JP2003230552A - 生体状態推定方法及び生体刺激方法 - Google Patents

生体状態推定方法及び生体刺激方法

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JP2003230552A
JP2003230552A JP2002143233A JP2002143233A JP2003230552A JP 2003230552 A JP2003230552 A JP 2003230552A JP 2002143233 A JP2002143233 A JP 2002143233A JP 2002143233 A JP2002143233 A JP 2002143233A JP 2003230552 A JP2003230552 A JP 2003230552A
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biological
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eye movement
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Yukiko Tateyama
由貴子 立山
Taiji Kawachi
泰司 河内
Takeshi Nakagawa
剛 中川
Naoki Fukaya
直樹 深谷
Shinji Nanba
晋治 難波
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体状態を定量的に精度良く評価することが
できる生体状態推定方法及び生体刺激方法を提供するこ
と。 【解決手段】 生体対応装置1は、ドライバー等の生体
の眼球運動信号を検出する眼球運動信号検出部3と、眼
球運動信号検出部3にて検出した差分信号を解析して作
業能力推定値を求める眼球運動信号解析部5と、眼球運
動信号解析部5にて求めた作業能力推定値に基づいて生
体状態を推定する状態判定部7と、状態判定部7にて判
定した生体状態に基づいて生体に対して必要な刺激を与
える刺激発生部9とを備えている。眼球運動信号解析部
5では、フィルタ処理した信号に対して、所定周期毎に
周波数解析を行って特定周波数帯のパワーを求め、更に
移動平均を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、眼球運動信号等を
測定し解析することによって、ドライバー等の生体の状
態を推定する生体状態方法及び生体に刺激を与える生体
刺激方法に関するものである。例えば、覚醒度・疲労度
などの生体基礎状態や作業能力のレベルを定量化し、作
業者の状態を監視したり、作業中の居眠り防止や作業能
力向上のための覚醒アクチュエータの効果の検証、或い
は疲労軽減システムの検証等に用いることができる生体
状態方法及生体刺激方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、車両の運転中におけるドライバーの覚醒度や疲労度
などの生体基礎状態、及びそれらに影響される作業能力
のレベルの評価手法として、運転挙動による評価と生体
基礎状態による評価の2つに大別される手法が知られて
いる。
【0003】このうち、運転挙動による評価方法として
は、車両の白線からの横ずれ量、ハンドル操舵角、車間
距離等を検知して、覚醒度や疲労度などの生体基礎状態
及びそれらに影響される運転能力を判定する方法があ
る。しかし、運転挙動に変化が現れる時点では、ドライ
バーはかなりの覚醒度の低下や疲労度の増加状態に達し
ているので、ドライバーの快適性、安全性を確保するた
めに、もっと早期に、覚醒度の低下、疲労度の増加、運
転作業能力の低下等を判定する必要がある。
【0004】また、この様な運転挙動による評価方法
は、高速道路など比較的定常走行においてはうまく適用
できるが、市街地で障害物を回避するために反対車線に
侵入したり渋滞中に車間距離を短くするといった、外乱
要因によって意図的に行った運転操作を、覚醒度の低下
や疲労度の増加及びそれに影響される運転能力の低下と
誤認識するという問題がある。
【0005】この対策として、特定のコースを走行する
場合には、運転挙動を学習して、誤認識を軽減する方法
があるが、学習するのに長い時間を要するという問題が
ある。更に、運転挙動による評価は、その日の天候等、
環境の影響を受けやすいという問題もある。
【0006】一方、生体基礎状態による評価方法として
は、脳波、皮膚電位、脈波、心電等の生体信号を測定す
る方法がある。この方法の場合には、生体信号の多く
は、信号が微弱であったり体動がノイズとして混入した
りして、測定が困難であるという問題がある。また、個
人差による影響が大きく、万人に対して共通の方法で状
態を評価することが困難であるという問題もある。
【0007】これに対して、眼球運動信号は、比較的電
位が大きく体動ノイズが乗りにくいことから測定し易
く、例えば特開平6−104124号公報や特開平7−
241283号公報に記載の様に、眼球運動信号を用い
て、ドライバーの状態を評価する手法が提案されてい
る。
【0008】しかしながら、この公報に記載の技術で
は、覚醒状態か居眠り状態を判断するのみであり、実際
の生体状態を定量的に評価できないという問題があっ
た。つまり、生体状態を精度良く評価することができな
いという問題があった。また、これとは別に、眼球運動
信号等の生体信号を解析する場合には、生体状態を示す
信号以外に、解析手法に起因する影響(後述する周波数
特性による影響)があり、この点からも、生体状態の評
価の精度が低下するという問題もあった。
【0009】本発明は、前記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、運転挙動の評価による誤
認識の問題と、生体信号を用いた評価によるノイズ等の
問題を解決して、生体状態を定量的に精度良く評価する
ことができる生体状態推定方法及び生体刺激方法を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】(1)請
求項1の発明では、生体状態を示す生体信号である眼球
運動信号を周波数解析し、その解析による特定周波数帯
の出力の大きさに基づいて、生体状態を推定する。
【0011】本発明者らの研究により、眼球運動信号を
周波数解析した結果である特定周波数帯の出力(例えば
パワー)と生体状態との間には、高い相関関係があるこ
とが見出されており、本発明はその知見に基づいてなさ
れたものである。つまり、前記特定周波数帯の出力と生
体状態との間には、高い相関関係があるので、特定周波
数帯の出力に基づいて、正確に生体状態を推定すること
ができる。
【0012】即ち、特定周波数帯とは、周波数解析した
結果である周波数特性のうち、生体状態との相関関係が
認められる帯域のことであり、実際には、この帯域の範
囲内で選択して設定することができる。この特定周波数
帯としては、例えば0.1〜1.0Hz、特に0.1〜
0.6Hzの範囲であれば、前記相関関係が高いので、
好適である。
【0013】また、特定周波数帯の出力とは、周波数解
析(例えばFFT処理)によって得られる出力の大きさ
を示し、通常は、強度又は強度の二乗であるパワーで表
現されるものである。更に、この特定周波数帯の出力
は、その帯域における出力を積分した値(例えば後述す
るパワー積分値やその移動平均)などにより表現するこ
とができる。
【0014】尚、ここで、生体状態とは、後述する様
に、例えば覚醒度や疲労度等の様に、生体自体の活性の
程度を示す生体基礎状態、或いはその生体基礎状態に影
響される作業能力レベル等で示される生体の状態であ
る。 (2)請求項2の発明では、生体状態を示す生体信号で
ある眼球運動信号を周波数解析を解析し、その解析によ
る帯域の(一部又は全体が)異なる特定周波数帯間の出
力の大きさを比較することにより、生体状態を推定す
る。
【0015】本発明者らの研究により、(眼球運動信号
を周波数解析した結果である)複数の特定周波数帯間の
出力の大きさを比較した結果(例えばパワーの比)と生
体状態との間には、高い相関関係があることが見出され
ており、本発明はその知見に基づいてなされたものであ
る。
【0016】つまり、前記特定周波数帯間の出力の大き
さの比較結果と生体状態との間には、高い相関関係があ
るので、特定周波数帯間の出力の大きさの比較結果に基
づいて、正確に生体状態を推定することができる。尚、
特定周波数帯とその出力と生体状態の意味に関しては、
前記請求項1と同様なことが言える。また、前記異なる
特定周波数帯としては、それぞれの特定周波数帯が全く
異なっていてもよいし、一部が重なっていてもよい。
【0017】(3)請求項3の発明は、生体状態を示す
生体信号を周波数解析を解析し、その解析により得られ
た異なる特定周波数帯間の出力の大きさを比較すること
により、生体状態を推定する生体状態推定方法であっ
て、前記生体信号の周波数特性を、(一部又は全体が)
異なる特定周波数帯域間における周波数の違いに起因す
るベース出力の格差を小さくするように平坦化し、該平
坦化した信号に基づいて、前記生体状態を推定する。
【0018】例えば眼球運動信号を周波数解析すると、
その解析結果の信号(周波数特性を示す信号)には、眼
球運動に起因する信号とは別に、周波数の違いに起因す
るベースとなる出力が現れる(例えば図18の左右の周
波数帯間のパワーの違い参照)。
【0019】従って、異なる特定周波数帯域間の出力の
大きさを(例えばパワーの比により)そのまま比較する
と、特定周波数帯間の出力の大きさの比較結果と生体状
態との間には高い相関関係があっても、ベースとなる出
力の違いに影響されて、生体状態を正確に推定できない
可能性がある。
【0020】そこで、本発明では、生体信号の周波数特
性を、異なる特定周波数帯域間における周波数の違いに
起因するベースとなる出力の格差を小さくするように平
坦化し、平坦化した信号(図17参照)に基づいて、生
体状態を推定するのである。これにより、周波数の違い
に起因するベースとなる出力の影響を排除して、生体状
態をより正確に推定することができる。
【0021】尚、特定周波数帯とその出力と生体状態の
意味に関しては、前記請求項1と同様なことが言える。
また、前記異なる特定周波数帯としては、それぞれの特
定周波数帯が全く異なっていてもよいし、一部が重なっ
ていてもよい。 (4)請求項4の発明では、生体信号を微分処理し、微
分処理した信号を周波数解析し、解析結果の信号に基づ
いて、生体状態を推定する。
【0022】本発明は、前記請求項3の発明で説明した
平坦化の手法を例示したものである。 つまり、例えば
眼球運動信号(図15参照)を微分し、その微分した信
号(図16)を周波数解析することにより、周波数の違
いに起因するベースとなる出力の影響を排除した信号
(即ち周波数特性が平坦化された信号)が得られる。従
って、この平坦化された信号を用いることによって、生
体状態をより正確に推定することができる。
【0023】尚、時間領域において微分処理を施すこと
は、周波数領域において高周波成分の強調を意味してお
り、微分処理によって周波数特性の平坦化が可能なこと
は、数学的に周知な事実である。また、前記平坦化の手
法としては、上述した微分による手法以外に、例えば周
波数の違いに起因するベースとなる出力を求め、周波数
解析の結果から、そのベースとなる出力を除く方法など
が挙げられる。
【0024】(5)請求項5の発明では、生体信号と
は、眼球運動信号である。本発明は、生体信号を例示し
たものであり、ここでは、特に眼球運動信号を例示して
いる。つまり、眼球運動信号を周波数解析した結果に基
づいて、正確に生体状態を推定することができる。
【0025】尚、生体信号としては、眼球運動信号以外
に、生体の変化に応じて信号が変化する、例えば脈波、
心電、脳波等を用いることが可能である。 (6)請求項6の発明では、2つの特定周波数帯の出力
の大きさに基づいて、生体状態を推定する。
【0026】本発明は、推定に利用する特定周波数帯の
数を例示したものであり、2つの特定周波数帯を用いる
ことにより、精度が向上する。 (7)請求項7の発明では、2つの特定周波数帯のう
ち、周波数帯1が低周波数側を示し、周波数帯2が高周
波数側を示す。
【0027】本発明は、2つの特定周波数帯をどのよう
に選択するかを例示したものであり、例えば図1(a)
に示す様に、低周波数側の周波数帯1のパワーの大きさ
と、高周波数側の周波数帯2のパワーの大きさを比べる
ことにより、生体状態を正確に推定することができる。
【0028】尚、低周波数側の周波数帯1と高周波数側
の周波数帯2とは、前記図1(a)に示す様に、両帯域
が全て異なっていてもよいが、図1(b)に示す様に、
一部が重なっていてもよく、全体として、低周波数側か
高周波数側かが区別できればよい。
【0029】(8)請求項8の発明では、周波数帯1の
上限が周波数帯2の上限より低く設定する。本発明は、
低周波数帯と高周波数帯の設定を手法を例示したもので
あり、例えば図1(c)に示す様に両周波数帯を設定
し、例えば両周波数帯のパワーの比を求めることによ
り、生体状態の変化を容易に把握することができる。
【0030】(9)請求項9の発明では、周波数帯1が
0.1〜0.6Hzであり、周波数帯2が0.1〜30
Hzである。本発明は、低周波数帯と高周波数帯の帯域
を例示したものであり、この範囲であれば、生体状態の
変化をより的確に把握することができる。
【0031】(10)請求項10の発明では、周波数帯
1の出力P1と周波数帯2の出力P2との出力の比P1
/P2に基づいて、生体状態を推定する。本発明は、ど
の様に異なる周波数帯間の出力を比較するかを例示した
ものであり、この様に出力の比(低周波数帯の出力/高
周波数帯出力)をとることにより、容易に且つ確実に生
体状態を推定することができる。
【0032】(11)請求項11の発明では、出力の比
P1/P2が大きいほど、生体が非活発状態であると判
定する。本発明者らの研究により、例えば覚醒度が低下
する(又は疲労度が増加する)場合の様に、生体が活性
状態から非活性状態に移行すると、高周波数帯の出力が
減少するのに比べて低周波数帯の出力が増加する結果、
即ち出力の比において分母に比べて分子が増加する結
果、出力の比自体が大きくなることが発見されている。
従って、前記出力の比が大きいほど、生体が非活性状態
であると判定することが可能である。
【0033】(12)請求項12の発明では、特定周波
数帯の出力の移動平均を用いて、生体状態を推定する。
本発明では、ある時点におけるデータを用いた周波数解
析のみではなく、他の時点のデータを用いた周波数解析
を行うとともに、それらの周波数解析の一定の期間にお
ける結果を平均して移動平均を求め、その移動平均を使
用して生体状態を推定するので、移動平均を用いない場
合と比べて、安定して正確に生体状態を推定することが
できる。
【0034】(13)請求項13の発明では、出力の比
P1/P2の移動平均を用いて、生体状態を推定する。
本発明は、出力の比を用いる場合にも、前記請求項9に
て説明したのと同様に、各特定周波数帯において、その
移動平均を用いるので、安定して正確に生体状態を推定
することができる。
【0035】(14)請求項14の発明では、作業内容
に応じて、移動平均の長さを変更する。移動平均が短い
場合には、短時間のデータに基づいて生体状態を推定す
るので、生体状態の急な変化を見逃さずに推定すること
ができる。また、移動平均が長い場合には、長時間のデ
ータに基づいて生体状態を推定するので、生体状態の長
期間に亘る変化を正確に推定することができる。
【0036】(15)請求項15の発明では、個人ごと
に、生体状態との相関が高くなるように、特定周波数帯
を設定する。本発明者らによれば、個人毎に、特定周波
数帯と生体状態との相関関係が異なるので、各個人のデ
ータを蓄積して、生体状態と高い特定周波数帯を設定す
ることにより、一層正確に生体状態を推定することがで
きる。
【0037】(16)請求項16の発明では、生体状態
とは、生体自体の活性の程度を示す生体基礎状態、又は
生体基礎状態に基づく作業能力レベルである。本発明
は、生体状態を例示したものであり、ここでは、生体状
態として、例えば覚醒度や疲労度などの生体自体の活性
の程度を示す生体基礎状態、又は生体基礎状態に影響さ
れる(即ち高い相関関係がある)作業能力レベルが挙げ
られる。これは、本発明者らの研究により確認されてい
る。
【0038】(17)請求項17の発明では、眼球運動
信号として、右目の眼球運動信号と左目の眼球運動信号
との差分を用いる。本発明では、眼球運動信号として、
右目の眼球運動信号と左目の眼球運動信号との差分を用
いるので、例えば体動ノイズなどの外乱の影響を取り除
いて、生体状態を精度良く推定することができる。
【0039】(18)請求項18の発明では、眼球運動
信号として、一方の目の眼球運動信号を用いる。本発明
では、眼球運動信号として、一方の目の眼球運動信号を
用いるだけで済むので、構成及び処理を簡易化すること
ができる。
【0040】(19)請求項19の発明では、眼球運動
信号を検出する部位とは異なる部位の基準信号を検出
し、基準信号と眼球運動信号との差分を用いる。本発明
では、基準信号と眼球運動信号との差分を用いるので、
例えば体動ノイズ等の外乱の影響を取り除くことが可能
である。
【0041】(20)請求項20の発明では、眼球運動
信号を検出する部位とは異なる部位の基準信号を検出
し、基準信号と右目の眼球運動信号との差分である右目
側差分信号と、基準信号と左目の眼球運動信号との差分
である左目側差分信号との差分を用いる。
【0042】本発明では、右目側差分信号と左目側差分
信号との差分を用いるので、即ち2回の差分を取るの
で、生体状態を一層精度良く推定することができる。 (21)請求項21の発明では、請求項5〜16のいず
れかに記載の眼球運動信号に代えて、眼球を撮影した画
像から求めた眼球の動きを示す移動信号を用いて、生体
状態を推定する。
【0043】本発明者らの研究により、上述した眼球の
移動信号を周波数解析した結果である特定周波数帯の出
力(或いは移動信号を周波数解析した結果である複数の
特定周波数帯間の出力の大きさを比較した結果)と、生
体状態との間には、高い相関関係があることが見出され
ており、本発明はその知見に基づいてなされたものであ
る。
【0044】これにより、特定周波数帯の出力(或いは
特定周波数帯間の出力の大きさを比較した結果)を用い
ることにより、生体状態を推定することができる。従っ
て、前記請求項5〜16の発明において、眼球運動信号
を移動信号と置き換えた場合と同様な作用効果を奏す
る。
【0045】(22)請求項22の発明では、移動信号
として、眼球のどう孔中心の動きを示す移動信号を用い
る。本発明は、移動信号を例示したものであり、どう孔
中心の移動を示す移動信号を用いれば、生体状態を容易
に且つ正確に求めることができる。
【0046】(23)請求項23の発明では、請求項1
〜22の生体状態推定方法によって推定した生体状態の
推定値が、所定の判定値を超えた場合に、生体に刺激を
与える。本発明では、生体状態の推定値が判定値を超え
た場合、例えば生体の覚醒度が低下したり疲労度が増加
した場合には、生体を刺激するので、例えば居眠り運転
を防止することができる。
【0047】(24)請求項24の発明では、生体状態
の推定値に基づいて、生体に与える刺激の内容を変更す
る。本発明では、例えば生体の覚醒度の低下や疲労度が
増加の程度に応じて、生体に与える刺激の程度を変更で
きるので、生体に対して効果的に必要な程度の刺激を与
えることができる。
【0048】
【発明の実施の形態】次に、本発明の生体状態推定方法
及び生体刺激方法の実施の形態の例(実施例)につい
て、図面に基づいて説明する。 (実施例1) a)まず、本実施例の生体状態推定方法及び生体刺激方
法を実施するために必要な、生体状態推定機構及び生体
刺激機構を備えた装置(以下生体対応装置と記す)のシ
ステム構成について説明する。
【0049】図2に示す様に、生体対応装置1は、ドラ
イバー等の生体の眼球運動信号(詳しくはその差分信
号)を検出する眼球運動信号検出部3と、眼球運動信号
検出部3にて検出した差分信号を解析して作業能力推定
値を求める眼球運動信号解析部5と、眼球運動信号解析
部5にて求めた作業能力推定値に基づいて生体状態を判
定(推定)する状態判定部7と、状態判定部7にて判定
した生体状態に基づいて生体に対して必要な刺激を与え
る刺激発生部9とを備えている。
【0050】ここで、眼球運動信号解析部5及び状態判
定部7は、周知のマイクロコンピュータを主要部とする
マイコン処理部11である。以下詳細に説明する。 前記眼球運動信号検出部3は、図3に示す様に、生体
に対して取り付けられる3種の電極D1〜D3を備えて
いる。つまり、生体の顔に対して、右目の外側に右目用
電極D1、左目の外側に左目用電極D2、ひたいの部分
にアース電極D3が、それぞれ取り付けられる。
【0051】各電極D1〜D3は、差動増幅器13に接
続されており、この差動増幅器13では、一定サンプリ
ング周波数(例えば100Hz)で、右目用電極D1に
よって得られた右目の眼球運動信号S1と左目用電極D
2によって得られた左目の眼球運動信号S2との差分と
り、その差分を増幅する。
【0052】つまり、図4に示す様に、アース電極D3
の電位を中心(0V)として、右目の眼球運動信号S1
と左目の眼球運動信号S2とは、その振幅が反対方向に
変化するので、右目の眼球運動信号S1と左目の眼球運
動信号S2との差分ΔS(例えばΔS=S1−S2)を
とるのである。ここで、差分をとる理由は、眼球運動以
外に起因するノイズ(例えば体動によるノイズ)を除く
ためである。
【0053】図2に戻り、差動増幅器13から主力され
た信号(差分信号)は、図示しないA/Dコンバータに
てA/D変換されて、眼球運動信号解析部5に出力され
る。 前記眼球運動信号解析部5では、図5に示す手順に
て、作業能力を推定する。
【0054】つまり、まず、体動等に起因するノイズを
除去するために、バンドパスフィルタにより、差分信号
のうちの0.1〜30Hzの信号のみを取り出す。次
に、フィルタ処理した信号に対して、所定周期(例えば
1秒)毎に、周知の周波数解析(高速フーリエ変換処
理:FFT処理)を行う。
【0055】具体的には、図6(a)に例示する様に、
あるタイミング(t1)で、過去10.24秒間のデータ
(即ち100Hz毎のサンプリングによる1024個の
データを用いて)FFT処理を実施し、次のタイミング
(1秒後のt2)で、同様に、過去10.24秒間のデー
タのFFT処理を実施するように、順次FFT処理を実
施する。
【0056】このFFT処理の結果を、図6(b)、
(c)に示すが、その出力である強度(振幅値)の変化
は、所定の周波数を中心にして左右対称なものとして得
られる。ここでは、0.1〜30Hzの周波数帯におけ
る解析結果は、例えばグラフの左半分の512分割され
た値として与えられるので、その帯域の強度をニ乗して
パワーに変換し、このパワーを領域積分することによっ
て、パワー積分値(a1、a2・・)を求めるパワー処
理を行う。
【0057】尚、0.1〜30Hzが、前記特定周波数
帯であるが、この特定周波数帯は、多くの実験に基づい
て得られた値(生体状態との間に一般的に高い相関関係
があると見なされる値)である。次に、1秒毎のタイミ
ングでFFT処理し領域積分して求めたパワー積分値a
の連続60回分の平均値(移動平均AVEa)を求め、こ
の移動平均AVEaを、状態判定部7に出力する。
【0058】尚、この移動平均に関しては、下記式
(1)、(2)に示す様に、順次、パワー積分値aを一
つづずらして、時系列に沿ったデータを求める。 (a1+a2+・・+a60)/60=AVEa1 ・・(1) (a2+a3+・・+a61)/60=AVEa2 ・・(2) 状態判定部7では、入力した移動平均を、作業状態推
定値(作業能力レベル)として、この作業能力推定値
が、予め設定した判定値を超えるかどうかを判定し、判
定値を超えた場合には、その旨を示す信号を、刺激発生
部9に出力する。
【0059】刺激発生部9は、例えばランプや文字等
の表示装置、ブザーや音声等の発音装置として構成され
ている。従って、状態判定部7から、作業能力推定値が
判定値を超えたという信号を受信した場合には、表示装
置や発音装置を駆動して、生体に対して刺激を加えるこ
とができる。
【0060】b)次に、本実施例の作用効果について説
明する。 ・本実施例では、左右の眼球運動信号の差分を増幅し、
その信号を周波数解析し、その解析による特定周波数帯
のパワーの大きさに基づいて作業能力推定値を算出し、
その作業能力推定値に基づいて作業能力レベルを推定し
ている。そのため、ノイズの影響が少なく、また、特別
なセンサを使用することなく、正確に作業能力レベルを
推定することができる。
【0061】・また、本実施例では、作業能力レベルの
推定の際に、特定周波数帯のパワー積分値aの移動平均
を用いるので、ある時点のみの特定周波数帯のデータを
用いる場合と比べて、データの信頼性が向上するという
利点がある。尚、移動平均としては、ここでは60個の
データの平均を用いたが、移動平均が短い場合には、生
体状態の急な変化を見逃さずに推定することができ、移
動平均が長い場合には、生体状態の長期間に亘る変化を
正確に推定することができる。
【0062】・更に、本実施例では、作業能力推定値が
判定値を超えた場合には、例えばドライバーが居眠り運
転する様な覚醒度が低い状態であると判断して、例えば
ドライバーの覚醒度を高める様に、音や光など刺激を与
えることができる。これにより、運転等の作業の安全性
が向上するという効果がある。
【0063】また、この場合には、作業能力推定値が判
定値を超えた程度により、刺激の内容の程度を変更する
と、覚醒度を向上させる効果が大きいので望ましい。
尚、本実施例では、(出力として)強度の2乗であるパ
ワーを用いたが、強度を用いてもよい。
【0064】また、作業能力レベルは、覚醒度や疲労度
に対応したものであるので、前記移動平均を、生体基礎
状態の値とみなしてもよい。これにより、移動平均によ
って、生体基礎状態をも正確に推定することもできる。
更に、前記特定周波数帯は、多くの人の平均的な値では
なく、個人ごとに、生体状態との相関が高くなるように
設定してもよく、これにより、生体状態の推定の精度が
高まるという利点がある。 (実施例2)次に、実施例2について説明するが、前記
実施例1と同様な箇所の説明は省略し、その要部のみを
説明する。
【0065】本実施例では、2つの特定周波数帯のパワ
ーの比を用いることに特徴がある。 a)本実施例では、眼球運動信号解析部5における処理
に特徴があるので、この部分のみを説明するが、ここで
は、図7に示す手順にて、作業能力を推定する。つま
り、まず、バンドパスフィルタにより、差分信号のうち
の0.1〜30Hzの信号のみを取り出す。
【0066】次に、フィルタ処理した信号に対して、所
定周期(例えば1秒)毎に、周波数解析を行う。次に、
各タイミング毎のFFT処理によって得られた特定周波
数帯の強度を求めるが、ここでは、特定周波数帯として
は、前記図1(c)に示した様に、低周波数帯側である
周波数帯1のパワー(例えば0.1〜0.6Hzにおけ
るパワー積分値)P1と、高周波数帯側である周波数帯
2のパワー(例えば0.1〜30Hzにおけるパワー積
分値)P2のパワー比P1/P2を求める。
【0067】次に、1秒毎のタイミングでFFT処理し
て求めたパワー比P1/P2の連続60回分の平均値
(移動平均AVEa)を求め、この移動平均AVEaを作業能
力推定値として、状態判定部7に出力する。 b)本実施例では、前記実施例1と同様な効果を奏する
とともに、特に、1つの特定周波数帯のパワーではな
く、2つの特定周波数帯間のパワー比P1/P2の移動
平均AVEaを用いるので、一層高い精度で、作業能力レ
ベル(従って生体基礎状態も)を推定することができ
る。
【0068】尚、本実施例においても、移動平均の長さ
を変更したり、個人に応じて特定周波数帯を設定するこ
とにより、前記実施例1と同様な効果を奏する。 <実験例>次に、前記実施例2における効果を確認した
実験例について説明する。 実験例1は、ドライビングシュミレータを運転中に、
道路中央からの車両の横ずれ量と前記実施例2の手法で
求めた作業能力推定値とを比較したものである。その結
果を図8に示す。
【0069】ここでは、作業能力推定値を推定覚醒度と
して示してあるが、推定覚醒度として、周波数帯1
(0.2〜1Hz)のパワーP1と周波数帯2(0.3
〜30Hz)のパワーP2とのパワーの比P1/P2を
示している。図8から明らかな様に、横ずれ量と推定覚
醒度との相関係数rは、0.751と極めて高いもので
あった。
【0070】尚、推定覚醒度の算出に用いる両特定周波
数帯としては、被験者に最適なもの(即ち予め調べてお
いた最も相関関係が高くなる特定周波数帯)を使用し
た。 実験例2も、前記実験例1と同様に、ドライビングシ
ュミレータを用いるものであるが、ここでは、特定周波
数帯として、万人に共通なものを用いた。その結果を図
9に示す。
【0071】ここでは、推定覚醒度として、周波数帯1
(0.1〜0.6Hz)のパワーP1と周波数帯2
(0.1〜30Hz)のパワーP2とのパワーの比P1
/P2を示している。図9から明らかな様に、横ずれ量
と推定覚醒度との相関係数rは、0.734と極めて高
いものであった。 (実施例3)次に、実施例3について説明するが、前記
実施例1と同様な箇所の説明は省略し、その要部のみを
説明する。
【0072】本実施例では、右目用電極とアース電極と
基準電極とを用いることに特徴がある。 a)本実施例では、眼球運動信号検出部3に特徴がある
ので、この部分のみを説明する。
【0073】図10に示す様に、本実施例では、生体に
対して取り付けられる3種の電極D1、D3、D4を備
えている。つまり、生体の顔に対して、右目の外側に右
目用電極D1、ひたいの部分にアース電極D3、左耳の
部分に基準電極D4がそれぞれ取り付けられる。
【0074】各電極D1、D3、D4は、差動増幅器1
3に接続されており、この差動増幅器13では、一定サ
ンプリング周波数(例えば100Hz)で、右目用電極
D1によって得られた右目の眼球運動信号S1と基準電
極D4によって得られた基準信号S4との差分を求め
る。
【0075】つまり、図11に示す様に、基準信号S4
に対する右目の眼球運動信号S1の変化(差分ΔS=S
1−S4)を求め、その差分を増幅する。以下前記実施
例1と同様な処理を行う。 b)本実施例は、前記実施例1と同様な効果を奏すると
ともに、右目の眼球運動信号S1と基準信号S4との差
分ΔSをとるので、生体状態の推定の際に、一層誤差が
少なくなるという利点がある。 (実施例4)次に、実施例4について説明するが、前記
実施例1と同様な箇所の説明は省略し、その要部のみを
説明する。
【0076】本実施例では、右目用電極と左目用電極と
アース電極と基準電極とを用いることに特徴がある。 a)本実施例では、眼球運動信号検出部3に特徴がある
ので、この部分のみを説明する。
【0077】図12に示す様に、本実施例では、生体に
対して取り付けられる4種の電極D1〜D4を備えてい
る。つまり、生体の顔に対して、右目の外側に右目用電
極D1、左目の外側に右目用電極D2、ひたいの部分に
アース電極D3、左耳の部分に基準電極D4がそれぞれ
取り付けられる。
【0078】各電極D1〜D4は、差動増幅器13に接
続されており、この差動増幅器13では、一定サンプリ
ング周波数(例えば100Hz)で、図13に示す様
に、右目用電極D1によって得られた右目の眼球運動信
号S1と基準電極D4によって得られた基準信号S4と
の差分ΔS1をとるとともに、左目用電極D2によって
得られた右目の眼球運動信号S2と基準電極D4によっ
て得られた基準信号S4との差分ΔS2をとり、更に、
両差分ΔS1、ΔS2の差分ΔS(=ΔS1−ΔS2)
をとる。
【0079】以下前記実施例1と同様な処理を行う。 b)本実施例は、前記実施例1と同様な効果を奏すると
ともに、前記両差分ΔS1、ΔS2の差分ΔSをとるの
で、生体状態の推定の際に、更に一層誤差が少なくなる
という利点がある。 (実施例5)次に、実施例5について説明するが、前記
実施例2と同様な箇所の説明は省略し、その要部のみを
説明する。
【0080】本実施例では、眼球運動信号の周波数特性
を、異なる特定周波数帯域間における周波数の違いに起
因するベース出力の格差を小さくするように平坦化し、
その平坦化した信号に基づいて、生体状態を推定するも
のである。 a)本実施例では、眼球運動信号解析部5における処理
に特徴があるので、この部分を説明するが、ここでは、
図14のフローチャートに示す手順にて、作業能力を推
定する。
【0081】図14に示す様に、まず、ステップ(S)
100にて、左右の眼球の眼球運動信号を測定し、その
差分信号を得る。続くステップ110では、バンドパス
フィルタにより、差分信号のうちの0.1〜30Hzの
信号のみを取り出す。この信号の一例を、図15に示
す。
【0082】続くステップ120では、フィルタ処理し
た信号に対して、微分処理を行う。つまり、フィルタ処
理した信号は、時間変化のデジタルデータとして与えら
れるので、例えば今回のデータD(i)から前回のデー
タD(i-1)を引いた差分を求めることにより、微分処
理を行う。尚、前記図15の信号を微分処理した信号を
図16に示す。
【0083】続くステップ130では、微分処理を施し
た信号に対して、所定周期(例えば1秒)毎に、周波数
解析(FFT解析)を行う。尚、微分処理した信号(図
16参照)を周波数解析した結果(周波数特性)を図1
7に示す。また、前記微分処理しない信号(フィルタ処
理後の信号)を周波数解析した結果(周波数特性)を図
18に示す。
【0084】この図17と図18を比較すると、微分処
理した信号を周波数解析した信号は、微分処理しない信
号を周波数解析した信号と比べて、全体のうねりが小さ
く(即ち例えば1Hzを境に左右の周波数帯間のパワー
の格差が小さく)、平坦化されていることが分かる。
【0085】続くステップ140では、上述した平坦化
された信号を用いて、低周波数帯側である周波数帯1の
パワー(例えば0.1〜0.6Hzにおけるパワー積分
値)P1と、高周波数帯側である周波数帯2のパワー
(例えば0.1〜30Hzにおけるパワー積分値)P2
のパワー比P1/P2を求め、このパワー比P1/P2
の連続60回分の平均値(移動平均AVEa)を作業能力
推定値として、作業能力レベルの推定を行う。
【0086】b)本実施例では、前記実施例2と同様な
効果を奏するとともに、眼球運動信号を微分処理し、微
分処理した信号を周波数解析し、その解析結果の信号に
基づいて、生体状態を推定するので、即ち、眼球運動信
号の周波数特性を平坦し、その平坦化した信号に基づい
て、生体状態を推定するので、より一層高い精度で、作
業能力レベル(従って生体基礎状態も)を推定すること
ができる。
【0087】<実験例>次に、前記実施例5における効
果を確認した実験例について説明する。本実験例3は、
被験者がドライビングシュミレータを運転する実験であ
り、ここでは、ドライビングシュミレータを運転中に、
道路の車線の中央を目標値として、車両の目標値からの
横ずれ量(距離)を、実際の作業能力レベル(追跡作業
結果)としたものである。その結果を図19に示す。
【0088】また、同時に測定した被験者の(微分処理
した)眼球運動信号から、周波数帯1(0.2〜1H
z)のパワーP1と周波数帯2(0.3〜30Hz)の
パワーP2とのパワーの比P1/P2を求め、これを、
推定作業能力レベルとした。その結果を図20に示す。
【0089】更に、同時に測定した被験者の(微分処理
しない)眼球運動信号から、周波数帯1(0.2〜1H
z)のパワーP1と周波数帯2(0.3〜30Hz)の
パワーP2とのパワーの比P1/P2を求め、これを、
推定作業能力レベルとした。その結果を図21に示す。
【0090】この図19〜図21から明らかな様に、微
分処理により周波数特性を平坦化した信号を用いた本実
施例の場合には、実際の作業能力レベルと推定作業能力
レベルとの一致の程度が高いことが分かる。それに対し
て、周波数特性を平坦化していない信号を用いた場合に
は、実際の作業能力レベルと推定作業能力レベルとの一
致の程度が、平坦化したものほど高くないことが分か
る。
【0091】つまり、微分処理することで、作業能力レ
ベルの推定精度が向上していることが分かる。尚、眼球
運動信号の周波数特性の平坦化を行うことにより、作業
能力レベルの推定精度が向上するが、それ以外の生体信
号(脈波、心電、脳波等)に関しても、同様な周波数特
性の平坦化を行うことにより、平坦化を実施しない場合
と比べて、作業能力レベルの推定精度が向上する。 (実施例6)次に、実施例6について説明するが、前記
実施例1と同様な箇所の説明は省略し、その要部のみを
説明する。
【0092】本実施例では、前記実施例1〜5の様な眼
球運動信号を用いるのではなく、眼球の移動状態を撮影
することによって得られる移動信号を用いることに特徴
がある。 a)本実施例では、図22(a)に示す様に、例えば車
両のフロントガラス上方の天井などに配置されたCCD
カメラ等の撮影装置21により、ドライバー等の目の部
分(特に眼球部分)を撮影する。
【0093】尚、図22(b)に示す様に、取付器具2
3を用いて、ドライバー等の目の前方に撮影装置25を
配置してもよい。前記撮影装置23による撮影範囲を、
図23に示すが、眼球を撮影し、その画像に対する周知
の画像処理を施すことにより、黒目の中央(即ちどう孔
中心)を検出することができる。
【0094】具体的には、どう孔部分は、周囲の黒目の
部分とは色彩やその濃淡が異なるので、円形のどう孔部
分を抽出することができ、よって、その円形の図形の中
心をどう孔中心として認識することができる。そして、
あるサンプリング周期(例えば100Hz)毎に、どう
孔中心の位置を求め、(例えば最初に求めたどう孔中心
などの)基準点からのずれ量を移動信号として求めるこ
とができる。
【0095】b)前記移動信号は、サンプリング周期毎
に変動するものであり、本発明者らによって、移動信号
を周波数解析した結果である特定周波数帯のパワー(或
いは移動信号を周波数解析した結果である複数の特定周
波数帯間のパワーの比)と、生体状態との間には、高い
相関関係があることが見出されている。
【0096】従って、本実施例では、移動信号の特定周
波数帯のパワー(或いは特定周波数帯間のパワーの比)
を用いることにより、生体状態を推定することができ
る。つまり、本実施例は、眼球運動信号を移動信号と置
き換えたものであり、これにより、前記実施例1〜5と
同様な効果を得ることができる。
【0097】また、本実施例では、前記実施例1〜5の
様に、多くの電極を顔等に配置する必要がなく、無接触
で移動信号を得ることができるので、生体の負担が少な
く、実用上極めて有用なものである。尚、本発明は前記
実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱
しない範囲において種々の態様で実施しうることはいう
までもない。
【0098】例えば、前記実施例1〜6では、生体状態
推定方法及び生体刺激方法、並びにそれらを実現する構
成を備えた生体対応装置について述べたが、本発明は、
それらに限らず、上述したアルゴリズムに基づく処理を
実行させるプログラムやそのプログラムを記憶している
記録媒体にも適用できる。
【0099】この記録媒体としては、マイクロコンピュ
ータとして構成される電子制御装置、マイクロチップ、
フロッピィディスク、ハードディスク、光ディスク等の
各種の記録媒体が挙げられる。つまり、上述した生体対
応装置の処理を実行させることができるプログラムを記
憶したものであれば、特に限定はない。
【0100】尚、前記プログラムは、単に記録媒体に記
憶されたものに限定されることなく、例えばインターネ
ットなどの通信ラインにて送受信されるプログラムにも
適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各請求項1の内容を説明する説明図である。
【図2】 実施例1に用いる生体対応装置の装置構成を
示す説明図である。
【図3】 実施例1における眼球運動信号検出部の構成
を示す説明図である。
【図4】 実施例1における比較増幅器による信号処理
を示す説明図である。
【図5】 実施例1における眼球運動信号解析部の構成
を示す説明図である。
【図6】 実施例1におけるパワー処理の内容を示し、
(a)はサンプリングするデータの内容を示す説明図、
(b)、(c)はFFT処理によって得られたパワーを
示す説明図である。
【図7】 実施例2における眼球運動信号解析部の構成
を示す説明図である。
【図8】 実験例1の実験結果を示すグラフである。
【図9】 実験例2の実験結果を示すグラフである。
【図10】 実施例3における眼球運動信号検出部の構
成を示す説明図である。
【図11】 実施例3における比較増幅器による信号処
理を示す説明図である。
【図12】 実施例4における眼球運動信号検出部の構
成を示す説明図である。
【図13】 実施例4における比較増幅器による信号処
理を示す説明図である。
【図14】 実施例5における眼球運動信号解析部によ
る処理を示すフローチャートである。
【図15】 実施例5における眼球運動信号を示すグラ
フである。
【図16】 実施例5における眼球運動信号を微分処理
した信号を示すグラフである。
【図17】 実施例5における眼球運動信号を微分処理
した信号の周波数解析の結果を示すグラフである。
【図18】 実施例5における眼球運動信号を微分処理
しない信号の周波数解析の結果を示すグラフである。
【図19】 実験例3の実験結果である作業能力レベル
を示すグラフである。
【図20】 実験例3の実験結果である微分処理を実施
した場合の推定作業能力レベルを示すグラフである。
【図21】 実験例3の実験結果である微分処理を実施
しない場合の推定作業能力レベルを示すグラフである。
【図22】 実施例6の眼球を撮影する構成を示す説明
図である。
【図23】 実施例6の眼球を撮影する範囲等を示す説
明図である。
【符号の説明】
1…生体対応装置 3…眼球運動信号検出部 5…眼球運動信号解析部 7…状態判定部 9…刺激発生部 13…作動増幅器 D1…右目用電極 D2…左目用電極 D3…アース電極 D4…基準電極
フロントページの続き (72)発明者 中川 剛 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 深谷 直樹 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 難波 晋治 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 4C027 AA00 AA01 AA02 AA03 BB00 CC00 CC04 EE05 FF01 FF02 FF03 FF05 GG11 GG13 GG15 HH06 HH11 KK00 4C038 PP01 PP05 PQ03 PS00 PS03 PS07 PS09

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体状態を示す生体信号である眼球運動
    信号を周波数解析し、その解析による特定周波数帯の出
    力の大きさに基づいて、生体状態を推定することを特徴
    とする生体状態推定方法。
  2. 【請求項2】 生体状態を示す生体信号である眼球運動
    信号を周波数解析を解析し、その解析により得られた異
    なる特定周波数帯間の出力の大きさを比較することによ
    り、生体状態を推定することを特徴とする生体状態推定
    方法。
  3. 【請求項3】 生体状態を示す生体信号を周波数解析を
    解析し、その解析により得られた異なる特定周波数帯間
    の出力の大きさを比較することにより、生体状態を推定
    する生体状態推定方法であって、 前記生体信号の周波数特性を、異なる特定周波数帯域間
    における周波数の違いに起因するベース出力の格差を小
    さくするように平坦化し、該平坦化した信号に基づい
    て、前記生体状態を推定することを特徴とする生体状態
    推定方法。
  4. 【請求項4】 前記生体信号を微分処理し、該微分処理
    した信号を周波数解析し、該解析結果の信号に基づい
    て、前記生体状態を推定することを特徴とする前記請求
    項3に記載の生体状態推定方法。
  5. 【請求項5】 前記生体信号とは、眼球運動信号である
    ことを特徴とする前記請求項3又は4に記載の生体状態
    推定方法。
  6. 【請求項6】 2つの特定周波数帯の出力の大きさに基
    づいて、生体状態を推定することを特徴とする前記請求
    項2〜5のいずれかに記載の生体状態推定方法。
  7. 【請求項7】 前記2つの特定周波数帯のうち、周波数
    帯1が低周波数側を示し、周波数帯2が高周波数側を示
    すことを特徴とする前記請求項6に記載の生体状態推定
    方法。
  8. 【請求項8】 前記周波数帯1の上限が周波数帯2の上
    限より低いことを特徴とする前記請求項7に記載の生体
    状態推定方法。
  9. 【請求項9】 前記周波数帯1が0.1〜0.6Hzで
    あり、前記周波数帯2が0.1〜30Hzであることを
    特徴とする前記請求項8に記載の生体状態推定方法。
  10. 【請求項10】 前記周波数帯1の出力P1と前記周波
    数帯2の出力P2との出力の比P1/P2に基づいて、
    前記生体状態を推定することを特徴とする前記請求項7
    〜9のいずれかに記載の生体状態推定方法。
  11. 【請求項11】 前記出力の比P1/P2が大きいほ
    ど、前記生体が非活発状態であると判定することを特徴
    とする前記請求項10に記載の生体状態推定方法。
  12. 【請求項12】 前記特定周波数帯の出力の移動平均を
    用いて、前記生体状態を推定することを特徴とする前記
    請求項1又は5に記載の生体状態推定方法。
  13. 【請求項13】 前記出力の比P1/P2の移動平均を
    用いて、前記生体状態を推定することを特徴とする前記
    請求項10又は11に記載の生体状態推定方法。
  14. 【請求項14】 作業内容に応じて、前記移動平均の長
    さを変更することを特徴とする前記請求項12又は13
    に記載の生体状態推定方法。
  15. 【請求項15】 個人ごとに、前記生体状態との相関が
    高くなるように、前記特定周波数帯を設定することを特
    徴とする前記請求項1〜14のいずれかに記載の生体状
    態推定方法。
  16. 【請求項16】 前記生体状態とは、生体自体の活性の
    程度を示す生体基礎状態、又は前記生体基礎状態に基づ
    く作業能力レベルであることを特徴とする前記請求項1
    〜15のいずれかに記載の生体状態推定方法。
  17. 【請求項17】 前記眼球運動信号として、右目の眼球
    運動信号と左目の眼球運動信号との差分を用いることを
    特徴とする前記請求項5〜16のいずれかに記載の生体
    状態推定方法。
  18. 【請求項18】 前記眼球運動信号として、一方の目の
    眼球運動信号を用いることを特徴とする前記請求項5〜
    16のいずれかに記載の生体状態推定方法。
  19. 【請求項19】 前記眼球運動信号を検出する部位とは
    異なる部位の基準信号を検出し、前記基準信号と前記眼
    球運動信号との差分を用いることを特徴とする前記請求
    項18に記載の生体状態推定方法。
  20. 【請求項20】 前記眼球運動信号を検出する部位とは
    異なる部位の基準信号を検出し、前記基準信号と右目の
    眼球運動信号との差分である右目側差分信号と、前記基
    準信号と左目の眼球運動信号との差分である左目側差分
    信号との差分を用いることを特徴とする前記請求項5〜
    16のいずれかに記載の生体状態推定方法。
  21. 【請求項21】 前記請求項5〜16のいずれかに記載
    の眼球運動信号に代えて、眼球を撮影した画像から求め
    た眼球の動きを示す移動信号を用いて、生体状態を推定
    することを特徴とする生体状態推定方法。
  22. 【請求項22】 前記移動信号として、前記眼球のどう
    孔中心の動きを示す移動信号を用いることを特徴とする
    前記請求項21に記載の生体状態推定方法。
  23. 【請求項23】 前記請求項1〜22の生体状態推定方
    法によって推定した生体状態の推定値が、所定の判定値
    を超えた場合に、生体に刺激を与えることを特徴とする
    生体刺激方法。
  24. 【請求項24】 前記生体状態の推定値に基づいて、生
    体に与える刺激の内容を変更することを特徴とする前記
    請求項23に記載の生体刺激方法。
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