JP2003238452A - 有機塩素化合物の分解方法 - Google Patents

有機塩素化合物の分解方法

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JP2003238452A
JP2003238452A JP2002037175A JP2002037175A JP2003238452A JP 2003238452 A JP2003238452 A JP 2003238452A JP 2002037175 A JP2002037175 A JP 2002037175A JP 2002037175 A JP2002037175 A JP 2002037175A JP 2003238452 A JP2003238452 A JP 2003238452A
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carbon
decomposing
compound
chlorine
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Application number
JP2002037175A
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English (en)
Inventor
Eiji Tanaka
中 栄 治 田
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Asahi Pretec Corp
Original Assignee
Asahi Pretec Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】本発明は有機塩素化合物の分解方法及びその装
置に関するものであり、比較的小規模なオンサイト処理
にも適用可能で、有機塩素化合物を無害な物質に迄完全
に分解できる方法及び装置の開発を目的としてなされた
ものである。 【解決手段】本発明に含まれる第一の工程では、有機塩
素化合物を炭素化分解して炭素と塩素との化合物とし、
第二の工程では更に水蒸気及び/または炭酸ガスを加え
て、塩化水素、水素及び一酸化炭素に分解する。更に有
機塩素化合物の分解工程が、有機塩素化合物を活性炭ま
たは遷移金属担持活性炭で吸着するゾーン、活性炭を加
熱して該有機塩素化合物を脱着させるゾーン、炭素化分
解ゾーン、塩化水素、水素及び一酸化炭素に分解するガ
ス化分解ゾーンからなっている。且つ本発明には、これ
らのゾーンが垂直に連結され、活性炭が上から下へ移動
床方式で移動可能に構成された有機塩素化合物分解装置
も含まれている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有機塩素化合物の分解方
法及びその装置に関するものである。更に詳しく述べる
と、有機塩素化合物を活性炭または遷移金属を担持した
活性炭を触媒として炭素化分解し、活性炭表面に炭素と
塩素との化合物を生成せしめる。その後水蒸気及び/ ま
たは炭酸ガスを加えて、活性炭表面の炭素と塩素との化
合物を塩化水素及び水素、一酸化炭素に分解する方法及
び分解装置に関するものである。有機塩素化合物を安全
な物質に全量分解できる特徴を有する方法であり、主と
して有害な有機塩素化合物の分解に適用される。
【0002】
【従来の技術】有機塩素化合物の分解方法としては、焼
却法、アルカリ分解法、超臨界法、ガス化溶融法、還元
分解法等が知られている。これらの方法が現在主として
有害な有機塩素化合物の分解・処理方法としても使用さ
れているが、これらの方法では有機塩素化合物が、安全
な物質に完全に分解されているとは言えない。
【0003】すなわち、焼却法では塩素を含有する有害
物質の場合には、排ガス中にダイオキシンが発生のおそ
れがあるため危険である。酸化によって有害物質を分解
させる焼却法では、厳密な最適温度及び滞留時間の保持
が要求され、この操作範囲から外れると塩素化ダイオキ
シンの様な、著しく毒性が高い副生物が生成するおそれ
がある。またアルカリ分解法ではアルカリ液の高温使用
に伴う危険性が高くまた、副産物の発生量が多いためそ
の処理に問題がある。
【0004】超臨界法はプロセスを超臨界に保持しなけ
ればならないため、設備費及び管理維持費が高額となる
点に問題がある。またガス化溶融法は設備費が高価なた
め、大量処理には適用可能であるが、少量の有害物質の
オンサイト処理に適用することは困難である。その他、
還元分解法もランニングコストが高く実用化には尚困難
な点が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】有機塩素化合物はご
く微量でも毒性が高い化合物を含む場合が多い。本発明
は有機塩素化合物に関する前述の様な問題点にかんが
み、比較的小規模なオンサイト処理にも適用可能な無害
化方法として、有機塩素化合物を無害な物質に迄完全に
分解できる方法及び装置を開発して、提供しようとする
ものである。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明者は有機塩素化
合物の無害化のために使用されている、従来の処理方法
における前述の様な問題点にかんがみ、比較的小規模な
オンサイト処理にも適用可能な無害化方法について検討
した。活性炭または遷移金属を担持した活性炭は、低温
において有機塩素化合物対して吸着性を有する点と、高
温においてはこれらの化合物の分解触媒性を併せ有する
点に着目して、その分解方法について研究した。
【0007】その結果、活性炭を利用すれば有機塩素化
合物が微量含まれるガス中から、低温において有機塩素
化合物を吸着・収集することが容易であり、吸着後温度
を上げると吸着していた塩素化合物が脱着される。更に
1000 ℃以上の高温なると、共存する活性炭または遷移
金属担持活性炭の触媒性によって、塩素化合物が炭素化
分解されて、活性炭表面に炭素と塩素との化合物を生成
されることが認められた。この反応によって気相中には
一酸化炭素、炭酸ガス、水素が生成される。ここで生成
されたガスをトルエン中に吸収させて分析したが、有機
塩素化合物は全く検出されなかった。
【0008】前記で炭素化分解された活性炭及びガスの
混合物の温度を、約 950℃に低下させて水蒸気及び/ ま
たは炭酸ガスを加えると、活性炭表面に生成した炭素と
塩素との化合物がガス化分解されて、塩化水素及び水
素、一酸化炭素が生成することが認められた。また、こ
のガス化分解後の活性炭中には塩素は検出されなかっ
た。更に、この工程で触媒として使用された活性炭は、
ガス化分解工程で賦活されるため、そのまま触媒として
循環使用できる特徴がある。これらの結果に基づいて、
更に有機塩素化合物の分解プロセス及び装置について研
究した結果、本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明に含まれる第一の工程は
有機塩素化合物を、活性炭または遷移金属担持活性炭を
触媒として炭素化分解し、炭素と塩素との化合物を生成
させるプロセスである。第二の工程は第一の工程におい
て活性炭表面に生成した炭素と塩素との化合物を、水蒸
気及び/ または炭酸ガスを加えて、塩化水素及び水素、
一酸化炭素に分解するプロセスである。本発明はこの二
つのプロセスからなり、有機塩素化合物によっては遷移
金属を担持させた活性炭は高い触媒性を示すためより好
ましい。
【0010】更に有機塩素化合物の分解工程が、有機塩
素化合物を活性炭または遷移金属担持活性炭で吸着する
ゾーン及び、活性炭を加熱して該有機塩素化合物を脱着
させるゾーン、有機塩素化合物をこれらの活性炭を触媒
として、活性炭表面上に炭素と塩素との化合物を生成せ
しめる炭素化分解ゾーン、活性炭表面に生成した炭素と
塩素の化合物を、水蒸気及び/ または炭酸ガスを加え
て、塩化水素及び水素、一酸化炭素に分解するガス化分
解ゾーンからなっている。且つこれらのゾーンが垂直に
連結され、活性炭が上から下へ移動床方式で移動可能に
構成された構造を有する、有機塩素化合物分解装置も本
発明に含まれている。
【0011】ここで、「活性炭表面」とは活性炭粒子の
外部表面の他、内部表面も含まれている。内部表面とは
活性炭粒子の外部のガスと流通可能な粒子の内部の亀裂
の表面等活性炭の吸着性に寄与する面積である。これが
活性炭の特徴である単位重量当たりの表面積が、一般の
物質と比較して極めて大きい原因となっている、以下、
本発明について詳しく説明する。
【0012】本発明で使用する活性炭は、通常1gあたり
数100 m2或いはそれ以上の大きな比表面積を有し、高い
吸着性を示す炭素材料であれば広範囲に使用できる。比
表面積300m2以上であれば好ましい。活性炭は木炭、ヤ
シ殻、石炭、石炭石油タールピッチ等の原料から得られ
たものが使用可能である。またこれらの原料を賦活する
方法も水蒸気或いは二酸化炭素により高温で、または塩
化亜鉛、リン酸、濃硫酸処理等いづれの方法により得ら
れたものでもよい。
【0013】尚、塩化亜鉛、リン酸、濃硫酸等の化学薬
品を使用した場合には処理後充分水洗して薬品を除去す
る必要がある。これらの薬品が残存した場合には有機塩
素化合物の炭素化反応または、ガス化分解反応における
触媒性を阻害するおそれがあるためである。また、その
形状は破砕炭、造粒炭或いは顆粒炭の何れでも効果は認
められるが、圧損失及び入替等取扱い上造粒炭が便利で
ある。造粒炭は常法に従って炭素材料 100部に30〜60部
の石油ピッチ或いはコールタール等をバインダーとして
加え、混和成型後賦活して調整される。
【0014】また、有機塩素化合物を炭素化分解して、
炭素と塩素との化合物を生成せしめる工程において、活
性炭の触媒機能を高めるため後述の遷移金属を担持した
実施例4A〜G、未担持の実施例4Hに示す様に、活性
炭に遷移金属Aを担持させると触媒性を高める効果が認
められる。遷移金属の中では鉄、ニッケル、コバルトが
好ましく、鉄がより好ましい。
【0015】本発明の第一の工程では、活性炭を充填し
た分解層に、有機塩素化合物を導入してもよく、或い
は、有機塩素化合物を吸着した活性炭を分解工程に移動
床方式で導入してもよい。ここで、有機塩素化合物を10
00〜1300℃において活性炭または遷移金属担持活性炭触
媒と接触させて反応させるが、有機塩素化合物を完全に
炭素化分解させるためには、滞留時間を充分にとること
が必要であり、1時間以上とすることが好ましい。若
し、有機塩素化合物が完全に分解されず、一部が部分的
に分解されたままの状態で放出されると、その有機塩素
化合物の種類によっては、極めて毒性が高いダイオキシ
ン等が生成する場合もあるからである。このため、反応
後の放出ガス中の残存有機塩素化合物の有無を分析して
完全に分解されているか否かを確認する必要がある。
【0016】この炭素化分解工程の条件が適正に保持さ
れれば、有機塩素化合物は完全に分解され、活性炭表面
には炭素と塩素との化合物が生成される。また、気相中
には分解生成物である一酸化炭素、炭酸ガス、水素が生
成される。ここで有機塩素化合物が分解されて生成した
塩素は、活性炭と結合した塩素と炭素の化合物として、
活性炭の表面上に生成される。塩素と炭素との結合状態
は塩素化黒鉛とほぼ同様な構造を有する化合物であると
考えられる。この工程では予め活性炭に吸着された、有
機塩素化合物の脱着を促進するため、キャリヤーガスと
して例えば、少量の窒素ガスを導入することが好まし
い。特に予め有機塩素化合物を吸着した活性炭を原料と
して使用し、塩素化合物を脱着させた後炭素化分解がな
される場合にはキャリヤーガスの併用が好ましい。
【0017】第二の工程において、活性炭表面に生成し
た炭素と塩素との化合物は、水蒸気及び/ または炭酸ガ
スを加えて、 900〜1000℃で水蒸気分圧10%以上の雰囲
気で処理すると、ガス化分解されて塩化水素、及び水
素、一酸化炭素が生成される。この工程では炭素と塩素
との化合物を完全に分解させるために、滞留時間は 30
分以上とすることが好ましい。この反応によって活性炭
表面に生成した炭素と塩素との化合物は完全に分解され
る。反応後取り出された活性炭は再生された状態となっ
ている。このため活性炭はこの工程で循環して再使用す
ることが可能であり、触媒性を保持するためには、取り
出された活性炭を40℃以下に保持されることが好まし
い。尚、反応後の活性炭には塩素は全く含まれていな
い。また反応中に活性炭は水蒸気及び/ または炭酸ガス
によって一部賦活されるため、活性炭は一部消耗され減
量されているが、比表面積は却って増加している。この
ため、吸着性及び触媒性が高められるが、減量分を補充
して循環使用すれば常に一定の触媒性を保持することが
できる。
【0018】この反応で生成した塩化水素、及び水素、
一酸化炭素を含むガスは、スクラーバーで水洗またはア
ルカリ液で洗浄することにより、塩化水素を除去でき
る。尚、残存ガス中の水素濃度が高い場合には、水蒸気
を加え一酸化炭素を水性化反応によって水素と炭酸ガス
に分解した後、圧力変動吸着方式で水素ガスを回収する
ことができる。
【0019】本発明において分解・除去の対象となる有
機塩素化合物は特に限定しないが、これらの中にはごく
微量でも人体に高い毒性を及ぼす化学物質が含まれてい
る場合がある。例えば、ダイオキシンやポリ塩化ビフェ
ニール、或いは遺伝的な悪影響を有する環境ホルモン等
である。更にこれらの化合物を具体的に挙げると、農薬
及びまたは、POPs 系有害物、ダイオキシン化合物、
PCB類等である。
【0020】本発明が主な対象とする有機塩素化合物
は、いわゆるPOPs 「残留性有機汚染物質(Persisten
t Organic Pollutants) 」であり、これらの化合物は難
分解性で生体内に蓄積しやすく、大気や海洋経由で長距
離を移動し、地球全体を汚染する可能性がある環境汚染
物質である。例えば、アルドリン、ディルドリン、エン
ドリン、DDT、ヘプタクロル、クロルデン、HCB
(ヘキサクロロベンゼン)、マイレックス、トキサフェ
ン、PCB(ポリ塩化ビフェニル)、ダイオキシン等
の、融点80℃以上または、沸点 300℃以上の有機塩素化
合物である。
【0021】有害な有機塩素系化合物を含むガスを無害
化するため、予め有害ガスを活性炭に吸着して濃縮した
後、分解装置に供給することもできる。有機塩素化合物
分解装置としては、予め有害ガスを活性炭に吸着して濃
縮した活性炭の他、有機塩素化合物を含むガスを直接供
給することも可能である。有機塩素化合物を分解する工
程には、有機塩素化合物を活性炭または、遷移金属担持
活性炭で吸着するゾーン及び、活性炭を加熱して有機塩
素化合物を脱着するゾーン、有機塩素化合物を活性炭を
触媒として、炭素と塩素との化合物を生成せしめる炭素
化分解ゾーン、更に、活性炭表面に生成した炭素と塩素
の化合物に、水蒸気及び/ または炭酸ガスを加えて、ガ
ス化分解して塩化水素及び水素、一酸化炭素を生成させ
るゾーンが含まれている。
【0022】ここで、有機塩素化合物脱着ゾーンにはキ
ャリヤーガスとして、例えば、窒素ガス等の不活性ガス
が供給され、炭素化分解されて一酸化炭素、炭酸ガス、
水素生成される。次のガス化分解ゾーンには、水蒸気及
び/ または炭酸ガスが供給され、このゾーンで生成した
塩化水素及び水素、一酸化炭素と共にガス化分解後の活
性炭と外部へ取り出される。これらのゾーンは垂直に連
結され、活性炭が上から下へ移動床方式で移動可能に構
成された構造を有する装置が好ましい。また、活性炭の
表面上に生成された塩素と炭素の化合物を分解するガス
化工程には、垂直移動床方式の他、流動床、ロータリー
キルン、外熱式の加熱炉を使用することも可能である。
【0023】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的
に説明する。
【0024】(実施例1)有機塩素化合物ペンタクロロ
フェノール (PCP)1000ppm 含む窒素ガスを、1リットル
/ 時間の速度で、比表面積 1000 m2/gの活性炭が1100℃
に加熱されている、触媒層内に5時間供給した。触媒層
内の滞留時間は空塔速度で1時間であった。出口ガスを
トルエンに吸収してトラップし、トルエン中のペンタク
ロロフェノールの濃度を、検出限界 1 ppbの ECD (Elec
tron Capture Detector)ガスクロマトグラフによって測
定したが、PCP は検出されなかった。その結果を表1に
示す。ここで、ペンタクロロフェノールの分解率を 99.
99999 %以上と表示したのは、炭素化分解後の生成ガス
中にペンタクロロフェノールが検出されず、この分析装
置の検出限界が 1 ppbであることに基づくものである。
以下、その他の有機塩素化合物の分解率も同様に表示し
た。
【0025】
【表1】
【0026】次にこの触媒層の活性炭を950 ℃で1時
間、水蒸気分圧30%のガスを用いてガス化分解処理し
た。処理後の活性炭の比表面積は 1050 m2であった。
【0027】同様に、ダイオキシンを1ppm 含むガス、
及び四塩化ビフェニルを10ppm 含むガスを同様に処理し
た。その結果を併せて表1に示す。
【0028】比較のため、厚生省認可のPCB分解技術
のうち、実用化されている方法である、アルカリ溶融法
(比較例 1A)及び、超臨界水法 (比較例 1B)、水素化分
解法(比較例 1C)、焼却法 (比較例 1D)によって試験し
た。その結果を表1に併せて示すす。表1に示された実
施例及びこれらの比較例による有機塩素化合物の分解率
を比較すると、本発明の方法が最も高い。また分解生成
物がガス状の化合物となる比率を示した、分解物選択性
も本発明方法が最も高いことが分かる。
【0029】ここで、アルカリ溶融法はシリコン油等の
油の中で、種々のアルカリ分の添加して比較的低温(50
〜200 ℃) で脱塩素化する方法である。この方法では脱
塩素化された炭化水素の利用方法に問題がある。超臨界
水法は超臨界水 (374 ℃、22.1MPa以上) のもつ有機物
に対する溶解性、分解性を利用してダイオキシン類を分
解しているが、酸化剤の添加が必要となる他、極めて高
い高圧設備を必要とすること及び、それら設備に伴う保
安管理が必要となるためコストが嵩む難点がある。この
ため大規模な処理の他は適用が困難である。
【0030】水素化分解法は有機塩素化合物を約 850℃
の常圧下で、無酸素水素雰囲気中で、還元分解する方法
である。メタンの他ナフタレン、タール状物質、カーボ
ン等が約 10 %生成する。焼却法は約 1100 ℃以上の高
温で噴霧した PCB (ポリ塩化ビフェニール) を燃焼させ
る方法である。海外ではこの方法が多く使用されている
が、PCB を無害化するためには完全燃焼させる必要があ
り、そのためには燃焼管理が難しく、温度、滞留時間、
充分な混合等がなされないと、一部未燃焼のPCBが残存
して、ダイオキシンの生成し易い欠点がある。
【0031】(実施例2)実施例1と同様に、ペンタク
ロロフェノール (PCP)及び、ダイオキシン (DXN)、四塩
化ポリビフェニール (四塩化 PCB) について、表2に示
す条件で炭素化分解を行い、その後活性炭の再生処理と
同様な条件で、活性炭表面に生成している塩素を含む炭
素化合物のガス化分解処理をした。これらの処理におけ
る有機塩素化合物及び、塩素を含む炭素化合物の分解率
は何れも 99.99999 %以上であった。更に、ガス化分解
(再生処理)後の活性炭の比表面積は、1100 m2 であ
り、使用前よりも比表面積が増加して吸着性及び触媒性
が高い活性炭が生成していことが認められた。
【0032】
【表2】
【0033】(実施例3)有機塩素化合物分解装置は、
内径 100 mm 、高さ3m で、有機塩素化合物を吸着した
活性炭を加熱脱着するため、 500℃に加熱された第1の
ゾーン、有機塩素化合物を活性炭上で炭素化分解するた
め、1200℃に加熱された第2のゾーン、及び活性炭上に
生成された塩素を含む炭素化合物をガス化分解するた
め、 950℃に加熱された第3のゾーンからなっている。
これらの3つのゾーンは上から下へ垂直に連結されてい
る。
【0034】ここで、第1の脱着ゾーンと、第2の炭素
化ゾーンとの接続部分はガスが流通可能であり、第2ゾ
ーンと第3のガス化分解ゾーンとの接続部分でもガスの
流通が可能な構造となっている。これらの各ゾーンにお
ける活性炭の滞留時間はそれぞれ30分、90分、60分に調
整され、活性炭は移動床方式で上から下へ移動可能な構
造なっている。
【0035】試料としてペンタクロロフェノール (PCP)
を 20 %吸着した活性炭及び、キャリヤーガスとして純
度 98 %以上の窒素ガスを、それぞれ8リットル/Hr 及
び1リットル/Hr で第1のゾーンに供給し、順次上から
下のゾーンに流した。この間に第1のゾーンでペンタク
ロロフェノール脱着させた後、1200℃に加熱された第2
のゾーンに流下する。このゾーンで有機塩素化合物が炭
素化分解され、生成された炭酸ガス、一酸化炭素及び水
素ガスと共に第3のゾーンに流下する。このゾーンには
水蒸気 22.8 %、炭酸ガス 10.0 %その他窒素を含むガ
スが、 400リットル/Hr で吹き込まれて、活性炭表面に
生成した塩素を含む炭素化合物がガス化分解されて取り
出される。その過程で生成された塩化水素、水素ガス、
一酸化炭素及び炭酸ガスは共に装置の底部より取り出さ
れる。尚、この際第2のゾーンから流下したガスも併せ
て取り出される。
【0036】前述の様にして第3ゾーンの底部から取り
出された活性炭は冷却され、再びペンタクロロフェノー
ルを含むガスの吸着するために使用可能であり、第1の
ゾーンに供給して連続的に循環使用することができる。
【0037】第2ゾーンにおけるペンタクロロフェノー
ルの分解温度、分解率、生成ガスの成分及び、トラップ
した出口ガスに含まれる有機塩素化合物から算出した分
解率を表3に示す。また、第2のガス化分解工程の温
度、生成ガスの成分及び、この工程で使用後取り出され
た活性炭の比表面積も併せて表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】更に有機塩素化合物として、ダイオキシン
(DXN)及び、四塩化ポリビフェニール(四塩化 PCB) を
使用して、これらの化合物を予め吸着させた活性炭を使
用して前記と同様にこれらの有機塩素化合物の分解試験
をした。結果を表3に併せて示す。
【0040】(実施例4)四塩化ポリビフェニールを 1
000 ppm 含む窒素ガスを、1リットル/ 時間で4時間、
滞留時間15分の空塔速度で、比表面積 1200 m2/gの活性
炭に種々の遷移金属を表4に示す濃度に担持した活性炭
触媒が充填され、 1000 ℃に加熱されている触媒層に供
給した。出口ガスをトルエンに吸収してトラップし、ト
ルエン中の四塩化ポリビフェニール濃度を、検出限界 1
ppbの ECD (Electron Capture Detector)ガスクロマト
グラフによって測定した。何れの場合も四塩化ポリビフ
ェニールは検出されなかった。その結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】次に、触媒層の活性炭を 900℃で水蒸気分
圧 20 %のガスを用いて、1時間ガス化分解処理をし
た。この条件で処理した場合の四塩化ポリビフェニール
の炭素化分解率及び、ガス化分解後の生成物分解率選択
性を表4に併せて示す。この結果によって、遷移金属を
担持した活性炭(実施例4A〜G)は未担持活性炭(実
施例4H)に比べて、炭素化分解率が高く、また遷移金
属の中では鉄、ニッケル、クロムを担持した活性炭の触
媒性が高く、特に鉄が優れていることが認められた。ま
た、処理後の活性炭の比表面積は総て 1250 m2/gであっ
た。
【0043】
【発明の効果】本発明は有機塩素化合物の分解方法及び
その装置に関するもので、活性炭または、遷移金属担持
活性炭を触媒として、主として微量でも毒性が高い化合
物有機塩素化合物の分解方法及び装置に適用されるもの
である。有機塩素化合物を残存させずに完全に安全な物
質迄分解できる特徴を有すると共に、比較的小規模なオ
ンサイト処理にも適用可能な特徴を有するものである。
また、本発明において触媒として使用された活性炭は、
ガス化分解工程で賦活されるため、そのままこの装置で
循環使用できる特徴がある。
フロントページの続き Fターム(参考) 2E191 BA12 BA13 BD13 4D048 AA11 AB03 BA05X BA36X BA37Y BA38Y CA10 CC43 CC53 CD01 CD08 4H006 AA04 AA05 AC26 BA19 BA20 BA21 BA55 BE41 BE60

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機塩素化合物を、活性炭を触媒として炭
    素化分解し、炭素と塩素との化合物を生成せしめる第一
    の工程及び、活性炭表面に生成した該炭素と塩素との化
    合物を、水蒸気及び/ または炭酸ガスを加えて、塩化水
    素及び水素、一酸化炭素に分解する第二の工程からなる
    ことを特徴とする、有機塩素化合物の分解方法。
  2. 【請求項2】活性炭に遷移金属が担持されている、請求
    項1記載の有機塩素化合物の分解方法。
  3. 【請求項3】有機塩素化合物の分解工程が、有機塩素化
    合物を活性炭または、遷移金属担持活性炭で吸着するゾ
    ーン及び、該活性炭を加熱して該有機塩素化合物を脱着
    させるゾーン、該有機塩素化合物を活性炭または、遷移
    金属担持活性炭を触媒として、炭素と塩素との化合物を
    生成せしめる炭素化分解ゾーン、活性炭表面に生成した
    炭素と塩素の化合物を、水蒸気及び/ または炭酸ガスを
    加えて、塩化水素及び水素、一酸化炭素にガス化分解す
    るゾーンからなり、且つこれらのゾーンが垂直に連結さ
    れ、活性炭が上から下へ移動床方式で移動可能である有
    機塩素化合物分解装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009285536A (ja) * 2008-05-27 2009-12-10 Daioh Shinyo Co Ltd 難分解物質の分解処理方法及びその装置
JP2011115795A (ja) * 2011-02-28 2011-06-16 Daioh Shinyo Co Ltd 難分解物質の分解処理方法及びその装置

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