JP2003235548A - ヒト細胞の培養用培地および培養方法 - Google Patents

ヒト細胞の培養用培地および培養方法

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Toshiomi Yoshida
敏臣 吉田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ヒト血清を用いたヒト細胞の増殖培地と増殖
方法を提供する。 【解決手段】 ヒト血清と増殖因子を含むことを特徴と
するヒト細胞の増殖培地と、この培地にヒト細胞を播種
して細胞を増殖させることを特徴とするヒト細胞の増殖
方法。増殖因子は、神経細胞増殖因子、肝細胞増殖因
子、上皮細胞増殖因子、トロンボポエチン、幹細胞因子
および繊維芽細胞増殖因子からなる群より少なくともい
ずれか一種類が選択されること、ヒト血清が、培養対象
となるヒト細胞と同一の個体から採取した血清であるこ
とが好ましい。また、本増殖方法においては、ヒト骨髄
由来の間葉系細胞、またはヒト臍帯由来の間葉系細胞を
増殖させることが好ましい。さらにヒト細胞を含む組織
細胞を、分離操作を介さず、直接培地に播種してヒト細
胞を増殖させることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この出願の発明は、組織再生等の
再生医療分野において有用なヒト由来細胞を簡便、か
つ、効率的に増殖させる培地と、この培地を用いたヒト
由来細胞の増殖方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ヒト細胞を用いた組織再生に関す
る基礎的知見が多々発見され、その臨床応用に期待が寄
せられている。しかし、一般的に細胞培養、特に細胞増
殖を行う際には、アミノ酸類、ビタミン類、糖類、無機
塩類からなる基礎培地に細胞増殖因子として10〜20%の
ウシ血清、特にウシ胎児血清を添加した培地が用いられ
る。なお、成牛血清に比べてウシ胎児血清の細胞増殖促
進活性は顕著に高いことが知られている。しかしなが
ら、ウシ血清は大量生産ができず、非常に高価である上
に、その組成は個体差(ロット差)が大きい。1ロット
の量が限られているため、ロットの変更のたび毎にロッ
トのチェック、培養条件の調整や管理等の煩雑な操作が
必要となる。さらに血清は、血液細胞や血管内皮細胞の
産生した生理活性物質を含む混合物であり、未知のウイ
ルスが混入していたり、マイコプラズマウイルス感染の
危険がある等の問題があり、培地の品質が安定して保持
できなくなる。厳重な品質管理が必要とされる培地の製
造においては、これらの点は非常に重大な問題である。
さらには、最近では、特にウシ由来のプリオン等のよう
な未知の病原因子がウシ臓器、組織や血清を介して混入
する可能性が問題となっている。これらの理由により組
織再生のためのヒト細胞の増殖培養には、ウシをはじめ
とする異種動物血清を含有しない培地の開発が望まれて
いる。しかしながら、無血清条件下における培養では血
清添加時と同程度の細胞の増殖を得ることは困難であ
る。また、血清の増殖促進作用を部分的に代替し得る添
加物は種々開発されているが、上記のような品質管理の
観点から、血清の作用を代替する添加成分はなるべく少
なくした方がよいにも関わらず、少なくとも数種類から
10数種類に及ぶ血清代替添加物の混合添加が必要である
のが現状である。また、再生組織が適用される患者と同
種であり、上記の品質上の問題が極めて少ないヒト血清
に関しては、胎児血清は倫理的および社会的観点から、
このような目的に使用することは極めて困難であるとと
もに、成人血清は種々の因子を含有しているものの、十
分な細胞増殖促進活性は示さず実用的でないのが現状で
ある。また、組織適合性または拒絶反応の可能性といっ
た臨床的な観点を考慮すると、成人血清の中でもヒト細
胞と同じ個体から採取された血清(以下、自己血清とい
う)が望ましい。しかしながら、血清の細胞に対する増
殖促進活性は、ウシ胎児血清の場合でも個体差(ロット
差)が大きいため、複数のロットについて細胞に対する
増殖促進活性を試験して最も高い血清を有する血清を用
いるのが通常である。成体血清の場合、個体によっては
増殖促進活性を全く示さないものもあるが、自己血清の
場合は血清を採取する個体を選択できないため、自己血
清ではまったく増殖できない場合も発生する。また、1
ロットのサイズが100L前後であることが多いウシ胎児血
清の場合には、事実上その使用量の制限がないため、十
分な増殖促進活性が得られない場合には、培地への添加
濃度を上げて増殖促進を達成することも可能だが、ヒト
血清の場合、特に自己血清の場合はその採取可能な量
は、数100mLに留まるため、十分な増殖促進活が得られ
ない場合でも培地への添加濃度を上げることが困難であ
る。
【0003】また、たとえば骨髄液や臍帯血等に由来す
る間葉系細胞の場合、骨髄液や臍帯血等の細胞懸濁液か
ら通常フィコール溶液等を用いた密度勾配遠心分離法に
より分離した間葉系細胞を播種して増殖させる方法が一
般的である。一方、このような分離ステップを経ずに骨
髄液や臍帯血を直接培養器に播種して間葉系細胞を増殖
させる方法も検討されている。この直接培養の方法の操
作が簡便で実用的である半面、間葉系細胞以外の血液細
胞等が多量に混入するため、間葉系細胞は極めて増殖し
にくかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この出願の発明は、前
記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、新
しい組成からなるヒト細胞の増殖用培地を提供すること
を課題としている。
【0005】またこの出願の発明は、前記の新しい培地
を用いたヒト細胞の増殖方法を提供することを課題とし
てもいる。
【0006】
【課題を解決するための手段】この出願の発明者らは、
前記の課題を解決するために鋭意検討した結果、どの個
体から採取したヒト血清であっても、少量の血清に増殖
因子をあわせて添加することにより、ヒト細胞の増殖を
促進できることを見出して、この発明を完成させた。
【0007】すなわち、この出願は第1の発明として、
ヒト血清と増殖因子を含むことを特徴とするヒト細胞の
増殖培地を提供する。
【0008】上記第1の発明においては、ヒト細胞が、
ヒト外胚葉系細胞、ヒト中胚葉系細胞、ヒト内胚葉系細
胞、ヒト胚性幹細胞、ヒト体性幹細胞およびヒト受精卵
からこれらの細胞へ分化する過程に含まれる細胞からな
る群より少なくともいずれか一種類が選択されることを
好ましい態様としている。ヒト外胚葉系細胞は、ヒト神
経細胞であることを好ましいとしており、またヒト中胚
葉系細胞は、ヒト血管細胞、ヒト造血系細胞およびヒト
間葉系細胞のからなる群より少なくとも一種類が選択さ
れることを好ましいとしており、さらにまたヒト内胚葉
系細胞は、ヒト肝細胞、ヒト肝細胞およびヒト胆細胞か
らなる群より少なくとも一種類が選択されることを好ま
しいともしている。またこの第1の発明においては、増
殖因子が、神経細胞増殖因子、肝細胞増殖因子、上皮細
胞増殖因子、トロンボポエチン、幹細胞因子および繊維
芽細胞増殖因子からなる群より少なくともいずれか一種
類が選択されること、ヒト血清が、培養対象となるヒト
細胞と同一の個体から採取した血清であることをそれぞ
れ好ましい態様としている。
【0009】さらにこの出願の発明は、第2の発明とし
て、前記第1の発明の培地に、ヒト細胞を播種して細胞
を増殖させることを特徴とするヒト細胞の増殖方法を提
供する。この第2の発明の増殖方法においては、ヒト骨
髄由来の間葉系細胞、またはヒト臍帯由来の間葉系細胞
を増殖させることを好ましい態様としている。またさら
に、この第2の発明の方法においては、ヒト細胞を含む
組織細胞を、分離操作を介さず、直接培地に播種してヒ
ト細胞を増殖させることを別の好ましい態様としてい
る。
【0010】以下、これら発明の実施形態について詳し
く説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】第1の発明の培地は、細胞の増殖
および維持を支援すべく使用される成長因子および栄養
素を含む標準培地に、少なくともヒト血清および増殖因
子を添加したものである。
【0012】「標準培地」とは、通常動物細胞の培養で
用いられるイスコフ培地、RPMI培地、ダルベッコMEM培
地、MEM培地、F12培地等の血清を含まない培地を用いる
ことができる。また、公知文献等により、細胞の増殖や
維持に有効であることが知られている血清以外の因子、
たとえば脂質および脂肪酸源、コレステロール、ピルビ
ン酸塩、グルココルチコイド、DNAおよびRNA合成ヌクレ
オシド等を添加してもよい。
【0013】「ヒト血清」は、体のどの部位から採取し
たものも使用でき、たとえば末梢血、骨髄液、臍帯血等
から採取した血液から分離した血清を用いることができ
る。血清を採取するヒト個体は、培養増殖したヒト細胞
を移植される本人でも、本人以外でもよいが、血清の採
取に際しては十分なインフォームドコンセント等の倫理
的医療が必要であることはいうまでもない。また、血清
を供給するドナーの健康状態にも科学的、倫理的に許容
される範囲内で十分配慮がなされる必要もある。これら
に関する留意事項の詳細については、関係法令による。
また、培養したヒト細胞の移植、あるいはこのヒト細胞
を用いて作製された再生組織の患者への移植に際しての
組織適合性の観点から、血清は患者本人から採取した自
己血清が望ましい。ただし、ヒト細胞に対する増殖促進
活性に関しては、患者以外の血清と患者の血清のいずれ
でもよい。
【0014】「増殖因子」としては、たとえば塩基性繊
維芽細胞成長因子、表皮成長因子、血小板由来成長因
子、トランスフェリン、インターロイキン−1、インタ
ーロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキ
ン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、
インターロイキン−7、インターロイキン−8、インター
ロイキン−9、インターロイキン−10、インターロイキ
ン−11、インターロイキン−12、インターロイキン−1
3、これらインターロイキンの受容体、顆粒球−コロニ
ー刺激因子、顆粒球−コロニー刺激因子受容体、エリス
ロポエチン、エリスロポエチン受容体、コロニー刺激因
子−1、マクロファージコロニー刺激因子、コロニー刺
激因子−1受容体、幹細胞因子、幹細胞因子受容体、Fl
t−3リガンド、トロンボポエチン、トロンボポエチン受
容体、上皮増殖因子、上皮増殖因子受容体、トランスフ
ォーミング増殖因子、トランスフォーミング増殖因子受
容体、ジフテリア毒素受容体、エピレグリン、ニューレ
グリン−1、ニューレグリン−2、ニューレグリン−3、
血小板由来増殖因子受容体、酸性繊維芽細胞成長因子、
繊維芽細胞成長因子受容体、インシュリン様増殖因子、
インシュリン様増殖因子受容体、細胞分散因子、幹細胞
増殖因子、幹細胞増殖因子受容体、血管内皮増殖因子、
血管内皮増殖因子受容体、神経成長因子、神経成長因子
受容体、グリア細胞株由来神経栄養因子、グリア細胞株
由来神経栄養因子受容体、ミッドカイン、プレイオトロ
フィン、アンジオポエチン、ベータグリカン、エンドグ
リン、アクチビン、アクチビン受容体、インヒビン、骨
形成因子、骨形成因子受容体、フォリスタチン、ノギ
ン、コーディン、スマッド、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因
子受容体、リンホトキシン、Fas、Fasリガンド、CD40、
CD40リガンド、CD30、CD30リガンド、CD27、CD27リガン
ド、インターフェロン−α、インターフェロン−α受容
体、インターフェロン−β、インターフェロン−β受容
体、インターフェロン−γ、インターフェロン−γ受容
体、血清アルブミンおよびインシュリン並びにコラーゲ
ン、フィブロネクチン、ラミニン等の細胞外マトリック
ス成分が使用できる。塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFG
F)は、脳下垂体、脳、網膜、黄体、副腎、腎、胎盤、
前立腺、胸腺等の臓器から公知の手段で単離、精製され
たもの、組換えDNA技術等の遺伝子工学的手法で製造さ
れたもの、さらにこれらの修飾体であって繊維芽細胞増
殖因子として作用し得るものを含む。bFGFの修飾体とし
ては、たとえば臓器から単離、精製されたbFGFまたは遺
伝子工学的手法で得られた組換えbFGFのアミノ酸配列に
おいて、1以上のアミノ酸残基が付加、欠失、または他
のアミノ酸残基に置換されたもの等が挙げられる。ま
た、遺伝子工学的手法によるタンパク質の製造では、形
質転換細胞で発現したタンパク質が、翻訳された後、細
胞内で各種修飾(翻訳後修飾)を受ける場合がある。た
とえば、N末端メチオニンの離脱、N末端アセチル化、糖
鎖付加、細胞内プロテアーゼによる限定分解、ミリスト
イル化、イソプレニル化、リン酸化等が挙げられる。し
たがって、このように修飾されたbFGFもその修飾体の範
囲に含まれる。さらに、上記増殖因子のうち、動物によ
ってタイプが異なる場合は、ヒト細胞の増殖促進活性が
同等であっても、ヒト型の増殖因子が望ましい。
【0015】この出願の第2の発明の方法は、前記第1
の発明の培地にヒト細胞を播種して細胞を増殖させるこ
とを特徴としている。
【0016】培養対象となる「ヒト細胞」は、ヒト由来
の細胞または組織であれば、いかなるものでもよく、ヒ
ト外胚葉系細胞、ヒト中胚葉系細胞、ヒト内胚葉系細
胞、ヒト受精卵からこれらの細胞へ分化する過程に含ま
れる細胞、ヒト胚性幹細胞およびヒト体性幹細胞等が例
示できる。
【0017】この出願の発明において「ヒト外胚葉系細
胞」は、ニューロン細胞、アストロサイト細胞、オリゴ
デンドロサイト細胞やこれらの幹細胞であるヒト神経細
胞等が例示でき、組織学的にいうところの外胚葉組織に
含まれる細胞および幹細胞を指す。また「ヒト中胚葉系
細胞」は、ヒト血管細胞、ヒト造血系細胞やヒト間葉系
細胞等が例示でき、組織学的にいうところの中胚葉組織
に含まれる細胞および幹細胞を指す。前記「造血系細
胞」は、たとえば造血幹細胞、造血前駆細胞、赤血球細
胞、リンパ球細胞、顆粒球細胞および血小板細胞等が挙
げられる。また「間葉系細胞」は、骨細胞、軟骨細胞、
筋細胞、心筋細胞、腱細胞、脂肪細胞、毛乳頭細胞、歯
髄細胞等の組織学的にいうところの結合組織の細胞およ
びこれらの細胞に分化する能力を有する細胞を指す。細
胞形態としては、繊維芽細胞、脂肪細胞等がある。間葉
系細胞の存在する組織としては、骨、軟骨、筋肉、心
筋、腱、脂肪組織、毛乳頭、歯髄等を例として挙げる事
ができる。またこれら以外の、血管、肝臓、膵臓等の実
質臓器の内部や周囲にも存在し、さらに骨髄や臍帯にも
存在する。骨髄中には、多くの結合組織細胞への多分化
能を有した細胞(間葉系幹細胞)が存在し、この間葉系
幹細胞の表面にはCD105抗原が特異的に発現しているこ
と等が報告されているが、これもこの発明方法における
間葉系細胞の一つである。また骨髄液や臍帯血等に由来
する間葉系細胞を増殖させる場合、骨髄液や臍帯血等の
細胞懸濁液から定法に従ってフィコール溶液等を用いた
密度勾配遠心分離法により分離した間葉系細胞を播種し
て増殖させてもよい。
【0018】「ヒト内胚葉系細胞」は、肝細胞、その幹
細胞である肝細胞、膵外分泌細胞、膵内分泌細胞、その
幹細胞の肝細胞、また胆細胞等が例示でき、また主に肝
臓や膵臓等の臓器に分化する。組織学的にいうところの
内胚葉組織に含まれる細胞および幹細胞を指す。
【0019】また、この発明における「増殖」とは、培
養中の細胞数の変化に関しており、増殖とは経時的に細
胞数が増えることを示している。望ましくは、ある細胞
集団全体の中の細胞数が2倍になるのに要する時間(平
均世代時間)が1時間〜150時間の範囲である場合が好ま
しい。
【0020】
【実施例】以下、実施例を示してこの出願の発明をさら
に詳しく、かつ、具体的に説明するが、当然にこの発明
は以下の例によって限定されるものではない。 実施例1 インフォームドコンセントを経て3人の健常人ボランテ
ィアの男女から13mLづつ採取した骨髄液中の有核細胞数
を定法に従いチュルク液を用いて計数し、表1に示した
5種類の培地を用いて、それぞれ細胞濃度が6.0×105cel
l/cm2となるように細胞培養用ディッシュ(住友ベーク
ライト社製、底面積1.8cm2、培養液量1mL)に播種し、3
7℃、5%CO2濃度のインキュベーター内で静置培養した。
【0021】培地成分は以下のとおりである。 ・DMEM標準培地(ギブコ社製、型番号31600-34) ・塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF;ギブコ社製、型番
号100-18B )、10ng/mL ・10%血清: −ウシ胎児血清(ギブコ社製、型番号26140−079);ま
たは −骨髄液ドナー自身のヒト末梢血由来の血清 培養開始1日後および2日後に培地交換をし、接着細胞以
外の浮遊細胞(血液細胞等)を除去したところ、何れの
培養でもディッシュ底面にわずかに接着細胞が認められ
た。その後、この接着細胞がコンフルエント近くまで増
殖したのを顕微鏡で確認した19日後に、全てのディッシ
ュの接着細胞をトリプシン処理により剥離し、トリパン
ブルー液を用いて接着していた生細胞の密度を計測し
た。
【0022】結果を表1に示したとおりである。この表
1の細胞密度の数値は、×104cells/cm2である。この表
1の結果から明らかなとおり、何れのドナー由来の間葉
系細胞においても、無血清培地にbFGFを添加しても増殖
効果はあるが、増殖した密度は低く、ウシ胎児血清培地
の5分の1程度に留まっている。一方、ヒト血清自体の増
殖促進活性はウシ胎児血清に比べて低いものの、無血清
と比べると有意に高く、さらにヒト血清にbFGFを添加す
ることによってウシ胎児血清より強い増殖促進活性を示
すことが確認された。
【0023】
【表1】
【0024】実施例2 ヒト肝臓細胞株として、HepG2細胞、Huh7細胞およびヒ
ト初代肝細胞(旭テクノグラス社)を表2に示した5種
類の培地を用いて、HepG2細胞およびHuh7細胞の細胞濃
度をそれぞれ1.0×104とし、またヒト初代肝細胞の細胞
濃度を1.0×105cell/cm2となるように細胞培養用ディッ
シュ(住友ベークライト社製、底面積21cm2、培養液量5
mL)に播種し、37℃、5%CO2濃度のインキュベーター内
で静置培養した。
【0025】培地成分は以下のとおりである。 ・DMEM標準培地(ギブコ社製、型番号31600−34) ・L−プロリン:30μg/mL ・インシュリン:0.5μg/mL ・L−アスコルビン酸リン酸エステル:0.2mM ・肝細胞増殖因子(HGF):10ng/mL ・上皮細胞増殖因子(EGF):10ng/mL ・10%血清: −ウシ胎児血清(ギブコ社製、型番号26140−079);ま
たは −ヒト末梢血由来の血清 各接着細胞が増殖したのを顕微鏡で確認した後、HepG2
細胞およびHuh7においては8日後、また初代肝細胞にお
いては14日後に、全てのディッシュの接着細胞の密度を
脱核染色法により計測した。
【0026】結果は表2に示したとおりである。この表
2の細胞密度の数値は、×104cells/cm2である。この表
2から、HepG2細胞およびHuh7細胞においては、無血清
培地にHGFおよびEGFを添加してもほとんど増殖効果はな
い。一方、ヒト血清自体の増殖促進活性はウシ胎児血清
に比べて低いが、無血清と比べると有意に高く、さらに
ヒト血清にHGFおよびEGFを添加することにより、何れの
肝細胞においてもウシ胎児血清より強い増殖促進活性が
示された。
【0027】
【表2】
【0028】実施例3 ヒト神経アストロサイト細胞(NHA;Clonetics社)およ
びヒト神経前駆体細胞(NHMP;Clonetics社)を、表3
に示した5種類の培地を用いて、前記それぞれの細胞濃
度が2.0×103cell/cm2となるように細胞培養用ディッシ
ュ(住友ベークライト社製、底面積1.8cm2、培養液量2m
L)に播種し、37℃、5%CO2濃度のインキュベーター内で
静置培養した。
【0029】培地成分は以下のとおりである。 ・DMEM標準培地(ギブコ社製、型番号31600−34) ・神経細胞増殖因子(NGF):100ng/mL ・10%血清: −ウシ胎児血清(ギブコ社製、型番号26140−079);ま
たは −ヒト末梢血由来の血清 細胞の増殖が顕微鏡で確認された10日後に、全てのディ
ッシュの接着細胞をトリプシン処理にて剥離させ、トリ
パンブルー液を用いて接着していた生細胞の密度を計数
した。
【0030】結果は表3に示したとおりである。この表
3における接着細胞の密度の数値は、×104cells/cm2
ある。表3に示した結果から、何れの神経細胞において
も、無血清培地にNGFを添加してもほとんど増殖効果は
確認できなかった。一方、ヒト血清自体の増殖促進活性
はウシ胎児血清に比べてNHA細胞においてはわずかに低
く、NHMP細胞では2分の1程度に低いものの、無血清と比
べると有意に高く、さらにはヒト血清にNGFを添加する
ことによってウシ胎児血清よりも強い増殖促進活性を示
すことが確認された。
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明に
よって、ヒト血清を用いたヒト細胞の増殖培地と増殖方
法が提供される。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト血清と増殖因子を含むことを特徴と
    するヒト細胞の増殖用培地。
  2. 【請求項2】 ヒト細胞が、ヒト外胚葉系細胞、ヒト中
    胚葉系細胞、ヒト内胚葉系細胞、ヒト胚性幹細胞、ヒト
    体性幹細胞およびヒト受精卵からこれら前記の細胞へ分
    化する過程に含まれる細胞からなる群より少なくともい
    ずれか一種類が選択される請求項1の培地。
  3. 【請求項3】 ヒト外胚葉系細胞が、ヒト神経細胞であ
    る請求項2の培地。
  4. 【請求項4】 ヒト中胚葉系細胞が、ヒト血管細胞、ヒ
    ト造血系細胞およびヒト間葉系細胞のからなる群より少
    なくとも一種類が選択される請求項2の培地。
  5. 【請求項5】 ヒト内胚葉系細胞が、ヒト肝細胞、ヒト
    肝細胞およびヒト胆細胞からなる群より少なくとも一種
    類が選択される請求項2の培地。
  6. 【請求項6】 増殖因子が、神経細胞増殖因子、肝細胞
    増殖因子、上皮細胞増殖因子、トロンボポエチン、幹細
    胞因子および繊維芽細胞増殖因子からなる群より少なく
    ともいずれか一種類が選択される請求項1から5いずれ
    かの培地。
  7. 【請求項7】 ヒト血清が、培養対象となるヒト細胞と
    同一の個体から採取した血清である請求項1から5いず
    れかの培地。
  8. 【請求項8】 請求項1から7いずれかの培地に、ヒト
    細胞を播種して細胞を増殖させることを特徴とするヒト
    細胞の増殖方法。
  9. 【請求項9】 ヒト骨髄由来の間葉系細胞を増殖させる
    請求項8の方法。
  10. 【請求項10】 ヒト臍帯由来の間葉系細胞を増殖させ
    る請求項8の方法。
  11. 【請求項11】 ヒト細胞を含む組織細胞を、分離操作
    を介さず、直接培地に播種してヒト細胞を増殖させる請
    求項8から10いずれかの方法。
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