JP2003227434A - 分配型燃料噴射ポンプ - Google Patents

分配型燃料噴射ポンプ

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JP2003227434A
JP2003227434A JP2002024096A JP2002024096A JP2003227434A JP 2003227434 A JP2003227434 A JP 2003227434A JP 2002024096 A JP2002024096 A JP 2002024096A JP 2002024096 A JP2002024096 A JP 2002024096A JP 2003227434 A JP2003227434 A JP 2003227434A
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plunger
injection pump
fuel injection
plate
friction coefficient
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JP2002024096A
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Toshiki Yada
俊樹 矢田
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Denso Corp
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Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来では、プランジャとロアシートの間に2
枚のプレート(ロアプレートとアッパープレート)を配
置して焼付および摩耗を防止しているが、将来の潤滑性
低下に対し、十分な耐焼付性および耐摩耗性を満足する
ことができない。 【解決手段】 プランジャ10とロアシート13との間
に介在されるロアプレート61およびアッパープレート
62のうち、摺動速度の速いロアプレート61の表面に
は、摩擦係数を低減させる被覆処理、具体的には摩擦係
数が非常に小さく、耐油性、耐熱性および耐荷重性に優
れた二硫化モリブデンのコーティングが成されている。
これによって、燃料の潤滑性が低下しても、二硫化モリ
ブデンをコーティングしたロアプレート61が、隣接す
る部材(プランジャ10およびアッパープレート62)
に対して十分な滑りを発生するため、焼付および摩耗が
防がれ、長期に亘って分配型燃料噴射ポンプを安定作動
させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジ
ンの複数の各気筒へ燃料を分配して圧送する分配型燃料
噴射ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ディーゼル車に対する排出ガス規
制が世界的に強化されており、ディーゼル車用の燃料と
して用いられている軽油中の硫黄含有量も年々低減され
る傾向にある。しかし、軽油の低硫黄化は、同時に潤滑
性が低下するデメリットを引き起こすため、軽油にて潤
滑を行っている分配型燃料噴射ポンプの摺動部(ロアシ
ートとプランジャとの間)で焼付および摩耗の問題が発
生する。
【0003】この問題に対する従来技術として、図8に
示すように、プランジャJ1 と、プランジャスプリング
J2 を保持するロアシートJ3 との間に、リング状の2
枚のプレート(ロアプレートJ4 とアッパープレートJ
5 )を配置し、この2枚のプレートJ4 、J5 がそれぞ
れプランジャJ1 およびロアシートJ3 に対して相対回
転できる構造が公知である。これにより、プランジャJ
1 が高速回転すると、プランジャJ1 とロアシートJ3
に対して2枚のプレートJ4 、J5 がそれぞれ摺動して
相対滑りを発生して各部材間の摺動速度が減速され、結
果的にプランジャJ1 とロアシートJ3 の間における焼
付および摩耗を防止することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、将来の更な
る軽油の低硫黄化による潤滑性低下に対し、上記構造
(プランジャJ1 とロアシートJ3 の間において2枚の
プレートJ4 、J5 がそれぞれ相対滑りを発生する構
造)では、十分な耐焼付性および耐摩耗性を満足するこ
とができないという問題が生じている。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上記の事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、燃料の潤滑性が低下した場合
であっても、プランジャとロアシートの間の摺動部分に
おいて十分な耐焼付性および耐摩耗性を得ることのでき
る分配型燃料噴射ポンプの提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】〔請求項1の手段〕請求
項1の手段を採用し、ロアシート〜プランジャの間にお
ける摺動面のうちの少なくとも1つの摺動面に、摩擦係
数を低減させる被覆処理を施したことにより、低潤滑性
の燃料を使用した場合であっても、プランジャとロアシ
ートの間において十分な滑りが発生することになり、プ
ランジャとロアシートの間において十分な耐焼付性およ
び耐摩耗性を得ることができる。
【0007】〔請求項2の手段〕請求項2の手段を採用
し、中間部材を、プランジャと摺動する面を有するロア
プレートと、このロアプレートおよびロアシートと摺動
する面を有するアッパープレートとで構成して、摩擦係
数を低減させる被覆処理を、ロアプレートあるいはアッ
パープレートの少なくとも一方の表面に施しても良い。
このように設けることにより、摩擦係数を低減させる被
覆処理を施したロアプレートあるいはアッパープレート
が、隣接する部材に対して十分な滑りを発生するため、
低潤滑性の燃料を使用した場合であっても、プランジャ
とロアシートの間において十分な耐焼付性および耐摩耗
性を得ることができる。
【0008】〔請求項3の手段〕請求項3の手段を採用
し、中間部材を、一方の面がプランジャに摺動し、他方
の面がロアシートと摺動する1枚のリング状の中間プレ
ートで構成し、摩擦係数を低減させる被覆処理を中間プ
レートの表面に施しても良い。このように設けることに
より、摩擦係数を低減させる被覆処理を施した中間プレ
ートが、隣接する部材(プランジャおよびロアシート)
に対して十分な滑りを発生するため、低潤滑性の燃料を
使用した場合であっても、プランジャとロアシートの間
において十分な耐焼付性および耐摩耗性を得ることがで
きる。
【0009】〔請求項4の手段〕請求項4の手段を採用
し、摩擦係数を低減させる被覆処理を、プランジャにお
ける中間部材との摺動面に施しても良い。このように設
けることにより、摩擦係数を低減させる被覆処理を施し
たプランジャが、中間部材に対して十分な滑りを発生す
るため、低潤滑性の燃料を使用した場合であっても、プ
ランジャとロアシートの間において十分な耐焼付性およ
び耐摩耗性を得ることができる。
【0010】〔請求項5の手段〕請求項5の手段を採用
し、摩擦係数を低減させる被覆処理を、ロアシートにお
ける中間部材との摺動面に施しても良い。このように設
けることにより、摩擦係数を低減させる被覆処理を施し
たロアシートが、中間部材に対して十分な滑りを発生す
るため、低潤滑性の燃料を使用した場合であっても、プ
ランジャとロアシートの間において十分な耐焼付性およ
び耐摩耗性を得ることができる。
【0011】〔請求項6の手段〕二硫化モリブデンは、
摩擦係数が非常に小さい上に、耐油性および耐熱性に優
れ、さらに高荷重下における潤滑効果も高い。このた
め、請求項6の手段を採用し、摩擦係数を低減させる被
覆処理として、二硫化モリブデンのコーティングを用い
ることにより、プランジャとロアシートの間において
も、長期に亘って安定した滑りを発揮する。このため、
低潤滑性の燃料を使用した場合であっても、プランジャ
とロアシートの間において長期に亘って十分な耐焼付性
および耐摩耗性を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、複数の実
施例および変形例を用いて説明する。 〔第1実施例〕図1〜図5は第1実施例を説明するため
の図面であり、まず燃料噴射システムに用いられる分配
型燃料噴射ポンプ1の構成を、図3〜図5を参照して説
明する。ディーゼルエンジンE/Gの各気筒ごとに燃料
を圧送する分配型燃料噴射ポンプ1には、クランクシャ
フトの回転に対して1/2に減速して回転駆動されるド
ライブシャフト2(ポンプ駆動軸に相当する)が設けら
れており、そのドライブシャフト2の先端にドライブプ
ーリ3が取り付けられる。ドライブシャフト2の途中に
は、ベーン式の燃料フィードポンプ4が設けられてい
る。なお、図3におけるフィードポンプ4は、90度だ
け展開された形で開示されている。
【0013】フィードポンプ4は、ドライブシャフト2
の回転に伴って回転駆動される。ドライブシャフト2の
基端側には、円盤状のシグナルロータ5が取り付けられ
ている。このシグナルロータ5の外周面には、気筒判
別、クランク角度、回転速度を検出するための凸状歯5
aが多数形成されている。また、シグナルロータ5は、
カップリング6を介してフェイスカム7と一体に回転す
るように連結されている。シグナルロータ5とフェイス
カム7との間には、ローラリング8が設けられている。
このローラリング8には、フェイスカム7のカム山フェ
イス7aに対向する複数のカムローラ9が取り付けられ
ている。カム山フェイス7aは、ディーゼルエンジンE
/Gの気筒数と同数設けられている。
【0014】フェイスカム7には、燃料加圧用のプラン
ジャ10が一体回転するようにピン11を介して係合し
ている。このプランジャ10は、プランジャスプリング
12およびロアシート13によって、フェイスカム7に
向けて押しつけられており、フェイスカム7と一体に往
復動する。なお、プランジャ10とロアシート13との
間の構造については後述する。
【0015】カップリング6を図5を参照して説明す
る。フェイスカム7に設けられた回転伝達シャフト7b
は、ドライブシャフト2に取り付けられたカップリング
プレート6aに挿通して設けられ、フェイスカム7はド
ライブシャフト2と一体回転する。すなわち、ドライブ
シャフト2の回転力がカップリングプレート6aおよび
回転伝達シャフト7bを介してフェイスカム7に伝達さ
れることにより、フェイスカム7がカムローラ9に係合
しながら回転する。
【0016】これにより、フェイスカム7が回転しなが
ら気筒数と同数だけ図中左右方向に往復駆動されると、
それに伴ってプランジャ10が回転しながら同方向へ往
復駆動される。つまり、カム山フェイス7aがローラリ
ング8のカムローラ9に乗り上げる過程でプランジャ1
0が往動(リフトアップ)され、逆にカム山フェイス7
aがローラリング8のカムローラ9に乗り下げる過程で
プランジャ10が復動(リフトダウン)される。
【0017】ポンプハウジング14には、プランジャ1
0が挿入した状態で配置されるシリンダ15が設けられ
ている。そして、プランジャ10の先端面とシリンダ1
5の底面を形成するヘッドプラグ16との間が高圧室1
7となっている。プランジャ10の先端側の外周面に
は、気筒数と同数の吸入溝18が形成されている。この
吸入溝18は、プランジャ10が復動して高圧室17が
減圧される時に、ポンプハウジング14に形成された吸
入ポート19を介してポンプ室20に連通して、そのポ
ンプ室20の燃料を高圧室17に導くためのものであ
る。また、プランジャ10の先端側の内部には、圧縮さ
れた燃料をポンプハウジング14(具体的にはディスボ
ディ14a)に形成された吐出ポート21に導くための
分配ポート22が形成されている。吐出ポート21は、
ディーゼルエンジンE/Gの気筒数だけ等間隔にシリン
ダ15内にも開口して設けられている。
【0018】吐出ポート21の出口部分には、デリバリ
バルブ23が配置されている。このデリバリバルブ23
は、吐出ポート21から燃料圧送配管24へ圧送される
燃料の逆流を防ぐためのものであり、ある一定の燃料圧
力に達した際に開弁して、吐出ポート21に圧送された
高圧燃料を燃料圧送配管24へ導くものである。
【0019】また、ポンプハウジング14には、図示し
ない燃料タンクに連通されたインレット25が取り付け
られている。このインレット25は、フィードポンプ4
の吸入側と導入ポート26を介して連通する。なお、こ
の導入ポート26は、後述するタイマ装置27のタイマ
低圧室28にも連通されている。
【0020】ポンプハウジング14の内部には、フィー
ドポンプ4の導出ポート29から燃料の供給を受けるポ
ンプ室20が形成されている。このポンプ室20は、上
述した高圧室17に吸引される燃料を蓄えるとともに、
プランジャ10、シリンダ15等の機械的な摺動部に燃
料を満たすものである。
【0021】導入ポート26の途中におけるフィードポ
ンプ4の入口付近には、フィルタ30が配置されてい
る。そして、ドライブシャフト2が回転されてフィード
ポンプ4が駆動されることにより、燃料は燃料タンクか
らインレット25を経て導入ポート26に導入され、フ
ィードポンプ4へ吸い込まれる。この時、燃料中に含ま
れる不純物がフィルタ30によって濾過される。そし
て、フィードポンプ4に吸い込まれた燃料はフィードポ
ンプ4によって導出ポート29に圧送されてポンプ室2
0に供給される。
【0022】ここで、プランジャ10が復動されて高圧
室17が減圧される吸入行程では、プランジャ10の先
端外周に形成された吸入溝18の1つが吸入ポート19
を介してポンプ室20に連通して、ポンプ室20の燃料
が高圧室17に吸入される。一方、プランジャ10が往
動して高圧室17が加圧される圧縮行程では、高圧室1
7で加圧された高圧の燃料が、吐出ポート21、デリバ
リバルブ23、燃料圧送配管24を経て燃料噴射ノズル
31に圧送され、圧送された燃料の圧力がノズル開弁圧
に達すると、その燃料噴射ノズル31が燃料を気筒内に
噴射する。
【0023】ポンプハウジング14には、上述した吸入
ポート19の他に、高圧室17の高圧燃料をポンプ室2
0に溢流(スピル)するスピルポート32が形成されて
いる。このスピルポート32の途中には、スピルポート
32を開くことによって高圧室17で圧縮される燃料の
一部をポンプ室20に逃がして、高圧室17から吐出ポ
ート21に圧送される燃料の圧送量を調整するためのス
ピル電磁弁33が設けられている。
【0024】このスピル電磁弁33は、常開型バルブで
あり、コイル34が無通電(OFF )の状態では弁体35
によりスピルポート32は開放され、高圧室17で圧縮
された燃料がスピルポート32を通ってポンプ室20に
スピルする。一方、コイル34が通電(ON)されること
により、弁体35がスピルポート32を閉塞して、高圧
室17からポンプ室20への燃料のスピルが遮断され
る。
【0025】従って、スピル電磁弁33がON-OFF制御さ
れることによって、スピルポート32が開閉制御され、
高圧室17からポンプ室20へのスピル量が制御され
る。そして、プランジャ10の圧縮行程中にスピル電磁
弁33が開弁されることにより、高圧室17内が減圧さ
れて燃料噴射が停止する。つまり、プランジャ10が往
動してもスピル電磁弁33が開弁されている間は高圧室
17の内圧が上昇せず、燃料噴射が行われない。また、
プランジャ10の往動中にスピル電磁弁33の開弁時期
が制御されることにより、燃料噴射時期が制御されるこ
ととなり、気筒への燃料噴射量が制御される。
【0026】ポンプハウジング14の下側には、燃料噴
射時期を機械的に進角側あるいは遅角側へ調整するため
のタイマ装置27が設けられている。このタイマ装置2
7は、ドライブシャフト2の回転方向に対するローラリ
ング8の回転位置を変更させることにより、カム山フェ
イス7aがカムローラ9に乗り上げる時期および乗り下
げる時期、すなわちプランジャ10が往復動される時期
を変更させるものである。
【0027】このタイマ装置27は、油圧によって駆動
されるものであり、図3において90度展開して開示さ
れるものである。タイマ装置27は、図5に開示される
ように、タイマハウジング36と、その内部で軸方向へ
移動可能に嵌め込まれたタイマピストン37とを備え
る。このタイマピストン37は、スライドピン38を介
してローラリング8に連結されている。タイマピストン
37の一端は、導入ポート26に連通するタイマ低圧室
28となっており、タイマピストン37の他端はポンプ
室20にオリフィス39を介して連通するタイマ高圧室
40となっている。
【0028】タイマ低圧室28には、タイマピストン3
7をタイマ高圧室40側に付勢するタイマスプリング4
1が配置されている。一方、タイマ高圧室40には、フ
ィードポンプ4によって加圧された燃料、すなわちポン
プ室20の燃料が導入される。そして、その導入された
燃料圧力とタイマスプリング41の付勢力との釣合いに
よってタイマピストン37の位置が決定される。このよ
うにタイマピストン37の位置が決定されることによ
り、ローラリング8の位置が決定され、プランジャ10
が往復動される進角時期が決定される。
【0029】タイマ装置27には、タイマピストン37
の位置を任意に制御するためのタイマ制御弁(以下、T
CV)42が設けられている。このTCV42は、タイ
マ高圧室40とタイマ低圧室28との圧力差を制御する
ものであり、タイマ高圧室40とタイマ低圧室28とを
連通する連通路43を開閉制御するものである。TCV
42は、デューティ制御された電気信号により開閉して
タイマ高圧室40とタイマ低圧室28との圧力差を制御
してタイマピストン37を駆動し、プランジャ10の往
復動時期を進角側あるいは遅角側へ制御するものであ
る。
【0030】ローラリング8の上部には、電磁ピックア
ップコイルを用いた回転角センサ44がシグナルロータ
5の外周面に対向して取り付けられている。この回転角
センサ44は、シグナルロータ5の凸状歯5aが横切る
際の磁界変化によってパルス信号をECU(エンジン制
御ユニット)50へ出力する。
【0031】スピル電磁弁33およびTCV42を通電
制御するECU50には、エンジンの運転状態を検出す
るために、上述した回転角センサ44の他に、アクセル
センサ51、水温センサ52、ディーゼルエンジンE/
Gのクランク軸における所定基準位置(本実施例では上
死点に対して設定されたTDC信号)を検出するための
基準位置センサ53等が接続されている。ECU50
は、周知部品によって構成されるコンピュータであり、
図示しないCPU、RAM、ROM、AD変換器、入力
ポート、出力ポート等からなる。そして、ECU50内
に搭載されているROMには、上記センサ類からの入力
信号に基づいてスピル電磁弁33およびTCV42を制
御するためのプログラムが格納されている。
【0032】次に、プランジャ10とロアシート13と
の間の構造を図1、図2を参照して説明する。まず、プ
ランジャ10は、一端側がシリンダ15に摺動自在に嵌
挿され、シリンダ15より突出する他端側の端部にはフ
ランジ部10aが形成されている。このフランジ部10
aが、図4に示したように、ピン11を介してフェイス
カム7に回転規制され、且つプランジャスプリング12
の押圧力を受けてフェイスカム7に向けて押しつけられ
ている。プランジャスプリング12は、一端がアッパー
シート60を介してポンプハウジング14の一部を構成
するディスボディ14aの内壁面に支持され、他端がロ
アシート13に保持される構造を採用しており、プラン
ジャスプリング12による直接の押圧力はロアシート1
3に与えられる。
【0033】プランジャ10のフランジ部10aとロア
シート13との間には、ロアシート13に与えられたプ
ランジャスプリング12の押圧力をプランジャ10に伝
達するとともに、プランジャ10とロアシート13の両
者に対して回転方向に摺動するリング状の中間部材が介
在されている。この実施例の中間部材は、プランジャ1
0との摺動面を有するロアプレート61と、このロアプ
レート61およびロアシート13との摺動面を有するア
ッパープレート62とから構成される。ロアプレート6
1およびアッパープレート62は、プランジャ10の外
周に嵌合するリング板状のものであり、フランジ部10
aとロアシート13の間に介在されて、フランジ部10
aおよびロアシート13に対して相対回転する。
【0034】上述したプランジャ10、ロアシート1
3、および2枚のプレート(ロアプレート61、アッパ
ープレート62)は、耐摩耗性に優れた硬質金属(例え
ば、クロム鋼、高炭素鋼軸受、冷間圧延鋼板等)によっ
て構成されるものであり、ロアプレート61あるいはア
ッパープレート62の少なくとも一方の表面には、摩擦
係数を低減させる被覆処理が施されている。この実施例
では、摺動速度の速いロアプレート61の表面に摩擦係
数を低減させる被覆処理を施す例を示す。また、この実
施例では、摩擦係数を低減させる被覆処理として、摩擦
係数が非常に小さく、耐油性および耐熱性に優れ、さら
に高荷重下における潤滑効果も高い二硫化モリブデンの
コーティングα{図2(a)のハッチング部参照}を用
いている。二硫化モリブデンのコーティング方法は、下
地処理としてリン酸亜鉛処理を施した上に、スプレー等
の吹き付け技術によって二硫化モリブデン塗料を吹き付
け、その後に焼成硬化させる方法等がある。
【0035】一方、この実施例では、アッパープレート
62の両面に、図2(b)に示すような油溝63を形成
し、燃料を摺動面(ロアプレート61とロアシート13
との摺動面)に導くように設けている。
【0036】フェイスカム7と共にプランジャ10が回
転すると、プランジャ10のフランジ部10aとロアシ
ート13の間に介在された2枚のプレート(ロアプレー
ト61、アッパープレート62)がプランジャ10およ
びロアシート13に対してそれぞれ摺動して相対滑りを
発生する。これによって各部材間の摺動速度が減速さ
れ、結果的にプランジャ10とロアシート13の間にお
ける焼付および摩耗が防止される。
【0037】〔実施例の効果〕上述したように、この実
施例では、ロアプレート61の表面に、摩擦係数が非常
に小さく、耐油性、耐熱性および耐荷重性に優れた二硫
化モリブデンのコーティングを施している。このため、
燃料となる軽油の低硫黄化が進んで燃料の潤滑性が低下
しても、二硫化モリブデンをコーティングしたロアプレ
ート61が、隣接する部材(プランジャ10およびアッ
パープレート62)に対して十分な滑りを発生する。こ
の結果、低硫黄化が進んで燃料の潤滑性が低下しても、
プランジャ10とロアシート13の間において十分な耐
焼付性および耐摩耗性を得ることができる。つまり、燃
料の潤滑性が低下してもプランジャ10とロアシート1
3の間の焼付および摩耗が防がれ、長期に亘って分配型
燃料噴射ポンプ1を安定作動させることができる。
【0038】〔第2実施例〕次に第2実施例を説明す
る。なお、符号は第1実施例に開示した図面を参照する
ものであり、同一符号は同一機能物を示すものである。
上記の第1実施例では、アッパープレート62の両面に
油溝63{図2(b)参照}を形成した例を示した。こ
れに対し、この第2実施例では、第1実施例で採用した
油溝63を廃止したものである。
【0039】このように設けても、摩擦係数低減処理
(二硫化モリブデンのコーティング)したロアプレート
61が、隣接する部材(プランジャ10およびアッパー
プレート62)に対して十分な滑りを発生するため、燃
料の潤滑性が低下した場合であっても、焼付および摩耗
を防ぐことができる。このように、アッパープレート6
2の油溝63を廃止しても、焼付および摩耗を防ぐこと
ができるため、油溝63の形成加工を無くすことがで
き、コストを削減することができる。
【0040】もちろん、ロアプレート61に代えてアッ
パープレート62の表面に二硫化モリブデンをコーティ
ングしても良く、またロアプレート61とアッパープレ
ート62の両方に二硫化モリブデンをコーティングして
も良い。
【0041】〔第3実施例〕次に図6を参照して第3実
施例を説明する。なお、第1実施例と同一符号は同一機
能物を示すものである。上記の第1実施例では、プラン
ジャ10とロアシート13の両者に対して回転方向に摺
動する中間部材として、2枚のプレート(ロアプレート
61とアッパープレート62)を例に示した。これに対
し、この第3実施例の中間部材を、一方の面がプランジ
ャ10に摺動し、他方の面がロアシート13に摺動する
1枚のリング状の中間プレート64で構成し、その中間
プレート64の表面に摩擦係数を低減させる被覆処理、
具体的には二硫化モリブデンをコーティングしたもので
ある。
【0042】このように設けても、二硫化モリブデンを
コーティングした中間プレート64が、プランジャ10
およびアッパープレート62に対して十分な滑りを発生
するため、燃料の潤滑性が低下した場合であっても、焼
付および摩耗を防ぐことができる。このように、中間部
材を1枚の中間プレート64としても、焼付および摩耗
を防ぐことができるため、部品点数を少なくでき、コス
トの削減が可能になる。
【0043】〔第4実施例〕次に図7を参照して第4実
施例を説明する。なお、第1実施例と同一符号は同一機
能物を示すものである。上記の各実施例では、中間部材
(ロアプレート61、アッパープレート62、中間プレ
ート64)に摩擦係数を低減させる被覆処理を施した例
を示した。これに対し、この第4実施例では、中間部材
(図7では中間プレート64)に摺動するフランジ部1
0aの表面(図7のβで示す面)に摩擦係数を低減させ
る被覆処理、具体的には二硫化モリブデンをコーティン
グしたものである。このように設けても、二硫化モリブ
デンをコーティングしたフランジ部10aの表面が中間
部材(中間プレート64)に対して十分な滑りを発生す
るため、燃料の潤滑性が低下した場合であっても、焼付
および摩耗を防ぐことができる。
【0044】〔変形例〕上記の実施例では、中間部材
(ロアプレート61、アッパープレート62、中間プレ
ート64)またはフランジ部10aに摩擦係数を低減さ
せる被覆処理を施した例を示したが、中間部材に摺動す
るロアシート13の表面に摩擦係数を低減させる被覆処
理(例えば、二硫化モリブデンのコーティング)を施し
ても良い。このように設けても、二硫化モリブデンをコ
ーティングしたロアシート13の表面が中間部材に対し
て十分な滑りを発生するため、燃料の潤滑性が低下した
場合であっても、焼付および摩耗を防ぐことができる。
【0045】上記の実施例で開示した摩擦係数を低減さ
せる被覆処理の一例として、二硫化モリブデンをコーテ
ィングする例を示したが、これは具体的な一例を開示し
たものであり、他の被覆処理によって摩擦係数を低減さ
せても良い。上記の実施例では、スピル電磁弁33を搭
載した分配型燃料噴射ポンプ1に本発明を適用した例を
示したが、スピル電磁弁33に代えて電磁遮断弁を搭載
した分配型燃料噴射ポンプや、遠心式ガバナを搭載した
分配型燃料噴射ポンプに本発明を適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】プランジャ周辺の拡大断面図である(第1実施
例)。
【図2】ロアプレートおよびアッパープレートの平面図
である。
【図3】分配型燃料噴射システムの概略図である。
【図4】分配型燃料噴射ポンプの断面図である。
【図5】カップリングおよびタイマ装置を示す断面図で
ある。
【図6】プランジャ周辺の要部拡大断面図である(第3
実施例)。
【図7】プランジャ周辺の要部拡大断面図である(第4
実施例)。
【図8】プランジャ周辺の拡大断面図である(従来
例)。
【符号の説明】
1 分配型燃料噴射ポンプ 2 ドライブシャフト(ポンプ駆動軸) 7 フェイスカム 10 プランジャ 12 プランジャスプリング 13 ロアシート 61 ロアプレート(中間部材) 62 アッパープレート(中間部材) 63 油溝 64 中間プレート(中間部材) α 二硫化モリブデンのコーティング(摩擦係数を低減
させる被覆処理)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポンプ駆動軸の回転に同期して回転運動と
    往復運動を行うフェイスカムと、 このフェイスカムにより回転運動と往復運動が付与され
    るプランジャと、 前記フェイスカムに向けて前記プランジャを押しつける
    ためのプランジャスプリングと、 このプランジャスプリングの押圧力を受けるロアシート
    と、 前記プランジャと前記ロアシートの間に介在されて前記
    プランジャスプリングの押圧力を前記プランジャに伝達
    し、且つ前記プランジャと前記ロアシートの両者に対し
    て回転方向に摺動できるリング状の中間部材とを備え、 前記プランジャスプリングの押圧力が、前記ロアシート
    および前記中間部材を介して前記プランジャに伝達され
    る分配型燃料噴射ポンプであって、 前記ロアシート〜前記プランジャの間における摺動面の
    うちの少なくとも1つの摺動面に、摩擦係数を低減させ
    る被覆処理を施したことを特徴とする分配型燃料噴射ポ
    ンプ。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の分配型燃料噴射ポンプに
    おいて、 前記中間部材は、前記プランジャと摺動する面を有する
    ロアプレートと、このロアプレートおよび前記ロアシー
    トと摺動する面を有するアッパープレートとから構成さ
    れ、 前記摩擦係数を低減させる被覆処理は、前記ロアプレー
    トあるいは前記アッパープレートの少なくとも一方の表
    面に施されていることを特徴とする分配型燃料噴射ポン
    プ。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の分配型燃料噴射ポンプに
    おいて、 前記中間部材は、一方の面が前記プランジャに摺動し、
    他方の面が前記ロアシートと摺動する1枚のリング状の
    中間プレートから構成され、 前記摩擦係数を低減させる被覆処理は、前記中間プレー
    トの表面に施されていることを特徴とする分配型燃料噴
    射ポンプ。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の分配型燃料噴射ポンプに
    おいて、 前記摩擦係数を低減させる被覆処理は、前記プランジャ
    における前記中間部材との摺動面に施されていることを
    特徴とする分配型燃料噴射ポンプ。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の分配型燃料噴射ポンプに
    おいて、 前記摩擦係数を低減させる被覆処理は、前記ロアシート
    における前記中間部材との摺動面に施されていることを
    特徴とする分配型燃料噴射ポンプ。
  6. 【請求項6】請求項1〜請求項5のいずれかに記載の分
    配型燃料噴射ポンプにおいて、 前記摩擦係数を低減させる被覆処理は、二硫化モリブデ
    ンのコーティングであることを特徴とする分配型燃料噴
    射ポンプ。
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