JP2003223624A - 非接触icカード、応答方法、及びそのプログラム - Google Patents

非接触icカード、応答方法、及びそのプログラム

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JP2003223624A JP2002329143A JP2002329143A JP2003223624A JP 2003223624 A JP2003223624 A JP 2003223624A JP 2002329143 A JP2002329143 A JP 2002329143A JP 2002329143 A JP2002329143 A JP 2002329143A JP 2003223624 A JP2003223624 A JP 2003223624A
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Futoshi Nakabe
中部  太志
Tadakatsu Masaki
忠勝 正木
Shinji Kawano
眞二 川野
Hideo Ozeki
秀夫 大関
Hiromi Ebara
裕美 江原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 応答の衝突を最小限に抑えた非接触ICカー
ド、応答方法、及びそのプログラムを提供する。 【解決手段】 応答判定手段は、所定のタイミングにお
ける他の非接触ICカードによる応答の有無を判定し、
応答タイミング変更手段は、応答判定手段による判定の
結果に基づいて所定のタイミングを変更する非接触IC
カードを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非接触ICカー
ド、応答方法、及びそのプログラムに関し、詳しくは、
リーダライタより送信されるリクエストに対してタイム
スロットを用いて応答する非接触ICカード、応答方
法、及びそのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電磁誘導方式等を用いてデータの
授受を行なう非接触ICカードと当該非接触ICカード
を認識するリーダライタとの間の通信には、タイムスロ
ット方式が採用されている。これは、複数の非接触IC
カードが同時にリーダライタの通信可能エリア内に存在
し、リーダライタからのポーリングに対して複数の非接
触ICカードが同時に応答した場合、当該応答に用いら
れる各レスポンス信号が衝突して何れの非接触ICカー
ドもリーダライタと正常に通信することができなくなる
ためである。
【0003】上記タイムスロット方式の通信方法を以下
に説明する。
【0004】(1)まずリーダライタは非接触ICカー
ドの存在を確認するために、リクエストとして初期応答
リクエストコマンドを非接触ICカードに送信する。上
記初期応答リクエストコマンドには、非接触ICカード
が行なう初期応答のタイミングの制御に必要な「スロッ
ト数」、又は「スロット数」を計算する為に必要な値が
含まれる。
【0005】(2)上記非接触ICカードは、上記初期
応答リクエストコマンドを受信後、特定時間から設けら
れるタイムスロット(1〜「スロット数」)へ上記初期
応答を返す。応答に用いるタイムスロット、即ちタイミ
ングは、非接触ICカード自身が乱数で決定する。
【0006】(3)上記リーダライタは、複数の非接触
ICカードが同一のタイムスロットを選択した際に起こ
る初期応答の衝突を検出した場合、再度上記初期応答リ
クエストを送信する。
【0007】(4)上記リーダライタは、すべての非接
触ICカードからの初期応答を衝突なしに受信すること
ですべての非接触ICカードの認識をし、当該カードの
識別のためのシーケンスを完了する。
【0008】以上の処理を、図16〜図18を用いてさ
らに詳しく説明する。尚、以下に示すのは、近接型非接
触ICカードの国際規格ISO/IEC14443に適
応した場合の非接触ICカードの処理である。
【0009】ISO/IEC14443は例えば、非接
触テレホンカードなどに適応できる。さらに具体的に、
図16に示すように、公衆電話として機能するリーダラ
イタ1600にテレホンカードとしての機能を有する非
接触ICカード1601、1602を同時に差し込んだ
(近接させた)場合を想定する。
【0010】ISO/IEC14443の非接触ICカ
ードの認識システムにおいては、以下の手順で非接触I
Cカードの認識が行われる。
【0011】まず、公衆電話であるリーダライタ160
0が初期応答リクエスト(リクエスト)を送信する。当
該初期応答リクエストは、図18に示されるフォーマッ
トになっており、初期応答リクエスト1801を構成す
るPARAM1802内の8bitのうち、bit1〜
bit3の3bit1803を用いてタイムスロット数
(N)を非接触ICカードに通知する。尚、APf18
04は、初期要求コマンドを示すヘッダであり、AFI
1805は非接触ICカードの適応クラスを示す。又、
CRC(Cyclic Redundancy Check)1806はAPf
〜PARAMまでのCRCである。
【0012】尚、非接触ICカードは1〜NまでのN個
のスロットで応答するが、今回の説明ではタイムスロッ
ト数(N)を4として説明を行う。即ち、初期応答リク
エストに対して非接触ICカード1601及び1602
は、1〜4までのタイムスロットのうち一つを選択し、
初期応答を行う。
【0013】図17で示す一回目のカード識別処理17
01において、まずリーダライタ1600から初期応答
リクエストR1〔REQB〕(1702)を送信する。
当該初期応答リクエストR1(1702)に対して非接
触ICカード1601及び1602が、乱数としてそれ
ぞれ「1」を生成したときには、タイムスロット1(1
704)内の初期応答〔ATQB〕A21、A31でそ
れぞれ応答する。この場合、上記非接触ICカード16
01、1602共同一のタイミングで初期応答を応答す
るため、リーダライタ1600は、非接触ICカードの
初期応答の衝突を検出する。したがって、再度、識別処
理を再開する。
【0014】二回目の識別処理1707において、リー
ダライタ1600から初期応答リクエストR2(170
3)を送信する。初期応答リクエストに対して非接触I
Cカード1601及び1602が、乱数として「3」、
および「2」を生成したときには、タイムスロット3
(1705)内のパケットA22、およびタイムスロッ
ト2(1706)内のパケットA32で応答する。この
場合、リーダライタ1600は衝突を検出しないため、
すべての非接触ICカードの識別を行うことができ、識
別処理を完了する。以上がISO/IEC14443の
規定に従った、非接触ICカードのカード識別処理であ
る。尚、ISO/IEC14443の規定では、初期応
答リクエストコマンドを受け取ってから、非接触ICカ
ードがタイムスロット1で応答する場合の時間を302
μsecと規定し、また、1つのタイムスロットの期間
(時間)は2266μsecと規定している。つまり、
リーダライタ1600から初期応答リクエストを受信し
て、初期応答を送信するまでのタイミング(μsec)
は、以下の計算式(式1)により与えられる。
【0015】 タイミング(μsec)=302μsec+2266μsec×(選択された スロット番号−1) :(式1) このようなシステムとして、無線式識別装置(特開平9
−6934号公報)も開示されており、またさらに、上
記タイムスロット方式に類似の方法として、スロットマ
ーカ方式もある。
【0016】上記スロットマーカ方式は、リーダライタ
が上記タイムスロット方式における初期応答リクエスト
を送信後、さらに当該リーダライタが各スロット開始の
タイミング毎にスロットの開始を示すスロットマーカコ
マンドを送信する方式である。従って、リーダライタに
指定されたタイムスロットを利用して各ICカードが応
答する事で当該各ICカードを認識する点で、本質的に
タイムスロット方式と同様である。
【0017】
【特許文献1】特開平9−6934号公報
【特許文献2】特開平11−205334号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平9−693
4号公報に記載の無線式識別装置や、上述した国際規格
ISO/IEC14443準拠の非接触ICカードで
は、非接触ICカードが上記リーダライタに対して応答
を行う際に、非接触ICカード自身が乱数を用いてタイ
ムスロットを選択し、そのタイムスロットで指定される
時間間隔の中で応答を行う。このため、例えば複数の非
接触ICカードが生成した乱数が同一の場合には、上記
選択されるタイムスロットが同一となり、上記初期応答
が必ず衝突してしまう。この場合、上記リーダライタ
は、上記初期応答リクエストコマンドを再度送信して非
接触ICカードの認識処理を行う必要があり、結果的に
非接触ICカードの認識が遅延するに至る。
【0019】また、リーダライタが非接触ICカードに
対して指定するタイムスロットの数を増加させることに
より、非接触ICカードが同じタイムスロットを選択す
る確率を下げることも可能である。しかし、タイムスロ
ットを増加させることにより、タイムスロットのすべて
が完了する(終了する)までの時間が増加し、結果とし
てリーダライタによる非接触ICカードの認識までに時
間がかかることになる。
【0020】以上に示した認識までに時間がかかる問題
は、特に電車の改札機等のように、立ち止まることなく
利用者が非接触ICカードをリーダライタに認識させる
必要があるシステムにて顕著に表れる。即ち、非接触I
Cカードの認識が遅れることにより、利用者が立ち止ま
る必要が生じ、結果として当該システムの利用に障害が
生じるのである。
【0021】また、上記非接触ICカードの認識が高速
に行なわれるようになれば、さらに高速な移動体へも適
用可能となるため、非接触ICカードの利用分野におけ
る、認識及び処理のさらなる高速化が望まれている。
【0022】本発明は、初期応答の衝突を最小限に抑え
た非接触ICカード、応答方法、及びそのプログラムを
提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために以下の手段を採用している。即ち、本発明
は、リーダライタより送信されるリクエストに対して所
定のタイミングを用いて応答する非接触ICカードを前
提としている。ここで、応答判定手段は、所定のタイミ
ングにおける他の非接触ICカードによる応答の有無を
判定する。続いて、応答タイミング変更手段は、応答判
定手段による判定の結果に基づいて所定のタイミングを
変更する。
【0024】従って、他の非接触ICカードの初期応答
や初期応答の衝突を判定し、さらに初期応答や初期応答
の衝突があった場合には応答に利用するタイムスロット
を変更することで、初期応答の衝突を最小限に抑えるこ
とが可能となる。
【0025】尚、所定のタイミングは、例えばリーダラ
イタより与えられる1又は複数のタイムスロットとする
ことができる。
【0026】さらに、応答判定手段の利用を決定する利
用決定手段を備える構成もある。
【0027】この構成では、応答の有無の判定の実行を
所定の確率で決定することにより、本発明に係る非接触
ICカード同士の初期応答時にも、応答の衝突を軽減す
ることが可能となる。
【0028】また、さらにリーダライタより与えられる
複数のタイムスロットのうち最終スロットであるか否か
を判定する最終スロット判定手段を備え、応答タイミン
グ変更手段は、上記最終スロット判定手段の判定結果に
基づいて応答に用いる上記タイムスロットを変更する構
成がある。
【0029】この構成では、可能であれば必ずタイムス
ロットの変更を行うことができ、衝突の回避を行う場合
が増加し、衝突の減少を図ることが可能となる。
【0030】一方で、リーダライタより送信されるリク
エストに対して所定のタイミングを用いて応答する非接
触ICカードを前提にし、測定手段がリーダライタから
誘導される起電力を測定し、応答タイミング決定手段
が、測定手段が測定した測定結果に基づいて所定のタイ
ミングを決定する非接触ICカードとしてもよい。
【0031】さらに具体的には、例えば非接触ICカー
ドと上記リーダライタとの距離が一定である場合に、応
答タイミング決定手段が、上記起電力と上記磁界強度と
の関係を示す情報と、測定手段が測定した起電力とに基
づいて所定のタイミングを決定する構成がある。
【0032】この構成では、磁界強度が固定の場合に
は、起電力の測定値、及び上記起電力と上記磁界強度と
の関係を示す情報に基づいて非接触ICカードの状況を
判断し、当該判断に応じて応答タイミングを決定するこ
とで、非接触ICカードの初期応答の衝突を減少させる
事が可能になる。
【0033】またさらに、磁界強度取得手段が、リーダ
ライタが出力する電磁波の磁界強度に関する情報を上記
リクエストより取得する構成がある。
【0034】この構成では、磁界強度が固定ではない場
合であっても、磁界強度取得手段が初期応答リクエスト
に含まれる磁界強度に関する情報を取得する事で、起電
力の測定値、及び上記起電力と上記磁界強度との関係を
示す情報に基づいて非接触ICカードの状況を判断する
ことが可能となり、非接触ICカードの初期応答の衝突
を減少させる事が可能になる。
【0035】またさらに、応答タイミング決定手段が、
起電力変化時の微分値、上記起電力の測定値、及び上記
起電力と上記磁界強度との関係を示す情報に基づいて所
定のタイミングを決定する構成がある。
【0036】この構成では、起電力変化時の微分値、起
電力の測定値、及び上記起電力と上記磁界強度との関係
を示す情報に基づいて非接触ICカードの状況を判断
し、当該判断に応じて応答タイミング(タイムスロッ
ト)を決定するため、磁界強度が固定である必要はな
く、また、磁界強度に関する情報を取得する必要もな
い。
【0037】尚、非接触ICカードはコンピュータを用
いて具体化することができる。この場合、応答判定手
段、応答タイミング変更手段、利用決定手段、最終スロ
ット判定手段、測定手段、応答タイミング決定手段、磁
界強度取得手段は、コンピュータ上でプログラムを動作
させることにより具体化される。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明の実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であ
って、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではな
い。
【0039】(実施の形態1)まず、本発明にかかる実
施の形態1における非接触ICカードについて説明す
る。図1は、実施の形態1における非接触ICカード1
01の機能ブロック図である。また、図2は、上記非接
触ICカード101のハードウェア構成図である。上記
非接触ICカード101は、アンテナ203、送受信回
路202、CPU201、当該非接触ICカードを制御
するためのプログラムが格納されているROM(Read O
nly Memory)204、プログラム実行時に例えばワーク
エリアとして使用されるRAM(Random Access Memor
y)205より構成されている。
【0040】ここで上記非接触ICカード101は、リ
ーダライタ等の通信可能エリアに入ると、上記リーダラ
イタからの電磁波より上記アンテナ203を介して誘導
される電力にて動作する。
【0041】上記非接触ICカード101を機能別に表
した場合、図1に示すようにアンテナ手段107、送受
信手段106、制御手段105、応答判定手段102、
応答タイミング変更手段103、利用決定手段104を
備える。ただし、各手段の処理の詳細については適宜説
明を行う。
【0042】尚、例えば上記応答判定手段102、応答
タイミング変更手段103、利用決定手段104は、図
2に示したROM204にプログラムとして格納され、
必要に応じてCPU201に読み出されて実行される。
【0043】次に、図3、図4を用いて本実施の形態1
に係る非接触ICカードの処理について説明する。ここ
に図3は、非接触ICカード101が実行する処理のフ
ローチャートである。尚、理解に供するため、本実施の
形態1では図16のように2つの非接触ICカード16
01(非接触ICカード101)、1602が、リーダ
ライタ1600と通信を行うものとする。
【0044】まず、非接触ICカード101を構成する
制御手段105はリーダライタから初期要求リクエスト
が送信されてくるのを待機する(図3:S300N
O)。ここで上記リーダライタからの初期要求リクエス
トを、アンテナ手段107及び送受信手段106を介し
て受信した場合、制御手段105は当該初期要求リクエ
ストの中からタイムスロット数を取得する(図3:S3
00YES→S301)。尚、タイムスロット数は、図
16に示されるPARAMのBit1〜Bit3の3b
it1803で指定されており、このbitに指定され
る値の2の乗数がタイムスロット数となる。以下にタイ
ムスロット数の計算式(式2)を示す。
【0045】タイムスロット数(N)=2n : 式2 (nはBit1〜Bit3であらわされる0から4まで
の値) 図4に示すように、通常、タイムスロット401は、所
定の時刻402から2266μsec後の時刻403ま
での時間間隔で構成される。
【0046】次に、上記制御手段105は、1から式2
で示されるタイムスロット数(N)の間の整数を1つ選
択することで応答を行うタイムスロットを決定する(図
3:S302)。
【0047】続いて、上記制御手段105は、上記リー
ダライタに初期応答を送信するタイムスロットの開始時
刻まで待機する(図3:S303NO)。利用決定手段
104は、上記時刻に到達した時点で応答判定手段10
2を使用するか否かを例えば所定の確立で決定する(図
3:S303YES→S304)。但し、上記応答判定
手段102を必ず利用する場合には、上記利用決定手段
104は必要ない。
【0048】ここで、上記応答判定手段102を使用す
る場合、当該応答判定部102は、例えば以下のように
他の非接触ICカードからの初期応答の有無を判定する
(図3:S304YES→S305)。
【0049】ここで、上記応答判定部102を具備しな
い、もしくは使用しない非接触ICカードは、上記所定
の時刻402直後から初期応答であるATQB404を
送信する。尚、上記ATQB404は、例えばSOF
(Start Of Frame)410、ヘッダ(初期応答ヘッダ)
411、PUPI(カード固有ID:Pseudo-Unique PI
CC Identifier)412、APP Data(アプリケ
ーション固有データ)413、Protocol In
f(プロトコル情報)414、CRC(Cyclic Redunda
ncy Check)415、EOF(End Of Frame)416に
より構成される。
【0050】非接触ICカード101は、上記タイムス
ロット401のタイミング内(所定の時刻402から2
266μsec以内)に初期応答(送信時間約1539
μsec)を送信すればよいため、ここでは例えば上記
所定の時刻402から所定の判定期間416経過後にA
TQB405を送信する。尚、上記判定期間416は例
えば217μsecである。
【0051】但し、上記ATQB405を送信するまで
に、他の非接触ICカード(例えば非接触ICカード1
602)の上記SOF410やヘッダ411、又は初期
応答の衝突等を受信した場合、上記応答判定手段102
は、他の非接触ICカードの初期応答有りと判定する
(図3:S305YES→S306)。
【0052】上記応答判定手段102が、他の非接触I
Cカードの初期応答有りと判定すると、続いて応答タイ
ミング変更手段103は、上記タイムスロットが変更可
能であるかどうかを判定する(図3:S306)。尚、
他の非接触ICカードからの初期応答やSOF、ヘッダ
等は、上記リーダライタから初期応答リクエストを受信
するのと同様の手順で受信可能である。
【0053】ここで、上記タイムスロットの変更とは、
例えば上記リーダライタから複数のタイムスロットを取
得した場合であって、上記所定の時刻402が最後のタ
イムスロットではない場合、当該タイムスロットに続く
タイムスロットにて初期応答を行うことを言う。尚、上
記「続くタイムスロット」とは、1つ後のタイムスロッ
トでもよいし、複数個後のタイムスロットでもよい。変
更可能ではない場合とは、例えばリーダライタから与え
られたタイムスロットが1の場合や、現在初期応答に利
用しているタイムスロットが、リーダライタから与えら
れた最後のタイムスロットである最終スロットの場合等
である。
【0054】上記応答タイミング変更手段103がタイ
ムスロットを変更可能であると判断した場合には、さら
に応答するタイムスロットの変更を行い、制御手段10
5は再度応答するタイムスロットか否かの判定を行う
(図3:S306YES→S307→S303)。
【0055】上記応答判定手段102の使用をしない場
合(図3:S304NO)、他の非接触ICカードの初
期応答がない場合(図3:S305NO)、スロットの
変更が不可能である場合(図3:S306NO)には、
上記制御手段105は、初期応答を上記リーダライタに
対して送信する(図3:S308)。
【0056】以上のように、他の非接触ICカードの初
期応答や初期応答の衝突を判定し、さらに初期応答や初
期応答の衝突があった場合には応答に利用するタイムス
ロットを変更することで、初期応答の衝突を最小限に抑
えた非接触ICカードを提供することが可能になる。
【0057】続いて、上記処理による衝突の軽減につい
て具体的に図を用いて説明する。
【0058】図5に示すのは、従来の非接触ICカード
502、502がリーダライタに初期応答を行う場合の
衝突の確率を図示したものである。尚、×は衝突を示
し、○は衝突しないことを示す。
【0059】ここで、理解に供するため、リーダライタ
より与えられるタイムスロット数を2としている。すな
わち、非接触ICカード501や、非接触ICカード5
02は、Slot1とSlot2の2つを選択可能であ
る。
【0060】まず、非接触ICカード501、502
は、それぞれSlot1とSlot2の2つのスロット
が選択可能であるので、2×2=4通りの選択状態があ
る。図5では、各々の状態を矩形で示し、各矩形に
(1)から(4)までの番号をつけ、各番号の衝突の有
無を以下に示す。
【0061】(1):非接触ICカード501がSlo
t1を選択し、非接触ICカード502がSlot1を
選択。したがって、衝突が発生する。
【0062】(2):非接触ICカード501がSlo
t2を選択し、非接触ICカード502がSlot1を
選択。したがって、衝突は発生しない。
【0063】(3):非接触ICカード501がSlo
t1を選択し、非接触ICカード502がSlot2を
選択。したがって、衝突は発生しない。
【0064】(4):非接触ICカード501がSlo
t2を選択し、非接触ICカード502がSlot2を
選択。したがって、衝突が発生する。
【0065】以上から、衝突が発生する確率は、 2/4=50% : 式3 と計算される。
【0066】図6は、本発明に係る非接触ICカード6
01、602を用いた場合で、ここでも、リーダライタ
から与えられるタイムスロット数を2としている。即
ち、非接触ICカード601や、非接触ICカード60
2は、Slot1とSlot2の2つを選択可能であ
る。
【0067】また、上記利用決定手段104が他の非接
触ICカードの初期応答を判定するか否かの確率を1/
2、すなわち、判定する場合と判定しない場合がそれぞ
れ半分づつと仮定する。
【0068】この場合、非接触ICカード601と非接
触ICカード602は、各タイムスロットで衝突判定を
する場合と判定をしない場合の2通りあるので4×4=
16通りの状態がある。
【0069】各々の状態を図6では矩形で示し、各矩形
に(1)から(16)までの番号をつけ、各番号の衝突
の有無を以下に示す。
【0070】(1):非接触ICカード601は、Sl
ot1を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期
応答を行っているかを判定している状態で、非接触IC
カード602も非接触ICカード601と同様に、Sl
ot1を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期
応答を行っているかを判定している状態である。互いに
初期応答を行っていない状態のため、非接触ICカード
601、および、非接触ICカード602はSlot1
へ初期応答を応答し、衝突が発生する。
【0071】(2):非接触ICカード601は、Sl
ot1を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期
応答を行っているかを判定せず、Slot1に初期応答
を行う状態であり、非接触ICカード602は、Slo
t1を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期応
答を行っているかを判定している状態である。非接触I
Cカード602は、非接触ICカード601がSlot
1に初期応答を行っていることを認識してSlot2へ
初期応答を行い、初期応答の衝突回避を行うため衝突は
発生しない。
【0072】(3):非接触ICカード601がSlo
t2を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期応
答を行っているかを判定する状態で、非接触ICカード
602がSlot1を選択し、なおかつ他の非接触IC
カードが初期応答を行っているかを判定する状態であ
る。非接触ICカード601、602は各タイムスロッ
トを監視したが、他の非接触ICカードによる初期応答
が行われていないため、各々選択したスロットに初期応
答を応答する。したがって、衝突は発生しない。
【0073】(4):非接触ICカード601は、Sl
ot2を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期
応答を行っているかを判定しないので、Slot2へ送
信を行う状態である。また、非接触ICカード602
は、Slot1を選択し、なおかつ他の非接触ICカー
ドが初期応答を行っているかを判定している状態であ
る。非接触ICカード602は、Slot1を監視した
が、他の非接触ICカードによる初期応答が行われてい
ないため、Slot1へ初期応答を応答し、非接触IC
カード601は、スロット2へ送信を行う。したがっ
て、衝突は発生しない。
【0074】(5):非接触ICカード601は、Sl
ot1を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期
応答を行っているかを判定している状態である。非接触
ICカード602は、Slot1を選択し、なおかつ他
の非接触ICカードが初期応答を行っているかを判定せ
ず、Slot1に初期応答を行う。この場合、非接触I
Cカード601は、非接触ICカード602がSlot
1に初期応答を行っていることを認識し、Slot2へ
初期応答を行うため衝突は発生しない。
【0075】(6):非接触ICカード601は、Sl
ot1を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期
応答を行っているかを判定しない状態で、非接触ICカ
ード602も非接触ICカード601と同様に、Slo
t1を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期応
答を行っているかを判定しない状態である。互いにスロ
ット1に対して初期応答を行うため、衝突が発生する。
【0076】(7):(3)や(4)と同様に異なるタ
イムスロットを選択しているため衝突は発生しない。
【0077】(8):(3)や(4)と同様に異なるタ
イムスロットを選択しているため衝突は発生しない。
【0078】(9):(3)や(4)と同様に異なるタ
イムスロットを選択しているため衝突は発生しない。
【0079】(10):(3)や(4)と同様に異なる
タイムスロットを選択しているため衝突は発生しない。
【0080】(11):非接触ICカード601は、S
lot2を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初
期応答を行っているかを判定している状態であるが、S
lotの変更はできないため、Slot2へ送信を行う
状態。非接触ICカード602も同様に、Slot2を
選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期応答を行
っているかを判定する状態であるが、Slotは変更で
きないため、Slot2へ送信を行う状態。したがっ
て、衝突が発生する。
【0081】(12):(11)と同様にSlot2に
しか送信できないため衝突が発生する。
【0082】(13):(3)や(4)と同様に異なる
タイムスロットを選択しているため衝突は発生しない。
【0083】(14):(3)や(4)と同様に異なる
タイムスロットを選択しているため衝突は発生しない。
【0084】(15):(11)と同様にSlot2に
しか送信できないため衝突が発生する。
【0085】(16):(11)と同様にSlot2に
しか送信できないため衝突が発生する。
【0086】以上から、衝突が発生する確率は、 6/16≒37.5% :式4 と計算される。
【0087】以上のように、式3及び式4より衝突が発
生する確率は、式4が小さくなっている。従って、本発
明に係る非接触ICカード同士の環境において、衝突確
率が減少する。
【0088】次に、図7は、本発明に係る非接触ICカ
ード701と従来の非接触ICカード702を用いた場
合で、ここでは、リーダライタから与えられるタイムス
ロット数を2としている。すなわち、非接触ICカード
701や、非接触ICカード702は、Slot1とS
lot2の2つを選択可能である。
【0089】また、利用決定手段が他の非接触ICカー
ドの初期応答を判定するか否かの確率を1/2、すなわ
ち、判定する場合と判定しない場合はそれぞれ半分づつ
と仮定する。
【0090】この場合、非接触ICカード701は、各
タイムスロットで衝突判定をする場合と判定をしない場
合の2通りあるので、4×2=8通りの状態がある。
【0091】上記各々の状態を図7にて矩形で示し、各
矩形に(1)から(8)までの番号をつけ、各番号の衝
突の有無を以下に示す。
【0092】(1):非接触ICカード701は、Sl
ot1を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期
応答を行っているかを判定している状態で、非接触IC
カード702は、Slot1へ初期応答を行う状態であ
る。非接触ICカード701は、非接触ICカード70
2の初期応答を認識するため、非接触ICカード701
は、Slot2を用いて初期応答を行う。したがって、
衝突の回避が行われるため、衝突は発生しない。
【0093】(2):非接触ICカード701は、Sl
ot1を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期
応答を行っているかを判定しない状態であるため、Sl
ot1へ初期応答を行う状態である。非接触ICカード
702は、Slot1へ初期応答を行う状態である。両
非接触ICカードはSlot1を用いて初期応答を行う
ため、衝突が発生する。
【0094】(3):非接触ICカード701は、Sl
ot2を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期
応答を行っているかを判定している状態であるが、Sl
ot1へは送信できないため、Slot2へ送信を行う
状態である。非接触ICカード702は、Slot1へ
初期応答を行う状態である。したがって、衝突は発生し
ない。
【0095】(4):(3)と同様に異なるタイムスロ
ットに送信するため、衝突は発生しない。
【0096】(5):(3)と同様に異なるタイムスロ
ットに送信するため、衝突は発生しない。
【0097】(6):(3)と同様に異なるタイムスロ
ットに送信するため、衝突は発生しない。
【0098】(7):非接触ICカード701は、Sl
ot2を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期
応答を行っているかを判定する状態であるが、Slot
1へは送信できないため、Slot2へ送信を行う状態
である。非接触ICカード702は、Slot2へ初期
応答を行う状態である。したがって、衝突が発生する。
【0099】(8):非接触ICカード701は、Sl
ot2を選択し、なおかつ他の非接触ICカードが初期
応答を行っているかを判定しない状態であるため、Sl
ot2へ送信を行う状態である。非接触ICカード70
2は、Slot2へ初期応答を行う状態である。したが
って、衝突が発生する。
【0100】以上から、衝突が発生する確率は、 3/8≒37.5% :式5 と計算される。
【0101】上記式3及び式5より衝突が発生する確率
は、式5が小さくなる。したがって、本発明に係る非接
触ICカードと従来の非接触ICカードが混在する環境
においても、衝突確率が減少することがわかる。
【0102】尚、例えば本発明に係る非接触ICカード
701が利用決定手段104を備えない場合、即ちすべ
ての場合に対して他の非接触ICカードの初期応答の有
無を判定する場合を考える。この場合、図7に示すよう
に、本発明に係る非接触ICカードと従来の非接触IC
カードが混在する環境において衝突が発生する確率は、
1/4=25% と計算される。
【0103】即ち、本発明に係る非接触ICカードと従
来の非接触ICカードが混在する環境においては、上記
利用決定手段104が無い、又は機能しない場合(図7
の★マークに該当)の方が衝突の発生を減らすことが可
能である。
【0104】続いて、上記ではリーダライタから与えら
えるタイムスロット数を2としたが、更にタイムスロッ
ト数が4の場合を以下に検証する。
【0105】図8、図9、図10は、それぞれ、図5、
図6、図7で説明を行ったタイムスロット数を2から4
に変更した場合の図であり、他の条件は同一である。
【0106】図8より、従来例の非接触ICカード80
1、802を用いて、スロット数を4にした場合の衝突
確立は、 4/16=25% :式6 と計算される。
【0107】図9より、本発明に係る非接触ICカード
901、902を用いた場合において、タイムスロット
数を4とした場合の衝突確率は、 10/64≒15.6% :式7 と計算される。
【0108】上記式6及び式7より衝突が発生する確率
は、式7が小さくなる。したがって、本発明に係る非接
触ICカード同士の環境において衝突確率が減少する。
【0109】図10より、本発明に係る非接触ICカー
ド1001と従来例の非接触ICカード1002を用い
て、タイムスロット数を4とした場合の衝突確率は、 5/32≒15.6% :式8 と計算される。
【0110】上記式6及び式8より衝突が発生する確率
は、式8が小さくなる。したがって、本発明に係る非接
触ICカードと従来の非接触ICカードの環境において
も、衝突確率が減少する。
【0111】尚、例えば本発明に係る非接触ICカード
1001が利用決定手段104を備えない場合、即ちす
べての場合に対して他の非接触ICカードの初期応答の
有無を判定する場合を考える。この場合、図10に示す
ように、本発明に係る非接触ICカードと従来の非接触
ICカードが混在する環境において衝突が発生する確率
は、1/16≒6.3% と計算される。
【0112】即ち、本発明に係る非接触ICカードと従
来の非接触ICカードが混在する環境においては、上記
利用決定手段104が無い、又は機能しない場合(図1
0の★マークに該当)の方が衝突の発生を減らすことが
可能である。
【0113】以上のように、他の非接触ICカードによ
る応答の有無を判定し、当該判定の結果に応じて応答の
タイムスロットを変更することで非接触ICカードが初
期応答を行う際の初期応答の衝突を低減することができ
る。また、上記応答の有無の判定の実行を所定の確率で
決定することにより、本発明に係る非接触ICカード同
士の初期応答時にも、応答の衝突を軽減することが可能
となる。
【0114】尚、他の非接触ICカードによる応答の有
無を判定しない場合には、最終のタイムスロットを乱数
で選択した場合であっても当該タイムスロットを変更し
ないようにしてもよい。
【0115】他の非接触ICカードによる応答の有無を
判定しない場合には、タイムスロットを変更することが
ないため、結果として選択可能なタイムスロットの数の
減少を防止することができる。
【0116】(実施の形態2)図11は、実施の形態2
に係る非接触ICカード1100の機能ブロック図であ
り、図12は、非接触ICカード1100が実行する処
理のフローチャートである。
【0117】尚、本実施の形態2における非接触ICカ
ードは、上記実施の形態1における非接触ICカードと
ほぼ同様の構成を有するため、異なる点のみ説明を行
う。
【0118】上記実施の形態1に係る非接触ICカード
101では、初期応答スロットとして、最終スロットを
選択した場合には、最終スロットで初期応答や当該初期
応答の衝突を検知できても、タイムスロットの変更がで
きないため必ず衝突が発生してしまうという問題があ
る。この問題を解決するために実施の形態2に示す技術
を適用する。尚、ここで言う最終スロットとは、リーダ
ライタより与えられた複数個のタイムスロットのうち、
応答可能な最後のタイムスロットを指し、例えば図10
におけるSlot4がこれに該当する。
【0119】まず、非接触ICカード1100はリーダ
ライタから初期要求リクエストが送信されてくるのを待
機し、初期応答リクエストを受信すると応答すべきタイ
ムスロットを選択するのは上記実施の形態1と同様であ
る(図11:S300〜S302)。
【0120】ここで、実施の形態2では、上記非接触I
Cカード1100を構成する最終スロット判定手段11
01は、まず上記リーダライタから与えられたタイムス
ロット数が“1”であるか否かを判定する(図12:S
1201)。
【0121】ここでリーダライタから与えられたタイム
スロット数が“1”で無い場合、さらに上記選択した応
答すべきタイムスロットが最終スロットであるか否かを
判定する(図12:S1201NO→S1202)。
【0122】ここで、上記選択した応答すべきタイムス
ロットが最終スロットである場合、再度応答すべきタイ
ムスロットの選択よりやり直す(図12:S1202Y
ES→S302)。
【0123】尚、リーダライタから与えられるスロット
数が1の場合(図12:S1201YES)や、応答す
べきタイムスロットが最終スロットではない場合(図1
2:S1201NO)には、応答するタイムスロット
(タイミング)が来るまで待機し、以後実施の形態1と
同様に初期応答の送信までの処理を行う(図12:S3
03→S308)。
【0124】以上のように、最終スロット判定手段を設
けることで、必要であれば必ずタイムスロットの変更を
行うことが可能となり、衝突の回避を行う場合が増加
し、衝突の減少を図ることが可能となる。
【0125】尚、上記最終スロット判定手段は、図12
に示した処理1200にて最終スロットの選択を回避し
ているが、例えばリーダライタから与えられたスロット
数から1を引いた値で示されるタイムスロットより、応
答するタイムスロットを選択するといった処理でもよ
い。
【0126】(実施の形態3)次に、実施の形態3に係
る非接触ICカードについて説明する。本実施の形態3
における非接触ICカード1301は、図13に示すよ
うに、制御手段105、送受信手段106、アンテナ手
段107に加えて測定手段1302、応答タイミング決
定手段1303を備える。ここで、上記制御手段10
5、送受信手段106、アンテナ手段107について
は、上記実施の形態1、2にて説明したのと同様であ
り、上記測定手段1302、応答タイミング決定手段1
303の処理については適宜説明する。尚、非接触IC
カードにおける起電力と磁界強度の関係を示したのが図
14である。
【0127】まず、図14について説明を行う。非接触
ICカードは、リーダライタが発する電磁波により構成
される磁界内に進入することにより、起電力を得る事が
出来る。上記磁界内で得られる起電力は、磁界強度によ
り異なるのは知られているがさらに、非接触ICカード
の枚数によっても起電力は異なるのである。つまり、非
接触ICカードを複数所有する場合、当該非接触ICカ
ードを財布内等に重ねて入れるのが通常である。このよ
うな場合には、上記財布に非接触ICカードを入れたま
ま例えば上記磁界内に進入すると、リーダライタに近い
非接触ICカード(内側)はグラフ1402に示すよう
に、リーダライタから遠い非接触ICカード(外側)の
グラフ1403よりも起電力(電圧)が高くなる。これ
は、上記非接触ICカード(内側)にて電磁波がある程
度吸収されるためであると予想される。これは非接触I
Cカードを2枚重ねている場合の起電力であるが、非接
触ICカードが1枚の場合には、上記非接触ICカード
(内側)よりもより高い起電力を得られることがグラフ
1401より読み取れる。
【0128】本実施の形態3では、この特性を利用して
タイムスロットを決定しようとするものである。
【0129】まず、非接触ICカード1301が磁界内
に進入し、起電力が発生した場合、測定手段1302は
適宜、当該起電力を測定し、起電力の値を上記応答タイ
ミング決定手段1303に送信する。
【0130】上記測定結果を受信した上記応答タイミン
グ決定手段1303は、所定のタイミング1404(電
圧が所定の値になった際)にて、当該電圧の微分値を算
出する。これにより、上記所定のタイミング1404に
おける電圧とその微分値を得る事ができる。
【0131】次に、上記応答タイミング決定手段130
3は、上記タイミング1404において実際に得られた
電圧の微分値と、予め保持している起電力と磁界強度と
の関係から得られる電圧の微分値とを比較する。尚、予
め保持している起電力と磁界強度との関係を示す情報
は、図14に示すグラフで表現可能である。上記タイミ
ング1404における各非接触ICカードの電圧の微分
値は、上記グラフ1401、1402、1403におけ
るポイント1405、1406、1407の傾きを意味
する。
【0132】上記比較により、上記応答タイミング決定
手段1303が算出した微分値は、上記ポイント140
5、1406、1407の何れかの傾きと一致、又は近
い値を示すため、非接触ICカード1301が置かれて
いる状況をある程度判断できる事になる。つまり、例え
ば上記比較により、タイミング1404に対応する微分
値がポイント1406の値と一致する場合、該当する非
接触ICカード1301が2枚のカードの内側であると
判断することが可能となる。
【0133】続いて、該当する非接触ICカード130
1が置かれている状況を判断した後、応答タイミング決
定手段1303は、初期応答リクエストにて与えられた
タイムスロットから、応答に用いるタイムスロットを決
定するのである。
【0134】上記タイムスロットの決定方法はどのよう
であってもよいが、例えば以下のような決定が行われ
る。
【0135】即ち、非接触ICカードが1枚と判断され
た場合(グラフ1401)、上記応答タイミング決定手
段1303は、通常通りランダムにタイムスロットを選
択し或いは1番目のタイムスロットを選択する。
【0136】非接触ICカードが2枚と判断された場合
でさらに内側と判断された場合(グラフ1402)、上
記応答タイミング決定手段1303は例えば1番目のタ
イムスロットを選択する。この場合、2枚と判断された
場合でさらに外側と判断された非接触ICカード(グラ
フ1403)の上記応答タイミング決定手段1303
は、2番目のタイムスロットを選択するのである。
【0137】以上のように、起電力変化時の微分値、起
電力の測定値、及び上記起電力と上記磁界強度との関係
を示す情報に基づいて非接触ICカードの状況を判断
し、当該判断に応じて応答タイミング(タイムスロッ
ト)を決定することで、非接触ICカードの初期応答の
衝突を減少させる事が可能になる。
【0138】ところで、上述したのは、応答タイミング
決定手段1303が微分値を算出する方法であったが、
以下のようにして非接触ICカードの状況を判断しても
よい。
【0139】即ち、リーダライタが上記非接触ICカー
ドと通信する距離が予め決められているシステムがあ
る。例えば複数枚の非接触ICカードをリーダーに指し
込み、リード位置に固定した後に当該非接触ICカード
と通信するシステム等が該当する。
【0140】このようなシステムでは、非接触ICカー
ドが通信を行う際の磁界強度は一定値となるはずであ
る。上記リード位置の磁界強度が例えば図15に示すポ
イント1501であるとすると、上記非接触ICカード
が初期応答リクエストを受信した際の電圧は、当該非接
触ICカードの状況に応じて例えばA1502(V)、
B1503(V)、C1504(V)となるはずであ
る。尚、上記A1502は非接触ICカードが1枚の場
合、B1503は非接触ICカードが2枚の内側の場
合、C1504は非接触ICカードが2枚の外側の場合
である。
【0141】つまり、初期応答リクエストを受信した際
に上記測定手段1302が測定した起電力の測定値と、
上記起電力と上記磁界強度との関係を示す情報(図1
5)とに基づいて、上記応答タイミング決定手段130
3は、上記非接触ICカードの状況を判断可能である。
【0142】以後、応答タイミング決定手段1303
は、初期応答リクエストにて与えられたタイムスロット
から、応答に用いるタイムスロットを決定するのは上述
した通りである。
【0143】以上のように、磁界強度が固定の場合に
は、起電力の測定値、及び上記起電力と上記磁界強度と
の関係を示す情報に基づいて非接触ICカードの状況を
判断し、当該判断に応じて応答タイミング(タイムスロ
ット)を決定することで、非接触ICカードの初期応答
の衝突を減少させる事が可能になる。
【0144】また更に、以下のようにして非接触ICカ
ードの状況を判断してもよい。
【0145】リーダライタが発生する磁界強度の規格
は、例えば一般的な実装規約では磁界強度にある程度幅
を持たせて定義されている。このような場合には、リー
ダライタによってリード位置における磁界強度が異なる
ため、上記方法が利用できない事になる。このような場
合には、リーダライタが送信する初期応答リクエスト
に、当該リーダライタが発生している磁界強度の情報を
含めて送信するとよい。
【0146】上記磁界強度の情報を含む初期応答リクエ
ストを受信すると、上記非接触ICカード1301を構
成する磁界強度取得手段1304は、当該初期応答リク
エストより磁界強度の情報を取得し、上記応答タイミン
グ決定手段1303に送信する。例えば上記磁界強度の
情報が例えばポイント1505にて示される値であった
場合、A‘1506(V)、B’1507(V)、C
‘1508(V)が起電力と磁界強度との関係を示す情
報から得られる値である。当該値と、測定手段1302
が測定した起電力とを比較する事により、上記応答タイ
ミング決定手段1303は、上記非接触ICカードの状
況を判断可能である。
【0147】以後、応答タイミング決定手段1303
は、初期応答リクエストにて与えられたタイムスロット
から、応答に用いるタイムスロットを決定するのは上述
した通りである。
【0148】以上のように、本発明に係る非接触ICカ
ードは、磁界強度が固定ではない場合であっても、磁界
強度取得手段が初期応答リクエストに含まれる磁界強度
に関する情報を取得する事で、起電力の測定値、及び上
記起電力と上記磁界強度との関係を示す情報に基づいて
非接触ICカードの状況を判断することが可能となり、
非接触ICカードの初期応答の衝突を減少させる事が可
能になる。
【0149】尚、本実施の形態における図14、図15
には、非接触ICカードが1枚の場合と2枚の場合につ
いてのグラフのみ示したが、非接触ICカードが3枚以
上の場合においても、それぞれ独立したグラフを得る事
が可能である。従って同様の処理にて非接触ICカード
の状況を判断可能である事はいうまでもない。
【0150】
【発明の効果】以上のように、他の非接触ICカードの
初期応答や初期応答の衝突を判定し、さらに初期応答や
初期応答の衝突があった場合には応答に利用するタイム
スロットを変更することで、初期応答の衝突を最小限に
抑えることが可能となる。
【0151】また、応答の有無の判定の実行を所定の確
率で決定することにより、本発明に係る非接触ICカー
ド同士の初期応答時にも、応答の衝突を軽減することが
可能となる。
【0152】さらに、最終スロット判定手段を設けるこ
とで、可能であれば必ずタイムスロットの変更を行うこ
とが可能となり、衝突の回避を行う場合が増加し、衝突
の減少を図ることが可能となる。
【0153】また、起電力変化時の微分値、起電力の測
定値、及び上記起電力と上記磁界強度との関係を示す情
報に基づいて非接触ICカードの状況を判断し、当該判
断に応じて応答タイミング(タイムスロット)を決定す
ることで、非接触ICカードの初期応答の衝突を減少さ
せる事が可能になる。
【0154】さらに、磁界強度が固定の場合には、起電
力の測定値、及び上記起電力と上記磁界強度との関係を
示す情報に基づいて非接触ICカードの状況を判断し、
当該判断に応じて応答タイミングを決定することで、非
接触ICカードの初期応答の衝突を減少させる事が可能
になる。
【0155】また、磁界強度が固定ではない場合であっ
ても、磁界強度取得手段が初期応答リクエストに含まれ
る磁界強度に関する情報を取得する事で、起電力の測定
値、及び上記起電力と上記磁界強度との関係を示す情報
に基づいて非接触ICカードの状況を判断することが可
能となり、非接触ICカードの初期応答の衝突を減少さ
せる事が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1における非接触ICカードの機能
ブロック図
【図2】実施の形態1における非接触ICカードのハー
ドウェア構成図
【図3】実施の形態1における非接触ICカードが実行
する処理のフローチャート
【図4】タイムスロット及び初期応答のフォーマットを
示す図
【図5】従来の非接触ICカード同士が初期応答を行う
場合の衝突の確率を示す第1図
【図6】本発明に係る非接触ICカード同士が初期応答
を行う場合の衝突の確率を示す第1図
【図7】従来の非接触ICカード及び本発明に係る非接
触ICカードが初期応答を行う場合の衝突の確率を示す
第1図
【図8】従来の非接触ICカード同士が初期応答を行う
場合の衝突の確率を示す第2図
【図9】本発明に係る非接触ICカード同士が初期応答
を行う場合の衝突の確率を示す第2図
【図10】従来の非接触ICカード及び本発明に係る非
接触ICカードが初期応答を行う場合の衝突の確率を示
す第2図
【図11】実施の形態2における非接触ICカードの機
能ブロック図
【図12】実施の形態2における非接触ICカードが実
行する処理のフローチャート
【図13】実施の形態3における非接触ICカードの機
能ブロック図
【図14】非接触ICカードにおける起電力と磁界強度
の関係を示す第1の図
【図15】非接触ICカードにおける起電力と磁界強度
の関係を示す第2の図
【図16】リーダライタ及び非接触ICカードの通信状
態を示すイメージ図
【図17】タイムスロット方式を示すイメージ図
【図18】初期応答リクエストパケットのフォーマット
を示す図
【符号の説明】
101 非接触ICカード 102 応答判定手段 103 応答タイミング変更手段 104 利用決定手段 105 制御手段 106 送受信手段 107 アンテナ手段
フロントページの続き (72)発明者 川野 眞二 東広島市鏡山3丁目10番18号 株式会社松 下電器情報システム広島研究所内 (72)発明者 大関 秀夫 東広島市鏡山3丁目10番18号 株式会社松 下電器情報システム広島研究所内 (72)発明者 江原 裕美 東広島市鏡山3丁目10番18号 株式会社松 下電器情報システム広島研究所内 Fターム(参考) 2C005 MA20 MB10 NA08 SA26 5B035 BB09 CA11 CA23 5B058 CA15 CA23

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リーダライタより送信されるリクエスト
    に対して所定のタイミングを用いて応答する非接触IC
    カードにおいて、 上記所定のタイミングにおける他の非接触ICカードに
    よる応答の有無を判定する応答判定手段と、 上記応答判定手段による判定の結果に基づいて上記所定
    のタイミングを変更する応答タイミング変更手段と、 を具備することを特徴とする非接触ICカード。
  2. 【請求項2】 さらに上記応答判定手段を利用するか否
    かを決定する利用決定手段を具備する請求項1に記載の
    非接触ICカード。
  3. 【請求項3】 上記利用決定手段は、上記応答判定手段
    を利用するか否かをランダムに決定する請求項2に記載
    の非接触ICード。
  4. 【請求項4】 上記所定のタイミングは、上記リーダラ
    イタより与えられる1又は複数のタイムスロットより選
    択される請求項1に記載の非接触ICカード。
  5. 【請求項5】 さらに上記リーダライタより与えられる
    複数のタイムスロットのうち最終スロットであるか否か
    を判定する最終スロット判定手段を備え、 上記応答タイミング変更手段は、上記最終スロット判定
    手段の判定結果に基づいて応答に用いる上記タイムスロ
    ットを変更する請求項4に記載の非接触ICカード。
  6. 【請求項6】 リーダライタより送信されるリクエスト
    に対して所定のタイミングを用いて応答する非接触IC
    カードの応答方法において、 上記所定のタイミングにおける他の応答の有無を判定す
    る応答判定ステップと、 上記応答判定ステップにおける判定の結果に基づいて上
    記所定のタイミングを変更する応答タイミング変更ステ
    ップと、 を具備することを特徴とする応答方法。
  7. 【請求項7】 さらに上記応答判定ステップの実行を決
    定する利用決定ステップを具備する請求項6に記載の応
    答方法。
  8. 【請求項8】 リーダライタより送信されるリクエスト
    に対して所定のタイミングを用いて応答する非接触IC
    カードに、 上記所定のタイミングにおける他の応答の有無を判定す
    る応答判定ステップと、 上記応答判定ステップにおける判定の結果に基づいて上
    記所定のタイミングを変更する応答タイミング変更ステ
    ップと、 を実行させるプログラム。
  9. 【請求項9】 リーダライタより送信されるリクエスト
    に対して所定のタイミングを用いて応答する非接触IC
    カードに、 上記所定のタイミングにおける他の応答の有無を判定す
    る応答判定ステップと、 上記応答判定ステップにおける判定の結果に基づいて上
    記所定のタイミングを変更する応答タイミング変更ステ
    ップと、 を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取
    り可能記録媒体。
  10. 【請求項10】 リーダライタより送信されるリクエス
    トに対して所定のタイミングを用いて応答する非接触I
    Cカードにおいて、 上記リーダライタから誘導される起電力を測定する測定
    手段と、 上記測定手段が測定した起電力に基づいて上記所定のタ
    イミングを決定する応答タイミング決定手段と、 を具備することを特徴とする非接触ICカード。
  11. 【請求項11】 非接触ICカードと上記リーダライタ
    との距離が一定であるに際して、 上記応答タイミング決定手段は、予め記憶された起電力
    と磁界強度との関係を示す情報と、上記測定手段が測定
    した起電力とに基づいて上記所定のタイミングを決定す
    る請求項10に記載の非接触ICカード。
  12. 【請求項12】 さらに、上記リーダライタが出力する
    電磁波の磁界強度に関する情報を上記リクエストより取
    得する磁界強度取得手段を備える請求項11に記載の非
    接触ICカード。
  13. 【請求項13】 上記応答タイミング決定手段は、 上記起電力変化時の微分値と、予め記憶された起電力と
    磁界強度との関係を示す情報とに基づいて上記所定のタ
    イミングを決定する請求項10に記載の非接触ICカー
    ド。
  14. 【請求項14】 リーダライタより送信されるリクエス
    トに対して所定のタイミングを用いて応答する非接触I
    Cカードの応答方法おいて、 上記リーダライタから誘導される起電力を測定する測定
    ステップと、 上記測定ステップにて測定した測定結果に基づいて上記
    所定のタイミングを決定する応答タイミング決定ステッ
    プと、 を具備することを特徴とする応答方法。
  15. 【請求項15】 リーダライタより送信されるリクエス
    トに対して所定のタイミングを用いて応答する非接触I
    Cカードに、 上記リーダライタから誘導される起電力を測定する測定
    ステップと、 上記測定ステップにて測定した測定結果に基づいて上記
    所定のタイミングを決定する応答タイミング決定ステッ
    プと、 を実行させるプログラム。
  16. 【請求項16】 リーダライタより送信されるリクエス
    トに対して所定のタイミングを用いて応答する非接触I
    Cカードに、 上記リーダライタから誘導される起電力を測定する測定
    ステップと、 上記測定ステップにて測定した測定結果に基づいて上記
    所定のタイミングを決定する応答タイミング決定ステッ
    プと、 を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取
    り可能記録媒体。
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