JP2003238480A - エチレングリコールの回収蒸留釜残の処理方法 - Google Patents

エチレングリコールの回収蒸留釜残の処理方法

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JP2003238480A
JP2003238480A JP2002040153A JP2002040153A JP2003238480A JP 2003238480 A JP2003238480 A JP 2003238480A JP 2002040153 A JP2002040153 A JP 2002040153A JP 2002040153 A JP2002040153 A JP 2002040153A JP 2003238480 A JP2003238480 A JP 2003238480A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エチレングリコールを蒸留回収する際生じる
残渣に含まれるジエチレングリコールのテレフタル酸エ
ステル(DEGエステル)を有効成分のBHETに変換
することで、該残渣をBHETの製造工程へリサイクル
することを可能にし、製品BHETの収率を高める方法
を提供する。 【解決手段】 粗エチレングリコールの蒸留精製処理で
釜残として取出された、固形分として少なくともDEG
エステルを含む、エチレングリコール回収蒸留釜残に、
該蒸留釜残中の全固形分に対して2〜20重量倍のエチ
レングリコール及び0.1〜1.0重量%のエステル交
換触媒を加え、加熱下に、該DEGエステルとエチレン
グリコールのエステル交換反応を行ってBHETとジエ
チレングリコールを生成するとともに生成したジエチレ
ングリコールを、常圧〜0.5MPaの圧力下でエチレ
ングリコールとともに蒸発留出させる方法。この方法で
得られた残渣はBHET製造工程に有利に戻すことがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエチレングリコール
回収蒸留釜残の処理方法に関する。さらに詳しくは、粗
エチレングリコール、特にポリエチレンテレフタレート
からビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製
造する過程で発生する粗エチレングリコールの回収蒸留
釜残に含まれるジエチレングリコールのテレフタル酸エ
ステルをビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート
に変換する処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートは、機械特
性、熱特性、化学特性等に優れることから、ボトル、繊
維、フィルムなど各種成形品分野で用いられている。ポ
リエチレンテレフタレートは、通常、テレフタル酸とエ
チレングリコールのエステル化反応またはジメチルテレ
フタレートとエチレングリコールのエステル交換反応に
よってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートお
よびそのオリゴマーを主成分とする反応生成物を得、こ
れをさらに重縮合させることによって製造される。その
際、用途に応じた要求特性を満足させる目的で、第三成
分を共重合させたり、特性付与剤例えば、着色剤、安定
剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を添加することが行わ
れている。
【0003】近年、ポリエチレンテレフタレート製成形
品、特にポリエチレンテレフタレート製ボトル(以下、
PETボトルという)の使い捨てが環境を悪化するとし
て社会問題となっており、この回収、再利用の検討が進
められている。
【0004】この方法の一つとして、ポリエチレンテレ
フタレート製成形品、特にPETボトルを回収し、これ
を粉砕してチップまたはフレークにし、エチレングリコ
ールを用いて解重合(グリコリシス)し、得られる反応
生成物から分離精製して高純度のビス(2−ヒドロキシ
エチル)テレフタレートを得、さらにこの高純度のビス
(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを重縮合させ
ることでポリエチレンテレフタレートとする方法があ
る。
【0005】本発明者等は、この方法について検討した
結果、ポリエチレンテレフタレートのグリコリシスで得
られた反応生成物が、不純物として、前記特性付与剤
(例えば着色物)、主として反応触媒や安定剤によるイ
オン、ポリマー製造時やグリコリシス時に副生するジエ
チレングリコール、該ジエチレングリコールのテレフタ
ル酸エステル、成形品に取付けられ乃至付着して混入し
た他種樹脂(例えば、ボトルキャップ、ラベル等)など
を含むこと、これら不純物を脱色、脱イオン、晶析、分
子蒸留などの精製技術を組み合わせて除去することで高
純度のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを
製造し得ることを見出し、先に提案した(特開2000
−169623号公報、国際公開WO01/10812
号公報)。
【0006】この精製過程において、不純物および有効
成分を含む粗エチレングリコールが発生するが、この粗
エチレングリコールは蒸留精製に付され、精製エチレン
グリコールと、主として高沸点成分からなる蒸留残渣
(エチレングリコール回収蒸留釜残)に分けられる。こ
の精製エチレングリコールは、通常、前記グリコリシス
の原料として循環使用される。
【0007】前記蒸留残渣は、大部分がビス(2−ヒド
ロキシエチル)テレフタレート(以下、BHETという
ことがある)、オリゴマー、ジエチレングリコールのテ
レフタル酸エステル(以下、DEGエステルということ
がある)、モノエチレングリコールテレフタレート(以
下、MHETエステルということがある)、エチレング
リコール、ジエチレングリコールおよび原料に同伴した
不純物からなる。
【0008】ところで、前記DEGエステルが製品ビス
(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに含まれる
と、この製品ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレ
ートを原料として重縮合したポリエチレンテレフタレー
ト中のジエチレングリコールの含有量に直接影響するこ
とになる。そしてジエチレングリコールの含有量の高い
ポリエチレンテレフタレートは、融点の低下、着色、結
晶化速度等の物性を低下させ、好ましくない。
【0009】そのため、DEGエステルおよび遊離のジ
エチレングリコールを含んでいる前記残渣は、そのまま
ではビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製
造工程へ戻して、再利用することが困難であり、これま
では産業廃棄物として処分するしか方法がなかった。
【0010】しかし、前記残渣は有効成分を多く含んで
いることから、このまま廃棄することは製品ビス(2−
ヒドロキシエチル)テレフタレートの収率低下、製造コ
ストの上昇等をもたらし、極めて不経済である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、前記残
渣に含まれるDEGエステルを有効成分のビス(2−ヒ
ドロキシエチル)テレフタレートに変換し、かつ遊離の
ジエチレングリコールを除去できれば、前記残渣を廃棄
処分にする必要がなくなり、ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレートの収率を著しく高め得ることに着目
し、その方法を鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0012】したがって、本発明の目的は、エチレング
リコール回収蒸留釜残に含まれるDEGエステルを有効
成分のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに
変換し、該蒸留釜残を有効活用する方法を提供すること
にある。
【0013】本発明の他の目的は、ビス(2−ヒドロキ
シエチル)テレフタレートの製造工程で発生する粗エチ
レングリコールを蒸留精製に付し、その際生じる蒸留釜
残を、これに含まれるDEGエステルを有効成分のビス
(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに変換した
後、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製
造工程へ戻すことで、製品ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレートの収率を高めるのに寄与する方法を
提供することにある。
【0014】本発明のさらに他の目的および利点は、以
下の説明から明らかになろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的および
利点は、本発明によれば、固形分として少なくともジエ
チレングリコールのテレフタル酸エステルを含む、エチ
レングリコール回収蒸留釜残に、該蒸留釜残中の全固形
分に対して2〜20重量倍のエチレングリコールおよび
0.1〜1.0重量%のエステル交換触媒を加え、加熱
下に該テレフタル酸エステルとエチレングリコールのエ
ステル交換反応を行ってビス(2−ヒドロキシエチル)
テレフタレートとジエチレングリコールを生成するとと
もに生成したジエチレングリコールを常圧〜0.5MP
aの圧力下でエチレングリコールとともに蒸発留出させ
ることを特徴とするエチレングリコール回収蒸留釜残の
処理方法によって達成される。
【0016】本発明は、さらに好ましい態様として、前
記エステル交換反応時に、圧力を常圧〜0.5MPaに
調節しながらエチレングリコールとともにジエチレング
リコールを留出させつつ留出量にほぼ等しい量のエチレ
ングリコールを連続的にないし間歇的に新たに供給して
反応液の固形分濃度をほぼ一定に保持すること、前記蒸
留釜残中の、ジエチレングリコールのテレフタル酸エス
テルの含有量が10〜30重量%であること、前記エス
テル交換反応の時間が0.5〜3時間であること、前記
蒸留精製処理により回収蒸留釜残が発生したエチレング
リコールが、ポリエチレンテレフタレートをエチレング
リコールを用いて解重合した反応生成物からビス(2−
ヒドロキシエチル)テレフタレートを精製分離する過程
で生じたものであること、等を包含する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明における蒸留釜残は、粗エ
チレングリコールの蒸留精製処理で釜残として取出され
た、固形分として少なくともジエチレングリコールのテ
レフタル酸エステル(DEGエステル)を含む蒸留残渣
である。この蒸留残渣中の、DEGエステルの含有量は
10〜30重量%であることが好ましい。この粗エチレ
ングリコールは、例えば、ポリエチレンテレフタレート
のエチレングリコールによるグリコリシスによって得ら
れる反応生成物からビス(2−ヒドロキシエチル)テレ
フタレートを精製分離する過程で発生したものである。
【0018】前記ポリエチレンテレフタレートは、ポリ
エチレンテレフタレートからなる使用済み成形品例えば
ボトル、繊維、フィルムなど、または成形不良もしくは
品質不良で製品にならなかったポリエチレンテレフタレ
ートを回収したものであり、少量、例えば10モル%以
下、好ましくは7モル%以下の第三成分例えばイソフタ
ル酸を共重合されたり、特性付与剤を加えて製造された
ものであってもよい。
【0019】前記ポリエチレンテレフタレートを過剰の
エチレングリコールを用いて解重合する方法としては、
例えば特開2001−48837号公報、特開2000
−53802号公報、国際公開WO01/10812号
公報等に記載されている方法を用いることができる。そ
して、この解重合で得られた反応生成物を脱色処理、脱
イオン処理、晶析精製処理、蒸留処理等の精製処理に付
して精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート
を得る方法としては、例えば特開2001−48837
号公報、国際公開WO01/10812号公報等に記載
されている方法を用いることができる。
【0020】例えば、ポリエチレンテレフタレートに3
〜10重量倍のエチレングリコールを加え、温度220
〜270℃、圧力常圧〜0.7MPa下で加熱反応(解
重合)させ、得られた反応生成物に着色物、油脂分を除
去する脱色吸着処理、カチオンおよびアニオンを除去す
る脱イオン処理、晶析精製処理、さらに分子蒸留の精製
処理を施すことで高純度の精製ビス(2−ヒドロキシエ
チル)テレフタレートが得られる。この精製処理におい
て、エチレングリコールは溶媒として作用する。そし
て、この処理で発生した粗エチレングリコールは通常、
精製されて前記ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタ
レートの製造工程にリサイクルされる。この間に、エチ
レングリコールの一部は熱履歴によってジエチレングリ
コールに転換し、さらにその一部はビス(2−ヒドロキ
シエチル)テレフタレートとのエステル交換によってD
EGエステルとして存在することになる。
【0021】ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレ
ートを製造する工程においては、不純物の製造工程での
蓄積を防止するために若干の系外への排出は必要である
が、循環使用されるエチレングリコールは、不純物の除
去操作のための溶媒としても使用され、その一部はエチ
レングリコールの精製処理を行ってエチレングリコール
より沸点の高いジエチレングリコールを除去することが
必要である。
【0022】このように、前記グリコリシスおよび精製
処理工程では、エチレングリコールの加熱縮合によって
ジエチレングリコールが副生する。そして、このジエチ
レングリコールはテレフタル酸成分と結合してDEGエ
ステルを生成する。このため、精製処理過程で発生する
粗エチレングリコールには、前記工程で生成したDEG
エステルが濃縮された形で含まれることになり、その除
去が必要である。
【0023】ここで、ジエチレングリコールのテレフタ
ル酸エステル(DEGエステル)とは、テレフタル酸の
少なくとも一方のカルボキシル基にジエチレングリコー
ルがエステル結合したものであり、主としてテレフタル
酸の一方のカルボキシル基にジエチレングリコールがエ
ステル結合し、他方のカルボキシル基にエチレングリコ
ールがエステル結合したエステル(エチレングリコール
/ジエチレングリコールテレフタレート)からなるもの
である。
【0024】この精製処理で発生する粗エチレングリコ
ールは蒸留精製処理に付されて精製エチレングリコール
と釜残としての蒸留残渣に分けられ、該精製エチレング
リコールは再度ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタ
レート製造工程、例えば解重合工程に戻される。粗エチ
レングリコールの蒸留精製は従来から知られている方
法、例えば減圧蒸留法で行うことができる。例えば、粗
エチレングリコールは、先ず水分のような低沸点成分を
蒸発留去し、次いで同じ蒸留塔または別の蒸留塔を用い
てエチレングリコールを蒸発留去する方法で蒸留精製す
ることができる。この場合、釜残として取出された残渣
はそのまま本発明の方法に供することが出来るが、場合
によっては該残渣をさらに遊離のジエチレングリコール
を蒸発除去する処理に掛けてから本発明の方法に供して
もよい。
【0025】前記蒸留残渣は蒸留条件にもよるが、通
常、重量単位で15〜25%のDEGエステル、50〜
60%のBHET、10〜20%のエチレングリコー
ル、5〜10%のジエチレングリコール、2〜5%のオ
リゴマーおよび0.1〜0.5%のイソフタル酸エステ
ル等を含有している。この中、ジエチレングリコール、
DEGエステルおよびイソフタル酸エステル以外の成分
(すなわち、BHET、オリゴマーおよびエチレングリ
コール)は有効成分として使用でき、ビス(2−ヒドロ
キシエチル)テレフタレート製造工程に戻しても製品品
質に何ら影響を与えないものである。
【0026】本発明においては、蒸留残渣中に存在する
DEGエステルをエステル交換触媒の存在下で過剰のエ
チレングリコールを用いてエステル交換を行って、該D
EGエステルのジエチレングリコール成分をエチレング
リコール成分と入れ替え、遊離するジエチレングリコー
ル(DEG)をエチレングリコール(EG)とともに蒸
発させ、系外に留去させ、代わりに新しいEGを供給す
ることによって、DEGの含量の少ないBHETを主成
分とするテレフタル酸のエチレングリコールエステル
(以下、EGエステルということがある)となし、ビス
(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート製造プロセス
へリサイクルする方法によって、廃棄物の減少と工程収
率の向上を図ることができる。
【0027】本発明におけるエステル交換反応は、蒸留
残渣中の全固形物重量に対して、好ましくは2〜20重
量倍、より好ましくは3〜10重量倍、さらに好ましく
は4〜8重量倍のエチレングリコール(EG)および好
ましくは0.1〜1.0重量%、より好ましくは0.2
〜0.5重量%のエステル交換触媒を用い、これらを前
記蒸留残渣と混合し、加熱下に、例えば常圧〜0.5M
Pa、好ましくは0.1〜0.2MPaの圧力下でEG
を沸騰蒸発させながら行う。その際、蒸発量に見合った
量のEGを添加して反応液中の固形分濃度をほぼ一定に
維持するのが好ましい。これによって、エステル交換を
効率的に行うことが出来る。また、この蒸発によって、
遊離のジエチレングリコールも分圧に比例した割合でエ
チレングリコールとともに蒸発して系外に留去される。
反応時間としては、好ましくは0.5〜3時間、さらに
は1〜2時間が好ましい。このエステル交換反応は回分
式で行っても連続式で行ってもよい。連続式で行う場合
には、反応液の滞留時間を、好ましくは0.5〜3時
間、さらには1〜2時間として行うのが好ましい。この
エステル交換反応によって、DEGエステルの含有量
を、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは4重量
%以下にすることができる。
【0028】前記エステル交換触媒としては、公知の触
媒を用いることができ、例えば酢酸コバルト、酢酸亜
鉛、酢酸マンガンなどの酢酸塩、水酸化ナトリウム、ナ
トリウムメチラートなどのアルカリ金属化合物等を好ま
しく挙げることができる。これら触媒は、その種類によ
って活性度に違いがあるが、0.1〜1.0重量%の範
囲で触媒活性度に見合った使用量を決定すればよい。ま
た、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート製造
工程で用いる解重合触媒と同じ種類の触媒を用いるのが
工程管理上望ましい。そして、脱カチオン処理の負荷を
大幅に増加させるものや脱イオン性の低いものは好まし
くない。因みに、DEGエステルのビス(2−ヒドロキ
シエチル)テレフタレートへの変換が円滑に進行する触
媒が望ましいほか、重金属の使用は当然回避しなければ
ならない。
【0029】前記蒸留残渣中のDEGエステルの量は、
蒸留精製に供する粗エチレングリコール中の遊離のジエ
チレングリコール(DEG)量、pH、エチレングリコ
ール回収精製系の滞留時間等によって変化し、DEG量
が多い場合、pHが低く酸性度が強い場合、また滞留時
間が長い場合には多くなる。
【0030】因みに、粗エチレングリコールを第1蒸留
塔に供給して水分等の低沸点物を塔頭から除き、塔底物
を第2蒸留塔に供給して該第2蒸留塔の塔頭から精製さ
れたエチレングリコールを回収し、塔底から抜出した液
を濃縮器に供給して残存するエチレングリコール、ジエ
チレングリコールを蒸発回収する方法において、エチレ
ングリコールよりも沸点の高いジエチレングリコール
が、残渣中のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレ
ートとのエステル交換反応によってDEGエステルに移
行するために高いDEGエステル含有量となる。
【0031】本発明においては、このDEGエステル生
成反応を逆方向に進めるためにエステル交換触媒および
大量のエチレングリコールを用いてエステル交換反応を
行う必要がある。
【0032】本発明においては、エステル交換反応は回
分式で行っても連続式で行ってもよく、またエステル交
換反応器から蒸発する蒸気はエチレングリコール蒸留塔
へ直接供給するか、あるいは一旦凝縮器によって凝縮し
てから粗エチレングリコールと混合してエチレングリコ
ール精製供給液として用いてもよい。
【0033】前記エステル交換反応は粗エチレングリコ
ールの精製が連続式で行われるのであれば連続式、回分
式で行われるのであれば回分式で行うのが望ましい。
【0034】本発明においては、エステル交換反応器へ
供給する、エチレングリコール回収蒸留釜残量に見合っ
た量のエステル交換反応生成物を、該反応器から取出し
てビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート製造の
ための、国際公開WO01/10812号公報に記載の
方法における脱イオン処理工程より前の工程へ戻すこと
が好ましい。特に、解重合反応工程へ戻すことが好まし
く、この場合エステル交換触媒を解重合触媒としても使
用することができる。
【0035】本発明においては、反応器から取出したエ
ステル交換反応生成物をさらに晶析精製の処理に付して
精製することで、ジエチレングリコール、DEGエステ
ルおよびイソフタル酸エステルのビス(2−ヒドロキシ
エチル)テレフタレート製造工程へのリサイクル量を大
幅に減少することができる。このことは、エチレングリ
コールに対するジエチレングリコール、DEGエステル
およびイソフタル酸エステルの溶解度がビス(2−ヒド
ロキシエチル)テレフタレートやオリゴマーよりも数倍
も高いことに起因している。
【0036】この晶析処理は、反応液を0〜40℃、さ
らには10〜30℃に冷却しながら3〜7時間、さらに
は3.5〜5時間掛けて行うのが好ましい。濾過は従来
から知られている方法で行うことが出来る。この晶析処
理ではジエチレングリコール、DEGエステルおよびイ
ソフタル酸エステルは主として濾液側に存在し、濾過し
たケーク中のDEGエステルの含有量を3重量%以下、
さらには2重量%以下にすることができる。濾過したケ
ークはビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート製
造工程の脱イオン処理工程より前の工程へ戻すことが好
ましい。特に、解重合反応工程へ戻すことが好ましい。
【0037】本発明によれば、蒸留残渣中のDEGエス
テルをEGエステル、特にビス(2−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレートに変換し、かつジエチレングリコー
ル量を低減できるから、従来廃棄処分にしていたものを
有効活用することが出来るようになり、この為ポリエチ
レンテレフタレート成形品、特にPETボトルから高純
度のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製
造する方法の効率をより一層高めることができる。
【0038】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明をさらに説明す
る。なお、例中の特性は下記の方法で測定した。 (1)蒸留残渣、反応液の組成分析 1) 成分の分離、量測定 試料5mgをクロロフォルムに溶解して約1,000p
pmの溶液を調製し、島津製作所製のHPLC LC−
6型にて、4.6mmID×250mmLのシリカ−60
のカラムによって温度40℃、流速1.0ml/分、注
入量5μl、移動相としてジクロロメタン/ジオキサン
を用い、測定波長240nmで紫外線吸光光度計の検出
器を用いて測定した。 2) LC/MSによる同定 HPLCのピークを同定するために、LC/MS測定を
行った。
【0039】日本電子製SX−102A型を用い、上記
と同じ条件で測定同定した。 (2) ジエチレングリコールの量 試料1gと30mlのメタノールおよび酢酸亜鉛2mg
を100mlのカリウス管中200℃でメタノリシスし
た液を用いてクロマトグラフで測定した。
【0040】実施例1 ボトルから回収したポリエチレンテレフタレート65k
g、エチレングリコール430kgおよび苛性ソーダ2
25gを1m3の解重合槽に仕込み、圧力0.13MP
a、温度220℃で2時間解重合反応を行い、85℃ま
で冷却し活性炭による脱色処理、カチオン交換体および
アニオン交換体による脱イオン操作を120リットル/
時で行い、ついで15℃で5時間晶析を行い、固液分離
し流下薄膜蒸発器で140℃、133Paで留去した
後、205℃、12Paで分子蒸留を行って精製ビス
(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)
を製造した。この製造工程から発生した粗エチレングリ
コールを回収し、塔頂温度143℃、圧力13.3KP
aでの蒸留に付し、塔底から釜残として蒸留残渣を取出
した。
【0041】この蒸留残渣、すなわちBHET55重量
%、DEGエステル23重量%、オリゴマー9重量%、
ジエチレングリコール6重量%、エチレングリコール7
重量%を含む蒸留残渣1kg、エチレングリコール5k
gおよび触媒として苛性ソーダ3gを10リットルのジ
ャケット付きオートクレーブに仕込み、圧力0.15M
Pa、温度224℃でエステル交換反応を開始し、0.
5MPaの圧力に調節しながら沸騰蒸発して圧力調節弁
の出口から出る蒸気を凝縮器で凝縮して留出量を500
kg/時になるように加熱調節し、同時に新しいエチレ
ングリコールを500kg/時加えて90分間反応した
後反応を停止した。
【0042】得られた反応生成物中の全固形分の分析を
行ったところ、BHET94重量%、DEGエステル
3.0重量%、オリゴマー2.7重量%の結果が得ら
れ、前記エステル交換反応によるオリゴマーおよびDE
Gエステルの大幅な減少とBHETの増加が確認され
た。
【0043】続いて、反応生成物を攪拌しつつ2℃/分
の速度で冷却して15℃まで下げ、晶析を4.2時間行
った後、晶析スラリーをNo.5Aの濾紙によって吸引
濾過して36重量%の濾液成分を含む潤滑ケークを得
た。このケーク中の全固形分の分析を行ったところ、B
HET96.7重量%、DEGエステル1.6重量%、
オリゴマー1.1重量%、MHET0.6重量%の結果
が得られた。反応生成物の晶析によってさらにDEGエ
ステルが大幅に減少することが確認された。
【0044】比較例1 実施例1で用いた蒸留残渣10kg、ボトルから回収し
たポリエチレンテレフタレート65kg、エチレングリ
コール430kgおよび苛性ソーダ225gを1m3
解重合槽に仕込み、圧力0.13MPa、温度220℃
で2時間解重合反応を行い、85℃まで冷却し脱色、脱
イオン操作を120リットル/時で行い、ついで15℃
で5時間晶析を行い、固液分離し流下薄膜蒸発器で14
0℃、133Paで留去した後、温度205℃、圧力1
2Paで分子蒸留を行ってBHETを得た。
【0045】得られたBHETの組成分析を行ったとこ
ろ、BHET86.3重量%、DEGエステル9.6重
量%、オリゴマー2.3重量%、MHET1.8重量%
の結果が得られた。粗エチレングリコールの蒸留精製処
理で釜残として取り出された蒸留残渣をエステル交換処
理することなしに、BHETの製造工程に戻すと、極め
て純度の低いBHETしか得られないことが確認でき
た。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、ビス(2−ヒドロキシ
エチル)テレフタレートの製造工程で発生する粗エチレ
ングリコールを蒸留精製に付し、その際生じる残渣に含
まれるジエチレングリコールのテレフタル酸エステルを
有効成分のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレー
トに変換することで、該残渣をビス(2−ヒドロキシエ
チル)テレフタレートの製造工程へリサイクルすること
を可能にし、製品ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフ
タレートの収率を高める方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D076 AA03 AA13 AA16 AA22 BB08 EA14Z EA20Z EA23Z FA02 FA12 HA03 HA11 JA03 4H006 AA02 AC48 AD11 BA02 BA29 BB14 BC10 BC11 BC19 BC30 BJ50 BN10 KA03 KC30 4H039 CA66 CD30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固形分として少なくともジエチレングリ
    コールのテレフタル酸エステルを含む、エチレングリコ
    ール回収蒸留釜残に、該蒸留釜残中の全固形分に対して
    2〜20重量倍のエチレングリコールおよび0.1〜
    1.0重量%のエステル交換触媒を加え、加熱下に該テ
    レフタル酸エステルとエチレングリコールのエステル交
    換反応を行ってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタ
    レートとジエチレングリコールを生成するとともに生成
    したジエチレングリコールを常圧〜0.5MPaの圧力
    下でエチレングリコールとともに蒸発留出させることを
    特徴とするエチレングリコール回収蒸留釜残の処理方
    法。
  2. 【請求項2】 エステル交換反応時に、圧力を常圧〜
    0.5MPaに調節しながらエチレングリコールととも
    にジエチレングリコールを蒸発留出させつつ留出量にほ
    ぼ等しい量のエチレングリコールを連続的にないし間歇
    的に新たに供給して反応液の固形分濃度をほぼ一定に保
    持する、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 蒸留釜残中の、ジエチレングリコールの
    テレフタル酸エステルの含有量が10〜30重量%であ
    る、請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 エステル交換反応の時間が0.5〜3時
    間である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 蒸留精製処理により回収蒸留釜残が発生
    したエチレングリコールが、ポリエチレンテレフタレー
    トをエチレングリコールを用いて解重合した反応生成物
    からビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを精
    製分離する過程で生じたものである、請求項1〜4のい
    ずれかに記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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