JP2002505845A - Dnaシャッフリング方法 - Google Patents

Dnaシャッフリング方法

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JP2002505845A
JP2002505845A JP2000519091A JP2000519091A JP2002505845A JP 2002505845 A JP2002505845 A JP 2002505845A JP 2000519091 A JP2000519091 A JP 2000519091A JP 2000519091 A JP2000519091 A JP 2000519091A JP 2002505845 A JP2002505845 A JP 2002505845A
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sequences
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ショート,ジェイ,エム.
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ディベルサ コーポレーション
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6811Selection methods for production or design of target specific oligonucleotides or binding molecules
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/102Mutagenizing nucleic acids
    • C12N15/1027Mutagenizing nucleic acids by DNA shuffling, e.g. RSR, STEP, RPR

Abstract

(57)【要約】 2以上の関連ポリヌクレオチドを好適な宿主細胞中に導入することによりハイブリッドポリヌクレオチドを組換え及び減少的再組み合わせによって生産させるランダムポリヌクレオチドの製造方法を開示する。また、そのようなポリヌクレオチドを含むベクター及び発現媒体、ハイブリッドポリヌクレオチドによって発現されるポリペプチド、及びハイブリッドポリペプチドをスクリーニングする方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1996年7月9日出願の米国特許出願第08/677,112号の一部継続出願で
ある。
【0002】発明の分野 本発明は、一般的には組換えに関し、より具体的には、部分的に相同な領域を
含むポリヌクレオチド配列のin vivo再組み合わせ(reassortment)、ポリヌク レオチドを組み立てて(assembling)少なくとも1つのポリヌクレオチドを形成
し、有用な特性を有するポリペプチドの製造に対してポリヌクレオチドをスクリ
ーニングすることからなる方法による、ポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チドの製造方法に関する。
【0003】背景 タンパク質内のアミノ酸を目的をもってまたはランダムに組合せることにより
有用なハイブリッドタンパク質を生成し、そしてそれに対応するハイブリッドタ
ンパク質をコードする生物分子、すなわちDNA、RNA等を生成することは数
えきれない可能性を秘めている。従って、有用な用途について広範な種類のその
ようなハイブリッドタンパク質、特に広範な種類を有するランダムタンパク質を
製造しスクリーニングする必要がある。
【0004】 生物学的巨大分子、例えばタンパク質、DNA等の活性な配列の複雑さは、情
報内容("IC")と呼ばれており、これは同じ機能を有する関連する配列のファミリ
ーを表すために必要なアミノ酸配列変化に対する活性タンパク質の抵抗性(不変 アミノ酸の最小数(ビット)から計算される)と定義される。ランダム突然変異誘 発に対して感受性の高いタンパク質は高い情報内容を有している。
【0005】 分子ライブラリーのような分子生物学の発達により、かなり大きい数の可変塩
基を同定することが可能となり、ランダムライブラリーからの機能的配列を選択
する方法さえ提供されている。そのようなライブラリーにおいては、殆どの残基
は変化し得(同時に全てということはないのが通常であるが)、これはそのような
状況下で補正的な変化に応じたものである。すなわち、100アミノ酸のタンパク 質は2000の異なる変異を含み得、20100の配列の組合せが可能である。
【0006】 情報密度とは、配列の単位長さ当たりのICである。酵素の活性部位は高い情報
密度を有する傾向がある。それに対し、酵素中の情報のフレキシブルなリンカー
は低い情報密度を有する。
【0007】 ライブラリー形式の変異体タンパク質を形成するために現在広く使用されてい
る方法は、エラーを起こしやすいポリメラーゼ連鎖反応とカセット突然変異誘発
であり、これらにおいては、最適化されるべき特異的な領域が、合成により突然
変異誘発されたオリゴヌクレオチドに置き換えられる。両者において、実質的な
数の変異部位が当初の配列中の特定の部位の周辺に生成される。
【0008】 エラーを起こしやすいPCRは低い忠実度の重合条件を使用して、長い配列にわ たって点突然変異を低いレベルでランダムに導入する。未知の配列の断片の混合
物においては、混合物に突然変異を起こすのにエラーを起こしやすいPCRを使用 できる。これまでに記載されたエラーを起こしやすいPCRプロトコールは、ポリ メラーゼの低いプロセッシビリティの影響を受ける。従って、このプロトコール
は平均的なサイズの遺伝子のランダム突然変異を生じることができない。この能
力がないことにより、エラーを起こしやすいPCRの実用化が制限されている。い くつかのコンピューターシミュレーションにより、点突然変異のみでは、連続的
で劇的な配列の進化に必要とされる大規模なブロックの変化を起こすには緩やか
過ぎるものであることが多いことが示唆されている。さらに、これまでに記載さ
れたエラーを起こしやすいPCRプロトコールでは0.5〜1.0 kbより大きいDNA断
片の増幅は不可能であり、その実用化を阻んでいる。さらに、エラーを起こしや
すいPCRのサイクルを反復することにより、例えばタンパク質の結合アフィニテ ィではなくその免疫原性に影響を与えるような、望ましくない結果を伴う中性変
異の蓄積を招き得る。
【0009】 オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発においては、短い配列が合成により突
然変異を生じさせたオリゴヌクレオチドに置き換えられる。この方法は離れた変
異の組合せを生成することができず、従って組合せ的なものではない。大きな配
列長に対してライブラリーのサイズが限定されていることは、タンパク質を最適
化するためには選択の多数回の反復が避けられないことを意味する。合成オリゴ
ヌクレオチドを使用した突然変異誘発は、各選択サイクルの後に個々のクローン
の配列決定をし、クローンをファミリーにグループ化し、任意に単一のファミリ
ーを選択し、それを1つのコンセンサスモチーフに還元することを必要とする。
そのようなモチーフを再合成し、単一の遺伝子に再挿入し、さらに選択する。こ
の工程の過程は統計的なボトルネックを構成し、労働集約的であり、多数回の突
然変異誘発には実用的でない。
【0010】 従って、エラーを起こしやすいPCR及びオリゴヌクレオチド指向突然変異誘発 は、配列の微調整の単一のサイクルには有用であるが、多数回のサイクルに応用
する場合には急速に制限を受けるものとなる。
【0011】 エラーを起こしやすいPCRの別の重大な制限は、低変異の率が配列の情報内容 に従って高くなることである。情報内容、ライブラリーサイズ、及び突然変異誘
発率が上昇するに従って、低変異の高変異に対するバランスは、さらに改良する
ための選択を統計的に阻害する(統計的限度)。
【0012】 カセット突然変異誘発においては、単一の鋳型の配列ブロックを(部分的に)ラ
ンダム化された配列により置き換えるのが通常である。従って、得ることができ
る最大の情報内容はランダム配列の数(すなわちライブラリーサイズ)により統計
的に制限される。これはその時点で最良ではないその他の配列ファミリーを除外
するが、より長い期間能力を有する可能性がある。
【0013】 また、合成オリゴヌクレオチドによる突然変異誘発は、各選択サイクルの後に
個々のクローンを配列決定することを必要とする。すなわち、そのような方法は
冗長であり、突然変異誘発を多数回行うには実用的でない。
【0014】 従って、エラーを起こしやすいPCR及びカセット突然変異誘発は、比較的低い 情報内容の微調整の領域に最も適しており、広く使用されている。一つの明らか
な例外は、エラーを起こしやすいPCR及び選択による多数回の増幅を使用するラ ンダムライブラリーからのRNAリガーゼリボザイムの選択である。
【0015】 自然においては、殆どの生物の進化は自然の選択及び性的生殖により起こる。
性的生殖により、選択された個体の子孫における遺伝子の混合及び組合せが確保
される。減数分裂の間、両親からの相同な染色体が互いに整列し、その長さに沿
った交差部分を形成し、ランダムに遺伝物質を交換する。このようなDNAの交
換またはシャッフリングにより生物がより速く進化することが可能となる。
【0016】 組換えにおいては、挿入された配列は相同な環境において判明している有用性
を有することから、挿入された配列はそれらが新たな配列に挿入された後も実質
的な情報内容を依然として有している可能性が高い。
【0017】 「応用分子進化(AME)」という用語は、進化の設計アルゴリズムを特異的な有 用な目的に応用することを意味する。ポリヌクレオチド、ペプチド及びタンパク
質(ファージ、lacI及びポリソーム)についてAMEのための種々のライブラリー形 式が報告されているが、これらの形式には、組合せライブラリーを精巧に形成す
るためのランダムな交差による組換えを与えるものはない。
【0018】 理論的には、100アミノ酸のタンパク質には2000の異なる単一の変異体が存在 し得る。しかし100アミノ酸のタンパク質は20100の配列の組合せの可能性を有し
、この数は慣用の方法により探査し尽くすには大きすぎる。これらの可能性のあ
る組合せの変異の全てを生成し、スクリーニングすることを可能とするシステム
を開発することは有利であろう。
【0019】 当分野のある研究者達はin vivoにおける部位特異的組換え系を使用して、フ ァージ系における発現のために軽鎖抗体遺伝子を重鎖抗体遺伝子と組合せたハイ
ブリッドを作製した。しかしこの系は組換えの特異的な部位に依存しており、従
って限定されたものである。オーバーラップ伸長及びPCRによる単鎖抗体(scFv) における抗体CDR領域の同時の突然変異誘発が報告されている。
【0020】 別の研究者は、ランダムin vivo組換えを使用して多数のハイブリッドの大き な集団を生成する方法を記載している。この方法は、各ライブラリーが異なる選
択マーカーを有する二つの異なるプラスミドのライブラリーの組換えを必要とす
る。この方法は、存在する選択マーカーの数に等しい組換えの限られた数に限定
され、同時に選択された配列に結合したマーカー遺伝子の数が直線的に増加する
【0021】 プラスミド上の二つの相同であるが切断された昆虫毒素遺伝子の間のin vivo 組換えが、ハイブリッド遺伝子の製造方法として報告されている。欠陥ミスマッ
チ修復酵素を有する宿主細胞における実質的にミスマッチのDNA配列のin viv
o組換えであって、ハイブリッド分子の形成を生じるものが報告されている。
【0022】発明の概要 本発明の方法は、分子を組換え及び/又は相同な領域を含む配列の複雑さ及び
反復又は連続的配列の程度を減らす減少的プロセスを仲介する細胞の自然の性質
を利用する。
【0023】 本発明は、増強された活性を有する生物学的に活性なハイブリッドポリペプチ
ドをコードするハイブリッドポリヌクレオチドの生産方法を提供することを目的
とする。これら及び他の目的を達成するには、本発明の1つの態様に従い、ポリ
ヌクレオチドを、好適な宿主細胞に導入し、ハイブリッドポリヌクレオチドが製
造される条件下で宿主細胞を増殖させる方法が提供される。
【0024】 本発明のもう1つの態様では、本発明は、ハイブリッドポリヌクレオチドによ
ってコードされる生物学的に活性なハイブリッドポリペプチドをスクリーニング
する方法を提供する。この方法は、増強された生物学的活性を有する生物学的に
活性なハイブリッドポリペプチドの同定を可能にする。
【0025】 本発明の他の目的、特徴及び利点は、下記の詳細な説明から明らかになるであ
ろう。しかしながら、詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施態
様を示しているが、本発明の精神及び範囲内での種々の変更及び修正は当業者に
はこの詳細な説明から明らかであろうから、例証のためだけに与えられていると
理解すべきである。
【0026】発明の詳細な説明 本明細書中に記載の発明は、DNA、RNA又はタンパク質完全組換え(proteins t
horough recombination)などの、高度に複雑な線状配列を指定分子進化(direc
ted molecular evolution)させる、減少的再組み合わせ、組換え及び選択の反 復サイクルの使用に関する。
【0027】 分子のin vivoシャッフリングは、多量体(multimers)を組み換える細胞の自
然の性質を利用して行うことができる。in vivo組換えは、分子の多様性への主 要な自然の経路を提供してきたが、遺伝子的組換えは、1)相同性の認識;2)組換
えキアズマ(chiasma)の製造を導く鎖開裂、鎖侵入、及び代謝ステップ;及び 最後に、3)キアズマの個々の組換え分子への分解(resolution)を含む、依然と
して比較的複雑なプロセスである。キアズマの形成は、相同な配列の認識を必要
とする。
【0028】 好ましい実施態様では、本発明は、少なくとも第1ポリヌクレオチド及び第2
ポリヌクレオチド由来のハイブリッドポリヌクレオチドの製造方法に関する。本
発明は、部分的に配列相同な少なくとも1つの領域を共有する、少なくとも第1
ポリヌクレオチド及び第2ポリヌクレオチドを、好適な宿主細胞中に導入するこ
とによってハイブリッドポリヌクレオチドを製造するために使用できる。部分的
に配列相同な領域は、ハイブリッドポリヌクレオチドを製造する配列再編成をも
たらすプロセスを促進する。本明細書中で用いる、語句「ハイブリッドポリヌク
レオチド」は、本発明の方法から生じ、少なくとも2つのオリジナルポリヌクレ
オチド配列由来の配列を含む任意のヌクレオチド配列である。そのようなハイブ
リッドポリヌクレオチドは、DNA分子間の配列組込みを促進する分子間組換えイ ベントから生じ得る。さらに、そのようなハイブリッドポリヌクレオチドは、反
復配列を利用してDNA分子内のヌクレオチド配列を改変する分子内減少的再組み 合わせプロセスから生じ得る。 本発明は、生物学的に活性なハイブリッドポリペプチドをコードし得るハイブ
リッドポリヌクレオチドを生産する手段を提供する。1つの態様では、オリジナ
ルポリヌクレオチドは、生物学的に活性なポリペプチドをコードする。本発明の
方法は、オリジナルポリヌクレオチドの配列を組込み、得られたハイブリッドポ
リヌクレオチドが、オリジナルの生物学的に活性なポリペプチドから誘導される
活性を示すポリペプチドをコードする、細胞プロセスを利用して新規なハイブリ
ッドポリペプチドを製造する。例えば、オリジナルポリヌクレオチドは、異なる
微生物由来の特定の酵素をコードできる。1つの生物由来の第1ポリヌクレオチ
ドによってコードされる酵素は、例えば、特定の環境条件下、例えば、高塩度で
有効に機能し得る。別の生物由来の第2ポリヌクレオチドによってコードされる
酵素は、極端に高い温度などの、別の環境条件下で有効に機能し得る。第1及び
第2オリジナルポリヌクレオチド由来の配列を含むハイブリッドポリヌクレオチ
ドは、オリジナルポリヌクレオチドによってコードされる両者の酵素の特徴を示
す酵素をコードし得る。すなわち、ハイブリッドポリヌクレオチドによってコー
ドされる酵素は、第1及び第2ポリヌクレオチドによってコードされる酵素のそ
れぞれによって共有される環境条件下、例えば、高塩度及び極端な温度で有効に
機能し得る。
【0029】 本発明のオリジナルポリヌクレオチドによってコードされる酵素類は、これら
に限定されないが、酸化還元酵素類、転移酵素類、加水分解酵素類、リアーゼ類
、イソメラーゼ類及びリガーゼ類を含む。本発明の方法から生じるハイブリッド
ポリペプチドは、オリジナル酵素では現れない、特殊化された酵素活性を示し得
る。例えば、加水分解酵素活性をコードするポリヌクレオチドの組換え及び/又
は減少的再組み合わせの後、得られたハイブリッドポリヌクレオチドによってコ
ードされるハイブリッドポリペプチドを、オリジナル酵素のそれぞれから得られ
る特殊化された加水分解酵素活性、すなわち、その加水分解酵素が作用する結合
のタイプ及び加水分解酵素が機能する温度に対してスクリーニングできる。よっ
て、例えば、その加水分解酵素をスクリーニングすることにより、ハイブリッド
加水分解酵素を、(a)アミド(ペプチド結合)、すなわち、プロテアーゼ;(b)エ
ステル結合、すなわち、エステラーゼ及びリパーゼ;(c)アセタール、すなわち 、グリコシダーゼ及び、例えば、そのハイブリッドポリペプチドが機能する温度
、pH又は塩濃度のような、オリジナル加水分解酵素から区別するそれらの化学的
機能性を確かめることができる。
【0030】 オリジナルポリヌクレオチドの供給源は、個々の生物(「分離株(isolates)
」)、規定培地中で増殖された生物の収集物(「濃縮培養物」)、又は、最も好
ましくは、未培養(uncultivated)生物(「環境サンプル」)から単離すること
ができる。環境サンプル由来の新規な生物活性をコードするポリヌクレオチドを
誘導するための培地非依存的アプローチは未開発の生物多様性の供給源へのアク
セスを可能にすることから最も好ましい。
【0031】 「環境ライブラリー」は、環境サンプルから作製され、好適な原核生物宿主中
で増殖され得るクローニングベクター中に保管された天然生物の集合的ゲノムを
提示するものである。クローン化されたDNAは、最初に環境サンプルから直接抽 出されるので、ライブラリーは、純培養で増殖できる原核生物の小さな画分に限
定されない。さらに、これらのサンプル中に存在する環境DNAの標準化(normali
zation)により、オリジナルサンプル中に存在する全ての種由来のDNAをより等 しく提示し得る。これによって、優性な種と比べて提示が数桁低くあり得るサン
プル中の少数の構成員から興味ある遺伝子を見出す効率が劇的に増加され得る。
【0032】 例えば、1以上の未培養微生物から生産される遺伝子ライブラリーを、目的の 活性に対してスクリーニングする。目的の生物活性分子をコードする潜在的な経
路は、遺伝子発現ライブラリーの形で原核細胞中に最初に捕獲される。目的の活
性をコードするポリヌクレオチドを、そのようなライブラリーから単離し、宿主
細胞中に導入する。宿主細胞を、新規な又は増強された活性を有する潜在的に活
性な生物分子を作り出す組換え及び/又は減少的再組み合わせを促進する条件下
で増殖させる。
【0033】 ポリヌクレオチドが調製され得る微生物には、真性細菌(Eubacteria)、始原
菌(Archaebacteria)などの原核微生物、及び真菌、ある種の藻類、原生動物な
どの下等な真核微生物がある。ポリヌクレオチドは、核酸が生物を培養せずに回
収され得るか、又は1以上の培養生物から回収され得る場合に環境サンプルから 単離できる。ある態様では、そのような微生物は、好温菌、好冷菌、低温菌、好
塩菌、好圧菌、好酸菌などのエクストレモフィル(extremophiles)であり得る。 エクストレモフィル微生物から単離された酵素をコードするポリヌクレオチドは
、特に好ましい。そのような酵素は、陸上の温泉及び深海の熱排出口中において
100℃を超える温度で、北極の水中で0℃未満の温度で、死海の飽和塩環境中で、
石炭堆積物及び地熱の硫黄リッチ泉中で0付近のpH値で、又は下水汚泥中で11を 超えるpH値で機能し得る。例えば、エクストレモフィル生物からクローン化され
発現された幾つかのエステラーゼ及びリパーゼは、広範囲の温度及びpHに渡って
高い活性を示す。
【0034】 上記のように選択され単離されたポリヌクレオチドを、好適な宿主細胞中に導
入する。好適な宿主細胞は、組換え及び/又は減少的再組み合わせを促進する能
力を有する任意の細胞である。選択されたポリヌクレオチドは、好ましくは、す
でに、適当な制御配列を含むベクター中に存在する。宿主細胞は、哺乳動物細胞
などの高等真核細胞、又は酵母細胞などの下等原核細胞であり得るものであり、
好ましくは、宿主細胞は、細菌細胞などの原核細胞であり得る。構築物の宿主細
胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン仲
介トランスフェクション、又はエレクトロポレーション(Davis, L., Dibner, M
., Battey, I., 分子生物学における基本的方法(Basic Methods in Molecular
Biology), (1986))によって行うことができる。
【0035】 適当な宿主の代表例としては、次のものが挙げられる:大腸菌(E.coli)、スト
レプトマイセス(Streptomyces)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella t
yphimurium)などの細菌細胞;酵母などの真菌細胞;ショウジョウバエ(Drosop
hila)S2、スポドプテラ(Spodoptera)Sf9などの昆虫細胞;CHO、COS、ボーズ (Bowes)黒色腫などの動物細胞;アデノウイルス;及び植物細胞。当業者であ れば、本明細書中の教示から適当な宿主の選択ができるであろう。
【0036】 特に、組換えタンパク質を発現するために採用できる種々の哺乳動物細胞培養
系に関しては、哺乳動物発現系の例には、Gluzman, Cell, 23:175 (1981)に記載
のサル腎繊維芽細胞のCOS-7系、及び適合性ベクターを発現する能力を有する他 の細胞系、例えば、C127、3T3、CHO、HeLa及びBHK細胞系がある。哺乳動物発現 ベクターは、複製起点、好適なプロモーター及びエンハンサーを含み、そして任
意の必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー部位、
スプライスアクセプター部位、転写終結配列、及び5'隣接非転写配列をも含む。
SV40スプライスから誘導されたDNA配列、及びポリアデニル化部位は、必要な非 転写遺伝子エレメントを提供するために使用され得る。
【0037】 目的のポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、プロモーターを活性化し、形質転
換体を選択し又は遺伝子を増幅するのに適当なように修飾された従来の栄養培地
中で培養できる。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞
によって前もって使用されたものであり、当業者には明らかであろう。次いで、
指定の酵素活性を有すると同定されたクローンは、配列決定され、増強された活
性を有する酵素をコードするポリヌクレオチド配列を同定できる。
【0038】 もう1つの態様では、本発明の方法は、1以上のオペロン若しくは遺伝子クラ スター又はその部分由来の生化学的経路をコードする新規なポリヌクレオチドを
生産するのに使用できることを想定している。例えば、細菌及び多くの真核生物
は、その生成物が関連プロセスに含まれる、遺伝子を調節するための共同作用機
構を有する。その遺伝子は、単一の染色体上で、「遺伝子クラスター」と呼ばれ
る構造中で、塊になっており、クラスター全体の転写を開始する単一のプロモー
ターを含む単一の調節配列の制御下で一緒に転写される。このように、遺伝子ク
ラスターは、通常それらの機能に関して、同一であるか又は関連する隣接する遺
伝子の一群である。遺伝子クラスターによってコードされる生化学経路の例は、
ポリケタイド類(polyketides)である。ポリケタイド類は、抗生物質(テトラ サイクリン類及びエリスロマイシンなど)、及び抗癌剤(ダウノマイシン(daun
omycin))、免疫抑制剤(FK506及びラパマイシン(rapamycin))、及び獣医産
物(veterinary products)(モネンシン(monensin))を含む、生物活性の極 めて豊富な供給源となる分子である。(ポリケタイドシンターゼによって製造さ
れる)多くのポリケタイド類は、治療薬として価値がある。ポリケタイドシンタ
ーゼは、長さ、機能性及び環化パターンの異なる非常に多様な炭素鎖の生合成を
触媒する多機能性酵素である。ポリケタイドシンターゼ遺伝子は、遺伝子クラス
ターに分類され、ポリケタイドシンターゼの(タイプIと指定された)少なくと も1つのタイプは、遺伝子操作及びこれらの遺伝子/タンパク質のin vitro研究
を複雑にする大きなサイズの遺伝子及び酵素を有する。
【0039】 ポリケタイド、又はその断片のライブラリー由来の所望の構成要素、及び研究
のための新規なポリケタイドの生産のためのポリケタイド生合成遺伝子を選択し
組み合わせる能力は魅力的である(appealing)。本発明の方法は、分子内組換 えによって新規なポリケタイドシンターゼの製造を促進することを可能にする。
【0040】 好ましくは、遺伝子クラスターDNAは、異なる生物から単離でき、特に連結さ れた遺伝子クラスター由来の検出可能なタンパク質又はタンパク質関連整列(ar
ray)活性の製造を制御し調節できる発現調節配列を含むベクター中に連結でき る。外因性DNA導入に特別に大きなキャパシティーを有するベクターの使用は、 そのような遺伝子クラスターによる使用に特に適当であり、大腸菌のf因子(又 は稔性因子)を含むことが本明細書中の実施例によって記載されている。この大
腸菌のf因子は、コンジュゲーション(conjugation)の間のそれ自身の高頻度の
転移に影響を及ぼし、混合微生物サンプル由来の遺伝子クラスターなどの、大き
なDNA断片を達成し安定に増殖させるのに理想的なプラスミドである。一旦適当 なベクター中に連結されれば、異なるポリケタイドシンターゼ遺伝子クラスター
を含む2以上のベクターは、好適な宿主細胞中に導入できる。遺伝子クラスター によって共有される部分的に配列相同な領域は、ハイブリッド遺伝子クラスター
を与える配列再編成をもたらすプロセスを促進するだろう。次いで、新規なハイ
ブリッド遺伝子クラスターは、オリジナル遺伝子クラスターには見い出されない
増強された活性でスクリーニングできる。
【0041】 従って、好ましい実施態様では、本発明は、生物学的に活性なハイブリッドポ
リペプチドを製造し、
【0042】 少なくとも、機能し得る連結物中の第1ポリヌクレオチド及び機能し得る連結
物中の第2のポリヌクレオチド(該少なくとも第1ポリヌクレオチド及び第2ポ
リヌクレオチドは、部分的に配列相同な少なくとも1つの領域を共有する)を、
好適な宿主細胞中に導入し;
【0043】 該宿主細胞を、作動可能連結中にハイブリッドポリヌクレオチドを与える配列
再編成を促進する条件下で増殖させ;
【0044】 該ハイブリッドポリヌクレオチドによってコードされるハイブリッドポリペプ
チドを発現させ;
【0045】 増強された生物学的活性の同定を促進する条件下に該ハイブリッドポリペプチ
ドをスクリーニングし;そして
【0046】 該ハイブリッドポリペプチドをコードする該ポリヌクレオチド単離する ことによるそのようなポリペプチドの増強された活性をスクリーニングする方法
に関する。種々の酵素活性のスクリーニング方法は、当業者に公知であり、本明
細書中で検討されている。そのような方法は、本発明のポリペプチド及びポリヌ
クレオチドを単離するときに使用できる。
【0047】 語句「単離された」は、物質がその元の環境(例えば、それが自然に存在する
ならば、自然の環境)から除去されることを意味する。例えば、生きている動物
に存在する天然に存在するポリヌクレオチド又はポリペプチドは、単離されてい
ないが、自然系(natural system)に共存する物質の幾らか又は全てから分離さ
れた同じポリヌクレオチド又はポリペプチドは、単離されている。
【0048】 本明細書中で用いる、語句「機能し得るように連結された」は、機能性関係に
あるポリヌクレオチド要素の連鎖をいう。核酸は、もう1つの核酸配列と機能性
関係に置かれているとき、「機能し得るように連結されて」いる。例えば、プロ
モーター又はエンハンサーは、コード配列の転写に影響を及ぼすならば、そのコ
ード配列に機能し得るように連結されている。「機能し得るように連結された」
は、連結されているDNA配列が典型的に隣接していること、及び隣接しており、 リーディングフレーム中の2つのタンパク質コード領域を結合するのに必要な場
合を意味する。
【0049】 使用できる発現ベクターの代表例としては、ウイルス粒子、バキュロウイルス
、ファージ、プラスミド、ファージミド、コスミド、フォスミド、細菌性人工染
色体、ウイルスDNA(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、ファールポックス (foul pox)ウイルス、仮性狂犬病ウイルス及びSV40の誘導体)、P1系(P1-bas
ed)人工染色体、酵母プラスミド、酵母人工染色体、及び目的の特定宿主に特異
的なその他のベクター(バシラス、アスペルギルス及び酵母など)が挙げられる
。このように、例えば、DNAは、ポリペプチドを発現する多様な発現ベクターの いずれか1つに含まれ得る。そのようなベクターは、染色体、非染色体及び合成
DNA配列を含む。多数の好適なベクターは、当業者に公知であり、商業的に入手 可能である。下記のベクターは、例として提供される;細菌性:pQEベクター(Q
iagen社製)、pBluescriptプラスミド、pNHベクター、(λ−ZAPベクター(Stra
tagene社製));ptrc99a、pLL223-3、pDR540、pRIT2T(Pharmacia社製);真核
生物性:pXT1、pSG5(Stratagene社製)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVLSV40(Pharm
acia社製)。しかしながら、その他のプラスミド又はその他のベクターは、それ
らが複製可能であり、宿主中で生存できる限り使用できる。複製数の低い又は高
いベクターが、本発明によって利用できる。
【0050】 本発明で使用するためのベクターの好ましいタイプは、f因子起源複製体を含 む。大腸菌中のf因子(又は稔性因子)は、コンジュゲーションの間のそれ自身 の高頻度転移及び細菌性染色体それ自身の低頻度転移をもたらすプラスミドであ
る。特に好ましい実施態様は、「フォスミド」と呼ばれるクローニングベクター
又は細菌性人工染色体(BAC)ベクターを使用する。これらは、ゲノムDNAの大き
なセグメントを安定に組み入れることができる大腸菌f因子から誘導される。混 合された未培養環境サンプル由来のDNAが組み入れられたとき、これは、大きな ゲノム断片を安定な「環境DNAライブラリー」の形で得ることを可能にする。
【0051】 本発明で使用するベクターのもう1つの好ましいタイプは、コスミドベクター
である。コスミドベクターは、本来、ゲノムDNAの大きなセグメントをクローン 化し、増殖させるために設計された。コスミドベクター中へのクローニングは、
Sambrookら, 分子クローニングA実験室マニュアル(Molecular Cloning A Labor
atory Manual),第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989中に詳細 に記載されている。
【0052】 発現ベクター中のDNA配列は、適当な発現制御配列(プロモーター)に機能し 得るように連結しており、RNA合成を指令する。特に有名な細菌性プロモーター は、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λPR、PL及びtrpを含む。真核プロモーターは、
CMV前初期、HSVチミジンキナーゼ、初期及び後期SV40、レトロウイルス由来のLT
Rs、及びマウスメタロチオネイン−I(metallochionein-I)を含む。適当なベク
ター及びプロモーターの選択は、十分当業者の水準内である(well within the
level)。発現ベクターはまた、翻訳開始のためのリボソーム結合部位及び転写 ターミネーターをも含む。ベクターはまた、発現を増幅するための適当な配列を
も含むことができる。プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールトラン スフェラーゼ)ベクター又は選択マーカーを有する他のベクターを使用して、任
意の所望の遺伝子から選択できる。
【0053】 さらに、発現ベクターは、好ましくは、形質転換宿主細胞の選択のための表現
型特性を提供する、真核細胞培養に対してはジヒドロフォレートレダクターゼ又
はネオマイシン耐性など、又は大腸菌中では、テトラサイクリン又はアンピシリ
ン耐性などの、1以上の選択マーカー遺伝子を含む。
【0054】 一般に、組換え発現ベクターは、複製起点及び宿主細胞の形質転換を許す選択
マーカー、例えば、大腸菌のアンピシリン耐性遺伝子及びエス・セレビシア(S.
cerevisiae)TRP1遺伝子、並びに下流の構造配列の転写を指令する高度に発現 された遺伝子から誘導されたプロモーターを含むだろう。そのようなプロモータ
ーは、中でも、3−ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)、α因子、酸性ホスファ
ターゼ、又は熱ショックタンパク質などの解糖系酵素をコードするオペロンから
誘導され得る。異種構造配列は、翻訳開始及び停止配列、好ましくは、翻訳され
たタンパク質の細胞周辺腔又は細胞外液培地中への分泌を指令し得るリーダー配
列を有する適当な相(phase)で組み立てられる。
【0055】 クローニング戦略は、誘導されたベクター及び内生のプロモーターの両者によ
って発現を可能にし;ベクター助成(promotion)は、その内因性プロモーター が大腸菌中で機能しない、遺伝子の発現にとって重要となり得る。
【0056】 微生物から単離又は誘導されたDNAは、好ましくは、選択されたDNAのプロービ
ングの前にベクター又はプラスミド中に挿入され得る。そのようなベクター又は
プラスミドは、好ましくは、プロモーター、エンハンサーなどを含む発現調節配
列を含むものである。そのようなポリヌクレオチドは、ベクター及び/又は組成
物の一部であることができるし、そのようなベクター又は組成物がその自然環境
の一部ではなく、さらに単離されていてもよい。特に好ましいファージ又はプラ
スミド及びそれらへの導入及びパッケージングの方法は、本明細書中で述べたプ
ロトコールに詳細に記載されている。
【0057】 クローニングベクターの選択は、採用するアプローチに依存し、例えば、ベク
ターは、配列の複合的な(multiply)反復複写、又はうまく形質転換され、宿主
細胞中で選択できる複合的な配列に対する適切なキャパシティーを有する任意の
クローニングベクターであり得る。そのようなベクターの1つの例は、「ポリコ
スベクター類:線維状ファージをパッケージングするシステム及び抽出物をパッ
ケージングするλファージを用いるファージミドベクター類(Polycos vectors:
a system for packaging filamentous phage and phagemid vectors using lam
bda phage packaging extracts)」, Alting-Mecs MA, Short JM, Gene, 1993年
12月27日, 137:1, 93-100中に記載されている。増殖/維持は、クローニングベ クターが有する抗生物質耐性によってなされ得る。増殖期間後、自然に短縮化さ
れた分子は、ゲル又はカラムによるサイズ分画によって回収され、同定されるか
、又は直接増幅される。利用されたクローニングベクターは、冗長な構築物の挿
入によって中断される選択遺伝子を含むことができる。減少的再組み合わせが進
むにつれて、反復単位の数は減少し、中断された遺伝子は、再度発現され、こう
して、加工された構築物の選択に用いることができる。ベクターは、望ましい生
物学的性質を有する発現生成物を選択させる発現/選択ベクターであり得る。挿
入物は、機能性プロモーターの下流に位置することができ、望ましい性質は適当
な手段によってスクリーニングできる。
【0058】 in vivo再組み合わせは、一般に「RecA依存」現象と考えられている細菌中で の「組換え」と集合的に呼ばれる「分子間」プロセスに焦点が合わされている。
本発明は、配列を組換え、再組み合わせするための宿主細胞の組換えプロセス、
又は欠失による細胞中の擬反復(quasi-repeated)配列の複雑性を減らす減少的
プロセスを仲介する細胞の能力に基づく。この「減少的再組み合わせ」のプロセ
スは、「分子間」のRecA非依存プロセスによって起こる。
【0059】 従って、本発明のもう1つの態様では、新規なポリヌクレオチドは、減少的再
組み合わせのプロセスによって生産され得る。この方法は、連続した配列(配列
をコードするオリジナル)を含む構築物の作成、それらの適当なベクター中への
挿入、及びそれらの適当な宿主細胞中への次の導入を含む。個々の分子同一性(
identities)の再組み合わせは、相同性を有する領域を含む構築物中の連続配列
の間、又は擬反復配列単位の間の組換え的プロセスによって起こる。再組み合わ
せプロセスは、反復配列の複雑性及び程度を組換え及び/又は減少させ、新規な
分子種の製造をもたらす。組換え率を増大させるために種々の処理が適用できる
。これらは、紫外光による処理、又はDNA損傷薬品、及び/又は増大したレベル の「遺伝子不安定性」を示す宿主細胞株の使用を含む。すなわち、再組み合わせ
プロセスは、同種組換え又はそれら自身の進化を指令する擬反復配列の自然の性
質を含むことができる。
【0060】 反復又は「擬反復」配列は、遺伝子不安定性に影響を及ぼす。本発明において
、「擬反復」は、それらのオリジナル単位構造に制限されない反復である。擬反
復単位は、構築物中のずらりと並んだ配列(an array of sequences);類似配 列の連続単位として存在し得る。一旦連結されれば、連続した配列の間の接合部
は、必然的に見えなくなり、得られる構築物の擬反復的性質は、今や分子レベル
で継続する。細胞が得られる構築物の複雑性を減らすことを実行する欠失プロセ
スは、擬反復配列の間で働く。擬反復単位は、減少(slippage)イベントが起こ
り得る鋳型の事実上制限のないレパートリー(repertoire)を提供する。擬反復
物を含む構築物は、このように、欠失(及び潜在的な挿入)イベントが、擬反復
単位内のどこかで実質的に起こり得るという十分な分子弾性を効率的に提供する
【0061】 擬反復配列が全て同じ配向、例えば、ヘッド−トゥ−テイル(head-to-tail)
又は反対に連結されている場合、細胞は、個々の単位を識別できない。その結果
として、減少的プロセスは、配列全体に渡って起き得る。これに対し、例えば、
単位がヘッド−トゥ−テイルよりもむしろヘッド−トゥ−ヘッドである場合、こ
の逆位(inversion)は、隣接した単位の終点を線引きし、欠失形成が、不連続 単位の喪失に有利に働く(favor)だろう。すなわち、本方法では、配列が、同 じ配向にあるのが好ましい。擬反復配列のランダム配向は、再組み合わせ効率の
損失をもたらす一方、同じ配向の配列は最も高い効率を提供するであろう。しか
しながら、同じ配向の隣接する配列がより少ないと、効率は低下するが、それで
も新規な分子の効率的な回収のための十分な弾力性を提供することができる。構
築物は、より高い効率を可能にする同じ配向の擬反復配列によって作製され得る
【0062】 配列は、下記の方法を含む多様な方法のいずれかを使用してヘッド−トゥ−テ
イル配向で組み立てることができる:
【0063】 a)一本鎖を作る場合に、配向を与えるだろうポリAヘッド及びポリTテイルを含
むプライマーを利用することができる。これは、プライマーの最初の数個の塩基
を、RNAから作らせ、その後RNAseHを容易に除去させることによって達成される 。
【0064】 b)ユニークな制限開裂部位を含むプライマーを利用できる。複合部位、一組の
ユニーク配列、並びに反復合成及び連結ステップが必要であろう。
【0065】 c)プライマーの内部の数個の塩基をチオール化し、エクソヌクレアーゼを適当
に断尾された分子を製造するために使用できるだろう。
【0066】 再組み合わせされた配列の回収は、減少したRIを有するクローニングベクター
の同定に基づく。次いで、再組み合わせされたコード配列は、増幅によって回収
できる。生成物は、再クローニングされ、発現される。減少したRIを有するクロ
ーニングベクターの回収は、下記によって行うことができる:
【0067】 1)構築物が複雑性を減少されたときにのみ安定に維持されるベクターの使用。
【0068】 2)物理的工程によって短縮化されたベクターの物理的回収。この場合、クローニ
ングベクターは、標準プラスミド単離工程及び標準工程を利用したアガロースゲ
ル、又はカラムによる低分子量カットオフのサイズ分画のいずれかを用いて回収
されるだろう。
【0069】 3)挿入物サイズが減少したとき選択され得る中断された遺伝子を含むベクターの
回収。
【0070】 4)発現ベクター及び適当な選択による直接選択技術の使用。
【0071】 関連生物由来のコード化配列(例えば、遺伝子)は、高い程度の相同性を示し
、極めて多様なタンパク質生成物をコードできる。これらの配列のタイプは、本
発明で擬反復物として特に有用である。しかしながら、下記の図解された例は、
ほぼ同一のオリジナルコード化配列(擬反復物)の再組み合わせを示しているが
、このプロセスは、そのようなほぼ同一の反復物に限定されない。
【0072】 下記の例は、本発明の方法を明示している。3つのユニーク種から誘導された コード化核酸配列(擬反復物)が描かれている。各配列は、異なるセットの特性
を有するタンパク質をコードする。配列のそれぞれは、「A」、「B」及び「C」 で指定された配列中のユニークな位置での単一又は2、3の塩基対によって異なっ
ている。擬反復配列は、別々に又は集合的に増幅され、ランダムアッセンブリ中
に連結されて、全ての可能な順列及び組み合わせが連結分子の集団中で入手でき
る。擬反復単位の数は、アッセンブリ条件によって制御できる。構築物中の擬反
復単位の平均数は、繰り返し指数(repetitive index)(RI)として定義される
。図2は、組み立てらた構築物の例を描いている。
【0073】 下記の図表は、コード化配列(擬反復物)のサンプルセットを示す。この図表
では、配列は3つの異なる種として示されており、それぞれは「A」、「B」及び
「C」と名付けられたユニーク配列の相違点(突然変異又は変種)を有する。
【表1】
【0074】 下記の図表は、前記図表で示した3つのユニーク配列からなるランダム組み合 わせを含む組み立てられた構築物の例である。構築物の長さ及びコード化単位の
数は、アッセンブリの間に制御され、個々の実験的な必要性に合わせることがで
きる。
【表2】
【0075】 一旦形成されれば、構築物は、公表されているプロトコールに従ってアガロー
スゲルでのサイズ分画を行っても、行わなくてもよく、クローニングベクター中
に挿入され、適当な宿主細胞にトランスフェクションされ得る。次いで、その細
胞は増殖され、「減少的再組み合わせ」が達成される。減少的再組み合わせプロ
セスの率は、所望ならば、DNA損傷の導入によって促進され得る。RIの減少が、 「分子内」機構による反復配列の間の欠失形成によって仲介されるか、又は「分
子間」機構による組換え類似イベントによって仲介されるかは、重要ではない。
最終結果は、図7に描かれているように全ての可能な組み合わせへの、分子の再 組み合わせである。
【0076】 任意に、前記方法は、シャッフルされたプールのライブラリーのメンバーをス クリーニングし、所定の巨大分子、例えばタンパク質受容体、ペプチドオリゴサ
ッカライド、ヴィロン、またはその他の所定の化合物もしくは構造に結合するか
、あるいはそれと相互作用する(例えば、触媒抗体等)能力を有するシャッフルさ
れたライブラリーの個々のメンバーを同定する工程を含む。
【0077】 そのようなライブラリーから同定される提示されたポリペプチド、抗体、ペプ チド模倣抗体、及び可変領域配列は、治療用、診断用、研究用及び関連する目的
(例えば、触媒、水溶液の増加した浸透圧を得るための溶質等)に使用することが
でき、及び/またはシャッフリング及び/またはアフィニティ選択の一以上の追
加的なサイクルに供することができる。前記方法は、表現型の特徴についての選
択の工程が所定の分子に対する結合アフィニティ以外のもの(例えば、触媒活性 、安定性酸化抵抗性、薬剤耐性、または宿主細胞に与えられた検出可能な表現型
等)とし得るように改変することができる。
【0078】 本発明は、アフィニティ相互作用スクリーニングに適する提示抗体のライブラ
リーを生成する方法を提供する。該方法は、(1) 提示抗体及び該提示抗体をコー
ドする関連するポリヌクレオチドを含む第一の複数の選択されたライブラリーの
メンバーを得、前記提示抗体をコードする関連するポリヌクレオチドを得、前記
関連するポリヌクレオチドまたはそのコピーを得、前記関連するポリヌクレオチ
ドが実質的に同一の可変領域フレームワーク配列の領域を含むものとし、(2) 前
記ポリヌクレオチドを好適な宿主細胞に導入し、組換えおよび減少的再組み合わ
せが促進され、シャッフルされたポリヌクレオチドを得ることを含む。シャッフ
ルされたプールに含まれるCDRの組合せは最初の複数の選択されたライブラリー のメンバーには存在せず、前記シャッフルされたプールは、CDRの順列を含み、 アフィニティ相互作用スクリーニングに適した提示抗体のライブラリーを構成す
る。任意に、前記シャッフルされたプールをアフィニティスクリーニングに供し
、所定のエピトープ(抗原)に結合するシャッフルされたライブラリーのメンバー
を選択し、それにより複数の選択されたシャッフルされたライブラリーのメンバ
ーを選択する。さらに、選択的にシャッフルされたライブラリーの複数のメンバ
ーを、1〜約1000サイクルまで、または所望のように、所望の結合アフィニティ を有するライブラリーのメンバーが得られるまで相互作用的にシャッフル及びス
クリーニングすることができる。
【0079】 本発明のもう1つの態様では、組換え若しくは再組み合わせの前又は間に、本
発明の方法によって生産されたポリヌクレオチドが、オリジナルポリヌクレオチ
ド中への突然変異の導入を促進する試薬又はプロセスに付すことができることを
想定している。そのような突然変異の導入は、得られるハイブリッドポリヌクレ
オチド及びそれからコードされるポリペプチドの多様性を増加するだろう。突然
変異誘発を促進する試薬又はプロセスは、これらに限定されないが、(+)-CC-106
5、若しくは(+)-CC-1065-(N3-アデニン)などの合成アナログ(Biochem. 31, 282
2-2829 (1992)を参照されたい);DNA合成を阻害できるN−アセチル化若しくは 脱アセチル化4'−フルオロ−4−アミノビフェニル付加物(例えば、発癌(Carci
nogenesis), 13巻, No. 5, 751-758 (1992)を参照されたい);DNA合成を阻害 できるN−アセチル化若しくは脱アセチル化4−アミノビフェニル付加物(同書,
751-758を参照されたい);3価クロム、3価クロム塩、7−ブロモメチル−ベンズ
[a]アントラセン(「BMA」)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェイト (「トリス−BP」)、1,2−ジブロモ−3−クロロプロパン(「DBCP」)、2−ブ ロモアクロレイン(2BA)、ベンゾ[a]ピレン−7,8−ジヒドロジオール−9,10− エポキシド(「BPDE」)、白金(II)ハロゲン塩、N−ヒドロキシ−2−アミノ−3 −メチルイミダゾ[4,5−f]−キノリン(「N−ヒドロキシ−IQ」)、及びN−ヒド
ロキシ−2−アミノ−1−メチル−6−フェニルイミダゾ[4,5−f]−ピリジン(「N
−ヒドロキシ−PhIP」)などのDNA複製を阻害できるポリ環状芳香族炭化水素( 「PAH」)DNA付加物を含む。特に好ましい「PCR増幅を遅らせる又は停止する手 段」は、UV光(+)-CC-1065及び(+)-CC-1065-(N3-アデニン)からなる。特に、ポリ
ヌクレオチド又はポリヌクレオチドプール由来のDNA付加物を含むDNA付加物又は
ポリヌクレオチド、そしてそれは、さらなる加工の前にポリヌクレオチドを含む
溶液を加熱することを含むプロセスによって放出又は除去される手段が含まれる
【0080】 本発明の別の態様は、生物学的活性を有する組換えタンパク質の製造方法に関 するものであり、該方法は、ハイブリッドもしくは再組み合わせのポリヌクレオ
チドの生産を与える本発明の条件下で、野性型タンパク質をコードする二本鎖鋳
型ポリヌクレオチドを含むサンプルを処理するものである。
【0081】 本発明はまた、ウイルス遺伝子の集団(例えば、カプシドタンパク質、スパイ ク糖タンパク質、ポリメラーゼ、およびプロテアーゼ等)、またはウイルスゲノ ム(例えば、パラミクソウイルス科、オルソミクソウイルス科、ヘルペスウイル ス、レトロウイルス、レオウイルス、ライノウイルス等)をシャッフルするため のポリヌクレオチドシャッフリングの使用を提供する。ある実施態様においては
、本発明は、免疫原性のウイルスタンパク質の全体または部分をコードする配列
をシャッフルして、エピトープ及び組換えにより生成された新たなエピトープの
新たな組合せを生成する方法を提供するのものであり、そのようなシャッフルさ
れたウイルスタンパク質は、エピトープ、またはエピトープと組換えにより生成
された新たなエピトープの新たな組合せを含み得、そのようなシャッフルされた
ウイルスタンパク質は、ウイルスの進化(例えば、インフルエンザウイルス株の 組換え)の結果として天然環境中に生じる可能性があるエピトープまたはエピト ープの組合せを含み得る。
【0082】 本発明はまた、遺伝子治療ベクター及び複製欠陥遺伝子治療構築物、例えば、
限定するものではないが、DNAに基づいたワクチン接種のためのワクチン接種
ベクター、並びに抗新生物遺伝子治療及びその他の一般的な治療方法に使用し得
るもの等を含むヒト遺伝子治療に使用し得るものを生成するために、ポリヌクレ
オチド配列をシャッフルするのに適した方法を提供する。
【0083】 用語「DNAシャッフリング」は、本明細書では、実質的に相同であるが、同
一ではない配列の間に起こる組換えを示すのに使用され、ある態様においては、
DNAシャッフリングは非相同組換え、例えばcer/lox及び/またはflp/frt系等
を介する交差を含み得る。
【0084】 用語「増幅」は、ポリヌクレオチドのコピー数が増加することをいう。
【0085】 用語「同一の」または「同一性」は、二つの核酸配列が同じ配列あるいは相補 的な配列を有することを意味する。すなわち、「同一性を有する領域」は、ポリ
ヌクレオチドの領域もしくは部分あるいはポリヌクレオチドの全体が別のポリヌ
クレオチドの部分あるいはそのポリヌクレオチドに同一であるか、相補的である
ことを意味する。
【0086】 用語「対応する」は、本明細書においては、ポリヌクレオチド配列が参照する ポリヌクレオチド配列の全体あるいは部分に相同(すなわち同一であり、厳密に 進化上関連していない)であるか、ポリペプチド配列が参照ポリペプチド配列に 同一であることを意味するのに使用する。これに対して、用語「相補的な」は、
本明細書においては、相補的な配列が参照ポリヌクレオチド配列の全体あるいは
部分に相同であることを意味するのに使用される。具体的には、ヌクレオチド配
列「TATAC」は参照される「TATAC」に一致し、参照配列「GTATA」に相補的であ る。
【0087】 本明細書中で用いる、遺伝子不安定性とは、非常に繰り返しの多い配列が、一
般に反復配列の喪失による配列簡易化を含む減少的イベントのプロセスを通して
失われる自然の傾向をいう。欠失は、ひとつの反復物のコピー及び反復物の間の
すべてのものを喪失することを含む傾向がある。
【0088】 本明細書中で用いる、擬反復単位は、再組み合わせされ、同一でないと定義さ
れた反復物をいう。確かに、この方法は、同一のスタート配列の突然変異誘発に
よって製造された事実上同一のコード化単位だけでなく、ある領域では顕著に異
なり得る類似の又は関連の配列の再組み合わせをも提案する。しかしながら、配
列が、このアプローチによって再組み合わせされる十分な相同性を含んでいれば
、それらを、「擬反復」単位と呼ぶことができる。
【0089】 本明細書中で用いる、減少的再組み合わせは、反復配列によって仲介される欠
失(及び/又は挿入)イベントを通して増加する分子の多様性の増加をいう。
【0090】 本明細書中で用いる、繰り返し指数(RI)は、クローニングベクター中に含ま
れる擬反復単位のコピーの平均数である。
【0091】 語句「関連ポリヌクレオチド」は、ポリヌクレオチドの領域(regions)又は 範囲(areas)が同一であり、ポリヌクレオチドの領域又は範囲が異種であるこ とを意味する。
【0092】 本明細書中で用いる語句「集団」は、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド若
しくはタンパク質の部分などの構成要素の収集物を意味する。「混合集団」は、
核酸又はタンパク質の同じファミリーに属する(すなわち、関連の)が、それら
の配列において異なり(すなわち、同一でない)、それ故それらの生物学的活性
が異なる構成要素の収集物を意味する。
【0093】 用語「特異的ポリヌクレオチド」は、ある特定の終点を有しており、特定の核 酸配列を有しているポリヌクレオチドを意味する。一つのポリヌクレオチドが二
つ目のポリヌクレオチドの部分と同一の配列を有するが、異なる末端を有してい
る二つのポリヌクレオチドは、二つの異なる特異的ポリヌクレオチドを構成する
【0094】 以下の用語、「参照配列」、「比較ウィンドウ」、「配列同一性」、「配列同 一性のパーセンテージ」、及び「実質的な同一性」は、二以上のポリヌクレオチ
ドの間の配列の関係を示すのに使用される。「参照配列」は、配列の比較の基準
として使用される配列と定義され、参照配列は、例えば配列表に示した完全長c
DNAあるいは遺伝子配列のセグメントとしてのより大きい配列のサブセットで
あり得、あるいは完全なcDNAあるいは遺伝子配列を含むことができる。一般
には、参照配列は少なくとも20ヌクレオチドの長さであり、しばしば少なくとも
25ヌクレオチドの長さであり、少なくとも50ヌクレオチドの長さであることが多
い。二つのポリヌクレオチドはそれぞれ、(1) 二つのポリヌクレオチド間で類似
する配列(すなわち完全なポリヌクレオチド配列の部分)を含み得、(2) さらに二
つのポリヌクレオチド間で異なる配列を含み得るので、二つ(あるいはそれ以上)
のポリヌクレオチドの間の比較は、「比較ウィンドウ」における二つのポリヌク
レオチドの配列を比較し、配列の類似性の局所的な領域を特定し比較することに
より通常行われる。
【0095】 本明細書で使用する「比較ウィンドウ」は、少なくとも20の連続したヌクレオ チド位置の概念的なセグメントをいい、ポリヌクレオチド配列は少なくとも20の
連続したヌクレオチドの参照配列と比較することができ、比較ウィンドウのポリ
ヌクレオチド配列の部分は、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して20
パーセント以下の付加あるいは欠失(すなわちギャップ)を含ませ、二つの配列の
アラインメントを最適化するようにしてもよい。比較ウィンドウを整列させる配
列の最適なアラインメントは、Smith及びWaterman (1981) Adv. Appl. Math. 2:
482の局所相同性アルゴリズム、Needlemen及びWuncsch, J. Mol. Biol. 48:443
(1970)の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson及びLipman, Proc. Natl
. Acad. Sci. (U.S.A.) 85:2444 (1988)の類似性のサーチ方法、これらのアルゴ
リズムをコンピューター化した手段(Wisconsin Genetics Software Package Rel
ease 7.0, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIのGAP、BE
STFIT、FASTA及びTFASTA)、あるいは観察により行うことができ、種々の方法に より生成された最良のアラインメント(すなわち比較ウィンドウにおいて最高の 相同性のパーセンテージを示すもの)を選択する。
【0096】 用語「配列同一性」は、二つのポリヌクレオチド配列が比較ウィンドウにおい て同一(すなわちヌクレオチドごとの比較に基づいて)であることを意味する。用
語「配列同一性のパーセンテージ」は、比較のウィンドウにわたって二つの配列
を最適に整列させて比較し、両方の配列において同一の核酸塩基(例えばA, T, C
, G, UまたはI)が存在する位置の数を求めてマッチした位置の数を得、マッチし
た位置の数を比較のウィンドウにおける位置の総数(すなわちウィンドウのサイ ズ)で割り、得られた値に100を掛けて配列同一性のパーセンテージとすることに
より計算される。本明細書で使用するこの「実質的な同一性」は、少なくとも25
〜50ヌクレオチドの比較ウィンドウの参照配列と比較して、少なくとも80パーセ
ントの配列同一性、好ましくは少なくとも85パーセントの配列同一性、しばしば
90〜95パーセントの配列同一性、最も一般的には少なくとも99パーセントの配列
同一性を有するポリヌクレオチド配列の特徴を示すものであり、配列同一性のパ
ーセンテージは、比較のウィンドウに対して参照配列の20パーセント以下の欠失
あるいは付加を含み得るポリヌクレオチド配列と参照配列を比較することにより
計算される。
【0097】 「保存アミノ酸置換」は、類似した側鎖を有する残基の互換性をいう。例えば 、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン
、及びイソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、
セリン及びスレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパ
ラギン及びグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルア
ラニン、チロシン、及びトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸の
群は、リシン、アルギニン、及びヒスチジンであり、硫黄含有側鎖を有するアミ
ノ酸の群は、システイン及びメチオニンである。好ましい保存アミノ酸置換群は
、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギ
ニン、アラニン-バリン、及びアルパラギン-グルタミンである。
【0098】 用語「相同な」は、一つの一本鎖核酸配列が相補的な一本鎖核酸配列にハイブ リダイズし得ることを意味する。ハイブリダイゼーションの程度は、配列間の同
一性の大きさ、及び後述するような温度や塩濃度のようなハイブリダイゼーショ
ン条件等のいくつかの要因に依る。好ましくは、同一性を有する領域は、約5 bp
より大きく、より好ましくは同一性の領域は10 bpよりも大きいものである。
【0099】 用語「異種構造の」は、一つの一本鎖核酸配列が別の一本鎖核酸配列あるいは その相補物にハイブリダイズできないことを意味する。すなわち異種構造の部分
とは、ポリヌクレオチドの領域あるいはポリヌクレオチドが、別の核酸あるいは
ポリヌクレオチドにハイブリダイズできない部分あるいは領域をその配列内に有
していることを意味する。そのような領域あるいは部分は、例えば変異の部分で
ある。
【0100】 用語「同族の」は、本明細書においては、種の間で進化上及び機能的に関連し
ている遺伝子配列をいう。例えば、限定するものではないが、ヒトゲノムにおい
ては、ヒトCD4遺伝子はマウス3d4遺伝子に同族の遺伝子であり、これはこれらの
二つの遺伝子の配列及び構造がそれらが高度に相同であることを示し、両方の遺
伝子がMHCクラスII制限抗原認識によりT細胞活性化のシグナルを発生することに
おいて機能するタンパク質をコードすることによるものである。
【0101】 用語「野性型」は、ポリヌクレオチドが変異を含んでいないことを意味する。
「野性型」タンパク質は、そのタンパク質が自然界において見られる活性のレベ
ルで活性であり、自然界で見られるアミノ酸配列を含んでいることを意味する。
【0102】 用語「変異」は、野性型核酸配列における変化、あるいはペプチドの配列にお ける変化を意味する。そのような変異はトランジションやトランスバージョンの
ような点突然変異であってもよい。変異は欠失、挿入あるいは重複であってもよ
い。
【0103】 本明細書で使用するポリペプチドの表記法においては、標準的な用法及び慣例 に従って、左手方向がアミノ末端方向であり、右手方向がカルボキシ末端方向で
ある。同様に、特に明記しない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側の末端
は5'末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は5'方向をいうもので
ある。発生期のRNA転写物の5'から3'への付加の方向を転写方向といい、RN
Aと同じ配列を有し、RNA転写物の5'から5'末端へのものであるDNA鎖上の
配列領域は「上流配列」といい、RNAと同じ配列を有し、コードRNA転写物
の3'から3'末端へのものであるDNA鎖上の配列領域は「下流配列」という。
【0104】 本明細書で対象に対して使用される用語「天然の」は、その対象が自然界にお いて見られるという事実をいう。例えば、天然の起源から単離できる生物(ウイ ルスを含む)に存在するものであって実験室で人により意図的に修飾されていな いポリペプチドあるいはポリヌクレオチド配列は天然のものである。一般に、天
然のという用語はその種に典型的なもののような非病理的(非疾患)個体に存在す
る対象をいう。
【0105】 本明細書でいう「薬剤」は、化学化合物、化学化合物の混合物、間隔をあけて 位置させた化合物のアレイ(例えばVLSIPSペプチドアレイ、ポリヌクレオチドア レイ、及び/または組合せの小分子アレイ)、生物高分子、バクテリオファージ ペプチド提示ライブラリー、バクテリオファージ抗体(例えばscFv)提示ライブラ
リー、ポリソームペプチド提示ライブラリー、あるいは細菌、植物、真菌、もし
くは動物(特に哺乳動物)細胞または組織等の生物材料から製造された抽出物等を
示す。薬剤は、以下に記載するスクリーニングアッセイに含めることによって、
抗新生物剤、抗炎症剤、あるいはアポトーシス調節剤としての可能性のある活性
を評価する。薬剤は、以下に記載するスクリーニングアッセイに含めることによ
り、特異的タンパク質相互作用阻害剤(すなわち、二つの所与のポリペプチドの 間の結合相互作用を選択的に阻害するが、細胞の生存可能性を実質的に阻害しな
い薬剤)としての可能性のある活性を評価する。
【0106】 本明細書で使用する「実質的に純粋な」は、対象の種が存在する優勢な種であ り(すなわち、組成物中においてモル基準でその他のいずれの個々の高分子より も豊富であり)、好ましくは実質的に精製された分画とは、対象の種が、存在す る全ての高分子種の少なくとも約50パーセント(モル基準で)を構成する組成物で
ある。一般に、実質的に純粋な組成物は組成物中に存在する全ての高分子の約80
〜90パーセントを越える部分を構成する。最も好ましくは、対象の種が実質的に
均質になるまで精製されたものであり(同時に存在する種が慣用の検出法によっ ては検出できない)、組成物が実質的に単一の高分子種からなるものである。こ こで、溶媒種、小分子(<500ダルトン)、及び元素イオン種は高分子種とは考えな
い。
【0107】 本明細書で使用する用語「生理的条件」は、温度、pH、イオン強度、粘度等を
いい、生存可能な生物に適合し、及び/または生存可能な培養酵母細胞あるいは
哺乳動物細胞の細胞中に通常存在するような生化学的パラメーターのようなもの
である。例えば、通常の実験室での培養条件において増殖された酵母細胞の細胞
内条件は生理的条件である。in vitro転写混合物に適したin vitro反応条件は一
般に生理的条件である。一般に、in vitro生理的条件は、50〜200 mM NaClまた はKCl、pH 6.5〜8.5、20〜45℃、及び0.001〜10 mM 二価カチオン(例えばMg++
Ca++)からなり、好ましくは150 mM NaClまたはKCl、pH 7.2〜7.6、5 mM 二価カ チオンであり、しばしば0.01〜1.0パーセントの非特異的タンパク質(例えばBSA)
を含む。非イオン性洗剤(Tween, NP-40, Triton X-100)もしばしば存在させるこ
とができ、通常約0.001〜2%、典型的には0.05〜0.2% (v/v)で存在させる。慣用 の方法により実験者が特定の水性条件を選択することができる。一般的な指針と
しては、以下の緩衝化水性条件、10〜250 mM NaCl、5〜50 mMトリスHCl、pH 5〜
8で、任意に二価カチオン及び/または金属キレート化剤及び/または非イオン 性洗剤及び/または膜分画及び/または消泡剤及び/またはシンチレーション物
質を含むものを使用できる。
【0108】 本明細書においては、「特異的ハイブリダイゼーション」は、第一のポリヌク
レオチドと第二のポリヌクレオチド(例えば第一のポリヌクレオチドとは異なる が実質的に同一の配列を有するポリヌクレオチド)の間のハイブリッドの形成と 定義され、実質的に無関係のポリヌクレオチド配列は混合物中でハイブリッドを
形成しない。
【0109】 本明細書で使用する用語「単鎖抗体」は、ポリペプチド結合した、一般的にス
ペーサーペプチド(例えば[Gly-Gly-Gly-Gly-Ser]x)により結合されたVHドメイン
及びVLドメインを含むポリペプチドをいい、アミノ末端及び/またはカルボキシ
末端に追加的なアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、単鎖抗体はコードポリヌ
クレオチドに結合するための結合セグメントを含む。例としては、scFvは単鎖抗
体である。単鎖抗体は、一般的には免疫グロブリンスーパーファミリーの遺伝子
により実質的にコードされ(例えば、The Immunoglobulin Gene Superfamily, A.
F. Williams及びA.N. Barclay, Immunoglobulin Gene, T. Honjo, F.W. Alt及び
THE. Rabbits, eds., (1989) Academic press: San Diego, CA, pp.361-368参照
、これは引用により本明細書の一部とする)、最も多くは齧歯動物、非ヒト霊長 類、鳥類、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、あるいはヒト重鎖もしくは軽鎖遺伝子配
列によりコードされた、少なくとも10の連続したアミノ酸のポリペプチドセグメ
ントの一以上からなるタンパク質である。機能的な単鎖抗体は一般的には免疫グ
ロブリンスーパーファミリー遺伝子産物の十分な部分を含み、特異的な標的分子
、典型的には受容体または抗原(エピトープ)に結合する性質を保持するものであ
る。
【0110】 本明細書で使用する用語「相補性決定領域」及び「CDR」は、Kabat及びChothi
aにより例示されたような当分野で認められた用語を示すものであり、CDRの定義
は超可変領域あるいはハイパー可変ループとしても一般に知られている(Chothia
及びLeks (1987) J. Mol. Biol. 196; 901; Clothiaら、(1989) Nature 342; 87
7; E.A. Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest (Nation
al Institute of Health, Bethesda, MD)(1987);及びTramontanoら、(1990) J.
Mol. Biolog. 215; 175)。可変領域ドメインは通常、天然の免疫グロブリン鎖の
アミノ末端の約105〜115アミノ酸(例えばアミノ酸1〜110)を含むが、いくらか短
いか長い可変ドメインも単鎖抗体を形成するのに適している。
【0111】 免疫グロブリン軽鎖または重鎖可変領域は、CDRとも呼ばれる三つのハイパー 可変領域で中断されている「フレームワーク」領域からなる。フレームワーク領
域及びCDRの範囲は詳細に定義されている("Sequences of Proteins of Immunolo
gical Interest," E. Kabatら、4th Ed., U.S. Department of Health and Huma
n Service, Bethesda MD (1987)参照)。異なる軽鎖あるいは重鎖のフレームワー
ク領域の配列は種内で比較的保存されている。本明細書で使用する「ヒトフレー
ムワーク領域」は、天然のヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域に実質的に
同一(約85以上、通常は90〜95以上)のフレームワーク領域である。構成的軽鎖及
び重鎖の組み合わされたフレームワーク領域である抗体のフレームワーク領域は
、CDRの位置を決定し整列させる働きを有する。CDRは主として抗原のエピトープ
への結合に関与している。
【0112】 本明細書で使用する用語「可変セグメント」は、ランダムであるか、偽ランダ
ムであるか、定義された核配列を含む新生ペプチドの部分をいう。可変セグメン
トは、変異及び非変異残基位置の両方を含み得、変異残基位置の残基変異の程度
は限定され得るが、両者の選択は実験者の考慮により決定される。通常は、可変
セグメントは約5〜20アミノ酸の長さ(例えば8〜10)であるが、可変セグメントは
より長くてもよく、例えば抗体断片、核酸結合タンパク質、受容体タンパク質等
の抗体部分あるいは受容体タンパク質を含み得る。
【0113】 本明細書で使用する「ランダムペプチド配列」は、二以上のアミノ酸モノマー を含み、確率論的あるいはランダムな方法により構築されたアミノ酸配列をいう
。ランダムペプチドは、フレームワークあるいは骨格モチーフを含み得、これは
非変異配列を含み得る。
【0114】 本明細書で使用する「ランダムペプチドライブラリー」は、ランダムペプチド のセットをコードするポリヌクレオチド配列のセット、これらのポリヌクレオチ
ド配列によりコードされたランダムペプチドのセット、並びにこれらのランダム
ペプチドを含む融合タンパク質をいう。
【0115】 本明細書で使用する用語「偽ランダム」は、可変性が制限された配列のセット をいうものであり、例えば残基の可変性の程度が、別の位置ではなく、偽ランダ
ム位置ではいずれもある程度の残基変化が可能であるものの制限されているもの
である。
【0116】 本明細書で使用する用語「定義された配列フレームワーク」は、非ランダムな 形式で、一般的には実験データあるいは構造データに基づいて選択された定義さ
れた配列のセットをいい、例えば定義された配列フレームワークは、β-シート 構造を形成すると予測されるアミノ酸配列のセットを含み得、あるいはロイシン
ジッパーヘプタッドリピートモチーフ、ジンクフィンガードメイン、その他の変
化を含み得る。「定義された配列核」は、可変性の限定された範囲を包含する配
列のセットである。(1) 慣用の20のアミノ酸の完全にランダムな10-マーは(20)1 0 の配列のいずれかのものであり得、(2) 慣用の20のアミノ酸の偽ランダムな10-
マーは(20)10の配列のいずれかのものであり得るが、特定の位置及び/または全
体にわたって特定の残基についてのバイアスを示すものであり、(3) 定義された
配列核は、各残基位置が許容される20の慣用のアミノ酸(及び/または可能な非 慣用的なアミノ/イミノ酸)のいずれかであることが許容される場合の配列のサブ
セットである。定義された配列核は一般的には、選択されたライブラリーの個々
のメンバーの配列のセグメントについて、あるいは全長にわたって、変異及び非
変異残基位置を含み、及び/またはアミノ酸残基の定義されたサブセットから選
択された残基等を含み得る変異残基位置等を含む。定義された配列核は、アミノ
酸配列あるいはポリヌクレオチド配列のいずれかを表し得る。例示であって限定
するものではないが、配列(NNK)10及び(NNM)10(NはA、T、GあるいはCを表し、K はGまたはTを表し、MはAあるいはCを表す)は定義された配列核である。
【0117】 本明細書で使用する「エピトープ」は、抗原、あるいは抗体の可変領域結合部 分と相互作用する結合相互作用を形成し得るその他の高分子の部分をいう。通常
はそのような結合相互作用はCDRの1以上のアミノ酸残基との分子間接触として顕
在化する。
【0118】 本明細書で使用する「受容体」は、所与のリガンドにアフィニティを有する分 子をいう。受容体は天然分子、合成分子のいずれでもよい。受容体は、変化させ
ない状態、あるいはその他の種との凝集物として使用することができる。受容体
は、結合相手に対し、直接あるいは特異的結合物質を介して共有結合によりある
いは非共有結合的に結合することができる。受容体の例としては、限定するもの
ではないが、モノクローナル抗体等の抗体、特異的な抗原決定基(例えばウイル ス、細胞、その他の物質)と反応性を有する抗血清、細胞膜受容体、複合体炭水 化物、及び糖タンパク質、酵素、及びホルモン受容体が挙げられる。
【0119】 本明細書で使用する「リガンド」は、特定の受容体により認識される、ランダ ムペプチドあるいは可変セグメント配列のような分子をいう。当業者に理解され
るように、一つの分子(あるいは高分子複合体)が受容体とリガンドの両者であり
得る。一般には、より小さい分子量を有する結合相手がリガンドと呼ばれ、より
大きい分子量を有する結合相手が受容体と呼ばれる。
【0120】 本明細書で使用する「リンカー」あるいは「スペーサー」は、二つの分子、例 えばDNA結合タンパク質とランダムペプチドを結合する分子あるいは分子の群
をいい、二つの分子を好ましい構造に配置する働きを有し、例えば、DNA結合
タンパク質からの立体障害が最小になるようにランダムペプチドが受容体に結合
できるようにする。
【0121】方法 核酸シャッフリングは、より短いあるいはより小さいポリヌクレオチドのプー ルのin vitroまたはin vivoでの相同組換えにより一種以上のポリヌクレオチド を製造する方法である。関連する核酸配列あるいはポリヌクレオチドの混合物を
性的PCRにかけ、ランダムポリヌクレオチドを生成し、再構成して組換え変異体 核酸分子あるいはポリヌクレオチドのライブラリーあるいは混合集団を生成する
【0122】 カセット突然変異誘発とは異なり、シャッフリング及びエラーを起こしやすい
PCRのみが盲目的に(プライマー以外の配列情報なしに)配列のプールに変異を起 こすことを可能とする。
【0123】 反復する選択のためのエラーを起こしやすいPCRのみに対する本発明の突然変異
誘発性シャッフリングの利点は、抗体作成からの例により最もよく説明できる。
図1においては、DNAシャッフリングの先行技術の概略図をエラーを起こしや すいPCR(性的PCRではない)と比較して示す。選択されたプール配列の最初のライ
ブラリーは種々の起源の関連配列(すなわち天然のmRNAからの抗体)からなる
ものとし得、あるいは単一の抗体遺伝子の突然変異誘発(シャッフリングを含む)
の任意の形態のものから得ることができる。選択された相補性決定領域("CDR") の回収物はアフィニティ選択の最初の回の後に得られる(図1)。図においては、 厚いCDRが抗体分子の抗原に対するアフィニティを増加させる。シャッフリング によりCDR1の全てと、CDE2の全て、CDR3の全て等との自由な組合せによる結合が
可能となる。
【0124】 この方法は、逆鎖反応である点でエラーを起こしやすいPCRと異なっている。 エラーを起こしやすいPCRにおいては、ポリメラーゼ開始部位の数及び分子の数 は指数的に増加する。しかし、ポリメラーゼ開始部位の配列及び分子の配列は実
質的に同じままである。これに対し、核酸再構成あるいはランダムポリヌクレオ
チドのシャッフリングにおいては開始部位の数及びランダムポリヌクレオチドの
数(サイズではなく)は経時的に減少する。全プラスミドから得られたポリヌクレ
オチドについては、理論的な終点は単一の大きなコンカテマー分子である。
【0125】 相同の領域で交差が起こるので、組換えは主として同じ配列ファミリーのメン バーの間で起こる。これにより甚だしく不適合なCDRの組合せ(例えば同じ抗原の
異なるエピトープに対して指向されたもの)が低下される。配列の複数のファミ リーを同じ反応でシャッフリングすることができると考えられる。さらに、シャ
ッフリングは相対的な順序を維持し、例えばCDR1はCDR2の位置においては見られ
ない。
【0126】 シャッフラント(shufflant)が最高の(例えば最高のアフィニティ)CDRの大きな 数を含むことは稀にしかなく、これらの稀なシャッフラントはその優れたアフィ
ニティに基づいて選択することができる(図1)。100の異なる選択された抗体配列
のプールからのCDRは、1006の異なる形態で入れ替えることができる。このよう な多数の入替えはDNA配列の単一のライブラリーにおいて提示することはでき
ない。従って、所望の配列の長さ及び配列の多様性によりDNAシャッフリング
及び選択の多数のサイクルが必要となり得る。
【0127】 これに対し、エラーを起こしやすいPCRは同じ相対的配列における選択されたCD
Rの全てを保持し(図1)、非常に小さい変異体集団を生成する。
【0128】 本発明の方法において使用できる鋳型ポリヌクレオチドは、DNAあるいはR NAとし得る。これは遺伝子あるいは組換えまたは再構成されるより短いもしく
はより小さいポリヌクレオチドのサイズにより種々の長さとし得る。好ましくは
、鋳型ポリヌクレオチドは50 bp〜50 kbである。対象のタンパク質をコードする
核酸を含む全ベクターを本発明の方法に使用することができると考えられ、実際
に成功裏に使用された。
【0129】 鋳型ポリヌクレオチドは、PCR反応(米国特許第4,683,202号及び第4,683,195号)
、あるいはその他の増幅もしくはクローニング方法を使用した増幅により得るこ
とができる。しかし、PCR産物をそのプール化と性的PCRにかける前にPCR産物か ら遊離のプライマーを除去することによりより効率のよい結果が得られる。性的
PCRの前に最初のプールからのプライマーをうまく除去できない場合、交差クロ ーンの頻度が低下し得る。
【0130】 鋳型ポリヌクレオチドは二本鎖でなければならない場合が多い。得られる一本 鎖ポリヌクレオチドの領域が互いに相補的であり、従ってハイブリダイズして二
本鎖分子を形成することができることを確実にするために二本鎖核酸分子が推奨
される。
【0131】 鋳型ポリヌクレオチドに同一の領域及び鋳型ポリヌクレオチドと異種構造の領 域を有する一本鎖あるいは二本鎖核酸ポリヌクレオチドを、この段階で鋳型ポリ
ヌクレオチドに加えることができると考えられる。また、二種の異なるが関連し
たポリヌクレオチド鋳型をこの段階で混合することが考えられる。
【0132】 二本鎖ポリヌクレオチド鋳型及び添加された二本鎖あるいは一本鎖ポリヌクレ オチドを性的PCRにかけるが、これは遅延化あるいは停止を含み、約5 bp〜5 kb あるいはそれ以上の混合物を与える。好ましくはランダムポリヌクレオチドのサ
イズは約10 bp〜1000 bp、より好ましくはポリヌクレオチドのサイズは約20 bp 〜500 bpである。
【0133】 あるいは、複数のニックを有する二本鎖核酸を本発明の方法に使用できること も考えられる。ニックは二本鎖核酸の一方の鎖の破断である。そのようなニック
の間の距離は好ましくは5 bp〜5 kb、より好ましくは10 bp〜1000 bpである。こ
れにより自己プライミングの領域が与えられ、例えばランダムプライマーから得
られるポリヌクレオチドとともに含まれるより短いあるいはより小さいポリヌク
レオチドを生成することができる。
【0134】 任意の一種の特定のポリヌクレオチドの濃度は全ポリヌクレオチドの1重量%を 越えないものとし、より好ましくは任意の一種の特定の核酸配列の濃度は全核酸
の0.1重量%を越えないものとする。
【0135】 混合物中の異なる特定のポリヌクレオチドの数は少なくとも約100、好ましくは
少なくとも約500、より好ましくは少なくとも約1000である。
【0136】 この段階において、合成または天然の一本鎖あるいは二本鎖ポリヌクレオチド をランダムな二本鎖のより短いあるいはより小さいポリヌクレオチドに加えてポ
リヌクレオチドの混合物の不均質性を高めてもよい。
【0137】 また、二本鎖のランダムに破断されたポリヌクレオチドの集団をこの段階で性 的PCR過程からのポリヌクレオチドと混合するかまたは組合せ、任意に一以上の 追加的な性的PCRサイクルにかけることが考えられる。
【0138】 鋳型ポリヌクレオチドへの変異の挿入が望まれる場合は、鋳型ポリヌクレオチ ドに同一の領域及び鋳型ポリヌクレオチドと異種構造の領域を有する一本鎖また
は二本鎖ポリヌクレオチドを全核酸と比較して重量で20倍過剰に加えることがで
き、より好ましくは一本鎖ポリヌクレオチドは全核酸と比較して重量で10倍過剰
に加えることができる。
【0139】 異なるが関連した鋳型ポリヌクレオチドの混合物が望まれる場合には、鋳型の それぞれからのポリヌクレオチドの集団を約1:100未満の比率、より好ましくは 約1:40未満の比率で合わせることができる。例えば、野性型ポリヌクレオチドと
変異ポリヌクレオチドの集団との戻し交配が中性変異(例えば選択された表現型 特性において実質的な変化を生じない変異)を除去するために望まれる場合があ る。そのような例においては、加えることができるランダムに与えられた野性型
ポリヌクレオチドのランダムに与えられた性的PCRサイクル変異体ポリヌクレオ チドに対する比は約1:1〜約100:1であり、より好ましくは約1:1〜40:1である。
【0140】 ランダムポリヌクレオチドの混合集団は変性されて一本鎖ポリヌクレオチドを
形成し、その後再アニーリングされる。これらの別の一本鎖ポリヌクレオチドと
相同な領域を有する一本鎖ポリヌクレオチドのみが再アニールする。
【0141】 ランダムポリヌクレオチドは加熱により変性することができる。当業者であれ ば二本鎖核酸を完全に変性するのに必要な条件を決定できるであろう。好ましく
は、温度は80℃〜100℃であり、より好ましくは温度は90℃〜96℃である。ポリ ヌクレオチドを変性するのに使用されるその他の方法としては圧力(36)及びpHが
挙げられる。
【0142】 前記ポリヌクレオチドは冷却により再アニールすることができる。好ましくは 温度は20℃〜75℃であり、より好ましくは温度は40〜65℃である。相同の連続的
な4つの塩基のみの平均に基づいて交差の高い頻度が必要とされる場合、低いア
ニーリング温度により組換えを起こすことができるが、過程はより困難なものと
なる。生じる復元の程度は一本鎖ポリヌクレオチドの集団の間の相同性の程度に
依存する。
【0143】 復元はポリエチレングリコール("PEG")あるいは塩の添加により促進することが
できる。塩濃度は好ましくは0 mM〜200 mMであり、より好ましくは塩濃度は10 m
M〜100 mMである。塩はKClあるいはNaClとすることができる。PEGの濃度は好ま しくは0%〜20%、より好ましくは5%〜10%である。
【0144】 アニールされたポリヌクレオチドは次に核酸ポリメラーゼ及びdNTP(すなわちdA
TP、dCTP、dGTP、及びdTTP)の存在下でインキュベートする。核酸ポリメラーゼ はクレノウ断片、Taqポリメラーゼあるいは任意の当分野で公知のその他のDN Aポリメラーゼとすることができる。
【0145】 組立てに使用する方法は、依然として交差を生じる相同性の最小の程度に依存 する。同一性の領域が大きい場合、45℃〜65℃のアニーリング温度でTaqポリメ ラーゼを使用することができる。同一性を有する領域が小さい場合は、20℃〜30
℃のアニーリング温度でクレノウポリメラーゼを使用することができる。当業者
であれば、得られる交差の数を増加させるためにアニーリングの温度を変化させ
ることができるであろう。
【0146】 上記のポリメラーゼは、アニーリングの前、あるいはアニーリングと同時に、 あるいはアニーリングの後にランダムポリヌクレオチドに加えることができる。
【0147】 ポリメラーゼの存在下における変性、復元、及びインキュベーションのサイク ルは、本明細書においては核酸のシャッフリングあるいは再構成という。このサ
イクルは所望の回数だけ反復する。好ましくはサイクルは2〜50回繰り返し、よ り好ましくは配列は10〜40回繰り返される。
【0148】 得られる核酸は、約50 bp〜約100 kbのより大きい二本鎖ポリヌクレオチドであ
り、好ましくは、このより大きいポリヌクレオチドは500 bp〜約50 kbである。
【0149】 このより大きいポリヌクレオチドは、鋳型ポリヌクレオチドと同じサイズを有 するポリヌクレオチドのいくつかのコピーをタンデムに含むことができる。この
コンカテマーポリヌクレオチドを次に鋳型ポリヌクレオチドの単独のコピーに変
性する。得られるのは鋳型ポリヌクレオチドとほぼ同じサイズのポリヌクレオチ
ドの集団である。この集団は、シャッフリング前に相同の領域及び異種構造の領
域を含む一本鎖あるいは二本鎖ポリヌクレオチドが鋳型ポリヌクレオチドに加え
られた混合集団である。
【0150】 これらのポリヌクレオチドを次に適当なベクター中にクローニングし、結合混 合物を細菌を形質転換するのに使用する。
【0151】 単独のポリヌクレオチドは、より大きいコンカテマーポリヌクレオチドから、 コンカテマーの消化ではなく、PCR (米国特許第4,683,195号及び第4,683,202号)
等の種々の方法によりクローニングの前に単独のポリヌクレオチドを増幅するこ
とにより得ることができると考えられる。
【0152】 クローニングに使用するベクターは、所望のサイズのポリヌクレオチドを受容 するものであれは特に制限されることはない。特定のポリヌクレオチドの発現が
所望される場合は、クローニングビヒクルはさらにポリヌクレオチドの挿入部位
に隣接した転写及び翻訳シグナルを含み、宿主細胞中でのポリヌクレオチドの発
現を可能とするものでなければならない。好ましいベクターとしてはプラスミド
のpUC系、及びpBR系が挙げられる。
【0153】 得られる細菌集団は無作為突然変異を有する多数の組換えポリヌクレオチドを
含む。この混合集団を試験して所望の組換えポリヌクレオチドを同定することが
できる。選択方法は所望のポリヌクレオチドに依存する。
【0154】 例えば、リガンドに対する結合効率が増加しているタンパク質をコードするポ
リヌクレオチドが望まれる場合、集団もしくはライブラリ中のポリヌクレオチド
の各々の部分が発現するタンパク質を、リガンドに結合するそれらの能力につい
て、当該技術分野において公知の方法(すなわち、パニング、アフィニティクロ
マトグラフィー)によって試験することができる。薬剤耐性が高まっているタン
パク質をコードするポリヌクレオチドが望まれる場合、集団もしくはライブラリ
中の各々のポリヌクレオチドが発現するタンパク質を、宿主生物に薬剤耐性を付
与するそれらの能力について試験することができる。所望のタンパク質に関する
知識を有する当業者は、この集団を試験して所望の特性をタンパク質に付与する
ポリヌクレオチドを同定することが容易にできる。
【0155】 タンパク質の断片が融合タンパク質としてファージ表面上に発現するファージ
提示系(Pharmacia、ミルウォーキー、WI)を当業者が使用可能であることが意 図されている。組換えDNA分子を、一部がその組換えDNA分子によってコー
ドされる融合タンパク質の転写を生じる部位でファージDNAにクローン化する
。その組換え核酸分子を含むファージを細胞内で複製及び転写させる。融合タン
パク質のリーダー配列は、融合タンパク質のファージ粒子の先端への搬送を指令
する。このようにして、上述の方法による検出及び選択のため、組換えDNA分
子によって部分的にコードされる融合タンパク質がファージ粒子上に提示する。
【0156】 さらに、第1の集団の亜集団に由来するポリヌクレオチドを用いて何回かの核 酸シャッフリング(nucleic acid shuffling)サイクルを行うことができること
が意図されており、この亜集団は所望の組換えタンパク質をコードするDNAを
含む。この方法においては、より高い結合親和性又は酵素活性を有するタンパク
質を達成することができる。
【0157】 また、サイレント突然変異を亜集団から除去するため、野生型ポリヌクレオチ
ドと最初の、もしくは引き続く核酸シャッフリングからの核酸の亜集団との混合
物を用いて何回かの核酸シャッフリングサイクルを行うことができることも意図
されている。
【0158】 精製された形態のあらゆる核酸源を出発核酸として用いることができる。した
がって、この方法はDNA又は伝令RNAを含むRNAを用いることが可能であ
り、このDNA又はRNAは一本鎖であっても二本鎖であってもよい。加えて、
各々1本の鎖を含むDNA−RNAハイブリッドを用いることができる。核酸配 列は、突然変異を受ける核酸配列のサイズに応じて、様々な長さのものであり得
る。好ましくは、特定の核酸配列は50ないし50000塩基対である。目的のタンパ ク質をコードする核酸を含むベクター全体を本発明の方法において用いることが
できることが意図されている。
【0159】 核酸はいかなる源からも、例えば、pBR322のようなプラスミド、クローン化D
NAもしくはRNA又は細菌、酵母、ウイルス並びに植物もしくは動物のような
高等生物を含むあらゆる源に由来する天然DNAもしくはRNAから得ることが
できる。DNA又はRNAは血液又は組織材料から抽出することができる。鋳型
ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド連鎖反応(PCR)を用いる増幅により得 ることができる(米国特許第4,683,202号及び第4,683,195号)。あるいは、ポリ
ヌクレオチドは細胞内に存在するベクター中に存在していてもよく、その細胞を
培養し、当該技術分野において公知の方法によりその細胞から核酸を抽出するこ
とにより十分な核酸を得ることができる。
【0160】 いかなる特定の核酸配列をも、本発明の方法によるハイブリッド集団の生成に
用いることができる。その特定の核酸配列のハイブリッド配列の小集団が存在す
るか、もしくは本発明の方法の前にそれが作製されることのみが必要である。
【0161】 突然変異を有する特定の核酸配列の初期小集団は幾つかの異なる方法により作
製することができる。突然変異は誤り易発性(error-prone)PCRにより生成させ
ることができる。誤り易発性PCRは、長い配列全体にわたって低水準の点突然変 異を無作為に導入するのに低忠実度重合条件を用いる。あるいは、オリゴヌクレ
オチド指向性突然変異誘発により鋳型ポリヌクレオチドに突然変異を導入するこ
ともできる。オリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発においては、制限酵素分解
を用いてポリヌクレオチドの短い配列をそのポリヌクレオチドから除去し、様々
な塩基が元の配列から変更されている合成ポリヌクレオチドで置き換える。また
、化学的突然変異誘発によりポリヌクレオチド配列を変更することもできる。化
学的突然変異原には、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硝酸、ヒドロキシルア
ミン、ヒドラジンもしくはギ酸が挙げられる。ヌクレオチド前駆体の類似体であ
る他の薬剤としては、ニトロソグアニジン、5−ブロモウラシル、2−アミノプリ
ン、もしくはアクリジンが挙げられる。一般に、これらの薬剤はヌクレオチド前
駆体の代わりにPCR反応に加え、それによりその配列に突然変異を生成させる。 また、プロフラビン、アクリフラビン、キナクリン等の挿入剤を用いることもで
きる。ポリヌクレオチド配列の無作為突然変誘発は、X線又は紫外光を照射する ことによって達成することもできる。一般には、そのようにして突然変異が生成
したプラスミドポリヌクレオチドを大腸菌に導入し、ハイブリッドプラスミドの
プールもしくはライブラリーとして増殖させる。
【0162】 あるいは、特定の核酸の小混合集団は自然界において見出すことも可能であり
、それらは同じ遺伝子又は異なる関連種に由来する同じ遺伝子(すなわち、同族
遺伝子)の異なる対立遺伝子からなるものであってもよい。あるいは、それらは
、1つの種内に見出される関連DNA配列、例えば、免疫グロブリン遺伝子であ ってもよい。
【0163】 特定の核酸配列の混合集団がひとたび生成されると、それらのポリヌクレオチ
ドを直接用いるか、又は当該技術分野において公知の技術を用いて適切なクロー
ニングベクターに挿入することができる。
【0164】 ベクターの選択はそのポリヌクレオチド配列のサイズ及び本発明の方法におい
て用いられる宿主細胞に依存する。本発明の鋳型はプラスミド、ファージ、コス
ミド、ファージミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、パラインフルエンザ
ウイルス、ヘルペスウイルス、レオウイルス、パラミクソウイルス等)、又はそ
れらの選択された部分(例えば、外殻タンパク質、スパイク糖タンパク質、キャ
プシドタンパク質)であり得る。例えば、突然変異を誘発しようとする特定の核
酸配列が大きい場合にはコスミド及びファージミドが好ましく、これは、これら
のベクターが大きなポリヌクレオチドを安定に増殖させることが可能であるため
である。
【0165】 特定の核酸配列の混合集団をベクターにクローン化すると、各々のベクターを
宿主細胞に挿入し、その宿主細胞にそのベクターを増幅させることによりそれを
クローンとして増幅させることができる。これは、核酸配列の絶対数が増加する
にも関わらずハイブリッドの数は増加しないため、クローン的増幅と呼ばれる。
有用性は、発現したポリペプチドをスクリーニングすることにより容易に決定す
ることができる。
【0166】 本発明のDNAシャッフリング法は、未知配列のプールに対して盲目的に行う
ことができる。再構築混合オリゴヌクレオチド(それらの再構築されている配列
に相同である末端を有するもの)を添加することにより、いかなる配列混合物を
も、いかなる特定の位置であっても、別の配列混合物に組み込むことができる。
したがって、合成オリゴヌクレオチドもしくはPCRポリヌクレオチドの混合物又 は全遺伝子の混合物でさえも別の配列ライブラリーに決められた位置で混合する
ことが可能であることが意図されている。1つの配列(混合物)の挿入は、鋳型 の別の部分の配列の挿入から独立している。したがって、組換えの程度、必要と
される相同性、及びライブラリーの多様性は、再構築DNAの長さに従って独立
して、同時に変化し得る。
【0167】 2つの遺伝子を混合するこのアプローチはネズミのハイブリドーマに由来する 抗体のヒト化に有用であり得る。この2つの遺伝子を混合し、又は変異体配列を 遺伝子に挿入するアプローチは、治療上用いられるあらゆるタンパク質、例えば
、インターロイキンI、抗体、tPA、成長ホルモン等に有用であり得る。また、こ
のアプローチは、あらゆる核酸、例えば、遺伝子のプロモーターもしくはイント
ロン、又は31非翻訳領域もしくは51非翻訳領域においても有用であり、タンパク
質の発現を増加させ、もしくはその発現の特異性を変更することができる。この
アプローチは変異体リボザイム又はアプタマーにも用いることができる。
【0168】 シャッフリングは、多様性を有する領域を分離する相同領域の存在を必要とす
る。足場(scaffold)様タンパク質構造がシャッフリングに特に適するものであ
り得る。この保存された足場は、特異的結合を仲介する比較的制限されていない
ループを現しながら、自己会合による全体的な折り畳みを決定する。このような
足場の例は、当該技術分野において公知の免疫グロブリンβ−バレル、及び4ら せん束(four-helix bundle)である。このシャッフリングは、結合のための突 然変異配列の様々な組み合わせを有する足場様タンパク質の作製に有用であり得
る。
【0169】In Vitroシャッフリング 幾つかの標準遺伝的接合と等価のものもシャッフリングによりin vitroで行う
ことができる。例えば、目的の突然変異を選択しながらハイブリッドの核酸を野
生型核酸と繰り返し混合することにより、“分子的戻し交雑”を行うことができ
る。伝統的な育種におけるものと同様に、このアプローチは異なる源に由来する
表現型を組み合わせて選り抜きの背景とするのに用いることができる。これは、
例えば、選択されていない特徴(すなわち、免疫原性)に影響を及ぼす中立突然
変異の除去に有用である。したがって、これはタンパク質におけるどの突然変異
が生物学的活性の増強に関与し、どれが関与しないのかの決定に有用であり、こ
れは誤り易発性突然変異誘発又はカセット突然変異誘発法によっては達成するこ
とができない利点である。
【0170】 小無作為ポリヌクレオチドの混合物から大きな機能的遺伝子を正確に組み立て
ることができる。この反応は、高度に断片化した化石のDNAからの遺伝子の再
構築に用いることができる。加えて、化石に由来する無作為核酸断片を関連種由
来の類似遺伝子からのポリヌクレオチドと組み合わせることもできる。
【0171】 また、本発明の方法は、様々な研究及び診断用途に必要とされる1つの細胞か らの全ゲノムのin vitro増幅に使用可能であることも意図されている。PCRによ るDNA増幅は、実用上、約40kbの長さに制限される。大腸菌のもの(5,000kb )のような全ゲノムの増幅には約250個のプライマーを必要とし、これは125個の
40kbポリヌクレオチドを生じる。このアプローチは十分な配列データを入手する
ことができないため実用的ではない。他方、性的PCRサイクル(sexual PCR cycl
es)を用いるゲノムのポリヌクレオチドの無作為生成、続く小ポリヌクレオチド
のゲル精製により多数の可能性のあるプライマーがもたらされる。PCR反応にお いてこの無作為小ポリヌクレオチド混合物をプライマーとして単独で、又は鋳型
としての全ゲノムと共に用いることにより、そのゲノムの多くのコピーを含む単
一の鎖状体を理論的な終末点とする逆連鎖反応が生じるはずである。
【0172】 無作為ポリヌクレオチドのみが用いられる場合、コピー数が100倍の増幅及び5
0kbを上回る平均ポリヌクレオチドサイズを得ることができる。大きな鎖状体は 多くのより小さなポリヌクレオチドの重複によって生じると考えられる。合成プ
ライマーを用いて得られる特異的PCR産物の質は非増幅DNAから得られる産物 と区別することができない。このアプローチはゲノムのマッピングに有用である
ことが期待される。
【0173】 シャッフルしようとするポリヌクレオチドは、実施者の判断で、無作為又は非
無作為ポリヌクレオチドとして生成させることができる。
【0174】In Vivoシャッフリング In vivoシャッフリングの態様においては、特定の核酸配列の混合集団を、各 々の宿主細胞内に少なくとも2つの異なる核酸配列が存在するような条件下にお いて細菌又は真核細胞に導入する。ポリヌクレオチドは様々な異なる方法により
宿主細胞に導入することができる。宿主細胞は、当該技術分野において公知の方
法、例えば、塩化カルシウムでの処理により、より小さなポリヌクレオチドで形
質転換することができる。ポリヌクレオチドがファージゲノムに挿入される場合
には、宿主細胞を特定の核酸配列を有する組換えファージゲノムでトランスフェ
クトすることができる。あるいは、電気穿孔、トランスフェクション、リポフェ
クション、微粒子銃、接合等を用いて核酸配列を宿主細胞に導入することができ
る。
【0175】 一般に、この態様においては、特定の核酸配列は宿主細胞においてこの配列を
安定に複製することが可能なベクター中に存在する。加えて、このベクターは、
このベクターを有する宿主細胞を選択することができるようにマーカー遺伝子を
コードすることが意図されている。これは、宿主細胞に導入した後に変異した特
定の核酸配列を確実に回収できるようにする。しかしながら、特定の核酸配列の
混合集団全体がベクター配列上に存在する必要はないことが意図されている。む
しろ、ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入した後に、各々の宿主細胞がその内部
に少なくとも1つの特定核酸配列を有する1つのベクターを含むことを確実なもの
とするのに十分な数の配列のみが、ベクターにクローン化されることが必要であ
る。また、ベクターにクローン化されている特定核酸配列の集団の下位集団を有
するのではなく、この下位集団が既に宿主細胞に安定に組み込まれている可能性
も意図されている。
【0176】 同一の領域を有する2つのポリヌクレオチドが宿主細胞に挿入されている場合 、これらの2つのポリヌクレオチドの間で相同組換えが生じることが見出されて いる。このような突然変異が生成した2つの特定核酸配列の間での組換えはある 状況において二重もしくは三重の変異体を生じる。
【0177】 また、直鎖核酸分子上に突然変異が生成した幾つかの特定核酸配列が存在する
場合、組換えの頻度が増加することも見出されている。したがって、好ましい態
様においては、幾つかの特定核酸配列が直鎖ポリヌクレオチド上に存在する。
【0178】 形質転換の後、宿主細胞形質転換体を選択下に置き、所望の質を有する変異特
定核酸配列を含む宿主細胞形質転換体を同定する。例えば、特定の薬物に対する
耐性の増加が望まれる場合には、濃度を高めたその特定の薬物に形質転換した宿
主細胞を晒し、高められた薬剤耐性を付与することが可能な変異タンパク質を産
生する形質転換体を選択すればよい。特定のタンパク質の受容体に結合する能力
の増強が望まれる場合には、これらの形質転換体からタンパク質の発現を誘発し
、生じるタンパク質を当該技術分野で公知の方法によりリガンド結合アッセイに
おいてアッセイして、リガンドに対する結合の増強を示す変異集団の下位集団を
同定することができる。あるいは、このタンパク質を別の系において発現させて
適切なプロセシングを確実なものとすることもできる。
【0179】 所望の特徴を有する第1の組換え特定核酸配列(娘配列)の下位集団がひとた び同定されたら、それらを第2の組換えに処する。
【0180】 組換えの第2サイクルにおいては、組換え特定核酸配列を元の変異した特定核 酸配列(親配列)と混合し、このサイクルを上述のように繰り返すことができる
。このようにして、特徴が増強され、もしくは特性が高められたタンパク質をコ
ードする、一組の第2組換え特定核酸配列を同定することができる。このサイク ルは所望の回数繰り返すことができる。
【0181】 また、第2の、もしくは引き続く組換えサイクルにおいては、戻し交雑が実施 可能であることが意図されている。分子的戻し交雑は、形質転換後に少なくとも
1つの野生型核酸配列及び1つの変異核酸配列が同じ宿主細胞内に存在するように
、所望の特定核酸配列を多数の野生型配列と混合することにより行うことができ
る。野生型特定核酸配列との組換えは、免疫原性のような選択されていない特徴
には影響を及ぼし得るが選択された特徴には影響を及ぼさない中立突然変異を排
除する。
【0182】 本発明の別の態様においては、第1の組換え(round)の間に、宿主細胞に導入
する前にPCR増幅を遅速もしくは停止することにより特定の核酸配列の下位集団 をより小さいポリヌクレオチドとして生成させることが可能であることが意図さ
れている。ポリヌクレオチドのサイズは、他の配列と相同的に再結合するため、
その他の配列と同一の幾つかの領域を含むのに十分な大きさでなければならない
。これらのポリヌクレオチドのサイズは0.03kbないし100kbの範囲をとり、より 好ましくは0.2kbないし10kbである。また、引き続く組換えにおいて、先行する 組換えから選択される配列以外の全ての特定核酸配列を宿主細胞への導入の前に
PCRポリヌクレオチドの産生に用いることができることが意図されている。
【0183】 これらのより短いポリヌクレオチド配列は一本鎖であっても二本鎖であっても
よい。これらの配列が元来一本鎖であり、かつ二本鎖になっている場合には、宿
主細胞に挿入する前にそれらを熱、化学薬品又は酵素で変性させることができる
。核酸の鎖を分離するのに適する反応条件は当該技術分野において公知である。
【0184】 この方法の工程は無制限に繰り返すことが可能であり、達成することができる
可能なハイブリッドの数によってのみ制限される。特定数のサイクルの後には全
ての可能なハイブリッドが達成され、さらなるサイクルは余計である。
【0185】 一態様においては、同じ変異した鋳型核酸を繰り返し再結合させ、生じる組換
え体を所望の特徴について選択する。
【0186】 したがって、変異した鋳型核酸の初期プール又は集団を大腸菌のような細菌に
おいて複製可能なベクターにクローン化する。大腸菌において自律複製が可能で
ある限り特定のベクターは本質的なものではない。好ましい態様において、ベク
ターは、そのベクターに連結する変異した特定核酸によってコードされるあらゆ
るタンパク質の発現及び産生を可能にするように設計される。また、ベクターが
選択可能なマーカーをコードする遺伝子を含むことも好ましい。
【0187】 変異した核酸配列のプールを含むベクターの集団を大腸菌宿主細胞に導入する
。このベクター核酸配列は、形質転換、トランスフェクション、又はファージの
場合には感染により導入することができる。細菌の形質転換に用いられるベクタ
ーの濃度は、各々の細胞に多数のベクターが導入されるようなものである。ひと
たび細胞内に存在すると、相同的組換えの効率は様々なベクター間で相同的組換
えが生じるようなものである。これにより、元来の親変異配列とは異なる突然変
異の組み合わせを有するハイブリッド(娘)の産生が生じる。
【0188】 その後、宿主細胞をクローン的に複製し、ベクター上に存在するマーカー遺伝
子について選択する。プラスミドを有する細胞のみが選択下で成長する。
【0189】 次に、ベクターを含む宿主細胞を有利な突然変異の存在について試験する。こ
のような試験は、これらの細胞を例えば、選択しようとする遺伝子が改善された
薬剤耐性遺伝子であるか否か、選択的な圧力下に置くことからなり得る。ベクタ
ーが変異核酸配列によってコードされるタンパク質を発現することが可能である
場合、このような選択には、そのようにコードされるタンパク質を発現させ、そ
のタンパク質を単離し、かつそのタンパク質を試験して、例えば、それが高めら
れた効率で目的のリガンドと結合するかどうかを決定することを含み得る。
【0190】 所望の特徴を付与する特定の娘ハイブリッド核酸配列がひとたび同定されたら
、既にベクター連結した形態又はベクターとは分離した形態のいずれかでその核
酸を単離する。次いで、この核酸を第1の、すなわち親の核酸集団と混合し、サ イクルを繰り返す。
【0191】 この方法により所望の特性が高められている核酸配列を選択できることが示さ
れている。
【0192】 更なる態様においては、変異体の第1世代が細胞内に保持され、親変異配列が 再度それらの細胞に加えられる。したがって、態様Iの第1サイクルが上述の通り
に行われる。しかしながら、娘核酸配列が同定された後には、これらの配列を有
する宿主細胞が保持される。
【0193】 親変異特定核酸集団を、ポリヌクレオチドとして、又は同じベクターにクロー
ン化して、既に娘核酸を有する宿主細胞に導入する。これらの細胞において組換
えを生じさせ、次世代の組換え体、すなわち孫娘を上述の方法により選択する。
【0194】 このサイクルは、所望の特徴を有する核酸もしくはペプチドが得られるまで、
多数回繰り返すことができる。引き続くサイクルにおいては、好ましいハイブリ
ッドに加えられる変異配列の集団が親ハイブリッド又は引き続くあらゆる世代に
由来するものであり得ることが意図されている。
【0195】 更なる態様において、本発明は、あらゆる中立突然変異を排除するために得ら
れた組換え特定核酸の“分子的”戻し交雑を実施する方法を提供する。中立突然
変異は、核酸又はペプチドに所望の特性を付与することがない突然変異である。
しかしながら、このような突然変異は望ましくない特徴を核酸又はペプチドに付
与することがある。したがって、このような中立突然変異は排除することが望ま
しい。本発明の方法はそれを行う手段を提供する。
【0196】 この態様においては、所望の特徴を有する変異体核酸が本発明の態様の方法に
よって得られた後、その核酸、その核酸を有するベクター又はそのベクター及び
核酸を有する宿主細胞を単離する。
【0197】 次に、その核酸又はベクターを、大過剰の野生型核酸と共に宿主細胞に導入す
る。ハイブリッドの核酸と野生型配列の核酸とを再結合させる。得られた組換え
体をハイブリッド核酸と同じ選択下に配する。所望の特徴を保持する組換え体の
みが選択される。所望の特徴をもたらさないあらゆるサイレント突然変異は野生
型DNAとの組換えにより失われる。このサイクルは全てのサイレント突然変異
が排除されるまで、多数回繰り返すことができる。
【0198】 このように、本発明の方法は、分子的戻し交雑において、不必要な、又はサイ
レント突然変異を除去するのに用いることができる。
【0199】有用性 本発明のin vivo組換え法は、特定のポリヌクレオチド又は配列の未知ハイブ リッド又は対立遺伝子のプールに対して盲目的に実施することができる。しかし
ながら、その特定のポリヌクレオチドの実際のDNA又はRNA配列を知る必要
はない。
【0200】 遺伝子の混合集団内で組換えを用いるこのアプローチは、あらゆる有用なタン
パク質、例えば、インターロイキンI、抗体、tPA、成長ホルモン等の生成に有用
であり得る。このアプローチは特異性又は活性が変更されているタンパク質の生
成に用いることができる。また、このアプローチは、変異体核酸配列、例えば、
遺伝子のプロモーター領域、イントロン、エクソン、エンハンサー配列、31非翻
訳領域もしくは51非翻訳領域の生成にも有用であり得る。したがって、このアプ
ローチは、発現の割合が増加している遺伝子の生成に用いることができる。また
、このアプローチは反復DNA配列の研究においても有用であり得る。最後に、
このアプローチはリボザイム又はアプタマーの突然変異生成に有用であり得る。
【0201】 タンパク質における多様性を有する領域を分離する足場様領域は本発明の方法
に特に適するものであり得る。保存された足場は、特異的結合を仲介する比較的
制限されていないループを現しながら、自己会合による全体的な折り畳みを決定
する。このような足場の例は、免疫グロブリンβ−バレル、及び4らせん束であ る。本発明の方法は、結合のための変異配列の様々な組み合わせを有する足場様
タンパク質の作製に用いることができる。
【0202】 幾つかの標準的な遺伝的接合と等価のものを本発明の方法により実施すること
もできる。例えば、目的の変異体を選択しながらハイブリッドの核酸を野生型核
酸と繰り返し混合することにより、“分子的”戻し交雑を行うことができる。伝
統的な育種におけるものと同様に、このアプローチは異なる源に由来する表現型
を組み合わせて選り抜きの背景とするのに用いることができる。これは、例えば
、選択されていない特徴(すなわち、免疫原性)に影響を及ぼす中立突然変異の
除去に有用である。したがって、これはタンパク質におけるどの突然変異が生物
学的活性の増強に関与し、どれが関与しないのかの決定に有用であり得る。
【0203】ペプチド提示方法 本発明は、開示される方法のいずれか、及びあらゆる組み合わせによるin vit
ro及び/又はin vivo組換えによる、ペプチド提示方法により選択されるポリヌ クレオチド配列のシャッフルに用いることができ、そこでは会合するポリヌクレ
オチドが表現型(例えば、予め決められた受容体(リガンド)に対する親和性)
についてスクリーニングされている提示ペプチドをコードする。
【0204】 生物薬剤学的医薬品の開発及び分子生物学のますます重要となっている側面は
、生物学的高分子と相互作用するペプチド又はペプチド疑似体の、一次アミノ酸
配列を含むペプチド構造の同定である。所望の構造又は機能的特性、例えば、予
め決められた生物学的高分子(例えば、受容体)への結合、を有するペプチドを
同定する方法の1つには、大ライブラリー又はペプチドを、そのペプチドのアミ ノ酸配列によって付与される所望の構造又は機能的特性を有する個々のライブラ
リー構成要素についてスクリーニングすることが包含される。
【0205】 ペプチドライブラリーを生成させるための直接化学合成法に加えて、幾つかの
組換えDNA法も報告されている。その1つの型として、バクテリオファージ粒 子もしくは細胞の表面上でのペプチド配列、抗体、又は他のタンパク質の提示が
含まれる。一般にこれらの方法においては、各々のバクテリオファージ粒子又は
細胞は、その天然バクテリオファージ又は細胞タンパク質の配列に加えて、提示
されたペプチドの単一種を提示する個々のライブラリー構成要素としての機能を
果たす。各々のバクテリオファージ又は細胞は特定の提示ペプチド配列をコード
するヌクレオチド配列情報を含む;したがって、提示されたペプチド配列は単離
されたライブラリー構成要素のヌクレオチド配列決定により確認することができ
る。
【0206】 公知のペプチド提示法は、糸状バクテリオファージの表面上に、典型的にはバ
クテリオファージ外殻タンパク質との融合タンパク質として、ペプチド配列を提
示することを包含する。このバクテリオファージライブラリーは固定化された、
予め決められた高分子又は小分子(例えば、受容体)と共にインキュベートする
ことが可能であり、その結果、その固定化高分子に結合するペプチド配列を提示
するバクテリオファージ粒子を、その予め決められた高分子と結合するペプチド
配列を提示しないものから弁別的に分離することができる。次に、固定化高分子
に結合するバクテリオファージ粒子(すなわち、ライブラリー構成要素)を回収
し、複製して、引き続く親和性富化及びファージ複製のために選択されたバクテ
リオファージ下位集団を増幅させる。数回の親和性富化及びファージ複製の後、
そのようにして選択されたバクテリオファージライブラリー構成要素を単離して
提示ペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を決定し、それにより予め決め
られた高分子(例えば、受容体)に結合するペプチドの配列(1つもしくは複数 )を同定する。このような方法はPCT特許公開第91/17271号、第91/18980号、 並びに第91/19818号及び第93/08278号にさらに記述されている。
【0207】 後者のPCT公開には、融合タンパク質のライブラリーの作成を包含するペプチ ドリガンドを提示させるための組換えDNA法であって、各々の融合タンパク質
が、予め決められた高分子への潜在的な結合に利用可能な、典型的には可変配列
を含む第1ポリペプチド部分、及び個々の融合タンパク質をコードするDNAベ クターのようなDNAに結合する第2ポリペプチド部分を含んでなる方法が記述 されている。形質転換宿主細胞をこの融合タンパク質の発現を可能にする条件下
で培養すると、この融合タンパク質はそれをコードするDNAベクターに結合す
る。この宿主細胞を溶解することにより、ファージに基づく提示系においてバク
テリオファージ粒子をスクリーニングするのとほぼ同じ方法でその融合タンパク
質/ベクターDNA複合体を予め決められた高分子に対してスクリーニングする
ことができ、選択された融合タンパク質/ベクターDNA複合体におけるDNA
ベクターの複製及び配列決定は選択されたライブラリーペプチド配列(1つもし くは複数)を同定するための基礎としての役目を果たす。
【0208】 ペプチド及び同様のポリマーのライブラリーを生成するための他の系は組換え
及びin vitro化学合成法の両者の側面を有する。これらの混成法においては、ラ
イブラリー構成要素(すなわち、ペプチド又はポリヌクレオチド)のin vitro合
成を達成するのに細胞を含まない酵素的機構が用いられる。この方法の1つの型 では、予め決められたタンパク質又は予め決められた染料分子に結合する能力を
有するRNA分子が更なる選択及びPCR増幅により選択された(Tuerk及びGold (
1990) Science 249: 505;Ellington及びSzostak (1990) Nature 346: 818)。 同様の技術が予め決められたヒト転写因子に結合するDNA配列の同定に用いら
れた(Thiesen及びBach (1990) Nucleic Acids Res. 18:3203;Beaudry及びJoyc
e (1992) Science 257: 635;PCT特許公開第92/05258号及び92/14843号)。同
様の方式で、in vitro翻訳の技術が目的のタンパク質の合成に用いられており、
かつペプチドの大ライブラリーを生成するための方法として提唱されている。In vitro翻訳に依存し、一般に安定化されたポリソーム複合体を含むこれらの方法
は、PCT特許公開第88/08453号、第90/05785号、第90/07003号、第91/02076 号、第91/05058号、及び第92/02536号にさらに記述されている。出願人は、ラ
イブラリー構成要素がDNA結合活性を有する第1ポリペプチド部分とそのライ ブラリー構成要素を独自のペプチド配列とする第2ポリペプチド部分とを有する 融合タンパク質を含む方法を記述している;このような方法は、とりわけ、細胞
非含有in vitro選択形式における使用に適する。
【0209】 提示されるペプチド配列は長さが可変で、典型的には3−5000アミノ酸長以上 、頻繁には5−100アミノ酸長、しばしば約8−15アミノ酸長を有するものであり 得る。ライブラリーは可変長の提示ペプチド配列を有するライブラリー構成要素
を含むことが可能であり、又は固定長の提示ペプチド配列を有するライブラリー
構成要素を含んでいてもよい。提示ペプチド配列(1つもしくは複数)の一部又 は全体は無作為、疑似無作為、定義されたセット・カーナル(set kernal)、固
定されたもの等であり得る。本発明の提示方法は、可変領域配列の広範な多様性
及び結合特異性を有するscfvライブラリーの大規模スクリーニングを可能にする
、ポリソーム上の新生scFv又はファージ上に提示されたscfvのような、一本鎖抗
体のin vitro及びin vivo提示の方法を含む。
【0210】 また、本発明は、無作為、疑似無作為、及び定義された配列のフレームワーク
ペプチドライブラリー、並びにそれらのライブラリーを生成及びスクリーニング
して目的の受容体分子もしくはエピトープ、又はペプチドもしくはRNAを所望
の方式で修飾する遺伝子産物に結合する有用な化合物(例えば、一本鎖抗体を含
むペプチド)を同定する方法も提供する。この無作為、疑似無作為、及び定義さ
れた配列のフレームワークペプチドは、提示ペプチド又は提示一本鎖抗体を含み
、これらがその提示ペプチドが合成されるポリヌクレオチド鋳型に結合している
ペプチドライブラリー構成要素のライブラリーから生成する。結合の様式は選択
される本発明の特定の態様によって変化しても良く、ファージ粒子への封入又は
細胞への組み込みが含まれ得る。
【0211】 親和性富化の方法によって、スクリーニングしようとするペプチド及び一本鎖
抗体、並びに選択しようとする所望のペプチド(1つもしくは複数)もしくは一 本鎖抗体をコードするポリヌクレオチド配列の非常に大きなライブラリーが可能
となる。次に、このポリヌクレオチドを単離してシャッフルし、選択されたペプ
チド(1つもしくは複数)(もしくはそれらの予め決められた部分)又は一本鎖 抗体(もしくはそれらのちょうどVHI、VLIもしくはCDRの部分)のアミノ酸配列 を組み合わせ的に再結合させる。これらの方法を用いて、ペプチド又は一本鎖抗
体を分子に対する所望の結合親和性を有するものとして同定することができ、所
望の高親和性ペプチド又はscfvに急速に収束させるシャッフリングプロセスを開
発することが可能である。次いで、そのペプチド又は抗体をあらゆる適切な用途
のために(例えば、治療又は診断薬として)通常の手段によりバルクで合成する
ことができる。
【0212】 本発明の大きな利点は、目的のペプチドリガンド又は抗体の単離のために予想
されるリガンドの構造に関する事前の情報が必要ないことである。同定されるペ
プチドは生物学的活性を有することが可能であり、これは選択された受容体分子
に対する特異的結合親和性を少なくとも含むことを意味し、ある場合には、他の
化合物の結合の阻止、代謝経路の刺激もしくは阻害、シグナルもしくは伝令とし
ての作用、細胞活性の刺激もしくは阻害等の能力をさらに含むことを意味する。
【0213】 また、本発明は、新生ペプチド(一本鎖抗体を含む)を提示するポリソームの
ライブラリーを、予め決められた受容体(例えば、哺乳動物タンパク性受容体、
例えば、ペプチド作動性ホルモン受容体、細胞表面受容体、他のタンパク質(1 つもしくは複数)に結合してヘテロダイマー等の細胞内タンパク質複合体を形成
する細胞内タンパク質等)又はエピトープ(例えば、固定化タンパク質、糖タン
パク質、オリゴ糖等)に結合するライブラリー構成要素について親和性スクリー
ニングすることにより選択されるポリヌクレオチド配列のプールをシャッフルす
るための方法も提供する。
【0214】 (典型的には、受容体(例えば、リガンド)への結合についての親和性選択に
よる)第1の選択においてこれらの方法のいずれかにより選択されたポリヌクレ オチド配列をプールし、このプール(1つもしくは複数)をin vitro及び/又はi
n vivo組換えによりシャッフルして、再結合した選択ポリヌクレオチド配列の集
団を含むシャッフル済みのプールを生成する。再結合した選択ポリヌクレオチド
配列を少なくとも1回の次の選択に処する。次の選択(1回もしくは複数回)にお
いて選択されたポリヌクレオチド配列は直接使用し、配列決定し、及び/又は1 回以上のさらなるシャッフリング及びその次の選択に処することができる。また
、選択された配列を中性の(すなわち、結合に対して実質的な機能的効果を持た
ない)配列をコードするポリヌクレオチド配列と戻し交雑させることも可能であ
り、これは、例えば、選択された配列と実質的に同一の野生型もしくは天然配列
と戻し交雑させて免疫原性に劣る可能性のある本来のものに近い機能的ペプチド
を生成することにより行う。一般には、戻し交雑の間に、引き続く選択を適用し
て予め決められた受容体(リガンド)に結合する特性を保持する。
【0215】 選択された配列のシャッフリングの前又はそれと同時に、それらの配列に突然
変異を生成させることができる。態様の1つにおいては、選択されたライブラリ ー構成要素が原核性ベクター(例えば、プラスミド、ファージミド、又はバクテ
リオファージ)にクローン化され、ここで別個のライブラリー構成要素を表す個
々のコロニー(もしくはプラーク)の蓄積(collection)が生じる。次に、個々
の選択されたライブラリー構成要素を(例えば、部位特異的突然変異誘発、カセ
ット突然変異誘発、化学的突然変異誘発、PCR突然変異誘発等により)操作し、 選択されたライブラリー構成要素の配列に基づいて配列多様性の核(kernal)を
表すライブラリー構成要素の蓄積を生成することができる。個々の選択されたラ
イブラリー構成要素の配列又はプールを操作して、無作為突然変異、疑似無作為
突然変異、限定された核の突然変異(defined kernal mutation)(すなわち、 可変及び不変残基位置を含み、及び/又はアミノ酸残基の限定されたサブセット
から選択される残基を含んでいてもよい可変残基位置を含むもの)、コドンベー
スの突然変異等を断片的に、又はその個々の選択されたライブラリー構成要素の
配列の全長にわたって組み込むことができる。次いで、突然変異を生成した選択
ライブラリー構成要素をここに開示されるin vitro及び/又はin vivo組換えシ ャッフリングによりシャッフルする。
【0216】 また、本発明は、本発明の個別のライブラリー構成要素を複数含むペプチドラ
イブラリーであって、(1)この複数のうちの個別のライブラリー構成要素の各 々が選択された配列のプールのシャッフリングにより生じる配列を含み、かつ(
2)個々のライブラリー構成要素の各々が(幾つかのライブラリー構成要素は不 均一な増幅、確率的蓋然性等のためにライブラリー当たり1コピーを上回って存 在する可能性があるものの)この複数のうちの他の個別のライブラリー構成要素
の可変ペプチドセグメント配列又は一本鎖抗体配列とは異なる可変ペプチドセグ
メント配列又は一本鎖抗体セグメント配列を含むペプチドライブラリーも提供す
る。
【0217】 また、本発明は、予め決められた結合特異性を有する(又は、それを有するペ
プチドをコードする)選択されたポリヌクレオチド配列が、以下の方法によって
形成されるものであって、その方法が、(1)提示されたペプチド又は提示され た一本鎖抗体ライブラリーを予め決められた受容体(例えば、リガンド)もしく
はエピトープ(例えば、抗原高分子)に対してスクリーニングし、かつこの予め
決められた受容体もしくはエピトープに結合するライブラリー構成要素を同定及
び/又は富化して選択されたライブラリー構成要素のプールを生成し、(2)こ の予め決められたエピトープに結合し、かつそれによりライブラリーから単離及
び/又は富化されている選択されたライブラリー構成要素(又はそれらの増幅も
しくはクローン化コピー)を組換えによりシャッフリングしてシャッフル化ライ
ブラリーを生成し、及び(3)このシャッフル化ライブラリーをその予め決めら れた受容体(例えば、リガンド)もしくはエピトープ(例えば、抗原高分子)に
対してスクリーニングし、かつその予め決められた受容体もしくはエピトープに
結合するシャッフル化ライブラリー構成要素を同定及び/又は富化して選択され
たシャッフル化ライブラリー構成要素のプールを生成する方法である、プロダク
ト・バイ・プロセスも提供する。
【0218】抗体提示及びスクリーニング法 本発明は、開示される方法のいずれかによるin vitro及び/又はin vivo組換 えによる、及びあらゆる組み合わせでの、抗体提示法により選択されるポリヌク
レオチド配列のシャッフルに用いることができ、そこでは会合するポリヌクレオ
チドが表現型(例えば、予め決められた抗原(リガンド)に結合する親和性)に
ついてスクリーニングされている提示抗体をコードする。
【0219】 様々な分子遺伝的アプローチが、免疫グロブリン鎖に存在し得る非常に多数の
別個の可変領域によって表される巨大な免疫学的レパートリーを捕捉するために
考案されている。天然の生殖系列免疫グロブリン重鎖遺伝子座は多様性セグメン
ト遺伝子のタンデムアレイの上流に位置する可変セグメント遺伝子の別々のタン
デムアレイを含んでなり、この多様性セグメント遺伝子のタンデムアレイはそれ
ら自体連結(i)領域遺伝子のタンデムアレイの上流に位置し、この連結(i)領
域遺伝子のタンデムアレイは定常領域遺伝子の上流に位置する。Bリンパ球の発 生の間にV−D−J再編成が生じ、そこでは重鎖可変領域遺伝子(VH)が再編成に より形成されて融合Dセグメントを形成し、次いでVセグメントとの再編成が生じ
てV−D−J連結産生物遺伝子を形成し、これは、生産的に再編成された場合には 、重鎖の機能的可変領域(VH)をコードする。同様に、軽鎖遺伝子座は幾つかの
Vセグメントのうちの1つを幾つかのJセグメントのうちの1つと再編成して軽鎖の
可変領域(VL)をコードする遺伝子を形成する。
【0220】 免疫グロブリン中に存在し得る可変領域の巨大なレパートリーは、部分的には
、B細胞発生における再編成の間のV及びiセグメント(及び重鎖遺伝子座の場合 にはDセグメント)の連結の多くの組み合わせの可能性から派生する。重鎖可変 領域におけるさらなる配列多様性は、V−D−J連結の間のDセグメントの不均一な
再編成及びN領域付加から生じる。さらに、特異的B細胞クローンの抗原選択は、
重鎖及び軽鎖可変領域の一方もしくは両者における非生殖系列突然変異を有する
より高親和性の変種を選択する;“親和性成熟”又は“親和性鋭敏化”と呼ばれ
る表現型。典型的には、これらの“親和性鋭敏化”突然変異はその可変領域の特
定の領域、最も一般的には相補性決定領域(CDR)に群を形成する。
【0221】 抗原刺激β細胞の発生(すなわち、免疫化)により高親和性免疫グロブリンを
産生及び同定する上での多くの制限を克服するため、特異的抗原に対する高親和
性の抗体についてスクリーニングすることができる組み合わせ抗体ライブラリー
を産生するように操作することが可能な様々な原核発現系が開発されている。大
腸菌及びバクテリオファージ系における抗体発現の最近の進歩(“代替ペプチド
提示法”、下記を参照)は、特徴付けられたハイブリドーマからの抗体遺伝子の
クローン化、又は(例えば、Ig CDNAからの)抗体遺伝子ライブラリーを用いる 新たな選択のいずれかにより事実上あらゆる特異性を得ることができる可能性を
提起している。
【0222】 抗体の組み合わせライブラリーはバクテリオファージラムダ発現系において生
成されており、バクテリオファージプラークとして、又は溶原のコロニーとして
スクリーニングすることができる(Huseら (1989) Science 246: 1275;Caton及
びKoprowski (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 87: 6450;Mullinaxら
(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 87: 8095;Perssonら (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. (TJ.S.A.) 88 : 2432)。様々な態様のバクテリオファージ抗
体提示ライブラリー及びラムダファージ発現ライブラリーが記述されている(Ka
ngら (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 88: 4363;Clacksonら (1991)
Nature 352: 624;McCaffertyら (1990) Nature 348: 552;Burtonら (1991) Pr oc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 88 : 10134;Hoogenboomら (1991) Nucleic Aci ds Res. 19: 4133;Changら (1991) J. Immunol. 147: 3610;Breitlingら (199
1) Gene 104: 147;Marksら (1991) J. Mol. Biol. 222@: 581;Barbasら (1992
) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 89: 4457;Hawkins及びWinter (1992) J. Immunol. 22 : 867;Marksら (1992) Biotechnology 10: 779;Marksら (1992) J . Biol. Chem. 267 : 16007;Lowmanら (1991) Biochemistry 30: 10832;Lerner
ら (1992) Science 258: 1313、これらは参考として本明細書に組み込まれる )。典型的には、バクテリオファージ抗体提示ライブラリーは、(例えば、アフ
ィニティクロマトグラフィーによって反応性ファージを富化させるために共有結
合によりクロマトグラフィー樹脂に)固定化され、及び/又は(例えば、プラー
クもしくはコロニーリフト(colony lift)をスクリーニングするため)標識さ れている受容体(例えば、ポリペプチド、炭水化物、糖タンパク質、核酸)を用
いてスクリーニングする。
【0223】 特に有利なアプローチの1つはいわゆる単鎖断片可変(scfv)ライブラリーの 使用である(Marksら (1992) Biotechnology 10; 779;Winter G及びMilstein C
(1991) Nature 349: 293;Clacksonら (1991) 前掲書中;Marksら (1991) J. M ol. Biol. 222 : 581;Chaudharyら (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 87:
1066;Chiswellら (1992) TIBTECH 10: 80;McCaffertyら (1990) 前掲書中;及
びHustonら (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85: 5879)。バクテリオフ ァージ外殻タンパク質上に提示されるscfvライブラリーの様々な態様が記述され
ている。
【0224】 1988年に始まって、Fv断片の単鎖類似体及びそれらの融合タンパク質が抗体加
工法により高い信頼性で生成されている。その第1工程は、一般に、所望の結合 特性を有するVH及びVLドメインをコードする遺伝子を得ることを包含する;これ
らのV遺伝子は特定のハイブリドーマ細胞系から単離し、組み合わせV遺伝子ライ
ブラリーから選択し、又はV遺伝子の合成により作製することができる。単鎖Fv は、成分V遺伝子を、適切に設計されたリンカーペプチド、例えば、(Gly−Gly −Gly−Gly−Ser)3もしくは等価のリンカーペプチド(1つもしくは複数)をコ ードするオリゴヌクレオチドと連結させることにより形成する。このリンカーは
、第1V領域のC−末端と第2領域のN−末端とを、VH−リンカー−VL又はVL−リン カー−VH’のいずれかの順序で架橋する。原理的には、scfv結合部位はその親抗
体結合部位の親和性及び特異性の両者を忠実に複製することができる。
【0225】 このように、scfv断片は、柔軟なリンカーペプチドによって単一のポリペプチ
ド鎖に連結されるVH及びVLドメインを含んでなる。scfv遺伝子を組み立てた後、
それらをファージミドにクローン化し、M13ファージ(又は類似の糸状バクテリ オファージ)の先端にバクテリオファージPIII(遺伝子3)外殻タンパク質との 融合タンパク質として発現させる。関心のある抗体を発現するファージの富化は
、予め決められたエピトープ(例えば、標的抗原、受容体)に結合するための集
合scfvを提示する組換えファージをパンニングすることにより達成する。
【0226】 ライブラリー構成要素の連結したポリヌクレオチドはスクリーニング又は選択
手順の後のそのライブラリー構成要素の複製の基礎をもたらし、また、提示され
るペプチド配列又はVH及びVLアミノ酸配列の同一性のヌクレオチド配列決定によ
る決定の基礎ももたらす。提示されるペプチド(1つもしくは複数)又は単鎖抗 体(例えば、scfv)並びに/又はそのVH及びVLドメインもしくはそれらのCDRを 適切な発現系にクローン化して発現させることができる。しばしば、単離された
VH及びVLドメインをコードするポリヌクレオチドを定常領域(CH及びCL)をコー
ドするポリヌクレオチドにライゲートして完全な抗体(例えば、キメラもしくは
完全なヒトの)、抗体断片等をコードするポリヌクレオチドを形成する。しばし
ば、単離されたCDRをコードするポリヌクレオチドを適切な可変領域フレームワ ーク(及び任意に定常領域)をコードするポリヌクレオチドに移植して完全な抗
体(例えば、ヒト化もしくは完全なヒトの)、抗体断片等をコードするポリヌク
レオチドを形成する。調製量の抗原をイムノアフィニティークロマトグラフィー
によって単離するのに抗体を用いることができる。このような抗体の他の様々な
用途は、疾患(例えば、腫瘍形成)の診断及び/又は段階付け、及び、例えば腫
瘍形成、自己免疫疾患、AIDS、心血管疾患、感染症のような疾患を治療する治療
用途である。
【0227】 scfvライブラリーの組み合わせ多様性を増大させて結合種のレパートリー(イ
ディオタイプスペクトル)を広げるための様々な方法が報告されている。PCRの 使用は、可変領域を特定のハイブリドーマ源から、もしくは非免疫細胞からの遺
伝子ライブラリーとして迅速にクローン化させ、これは、組み合わせることが可
能なVH及びVLカセットの分類における組み合わせの多様性をもたらす。さらに、
これらのVH及びVLカセットは、例えば無作為、疑似無作為、又は特異的突然変異
誘発により、それ自体で多様化することが可能である。典型的には、VH及びVLカ
セットが相補性決定領域(CDRS)、しばしば第3CDR、CDR3において、又はその近
傍で多様化する。酵素的逆PCR突然変異誘発は、誤り易発性PCR及び化学的突然変
異誘発を有するものとして(Dengら (1994) J. Biol. Chem. 269: 953 3)、scf
v部位特異的変異体の比較的大きなライブラリーを構築するための簡潔かつ信頼 性の高い方法であることが示されている(Stemmerら (1993) Biotechniques 14:
256)。Riechmannら (1993) Biochemistry 32: 8848では、変性オリゴヌクレオ チドPCR及び生じたscfv変異体の引き続くファージ提示による、部位特異的無作 為化を用いる抗体scfv断片の半合理的設計が示された。Barbasら (1992) 前掲書 では、偏向した可変領域配列を用いる結果としてレパートリーサイズが制限さ
れる問題を、ヒト破傷風トキソイド結合Fabの合成CDR領域においてその配列を無
作為化することにより回避することが試みられた。
【0228】 CDR無作為化は、重鎖CDR3単独について約1×1020のCDRを創出し、かつほぼ同 数の重鎖CDR1及びCDR2の変種、並びに軽鎖CDR1−3変種を創出する潜在性を有す る。個別に、又は一緒に考えると、重鎖及び/又は軽鎖のCDR無作為化の組み合 わせの可能性は、法外の数のバクテリオファージクローンを産生して可能性のあ
る全ての組み合わせを表すクローンライブラリーを生成することを必要とし、そ
の組み合わせの大部分は非結合性である。このような多数の一次形質転換体の産
生は、現在の形質転換技術及びバクテリオファージ提示系では実現可能ではない
。例えば、Barbasら (1992) 前掲書中では僅かに5×107個の形質転換体のみが産
生され、これは、完全に無作為化されたCDRのライブラリーの潜在的な多様性の 極めて小さい割合しか占めない。
【0229】 これらの実質的な制限にも関わらず、scfvのバクテリオファージ提示は既に様
々な有用な抗体及び抗体融合タンパク質を産生している。二特異的(bispecific
)単鎖抗体が効率的な腫瘍細胞の溶解に介在することが示されている(Gruberら
(1994) J. Immunol. 152: 5368)。抗−Rev scfvの細胞内発現がin vitroでHIV
−1ウイルスの複製を阻害することが示されており(Duanら (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 91 : 5075)、抗−p21rar scfvの細胞内発現がアフリカツメ ガエル(Xenopus)卵母細胞の減数分裂性成熟を阻害することが示されている(B
ioccaら (1993) Biochem. Bioshys. Res. Commun. 197: 422)。HIV感染の診断 に用いることができる組換えscfvも報告されており、これはscfvの診断上の利用
性を示す(Lilleyら (1994) J. Immunol. Meth. 171: 211)。scFvが毒素もしく
は線維素溶解活性化因子タンパク質のような第2ポリペプチドに連結する融合タ ンパク質も報告されている(Holvostら (1992) Eur. J. Biochess. 210: 945;N
ichollsら (1993) J. Biol. Chem. 268: 5302)。
【0230】 より広い抗体多様性を有し、かつ潜在的な配列の組み合わせの非常に小さい割
合しか取り扱うことができない従来のCDR突然変異誘発及び無作為化法の多くの 制限を克服するscfbライブラリーを生成することが可能であったならば、治療及
び診断用途に適するscfv抗体の数及び質を大きく改善することが可能であった。
これに取り組むため、選択された提示抗体から得られた核酸から(典型的には、
PCR増幅又はクローン化により)得られているCDRの組換えに本発明のin vitro及
びin vivoシャッフリング法を用いる。このような提示抗体は細胞、バクテリオ ファージ粒子、ポリソーム、又はその抗体がコードする核酸(1つもしくは複数 )と会合するあらゆる適切な抗体提示系で提示させることができる。1つの変形 においては、これらのCDRが抗体産生細胞(例えば、免疫野生型マウス、ヒト、 又はWO92/03918号、WO93/12227号、及びWO94/25585号におけるもののような ヒト抗体を作製することが可能なトランスジェニックマウスに由来する血漿細胞
/脾臓細胞)に由来するmRNA(もしくはcDNA)からまず得られ、この抗
体産生細胞にはそれらから誘導されるハイブリドーマが含まれる。
【0231】 第1の選択において、(典型的には、抗原(例えば、リガンド)に結合する提 示抗体についての親和性選択により)これらの方法のいずれかによって選択され
たポリヌクレオチド配列をプールし、そのプール(1つもしくは複数)をin vitr
o及び/又はin vivo組換え、特にはCDRのシャッフリング(典型的には、他の重 鎖CDRとの重鎖CDRのシャッフリング及び他の軽鎖CDRとの軽鎖CDRのシャッフリン
グ)によってシャッフルして、組換えられた選択ポリヌクレオチド配列の集団を
含むシャッフル済みプールを生成する。これらの組換えられた選択ポリヌクレオ
チド配列を選択方式で提示抗体として発現させ、少なくとも1回の引き続く選択 に供する。引き続く選択(1回もしくは複数回)において選択されたポリヌクレ オチド配列は、直接使用し、配列決定し、並びに/又は所望の結合親和性を有す
る抗体が得られるまで1回以上のさらなるシャッフリング及び引き続く選択に供 することができる。また、選択された配列は中性抗体フレームワーク配列(すな
わち、抗原結合に対する機能的効果が実質的にはない)をコードするポリヌクレ
オチド配列と戻し交雑させることが可能であり、例えば、ヒト可変領域フレーム
ワークとの戻し交雑によりヒト様配列の抗体を産生する。一般には、戻し交雑の
間に、引き続く選択を適用して予め決められた抗原に結合する特性を保持する。
【0232】 あるいはまた、又は注記される変形と組み合わせて、標的エピトープの原子価
を変化させて選択されたscfvライブラリー構成要素の平均結合親和性を制御する
ことができる。この標的エピトープは、例えば、競合エピトープを含めることに
より、希釈により、又は当業者に公知の他の方法により、表面又は基体に様々な
密度で結合させることができる。高密度(原子価)の予め決められたエピトープ
を用いて比較的低い親和性を有するscfvライブラリー構成要素を富化することが
でき、これに対して、低密度(原子価)はより親和性の高いscfvライブラリー構
成要素を優先的に富化する。
【0233】 多様な可変セグメントを生成させるため、無作為もしくは疑似無作為ペプチド
配列、又はペプチド配列の定義された配列核セットをコードする合成オリゴヌク
レオチドの集合をライゲーションにより予め決められた部位(例えば、CDR)に 挿入することができる。同様に、単鎖抗体カセット(1つもしくは複数)の1つ以
上のCDRの配列多様性は、部位特異的突然変異誘発、CDR置換等によりそのCDR(1
つもしくは複数)を突然変異させることにより拡大させることができる。得られ
たDNA分子はシャッフリングに先立ってクローン化及び増幅するために宿主に
おいて増殖させることができ、又は直接用いることが可能であり(すなわち、宿
主細胞内での増殖の際に生じ得る多様性の損失を回避することが可能であり)、
続いてその選択されたライブラリー構成要素をシャッフルする。
【0234】 関心のある可変セグメントペプチド配列又は関心のある単鎖抗体をコードする
提示ペプチド/ポリヌクレオチド複合体(ライブラリー構成要素)をそのライブ
ラリーから親和性富化技術により選択する。これは、関心のあるペプチド配列、
例えば、受容体、他の巨大分子、又は他のエピトープ種に特異的な固定化巨大分
子又はエピトープにより達成される。この親和性選択手順を繰り返すことにより
所望の配列をコードするライブラリー構成要素の富化がもたらされ、次にそれを
プール及びシャッフリング、配列決定、及び/又はさらなる増殖及び親和性富化
のために単離することができる。
【0235】 所望の特異性を持たないライブラリー構成要素を洗浄により除去する。必要と
される洗浄の程度及びストリンジェンシーは関心のあるペプチド配列又は単鎖抗
体及び固定化された所定の巨大分子又はエピトープの各々について決定される。
結合インキュベーション及び引き続く洗浄の条件を調節することにより回収され
た新生ペプチド/DNA複合体の結合特性全体にわたって特定の程度の制御を行
うことができる。温度、pH、イオン強度、二価カチオン濃度、並びに洗浄液の容
積及び時間は、新生ペプチド/DNA複合体について、固定化巨大分子に対する
親和性の特定の範囲内で選択する。通常高親和性を前提とする遅い解離速度に基
づく選択が、しばしば、最も実際的な経路である。これは、飽和量の遊離の予め
決められた巨大分子の存在下における連続インキュベーションにより、又は洗浄
の容積、回数、及び長さを増加させることにより行うことができる。各々の場合
において、解離した新生ペプチド/DNAもしくはペプチド/RNA複合体の再
結合が妨げられ、時間の増加に伴い、次第に親和性が高い新生ペプチド/DNA
もしくはペプチド/RNA複合体が回収される。
【0236】 結合及び洗浄手順のさらなる改変を適用して特別な特徴を有するペプチドを見
出すことができる。幾つかのペプチドの親和性はイオン強度又はカチオン濃度に
依存する。これは、様々なタンパク質の親和性精製において用いられるペプチド
について、そのペプチドからタンパク質を取り除くのに穏やかな条件が必要とさ
れる場合に有用な特徴である。
【0237】 1つの変形は、異なる結合特異性を有するscfvの多重度についてscfvライブラ リーを同時にスクリーニングできるように、複数の結合標的(複数のエピトープ
種、複数の受容体種)の使用を包含する。scfvライブラリーの大きさによりしば
しば潜在的なscfv配列の多様性が制限されることを考慮すると、典型的には、可
能な限り大きなサイズのscfvライブラリーを用いることが望ましい。多数の非常
に大きなポリソームscFv提示ライブラリーを生成する時間及び経済的考慮は法外
なものとなる可能性がある。この実質的な問題を回避するため、複数の予め決め
られたエピトープ種(受容体種)を単一のライブラリーにおいて同時にスクリー
ニングすることが可能であり、又は多数のエピトープ種に対する逐次的なスクリ
ーニングを用いることができる。1つの変形においては、各々別のビーズ(又は ビーズのサブセット)上にコードされる複数の標的エピトープ種を混合し、ポリ
ソーム提示scfvライブラリーと共に適切な結合条件下でインキュベートすること
ができる。その後、複数のエピトープ種を含むビーズの集合を親和姓選択による
scfvライブラリー構成要素の単離に用いることができる。一般に、引き続く親和
性スクリーニングには、ビーズ、それらのサブセット、又は1つもしくは2つの個
々のエピトープ種のみを有するビーズの同じ混合物を含めることとができる。こ
のアプローチは効率的なスクリーニングをもたらし、実験室の自動化、バッチ処
理、及びハイスループットスクリーニング法と適合する。
【0238】 様々な技術を、本発明において、ペプチドライブラリーもしくは単鎖抗体ライ
ブラリーの多様化に、又はシャッフリングに先立ち、もしくはシャッフリングと
同時に、予め決められた巨大分子もしくはエピトープに対する結合活性を十分に
するための早期のパンニングにおいて見出される可変セグメントペプチド周辺の
多様化に用いることができる。1つのアプローチにおいては、陽性の選択ペプチ ド/ポリヌクレオチド複合体(早期の親和性富化において同定されるもの)を配
列決定して活性ペプチドの同一性を決定する。次に、これらの活性ペプチドの配
列に基づいてオリゴヌクレオチドを合成するが、これには、その一次オリゴヌク
レオチド配列に僅かな変異を生成させるために、各工程で全ての塩基が低濃度で
用いられている。次いで、この(僅かに)変性したオリゴヌクレオチドの混合物
を可変セグメント配列の適切な位置にクローン化する。この方法は出発ペプチド
配列の体系的な、制御された変種を生成し、これは次にシャッフルすることがで
きる。しかしながら、個々の陽性の新生ペプチド/ポリヌクレオチド複合体を突
然変異誘発に先立って配列決定し、したがって、それが少数の回収された複合体
の多様性の拡大及びより高い結合親和性及び/又はより高い結合特異性を有する
変種の選択に有用であることが必要である。1つの変形においては、陽性の選択 ペプチド/ポリヌクレオチド複合体(特には、可変領域配列)の変異原性PCR増 幅を行い、その増幅産生物をin vitro及び/又はin vivoでシャッフルし、かつ 配列決定に先立って1回以上の追加のスクリーニングを行う。同じ一般的なアプ ローチを単鎖抗体に関して多様性を拡大し、かつ結合親和性/特異性を増強する
ために用いることができ、これは、典型的には、シャッフリングに先立ち、もし
くはシャッフリングと同時に、CDR又は隣接フレームワーク領域を多様化するこ とにより行う。所望であれば、選択されたライブラリー構成要素とのin vitro組
換えが可能な変異原性オリゴヌクレオチドをシャッフリング反応に加えることが
可能である。したがって、合成オリゴヌクレオチド及び(誤り易発性又は高忠実
度法により合成された)PCR産生ポリヌクレオチドの混合物をin vitroシャッフ リング混合物に添加し、生じるシャッフル済みライブラリー構成要素(シャッフ
ラント(shufflant))に組み込むことが可能である。
【0239】 本発明のシャッフリングはCDR変異単鎖抗体の巨大ライブラリーの生成を可能 にする。このような抗体を産生する方法の1つは、シャッフリングに先立ち、も しくはシャッフリングと同時に、合成CDRを単鎖抗体に挿入し、及び/又はCDR無
作為化を行うことである。この合成CDRカセットの配列はヒトCDRの既知配列デー
タを参照することにより選択され、かつ以下の指針に従って熟練者の判断で選択
される;合成CDRは既知CDR配列と少なくとも40パーセントの位置的配列同一性を
有し、好ましくは既知CDR配列と少なくとも50〜70パーセントの位置的同一性を 有する。例えば、合成CDR配列の集合はKabatら (1991) 前掲書中に記載される天
然ヒトCDR配列に基づいてオリゴヌクレオチド配列の集合を合成することにより 生成することができる;合成CDR配列のプール(1つもしくは複数)は、少なくと
も1つの既知天然ヒトCDR配列と少なくとも40パーセントの配列同一性を有するCD
Rペプチド配列をコードするように算出される。あるいは、ある残基位置に頻繁 に(すなわち、既知CDR配列の少なくとも5パーセント)用いられるアミノ酸が合
成CDRの対応位置(1つもしくは複数)に組み込まれるように、天然CDR配列の集 合を比較してコンセンサス配列を生成することができる。典型的には、幾つか(
例えば、3〜約50)の既知CDR配列を比較し、それらの既知CDR間に観察される天 然配列の変動を表にして、観察される天然配列の変動の順列を全て、もしくは大
部分包含するCDRペプチド配列をコードするオリゴヌクレオチドの集合を合成す る。例えば、以下に限定されるものではないが、ヒトVH CDR配列の集合がTyr、V
al、Phe、もしくはAspのいずれかであるカルボキシ末端アミノ酸を有する場合、
カルボキシ末端CDR残基がこれらのアミノ酸のいずれかであるように合成CDRオリ
ゴヌクレオチド配列のプール(1つもしくは複数)を設計する。一部の態様にお いては、CDR配列の集合においてある残基位置に自然に生じるもの以外の残基が 組み込まれる:保存アミノ酸の置換がよく取り込まれ、既知天然CDR配列との比 較での非保存アミノ酸置換を取り込むために5つまでの残基位置を変化させるこ とができる。このようなCDR配列は(初回のスクリーニング前の)一次ライブラ リー構成要素に用いることができ、及び/又は選択されたライブラリー構成要素
配列のin vitroシャッフリング反応をスパイクするのに用いることができる。こ
のような定義された、及び/又は変性した配列のプールの構築は当業者が容易に
達成することができる。
【0240】 合成CDR配列の集合は、天然CDR配列であることが知られていない構成要素を少
なくとも1つ含む。重鎖CDRにおけるN領域付加に相当する無作為もしくは疑似無 作為配列の一部を含めるか、含めないかは熟練者の判断に任される;このN領域 配列はV−D及びD−J接合部に生じる1ヌクレオチド〜約4ヌクレオチドの範囲であ
る。合成重鎖CDR配列の集合は少なくとも約100のユニークなCDR配列、典型的に は少なくとも約1,000のユニークなCDR配列、好ましくは少なくとも約10,000のユ
ニークなCDR配列、頻繁には50,000を上回るユニークなCDR配列を含む;しかしな
がら、時には、特に天然ヒトCDRにおいて保存アミノ酸置換が存在しないか、も しくは希(すなわち、0.1パーセント未満)である位置での保存アミノ酸置換が 可能である場合には1×107〜1×108のユニークなCDR配列が存在することもある が、通常は約1×106以下のユニークなCDR配列がこの集合に含まれる。一般には 、ライブラリーに含まれるユニークなCDR配列の数はそのライブラリーにおける 一次形質転換体の予想数を係数10を上回って越えるべきではない。このような単
鎖抗体は、一般には少なくとも約1×10m〜、好ましくは少なくとも約5×107M−1
の親和性、より好ましくは約1×108〜1×109M−1以上の親和性、時には1×1010M
−1までもしくはそれ以上で結合する。頻繁には、予め決められた抗原はヒトタ ンパク質、例えば、ヒト細胞表面抗原(例えば、CD4、CD8、IL−2受容体、EGF受
容体、PDGF受容体)、他のヒト生物学的巨大分子(例えば、トロンボモジュリン
、プロテインC、炭水化物抗原、シアリルルイス抗原、Lセレクチン)、又は非ヒ
ト疾患関連巨大分子(例えば、細菌LPS、ビリオンのキャプシドタンパク質もし くはエンベロープ糖タンパク質)等である。
【0241】 所望の特異性を有する高親和性単鎖抗体は、様々な系において加工し発現させ
ることができる。例えば、scfvは植物において産生されており(Firekら (1993)
Plant Mol. Biol. 23: 861)、かつ原核細胞系において容易に生成することが できる(Owens RJ及びYoung RJ (1994) J. Immunol. Meth. 168: 149;Johnson
S及びBird RE (1991) Methods Enzymol 203: 88)。さらに、単鎖抗体を全抗体 又はそれらの様々な断片の構築の基礎として用いることができる(Kettleboroug
hら (1994) Eur. J. Immunol. 24: 952)。可変領域コーディング配列を(例え ば、PCR増幅又はサブクローン化により)単離して所望のヒト定常領域をコード する配列にスプライシングし、免疫原性が好ましく最小化されている、ヒトの治
療用途により適するヒト配列抗体をコードすることができる。この結果生じる完
全なヒトコーディング配列(1つもしくは複数)を有するポリヌクレオチド(1つ
もしくは複数)を(例えば、哺乳動物細胞中の発現ベクターから)宿主細胞にお
いて発現させ、医薬処方のために精製することができる。
【0242】 このDNA発現構築体は、典型的には、自然に会合するプロモーター配列又は
異種プロモーター配列を含む、そのコーディング配列に作動可能に結合した発現
制御DNA配列を含む。好ましくは、その発現制御配列は、真核宿主細胞を形質
転換又はトランスフェクトすることが可能なベクター中の真核プロモーター系で
ある。ひとたびそのベクターが適切な宿主に組み込まれると、その宿主はそれら
のヌクレオチド配列の高レベルの発現、並びにその変異体の“加工済み”抗体の
回収及び精製に適する条件下に保持される。
【0243】 前述したように、これらのDNA配列は、これらの配列が発現制御配列に作動
可能に結合された(すなわち、その構造遺伝子の転写及び翻訳を確実なものとす
るように位置した)後に宿主内で発現する。これらの発現ベクターは、典型的に
は宿主生物においてエピソームとして、又はその宿主の染色体DNAを構成する
一部として複製可能である。通常は、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質
転換されている細胞の検出を可能とする選択マーカー、例えば、テトラサイクリ
ンもしくはネオマイシンを含む(例えば、米国特許第4,704,362号を参照、これ は参考として本明細書に組み込まれる)。
【0244】 酵母のような真核微生物に加えて、哺乳動物組織細胞培養物も本発明のポリペ
プチドの生成に用いることができる(Winnacker, “遺伝子からクローンへ(Fro
m Genes to Clones)” VCH Publishers, N.i., N.Y. (1987)を参照、これは参 考として本明細書に組み込まれる)。真核細胞は、未変性の免疫グロブリンを分
泌することが可能な多くの適切な宿主細胞系が当該技術分野において開発されて
いるために実際好ましく、これにはCHO細胞系、様々なCOS細胞系、HeLa細胞、ミ
エローマ細胞系等が含まれるが、好ましくは形質転換B細胞又はハイブリドーマ である。これらの細胞の発現ベクターは発現制御配列、例えば、複製起点、プロ
モーター、エンハンサー(Queenら (1986) Immunol. Rev. 89: 49)、並びに必 要なプロセシング情報部位、例えば、リボソーム結合部位、RNAスプライス部
位、ポリアデニル化部位、及び転写終結部位を含むことができる。好ましい発現
制御配列は、免疫グロブリン遺伝子、サイトメガロウイスル、SV40、アデノウイ
ルス、ウシパピローマウイルス等に由来するプロモーターである。
【0245】 真核性DNA転写はエンハンサー配列をベクターに挿入することに増大させる
ことができる。エンハンサーは、プロモーターによる転写を増大させる10〜300b
pのシス作動性配列である。エンハンサーは転写単位に対して51もしくは31のい ずれかである場合に転写を効果的に増大させることができる。また、イントロン
内又はコーディング配列自体の内に位置する場合にも有効である。典型的には、
SV40エンハンサー、サイトメガロウイルスエンハンサー、ポリオーマエンハンサ
ー及びアデノウイスルエンハンサーを含むウイルスエンハンサーが用いられる。
マウス免疫グロブリン重鎖エンハンサーのような、哺乳動物系に由来するエンハ
ンサー配列も一般的に用いられる。
【0246】 哺乳動物発現ベクターも、典型的には、選択可能なマーカー遺伝子を含む。適
切なマーカーの例にはジヒドロフォレートリダクターゼ遺伝子(DHFR)、チミジ
ンキナーゼ遺伝子(TK)又は薬剤耐性を付与する原核生物遺伝子が含まれる。最
初の2つのマーカー遺伝子には、成長培地にチミジンを添加することなく成長す る能力を欠く変異体細胞系を使用することが好ましい。その後、それらの非補足
培地での成長能力により形質転換細胞を同定することができる。マーカーとして
有用な原核生物薬物耐性遺伝子の例には、G418に対する耐性を付与する遺伝子、
ミコフェノール酸(mycophenolic acid)及びハイグロマイシンが含まれる。
【0247】 関心のあるDNAセグメントを含むベクターを、細胞性宿主のタイプに応じて
、公知の方法により宿主細胞に移入することができる。例えば、塩化カルシウム
トランスフェクションは原核細胞に対して一般的に用いられ、これに対して、リ
ン酸カルシウム処理、リポフェクション、又は電気穿孔法を他の細胞性宿主に用
いることができる。哺乳動物細胞の形質転換に用いられる他の方法には、ポリブ
レン、プロトプラスト融合、リポソーム、電気穿孔法、及び微量注入が含まれる
(概要は、Sambrookら、前出を参照)。
【0248】 ひとたび発現させると、本発明の抗体、個々の変異免疫グロブリン鎖、変異抗
体断片、及び他の免疫グロブリンポリペプチドを、硫酸アンモニウム沈殿、分画
カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動等を含む当該技術分野の標準手順に従
って精製することができる。(概要は、Scopes, R. Protein Purification, Spr
inger-Verlag, N.Y. (1982)を参照)。ひとたび部分的に、もしくは所望に応じ て均質にまで精製すると、それらのポリペプチドを治療の上で用い、又はアッセ
イ手順、免疫蛍光染色等の開発もしくは実施において用いることができる(一般
には、免疫学的方法(Immunological Methods)、第I巻及び第II巻、Lefkovits 及びPernis編、Academic Press、ニューヨーク、N.Y. (1979年及び1981年)を 参照)
【0249】 本発明の方法によって産生した抗体は診断及び治療に用いることができる。説
明としてであって限定するものではないが、これらは癌、自己免疫疾患、又はウ
イルス感染症の治療に用いることができる。癌の治療については、これらの抗体
は、典型的には、erbB−2、CEA、CD33並びに当業者に公知の他の多くの抗原及び
結合構成要素のような癌細胞上に優先的に発現する抗原に結合する。
【0250】酵母2ハイブリッドスクリーニングアッセイ シャッフリングは、2ハイブリッドスクリーニング系をスクリーニングして予 め決められたポリペプチド配列に結合するライブラリー構成要素を同定すること
により得られる選択ライブラリー構成要素のプールの組換え的な多様化にも用い
ることができる。選択されたライブラリー構成要素をプールし、in vitro及び/
又はin vivo組換えによりシャッフルする。次に、シャッフルしたプールを酵母2
ハイブリッド系においてスクリーニングし、前述の予め決められたポリペプチド
配列(例えば、SH2ドメイン)に結合、又は代替の予め決められたポリペプチド 配列(例えば、別のタンパク質種に由来するSH2ドメイン)に結合するライブラ リー構成要素を選択する。
【0251】 予め決められたポリペプチド配列に結合するポリペプチド配列を同定するアプ
ローチは、その予め決められたポリペプチド配列が融合タンパク質中に存在する
いわゆる“2ハイブリッド”系に用いられている(Chienら (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 88 : 9578)。このアプローチは、転写アクチベーター、酵母G
al4転写タンパク質の再構築によりin vivoにおけるタンパク質−タンパク質相互
作用を同定する(Fields S及びSong O (1989) Nature 340: 245)。典型的には 、この方法は酵母Gal4タンパク質の特性に基づいており、これはDNA結合及び
転写活性の原因となる分離可能なドメインからなる。2つのハイブリッドタンパ ク質をコードし、その一方が既知タンパク質のポリペプチド配列に融合した酵母
Gal4 DNA結合ドメインからなり、かつ他方が第2のタンパク質のポリペプチド
配列に融合したGal4活性化ドメインからなるポリヌクレオチドを構築し、酵母宿
主細胞に導入する。これらの2つの融合タンパク質の間の分子間結合はGal4活性 化ドメインを有するGal4 DNA結合ドメインを再構成し、これはGal4結合部位 に作動可能に連結するレポーター遺伝子(例えば、lacz、HIS3)の転写活性化を
導く。典型的には、この2ハイブリッド法は既知タンパク質と相互作用する新規 ポリペプチド配列の同定に用いられる(Silver SC及びHunt SW (1993) Mol. Bi ol. Rep. 17 : 155;Durfeeら (1993) Genes Devel. 7: 555;Yangら (1992) Sci ence 257: 680;Lubanら (1993) Cell 73: 1067;Hardyら (1992) Genes Devel. 6 : 801;Bartelら (1993) Biotechniques 14: 920;及びVojtekら (1993) Cell 74 : 205)。しかしながら、この2ハイブリッド法の変形が、第2の既知タンパク
質への結合を自ら生じる既知タンパク質の突然変異の同定に用いられている(Li
B及びFields S (1993) FASEB J. 7: 957;Laloら (1993) Proc. Natl. Acad. S ci. (USA) 90 : 5524;Jacksonら (1993) Mol. Cell. Biol. 13: 2899;及びMadu
raら (1993) J. Biol-Chem. 268: 12046)。また、2ハイブリッド系は2つの既知
タンパク質の相互作用する構造ドメイン(Bardwellら (1993) med. Microbial.
8: 1177;Chakrabartyら (1992) J. Biol. Chem. 267: 17498;Staudingerら (1
993) J. Biol. Chem. 268: 4608;及びMilne GT.及びWeaver DT (1993) Genes D evel. 7 : 1755)又は単一のタンパク質のオリゴマー化の原因であるドメイン(I
wabuchiら (1993) Oncogene 8: 1693;Bogerdら (1993) J. Virol. 67: 5030) の同定にも用いられている。2ハイブリッド系の変形が原核生物の酵素のin vivo
活性の研究に用いられている(Dasmahapatraら (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 89 : 4159)。その代わりに、大腸菌/BCCP相互作用スクリーニング系(G
erminoら (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 90: 933;Guarente L (199
3) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 90: 1639)を、相互作用するタンパク質 配列(すなわち、ヘテロダイマー化、もしくはより高次のヘテロマルチマーを形
成するタンパク質配列)の同定に用いることができる。2ハイブリッド系によっ て選択された配列をプールしてシャッフルし、引き続き1回以上スクリーニング して予め決められた結合配列を含むハイブリッドに結合するポリペプチド配列を
同定するために2ハイブリッド系に導入することができる。このようにして同定 された配列を比較し、コンセンサス配列(1つもしくは複数)及びコンセンサス 配列核を同定することができる。
【0252】 一般には、組換えDNA技術の標準技術は様々な刊行物、例えば、Sambrookら
、1989、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laborator
y Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory;Ausubelら、1987、分子生物学に
おける現在のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、第1巻 及び第2巻及び補遺、並びにBerger及びKimmel、酵素学における方法(Methods i n Enzymology)、第152巻、分子クローニング技術の手引き(Guide to Molecula r Cloning Technicrues) (1987)、Academic Press, Inc.、サンディエゴ、CA に記述されており、これらの各々は参考としてそれら全体が本明細書に組み込ま
れる。ポリヌクレオチド修飾酵素は製造者の推奨に従って用いた。オリゴヌクレ
オチドは、アプライド・バイオシステムズ社(Applied Biosystems Inc.)モデ ル394DNA合成機でABIケミカルズ(ABI chemicals)を用いて合成した。所望 であれば、予め決められたDNA配列を増幅するためのPCR増幅器(PCR amplime
rs)を熟練者の判断で選択することができる。
【0253】 鋳型DNAのサンプル1 μgを得て、UV光によって処理することにより、TT二量体
、特にプリン二量体を含む、二量体を形成させる。UV暴露は、鋳型DNAサンプル 上の遺伝子当たりほんの2、3個の光化学反応生成物が生産されるように制限され
る。複数のサンプルを、UV光で種々の時間処理することにより、UV暴露から種々
の数の二量体を有する鋳型DNAサンプルを得る。
【0254】 非プルーフリーディングポリメラーゼ(例えば、Stratagene Cloning Systems
社製プライム−It IIランダムプライマーラベリングキット(Prime-It II Rando
m Primer Labeling kit))を利用するランダムプライミング(priming)キット
を利用して、UV光(上記のように)により調製される鋳型上のランダム部位でプ
ライミングし、そして鋳型にそって伸長させることによって異なるサイズのポリ
ヌクレオチドを作製する。プライム−It IIランダムプライマーラベリングキッ トに記載されたようなプライミングプロトコールを利用して、プライマーを伸長
することができる。UV暴露によって形成された二量体は、非プルーフリーディン
グポリメラーゼによる伸長の妨害物として作用する。このように、ランダムサイ
ズポリヌクレオチドのプールは、ランダムプライマーによる伸長が終了した後に
与えられる。
【0255】 本発明は、さらに、典型的には増幅及び/またはクローン化されたポリヌクレ
オチドの形態の、選択された変異体ポリヌクレオチド配列(または選択されたポ リヌクレオチド配列の集団)を生成する方法であって、前記選択されたポリヌク レオチド配列が少なくとも一種の所望の選択可能な発現型の特徴(例えばポリペ プチドをコードすること、結合したポリヌクレオチドの転写を促進すること、タ
ンパク質に結合すること等)を有する前記方法に関する。所望の構造または機能 的特性、例えば所定の生物学的巨大分子(例えば受容体)に結合する特性を有する
ハイブリッドポリペプチドを同定する一つの方法は、ポリペプチドのアミノ酸配
列により与えられた所望の構造または機能的特性を有する個々のライブラリーの
メンバーについてポリペプチドの大きなライブラリーをスクリーニングすること
を含む。
【0256】 一つの態様においては、本発明は、アフィニティ相互作用スクリーニングまた
は表現型スクリーニングに適した提示ポリペプチドまたは提示抗体のライブラリ
ーを生成する方法を提供する。該方法は、(1) 提示ポリペプチドもしくは提示抗
体及びこれらの提示ポリペプチドもしくは提示抗体をコードする関連するポリヌ
クレオチドを含む第一の複数の選択されたライブラリーのメンバーを得、前記関
連するポリヌクレオチドまたはそのコピーを得、前記関連するポリヌクレオチド
が実質的に同一の配列の領域を含むものとし、最適には前記ポリヌクレオチドま
たはそのコピーに変異を導入し、(2) 前記ポリヌクレオチドまたはコピーをプー
ルし、(3) ランダムなもしくは特定されたプライミング及び合成過程、または増
幅過程を中断することにより、より小さいまたはより短いポリヌクレオチドを製
造し、(4) 増幅、好ましくはPCR増幅、及び任意に突然変異誘発を行い、新たに 合成されたポリヌクレオチドを相同的に組換えることを含む。
【0257】 本発明の特に好ましい目的は、以下の一連の工程により有用なハイブリッドポ
リペプチドを発現するハイブリッドポリヌクレオチドを製造する方法を提供する
ことである。上記一連の工程は、 (a) 増幅または合成過程をブロックまたは中断する手段を用いてポリヌクレオチ
ド増幅または合成過程を中断することによりポリヌクレオチドを製造し、それに
より完成の種々の段階にあるポリヌクレオチドの複製により、より小さいまたは
より短い複数のポリヌクレオチドを与え、 (b) 得られた一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドの集団に、一種以上の一本鎖
または二本鎖オリゴヌクレオチドを加え、ここで添加されるオリゴヌクレオチド
は前記集団の一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドの一以上に対して異種構造の
部分中の同一の部分を含むものとし、 (c) 得られた一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチドを変性させて一本鎖ポリヌ
クレオチドの混合物を生成し、任意により短いまたはより小さいポリヌクレオチ
ドを種々の長さのポリヌクレオチドのプールに分離し、さらに任意に前記ポリヌ
クレオチドをPCR法に供して前記ポリヌクレオチドプールの少なくとも一つに含 まれる一種以上のオリゴヌクレオチドを増幅し、 (d) 複数の前記ポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドの少なくとも一の
プールをポリメラーゼとともに、一本鎖ポリヌクレオチド間で同一の領域におい
て前記一本鎖ポリヌクレオチドのアニーリングが起こる条件下でインキュベート
し、そのようにして突然変異が誘発された二本鎖ポリヌクレオチド鎖を形成し、
(e) 任意に工程(c)及び(d)を反復し、 (f) 前記一種以上のポリヌクレオチド鎖から少なくとも一種のハイブリッドポリ
ペプチドを発現させ、 (g) 前記少なくとも一種以上のハイブリッドポリペプチドを有用な活性について
スクリーニングする、 ことを含む。 本発明の好ましい態様において、増幅または合成プロセスをブロックしまたは
妨害する手段は、紫外線、DNA付加物、DNA結合タンパク質によるものであ
る。
【0258】 本発明の一つの実施態様においては、DNA付加物、またはDNA付加物を含
むポリヌクレオチドは、例えば、さらに処理する前にDNA断片を含む溶液を加
熱することを含む過程により、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドプール
から除去される。
【0259】 このように、本発明の例示的な実施態様を開示したが、開示が単に例示的なも
のであり、種々の他の変更、改作及び修正が本発明の範囲内でなされ得ることは
、当業者であれば気が付くはずである。従って、本発明は、本明細書中で説明さ
れたような特定の実施態様に限定されるものではない。
【0260】 さらなる苦心をすることなく、当業者であれば、前記記載を用いて、十分な程
度まで本発明を利用できると信じる。下記の実施例は、説明的なものであると実
例であると理解すべきであり、従って、残りの開示のいかなる限定にもならない
【0261】実施例1 UV誘導光産生物を用いる無作為な大きさのポリヌクレオチドの生成 鋳型DNAの1マイクログラム試料を得てUV光で処理し、TTダイマー、特には プリンダイマーを含むダイマーを形成させた。UV露光は鋳型DNA試料において
遺伝子当たり2、3の光産生物のみが生じるように制限する。複数の試料を時間を
変化してUV光で処理し、UV露光から生じる様々な数のダイマーを有する鋳型DN
A試料を得る。
【0262】 非プルーフリーディングポリメラーゼ(non-proofreading polymerase)を用 いる無作為プライミングキット(例えば、ストラタジーン・クローニング・シス
テムズ(Stratagene Cloning Systems)によるプライム−イットIIランダム・プ
ライマー・ラベリング(Prime-It II Random Primer Labeling)キット)を用い
て、(上述のように)UV光によって調製した鋳型の無作為部位で初回刺激し、か
つその鋳型に沿って伸長させることにより異なる大きさのポリヌクレオチドを生
成させる。このプライム−イットIIランダム・プライマー・ラベリング・キット
に記述されるようなプライミングプロトコルを用いてこれらのプライマーを伸長
させることができる。UV露光によって形成されたダイマーは非プルーフリーディ
ングポリメラーゼによる伸長の進行障害物として機能する。したがって、この無
作為プライマーを用いる伸長が終了した後、無作為な大きさのポリヌクレオチド
のプールが存在する。
【0263】実施例2 無作為な大きさのポリヌクレオチドの単離 実施例1に従って生成させた関心のあるポリヌクレオチドを1.5%アガロース ゲルでゲル単離する。100−300bpの範囲のポリヌクレオチドをゲルから切り出し
、3容積の6M NaIをそのゲル切片に添加する。この混合物を50℃で10分間インキ ュベートし、10μlのグラスミルク(Bio 101)を添加する。この混合物を1分間 回転させ、上清をデカントする。そのペレットを500μlのカラム・ウォッシュ(
Column Wash)(カラム・ウォッシュは50%エタノール、10mMトリス−HCl pH7.5
、100mM NaCl及び2.5mM EDTAである)で洗浄して1分間回転させた後、上清をデ カントする。その後、この洗浄、回転及びデカント工程を繰り返す。ガラスミル
クペレットを20μlのH2Oに再懸濁させ、1分間回転させる。DNAは水相に留ま る。
【0264】実施例3 単離した無作為な大きさの100−300bpポリヌクレオチドのシャッフリング 実施例2において得られた100−300bpのポリヌクレオチドをアニーリング混合 物(各々0.2mMのdNTP、2.2mM MgCl2、50mM KCl、10mMトリス−HCl pH8.8、0.1 %トリトンX−100、0.3μ;Taq DNAポリメラーゼ、50μl総容積)中でプライ
マーを添加することなく再結合させる。ストラタジーンによるロボサイクラー(
Robocycler)を以下のプログラムでこのアニーリング工程に用いた:95℃で30秒
間、[95℃で30秒間、50−60℃(好ましくは58℃)で30秒間、及び72℃で30秒間
]を25−50サイクル、並びに72℃で5分間。このようにして100−300bpのポリヌ クレオチドを結合させ、より長い配列を有する二本鎖ポリヌクレオチドを得る。
この再構成二本鎖ポリヌクレオチドを分離し、それらを変性させて単鎖ポリヌク
レオチドを形成した後、ある試料に関してはこの単鎖を鋳型及びプライマーDN
Aとして用い、他の試料に関してはこの単鎖に加えて無作為プライマーを用いて
、任意に、サイクル処理を再度繰り返す。
【0265】実施例4 シャッフルしたポリヌクレオチドからのポリヌクレオチドのスクリーニング 実施例3のポリヌクレオチドを分離し、それらからポリペプチドを発現させる 。元の鋳型DNAを、それらから同等のポリペプチドを得ることにより比較対照
として用いる。実施例3のシャッフル済みポリヌクレオチドから得られるポリペ プチドを元の鋳型から得られるポリペプチドの活性についてスクリーニングし、
対照の活性水準と比較する。スクリーニングの間に発見された興味深いポリペプ
チドをコードするシャッフル済みポリヌクレオチドを第2の望ましい特徴につい てさらに比較する。興味深さに劣るスクリーニング済みのポリペプチドに対応す
るシャッフル済みのポリヌクレオチドの幾つかを再シャッフリングに供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、エラーを起こしやすいPCRによる変異から得られたハイブリッドポリヌ
クレオチドを、より短いまたはより小さいポリヌクレオチドのシャッフリング及
び組換えからのものと比較して説明する従来技術の図である。
【図2】 図2は、3つの基本的工程、(1) ポリヌクレオチドのランダムなサイズのポリヌ
クレオチドの生成のためのハイブリッドの選択、(2) PCR過程の停止によるラン ダムなサイズのポリヌクレオチドの生成、及びランダムなポリヌクレオチドを形
成するための前記ランダムなサイズのポリヌクレオチドのPCRを用いた再構成、 による性的PCRの原理を説明するフローチャートである。
【図3】 図3は、PCRを停止し、ランダムプライミング及び鎖の不完全な伸長によりラン
ダムなポリヌクレオチドを生成するためにDNA付加物またはUV光を使用するこ
との概念を説明するフローチャートである。
【図4】 図4は、PCRを停止し、ランダムなポリヌクレオチドを生成するために使用でき
るDNA付加物の例及びUV光のリストである。
【図5】 図5は、DNA付加物を生成し、PCRを停止してランダムなポリヌクレオチドを
生成するためにUV光を利用するのに使用する工程を説明するフローチャートであ
る。
【図6】 図6Aは、組み立て前のポリヌクレオチドの分離バンドを示すものである。 図6Bは、ポリヌクレオチド組み立て後の結果を示すものである。図6Bは、レー
ン1は再構成PCRの最初の回の後の再構成されたポリヌクレオチドの分離バンドを
示し、レーン2は再構成PCRの2回目の回の後の再構成されたポリヌクレオチドの 分離バンドを示す。レーン2は、完全な再構成されたランダムなポリヌクレオチ ドを示しており、これは増幅、クローニング、及び有用な用途についてスクリー
ニングできる状態にある。
【図7】 図7は、ポリヌクレオチドA、BおよびCの減少的再組み合わせによる新規ポリヌ
クレオチドの産生の図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/68 C12N 5/00 A Fターム(参考) 4B024 AA11 BA07 BA80 CA02 CA07 DA01 DA02 DA05 DA11 EA01 EA02 EA03 EA04 EA06 EA10 GA11 HA01 HA11 4B063 QA05 QQ13 QQ21 QQ79 QR33 QR62 QR80 QS12 QS24 QS25 QS38 4B064 AF27 AG01 CA02 CA05 CA10 CA11 CA19 CC24 DA01 4B065 AA01Y AA26X AA46X AA50X AA72X AA88X AA90X AA91X AA95X AB01 AC02 AC03 BA02 CA24 CA44 CA46 CA60

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部分的に配列相同な少なくとも1つの領域(ここで、該部分
    的に配列相同な領域は、配列再編成をもたらす工程を促進する)を共有する(sh
    are)、少なくとも第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドを好適 な宿主細胞中に導入すること:及び 該ハイブリッドポリヌクレオチドを製造すること を含むハイブリッドポリヌクレオチドの製造方法。
  2. 【請求項2】 ハイブリッドポリヌクレオチドが、生物学的に活性なハイブ
    リッドポリペプチドをコードする、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも第1ポリヌクレオチド及び第2ポリヌクレオチド
    が、生物学的に活性なポリペプチドをコードする、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも2つのポリヌクレオチドが、1以上のオペロン、 又はその部分を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 オペロン又はその部分が、完全な又は部分的な代謝経路をコ
    ードする、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 宿主細胞が、細菌、真菌、植物細胞、昆虫細胞及び動物細胞
    からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 宿主細胞が、ハイブリッドポリヌクレオチドによってコード
    される生物学的に活性なハイブリッドポリペプチドを発現させる条件下で増殖す
    る、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも2つの異なるポリヌクレオチドが、ベクター中に
    存在する、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも2つの異なるポリヌクレオチドが、同じベクター
    中に存在する、請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 少なくとも2つの異なるポリヌクレオチドが、異なるベク
    ター中に存在する、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 ベクターが、ファージ、プラスミド、ファージミド、コス
    ミド、フォスミド、ウイルスベクター及び人工染色体からなる群から選択される
    、請求項8に記載の方法。
  12. 【請求項12】 配列再編成が、減少的(reductive)再組み合わせ(reass
    ortment)による、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 ポリヌクレオチドが、環境サンプルから誘導された未培養
    の微生物由来である、請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 未培養の生物が、陸上微生物の混合物、海洋微生物の混合
    物、又は陸上微生物及び海洋微生物の混合物を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 環境サンプル中の微生物が、エクストレモフィル(extrem
    ophiles)である、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 エクストレモフィルが、好温菌、超好温菌、好冷菌、及び
    低温菌からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 請求項2又は3に記載の方法によって製造されたポリヌクレ
    オチドによってコードされる生物学的に活性なポリペプチドのスクリーニング方
    法であって、 a)ハイブリッドポリペプチドの活性をスクリーニングすること; b)少なくとも第1ポリペプチドの活性をスクリーニングすること; c)第2ポリペプチドの活性をスクリーニングすること; d)ハイブリッドポリペプチドが増強された活性を有するa)、b)、及びc)で同定さ
    れた活性を比較すること;そして e)増強された活性を有するハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオ
    チドを単離すること を含む上記方法。
  18. 【請求項18】 配列再編成が、減少的再組み合わせによる、請求項17に記
    載の方法。
  19. 【請求項19】 生物学的に活性なハイブリッドポリペプチドを製造し、増
    強された活性に対して該ポリペプチドをスクリーニングする方法であって、 a)少なくとも、機能的連結物中の第1ポリヌクレオチド及び機能的連結物中の
    第2ポリヌクレオチド(該少なくとも第1ポリヌクレオチド及び第2ポリヌクレ
    オチドは、部分的に配列相同な少なくとも1つの領域を共有している)を、好適
    な宿主細胞中に導入すること; b)機能的連結物中のハイブリッドポリヌクレオチドを与える配列再編成を促進
    する条件下でa)の宿主細胞を増殖すること; c) b)のハイブリッドポリヌクレオチドによってコードされるハイブリッドポ リペプチドを発現させること; d)増強された生物学的活性の同定を促進する条件下でc)のハイブリッドポリペ
    プチドをスクリーニングすること;及び e) d)のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを単離する こと を含む方法。
  20. 【請求項20】 部分的に配列な少なくとも1つの領域(ここで、該部分的
    に配列相同な領域は、減少的再組み合わせを促進する)を共有する少なくとも第
    1ポリヌクレオチド及び第2ポリヌクレオチドを、好適な宿主細胞中に導入する
    こと;及び 該ハイブリッドポリヌクレオチドを製造すること を含むハイブリッドポリヌクレオチドの製造方法。
  21. 【請求項21】 生物学的に活性なハイブリッドポリペプチドを製造し、増
    強された活性に対して該ポリペプチドをスクリーニングする方法であって、 a)少なくとも、機能的連結物中の第1ポリヌクレオチド及び機能的連結物中の
    第2ポリヌクレオチド(該少なくとも第1ポリヌクレオチド及び第2ポリヌクレ
    オチドは、部分的に配列相同な少なくとも1つの領域を共有する)を、好適な宿
    主細胞中に導入すること; b)機能的連結物中のハイブリッドポリヌクレオチドを与える減少的再組み合わ
    せを促進する条件下でa)の宿主細胞を増殖すること; c) b)のハイブリッドポリヌクレオチドによってコードされるハイブリッドポ リペプチドを発現すること; d)増強された生物学的活性の同定を促進する条件下でc)のハイブリッドポリペ
    プチドをスクリーニングすること;及び e) d)のハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを単離する こと を含む上記方法。
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