JP2003238480A - エチレングリコールの回収蒸留釜残の処理方法 - Google Patents
エチレングリコールの回収蒸留釜残の処理方法Info
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Abstract
残渣に含まれるジエチレングリコールのテレフタル酸エ
ステル(DEGエステル)を有効成分のBHETに変換
することで、該残渣をBHETの製造工程へリサイクル
することを可能にし、製品BHETの収率を高める方法
を提供する。 【解決手段】 粗エチレングリコールの蒸留精製処理で
釜残として取出された、固形分として少なくともDEG
エステルを含む、エチレングリコール回収蒸留釜残に、
該蒸留釜残中の全固形分に対して2〜20重量倍のエチ
レングリコール及び0.1〜1.0重量%のエステル交
換触媒を加え、加熱下に、該DEGエステルとエチレン
グリコールのエステル交換反応を行ってBHETとジエ
チレングリコールを生成するとともに生成したジエチレ
ングリコールを、常圧〜0.5MPaの圧力下でエチレ
ングリコールとともに蒸発留出させる方法。この方法で
得られた残渣はBHET製造工程に有利に戻すことがで
きる。
Description
回収蒸留釜残の処理方法に関する。さらに詳しくは、粗
エチレングリコール、特にポリエチレンテレフタレート
からビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製
造する過程で発生する粗エチレングリコールの回収蒸留
釜残に含まれるジエチレングリコールのテレフタル酸エ
ステルをビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート
に変換する処理方法に関する。
性、熱特性、化学特性等に優れることから、ボトル、繊
維、フィルムなど各種成形品分野で用いられている。ポ
リエチレンテレフタレートは、通常、テレフタル酸とエ
チレングリコールのエステル化反応またはジメチルテレ
フタレートとエチレングリコールのエステル交換反応に
よってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートお
よびそのオリゴマーを主成分とする反応生成物を得、こ
れをさらに重縮合させることによって製造される。その
際、用途に応じた要求特性を満足させる目的で、第三成
分を共重合させたり、特性付与剤例えば、着色剤、安定
剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を添加することが行わ
れている。
品、特にポリエチレンテレフタレート製ボトル(以下、
PETボトルという)の使い捨てが環境を悪化するとし
て社会問題となっており、この回収、再利用の検討が進
められている。
フタレート製成形品、特にPETボトルを回収し、これ
を粉砕してチップまたはフレークにし、エチレングリコ
ールを用いて解重合(グリコリシス)し、得られる反応
生成物から分離精製して高純度のビス(2−ヒドロキシ
エチル)テレフタレートを得、さらにこの高純度のビス
(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを重縮合させ
ることでポリエチレンテレフタレートとする方法があ
る。
結果、ポリエチレンテレフタレートのグリコリシスで得
られた反応生成物が、不純物として、前記特性付与剤
(例えば着色物)、主として反応触媒や安定剤によるイ
オン、ポリマー製造時やグリコリシス時に副生するジエ
チレングリコール、該ジエチレングリコールのテレフタ
ル酸エステル、成形品に取付けられ乃至付着して混入し
た他種樹脂(例えば、ボトルキャップ、ラベル等)など
を含むこと、これら不純物を脱色、脱イオン、晶析、分
子蒸留などの精製技術を組み合わせて除去することで高
純度のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを
製造し得ることを見出し、先に提案した(特開2000
−169623号公報、国際公開WO01/10812
号公報)。
成分を含む粗エチレングリコールが発生するが、この粗
エチレングリコールは蒸留精製に付され、精製エチレン
グリコールと、主として高沸点成分からなる蒸留残渣
(エチレングリコール回収蒸留釜残)に分けられる。こ
の精製エチレングリコールは、通常、前記グリコリシス
の原料として循環使用される。
ロキシエチル)テレフタレート(以下、BHETという
ことがある)、オリゴマー、ジエチレングリコールのテ
レフタル酸エステル(以下、DEGエステルということ
がある)、モノエチレングリコールテレフタレート(以
下、MHETエステルということがある)、エチレング
リコール、ジエチレングリコールおよび原料に同伴した
不純物からなる。
(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに含まれる
と、この製品ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレ
ートを原料として重縮合したポリエチレンテレフタレー
ト中のジエチレングリコールの含有量に直接影響するこ
とになる。そしてジエチレングリコールの含有量の高い
ポリエチレンテレフタレートは、融点の低下、着色、結
晶化速度等の物性を低下させ、好ましくない。
エチレングリコールを含んでいる前記残渣は、そのまま
ではビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製
造工程へ戻して、再利用することが困難であり、これま
では産業廃棄物として処分するしか方法がなかった。
いることから、このまま廃棄することは製品ビス(2−
ヒドロキシエチル)テレフタレートの収率低下、製造コ
ストの上昇等をもたらし、極めて不経済である。
渣に含まれるDEGエステルを有効成分のビス(2−ヒ
ドロキシエチル)テレフタレートに変換し、かつ遊離の
ジエチレングリコールを除去できれば、前記残渣を廃棄
処分にする必要がなくなり、ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレートの収率を著しく高め得ることに着目
し、その方法を鋭意検討した結果、本発明に到達した。
リコール回収蒸留釜残に含まれるDEGエステルを有効
成分のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに
変換し、該蒸留釜残を有効活用する方法を提供すること
にある。
シエチル)テレフタレートの製造工程で発生する粗エチ
レングリコールを蒸留精製に付し、その際生じる蒸留釜
残を、これに含まれるDEGエステルを有効成分のビス
(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートに変換した
後、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートの製
造工程へ戻すことで、製品ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレートの収率を高めるのに寄与する方法を
提供することにある。
下の説明から明らかになろう。
利点は、本発明によれば、固形分として少なくともジエ
チレングリコールのテレフタル酸エステルを含む、エチ
レングリコール回収蒸留釜残に、該蒸留釜残中の全固形
分に対して2〜20重量倍のエチレングリコールおよび
0.1〜1.0重量%のエステル交換触媒を加え、加熱
下に該テレフタル酸エステルとエチレングリコールのエ
ステル交換反応を行ってビス(2−ヒドロキシエチル)
テレフタレートとジエチレングリコールを生成するとと
もに生成したジエチレングリコールを常圧〜0.5MP
aの圧力下でエチレングリコールとともに蒸発留出させ
ることを特徴とするエチレングリコール回収蒸留釜残の
処理方法によって達成される。
記エステル交換反応時に、圧力を常圧〜0.5MPaに
調節しながらエチレングリコールとともにジエチレング
リコールを留出させつつ留出量にほぼ等しい量のエチレ
ングリコールを連続的にないし間歇的に新たに供給して
反応液の固形分濃度をほぼ一定に保持すること、前記蒸
留釜残中の、ジエチレングリコールのテレフタル酸エス
テルの含有量が10〜30重量%であること、前記エス
テル交換反応の時間が0.5〜3時間であること、前記
蒸留精製処理により回収蒸留釜残が発生したエチレング
リコールが、ポリエチレンテレフタレートをエチレング
リコールを用いて解重合した反応生成物からビス(2−
ヒドロキシエチル)テレフタレートを精製分離する過程
で生じたものであること、等を包含する。
チレングリコールの蒸留精製処理で釜残として取出され
た、固形分として少なくともジエチレングリコールのテ
レフタル酸エステル(DEGエステル)を含む蒸留残渣
である。この蒸留残渣中の、DEGエステルの含有量は
10〜30重量%であることが好ましい。この粗エチレ
ングリコールは、例えば、ポリエチレンテレフタレート
のエチレングリコールによるグリコリシスによって得ら
れる反応生成物からビス(2−ヒドロキシエチル)テレ
フタレートを精製分離する過程で発生したものである。
エチレンテレフタレートからなる使用済み成形品例えば
ボトル、繊維、フィルムなど、または成形不良もしくは
品質不良で製品にならなかったポリエチレンテレフタレ
ートを回収したものであり、少量、例えば10モル%以
下、好ましくは7モル%以下の第三成分例えばイソフタ
ル酸を共重合されたり、特性付与剤を加えて製造された
ものであってもよい。
エチレングリコールを用いて解重合する方法としては、
例えば特開2001−48837号公報、特開2000
−53802号公報、国際公開WO01/10812号
公報等に記載されている方法を用いることができる。そ
して、この解重合で得られた反応生成物を脱色処理、脱
イオン処理、晶析精製処理、蒸留処理等の精製処理に付
して精製ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート
を得る方法としては、例えば特開2001−48837
号公報、国際公開WO01/10812号公報等に記載
されている方法を用いることができる。
〜10重量倍のエチレングリコールを加え、温度220
〜270℃、圧力常圧〜0.7MPa下で加熱反応(解
重合)させ、得られた反応生成物に着色物、油脂分を除
去する脱色吸着処理、カチオンおよびアニオンを除去す
る脱イオン処理、晶析精製処理、さらに分子蒸留の精製
処理を施すことで高純度の精製ビス(2−ヒドロキシエ
チル)テレフタレートが得られる。この精製処理におい
て、エチレングリコールは溶媒として作用する。そし
て、この処理で発生した粗エチレングリコールは通常、
精製されて前記ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタ
レートの製造工程にリサイクルされる。この間に、エチ
レングリコールの一部は熱履歴によってジエチレングリ
コールに転換し、さらにその一部はビス(2−ヒドロキ
シエチル)テレフタレートとのエステル交換によってD
EGエステルとして存在することになる。
ートを製造する工程においては、不純物の製造工程での
蓄積を防止するために若干の系外への排出は必要である
が、循環使用されるエチレングリコールは、不純物の除
去操作のための溶媒としても使用され、その一部はエチ
レングリコールの精製処理を行ってエチレングリコール
より沸点の高いジエチレングリコールを除去することが
必要である。
処理工程では、エチレングリコールの加熱縮合によって
ジエチレングリコールが副生する。そして、このジエチ
レングリコールはテレフタル酸成分と結合してDEGエ
ステルを生成する。このため、精製処理過程で発生する
粗エチレングリコールには、前記工程で生成したDEG
エステルが濃縮された形で含まれることになり、その除
去が必要である。
ル酸エステル(DEGエステル)とは、テレフタル酸の
少なくとも一方のカルボキシル基にジエチレングリコー
ルがエステル結合したものであり、主としてテレフタル
酸の一方のカルボキシル基にジエチレングリコールがエ
ステル結合し、他方のカルボキシル基にエチレングリコ
ールがエステル結合したエステル(エチレングリコール
/ジエチレングリコールテレフタレート)からなるもの
である。
ールは蒸留精製処理に付されて精製エチレングリコール
と釜残としての蒸留残渣に分けられ、該精製エチレング
リコールは再度ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタ
レート製造工程、例えば解重合工程に戻される。粗エチ
レングリコールの蒸留精製は従来から知られている方
法、例えば減圧蒸留法で行うことができる。例えば、粗
エチレングリコールは、先ず水分のような低沸点成分を
蒸発留去し、次いで同じ蒸留塔または別の蒸留塔を用い
てエチレングリコールを蒸発留去する方法で蒸留精製す
ることができる。この場合、釜残として取出された残渣
はそのまま本発明の方法に供することが出来るが、場合
によっては該残渣をさらに遊離のジエチレングリコール
を蒸発除去する処理に掛けてから本発明の方法に供して
もよい。
常、重量単位で15〜25%のDEGエステル、50〜
60%のBHET、10〜20%のエチレングリコー
ル、5〜10%のジエチレングリコール、2〜5%のオ
リゴマーおよび0.1〜0.5%のイソフタル酸エステ
ル等を含有している。この中、ジエチレングリコール、
DEGエステルおよびイソフタル酸エステル以外の成分
(すなわち、BHET、オリゴマーおよびエチレングリ
コール)は有効成分として使用でき、ビス(2−ヒドロ
キシエチル)テレフタレート製造工程に戻しても製品品
質に何ら影響を与えないものである。
DEGエステルをエステル交換触媒の存在下で過剰のエ
チレングリコールを用いてエステル交換を行って、該D
EGエステルのジエチレングリコール成分をエチレング
リコール成分と入れ替え、遊離するジエチレングリコー
ル(DEG)をエチレングリコール(EG)とともに蒸
発させ、系外に留去させ、代わりに新しいEGを供給す
ることによって、DEGの含量の少ないBHETを主成
分とするテレフタル酸のエチレングリコールエステル
(以下、EGエステルということがある)となし、ビス
(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート製造プロセス
へリサイクルする方法によって、廃棄物の減少と工程収
率の向上を図ることができる。
残渣中の全固形物重量に対して、好ましくは2〜20重
量倍、より好ましくは3〜10重量倍、さらに好ましく
は4〜8重量倍のエチレングリコール(EG)および好
ましくは0.1〜1.0重量%、より好ましくは0.2
〜0.5重量%のエステル交換触媒を用い、これらを前
記蒸留残渣と混合し、加熱下に、例えば常圧〜0.5M
Pa、好ましくは0.1〜0.2MPaの圧力下でEG
を沸騰蒸発させながら行う。その際、蒸発量に見合った
量のEGを添加して反応液中の固形分濃度をほぼ一定に
維持するのが好ましい。これによって、エステル交換を
効率的に行うことが出来る。また、この蒸発によって、
遊離のジエチレングリコールも分圧に比例した割合でエ
チレングリコールとともに蒸発して系外に留去される。
反応時間としては、好ましくは0.5〜3時間、さらに
は1〜2時間が好ましい。このエステル交換反応は回分
式で行っても連続式で行ってもよい。連続式で行う場合
には、反応液の滞留時間を、好ましくは0.5〜3時
間、さらには1〜2時間として行うのが好ましい。この
エステル交換反応によって、DEGエステルの含有量
を、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは4重量
%以下にすることができる。
媒を用いることができ、例えば酢酸コバルト、酢酸亜
鉛、酢酸マンガンなどの酢酸塩、水酸化ナトリウム、ナ
トリウムメチラートなどのアルカリ金属化合物等を好ま
しく挙げることができる。これら触媒は、その種類によ
って活性度に違いがあるが、0.1〜1.0重量%の範
囲で触媒活性度に見合った使用量を決定すればよい。ま
た、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート製造
工程で用いる解重合触媒と同じ種類の触媒を用いるのが
工程管理上望ましい。そして、脱カチオン処理の負荷を
大幅に増加させるものや脱イオン性の低いものは好まし
くない。因みに、DEGエステルのビス(2−ヒドロキ
シエチル)テレフタレートへの変換が円滑に進行する触
媒が望ましいほか、重金属の使用は当然回避しなければ
ならない。
蒸留精製に供する粗エチレングリコール中の遊離のジエ
チレングリコール(DEG)量、pH、エチレングリコ
ール回収精製系の滞留時間等によって変化し、DEG量
が多い場合、pHが低く酸性度が強い場合、また滞留時
間が長い場合には多くなる。
塔に供給して水分等の低沸点物を塔頭から除き、塔底物
を第2蒸留塔に供給して該第2蒸留塔の塔頭から精製さ
れたエチレングリコールを回収し、塔底から抜出した液
を濃縮器に供給して残存するエチレングリコール、ジエ
チレングリコールを蒸発回収する方法において、エチレ
ングリコールよりも沸点の高いジエチレングリコール
が、残渣中のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレ
ートとのエステル交換反応によってDEGエステルに移
行するために高いDEGエステル含有量となる。
成反応を逆方向に進めるためにエステル交換触媒および
大量のエチレングリコールを用いてエステル交換反応を
行う必要がある。
分式で行っても連続式で行ってもよく、またエステル交
換反応器から蒸発する蒸気はエチレングリコール蒸留塔
へ直接供給するか、あるいは一旦凝縮器によって凝縮し
てから粗エチレングリコールと混合してエチレングリコ
ール精製供給液として用いてもよい。
ールの精製が連続式で行われるのであれば連続式、回分
式で行われるのであれば回分式で行うのが望ましい。
供給する、エチレングリコール回収蒸留釜残量に見合っ
た量のエステル交換反応生成物を、該反応器から取出し
てビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート製造の
ための、国際公開WO01/10812号公報に記載の
方法における脱イオン処理工程より前の工程へ戻すこと
が好ましい。特に、解重合反応工程へ戻すことが好まし
く、この場合エステル交換触媒を解重合触媒としても使
用することができる。
ステル交換反応生成物をさらに晶析精製の処理に付して
精製することで、ジエチレングリコール、DEGエステ
ルおよびイソフタル酸エステルのビス(2−ヒドロキシ
エチル)テレフタレート製造工程へのリサイクル量を大
幅に減少することができる。このことは、エチレングリ
コールに対するジエチレングリコール、DEGエステル
およびイソフタル酸エステルの溶解度がビス(2−ヒド
ロキシエチル)テレフタレートやオリゴマーよりも数倍
も高いことに起因している。
らには10〜30℃に冷却しながら3〜7時間、さらに
は3.5〜5時間掛けて行うのが好ましい。濾過は従来
から知られている方法で行うことが出来る。この晶析処
理ではジエチレングリコール、DEGエステルおよびイ
ソフタル酸エステルは主として濾液側に存在し、濾過し
たケーク中のDEGエステルの含有量を3重量%以下、
さらには2重量%以下にすることができる。濾過したケ
ークはビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート製
造工程の脱イオン処理工程より前の工程へ戻すことが好
ましい。特に、解重合反応工程へ戻すことが好ましい。
テルをEGエステル、特にビス(2−ヒドロキシエチ
ル)テレフタレートに変換し、かつジエチレングリコー
ル量を低減できるから、従来廃棄処分にしていたものを
有効活用することが出来るようになり、この為ポリエチ
レンテレフタレート成形品、特にPETボトルから高純
度のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製
造する方法の効率をより一層高めることができる。
る。なお、例中の特性は下記の方法で測定した。 (1)蒸留残渣、反応液の組成分析 1) 成分の分離、量測定 試料5mgをクロロフォルムに溶解して約1,000p
pmの溶液を調製し、島津製作所製のHPLC LC−
6型にて、4.6mmID×250mmLのシリカ−60
のカラムによって温度40℃、流速1.0ml/分、注
入量5μl、移動相としてジクロロメタン/ジオキサン
を用い、測定波長240nmで紫外線吸光光度計の検出
器を用いて測定した。 2) LC/MSによる同定 HPLCのピークを同定するために、LC/MS測定を
行った。
と同じ条件で測定同定した。 (2) ジエチレングリコールの量 試料1gと30mlのメタノールおよび酢酸亜鉛2mg
を100mlのカリウス管中200℃でメタノリシスし
た液を用いてクロマトグラフで測定した。
g、エチレングリコール430kgおよび苛性ソーダ2
25gを1m3の解重合槽に仕込み、圧力0.13MP
a、温度220℃で2時間解重合反応を行い、85℃ま
で冷却し活性炭による脱色処理、カチオン交換体および
アニオン交換体による脱イオン操作を120リットル/
時で行い、ついで15℃で5時間晶析を行い、固液分離
し流下薄膜蒸発器で140℃、133Paで留去した
後、205℃、12Paで分子蒸留を行って精製ビス
(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)
を製造した。この製造工程から発生した粗エチレングリ
コールを回収し、塔頂温度143℃、圧力13.3KP
aでの蒸留に付し、塔底から釜残として蒸留残渣を取出
した。
%、DEGエステル23重量%、オリゴマー9重量%、
ジエチレングリコール6重量%、エチレングリコール7
重量%を含む蒸留残渣1kg、エチレングリコール5k
gおよび触媒として苛性ソーダ3gを10リットルのジ
ャケット付きオートクレーブに仕込み、圧力0.15M
Pa、温度224℃でエステル交換反応を開始し、0.
5MPaの圧力に調節しながら沸騰蒸発して圧力調節弁
の出口から出る蒸気を凝縮器で凝縮して留出量を500
kg/時になるように加熱調節し、同時に新しいエチレ
ングリコールを500kg/時加えて90分間反応した
後反応を停止した。
行ったところ、BHET94重量%、DEGエステル
3.0重量%、オリゴマー2.7重量%の結果が得ら
れ、前記エステル交換反応によるオリゴマーおよびDE
Gエステルの大幅な減少とBHETの増加が確認され
た。
の速度で冷却して15℃まで下げ、晶析を4.2時間行
った後、晶析スラリーをNo.5Aの濾紙によって吸引
濾過して36重量%の濾液成分を含む潤滑ケークを得
た。このケーク中の全固形分の分析を行ったところ、B
HET96.7重量%、DEGエステル1.6重量%、
オリゴマー1.1重量%、MHET0.6重量%の結果
が得られた。反応生成物の晶析によってさらにDEGエ
ステルが大幅に減少することが確認された。
たポリエチレンテレフタレート65kg、エチレングリ
コール430kgおよび苛性ソーダ225gを1m3の
解重合槽に仕込み、圧力0.13MPa、温度220℃
で2時間解重合反応を行い、85℃まで冷却し脱色、脱
イオン操作を120リットル/時で行い、ついで15℃
で5時間晶析を行い、固液分離し流下薄膜蒸発器で14
0℃、133Paで留去した後、温度205℃、圧力1
2Paで分子蒸留を行ってBHETを得た。
ろ、BHET86.3重量%、DEGエステル9.6重
量%、オリゴマー2.3重量%、MHET1.8重量%
の結果が得られた。粗エチレングリコールの蒸留精製処
理で釜残として取り出された蒸留残渣をエステル交換処
理することなしに、BHETの製造工程に戻すと、極め
て純度の低いBHETしか得られないことが確認でき
た。
エチル)テレフタレートの製造工程で発生する粗エチレ
ングリコールを蒸留精製に付し、その際生じる残渣に含
まれるジエチレングリコールのテレフタル酸エステルを
有効成分のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレー
トに変換することで、該残渣をビス(2−ヒドロキシエ
チル)テレフタレートの製造工程へリサイクルすること
を可能にし、製品ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフ
タレートの収率を高める方法を提供することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 固形分として少なくともジエチレングリ
コールのテレフタル酸エステルを含む、エチレングリコ
ール回収蒸留釜残に、該蒸留釜残中の全固形分に対して
2〜20重量倍のエチレングリコールおよび0.1〜
1.0重量%のエステル交換触媒を加え、加熱下に該テ
レフタル酸エステルとエチレングリコールのエステル交
換反応を行ってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタ
レートとジエチレングリコールを生成するとともに生成
したジエチレングリコールを常圧〜0.5MPaの圧力
下でエチレングリコールとともに蒸発留出させることを
特徴とするエチレングリコール回収蒸留釜残の処理方
法。 - 【請求項2】 エステル交換反応時に、圧力を常圧〜
0.5MPaに調節しながらエチレングリコールととも
にジエチレングリコールを蒸発留出させつつ留出量にほ
ぼ等しい量のエチレングリコールを連続的にないし間歇
的に新たに供給して反応液の固形分濃度をほぼ一定に保
持する、請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 蒸留釜残中の、ジエチレングリコールの
テレフタル酸エステルの含有量が10〜30重量%であ
る、請求項1または2に記載の方法。 - 【請求項4】 エステル交換反応の時間が0.5〜3時
間である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 - 【請求項5】 蒸留精製処理により回収蒸留釜残が発生
したエチレングリコールが、ポリエチレンテレフタレー
トをエチレングリコールを用いて解重合した反応生成物
からビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを精
製分離する過程で生じたものである、請求項1〜4のい
ずれかに記載の方法。
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