JP2003222043A - エンジンの制御装置 - Google Patents

エンジンの制御装置

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JP2003222043A
JP2003222043A JP2002022513A JP2002022513A JP2003222043A JP 2003222043 A JP2003222043 A JP 2003222043A JP 2002022513 A JP2002022513 A JP 2002022513A JP 2002022513 A JP2002022513 A JP 2002022513A JP 2003222043 A JP2003222043 A JP 2003222043A
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JP
Japan
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air
fuel ratio
egr
intake
target
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Application number
JP2002022513A
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Masayuki Tetsuno
雅之 鐵野
Michihiro Imada
道宏 今田
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02T10/40Engine management systems

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Exhaust-Gas Circulating Devices (AREA)
  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃焼モードの切替過渡期に、燃焼安定性の低
下やエミッション性の悪化を防止しつつ、迅速に燃焼モ
ードの切替を行う。 【解決手段】 燃焼室内の空燃比が理論空燃比よりも大
きいリーン状態と略理論空燃比ないし理論空燃比よりも
小さいリッチ状態との切替過渡期に、EGR弁付近のE
GRガス中の空燃比に相当する還流ガス濃度を求める還
流ガス濃度検出手段(EGR管内空燃比演算手段)60
sと、この還流ガス濃度と上記切替過渡期における燃焼
室内の目標空燃比とを比較して上記還流ガス濃度が目標
空燃比よりも濃い場合にはEGR弁の開度を減少させる
方向に駆動し、上記還流ガス濃度が目標空燃比よりも薄
い場合にはEGR弁の開度を増大させる方向に駆動して
排気ガスの還流量を補正する排気還流量補正手段60t
とを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼室内の空燃比
が理論空燃比よりも大きいリーン状態と略理論空燃比な
いし理論空燃比よりも小さいリッチ状態とに燃焼モード
を切り替えるように制御するモード切替手段と、少なく
とも燃焼室内の空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン
状態の燃焼モードでEGR弁を所定量開弁して排気ガス
を還流させるように制御する排気還流量制御手段とを備
えたエンジンの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開平11−236857
号公報に示されるように、エンジンの排気系から吸気系
への排気ガスの還流量を調節するEGR弁と、エンジン
の運転状態に応じて上記EGR弁を開閉制御するととも
に、特定運転領域で燃焼室内の空燃比が理論空燃比より
もリーン側となるように運転状態を設定したエンジンに
おいて、エンジンの燃焼室への全吸入ガス量を検出する
全吸入ガス量検出手段と、排気ガスの還流量を求める手
段と、上記全吸入ガス量、排気ガスの還流量および空燃
比に基づき、還流排気ガス中に含まれる既燃ガスの全吸
入ガス量に対する割合を算出する既燃ガス割合演算手段
と、この既燃ガス割合演算手段により算出された既燃ガ
ス割合が運転状態に応じて設定された目標値と一致する
ように上記EGR弁の開度を制御する制御手段を備えた
エンジンの制御装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記エンジンの制御装
置では、エンジンの運転状態が急変することのない通常
運転状態であれば、燃焼室内の空燃比がリーンに制御さ
れている状態で排気ガスの還流が行われる場合であって
も、NOxの低減作用や燃焼性等を適切に保つことがで
きる。しかし、エンジンの運転状態が急変する過渡期、
例えば燃焼室内の空燃比が理論空燃比よりも大きく、多
量の排気ガスが吸気通路に還流されるリーン状態と、略
理論空燃比ないし理論空燃比よりも小さく、排気ガスの
還流量が略0となるリッチ状態との間で、燃焼モードが
切り替えられる切替過渡期に、吸気通路に還流される排
気ガス中に含まれる既燃ガスの全吸入ガス量に対する割
合を適正に制御することができないという問題があっ
た。
【0004】すなわち、上記燃焼モードの切替過渡期に
あっては、吸気系に還流される還流排気ガス中の空燃比
に対応する還流ガス濃度が刻々と変化するので、例えば
上記還流排気ガス中における還流ガス濃度が濃い状態に
ある均一燃焼モードから、還流排気ガス中における還流
ガス濃度が薄い状態にある成層燃焼モードへの切替時点
で、スロットル弁とEGR弁とを同時に開放状態に移行
させるように制御した場合には、図13(b)に示すよ
うに、上記燃焼モードの切替時点t1から排気通路内等
に存在する多量の既燃ガス(CO2)が吸気通路に還流
されて燃焼室内に導入される新気量(O2)が不足し、
燃焼安定性が低下し易いという問題がある。
【0005】上記公報に記載された従来技術では、均一
燃焼モードから成層燃焼モードへの切替を行う際に、E
GR弁を開放状態に移行させるのを待機しつつ、燃焼モ
ードの移行を実行してスロットル弁を開方向に駆動し、
スロットル弁の開度が充分に大きくなって燃焼モードの
移行が終了した時点で、上記EGR弁を開放状態に移行
させることにより、多量の既燃ガスが吸気通路に還流さ
れるのを防止するようにしている。しかし、上記のよう
に構成した場合には、EGR弁の開放操作を待機してい
る間に、吸気通路に還流される既燃ガスの濃度が低下し
てエミッション性が悪化するとともに、上記燃焼モード
の切替に要する時間が長くなるという問題がある。
【0006】また、上記公報に記載された従来技術で
は、還流排気ガス中における還流ガス濃度が薄い状態に
ある成層燃焼モードから、還流排気ガス中における還流
ガス濃度が濃い状態にある均一燃焼モードへの切替過渡
期に、吸気通路に既燃ガスが過度に還流されるのを防止
するため、既燃ガス体積割合が移行先の燃焼モードでの
目標値になるようにEGR弁を閉止状態に移行させつ
つ、燃焼モードの移行を待機し、上記既燃ガス体積割合
が許容値よりも小さくなった時点で、燃焼モードの移行
を実行してスロットル弁を閉方向に駆動するようにして
いる。しかし、上記のように吸気量が多い成層燃焼モー
ドから、吸気量が比較的少ない均一燃焼モードへの切替
を行う際に、この燃焼モードの移行を待機しつつ、EG
R弁を閉止状態に移行させた場合には、上記燃焼モード
の移行を待機している間に、吸気通路に還流される既燃
ガスの濃度が低下してエミッション性が悪化するととも
に、燃焼モードの切替に要する時間が長くなるという問
題があった。
【0007】本発明は、上記の事情に鑑み、燃焼モード
の切替過渡期に、吸気通路に還流される排気ガス中の還
流ガス濃度を適正に制御して燃焼安定性の低下やエミッ
ション性の悪化を防止しつつ、迅速に燃焼モード切替を
行うことができるエンジンの制御装置を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
吸気通路の途中に設けられた吸気量調節手段と、燃料の
噴射量を調節する燃料噴射量調節手段と、上記吸気量調
節手段の動作に応じて圧力が変化する吸気通路に接続さ
れた排気還流通路と、この排気還流通路に設けられたE
GR弁と、燃焼室内の空燃比が理論空燃比よりも大きい
リーン状態と略理論空燃比ないし理論空燃比よりも小さ
いリッチ状態とに燃焼モードを切り替えるように制御す
るモード切替手段と、少なくとも燃焼室内の空燃比が理
論空燃比よりも大きいリーン状態の燃焼モードでEGR
弁を所定量開弁して排気ガスを還流させるように制御す
る排気還流量制御手段とを備えたエンジンの制御装置に
おいて、上記燃焼モードの切替過渡期に、EGR弁付近
の還流排気ガス中の空燃比に相当する還流ガス濃度を求
める還流ガス濃度検出手段と、この還流ガス濃度と上記
切替過渡期における燃焼室内の目標空燃比とを比較して
上記還流ガス濃度が目標空燃比よりも濃い場合にはEG
R弁の開度を減少させる方向に駆動し、上記還流ガス濃
度が目標空燃比よりも薄い場合にはEGR弁の開度を増
大させる方向に駆動して排気ガスの還流量を補正する排
気還流量補正手段とを備えたものである。
【0009】上記構成によれば、上記燃焼モードの切替
過渡期に、EGR弁付近の還流排気ガス中の空燃比に相
当する還流ガス濃度と、燃焼室内の目標空燃比とに基づ
き、EGR弁の開度が補正されて排気還流通路から燃焼
室内に還流される排気ガスの還流量が適正に制御される
ことにより、燃焼安定性が確保されるとともに、エミッ
ション性が効果的に改善されることになる。
【0010】請求項2に係る発明は、上記請求項1記載
のエンジンの制御装置において、少なくとも燃焼室内の
空燃比が略理論空燃比ないし理論空燃比よりも小さいリ
ッチ状態から、理論空燃比よりも大きいリーン状態への
燃焼モードの切替過渡期に、上記排気還流量補正手段に
よる補正を実行するように構成したものである。
【0011】上記構成によれば、燃焼室内の空燃比が、
略理論空燃比ないし理論空燃比よりも小さいリッチ状態
に設定された均一燃焼モードから、燃焼室内の空燃比
が、理論空燃比よりも大きいリーン状態に設定された成
層燃焼モードへの切替過渡期の初期段階で、上記還流ガ
ス濃度が燃焼室内の目標空燃比よりも濃い値になった場
合に、上記EGR弁の開度を減少させる方向に駆動する
補正が実行されるため、排気通路内に存在する多量の既
燃ガスが吸気通路に還流されることが防止されるととも
に、上記還流ガス濃度に対応した適量の排気ガスが吸気
通路に還流されることになる。
【0012】請求項3に係る発明は、上記請求項1また
は2記載のエンジンの制御装置において、上記還流ガス
濃度検出手段により、燃焼室内の目標空燃比とEGR弁
の開度とに基づき、上記還流ガス濃度を算出するように
構成したものである。
【0013】上記構成によれば、EGR弁の開度に応じ
て変化する還流排気ガスの流動状態と、上記燃焼室内の
目標空燃比に応じて変化する還流排気ガスの空燃比に相
当する値とに基づき、上記EGR弁付近の還流排気ガス
中の空燃比に相当する還流ガス濃度が正確に算出される
ことになる。
【0014】請求項4に係る発明は、上記請求項3記載
のエンジンの制御装置において、上記還流ガス濃度検出
手段により、数サイクル前の目標空燃比から、排気還流
通路の接続部位における排気通路内の還流ガス濃度を算
出するとともに、上記排気還流通路の接続部位からEG
R弁の設置部までのガス流動の一次遅れを加味してEG
R弁付近の還流排気ガス中の還流ガス濃度を算出するよ
うに構成したものである。
【0015】上記構成によれば、燃焼室から排気通路を
経て排気還流通路に導出された排気ガスが上記EGR弁
の設置部に至るまでの時間のずれが考慮された状態で、
上記還流ガス濃度検出手段において、EGR弁付近の還
流排気ガス中の空燃比に相当する還流ガス濃度が適正に
求められることになる。
【0016】請求項5に係る発明は、上記請求項1ない
し4のいずれかに記載のエンジンの制御装置において、
上記排気還流量制御手段により、補正後の最終目標EG
R流量と、吸気量調節手段の下流側における吸気圧力
と、排気圧力および排気温度とに基づいて、排気ガスの
還流量を確保するために必要な排気還流通路の有効流路
面積を算出し、この有効流路面積に基づいてEGR弁の
開度を設定するように構成したものである。
【0017】上記構成によれば、燃焼室内に導入される
吸気の状態および排気通路内に導出される排気の状態に
対応した正確な排気還流制御が実行されて最適量の排気
ガスが吸気通路に還流されることになる。
【0018】請求項6に係る発明は、上記請求項5記載
のエンジンの制御装置において、目標吸気流量と、吸気
量調節手段の下流部における吸気圧力および吸気温度
と、吸気量調節手段の上流側における吸気温度および大
気圧とに基づき、吸気量を確保するために必要な吸気通
路の有効流路面積を算出し、この有効流路面積から上記
吸気量調節手段の作動量を求める吸気量制御手段を備え
たものである。
【0019】上記構成によれば、外気の状態等に対応し
た正確な吸気量制御が実行されるとともに、上記排気還
流量制御手段において実行される排気還流制御と、上記
吸気量制御手段において実行される吸気量制御とが、同
一条件下で実行されることにより、排気ガスの還流量が
最適値に設定されてエミッション性が改善されつつ、燃
費性能がさらに効果的に制御されることになる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るエンジンの
制御装置を筒内噴射火花点火式エンジンに適用した場合
の全体構造を概略的に示したものである。この図におい
て、エンジン本体10は複数の気筒12を有し、各気筒
12には、そのシリンダボアに挿入されたピストン14
の上方に燃焼室15が形成されており、この燃焼室15
には吸気ポートおよび排気ポートが開口し、これらのポ
ートは吸気弁17および排気弁18によってそれぞれ開
閉されるようになっている。
【0021】上記燃焼室15の中央上方部には点火プラ
グ20が配設され、そのプラグ先端が燃焼室15内に臨
んでいる。また、燃焼室15内には側方からインジェク
タ22の先端部が臨み、このインジェクタ22から燃焼
室15内に直接燃料が噴射されるようになっている。上
記インジェクタ22には図外の高圧燃料ポンプ、プレッ
シャレギュレータ等を具備する燃料回路が接続され、各
気筒のインジェクタ22に燃料が供給されるとともにそ
の燃圧が圧縮行程における筒内圧力よりも高い所定圧力
となるように燃料回路が構成されている。
【0022】上記エンジン本体10には吸気通路24お
よび排気通路34が接続されている。上記吸気通路24
には、その上流側から順に、エアクリーナ25、エアフ
ローセンサ26、モータ27により駆動されるスロット
ル弁28およびサージタンク30が設けられており、上
記スロットル弁28およびこれを駆動するモータ27に
より吸気量調節手段が構成されている。
【0023】上記吸気通路24には、上記スロットル弁
28の設置部をバイパスするバイパスエア通路19およ
びISC通路23が設けられている。上記バイパスエア
通路19には、冷間時に開く温度感応型のバイパスエア
弁29が設けられ、上記ISC通路23には、アイドル
時等に吸気量を調節するためのISC弁36が設けら
れ、これらのバイパスエア弁29およびISC弁36に
よっても吸気量が調節されるようになっている。
【0024】また、上記排気通路34には排気ガス浄化
用の触媒35が設けられている。当実施形態のエンジン
に設けられる触媒35は、リーン運転状態でもNOx浄
化性能を有するものであり、例えばリーン運転状態のと
きに排気中のNOxを吸蔵して、そのNOxを理論空燃
比もしくはこれよりリッチな空燃比の運転状態となった
ときに還元させるNOx吸蔵触媒が用いられる。
【0025】さらに、排気通路34には、上記スロット
ル弁28からなる吸気量調節手段の動作に応じて圧力が
変化する吸気通路、つまりスロットル弁28の下流側部
に位置する吸気通路24に接続されたEGR通路37か
らなる排気還流通路が設けられ、このEGR通路37
に、EGR流量(排気ガスの還流量)を調節する排気ガ
ス還流調節手段としてのEGR弁38が介設されてい
る。
【0026】このエンジンには、上記エアフローセンサ
26の他、サージタンク30内の吸気負圧を検出するブ
ーストセンサ40、スロットル弁28の開度を検出する
スロットル弁開度センサ41、エンジン回転数を検出す
る回転数センサ42、アクセル開度(アクセル操作量)
を検出するアクセル開度センサ43、吸気温度を検出す
る吸気温度センサ44、大気圧を検出する大気圧センサ
45、エンジン冷却水温を検出する水温センサ46、排
気ガス中の酸素濃度の検出によって空燃比を検出するO
2センサ47、EGR弁38のリフト量(制御量)を検
出するEGR弁リフトセンサ48、インジェクタ22に
与えられる燃料の燃圧を検出する燃圧センサ49、排気
通路34内における排気圧力を検出する排気圧センサ7
0等のセンサ類が装備され、これらセンサの出力信号
(検出信号)がECU(コントロールユニット)50に
入力されている。
【0027】上記ECU50は、インジェクタ22から
の燃料噴射量および噴射タイミングを制御するととも
に、スロットル弁28を駆動するモータ27に制御信号
を出力することによりスロットル弁28の制御を行い、
また点火回路21に制御信号を出力することにより点火
時期を制御し、さらに上記ISC弁36およびEGR弁
38の制御も行うように構成されている。
【0028】当実施形態の筒内噴射式エンジンの基本的
な制御としては、上記インジェクタ22からの燃料噴射
形態(噴射時期および空燃比等)が異なる燃焼モードが
選択可能とされ、運転領域によって燃焼モードが変更さ
れるようになっている。
【0029】具体的には、図2に示すように、低負荷低
回転側の所定領域が成層燃焼領域、それ以外の領域が均
一燃焼領域とされる。そして、成層燃焼領域では、上記
インジェクタ22から圧縮行程の後期に燃料が噴射され
ることにより、点火プラグ20付近に混合気が偏在する
成層状態で燃焼が行なわれるような成層燃焼モードとさ
れる。この成層燃焼モードでは、スロットル弁28の開
度が大きくされて吸気量が多くされることにより燃焼室
全体の空燃比としては大幅なリーン状態(例えばA/F
が30以上)とされる。
【0030】一方、均一燃焼領域では、上記インジェク
タ22から吸気行程の前期に燃料が噴射されることによ
り、燃焼室15全体に均一に混合気が拡散する状態で燃
焼が行なわれる均一燃焼モードとされる。この均一燃焼
モードでは、燃焼室全体の空燃比が、略理論空燃比(λ
≒1)ないし理論空燃比よりも小さいリッチ状態(λ<
1)に設定されるようになっている。
【0031】図3は、上記ECU50に機能的に含まれ
る手段の構成を示している。上記ECU50は、吸気温
度センサ44および大気圧センサ45からの信号等に基
づいてエアフロー部の吸気密度ganmaおよび吸気ポート
部の吸気密度ganmapを検出する吸気密度検出手段51を
有するとともに、上記エンジン回転数センサ42および
アクセル開度センサ43からの信号に基づき、上記吸気
密度の状態を加味して、目標負荷に相当する値を設定す
る目標負荷設定手段52を有している。
【0032】上記目標負荷設定手段52は、図4に示す
ように、仮想体積効率演算手段52a、仮想充填効率演
算手段52b、なまし処理手段52c、目標図示平均有
効圧力演算手段52dおよびアイドリング負荷補正手段
52eを含んでいる。
【0033】上記仮想体積効率演算手段52aは、アク
セル開度accelおよびエンジン回転数neに応じて仮想体
積効率veimgを求める。この場合、予めベンチテスト等
により標準大気状態下で、かつ空燃比を理論空燃比に保
った標準運転条件下において要求される出力性能が得ら
れるように、アクセル開度accelおよびエンジン回転数n
eと仮想体積効率veimgとの対応関係が定められ、その対
応関係がマップとしてECU50内のメモリに記憶され
ており、このメモリから実際のアクセル開度accelおよ
びエンジン回転数neに対応した仮想体積効率veimgが求
められる。
【0034】上記アクセル開度accelおよびエンジン回
転数neと仮想体積効率veimgとの対応関係は、例えば図
5に示すようになる。すなわち、仮想体積効率veimg
は、アクセル開度accelが大きくなるにつれて増加し、
かつ、エンジン低速側ほど大きめとなるように設定され
ている。
【0035】また、図4において仮想充填効率演算手段
52bは、上記仮想体積効率veimgに対し、吸気密度検
出手段51で求められた吸気密度を加味して仮想充填効
率ceimgを求める。これにより、空燃比を理論空燃比に
保つ標準運転条件を想定した場合の要求エンジントルク
に見合う充填効率が仮想充填効率ceimgとして求められ
る。
【0036】なまし処理手段52cは、上記仮想充填効
率ceimgを、次式(1)に基づく一次遅れ補正によりな
まし処理するように構成されている。
【0037】 ceimgd=(1−α)・ceimg+α・ceimgd[i-1] …(1) なお、上記演算式(1)において、ceimgd[i-1]はceimg
dの前回値、αは係数(0<α<1)である。
【0038】また、目標図示平均有効圧力演算手段52
dは、上記仮想充填効率ceimgからこれに対応した値で
ある目標図示平均有効圧力を求め、これを目標負荷とす
る。この場合、なまし処理されない仮想充填効率ceimg
から第1の目標図示平均有効圧力Piobjが、また、なま
し処理された仮想充填効率ceimgdから第2の目標図示平
均有効圧力Piobjdが、それぞれ次式(2a),(2b)
に基づいて演算される。
【0039】Piobj=K1×ceimg+K2… (2a) Piobjd=K1×ceimgd+K2 …(2b) アイドリング負荷補正手段52eは、アイドル運転時に
エアコン等の外部負荷が加わったときなどにそれに見合
う程度にエンジントルクを高めるべくアイドリング負荷
補正値を求め、目標図示平均有効圧力の演算に先立って
上記仮想充填効率ceimg,ceimgdを補正するようになっ
ている。
【0040】図3に示すECU50は、さらに基本的な
燃焼モードmodsを設定し、必要に応じてエンジンの燃焼
モードを切り替える制御を実行する燃焼モード設定手段
53からなるモード切替手段を有している。
【0041】燃焼モード設定手段53は、上記目標負荷
図示平均有効圧力演算手段52dにおいて求められた第
1の目標図示平均有効圧力Piobjとエンジン回転数neと
に応じて基本的な燃焼モードmodsを設定する。すなわ
ち、図2に示すように、第1の目標図示平均有効圧力Pi
objが所定の低負荷側閾値より低く、かつ、エンジン回
転数neが低い領域(成層燃焼領域)では成層燃焼モード
に設定され、それ以外の領域(均一燃焼領域)では、均
一燃焼モードに設定される。また、上記成層燃焼領域に
おいても、NOx吸蔵触媒に吸蔵されたNOxを還元さ
せるため、上記燃焼室15内の空燃比を一時的にリッチ
にして均一燃焼モードとするいわゆるリッチスパイク制
御が実行される。
【0042】さらにECU50は、エンジン出力に関係
する各種制御値を決定する制御手段を有し、当実施形態
では、スロットル弁28で調節される吸気量、EGR弁
38で調節されるEGR流量、インジェクタ22からの
燃料噴射量、燃料噴射時期および点火プラグ20の点火
時期が制御対象とされ、これら制御対象の制御値が目標
負荷およびエンジン回転数ne等に応じて決定される。こ
の場合、制御対象のうちの低速応答系の制御値を決定す
るための目標負荷としては第1の目標図示平均有効圧力
Piobjが用いられ、高速応答系の制御値を決定するため
の目標負荷としては第2の目標図示平均有効圧力Piobjd
が用いられる。
【0043】すなわち、上記各制御対象のうちで吸気
量、EGR流量およびスワールはそれぞれスロットル弁
28およびEGR弁38の作動に対する応答性が比較的
低い低速応答系であって、これらの制御量である目標ス
ロットル弁開度tvoobjおよびEGR弁38の目標制御量
は第1の目標図示平均有効圧力Piobjとエンジン回転数n
e等に応じて決定される。一方、燃料噴射量、燃料噴射
時期および点火時期は制御信号に速やかに応答する高速
応答系であって、これら燃料噴射量、燃料噴射時期およ
び点火時期は第2の目標図示平均有効圧力Piobjdとエン
ジン回転数ne等に応じて決定されるようになっている。
【0044】具体的に説明すると、吸気量制御のための
手段としては目標空燃比設定手段54、目標充填効率演
算手段55およびスロットル弁開度演算手段56を有し
ている。上記目標空燃比設定手段54は、吸気量制御用
の目標空燃比afwbを、上記燃焼モード設定手段53で設
定される燃焼モード別に設定するものであり、成層燃焼
モードでは第1の目標図示平均有効圧力Piobjとエンジ
ン回転数neとに応じ、予め作成されているマップから目
標空燃比afwbを求め、均一燃焼モードでは目標空燃比af
wbを、例えば理論空燃比(λ=1)とするようになって
いる。
【0045】上記目標充填効率演算手段55は、第1の
目標図示平均有効圧力Piobjもしくはこれに対応する仮
想充填効率ceimgと上記目標空燃比afwbとから、目標充
填効率ceobjを例えば次式(3)により求める。
【0046】 ceobj=ceimg×{(afwb+K3)/14.7}×K4 …(3) この演算式(3)は、仮想充填効率ceimgから、リーン
運転される場合の目標空燃比の空気過剰率分(afwb/1
4.7)と燃費改善効果分とを加味して目標充填効率ce
objを求めるようにしたものである。
【0047】つまり、上記仮想充填効率ceimgは理論空
燃比で運転される状態を想定した目標負荷に対応する値
であり、これに対し、リーン運転時に同等の燃料噴射量
を確保するには上記空気過剰率分を加味する必要がある
が、このようにして理論空燃比の場合と同等の燃料噴射
量を確保すると、リーン運転時は熱効率が高められて燃
費が改善されるので、その分だけトルクが理論空燃比の
場合と比べて高くなってしまう。そこで、目標負荷に対
応するトルクを得るため、上記空気過剰率分を加味する
ほかに、燃費改善効果分も加味するようにしたものであ
って、上記式中のK3,K4が燃費改善効果分を加味するた
めの係数であり、燃費改善効果分に見合う程度に目標充
填効率を減少方向に補正すべく、予め係数K3,K4が設定
されている。
【0048】なお、前記の式(2a)から、ceimg=(P
iobj−K1)/K2を求め、この値を上記式(3)に代入す
ることにより求められた演算式から、目標図示平均有効
圧力Piobjに対応した目標充填効率ceobjを算出するよう
にしてもよい。
【0049】上記スロットル弁開度演算手段56は、図
6に示すように、目標体積効率演算手段56aと、目標
吸気流量演算手段56bと、吸気量補正手段56cと、
最終目標吸気量演算手段56dと、トータル体積効率演
算手段56eと、予測吸気圧設定手段56fと、基本新
気量側有効流路面積演算手段56gと、スロットル弁漏
れ有効流路面積演算手段56hと、バイパスエア弁流量
設定手段56iと、バイパスエア弁有効流路面積演算手
段56jと、ISC弁有効流路面積演算手段56kと、
目標スロットル弁有効流路面積演算手段56lと、吸気
損失補正係数設定手段56mと、最終スロットル弁有効
流路面積演算手段56nと、目標スロットル弁開度設定
手段56oとを有している。
【0050】上記目標体積効率演算手段56aは、目標
充填効率演算手段55において求められた目標充填効率
ceimgから、吸気密度検出手段51において求められ吸
気ポート部の吸気密度ganmapに応じた補正を行うことで
目標体積効率veobjを求めるように構成されている。
【0051】目標吸気流量演算手段56bは、上記目標
体積効率演算手段56aにおいて求められた目標体積効
率veobjと、エンジン回転数neと、上記吸気密度検出手
段51において求められたエアフロー部(スロットル弁
28の上流部)の吸気密度ganmaおよび吸気ポート部の
吸気密度ganmapとに基づき、燃焼室15内に供給される
空気量の目標値である目標吸気流量qair0を、次式
(4)により演算するようになっている。
【0052】 qair0=veobj×ne×KUVC×ganmap/(120×ganma) …(4) なお、上記式(4)において、KUVCはエンジン排気量で
ある。
【0053】吸気量補正手段56cは、後述する実EG
R流量演算手段60zおよびEGR管空燃比演算手段6
0sにおいて求められた実EGR流量qegr0およびEG
R管内空燃比afwegrと、上記目標空燃比演算手段54に
おいて求められた吸気量制御用の目標空燃比afwbと、上
記吸気密度演算手段51および後述するEGR気体密度
演算手段60qにより求められた吸気ポート部の吸気密
度ganmapおよびEGR管内気体密度ganmarとに基づき、
EGR通路37を介して燃焼室15内に還流されるEG
Rガス中の還流ガス濃度に応じたEGR空燃比補正流量
qairexを、次式(5)により演算するようになってい
る。
【0054】 qairex=qegr0×(1−afwb/afwegr)×ganmar/ganma …(5) また、最終目標吸気量演算手段56dは、上記目標吸気
流量演算手段56bにおいて求められた目標吸気流量qa
ir0から、吸気量補正手段56cにおいて求められたE
GR空燃比補正流量qairexを減算する補正を行うことに
より、EGR空燃比に基づく補正後の最終目標吸気流量
(qair=qair0−qairex)を算出するように構成されて
いる。この結果、上記吸気量補正手段56cにより、E
GRガス中の還流ガス濃度に基づいてスロットル弁28
からなる吸気量調節手段の駆動量が補正されることにな
る。
【0055】例えば、均一燃焼モードから成層燃焼モー
ドへの燃焼モードの切替過渡期にあって、上記EGR管
内空燃比afwegrに対する上記目標空燃比afwbの比率が1
より大きい(afwb/afwegr>1)場合、つまり燃焼室1
5内の空燃比が既にλ>1になるとともに、EGR通路
37内におけるEGRガスの濃度が未だλ≦1の状態に
あって、EGR弁付近のEGRガス中の空燃比afwegrに
相当する還流ガス濃度が、上記目標空燃比afwbよりも濃
い場合には、上記吸気量補正手段56cにおいて求めら
れるEGR空燃比補正流量qairexが−の値となる。この
ため、上記目標吸気流量qairを増大させる補正が行われ
てスロットル弁28が開方向に駆動されることになる。
【0056】一方、成層燃焼モードから均一燃焼モード
への燃焼モードの切替過渡期にあって、上記EGR管内
空燃比afwegrに対する上記目標空燃比afwbの比率が1よ
り小さい(afwb/afwegr<1)場合、つまり燃焼室15
内の空燃比が既にλ≦1になるとともに、EGR通路3
7内におけるEGRガスの濃度が未だλ>1の状態にあ
って、EGR弁38付近のEGRガス中の空燃比afwegr
に相当する還流ガス濃度が、吸気量制御用の目標空燃比
afwbよりも薄い場合には、上記EGR空燃比補正流量qa
irexが+の値となるため、スロットル弁28を閉方向に
駆動する補正が行われることになる。
【0057】また、上記トータル体積効率演算手段56
eは、目標体積効率演算手段56aにおいて求められた
目標体積効率veobjと、後述するEGR体積効率演算手
段60kにおいて求められたEGR体積効率veegrとを
加算することにより、燃焼室15内に導入される吸気の
トータル体積効率vetotal(=veobj+veegr)を演算す
るようになっている。
【0058】予測吸気圧設定手段56fは、上記吸気の
トータル体積効率vetotalとエンジン回転数neとをパラ
メータとして予め設定されたマップから、現在の運転状
態に対応した予測吸気圧boostest、つまりエアポート部
における吸気圧の予測値を読み出して設定するように構
成されている。
【0059】基本新気量側有効流路面積演算手段56g
は、上記最終目標吸気量演算手段56dにおいて目標吸
気量qair0を補正することにより求められた補正後の最
終目標吸気流量qairと、エアフロー部の吸気密度ganma
と、上記予測吸気圧設定手段56fにおいて求められた
予測吸気圧boostestとに応じ、次式(6)に基づいて新
気量を確保するために必要な基本新気側有効流路面積ea
airを算出するものである。
【0060】 eaair=QAREACNV×qair/√(2×(−boostest)×ganma) …(6) この演算式(6)は、ベルヌーイの定理に基づくもので
あり、上記QAREACNVは単位調整変数である。
【0061】スロットル弁漏れ有効流路面積演算手段5
6hは、スロットル弁28の全閉時における吸気の漏れ
流量KGQLEAKと、ベンチテストデータに対応したスロッ
トル弁28の上流部と下流部との差圧KGTVOPBと、ベン
チテストデータに対応したスロットル弁設置部の吸気密
度KGTVOGNとに応じ、次式(7)に基づいてスロットル
弁漏れ有効流路面積ealeakを算出するように構成されて
いる。
【0062】 ealeak=QAREACNV×KGQLEAK/√(2×KGTVOPB×KGTVOGN) …(7) この演算式(7)において、QAREACNVは単位調整変数で
ある。
【0063】バイパスエア弁流量設定手段56iは、予
め設定されたマップから、現在のエンジン冷却水温thw
に対応したバイパスエア弁流量qbacv、つまりバイパス
エア通路を通過する空気量を読み出して設定するもので
ある。上記マップは、エンジン冷却水温thwをパラメー
タとし、このエンジン冷却水温thwが高いほど、バイパ
スエア弁流量qbacvが小さな値となるように設定されて
いる。
【0064】バイパスエア弁有効流路面積演算手段56
jは、上記バイパスエア弁流量qbacvと、ベンチテスト
データに対応したスロットル弁28の上流部と下流部と
の差圧KGTVOPBと、ベンチテストデータに対応したスロ
ットル弁設置部の吸気密度KGTVOGNとに応じ、次式
(8)に基づいてバイパスエア弁有効流路面積eabacvを
算出するように構成されている。
【0065】 eabacv=QAREACNV×qbacv/√(2×KGTVOPB×KGTVOGN) …(8) 上記演算式(8)において、QAREACNVは単位調整変数で
ある。
【0066】ISC弁有効流路面積演算手段56kは、
図外のアイドルスピード制御手段により設定されたIS
C通路を通過する吸気量の目標値であるISC目標吸気
流量qiscと、ベンチテストデータに対応したスロットル
弁28の上流部と下流部との差圧KGTVOPBと、ベンチテ
ストデータに対応したスロットル弁設置部の吸気密度KG
TVOGNとに応じ、次式(9)に基づいてISC弁有効流
路面積eaiscvを算出するように構成されている。
【0067】 eaiscv=QAREACNV×qisc/√(2×KGTVOPB×KGTVOGN) …(9) 上記演算式(9)において、QAREACNVは単位調整変数で
ある。
【0068】目標スロットル弁有効流路面積演算手段5
6lは、上記基本新気側有効流路面積演算手段56gに
おいて求められた基本新気側有効流路面積eaairと、上
記スロットル弁漏れ有効流路面積演算手段56hにおい
て求められたスロットル弁漏れ有効流路面積ealeakと、
上記バイパスエア弁有効流路面積演算手段56jにおい
て求められたバイパスエア弁有効流路面積eabacvと、上
記ISC弁有効流路面積演算手段56kにおいて求めら
れたISC弁有効流路面積eaiscvとに応じ、次式(1
0)に基づいて目標スロットル弁有効流路面積(吸気通
路24の有効流路面積)eatvoを算出するものである。
【0069】 eatvo=eaair−ealeak−eabacv−eaiscv …(10) 吸気損失補正係数設定手段56mは、上記目標スロット
ル弁有効流路面積eatvoおよびエンジン回転数neをパラ
メータとして予め設定されたマップから、現在の目標ス
ロットル弁有効流路面積eatvoおよびエンジン回転数ne
に対応した吸気損失補正係数ealost、つまり吸気抵抗に
応じた吸気損失を補填するための係数を読み出して設定
するように構成されている。
【0070】また、最終スロットル弁有効流路面積演算
手段56nは、上記目標スロットル弁有効流路面積演算
手段56lにおいて求められた目標スロットル弁有効流
路面積eatvoに、上記吸気損失補正係数ealostを掛け合
わせることにより、吸気量を確保するために必要な最終
スロットル弁有効流路面積eatvof(=eatvo×ealost)
を算出するように構成されている。
【0071】目標スロットル弁開度設定手段56oは、
上記最終スロットル弁有効流路面積eatvofをパラメータ
として予め設定されたマップから、現在の最終スロット
ル弁有効流路面積eatvofに対応した目標スロットル弁開
度tvoobjを読み出して設定するものである。
【0072】また、上記ECU50には、EGR流量制
御のための手段としてEGR弁基本制御量設定手段59
およびEGR弁制御量演算手段60が設けられている。
上記EGR弁基本制御量設定手段59は、EGR弁38
の基本制御量を上記燃焼モード設定手段53で設定され
る燃焼モードmods別に設定するものであり、例えば成層
燃焼モードでは第1の目標図示平均有効圧力piobjとエ
ンジン回転数neとに応じ、予めベンチテスト等に基づい
て作成されたマップから基本EGR弁ステップ数(EG
R弁38を駆動するステップモータの制御値)pbaseを
求め、均一燃焼モードではエアフローセンサ26の出力
に基づいて求められる実充填効率ceとエンジン回転数ne
とに応じ、予め作成されているマップから基本EGR弁
ステップ数pbaseを求める。
【0073】上記EGR弁制御量演算手段60には、図
7に示すように、基本吸気圧設定手段60aと、基本排
気圧設定手段60bと、基本排気温度設定手段60c
と、EGR基本流量設定手段60dと、排気温度低下率
設定手段60eと、EGR基本差圧設定手段60fと、
EGR基本温度設定手段60gと、EGR基本気体密度
設定手段60hと、目標EGR流量演算手段60iと、
EGR管内遅れ係数設定手段60jと、EGR体積効率
演算手段60kとが設けられている。
【0074】また、上記EGR弁制御量演算手段60に
は、図8に示すように、実EGRステップ数演算手段6
0lと、実EGR基本流量設定手段60mと、排気温度
低下率設定手段60oと、EGR温度演算手段60p
と、EGR気体密度演算手段60qと、排気管内空燃比
演算手段60rと、EGR管内空燃比演算手段60s
と、排気還流量補正手段60tと、最終EGR流量演算
手段60uと、基本EGR弁有効流路面積演算手段60
vと、最終EGR弁流量演算手段60wと、目標EGR
ステップ数設定手段60xと、実EGR差圧演算手段6
0yと、実EGR流量演算手段60zとが設けられてい
る。
【0075】図7に示す基本吸気圧設定手段60aは、
吸気通路24内における吸気圧の基準値を上記燃焼モー
ド設定手段53で設定される燃焼モードmods別に求める
ものであり、例えば成層燃焼モードでは第1の目標図示
平均有効圧力piobjとエンジン回転数neとに応じ、ベン
チテスト等により予め作成されたマップから基本吸気圧
boostbを求め、均一燃焼モードではエアフローセンサ2
6の出力に基づいて求められる実充填効率ceとエンジン
回転数neとに応じ、予め作成されているマップから基本
吸気圧boostbを求めるように構成されている。
【0076】基本排気圧設定手段60bは、排気通路3
4内における排気圧の基準値を上記燃焼モード設定手段
53で設定される燃焼モードmods別に求めるものであ
り、例えば成層燃焼モードでは第1の目標図示平均有効
圧力piobjとエンジン回転数neとに応じ、ベンチテスト
等に基づいて予め作成されたマップから基本排気圧pexb
seを求め、均一燃焼モードではエアフローセンサ26の
出力に基づいて求められる実充填効率ceとエンジン回転
数neとに応じ、予め作成されているマップから基本排気
圧pexbseを求めるように構成されている。
【0077】基本排気温度設定手段60cは、排気通路
34内における排気温度の基準値を上記燃焼モード設定
手段53で設定される燃焼モードmods別に求めるもので
あり、例えば成層燃焼モードでは第1の目標図示平均有
効圧力piobjとエンジン回転数neとに応じ、予め作成さ
れているマップから基本排気温度thexbを求め、均一燃
焼モードではエアフローセンサ26の出力に基づいて求
められる実充填効率ceとエンジン回転数neとに応じ、予
め作成されているマップから基本排気温度thexbを求め
るように構成されている。
【0078】EGR基本流量設定手段60dは、予め設
定されたマップから、上記EGR弁基本制御量設定手段
59において設定された現在の基本EGR弁ステップ数
pbaseに対応したEGR基本流量qegrbse、つまりEGR
弁38の基本開度に対応したEGR流量の基準値を読み
出すものである。上記マップは、基本EGR弁ステップ
数pbaseをパラメータとし、この基本EGR弁ステップ
数pbaseが高いほど、EGR基本流量qegrbseが大きな値
となるように設定されている。
【0079】排気温度低下率設定手段60eは、予め設
定されたマップから、上記EGR基本流量設定手段60
dにおいて求められた現在のEGR基本流量qegrbseに
対応した排気温度の低下率、つまりベンチテストデータ
に対応した排気温度低下率rthexbを読み出して設定する
ものである。上記マップは、EGR基本流量qegrbseを
パラメータとし、このEGR基本流量qegrbseが大きい
ほど、上記排気温度低下率rthexbが大きな値となるよう
に設定されている。
【0080】EGR基本差圧演算手段60fは、上記基
本排気圧設定手段60bにおいて求められた基本排気圧
pexbseと、基本吸気圧設定手段60aにおいて求められ
た基本吸気圧boostbとに基づき、ベンチテストデータに
対応したEGR基本差圧dpegrb(=pexbse−boostb)を
算出するように構成されている。
【0081】EGR基本温度設定手段60gは、上記基
本排気温度設定手段60cにおいて求められた基本排気
温度thexbと、排気温度低下率設定手段60eにおいて
設定された排気温度低下率rthexbとに基づき、EGR通
路37内におけるEGRガス温度の基準値に相当するE
GR基本温度thegrb(=thexb×rthexb)を算出するも
のである。
【0082】EGR基本気体密度設定手段60hは、上
記EGR基本温度設定手段60gにおいて求められたE
GR基本温度thegrbと、大気圧atpと、上記基本排気圧
設定手段60bにおいて求められた基本排気圧pexbseと
に応じ、次式(11)に基づいてEGR基本気体密度ga
nmaexbを算出するものである。
【0083】 ganmaexb=1.2931/1000×273/(273+thegrb)×(atp+pexbse)/760 … (11) 上記演算式(11)における数値1.29311/1000は、空
気の標準気体密度に相当するものである。
【0084】目標EGR流量演算手段60iは、上記E
GR基本流量設定手段60dにおいて設定されたEGR
基本流量qegrbseと、上記EGR基本差圧設定手段60
fにおいて設定されたEGR基本差圧dpegrbと、上記E
GR基本気体密度ganmaexbとに応じ、次式(12)に基
づいて目標EGR流量qegrobj0を算出するように構成さ
れている。
【0085】 qegrobj0=qegrbse×√(2×dpegrb×KREGRVGN/ganmaexb×KREGRVPB) … (12) 上記演算式(12)において、KREGRVGNは、上記ベンチ
テストデータに対応したEGRガスの気体密度、KREGRV
PBは、ベンチテストデータに対応したEGR弁38の上
流側圧力と下流側圧力との差圧である。
【0086】EGR管内遅れ係数設定手段60jは、予
め設定されたマップから、EGR弁38の基本開度に対
応したEGR管内空燃比遅れ係数KCCR、つまりEGR通
路37の上流端部における還流排気ガスの状態と、上記
GR弁38の設置部における還流排気ガスの状態との差
を考慮して、後述するEGR管内空燃比afwegrを正確に
求めるための係数を、読み出して設定するものである。
上記マップは、目標EGR流量qegrobj0をパラメータと
し、この目標EGR流量qegrobj0が大きいほど、上記E
GR管内空燃比遅れ係数KCCRが大きな値となるように設
定されている。
【0087】EGR体積効率演算手段60kは、上記目
標EGR流量qegrobj0と、EGR基本気体密度設定手段
60hにおいて求められたEGR基本気体密度ganmaexb
と、エンジン回転数neと、エンジン排気量KUVCと、ポー
ト吸気密度ganmapとに応じ、次式(13)に基づいてE
GR体積効率veegrを演算により求めるように構成され
ている。
【0088】 veegr=120×qegrobj0×ganmaexb/(ne×KUVC×ganmap) …(13) 図8に示す実EGRステップ数演算手段60lは、前回
の制御時に求められた目標EGR弁ステップ数pt′と、
前回の制御時における実EGR弁ステップ数egrp′とに
基づき、EGR弁38を駆動する際の応答遅れを加味し
た現時点のEGR弁ポジションに対応した実EGR弁ス
テップ数egrpを求めるものである。
【0089】実EGR基本流量設定手段60mは、予め
設定されたマップから、上記実EGRステップ数演算手
段60lにおいて求められた現在の実EGR弁ステップ
数egrpに対応した実EGR基本流量qegrを読み出して設
定するものである。上記マップは、実EGR弁ステップ
数egrpをパラメータとし、この実EGR弁ステップ数eg
rpが大きいほど、上記実EGR基本流量qegrが大きな値
となるように設定されている。
【0090】排気温度低下率設定手段60oは、予め設
定されたマップから、現在の実EGR基本流量qegrに対
応した排気温度低下率rthexを読み出して設定するよう
になっている。上記マップは、実EGR基本流量qegrを
パラメータとし、この実EGR基本流量qegrが大きいほ
ど、上記排気温度低下率rthexが大きな値に設定されて
いる。
【0091】EGR温度演算手段60pは、排気通路3
4に設置された排気温度センサ71により検出された排
気温度thexと、上記排気温度低下率設定手段60oにお
いて求められた排気温度低下率rthexとに基づき、排気
通路34から吸気通路24に還流される排気ガスの温
度、つまりEGR温度thegr(=thex×rthex)を算出す
るように構成されている。
【0092】EGR気体密度演算手段60qは、排気通
路34に設置された排気圧センサ70により検出された
排気圧力pexと、上記EGR温度演算手段60pにおい
て求められたEGR温度thegrと、大気圧atpとに応じ、
次式(14)に基づいてEGR気体密度ganmarを算出す
るように構成されている。
【0093】 ganmar=1.2931/1000×273/(273+thegr)×(atp+pex)/760…(14) 排気管内空燃比演算手段60rは、3行程前の目標空燃
比afw3oと、前回の制御時に求められた排気管内空燃比a
fwex′とに基づき、次式(15)により上記EGR通路
37の接続部位における排気通路34内の還流ガス濃度
に対応した値である排気管内空燃比afwexを演算により
算出するものである。
【0094】 afwex=KRAFWEX×afw3o+(1.0−KRAFWEX)×afwex′ …(15) 上記演算式(15)において、KRAFWEXは、重み付けの
ためのフィルター係数である。
【0095】EGR管内空燃比演算手段60sは、上記
EGR管内遅れ係数設定手段60jにおいて設定された
EGR管内空燃比遅れ係数KCCRと、上記排気管内空燃比
演算手段60rにおいて求められた排気管内空燃比afwe
xと、前回の制御時に算出されたEGR管内空燃比afweg
r′とに基づき、次式(16)によりEGR弁38の付
近におけるEGRガス中の空燃比に相当するEGR管内
空燃比afwegrを算出するように構成されている。
【0096】 afwegr=KCCR×afwex+(1.0−KCCR)×afwegr′ …(16) 排気還流量補正手段60tは、上記EGR管内空燃比演
算手段60sにおいて求められたEGR管内空燃比afwe
grと、上記目標空燃比設定手段52において設定された
最終目標空燃比afwとに基づき、EGR空燃比補正量caf
wegr(=afwegr/afw)を算出するように構成されてい
る。このEGR空燃比補正量cafwegrは、EGRガス中
の還流ガス濃度に基づいてEGR弁28の開度を補正す
るために使用される。
【0097】例えば、均一燃焼モードから成層燃焼モー
ドへの燃焼モードの切替過渡期にあって、上記最終目標
空燃比afwに対するEGR管内空燃比afwegrの比率が1
より小さい(afwegr/afw<1)場合、つまり燃焼室1
5内の空燃比が既にλ>1になるとともに、EGR通路
37内の空燃比が未だλ1≦の状態にあって、EGR弁
付近のEGRガス中の空燃比afwegrに相当する還流ガス
濃度が、上記最終目標空燃比afwよりも濃い場合には、
EGR空燃比補正量cafwegr(=afwegr/afw)が1より
も小さな値となる。
【0098】一方、成層燃焼モードから均一燃焼モード
への燃焼モードの切替過渡期にあって、上記最終目標空
燃比afwに対するEGR管内空燃比afwegrの比率が1よ
り大きい(afwegr/afw>1)場合、つまり燃焼室15
内の空燃比がλ≦1であるとともに、EGR通路37内
の空燃比がλ>1であって、EGR弁付近のEGRガス
中の空燃比afwegrに相当する還流ガス濃度が、上記最終
目標空燃比afwよりも薄い場合には、EGR空燃比補正
量cafwegr(=afwegr/afw)が1よりも大きな値とな
る。
【0099】最終EGR流量演算手段60uは、上記目
標EGR流量演算手段60iにおいて求められた目標E
GR流量qegrobj0と、上記排気還流量補正手段60tに
おいて求められたEGR空燃比補正量cafwegrとに基づ
き、最終目標EGR流量qegrobj(=qegrobj0×cafweg
r)、つまり補正された目標EGR量を、演算により求
めるように構成されている。
【0100】基本EGR弁有効流路面積演算手段60v
は、上記最終EGR流量演算手段60uで求められた最
終目標EGR流量qegrobjと、排気圧センサ70により
検出された排気通路34内における排気圧力pexと、上
記予測吸気圧設定手段56fで求められた予測吸気圧bo
ostestと、上記EGR気体密度演算手段60qで求めら
れたEGR気体密度ganmarとに応じ、次式(17)に基
づいて排気ガスの還流量を確保するために必要な基本E
GR弁有効流路面積(EGR通路37の有効流路面積)
eaegrvを算出するものである。
【0101】 eaegrv=QAREACNV×qegrobj/√(2×(pex−boostest)×ganmar)…(17) 上記演算式において、QAREACNVは単位調整変数である。
【0102】最終EGR弁流量演算手段60wは、上記
基本EGR弁有効流路面積演算手段60vにおいて求め
られた基本EGR弁有効流路面積eaegrvと、ベンチテス
トデータに対応したスロットル弁28の上流部と下流部
との差圧KRGTVOPBと、ベンチテストデータに対応したス
ロットル弁設置部の吸気密度KRGTVOGNとに応じ、下記式
(18)に基づいて最終EGR流量qegrvを算出するよ
うに構成されている。
【0103】 qegrv=eaegrv/QAREACNV×√(2×KRGTVOPB×KRGTVOGN) …(18) 上記演算式(18)において、QAREACNVは単位調整変数
である。
【0104】目標EGRステップ数設定手段60xは、
上記最終EGR流量qegrvをパラメータとして予め設定
されたマップから、上記最終EGR弁流量演算手段60
wにおいて求められた最終EGR流量qegrvに対応した
目標EGR弁ステップ数ptを読み出して設定するもので
ある。なお、上記最終EGR弁流量演算手段60wを省
略し、基本EGR弁有効流路面積演算手段60vで求め
られた基本EGR弁有効流路面積eaegrvに基づき、上記
目標EGR弁ステップ数ptを読み出して設定するように
してもよい。
【0105】また、実EGR差圧演算手段60yは、上
記排気圧センサ70により検出された排気圧力pexと、
上記ブーストセンサ40により検出された吸気圧力boos
tとに基づき、実EGR差圧dpegr(=pex−boost)を算
出するものである。
【0106】実EGR流量演算手段60zは、上記実E
GR基本流量設定手段60mにおいて求められた実EG
R基本流量qegrと、上記実EGR差圧演算手段60yに
おいて求められた実EGR差圧dpegrと、上記EGR気
体密度演算手段60qにおいて求められたEGR気体密
度ganmarと、上記ベンチテストデータに対応したEGR
ガスの気体密度KREGRVGNと、ベンチテストデータに対応
したEGR弁38の上流側圧力と下流側圧力との差圧KR
EGRVPBとに基づき、下記式(19)により実EGR流量
qegr0を算出するものである。
【0107】 qegr0=qegr×√(2×dpegr×KREGRVGN)/(ganmar×KREGRVPB)…(19) また、上記ECU50には、インジェクタ22からの燃
料噴射を制御する手段として、目標空燃比作成手段6
2、運転モード設定手段63、噴射量演算手段65、噴
射時期設定手段66および噴射制御手段67が設けられ
ている。
【0108】上記目標空燃比作成手段62は、燃料噴射
量等の制御に用いる目標空燃比を求めるものであり、よ
り具体的には図9に示すように、主として過渡時に利用
される目標空燃比afw0を演算する目標空燃比演算手段6
2aと、主として定常時に利用される目標空燃比afwbd
を設定する目標空燃比設定手段62bと、過渡状態検出
のため吸気量制御用の目標空燃比afwbと上記目標空燃比
演算手段62aで演算された目標空燃比afw0との偏差da
fwbを演算する手段62cと、最終的な目標空燃比afwの
決定手段62dとを有している。
【0109】上記目標空燃比演算手段62aは、第2の
目標図示平均有効圧力Piobjdもしくはこれに対応する仮
想充填効率ceimgdと実充填効率ceとから、下記の演算式
(20a),(20b)基づいて目標空燃比afw0を算出
する。
【0110】 afw0=14.7×K1×ce/{K4×(Piobjd−K2)}−K3 …(20a) [=14.7×ce/(K4×ceimgd)−K3] …(20b) 上記演算式は、理論空燃比と、実充填効率ceと、第2の
目標平均有効圧力Piobjdもしくは仮想充填効率ceimgd
と、前記の燃費改善効果分を加味する係数K2,K3,K4と
を用い、実充填効率の下で目標負荷に対応するトルクが
得られるような空燃比を求めるようにしたものである。
【0111】また、上記目標空燃比設定手段62bは、
目標空燃比afwbdを、運転モード設定手段63で設定さ
れる燃焼モードmodf別に設定するものであり、成層燃焼
モードでは第2の目標図示平均有効圧力Piobjdとエンジ
ン回転数neとに応じ、予め作成されているマップから目
標空燃比afwbdを求め、均一燃焼モードでは目標空燃比a
fwbdを、理論空燃比(λ=1)または理論空燃比よりも
リッチ(λ≦1)とするようになっている。
【0112】最終的な目標空燃比afwの決定手段62d
は、上記偏差演算手段62cにおいて求められた偏差da
fwbが大きくなる過渡時に、目標空燃比演算手段62a
で演算された目標空燃比afw0を最終的な目標空燃比afw
とし、上記偏差dafwbが小さい定常時に、設定手段62
bで設定された目標空燃比afwbdを最終的な目標空燃比a
fwとする。
【0113】なお、目標空燃比作成手段62を、上記の
ように構成しているのは出力上の要求とエミッション性
とを満足するためであるが、より簡単な構成としては上
記設定手段62b及び偏差演算手段62cを省略し、常
に目標空燃比演算手段62aで求められた目標空燃比af
w0を燃料噴射量制御用等の最終的な目標空燃比とするよ
うにしてもよい。
【0114】図9中の演算手段80は、燃焼モードの過
渡切替時における点火時期補正のための空燃比偏差dafw
bd,dafw0を演算する手段であり、運転モード設定手段
63で設定されるモードmodfが均一燃焼モードでない場
合は、上記定常時用の目標空燃比afwbdに基づいてdafwb
d(=afwbd−afw)を算出し、均一燃焼モードの場合
は、燃料噴射量等制御用の目標空燃比afw0に基づいてda
fw0(=afw0−afw)を算出するようになっている。
【0115】運転モード設定手段63は、高速応答系の
制御値を決定するために用いる燃焼モードmodfを、燃料
噴射量等制御用の目標空燃比afw0とエンジン回転数neと
に応じて設定する。すなわち、上記目標空燃比演算手段
62aで演算された目標空燃比afw0が均一下限基準値
(例えばA/F=18)より小さい値となる場合は均一
燃焼モードとし、上記目標空燃比afw0が均一下限基準値
よりも大きい値となるときは成層燃焼モードとするよう
になっている。
【0116】噴射量演算手段65は、上記エアフローセ
ンサ26の出力から求められた充填効率ceと、上記目標
空燃比作成手段62により求められた目標空燃比afw0と
に基づいて燃料噴射量を算出するとともに、これに対応
した噴射パルスTiを求めるものである。
【0117】噴射時期設定手段66は、燃料噴射時期を
上記運転モード設定手段63で設定される燃焼モード別
に設定するものであり、成層燃焼モードでは第2の目標
図示平均有効圧力Piobjdとエンジン回転数neとに応じて
予め作成されているマップから圧縮行程噴射用の噴射時
期thtinjdを求め、均一燃焼モードではエンジン回転数n
eに応じて予め作成されているテーブルから吸気行程噴
射用の噴射時期thtinjpを求める。
【0118】噴射制御手段67は、上記噴射時期設定手
段66により設定された噴射時期に、上記噴射量演算手
段65により演算された噴射パルス幅Tiに相当する時間
だけインジェクタ22を作動させるように、噴射パルス
を出力する。
【0119】また、点火時期を制御する手段としては、
基本点火時期および補正量を設定する設定手段68と、
点火時期演算手段69を有する。
【0120】上記基本点火時期および補正量の設定手段
68は、上記運転モード設定手段63で設定される燃焼
モードmodf別に基本点火時期thtigbや、各種の点火時期
補正値を設定する。
【0121】上記基本点火時期および補正量の設定手段
68による設定を具体的に説明すると、成層燃焼モード
では、第2の目標図示平均有効圧力Piobjdとエンジン回
転数neとに応じて予め作成されているマップから基本点
火時期thtigbを求めるとともに、上記目標空燃比偏差da
fwbdに応じた補正値thtigwdを予め作成されているテー
ブルから求める。目標空燃比偏差dafwbd(=afwbd−af
w)に応じた補正は、基本点火時期thtigbが予め定常運
転時の目標空燃比afwbdにおける目標図示平均有効圧力P
iobjdおよびエンジン回転数neに応じて定められている
のに対し、過渡時にはafw0が最終的な目標空燃比afwと
されて定常時とは空燃比のずれが生じるので、それに見
合うように点火時期を調整するものである。
【0122】均一燃焼モードでは、充填効率ceとエンジ
ン回転数neとに応じて予め作成されているマップから基
本点火時期thtigbを求めるとともに、EGR時の補正値
thtigweを充填効率ceとエンジン回転数neとに応じて予
め作成されているマップから求め、上記目標空燃比偏差
dafw0に応じた補正値thtigwdおよびエンジン水温thwに
応じた冷間時補正値thtigwcをそれぞれ予め作成されて
いるテーブルから求める。目標空燃比偏差dafw0(=afw
0−afw)に応じた補正は、目標空燃比afw0が理論空燃比
よりリーン側の所定値以下となったときNOx発生量が
増大する空燃比を通ることを避けるために最終的な目標
空燃比afwが理論空燃比とされる場合に、その空燃比変
更に見合うように点火時期を調整するものである。
【0123】点火時期演算手段69は、上記基本点火時
期および補正量の設定手段68において設定された基本
噴射量thtigbおよび各種補正値から点火時期thtigを次
式(21)のように求める。
【0124】 thtig=thtigb−(thtigwd+thtigwe+thtigwc) …(21) 図10は、上記ECU50により行われる各種演算、制
御等の処理のうち、主として上記EGR弁制御量演算手
段60において実行される制御動作をフローチャートで
示したものである。
【0125】このフローチャートがスタートすると、ま
ず上記目標EGR流量演算手段60iにおいて、上記基
本EGR弁ステップ数pbaseに対応したEGR基本流量q
egrbseと、基本吸気圧boostbおよび基本排気圧pexbseに
対応したEGR基本差圧dpegrbと、基本排気温度thexb
等に対応したEGR基本気体密度ganmaexb等に応じ、上
記式(12)に基づいて、目標EGR流量qegrobj0が算
出される(ステップS1)。次いで、3行程前の目標空
燃比afw3oが読み出されるとともに(ステップS2)、
上記排気管内空燃比演算手段60rにおいて、上記3行
程前の目標空燃比afw3o等に応じ、上記式(15)に基
づいて排気管内空燃比afwexが算出される(ステップS
3)。
【0126】また、上記EGR管内遅れ係数設定手段6
0jにおいて、上記目標EGR流量qegrobj0に基づき、
EGR管内空燃比遅れ係数KCCRが設定された後(ステッ
プS4)、上記EGR管内空燃比演算手段60sにおい
て、上記EGR管内空燃比遅れ係数KCCRおよび排気管内
空燃比afwex等に応じ、上記式(16)に基づいてEG
R管内空燃比afwegrが算出される(ステップS5)。
【0127】さらに、上記排気還流量補正手段60tに
おいて、上記EGR管内空燃比afwegrと、最終目標空燃
比afwとに基づき、EGR空燃比補正量cafwegr(=afwe
gr/afw)が算出された後(ステップS6)、このEG
R空燃比補正量cafwegrと、上記目標EGR流量qegrobj
0とに基づき、上記最終EGR流量演算手段60uにお
いて、最終目標EGR流量qegrobj(=qegrobj0×cafwe
gr)が算出される(ステップS7)。
【0128】そして、上記基本EGR弁有効流路面積演
算手段60vにおいて、上記最終目標EGR流量qegrob
j、排気圧力pexの検出値、予測吸気圧boostestおよびE
GR気体密度ganmarに応じ、上記式(17)に基づいて
基本EGR弁有効流路面積eaegrvが算出されるとともに
(ステップS8)、この基本EGR弁有効流路面積eaeg
rv等に応じ、上記式(18)に基づいて最終EGR流量
qegrvが、上記最終EGR弁流量演算手段60wにより
算出される(ステップS9)。
【0129】さらに、上記目標EGRステップ数設定手
段60xにおいて、上記最終EGR流量qegrvに対応し
た目標EGR弁ステップ数ptを設定した後(ステップS
10)、この目標EGR弁ステップ数ptに対応した制御
信号をステップモータからなるEGR弁38用のアクチ
ュエータに出力することにより、このEGR弁38を駆
動してその開度を制御する(ステップS11)。
【0130】次に、上記スロットル弁開度演算手段56
等において実行される制御動作を、図11に示すフロー
チャートに基づいて説明する。上記制御動作がスタート
すると、まず目標体積効率演算手段60aにおいて、エ
ンジン回転数neおよび目標充填効率ceimgに応じ、目標
体積効率veobjを算出するとともに(ステップS2
1)、上記目標吸気流量演算手段56bにおいて、目標
体積効率veobj、エンジン回転数neおよび各吸気密度gan
map,ganma等に応じ、上記式(4)に基づいて目標吸気
量qair0を算出する(ステップS22)。
【0131】次いで、上記実EGR基本流量設定手段6
0mにおいて、実EGR弁ステップ数egrpに基づき、実
EGR基本流量qegrを設定するとともに(ステップS2
3)、上記実EGR差圧演算手段60yにおいて、排気
圧力pexの検出値と、吸気圧力boostの検出値との偏差か
らなる実EGR差圧dpegr(=pex−boost)を算出した
後(ステップS24)、この実EGR差圧dpegr、上記
実EGR基本流量qegrおよびEGR気体密度ganmr等に
応じ、上記式(19)に基づいて上記実EGR流量演算
手段60zにより、実EGR流量qegr0を算出する(ス
テップS25)。
【0132】また、排気管内空燃比演算手段60rにお
いて、3行程前の目標空燃比afw3oおよび上記実EGR
差圧dpegr等に応じ、式(15)に基づいて排気管内空
燃比afwexを算出した後(ステップS26)、この排気
管内空燃比afwexおよびEGR管内遅れ係数KCCR等に応
じ、上記式(16)に基づいてEGR管内空燃比演算手
段60sによりEGR管内空燃比afwegrを算出する(ス
テップS27)。
【0133】次いで、吸気量補正手段56cにおいて、
上記実EGR流量演算手段60zにより算出された実E
GR流量qegr0、吸気量制御用の目標空燃比afwbおよび
上記実EGR管内空燃比afwegr等に応じ、上記式(5)
基づいてEGR空燃比補正流量qairexを算出した後(ス
テップS28)、上記目標吸気流量演算手段56bで算
出された目標吸気流量qair0を、上記EGR空燃比補正
流量qairexに基づいて補正することにより、補正後の最
終目標吸気流量qair(=qair0−qairex)を算出する
(ステップS29)。
【0134】また、基本新気側有効流路演算手段56g
において、上記補正後の最終目標吸気流量qair、エアフ
ロー部の吸気密度ganmapおよび予測吸気圧boostest等に
応じ、上記式(6)に基づいて基本新気側有効流路面積
eaairを算出した後(ステップS30)、目標スロット
ル弁有効流路面積演算手段56lにおいて、上記基本新
気側有効流路面積eaair、スロットル弁漏れ有効流路面
積ealeak、バイパスエア弁有効流路面積eabacvおよびI
SC弁有効流路面積eaiscvに応じ、上記式(10)に基
づいて目標スロットル弁有効流路面積eatvoを算出する
(ステップS31)。
【0135】さらに、吸気損失補正係数設定手段56m
において、上記目標スロットル弁有効流路面積eatvoお
よびエンジン回転数neに対応した吸気損失補正係数ealo
stを設定するとともに(ステップS32)、最終スロッ
トル弁有効流路面積演算手段56nにおいて、上記目標
スロットル弁有効流路面積eatvoと、上記吸気損失補正
係数ealostとに基づき、最終スロットル弁有効流路面積
eatvof(=eatvo×ealost)を算出する(ステップS3
3)。
【0136】次いで、目標スロットル弁開度設定手段5
6oにおいて、上記最終スロットル弁有効流路面積eatv
ofに対応した目標スロットル弁開度tvoobjを設定した後
(ステップS34)、この目標スロットル弁開度tvoobj
に対応した制御信号を上記スロットル弁駆動用のモータ
27に出力することにより、スロットル弁28を駆動し
てその開度を制御する(ステップS35)。
【0137】以上のような制御装置を備えた当実施形態
の筒内噴射式エンジンでは、燃焼モードとして成層燃焼
モードと均一燃焼モードとが運転状態に応じて設定され
る。そして、成層燃焼モードでは空燃比が理論空燃比と
比べて大幅にリーンとされた状態で成層燃焼が行われる
ことにより燃費が大幅に改善され、均一燃焼モードで
は、空燃比が略理論空燃比ないし理論空燃比よりも小さ
いリッチとされた状態で吸気行程噴射により均一燃焼が
行われる。また、排気通路34内の排気ガスの一部が、
上記EGR通路37を介して吸気通路24に還流される
とともに、このEGR通路37に設けられたEGR弁3
8の開度が運転状態に応じて制御されることにより、エ
ミッション性を良好状態に維持するように排気ガスの還
流量が調節される。
【0138】そして、上記EGR管内空燃比演算手段6
0sからなる還流ガス濃度検出手段により、EGR弁3
8付近のEGRガス中の空燃比に相当する還流ガス濃
度、つまりEGR管内空燃比afwegrを求めるとともに、
このEGR管内空燃比afwegrと、上記切替過渡期におけ
る燃焼室15内の目標空燃比(最終目標空燃比)afwと
を上記排気還流量補正手段60tにおいて比較し、EG
R管内空燃比afwegrが目標空燃比afwよりも濃い場合に
はEGR弁38を閉方向に駆動し、EGR管内空燃比af
wegrが上記最終目標空燃比afwよりも薄い場合にはEG
R弁38を開方向に駆動して排気ガスの還流量を補正す
るように構成したため、上記燃焼モードの切替過渡期
に、吸気通路24に還流される排気ガス中の還流ガス濃
度を適正に制御することができる。
【0139】例えば燃焼室15内の空燃比が、略理論空
燃比ないし理論空燃比よりも小さいリーン状態に設定さ
れた均一燃焼モードから、燃焼室15内の空燃比が、理
論空燃比よりも大きいリーンに設定された成層燃焼モー
ドに運転状態が変化した場合には、この時点から燃焼室
15内の最終目標空燃比afwが急上昇するため、これに
対応して図12(a)に示すように、上記燃焼モードの
切替時点t1で、スロットル弁28の開度TVOを増大
させる制御が実行される。この結果、上記燃焼室15内
の空燃比A/Fは、図12(b)に示すように、上記燃
焼モードの変化時点t1の直後に上昇し始める。これに
対し、EGR弁38の近傍におけるEGRガスの空燃比
に対応する還流ガス濃度、つまり上記EGR管内空燃比
演算手段60sにおいて求められるEGR管内空燃比af
wegrは、所定の時間差をもって変化し、上記切替時点t
1から所定時間が経過した時点t2で、上昇し始めるこ
とになる。
【0140】上記均一燃焼モードから成層燃焼モードへ
の切替過渡期における初期段階では、上記EGR管内空
燃比afwegrが燃焼室15内の最終目標空燃比afwよりも
濃い状態(afwegr/afw<1)にあるので、図12
(c)の実線で示すように、上記EGR弁38の開度E
GRVOを減少させる方向に駆動する補正が実行される
ことになる。このため、上記燃焼モードの切替時点t1
で、スロットル弁28を開放操作するのと同時に、EG
R弁38を開放状態に移行させるように構成した一般的
な制御例(図12(c)の破線参照)のように、排気通
路34内に存在する多量の既燃ガス(CO2)が吸気通
路24に還流されることにより、燃焼室15内に導入さ
れる新気量(O2)が不足するという事態(図13
(b)参照)が生じるのを防止しつつ、図13(a)に
示すように、上記還流ガス濃度(EGR管内空燃比afwe
gr)に対応した適量の排気ガスを還流することができ
る。
【0141】したがって、上記燃焼モードの切替過渡期
に燃焼室15内の新気量が不足するという事態の発生を
防止して燃焼安定性を良好状態に維持することができ
る。しかも、上記均一燃焼モードから成層燃焼モードへ
の切替時に、スロットル弁28の開度が充分に充分に大
きくなって燃焼モードの移行が終了するまで、EGR弁
38を開放状態に移行させるのを待機するように構成し
た従来技術のように、吸気通路24内に還流される排気
ガス量が不足することに起因してエミッション性が低下
するという事態を生じることがなく、適正量の排気ガス
を吸気通路24に還流することにより、エミッション性
を改善できるという利点がある。
【0142】逆に、燃焼室15内の空燃比が、理論空燃
比よりも大きいリーン状態に設定された成層燃焼モード
から、燃焼室15内の空燃比が、略理論空燃比ないし理
論空燃比よりも小さいリーン状態に設定された均一燃焼
モードへの切替過渡期における初期段階では、上記EG
R管内空燃比afwegrによって表されるEGR弁38の近
傍における排気ガス中の還流ガス濃度が燃焼室15内の
最終目標空燃比afwよりも薄い値になる(afwegr/afw>
1)傾向があるので、上記EGR弁38の開度を増大さ
せる補正が実行されることになる。
【0143】したがって、図14(b)に示すように、
上記成層燃焼モードから均一燃焼モードへの切替時点t
2で、EGR弁38を閉じる方向に駆動するとともに、
このEGR弁38の閉止操作が終了した時点t3で、ス
ロットル弁28を閉じる方向に駆動するように構成した
従来技術のように、上記EGR弁38の閉止操作に応じ
てEGR通路37から吸気通路24に還流される排気ガ
ス量が急減してエミッション性が悪化するとともに、燃
焼モードの切替に長時間を要するという事態を生じるこ
とがなく、図14(a)に示すように、上記燃焼モード
の切替過渡期に適量の排気ガスを吸気通路24に還流さ
せることにより、エミッション性を改善しつつ、上記燃
焼モードの切替を迅速に行うことができるという利点が
ある。
【0144】特に、上記実施形態では、燃焼モードの切
替過渡期に、排気還流制御弁付近のEGRガス中の還流
ガス濃度、つまり上記EGR管内空燃比演算手段60s
からなる還流ガス濃度検出手段により求められるEGR
管内空燃比afwegrと、上記吸気量制御用の空燃比afwbと
を還流排気量補正手段60tにおいて比較し、上記EG
R管内空燃比afwegrが目標空燃比afwbよりも濃い場合
(afwegr/afwb<1)には、吸気量を増大させる方向に
スロットル弁28を駆動し、上記EGR管内空燃比afwe
grが目標空燃比afwrよりも薄い場合(afwegr/afwb>
1)には吸気量を減少させる方向に上記スロットル弁2
8からなる吸気量調節手段を駆動して吸気量を補正する
ように構成したため、上記燃焼モードの切替過渡期に、
燃焼室15内の空燃比制御を、より適正に実行できると
いう利点がある。
【0145】例えば燃焼室15内の空燃比が、略理論空
燃比ないし理論空燃比よりも小さいリーン状態に設定さ
れた均一燃焼モードから、燃焼室15内の空燃比が、理
論空燃比よりも大きいリーン状態に設定された成層燃焼
モードへの切替過渡期の初期段階では、上記目標空燃比
afwbが急上昇するのに対し、上記EGR管内空燃比afwe
grは、所定の時間差をもって上昇し始めるため、図12
(a)の破線で示す一般的な制御に比べ、同実線で示す
ように、スロットル弁28の開度を増大させる補正が実
行され、これによって図13(a)に示すように、燃焼
室15内に供給される新気量を充分に確保して燃焼安定
性を向上させることができる。しかも、上記スロットル
弁28の開度を増大させる補正が行われて燃焼室15内
に供給される新気量が増加すると、これに対応してEG
R通路37から吸気通路24内に還流される排気ガス量
が低減されるため、上記燃焼モードの切替過渡期におけ
る燃焼安定性が、さらに効果的に向上することになる。
【0146】一方、燃焼室15内の空燃比が理論空燃比
よりもリーン状態に設定された成層燃焼モードから、上
記空燃比がリーン状態に設定された均一燃焼モードへの
切替過渡期の初期段階では、図14(a)に示すよう
に、スロットル弁28の開度を減少させて新気量を減少
させる補正が実行されることにより、上記均一燃焼モー
ドに早期に移行させることができる。しかも、上記のよ
うにスロットル弁28の開度を減少させる補正が行われ
ることにより、EGR通路37を介して吸気通路24内
に還流される排気ガス量が増大されるため、上記燃焼モ
ードの切替過渡期におけるエミッション性を効果的に改
善することができる。
【0147】また、上記実施形態では、還流ガス濃度検
出手段を構成する上記EGR管内空燃比演算手段60s
において、燃焼室15内の目標空燃比と、EGR弁38
の開度に基づき、EGR弁38付近のEGRガス中の空
燃比に対応する還流ガス濃度、つまりEGR管内空燃比
afwegrを算出して求めるように構成したため、上記燃焼
モードの切替過渡期における上記EGR管内空燃比afwe
grを正確に求めることができる。
【0148】具体的には、上記排気管内空燃比演算手段
60rにおいて求められた排気通路34内の還流ガス濃
度、つまり3サイクル前の目標空燃比afw3oに基づいて
算出されたEGR通路37の接続部位における排気管内
空燃比afwexと、上記EGR管内遅れ係数設定手段60
jにより求められた上記接続部位からEGR弁38付近
までの一次遅れに対応した値、つまりEGR弁38の開
度に対応した目標EGR流量qegrobj0に基づいて求めら
れたEGR管内空燃比遅れ係数KCCRとに応じ、上記EG
R弁38の付近におけるEGRガス中の空燃比に相当す
るEGR管内空燃比afwegrを算出するように構成したた
め、上記燃焼モードの切替過渡期に刻々と変化する上記
EGR管内空燃比afwegrを、その変化状態に対応させて
正確に求めることができる。
【0149】すなわち、燃焼室15内において発生した
燃焼ガスが、排気通路34に導出されて上記EGR通路
37の接続部位に到達するまでに所定時間を要するの
で、燃焼モードの切替過渡期には、その時点の燃焼室1
5内における空燃比と、上記EGR通路37の接続部位
における既燃ガスの空燃比に相当する値との間に、所定
のずれが生じることになる。このため、上記のように数
サイクル前、例えば3サイクル前の目標空燃比afw3oに
基づいて上記EGR通路37の接続部位における既燃ガ
スの濃度を算出するように構成することにより、上記ず
れを解消して上記部位の還流ガス濃度を正確に求めるこ
とができる。
【0150】また、上記還流ガスがEGR通路37の接
続部位からEGR弁38の設置部に到達するまでの時間
は、EGR弁38の開度に対応した排気ガスの還流量に
応じて変化するため、上記EGR管内遅れ係数設定手段
60jにおいて上記排気ガスの還流量に対応したEGR
管内空燃比遅れ係数KCCRを求め、この係数KCCRに基づい
て上記EGRガス中の空燃比に相当するEGR管内空燃
比afwegrを算出することにより、上記燃焼モードの切替
過渡期に刻々と変化する還流ガス濃度を正確に検出する
ことができる。
【0151】さらに、上記実施形態に示すように、排気
還流量制御手段60において、補正後の最終目標EGR
流量qegrobjと、スロットル弁(吸気量調節手段)28
の下流側における吸気圧力boostestと、排気圧力pexお
よび排気温度thex等に応じて求められたEGR気体密度
ganmarとに基づいて、排気ガスの還流量を確保するため
に必要な基本EGR弁有効流路面積(EGR通路37の
有効流路面積)eaegrvを算出し、この基本EGR弁有効
流路面積eaegrvに基づいてEGR弁38の開度を設定す
るための目標EGR弁ステップ数ptを算出するように構
成した場合には、燃焼室15内に導入される吸気の状態
および排気通路34内に導出される排気の状態に対応し
た正確な排気還流制御を実行して最適量の排気ガスを吸
気通路24に還流できるという利点がある。
【0152】また、上記実施形態では、スロットル弁開
度演算手段56からなる吸気量制御手段において、目標
吸気流量qairと、スロットル弁28の下流部における予
測吸気圧boostestと、吸気量調節手段の上流側における
吸気温度および大気圧とに応じて求められたエアフロー
部の吸気密度ganmaとに基づき、吸気量を確保するため
に必要な基本新気側有効流路面積(吸気通路24の有効
流路面積)eaairを算出し、この基本新気側有効流路面
積eaairから上記スロットル弁28の作動量を設定する
ための目標スロットル弁開度tvoobjを求めるように構成
したため、外気の状態等に対応した正確な吸気量制御を
実行することができる。
【0153】しかも、上記排気還流量制御手段60にお
いて実行される排気還流制御と、上記スロットル弁開度
演算手段56において実行される吸気量制御とを、同一
条件下で協調して実行することができるため、各アクチ
ュエータの作動特性の相違や、環境変化に対応させて適
正に空燃比制御を実行することができるとともに、排気
ガスの還流量を最適値に設定してエミッション性を改善
しつつ、燃費性能をさらに効果的に向上させることがで
きるという利点がある。
【0154】なお、上記実施形態では、吸気量制御手段
によりスロットル弁28からなる吸気量調節手段の作動
量を制御して吸気通路24から燃焼室15内に導入され
る吸気量を調節するようにした例について説明したが、
上記スロットル弁28に代え、アイドル時等に吸気量を
調節するためのISC弁36の開度を調節し、あるいは
図外のVVL(バルブリフト量調節手段)により吸気弁
17のリフト量を調節することにより、上記吸気量を調
節することも可能である。
【0155】また、上記EGR管内空燃比演算手段60
sからなる還流ガス濃度検出手段により、EGR弁付近
のEGRガス中の空燃比に相当する還流ガス濃度を算出
して求めるように構成された上記実施形態に代え、EG
R通路37に設けられたO2センサ等により上記還流ガ
ス濃度を直接検出するようにしてもよい。
【0156】上記実施形態では、燃焼モードの切替過渡
期であるか否かに拘わらず、上記還流排気量補正手段6
0tにより、還流ガス濃度に応じた排気ガスの還流量の
補正を行うように構成した例について説明したが、リッ
チ状態の燃焼モードからリーン状態の燃焼モードへの切
替時にのみに上記排気ガスの還流量の補正を実行し、あ
るいはリッチ状態のモードからリーン状態の燃焼モード
への切替時およびリーン状態のモードからリッチ状態の
燃焼モードへの切替時にのみに上記排気ガスの還流量の
補正を実行するように構成してもよい。
【0157】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、吸気通路
の途中に設けられた吸気量調節手段と、燃料の噴射量を
調節する燃料噴射量調節手段と、上記吸気量調節手段の
動作に応じて圧力が変化する吸気通路に接続された排気
還流通路と、この排気還流通路に設けられたEGR弁
と、燃焼室内の空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン
状態と略理論空燃比ないし理論空燃比よりも小さいリッ
チ状態とに燃焼モードを切り替えるように制御するモー
ド切替手段と、少なくとも燃焼室内の空燃比が理論空燃
比よりも大きいリーン状態の燃焼モードでEGR弁を所
定量開弁して排気ガスを還流させるように制御する排気
還流量制御手段とを備えたエンジンの制御装置におい
て、上記燃焼モードの切替過渡期に、EGR弁付近のE
GRガス中の空燃比に相当する還流ガス濃度を求める還
流ガス濃度検出手段と、この還流ガス濃度と上記切替過
渡期における燃焼室内の目標空燃比とを比較して上記還
流ガス濃度が目標空燃比よりも濃い場合にはEGR弁の
開度を減少させる方向に駆動し、上記還流ガス濃度が目
標空燃比よりも薄い場合にはEGR弁の開度を増大させ
る方向に駆動して排気ガスの還流量を補正する排気還流
量補正手段とを設けたため、上記燃焼モードの切替過渡
期に、吸気通路に還流される排気ガス中の還流ガス濃度
を適正に制御して、燃焼安定性を確保するとともに、エ
ミッション性を効果的に改善しつつ、上記燃焼モードの
切替を迅速に行うことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンジンの制御装置の実施形態を
示す全体概略図である。
【図2】燃焼モードの領域設定を示す説明図である。
【図3】ECUの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】図2中の目標負荷設定手段の具体的構成を示す
ブロック図である。
【図5】アクセル操作量およびエンジン回転数と仮想体
積効率との対応関係を示す説明図である。
【図6】スロットル弁開度演算手段の具体的構成を示す
ブロック図である。
【図7】EGR弁制御量演算手段の具体的構成を示すブ
ロック図である。
【図8】EGR弁制御量演算手段の具体的構成を示すブ
ロック図である。
【図9】噴射量等制御用の目標空燃比作成手段の具体的
構成を示すブロック図である。
【図10】EGR弁の開度制御動作を示すフローチャー
トである。
【図11】スロットル弁の開度制御動作を示すフローチ
ャートである。
【図12】弁開度と空燃比の変化状態を示すタイムチャ
ートである。
【図13】均一燃焼モードから成層燃焼モードへの切替
時における気筒内充填量の変化状態を示すタイムチャー
トである。
【図14】成層燃焼モードから均一燃焼モードへの切替
時における気筒内充填量の変化状態を示すタイムチャー
トである。
【符号の説明】
10 エンジン本体 15 燃焼室 24 スロットル弁(吸気量調節手段) 37 EGR通路(排気還流通路) 38 EGR弁 50 ECU 53 燃焼モード設定手段(モード切替手段) 56 スロットル弁開度演算手段(吸気量制御手段) 60 EGR弁制御手段(排気還流量制御手段) 60s 還流ガス濃度検出手段(EGR管内空燃比演算
手段) 60t 排気還流量補正手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 9/02 351 F02D 9/02 351M 11/10 11/10 F 21/08 301 21/08 301A 301E 41/02 301 41/02 301E 43/00 301 43/00 301E 301K 301N F02M 25/07 550 F02M 25/07 550F 550M 550R Fターム(参考) 3G062 AA03 AA07 BA02 BA04 BA05 BA06 CA03 CA06 DA01 DA02 EA04 EA10 ED01 ED04 ED10 FA02 FA05 FA06 FA09 FA23 GA01 GA02 GA04 GA06 GA08 GA12 GA13 GA15 GA17 GA21 GA22 3G065 AA04 AA11 CA12 DA05 DA06 DA15 EA02 EA03 EA07 EA10 FA12 GA00 GA01 GA05 GA06 GA09 GA10 GA14 GA26 GA27 GA41 GA46 HA06 HA21 HA22 JA04 JA09 JA11 KA02 3G084 AA03 AA04 BA05 BA06 BA09 BA13 BA15 BA20 CA02 CA03 CA04 DA10 EA04 EA11 EB08 EB12 EB25 EC01 EC03 FA00 FA01 FA02 FA07 FA10 FA11 FA20 FA29 FA33 FA37 3G092 AA06 AA09 AA13 AA17 BA01 BA04 BB01 BB06 BB08 DC03 DC04 DC08 DE03S DG04 DG07 EA01 EA02 EA06 EB01 EB05 EC01 EC09 FA15 GA02 GA03 GA16 HA01X HA01Z HA04Z HA05Z HA06X HB03X HB03Z HD01Z HD05X HD05Z HD07X HD07Z HD08Z HE01Z HE08Z HF03Z HF08Z 3G301 HA04 HA06 HA13 HA16 JA21 KA05 KA06 KA23 LA03 LA04 LB04 LC03 LC06 MA01 MA11 MA18 NA01 NB03 NC02 ND01 NE01 NE06 NE14 NE15 PA01A PA01Z PA07Z PA09Z PA10Z PA11A PA11Z PB08A PB08Z PD02A PD02Z PD11Z PD14Z PD15A PD15Z PE01Z PE08Z PF03Z PF11Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸気通路の途中に設けられた吸気量調節
    手段と、燃料の噴射量を調節する燃料噴射量調節手段
    と、上記吸気量調節手段の動作に応じて圧力が変化する
    吸気通路に接続された排気還流通路と、この排気還流通
    路に設けられたEGR弁と、燃焼室内の空燃比が理論空
    燃比よりも大きいリーン状態と略理論空燃比ないし理論
    空燃比よりも小さいリッチ状態とに燃焼モードを切り替
    えるように制御するモード切替手段と、少なくとも燃焼
    室内の空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン状態の燃
    焼モードでEGR弁を所定量開弁して排気ガスを還流さ
    せるように制御する排気還流量制御手段とを備えたエン
    ジンの制御装置において、上記燃焼モードの切替過渡期
    に、EGR弁付近の還流排気ガス中の空燃比に相当する
    還流ガス濃度を求める還流ガス濃度検出手段と、この還
    流ガス濃度と上記切替過渡期における燃焼室内の目標空
    燃比とを比較して上記還流ガス濃度が目標空燃比よりも
    濃い場合にはEGR弁の開度を減少させる方向に駆動
    し、上記還流ガス濃度が目標空燃比よりも薄い場合には
    EGR弁の開度を増大させる方向に駆動して排気ガスの
    還流量を補正する排気還流量補正手段とを備えたことを
    特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 【請求項2】 少なくとも燃焼室内の空燃比が略理論空
    燃比ないし理論空燃比よりも小さいリッチ状態から、理
    論空燃比よりも大きいリーン状態への燃焼モードの切替
    過渡期に、上記排気還流量補正手段による補正を実行す
    るように構成したことを特徴とする請求項1記載のエン
    ジンの制御装置。
  3. 【請求項3】 上記還流ガス濃度検出手段は、燃焼室内
    の目標空燃比とEGR弁の開度とに基づき、上記還流ガ
    ス濃度を算出することを特徴とする請求項1または2記
    載のエンジンの制御装置。
  4. 【請求項4】 上記還流ガス濃度検出手段は、数サイク
    ル前の目標空燃比から、排気還流通路の接続部位におけ
    る排気通路内の還流ガス濃度を算出するとともに、上記
    排気還流通路の接続部位からEGR弁の設置部までのガ
    ス流動の一次遅れを加味してEGR弁付近の還流排気ガ
    ス中の還流ガス濃度を算出することを特徴とする請求項
    3記載のエンジンの制御装置。
  5. 【請求項5】 上記排気還流量制御手段は、補正後の最
    終目標EGR流量と、吸気量調節手段の下流側における
    吸気圧力と、排気圧力および排気温度とに基づいて、排
    気ガスの還流量を確保するために必要な排気還流通路の
    有効流路面積を算出し、この有効流路面積に基づいてE
    GR弁の開度を設定することを特徴とする請求項1ない
    し4のいずれかに記載のエンジンの制御装置。
  6. 【請求項6】 目標吸気流量と、吸気量調節手段の下流
    部における吸気圧力および吸気温度と、吸気量調節手段
    の上流側における吸気温度および大気圧とに基づき、吸
    気量を確保するために必要な吸気通路の有効流路面積を
    算出し、この有効流路面積から上記吸気量調節手段の作
    動量を求める吸気量制御手段を備えたことを特徴とする
    請求項5記載のエンジンの制御装置。
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