JP2003240895A - 放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの製造方法 - Google Patents

放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの製造方法

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JP2003240895A
JP2003240895A JP2002038180A JP2002038180A JP2003240895A JP 2003240895 A JP2003240895 A JP 2003240895A JP 2002038180 A JP2002038180 A JP 2002038180A JP 2002038180 A JP2002038180 A JP 2002038180A JP 2003240895 A JP2003240895 A JP 2003240895A
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layer
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Akihiro Maezawa
明弘 前澤
Noriyuki Mishina
紀之 三科
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鮮鋭性が良好で、膜剥がれが無い放射線画像
変換パネル及び放射線画像変換パネルの製造方法の提
供。 【解決手段】 支持体上に輝尽性蛍光体層、且つ、支持
体と輝尽性蛍光体層との間に層を有する放射線画像変換
パネルにおいて、少なくとも一層の輝尽性蛍光体層が、
気相成長法により50μm〜1mmの膜厚になるように
形成され、且つ、該層の膜厚が600〜1600nmで
あることを特徴とする放射線画像変換パネル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は放射線画像変換パネ
ル及び放射線画像変換パネルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、放射線画像を得るために銀塩を使
用した、いわゆる放射線写真法が利用されているが、銀
塩を使用しないで放射線像を画像化する方法が開発され
ている。即ち、被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収
せしめ、しかる後この蛍光体をある種のエネルギーで励
起してこの蛍光体が蓄積している放射線エネルギーを蛍
光として放射せしめ、この蛍光を検出して画像化する方
法が開示されている。
【0003】具体的な方法としては、支持体上に輝尽性
蛍光体層を設けたパネルを用い、励起エネルギーとして
可視光線及び赤外線の一方又は両方を用いる放射線画像
変換方法が知られている(米国特許第3,859,52
7号参照)。
【0004】より高輝度、高感度の輝尽性蛍光体を用い
た放射線画像変換方法として、例えば特開昭59−75
200号等に記載されているBaFX:Eu2+系(X:
Cl、Br、I)蛍光体を用いた放射線画像変換方法、
同61−72087号等に記載されているようなアルカ
リハライド蛍光体を用いた放射線画像変換方法、同61
−73786号、61−73787号等に記載のよう
に、共賦活剤としてTl+及びCe3+、Sm3+、Eu3+
3+、Ag+、Mg2+、Pb2+、In3+の金属を含有す
るアルカリハライド蛍光体が開発されている。
【0005】更に、近年診断画像の解析においてより高
鮮鋭性の放射線画像変換パネルが要求されている。鮮鋭
性改善の為の手段として、例えば形成される輝尽性蛍光
体の形状そのものをコントロールし感度及び鮮鋭性の改
良を図る試みがされている。
【0006】これらの試みの1つの方法として、例えば
特開昭61−142497号等に記載されている微細な
凹凸パターンを有する支持体上に輝尽性蛍光体を堆積さ
せ形成した微細な擬柱状ブロックからなる輝尽性蛍光体
層を用いる方法がある。
【0007】また、特開昭61−142500号に記載
のように微細なパターンを有する支持体上に、輝尽性蛍
光体を堆積させて得た柱状ブロック間のクラックをショ
ック処理を施して更に発達させた輝尽性蛍光体層を有す
る放射線画像変換パネルを用いる方法、更には、特開昭
62−39737号に記載されている支持体上に形成さ
れた輝尽性蛍光体層にその表面側から亀裂を生じさせ擬
柱状とした放射線画像変換パネルを用いる方法、更に
は、特開昭62−110200号に記載に記載されてい
るように、支持体上に蒸着により空洞を有する輝尽性蛍
光体層を形成した後、加熱処理によって空洞を成長させ
亀裂を設ける方法等も提案されている。
【0008】更に、特開平2−58000号には、気相
成長法(気相堆積法)によって支持体上に、支持体の法
線方向に対し一定の傾きをもった細長い柱状結晶を形成
した輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルが記
載されている。
【0009】これらの輝尽性蛍光体層の形状をコントロ
ールする方法は、いずれも輝尽性蛍光体層を柱状とする
ことで、輝尽励起光又は輝尽発光の横方向への拡散を抑
える(クラック(柱状結晶)界面において反射を繰り返
しながら支持体面まで到達する)ことができるため、輝
尽発光による画像の鮮鋭性を著しく増大させることがで
きるという特徴がある。
【0010】しかしながら、これらの気相成長(堆積)
により形成した輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換
パネルにおいても、市場から要求される鮮鋭性の改善は
十分ではなく、更なる改良が求められていた。
【0011】特に、最近、輝尽性蛍光体の励起波長とし
て680nm付近の波長を有する高出力半導体レーザが
装置ユニットが小さくて済む(コンパクト性)ため、市
場でよく使用されているが、高出力半導体レーザを適用
した放射線画像変換パネルでは、前記波長での反射率が
低く、その為、励起光が輝尽性蛍光体層内で散乱しやす
くなるため、特に鮮鋭性の向上に問題点があった。
【0012】更に、気相堆積する蛍光体材料と堆積する
支持体材料の表面エネルギーが大きくずれると堆積によ
り徐々に膜剥がれを引き起こす応力が発生しプレート
(支持体)上にひび割れを形成する。
【0013】また、表面エネルギーが近すぎると形成さ
れる柱状結晶径が大きく成長し、極端に鮮鋭性を低下さ
せる問題があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、鮮鋭
性が良好で、膜剥がれが無い放射線画像変換パネル及び
該放射線画像変換パネルの製造方法を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は下記
の構成により達成された。
【0016】1.支持体上に輝尽性蛍光体層、且つ、支
持体と輝尽性蛍光体層との間に層を有する放射線画像変
換パネルにおいて、少なくとも一層の輝尽性蛍光体層
が、気相成長法により50μm〜1mmの膜厚になるよ
うに形成され、且つ、該層の膜厚が600〜1600n
mであることを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0017】2.前記層が中間層であることを特徴とす
る前記1に記載の放射線画像変換パネル。
【0018】3.前記少なくとも一層の輝尽性蛍光体層
が、前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体を含有
し、該輝尽性蛍光体の励起光として、波長680nmの
光を入射させたとき、該輝尽性蛍光体層の反射率が20
〜100%であることを特徴とする前記1又は2に記載
の放射線画像変換パネル。
【0019】4.前記中間層が誘電体化合物を有する誘
電体膜層であることを特徴とする前記2又は3に記載の
放射線画像変換パネル。
【0020】5.前記1〜4の何れか1項に記載の放射
線画像変換パネルを、支持体上に膜厚が600〜160
0nmの層を塗布し、該層上に膜厚50μm〜1mmの
輝尽性蛍光体層を気相成長法により形成させ製造するこ
とを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【0021】以下に、更に本発明の詳細な説明を述べ
る。本発明者らは前記目的の達成の為に種々検討した結
果、支持体上に輝尽性蛍光体層、且つ、支持体と輝尽性
蛍光体層との間に層を有する放射線画像変換パネルにお
いて、少なくとも一層の輝尽性蛍光体層が、気相成長法
により50μm〜1mmの膜厚になるように形成され、
且つ、該層の膜厚が600〜1600nmであり、好ま
しくは、少なくとも一層の輝尽性蛍光体層が、前記一般
式(1)で表される輝尽性蛍光体を含有し、該輝尽性蛍
光体の励起光として、波長680nmの光を入射させた
とき、該輝尽性蛍光体層の反射率が20〜100%であ
り、且つ、輝尽性蛍光体層と支持体層との間に膜厚が6
00〜1600nmの中間層を形成することが好まし
く、特に該中間層が誘電体化合物を含有する誘電体薄膜
層であることが好ましく、極めて高鮮鋭性の画像が得ら
れ、且つ、膜剥がれの無い放射線画像変換パネル及びそ
の製造方法が得られることを見いだした。
【0022】次に、本発明の前記一般式(1)で表され
る輝尽性蛍光体について説明する。本発明の前記一般式
(1)で表される輝尽性蛍光体において、MIは、N
a、K、Rb及びCs等の各原子から選ばれる少なくと
も1種のアルカリ金属原子を表し、中でもRb及びCs
の各原子から選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金
属原子が好ましく、更に好ましくはCs原子である。
【0023】M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Z
n、Cd、Cu及びNi等の各原子から選ばれる少なく
とも1種の二価の金属原子を表すが、中でも好ましく用
いられるのは、Be、Mg、Ca、Sr及びBa等の各
原子から選ばれる二価の金属原子である。
【0024】M3はSc、Y、La、Ce、Pr、N
d、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びIn等の各原子
から選ばれる少なくとも1種の三価の金属原子を表す
が、中でも好ましく用いられるのはY、Ce、Sm、E
u、Al、La、Gd、Lu、Ga及びIn等の各原子
から選ばれる三価の金属原子である。
【0025】輝尽性蛍光体の輝尽発光輝度向上の観点か
ら、X、X′及びX″はF、Cl、Br及びIの各原子
から選ばれる少なくとも1種のハロゲンで原子を表す
が、F、Cl及びBrから選ばれる少なくとも1種のハ
ロゲン原子が好ましく、Br及びIの各原子から選ばれ
る少なくとも1種のハロゲン原子が更に好ましい。
【0026】また、一般式(1)において、b値は0≦
b<0.5を表すが、好ましくは、0≦b≦10-2であ
る。
【0027】本発明の一般式(1)で表される輝尽性蛍
光体は、例えば以下に述べる製造方法により製造され
る。
【0028】まず、蛍光体原料としては、 (a)NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、K
Cl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、R
bI、CsF、CsCl、CsBr及びCsIから選ば
れる少なくとも1種もしくは2種以上の化合物が用いら
れる。
【0029】(b)MgF2、MgCl2、MgBr2
MgI2、CaF2、CaCl2、CaBr2、CaI2
SrF2、SrCI2、SrBr2、SrI2、BaF2
BaCl2、BaBr2、BaBr2・2H2O、Ba
2、ZnF2、ZnCl2、ZnBr2、ZnI2、Cd
2、CdCl2、CdBr2、CdI2、CuF2、Cu
Cl2、CuBr2、CuI、NiF2、NiCl2、Ni
Br2及びNiI2の化合物から選ばれる少なくとも1種
又は2種以上の化合物が用いられる。
【0030】(c)前記一般式(1)において、Eu、
Tb、In、Cs、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、N
d、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、
Ag、Cu及びMg等の各原子から選ばれる金属原子を
有する化合物が用いられる。
【0031】一般式(I)で表される輝尽性蛍光体にお
いて、aは0≦a<0.5、好ましくは0≦a<0.0
1、bは0≦b<0.5、好ましくは0≦b≦10-2
eは0<e≦0.2、好ましくは0<e≦0.1であ
る。
【0032】上記の数値範囲の混合組成になるように前
記(a)〜(c)の蛍光体原料を秤量し、乳鉢、ボール
ミル、ミキサーミル等を用いて充分に混合する。
【0033】次に、得られた蛍光体原料混合物を石英ル
ツボ又はアルミナルツボ等の耐熱性容器に充填して電気
炉中で焼成を行う。
【0034】焼成温度は500〜1000℃が適当であ
る。焼成時間は原料混合物の充填量、焼成温度等によっ
て異なるが、一般には0.5〜6時間が適当である。
【0035】焼成雰囲気としては少量の水素ガスを含む
窒素ガス雰囲気、少量の一酸化炭素を含む炭酸ガス雰囲
気等の弱還元性雰囲気、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス
雰囲気等の中性雰囲気或いは少量の酸素ガスを含む弱酸
化性雰囲気が好ましい。
【0036】尚、前記の焼成条件で一度焼成した後、焼
成物を電気炉から取り出して粉砕し、しかる後、焼成物
粉末を再び耐熱性容器に充填して電気炉に入れ、前記と
同じ焼成条件で再焼成を行えば蛍光体の発光輝度を更に
高めることができ好ましい。
【0037】また、焼成物を焼成温度より室温に冷却す
る際、焼成物を電気炉から取り出して空気中で放冷する
ことによっても所望の蛍光体を得ることができるが、焼
成時と同じ、弱還元性雰囲気又は中性雰囲気のままで冷
却してもよい。
【0038】また、焼成物を電気炉内で加熱部より冷却
部へ移動させて、弱還元性雰囲気、中性雰囲気もしくは
弱酸化性雰囲気で急冷することにより、得られた蛍光体
の輝尽による発光輝度をより一層高めることができる。
【0039】また、本発明の輝尽性蛍光体層は気相成長
法によって形成される。輝尽性蛍光体の気相成長法とし
ては蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレ
ーティング法、その他を用いることができる。
【0040】本発明においては、例えば、以下の方法が
挙げられる。(請求項3、4の発明に準じて説明す
る。) 第1の方法の蒸着法は、まず、後述する誘電体薄膜層を
有する支持体を蒸着装置内に設置した後、装置内を排気
して1.333×10-4Pa程度の真空度とする。次い
で、前記輝尽性蛍光体の少なくとも一つを抵抗加熱法、
エレクトロンビーム法等の方法で加熱蒸発させて前記支
持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに成長させる。
【0041】この結果、結着剤を含有しない輝尽性蛍光
体層が形成されるが、前記蒸着工程では複数回に分けて
輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。
【0042】また、前記蒸着工程では複数の抵抗加熱器
あるいはエレクトロンビームを用いて共蒸着し、支持体
上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると同時に輝尽性
蛍光体層を形成することも可能である。
【0043】蒸着終了後、必要に応じて前記輝尽性蛍光
体層の支持体側とは反対の側に保護層を設けることによ
り本発明の放射線画像変換パネルが製造される。尚、保
護層又は誘電体膜層上に輝尽性蛍光体層を形成した後、
支持体を設ける手順をとってもよい。
【0044】さらに、前記蒸着法においては、蒸着時、
必要に応じて被蒸着物(支持体、保護層又は誘電体膜
層)を冷却あるいは加熱してもよい。
【0045】また、蒸着終了後輝尽性蛍光体層を加熱処
理してもよい。また、前記蒸着法においては必要に応じ
てO2、H2等のガスを導入して蒸着する反応性蒸着を行
ってもよい。
【0046】第2の方法としてのスパッタリング法は、
蒸着法と同様、保護層又は誘電体膜層有する支持体をス
パッタリング装置内に設置した後、装置内を一旦排気し
て1.333×10-4Pa程度の真空度とし、次いでス
パッタリング用のガスとしてAr、Ne等の不活性ガス
をスパッタリング装置内に導入して1.333×10 -1
Pa程度のガス圧とする。次に、前記輝尽性蛍光体をタ
ーゲットとして、スパッタリングすることにより、前記
誘電体膜層を有する支持体上に輝尽性蛍光体層を所望の
厚さに成長させる。本発明においては、輝尽性蛍光体層
の膜厚は50μm〜1mmであり、好ましくは30μm
〜500μmである。
【0047】前記スパッタリング工程では蒸着法と同様
に各種の応用処理を用いることができる。
【0048】第3の方法としてCVD法があり、又、第
4の方法としてイオンプレーティング法がある。
【0049】また、前記気相成長における輝尽性蛍光体
層の成長速度は0.05μm/分〜300μm/分であ
ることが好ましい。成長速度が0.05μm/分未満の
場合には本発明の放射線画像変換パネルの生産性が低く
好ましくない。また成長速度が300μm/分を越える
場合には成長速度のコントロールがむずかしく好ましく
ない。
【0050】放射線画像変換パネルを、前記の真空蒸着
法、スパッタリイング法などにより得る場合には、結着
剤が存在しないので輝尽性蛍光体の充填密度を増大で
き、感度、解像力の上で好ましい放射線画像変換パネル
が得られ、好ましい。
【0051】前記輝尽性蛍光体層の乾燥厚みは、放射線
画像変換パネルの使用目的によって、また輝尽性蛍光体
の種類により異なるが、本発明に記載の効果を得る観点
から50μm以上の膜厚が必要であり、好ましくは50
〜300μmであり、更に好ましくは100〜300μ
mであり、特に好ましくは、150〜300μmであ
る。
【0052】上記の気相成長法による輝尽性蛍光体層の
作製にあたり、輝尽性蛍光体層が形成される支持体の温
度は、100℃以上に設定することが好ましく、更に好
ましくは、150℃以上であり、特に好ましくは150
〜400℃である。
【0053】また、高鮮鋭性を示す放射線画像変換パネ
ルを得る観点から、本発明の輝尽性蛍光体層の反射率は
20%以上であることが必要であるが、好ましくは、3
0%以上であり、更に好ましくは、40%以上である。
【0054】本発明においては、支持体がガラス基板等
のような透明支持体の場合は、輝尽性蛍光体層の透過率
を測定し、基板上にアルミニウム等の光を反射するよう
な鏡面処理(例えば、蒸着等)が行われている場合は、
輝尽性蛍光体層の反射率を測定する。
【0055】ここで、反射率、透過率の測定は、下記の
測定装置を用い、下記の測定条件にて行うことができ
る。
【0056】装置:HITACHI557型、Spec
trophotometer 測定条件 測定光の波長 :680nm スキャンスピード:120nm/min 繰り返し回数 :10回 レスポンス :自動設定 本発明の放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層は、誘
電体膜層を有する支持体上に前記一般式(1)で表され
る輝尽性蛍光体を気相成長させて形成されることが好ま
しく、層形成時に該輝尽性蛍光体が柱状結晶を形成する
ことがより好ましい。
【0057】蒸着、スパッタリング等の方法で柱状の輝
尽性蛍光体層を形成するために、前記一般式(1)で表
される輝尽性蛍光体が用いられるが、中でもCsBr系
蛍光体が特に好ましく用いられる。
【0058】次に、本発明の輝尽性蛍光体層を図1、図
2を用いて説明する。 (クレーム3に基づいて)図1は、上記記載の気相成長
法を用いて、後述する誘電体膜層Aを有する支持体上に
形成した柱状結晶を有する輝尽性蛍光体層の一例を示す
概略断面図である。
【0059】11は支持体、Aは誘電体膜層、12は輝
尽性蛍光体層、13は該輝尽性蛍光体層を構成する柱状
結晶を示している。尚、14は柱状結晶間に形成された
間隙を示している。また、本発明でいう、支持体と輝尽
性蛍光体層との間は図1におけるLのことをいい、本発
明はLが輝尽性蛍光体層以外の層の膜厚であり、600
〜1600nmであることを特徴としており、好ましく
は800〜1200nmである。
【0060】図2は後述する誘電体膜層Aを有する支持
体上に輝尽性蛍光体層が蒸着により形成される様子を示
す図であるが、輝尽性蛍光体蒸気流16の支持体面の法
線方向(R)に対する入射角度をθ2(図では60°で
入射している)とすると、形成される柱状結晶の誘電体
膜層を有する支持体面の法線方向(R)に対する角度は
θ1(図では約30°、経験的には大体半分になる)で
表され、この角度で柱状結晶が形成される。
【0061】この様にして後述する誘電体膜層Aを有す
る支持体上に形成した輝尽性蛍光体層は、結着剤を含有
していないので、指向性に優れており、輝尽励起光及び
輝尽発光の指向性が高く、輝尽性蛍光体を結着剤中に分
散した分散型の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換
パネルより層厚を薄くすることができる。更に輝尽励起
光の輝尽性蛍光体層中での散乱が減少することで像の鮮
鋭性が向上する。
【0062】また、柱状結晶間の間隙に結着剤等充填物
を充填してもよく、輝尽性蛍光体層の補強となるほか、
高光吸収の物質、高光反射率の物質等を充填してもよ
い、これにより前記補強効果をもたせるほか、輝尽性蛍
光体層に入射した輝尽励起光の横方向への光拡散の低減
に有効である。
【0063】高反射率を有する物質は、輝尽励起光(5
00〜900nm、特に600〜800nm)に対する
反射率の高い物質のことをいい、例えば、アルミニウ
ム、マグネシウム、銀、インジウム、その他の金属等、
白色顔料及び緑色〜赤色領域の色材を用いることができ
る。白色顔料は輝尽発光も反射することができる。
【0064】白色顔料としては、例えば、TiO2(ア
ナターゼ型、ルチル型)、MgO、PbCO3・Pb
(OH)2、BaSO4、Al23、M(II)FX(但
し、M(II)はBa、Sr及びCaの各原子から選ばれ
るの少なくとも1種の原子であり、XはCl原子又はB
r原子である。)、CaCO3、ZnO、Sb23、S
iO2、ZrO2、リトポン(BaSO4・ZnS)、珪
酸マグネシウム、塩基性珪硫酸塩、塩基性燐酸鉛、珪酸
アルミニウムなどがあげられる。
【0065】これらの白色顔料は隠蔽力が強く、屈折率
が大きいため、光を反射したり、屈折させることにより
輝尽発光を容易に散乱し、得られる放射線画像変換パネ
ルの感度を顕著に向上させることができる。
【0066】また、高光吸収率の物質としては、例え
ば、カーボンブラック、酸化クロム、酸化ニッケル、酸
化鉄など及び青の色材が用いられる。この中でカーボン
ブラックは輝尽発光も吸収する。また、色材は、有機又
は無機系色材のいずれでもよい。
【0067】有機系色材としては、例えば、ザボンファ
ーストブルー3G(ヘキスト製)、エストロールブリル
ブルーN−3RL(住友化学製)、D&CブルーNo.
1(ナショナルアニリン製)、スピリットブルー(保土
谷化学製)、オイルブルーNo.603(オリエント
製)、キトンブルーA(チバガイギー製)、アイゼンカ
チロンブルーGLH(保土ヶ谷化学製)、レイクブルー
AFH(協和産業製)、プリモシアニン6GX(稲畑産
業製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学
製)、シアンブルーBNRCS(東洋インク製)、ライ
オノイルブルーSL(東洋インク製)等が用いられる。
【0068】また、カラーインデクスNo.2441
1、23160、74180、74200、2280
0、23154、23155、24401、1483
0、15050、15760、15707、1794
1、74220、13425、13361、1342
0、11836、74140、74380、7435
0、74460等の有機系金属錯塩色材もあげられる。
【0069】無機系色材としては群青、例えば、コバル
トブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO2
ZnO−Co−NiO系等の無機顔料があげられる。
【0070】次に、誘電体膜層及びその形成方法につい
て説明する。誘電体膜層の形成方法としては、誘電体化
合物を含有する液体を支持体(基板)上に均一に膜形成
させる塗布方式と誘電体化合物と異なる金属及び化合物
を揮発させ、目的の誘電体組成物となるようにガス雰囲
気を調整して形成させる蒸着(気相堆積法)法の2種が
ある。
【0071】本発明者らは、誘電体膜層の膜厚を600
〜1600nmにするために種々検討した結果、気相堆
積法では600nm以上の膜厚になると、SiO2膜で
クラックが発生し、SiO2膜で毛割れが発生するな
ど、形成する膜により引っ張り応力及び圧縮応力が働き
膜形成が難しいことを見いだした。
【0072】従って、この応力発生のメカニズムを鋭意
検討した結果、定かではないが、気相堆積法ではガス形
成時は加熱された状態であるが、膜形成後は冷却して基
板上に付着し、常に急冷された状態になるため、初期に
は基板上には膜厚が薄い状態で付着する場合と急冷され
て膜厚が厚くなる場合とがあり、熱の伝達が異なり、膜
厚方向での温度分布が異なり、線熱膨張係数の差による
応力の緩和が急冷過程を経ることでクラック発生、毛割
れが顕著に発生すると推定されることがわかった。
【0073】誘電体膜の形成の際に発生する応力は、蒸
着方法とは異なる塗布方式においては急冷過程を除くこ
とが可能であり、膜厚の均一化が可能であることがわか
った。
【0074】具体的には誘電体膜を形成する組成物を含
有する液体を基板上に均一に膜形成した後、組成物以外
は揮発するように乾燥・ベークする熱処理を施し、その
後に冷却を乾燥ゾーンで温度制御しながら冷却する。
【0075】この温度制御しながら冷却する工程を経る
ことで急冷過程では熱膨張後の収縮による影響を回避
し、収縮による緩和により膜応力を除去することが可能
となった。
【0076】しかしながら、塗布方式での膜形成では本
発明の誘電体膜層の膜厚を600〜1600nmにする
ことは可能であるが、均一に膜形成するには誘電体化合
物を含有する誘電体組成物による影響もある。
【0077】また、膜形成が不均一となると冷却緩和過
程を経た塗布方式の誘電体膜においても、その膜内にて
応力集中が起こり、膜の破断する箇所が多発することと
なる。
【0078】従って、更に精度の良い、膜厚調整、膜分
布調整を行う方法としては、膜塗布、膜形成をスピンコ
ーターをもちいることで、広範囲に亘って、膜厚の均一
化が図られ好ましい。
【0079】スピンコーターでの塗膜作製方法で本発明
の効果を得るために、誘電体膜を形成する金属原子又は
有機化合物を塗布液とし、これを1.0×10-3〜1.
0×10-1Pa・sの粘度となるように希釈溶媒で粘度
調整を行うことが好ましい。
【0080】粘度調整を行う溶媒は乾燥ベークにて揮発
し易い溶媒であり、基板との濡れ性の良い溶媒を選定す
ることが好ましい。
【0081】更に、誘電体膜を形成する誘電体化合物の
S.P.値(溶解度パラメーター)は溶媒のS.P.値
と近似することが好ましい。
【0082】前記目的の溶液を形成した後、所定の硝子
基板上に膜形成に必要とする溶液の3〜20倍の溶液を
基板上に添加する。
【0083】添加量は20倍を超えるとスピンコータの
回転後に、溶液が壁面にあたった後飛びはねて逆戻り
し、3倍未満であると不均一となる。
【0084】特に角形基板をスピンコーターで均一に膜
形成するには添加する溶液の添加量を3〜20倍にする
ことが好ましい。
【0085】スピンコータの回転円盤上に載せられた基
板を塗布液添加後、回転させると、回転は大型の硝子に
なればなるほど瞬時に最終回転数に到達させることはで
きず、200〜300回転で基板上の塗布液を均一に
し、その後、目的の膜厚となるようにスピンコーターの
回転数に調整することが好ましい。
【0086】本発明で用いた東京応化工業製OCD、t
ype−7を用いた場合、1.0×10-1Pa・s以下
の場合は回転数を7000〜9000rpmにすると膜
厚を均一化することができ好ましく、膜厚変動は±1%
である。
【0087】形成した後の誘電体膜を80℃にて一次乾
燥し、その後、マッフル炉にて400℃にてベークし
た。
【0088】本発明は前述した塗布方法に限定されるも
のではなく、例えば、押し出しコーターで塗布液を一定
量供給しながら誘電体膜層を湿潤状態で形成する方法が
ある。
【0089】誘電体塗布膜を形成するために元巻きより
搬出された後、オルガノシラン等を溶剤に溶解した誘電
性を有する塗布液を塗布した後、乾燥・ベークゾーンに
て誘電体膜層とした後、巻き取る。
【0090】上記誘電膜塗布液は溶液状態であれば単一
組成物又は溶剤可溶物のどちらでも含有されていても良
い。
【0091】また、乾燥・ベークゾーンは他段階加熱で
あっても単一加熱で合っても良いが、緻密な誘電体膜を
形成するには、両面加熱・他段階加熱であるほうが好ま
しい。
【0092】塗布方法は前記のように連続形式の他、単
一シート方式でも良く、その他、ワイヤーバー、グラビ
ア、マイクログラビア、ロールコーター等、種々の塗布
方法を選定することができるが、誘電体膜層の膜厚2〜
3ミクロンを境として、該塗布方法を選択する条件が限
定される。誘電体膜層は後述する保護層であっても良
い。
【0093】前記誘電体膜層に含有される誘電体化合物
としては、誘電性を有する化合物であれば何れの化合物
でも良いが、本発明においては、中でも誘電率が大き
く、透明性に優れた化合物が好ましく、具体的には、シ
ランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アル
ミニウム系カップリング剤、オルガノシラン、ポリシラ
ザン、炭素を有するSi、Al、Ti、Zr化合物が好
ましい。
【0094】即ち、誘電率が大きい化合物を有する誘電
体膜層があると、支持体上に輝尽性蛍光体を蒸着するエ
ネルギーが緩和され、輝尽性蛍光体層の膜剥離が減少
し、透明性に優れた化合物を有する誘電体膜層がある
と、輝尽性蛍光体層の反射率も大きくなり、鮮鋭性に優
れ、本発明の効果をより奏する点で好ましい。
【0095】また、金属ペーストを用いて均一膜を形成
した後に誘電体化合物となる化合物、例えば、金属酸化
物を大気雰囲気下で焼成した化合物も用いることができ
る。
【0096】次に、保護層について説明する。保護層は
保護フィルム作製工程1及び該工程1と異なる作製工程
2の2種以上の作製方法を用いて保護膜を形成すること
が好ましく、エクストルージョン型コーターを用いて形
成することができる。
【0097】保護層は、保護層用塗布液を輝尽性蛍光体
層上に直接塗布して形成した後、蒸着膜を形成てもよい
し、あらかじめ別途形成した保護層を輝尽性蛍光体層上
に接着した後シート単位で保護膜を形成してもよい。保
護膜形成に関しては前記のように連続形式で形成される
保護膜でなくてもよく、単一でシート毎に保護膜が形成
される作製方法で合っても良い。
【0098】または、前記のように別途形成した保護層
上に輝尽性蛍光体層を形成してもよい。
【0099】保護層用支持体としては、例えば、酢酸セ
ルロース、ニトロセルロース、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポ
リカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ナイロ
ン、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化−塩化エチレ
ン、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、
塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン
−アクリロニトリル共重合体等の通常の保護層支持体用
材料を用いることができる。
【0100】他に透明なガラス基板を保護層用支持体と
してもちいることもできる。また、この保護層は蒸着
法、スパッタリング法、塗布等により、SiC、SiO
2、SiN、Al23などの無機物質を積層して形成す
ることもできる。これらの保護層の層厚は一般的には
0.1〜2000μmが好ましい。
【0101】本発明の放射線画像変換パネルに用いられ
る支持体としては各種のガラス、例えば、高分子材料、
金属等が用いられるが、例えば、石英、ホウ珪酸ガラ
ス、化学的強化ガラスなどの板ガラス、或いはセルロー
スアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエ
チレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、
ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカ
ーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミ
ニウムシート、鉄シート、銅シート等の金属シート或い
は該金属酸化物の被覆層を有する金属シートが好まし
い。
【0102】即ち、これら支持体の表面は滑面であって
もよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的
で支持体の表面をマット面としてもよい。
【0103】また、本発明においては、支持体と輝尽性
蛍光体層の接着性を向上させるために、必要に応じて支
持体の表面に予め接着層を設けてもよい。
【0104】これら支持体の厚みは用いる支持体の材質
等によって異なるが、一般的には80〜2000μmで
あり、取り扱い上の観点から、更に好ましいのは80〜
1000μmである。
【0105】また、本発明の輝尽性蛍光体層は保護層を
有していても良い。図3は、本発明の放射線画像変換パ
ネルの構成の一例を示す概略図である。
【0106】図3において21は放射線発生装置、22
は被写体、23は輝尽性蛍光体を含有する可視光ないし
赤外光輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネル、
24は放射線画像変換パネル23の放射線潜像を輝尽発
光として放出させるための輝尽励起光源、25は放射線
画像変換パネル23より放出された輝尽発光を検出する
光電変換装置、26は光電変換装置25で検出された光
電変換信号を画像として再生する画像再生装置、27は
再生された画像を表示する画像表示装置、28は輝尽励
起光源24からの反射光をカットし、放射線画像変換パ
ネル23より放出された光のみを透過させるためのフィ
ルタである。
【0107】尚、図3は被写体の放射線透過像を得る場
合の例であるが、被写体22自体が放射線を放射する場
合には、前記放射線発生装置21は特に必要ない。
【0108】また、光電変換装置25以降は放射線画像
変換パネル23からの光情報を何らかの形で画像として
再生できるものであればよく、前記に限定されない。
【0109】図3に示されるように、被写体22を放射
線発生装置21と放射線画像変換パネル23の間に配置
し放射線Rを照射すると、放射線Rは被写体22の各部
の放射線透過率の変化に従って透過し、その透過像RI
(即ち、放射線の強弱の像)が放射線画像変換パネル2
3に入射する。
【0110】この入射した透過像RIは放射線画像変換
パネル23の輝尽性蛍光体層に吸収され、これによって
輝尽性蛍光体層中に吸収された放射線量に比例した数の
電子及び/又は正孔が発生し、これが輝尽性蛍光体のト
ラップレベルに蓄積される。
【0111】即ち、放射線透過像のエネルギーを蓄積し
た潜像が形成される。次にこの潜像を光エネルギーで励
起して顕在化する。
【0112】また、可視あるいは赤外領域の光を照射す
る輝尽励起光源24によって輝尽性蛍光体層に照射して
トラップレベルに蓄積された電子及び/又は正孔を追い
出し、蓄積されたエネルギーを輝尽発光として放出させ
る。
【0113】この放出された輝尽発光の強弱は蓄積され
た電子及び/又は正孔の数、すなわち放射線画像変換パ
ネル23の輝尽性蛍光体層に吸収された放射線エネルギ
ーの強弱に比例しており、この光信号を、例えば、光電
子増倍管等の光電変換装置25で電気信号に変換し、画
像再生装置26によって画像として再生し、画像表示装
置27によってこの画像を表示する。
【0114】画像再生装置26は単に電気信号を画像信
号として再生するのみでなく、いわゆる画像処理や画像
の演算、画像の記憶、保存等が出来るものを使用すると
より有効である。
【0115】また、光エネルギーで励起する際、輝尽励
起光の反射光と輝尽性蛍光体層から放出される輝尽発光
とを分離する必要があることと、輝尽性蛍光体層から放
出される発光を受光する光電変換器は一般に600nm
以下の短波長の光エネルギーに対して感度が高くなると
いう理由から、輝尽性蛍光体層から放射される輝尽発光
はできるだけ短波長領域にスペクトル分布を持ったもの
が望ましい。
【0116】本発明の輝尽性蛍光体の発光波長域は30
0〜500nmであり、一方輝尽励起波長域は500〜
900nmであるので前記の条件を同時に満たすが、最
近、診断装置のダウンサイジング化が進み、放射画像変
換パネルの画像読み取りに用いられる励起波長は高出力
で、且つ、コンパクト化が容易な半導体レーザが好ま
れ、そのレーザ光の波長は680nmであることが好ま
しく、本発明の放射線画像変換パネルに組み込まれた輝
尽性蛍光体は680nmの励起波長を用いた時に、極め
て良好な鮮鋭性を示すものである。
【0117】即ち、本発明の輝尽性蛍光体はいずれも5
00nm以下に主ピークを有する発光を示し、輝尽励起
光の分離が容易でしかも受光器の分光感度とよく一致す
るため、効率よく受光できる結果、受像系の感度を高め
ることができる。
【0118】輝尽励起光源24としては、放射線画像変
換パネル23に使用される輝尽性蛍光体の輝尽励起波長
を含む光源が使用される。特にレーザ光を用いると光学
系が簡単になり、また輝尽励起光強度を大きくすること
ができるために輝尽発光効率をあげることができ、より
好ましい結果が得られる。
【0119】レーザとしては、例えば、He−Neレー
ザ、He−Cdレーザ、Arイオンレーザ、Krイオン
レーザ、N2レーザ、YAGレーザ及びその第2高調
波、ルビーレーザ、半導体レーザ、各種の色素レーザ、
銅蒸気レーザ等の金属蒸気レーザ等がある。通常はHe
−NeレーザやArイオンレーザのような連続発振のレ
ーザが望ましいが、パネル1画素の走査時間とパルスを
同期させればパルス発振のレーザを用いることもでき
る。
【0120】また、フィルタ28を用いずに特開昭59
−22046号に示されるような、発光の遅延を利用し
て分離する方法によるときは、連続発振レーザを用いて
変調するよりもパルス発振のレーザを用いる方が好まし
い。
【0121】上記の各種レーザ光源の中でも、半導体レ
ーザは小型で安価であり、しかも変調器が不要であるの
で特に好ましく用いられる。
【0122】フィルタ28としては放射線画像変換パネ
ル23から放射される輝尽発光を透過し、輝尽励起光を
カットするものであるから、これは放射線画像変換パネ
ル23に含有する輝尽性蛍光体の輝尽発光波長と輝尽励
起光源24の波長の組合わせによって決定される。
【0123】例えば、輝尽励起波長が500〜900n
mで輝尽発光波長が300〜500nmにあるような実
用上好ましい組合わせの場合、フィルタとしては例えば
東芝社製C−39、C−40、V−40、V−42、V
−44、コーニング社製7−54、7−59、スペクト
ロフィルム社製BG−1、BG−3、BG−25、BG
−37、BG−38等の紫〜青色ガラスフィルタを用い
ることができる。又、干渉フィルタを用いると、ある程
度、任意の特性のフィルタを選択して使用できる。
【0124】光電変換装置25としては、光電管、光電
子倍増管、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太
陽電池、光導電素子等光量の変化を電子信号の変化に変
換し得るものなら何れでもよい。
【0125】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるもので
はない。
【0126】実施例1 《放射線画像変換パネル試料1〜14(但し、表1中で
は試料1〜14と記載する)の作製》表1に示した条件
で、誘電体膜層を有する支持体(1mm厚の結晶化ガラ
ス(日本電気ガラス社製))の表面に図4に示した蒸着
装置(但し、θ1=5度、θ2=5度に設定する)を用
いて輝尽性蛍光体(CsBr:Eu)を有する輝尽性蛍
光体層を形成した。
【0127】図4に示した蒸着装置においては、アルミ
ニウム製のスリットを用い、誘電体膜層を有する支持体
とスリットとの距離dを60cmとして、誘電体膜層を
有する支持体と平行な方向に誘電体膜層を有する支持体
を搬送しながら蒸着を行ない、輝尽性蛍光体層の厚みが
300μmになるように調整した。
【0128】尚、蒸着にあたっては、前記誘電体膜層を
有する支持体を蒸着器内に設置し、次いで、蛍光体原料
(CsBr:Eu)を蒸着源としてプレス成形し水冷し
たルツボにいれた。
【0129】その後、蒸着器内を一旦排気し、その後N
2ガスを導入し0.133Paに真空度を調整した後、
支持体の温度(基板温度ともいう)を約350℃に保持
しながら、蒸着した。
【0130】輝尽性蛍光体層の膜厚が300μmとなっ
たところで蒸着を終了させ、次いで、この蛍光体層を温
度400℃で加熱処理した。乾燥空気の雰囲気内で、支
持体及び硼珪酸ガラスからなる保護層周縁部を接着剤で
封入して、蛍光体層が密閉された構造の放射線画像変換
パネル試料1(比較例)を得た。
【0131】放射線画像変換パネル試料1(比較例)の
作製において、支持体と輝尽性蛍光体層との間に表1に
記載した誘電体膜層の膜厚となる誘電体膜層を形成した
(誘電体膜層の形成方法は下記に記載)以外は放射線画
像変換パネル試料1(比較例)と同様にして、放射線画
像変換パネル試料2、3、11(比較例)、放射線画像
変換パネル試料4〜10(本発明)を各々作製した。
【0132】(誘電体膜層(中間層)の形成方法)支持
体(硝子基板)上にオルガノシランOCD(type−
7:東京応化工業製)を100ml垂らし、スピンコー
タ(日産化学製)を用いて回転数を調整(誘電体膜層の
膜厚の調整)、塗布し、該オルガノシランを400℃に
てマッフル炉中で大気下で加熱して、SiO2膜層(誘
電体膜層)を形成した。
【0133】(スピンコータの回転数−誘電体膜層の膜
厚との関係) 900rpm(回転数)−1000nm(誘電体膜層の
膜厚) 300rpm(回転数)−2000nm(誘電体膜層の
膜厚) また、中間層として表1に記載した誘電体膜層以外の膜
層を形成をした後は試料7と同様に輝尽性蛍光体(Cs
Br:Eu)を蒸着して放射線画像変換パネル試料12
〜14を作製した。
【0134】尚、上記試料12〜14の作製では、蛍光
体層形成用支持体上に中間層を形成し、蛍光体層形成条
件と真空度、蒸着速度など加熱させる温度条件以外は同
一にして中間層膜を形成した。
【0135】得られた放射線画像変換パネル試料1〜1
4について、下記のように鮮鋭性を評価した。
【0136】《鮮鋭性評価》放射線画像変換パネル試料
の鮮鋭性は、変調伝達関数(MTF)を求めて評価し
た。
【0137】MTFは、放射線画像変換パネル試料にC
TFチャートを貼付した後、放射線画像変換パネル試料
に80kVpのX線を10mR(被写体までの距離:
1.5m)照射した後、100μmφの直径の半導体レ
ーザ(680nm:パネル上でのパワー40mW)を用
いてCTFチャート像を走査読み取りして求めた。表の
値は、2.0lp/mmのMTF値を足し合わせた値で
示す。得られた結果を表1に示す。
【0138】《画像欠陥の評価(剥離欠陥)》蛍光体蒸
着された基板を80kVp2mAs2mにてX線照射を
行い、X線ダイレクトデジタイザー(コニカ(株)製:
Regius330)にて画像情報を読みとった。画像
上の升目を1画素あたり、175ミクロンにて2045
×2045画素で表現し、このうち剥離して信号が無い
領域を全体数より割った後100を乗じて%で表記し
た。
【0139】《反射率の測定》下記の測定装置、測定条
件で反射率を測定した。結果を表1に示す。
【0140】(装置):HITACHI557型、Sp
ectrophotometer (測定条件) 測定光の波長 :680nm スキャンスピード:120nm/min 繰り返し回数 :10回 レスポンス :自動設定
【0141】
【表1】
【0142】表1から明らかなように、比較の試料と比
して、本発明の試料は鮮鋭性(MTF特性)に優れ、剥
離欠陥が無いことが分かる。
【0143】
【発明の効果】本発明による放射線画像変換パネル及び
放射線画像変換パネルの製造方法は、鮮鋭性に優れ、剥
離欠陥も無く優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘電体膜層を有する支持体上に形成した柱状結
晶からなる輝尽性蛍光体層の断面図である。
【図2】誘電体膜層を有する支持体上に輝尽性蛍光体層
が蒸着により形成される様子を示す図である。
【図3】本発明の放射線画像変換パネルの構成の一例を
示す概略図である。
【図4】蒸着により誘電体膜層を有する支持体上に輝尽
性蛍光体層を作製する方法の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
11 支持体 12 輝尽性蛍光体層 13 柱状結晶 14 柱状結晶間に形成された間隙 15 支持体ホルダ 21 放射線発生装置 22 被写体 23 放射線画像変換パネル 24 輝尽励起光源 25 光電変換装置 26 画像再生装置 27 画像表示装置 28 フィルタ A 誘電体膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G083 AA03 BB01 CC03 CC08 DD01 DD02 DD11 EE02 EE07 4H001 CA08 XA03 XA04 XA09 XA11 XA12 XA13 XA17 XA19 XA20 XA21 XA28 XA29 XA30 XA31 XA35 XA37 XA38 XA39 XA48 XA49 XA53 XA55 XA56 XA57 XA58 XA59 XA60 XA61 XA62 XA63 XA64 XA65 XA66 XA67 XA68 XA69 XA70 XA71 YA11 YA12 YA29 YA39 YA47 YA49 YA55 YA58 YA59 YA60 YA62 YA63 YA64 YA65 YA66 YA67 YA68 YA69 YA70 YA71 YA81

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に輝尽性蛍光体層、且つ、支持
    体と輝尽性蛍光体層との間に層を有する放射線画像変換
    パネルにおいて、少なくとも一層の輝尽性蛍光体層が、
    気相成長法により50μm〜1mmの膜厚になるように
    形成され、且つ、該層の膜厚が600〜1600nmで
    あることを特徴とする放射線画像変換パネル。
  2. 【請求項2】 前記層が中間層であることを特徴とする
    請求項1に記載の放射線画像変換パネル。
  3. 【請求項3】 前記少なくとも一層の輝尽性蛍光体層
    が、下記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体を含有
    し、該輝尽性蛍光体の励起光として、波長680nmの
    光を入射させたとき、該輝尽性蛍光体層の反射率が20
    〜100%であることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の放射線画像変換パネル。 一般式(1) M1X・aM2X′2・bM3X″3:eA 〔式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsの各原子
    から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子であ
    り、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、C
    d、Cu及びNiの各原子から選ばれる少なくとも1種
    の二価金属原子であり、M3はSc、Y、La、Ce、
    Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
    o、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各
    原子から選ばれる少なくとも1種の三価金属原子であ
    り、X、X′、X″はF、Cl、Br及びIの各原子か
    ら選ばれる少なくとも1種のハロゲンで原子であり、A
    は、Eu、Tb、In、Cs、Ce、Tm、Dy、P
    r、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、
    Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる
    少なくとも1種の金属原子であり、また、a、b、eは
    それぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e≦
    0.2の範囲の数値を表す。〕
  4. 【請求項4】 前記中間層が誘電体化合物を有する誘電
    体膜層であることを特徴とする請求項2又は3に記載の
    放射線画像変換パネル。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れか1項に記載の放射
    線画像変換パネルを、支持体上に膜厚が600〜160
    0nmの層を塗布し、該層上に膜厚50μm〜1mmの
    輝尽性蛍光体層を気相成長法により形成させ製造するこ
    とを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007099787A (ja) * 2005-09-30 2007-04-19 Fujifilm Corp 放射線像変換パネルおよびその製造方法

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