JP2003238971A - 塩の除去方法、それを利用した接触改質方法及び接触改質装置 - Google Patents
塩の除去方法、それを利用した接触改質方法及び接触改質装置Info
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Abstract
塩の除去方法を提供する。 【解決手段】 本発明の塩の除去方法は、塩化アンモニ
ウムなどの塩を含有する炭化水素油を、実質的に水のな
い雰囲気下で120℃以下の温度で濾過することを特徴
とし、濾過を、0.1〜20μmの目開きを有するフィ
ルターを用いて行うことが好ましい。また、本発明は、
前記塩の除去方法を利用した接触改質方法及び接触改質
装置に関する。
Description
の除去方法に関し、より詳しくは、炭化水素油から塩化
アンモニウム等の塩を極めて簡単な設備で効率的に除去
する塩の除去方法に関する。また、本発明はかかる塩の
除去方法を利用した接触改質装置及び接触改質方法に関
する。
おいて、各種の石油製品や半製品を製造するために、蒸
留塔による蒸留分離操作が広く採用されている。ところ
が、蒸留塔への原料油中に塩類が含有されていると、蒸
留塔内において、塩類が固体となって析出してトレイ等
のインターナルに堆積したり、付着し、気液の流路を閉
塞して運転不調をきたすことがある。これは、同伴され
る塩類が蒸留塔内を移動する過程で濃縮されて、更には
塩類の析出に好都合な温度、圧力、流速などの条件の部
位に到達して析出が促進されて、塩類の堆積又は付着が
起こるものと考えられる。石油精製等のプロセスにおい
て処理される油に含まれてトラブルを引き起こす代表的
な塩として塩化アンモニウムが挙げられる。塩化アンモ
ニウム等の塩類は、高温では固体にならないが、低温で
固体となり析出して各種のトラブルを引き起こすことに
なる。
で、特に温度が低下することによって析出するので、蒸
留塔に限らず、配管や熱交換器の閉塞、ホンプ/コンプ
レッサー等回転機の駆動不良を引き起こす等のトラブル
を生じる。甚だしい場合には、当該機器の運転、更には
プロセス全体の運転を一時停止し、塩析出物を除去する
ことも必要になる。これは、通常、1年以上の連続運転
をすることが前提である石油精製や石油化学などの装置
産業にとって大きな損失となる。
改質装置は、連続触媒再生装置を装備した接触改質装置
が広く採用されている。この連続触媒再生式の接触改質
装置は、常にフレッシュな触媒(再生触媒)を改質反応
器に供給し、順次複数の反応器に流して劣化した触媒を
触媒再生系に送り、該触媒再生系においても再生を連続
的に行い、活性を回復した触媒を再び改質反応器に供給
するものである。このとき、改質触媒は、活性を調節す
るために触媒再生中に塩素化合物で処理される。塩素化
合物の塩素分は再生触媒とともに改質反応器に入る。水
素雰囲気かつ高温の改質反応器内で、塩素分は、ナフサ
フィードなどに不純物として同伴されるか、あるいは改
質反応器の雰囲気下に生成された塩基性化合物と塩を生
成し、接触改質油とともに反応器から流出する。塩は、
高温下では固体にならないが、冷却されて120℃以下
の温度で固化して反応器に後続するスタビライザー又は
デブタナイザーなどの蒸留塔、配管や熱交換器、及びホ
ンプ/コンプレッサー等の回転機において析出して上述
のようなトラブルを引き起こす。
ス流体(炭化水素油)と水又は苛性ソーダ水溶液とを混
合してプロセス流体中に含まれる塩を水又は苛性ソーダ
水溶液側に移行させて除去する方法がある。この方法
は、除去効果は期待されるが、水又は苛性ソーダ水溶液
の注入設備、油と水又は苛性ソーダ水溶液との混合設
備、油と水又は水溶液との分離設備、廃水処理設備等が
必要となり、しかも、洗浄時にプロセス流体に微量水分
が混入するため、水分によって性能が左右される装置が
下流にある場合には、徹底した水分除去の追加対応が要
求される。前記洗浄方法に類似した塩の除去方法とし
て、特開2000‐96067号公報は、蒸留塔内に堆
積する塩類を除去するために、蒸留塔に水を導入する水
溶性塩類を含む炭化水素油の蒸留方法を開示している。
この方法は、水の注入設備、油と水の分離設備を増設な
いし強化する必要があり、更に後続の炭化水素処理プロ
セスが水分を嫌う場合、上記の洗浄による方法と同様に
炭化水素油中の微量水分を除去しなければならない問題
を有している。
は、液状炭化水素流体中の無機及び有機塩素化合物を除
去するために、(a)酸化亜鉛と(b)結合剤及び
(c)少なくとも一種のアルカリ(土類)金属化合物を
主成分として含有する塩素化合物除去剤、及びそれを用
いる除去方法が開示されている。この発明は、塩素化合
物を除去するとともに、有機塩素化合物の生成を抑制し
て塩素リークまでの期間の長期化を図ったものである。
しかしながら、この発明の実施例にも示されているよう
に、塩素化合物除去剤は、吸着剤であるから一定量の塩
素化合物を吸着すると、それ以上の塩素化合物は吸着さ
れずにリークする。したがって、リークする前に吸着剤
を交換する必要があるが、その予測(すなわち、吸着剤
の寿命予測)は極めて困難であり、計画的な定期修理に
合わせて吸着剤を無駄なく使いきることは不可能といえ
る。更に、吸着剤による方法は、当然、吸着剤が充填さ
れた塩素化合物除去設備を増設し、定期修理時ごとに高
価な吸着剤を購入して交換する必要があり、しかも使用
済み吸着剤を二次公害に配慮して処分しなければならな
い等の問題も有している。
を解決するものであり、極めて簡単で運転が容易な設備
で、炭化水素油中の塩化アンモニウム等の塩を効果的に
除去する塩の除去方法を提供することを目的とする。ま
た、本発明は、前記塩の除去方法を利用したナフサの接
触改質装置及び接触改質方法を提供することを目的とす
る。
器に後続する蒸留塔における運転不良の発生原因につい
て検討し、この原因が塩の析出、特に塩化アンモニウム
の析出によるものであることを見出した。この塩析出の
メカニズムの詳細は明らかではないが、改質触媒の活性
を調節するために再生中に注入される有機塩素化合物
と、原料油等に由来する有機窒素化合物とが、改質反応
器において、その高温及び水素雰囲気下で、塩化水素及
びアンモニアを生成し、それらが反応して塩を生成し
て、温度の低下に伴い塩固形物(塩化アンモニウムの結
晶)として局所的に析出したものと推察される。また、
特に蒸留塔で問題となるのは、蒸留塔内において塩の濃
縮、温度低下に伴う塩固形物(結晶)の成長、油の流
速、その他の条件が大きな塩固形物の形成を促して蒸留
塔のある部位に析出・堆積することと推察される。
で炭化水素油中において固体状態で存在し、フィルター
によって容易に濾過除去できることを見出し、本発明に
到達した。すなわち、前記課題を解決した本発明の要旨
は以下のとおりである。 (1) 塩を含有する炭化水素油を、実質的に水のない
雰囲気下で120℃以下の温度で濾過する炭化水素油中
の塩の除去方法。 (2) 塩が、塩化アンモニウムである上記(1)記載
の塩の除去方法。 (3) 炭化水素油が、蒸留前のナフサ接触改質油であ
る上記(1)又は(2)に記載の塩の除去方法。 (4) 濾過を、0.1〜20μmの目開きを有するフ
ィルターを用いて行う上記(1)〜(3)のいずれかに
記載の塩の除去方法。
置において、接触改質反応器と、該接触改質反応器から
流出する接触改質油に含まれる軽質分を除去するための
蒸留塔との間に、実質的に水のない雰囲気下で前記接触
改質油を120℃以下の温度で濾過して接触改質油中の
塩を除去するフィルターを設けてなる接触改質装置。 (6) ナフサを接触改質する接触改質方法において、
接触改質反応器と、該接触改質反応器から流出する接触
改質油に含まれる軽質分を除去するための蒸留塔との間
にフィルターを設け、実質的に水のない雰囲気下で前記
接触改質油を120℃以下の温度で濾過して、接触改質
油中の塩を除去する接触改質方法。
質的に水のない雰囲気下で120℃以下で濾過する炭化
水素油中の塩の除去方法であり、本発明によれば、簡単
な設備で、効率よく炭化水素油から塩を除去することが
できる。したがって、後続の蒸留設備のトレイ等の閉
塞、配管や熱交換器の閉塞、ホンプ/コンプレッサー等
回転機の駆動不良などの塩析出によるトラブルを回避す
ることができる。
素油としては、120℃以下の温度で析出する塩化アン
モニウムなどの塩を含有する炭化水素油、原油や原料油
に由来する塩を含有する精製油、石油留分を処理するプ
ロセス又は石油化学プロセスで発生する塩を含有する当
該プロセスの流出油などが挙げられる。具体的には、接
触改質装置において、特には連続触媒再生装置を装備し
た接触改質装置において、接触改質反応器から流出する
接触改質油、常圧蒸留装置から留出したナフサや灯油な
どの留出油を水素化脱硫した水素化脱硫油、減圧蒸留装
置から留出する減圧軽油などが挙げられる。
素油、例えば接触改質油、水素化脱硫油などを、実質的
に水のない雰囲気下で120℃以下の温度で濾過する塩
化アンモニウム等の塩を除去する方法である。以下に本
発明の実施の形態を、ナフサを接触改質する接触改質装
置を代表的に取り上げて、図1及び2を参照して具体的
に説明するが、本発明は、接触改質装置に限定されるも
のではない。図1に本発明の一実施態様としての接触改
質装置を示し、図2に従来の接触改質装置を示す。図1
及び2において、同じ設備は同一の符号を付した。
(脱硫ナフサ)はリサイクル水素と混合、加熱されたフ
ィード7として改質反応器1に供給される。改質反応器
1において、ナフサは水素ガス及び高温下に、連続的に
再生系から供給される再生触媒13で接触改質される。
図2で改質反応器は符号1として1基のみで示している
が、通常は、3、4基あって、ナフサと水素の混合物
(フィード7)は3、4基の反応器間に設けられた加熱
炉で温度調節されて各反応器を順次通過して改質され
る。触媒も反応器を順次通過して劣化触媒14となり、
再生系(図示せず)に送られて再生され、活性を取り戻
して、再生触媒13として再び改質反応器1に供給され
る。改質反応器1から流出する接触改質油8は、クーラ
ー2で冷却されて分離槽3に送られ、水素リッチな軽質
ガス10と該軽質ガス10が分離された接触改質油9と
して流出する。通常軽質ガス10の一部はリサイクル水
素として使用される。接触改質油9は、ヒーター4で昇
温されてスタビライザー又はデブタナイザーなどの蒸留
塔5に送られて蒸留される。蒸留塔5の塔頂から軽質ガ
ス又は液化石油ガス(LPG)以下の軽質留分12が流
出し、塔底から蒸気圧を調整された又はLPG以下の軽
質留分が分離された接触改質油11が流出する。接触改
質油11はガソリン基材として又は芳香族成分を回収し
て化学製品を製造する石油化学用の原料として利用され
る。
あり、上記蒸留塔5に供給するために接触改質油9をヒ
ーター4で加熱する前に、フィルター6を備えた接触改
質装置である。既に述べたように、触媒活性を調節する
ために注入された塩素化合物由来の塩素分は、再生触媒
とともに改質反応器に導入され、高温かつ水素雰囲気の
改質反応器内で塩化水素に変換される。一方、ナフサは
高度に水素化脱硫された脱硫ナフサを接触改質装置の原
料として用いるが、微量の窒素化合物を含んでおり、窒
素分は改質反応器内でアンモニアに変換される。改質反
応器内で生成した塩化水素及びアンモニアは、冷却され
て塩化アンモニウムの塩として析出する。反応器に入る
塩素分及びアンモニア分は、必ずしも塩形成当量で導入
されるわけではなく、一般的に塩素分が過剰である。塩
素分は塩化水素又は塩素イオンとして装置材料を腐食す
ることがあるので好ましくないばかりでなく、固化、析
出する塩が専ら後続の機器、特に蒸留塔5で析出・堆積
して、閉塞、運転不調などの不具合ももたらす。
後、降温して水素リッチの軽質ガスが分離された接触改
質油9を、蒸留塔に供給する前の低温のうちに、120
℃以下の温度で濾過する。すなわち、本発明は、図1に
示すように、従来の接触改質装置にないフィルター6を
設置して軽質ガス分離後の接触改質油9の少なくとも一
部をフィルター6に通して濾過するものである。こうす
ることによって、接触改質油中の塩化アンモニウムなど
の塩はフィルター6で捕捉されて、蒸留塔5で塩の析出
・堆積による、蒸留塔5の運転不調等の不具合は解消さ
れる。
出が少なく、フィルターで捕捉されずに通過する塩(あ
るいは、塩化水素及びアンモニア)が多くなり好ましく
ない。塩は、温度が低いほど析出し、濾過で捕捉するた
めに好ましいが、後続の蒸留段階で昇温する必要がある
ので、装置あるいは製油所全体のエネルギーバランスを
考慮して決めるべきである。濾過温度は100℃以下、
特に50℃以下が好ましい。炭化水素油の温度が120
℃を超えている場合には、周知の適当な方法を用いて前
記の温度に調整すればよい。
分を含まない雰囲気下で濾過される。すなわち、本発明
において、炭化水素油の濾過は、系外から水、水蒸気な
どの水分を加えることなく行うことをいい、接触改質油
等の炭化水素油をそのまま濾過処理することを意味す
る。すなわち、炭化水素油は、少なくとも飽和以上の水
分との混合物の形態で濾過されるものではなく、飽和未
満の水分を含み得る。炭化水素油に溶解する水分量は、
常温(10〜25℃)で飽和未満であることが好まし
く、炭化水素油が接触改質油の場合、50重量ppm以
下が好ましい。したがって、本発明の方法で塩を除去し
た炭化水素油には水分が実質的に含まれていないので、
後続の水を嫌うプロセスに特別配慮する必要がなく、更
に、水洗などの塩除去方法と異なり油水分離の必要がな
く、しかも潜熱の大きな水を加熱冷却することがないの
でエネルギー的にも有利である。
は、塩類を除去できるものであれば、不織布フィルタ
ー、焼結フィルター、中空糸膜フィルターなどどのよう
なものでも用いることができる。平膜を折り重ねたプリ
ーツ型のカートリッジをケーシングに収納するタイプの
フィルターが、コンパクトで大量に濾過処理できること
から、特にバルクで扱われる石油製品などを処理する場
合、好ましく用いることができる。
フルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリスルホン、アクリル、セルロースエステル、グ
ラスファイバー、金属、紙などを挙げることができる。
フィルター材料の選定にあたっては、芳香族成分を多く
含有する接触改質油のように炭化水素油によっては材料
を溶解したり、あるいは膨潤するものがあるので、事前
に対象油種やその温度、圧力などの使用条件において材
料の耐性を検討して適宜選定することが好ましい。例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチック
は、このような用途では膨潤されることがあるので、避
けるか、あるいは表面処理などにより膨潤対策を施した
ものを用いることが好ましい。
捉するために0.1〜20μmにすることが好ましい。
サイズが0.1μm未満のフィルターでは、差圧が大き
くなり、また通油後、このフィルター差圧がフィルター
の許容差圧に上昇するまでの期間が短くなり、系から切
り離して捕捉された塩を頻繁に水洗等の方法で除去しな
ければならなくなるので実用的でない。20μmをこえ
るサイズは、捕捉されずにフィルターを通過する塩類が
多くなりすぎてフィルターを設置する意味がなくなる。
目開きは、1〜10μmがより好ましく、1〜5μmが
特に好ましい。
する場合、図1に示すように、フィルターは反応器1か
ら最初の蒸留塔の間で接触改質油の温度が120℃以下
の流路(配管)、例えばリサイクル水素ガスの分離槽3
から流出する接触改質油9の流路中に設置することが好
ましい。120℃以下の温度の場所がない場合には、ク
ーラー(冷却用熱交換器)を通す等公知の方法で接触改
質油の温度を120℃以下に下げてフィルターを通すよ
うにすればよい。また、フィルターは、前記接触改質油
の全量又は少なくとも一部、例えば油流量の10〜90
%がフィルターを通るように設けることもできる。この
ようにして、蒸留塔の運転不調を回避できる最低量の塩
を捕捉するようにフィルターに通す油量を制限すること
によって、フィルターサイズを小さくすることができ
る。
操作も特別の熟練を必要としない設備である。フィルタ
ーで塩類が捕捉されていくと、フィルター差圧が上昇す
る。フィルターの設計上許容される上限の差圧に達した
ら、通油を停止して差圧が上限に達したフィルターをオ
イル系から切り離す。通常、塩化アンモニウムなどの塩
は水溶性であるので、フィルターに水を通して捕捉され
た塩類を水に溶解して除去することができる。フィルタ
ーの洗浄方法としては、フィルターに水を連続的に通す
ことにより行ってもよいし、あるいはフィルターケーシ
ングに水を満たして一定時間保持して塩を溶解して排水
するバッチ洗浄を1回又は2回以上繰り返すことにより
行ってもよい。フィルターに水を通す方向としては、接
触改質油を通した方向に流しても、油とは逆向きに流し
てもよい。また、フィルターケーシングを開放してカー
トリッジを抜き出して、外部で水洗して塩を除去するこ
ともできる。水洗後、フィルターに乾燥空気などを通し
て水分を除去したのち、フィルターをオイル系につなぎ
接触改質油を通油する。フィルターはほぼフレッシュな
状態に戻り、繰り返し使用することができる。
2基以上を並列に設けて通油と水洗(及び待機)を互に
連携して繰り返してもよいし、あるいは、炭化水素油流
路に1基のみ設けて、フィルターの水洗中は、フィルタ
ーのバイパス(従来の炭化水素油の流路)に炭化水素油
の全量を通すようにしてもよい。いずれにせよ、こうす
ることによって、当該炭化水素の処理装置の運転を停止
することなく塩を除去することができる。
サ接触改質装置に本発明の塩の除去方法を適用した例
を、連続触媒再生装置を装備した接触改質装置を中心に
説明したが、塩を含有する炭化水素油であれば適用でき
るので、固定床方式の接触改質装置にも触媒再生装置の
有無に拘らず適用できる。更に、その他の石油精製プロ
セス又は石油化学プロセスにおける塩を含有する炭化水
素油から塩を除去する場合についても同様に実施可能で
ある。例えば、ナフサは、接触改質装置で処理する前に
不純物として含まれている硫黄分を除去するために必ず
脱硫処理されている。この脱硫処理は通常水素化脱硫処
理であり、不純物の硫黄化合物は水素化物(主にH
2S)に変換されて分離除去される。この場合、脱硫処
理される原料の粗ナフサ中の窒素化合物も水素化されて
アンモニアを生成する。アンモニアは、粗ナフサやリサ
イクル水素中の不純物として系内に持ち込まれた塩素分
などと反応して塩化アンモニウムなどの塩を生成する。
このような塩を含有する水素化脱硫ナフサにも、本発明
の塩の除去方法は適用でき、効果的に塩を除去すること
ができる。
の流路に設けるだけで塩を除去することができるもので
あるから、従来の水洗又はソーダ洗浄、蒸留塔への水の
導入、吸着剤などによる方法と比較して、設備がシンプ
ルで経済的であり、二次公害を懸念する必要がなく、運
転にも全く熟練を要しない。
説明する。ここでは、接触改質装置を用いて行った試験
を示すが、本発明は実施例により何ら制約されるもので
はない。
おいて、水素リッチガス10と接触改質油9とを分離す
る分離槽3の出口配管に、プリーツタイプの円筒形フィ
ルターカートリッジをケーシングに装着したフィルター
6を設置し、接触改質油9中の一定量をフィルターに通
油して接触改質油中の塩化アンモニウムの除去試験を行
った。接触改質油中のアンモニウムイオン及び塩素イオ
ンの濃度は、原料油や、触媒活性を調節するために注入
される塩素量等によって異なるが、通常、重量比で塩素
イオンがアンモニウムイオンの約2倍ないしそれ以上の
割合で含まれている。塩化アンモニウムの生成は、アン
モニウムイオンの量が支配していると言える。フィルタ
ーの入口及び出口から採取した接触改質油サンプル中の
アンモニウムイオン濃度及び塩素イオン濃度を下記の方
法により測定することによって、フィルターによる塩化
アンモニウムの除去効果を評価した。
0mlを分液ロートに入れ、純水50mlを加えて密栓
し、5分間激しく振とうした。その後5分間静置して水
層及び油層を分離し、得られた水層中のアンモニウムイ
オン及び塩素イオンの濃度を、イオンクロマトグラフィ
ーを用いて測定した。得られたアンモニウムイオン及び
塩素イオンの測定値を接触改質油基準に換算して、接触
改質油中のアンモニウムイオン濃度及び塩素イオン濃度
を求めた。
仕様のフィルターを用い、これに接触改質油(圧力3.
4MPa、温度35℃)を5kl/hrの流量で流し、
フィルター差庄が許容差圧である0.3MPaに達した
とき、接触改質油の供給を停止した。接触改質油の供給
を停止した後、フィルターケーシングを開放してフィル
ターカートリッジを抜き出し、容量約20lの金属容器
にこのフィルターカートリッジを入れ、純水を注いでフ
ィルターカートリッジ全体を浸らせ、次いで排水した。
この操作を4回繰り返して塩化アンモニウムを水洗除去
した後、5回目の注水を行い、フィルターカートリッジ
全体が浸った状態でそのまま1時間静置してフィルター
濾材の深部の塩化アンモニウムを十分に溶解させ、排水
した。洗浄したフィルターカートリッジを約30℃の乾
燥室にて24hr乾燥した後、フィルターカートリッジ
をケーシングにセットし、再び接触改質油を通油した。
このようにして、接触改質油の通油、フィルター洗浄の
操作を6回繰り返した。通油開始時、通油停止時及び通
油開始後2日目にフィルター入口及び出口の接触改質油
をサンプリングし、上記の方法で各サンプル油中のアン
モニウムイオン濃度及び塩素イオン濃度を測定し、塩化
アンモニウムの除去効果を評価した。
期間中(合計683hr)にわたり特に問題なく接触改
質油をフィルターに通油することができた。フィルター
入口及び出口のサンプル油中のアンモニウムイオン濃度
及び塩素イオン濃度を、全通油期間にわたって測定し
(n=18)、その算術平均した数値を表2に示す。表
2に示すように、通油期間にわたって、フィルター出口
のサンプル油中にアンモニウムイオンは検出されなかっ
た。また、塩素イオン濃度の減少量は、フィルター入口
の接触改質油に含まれるアンモニウムイオンとで塩化ア
ンモニウムを形成する当量の塩素イオン量にほぼ相当し
ている。したがって、接触改質油に含まれていた塩化ア
ンモニウムは、フィルターによりほぼ全量除去できるこ
とが分かる。
仕様のアクリル製フィルターを用いた以外は、実施例1
と同様にして評価を行った。アンモニウムイオン濃度と
塩素イオン濃度(通油期間全体にわたる算術平均値)
を、実施例1と同様に表2に示す。その結果、1回目か
ら6回目の通油期間(合計534hr)にわたり、特に
問題なく良好に接触改質油を通油することができ、接触
改質油中の塩化アンモニウムのほぼ全量をフィルターに
より除去することができた。
いない図2に示す接触改質装置において、長期間の連続
運転により、分離槽3の下流にある蒸留塔5において塩
化アンモニウムの析出による不具合が認められた。
い雰囲気下で120℃以下で濾過する炭化水素油中の塩
の除去方法であり、簡単な濾過設備で塩を確実に除去す
ることができるから、塩の析出による蒸留塔などの精製
設備におけるトラブルの発生を未然に防ぎ、更に水や吸
着剤を使う従来の方法と異なり、設備がシンプルで経済
的であり、運転に全く熟練を要しないなどの効果を有す
る。
一実施形態を示すフロー図である。
示すフロー図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 塩を含有する炭化水素油を、実質的に水
のない雰囲気下で120℃以下の温度で濾過することを
特徴とする炭化水素油中の塩の除去方法。 - 【請求項2】 塩が、塩化アンモニウムである請求項1
記載の塩の除去方法。 - 【請求項3】 炭化水素油が、蒸留前のナフサの接触改
質油である請求項1又は2に記載の塩の除去方法。 - 【請求項4】 濾過を、0.1〜20μmの目開きを有
するフィルターを用いて行う請求項1〜3のいずれかに
記載の塩の除去方法。 - 【請求項5】 ナフサを接触改質する接触改質装置にお
いて、接触改質反応器と、該接触改質反応器から流出す
る接触改質油に含まれる軽質分を除去するための蒸留塔
との間に、実質的に水のない雰囲気下で前記接触改質油
を120℃以下の温度で濾過して接触改質油中の塩を除
去するフィルターを設けてなることを特徴とする接触改
質装置。 - 【請求項6】 ナフサを接触改質する接触改質方法にお
いて、接触改質反応器と、該接触改質反応器から流出す
る接触改質油に含まれる軽質分を除去するための蒸留塔
との間にフィルターを設け、実質的に水のない雰囲気下
で前記接触改質油を120℃以下の温度で濾過して、接
触改質油中の塩を除去することを特徴とする接触改質方
法。
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