液
を加熱することを含む過程により、ポリヌクレオチドま
たはポリヌクレオチドプールから除去される。
【0259】このように、本発明の例示的な実施態様を
開示したが、開示が単に例示的なものであり、種々の他
の変更、改作及び修正が本発明の範囲内でなされ得るこ
とは、当業者であれば気が付くはずである。従って、本
発明は、本明細書中で説明されたような特定の実施態様
に限定されるものではない。
【0260】さらなる苦心をすることなく、当業者であ
れば、前記記載を用いて、十分な程度まで本発明を利用
できると信じる。下記の実施例は、説明的なものである
と実例であると理解すべきであり、従って、残りの開示
のいかなる限定にもならない。
【0261】
【実施例】実施例1 UV誘導光産生物を用いる無作為な大きさのポリヌクレオ
チドの生成 鋳型DNAの1マイクログラム試料を得てUV光で処理
し、TTダイマー、特にはプリンダイマーを含むダイマー
を形成させた。UV露光は鋳型DNA試料において遺伝子
当たり2、3の光産生物のみが生じるように制限する。複
数の試料を時間を変化してUV光で処理し、UV露光から生
じる様々な数のダイマーを有する鋳型DNA試料を得
る。
【0262】非プルーフリーディングポリメラーゼ(no
n-proofreading polymerase)を用いる無作為プライミ
ングキット(例えば、ストラタジーン・クローニング・
システムズ(Stratagene Cloning Systems)によるプラ
イム−イットIIランダム・プライマー・ラベリング(Pr
ime-It II Random Primer Labeling)キット)を用い
て、(上述のように)UV光によって調製した鋳型の無作
為部位で初回刺激し、かつその鋳型に沿って伸長させる
ことにより異なる大きさのポリヌクレオチドを生成させ
る。このプライム−イットIIランダム・プライマー・ラ
ベリング・キットに記述されるようなプライミングプロ
トコルを用いてこれらのプライマーを伸長させることが
できる。UV露光によって形成されたダイマーは非プルー
フリーディングポリメラーゼによる伸長の進行障害物と
して機能する。したがって、この無作為プライマーを用
いる伸長が終了した後、無作為な大きさのポリヌクレオ
チドのプールが存在する。
【0263】実施例2 無作為な大きさのポリヌクレオチドの単離 実施例1に従って生成させた関心のあるポリヌクレオチ
ドを1.5%アガロースゲルでゲル単離する。100−300bp
の範囲のポリヌクレオチドをゲルから切り出し、3容積
の6M NaIをそのゲル切片に添加する。この混合物を50℃
で10分間インキュベートし、10μlのグラスミルク(Bio
101)を添加する。この混合物を1分間回転させ、上清
をデカントする。そのペレットを500μlのカラム・ウォ
ッシュ(Column Wash)(カラム・ウォッシュは50%エ
タノール、10mMトリス−HCl pH7.5、100mM NaCl及び2.5
mM EDTAである)で洗浄して1分間回転させた後、上清を
デカントする。その後、この洗浄、回転及びデカント工
程を繰り返す。ガラスミルクペレットを20μlのH2Oに再
懸濁させ、1分間回転させる。DNAは水相に留まる。
【0264】実施例3 単離した無作為な大きさの100−300bpポリヌクレオチド
のシャッフリング 実施例2において得られた100−300bpのポリヌクレオチ
ドをアニーリング混合物(各々0.2mMのdNTP、2.2mM MgC
l2、50mM KCl、10mMトリス−HCl pH8.8、0.1%トリト
ンX−100、0.3μ;Taq DNAポリメラーゼ、50μl総容
積)中でプライマーを添加することなく再結合させる。
ストラタジーンによるロボサイクラー(Robocycler)を
以下のプログラムでこのアニーリング工程に用いた:95
℃で30秒間、[95℃で30秒間、50−60℃(好ましくは58
℃)で30秒間、及び72℃で30秒間]を25−50サイクル、
並びに72℃で5分間。このようにして100−300bpのポリ
ヌクレオチドを結合させ、より長い配列を有する二本鎖
ポリヌクレオチドを得る。この再構成二本鎖ポリヌクレ
オチドを分離し、それらを変性させて単鎖ポリヌクレオ
チドを形成した後、ある試料に関してはこの単鎖を鋳型
及びプライマーDNAとして用い、他の試料に関しては
この単鎖に加えて無作為プライマーを用いて、任意に、
サイクル処理を再度繰り返す。
【0265】実施例4 シャッフルしたポリヌクレオチドからのポリヌクレオチ
ドのスクリーニング 実施例3のポリヌクレオチドを分離し、それらからポリ
ペプチドを発現させる。元の鋳型DNAを、それらから
同等のポリペプチドを得ることにより比較対照として用
いる。実施例3のシャッフル済みポリヌクレオチドから
得られるポリペプチドを元の鋳型から得られるポリペプ
チドの活性についてスクリーニングし、対照の活性水準
と比較する。スクリーニングの間に発見された興味深い
ポリペプチドをコードするシャッフル済みポリヌクレオ
チドを第2の望ましい特徴についてさらに比較する。興
味深さに劣るスクリーニング済みのポリペプチドに対応
するシャッフル済みのポリヌクレオチドの幾つかを再シ
ャッフリングに供する。
【0266】なお本件明細書記載の発明には、以下の発
明も包含する。 (1) 部分的に配列相同な少なくとも1つの領域(こ
こで、該部分的に配列相同な領域は、配列再編成をもた
らす工程を促進する)を共有する(share)、少なくと
も第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチド
を好適な宿主細胞中に導入すること:及び該ハイブリッ
ドポリヌクレオチドを製造することを含むハイブリッド
ポリヌクレオチドの製造方法。 (2) ハイブリッドポリヌクレオチドが、生物学的に
活性なハイブリッドポリペプチドをコードする、上記
(1)に記載の方法。 (3) 少なくとも第1ポリヌクレオチド及び第2ポリ
ヌクレオチドが、生物学的に活性なポリペプチドをコー
ドする、上記(1)に記載の方法。 (4) 少なくとも2つのポリヌクレオチドが、1以上
のオペロン、又はその部分を含む、上記(1)に記載の
方法。 (5) オペロン又はその部分が、完全な又は部分的な
代謝経路をコードする、上記(4)に記載の方法。 (6) 宿主細胞が、細菌、真菌、植物細胞、昆虫細胞
及び動物細胞からなる群から選択される、上記(1)に
記載の方法。 (7) 宿主細胞が、ハイブリッドポリヌクレオチドに
よってコードされる生物学的に活性なハイブリッドポリ
ペプチドを発現させる条件下で増殖する、上記(1)に
記載の方法。 (8) 少なくとも2つの異なるポリヌクレオチドが、
ベクター中に存在する、上記(1)に記載の方法。 (9) 少なくとも2つの異なるポリヌクレオチドが、
同じベクター中に存在する、上記(1)に記載の方法。 (10) 少なくとも2つの異なるポリヌクレオチド
が、異なるベクター中に存在する、上記(1)に記載の
方法。 (11) ベクターが、ファージ、プラスミド、ファー
ジミド、コスミド、フォスミド、ウイルスベクター及び
人工染色体からなる群から選択される、上記(8)に記
載の方法。 (12) 配列再編成が、減少的(reductive)再組み
合わせ(reassortment)による、上記(1)に記載の方
法。 (13) ポリヌクレオチドが、環境サンプルから誘導
された未培養の微生物由来である、請求項1に記載の方
法。 (14) 未培養の生物が、陸上微生物の混合物、海洋
微生物の混合物、又は陸上微生物及び海洋微生物の混合
物を含む、請求項13に記載の方法。 (15) 環境サンプル中の微生物が、エクストレモフ
ィル(extremophiles)である、上記(14)に記載の
方法。 (16) エクストレモフィルが、好温菌、超好温菌、
好冷菌、及び低温菌からなる群から選択される、上記
(15)に記載の方法。 (17) 上記(2)又は(3)に記載の方法によって
製造されたポリヌクレオチドによってコードされる生物
学的に活性なポリペプチドのスクリーニング方法であっ
て、 a)ハイブリッドポリペプチドの活性をスクリーニングす
ること; b)少なくとも第1ポリペプチドの活性をスクリーニング
すること; c)第2ポリペプチドの活性をスクリーニングすること; d)ハイブリッドポリペプチドが増強された活性を有する
a)、b)、及びc)で同定された活性を比較すること;そし
て e)増強された活性を有するハイブリッドポリペプチドを
コードするポリヌクレオチドを単離すること を含む上記方法。 (18) 配列再編成が、減少的再組み合わせによる、
上記(17)に記載の方法。 (19) 生物学的に活性なハイブリッドポリペプチド
を製造し、増強された活性に対して該ポリペプチドをス
クリーニングする方法であって、 a)少なくとも、機能的連結物中の第1ポリヌクレオチド
及び機能的連結物中の第2ポリヌクレオチド(該少なく
とも第1ポリヌクレオチド及び第2ポリヌクレオチド
は、部分的に配列相同な少なくとも1つの領域を共有し
ている)を、好適な宿主細胞中に導入すること; b)機能的連結物中のハイブリッドポリヌクレオチドを与
える配列再編成を促進する条件下でa)の宿主細胞を増殖
すること; c) b)のハイブリッドポリヌクレオチドによってコード
されるハイブリッドポリペプチドを発現させること; d)増強された生物学的活性の同定を促進する条件下でc)
のハイブリッドポリペプチドをスクリーニングするこ
と;及び e) d)のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチドを単離することを含む方法。 (20) 部分的に配列な少なくとも1つの領域(ここ
で、該部分的に配列相同な領域は、減少的再組み合わせ
を促進する)を共有する少なくとも第1ポリヌクレオチ
ド及び第2ポリヌクレオチドを、好適な宿主細胞中に導
入すること;及び該ハイブリッドポリヌクレオチドを製
造することを含むハイブリッドポリヌクレオチドの製造
方法。 (21) 生物学的に活性なハイブリッドポリペプチド
を製造し、増強された活性に対して該ポリペプチドをス
クリーニングする方法であって、 a)少なくとも、機能的連結物中の第1ポリヌクレオチド
及び機能的連結物中の第2ポリヌクレオチド(該少なく
とも第1ポリヌクレオチド及び第2ポリヌクレオチド
は、部分的に配列相同な少なくとも1つの領域を共有す
る)を、好適な宿主細胞中に導入すること; b)機能的連結物中のハイブリッドポリヌクレオチドを与
える減少的再組み合わせを促進する条件下でa)の宿主細
胞を増殖すること; c) b)のハイブリッドポリヌクレオチドによってコード
されるハイブリッドポリペプチドを発現すること; d)増強された生物学的活性の同定を促進する条件下でc)
のハイブリッドポリペプチドをスクリーニングするこ
と;及び e) d)のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌ
クレオチドを単離することを含む上記方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、エラーを起こしやすいPCRによる変異か
ら得られたハイブリッドポリヌクレオチドを、より短い
またはより小さいポリヌクレオチドのシャッフリング及
び組換えからのものと比較して説明する従来技術の図で
ある。
【図2】図2は、3つの基本的工程、(1) ポリヌクレオチ
ドのランダムなサイズのポリヌクレオチドの生成のため
のハイブリッドの選択、(2) PCR過程の停止によるラン
ダムなサイズのポリヌクレオチドの生成、及びランダム
なポリヌクレオチドを形成するための前記ランダムなサ
イズのポリヌクレオチドのPCRを用いた再構成、による
性的PCRの原理を説明するフローチャートである。
【図3】図3は、PCRを停止し、ランダムプライミング及
び鎖の不完全な伸長によりランダムなポリヌクレオチド
を生成するためにDNA付加物またはUV光を使用するこ
との概念を説明するフローチャートである。
【図4】図4は、PCRを停止し、ランダムなポリヌクレオ
チドを生成するために使用できるDNA付加物の例及び
UV光のリストである。
【図5】図5は、DNA付加物を生成し、PCRを停止して
ランダムなポリヌクレオチドを生成するためにUV光を利
用するのに使用する工程を説明するフローチャートであ
る。
【図6】図6Aは、組み立て前のポリヌクレオチドの分離
バンドを示すものである。図6Bは、ポリヌクレオチド組
み立て後の結果を示すものである。図6Bは、レーン1は
再構成PCRの最初の回の後の再構成されたポリヌクレオ
チドの分離バンドを示し、レーン2は再構成PCRの2回目
の回の後の再構成されたポリヌクレオチドの分離バンド
を示す。レーン2は、完全な再構成されたランダムなポ
リヌクレオチドを示しており、これは増幅、クローニン
グ、及び有用な用途についてスクリーニングできる状態
にある。
【図7】図7は、ポリヌクレオチドA、BおよびCの減少的
再組み合わせによる新規ポリヌクレオチドの産生の図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA20 CA02 DA01 DA02 DA05 DA11 HA01 4H045 BA41 CA10 EA20 FA74

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のポリヌクレオチドは第2のポリヌ
    クレオチドと部分的に配列相同な少なくとも1つの領域
    (ここで、該部分的に配列相同な領域は、配列再編成を
    もたらす再組み合わせ工程を促進する)を共有している
    ものであって、核酸配列の混合集団から得られる少なく
    とも第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチ
    ドで複数の宿主細胞の各々を形質転換し、ハイブリッド
    ポリヌクレオチドを製造することを含む、宿主細胞を用
    いてインビボでハイブリッドポリヌクレオチドを製造す
    る方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも1つのハイブリッドポリヌク
    レオチドが生物学的に活性なハイブリッドポリペプチド
    をコードしている請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 第1のポリヌクレオチド又は第2のポリ
    ヌクレオチドが生物学的に活性なポリペプチドをコード
    している請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 第1のポリヌクレオチド又は第2のポリ
    ヌクレオチドが、1又はそれ以上のオペロン又はその一
    部分を含む請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 オペロン又はその一部分が、ある代謝系
    の一部又は全体をコードしている請求項4項に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 オペロン又はその一部分が、ある遺伝子
    経路又はその部分をコードしている請求項5に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 複数の宿主細胞が、細菌、真菌、植物細
    胞、昆虫細胞、及び動物細胞からなる群から選択され
    た、請求項1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 ハイブリッドポリヌクレオチドによりコ
    ードされた生物学的に活性なハイブリッドポリヌクレオ
    チドを発現させる条件下で複数の宿主細胞を培養させる
    ことを更に包含する、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌ
    クレオチドが異なるものでベクター中に存在する請求項
    1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 第1のポリヌクレオチドと第2のポリ
    ヌクレオチドが異なるもので同じベクター中に存在する
    請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 第1のポリヌクレオチドと第2のポリ
    ヌクレオチドが異なるもので、異なるベクター中に存在
    する請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 ベクターがファージ、プラスミド、フ
    ァージミド、コスミド、フォスミド、ウイルスベクタ
    ー、及び人工染色体から選択されるものである、請求項
    9に記載の方法。
  13. 【請求項13】 混合集団が環境サンプルに由来する未
    培養微生物である、請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 未培養微生物が、陸生微生物の混合
    物、海洋性微生物の混合物、又は陸生微生物及び海洋性
    微生物の混合物を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 環境サンプルがエクストレモフィル
    (extremophile)である請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 宿主細胞を核酸配列で形質転換する前
    に混合集団中の核酸配列中に1以上の突然変異を生じさ
    せることを更に含む請求項1に記載の方法。
  17. 【請求項17】 エラーを起こしやすいPCR(err
    or−pronePCR)、オリゴヌクレオチドにより
    指令される突然変異誘導、化学的突然変異剤、紫外線、
    X線、及びこれらの組み合わせにより突然変異が導入さ
    れる、請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 宿主細胞中の第1のポリヌクレオチド
    又は第2のポリヌクレオチドの1方又は両者が再組み合
    わせ工程前に突然変異させたものである、請求項1に記
    載の方法。
  19. 【請求項19】 宿主細胞が大腸菌(E.coli)である請
    求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 核酸配列が染色体のものである請求項
    19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 核酸が自立複製性(episomal)である
    請求項19に記載の方法。
  22. 【請求項22】 第1のポリヌクレオチド及び第2のポ
    リヌクレオチドの少なくとも1つが野生型の配列で、工
    程に戻し交雑を含む、請求項1に記載の方法。
  23. 【請求項23】 複数の宿主細胞がライブラリーに含ま
    れている請求項1に記載の方法。
  24. 【請求項24】 部分的に配列相同な領域が連続する相
    同領域を含む、請求項1に記載の方法。
  25. 【請求項25】 混合集団が培養された生物の混合物で
    ある請求項1に記載の方法。
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