JP2003225247A - 歯科用逆止弁カートリッジ及びこれを用いた歯科用装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加圧流体に含まれる微量な成分が弁孔の閉鎖
を妨げることのないような逆止弁カートリッジと、これ
を用いた歯科用装置を提供する。 【解決手段】 歯科用ハンドピースまたは歯科用ハンド
ピース接続装置の給水通路に設けられるカートリッジ１
０が、逆止弁１５と、逆止弁よりも上流側に設けられた
フィルター部材１３とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は歯科用逆止弁カート
リッジ及びこれを用いた歯科用装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図４は従来の歯科用ハンドピース５０と
歯科用ハンドピース接続装置６０の側面図であり、図５
はこの歯科用ハンドピース接続装置の断面図である。歯
科用ハンドピース５０は、着脱自在な歯科治療工具５４
が取り付けられる頭部５３と、頭部５３から後方へ延在
する首部５２と、歯科医師が当該ハンドピース１０を把
手するために首部５２に対し若干角度付けされた把手部
５１とを備えている。また歯科用ハンドピース５０は、
後端に歯科用ハンドピース接続装置６０を連結するため
の接続部５５が設けられ、首部５２の先端付近あるいは
頭部５３には口腔内の治療箇所に向けて水等の流体を噴
き出すための噴出孔（図示せず）が形成され、この噴出
孔から接続部５５まで流体通路（図示せず）が設けられ
ている。歯科用ハンドピース接続装置６０は、歯科用ハ
ンドピース５０に連結するための接続部を先端に備えた
円筒体４２を備え、この円筒体４２の先端内周に設けら
れた開口３４からは後方に向けて流体通路３３，３２，
３１が連通するように形成され、流体通路３１の後端に
は逆止弁カートリッジ６１が設けられている。

【０００３】逆止弁カートリッジ６１は、中間にフラン
ジ６２ｂ，６２ｂを有する筒状体６２の後端６２ａが後
方に突出し、先端６２ｃに弾性弁６３が挿着され、弾性
弁６３の先端に弁孔６３ａとしてのスリットが形成さ
れ、このスリットは圧力が作用していないときに閉じて
おり、フランジ６２ｂ，６２ｂの間にリング状のパッキ
ング６４が嵌められている。弾性弁６３は、図中左側に
向かって尖った形状に形成されており、歯科用ハンドピ
ース５０の使用中は水等の加圧流体により矢印Ａ方向に
向かう圧力を受けるため、スリット６３ａは押し開かれ
て加圧流体が矢印Ａ方向に通過する。一方、歯科用ハン
ドピース５０を停止すると、矢印Ａ方向に向かう圧力も
解除されるため、スリット６３ａは閉ざされて加圧流体
の逆流は防止される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】以上のような逆止弁カ
ートリッジ６１では、加圧流体に含まれる微量な成分が
スリット６３ａ部分に付着することがあり、この場合に
は、スリット６３ａに隙間ができて閉じなくなり、加圧
流体の逆流が防止できなくなるという欠点がある。

【０００５】本発明は上記従来技術の欠点に着目し、こ
れを解決せんとしたものであり、その課題は、たとえ、
加圧流体に微量な成分が含まれていたとしても、これが
弁孔の閉鎖を妨げることのないような逆止弁カートリッ
ジと、これを用いた歯科用装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明では、歯科用ハン
ドピースまたは歯科用ハンドピース接続装置の給水通路
に設けられるカートリッジが、逆止弁と、該逆止弁より
も上流側に設けられたフィルター部材とを備えることを
特徴とする歯科用逆止弁カートリッジが提供される。

【０００７】また本発明では、口腔内の治療箇所まで水
等の流体を供給するための流体通路に前記歯科用逆止弁
カートリッジが設けられたことを特徴とする歯科用装置
が提供される。

【０００８】前記歯科用逆止弁カートリッジは、例え
ば、筒状に形成されたケーシングの内部における下流
側、すなわち、歯科用ハンドピースの使用中に加圧流体
が流下する側に逆止弁を設け、この逆止弁の上流側にフ
ィルターを水密に設けて構成することができる。ここ
で、前記フィルターは、例えば、筒状体の一端が塞が
れ、他端に開口が設けられ、周面に直径０．１〜０．４
ｍｍ程度の微細な孔が多数穿設されたものを使用するこ
とができる。前記多数の微細な孔は歯科用ハンドピース
の使用中に加圧流体が流入する流入孔として機能し、前
記開口は加圧流体が流れ出る流出孔として機能するもの
である。前記多数の微細な孔は、レーザー光線やドリル
を用いて筒状体に穿設される。これ以外のフィルターと
しては、中空糸あるいは焼結プラスチック製多孔質体な
どから形成されたものを使用することができる。また、
前記逆止弁は、図５の従来例と同様な弾性弁を使用する
か、あるいは、球体とこれを付勢するバネから構成する
ことができる。球体とバネから逆止弁を構成する場合、
該球体はバネにより流出孔を密閉するように付勢され、
歯科用ハンドピースが使用されると、加圧流体の圧力が
作用して球体はバネの力に反し流出孔から離れ、加圧流
体は流出孔から流れるようになり、逆に、歯科用ハンド
ピースの使用を停止すると、バネの力によりフィルター
の流出孔を塞ぐように構成することができる。

【０００９】本発明において、前記歯科用装置とは、歯
科用ハンドピースまたは歯科用ハンドピース接続装置で
ある。ここで、前記歯科用ハンドピースとしては、例え
ば、着脱自在な歯科治療工具が取り付けられる頭部と、
この頭部から後方へ延在する首部と、歯科医師が当該ハ
ンドピースを把手するために首部に対し若干角度付けさ
れた把手部とを備え、後端に歯科用ハンドピース接続装
置を連結するための接続部が設けられ、首部の先端付近
あるいは頭部には口腔内の治療箇所に向けて水等の流体
を噴き出すための噴出孔が形成され、この噴出孔から接
続部に流体通路が連通するように設けられたものがあ
り、この流体通路に歯科用逆止弁カートリッジが設けら
れる。この流体通路に加えて、歯科用ハンドピースに
は、給気通路や排気通路を備えたものもある。また前記
ハンドピース接続装置とは、歯科ユニットに連絡する歯
科用ホースと歯科用ハンドピースとの間に介在されて、
空気、水などの各種流体通路や電気系統のジョイント部
分として機能するものである。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

【００１１】図１は本発明の歯科用逆止弁カートリッジ
１０を示す図であって、（ａ）は断面図、（ｂ）は部分
的に切断して示した斜視図、（ｃ）はフィルター部材１
３の斜視図である。図１（ａ）において、口腔内の治療
箇所まで水等の加圧流体が供給されているときには、加
圧流体は矢印Ａ方向に流れるものであり、したがって、
ここでは図１（ａ）中の左端を上流側といい、右端を下
流側という。逆止弁カートリッジ１０は、ケーシング１
１とケーシング１４が連結された筒状体を備え、これら
ケーシング１１，１４の内部に弾性弁１５とフィルター
部材１３が固定され、このフィルター部材１３は、弾性
弁１５よりも上流側に配置され、且つ、ケーシング１１
の内面との間に隙間１６ができるように配置されてい
る。

【００１２】前記ケーシング１１は、図１において、上
流側に配置される細径部１１ａと、下流側に配置される
太径部１１ｂとを備え、太径部１１ｂの外周には溝１１
ｃが形成され、この溝１１ｃにリング状のパッキング１
２が環装される。またケーシング１４は下流側に加圧流
体が流れ出る流出孔１４ａを備え、ケーシング１１とケ
ーシング１４の接続部分の内周に段部が形成されてお
り、この両部材１１，１４の段部により、フィルター部
材１３が挟持される。

【００１３】前記弾性弁１５は、従来と同様にゴムや樹
脂材料から形成された弾性弁であって、本体部１５ａの
一端がフィルター部材１３に装着され、本体部１５ａの
他端が尖った形状に形成され、先端に弁孔としてのスリ
ット１５ｂが設けられている。このスリット１５ｂは、
矢印Ａ方向に加圧流体が流れているときには開放する一
方で、加圧流体の流れが停止しているときには閉鎖して
おり、加圧流体の逆流を防止するものである。

【００１４】前記フィルター部材１３は、一端に加圧流
体の流出孔１３ｃを備え、他端が閉ざされた筒状体１３
ａであり、周面に直径０．１〜０．４ｍｍ程度の微細な
孔が多数穿設され、これが流入孔１３ｄとして機能し、
この筒状体１３ａの外周にはリング状にフランジ１３ｂ
が突設されている。フィルター１３は、流出孔１３ｃが
下流側に、多数の流入孔１３ｄが上流側に位置するよう
に設けられ、フランジ１３ｂはケーシング１１とケーシ
ング１４の段部により挟持される。

【００１５】図２は本発明の歯科用逆止弁カートリッジ
１０を用いた歯科用ハンドピース接続装置３０の断面図
である。歯科用ハンドピース接続装置３０は、例えば、
図４に示したような歯科用ハンドピース５０と、歯科ユ
ニットから延びる歯科用ホース（図示せず）との間に介
在させて、空気、水などの各種流体通路や電気系統のジ
ョイント部分として機能するものであり、歯科用ハンド
ピースの後端の接続部に連結するための円筒体４２を備
え、この円筒体４２の先端内周に設けられた開口３４か
らは後方に向けて流体通路３３，３２，３１が連通する
ように形成されており、流体通路３１の後端に逆止弁カ
ートリッジ１０が設けられ、逆止弁カートリッジ１０の
細径部１１ａは歯科用ハンドピース接続装置３０の後端
に突設される。なお、これ以外の構成としては、特に限
定されるものではないが、円筒体４２の外周にケーシン
グ４３と操作リング４１が設けられ、この操作リング４
１は歯科用ハンドピース５０に着脱する際に操作され
る。またリード線、排気通路及び給気通路が円筒体４２
の内部に設けられ、後端には後端パッキング３５が着脱
自在に設けられ、この後端パッキング３５からは複数の
端子、すなわち、電気系統の端子３６、給気通路の端子
３８及び排気通路の端子３７が突出するように設けら
れ、電気系統の端子３６とリード線などにより接続され
たハロゲン電球３９が円筒体４２の内部に設けられてい
る。

【００１６】次に、図１及び図２を参照して歯科用ハン
ドピース接続装置３０における歯科用逆止弁カートリッ
ジ１０の作用について説明する。歯科用ハンドピース接
続装置３０に歯科用ハンドピースと歯科用ホースが接続
されると、加圧流体の流体通路は供給源から歯科用ハン
ドピースの先端まで連通する。そして、歯科ユニットが
稼動すると、加圧流体は矢印Ａ方向に細径部１１ａから
逆止弁カートリッジ１０内に流れ込み、ケーシング１１
とフィルター部材１３との隙間１６を通って、流入孔１
３ｄからフィルター１３内に流入する。フィルター１３
内では、加圧流体に含まれる微量成分が吸着され、加圧
流体は流出孔１３ｃから出て弾性弁１５のスリット１５
ｂを押し開いてここを通過し、流体通路３１に流入す
る。一方、歯科ユニットが停止すると、歯科用ハンドピ
ース接続装置３０における流体通路３３，３２，３１に
は負圧、すなわち、矢印Ａの逆方向の圧力が作用するも
のの、この逆方向の圧力ではスリット１５ｂが開かない
ため逆流が防止される。

【００１７】以上に説明したように、逆止弁カートリッ
ジ１０内を流れる加圧流体に含まれる微量成分は、上流
側に設けられたフィルター１３内で吸着されるため、弾
性弁１５のスリット１５ｂへの付着を極めて少なくする
ことができる。したがって、本発明の逆止弁カートリッ
ジ１０では、微量成分付着によるスリット１５ｂの障害
発生を抑制することが可能になる。

【００１８】図３は図１と異なる歯科用逆止弁カートリ
ッジ２０の態様を示す断面図である。歯科用逆止弁カー
トリッジ２０は、ケーシング２１とケーシング２４が連
結されて筒状体が形成され、これらケーシング２１，２
４の内部にフィルター部材２３や、逆止弁としての球体
２５及びバネ２６が固定され、フィルター部材２３は球
体２５やバネ２６よりも上流側に配置されている。また
フィルター部材２３は、ケーシング２１の内面との間に
隙間２７ができるように配置されている。

【００１９】前記ケーシング２１，２４はそれぞれ図１
のケーシング１１，１４とほぼ同じ構成であるが、ケー
シング２４では、流出孔２４ａにバネ２６端部を係止さ
せる段部２４ｂが形成されている。前記フィルター部材
２３は、一端に加圧流体の流出孔２３ｃを備え、他端が
閉ざされた筒状体２３ａであって、周面に直径０．１〜
０．４ｍｍ程度の微細な孔が多数穿設され、これが加圧
流体の流入孔２３ｄとして機能し、流出孔２３ｃの外周
にはリング状のフランジ２３ｂが突設されている。フィ
ルター２３は、そのフランジ２３ｂがケーシング２１と
ケーシング２４との段部で挟持され、流出孔２３ｃが下
流側に、多数の流入孔２３ｄが上流側に配置される。逆
止弁としてのバネ２６は、一端がケーシング２４の段部
２４ｂに係止し、他端が球体２５を押して、この球体２
５でフィルター部材２３の流出孔２３ｃを塞ぐように付
勢している。したがって、矢印Ａ方向に加圧流体が流れ
ているときには球体２５が押されて流出孔２３ｃは開放
され、逆に、加圧流体の流れが停止すると、バネ２６に
付勢された球体２５は流出孔２３ｃを閉鎖し、これによ
り加圧流体の逆流を防止するものである。以上の逆止弁
カートリッジ２０は、歯科用ハンドピースまたは歯科用
ハンドピース接続装置等の歯科用装置に設けた場合に
も、逆止弁カートリッジ１０と同様に作用するものであ
り、加圧流体に含まれる微量成分が、上流側のフィルタ
ー部材２３内で吸着されるため、流出孔２３ｃや球体２
５への付着が極めて少なくなって、微量成分付着による
逆止弁の障害発生を抑制することが可能になる。

【００２０】

【発明の効果】本発明の歯科用逆止弁カートリッジで
は、逆止弁よりも上流側にフィルター部材を備えている
ので、加圧流体に含まれた微量な成分はフィルター部材
で吸着され、逆止弁への付着は防止される。したがっ
て、歯科用逆止弁カートリッジ及びこれを用いた歯科用
装置における流体の逆流防止効果は、従来よりも長く維
持することが可能になった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の歯科用逆止弁カートリッジを示す図で
あって、（ａ）は断面図、（ｂ）は部分的に切断して示
した斜視図、（ｃ）はフィルター部材の斜視図である。

【図２】本発明の歯科用逆止弁カートリッジを用いた歯
科用ハンドピース接続装置の断面図である。

【図３】図１とは異なる歯科用逆止弁カートリッジの実
施態様を示す断面図である。

【図４】従来の歯科用ハンドピースと歯科用ハンドピー
ス接続装置の側面図である。

【図５】従来の歯科用逆止弁カートリッジを用いた歯科
用ハンドピース接続装置の断面図である。

【符号の説明】

１０ 歯科用逆止弁カートリッジ １３ フィルター部材 １５ 逆止弁 ２０ 歯科用逆止弁カートリッジ ２３ フィルター部材 ２５ 逆止弁 ３０ 歯科用ハンドピース接続装置 ３１，３２，３３ 給水通路

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 歯科用ハンドピースまたは歯科用ハンド
   ピース接続装置の給水通路に設けられるカートリッジ
   が、逆止弁と、該逆止弁よりも上流側に設けられたフィ
   ルター部材とを備えることを特徴とする歯科用逆止弁カ
   ートリッジ。
2. 【請求項２】 口腔内の治療箇所まで水等の流体を供給
   するための流体通路に前記請求項１記載の歯科用逆止弁
   カートリッジが設けられたことを特徴とする歯科用装
   置。