JP2003225100A - 標的rnaの検出方法 - Google Patents

標的rnaの検出方法

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JP2003225100A
JP2003225100A JP2002027107A JP2002027107A JP2003225100A JP 2003225100 A JP2003225100 A JP 2003225100A JP 2002027107 A JP2002027107 A JP 2002027107A JP 2002027107 A JP2002027107 A JP 2002027107A JP 2003225100 A JP2003225100 A JP 2003225100A
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rna
water
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JP2002027107A
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Riyouko Asai
量子 浅井
Keisaku Okada
圭策 岡田
Yasuyuki Tanaka
康進 田中
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 従来の検出方法に比べて非常に操作性に優
れ、迅速かつ簡便に被検試料中の標的RNAの存在を検
出することができる検出方法、ならびに当該検出方法に
好適に使用される検出用キットの提供。 【解決手段】 標的RNAとの結合性を有するDNAプ
ローブと、該DNAプローブとの結合性を有する標識R
NAプローブとを用いる標的RNAの検出方法であっ
て、(a)被検試料、リボヌレアーゼHおよび該DNA
プローブを混合する工程、(b)該標識RNAプローブ
を固定化してなる固定相を有する吸水性基材上に、工程
(a)で得られた混合物を導入する工程、(c)ストリ
ンジェントな条件下、吸水性基材上で該混合物を展開す
る工程、ならびに(d)固定相において標識RNAプロ
ーブの標識からのシグナルを測定する工程、を含み、標
的RNAを含まない対照試料の場合と比べて、測定され
る該シグナルのレベルが高い場合に被検試料中に標的R
NAが含まれると判定する、標的RNAの検出方法、な
らびに前記のDNAプローブ、リボヌクレアーゼHおよ
び吸水性基材を含んでなる標的RNAの検出用キット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、標的RNAの検出
方法および標的RNAの検出用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】被検試料中の標的RNAの検出方法とし
ては、従来、ノーザンブロッティング法、遺伝子増幅法
およびハイブリダイゼーション法などの数々の方法が知
られている。しかし、これらの方法はそれぞれ実用上い
くつかの問題点を有している。
【0003】ノーザンブロッティング法は既知のRNA
の検出に用いられているが、予め電気泳動により長さの
異なるRNA断片を分離し、その後、塩基配列の相補性
を利用して当該RNAを検出するといった煩雑な操作を
経なければならない。
【0004】最近、標的RNAを高感度に検出する方法
として、種々の遺伝子増幅法が提案され広く利用されて
いる。この方法はポリメラーゼチェーンリアクション法
(Polymerase Chain Reaction Method)(以下、PCR
法と略称する)を改良したもので、被検試料中の標的R
NAの特定部位を数時間で数百万倍に増幅して検出する
方法である。しかし、これらの遺伝子増幅法は、標的R
NAの増幅は短時間で可能であるが、増幅されたRNA
断片の検出は、電気泳動を行った後、エチジウムブロマ
イド染色法または蛍光発色法などにより実施されるた
め、操作が複雑でさらに数時間を要する。
【0005】一方、ハイブリダイゼーション法は標的R
NAの存在を検出するものである。この方法では、標的
RNAを固体担体上に固定化し、続いて固定化された標
的RNAに対して相補的な塩基配列をもつ標識プローブ
を加えてハイブリダイズさせる。さらに洗浄を行い、該
標的RNAに該プローブがハイブリダイズした複合体
と、ハイブリダイズしていない遊離状態の該プローブと
を分離し、遊離状態のプローブを除去する。そして、該
標的RNAにハイブリダイズした該標識プローブを前記
固体担体上で検出する。この場合の標識プローブの標識
物質としては、放射性物質、蛍光物質、化学もしくは生
物発光物質、酵素および生物学的親和性物質などが使用
される。このハイブリダイゼーション法は、標識プロー
ブのハイブリダイゼーション、遊離標識プローブの除
去、および標識物質の取扱いといった煩雑な操作が必要
で、標的RNAの検出までに長時間を要する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の標的
RNAの検出方法に比べて非常に操作性に優れた、迅速
かつ簡便に被検試料中の標的RNAの存在を検出するこ
とができる標的RNAの検出方法、ならびに当該検出方
法に好適に使用される標的RNAの検出用キットを提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
〔1〕 標的RNAとの結合性を有するDNAプローブ
と、該DNAプローブとの結合性を有する標識RNAプ
ローブとを用いる標的RNAの検出方法であって、
(a)被検試料、リボヌレアーゼHおよび該DNAプロ
ーブを混合する工程、(b)該標識RNAプローブを固
定化してなる固定相を有する吸水性基材上に、工程
(a)で得られた混合物を導入する工程、(c)ストリ
ンジェントな条件下、吸水性基材上で該混合物を展開す
る工程、ならびに(d)固定相において標識RNAプロ
ーブの標識からのシグナルを測定する工程、を含み、標
的RNAを含まない対照試料の場合と比べて、測定され
る該シグナルのレベルが高い場合に被検試料中に標的R
NAが含まれると判定する、標的RNAの検出方法、
〔2〕 該標的RNAが細菌由来のリボソームRNAで
ある前記〔1〕記載の検出方法、〔3〕 該標識が着色
粒子、酵素または蛍光色素である前記〔1〕または
〔2〕記載の検出方法、〔4〕 該標識RNAプローブ
がRNAプローブのいずれか一方の末端を標識化してな
るものである前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の検出方
法、ならびに〔5〕 前記〔1〕に記載のDNAプロー
ブ、リボヌクレアーゼHおよび吸水性基材を含んでなる
標的RNAの検出用キット、に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の標的RNAの検出方法
(以下、検出方法という)は、被検試料中の標的RNA
の検出をクロマトグラフ方式にて行うことを1つの大き
な特徴とする。本発明によれば、従来の検出方法におけ
る煩雑な操作を行うことなく、本発明において使用する
吸水性基材の上に被検試料や試薬等を導入(たとえば、
滴下)するだけで、迅速かつ簡便に被検試料中の標的R
NAの存在を検出することができる。
【0009】本発明の検出方法は、吸水性基材上に固定
化された標識RNAプローブの標識からのシグナルの測
定結果に基づいて被検試料中の標的RNAの存在を判定
する。
【0010】該標識RNAプローブは、DNAプローブ
とハイブリダイズさせてRNA/DNAハイブリッドの
二重鎖を形成させた場合、そのようなハイブリッド二重
鎖を特異的に認識し、RNAのみを加水分解するエンド
ヌクレアーゼであるリボヌクレアーゼH(以下、RNア
ーゼHという)を作用させると分解される。当該分解
を、該標識RNAプローブを固定化した吸水性基材上の
固定相で行うと、当初、標識RNAプローブの構成要素
として固定相に固定化されていた標識は当該プローブの
分解に伴って固定相から遊離して、その量が減少し、ひ
いては固定相において標識から発せられるシグナルのレ
ベルが低下する。本発明の検出方法は、かかる固定化標
識RNAプローブの性質を利用するものである。
【0011】詳しくは、本発明の検出方法においては、
先に標的RNAとDNAプローブとをハイブリダイズさ
せてRNA/DNAハイブリッドの二重鎖を形成させ、
RNアーゼHの存在下に標識RNAプローブを固定化し
てなる固定相を有する吸水性基材上で展開し、クロマト
方式にて前記ハイブリッドおよび標識RNAプローブに
対しRNアーゼHを作用させる。この場合、標識RNA
プローブの分解は、前記ハイブリッドが分解され、遊離
状態となったDNAプローブが標識RNAプローブにハ
イブリダイズした後に生ずる。一方、標的RNA不存在
の条件下(対照試料の場合)、すなわち、前記ハイブリ
ッドが存在せず、当初よりDNAプローブが標識RNA
プローブにハイブリダイズする条件下では、直ちに標識
RNAプローブの分解が進行することになる。従って、
標的RNAが存在する場合と不存在の場合で同一条件に
て本発明の検出方法を実施した場合、固定相において測
定される標識からのシグナルのレベルに差が生ずること
になる。すなわち、標的RNAを含まない対照試料の場
合と比べて標的RNAを含む被検試料では該シグナルの
レベルが高くなる。従って、そのような差を捉えること
で、被検試料中の標的RNAの存在を確認することがで
きる。
【0012】具体的には、本発明の検出方法は、標的R
NAとの結合性を有するDNAプローブと、該DNAプ
ローブとの結合性を有する標識RNAプローブとを用い
る標的RNAの検出方法であって、(a)被検試料、リ
ボヌレアーゼHおよび該DNAプローブを混合する工
程、(b)該標識RNAプローブを固定化してなる固定
相を有する吸水性基材上に、工程(a)で得られた混合
物を導入する工程、(c)ストリンジェントな条件下、
吸水性基材上で該混合物を展開する工程、ならびに
(d)固定相において標識RNAプローブの標識からの
シグナルを測定する工程を含むものである。そして、標
的RNAを含まない対照試料を用いて被検試料と同様の
操作を別途行い、対照試料の場合と比べて、固定相にお
いて標識RNAプローブの標識からのシグナルが高く測
定される場合に被検試料中に標的RNAが含まれると判
定する。
【0013】なお、本明細書において「結合性を有す
る」とは、ストリンジェントな条件下に互いにハイブリ
ダイズ可能であることを意味し、「結合性を有しない」
とは、ストリンジェントな条件下に互いにハイブリダイ
ズしないことを意味する。
【0014】本発明においては、吸水性基材上に導入さ
れる、該基材上で展開させる成分(以下、展開対象成
分)を毛細管現象により自然展開させるため、当該展開
対象成分は水を媒体とする溶液や分散液等であるのが好
適である。たとえば、そのような形態で提供された被検
試料、DNAプローブおよびRNアーゼHを混合〔工程
(a)〕して得られた混合物を吸水性基材上の一端に導
入〔工程(b)〕すると、当該混合物は直ちに吸水性基
材上で展開〔工程(c)〕される。
【0015】被検試料とDNAプローブとの混合の割合
は本発明の所望の効果の発現が得られる限り特に限定さ
れるものではないが、DNAプローブの量が被検試料中
の予想される標的RNAの量とモル単位で等しいか、ま
たはそれ未満となるように混合するのが好ましい。被検
試料と混合するDNAプローブの量としては一般には、
好ましくは1〜1000pmol、より好ましくは5〜
500pmolである。また、RNアーゼHの混合量
は、本発明の所望の効果の発現の観点から、一般には、
好ましくは0.1〜100ユニット(U)、より好まし
くは0.5〜50Uである。なお、本明細書においてR
NアーゼHについて定義される該ユニットとは、ポリ
(rA)/ポリ(dT)ハイブリッドを基質として用
い、30℃、pH7.7において20分間に1nmol
のrAを分解する酵素活性をいう。
【0016】本発明の検出方法は、被検試料中に標的R
NAが存在する場合に標的RNAとDNAプローブのハ
イブリッドを形成させ、DNAプローブの標識RNAプ
ローブへのハイブリダイズおよび続くRNアーゼHによ
る標識RNAプローブの分解を抑制することにより、そ
のような抑制が働かない対照試料との間で標識RNAプ
ローブからのシグナルレベルの差を生じさせることによ
り、被検試料中の標的RNAの存在を検出するものであ
る。従って、前記混合物と、吸水性基材上に固定化され
ている標識RNAプローブとが接触する際には、標識R
NAプローブの分解が抑制される程度の充分な標的RN
A/DNAプローブハイブリッドが存在しているのが好
ましい。被検試料、RNアーゼHおよびDNAプローブ
を混合すると、該被検試料に標的RNAが含まれる場
合、RNA/DNAハイブリッドが形成され、標的RN
Aの分解が進行し、当該ハイブリッド量は時間経過と共
に減少していくため、本発明の所望の効果の発現の観点
から、前記混合物の吸水性基材上への導入は、該混合物
調製後、好ましくは5分以内、より好ましくは2分以内
に行うのが好ましい。
【0017】また、前記混合物の導入は本発明の所望の
効果が得られるように行われる。たとえば、導入は滴下
等により適宜行えばよく、その際の滴下量も本発明の所
望の効果が得られれば特に限定されるものではない。導
入位置は、吸水性基材上、固定相から見て一方の側であ
って、所望の展開移動距離が確保できる位置であるのが
望ましい。かかる展開移動距離とは、該混合物の導入位
置から固定相までの距離をいう。当該展開移動距離とし
ては、好ましくは5〜80mm、より好ましくは8〜3
0mmである。かかる範囲内であれば、標的RNAおよ
び/または標識RNAプローブとDNAプローブとのハ
イブリッド形成やRNアーゼHによる作用が適切に発揮
され、シグナルの検出感度が良好で、測定時間も適切で
ある。
【0018】混合物中に標的RNAが存在する場合、標
的RNAとDNAプローブからなるRNA/DNAハイ
ブリッドが形成されるため、標的RNAがRNアーゼH
の作用により一部分解を受けながら該混合物は展開され
る。一方、標的RNAが存在しない場合はDNAプロー
ブとRNアーゼHを含む混合物が何らの反応も伴わずに
展開される。標的RNAを含む混合物が固定相に達する
と、RNアーゼHの作用は主として標的RNAとDNA
プローブからなるRNA/DNAハイブリッド中の標的
RNAの分解に向くため、固定相における標識の固定化
量は実質的に当初のまま維持される。一方、混合物が標
的RNAを含まない場合、DNAプローブが標識RNA
プローブにハイブリダイズしてRNA/DNAハイブリ
ッドが形成されるため、標識RNAプローブはRNアー
ゼHにより直ちに分解され、標識の固定化量が減少する
ことになる。
【0019】工程(d)では、前記混合物を展開して一
定時間経過後、固定相において標識RNAプローブの標
識からのシグナルを測定する。
【0020】また、以上の同様の操作を対照試料を用い
て別途行う。
【0021】被検試料に標的RNAが全く含まれない場
合には固定相における標識の固定化量が減少するため、
標識RNAプローブからのシグナルレベルは対照試料の
場合と同様に低く測定される。また、固定化標識RNA
プローブが全て分解された場合には該シグナルは検出さ
れない。一方、被検試料に標的RNAが含まれる場合に
は固定相における標識の固定化量は減少しないので、標
識RNAプローブからのシグナルレベルは対照試料の場
合と比べて高く測定される。
【0022】従って、本発明の標的RNAの検出方法に
おいては、対照試料の場合と比べて、標識RNAプロー
ブからのシグナルが高く測定される場合に、被検試料中
に標的RNAが存在すると判定することができる。
【0023】本発明において被検試料としては、標的R
NAを含んでいるか、または標的RNAを含むことが予
想されるものであれば特に限定されるものではない。被
検試料としては、たとえば、食中毒の原因菌(細菌、た
とえば、サルモネラ菌、リステリア菌等)、各種生物の
血液、リンパ液、羊水等の体液、排泄物もしくは組織ホ
モジネート等の臨床検査に通常使用される試料等が挙げ
られる。
【0024】被検試料に含まれるRNAの状態が遊離状
態でない場合には、本発明の検出方法において該被検試
料を使用する前に、予めそれに含まれるRNAを公知の
方法に従って抽出する。また、標的RNAの長さは特に
限定されないが、展開時間の短縮の観点から、3万塩基
数以下であるのが好ましい。たとえば、標的RNAの長
さが3万塩基数を超えるような場合、検査に先立って、
公知のアルカリ変性もしくは所望の制限酵素による分解
処理により断片化しておくのが好ましい。
【0025】なお、以上のような処理や被検試料の希釈
等には、特に限定されるものではないが、水、ホウ酸緩
衝液、リン酸緩衝液等の水系溶媒を使用するのが好適で
ある。
【0026】標的RNAとしては、その配列が既知のも
のであれば特に限定されるものではない。たとえば、前
記食中毒の原因菌のゲノム上もしくはプラスミド上に、
または各種生物のゲノム上にコードされた特定の遺伝子
領域に由来するものや、前記原因菌等に含まれるRNA
等を挙げることができる。たとえば、標的RNAが特定
の食中毒の原因菌に固有の塩基配列を有するRNAであ
る場合、本発明の検出方法により任意の被検試料におい
て当該標的RNAの存在が確認されれば、当該被検試料
の取得源(たとえば、食品)における当該原因菌の存在
が明らかとなる。かかる標的RNAとしては、特定の菌
種の属や系統分類学上の集団に固有の塩基配列が知られ
ている細菌のrRNAが好適である。当該rRNAは、
通常、1細胞当たり約103 コピー存在し、細菌を培養
することでさらにそのコピー数を増やすことができる。
従って、増幅を行う必要がなく、培養液抽出物を被検試
料として用いた場合にも感度良く検出することができ
る。たとえば、食品の食中毒の原因菌による汚染を判定
する場合の有用性の観点から、前記rRNAとしてはサ
ルモネラ菌またはリステリア菌由来のrRNAが好適で
ある。
【0027】また、標的RNAが、特定の疾患の病因と
して知られる、もしくは特定の疾患の病状を表わすこと
が知られる、野性型の遺伝子DNAや変異型の遺伝子D
NAに由来するものである場合、被検試料において当該
RNAの存在が確認されれば、当該被検試料の取得源で
ある生物の疾患の病因や病状が明らかとなる。さらに
は、生物の特定の遺伝子DNAについて多型が存在する
場合、たとえば、個々の遺伝子DNAに特徴的な塩基配
列を有するDNA領域に由来するRNAを標的とし、本
発明の検出方法を用いて当該生物由来の被検試料におい
て当該標的RNAの存在を確認することにより、当該生
物の遺伝子型タイピングを行うことも可能である。
【0028】本発明に使用するDNAプローブは、標的
RNAの塩基配列に相補的な塩基配列を有しており、か
つ標的RNAに対して結合性を有する、すなわち、スト
リンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAプ
ローブであれば特に限定されない。ここで「相補的」と
は、DNAプローブの塩基配列が標的RNAの塩基配列
の相補鎖を正確に反映している必要はないが、ストリン
ジェントな条件下で標的RNAにハイブリダイズできる
程度には当該相補鎖に充分に類似していることをいう。
当該類似の程度としては、好ましくは80%以上、より
好ましくは85%以上、さらに好ましくは95%以上で
ある。
【0029】当該DNAプローブとしては、DNAから
なるもの以外に、修飾DNA、DNAアナログ等からな
るものが挙げられる。DNAプローブは一本鎖または二
本鎖の核酸でありうるが、一本鎖の核酸であるのが好ま
しい。また、その塩基数としては少なくとも5塩基長程
度であり、好ましくは5〜100塩基長、より好ましく
は15〜50塩基長であるが、数千塩基長であってもよ
い。
【0030】前記修飾DNAとしては、修飾された糖
基、リン酸基、または修飾塩基を含むDNAが挙げられ
る。たとえば、修飾塩基を含むDNAの例としては、た
とえば、メチル化された塩基(5−メチルデオキシシチ
ジン等)等を含むDNAが挙げられる。前記DNAアナ
ログとしては、たとえば、標準的な核酸塩基が、N−
(2−アミノエチル)グリシン単位の繰り返しからなる
ペプチド様骨格に結合しているペプチド核酸(PNA)
が挙げられる〔Nielsen, P. E.ら、Science, 254:1497
〜1500(1991)〕。PNAはヌクレアーゼによる分解に
対して非常に抵抗性が強い点で有用である。
【0031】標的RNAの塩基配列の相補鎖とのDNA
プローブの塩基配列の前記「類似の程度」は、該相補鎖
と該DNAプローブの塩基配列との間の配列同一性を求
めることにより評価することができる。かかる配列同一
性とは2つの配列間の塩基の配列類似性をいい、2つの
適切にアラインメントされた配列を比較することにより
決定する。具体的には、両方の配列に存在する同一の塩
基を決定して適合部位の数を決定し、次いで比較対象の
配列領域内の塩基の総数で前記適合部位の数を割り、得
られた数値に100を乗じて配列同一性(%)を算出す
る。かかる配列同一性は、たとえば、BLASTネット
ワークサービスを利用して適宜求めることが可能であ
る。
【0032】本明細書においてストリンジェントな条件
としては、非特異的なハイブリダイゼーション反応を有
意に低下させる条件であれば特に限定されない。核酸の
ハイブリダイゼーションを行うためのストリンジェント
な条件については、たとえば、成書(モレキュラー ク
ローニング(Molecular Cloning)第3版、ザンブルー
ク(Sambrook)とラッセル(Russell)著、コールドス
プリングハーバー)等に記載されている。プローブの長
さ、塩基組成、ハイブリダイズする配列間の配列同一
性、温度、およびイオン強度等の要素が、核酸ハイブリ
ッドの安定性に影響する。たとえば、中ストリンジェン
シーまたは高ストリンジェンシー等のストリンジェント
な条件は、標的RNAとDNAプローブの特性に応じ
て、経験的に決定することができる。
【0033】上記のようなDNAプローブは、所望の性
質を有するように公知の方法(たとえば、前記成書参
照)に従って適宜作製することができる。また、任意の
配列や修飾を有するDNAを合成した市販品を購入する
こともできる。
【0034】本発明に使用するRNアーゼHとしては、
「RNA/DNAハイブリッドの二重鎖を特異的に認識
し、RNA鎖のみを加水分解して5’−リン酸基と3’
−ヒドロキシル基を持つオリゴマーを生産するエンドヌ
クレアーゼ」の定義に適合するものであれば特に限定さ
れるものではない。RNアーゼHは大腸菌、酵母、ウシ
等、原核生物および真核生物に広く存在しており、公知
の方法に従って適宜調製することができるが、入手容易
性の観点から、たとえば、後述の製造例1に記載するよ
うな市販品を用いるのが好ましい。本発明の検出方法に
使用する際には、特に限定するものではないが、水、ホ
ウ酸緩衝液、リン酸緩衝液等の水系溶媒に溶解させてお
くのが好適である。
【0035】本発明の標識RNAプローブはRNAプロ
ーブと標識(すなわち、標識物質;以下、シグナルレポ
ーターという)とを有してなる。
【0036】前記RNAプローブとしては、具体的には
標的RNAと実質的に同一の塩基配列を有しており、か
つ前記DNAプローブに対し、ストリンジェントな条件
下に特異的にハイブリダイズしうるRNAプローブであ
れば特に限定されない。当該RNAプローブとしては、
たとえば、任意の塩基配列や修飾(標識)を有する、市
販の合成RNAプローブを利用することができる。RN
Aプローブの塩基数としては少なくとも5塩基長程度で
あり、好ましくは5〜100塩基長、より好ましくは1
5〜50塩基長であるが、数千塩基長であってもよい。
また、「標的RNAと実質的に同一の塩基配列」とは、
標的RNAとの配列同一性が好ましくは80%以上、よ
り好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上
である塩基配列をいう。なお、「配列同一性」は前記
「類似の程度」の算出法に準じて評価することができ
る。
【0037】前記シグナルレポーターはRNAプローブ
と直接的にまたは間接的に結合させることができ、かつ
当該レポーターに由来するシグナルを測定可能なもので
あれば特に限定されるものではない。好ましくは機器も
しくは目視により、より好ましくは目視により、当該レ
ポーター由来のシグナルを容易かつ簡便に測定可能であ
るものが好適である。なお、本明細書において測定と
は、任意の方法によりシグナルを検出して数値化するこ
とに加え、目視によりシグナル(たとえば、色)を検出
し、そのレベルを主観的に評価すること、をいう。
【0038】かかるシグナルレポーターとしては、たと
えば、着色粒子、磁性粒子、酵素、蛍光色素や、32P、
35S、3 H等のラジオアイソトープ等が挙げられる。中
でも検出容易性の観点から、着色粒子、酵素または蛍光
色素が好ましい。
【0039】本明細書において着色粒子とは着色された
粒子であって、シグナルを当該粒子から直接的に発せら
れる色として検出しうる粒子をいう。たとえば、当該粒
子としては、金コロイド粒子やセレニウムコロイド粒子
のような金属コロイド粒子や、着色された水分散型高分
子粒子などが挙げられる。水への分散性に優れ、また核
酸や酵素等の固定化容易性の観点から、水分散型高分子
粒子からなるものが好ましい。
【0040】金属コロイド粒子は入手容易性および安定
性等の観点より、金コロイド粒子が好ましい。また、核
酸やリガンド等の固定化容易性および検出の容易性の観
点から、その粒径(平均粒径)は5〜80nmが好まし
く、10〜50nmがより好ましい。当該粒径は、たと
えば、透過型電子顕微鏡観察下で各粒子の絶対粒径を測
定し、得られた測定値を平均することにより求められ
る。
【0041】水分散型高分子粒子は、たとえば、公知の
方法に従い、不飽和二重結合を有する単量体の一又は二
以上を乳化重合することによって調製することができ
る。かかる単量体としては、たとえば、エチレン、プロ
ピレン等のオレフィン系単量体、酢酸ビニル、塩化ビニ
ル等のビニル系単量体、スチレン、メチルスチレン、ク
ロロスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル
等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ブタジエン
等のジエン系単量体等が好適に用いられる。
【0042】また、本発明に用いられる水分散型高分子
粒子としては、上記単量体の単独重合体や共重合体から
なるものの他、その表面に核酸や酵素等を固定化するた
めのリガンドやスペーサーの導入を目的として、得られ
る粒子に官能基やイオン性基を付与したものでもよく、
また粒子の水性媒体中での分散安定性を高めるなどの目
的で、改質用単量体を共重合してなるものであってもよ
い。
【0043】そのような官能基やイオン性基としては、
たとえば、カルボキシル基、水酸基、グリシジル基、ア
ミノ基、ホルミル基、カルバモイル基、イソチオシアナ
ート基、アジドカルボニル基、ヒドラジド基、酸無水物
基等を挙げることができ、中でもカルボキシル基が好ま
しい。これらの官能基等を有する水分散型高分子粒子を
調製するには、単量体成分として、たとえば、アクリル
酸、メタクリル酸のようなカルボキシル基を有する単量
体、たとえば、ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキ
シエチルアクリレートのような水酸基を有する単量体、
たとえば、グリシジルメタクリレートのようなグリシジ
ル基を有する単量体を、所望により他の共重合性単量体
と乳化重合させることによって、それぞれカルボキシル
基、水酸基およびグリシジル基を有する粒子として得る
ことができる。また所望の単量体成分を重合させた後、
得られた粒子に官能基を導入することもできる。
【0044】また、前記改質用単量体としては、たとえ
ば、アクリル酸、メタクリル酸、2,2,2−トリフル
オロエチルメタクリレートなどのフッ素化メタクリル酸
エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ア
クリルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウム、スルホ
プロピル(メタ)アクリレートナトリウム塩、N−ビニ
ル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジル
メタクリレートなどが用いられる。
【0045】水分散型高分子粒子の着色は、たとえば、
スダンブルーやスダンレッドIV、スダンIII、オイ
ルオレンジ、キニザリングリーンなどに代表される顔料
や染料、また種々の蛍光色素・顔料を、当該粒子製造時
に任意に添加することで行うことができる。着色された
水分散型高分子粒子をシグナルレポーターとして用いた
場合、それが直接的に発する色として、目視または機器
〔たとえば、クロマトスキャナー(スキャニングデンシ
トメータ)〕により迅速、簡便にシグナルを検出するこ
とができる。目視確認の容易性の観点からは、青色、赤
色、緑色またはオレンジ色等に着色された水分散型高分
子粒子が好ましく、分散安定性や被検物質の検出感度の
調整の容易性などの観点から、青色または赤色に着色さ
れたものがより好ましい。
【0046】本発明においては、市販されている種々の
着色された水分散型高分子粒子も好適に使用することが
できる。市販されている水分散型高分子粒子としては、
たとえば、p−クロロスチレンの単独重合体または共重
合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アク
リロニトリル−ブタジエン共重合体などの、スチレンま
たはその誘導体を単量体成分として含んでなる単独重合
体または共重合体を挙げることができる。また、(メ
タ)アクリル酸の長鎖アルキルエステルまたはその誘導
体からなる単独重合体や、これらと(メタ)アクリル酸
メチルや(メタ)アクリル酸エチル、グリシジル(メ
タ)アクリレート等との共重合体も本発明において用い
られる。さらに、スチレンまたはその誘導体と、(メ
タ)アクリル酸エステルまたはその誘導体との共重合体
も用いられる。また、ゴム、ナイロン、ポリウレタン、
微結晶質セルロース等を用いてもよい。
【0047】なお、本発明の水分散型高分子粒子として
は、前記するような単独重合体または共重合体の1種か
らなるものであっても、2種以上からなるものであって
もよい。
【0048】水分散型高分子粒子は、その使用時や保存
時に融着や凝集を起こさないものが好ましい。従って、
当該粒子としては所望のガラス転移点を有するように選
択された単量体から構成されたものがよい。当該ガラス
転移点としては、好ましくは10℃以上、より好ましく
は室温(15℃)以上である。ガラス転移点は、たとえ
ば、示差走査熱量計で測定できる。
【0049】このような水分散型高分子粒子の粒径(平
均粒径)は、分散性、核酸やリガンド等の固定化性の観
点から、好ましくは3μm以下、より好ましくは2μm
以下であり、核酸やリガンド等を固定する際の精製の容
易性の観点から、好ましくは0.01μm以上、より好
ましくは0.1μm以上である。すなわち、水分散型高
分子粒子の粒径としては、好ましくは0.01〜3μ
m、より好ましくは0.1〜2μmである。なお、当該
粒径は、金属コロイド粒子と同様の方法により測定でき
る。
【0050】前記磁性粒子とは、水分散型高分子粒子中
に磁性体を分散させたり、核として導入したものであ
り、任意の粒径を有する市販品が一般に入手可能であ
る。
【0051】シグナルレポーターとして酵素を用いる場
合、シグナルは、その基質に対する当該酵素の作用によ
り生ずる産物から発せられる。本発明に用いうる酵素と
して好適には、公知の酵素免疫測定法において標識とし
て常用される酵素を挙げることができる。たとえば、ペ
ルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、アルカリ
ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、ルシフェラ
ーゼ、エステラーゼ、β−D−グルクロニダーゼ等が挙
げられる。中でも、より高感度で安定な検出を達成する
観点から、ペルオキシダーゼまたはアルカリホスファタ
ーゼが好ましい。
【0052】また、当該酵素の基質としては、酵素反応
産物の検出が可能であれば特に限定されるものではない
が、迅速、簡便に当該産物の検出を行いうる観点から発
色性基質が好ましい。かかる発色性基質は、使用する酵
素に応じ、公知の酵素免疫測定法において用いられる発
色性基質から適宜選択することができる。
【0053】発色性基質としては、たとえば、酵素がペ
ルオキシダーゼの場合、ペルオキシダーゼと過酸化水素
との組み合わせにより反応して発色しうる基質であれば
よく、たとえば、2,2’−アジノ−ビス(3−エチル
ベンズチアゾリン)−6−スルホン酸、o−フェニレン
ジアミン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジ
ン(以下、TMBという) 、o−ジアニジジン、3,
3’−ジアミノベンジジン、3−アミノ−9−エチルカ
ルバゾール、4−クロロ−1−ナフトール等が挙げら
れ、発色性および無毒性という観点からTMBが好まし
い。
【0054】本発明においては、基質は溶液状態で、た
とえば、酵素基質液として用いるのが好適である。酵素
基質液としては、前記発色性基質を、たとえば、水、ホ
ウ酸緩衝液、リン酸緩衝液等に溶解してなるものが好適
である。また、当該基質液には適切な酵素反応を行う上
で好適な、その他の成分(たとえば、過酸化水素等)を
所望により含有させてもよい。
【0055】また、シグナルレポーターとして使用しう
る蛍光色素としては、フルオレセイン、テトラメチルロ
ーダミン、Cy3、Cy5等が挙げられる。
【0056】標識RNAプローブは前記のようなシグナ
ルレポーターとRNAプローブとを直接的にまたは間接
的に結合することにより得られる。間接的に結合させる
場合とは、たとえば、シグナルレポーターとRNAプロ
ーブとの結合を任意の物質を介して行うような場合をい
う。たとえば、シグナルレポーターとして酵素を使用す
る場合、たとえば、前記水分散型高分子粒子を介して酵
素とRNAプローブとを結合することにより標識RNA
プローブを得てもよい。
【0057】シグナルレポーターはRNAプローブの
5’末端、3’末端および配列内部の少なくとも1つに
直接的にまたは間接的に結合させればよい。標識RNA
プローブとしては、中でも、対照試料の場合と標的RN
Aを含む被検試料の場合とで、測定されるシグナルのレ
ベルの差を大きくするという観点から、RNAプローブ
のいずれか一方の末端を標識化してなるものが好まし
い。また、両者は必ずしも1対1で結合させる必要はな
く、たとえば、1つのRNAプローブに対し複数のシグ
ナルレポーターを直接的にまたは間接的に結合させても
よい。
【0058】標識RNAプローブの調製は以下に示すよ
うにして行う。たとえば、シグナルレポーターとRNA
プローブとの結合は、任意の物質間の結合方法として一
般に公知である、共有結合、物理的吸着もしくはイオン
結合を利用する方法を用いて好適に行うことができる。
結合安定性の観点から、共有結合を利用する方法を採用
するのが好ましい。なお、RNAプローブを調製する際
に任意のラジオアイソトープにより標識化した塩基を構
成成分として用い、RNAプローブの調製と同時に標識
化を行って標識RNAプローブを調製することもでき
る。
【0059】たとえば、シグナルレポーター等に存在す
る官能基やイオン性基を介して直接結合する、または水
溶性カルボジイミドや他の炭素数l〜12の炭素鎖基を
有する二官能性の有機化合物をスペーサーとして介在さ
せて結合する。また、たとえば、リガンドをシグナルレ
ポーターに結合しておき、一方、当該リガンドに結合し
うる化合物(以下、リガンド結合化合物という)をRN
Aプローブに結合し、当該リガンドとリガンド結合化合
物との結合を利用して両者を結合させることも可能であ
る。かかるリガンド−リガンド結合化合物の組み合わせ
の好適な例としては、ビオチン−アビジン、ビオチン−
ストレプトアビジン、ジゴキシゲニン(DIG)−抗D
IG抗体、FITC−抗FITC抗体等が挙げられる。
中でも、ビオチン−ストレプトアビジン、DIG−抗D
IG抗体の組み合わせは、それらが結合して形成される
複合体の安定性が高く、より好適に用いられる。たとえ
ば、シグナルレポーターとして酵素を用いる場合、なん
らかのスペーサーを介在させることにより固定化標識R
NAプローブにおける自由度を高めることができ、酵素
反応の効率を高める観点から好ましい。
【0060】また、たとえば、前記水分散型高分子粒子
を介してシグナルレポーターとRNAプローブとを結合
する場合、たとえば、(シグナルレポーター)−(水分
散型高分子粒子)−(RNAプローブ)の形を有する標
識RNAプローブを得る場合、当該標識RNAプローブ
はシグナルレポーターと水分散型高分子粒子との間およ
び水分散型高分子粒子とRNAプローブとの間を、前記
するようにして結合することにより調製することができ
る。
【0061】標識RNAプローブは、RNAプローブを
シグナルレポーターへ結合させた後、たとえば、膜分離
法や濾過、遠心分離法等の慣用の分離法によって、たと
えば、結合を行った反応場である溶媒等から分離精製す
ることにより得られる。標識RNAプローブは、使用時
まで、たとえば、水中に浸漬して、または凍結乾燥して
保存することができる。
【0062】吸水性基材上の固定相は、かかる標識RN
Aプローブを吸水性基材上に固定化することにより形成
する。
【0063】固定相は、吸水性基材上の所望の位置に、
標識RNAプローブを、ディスペンサー等を用いてライ
ン状に直接塗布し、またピペット等を用いて円形状に直
接スポットし、固定化して形成すればよいが、展開対象
成分の展開方向に対し垂直となる方向の当該吸水性基材
の幅と同様の幅で形成してもよい。また、吸水性基材上
の固定相の占有面積は吸水性基材の面積に対し百分率で
0.5〜3%であるのが好ましい。
【0064】吸水性基材上への標識RNAプローブの直
接的な固定化は、本発明の前記標識RNAプローブの作
製においてシグナルレポーターとRNAプローブとを結
合するための方法に準じて適宜行うことができる。ま
た、たとえば、簡便に、標識RNAプローブを吸水性基
材上に直接塗布し、たとえば、120℃で2時間程度、
オーブン中に維持して加熱処理することにより、または
公知の方法に従ってUV架橋することにより固定化する
こともできる。さらに、使用する標識RNAプローブに
含まれるRNAプローブに相補的な塩基配列を有する任
意のDNAプローブを任意の方法により予め吸水性基材
上の所望の位置に固定化しておき、かかる吸水性基材を
標識RNAプローブを含む液に浸漬し、RNA/DNA
ハイブリッドの形成を利用して固定化してもよい。
【0065】固定相としては、標的RNAが含まれる被
検試料を用いた場合、測定されるシグナルのレベルが当
初のレベルと実質的に変わらず、かつ対照試料の場合、
シグナルレベルの低下を容易かつ明確に確認しうる観点
から、被検試料と混合するDNAプローブの量と同程度
の量(モル単位)の標識RNAプローブを固定化してな
るものが好ましい。固定相における標識RNAプローブ
の固定化量は、混合するDNAプローブ量に応じて適宜
決定され得、一概には決定できないが、通常、標識RN
Aプローブを好ましくは8〜8000ng/試験片の範
囲で均一に固定化して固定相を形成するのが好ましい。
【0066】なお、固定相を形成した吸水性基材は、 標
的RNA以外の核酸の当該基材上への非特異的な吸着の
防止、 展開の容易性、ならびに固定化した標識RNAプ
ローブの保存安定性の観点から、公知の方法に従ってブ
ロッキング剤、界面活性剤および糖を含有する溶液(以
下、処理液という)に浸漬し、乾燥して用いるのが好ま
しい。ここで、使用するブロッキング剤としては、ウシ
血清アルブミン、カゼイン、ゼラチン、スキムミルク、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の吸水
性基材に対し吸着性を有するタンパク質が挙げられる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(10)オク
チルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン
モノラウレート、ポリオキシエチレンアルキルアリルエ
ーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル等が挙げられる。糖としては、サッカロ
ース、トレハロース等が挙げられる。なお、前記処理液
中のブロッキング剤の含有量は、好ましくは0.1〜1
0重量%である。前記処理液中の界面活性剤の含有量
は、好ましくは0.01〜1重量%である。前記処理液
中の糖の含有量は、好ましくは0.1〜10重量%であ
る。また、上記操作の実施は、吸水性基材に対し固定相
を形成した後であれば、本発明の所望の効果の発現が阻
害されない限り、本発明の検出方法における使用前にお
いて任意に行うことができる。
【0067】シグナルレポーターとして着色粒子や蛍光
色素を用いた場合は、固定相において、たとえば、目視
により、それらが発する色や蛍光をシグナルとして検出
し、当該シグナルを測定する。磁性粒子を用いた場合
は、たとえば、SQUIDOセンサーによりシグナルを
測定する。ラジオアイソトープを用いた場合は、たとえ
ば、オートラジオグラフィにより固定相における放射能
の存在をシグナルとして検出し、当該シグナルを測定す
る。
【0068】シグナルレポーターに酵素を用いた場合
は、本発明の検出方法の工程(b)において被検試料、
RNアーゼHおよびDNAプローブからなる混合物を吸
水性基材上に導入した後、さらに酵素基質液を本発明の
所望の効果の発現が得られるように導入する。当該酵素
基質液の導入位置は前記混合物の導入位置と同一であっ
ても、異なっていてもよい。前記混合物を導入してから
酵素基質液を導入するまでの時間としては、標的RNA
を含む被検試料の場合と対照試料の場合で各々測定され
るシグナルのレベルの差の明確化の観点から、好ましく
は1〜30分以内、より好ましくは2〜15分以内であ
る。
【0069】酵素反応に要する時間は、酵素基質液の展
開時間を含め、酵素基質液を導入してから好ましくは1
〜20分間程度である。ただし、当該時間は酵素、基
質、反応条件等に依存するため、特に限定されるもので
はない。たとえば、本発明の好適な態様において、発色
性基質を用いた場合、吸水性基材上の固定相においてシ
グナルとして検出される色は、固定相の標識RNAプロ
ーブ中のシグナルレポーターの酵素の作用により基質か
ら生じた発色性産物に由来する。
【0070】また、たとえば、RNAプローブとリガン
ドとを結合したリガンド結合RNAプローブを吸水性基
材上に固定化して固定相を形成しておき、工程(b)に
おいて被検試料、DNAプローブおよびRNアーゼHか
らなる混合物を該吸水性基材上に導入した後、さらに前
記リガンドに結合しうるリガンド結合化合物とシグナル
レポーターとを結合したリガンド結合化合物結合シグナ
ルレポーターを導入し、該固定相上で前記リガンドとリ
ガンド結合化合物とを結合させて標識RNAプローブを
形成させ、同様にシグナルレポーターからのシグナルを
測定する態様をとることもできる。前記リガンド結合化
合物結合シグナルレポーターの導入位置は前記混合物の
導入位置と同一であっても、異なっていてもよい。リガ
ンドとRNAプローブとの結合、およびリガンド結合化
合物とシグナルレポーターとの結合は、標識RNAプロ
ーブの調製の際に、シグナルレポーターとRNAプロー
ブとを結合する前記方法に従って行えばよい。
【0071】すなわち、本発明の検出方法の一態様とし
て、標的RNAとの結合性を有するDNAプローブと、
該DNAプローブとの結合性を有するRNAプローブと
を用いる標的RNAの検出方法であって、(a)被検試
料、RNアーゼHおよび該DNAプローブを混合する工
程、(b)リガンドと結合した該RNAプローブを固定
化してなる固定相を有する吸水性基材上に、工程(a)
で得られた混合物を導入する工程、(c)該吸水性基材
上に、リガンド結合化合物と結合した標識(シグナルレ
ポーター)を導入する工程、(d)ストリンジェントな
条件下、該吸水性基材上で該混合物および標識を展開す
る工程、ならびに(e)固定相において標識からのシグ
ナルを測定する工程、を含み、標的RNAを含まない対
照試料の場合と比べて、測定される該シグナルのレベル
が高い場合に被検試料中に標的RNAが含まれると判定
する、標的RNAの検出方法、を提供することもでき
る。
【0072】なお、本態様の工程(c)においてリガン
ド結合化合物と結合した標識を吸水性基材上に導入する
が、工程(b)において前記混合物を導入してから当該
標識を導入するまでの時間としては、前記酵素基質液の
導入の場合と同様の観点より、かかる場合と同様である
のが望ましい。
【0073】本発明の検出方法においては、展開対象成
分は、吸水性基材上でストリンジェントな条件下に展開
される。従って、展開対象成分は、当該条件に適合する
組成を有する、好ましくは水系の分散液または溶液とし
て吸水性基材上に導入する。「条件に適合する組成」と
は、被検試料中の標的RNAおよび/または標識RNA
プローブとDNAプローブとがハイブリダイズ可能な組
成をいい、用いる核酸のTm値や反応環境の温度等に応
じて適宜選択すればよい。かかる組成や温度の条件につ
いては、前記成書等で詳述されている。
【0074】たとえば、前記被検試料やRNアーゼH等
の分散液や溶液、酵素基質液を、予め作製しておいた上
記組成を有する緩衝液(ハイブリダイゼーションバッフ
ァー)の濃縮液および所望により水で希釈し、所望の組
成に調整した後に吸水性基材上に導入する。また、被検
試料等は当初よりハイブリダイゼーションバッファーの
組成を有するように調製しておいてもよい。なお、対照
試料としては水(たとえば、脱イオン水、蒸留水等)、
ハイブリダイゼーションバッファー等を用いればよい。
【0075】なお、展開は、前記混合物導入後、好まし
くは2〜15分間程度行えばよい。また、該混合物の導
入後、非特異的な核酸の吸着を洗い流す目的で洗浄液を
導入してもよい。当該洗浄液としては前記ハイブリダイ
ゼーションバッファーが好適である。
【0076】本発明に用いられる吸水性基材としては、
水性の液体を吸収可能な性質を有する基材であれば特に
限定されるものではない。本発明においては、展開対象
成分が速やかに展開できるような適度な吸水性を有する
吸水性基材が好ましい。かかる吸水性基材の具体例とし
ては、例えば、不織布、濾紙、ガラス繊維布、ガラスフ
ィルター、ニトロセルロース、多孔質膜等が挙げられ
る。
【0077】吸水性基材の吸水性の程度は、たとえば、
厚さ1mm×幅5mm×長さ100mmの吸水性基材の
片端部を水に1分間浸漬した場合に、水に浸漬された部
分と浸漬されない部分との境界位置からの吸水距離が
0.5〜5cmであるのが好ましい。また、吸水性の程
度は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニ
ルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース等の親水性
重合体を、たとえば、吸水性基材の表面に被覆する、も
しくは吸水性基材に含浸させることにより適宜調整する
こともできる。
【0078】吸水性基材の形状は、前記被検試料等を展
開できる形状であれば特に限定されるものではなく、た
とえば、矩形のシート状(片状)やロッド状等の形状が
好ましい。
【0079】吸水性基材には、前記固定相に加え、滴下
パッド部(展開対象成分を滴下するための部分) 、およ
び/または固定相を挟んで展開対象成分を導入するため
の部分とは反対側に、当該展開対象成分の吸水性基材上
における展開を、その水性液体の吸収力により促進させ
うる手段である吸水パッド部等を設けてもよい。滴下パ
ッド部は、たとえば、ポリエステルやレーヨン製の不織
布等を所望の形状にて吸水性基材上の所望の位置に貼り
合わせることにより適宜作製できる。また、吸水パッド
部に使用する吸水パッドとしては水性液体の吸収性に優
れる材料が好適であり、たとえば、ガラス繊維性不織布
等を使用することができる。
【0080】なお、滴下パッド部は、吸水性基材上で、
前記するような所望の展開移動距離が確保できる位置に
設けられるのが望ましい。
【0081】たとえば、本発明に使用する吸水性基材の
一例として、図1に示す吸水性基材を挙げることができ
る。吸水性基材の大きさは本発明の所望の効果の発現が
得られれば特に限定されるものではないが、たとえば、
3〜10mm×40〜80mm程度の大きさを有する。
【0082】図1に示す吸水性基材は、滴下パッド1、
吸水性基材2、吸水パッド3および固定相4からなる。
滴下パッド1と固定相4との間には、前記好ましい範囲
にある展開移動距離を確保しうる距離が存在する。
【0083】たとえば、当該吸水性基材を用いて本発明
の検出方法を実施する場合、被検試料、DNAプローブ
およびRNアーゼHを適宜混合し、得られた混合物をピ
ペット等を用いて滴下パッド1に滴下する。滴下された
該混合物は、吸水性基材2上で図の右から左へ延びた矢
印の向きに展開され、一定時間後、固定相4に到達す
る。被検試料に標的RNAが含まれる場合は該混合物中
で標的RNAとDNAプローブからなるハイブリッド二
重鎖が形成され、標的RNAはRNアーゼHの作用によ
り分解を受けることになる一方、固定相の標識RNAプ
ローブはかかる作用から保護され、実質的に分解されな
い。従って、固定化された標識の量の減少はない。被検
試料に標的RNAが全く含まれない場合(たとえば、対
照試料を用いた場合)には、DNAプローブは標識RN
Aプローブとハイブリッド二重鎖を形成し、RNアーゼ
Hによる分解作用を受ける。従って、固定化された標識
の量が減少する。なお、標識RNAプローブの分解によ
り、固定相から遊離した標識や分解物等は、展開対象成
分の媒体(たとえば、水)と共に吸水性パッド3まで流
される。
【0084】この時点で、シグナルレポーターが前述の
着色粒子の場合、対照試料と被検試料の各場合でのシグ
ナルレベルの差は容易に確認することができる。対照試
料の場合と比較して被検試料の場合にシグナルレベルが
高く測定される場合、被検試料中に標的RNAが存在す
ると判定する。シグナルレポーターが酵素の場合は、た
とえば、該酵素の作用により発色の得られる発色性基質
を滴下パッド1からさらに展開すれば、固定相4が同様
に呈色し色としてシグナルが検出されるので、同様に判
定することができる。
【0085】なお、本発明の検出方法は、シグナルの検
出レベルの差を目視観察により捉えうる条件で実施する
のが好適であるが、当該差を捉えることが目視観察によ
っては困難である場合、たとえば、シグナルが色であれ
ば、前記クロマトスキャナー等を用いて当該差を捉える
のが好適である。
【0086】さらに本発明の別の態様として、本発明の
検出方法において有用な標的RNAの検出用キットを提
供する。当該キットとしては、前記標識RNAプローブ
を固定化してなる固定相を有する吸水性基材、DNAプ
ローブおよびRNアーゼHを含んでなるものを挙げるこ
とができる。さらに、当該キットには、任意にその他の
構成物、たとえば、被検試料を入手する手段や、酵素基
質液、ハイブリダイゼーションバッファー等の適当な試
薬、本発明の検出方法を実施するための説明書等を含め
てもよい。
【0087】本発明の検出方法によれば、被検試料等を
前記標識RNAプローブを固定化してなる固定相を有す
る吸水性基材上に、たとえば、滴下するだけで、たとえ
ば、食中毒の原因菌による食品の汚染の判定、疾患の病
因または病状の診断、生物の遺伝子型タイピング等を迅
速、簡便に行うことができる。
【0088】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて、さらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定さ
れるものではない。なお、特段の事情がない限り、
「%」は「重量%」を示す。
【0089】製造例1 (1)被検試料(標的RNA)の調製 サルモネラ ティフィムリウム(Salmonella typhimuri
um)(IFO14209)を5mLのニュートリエント ブロス
(Nutrient Broth)(商品名:乾燥ブイヨン「ニッス
イ」、日水製薬社製)に接種し、37℃で一晩培養し
た。この培養液を1.5mL容のエッペンドルフチュー
ブにとり、8000rpmで10分間の遠心分離により
菌体を得た。得られた菌体よりISOGEN(商品名、
ニッポンジーン社製)を用いて全RNAを単離した。当
該RNAをジエチルピロカーボネート(diethylpyrocar
bonate)(DEPC)処理した脱イオン水に溶解し、被
検試料とした(使用時まで−20℃で凍結保存)。な
お、得られた被検試料のRNA濃度は、該試料の一部を
10mM トリス−HCl pH8で希釈して、吸光度
を測定し、得られた値を基に以下の計算式: RNA濃度(μg/μL)=OD260 ×0.04 に従って算出したところ、0.7μg/μLであった。
【0090】(2)DNAプローブ液の調製 DNAプローブとして、サルモネラ属細菌の23SrR
NA(標的RNA)の塩基配列に相補的な塩基配列を有
するDNAプローブを用いた。当該プローブの合成は日
本遺伝子研究所に委託した。得られたプローブはDEP
C処理した脱イオン水中10nmol/mLの濃度に調
整した。DNAプローブの塩基配列を以下に示す: 5'-cttcacctac gtgtcagc-3' (配列番号:1)
【0091】(3)RNアーゼH液の調製 RNアーゼH(宝酒造社製)を緩衝液(40mM トリ
ス−HCl pH7.7、40mM MgCl2 、10
mM DDT、10% グリセロール、0.03% ウ
シ血清アルブミン)で200U/mLに調整した。
【0092】(4)標識RNAプローブの調製 サルモネラ属細菌の23SrRNAの塩基配列に基づい
て作製したRNAプローブの5’末端をDIG標識した
ものを標識RNAプローブとした。プローブの合成およ
び標識化は日本バイオサービス(株)に委託した。RN
Aプローブの塩基配列を以下に示す: 5'-gaaguggaug cacagucgaa aaaaaaaaaa-3' (配列番号:2)
【0093】(5)標的RNA検出用クロマトグラフ型
試験片の作製 標的RNAを検出するためのクロマトグラフ型試験片を
以下に示す方法で作製した。なお、本明細書において
「上流」とは、後述の滴下パッドが配置される、吸水性
基材の末端側を意味する。また、得られた試験片の構成
は図1に示す吸水性基材と同様である。
【0094】前記(4)で得られた標識RNAプローブ
の固定化に使用するDNAプローブ(ポリT)を日本バ
イオサービス(株)に委託して作製した。当該DNAプ
ローブ液(100pmol/μL)1μLを、吸水性基
材バイオダインA(PALL社製、孔径5μm、6×4
0mm)の下流端から17mmの位置にピペットを用い
てドット状にスポットした。風乾の後、120℃で2時
間、加熱処理して、該DNAプローブを固定化した。こ
のメンブレンを前記標識RNAプローブの溶液(100
pmol/mL 標識RNAプローブ、1×SSC、
0.1% SDS)に30分間程度浸漬し、次いで洗浄
液(1×SSC、0.1% SDS)で3回洗浄した。
さらに、メンブレンを前記条件にて再度加熱処理した
後、1% ウシ血清アルブミン(オリエンタル酵母
製)、1% サッカロース(和光純薬工業製)、および
0.1% プライサーフA212E(第一工業製薬社
製)を含んでなる水溶液中に5分間浸漬し、室温で乾燥
させた。
【0095】固定相から上流端側20mmの位置からポ
リエステル製不織布ハイボン4880C(厚さ1mm、
大きさ7×12mm、シンワ製)を貼り合わせて滴下パ
ッドを設置した。
【0096】さらに、固定相から下流端側10mmの位
置から吸水パッドとしてガラス繊維製不織布からなる吸
水材(GF/B、15mm×30mm、厚さ1mm、ワ
ットマン社製)を貼り合わせ、試験片とした。
【0097】実施例1:クロマトグラフ方式による被検
試料中の標的RNAの存在の特異的検出 前記製造例1の(1)で調製した被検試料80μL、同
(2)で調製したDNAプローブ液10μL、および同
(3)で調製したRNアーゼH液10μLを混合し、同
(5)で作製した試験片の滴下パッドにその全量をすば
やく滴下した。さらに10分後、0.01M ホウ酸緩
衝液 pH8.2を100μL滴下した。
【0098】一方、対照試料として0.01M ホウ酸
緩衝液 pH8.2を用い、前記被検試料に代えて同様
の操作を行った。
【0099】各成分展開後、固定相におけるシグナルを
ロシュダイアグノスティックス社のDIG検出システム
の方法に準じて測定した。その結果を表1に示す。な
お、表1における判定基準は以下の通りである。
【0100】〔判定基準〕 +:固定相に発色が見られる −:固定相に発色が見られない
【0101】
【表1】
【0102】表1に示すように、標的RNAが含まれる
被検試料ではシグナルが検出され、標的RNAが含まれ
ない対照試料ではシグナルが検出されなかった。従っ
て、本発明の検出方法によれば、対照試料の場合に比較
して測定されるシグナルのレベルが高くなることを指標
として、被検試料中の標的RNAの存在を検出できるこ
とが分かる。また、かかる存在確認は簡単な操作で短時
間の内に行うことができたことから、本発明は、被検試
料中の標的RNAの迅速かつ簡便な検出方法として有効
であることは明らかである。
【0103】製造例2 (1)被検試料(標的RNA)の調製 被検試料として前記製造例1の(1)で得られたものを
用いた。
【0104】(2)DNAプローブ液の調製 DNAプローブ液として前記製造例1の(2)で得られ
たものを用いた。
【0105】(3)RNアーゼH液の調製 RNアーゼH液として前記製造例1の(3)で得られた
ものを用いた。
【0106】(4)ビオチン結合RNAプローブの調製 サルモネラ属細菌の23SrRNAの塩基配列に基づい
て作製したRNAプローブの5’末端をビオチン標識し
たものをリガンド結合RNAプローブとした。プローブ
の合成および標識化は日本バイオサービス(株)に委託
した。なお、RNAプローブの塩基配列は前記配列番
号:2に示すものと同じである。
【0107】(5)標的RNA検出用クロマトグラフ型
試験片の作製 標的RNAを検出するためのクロマトグラフ型試験片を
以下に示す方法で作製した。なお、本明細書において
「上流」とは、後述の滴下パッドが配置される、吸水性
基材の末端側を意味する。また、得られた試験片の構成
は図1に示す吸水性基材と同様である。
【0108】前記ビオチン結合RNAプローブ(100
pmol/μL)1μLを吸水性基材バイオダインA
(ナイロン製、孔径5μm、6×40mm、PALL社
製)の下流端から17mmの位置にピペットを用いてド
ット状にスポットした。風乾の後、120℃で2時間、
加熱処理して、該RNAプローブを固定化し、固定相を
設けた。このメンブレンを1% ウシ血清アルブミン
(オリエンタル酵母社製)、1% サッカロース(和光
純薬工業社製)、および0.1% プライサーフA21
2E(第一工業製薬社製)を含んでなる水溶液中に5分
間浸漬し、室温で16時間乾燥させた。
【0109】固定相から上流端側20mmの位置からポ
リエステル製不織布ハイボン4880C(厚さ1mm、
大きさ7×12mm、シンワ社製)を貼り合わせて滴下
パッドを設置した。
【0110】さらに、固定相から下流端側10mmの位
置から吸水パッドとしてガラス繊維製不織布からなる吸
水材(GF/B、15mm×30mm、厚さ1mm、ワ
ットマン社製)を貼り合わせ、試験片とした。
【0111】(6)ストレプトアビジン結合着色ラテッ
クス粒子の調製 リガンド結合によりビオチンに結合するストレプトアビ
ジン(以下、SAと略称する)を、シグナルレポーター
としての着色ラテックス粒子に結合し、SA結合着色ラ
テックス粒子を調製した。
【0112】1)着色ラテックス粒子分散液の調製 スチレン50g、アクリル酸0.5g、トリエチレング
リコールメタクリレート0.2g、蒸留水440gから
なる混合液を窒素ガス雰囲気下で75℃に維持し、攪拌
しながら、重合開始剤としての過硫酸カリウム0.25
gを蒸留水10gに溶解した水溶液を加え、10時間重
合を行った。その結果、カルボキシル化された水分散性
粒子としてカルボキシル化ポリスチレンラテックス粒子
(平均粒子径:0.2μm)を得た。得られた粒子を緩
衝液(0.01M ホウ酸緩衝液pH8.2)に固形分
濃度が5%になるように分散した。
【0113】2)SAと着色ラテックス粒子との結合 前記ラテックス粒子の分散液3mLに、水溶性カルボジ
イミド(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド塩酸塩 10mg/mL、0.01
M ホウ酸緩衝液 pH8.2、同仁化学社製)0.6
mL、SA(2mg/mL、0.01M ホウ酸緩衝液
pH8.2、ロシュ・ダイアグノスティックス社製)
1.8mLを加えて4℃で16時間反応させた。次い
で、0.01M ホウ酸緩衝液 pH8.2で調製した
10% リジン塩酸塩を2.1mL添加した。最後に、
洗浄液として0.01M ホウ酸緩衝液 pH8.2を
加えて遠心分離して洗浄を行い、同緩衝液で固形分濃度
2.5%に調整した。
【0114】3)SA結合着色ラテックス粒子液の調製 前記2)で得られたSA結合着色ラテックス粒子の分散
液を0.01M ホウ酸緩衝液 pH8.2で100倍
希釈し、SA結合着色ラテックス粒子液を得た。
【0115】実施例2:クロマトグラフ方式による被検
試料中の標的RNAの存在の特異的検出 前記製造例2の(1)の被検試料80μL、同(2)の
DNAプローブ液10μL、および同(3)のRNアー
ゼH液10μLを混合し、同(5)で作製した試験片の
滴下パッドにその全量をすばやく滴下した。10分後、
0.01M ホウ酸緩衝液 pH8.2を100μL滴
下し、さらに5分後、同(6)で調製したSA結合着色
ラテックス粒子液50μLを滴下した。
【0116】一方、対照試料として0.01M ホウ酸
緩衝液 pH8.2を用い、前記被検試料に代えて同様
の操作を行った。
【0117】各成分展開後、固定相におけるシグナル
(色)を目視観察した。その結果を表2に示す。なお、
表2における判定基準は前記表1の場合と同様である。
【0118】
【表2】
【0119】表2に示すように、標的RNAが含まれる
被検試料ではシグナルが検出され、標的RNAが含まれ
ない対照試料ではシグナルが検出されなかった。従っ
て、前記する本発明の検出方法の別の一態様によって
も、対照試料の場合に比較して測定されるシグナルのレ
ベルが高くなることを指標として、被検試料中の標的R
NAの存在を迅速かつ簡便に検出できることが分かる。
【0120】配列表フリーテキスト 配列番号:1は、サルモネラ属細菌の23SrRNAの
塩基配列に基づいてデザインしたプローブの配列であ
る。
【0121】配列番号:2は、サルモネラ属細菌の23
SrRNAの塩基配列に基づいてデザインしたプローブ
の配列である。
【0122】
【発明の効果】本発明により、従来の標的RNAの検出
方法に比べて非常に操作性に優れた、迅速かつ簡便に被
検試料中の標的RNAの存在を検出することができる標
的RNAの検出方法、ならびに当該検出方法に好適に使
用される標的RNAの検出用キットが提供される。本発
明の検出方法によれば、たとえば、食中毒の原因菌によ
る食品の汚染の判定、疾患の病因または病状の診断、生
物の遺伝子型タイピング等を迅速、簡便に行うことがで
きる。
【0123】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> NITTO DENKO CORPORATION <120> Method of detecting target RNA <130> ND-13-022 <160> 2
【0124】 <210> 1 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed probe based on nucleotide sequence of Salmonella 23SrRNA. <400> 1 cttcacctac gtgtcagc 18
【0125】 <210> 2 <211> 30 <212> RNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed probe based on nucleotide sequence of Salmonella 23SrRNA. <400> 2 gaaguggaug cacagucgaa aaaaaaaaaa 30
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に使用する、標識RNAプロー
ブを固定化してなる固定相を有する吸水性基材の一例を
示す模式図である。
【符号の説明】 1 滴下パッド 2 吸水性基材 3 吸水パッド 4 固定相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12M 1/34 C12M 1/34 Z C12N 15/09 C12N 15/00 A (72)発明者 田中 康進 大阪府茨木市下穂積1−1−2 日東電工 株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA11 CA09 CA11 HA14 4B029 AA07 BB16 BB20 CC03 FA15 4B063 QA01 QQ42 QQ52 QR32 QR35 QR56 QR82 QS34 QS36 QX01 QX02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 標的RNAとの結合性を有するDNAプ
    ローブと、該DNAプローブとの結合性を有する標識R
    NAプローブとを用いる標的RNAの検出方法であっ
    て、(a)被検試料、リボヌレアーゼHおよび該DNA
    プローブを混合する工程、(b)該標識RNAプローブ
    を固定化してなる固定相を有する吸水性基材上に、工程
    (a)で得られた混合物を導入する工程、(c)ストリ
    ンジェントな条件下、吸水性基材上で該混合物を展開す
    る工程、ならびに(d)固定相において標識RNAプロ
    ーブの標識からのシグナルを測定する工程、を含み、標
    的RNAを含まない対照試料の場合と比べて、測定され
    る該シグナルのレベルが高い場合に被検試料中に標的R
    NAが含まれると判定する、標的RNAの検出方法。
  2. 【請求項2】 該標的RNAが細菌由来のリボソームR
    NAである請求項1記載の検出方法。
  3. 【請求項3】 該標識が着色粒子、酵素または蛍光色素
    である請求項1または2記載の検出方法。
  4. 【請求項4】 該標識RNAプローブがRNAプローブ
    のいずれか一方の末端を標識化してなるものである請求
    項1〜3いずれか記載の検出方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のDNAプローブ、リボ
    ヌクレアーゼHおよび吸水性基材を含んでなる標的RN
    Aの検出用キット。
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