JP2003229300A - マイクロ波放電発生装置及び環境汚染ガスの処理方法 - Google Patents
マイクロ波放電発生装置及び環境汚染ガスの処理方法Info
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Abstract
ロ波放電発生装置及びそれを用いた環境汚染ガスの処理
方法を提供する。 【解決手段】 マイクロ波発振器1と、マイクロ波発振
器1に接続したマイクロ波空洞共振器3と、マイクロ波
空洞共振器3に結合したガス導入口5とガス排出口6を
備えた反応管4と、反応管4のマイクロ波空洞共振器3
中に少なくとも1個以上のマイクロ波吸収体7を有し、
大気圧での放電ができるようにマイクロ波放電装置を構
成する。さらに、ガス導入口5に、ほぼ大気圧の窒素ガ
スと環境汚染ガスの混合ガスを導入し、マイクロ波放電
により、環境汚染ガスを安全な物質へ分解できる処理方
法を提供する。
Description
マイクロ波プラズマ加工などに利用し得る、マイクロ波
吸収体を用いるマイクロ波放電装置装置及びそれを用い
た環境汚染ガスの処理方法に関する。
電として、電子、機械関連技術の分野での広範囲な応用
が行われている。マイクロ波放電を利用したマイクロ波
プラズマによる加工技術に関しては、各種材料のエッチ
ング装置や堆積装置等として半導体製造、光学部品製造
等の多くの産業で、広範囲に使用されている。
削減のような環境への応用も注目され、車両などからの
廃棄ガスに含まれる環境汚染ガスの分解への応用が検討
されている。従来は、環境に悪影響を与える環境汚染ガ
スの主成分である窒素酸化物(以下、NOxと呼ぶ)の
分解にマイクロ波を応用した場合、NOxのマイクロ波
放電分解に関する研究のほとんどは、NOxをHeやA
r等の希ガス中に希釈したガスを使用して行われてい
た。しかしながら、HeやArは、資源が少なくて高価
であるので、実用的ではない。
波放電によりNOxの分解ができるようになれば実用的
であるが、未だ実現されていない。窒素中でのマイクロ
波放電を用いたNOxの処理は、M.A.Wojtow
itz等により報告されている(J.Hazardou
s Materials、74巻、pp.81−89、
2000)。
orrで真の大気圧(760Torr)には到達してお
らず、またそのときのマイクロ波出力も300Wと高い
ものであった。従来の技術では、マイクロ波出力が10
0Wから200Wでは、放電が維持可能な最大窒素圧力
は約50Torrであった。このように従来技術では、
真空排気装置を必要としない窒素大気圧中で、マイクロ
波放電を100Wから200Wという低電力のマイクロ
波で得ることは、困難であった。
圧力の増加に伴い電子の平均自由行程が短くなり、電子
がマイクロ波電場により十分に加速されないためであ
る。また窒素は希ガスと異なり、振動回転運動や解離が
あるために電子のエネルギーが吸収され、同じマイクロ
波電場においては、希ガスほど効率よく電離されないか
らである。
圧での放電を可能とする新規な、マイクロ波放電発生装
置及びそれを利用した環境汚染ガスの処理方法を提供す
ることにある。
め、この発明は次のような構成をとる。すなわち、請求
項1に記載の発明は、マイクロ波発振器と、このマイク
ロ波発振器に接続されたマイクロ波空洞共振器と、この
マイクロ波空洞共振器に結合されたガス導入口とガス排
出口とを備えた反応管と、この反応管のマイクロ波空洞
共振器中に少なくとも1個以上のマイクロ波吸収体を設
置する構成としたマイクロ波放電装置を提供するもので
ある。
マイクロ波放電発生装置において、前記マイクロ波吸収
体が複数個、所定の間隔をおいて直列に連続的に設置さ
れていることを特徴とするものである。請求項3に記載
の発明は、請求項1又は2に記載のマイクロ波放電発生
装置において、前記マイクロ波吸収体が、少なくともZ
r、W、Cの何れかによることを特徴とするものであ
る。
器と、このマイクロ波発振器に接続されたマイクロ波空
洞共振器と、このマイクロ波空洞共振器に結合されたガ
ス導入口とガス排出口とを備えた反応管に、ほぼ大気圧
の窒素と環境汚染ガスの混合ガスを導入し、上記反応管
のマイクロ波空洞共振器中に少なくとも1個以上のマイ
クロ波吸収体を設置してマイクロ波放電させることを特
徴とする、環境汚染ガスの処理方法を提供する。請求項
5に記載の発明は、請求項4記載の環境汚染ガスの処理
方法において、前記混合ガスが、ほぼ大気圧の窒素と窒
素酸化物であることを特徴とするものである。
りである。このように構成されるマイクロ波放電発生装
置では、反応管のマイクロ波空洞共振器に結合した領域
内に1個以上のマイクロ波吸収体を設置したことによ
り、主として熱電子と二次電子が、マイクロ波吸収体か
ら放出される。熱電子は、マイクロ波吸収体表面がマイ
クロ波によって加熱されることにより生じる。また、二
次電子は、マイクロ波吸収体がプラズマ中の電子衝突に
よって加熱されることにより発生する。この作用によ
り、例えば窒素ガスを圧力の比較的高い状態で低マイク
ロ波電力により放電を持続的に行わせることができる。
波吸収体が複数個、所定の間隔をおいて直列に連続的に
設置されているので、より多数の電子がガス中に供給さ
れることにより、本発明のマイクロ波放電発生装置は、
さらに圧力の高いガスでマイクロ波放電を効率良く発生
できる。請求項3に記載の発明によれば、マイクロ波吸
収体が、少なくともZr、W、Cの何れかによるので、
本発明のマイクロ波放電発生装置は、さらにマイクロ波
放電を効率良く発生できる。
によれば、ほぼ大気圧の窒素と環境汚染ガスの混合ガス
を導入することにより、マイクロ波放電により環境汚染
ガスを安全な成分に分解し、排出することができる。請
求項5に記載の発明によれば、ほぼ大気圧の窒素と窒素
酸化物を窒素と酸素に分解することができる。
面により詳細に説明する。図1は、本発明のマイクロ波
放電発生装置の第1の実施の形態を示す構成図である。
図において、1はマイクロ波発振器で、伝送線路2によ
りマイクロ波空洞共振器3に接続されている。石英のよ
うな耐熱材で造られた反応管4は、マイクロ波空洞共振
器3に挿入された部分がマイクロ波と結合することによ
り、マイクロ波電力が供給される。反応管4は、ガスの
流入口5とガスの排出口6を有する。なお、反応管4の
外側に記載した矢印は、ガスの流れを示している。
ロ波と結合する領域に設置される。マイクロ波吸収体7
は、図1に示す実施の形態では、ガス流に沿って直列に
2個配置されているが、3個以上としても良い。8は放
電領域、9は反応管を塞ぐ形状としたガラスウールであ
る。上記のマイクロ波放電発生装置構成により、ガスが
流され、マイクロ波空洞共振器3に結合された反応管4
内に設置されたマイクロ波吸収体7に、マイクロ波発振
器1からマイクロ波電力が印加されることにより電子が
発生し、マイクロ波の放電8が発生する。前述の動作原
理からマイクロ波吸収体7が備える好ましい条件として
は、例えば次のことが挙げられる。 (1)マイクロ波により加熱され熱電子の放出が生起し
易く、また二次電子が放出し易い材料が好ましい。 (2)導電率は高い方がマイクロ波加熱させやすい。 (3)材料の仕事関数は低い方が電子を放出させやす
い。 (4)マイクロ波吸収体7は非常に高温になるので、材
料の融点は2000℃以上が好ましい。
マイクロ波空洞共振器3と反応管4の結合状態を図2を
用いて説明する。図2は図1の構成図の右側面に相当す
る。本例では、マイクロ波空洞共振器3として、内寸法
が長辺の長さをA,短辺の長さをBとした矩形導波管1
0を用いている。図2は矩形導波管10の長辺面を示し
ており、共振器の長さがL1 で、図示したように長さL
2 のU字状の切り込み部を形成し、その半円のL3 部分
を開口部とすることにより、反応管4にマイクロ波電力
を供給した。11は同軸−導波管変換器の同軸ケーブル
用コネクタであり、12は矩形導波管マイクロ波空洞共
振器10の共振周波数を調整する反射器である。矩形導
波管マイクロ波空洞共振器10の寸法は一例として、A
=86mm、B=45mm、共振器の長さは、L1 が約
259mm、L2 が約58mmとしている。
を示している。反応管4の4a,4b部分が、矩形導波
管空洞共振器10と結合している。4aを含む反応管の
中心より上側が、誘電体窓となっている。13 は矩形導
波管マイクロ波共振器10に設けられたスタブチューナ
で、マイクロ波電力を反応管4の内部に設置されたマイ
クロ波吸収体7へ効率良く伝送する機能を有している。
図3において、その他の図1,図2に示したものと同一
の符号は、図1,図2と同一のものを示すので、説明は
省略する。
Hzのマグネトロン、トランジスタ式の微小出力の発振
器と高出力アンプを組み合わせた発振器等が使用され
る。伝送線路2は、マイクロ波発振器1と、マイクロ波
空洞共振器3を接続するための同軸線もしくは導波管な
どで構成される。伝送線路2として、アイソレータやマ
イクロ波空洞共振器3とのインピーダンス整合用の回路
を含むように構成する場合もある。また、伝送線路2中
にマイクロ波の電力測定用の方向性結合器を挿入するこ
とにより、進行波電力と反射波電力の測定を行うことが
好ましい。マイクロ波空洞共振器3としては、矩形導波
管の他に、円形導波管、同軸構造などの空洞共振器が使
用できる。
知のガスコネクタである。反応管4とガスコネクタは、
図示してはいないが、周知のステンレス製のフランジな
どを介して接続される。ガラスウール9は、マイクロ波
吸収体7からの蒸発物を外部へ流出させないようにする
ために設けられている。また、ガラスウール9は、マイ
クロ波吸収体7がカーボンのような軽い材料を用いた場
合に、マイクロ波吸収体7がガスにより外部に排出され
ることを防ぐために設けられる。ガラスウール9は、放
電領域8から十分離した排出口6側に設置するのが好ま
しい。装置構成上、必要がない場合は省略できる。
イクロ波放電発生装置の反応管4にマイクロ波吸収体7
を2個設けたときに、マイクロ波吸収体7間の距離と窒
素ガスのマイクロ波放電の放電持続圧力の関係を示すも
のである。放電持続圧力とは、放電可能な最高圧力であ
る。従って、窒素ガスは、放電持続圧力が大気圧を越え
ていれば、大気圧で放電する。図1に示すように放電領
域8は、2個のマイクロ波吸収体7の間に発生する。マ
イクロ波吸収体7の材料は、図4(a)がZr(ジルコ
ニウム)、図4(b)がW(タングステン)、図4
(c)がC(カーボン)である。Cは、材料としてはグ
ラファイトを使用した。マイクロ波吸収体7の形状は、
各材料とも丸棒である。また、その寸法は直径3mm
で、長さが15mmと同一である。
ロ波吸収体7に係らず共通で、それぞれ100W、10
00ccmである。ここで、ccmはcm3 /分であり
25℃において、1013hPaに換算した場合の流量
をあらわす単位である。マイクロ波吸収体7がZrとW
の場合には、マイクロ波吸収体7の間隔が約3mm以
下、またCの場合にはマイクロ波吸収体7の間隔が約2
mm以下のときに、窒素ガスを大気圧でマイクロ波放電
をさせることができた。マイクロ波電力を上げ200W
とした場合には、さらに大気圧の窒素ガスのマイクロ波
放電を発生し易くなり、マイクロ波吸収体間隔7を約1
0mm程度まで広くすることができた。
合には、マイクロ波吸収体7は1個設置したときより
も、2個設けたときのほうが、放電持続圧力が増加し
た。これは、マイクロ波吸収体7が2個のときには、放
電領域8への電子供給数がマイクロ波吸収体7が1個の
ときのおおよそ2倍になるためと推定される。
に直列に配置した結果を説明する。マイクロ波吸収体7
はZr丸棒(直径3mmで長さが10mm)を用い、窒
素ガス流量1000ccm, 出力100Wでマイクロ波
放電を行った。マイクロ波吸収体7の間隔は、1mmと
3mmで、放電持続圧力を測定した。1mmの場合には
760Torr、3 mmの場合には439Torrにな
った。マイクロ波吸収体7を2個使用した場合と同様
に、マイクロ波吸収体7間の距離が長くなるとプラズマ
8の放電持続圧力は低下した。
使用し、同一ガス流量と同一マイクロ波電力で比較した
ところ、マイクロ波吸収体7の間隔が1mmのときの放
電持続圧力は920Torrになり、マイクロ波吸収体
7を2つ使用した方が高い放電持続圧力が得られた。
に示す本発明のマイクロ波放電発生装置を用いて、ガス
流入口5に、ほぼ大気圧の窒素と環境汚染ガスの混合ガ
スを導入し、マイクロ波の放電領域8により環境汚染ガ
スを分解処理し、排出口6より排出する環境汚染ガスの
処理方法である。混合ガスがほぼ大気圧の窒素と窒素酸
化物であるときには、窒素酸化物をN2とO2 という安
全なガスに分解することができる。
電発生装置を使用したときの、NOガスとN2 Oガスの
分解について説明する。図5は760TorrのN2 ガ
ス(900ccm)に、NOガスを10ccm混合し、
マイクロ波吸収体は、Zr丸棒(3mm直径で長さ15
mm)を2個配置し、マイクロ波電力を200Wとした
ときに、ガス排出口6にガス分析装置として、四重極質
量分析計を接続して、NOガスの分解を調べたものであ
る。
ーク値を計測した。マイクロ波放電がある場合を放電o
nとして、又マイクロ放電がない場合を放電offとし
て、各化学種の主ピーク値のそれぞれを計測した。NO
ガスの分解率とO2 ガスの生成率を以下の式で算出し
た。なお、放電off時のNOピーク強度は、NOの初
期濃度に比例するものである。 NO分解率(%)=1−{(放電on時のNOピーク強度) /(放電off 時のNOピーク強度)}・・・・・・・・(1式) O2 の生成率(%)={(放電on時のO2 のピーク強度)−(放電off 時のO2 のピーク強度)}/ (放電off時のNOピーク強度)・・・(2式)
が大きくなると、NOの分解率が上昇し、またそれにつ
れて、O2 の生成率が向上し、NOガスが分解する。マ
イクロ波吸収体7の間隔が8mmから12mmでNOの
分解率は飽和し、約80%の分解率が得られた。
であるが、マイクロ波吸収体7がWあるいはCでも、同
様にNOガスの分解ができた。Zrと同様に2個のマイ
クロ波吸収体7の間隔が大きくなると、NOの分解率は
向上し、Cでは90%以上、またWでは約60%の分解
ができた。NOの分解率は、C>Zr>Wとなり、Cが
一番高いものであった。Cの場合には、ZrやWの場合
とは異なり、反応生成物として、N2 やO2 のほかに、
CO2 が発生した。
図6は、760TorrのN2 ガス(100ccmから
1000ccm)に、N2 Oガスを25ccm混合し、
マイクロ波吸収体7は、Zr丸棒(3mm直径で長さ1
5mm)を2個配置(間隔は10mm)し、マイクロ波
電力を200W印加したときに、ガス排出口6にガス分
析装置として、四重極質量分析計を接続して、N2 Oガ
スの分解を調べたものである。N2 Oガス流量(最大2
5モル%)を変化させても、いずれの場合にもほぼ90
%以上の非常に高い確率で、N2 Oを分解させることが
できた。
により、大気圧での放電を可能とする新規なマイクロ波
放電発生装置を提供することができる。また、大気圧で
のマイクロ波放電が容易に行うことができるので、この
マイクロ波放電を利用し、環境汚染ガスを安全な分解物
へ処理する方法を提供することができる。
る。
ロ波空洞共振器と反応管の結合状態を示す図である。
電発生装置の反応管に、マイクロ波吸収体を2個設けた
ときの、マイクロ波吸収体間隔と窒素ガスのマイクロ波
放電の放電持続圧力を示す。
吸収体としてZrを用いた場合の、NOの大気圧窒素中
のマイクロ波放電による分解結果を示す。
吸収体としてZrを用いた場合の、N2 Oの大気圧窒素
中のマイクロ波放電による分解結果を示す。
Claims (5)
- 【請求項1】 マイクロ波発振器と、該マイクロ波発振
器に接続されたマイクロ波空洞共振器と、該マイクロ波
空洞共振器に結合されたガス導入口とガス排出口を備え
た反応管と、該反応管のマイクロ波空洞共振器中に少な
くとも1個以上のマイクロ波吸収体を設置したことを特
徴とする、マイクロ波放電発生装置。 - 【請求項2】 前記マイクロ波吸収体が複数個、所定の
間隔をおいて直列に連続的に設置されていることを特徴
とする、請求項1に記載のマイクロ波放電発生装置。 - 【請求項3】 前記マイクロ波吸収体が、少なくともZ
r、W、Cの何れかによることを特徴とする、請求項1
又は2に記載のマイクロ波放電発生装置。 - 【請求項4】 マイクロ波発振器と、該マイクロ波発振
器に接続されたマイクロ波空洞共振器と、該マイクロ波
空洞共振器に結合されたガス導入口とガス排出口を備え
た反応管に、ほぼ大気圧の窒素と環境汚染ガスの混合ガ
スを導入し、上記反応管のマイクロ波空洞共振器中に少
なくとも1個以上のマイクロ波吸収体を設置しマイクロ
波放電させることを特徴とする、環境汚染ガスの処理方
法。 - 【請求項5】 前記混合ガスが、ほぼ大気圧の窒素と窒
素酸化物であることを特徴とする、請求項4に記載の環
境汚染ガスの処理方法。
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JP2002028749A JP3806752B2 (ja) | 2002-02-05 | 2002-02-05 | マイクロ波放電発生装置及び環境汚染ガスの処理方法 |
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