JP2001335539A - ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートの蒸留精製方法 - Google Patents

ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートの蒸留精製方法

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JP2001335539A JP2000156975A JP2000156975A JP2001335539A JP 2001335539 A JP2001335539 A JP 2001335539A JP 2000156975 A JP2000156975 A JP 2000156975A JP 2000156975 A JP2000156975 A JP 2000156975A JP 2001335539 A JP2001335539 A JP 2001335539A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエチレンテレフタレートの製造に有用な
高品質の精製ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレー
トを効率よく製造すること。 【解決手段】 ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレ
ートを主たる溶質としそしてエチレングリコールを主た
る溶媒とする溶液を脱イオン処理し、次いで、酸性リン
化合物およびそのエステル誘導体よりなる群から選ばれ
る少なくとも1種のリン化合物を、該ビス−β−ヒドロ
キシエチルテレフタレート当たり、リン原子として3p
pm乃至300ppm添加しそして蒸留することによる
ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートの蒸留精製
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はビス−β−ヒドロキ
シエチルテレフタレートの蒸留精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートは優れた物
理的、化学的特性を有し、繊維、フィルム、樹脂など各
種用途に広く用いられている。近年、その用途はますま
す多岐にわたり、従って、その要求性能も多様化しかつ
また高度化しつつある。ポリエチレンテレフタレート
は、現在、テレフタル酸とエチレングリコールとの直接
エステル化によるか、テレフタル酸の低級アルキルエス
テル、殊にジメチルテレフタレートとエチレングリコー
ルとのエステル交換反応によってビス−β−ヒドロキシ
エチルテレフタレートを含む中間体を製造し、ついでそ
れを高温、高真空下で縮重合反応させる方法で、主とし
て生産されている。そしてかかる反応では、通常、反応
触媒が用いられている。
【0003】ポリエチレンテレフタレートは、基本的に
前述のごとく高温、高真空下に重合触媒として各種金属
化合物例えばアンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマ
ニウム化合物、マンガン化合物等を存在させ、長時間溶
融状態に保たれることにより高重合度化されるが、前述
した各種要求特性を網羅的に満たすことは容易ではな
い。そこで、ポリエチレンテレフタレートを高機能化さ
せたり、高品質化させる手段として、従来、ポリマーに
新規な共重合成分を導入したり、重合触媒を改良した
り、各種添加物を加えるなどの方法が提案されてきた
が、抜本的なものとはなり得ていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ポリエチレンテレフタ
レートの高品質化には、まず原料の高品質化が基本であ
り、それによって本質的に高品質化されたポリマーを得
ることが可能となろう。この原料であるテレフタル酸、
あるいは、その低級アルキルエステルであるジメチルテ
レフタレートの精製については、従来から各種の提案が
なされているが、より最終ポリマーに近い側にあるビス
−β−ヒドロキシエチルテレフタレートについては、未
だ、高品質化を達成する実用的手段が開発されていな
い。それが達成されれば、それは本質的に高品質化され
たポリマーを得るための極めて有用な手段となると考え
られる。
【0005】ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレー
トの精製法として、従来、蒸発または蒸留によらず、再
結晶操作により高品質化する方法が提案されている。し
かし、この手法は、外見上あたかも高品質化したかのよ
うに見えるものの、実際には、なお不純物が残存し、そ
れが高品質化されたポリマーを得るうえでの障害となる
場合が多かった。ことに、ポリエチレンテレフタレート
を回収し、エチレングリコールによってビス−β−ヒド
ロキシエチルテレフタレートに解重合して再度ポリエス
テルを得ようとする場合にあっては、その弊害が顕著に
認められる。一方、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフ
タレートを蒸発または蒸留により精製する提案もなされ
ているが、その場合にあっては、通常、粗ビス−β−ヒ
ドロキシエチルテレフタレートは、蒸発または蒸留操作
にかけられた場合、障害となる縮合反応が顕著に起こ
り、精製ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート溜
分を実用的に得ることが困難であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者はこの蒸留精製
法を検討し、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレー
トの蒸発または蒸留におけるかかる弊害は、その蒸留操
作に到るまでにおいて脱イオンし、さらに、ビス−β−
ヒドロキシエチルテレフタレートの沸点より低い沸点の
物質を実質的に除去し、しかる後、130〜250℃と
いうビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートが品質
劣化を起こしにくい温度領域において減圧下蒸発または
蒸留することによって、実質的に抑止することが可能と
なることを見出し、先に提案した。しかし、その場合に
あっても、蒸留精製工程の順調な遂行が阻害される場合
があった。本発明者は、その問題の解決に鋭意努力した
結果、前記蒸留精製を特定のリン化合物の存在下に実施
することにより、優れた品質の精製ビス−β−ヒドロキ
シエチルテレフタレートを効率よく得ることができるこ
とを見出し、本発明を完成するに到った。本発明者はこ
の効率をさらに高めるべく検討を重ねた結果、前記蒸留
精製を特定のリン化合物の存在下に実施することによ
り、極めて少量残存するカチオンの影響を減殺し、一層
優れた品質の精製ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタ
レートを効率よく得ることができることを見出し、本発
明を完成するに到った。
【0007】すなわち、本発明は、ビス−β−ヒドロキ
シエチルテレフタレートを主たる溶質としそしてエチレ
ングリコールを主たる溶媒とする溶液を脱イオン処理
し、次いで、酸性リン化合物およびそのエステル誘導体
よりなる群から選ばれる少なくとも1種のリン化合物
を、該ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート当た
り、リン原子として3ppm乃至300ppm添加しそ
して蒸留することを特徴とするビス−β−ヒドロキシエ
チルテレフタレートの蒸留精製方法である。
【0008】本発明においてビス−β−ヒドロキシエチ
ルテレフタレートを主たる溶質とし、エチレングリコー
ルを主たる溶媒とする溶液としては、ポリエチレンテレ
フタレートをエチレングリコールで解重合して得られる
溶液(生成物)や、これに、例えば、さらにエチレング
リコールを加えるなどの手段により、さらにエチレング
リコールを加えて溶質濃度を調整した溶液が好ましく用
いられる。溶質の濃度は5〜50重量%、さらには10
〜30重量%であることが好ましい。
【0009】本発明において、このポリエチレンテレフ
タレートは、エチレンテレフタレートを主たる構成単位
とするポリエステルであり、例えばエチレンテレフタレ
ートホモポリマーおよび他の構成成分の1種以上を少割
合共重合したコポリマーが含まれる。その共重合成分の
許容される範囲は、例えば、全構成単位当り通常40モ
ル%以下、好ましくは30モル%以下、さらに好適には
20モル%以下である。共重合され得る成分の例として
は、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸、ジフェニル
ジカルボン酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸、ジ
フェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ナトリウムスル
フォイソフタル酸のごとき芳香族ジカルボン酸;セバチ
ン酸、アジピン酸のごとき脂肪族ジカルボン酸;ヘキサ
ヒドロテレフタル酸のごとき脂環族ジカルボン酸などを
挙げることができる。また、ジオール成分としてトリメ
チレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサ
メチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビ
ス−β−ヒドロキシエチルビスフェノールA、ビス−β
−ヒドロキシエトキシジフェニルスルフォン、ビス−β
−ヒドロキシエトキシジフェニルエーテル、ジエチレン
グリコール、ポリエチレングリコールなどを挙げること
ができる。また、ヒドロキシカルボン酸類、例えば、p
−ヒドロキシエトキシフェニルカルボン酸のごときもの
も例として挙げることができる。さらに、3官能以上の
多官能化合物および/または単官能化合物を併用するこ
ともポリエステルが線状を保つ範囲において可能であ
る。3官能以上の多官能化合物の例としては、トリメシ
ン酸、グリセリン、ペンタエリスリトールなど、また、
単官能化合物の例としては、ジフェニルモノカルボン
酸、ジフェニルエーテルモノカルボン酸、フェノキシポ
リエチレングリコールなどを挙げることができる。これ
ら各種共重合成分はエステルの状態にするなど、機能的
誘導体として用いることが可能であり、また、これらは
1種または2種以上を用いても良い。かかるポリエチレ
ンテレフタレートは、通常、その製造反応においてそれ
自体公知の重合触媒、例えばアンチモン化合物、チタン
化合物、ゲルマニウム化合物等が使用される。
【0010】エチレングリコールによる解重合に供され
る前記ポリエチレンテレフタレートは、通常、屑ポリマ
ーあるいは回収ポリマーと称されるものであることがで
きる。その形状は任意であることができ、例えば繊維、
フィルム、ボトル等の成形品を切断、粉砕などの手段で
細かくしたものや、さらに溶融加工したもの、例えばフ
レーク、チップ、ペレットなどとして好ましく用いるこ
とができる。その場合、解重合せんとするポリマーが、
商品形態となって他の材料と混在していたり、ごみのよ
うな異物と混在しているような状態にあっても、必要に
応じ、選別、濾別、などの異物除去工程を適用すること
によって本発明を支障なく実施することができる。
【0011】そのような具体例を挙げれば、屑ポリマー
や回収ポリマーが、例えば、ポリマーが繊維状の商品形
態をとっていた場合に異種繊維と混在していたり、艶消
し剤の酸化チタンを含んでいたり、フィルム状の形態で
あって他種フィルム材料と混在していたり、ポリマー中
に滑剤などの各種添加剤を含んでいたりあるいはその他
の成形品、例えばボトルの形態で蓋部分やボトム部分に
用いられたポリエチレンなどの他種材料とともに破砕さ
れて混在していたりあるいはラベルなどに用いられた紙
またはプラスチック類のような他種材料と混在している
ような状況は、むしろ通常である。本発明においては、
必要に応じ、選別、濾別などの異物除去工程を適用する
ことによって本発明を支障なく実施することができるの
である。
【0012】前記解重合は、それ自体公知の方法で行う
ことができる。例えば屑または回収ポリエチレンテレフ
タレートのフレークとエチレングリコールを加熱混合し
て解重合する方法で行うことができる。また、本発明者
が別途提案した方法、すなわち屑または回収ポリエチレ
ンテレフタレートを、ビス−β−ヒドロキシエチルテレ
フタレートを用いて予備解重合し、その後エチレングリ
コールを加えてさらに解重合する方法で行うことも好ま
しい。解重合で得られた溶液は、通常、原料ポリエチレ
ンテレフタレートに含まれていたカチオンやアニオンを
含んでいる。また、ポリマー回収過程で混入した他種ポ
リマー例えばポリオレフィンを含んでいることもある。
【0013】本発明においては、前記した溶液を蒸留処
理にかける前に脱イオン処理に付す必要がある。この脱
イオン処理としてはイオン交換体、殊にイオン交換樹脂
を用い、これと溶液を接触させることで行うのが好適で
ある。脱イオン処理では、脱カチオン処理または脱アニ
オン処理のいずれか一方の単独処理でもそれなりの効果
は得られるが、実質的に脱カチオンおよび脱アニオンの
両処理をすることが実用的である。その際、脱カチオン
処理と脱アニオン処理は、順序は関係なくどちらが先で
も後でもよいし、それぞれ複数回実施してもよい。この
処理に適する脱カチオン用イオン交換樹脂としてはアン
バーライトの陽イオン交換樹脂(オルガノ社製)を、脱
アニオン用イオン交換樹脂としてはアンバーライトの陰
イオン交換樹脂(オルガノ社製)を好ましいものとして
例示することができる。かかるイオン交換樹脂を用いた
脱イオン処理工程は、それ自体公知の方法を適用して実
施することが可能であるが、ビス−β−ヒドロキシエチ
ルテレフタレートを主とする溶質が処理中に析出するこ
とのないように、イオン交換樹脂が安定して使用に耐え
得るような温度条件と溶液中のビス−β−ヒドロキシエ
チルテレフタレートが析出しない濃度で実施される。こ
の温度としては、イオン交換樹脂の種類や形状、また、
溶液中の溶質濃度にもよるが、40〜60℃の範囲から
選択するのが好ましい。
【0014】かかる脱イオン処理によって、ビス‐β‐
ヒドロキシエチルテレフタレーを主たる溶質としそして
エチレングリコールを主たる溶媒とする溶液から、該ビ
ス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートを析出するこ
となく、カチオンおよび/またはアニオンを除去するこ
とができる。因みに、この脱イオン処理によって、溶液
中に存在するイオン、例えば(i)Na、Mg、Ca、
Fe、Co、Zn、Ti、Sn、Sb、GeおよびPに
より形成されるカチオンおよび(ii)ハロゲン、NO
2、NO3、PO4およびSO4により形成されるアニオン
を、ビス‐β‐ヒドロキシエチルテレフタレートを主と
する溶質当り、合計イオン含有量が50ppm以下にな
るまで除くことが好適である。この合計イオン含有量は
40ppm以下が好ましく、より好ましくは30ppm
以下である。
【0015】本発明においては、ビス−β−ヒドロキシ
エチルテレフタレートを主たる溶質としそしてエチレン
グリコールを主たる溶媒とする溶液を脱イオンした後、
酸性リン化合物およびこのエステル誘導体よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種のリン化合物を、該ビス−β
−ヒドロキシエチルテレフタレート当たり、リン原子と
して3ppm乃至300ppm添加して蒸留する。リン
化合物の添加量は、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフ
タレート当たり、リン原子として300ppmより多く
添加すると、分子蒸留器の伝熱面へのスケールの生成と
いった弊害があり、一方3ppmより少ない量添加すれ
ば、滞留時間が長くなるとオリゴマー化するという問題
を生ずる。リン化合物の添加量は、好ましくは5ppm
乃至100ppmの範囲である。
【0016】かかるリン化合物の好適な例としては、リ
ン酸、亜リン酸およびこれらのエステル類例えば、トリ
メチルエステル、ジメチルエステル、トリエチルエステ
ル、ジエチルエステルの如きアルキルエステルあるいは
トリフェニルエステル、ジフェニルエステルの如きアリ
ールエステル等が挙げられる。これらは1種または2種
以上用いることができる。エステル類の例としては、炭
素数1〜6の低級アルキルのエステルが殊に好適であ
る。
【0017】前記リン化合物の添加は、全量を一挙に添
加しても良いし、必要に応じ、種類毎、あるいは一部も
しくは全量を任意に分割して添加してもよい。また、リ
ン化合物は、そのまま添加してもよいが、エチレングリ
コール溶液の如き適当な溶液として添加するのが好まし
い。かかるリン化合物を添加することで、蒸留工程が順
調に遂行され、優れた品質のビス−β−ヒドロキシエチ
ルテレフタレートが効率良く得られる理由は、詳らかで
はないが、脱イオン工程を経たとはいえ、なお微量残存
するカチオンを捕捉してその活性を抑制することによる
こともその1つの理由と考えられる。
【0018】本発明においては、脱イオン処理を行った
後にかかる特定のリン化合物を添加して蒸留処理を行う
が、精製されたビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレ
ート溜分を実用的に得るには、特定の温度条件下、減圧
条件下に蒸留することが好ましい。また、それを実用的
に実施するには、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタ
レートの蒸留を蒸留温度、圧力下における沸点蒸留すな
わち平衡蒸留ではなく、一度蒸発したビス−β−ヒドロ
キシエチルテレフタレートの分子が実質的に再び蒸発面
へ戻ることなく、蒸発面から凝縮面への分子の一方的移
動が起こる非平衡蒸発または蒸留を行うことが好まし
い。そして、それに適した蒸留手段を用いることが好ま
しい。かかる蒸留操作は、一般に分子蒸留という名称で
呼ばれることがある。
【0019】かかる蒸留処理は、好ましくは130〜2
50℃の温度範囲、より好ましくは160〜220℃の
温度範囲で、かつ減圧下、好ましくは133.3Pa
(1mmHg)(絶対圧)以下、特に好ましくは67P
a(0.5mmHg)(絶対圧)以下の減圧下で行うの
が有利である。また、蒸発または蒸留装置でのビス−β
−ヒドロキシエチルテレフタレートの平均滞留時間は好
ましくは2時間以下、より好ましくは1.5時間以下と
するのが有利である。
【0020】前記分子蒸留を実施するに際しては、ビス
−β−ヒドロキシエチルテレフタレートの沸点より低い
沸点の物質、特に溶媒のエチレングリコールを予め留去
させて除去し、その含有量が好ましくは10重量%以
下、さらに好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2
重量%以下とする。これにより、分子蒸留の効率を高め
ることができる。本発明においては、リン化合物を添加
するよりも前の段階において、好ましくは脱イオン処理
する前に脱色処理を行うかまたはリン化合物を添加する
よりも前の段階において晶析処理を行うかあるいはリン
化合物を添加するよりも前の段階において、脱色および
脱イオン処理し、その後晶析処理を行うことが好まし
い。
【0021】前記脱色処理はビス−β−ヒドロキシエチ
ルテレフタレートを主たる溶質としそしてエチレングリ
コールを主たる溶媒とする溶液で行うことが望ましい。
この脱色処理には活性炭などの吸着剤が有用である。脱
色処理は、前記溶液を吸着剤充填層に通すことで、また
は該溶液中に吸着剤を添加し、攪拌混合した後該吸着剤
を分離することで行うことができる。
【0022】前記脱色処理は、前述のように、ビス−β
−ヒドロキシエチルテレフタレートを結晶として取り出
す晶析工程と組み合わせて実施することが可能である。
すなわち、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート
のエチレングリコール溶液を、溶質が析出しないような
温度および濃度条件下で活性炭などの吸着剤と接触さ
せ、その後該吸着剤を分離除去し、次いでビス−β−ヒ
ドロキシエチルテレフタレートが析出するような温度お
よび濃度条件においてビス−β−ヒドロキシエチルテレ
フタレートを析出させて分離採取する方法を有用な態様
として挙げることができる。
【0023】前記晶析処理、すなわちビス−β−ヒドロ
キシエチルテレフタレートを結晶として析出分離する処
理は、脱イオン処理後、蒸留精製する直前に行ってもよ
いし、脱イオン処理に先立って行ってもよい。さらに、
脱イオン処理に先立って行い、それに加えて脱イオン処
理後に行ってもよい。晶析処理は、脱イオン処理とは別
に、1回以上行うことができ、また好適な態様である。
脱イオン処理前に晶析処理を行う場合には、晶析分離し
たビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートを再度エ
チレングリコールに溶解して溶液として、脱イオン処理
に供する。
【0024】本発明においては、蒸留を実施するに先立
ち、前述のごとくビス−β−ヒドロキシエチルテレフタ
レートを結晶として取り出す工程を1回以上経由するの
が好ましい。このビス−β−ヒドロキシエチルテレフタ
レートを結晶として取り出す工程は、通常、エチレング
リコールを主たる溶媒としビス−β−ヒドロキシエチル
テレフタレートを主たる溶質とする溶液において、高温
域においては溶液状態を保ち、低温域においてはビス−
β−ヒドロキシエチルテレフタレートを析出するような
濃度を選択して実施される。その場合、溶液状態を保つ
高温域条件は、前述した脱イオン工程におけるイオン交
換樹脂の耐熱温度内とすることが可能である場合が多
く、これらを組み合わせた態様を取ることが好適であ
る。また、必要に応じて、希釈、濃縮などの操作を付加
することも本発明の範囲において可能である。
【0025】本発明の方法において蒸留精製された精製
ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートは、極めて
高品質であり、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレ
ートの含有量を、好ましくは97重量%以上、より好適
には98重量%以上とすることが可能である。そして、
該精製ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートは、
ポリエステル、殊にポリエチレンテレフタレートの製造
に有利に使用される。例えば、該精製ビス−β−ヒドロ
キシエチルテレフタレートは、前述のごとき各種用途に
広く用いられるポリエチレンテレフタレートの原料の少
なくとも一部として好適に使用される。そして、得られ
たポリエチレンテレフタレート(PET)は、繊維、フ
ィルム、ボトルなどといった各種成形品として何ら問題
なく使用可能である。
【0026】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下実施例を挙げる。本発明が、これらの例に限定される
ものではない。
【0027】実施例1 市中から回収されたPETボトルを8〜10mmのサイ
ズに湿式粉砕、洗浄、乾燥を行ったPETボトルフレー
ク50kg、ナトリウムメチラート0.25kg、エチ
レングリコール360kgを700lの熱媒体油ポン
プ、循環加熱ジャケット、還流コンデンサーおよび攪拌
機付きのオートクレーブに仕込み、200℃、0.15
MPaの条件下で150分間解重合反応を行った。次
いで、ジャケットの熱媒体油の温度を下げて50〜60
℃に3時間保ち、析出したオリゴマーおよびキャップや
ラベルなどの狭雑物を0.8μmのフィルターで濾別し
た後、脱色、脱アニオンおよび脱カチオン処理を行っ
た。導電率は、37μS/mであって、十分なイオンの
除去はできていなかった。
【0028】次いで、−5℃のブラインで冷却しつつ、
180分間冷却分級式晶析槽で晶析を0〜2℃で行い、
デカンターによって結晶分離を行って102kgの粗ビ
ス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートのケークを得
た。得られたケーク中の固形物は63.1重量%であっ
た。このケーク50kgに対して85%リン酸1.4g
と亜リン酸トリ−n−ブチル1.8gとを加えて90〜
98℃に加熱して溶解した。次いで真空蒸発器によって
5.33kPa(40Torr)、121℃でエチレン
グリコールを留去して粗ビス−β−ヒドロキシエチルテ
レフタレートの濃縮を行い、続いて15Pa(0.11
3Torr)の真空下、201℃で内部コンデンサーを
120℃に保ち、0.5m2の伝熱面積を有する薄膜蒸発
器にかけて38分で特に問題なしに蒸留精製を円滑に行
うことができた。得られた精製ビス−β−ヒドロキシエ
チルテレフタレートは、29.3kg、残渣1.77k
g、留出低沸点物約0.5kgであった。得られた精製
ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートの品質は、
光学密度は、0.002(10%メタノール溶液)、着
色度L99.5、a‐0.9、b1.0、金属を認めず、
融点112.1℃であった。
【0029】比較例1 実施例1で得たケーク50kgを用いて実施例1で添加
したリン酸および亜リン酸トリ−n−ブチルの添加を行
わず同様の操作を行ったところ、蒸発精製を開始して1
3分経過した時点から攪拌機の動力が徐々に上昇を開始
し、同時に真空度が徐々に低下し、15Paから36P
a、55Pa、ついで87Paで平衡に達し、留出する
ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートの量が減少
し、残渣の抜き出しが不可能な詰まりを生じ、蒸発精製
を開始して27分後に停止せざるを得なくなった。分子
蒸留器の真空ポンプ入口に設置してあるコールドトラッ
プにはエチレングリコール留分が認められたことから明
らかに重縮合反応が生じたものと判断される。分子蒸留
器を解体し、詰り物の融点を測定した結果211℃を示
した。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、ビス−β−ヒドロキシ
エチルテレフタレートを主たる溶質とし、エチレングリ
コールを主たる溶媒とする溶液から、ポリエチレンテレ
フタレートの製造に有用な高品質の精製ビス−β−ヒド
ロキシエチルテレフタレートを効率よく得ることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AB46 AD10 AD40 BB14 BC51 BC52 BE04 BJ50 BN10

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレ
    ートを主たる溶質としそしてエチレングリコールを主た
    る溶媒とする溶液を脱イオン処理し、次いで、酸性リン
    化合物およびそのエステル誘導体よりなる群から選ばれ
    る少なくとも1種のリン化合物を、該ビス−β−ヒドロ
    キシエチルテレフタレート当たり、リン原子として3p
    pm乃至300ppm添加しそして蒸留することを特徴
    とするビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレートの蒸
    留精製方法。
  2. 【請求項2】 リン化合物の添加量が、ビス−β−ヒド
    ロキシエチルテレフタレート当たり、リン原子として5
    ppm乃至100ppmである請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 リン化合物が、リン酸、亜リン酸および
    これらのエステルよりなる群から選ばれる少なくとも1
    種である請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 リン化合物が、リン酸、亜リン酸および
    これらの低級アルキルエステルよりなる群から選ばれる
    少なくとも1種である請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレ
    ートを主たる溶質としそしてエチレングリコールを主た
    る溶媒とする溶液がリン化合物を添加するよりも前に、
    脱色工程に付されたものである請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 リン化合物を添加する際の溶液中のビス
    −β−ヒドロキシエチルテレフタレートが予め晶析工程
    に付されたものである請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレ
    ートを主たる溶質としそしてエチレングリコールを主た
    る溶媒とする溶液がリン化合物を添加するよりも前にお
    いて、脱色に付され、脱イオン処理に付され、その後晶
    析工程に付されたビス−β−ヒドロキシエチルテレフタ
    レートを含有する請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 リン化合物を添加する際の溶液が、ビス
    −β−ヒドロキシエチルテレフタレートに対し、(i)
    Na、Mg、Ca、Fe、Co、Zn、Ti、Sn、S
    b、GeおよびPにより形成されるカチオン並びに(i
    i)ハロゲン、NO2、NO3、PO4およびSO4により
    形成されるアニオンを、合計で高々50ppmで含有す
    る請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記カチオンおよびアニオンの合計含有
    量が高々40ppmである請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記カチオンおよびアニオンの合計含
    有量が高々30ppmである請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 蒸留を、溶媒が実質的に除去された
    後、130〜250℃の範囲の温度で実施する請求項1
    に記載の方法。
  12. 【請求項12】 蒸留を、溶媒が実質的に除去された
    後、300Pa(2.25mmHg)(絶対圧)以下の
    減圧下で実施する請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタ
    レートを主たる溶質としそしてエチレングリコールを主
    たる溶媒とする溶液が、ポリエチレンテレフタレートを
    エチレングリコールで解重合した生成物または、該生成
    物の溶質濃度を調整した溶液である請求項1に記載の方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7211193B2 (en) 2002-06-04 2007-05-01 Pet Rebirth Co., Ltd. Processes for the purification of bis(2-hydroxyethyl)terephthalate

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