JP2003242675A - 光情報記録媒体 - Google Patents

光情報記録媒体

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JP2003242675A
JP2003242675A JP2002035993A JP2002035993A JP2003242675A JP 2003242675 A JP2003242675 A JP 2003242675A JP 2002035993 A JP2002035993 A JP 2002035993A JP 2002035993 A JP2002035993 A JP 2002035993A JP 2003242675 A JP2003242675 A JP 2003242675A
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Hideharu Tajima
秀春 田島
Nobuyuki Takamori
信之 高森
Akira Takahashi
明 高橋
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録膜を含む薄膜層が2層以上であっても、
温度変化時または湿度変化時に伴う反りを確実に防止で
きる光情報記録媒体を提供する。 【解決手段】 光情報記録媒体10aは、基板20a上
に、記録膜42aを含む第1薄膜層40a、第1樹脂層
50a、記録膜62aを含む第2薄膜層60a、第2樹
脂層70aを順に備えている。そして、第1樹脂層50
aの線膨張係数および湿度膨張係数を選択して、温度変
化によって生じる変形の中立面が、上記薄膜層のうち膜
材料のヤング率と膜厚との積が最も大きな薄膜を有する
薄膜層である第2薄膜層60aに存在するように設定さ
れている。上記の構成においては、温度変化時および湿
度変化時における反り変化量は、非常に小さくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報を記録又は再
生する光情報記録媒体に関し、特に、環境変化による反
りを抑制する機能を有する光情報記録媒体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】光情報記録媒体においては、従来は、特
定の単純な構成が用いられていた。その単純な構成にお
いて、以下で説明するような反り変形が問題とされてい
た。
【0003】例えば、従来の光情報記録媒体の一例であ
る光情報記録媒体10は、図13に示すように、基板2
0、スパッタ等により形成される薄膜層40、および薄
膜保護のための樹脂層50を備えた、非常に単純な構造
である。
【0004】ここで、薄膜層40は、例えば、窒化シリ
コン,ZnS,SiO2等からなる誘電体膜41、TbFeCo,GeSb
Te等からなる記録膜42、窒化シリコン,ZnS,SiO2等か
らなる誘電体膜43、Al,Ag 等からなる反射膜44の4
層の薄膜より形成される。
【0005】温度変化や湿度変化などの環境変化に対し
て、上記構成の光情報記録媒体10の各層は、異なる変
形量で変形しようとする。すなわち、一般に各層は、線
膨張係数及び湿度膨張係数などの物性値が異なるため、
異なる長さになろうとする。しかし、実際には境界面に
おける連続性という制約があるので、各層は、独立に変
形する場合の長さにはなれない。そこで、光情報記録媒
体10内部に応力が生じる。この応力は、線膨張係数や
ヤング率によって大きさが異なる。このため、光情報記
録媒体10に反りが生じるという問題があった。
【0006】具体的な場合に当てはめて説明すると、一
般的に、基板20や樹脂層50の線膨張係数は、薄膜層
40の線膨張係数よりも大きい。このため、基板20や
樹脂層50の、薄膜層40に接していない面は、自由に
伸びようとする。一方、基板20や樹脂層50の、薄膜
層40に接している面は、自由に伸びることができな
い。そこで、基板20および樹脂層50の内部で応力が
発生し、同様に薄膜層40内にも応力が発生する。そし
て、光情報記録媒体10は、応力が均衡するような変形
をする。
【0007】ここで、実際の光情報記録媒体において
は、基板と樹脂層とは、互いに線膨張係数及びヤング率
は同程度であるが、膜厚は大きく異なっている。このた
め、上記のように、基板の拘束をできるだけ小さくし、
樹脂層の拘束を大きくするなどの各層応力の均衡を取る
ために、光情報記録媒体は反り変形する。
【0008】一方、近年、画像データ、動画データなど
サイズの大きいデータが扱われるようになり、そのた
め、さらなる高密度記録再生が可能な光情報記録媒体が
求められている。そこで、上述の単純な構成の光情報記
録媒体と比較して、複数の薄膜層(記録層)を重ねて備
えさせた、高密度記録再生が可能な光情報記録媒体が提
案されている。
【0009】例えば、新たに提案されている光情報記録
媒体の一例である光情報記録媒体10は、図14に示す
ように、ポリカーボネート製の円盤状の基板20上に、
順に第1薄膜層40、第1樹脂層50、第2薄膜層6
0、第2樹脂層70を備えている。なお、ここでは、同
じ働きをする部材は同じ符号を用いて説明する。
【0010】これら基板および層の厚みは、それぞれ、
基板20が約0.5 mm又は1.2 mm、第1薄膜層40が
10〜500 nm、第1樹脂層50が 1〜50μm、第2薄膜
層60が10〜500 nm、第2樹脂層70が約100 μmで
ある。
【0011】なお、第2薄膜層60は、例えば、窒化シ
リコン,ZnS,SiO2等からなる誘電体膜61、TbFeCo,Ge
SbTe等からなる記録膜62、窒化シリコン,ZnS,SiO2
からなる誘電体膜63、Au,Al,Ag等からなる半透明膜6
4の4層の薄膜から形成される。
【0012】上記の構成において、ヤング率、線膨張係
数及び湿度膨張係数などの物性値は、一般に各層におい
て異なっている。したがって、温度変化時または湿度変
化時には、各層は異なる変形量で変形しようとする。
【0013】以下、典型的な場合について説明すると、
次のようになる。
【0014】すなわち、線膨張係数は、第1薄膜層40
および第2薄膜層60の方が、基板20、第1樹脂層5
0および第2樹脂層70よりも小さい。またヤング率
は、第1薄膜層40および第2薄膜層60の方が、基板
20、第1樹脂層50および第2樹脂層70よりも大き
い。
【0015】このため、温度上昇などの温度変化時に
は、第1薄膜層40および第2薄膜層60の基板半径方
向への膨張は、その他の各層に比較して非常に小さくな
る。
【0016】したがって、上記の温度変化時において、
光情報記録媒体10は、図15(a)において点線で示
すように、その半径方向に垂直である厚み方向におい
て、積層組のある面側(第2樹脂層70側)への反りが
生じ易い。
【0017】なお、一般に光情報記録媒体は上記のよう
な物性値の関係をもつので、上述のような変形は、上記
構成の光情報記録媒体10だけではなく、一般の光情報
記録媒体においても生じ易い。
【0018】また、湿度膨張係数は、第1樹脂層50お
よび第2樹脂層70の方が、基板20、第1薄膜層40
および第2薄膜層60よりも大きい場合が通常である。
また、上述のように、ヤング率は、第1薄膜層40およ
び第2薄膜層60の方が、基板20、第1樹脂層50お
よび第2樹脂層70よりも大きい。
【0019】このため、湿度上昇時などの湿度変化時に
は、第1薄膜層40および第2薄膜層60の基板半径方
向への膨張は、その他の各層に比較して非常に小さくな
る。
【0020】したがって、上記の湿度変化時において、
光情報記録媒体10は、図15(b)において点線で示
すように、その半径方向に垂直である厚み方向におい
て、積層組のある面の裏面側(基板20側)への反りが
生じ易い。
【0021】このため、温度変化や湿度変化などの環境
変化時に、光情報記録媒体10には反りが生じる。よっ
て情報の記録再生が困難になり、記録再生動作の信頼性
が損なわれるという問題があった。
【0022】なお、上記の図14においては、第1薄膜
層40および第2薄膜層60を、多層の薄膜層とした
が、単層の薄膜層であっても同様の問題が生じる。ま
た、上記の膜厚は、制限がある訳ではなく、光入射面が
基板20の表面であれば第2樹脂層70の厚みは10〜16
μmであっても同様の問題が生じる。
【0023】以上のように、光情報記録媒体において
は、温度変化や湿度変化に応じて、光情報記録媒体内部
に応力が生じ、反りが生じうるという問題があった。
【0024】特に、近年提案されている、複数の薄膜層
を重ねて備えさせた、高密度記録再生が可能な光情報記
録媒体においては、単純な構成の光情報記録媒体と比較
して、構成が複雑であり、さらに反り変形が生じ易いと
いう問題があった。
【0025】上述のような反り変形を防止するために、
従来、上述した単純な構成の光情報記録媒体における反
り変形防止の方法が開示されていた。
【0026】例えば、特開平4−195745号公報に
は、光情報記録媒体の反り変形を制御する以下の手法が
提案されている。上記公報に開示された光情報記録媒体
10は、図16に示すように、光入射側に、すなわちポ
リカーボネート基板20に対して薄膜層40とは反対側
に、誘電体膜80を備えている。そして、薄膜層40お
よび誘電体膜80の膨張率は、ほぼ同等となるように構
成されている。これにより、光情報記録媒体10の反り
を防止できるようにしている。
【0027】また、特開平11−16211号公報にお
いて開示された光情報記録媒体10は、図17に示すよ
うに、高い剛性をもつ基板保護膜30を備えている。上
記の構成によれば、基板保護膜30の剛性により、光情
報記録媒体10の変形は低減される。
【0028】また、特開平4−364248号公報で
は、湿度変化によって生じる反りを抑制する技術が開示
されている。上記公報において開示された光情報記録媒
体10は、図18に示すように、薄膜保護膜50、薄膜
層40、基板20、基板保護膜30に加えて、さらに基
板20と基板保護膜30の層との間に、SiO2やAlN など
からなる透湿防止膜90を備えている。上記の構成によ
れば、透湿防止膜90は、光情報記録媒体10が湿度変
化によって反ることを抑制できる。
【0029】しかしながら、特開平4−195745号
公報における、図16に示す光情報記録媒体10は、ス
パッタ等により、基板20の光入射側に誘電体膜80を
設ける構成である。すなわち、基板20に対して一方側
の面に薄膜層40を形成した後、その基板20を裏返し
て、基板20の反対の面にさらに誘電体膜80を形成す
る必要がある。したがって、生産工程が複雑化するとも
に、生産設備の高価格化を招き、光情報記録媒体のコス
トアップにつながるといった問題があった。
【0030】また、特開平11−16211号公報に実
施例として記載された、図17に示す光情報記録媒体1
0も、プラズマCVD等によりSiO2の基板保護膜30が
基板20上に形成される構成である。したがって、上述
の特開平4−195745号公報と同様の理由により問
題があった。
【0031】さらに、特開平4−364248号公報に
記載された、図18に示す光情報記録媒体10も、基板
20の光入射側に、スパッタ等によりAlN やSiO2による
透湿防止膜90を設ける構成である。したがって、上述
の特開平4−195745号公報と同様の理由により問
題があった。
【0032】そこで、特開2000−311381号公
報においては、上述の問題を生じない光情報記録媒体が
提案されている。上記公報に開示された光情報記録媒体
10は、図13に示す光情報記録媒体10とほぼ同様の
構成をもち、薄膜保護膜50、薄膜層40、および基板
20を備えている。光情報記録媒体10は、温度変化ま
たは湿度変化などの環境変化によって生じる、光情報記
録媒体10の変形の中立面が、上記薄膜層40の近傍に
設定されている構成である。
【0033】ここで、変形の中立面とは、各層において
発生する曲げモーメントの総和と、その中立面にかかる
各層の軸力による曲げモーメントの総和との合計が0と
なるような面を意味する。
【0034】また、上記構成において、薄膜層40は非
常に薄いため、中立面だけでなく、薄膜層40全体にお
いて、各層において発生する曲げモーメントの総和と、
その中立面にかかる各層の軸力による曲げモーメントの
総和との合計は、ほぼ0となっている。
【0035】上記特開2000−311381号公報記
載の構成によれば、薄膜層40近傍に変形の中立面を設
定することで、温度変化や湿度変化などの環境変化によ
る光情報記録媒体10の反りを抑制できる。このため、
上述した他の各公報に開示されているように、反り防止
用の膜を別途設ける必要がない。したがって、光情報記
録媒体の生産工程の増加によるコストアップを抑制する
ことができる。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、特開2
000−311381号公報に記載された、図13とほ
ぼ同様の構成の光情報記録媒体10は、薄膜層が1層の
単純な構成である。そして、その薄膜層に中立面がある
ように設定されている。
【0037】このため、薄膜層が1層の光情報記録媒体
は、例えば図14にて示すような複数の薄膜層を有する
光情報記録媒体とは、薄膜層の積層された数が異なるの
で、異なる構成となっている。また、複数の薄膜層のう
ち、どの薄膜層に変形の中立面が存在するべきか、すな
わち例えば薄膜層が2層の場合に、第1、第2の2つの
薄膜層のうち、どちらに変形の中立面が存在すべきか判
断できない。したがって、上記特開2000−3113
81号公報の構成は、複数の薄膜層(記録層)を有する
光情報記録媒体には適用することができないという問題
がある。
【0038】言い換えると、上記特開2000−311
381号公報の構成は、記録膜を含む薄膜層が1層であ
る場合を想定しているため、中立面を単に薄膜層近傍に
設定する旨が記載されているだけである。したがって、
記録膜を含む薄膜層が2層以上の場合には、どの薄膜層
に中立面を設定すればよいかを適切に判断できない。こ
のため、上記技術を、そのまま薄膜層が2層以上の光情
報記録媒体に適用した場合には、確実に反りを防止する
ことができないという問題が生じる。
【0039】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、記録膜、反射膜、または半透
明膜を少なくとも一つ含む薄膜層が2層以上であって
も、温度変化時または湿度変化時に伴う反りを確実に防
止できる光情報記録媒体を提供することにある。
【0040】
【課題を解決するための手段】本発明に係る光情報記録
媒体は、上記課題を解決するために、基板上に、薄膜か
らなる記録膜、反射膜、または半透明膜を少なくとも一
つ含む薄膜層と、該薄膜層上に形成された樹脂層とで構
成される積層組が少なくとも2組以上積層され、温度変
化または湿度変化によって生じる変形の中立面が、上記
各積層組を構成する薄膜層のうち、膜材料のヤング率と
膜厚との積が最も大きな薄膜を有する薄膜層に設定され
ていることを特徴としている。
【0041】上記構成において、中立面とは、光情報記
録媒体の各層において発生する曲げモーメントの総和
と、その中立面にかかる各層の軸力による曲げモーメン
トの総和との合計が0となる面を意味する。
【0042】また、上記構成において、一般に薄膜層は
非常に薄いため、中立面だけでなく、中立面が設定され
た薄膜層全体において、各層において発生する曲げモー
メントの総和と、その中立面にかかる各層の軸力による
曲げモーメントの総和との合計は、ほぼ0となってい
る。
【0043】ここで、一般に、膜材料のヤング率が大き
い薄膜は、変形し難い薄膜である。すなわち、膜材料の
ヤング率が大きい薄膜に外力を加えた場合は、他の薄膜
に対して同じ外力を加えた場合と比べて、変形量が小さ
くなる。また、膜材料のヤング率が同じであれば、膜厚
が大きい薄膜の方が、変形し難い薄膜である。したがっ
て、2組以上の積層組にそれぞれ含まれた薄膜層を構成
する薄膜のうち、膜材料のヤング率と膜厚との積が最も
大きな薄膜は、環境変化による変形においても、最も変
形し難い薄膜である。
【0044】上記構成のように、この最も変形し難い薄
膜を有する薄膜層中に、環境変化時における変形の中立
面を設定すれば、以下の発明の実施の形態において示す
ように、環境変化時における変形を従来より抑制でき
る。すなわち、温度変化または湿度変化のような環境変
化の際に光情報記録媒体に生じる変形の中立面を、他の
層と比較して変形し難い薄膜層である、ヤング率と膜厚
との積がより大きな薄膜層に設定すれば、中立面自体の
変形量がより小さくなるため、光情報記録媒体全体とし
ての変形量を小さくできる。
【0045】したがって、例えば薄膜層が2層の構成で
あっても、より変形が小さくなる薄膜層に中立面を設定
して、変形を小さくできる光情報記録媒体の構造を選択
できる。すなわち、例えば薄膜層が2層の光情報記録媒
体において、環境変化に影響されず、変形量を小さくし
て、記録再生動作の信頼性を高めた光情報記録媒体を提
供できる。
【0046】また、上記の構成によれば、基板の片側に
薄膜層および樹脂層が設けられるので、光情報記録媒体
を製造する際には基板上に順に薄膜層および樹脂層を形
成すればよい。したがって、基板保護のための層を、基
板に対して薄膜層とは反対の側に形成する必要がない。
よって、製造工程を複雑化させず、製造コストを削減で
きる。
【0047】すなわち、上記の構成によれば、温度変化
時または湿度変化時における光情報記録媒体の変形量を
小さくして、再生動作の信頼性を高めることができるだ
けでなく、さらに、光情報記録媒体の製造コストを削減
できる。
【0048】なお、上記薄膜層は、誘電体膜、記録膜、
反射膜、半透明膜などの薄膜よりなる単層または多層の
薄膜層である。
【0049】また、上記の構成において、各々の樹脂層
は単層でも多層であってもかまわない。
【0050】本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題
を解決するために、基板上に、薄膜からなる記録膜、反
射膜、または半透明膜を少なくとも一つ含む薄膜層と、
該薄膜層上に形成された樹脂層とで構成される積層組が
少なくとも2組以上積層され、温度変化または湿度変化
によって生じる変形の中立面が、上記各積層組を構成す
る薄膜層のうち、膜材料のヤング率と膜厚との積が最も
大きな薄膜を有する薄膜層に設定されるように、上記樹
脂層の物性値または膜厚の少なくとも一方を設定したこ
とを特徴としている。
【0051】ここで、通常は、光情報記録媒体の基板と
記録膜との材料および膜厚は、一定の記録特性が見込ま
れる所定の物性値を有する材料および膜厚から、使用目
的に応じて決まった材料および膜厚を選択して用いられ
る。
【0052】このように決定された基板と記録膜との材
料および膜厚に対して、上記構成のように、記録特性と
は無関係の樹脂層の物性値および膜厚を設定すれば、簡
単な構成で、環境変化時における反り変化量の少ない光
情報記録媒体を得ることができる。
【0053】すなわち、環境変化時における変形の中立
面が、上記各積層組を構成する薄膜層のうち、膜材料の
ヤング率と膜厚との積が最も大きな薄膜を有する薄膜層
に設定されるように、樹脂層の物性値または膜厚を設定
すれば、簡単な構成で、環境変化時における反り変化量
の少ない光情報記録媒体を得ることができる。
【0054】なお、物性値または膜厚をどの樹脂層に対
して設定するかは任意であり、樹脂層の何れか1つ以上
を適宜選択すればよい。ただし、どの樹脂層にどのよう
な値の物性値または膜厚を割り当てるかは、樹脂層の選
択の仕方に応じて変化する。
【0055】本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題
を解決するために、上記構成において、上記積層組が2
組であり、各積層組の薄膜層にそれぞれ誘電体が含まれ
ている場合に、一方の積層組の樹脂層において、線膨張
係数X〔1/℃〕が7.4E−5 ≦X≦1.6E−4 の範囲にある
ことと、湿度膨張係数Y〔1/%〕が0<Y≦4.8E−5の
範囲にあることとの少なくとも一方を満たすことを特徴
としている。
【0056】ここで、湿度膨張係数とは、温度一定(25
℃) 時に、対象物周辺の相対湿度が上昇した場合の単位
長あたりの伸び量を、1 %あたりの湿度膨張率に換算し
たものであり、線膨張係数の算出法と同様に算出される
ものである。
【0057】上記構成によれば、一方の積層組の樹脂層
を形成する樹脂の物性値として、膨張係数(線膨張係
数、湿度膨張係数)を上記の範囲に限定するので、以下
の発明の実施の形態において説明するように、環境変化
時における変形量を小さくして、信頼性を高めることが
できる。具体的には、環境変化時における反り変化量を
例えば−3.0 〜3.0[mrad] の範囲にでき、一般に好まし
い変化量である−5.0 〜5.0[mrad] の範囲よりも小さく
できる。
【0058】すなわち、線膨張係数を上記の範囲に限定
すれば、環境変化として温度が変化した場合に反り変形
を小さくできる。また、湿度膨張係数を上記の範囲に限
定すれば、環境変化として湿度が変化した場合に、反り
変形を小さくできる。さらに、線膨張係数を上記の範囲
に限定するとともに、湿度膨張係数を上記の範囲に限定
すれば、環境変化によって温度および湿度が変化した場
合に反り変形を小さくできる。
【0059】なお、上記構成において、誘電体が含まれ
ていると規定するのは、以下の理由による。すなわち、
誘電体は、薄膜に用いる他の材料と比較してヤング率が
高く、線膨張係数が低いため、他の層と比較して変形し
にくい。このため、温度変化時における光情報記録媒体
の変形において、誘電体膜の物性値や膜厚が、最も支配
的になる。また、ここで誘電体のうち、光情報記録媒体
に使用される何種かの誘電体においても、材質に依存す
るヤング率、線膨張係数などの物性値及び好ましい膜厚
などは、やはり誘電体ごとに異なるものとなっている。
しかし、その差異は、第1,2樹脂層の材質同士や樹脂
製基板の材質同士の場合と比べて、非常に小さい。この
ため、具体的な物質を特定せず、誘電体と規定してい
る。
【0060】また、上記構成において、一方の樹脂層の
物性値のみを設定すればよい、言い換えると、基板に近
い第1の樹脂層の物性値を設定してもよいし、または基
板から遠い第2の樹脂層の物性値を設定してもよいの
は、以下のような理由による。すなわち、以下の実施の
形態において説明するように、第1の樹脂層と第2の樹
脂層との構成を交換したとしても、軸力は双方変わら
ず、中立面からの距離の差も非常に小さい。このため、
構成を交換したとしても、その構成による効果はほとん
ど変わらないと推測できるからである。
【0061】なお、上記構成において、例えば7.4E−5
として示す表記のE-5 は、10の-5乗を意味する。
【0062】本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題
を解決するために、上記構成において、上記積層組が2
組であり、各積層組の薄膜層がいずれも誘電体を含まな
い場合に、一方の積層組の樹脂層において、線膨張係数
X〔1/℃〕が3.5E−5 ≦X≦1.1E−4 の範囲にあること
と、湿度膨張係数Y〔1/%〕が0<Y≦4.3E−5 の範囲
にあることとの少なくとも一方を満たすことを特徴とし
ている。
【0063】上記構成において、各積層組の薄膜層は何
れも誘電体を含まない。したがって、各積層組の薄膜層
は、例えば金属や色素などより成る。
【0064】上記構成によれば、一方の積層組の樹脂層
を形成する樹脂の物性値として、膨張係数(線膨張係
数、湿度膨張係数)を上記の範囲に限定するので、以下
の発明の実施の形態において説明するように、環境変化
時における変形量を小さくして、信頼性を高めることが
できる。具体的には、環境変化時における反り変化量を
例えば−3.0 〜3.0[mrad] の範囲にでき、一般に好まし
い変化量である−5.0 〜5.0[mrad] の範囲よりも小さく
できる。
【0065】すなわち、線膨張係数を上記の範囲に限定
すれば、環境変化として温度が変化した場合に反り変形
を小さくできる。また、湿度膨張係数を上記の範囲に限
定すれば、環境変化として湿度が変化した場合に、反り
変形を小さくできる。さらに、線膨張係数を上記の範囲
に限定するとともに、湿度膨張係数を上記の範囲に限定
すれば、環境変化によって温度および湿度が変化した場
合に反り変形を小さくできる。
【0066】本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題
を解決するために、上記構成において、上記積層組が2
組であり、各積層組の薄膜層のいずれか一方に誘電体が
含まれている場合に、一方の積層組の樹脂層において、
線膨張係数X〔1/℃〕が3.5E−5 ≦X≦1.6E−4 の範囲
にあることと、湿度膨張係数Y〔1/%〕が0<Y≦4.8E
−5 の範囲にあることとの少なくとも一方を満たすこと
を特徴としている。
【0067】上記構成によれば、一方の積層組の樹脂層
を形成する樹脂の物性値として、膨張係数(線膨張係
数、湿度膨張係数)を上記の範囲に限定するので、以下
の発明の実施の形態において説明するように、環境変化
時における変形量を小さくして、信頼性を高めることが
できる。具体的には、環境変化時における反り変化量を
例えば−3.0 〜3.0[mrad] の範囲にでき、一般に好まし
い変化量である−5.0 〜5.0[mrad] の範囲よりも小さく
できる。
【0068】すなわち、線膨張係数を上記の範囲に限定
すれば、環境変化として温度が変化した場合に反り変形
を小さくできる。また、湿度膨張係数を上記の範囲に限
定すれば、環境変化として湿度が変化した場合に、反り
変形を小さくできる。さらに、線膨張係数を上記の範囲
に限定するとともに、湿度膨張係数を上記の範囲に限定
すれば、環境変化によって温度および湿度が変化した場
合に反り変形を小さくできる。
【0069】なお、上記構成における線膨張係数および
湿度膨張係数の範囲は、以下のように決定したものであ
る。すなわち、誘電体はヤング率が非常に高いため、基
板および樹脂層への拘束力が強い。このため、光情報記
録媒体の薄膜層が誘電体を含む場合には、基板に発生す
る応力とのバランスをとるために樹脂層の線膨張係数な
どを大きくしなければならない。例えば、上記した、2
層ある薄膜層の双方に誘電体が含まれている場合と、双
方に誘電体が含まれていない場合とでは、誘電体が含ま
れている場合の方が、線膨張係数の範囲を決める境界の
値が大きい。以上のことより、一方の薄膜層に誘電体が
含まれている場合には、双方に誘電体が含まれている場
合と双方に誘電体が含まれていない場合との両方を含ん
でいるような範囲内に存在することが分かる。
【0070】本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題
を解決するために、上記構成において、基板より最も離
れた位置に形成された樹脂層は、スピンコートにて塗布
可能な樹脂により形成されていることを特徴としてい
る。
【0071】上記構成によれば、スピンコートにより樹
脂層を形成するので、ポリカーボネート製フィルムを貼
り合せる等の工程により樹脂層を形成する場合と比較し
て、生産コストが掛らなくなり、より安価な光情報記録
媒体の生産が可能となる。
【0072】なお、上記構成の光情報記録媒体において
は、情報読み取りの際の光入射面は、基板表面であって
も上記のスピンコートによって形成される樹脂層の表面
であってもよい。しかし、上記のスピンコートによって
形成される樹脂層の膜厚の均一性が十分には高くない場
合には、情報読み取りの際の光入射面を基板表面とする
ことが望ましい。
【0073】本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題
を解決するために、上記構成において、基板に対して同
等もしくはより小さな線膨張係数と各樹脂層より大きな
湿度膨張係数とを有する樹脂を用いて、各積層組が形成
されている基板の面の裏面に、基板保護膜が形成されて
いることを特徴としている。
【0074】上記構成によれば、温度変化時と湿度変化
時とにおける変形量を小さくすることが容易となり、簡
単な構成で信頼性を高めることができる。
【0075】すなわち、上記構成によれば、温度上昇時
には上記基板保護膜は基板の膨張を抑制するので、上述
したような温度変化時における光情報記録媒体の反り変
形をより確実に防止できる。
【0076】また、上記構成によれば、周辺湿度上昇時
には、基板保護膜が各積層組の樹脂層よりも膨張して、
上述のような湿度変化時における光情報記録媒体の反り
変形を打ち消すので、湿度変化時における反り変形をよ
り確実に防止できる。
【0077】なお、上記構成において、光情報記録媒体
の読み取りの際の光の入射方向が、基板より最も離れた
位置に形成された樹脂層側でなく、基板保護膜側の場合
には、上記基板保護膜は透明である必要がある。
【0078】本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題
を解決するために、上記構成において、各樹脂層は、40
5nm 近辺の短波長領域において80%以上の透過率を有す
る透明樹脂で形成されていることを特徴としている。
【0079】ここで、405nm 近辺の短波長領域とは、青
色レーザ等の短波長レーザの波長領域を意味する。
【0080】上記構成によれば、各樹脂層の短波長領域
における透過率が高いことにより、基板より最も離れた
位置に形成された樹脂層を光入射面として、青色レーザ
等の短波長レーザを信号の記録再生に用いることがで
き、より高密度記録が可能となる。
【0081】本発明に係る光情報記録媒体は、上記課題
を解決するために、上記構成において、基板より最も離
れた位置に形成された樹脂層を除く各樹脂層及び基板
が、405nm 近辺の短波長領域において80%以上の透過率
を有する透明樹脂で形成されていることを特徴としてい
る。
【0082】ここで、405nm 近辺の短波長領域とは、青
色レーザ等の短波長レーザの波長領域を意味する。
【0083】上記構成によれば、基板より最も離れた位
置に形成された樹脂層を除く各樹脂層及び基板の短波長
領域における透過率が高いことにより、基板面を光入射
面として、青色レーザ等の短波長レーザを信号の記録再
生に用いることができ、さらなる高密度記録ができる。
【0084】
【発明の実施の形態】本発明に係る光情報記録媒体の一
実施形態について以下で説明する。
【0085】本実施形態に係る光情報記録媒体10a
は、温度変化および湿度変化による反り変形を防止でき
る光情報記録媒体である。光情報記録媒体10aは、図
2(a)の平面図に示すような円盤状の構成である。
【0086】そして、図1に示すように、光情報記録媒
体10aは、ポリカーボネートからなる基板20a上
に、第1薄膜層40a、第1樹脂層50a、第2薄膜層
60a、第2樹脂層70aを順に備えている。
【0087】第1薄膜層40aは、窒化シリコン,ZnS,
SiO2等からなる誘電体膜41a、TbFeCo,GeSbTe等から
なる記録膜42a、窒化シリコン,ZnS,SiO2等からなる
誘電体膜43a、Al,Ag 等からなる反射膜44aの4層
の薄膜より形成されている。
【0088】第1樹脂層50aは、UV硬化樹脂からな
る。
【0089】第2薄膜層60aは、窒化シリコン,ZnS,
SiO2等からなる誘電体膜61a、TbFeCo,GeSbTe等から
なる記録膜62a、窒化シリコン,ZnS,SiO2等からなる
誘電体膜63a、Au,Al,Ag等からなる半透明膜64aの
4層の薄膜から形成されている。
【0090】第2樹脂層70aは、UV硬化樹脂からな
る。
【0091】上記構成の光情報記録媒体10aにおい
て、通常、薄膜層40a・60aはスパッタにより形成
され、樹脂層50a・70aはスピンコーティングまた
はポリカーボネートフィルムの貼り合せ等によって形成
される。
【0092】なお、上記基板20aは、ポリカーボネー
トでなく、例えばアクリル系またはポリオレフィン系の
樹脂よりなるものでもよい。また、樹脂層50a・70
aの材質は上記の構成に限るものではない。例えば、第
2樹脂層70aはポリカーボネートフィルムであっても
よい。
【0093】以上のように、本実施形態の光情報記録媒
体10aは、基板20a上に、第1薄膜層40aと第1
樹脂層50aとからなる第1の積層組と、第2薄膜層6
0aと第2樹脂層70aとからなる第2の積層組との、
2組の積層組が積層されている構成である。
【0094】さらに、光情報記録媒体10aは、温度変
化または湿度変化によって生じる変形の中立面が、上記
各積層組を構成する第1、第2薄膜層40a・60aの
うち、膜材料のヤング率と膜厚との積が最も大きな薄膜
を有する薄膜層に設定されるように、樹脂層50a・7
0aのうちの少なくとも一方の樹脂層の、物性値または
膜厚の少なくとも一方を選択する構成である。このよう
な選択の例については、後述の実施例において説明す
る。
【0095】ここで、中立面とは、光情報記録媒体10
aの各層において発生する曲げモーメントの総和と、そ
の中立面にかかる各層の軸力による曲げモーメントの総
和との合計が0となる面を意味する。
【0096】本実施形態のより詳細な具体例として示す
以下の媒体1〜7では、第2薄膜層60aが、膜材料の
ヤング率と膜厚との積が最も大きな薄膜を有する薄膜層
として設定されている。
【0097】上記構成の光情報記録媒体10aに対し
て、ここで、例えば図14に示す光情報記録媒体10の
ような、本実施形態の構成のように樹脂層50a・70
aの一方の、物性値または膜厚の少なくとも一方が、適
切に設定されていない光情報記録媒体を考える。する
と、この光情報記録媒体10においては、温度変化時ま
たは湿度変化時の変形の中立面は、基板20の膜厚が樹
脂層50a・70aの膜厚と比較して厚いため、基板2
0中に生じることが予想される。この場合には、環境変
化時の光情報記録媒体10の変形量は、結果として大き
くなってしまう。
【0098】一方、例えば上記構成のように、ヤング率
が大きく、光ディスクの半径方向に最も膨張し難い薄膜
層のうちでもヤング率と膜厚との積が最も大きい薄膜を
有する薄膜層に変形の中立面を設定できれば、光情報記
録媒体全体の変形量を抑制できるのではないかという仮
説を考えることができる。
【0099】その根拠は以下の通りである。
【0100】一般に、膜材料のヤング率が大きい薄膜
は、変形し難い薄膜である。すなわち、膜材料のヤング
率が大きい薄膜に外力を加えた場合は、他の薄膜に対し
て同じ外力を加えた場合と比べて、変形量が小さくな
る。また、膜材料のヤング率が同じであれば、膜厚が大
きい薄膜の方が、変形し難い薄膜である。したがって、
薄膜層を構成する薄膜のうち、膜材料のヤング率と膜厚
との積が最も大きな薄膜は、環境変化による変形におい
ても、最も変形し難い薄膜であるといえる。
【0101】したがって、温度変化または湿度変化のよ
うな環境変化の際に光情報記録媒体10aに生じる変形
の中立面が、他の層と比較して変形し難い薄膜層にある
場合、すなわちヤング率の高い第1、第2薄膜層40a
・60aのうち、より変形し難い、ヤング率と膜厚との
積がより大きな薄膜を有する第2薄膜層60aにある場
合には、中立面自体の変形量がより小さくなるため、全
体の変形量は小さくなるという予測を立てることができ
る。
【0102】以上が上記仮説の根拠である。
【0103】なお、中立面自体の変形量が小さいとは、
曲げモーメントが均衡していれば曲がることがなく、曲
がることによって発生する変形(伸び縮み)が小さいと
いう意味である。これによって、光情報記録媒体全体の
反り変形量が小さくなる。
【0104】このため、本実施形態において説明する薄
膜層が2層の構成であっても、より変形が小さくなる薄
膜層に中立面を設定して、変形を小さくできる光情報記
録媒体の構造を選択できる。すなわち、薄膜層が2層の
光情報記録媒体において、環境変化に影響されず、変形
量を小さくして、記録再生動作の信頼性を高めた光情報
記録媒体を提供できる。
【0105】以下では、上記の構成の本実施形態の光情
報記録媒体10aにおいて、実際に光情報記録媒体10
aの変形の中立面が、薄膜層のうち、第2薄膜層60a
に設定されていることを確認する。
【0106】ここで、この中立面の位置は、直接観測で
きる量ではない。このため、まず、環境変化時における
反り角を、中立面の位置を仮定した上で理論的に計算す
る。一方、対応する実際の光情報記録媒体において、環
境変化時における反り角を測定する。そして、中立面の
位置を仮定して計算した反り角と、実際の反り角とを比
較し、反り角の値が一致する場合における理論上仮定し
た中立面の位置を、実際の光情報記録媒体における中立
面の位置とみなすこととする。
【0107】そこで、まず、中立面の位置を仮定して反
り角を理論的に計算する手順の一例について説明する。
【0108】温度変化時には、光情報記録媒体10a内
部に、半径方向に働く応力(軸力)と、円周方向に働く
応力と、膜厚方向に働く応力とが生じている。
【0109】ここで、光情報記録媒体10aは、図2
(a)に示すように円盤状であるため、円周方向に働く
応力は円周内で均一になる。また、膜厚方向に働く応力
も、各層内では一様と仮定できる。したがって、円周方
向に働く応力および膜厚方向に働く応力は、変形には寄
与しないと仮定できる。
【0110】したがって、以降では、光情報記録媒体1
0aの変形において、半径方向に働く応力のみを考慮す
る。すなわち、該応力によって発生する、光情報記録媒
体10aの半径方向に垂直な、厚さ方向における反りの
みを考慮する。
【0111】なお、実際の光情報記録媒体においては、
図2(b)(c)に示す反り角θは、例えば温度変化す
る前においても0ではない。このため、温度変化によっ
て生じる反り角の変化量として単に図2(b)(c)に
示す反り角θを用いると、誤差を生じることとなる。し
たがって、以降では、変形前から変形後までの反り角θ
の変化量を、環境変化によって生じた反り角の変化量と
する。
【0112】ここで、簡単のため、上述のような反り変
形を、光情報記録媒体10aの断面部に相当する5層は
りの反り変形と置換して考える。この5層はりの反り変
形は、図3に示すn層はりの断面図において、n=5の
場合に相当する。そして、変形の大小を、図に示す反り
角θを用いて評価する。
【0113】上述のような置換を行った場合、例えば温
度変化時における光情報記録媒体10a内部に発生する
応力〔軸力〕、曲げモーメント等の均衡は、以下の式
(1)〜(5)で表すことができる。
【0114】
【数1】
【0115】ここで、上記の式における各記号の意味は
次の通りである。まず、i番目の層に関する記号とし
て、αi はi層の線膨張係数または湿度膨張係数,Ei
はi層のヤング率,ti はi層の厚さ,Pi はi層にお
ける軸力,Mi はi層における曲げモーメント,Ri
i層における曲率半径,Ii はi層の断面2次モーメン
トを意味する。そして、bははりの幅(単位長とす
る),Tは変化温度または湿度,Lははりの長さ,y
(yバー)はn層はりの中立面位置,θは最大変位部に
おける長さ2mm内での反り角を意味する。
【0116】なお、yバーで示す中立面の位置は、ti
で示すi層の厚さと同じ座標方向における位置、すなわ
ち厚み方向における位置を示すものである。
【0117】反り角θの変化量を計算する際には、上記
の式において、各層の厚さが曲率半径に比較してはるか
に小さいため、R1=R2=R3= ・・・= Rn =Rとして計算
を行う。
【0118】なお、上記方程式は、線膨張係数を湿度膨
張係数に置き換えることにより、湿度変化時における応
力(軸力)、曲げモーメント等の均衡を表すこともでき
る。
【0119】また、上述の手順は、中立面の位置を仮定
して反り角を理論的に計算する手順の一例であって、異
なる手順を用いて計算することもできる。また、上記の
式(1)〜(5)も一例を示すものであって、異なる式
を用いることもできる。
【0120】上述の手順によって、実際に材質、膜厚お
よび物性値を特定した光情報記録媒体において、変形の
中立面の位置を第1薄膜層または第2薄膜層と仮定した
場合の反り角の変化量を算出することができる。
【0121】ここで、温度変化時における変形量の小さ
い本実施形態の一例として、以下の表1に、媒体1〜4
を示す。
【0122】
【表1】
【0123】媒体1〜4は、本実施形態の光情報記録媒
体10aにおいて、反射膜または半透明膜の材料にAlを
用いたものである。媒体1〜4は、それぞれ、第2樹脂
層70aの膜厚のみが異なり、その他の構成は同じであ
る。材質および膜厚は、表1に示す通りである。
【0124】ここで、Alは最も一般的に用いられる反射
膜材料である。Alは、反射膜または半透明膜に使用され
る他の金属と、線膨張係数及びヤング率などの物性値が
ほぼ等しい。なお、以下の表2は、表1に示す媒体1〜
4において、第1、第2樹脂層50a・70aの材料と
して用いるUV硬化樹脂の物性値を示す。
【0125】
【表2】
【0126】なお、示していない物性値については、計
算の際には、その材料において通常用いられる値を用い
る。
【0127】このように構成が特定された媒体1〜4に
ついて、変形の中立面の位置を仮定して上述の手順によ
って反り角θの変化量を計算するとともに、以下で説明
する実測において得られた反り角θの変化量と比較す
る。これによって、変形の中立面の位置を、間接的に確
認できる。
【0128】上記構成の光情報記録媒体を用いて、温度
変化時における変形を測定した。変形を測定するため
に、まず各媒体1〜4を23℃に保持された恒温槽中に
3日放置した。そして、その後、恒温槽内で媒体の反り
角θを測定した。次に、恒温槽内の温度を50℃に変更
し、同様に3日放置した。そして、恒温槽内で媒体の同
一点の反り角θを測定し、上記23℃の場合の反り角θ
との差を反り角θの変化量とした。
【0129】なお、上記の測定のために、恒温槽に3日
放置しているのは、3日もあれば十分に定常状態に到達
すると考えられるためである。
【0130】図4のグラフに、上記の実測値と、上記の
式を用いて計算した理論値とを示す。図4の縦軸は、上
記のように実測、または計算した反り角θの変化量(Δ
チルト)を示す。図4の横軸は、第2樹脂層70aの膜
厚を示す。
【0131】実測値として、各媒体1〜4によって得ら
れた結果を、それぞれ丸点によって図4に示した。図4
に示すように、媒体1〜4の温度変化時の反り角θの変
化量は、一般に好ましい範囲である−5.0 〜5.0[mrad]
の範囲内となっている。すなわち、媒体1〜4は、温度
変化時における変形量の小さい光情報記録媒体である。
【0132】また、理論値として、変形の中立面の位置
を第1薄膜層40aに仮定した場合と第2薄膜層60a
に仮定した場合とについて、それぞれ上述の手順によっ
て得た反り角θの変化量を、破線および実線にて図4に
示す。
【0133】図4によれば、変形の中立面が第2薄膜層
60aにあるとした場合の理論値(実線)と、実測値
(丸点)とが、ほぼ一致することがわかる。したがっ
て、本実施形態の光情報記録媒体10aの一例である媒
体1〜4においては、変形の中立面が第2薄膜層60a
中にあることが確認できた。このように、変形の中立面
が第2薄膜層中60aにあるのは、第1薄膜層40aよ
り第2薄膜層60aのほうが厚く、より変形し難いため
であると考えられる。
【0134】なお、ヤング率については、第1薄膜層4
0a、第2薄膜層60aはともに同一材料(Al)を用いて
いるため、両者とも同じである。
【0135】以上のように、温度変化による変形の際の
実測値と方程式より求めた理論値とを比較することによ
って、光情報記録媒体の変形の中立面の位置を確認する
ことができた。また、この温度変化時における変形の小
さい光情報記録媒体において、その変形の中立面は、膜
材料のヤング率と膜厚との積が最も大きい膜を有する薄
膜層である第2薄膜層にあることを示した。
【0136】また、実測値と理論値とはよい一致を見せ
ているので、上述の、中立面の位置を仮定して反り角を
理論的に計算する手順は、妥当であることが確認でき
た。
【0137】したがって、温度変化時において、後述す
る実施例において示すように、変形の中立面の位置を仮
定し、その仮定によって、上記の式(1)〜(5)を用
いて、例えば反り角の変化量と線膨張係数との関係を求
め、好ましい線膨張係数の範囲を推測することもでき
る。
【0138】次に、湿度変化時における変形量が小さい
本実施形態の媒体の一例として、以下の表3に、媒体5
〜7を示す。
【0139】
【表3】
【0140】媒体5〜7は、本実施形態の光情報記録媒
体10aにおいて、反射膜および半透明膜の材料に、上
述の例のAlとは異なり、Niを用いたものである。媒体5
〜7は、それぞれ第2樹脂層70aの厚みのみが異な
り、その他の構成は同じである。なお、表3に示す第1
樹脂層50aの材料であるUV硬化樹脂3の物性値は、
前記の表2に示したものである。また、計算の際には、
上述の例と同様に、樹脂層以外の層の物性値については
通常用いられる値を用いて計算する。
【0141】上記構成の光情報記録媒体10aについ
て、湿度変化による反り角θの変化量(Δチルト)を測
定した。湿度変化における変形を測定するために、まず
各媒体を25℃で湿度50%に保持された恒温恒湿槽中
に3日放置した。そして、その後、同恒温恒湿槽内で媒
体の反り角を測定した。次に、同恒温恒湿槽内を25℃
で湿度90%に変更し、同様に3日放置した。そして、
同恒温恒湿槽内で媒体の同一点の反り角θを測定し、上
記50%の場合の反り角θとの差を反り角θの変化量と
した。
【0142】なお、上記の測定のために、恒温恒湿槽に
3日放置しているのは、3日もあれば十分に定常状態に
到達すると考えられるためである。
【0143】図5のグラフに、上記の実測値と、上記の
式を用いて計算した理論値とを示す。図5の縦軸は、上
記のように実測、または計算した反り角θの変化量を示
す。図5の横軸は、第2樹脂層70aの膜厚を示す。
【0144】実測値として、各媒体5〜7によって得ら
れた結果を、それぞれ丸点によって図5に示した。図5
に示すように、媒体5〜7の湿度変化時の反り角θの変
化量は、一般に好ましい範囲である−5.0 〜5.0[mrad]
の範囲内となっている。すなわち、媒体5〜7は、湿度
変化時における変形量の小さい光情報記録媒体である。
また、理論値として、変形の中立面を第2薄膜層60a
に仮定した場合について計算した反り角θの変化量を、
実線にて図5に示す。
【0145】図5によれば、変形の中立面が第2薄膜層
60aにあるとした場合の理論値(実線)と、実測値
(丸点)とが、ほぼ一致することがわかる。したがっ
て、本実施形態の光情報記録媒体10aの一例である媒
体5〜7においては、変形の中立面が第2薄膜層中60
aにあることが分かる。
【0146】このことより、温度変化時と同様、湿度変
化時においても、変形量が小さなときには、薄膜自体の
膜厚とそのヤング率との積が最も大きな薄膜を含む薄膜
層に変形中心があるといえる。
【0147】また、実測値と理論値とはよい一致を見せ
ているので、湿度変化時においても、中立面の位置を仮
定して反り角を理論的に計算する手順の妥当性が示され
た。
【0148】したがって、湿度変化時においても、前述
の温度変化時と同様に、変形の中立面の位置を仮定する
ことができる。そして、その仮定を用いて、例えば、反
り角の変化量と湿度膨張係数との関係を求め、好ましい
湿度膨張係数の範囲を推測することができる。このよう
な推測については、以下の実施例において説明する。
【0149】なお、上述した本発明に係る光情報記録媒
体の一例においては、変形の中立面が第2薄膜層60a
に設定されていることが簡単に分かるように、第1薄膜
層40aおよび第2薄膜層60aの材料を同じにしてい
る。しかし、上述の構成でないとしても、本発明に係る
光情報記録媒体であれば、上述のように、仮説の適否を
確認し、計算の手順の妥当性を確認することができる。
【0150】以上のように、従来薄膜層が複数の場合に
は不明確であった中立面の位置を、温度変化時または湿
度変化時において生じる変形量が小さい、2層の薄膜層
を有する媒体において、膜材料のヤング率と膜厚との積
が最も大きな薄膜を有する薄膜層にあると特定した。
【0151】また、上述のように、変形の中立面の位置
を仮定して反り角を理論的に計算する手順の妥当性も確
認した。よって、以下で説明するように、記録膜、反射
膜、または半透明膜を少なくとも一つ含む薄膜層が2層
以上であっても、この手順を用いて、中立面の位置を特
定の薄膜層に仮定した上で、例えば1つの樹脂層の膜厚
または物性値を選択し、温度変化時または湿度変化時に
伴う反りを確実に防止できる光情報記録媒体を得ること
ができる。
【0152】なお、以上においては、薄膜層が2層の場
合、すなわち薄膜層と樹脂層との積層組が2組の場合に
おいて、中立面の位置を仮定して反り角を計算する方法
について述べたが、積層組が3組以上の場合であっても
同様に中立面の位置を仮定して反り角を求めることがで
きる。また、実際の変形の中立面の位置についても、積
層組が3組以上であっても、例えば上述と同様に実測
し、上述のように計算した理論値と比較することによっ
て、膜材料のヤング率と膜厚との積が最大の薄膜を有す
る薄膜層に、実際の変形の中立面があることを確かめる
ことができる。
【0153】〔実施例1〕本実施例に係る光情報記録媒
体10aは、上述のように妥当性を示した、式(1)〜
(5)および仮説を用いて、以下のように、温度変化ま
たは湿度変化によって生じる変形の中立面が、上記各積
層組を構成する第1、第2薄膜層40a・60aのう
ち、膜材料のヤング率と膜厚との積が最も大きな薄膜を
有する薄膜層に設定される(以下、「中立面の位置を最
適化する」と表現する。)ように、第1、第2樹脂層5
0a・70aの物性値または膜厚を選択する構成であ
る。
【0154】ここで、本実施形態においては、特に第
1、第2樹脂層50a・70aの一方の物性値を選択し
て、中立面の位置を最適化する場合について説明する。
このように、記録特性とは無関係の樹脂層のうち、例え
ば一つの樹脂層の物性値を選択することによって中立面
の位置を最適化すれば、最も簡単に中立面の位置を最適
化して反り変形の少ない光情報記録媒体を得ることがで
きる。
【0155】なお、一つの樹脂層のみの選択でなく、任
意の組み合わせの樹脂層を選択して好ましい範囲を選択
することもできる。すなわち、選択する樹脂層の数は限
定されないので、例えば、全ての樹脂層の物性値を変更
可能として好ましい範囲を選択することも可能である。
【0156】また、樹脂層の物性値のみならず、樹脂層
の膜厚を調節して反り変形を減少させることも可能であ
る。しかし、例えば樹脂層の厚みとして20μm以内と
する光情報記録媒体の規格もあるので、膜厚のみを調節
して反り変形を防止するのは困難である。そこで、例え
ば物性値の調節と膜厚の調節とを組み合わせることによ
って、より簡単な構成で反り変形を防止することもでき
る。
【0157】本実施例に係る光情報記録媒体は、薄型基
板と2層の薄膜層とを有する、情報の再生のみを行う光
情報記録媒体(2層ROM)である。
【0158】本実施例は、薄膜層中に、金属よりなる反
射膜または半透明膜のみを有する構成である。すなわ
ち、2層の薄膜層の双方に誘電体を含んでいない構成で
ある。したがって、本実施例の光情報記録媒体10a
は、第1薄膜層40a中には反射膜44aのみを含んで
おり、第2薄膜層60a中には、半透明膜64aのみを
含んでいる。
【0159】このような構成は、2層ROMのような光
情報記録媒体においては、一般的である。また、反射膜
または半透明膜に使用される何種かの材料においては、
材料ごとにヤング率、線膨張係数及び好ましい膜厚は異
なるが、その差異は第1、第2樹脂層50a・70aや
樹脂製の基板20aに使用される材料における材料ごと
の差異と比較して非常に小さい。したがって、一つの材
料について調べて得た特性を、他の材料についても適用
することができる場合がある。
【0160】この2層ROMの一例である本実施例の光
情報記録媒体(媒体8)は、以下の表4に示す材質およ
び膜厚を備えた構成である。
【0161】
【表4】
【0162】この構成において、第1樹脂層50a以外
の層の物性値は、通常用いられる物性値として設定され
ている。例えば、第1薄膜層40aのAlのヤング率を7.
57E+10[Pa]と、第2薄膜層60aのAuのヤング率を8.83
E+10[Pa]とする。すると、本実施例においては、膜材料
のヤング率と膜厚との積が最も大きい膜を有する薄膜層
は、第1薄膜層40aである。
【0163】上記構成の媒体8において、物性値として
第1樹脂層50aの線膨張係数を選択し、温度変化時に
おける、この物性値の好ましい範囲を以下のように特定
する。
【0164】すなわち、以下で説明するように、中立面
の位置を第1薄膜層40aと仮定して、その仮定を用い
て反り角θの変化量と第1樹脂層50aの線膨張係数と
の関係を求めることができる。そして、反り角θの変化
量を一定の小さい範囲に限定することによって、第1樹
脂層50aの線膨張係数の好ましい範囲を限定すること
ができるのである。そして、第1樹脂層50aとして上
記の範囲の線膨張係数を持つものを選択することによ
り、媒体の変形の中立面が、膜材料のヤング率と膜厚と
の積が最も大きい薄膜を有する薄膜層である第1薄膜層
40aに設定され、中立面の位置が最適化される。
【0165】より詳細に説明すると、以下の通りであ
る。表4に示された膜厚および材質の物性値を用い、さ
らに、変形の中立面の位置を第1薄膜層40aと仮定し
て、上述の式(1)〜(5)に代入すると、温度変化さ
せた場合の反り角θの変化量と第1樹脂層50aの線膨
張係数との関係を得ることができる。
【0166】このようにして得られた計算結果として、
図6に、一般的なUV樹脂が有するヤング率の範囲(2.
0 E+9 〜5.0 E+9 [Pa])において、第1樹脂層50aの
ヤング率を何通りか変化させた場合の、第1樹脂層50
aの線膨張係数と反り角θの変化量、すなわちΔチルト
との関係を示す。
【0167】ここで、図6においては、Δチルトが−3.
0 〜3.0[mrad] の範囲にあれば、一般的に好ましい範囲
である−5.0 〜5.0[mrad] よりも小さいので、変形量が
十分に小さいとみなすことができる。したがって、図6
より、線膨張係数は3.5E−5〜1.1E−4 の範囲内である
場合に、変形量が十分に小さくなることが予測できる。
【0168】すなわち、以上のように、本発明に係る光
情報記録媒体の一例である媒体8において、第1樹脂層
50aの線膨張係数を3.5E−5 〜1.1E−4 の範囲から選
択し、作成すれば、温度変化時の中立面の位置を第1薄
膜層40aに設定でき、温度変化時の反り変形を小さく
できる。
【0169】また、例えば、線膨張係数の範囲を5.5E−
5 〜8.0E−5 より選択すれば、反り角の変化量がより小
さい−1.0 〜1.0[mrad] の範囲にあるので、温度変化時
の反り角の変化量をより小さくできる。
【0170】また、表4に示された膜厚および材質か
ら、湿度変化させた場合の反り角の変化量と第1樹脂層
の湿度膨張係数との関係も得ることができる。すなわ
ち、上述と同様の手順によって、湿度変化させた場合の
図7を得ることができる。図7を参照すると、本発明に
係る光情報記録媒体の一例である媒体8において、第1
樹脂層の湿度膨張係数を4.3E−5 以下の範囲から選択す
れば、湿度変化時の変形量を十分に小さくできることが
分かる。
【0171】以上のように、本発明に係る光情報記録媒
体の一例である媒体8は、温度変化または湿度変化によ
って生じる変形の中立面が、上記各積層組を構成する薄
膜層のうち、膜材料のヤング率と膜厚との積が最も大き
な薄膜を有する薄膜層である第1薄膜層40aに設定さ
れるように、第1、第2樹脂層50a・70aの物性値
が選択されている。本実施例においては、第2樹脂層7
0aの物性値は固定し、第1樹脂層50aの物性値の好
ましい値を選択した。
【0172】したがって、上記の構成によれば、温度変
化や湿度変化などの環境変化による光情報記録媒体の変
形量を小さくすることができる。
【0173】また、本実施例の媒体8は、上記積層組が
2組であり、表4に示すように、第1、第2薄膜層40
a・60aはいずれも金属よりなる構成である。さら
に、媒体8は、第1樹脂層50aの線膨張係数X〔1/
℃〕が3.5E−5 ≦X≦1.1E−4 の範囲にあり、かつ、第
1樹脂層の湿度膨張係数Y〔1/%〕が0<Y≦4.3E−5
の範囲にある光情報記録媒体である。
【0174】したがって、上記構成によれば、第1樹脂
層50aを形成する樹脂の膨張係数(線膨張係数、湿度
膨張係数)が上記の範囲に含まれるので、環境変化時に
おける変形量を小さくして、信頼性を高めることができ
る。
【0175】〔実施例2〕次に、薄膜層中に誘電体を含
んでいる構成の光情報記録媒体について説明する。本実
施例に係る光情報記録媒体は、薄型基板と2層の薄膜層
とを有する、情報の再生および記録が可能な光情報記録
媒体(2層RAM)であり、2層の薄膜層の双方に、誘
電体を含んでいる。
【0176】上記のように誘電体を含んでいる構成の場
合は、以下の理由で、誘電体の物性値や膜厚が重要とな
る。
【0177】誘電体は、他の材料と比較してヤング率が
高く、線膨張係数が低いため、他の材料と比較して変形
しにくい。このような誘電体のうち、光情報記録媒体に
使用される何種かの誘電体においても、材質に依存する
ヤング率、線膨張係数などの物性値及び好ましい膜厚な
どは、やはり誘電体ごとに異なるものとなっている。し
かし、その差異は、第1、第2樹脂層50a・70aの
材料同士や樹脂製の基板20aの材料同士の場合と比べ
て、非常に小さい。したがって、温度変化時における光
情報記録媒体の変形において、誘電体膜の物性値や膜厚
が、最も支配的になる。
【0178】この2層RAMの一例である本実施例の光
情報記録媒体(媒体9)は、以下の表5に示す材質およ
び膜厚を備えた構成である。
【0179】
【表5】
【0180】この構成において、第1樹脂層50a以外
の物性値は、通常用いられる物性値として設定されてい
る。
【0181】したがって、本実施例においては、第1薄
膜層40aと第2薄膜層60aとでは、各薄膜層に含ま
れる薄膜における膜材料のヤング率と膜厚との積のう
ち、最も大きいものの値が、同じ値となっている。
【0182】上記構成の媒体9において、物性値として
第1樹脂層50aの線膨張係数を選択し、温度変化時に
おける、この物性値の好ましい範囲を以下のように特定
する。すなわち、本実施例においても、上述の実施例と
同様に、第1、第2樹脂層50a・70aの一方である
第1樹脂層50aの物性値の範囲を選択することによっ
て、中立面の位置を最適化する。
【0183】すなわち、以下で説明するように中立面の
位置を第1薄膜層40aと仮定して、その仮定を用いて
反り角θの変化量と第1樹脂層50aの線膨張係数との
関係を求めることができる。そして、反り角θの変化量
を一定の小さい範囲に限定することによって、第1樹脂
層50aの線膨張係数の好ましい範囲を限定することが
できるのである。
【0184】そして、第1樹脂層50aとして上記の範
囲の線膨張係数をもつものを選択することにより、実際
に変形の中立面が、膜材料のヤング率と膜厚との積が最
も大きい薄膜を有する薄膜層である第1薄膜層40aに
設定され、中立面の位置が最適化される。
【0185】ここで、表5に示す媒体9は、図1に光情
報記録媒体10aとして示す構成をもつものである。上
述のように、本実施例の媒体9においては、第1薄膜層
40aと第2薄膜層60aとでは、各薄膜層に含まれる
薄膜における膜材料のヤング率と膜厚との積のうち、最
も大きいものの値が、同じ値となっている。
【0186】一方、上述した光情報記録媒体10aの構
成においては、通常は、第2薄膜層60aの半透明膜6
4aよりも第1薄膜層40aの反射膜44aの方が厚く
なっている。そのため、このような通常の場合において
は、第1薄膜層40aの方が、第2薄膜層60aよりも
変形し難い。
【0187】そこで、以下では、このような通常の場合
に対応させるため、中立面の位置を第1薄膜層40aと
仮定して計算を行う。
【0188】表5に示された膜厚および材質の物性値を
用い、さらに、変形の中立面の位置を第1薄膜層40a
と仮定して、上述の式(1)〜(5)に代入すると、温
度変化させた場合の反り角θの変化量と第1樹脂層50
aの線膨張係数との関係を得ることができる。
【0189】このようにして得られた計算結果として、
図8に、一般的なUV樹脂が有するヤング率の範囲(2.
0 E+9 〜5.0 E+9[Pa] )において、第1樹脂層50aの
ヤング率を何通りか変化させた場合の、第1樹脂層50
aの線膨張係数と反り角θの変化量、すなわちΔチルト
との関係を示す。
【0190】ここで、図8においては、Δチルトが−3.
0 〜3.0 [mrad]の範囲にあれば、一般に好ましい変化量
である−5.0 〜5.0[mrad] の範囲よりも小さいので、変
形量が十分に小さいとみなすことができる。したがっ
て、図8より、線膨張係数を7.4E−5 〜1.6E−4 の範囲
から選択した場合には、変形量を十分に小さくできるこ
とが分かる。
【0191】すなわち、以上のように、第1樹脂層50
aの線膨張係数を7.4E−5 〜1.6E−4 の範囲より選択す
れば、本実施例の媒体9において、温度変化時の中立面
の位置を第1薄膜層40aに設定できる。したがって、
中立面の位置を最適化して、温度変化時の反り変形を小
さくできる。
【0192】なお、上述のように、光情報記録媒体の変
形においては、誘電体膜の物性値や膜厚が最も支配的と
なるので、上述のように得られた結果は、誘電体膜の物
性値や膜厚が同じであれば、他の膜、例えば記録膜など
の物性値や膜厚が多少変化したとしても、ほぼ変わらな
い。
【0193】また、表5に示された膜厚および材質を用
いて、湿度変化させた場合の反り角θの変化量と第1樹
脂層50aの湿度膨張係数との関係も得ることができ
る。すなわち、上述の実施例と同様の手順によって、湿
度変化させた場合の図9を得ることができる。図9を参
照すると、媒体9では、第1樹脂層50aの湿度膨張係
数が4.8E−5 以下の時に、変形量が十分に小さくなると
予測できる。
【0194】以上のように、本発明に係る光情報記録媒
体の一例である媒体9は、温度変化または湿度変化によ
って生じる変形の中立面が、上記各積層組を構成する薄
膜層のうち、膜材料のヤング率と膜厚との積が最も大き
な薄膜を有する薄膜層の一つである第1薄膜層40aに
設定されるように、第1、第2樹脂層50a・70aの
物性値が選択されている。本実施例においては、第2樹
脂層70aの物性値は固定し、第1樹脂層50aの物性
値の好ましい値を選択した。
【0195】したがって、上記の構成によれば、温度変
化や湿度変化などの環境変化による光情報記録媒体の変
形量を小さくすることができる。
【0196】また、本実施例の媒体9は、上記積層組が
2組であり、表5に示すように、第1、第2薄膜層はい
ずれも誘電体よりなる構成である。さらに、媒体9は、
第1樹脂層の線膨張係数X〔1/℃〕が7.4E−5 ≦X≦1.
6E−4 の範囲にあり、かつ、第1の樹脂層の湿度膨張係
数Y〔1/%〕が0<Y≦4.8E−5 の範囲にある光情報記
録媒体である。
【0197】したがって、上記構成によれば、第1樹脂
層を形成する樹脂の膨張係数(線膨張係数、湿度膨張係
数)が上記の範囲に含まれるので、環境変化時における
変形量を小さくして、信頼性を高めることができる。
【0198】〔実施例3〕つぎに、2層の薄膜層を有
し、その薄膜層のいずれか一方にのみ誘電体を含む光情
報記録媒体(ROM+RAM)について説明する。
【0199】このROM+RAMの一例である本実施例
の光情報記録媒体(媒体10)は、以下の表6に示す材
質および膜厚を備えた構成である。
【0200】
【表6】
【0201】この構成において、第1樹脂層50a以外
の物性値は、通常用いられる物性値として設定されてい
る。
【0202】本実施例の媒体10は、第1薄膜層40a
中には上述した各膜41a〜44aを含んでおり、第2
薄膜層60a中には半透明膜64aのみを含んでいる。
したがって、本実施例においては、第1薄膜層40a
が、膜材料のヤング率と膜厚との積が最大の薄膜層に設
定されている。
【0203】この光情報記録媒体10aの場合は、上述
した実施例における、双方の薄膜層に誘電体を含む場合
および双方の薄膜層に誘電体を含まない場合と比較し
て、その中間の特性をもつことが予想される。
【0204】すなわち、環境変化時における変形の中立
面の位置を第1薄膜層40aと仮定すると、変形量が小
さくなるような、第1樹脂層50aの線膨張係数および
湿度膨張係数の範囲は、前述の2種の光情報記録媒体の
場合の範囲に、少なくとも含まれていると予想できる。
よって、線膨張係数は3.5E−5 〜1.6E−4 以下の時に変
形量が十分小さくなると予想できる。また、湿度膨張係
数は4.8E−5 以下の時に変形量が十分に小さくなること
が予想できる。
【0205】これは、上記した、2層ある薄膜層の双方
に誘電体が含まれている場合と、双方に誘電体が含まれ
ていない場合とでは、誘電体が含まれている場合の方
が、線膨張係数の範囲を決める境界の値が大きいことか
らも確認できる。
【0206】したがって、光情報記録媒体10aの一例
である媒体10の作成において、第1樹脂層50aの線
膨張係数および湿度膨張係数を上述の範囲から選択すれ
ば、変形の中立面の位置を第1薄膜層40aに設定し
て、温度変化時および湿度変化時における反り変形の小
さい光情報記録媒体10aを形成できる。
【0207】以上のように、本発明に係る光情報記録媒
体の一例である媒体10は、温度変化または湿度変化に
よって生じる変形の中立面が、上記各積層組を構成する
薄膜層のうち、膜材料のヤング率と膜厚との積が最も大
きな薄膜を有する薄膜層である第1薄膜層40aに設定
されるように、第1、第2樹脂層50a・70aの物性
値が選択されている。本実施例においては、第2樹脂層
70aの物性値は固定し、第1樹脂層50aの物性値の
好ましい値を選択した。
【0208】したがって、上記の構成によれば、温度変
化や湿度変化などの環境変化による光情報記録媒体の変
形量を小さくすることができる。
【0209】また、本実施例の媒体10は、上記積層組
が2組であり、表6に示すように、各積層組の薄膜層の
一方である第1薄膜層40aに誘電体が含まれている構
成である。さらに、媒体10は、一方の積層組の樹脂層
である第1樹脂層50aの線膨張係数X〔1/℃〕は3.5E
−5 ≦X≦1.6E−4 の範囲にあり、かつ、第1樹脂層5
0aの湿度膨張係数Y〔1/%〕は0<Y≦4.8E−5 の範
囲にある光情報記録媒体10aである。
【0210】したがって、上記構成によれば、第1樹脂
層50aを形成する樹脂の膨張係数(線膨張係数、湿度
膨張係数)が上記の範囲に含まれるので、環境変化時に
おける変形量を小さくして、信頼性を高めることができ
る。
【0211】なお、以上に述べた実施形態および実施例
1〜3においては、光情報記録媒体において一般に多く
用いられる構成の材料および膜厚について、中立面の位
置を決定し、反り角の変化量を少なくするような物性値
の範囲を決定できることを示したが、本発明はこれに限
られるものではない。たとえば、あまり光情報記録媒体
に用いられない材料の場合であっても、上述と同様に中
立面の位置を決定し、反り角の変化量を少なくするよう
な物性値の範囲を決定できるので、上述と同様の効果を
得ることができる。
【0212】また、以上に述べた実施形態および実施例
1〜3においては、薄膜層を2つ備えた光情報記録媒体
についてのみ説明したが、本発明はこれに限るものでは
ない。例えば、図10に示す光情報記録媒体10bのよ
うに、3以上の整数をnとして、薄膜層をn層備えてい
る構成でもよい。
【0213】光情報記録媒体10bは、基板20b上
に、第1薄膜層40b、第1樹脂層50b、第2薄膜層
60b、第2樹脂層70bに加えて、以下、n番目の積
層組の第n薄膜層100bおよび第n樹脂層110bま
でを、順に備えている。
【0214】各薄膜層の構成は、図1に示す光情報記録
媒体10aと同様の構成となっている。
【0215】すなわち、例えば、第1薄膜層40bに含
まれる誘電体膜41b、記録膜42b、誘電体膜43
b、反射膜44bは、図1に示す光情報記録媒体10a
の第1薄膜層40aに含まれる誘電体膜41a、記録膜
42a、誘電体膜43a、反射膜44aとそれぞれ同様
の構成である。
【0216】また、第2薄膜層60bないし第n薄膜層
100bの各薄膜層に含まれる、各膜61b〜64bま
たは各膜101b〜104bなどの構成は、図1に示す
光情報記録媒体10aの第2薄膜層60aに含まれる各
膜61a〜64aと同様である。
【0217】また、上述の実施形態の光情報記録媒体1
0aは、図1で示すように、薄膜層が4層の薄膜よりな
る構成としているが、これは薄膜数が多い場合の一般的
な構造を表示しているのであって、本発明はこれに限ら
れるものではない。例えば、半透明膜や反射膜等のみの
単層の薄膜層や、より複雑な積層構造を持つ薄膜層を有
する光情報記録媒体であってもよい。
【0218】なお、上述の実施形態および実施例1〜3
においては、各樹脂層が単層である場合のみを説明した
が、本発明はこれに限るものではなく、多層の樹脂層で
あってもよい。例えば、ポリカーボネートフィルムを貼
り付けるための接着剤等がそのフィルム上にある場合の
ように、2層の樹脂層であってもよい。また、異種のU
V硬化樹脂が積層されている場合のように、多層樹脂層
であってもよい。
【0219】また、上記図1に示した構成においては、
反射膜44aおよび半透明膜64aの配置から分かるよ
うに、情報読み取りの際の光入射面は、基板側20aで
なく、基板より最も離れた第2樹脂層70a表面となっ
ている。上記の図10の構成においても、同様に、基板
20bから離れた第n樹脂層110bが光入射面とな
る。この構成においては、光入射面となる、第2樹脂層
70aの膜厚、または、第n樹脂層110bの膜厚に
は、非常に高い均一性が要求される。
【0220】しかし、本発明に係る光情報記録媒体は、
このような均一性を不要とするような積層順の構成をも
つ光情報記録媒体であってもよい。すなわち、図11に
示すように、薄膜層をn層有する光情報記録媒体10c
のような構成であってもよい。
【0221】上記の図11の構成においては、光入射面
である基板20c表面は、均一性が高い圧縮成型がされ
る。また、薄膜層と樹脂層とからなる積層組の積層順
は、図10と同様になっている。一方、および薄膜層内
の記録膜の構成、すなわち薄膜層内の積層順は、上記の
図10と比べて逆になっており、かつ一部が変更されて
いる。
【0222】この変更箇所として、反射膜44bと半透
明膜104bとが入れ替えられ、それぞれ半透明膜10
4cと反射膜44cとになっている。なお、各薄膜層に
含まれる、上記以外の膜、例えば、41c〜43c、6
1c〜64c、101c〜103cは、図10に示す光
情報記録媒体10bの薄膜相中に含まれる、41b〜4
3b、61b〜64b、101b〜103bと同様であ
る。
【0223】そして、基板20c表面よりレーザ光が入
射し、薄膜層の内のひとつに焦点を結び、信号の再生又
は記録を行うようになっている。
【0224】この構造の光情報記録媒体10cでは、第
n樹脂層110cの膜厚に高い均一性は必要ない。その
ため、スピンコート等によって、基板20cより最も離
れた樹脂層である、 1〜30μmの第4樹脂層110cを
形成することが可能となる。
【0225】言い換えると、前述の光情報記録媒体10
b,10cのどちらにおいても、第1樹脂層、第2樹脂
層、および第3樹脂層には、基板同様に高い均一性が必
要とされる。しかし、上記図11に示す光情報記録媒体
10cの構成によれば、第4樹脂層の均一性は不要とな
り、第4樹脂層の構成は自由に選択をすることが可能と
なる。
【0226】また、例えば図14に示す従来の光情報記
録媒体10において、周辺湿度が上昇したときには、光
情報記録媒体10は図15(b)に示されるような角度
θの−方向の反り(基板20側への反り)を示す。この
ような反り変形をより確実に防止するために、各積層組
の樹脂層の湿度膨張係数よりも大きな湿度膨張係数とを
有する材料を用いて、各積層組が形成されている基板の
面の裏面に、基板保護膜を形成する構成も好ましい。
【0227】すなわち、本発明に係る光情報記録媒体
は、図10に示す構成の光情報記録媒体10bにさらに
基板保護膜30dを形成した、図12に示す光情報記録
媒体10dのような構成であってもよい。
【0228】この光情報記録媒体10dの構成において
は、基板保護膜30d以外の基板20dおよび各膜40
d〜110dは、図10に示す光情報記録媒体10bの
基板20bおよび各膜40b〜110bと同様の構成で
ある。
【0229】この構成によれば、周辺湿度上昇時には、
基板保護膜30dが、各積層組の樹脂層よりも膨張して
上述のような反り変形を打ち消すので、湿度変化時にお
ける反り変形をより確実に防止できる。
【0230】また、図12に示す光情報記録媒体10d
の基板保護膜30dは、上記構成において、さらに、基
板の線膨張係数と同等かあるいは小さな線膨張係数を有
するものであってもよい。
【0231】ここで、例えば図14に示す従来の光情報
記録媒体10において、周辺温度が上昇したときには、
光情報記録媒体10は図15(a)に示されるような角
度θの+方向の反り(第2樹脂層70側への反り)を示
す。
【0232】一方、上述の構成によれば、例えば、線膨
張係数が基板20dと同程度の場合には、温度変化時に
おける上記基板保護膜30dによる効果は、基板20d
の厚みの誤差程度にしか過ぎなくなる。一方、基板保護
膜30dの線膨張係数が小さければ、上記基板保護膜3
0dは基板20dの膨張を抑制する。よって、温度変化
時( 温度上昇時) における、光情報記録媒体10dの変
形を抑制できる。
【0233】また、基板保護膜30dは、スピンコート
等の塗布によって形成する構成であってもよい。この構
成によれば、安価に形成できるので有利である。
【0234】また、本発明に係る光情報記録媒体は、基
板より最も遠い樹脂層表面が光入射面である場合には、
各樹脂膜の層は、405nm 近辺の短波長領域において、8
0%以上の透過率を有する透明樹脂で形成されている構
成であってもよい。
【0235】ここで、405nm 近辺の短波長領域とは、青
色レーザ等の短波長レーザの波長領域を意味する。この
構成によれば、各樹脂層の短波長領域における透過率が
高いことにより、青色レーザ等の短波長レーザが信号の
記録再生時に使用可能となり、より高密度記録が可能と
なる。
【0236】また、本発明に係る光情報記録媒体は、基
板表面が光入射面である場合には、基板より最も離れた
樹脂層を除く各樹脂膜の層および基板は、405nm 近辺の
短波長領域において、80%以上の透過率を有する透明
樹脂で形成されている構成であってもよい。
【0237】この構成によれば、基板より最も離れた樹
脂層を除く各樹脂膜の層および基板の短波長領域におけ
る透過率が高いことにより、青色レーザ等の短波長レー
ザが信号の記録再生時に使用可能となり、さらなる高密
度記録が可能となる。
【0238】また、上記した本発明に係る光情報記録媒
体は、以下のような形態であってもよい。すなわち、上
記した図10と同様の断面形状をもち、基板20b、第
1薄膜層40b、第1樹脂層50b、第2薄膜層60
b、第2樹脂層70bに加えて、以下3以上の整数をn
としてn番目の積層組の第n薄膜層100bおよび第n
樹脂層110bまでを、順に備えている構成であっても
よい。
【0239】上記構成において、情報読み取り時には、
第n樹脂層110b下面よりレーザを照射し、各薄膜層
に焦点を合わせて信号読み取りを行う。また、104
b、64bなどで示される薄膜は半透明膜である。各樹
脂層は、レーザ光が透過するようになっている。また、
さらに、基板20b上に、薄膜層とは反対の面に、基板
保護膜を備えた構成であってもよい。また、上記構成に
おける第4樹脂層の膜厚は、0.1 mmないし20μmが
好ましい。
【0240】さらにまた、上記した本発明に係る光情報
記録媒体は、以下のような形態であってもよい。すなわ
ち、上記した図10と同様の断面形状をもち、第n樹脂
層110bが基板20bと同じ材質であるポリカーボネ
ートフィルムよりなる構成であってもよい。情報読み取
り時には、第n樹脂層110b下面よりレーザを照射
し、各薄膜層に焦点を合わせて信号読み取りを行う。各
樹脂層は、レーザ光が透過するようになっている。この
構成の場合には、線膨張係数や湿度膨張係数を変化させ
て基板20bとの応力バランスをとるための樹脂層は、
第n樹脂層110b以外のものを選択する必要がある。
【0241】さらにまた、上記した本発明に係る光情報
記録媒体は、以下のような形態であってもよい。すなわ
ち、上記した図10と同様の断面形状をもち、第n樹脂
層以外の樹脂層が、ポリカーボネートフィルムよりなる
構成であってもよい。
【0242】また、上記した本発明に係る光情報記録媒
体は、以下のような構成であってもよい。すなわち、本
発明に係る光情報記録媒体は、図11に示すような断面
形状をもち、基板20c、第1薄膜層40c、第1樹脂
層50c、第2薄膜層60c、第2樹脂層70cに加え
て、以下3以上の整数をnとしてn番目の積層組の第n
薄膜層100cおよび第n樹脂層110cまでを、順に
備えている構成であってもよい。
【0243】上記構成において、情報読み取り時には、
光情報記録媒体10cの基板20c上面よりレーザ光を
照射し、各薄膜層に焦点を合わせて信号読み取りを行
う。また、104c、64cなどで示される薄膜は半透
明膜であり、44cで示される薄膜が反射膜である。ま
た、各樹脂層はUV硬化樹脂によって形成され、110
cで示される第4樹脂層以外はレーザ光が通過する必要
がある。また、上記構成に加えて、基板20cに対して
薄膜層とは反対の側に、基板保護膜を備えた構成であっ
てもよい。この場合の基板保護膜は透明である必要があ
る。また、上記構成における各樹脂層の厚みは20μm
程度が好ましい。
【0244】なお、上述の説明においては、中立面の位
置を仮定して、選択を行うパラメータとして、物性値お
よび膜厚のうち、線膨張係数を選択した場合について説
明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば膜
厚を選択する構成であってもよい。しかし、現実の光情
報記録媒体においては、例えば樹脂層の膜厚を自由に設
定することはあまり現実的ではない。例えば、樹脂層の
厚みとして20μm以内とする光情報記録媒体の規格も
ある。このため、例えば上記のように線膨張係数を選択
して再設定することができれば、光情報記録媒体の製作
において便利である。
【0245】なお、本発明に係る光情報記録媒体は、以
下のように表現することもできる。すなわち、本発明に
係る光情報記録媒体は、基板上に、薄膜からなる記録
膜、反射膜、または半透明膜を少なくとも一つ含む薄膜
層と、該薄膜層上に形成された樹脂層とで構成される積
層組が2組以上積層され、樹脂層に発生する応力を増加
させて、応力の総和である樹脂層の軸力を大きくし、基
板の軸力と均衡させることにより、変形の中立面が薄膜
層内に設定されるように、樹脂層の線膨張係数またはヤ
ング率などの物性値を、基板の該物性値よりも大きくし
たことを特徴とする光情報記録媒体でもある。
【0246】また、本発明の実施形態における2層以上
の薄膜層(情報の記録又は再生層)を持ちうる光情報記
録媒体としては、CD(Compact disk),CD-ROM(Compact d
isk-Read Only Memory) ,CD-R(Compact disk-Recordab
le) ,CD-RW(Compact diskReWritable) ,DVD(Digital
Video Disc, Digital Versatile Disc) ,DVD-ROM,DVD
-R ,DVD-RW等の円盤状の光情報記録媒体が挙げられる
ものの、本発明の形態はこれらに限られるものではな
い。
【0247】また、本発明は上述した具体例に限定され
るものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可
能であり、異なる構成の具体例としてそれぞれ開示され
た技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態につ
いても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0248】
【発明の効果】本発明に係る光情報記録媒体は、以上の
ように、基板上に、薄膜からなる記録膜、反射膜、また
は半透明膜を少なくとも一つ含む薄膜層と、該薄膜層上
に形成された樹脂層とで構成される積層組が少なくとも
2組以上積層され、温度変化または湿度変化によって生
じる変形の中立面が、上記各積層組を構成する薄膜層の
うち、膜材料のヤング率と膜厚との積が最も大きな薄膜
を有する薄膜層に設定されている構成である。
【0249】それゆえ、上述のように、温度変化または
湿度変化のような環境変化の際に光情報記録媒体に生じ
る変形の中立面を、他の層と比較して変形し難い薄膜層
である、ヤング率と膜厚との積がより大きな薄膜層に設
定すれば、中立面自体の変形量がより小さくなるため、
光情報記録媒体全体としての変形量を小さくできるとい
う効果を奏する。また、複数の薄膜層を有する構成であ
っても、より変形が小さくなる薄膜層に中立面を設定し
て、変形を小さくできる光情報記録媒体を実現できると
いう効果を奏する。
【0250】本発明に係る光情報記録媒体は、以上のよ
うに、基板上に、薄膜からなる記録膜、反射膜、または
半透明膜を少なくとも一つ含む薄膜層と、該薄膜層上に
形成された樹脂層とで構成される積層組が少なくとも2
組以上積層され、温度変化または湿度変化によって生じ
る変形の中立面が、上記各積層組を構成する薄膜層のう
ち、膜材料のヤング率と膜厚との積が最も大きな薄膜を
有する薄膜層に設定されるように、上記樹脂層の物性値
または膜厚の少なくとも一方を設定した構成である。
【0251】それゆえ、記録特性とは無関係の樹脂層の
物性値および膜厚を設定して、簡単な構成で、環境変化
時における反り変化量の少ない光情報記録媒体を得るこ
とができるという効果を奏する。
【0252】本発明に係る光情報記録媒体は、以上のよ
うに、上記構成において、上記積層組が2組であり、各
積層組の薄膜層にそれぞれ誘電体が含まれている場合
に、一方の積層組の樹脂層において、線膨張係数X〔1/
℃〕が7.4E−5 ≦X≦1.6E−4の範囲にあることと、湿
度膨張係数Y〔1/%〕が0<Y≦4.8E−5 の範囲にある
こととの少なくとも一方を満たす構成が望ましい。
【0253】それゆえ、一方の積層組の樹脂層を形成す
る樹脂の膨張係数(線膨張係数、湿度膨張係数)を上記
の範囲に限定するので、上述のように、環境変化時にお
ける変形量を小さくして、信頼性を高めることができる
という効果を奏する。
【0254】本発明に係る光情報記録媒体は、以上のよ
うに、上記構成において、上記積層組が2組であり、各
積層組の薄膜層がいずれも誘電体を含まない場合に、一
方の積層組の樹脂層において、線膨張係数X〔1/℃〕が
3.5E−5 ≦X≦1.1E−4 の範囲にあることと、湿度膨張
係数Y〔1/%〕が0<Y≦4.3E−5 の範囲にあることと
の少なくとも一方を満たす構成が望ましい。
【0255】それゆえ、一方の積層組の樹脂層を形成す
る樹脂の膨張係数を上記の範囲に限定するので、上述の
ように、環境変化時における変形量を小さくして、信頼
性を高めることができるという効果を奏する。
【0256】本発明に係る光情報記録媒体は、以上のよ
うに、上記構成において、上記積層組が2組であり、各
積層組の薄膜層のいずれか一方に誘電体が含まれている
場合に、一方の積層組の樹脂層において、線膨張係数X
〔1/℃〕が3.5E−5 ≦X≦1.6E−4 の範囲にあること
と、湿度膨張係数Y〔1/%〕が0<Y≦4.8E−5 の範囲
にあることとの少なくとも一方を満たす構成が望まし
い。
【0257】それゆえ、一方の積層組の樹脂層を形成す
る樹脂の膨張係数を上記の範囲に限定するので、上述の
ように、環境変化時における変形量を小さくして、信頼
性を高めることができるという効果を奏する。
【0258】本発明に係る光情報記録媒体は、以上のよ
うに、上記構成において、基板より最も離れた位置に形
成された樹脂層は、スピンコートにて塗布可能な樹脂に
より形成されている構成であってもよい。
【0259】それゆえ、スピンコートにより樹脂層を形
成するので、ポリカーボネート製フィルムを貼り合せる
等の工程により樹脂層を形成する場合と比較して、生産
コストが掛らなくなり、より安価な光情報記録媒体の生
産が可能となるという効果を奏する。
【0260】本発明に係る光情報記録媒体は、以上のよ
うに、上記構成において、基板に対して同等もしくはよ
り小さな線膨張係数と各樹脂層より大きな湿度膨張係数
とを有する樹脂を用いて、各積層組が形成されている基
板の面の裏面に、基板保護膜が形成されている構成であ
ってもよい。
【0261】それゆえ、温度変化時と湿度変化時とにお
ける変形量を小さくすることが容易となり、簡単な構成
で信頼性を高めることができるという効果を奏する。
【0262】本発明に係る光情報記録媒体は、以上のよ
うに、上記構成において、各樹脂層は、405nm 近辺の短
波長領域において80%以上の透過率を有する透明樹脂で
形成されている構成であってもよい。
【0263】それゆえ、基板より最も離れた位置に形成
された樹脂層を光入射面として、青色レーザ等の短波長
レーザを信号の記録再生に用いることができ、より高密
度記録が可能となるという効果を奏する。
【0264】本発明に係る光情報記録媒体は、以上のよ
うに、上記構成において、基板より最も離れた位置に形
成された樹脂層を除く各樹脂層及び基板が、405nm 近辺
の短波長領域において80%以上の透過率を有する透明樹
脂で形成されている構成であってもよい。
【0265】それゆえ、基板面を光入射面として、青色
レーザ等の短波長レーザを信号の記録再生に用いること
ができ、さらなる高密度記録ができるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光情報記録媒体の断
面図である。
【図2】(a)は上記光情報記録媒体を示す平面図、
(b)は上記光記録媒体の変形状態を示す側面図、
(c)は上記光情報記録媒体の変形状態を示す側面図で
ある。
【図3】多層(n層)のはりの変形状態を表す断面図で
ある。
【図4】上記実施形態における、温度変化時の反り変化
量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図5】上記実施形態における、湿度変化時の反り変化
量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図6】上記実施形態において、温度変化時の反り変化
量と第1樹脂層の線膨張係数との関係について、計算し
た結果を示すグラフである。
【図7】上記実施形態において、湿度変化時の反り変化
量と第1樹脂層の湿度膨張係数との関係について、計算
した結果を示すグラフである。
【図8】上記実施形態において、温度変化時の反り変化
量と第1樹脂層の線膨張係数との関係について、計算し
た結果を示すグラフである。
【図9】上記実施形態において、湿度変化時の反り変化
量と第1樹脂層の湿度膨張係数との関係について、計算
した結果を示すグラフである。
【図10】本発明の他の実施形態に係る光情報記録媒体
の断面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施形態に係る光情報記
録媒体の断面図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係る光情報記
録媒体の断面図である。
【図13】従来の光情報記録媒体の断面図である。
【図14】近年提案されている光情報記録媒体の断面図
である。
【図15】(a)は従来の光情報記録媒体の変形状態を
示す側面図、(b)は従来の光情報記録媒体の変形状態
を示す側面図である。
【図16】従来の光情報記録媒体の他の一例を示す断面
図である。
【図17】従来の光情報記録媒体のさらに他の一例を示
す断面図である。
【図18】従来の光情報記録媒体のさらに他の一例を示
す断面図である。
【符号の説明】
10a,10b,10c,10d 光情報記録媒体 20a,20b,20c,20d 基板 30d 基板保護膜 40a,40b,40c,40d 第1薄膜層(薄膜
層) 42a,42b,42c,42d 記録膜 44a,44b,44c,44d 反射膜 50a,50b,50c,50d 第1樹脂層(樹脂
層) 60a,60b,60c,60d 第2薄膜層(薄膜
層) 62a,62b,62c,62d 記録膜 64a,64b,64c,64d 半透明膜 70a,70b,70c,70d 第2樹脂層(樹脂
層) 100b,100c,100d 第n薄膜層(薄膜
層) 102b,102c,102d 記録膜 104b,104c,104d 半透明膜 110b,110c,110d 第n樹脂層(樹脂
層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 明 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 5D029 HA07 JB13 KC04 KC09 LA02 LC11 MA11 MA17

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、薄膜からなる記録膜、反射膜、
    または半透明膜を少なくとも一つ含む薄膜層と、該薄膜
    層上に形成された樹脂層とで構成される積層組が少なく
    とも2組以上積層され、 温度変化または湿度変化によって生じる変形の中立面
    が、上記各積層組を構成する薄膜層のうち、膜材料のヤ
    ング率と膜厚との積が最も大きな薄膜を有する薄膜層に
    設定されていることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 【請求項2】基板上に、薄膜からなる記録膜、反射膜、
    または半透明膜を少なくとも一つ含む薄膜層と、該薄膜
    層上に形成された樹脂層とで構成される積層組が少なく
    とも2組以上積層され、 温度変化または湿度変化によって生じる変形の中立面
    が、上記各積層組を構成する薄膜層のうち、膜材料のヤ
    ング率と膜厚との積が最も大きな薄膜を有する薄膜層に
    設定されるように、上記樹脂層の物性値または膜厚の少
    なくとも一方を設定したことを特徴とする光情報記録媒
    体。
  3. 【請求項3】上記積層組が2組であり、各積層組の薄膜
    層にそれぞれ誘電体が含まれている場合に、一方の積層
    組の樹脂層において、 線膨張係数X〔1/℃〕が7.4E−5 ≦X≦1.6E−4 の範囲
    にあることと、 湿度膨張係数Y〔1/%〕が0<Y≦4.8E−5 の範囲にあ
    ることとの少なくとも一方を満たすことを特徴とする請
    求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  4. 【請求項4】上記積層組が2組であり、各積層組の薄膜
    層がいずれも誘電体を含まない場合に、一方の積層組の
    樹脂層において、 線膨張係数X〔1/℃〕が3.5E−5 ≦X≦1.1E−4 の範囲
    にあることと、 湿度膨張係数Y〔1/%〕が0<Y≦4.3E−5 の範囲にあ
    ることとの少なくとも一方を満たすことを特徴とする請
    求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  5. 【請求項5】上記積層組が2組であり、各積層組の薄膜
    層のいずれか一方に誘電体が含まれている場合に、一方
    の積層組の樹脂層において、 線膨張係数X〔1/℃〕が3.5E−5 ≦X≦1.6E−4 の範囲
    にあることと、 湿度膨張係数Y〔1/%〕が0<Y≦4.8E−5 の範囲にあ
    ることとの少なくとも一方を満たすことを特徴とする請
    求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  6. 【請求項6】基板より最も離れた位置に形成された樹脂
    層は、スピンコートにて塗布可能な樹脂により形成され
    ていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1
    項に記載の光情報記録媒体。
  7. 【請求項7】基板に対して同等もしくはより小さな線膨
    張係数と各樹脂層より大きな湿度膨張係数とを有する樹
    脂を用いて、各積層組が形成されている基板の面の裏面
    に、基板保護膜が形成されていることを特徴とする請求
    項1ないし6のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  8. 【請求項8】各樹脂層は、405nm 近辺の短波長領域にお
    いて80%以上の透過率を有する透明樹脂で形成されてい
    ることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に
    記載の光情報記録媒体。
  9. 【請求項9】基板より最も離れた位置に形成された樹脂
    層を除く各樹脂層及び基板は、405nm 近辺の短波長領域
    において80%以上の透過率を有する透明樹脂で形成され
    ていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1
    項に記載の光情報記録媒体。
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