JP2003231966A - 酸化チタン膜の成膜方法 - Google Patents

酸化チタン膜の成膜方法

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正司 大西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汎用のスパッタリング設備を用いて建築
用、車両用、電子材料用、光学用等の各種用途に利用可
能な酸化チタン膜を成膜する場合に、高価な酸化チタン
ターゲットを用いずに安価な金属チタンターゲットを用
いて高速で安定して成膜すること。 【解決手段】 基材表面に、金属チタンのターゲットを
用いてスパッタリング法により酸化チタン膜を成膜する
において、体積%換算で酸素が5〜25%、アルゴンと
窒素の合計量が75〜95%よりなるガス条件で成膜
し、好ましくは窒素ガス量≧アルゴンガス量、膜中に3
〜30原子%の窒素原子を含有させた酸化チタン膜を被
覆すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築用、車両用、
電子材料用、光学用等の各種用途に利用可能な酸化チタ
ン膜の成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スパッタリング法は、低温度で大面積に
均一に成膜ができ再現性にも非常に優れた成膜方法であ
るために種々の製品の成膜法として用いられている。従
来、スパッタリング法による酸化チタン膜の成膜方法と
しては、一般には金属チタンターゲットを用い、体積%
換算で酸素が50〜100%、アルゴンが0〜50%の
ガス条件のもとで成膜するのが一般的とされている。こ
の従来の酸化チタン膜の成膜メカニズムは、真空の成膜
室中に供給された微量の酸素やアルゴンのガス分子に高
電圧をかけ酸素プラズマやアルゴンプラズマに変化さ
せ、このプラズマをターゲットである金属チタンに高速
で衝突させてターゲットより金属チタン原子を弾き出
し、その弾き出された金属チタン原子が酸素と反応し酸
化チタンとなり基板に積層していくものである。
【0003】また、スパッタリング法により酸化チタン
結晶の酸素サイトの一部を窒素原子で置換、酸化チタン
結晶の格子間に窒素原子をドーピング、或いは酸化チタ
ン結晶の多結晶集合体の粒界に窒素原子を配してなる可
視光光触媒物質が、例えば特開2001−207082
号公報、特開2001−205103号公報等で知られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の金属チタンターゲットを用いて酸化チタン膜をスパ
ッタリング成膜する方法においては、成膜速度が非常に
遅いために膜厚が50nmを越える用途(例えば、建築
用或いは自動車用熱線反射ガラス等)について適用され
ることは非常に少なかった。この成膜速度を改善するた
めに、成膜ガス中の酸素の割合を減少させる方法がある
が、酸素の割合を減少させ過ぎると弾き出された金属チ
タン原子は酸素と反応せず、酸化チタンが生成されず
に”金属モード”と呼ばれる金属チタン原子が基板上に
直接積層される現象が起きてしまう。この現象は、電圧
の急激な変動を伴い、電圧を測定すれば、変動する直前
の最も成膜速度が速い”ワーキングポイント”と呼ばれ
る最適なガス条件を見出すことは可能であるが、この”
ワーキングポイント”の状態は非常に不安定であり、印
加電力、ターゲットの表面状態、真空度等の条件により
変化してしまうという問題があった。
【0005】また、上記特開2001−207082号
公報、特開2001−205103号公報記載の酸窒化
チタン膜のスパッタリング成膜法は、ターゲットとして
高価な酸化チタンを用いて、アルゴン及び窒素よりなる
不活性ガスの雰囲気下で成膜するものであり、本発明の
成膜方法とは全く異なる方法である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、汎用のスパ
ッタリング設備を用いて酸化チタン膜を成膜する場合
に、高価な酸化チタンターゲットを用いずに安価な金属
チタンターゲットを用いて如何に高速で成膜するかにつ
いて種々検討した結果、成膜する際の最適なガス条件を
選択することにより、高速で安定な酸化チタン膜を成膜
することが可能なこと、さらに得られた酸化チタン膜
は、窒素原子が30原子%以下含有され、光学特性は従
来の酸化チタン膜と同等でありながら耐摩耗性、耐熱
性、耐アルカリ性等に非常に優れているとことを見出し
た。
【0007】すなわち、本発明の酸化チタン膜の成膜方
法は、基材表面に、金属チタンのターゲットを用いてス
パッタリング法により酸化チタン膜を成膜するにおい
て、体積%換算で酸素が5〜25%、アルゴンと窒素の
合計量が75〜95%よりなるガス条件のもとで成膜
し、膜中に3〜30原子%の窒素原子を含有させた酸化
チタン膜を被覆することを特徴とする。
【0008】また、本発明の酸化チタン膜の成膜方法
は、スパッタリング成膜する際のガス条件が、体積%換
算で窒素ガス量≧アルゴンガス量であることを特徴とす
る。
【0009】さらに、本発明の酸化チタン膜の成膜方法
は、基板上に銀膜を成膜した後、前記成膜方法により該
銀膜上に保護膜としての酸化チタン膜を積層し熱線遮蔽
性能を有するようにすることを特徴とする。
【0010】さらにまた、本発明の酸化チタン膜の成膜
方法は、基板表面に、前記成膜方法により酸化チタン膜
を成膜したのち、200〜700℃の温度で熱処理し、
該膜表面に親水性を付与してなることを特徴とする。
【0011】またさらに、本発明の酸化チタン膜の成膜
方法は、ガラス基板表面に、前記成膜方法により酸化チ
タン膜を成膜したのち、550〜700℃の温度で熱処
理し、曲げ加工及び/又は強化加工を行うことを特徴と
する。
【0012】さらに、本発明の酸化チタン膜の成膜方法
は、前記方法により成膜される酸化チタン膜の成膜速度
は、体積%換算で酸素ガス55%、アルゴンガス45
%、窒素ガス0%のガス条件のもとで酸化チタン膜を成
膜する場合と比べて1.5倍以上であることを特徴とす
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の酸化チタン膜の成膜方法
は、基材表面に、金属チタンのターゲットを用いてスパ
ッタリング法により酸化チタン膜を成膜するにおいて、
体積%換算で酸素が5〜25%、アルゴンと窒素の合計
量が75〜95%よりなるガス条件のもとで成膜し、膜
中に3〜30原子%の窒素原子を含有させた酸化チタン
膜を被覆することを特徴とする。
【0014】成膜するガス条件としては、体積%換算で
酸素が5〜25%、アルゴンと窒素の合計量が75〜9
5%よりなるガス条件のもとで成膜することにより、例
えば従来の酸化チタン膜をスパッタリング成膜する場合
の汎用のガス条件(体積%換算で、酸素55%、アルゴ
ン45%、窒素0%)で成膜する場合の成膜速度と比較
して、1.5倍以上で成膜することが可能となる。な
お、ガス条件が、体積%換算で酸素5〜15%、アルゴ
ンと窒素の合計量が95〜85%の場合には、前記汎用
のガス条件で酸化チタン膜を成膜する場合と比べて2倍
以上、場合によっては3倍以上、の成膜速度が得られる
のでより好ましい。なお、成膜する際のガス条件が、体
積%で窒素ガスの量をアルゴンの量よりも多い量でスパ
ッタ成膜すると安定して高速で成膜することが可能とな
るのでより好ましい。
【0015】本発明の方法で得られる特異な酸化チタン
膜は、以下に述べるような原理で生成するものと考えら
れる。すなわち、従来のスパッタリング成膜方法の成膜
速度の改善のところで述べた”金属モード”と呼ばれる
チタン原子の状態にある未反応の金属チタン原子は、ス
パッタ室へ供給された多量の窒素により窒化チタンとし
て取り込まれるため、酸素成分が少ないガス条件下にお
いても金属チタン原子が直接基板上に成膜されるのを防
止され、次いで生成された窒化チタンは、微量の酸素分
子と反応して酸窒化チタンに変化するものと考えられ
る。このような原理により、必要最小限の酸素量で安定
して窒素を含有する酸化チタンの成膜を行う事ができる
ものと推察される。
【0016】本発明の方法で成膜された酸化チタン膜
は、酸素が100体積%のガス条件で成膜した酸化チタ
ンの屈折率、吸収の値と同等の光学特性を有し、波長5
50nmにおける屈折率は2.0〜2.5、吸収は0.
1以下となる。また、電気抵抗値(膜表面のシート抵
抗)は、10-12Ω/□以上で絶縁性を示す誘電体であ
る。
【0017】以上の成膜方法により得られた酸化チタン
膜は、光学特性的には酸素が100%で成膜した酸化チ
タン膜と同等であるが、ESCA分析すると、本発明の
方法で得られた酸化チタン膜中には、窒素原子が含まれ
ている事が確認できる。この酸化チタン膜中に含有され
た窒素は、酸化チタン膜の化学的、機械的な強度の増加
に寄与し、JIS R3221の、化学的耐摩耗性試験
で評価すると、膜中の窒素の含有量が3原子%以上の場
合において酸素が100体積%のガス条件で成膜した酸
化チタンよりも優れた化学的耐久性、耐摩耗性を示す。
【0018】すなわち、本発明の方法で得られた酸化チ
タン膜は、例えば、JIS R3221B類に基づく耐
アルカリ性試験により評価すると、該試験前後の可視光
線透過率変化は、例えば0.1%以下であり、該試験に
よってもほとんど性能が変化しない良好な耐アルカリ性
能を有する。また、同様に耐摩耗性試験の評価をする
と、試験前後の可視光線透過率変化は同様に0.1%以
下であり、良好な耐摩耗性を有する。
【0019】また、本発明の方法で得られた酸化チタン
膜は、耐熱性にも優れ、該酸化チタン膜付き基板を例え
ば650℃のような高温度で熱処理しても、熱処理前後
の可視光線透過率変化は小さく、良好な耐熱性を有す
る。この特性を生かし、該膜付きガラス基板を550℃
〜700℃の温度で加熱処理して曲げ加工及び/又は強
化加工を行っても光学特性の変化がほとんどないので、
成膜したのちに熱処理を行い、特に車輌窓ガラス用とし
ての酸化チタン膜付き曲げガラス及び/又は強化ガラス
を得るのに好適である。なお、本発明の方法により得ら
れた酸化チタン膜は、前記熱処理をする前は非晶質の状
態にあり、前記のような温度条件で熱処理を行うことに
より、アナターゼ型或いはルチル型の酸化チタン結晶を
有するようになる。
【0020】さらに、本発明の方法により得られた酸化
チタン膜は、成膜したのち200〜700℃の温度で熱
処理すると、該酸化チタン膜が親水性を示すという特性
も併せて有するようになる。この特性を利用して、例え
ば、ガラス基板表面に本発明の酸化チタン膜を成膜した
のち、200〜700℃の温度で熱処理し、親水性酸化
チタン膜付ガラス基板を得、前記の耐摩耗性、耐熱性と
併せて、自動車用、建築用、鏡用等の各種の防曇ガラス
等の用途に応用することも可能となる。
【0021】なお、前記の耐摩耗性、耐熱性を向上させ
るためには、少なくとも酸化チタン膜中の窒素原子の含
有量が3原子%以上必要であるが、光学特性等とのバラ
ンスを考慮すると30原子%以下の窒素含有量とするこ
とが必要であり、特に窒素含有量が15〜25原子%の
場合がより好ましい。なお、本発明で得られる酸化チタ
ンの膜厚としては、特に限定されないが、50〜100
nm程度が好ましい。
【0022】また、前記の良好な特性を考慮し、例え
ば、ガラス基板表面に熱線遮蔽性能を有する金属銀より
なる銀膜を成膜したのち、その上層に保護膜として本発
明の成膜方法により酸化チタン膜を積層させ熱線遮蔽膜
付きガラス基板とすると、銀膜を被覆させた従来の熱線
遮蔽膜付きガラス基板のように、該銀膜が大気中に含ま
れる水分により酸化されるのを防止するためにガラス基
板を複層タイプにする必要がなく、膜付きガラス基板の
単板で使用しても大気中に含まれる水分により銀が酸化
され被膜の変色やピンホールが発生することがなく、ま
た保管期間や保管方法(耐湿倉庫)が制限されるなどの
問題がない等の利点を有する。なお、前述のように、本
発明の方法で得られた酸化チタン膜は、耐熱性にも優れ
ているので、前記熱線遮蔽膜付きガラスを用途により曲
げ加工及び/又は強化等の熱処理を行っても、銀層が酸
化されて熱線遮蔽性能が劣化することがない等の利点も
有する。本発明に用いられる基材は、特に限定するもの
ではなく、ガラス、プラスチック、セラミックス等を用
いることが可能である。なお、熱処理を行う場合には耐
熱性を有する基材を用いる必要がある。
【0023】なお、本発明の成膜には、通常プラナー型
と呼ばれる平板タイプのカソードを用いて成膜すること
が好ましいが、ターゲットが円筒形となったC−MAG
(シリンドリカルマグネトロン)と呼ばれるカソード、
2つのプラナーカソードが対となったツインマグネトロ
ン又はデュアルマグネトロンと呼ばれるカソード等の成
膜装置でも用いることができる。
【0024】また、本発明の成膜には、DC(直流)、
RF(交流)、MF(中周波数)、パルス電源或いはそ
の他のスパッタリング可能な電源についても使用でき
る。さらに、本発明の成膜には、微量の圧力、プラズマ
スペクトルを測定し電力及び供給ガスの調整を行う制御
装置等を用いて制御を行っても差し支えない。また、成
膜時に200〜300℃に基板を加熱して成膜すると、
アナターゼ型の酸化チタン膜が生成され、光触媒性能を
有するものを得ることも可能である。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。但し、本発明は、係る実施例に限定されるものでは
ない。なお、下記の実施例及び比較例で示す酸化チタン
膜及び酸化チタン膜が被覆された酸化チタン膜付きガラ
ス基板の評価は以下の方法により行った。 (1)可視光線透過率;JIS R3106に準拠し、分光光度計(型式U−4 000 日立製作所製)により波長380〜780nm間を測定 (2)屈折率 ;分光光度計で測定した透過率、膜面反射率、膜厚より計算 (3)吸収 ;(同上) (4)膜厚 ;段差測定器dektak3(Sloan社製)により測定 (5)耐酸性 ;JIS R3221B類に準拠 (6)耐アルカリ性;JIS R3221B類に準拠 (7)耐摩耗性 ;JIS R3221B類に準拠 (8)接触角 ;一定量の純水がコーティング面に形成する角度を測定。
【0026】実施例1〜8、比較例1〜4 〔成膜〕成膜は、アプライド・フイルムズ社製(米国)
のDCマグネトロンスパッタリング装置(カソード、電
源、ガス供給システム)を用いて行った。なお、用いた
スパッタリング成膜設備の概略構造を図1に示す。スパ
ッタリング成膜設備1は、ターゲット2の左右からガス
管3,3’を通じて、それぞれの条件に設定した3種類
のガス(アルゴン、酸素、窒素)をガスボンベ4から真
空系のスパッタ室5に供給するようになっている。使用
するターゲット2は、純度3N(99.9%)の金属チ
タンターゲットを用い、電源装置6はDC電源を用いて
アノード(陽極)7,7’とターゲット(陰極)2間で
放電を行い、それぞれのガスのプラズマを発生させる。
基板としてのフロート法で製造された3mm厚の汎用の
板ガラス組成を有するガラス基板8(可視光線透過率:
90.4%)をターゲット2の下方に設置し、該ガラス
基板表面に酸化チタン膜9を成膜する機構となってい
る。
【0027】酸化チタン膜の成膜は、前記のスパッタリ
ング設備1を用い、表1に示した実施例1〜8,比較例
1〜4のガス組成に示すガスをスパッタ室に供給し、真
空度が4.0〜6.0×10-1Paの範囲になる様に圧
力制御を行ったのち、金属チタンターゲットを用い45
kwの電力(一定)となる様に電力制御を行い成膜し
た。
【0028】表1に、実施例1〜8及び比較例1〜4の
各サンプルを成膜する際のガス組成(体積%)、得られ
た酸化チタン膜の膜厚(Å)、成膜速度、得られた酸化
チタン膜付きガラスの可視光線透過率(%)を示す。な
お、比較例1のガス組成は、酸化チタン膜をスパッタ成
膜する時の従来の一般的な条件(体積%換算でアルゴン
45%、酸素55%、窒素0%)で行った。
【0029】得られた酸化チタン膜或いは酸化チタン膜
付きガラスについて評価した結果、表1に示す通り、実
施例1〜8のサンプルの成膜速度は、従来の酸化チタン
膜の汎用の成膜条件である比較例1の成膜速度と比較し
て1.5倍以上と飛躍的に向上し、例えば、実施例5の
ガス条件で成膜した場合には、比較例1の成膜速度の
2.4倍、実施例8のガス条件で成膜した場合には、比
較例1の3.1倍と大幅に向上している。なお、成膜速
度を向上するためのガス条件(体積%換算)としては、
酸素が15体積%以下、アルゴンと窒素の合計量が85
%以上の範囲がより好ましい傾向を示している。さら
に、窒素ガス量≧アルゴンガス量の場合にはさらに安定
な条件で成膜が可能となる。なお、膜厚の制御は、カソ
ード下を通過するガラス基板の通過速度を変化させて所
定の膜厚を得、目標とする膜構成の順に順次成膜を実施
した。また、必要に応じてターゲット表面をArガスで
クリニングを行った。
【0030】
【表1】
【0031】表2は、実施例のうちで成膜速度の良好で
あった実施例5、実施例8のサンプルの酸化チタン膜に
ついて、屈折率及び吸収について比較例1と比較したデ
ータを示す。結果、従来の汎用条件のスパッタ法で成膜
した酸化チタン膜(比較例1)と比較して、屈折率、吸
収はほとんど同じ性能を示していることが判る。なお、
実施例4の酸化チタン膜中の窒素の含有量をESCA分
析法で測定した結果、10原子%の窒素が検出された。
【0032】
【表2】
【0033】表3は、実施例5の耐久性試験(JIS
R3221Bに準拠)、加熱処理前後(650℃−6分
加熱処理)の可視光線透過率変化、加熱処理後(650
℃−6分加熱処理)の接触角を測定した結果を示す。結
果、実施例5のサンプルは、比較例1のサンプルと比較
して機械的な耐久性を示す耐摩耗性において、試験前後
の可視光線透過率は0.1%とほとんど変化がなく、耐
摩耗性に優れていることが判る。また、加熱処理前後の
可視光線透過率の変化は、実施例5は1.3%と比較例
1の2.5%と比較して小さく、耐熱性に優れているこ
とが判る。さらに、加熱処理した実施例5のサンプルは
接触角が8.3°と小さく親水性を示し、防曇性能を有
することが示されている。なお、良好な親水性を示すガ
ス条件は、実施例5の近傍の条件が最も良好であった。
【0034】なお、加熱処理の方法は、得られた酸化チ
タン膜付きガラスをステンレス製のキャリヤーに膜面を
上にして載置し、大気中650℃に保持されたマッフル
炉に入れ6分間保持(汎用の曲げガラス製造時の熱処理
条件)した後、ガラスサンプルをキャリヤーごと炉外へ
取り出し、大気中−室温(25℃)で除冷を行った。
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】本発明は、スパッタリング装置で酸化チ
タン膜を成膜する際に、高価な酸化チタンターゲットを
用いずに汎用の金属チタンターゲットを使用して成膜す
る際のガス条件の調整をすることにより、安定な酸化チ
タン膜を高速で安価に成膜することができるとともに、
得られた窒素を含む酸化チタン膜は従来のスパッタリン
グ法で成膜した酸化チタンだけの膜と比べて光学特性は
同等であるにも係わらず耐熱性、耐摩耗性、耐アルカリ
性等に優れるので熱線遮蔽用、曲げ加工用及び/又は強
化加工用等目的に応じて種々の用途に利用できる等の著
効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパッタリング成膜設備の概略図を示
す。
【符号の説明】
1 スパッタリング成膜設備 2 ターゲット 3、3’ ガス管 4 ガスボンベ 5 スパッタ室 6 電源装置 7、7’ アノード 8 ガラス基板 9 酸化チタン膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G059 AA01 AA08 AA11 AB09 AC06 AC21 DA01 DB02 EA04 EA12 EB04 GA01 GA04 GA14 4K029 AA09 AA24 BA04 BA17 BA48 BB02 BC01 CA05 DB03 DC39 EA05 GA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材表面に、金属チタンのターゲットを用
    いてスパッタリング法により酸化チタン膜を成膜するに
    おいて、体積%換算で酸素が5〜25%、アルゴンと窒
    素の合計量が75〜95%よりなるガス条件のもとで成
    膜し、膜中に3〜30原子%の窒素原子を含有させた酸
    化チタン膜を被覆することを特徴とする酸化チタン膜の
    成膜方法。
  2. 【請求項2】スパッタリング成膜する際のガス条件が、
    体積%換算で窒素ガス量≧アルゴンガス量であることを
    特徴とする請求項1記載の酸化チタン膜の成膜方法。
  3. 【請求項3】基板上に銀膜を成膜した後、前記成膜方法
    により該銀膜上に保護膜としての酸化チタン膜を積層し
    てなることを特徴とする熱線遮蔽性能を有する請求項1
    又は2記載の酸化チタン膜の成膜方法。
  4. 【請求項4】基板表面に、前記成膜方法により酸化チタ
    ン膜を成膜したのち、200〜700℃の温度で熱処理
    し、該膜表面に親水性を付与してなることを特徴とする
    請求項1乃至3の何れかに記載の酸化チタン膜の成膜方
    法。
  5. 【請求項5】ガラス基板表面に、前記成膜方法により酸
    化チタン膜を成膜したのち、550〜700℃の温度で
    熱処理し、曲げ加工及び/又は強化加工を行うことを特
    徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の酸化チタン膜
    の成膜方法。
  6. 【請求項6】前記方法により成膜される酸化チタン膜の
    成膜速度は、体積%換算で酸素ガス55%、アルゴンガ
    ス45%、窒素ガス0%のガス条件のもとで酸化チタン
    膜を成膜する場合と比べて1.5倍以上であることを特
    徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の酸化チタン膜
    の成膜方法。
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