JP2002276444A - ディーゼルエンジンの制御装置 - Google Patents
ディーゼルエンジンの制御装置Info
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- Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Abstract
噴射された燃料の燃焼状態を最適にして燃焼騒音を防止
する。 【解決手段】 判定手段83は、吸気中の酸素濃度また
は酸素量の計測値の、定常運転時の目標値からのずれが
大きい運転状態であるのか、それとも前記計測値の前記
目標値からのずれが比較的小さい運転状態であるのかを
判定する。この判定結果に基づき制御手段84では、前
記計測値の前記目標値からのずれが大きい運転状態の場
合に、少ないパイロット噴射量を比較的進角側で噴射す
るとともに、パイロット噴射と主噴射の噴射間隔を短く
して圧縮上死点以前に主噴射を完了させ、前記計測値の
前記目標値からのずれが比較的小さい運転状態である場
合に、パイロット噴射量を比較的多くするとともに、パ
イロット噴射と主噴射の噴射間隔を長くしてパイロット
噴射燃料による燃焼を完全に終了させてから主噴射を行
う。
Description
ジンの制御装置、特に過渡運転時の燃焼騒音を防止する
ため、主燃料噴射に先立って小量の噴射を行ういわゆる
パイロット噴射を行うものに関する。
れ期間が長くなり、燃焼圧力の上昇率が過大になると燃
焼騒音が急激に増大することが知られている。一般に、
燃焼騒音の増大は着火遅れ期間が長くなる低温始動時
や、吸気温度が低く燃焼室温度上昇の遅れに伴う着火遅
れが生じる過渡運転時等に発生しやすい。また、ディー
ゼルエンジンでは噴射圧力の増大に伴う燃焼速度の増加
により燃焼騒音の増大が生じやすくなっている。
は、主噴射に先立って小量の燃料を噴射するパイロット
噴射を行なうことが有効なことが知られている。パイロ
ット噴射により噴射された燃料が主噴射に先立って燃焼
するため、主噴射時には筒内温度と圧力とがともに上昇
し、主噴射燃料の燃焼状態が改善される。従って、燃料
の着火遅れも短縮されるようになり燃焼騒音が増大する
ことが防止される。
噴射時期とはそれぞれ実験により設定された数値マップ
に基づいて以下の方法で決定されている。 1.メイン噴射 (1)エンジン運転状態(アクセル開度、回転速度)に
基づいて予め準備した燃料噴射量のマップから燃料噴射
量と燃料噴射圧力とを算出する。
した燃料噴射量とに基づいて予め実験により設定された
基本主噴射時期のマップから基本主噴射時期を決定す
る。
ンジンの吸気圧力、冷却水温で補正し、最終主噴射時期
を決定する。 2.パイロット噴射 (1)予め実験により設定された基本インターバル(パ
イロット噴射開始時期と主噴射開始時期との間隔)のマ
ップに基づいて、エンジン回転速度と燃料噴射量とから
基本インターバルを決定する。
て、冷却水温に基づいて定まる水温補正量を決定する。
期〕+〔基本インターバル〕+〔水温補正量〕として算
出する。
期マップ及びパイロット噴射時期決定における基本イン
ターバルマップとは、それぞれエンジン標準運転状態
(冷却水温、過給圧、吸気温度が一定の定常運転)にお
ける実験結果に基づいて作成されている。すなわち、主
噴射時期はエンジン標準運転状態において、主噴射燃料
の最も良好な燃焼状態が得られる噴射時期、パイロット
噴射時期決定における基本インターバルマップは、パイ
ロット噴射により白煙や排気性状の悪化を生じることな
く燃焼騒音を最も良好に低減できる噴射時期として実際
のエンジンを用いた実験により定められたものである。
えず加速・減速を繰り返す。特にEGR装置や過給機の
応答遅れにより、吸気中のEGR率や空気過剰率が標準
状態と異なった状態で運転されることが多く、標準状態
における噴射時期(基本主噴射時期及び基本インターバ
ル)をそのまま用いたのでは主噴射、パイロット噴射と
も良好な結果を得ることはできない。そこで、従来は主
噴射時期については過給圧と冷却水温とに基づく補正
を、またパイロット噴射時期については冷却水温に基づ
く補正を行なってそれぞれ最終の主噴射時期とパイロッ
ト噴射時期とを決定している。
及び基本インターバル(基本パイロット噴射時期)は、
エンジンの標準運転状態において、それぞれ主噴射及び
パイロット噴射により気筒内に供給された燃料の燃焼状
態が最適になるように設定されている。実際の運転で
は、例えば主噴射については基本主噴射時期を過給圧と
冷却水温とで補正することにより、またパイロット噴射
については基本パイロット噴射時期を冷却水温により補
正することで、実際の主噴射やパイロット噴射により供
給された燃料の燃焼状態ができるだけ標準運転状態にお
ける最適な燃焼状態に近づくようにしている。しかし、
エンジン燃焼室内の燃焼に影響を及ぼす因子は他にも多
数あるため、定常運転時の目標値を補正したのでは過渡
運転状態における噴射燃料の燃焼状態は必ずしも最適に
ならない。
インターバルマップとはエンジンの定常運転に基づいて
作成されたマップであるため、例えばエンジン加速時等
の過渡運転状態では、冷却水温や過給圧等のみによる補
正を行なっていると、燃焼室内の燃焼状態が最適な状態
から大きくずれる場合があり、スモークが発生したり燃
焼騒音が生じたりする問題がある。
焼騒音を低減しようという試みがある(特開平6−34
6763号公報、特許第2864896号等参照)。低
温予混合燃焼と称されるこの燃焼方式を簡単に説明する
と以下の通りとなる。
想的には14〜16の間)を用いて噴射時期の大幅な遅
角化を行って着火遅れ期間を延ばし、着火遅れ期間内に
燃料噴射を完了し、この間に噴射した燃料を空気と予混
合させる。このまま着火させると、急激に燃焼が進み、
NOx・燃焼騒音が悪化するので、燃焼を緩慢に行わせ
るため大量のEGR(吸気中の酸素濃度を下げる)によ
り燃焼温度を下げる。この際、予混合気にむらが生じる
と空気過剰率が低い領域でスモークが発生するため、所
定以上の空気過剰率を確保する(吸気中の酸素量を所定
以上に保つ)と同時に、スワールを強化する。通常、噴
射時期を遅角すると燃費が悪化するが、低温燃焼とする
ことで冷却損失が抑制されるため、燃費の悪化はない。
44に示すように、先のパイロット噴射による燃焼(図
では「パイロット噴射付き燃焼」で示す)とほぼ同等以
上の燃焼騒音レベルを得ている。
方式を用いても過渡運転時、特に加速運転時には図45
に示すような現象を改善することが難しい(負荷の高い
運転条件で低温予混合燃焼を過渡的に維持することは難
しいため)。
が増加し、排気圧・排気温度が上昇し、その圧力・温度
の上昇した排気のエネルギで排気タービンが回転する。
過給機には遅れがあるため加速初期にコレクタ内の圧力
が依然低く、ごく短期間でみれば、EGR弁前後差圧が
増大し、EGR量(EGR率)が増える。その一方で、
燃焼室内の空気過剰率は低下する。このため、着火遅れ
期間が異常に増大し、着火とともに急峻に燃焼するよう
になる(図45の右下の波形参照)。このような燃焼で
は、もはや低温予混合燃焼(図45の左下の波形参照)
とはいえず、燃焼騒音が悪化するほか排気も悪化する。
したがって、過渡運転条件ではパイロット噴射を行って
燃焼騒音を改善する必要がある。
を述べる。発明者の実験的考察によれば、低温予混合燃
焼が可能な領域は図46に示すように過渡運転時には定
常運転時よりも狭くなる。すなわち、過渡運転時の低温
予混合燃焼領域は、吸入空気中の酸素濃度または酸素量
が定常運転時の目標値に対してどのぐらい乖離している
かに依存していることを見出した。
のため次の3つの手法を試みた。図47にその説明図を
記す。
のA領域)では排気・燃焼騒音ともに優れる低温予混合
燃焼を行わせることにより大幅な性能改善を図る。この
ときのクランク角に対する筒内圧の変化は図48の左側
に示したようになる。
濃度や酸素量が大幅に不足する領域(図47のB領域)
での燃焼を改善するため、次の対策を採る。B領域で
は、EGR率が過剰に増大して着火遅れ期間が大幅に長
くなり、急峻な燃焼により燃焼騒音が悪化するとともに
スモークが悪化しやすい。通常、パイロット噴射と主噴
射の噴射間隔を短くするとパイロット噴射燃料の燃焼中
に主噴射が行われ空気利用率が低下してスモークが悪化
するのであるが、低圧縮比エンジンで比較的回転速度の
低い運転条件では、パイロット噴射の着火が遅れ、予混
合気の形成が進んで空気利用率が高くなり、空気過剰率
が1.0である付近でもスモークが発生しないことを実
験的に見出した。そこで、目標値に対して過渡的に酸素
濃度や酸素量が不足するB領域では、着火遅れ期間の過
度の増大を抑制するために、少ないパイロット噴射を比
較的進角側で噴射するとともに、パイロット噴射と主噴
射の噴射間隔を短くして圧縮上死点以前に主噴射を完了
させる。このときのクランク角に対する筒内圧の変化は
図48の中央に示したように、ガソリンエンジンのよう
な1こぶの燃焼となり、これによって燃焼騒音を抑制す
ることが可能となった。
酸素濃度は違った意味合いを持ち、大まかにいって酸素
量がPMの生成量に、これに対して酸素濃度がNOxの
生成量に大きく影響するものの、酸素濃度と酸素量は制
御対象として明確に分離しきれるものでない。酸素濃度
の主たる調整手段としてEGR装置を、酸素量の主たる
調整手段として過給機を用いているが、酸素濃度と酸素
量を独立して制御することはできない。
がたつと(図47のC領域)、過剰なEGRが解消され
るため、吸入空気中の酸素濃度は改善されるが、過給圧
(吸気圧)の立ち上がりにはなお時間を要し、酸素量が
不足する。このような運転条件では、着火遅れ期間が短
くなり、先のB領域での1こぶ燃焼を継続してもスモー
クの悪化を抑制することは期待できない。そこで、C領
域では、パイロット噴射量を比較的多くするとともに、
パイロット噴射と主噴射の噴射間隔を長くしパイロット
噴射燃料の燃焼を完全に終了させてから主噴射を行うこ
とで、スモークの悪化を抑制するとともに燃焼ガスによ
る内部EGR効果で燃焼を緩慢にさせて燃焼騒音を抑制
する。このときのクランク角に対する筒内圧の変化は図
48の右側に示したように、左側、中央とも異なる典型
的なパイロット噴射によるディーゼル燃焼の波形とな
る。
る酸素濃度と酸素量を満たし定常的に低温予混合燃焼が
可能となったときには(図47のD領域)、速やかに低
温予混合燃焼に移行させる。
たタイミングより定常運転に戻るまでの加速運転区間を
大きくB領域とC領域の2つに分け、このうちB領域で
はクランク角に対する筒内圧の変化が図48中央に示し
た燃焼パターンBが得られるように、C領域ではクラン
ク角に対する筒内圧の変化が図48右側に示した燃焼パ
ターンCが得られるようにパイロット噴射と主噴射を制
御する。詳細には、上記のB領域とC領域のいずれにあ
るかは、酸素濃度あるいは酸素量の計測値と定常運転時
の目標値との偏差に基づいて判断する。すなわち、偏差
が大きい場合にB領域であると判断し、燃焼パターンB
が得られるように少ないパイロット噴射量を比較的進角
側で噴射するとともに、パイロット噴射と主噴射の噴射
間隔を短くして圧縮上死点以前に主噴射を完了させ、ま
た偏差が小さい場合にC領域であると判断し、燃焼パタ
ーンCが得られるようにパイロット噴射量を比較的多く
するとともに、パイロット噴射と主噴射の噴射間隔を長
くしてパイロット噴射燃料の燃焼を完全に終了させてか
ら主噴射を行うことにより、従来の制御方法と比較し、
大幅に加速運転時の燃焼騒音の悪化を抑制しつつ、同時
に排気・燃費も改善することを可能とすることを目的と
する。
ていくが、過給圧が残っている場合とそうでない場合と
で最適値が異なるため、減速運転時にも本発明を適用で
きる。たとえば、フュエルリカバリー時に過給圧が高く
(応答遅れのため)かつ燃料噴射量が少ない場合には、
酸素量が過剰であるため着火遅れ期間が短くなりまた過
給圧が低くなってからは酸素量が不足するため着火遅れ
が長くなる。そこで、フュエルリカバリー時に過給圧が
高くかつ燃料噴射量が少ない場合に、図48の燃焼パタ
ーンCが得られるように、また過給圧が低くなってから
は図48の燃焼パターンBが得られるようにパイロット
噴射と主噴射を制御することで、本発明の制御を行わな
い場合より燃焼騒音を抑制できる(実験により確認して
いる)。
温予混合燃焼を行わせるものを前提として説明したが、
定常運転時に拡散燃焼主体の燃焼を行うものも本発明の
対象となる。
は、エンジンの燃焼温度を低下させる手段と、この燃焼
温度を低下させる手段の作動時に、熱発生率のパターン
が単段燃焼となるように着火遅れ期間を大幅に長くする
手段とから構成され、この場合の熱発生率のパターンが
単段燃焼となる燃焼を簡単に「低温予混合燃焼」と称し
ている。また、熱発生率のパターンが単段燃焼とならな
い燃焼を「拡散燃焼主体の燃焼」と称して「低温予混合
燃焼」と区別する。低温予混合燃焼を実現する手段を備
えるエンジンにおいても、現在のところ総ての運転域で
低温予混合燃焼を実現することが可能であるというわけ
ではないので、定常運転でも高負荷時になると拡散燃焼
主体の燃焼となる。低温予混合燃焼と相違して拡散燃焼
主体の燃焼時には排気が悪化するものの、本発明の適用
による燃焼騒音の低減効果と排気を最低限の悪化で抑え
るというメリットは享受できることを実車実験で確認し
ている。もちろん総ての運転点域で拡散燃焼主体の燃焼
を行わせるものに対しても本発明の適用がある。
は、パイロット噴射燃料の燃焼室内における着火遅れが
エンジン標準運転状態における着火遅れと等しくなるよ
うにパイロット噴射時期を設定し、パイロット噴射時期
と主噴射時期との間に燃焼を終了することができる範囲
で最大の燃料量をパイロット噴射量として設定してい
る。このものは、パイロット噴射燃料を主噴射の開始ま
でに完全に燃焼させて、主噴射燃料の燃焼状態を改善す
るとともに、スモークの発生等を防止するものである。
ドルからの発進直後等の著しく過給圧が低い運転状態で
加速を行ったときディーゼルノック音が十分下がらない
のに対して、図47、図48に示したように燃焼パター
ンを本発明の方法で最適化することにより、このような
運転状態での加速時においても燃焼騒音の低減効果が得
られる。この点も実車実験で確認している。
射、パイロット噴射それぞれの噴射時期、噴射量等を適
切に設定することにより、噴射された燃料の燃焼状態を
最適にして燃焼騒音を防止することを目的としている。
示すように、主噴射と、この主噴射に先立つパイロット
噴射とを行うディーゼルエンジンの制御装置において、
吸気中の酸素濃度または酸素量の定常運転時の目標値を
設定する手段81と、吸気中の酸素濃度または酸素量を
計測する手段82と、この酸素濃度または酸素量の計測
値の前記目標値からのずれ(差または比)が大きい運転
状態であるのか、それとも前記計測値の前記目標値から
のずれが比較的小さい運転状態であるのかを判定する手
段83と、この判定結果に基づき前記計測値の前記目標
値からのずれが大きい運転状態の場合に、少ないパイロ
ット噴射量を比較的進角側で噴射するとともに、パイロ
ット噴射と主噴射の噴射間隔を短くして圧縮上死点以前
に主噴射を完了させ、前記計測値の前記目標値からのず
れが比較的小さい運転状態である場合に、パイロット噴
射量を比較的多くするとともに、パイロット噴射と主噴
射の噴射間隔を長くしてパイロット噴射燃料による燃焼
を完全に終了させてから主噴射を行う手段84とを備え
る。
吸気中の酸素濃度相当または酸素量相当の値として過給
圧を用いる。
吸気中の酸素濃度相当または酸素量相当の値として吸入
新気量(たとえばシリンダ吸入新気量)を用いる。
吸気中の酸素濃度相当または酸素量相当の値としてEG
R量(シリンダ吸入EGR量)またはEGR率を用い
る。
吸気中の酸素濃度相当または酸素量相当の値として空気
過剰率を用いる。
れか一つの発明において前記計測値の前記目標値からの
ずれがない運転状態(定常運転時)の場合に、低温予混
合燃焼を行わせる。
低温予混合燃焼を行わせる手段が、エンジンの運転条件
に応じてエンジンの燃焼温度を低下させる手段と、この
燃焼温度を温度を低下させる手段の作動時に、熱発生率
のパターンが単段燃焼の形態となるように着火遅れ機関
を大幅に長くする手段とからなる。
燃焼温度を低下させる手段が吸気の酸素濃度を低減させ
る手段である。
着火遅れ期間を大幅に長くする手段が、燃料の噴射時期
を上死点後まで遅らせる手段である。
ずれか一つの発明において前記少ないパイロット噴射量
が0.2〜1.0mg/st.cyl(単位は1シリン
ダ当たり、かつ燃料噴射ポンプの1ストローク当たりの
重量)であり、前記短くするパイロット噴射と主噴射の
噴射間隔が7〜18゜CA(CAはクランク角である)
であり、前記比較的多くするパイロット噴射量が1.5
〜3.0mg/st.cylであり、前記長くするパイ
ロット噴射と主噴射の噴射間隔が30゜CAである。
渡的に大幅に酸素濃度や酸素量が不足する運転条件(計
測値の目標値からのずれが大きい運転状態)になると、
少ないパイロット噴射が比較的進角側で噴射されるとと
もに、パイロット噴射と主噴射の噴射間隔を短くして圧
縮上死点以前で主噴射が完了されることから、クランク
角に対する筒内圧の変化が図48の中央に示したように
ガソリンエンジンのような1こぶの燃焼となり、燃焼騒
音を抑制することが可能となる。
運転状態と、吸入空気中の酸素濃度が改善されるが酸素
量が不足する運転条件とは、ほぼ等価であり、この運転
条件に移ると、パイロット噴射量が比較的多くされると
ともに、パイロット噴射と主噴射の噴射間隔を長くして
パイロット噴射燃料の燃焼が完全に終了してから主噴射
が行われ、これによってスモークの悪化が抑制されると
ともに燃焼ガスによる内部EGR効果で燃焼が緩慢とな
り燃焼騒音が抑制される。
制御方法と比較し、大幅に加速運転時の燃焼騒音の悪化
を抑制することができる。
に過給圧が高く(応答遅れのため)かつ燃料噴射量が少
ない場合には、酸素量が過剰であるため着火遅れ期間が
短くなり、また過給圧が低くなってからは酸素量が不足
するため着火遅れが長くなるのであるが、第1、第2、
第10の発明によれば、フュエルリカバリー時に過給圧
が高くかつ燃料噴射量が少ない場合に、パイロット噴射
量が比較的多くされるとともに、パイロット噴射と主噴
射の噴射間隔を長くしてパイロット噴射燃料の燃焼が完
全に終了してから主噴射が行われ、また過給圧が低くな
ってからは少ないパイロット噴射が比較的進角側で噴射
されるとともに、パイロット噴射と主噴射の噴射間隔を
短くして圧縮上死点以前で主噴射が完了されるので、本
発明の制御を行わない場合より燃焼騒音を抑制できる。
はアイドルからの発進直後等の著しく過給圧が低い運転
状態で加速を行ったときディーゼルノック音が十分下が
らないのであるが、第1、第2、第10の発明によれ
ば、アイドルからの発進直後等の著しく低い運転状態で
加速を行ってもディーゼルノック音を低減でき、かつス
モークを悪化させることもない。
よりも新気量である。過給圧の計測に比べて新気量の計
測のほうが応答遅れがやや大きく(たいてい計測部位が
エアクリーナ部等上流となるため)、コストも高くなる
ものの、第3の発明によれば燃焼に直接起因する因子を
計測するので、高い制御精度が得られるというメリット
がある。
素量と酸素濃度を制御するので、噴射時期とともに着火
遅れに強い影響がある。したがって、EGR量またはE
GR率でパイロット噴射と主噴射を制御する第4の発明
によれば、暗に着火遅れ時期がどれぐらい変化するかを
チェックしながら制御することになるので、燃焼騒音対
策としてはより効果が高くなる。
4.7)という定義式から明確なように、空気過剰率を
用いると、新気量だけでなく燃料噴射量の影響もチェッ
クしながら制御することになる。遅い新気量に対して燃
料噴射量の動きは速いので、この比をモニタして制御す
る第5の発明によれば、他の3つの場合(過給圧、吸入
新気量、EGR量またはEGR率を用いる場合)に比べ
て特に過渡運転時の制御精度が向上する。
運転において排気、燃焼騒音ともに優れる低温予混合燃
焼が行われて大幅な性能改善が図られる。
段燃焼となる、いわゆる低温予混合燃焼を行わせるため
の構成を示す。なお、この構成そのものは特開平8−8
6251号公報などにより公知である。
その低減には燃焼温度の低温化が有効である。低温予混
合燃焼では、EGR(排気環流)による酸素濃度の低減
で、低温燃焼を実現するため、EGR装置を備える。こ
れを図3で説明すると、51はディーゼルエンジンの本
体、52は吸気通路、53は排気通路、54はEGR通
路である。
のエアフローメータ55が設置され、その下流に吸入空
気を2段階に絞り込む吸気絞り弁56が設けられる。こ
の吸気絞り弁56の下流側に前記したEGR通路54が
接続され、またEGR通路54の途中にはEGR弁57
が介装される。
2に流れるEGR量は、吸気絞り弁56の開度に応じて
発生する吸入圧力(大気圧よりも低い)と、排気通路5
3との排気圧力との差圧に応じるとともに、そのときの
EGR弁57の開度に対応して決定される。
aにより開度が2段階に制御され、アクチュエータ56
aには第1の電磁弁61を介して図示しないバキューム
ポンプからの圧力(大気圧よりも低い圧力)を導く第1
圧力通路62と、第2の電磁弁63を介して同じくバキ
ュームポンプからの圧力を導く第2圧力通路64とが接
続され、これら電磁弁61、62によって調圧された圧
力により、吸気絞り弁56の開度を2段階に制御し、そ
の下流に発生する吸入圧力をコントロールするようにな
っている。
ポンプからの圧力導入をやめ、大気圧を導入し、第2の
電磁弁63がバキュームポンプからの圧力を導入してい
るときは、アクチュエータ56aの圧力は弱く、吸気絞
り弁56の開度は比較的大きくなり、これに対して、第
1の電磁弁61もバキュームポンプからの圧力を導入し
ているときは圧力が強く、吸気絞り弁56の開度は小さ
くなる。また、第1、第2の電磁弁61、63がともに
大気圧を導入しているときは、吸気絞り弁56はリター
ンスプリングにより、全開位置に保持される。
の回転によってリフト量が変化し、その開度が調整さ
れ、この開度に応じてEGR通路54を通って吸気中に
流入するEGR量が増減する。なお、57bはEGR弁
57の開度を検出する手段である。
第1、第2電磁弁61、63とステップモータ57aの
作動を制御し、これによって運転条件に応じた所定のE
GR率を得るようにしている。たとえば、低回転速度低
負荷域でEGR率を最大の100パーセントとし、回転
速度、負荷が高くなるに従い、EGR率を減少させる。
高負荷側では排気温度が上昇するため、多量のEGRガ
スを還流すると、吸気温度の上昇によってNOx低減の
効果が減少したり、噴射燃料の着火遅れ期間が短くなっ
て予混合燃焼が実現できなくなる等のため、EGR率を
段階的に減少させている。
傍の吸気通路に、所定の切欠を有するスワールコントロ
ールバルブ4を備える。コントロールユニット41によ
り、このスワールコントロールバルブ4が低回転速度低
負荷域で閉じられると、燃焼室に吸入される吸気の流速
が高まり燃焼室にスワールが生成される。
ダル燃焼室である。これは、ピストンキャビティを、入
口を絞らずピストンの冠面から底部まで円筒状に形成し
たもので、その底部中央には、圧縮行程後期にピストン
キャビティの外部から旋回しながら流れ込むスワールに
抵抗を与えないように、さらに空気と燃料の混合を良好
にするため、円錐部が形成されている。この入口を絞ら
ない円筒状のピストンキャビティにより、前述のスワー
ルコントロールバルブ4等によって生成されたスワール
は、燃焼過程でピストンが下降していくのに伴い、ピス
トンキャビティ内からキャビティ外に拡散され、キャビ
ティ外でもスワールが持続される。
置10を備える。コモンレール式の燃料噴射装置10の
構成も公知(詳細は特開昭9−112251号公報参
照)であり、図2により概説する。
11、燃料供給通路12、サプライポンプ14、コモン
レール(蓄圧室)16、気筒毎に設けられるノズル17
からなり、サプライポンプ14により加圧された燃料は
燃料供給通路15を介して蓄圧室16にいったん蓄えら
れたあと、コモンレール16の高圧燃料が気筒数分のノ
ズル17に分配される。
ノズル室19への燃料供給通路20、リテーナ21、油
圧ピストン22、針弁18を閉弁方向(図で下方)に付
勢するリターンスプリング23、油圧ピストン22への
燃料供給通路24、この通路24に介装される三方弁
(電磁弁)25などからなり、ノズル内の通路20と2
4が連通して油圧ピストン22上部とノズル室19にと
もに高圧燃料が導かれる三方弁25のOFF時(ポート
AとBが連通、ポートBとCが遮断)には、油圧ピスト
ン22の受圧面積が針弁18の受圧面積より大きいこと
から、針弁18が着座状態にあるが、三方弁25がON
状態(ポートAとBが遮断、ポートBとCが連通)にな
ると、油圧ピストン22上部の燃料が戻し通路28を介
して燃料タンク11に戻され、油圧ピストン22に作用
する燃料圧力が低下する。これによって針弁18が上昇
してノズル先端の噴孔より燃料が噴射される。三方弁2
5をふたたびOFF状態に戻せば、油圧ピストン22に
蓄圧室16の高圧燃料が導びかれて燃料噴射が終了す
る。つまり、三方弁25のOFFからONへの切換時期
により燃料の噴射開始時期が、またON時間により燃料
噴射量が調整され、蓄圧室16の圧力が同じであれば、
ON時間が長くなるほど燃料噴射量が多くなる。26は
逆止弁、27はオリフィスである。
レール圧力を調整するため、サプライポンプ14から吐
出された燃料を戻す通路13に圧力調整弁31を備え
る。この調整弁31は通路13の流路を開閉するもの
で、コモンレール16への燃料吐出量を調整することに
よりコモンレール圧力を調整する。コモンレール16の
燃料圧力(噴射圧)によって燃料噴射率が変化し、コモ
ンレール16の燃料圧力が高くなるほど燃料噴射率が高
くなる。
度とクランク角度を検出するセンサ34、気筒判別のた
めのセンサ35、水温センサ36からの信号が入力され
るコントロールユニット41では、エンジン回転速度と
アクセル開度に応じて燃料噴射量とコモンレール16の
目標圧力を演算し、圧力センサ32により検出されるコ
モンレール圧力がこの目標圧力と一致するように圧力調
整弁31を介してコモンレール16の燃料圧力をフィー
ドバック制御する。
弁25のON時間を制御するほか、三方弁25のONへ
の切換時期を制御することで、運転条件に応じた所定の
噴射開始時期を得るようにしている。たとえば、高EG
R率の低回転速度低負荷側で噴射燃料の着火遅れ期間が
長くなるように燃料の噴射時期(噴射開始時期)をピス
トン上死点(TDC)以降にまで遅延している。この遅
延により、着火時期の燃焼室内の温度を低温状態にし、
予混合燃焼比率を増大させることにより、高EGR率域
でのスモークの発生を抑える。これに対して、回転速
度、負荷が高くなるにしたがい、噴射時期を進めてい
る。これは、着火遅れの時間が一定であっても、着火遅
れクランク角度(着火遅れの時間をクランク角度に換算
した値)がエンジン回転速度の増加に比例して大きくな
り、低EGR率時に所定の着火時期を得るために、噴射
時期を進めるのである。
下流の排気通路53に可変容量ターボ過給機2を備え
る。これは、吸気コンプレッサ2bと同軸配置される排
気タービン2aのスクロール入口に、ステップモータ2
cにより駆動される可変ノズル2dを設けたもので、コ
ントロールユニット41により、可変ノズル2dは低回
転速度域から所定の過給圧が得られるように、低回転速
度側では排気タービン2aに導入される排気の流速を高
めるノズル開度(傾動状態)に、高回転速度側では排気
を抵抗なく排気タービン2aに導入させノズル開度(全
開状態)に制御する。また、所定の条件にあるときは、
可変ノズル2dは、過給圧を下げるノズル開度に制御さ
れる。3は吸気コンプレッサ2bの下流かつコレクタ5
2aの上流の吸気通路52に設けられるインタークー
ラ、1は触媒である。
開度をステップモータ2cにより駆動する方式で説明す
るが、ダイヤフラムアクチュエータおよびこのアクチュ
エータへの制御圧力を調整する電磁ソレノイドで駆動す
る方法や直流モータで駆動する方法を用いてもよい。さ
らにノズル位置センサからの信号に基づいてノズル開度
をフィードバック制御するようにしてもかまわない。
制御も、過給圧制御の役割を物理的に果たしている。つ
まり、EGR量を変化させることにより過給圧も変化す
る。逆に、過給圧を変化させると、排気圧力が変化する
ため、EGR量も変化することになり、過給圧とEGR
量とは独立に制御できない。また、ややもするとお互い
に制御上の外乱となっている。なお、一方を変化させた
場合に、制御精度を確保するには、他方を適合し直すこ
とであるが、他方を適合し直した後には、もう一方を再
適合しなければならなくなるので、この方法では、過渡
時の制御精度を確保することが困難である。
Pm、排気圧(タービン入口圧)Pexh、大気圧(コ
ンプレッサ入口圧)Pa、EGR弁の有効面積相当値A
egr、可変ノズルの有効面積相当値Avntの5変数
を知ることができれば、排気量QexhとEGR量Qe
grを計算できる。5変数のうち、排気圧以外の変数は
検出することが比較的容易であるが、排気圧は高排気温
度・酸化雰囲気で耐久性をもつセンサが一般的に入手困
難であり、かつ車載用センサとしては高価である。ま
た、前記のような使用条件での耐久性を持たせるために
十分な応答性を得ることが難しい。したがって、過給圧
とEGR量を精度よくかつ応答性と安定性を損なうこと
なく制御するためには、排気圧を推定する手段が必要で
ある。
吸入空気量Qas0と、燃料噴射量Qfと、可変ノズル
の有効面積相当値Avntと、排気温度Texhの4つ
の要素を用いて、排気圧Pexhをダイレクトにかつ簡
単な演算式で演算(推定)する。
てEGR制御を行う。たとえば、エンジンの回転速度と
負荷に応じて目標EGR率Megrを演算し(図38参
照)、この目標EGR率Megrに基づいて要求EGR
量Tqeを演算し(図41参照)、前記推定した排気圧
Pexhと吸気圧Pmの差とこの要求EGR量Tqeと
からEGR弁57の要求開口面積Tavを演算し(図4
2参照)、この要求開口面積TavとなるようにEGR
弁開度を制御する。
制御を次に説明する。
制御とはすでに特願平11−168496号により号に
より提案している。
可変ノズル2dの指令開度の演算フローで、10ms毎
に実行する。なお、図4に示す指令開度の演算方法は、
基本的に公知のものである。
Qf、コンプレッサ入口圧Pa、実過給圧Pm ist
を読み込む。
御で後述する吸気圧(コンプレッサ出口圧)Pmと同じ
ものであり、この吸気圧Pmはコレクタ52aに設けた
吸気圧センサ72(図1参照)により、またコンプレッ
サ入口圧Paはエアフローメータ55の上流に設けた大
気圧センサ73(図1参照)により検出している。燃料
噴射量Qfの演算は後述する。
Qfから図5を内容とするマップを検索することにより
基本過給圧MPMを、またステップ3ではコンプレッサ
入口圧Paより図6を内容とするテーブルを検索するこ
とにより過給圧の大気圧補正値を求め、ステップ4でこ
の大気圧補正値を基本過給圧MPMに乗じた値を目標過
給圧Pm solとして演算する。
の目標過給圧Pm solと一致するようにPI制御に
よりノズル開度のPI補正量STEP istを演算す
る。
Qfより図7を内容とするマップを検索することにより
可変ノズルの基本開度MSTEPを、またステップ7で
はコンプレッサ入口圧Paより図8を内容とするテーブ
ルを検索することによりノズル開度の大気圧補正値を求
め、この補正値を基本開度MSTEPに乗じた値をステ
ップ8において目標開度STEP solとして演算す
る。
回転速度NeからD(微分)補正量を算出し、これと前
述のPI補正量STEP istとをステップ10にお
いて目標開度STEP solに加算した値をVNTs
tep1として演算する。
実過給圧Pm istから所定のマップ(図示しない)
を検索してリミッタ上下限値を求め、VNTstep1
がこのリミッタ内にあればVNTstep1の値を、そ
うでない場合はリミッタ上下限値を指令開度VNTst
epとして演算する。
開度VNTstepは、図示しない所定のテーブルを検
索することにより、ステップ数(可変ノズルアクチュエ
ータとしてのステップモータ2cに与える制御量)に変
換され、このステップ数により指令開度VNTstep
となるように、ステップモータ2cが駆動される。
まかなブロック図を図9に、詳細なフローチャートおよ
びそのフローに使うマップやテーブルを図11〜図3
4、図36〜図43に示す。
れる制御方法はモデル規範制御(多変数入力制御系のモ
デルを用いた制御の一つ)である。このため、アクセル
開度センサ33、クランク角センサ34、35、水温セ
ンサ36以外のセンサといえば、エアフローメータ5
5、このエアフローメータ55の近傍に設けた吸気温度
センサ71および吸気圧センサ72だけで、制御上で必
要となる各種のパラメータ(たとえば後述する排気圧な
ど)はコントロールユニット41内ですべて予測演算す
ることになる。なお、モデル規範制御のイメージは、図
9の各ブロックが、その各ブロックに与えられた演算
を、回りのブロックとの間でパラメータの授受を行いつ
つ瞬時に行うというものである。近年、モデル規範制御
の理論的解析が急速に進んだことから、エンジン制御へ
の適用が可能となり、現在、実用上も問題ないレベルに
あることを実験により確認している。
5など、センサ検出値のサンプリングを一定時間毎に
(図12ステップ1〜3、図16、図18参照)、モ
デル規範制御におけるパラメータの演算を基本的にRe
f信号(クランク角の基準位置信号)の入力毎に(図1
2ステップ4〜7、図13、図14、図21、図22、
図25、図31、図34、図36、図38、図41、図
42参照)、最終のアクチュエータへの出力を一定時
間毎に実行する。なお、以下ではRef信号の入力毎の
ジョブであるところを、一定時間毎のジョブとして記載
しているところもある(図11参照)。
算は図10に示した順番で行う。図10において全ての
処理を行うのに所用の時間がかかるということはなく、
Ref信号の入力により全ての処理が一瞬にして終了す
る。同図において記号の後に付けた「n−1」は、前回
値(つまり1Ref信号前に演算した値)であることを
意味している。
の演算を説明する。
量、シリンダ吸入ガス温度のサイクル処理のフローであ
る。ステップ1でシリンダ吸入新気量Qac、燃料噴射
量Qf、シリンダ吸入ガス温度Tnを読み込む。なお、
シリンダ吸入新気量Qac、燃料噴射量Qf、シリンダ
吸入ガス温度Tnの各演算についてはそれぞれ図12、
図22、図21により後述する。
を用いてQexh=Qac・Z-(CY LN#-1)、Qf0=Q
f・Z-(CYLN#-2)、Tn0=Tn・Z-(CYLN#-1)の式に
よりサイクル処理を施すが、これらはエアフローメータ
55の読み込みタイミングに対しての位相差に基づく補
正を行うものである。ただし、CYLN#はシリンダ数
である。たとえば4気筒エンジンでは、燃料の噴射は、
エアフローメータの読み込みタイミングに対して180
CA×(気筒数−2)ずれるので、シリンダ数から2引
いた分だけディレイ処理を行う。
するフローである。
F)55の出力電圧を読み込み、ステップ2でこの出力
電圧からテーブル変換により吸気量を演算する。ステッ
プ3では吸気脈動の影響をならすためこの吸気量演算値
に対して加重平均処理を行う。
み込み、ステップ5においてこの回転速度Neと前記し
た吸気量の加重平均値Qas0とから、1シリンダ当た
りの吸入空気量Qac0を、
の吸気通路に設けており、エアフローメータ55からコ
レクタ52aまでの輸送遅れ分のディレイ処理を行うた
め、ステップ6ではn(ただしnは整数の定数)回前の
Qac0の値をコレクタ52a入口位置における1シリ
ンダ当たりの吸入新気量Qacnとして求めている。そ
して、ステップ7ではこのQacnに対して
n-1)+Qacn×Kvol×Kinn-1、 ただし、Qacn-1:Qacの前回値、 Kinn-1:Kinの前回値、 の式(一次遅れの式)により吸気弁位置における1シリ
ンダ当たりの吸入新気量(この吸入新気量を、以下「シ
リンダ吸入新気量」という。)Qacを演算する。これ
はコレクタ52a入口から吸気弁までの新気のダイナミ
クスを補償するためのものである。
算するフローである。
ダ吸入新気量Qacの演算方法と同様である。ステップ
1で後述(図36参照)のようにして求めるEGR
(流)量Qeの前回値であるQen-1を読み込み、ステ
ップ2でエンジン回転速度Neを読み込む。
ON#とからコレクタ52a入口位置における1シリン
ダ当たりの吸入EGR量Qecnを
に、ステップ5でこのコレクタ52a入口位置における
値Qecnと容積比Kvol、体積効率相当値の前回値
Kinn-1を用いて、
n-1)+Qecn×Kvol×Kinn-1、 ただし、Qecn-1:Qecの前回値、 Kinn-1:Kinの前回値、 の式により遅れ処理を行って吸気弁位置における1シリ
ンダ当たりの吸入EGR量であるシリンダ吸入EGR量
Qecを計算する。これはコレクタ52a入口から吸気
弁までのEGRガスのダイナミクスを補償するためのも
のである。
フローである。
c、シリンダ吸入EGR量Qec、吸気圧Pm、吸入ガ
ス温度の前回値であるTnn-1を読み込み、このうちP
mとTnn-1からステップ2で図15を内容とするマッ
プを検索することによりガス密度ROUqcylを求
め、このガス密度ROUqcylとシリンダガス重量Q
cyl(=Qac+Qec)を用いてステップ3におい
て
式)により体積効率相当値Kinを演算する。
出)のフローである。
Pm vを読み込み、この出力電圧Pm vよりステッ
プ2において図17を内容とするテーブルを検索するこ
とにより圧力Pm 0に変換し、この圧力値に対してス
テップ3で加重平均処理を行い、その加重平均値Pm1
を吸気圧Pmとして演算する。
ーである。
圧Ta vを読み込み、この出力電圧Ta vよりステ
ップ2において図17と同様の特性を内容とするテーブ
ルを検索することにより温度Ta0に変換する。
タークーラ3の上流側と下流側のいずれに装着されてい
るかをみる。
タークーラ3の上流側にある場合はステップ4に進み、
吸気圧の前回値であるPmn-1に基づいて圧力補正係数
Ktmpiを、Ktmpi=Pmn-1×PA#の式より
計算する。ただし、PA#は定数である。
Ktmpiに基づいてコレクタ52a入口での吸入新気
温度Taを、
する。この計算は、熱力学の法則による温度変化予測演
算である。
もよい。このときは、図19、図20に示した特性を内
容とするテーブルを予め作成しておき、車速と吸気量
(Qas0)から各テーブルを検索することにより、吸
気温度の車速補正値Kvsp、吸気温度の吸気量補正値
Kqaを求め、上記の数7式に代えて、
+TOFF# の式により吸入新気温度Taを求めればよい。
度センサが装着されている場合は、過給による温度上昇
も、インタークーラによる温度低下のいずれも織り込み
済みとなるので、ステップ6に進み、Ta0の値をその
まま吸入新気温度Taとした後、処理を終了する。
するフローである。ステップ1でシリンダ吸入新気量Q
acと吸入新気温度Taとシリンダ吸入EGR量Qec
と排気温度の前回値であるTexhn-1を読み込み、こ
のうちステップ2において排気温度の前回値Texh
n-1にEGR通路54での排気温度低下係数Ktlos
を乗じてシリンダ吸入EGRガス温度Teを算出し、ス
テップ3では
ac+Qec) の式によりシリンダ吸入新気とシリンダ吸入EGRガス
の平均温度を求めてこれをシリンダ吸気温度Tnとす
る。
である。ステップ1でエンジン回転速度Neとコントロ
ールレバー開度(アクセルペダル開度により定まる)C
Lを読み込み、ステップ2でこれらNeとCLから図2
3を内容とするマップを検索して基本燃料噴射量Mqd
rvを求める。
てエンジン冷却水温等に基づいて各種の補正を行い、こ
の補正後の値Qf1に対してさらにステップ4で図24
を内容とするマップに基づいて、燃料噴射量の最大値Q
f1MAXによる制限を行い、制限後の値を燃料噴射量
Qfとして演算する。
ーである。ステップ1、2では燃料噴射量のサイクル処
理値Qf0とシリンダ吸入ガス温度のサイクル処理値T
n0を読み込む。さらに、ステップ3で排気圧の前回値
であるPexhn-1を読み込む。
値Qf0から図26を内容とするテーブルを検索して排
気温度基本値Texhbを求める。
イクル処理値Tn0から排気温度の吸気温度補正係数K
texh1を、Ktexh1=(Tn0/TA#)KN#
(ただし、TA#、KN#は定数)の式により、またス
テップ6では排気温度の排気圧力補正係数Ktexh2
を、排気圧の前回値Pexhn-1からKtexh2=
(Pexhn-1/PA#)(#Ke-1)/#Ke(ただし、PA
#、#Keは定数)の式によりそれぞれ計算する。これ
ら2つの補正係数Ktexh1、Ktexh2はテーブ
ル検索により求めてもかまわない(図27、図28参
照)。
置(全開か全閉かの2位置)とエンジン回転速度Neか
ら図29を内容とするテーブルを検索することにより排
気温度のスワール補正係数Ktexh3を、ステップ8
では指令開度VNTstepと排気量Qexhとから図
30を内容とするマップを検索することにより排気温度
のノズル開度補正係数Ktexh4をそれぞれ求める。
Texhbに4つの各補正係数Ktexh1、Ktex
h2、Ktexh3、Ktexh4を乗じて排気温度T
exhを計算する。
かれる下式を近似したものである。
算フローである。ステップ1では指令開度VNTste
p、総排気重量Qtotal(=Qas0+Qf)、排
気温度Texhを読み込む。
度Texhからステップ2で
相当値Wexhを算出する。
xhの平方根をとった値から図32を内容とするテーブ
ルを検索して摩擦損失ξfricを演算する。ステップ
4では指令開度VNTstepと総ガス重量Qtota
lから図33を内容とするマップを検索してノズル損失
ξconvを演算する。そして、これら2つの損失ξf
ric、ξconvをステップ5において指令開度VN
Tstepに乗算して、つまり
する。
hの演算のフローである。
0、燃料噴射量Qf、有効面積相当値Avnt、排気温
度Texh、大気圧(コンプレッサ入口圧)Paを読み
込み、これらのパラメータを用い、ステップ2において
fuel)/Avnt}2 ×Texh+Pa、 ただし、Kpexh:定数、の式により排気圧Pexh
0を演算し、この排気圧に対してステップ3で加重平均
処理を行い、その加重平均値を排気圧Pexhとして求
める。排気圧の実測値と予測値の相関を調べた実験結果
を図35に示す。同図より、予測値でも十分な精度があ
ることがわかる。
するフローである。ステップ1では上記した吸気圧P
m、排気圧Pexh、EGR弁実開度としてのEGR弁
実リフト量Liftsを読み込む。あるいは、ステップ
モータのように目標値を与えれば実際のEGR弁リフト
量が一義に決まる場合は、目標EGR弁リフト量でもよ
い。
Liftsから図37を内容とするテーブルを検索し
て、EGR弁57の開口面積相当値Aveを求める。
Qeを、これら吸気圧Pmと排気圧Pexh、EGR弁
57の開口面積相当値Aveとから、
る。
フローである。ステップ1でエンジン回転速度Ne、燃
料噴射量Qf、シリンダ吸入ガス温度Tnを読み込み、
このうちNeとQfとから図39を内容とするマップを
検索して、目標EGR率基本値Megr0を求める。ス
テップ3ではシリンダ吸入ガス温度Tnから図40を内
容とするテーブルを検索して目標EGR率補正値Heg
rを求め、この目標EGR率補正値Hegrを目標EG
R率基本値Megr0に乗ずることによって目標EGR
率Megrを計算する。
フローである。ステップ1でエンジン回転速度Ne、目
標EGR率Megr、シリンダ吸入新気量Qac、燃料
噴射量のサイクル処理値Qf0を読み込み、このうちシ
リンダ吸入新気量Qacに目標EGR率Megrをステ
ップ2において乗ずることで目標吸入EGR量Mqec
を計算する。
ecに対して、Kin×Kvolを加重平均係数として
vol)+Mqec×Kin×Kvol、 ただし、Rqecn-1:Rqecの前回値、の式により
中間処理値(加重平均値)Rqecを演算し、この中間
処理値Rqecと上記の目標吸入EGR量Mqecを用
いてステップ4で
n-1×(1−GKQEC)、 ただし、Rqecn-1:Rqecの前回値、 GKQEC:進み補償ゲイン、 の式により進み処理を行って目標シリンダ吸入EGR量
Tqecを求める。要求値に対して吸気系の遅れ(すな
わちEGR弁57→コレクタ52a→吸気マニホールド
→吸気弁の容量分の遅れ)があるので、ステップ3、4
ではこの遅れ分の進み処理を行うものである。
R量Tqecから、
リンダ当たり→単位時間当たり)を行って、要求EGR
量Tqeを計算する。
GR弁リフト量Lifttを演算するフローである。ス
テップ1では吸気圧Pm、排気圧Pexh、要求EGR
量Tqeを読み込む。ステップ2ではEGR弁57の要
求開口面積Tavを、
R#}1/2、 ただし、KR#:補正係数(定数)、の式(流体力学の
法則)で計算する。
口面積Tavより図43を内容とするテーブルを検索し
て目標EGR弁開度としてのEGR弁目標リフト量Ml
iftを求め、この目標リフト量Mliftに対して、
ステップ4において、EGR弁57の作動遅れ分の進み
処理を行い、その進み処理後の値を指令EGR弁リフト
量Lifttとして求める。
フト量Lifttが図示しないフローによりステップモ
ータ57aへと出力され、EGR弁57が駆動される。
6号)の説明を終了する。
4に示すように、パイロット噴射を行う場合とほぼ同等
以上の燃焼騒音レベルを得ることができるが、過渡運転
時、特に加速運転時には図45に示すような現象を改善
することが難しく(負荷の高い運転条件で低温予混合燃
焼を過渡的に維持することは難しいため)、燃焼騒音が
大きくなるので、過渡運転時の排気と燃焼騒音低減のた
め次のようにパイロット噴射と主噴射とを制御する。す
なわち、図47に示したように過渡運転に移行したタイ
ミングより定常運転に戻るまでの加速運転区間を大きく
B領域とC領域に分け、このうちB領域ではクランク角
に対する筒内圧の変化が図48中央に示した燃焼パター
ンBが得られるように、C領域ではクランク角に対する
筒内圧の変化が図48右側に示した燃焼パターンCが得
られるようにパイロット噴射と主噴射を制御する。上記
のB領域とC領域のいずれにあるかは、酸素濃度や酸素
濃度の計測値と定常運転時の目標値との偏差に基づいて
判断する。
域)では排気・燃焼騒音ともに優れる低温予混合燃焼を
行わせることにより大幅な性能改善を図る。このときの
クランク角に対する筒内圧の変化は図48の左側に示し
たようになる。また、過渡運転後に目標となる酸素濃度
と酸素量を満たし定常的に低温予混合燃焼が可能となっ
たときには(図47のD領域)、速やかに低温予混合燃
焼に移行させる。
ていくが、過給圧が残っている場合とそうでない場合と
で最適値が異なるため、減速運転時にも加速運転時と同
様の制御を行う。すなわち、フュエルリカバリー時に過
給圧が高く(応答遅れのため)かつ燃料噴射量が少ない
場合には、酸素量が過剰であるため着火遅れ期間が短く
なりまた過給圧が低くなってからは酸素量が不足するた
め着火遅れが長くなるので、フュエルリカバリー時に過
給圧が高くかつ燃料噴射量が少ない場合に、図48の燃
焼パターンCが得られるように、また過給圧が低くなっ
てからは図48の燃焼パターンBが得られるようにパイ
ロット噴射と主噴射を制御する。
制御を次に詳述する。
lの演算フローである。
噴射量Qf、大気圧(コンプレッサ入口圧)Pa、冷却
水温Tw、吸入新気温度Ta(図18により演算)、実
コモンレール圧力Prail(センサ32により検出)
を読み込み、このうちエンジン回転速度Neと燃料噴射
量Qfからステップ2において図50を内容とするマッ
プを検索することにより目標コモンレール圧力の基本値
TPrailBを、また冷却水温Tw、吸入新気温度T
a、大気圧Paからステップ3、4、5で図51、図5
2、図53を内容とするテーブルを検索することによ
り、目標コモンレール圧力の水温補正係数KPTw、吸
気温度補正係数KPTa、大気圧補正係数KPPaを求
め、ステップ6において
算する。ステップ7ではこの補正量K Prailを用
いて
て目標コモンレール圧力Tprail1を求める。
補正係数KPTwの値を1.0より大きな値としている
のは、低水温時に燃料温度が低くて燃料噴霧の状態が悪
くなるので、これを防止するためである。図52のよう
に吸入新気温度Taが低い場合に補正係数KPTaを
1.0より大きな値としているのは、吸入新気温度Ta
が低い場合に燃料噴霧が気化しにくくなるので、噴霧粒
径を小さくするためである。図53のように大気圧Pa
が低い場合に補正係数KPPaを1.0より大きな値と
しているのは、大気圧Paが低いと実圧縮比が低くなり
着火しにくくなるので、噴霧粒径を小さくして着火しや
すくするためである。
力Prailがこの目標コモンレール圧力TPrail
1と一致するようにPI制御によりPI補正量を演算
し、ステップ9においてこのPI補正量を目標コモンレ
ール圧力TPrail1に加算し、加算後の目標コモン
レール圧力を目標コモンレール圧力TPrail2とお
く。
燃料噴射量Qfとから図54、図55のマップを検索し
て最大コモンレール圧力PrailMAX、最小コモン
レール圧力PrailMINを求め、TPrail2が
この最大値と最小値の間にあればTPrail2の値
を、またTPrail2が最大コモンレール圧力Pra
ilMAXを超える場合は最大コモンレール圧力Pra
ilMAXを、TPrail2が最小コモンレール圧力
PrailMINを下回る場合は、最小コモンレール圧
力PrailMINを目標コモンレール圧TPrail
として演算する。
Qの設定フローである。
過給圧Pm solを読み込み、これらからステップ2
において
m sol)の差の絶対値を偏差dPmとして演算す
る。差の絶対値を偏差dPmとして演算するのは加速運
転時だけでなく減速運転時にも対応させるためである。
pm2、Cdpm1(Cdpm2>Cdpm1>0)を
比較する。所定値Cdpm2、Cdpm1は図47に示
した各領域(ただし図47は加速時)のいずれにあるか
を定めるための判定値である。図47の加速時でみる
と、過給圧の応答遅れによりB領域では両者の差が大き
くてPm sol−Pm ist>Cdpm2となり、
C領域になると両者の差が小さくなってCdpm2≧P
m sol−Pm ist>Cdpm1となり、さらに
D領域になると差がわずかとなりCdpm1≧Pm s
ol−Pm istとなる。なお、減速運転時において
は、過給圧の応答遅れにより減速初期の区間(B領域に
相当)で両者の差が大きくてPm ist−Pm so
l>Cdpm2となり、減速後期の区間(C領域に相
当)になると両者の差が比較的小さくなってCdpm2
≧Pm ist−Pm sol>Cdpm1となり、そ
の後(D領域に相当)は両者の差がわずかとなりCdp
m1≧Pm ist−Pm solとなる。
きにはB領域にあると判断し、ステップ3よりステップ
5に進んで、パイロット噴射許可フラグF PQ=2と
する。Cdpm2≧dPm>Cdpm1であるときには
C領域にあると判断し、ステップ3、4よりステップ6
に進みパイロット噴射許可フラグF PQ=1とする。
Cdpm1≧dPmのときにはD領域(またはA領域)
にあると判断し、ステップ3、4よりステップ7に進み
パイロット噴射許可フラグF PQ=0とする。これよ
り、パイロット噴射許可フラグF PQ=2とF PQ
=1がパイロット噴射を許可する場合(過渡運転時)で
あることを、またパイロット噴射許可F PQ=0がパイ
ロット噴射を許可しない場合(定常運転時)であること
を表す。
に際しては、回転速度と負荷を同じにした状態で過給圧
を変化させたときの排気・燃費と燃焼騒音の計測結果を
考慮して決定する。同じエンジン機種であれば全て同じ
値を用いる。エンジン機種が異なれば最適値が異なるの
で、エンジン機種毎に実験して決めなおす必要がある。
を許可するかどうかを判定するものであったが、このパ
イロット噴射許可判定は過給圧に基づくものに限られな
い。詳述しないがたとえば図57(第2実施形態)、図
60(第3実施形態)、図62(第4実施形態)に示し
たようにシリンダ吸入新気量(Qac、Tqac)、シ
リンダ吸入EGR量(Mqec、Tqec)、空気過剰
率(Lambda、Tlamb)に基づいてパイロット
噴射を許可するかどうかを判定してもかまわない。な
お、図57に用いられる目標シリンダ吸入新気量Tqa
cは図58、図59に示したようにエンジン回転速度N
eと燃料噴射量Qfに基づいて演算する。図60に用い
られる目標シリンダ吸入EGR量Tqecは図61に示
したように
cも名称だけみれば目標シリンダ吸入EGR量である
が、その実質は実シリンダ吸入EGR量を表している
(図41のステップ2参照)。
da、目標空気過剰率Tlambの演算については図6
3のフローにより説明する。ステップ1で燃料噴射量Q
fと回転速度Neより図64を内容とするマップを検索
することにより目標空気過剰率Tlambを、またステ
ップ2でシリンダ吸入新気量Qacと燃料噴射量Qfか
ら
過剰率Lambdaを演算する。
気量、シリンダ吸入EGR量、空気過剰率を用いてパイ
ロット噴射を許可するかどうかを判定する場合に、i)
過給圧を用いる場合との相違点や注意点、ii)過給圧を
用いる場合との効果上の違いを述べる。
圧力と流量の計測は第一近似で考えれば同じものを計測
しているのに等しいのであるが、燃焼に直接起因するの
は、圧力(過給圧)よりも新気量である。過給圧の計測
に比べて新気量の計測のほうが応答遅れがやや大きく
(たいていセンサがエアクリーナ部等上流に配置される
ため)、コストも高くなるが、燃焼に直接起因する因子
を計測しているほうが、高い制御精度が得られるという
メリットがある。
合:EGR量は作動ガス中の酸素量と酸素濃度を制御す
るので、噴射時期とともに着火遅れに強い影響がある。
したがって、EGR量で制御する場合、暗に着火遅れ時
期がどれぐらい変化するかをチェックしながら制御する
ことになるので、燃焼騒音対策としてはより効果が高く
なる。
率=新気量/(燃料噴射量×14.7)という定義式か
ら明確なように、空気過剰率を用いると、新気量だけで
なく燃料噴射量の影響もチェックしながら制御すること
になる。遅い新気量に対して燃料噴射量の動きは速いの
で、この比をモニタして制御する結果、他の3つの場合
(過給圧、シリンダ吸入新気量、シリンダ吸入EGR量
を用いる場合)に比べて特に過渡運転時の制御精度が向
上する。
ローである。
噴射量Qf、大気圧Pa、冷却水温Tw、吸入新気温度
Ta、パイロット噴射許可フラグF PQを読み込む。
ステップ2ではパイロット噴射許可フラグF PQにし
たがって図66〜図68に示すマップのいずれかを選択
し、エンジン回転速度Neと燃料噴射量Qfからその選
択したマップを検索することにより目標主噴射時期の基
本値TMITBを演算する。
Aでは主噴射(開始)時期が圧縮上死点後になっている
のに対して、中央と右側に示す燃焼パターンB、Cでは
主噴射(開始)時期が圧縮上死点前にきている。図6
6、図67、図68は、これら図48の左側、中央、右
側に示す各主噴射時期を与えるものである。燃焼パター
ンAを与える主噴射時期に対して、燃焼パターンB、C
を与える主噴射時期が異なることを明確にするため図6
6、図67、図68のマップ中に圧縮上死点の位置と大
体の値を書き入れることができればよいのであるが、実
際には一概に特性が定まるものでないため、書き入れる
ことはできていない。発明者の経験によれば、具体的数
値の傾向は概ね3つとも同じになると思われる。なお、
図66に示す目標主噴射時期基本値TMITBの特性
は、従来と同様でありクランク角で圧縮上死点後の所定
の範囲内で燃料噴射が開始されるように設定されている
(圧縮上死点より遅角側のデータが入っている)。
w、吸入新気温度Ta、大気圧Paから図69、図7
0、図71を内容とするテーブルを検索することによ
り、目標主噴射時期の水温補正係数KMITTw、吸気
温度補正係数KMITTa、大気圧補正係数KMITP
aを求め、ステップ6において
KMITPa の式により主噴射時期補正量KM ITを計算する。
ITを用いて
補正後の値を目標主噴射時期TMIT1とする。
のクランク角位置から進角側に測った値(進角量)であ
る。したがって、補正係数KMITTw、KMITT
a、KMITPaが1.0より大きな値のとき主噴射時
期が進角される。図69に示したように低水温時に補正
係数KMITTwの値を1.0より大きな値としている
のは、低水温時に燃料温度が低くて燃焼が遅れがちにな
るので、燃焼の中心を進角側にもってくるためである。
図70のように吸入新気温度Taが低い場合に補正係数
KMITTaを1.0より大きな値とし、図71のよう
に大気圧Paが低い場合に補正係数KMITPaを1.
0より大きな値としているのも、同様の理由からであ
る。
して目標主噴射時期基本値(図66〜図68)を別々に
与えたのに対して、図69〜図71に示す補正係数の特
性は3つの燃焼パターンA、B、Cに応じて与えること
はしていない。3つの燃焼パターンA、B、Cに応じて
補正係数のテーブルを与えることも考えられるのである
が、ロジックが複雑になるのと適合しきれないこともあ
るので、今のところ1つにまとめている。
Neと燃料噴射量Qfとから図72、図73のマップを
検索して最大主噴射時期MITMAX、最小主噴射時期
MITMINを求め、目標主噴射時期TMIT1が最大
値と最小値の間にあればTMIT1の値を、また目標主
噴射時期TMIT1が最大主噴射時期MITMAXを超
える場合は最大主噴射時期MITMAXを、目標主噴射
時期TMIT1が最小主噴射時期MITMINを下回る
場合は最小主噴射時期MITMINを目標主噴射時期T
MITとして演算する。これはリミッタ処理である。
の演算フローである。演算方法そのものは目標主噴射時
期と同様である。ステップ1でエンジン回転速度Ne、
燃料噴射量Qf、大気圧Pa、冷却水温Tw、吸入新気
温度Ta、パイロット噴射許可フラグF PQを読み込
む。ステップ2ではパイロット噴射許可フラグF PQ
の値にしたがって図75、図76に示すマップのいずれ
かを選択し、エンジン回転速度Neと燃料噴射量Qfか
らその選択したマップを検索することにより目標パイロ
ット噴射時期の基本値TPITBを演算する。なお、図
示しないが、パイロット噴射許可フラグF PQ=0で
あるときにはパイロット噴射を行う必要がないので、目
標パイロット噴射時期を演算しない。
w、吸入新気温度Ta、大気圧Paから図77、図7
8、図79を内容とするテーブルを検索することによ
り、目標パイロット噴射時期の水温補正係数KPITT
w、吸気温度補正係数KPITTa、大気圧補正係数K
PITPaを求め、ステップ6において
KPITPa の式によりパイロット噴射時期補正量KP ITを計算
する。
正量KP ITを用いて
補正し、補正後の値を目標パイロット噴射時期TPIT
1とする。
も、前述の目標主噴射時期基本値TMITBと同様、所
定のクランク角位置から進角側に測った値(進角量)で
ある。また、補正係数KPITTw、KPITTa、K
PITPaが1.0より大きな値のときパイロット噴射
時期が進角される。パイロット噴射について図77、図
78、図79の各特性とした理由は、主噴射について図
69、図70、図71の各特性としたのと同様である。
Neと燃料噴射量Qfとから図80、図81のマップを
検索して最大パイロット噴射時期ITPMAX、最小パ
イロット噴射時期ITPMINを求め、目標パイロット
噴射時期TPIT1が最大値と最小値の間にあればTP
IT1の値を、また目標パイロット噴射時期TPIT1
が最大パイロット噴射時期ITPMAXを超える場合は
最大パイロット噴射時期ITPMAXを、目標パイロッ
ト噴射時期TPIT1が最小パイロット噴射時期ITP
MINを下回る場合は最小パイロット噴射時期ITPM
INを目標パイロット噴射時期TPITとして演算する
(リミッタ処理)。
算のフローである。
噴射量Qf、パイロット噴射許可フラグF PQを読込
み、このうちパイロット噴射許可フラグF PQの値に
したがって図83、図84に示すマップのいずれかを選
択し、エンジン回転速度Neと燃料噴射量Qfからその
選択したマップを検索することにより目標パイロット噴
射量基本値TPQBを演算し、これをそのままステップ
3で目標パイロット噴射量TPQとする。なお、パイロ
ット噴射許可フラグF PQ=0のときにはパイロット
噴射を行う必要がないので、目標パイロット噴射量TP
Qは演算しない。
Bと右側に示す燃焼パターンCとでパイロット噴射量と
基本インターバル(パイロット噴射開始時期と主噴射開
始時期との間隔)とが違っている。上記の図75、図7
6は、これら図48の中央、右側に示す各基本インター
バルを定めるパイロット噴射開始時期を、また図83、
図84は、これら図48の中央、右側に示す各パイロッ
ト噴射量を与えるものである。エンジン回転速度が40
00rpmまでの実験結果によれば、燃焼パターンBを
与えるパイロット噴射量は0.2〜1.0mg/st.
cyl、同じく燃焼パターンBを与える基本インターバ
ルは7〜18゜CA、同様に燃焼パターンCを与えるパ
イロット噴射量は1.5〜3.0mg/st.cyl、
同じく燃焼パターンCを与える基本インターバルは30
゜CAでよいことを確認している。
であるが、この値に限定されるものでない。パイロット
噴射による燃焼騒音低減の効果がいずれの回転速度まで
得られるかはエンジンの諸元や考え方でずいぶん違って
くるので、エンジン機種が変わればパイロット噴射を適
用する回転速度範囲も変わり得る。ただし、排気量の全
く異なる3機種のエンジンについての実験結果からいう
と、いずれのエンジンについても上記の数値を満足する
ため、上記数値の範囲が一般解になりうると考えてい
る。
いては図84のほうが図83より小さい値が入る。パイ
ロット噴射時期については、回転速度が高くなると基本
インターバルはやや短くなり、負荷が増えても同様な傾
向となるため、燃焼パターンB、Cを与えるパイロット
噴射時期の傾向としては図75、図76に示した矢印方
向に数値が小さくなる。
図48に示す2つの燃焼パターンB、Cに対して別々の
値を与えたのに対して、上記図77〜図79に示す補正
係数の特性については、上記図69〜図71と同様、燃
焼パターン毎に与えることをしていない。燃焼パターン
毎に補正係数のテーブルを与えることも考えられるが、
ロジックが複雑になるのと適合しきれないこともあるの
で、ここでも今のところ1つにまとめている。
8参照しながら説明する。
A領域(実過給圧の目標過給圧からの偏差dPmが所定
値Cdpm1以下となる運転条件)において排気、燃焼
騒音ともに優れる低温予混合燃焼が行われて大幅な性能
改善が図られる。
不足する図47のB領域(実過給圧の目標過給圧からの
偏差dPmが所定値Cdpm2を超える運転条件)にな
ると、少ないパイロット噴射が比較的進角側で噴射され
るとともに、パイロット噴射と主噴射の噴射間隔を短く
して上死点以前で主噴射が完了される。このときのクラ
ンク角に対する筒内圧の変化は図48の中央に示したよ
うにガソリンエンジンのような1こぶの燃焼となり、燃
焼騒音を抑制することが可能となる。
れるが酸素量が不足する図47のC領域(実過給圧の目
標過給圧からの偏差dPmが所定値Cdpm2以下とな
る運転条件)に移ると、パイロット噴射量が比較的多く
されるとともに、パイロット噴射と主噴射の噴射間隔を
長くしてパイロット噴射燃料の燃焼が完全に終了してか
ら主噴射が行われることで、スモークの悪化が抑制され
るとともに燃焼ガスによる内部EGR効果で燃焼が緩慢
となり燃焼騒音が抑制される。
過給圧からの偏差dPmが所定値Cdpm1以下となる
運転条件)では目標となる酸素濃度と酸素量を満たすの
で、速やかに低温予混合燃焼が行われる。
よる効果を図85、図86に示す。従来の制御方法と比
較し、大幅に加速運転時の燃焼騒音悪化を抑制しつつ
(図85)、同時に排気・燃費も改善することが可能に
なっている(図86)。
に過給圧が高く(応答遅れのため)かつ燃料噴射量が少
ない場合には、酸素量が過剰であるため着火遅れ期間が
短くなりまた過給圧が低くなってからは酸素量が不足す
るため着火遅れが長くなるのであるが、本実施形態によ
れば、フュエルリカバリー時に過給圧が高くかつ燃料噴
射量が少ない場合に、図48の燃焼パターンCが得られ
るように、また過給圧が低くなってからは図48の燃焼
パターンBが得られるようにパイロット噴射と主噴射が
制御され、これによって本発明の制御を行わない場合よ
り燃焼騒音を抑制できることを実験により確認してい
る。
基づいてパイロット噴射を許可するかどうかを判定する
場合で説明したが、EGR率を用いてもかまわない。
を前提として、パイロット噴射を適用する場合で説明し
たが、本発明はこれに限定されるものでなく、拡散燃焼
を主体とする燃焼を前提とする場合にも適用できる。
置を備える場合で説明したが、本発明の適用においては
噴射ポンプの形式を問わない。
える場合で説明したが、一定容量ターボチャージャを備
える場合でもかまわない。
給圧を同時に制御する他の方法がすでに提案されており
(特願平11−168450号、特願2000−309
557号等)、それらに対して本発明を適用してもよ
い。
演算を説明するためのフローチャート。
を示すフローチャート。
ト。
フローチャート。
のフローチャート。
ーチャート。
ト。
ート。
のフローチャート。
ャート。
ート。
のフローチャート。
ト。
図。
ャート。
チャート。
チャート。
のフローチャート。
特性図。
を説明するための波形図。
が可能な領域が異なることを示す特性図。
めの波形図。
ターンおよびその各燃焼パターンを実現するためのパイ
ロット噴射と主噴射の波形を示す図。
のフローチャート。
ためのフローチャート。
設定を説明するためのフローチャート。
ャート。
設定を説明するためのフローチャート。
チャート。
設定を説明するためのフローチャート。
ャート。
ーチャート。
0)。
1)。
2)。
めのフローチャート。
PQ=2)。
(F PQ=1)。
のフローチャート。
PQ=2)。
PQ=1)。
Claims (10)
- 【請求項1】主噴射と、この主噴射に先立つパイロット
噴射とを行うディーゼルエンジンの制御装置において、 吸気中の酸素濃度または酸素量の定常運転時の目標値を
設定する手段と、 吸気中の酸素濃度または酸素量を計測する手段と、 この酸素濃度または酸素量の計測値の前記目標値からの
ずれが大きい運転状態であるのか、それとも前記計測値
の前記目標値からのずれが比較的小さい運転状態である
のかを判定する手段と、 この判定結果に基づき前記計測値の前記目標値からのず
れが大きい運転状態の場合に、少ないパイロット噴射量
を比較的進角側で噴射するとともに、パイロット噴射と
主噴射の噴射間隔を短くして圧縮上死点以前に主噴射を
完了させ、前記計測値の前記目標値からのずれが比較的
小さい運転状態である場合に、パイロット噴射量を比較
的多くするとともに、パイロット噴射と主噴射の噴射間
隔を長くしてパイロット噴射燃料による燃焼を完全に終
了させてから主噴射を行う手段とを備えることを特徴と
するディーゼルエンジンの制御装置。 - 【請求項2】前記吸気中の酸素濃度相当または酸素量相
当の値として過給圧を用いることを特徴とする請求項1
に記載のディーゼルエンジンの制御装置。 - 【請求項3】前記吸気中の酸素濃度相当または酸素量相
当の値として吸入新気量を用いることを特徴とする請求
項1に記載のディーゼルエンジンの制御装置。 - 【請求項4】前記吸気中の酸素濃度相当または酸素量相
当の値としてEGR量またはEGR率を用いることを特
徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンの制御装
置。 - 【請求項5】前記吸気中の酸素濃度相当または酸素量相
当の値として空気過剰率を用いることを特徴とする請求
項1に記載のディーゼルエンジンの制御装置。 - 【請求項6】前記計測値の前記目標値からのずれがない
運転状態の場合に、低温予混合燃焼を行わせることを特
徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載のデ
ィーゼルエンジンの制御装置。 - 【請求項7】前記低温予混合燃焼を行わせる手段は、エ
ンジンの運転条件に応じてエンジンの燃焼温度を低下さ
せる手段と、この燃焼温度を温度を低下させる手段の作
動時に、熱発生率のパターンが単段燃焼の形態となるよ
うに着火遅れ機関を大幅に長くする手段とからなること
を特徴とする請求項6に記載のディーゼルエンジンの制
御装置。 - 【請求項8】前記燃焼温度を低下させる手段は吸気の酸
素濃度を低減させる手段であることを特徴とする請求項
7に記載のディーゼルエンジンの制御装置。 - 【請求項9】前記着火遅れ期間を大幅に長くする手段
は、燃料の噴射時期を上死点後まで遅らせる手段である
ことを特徴とする請求項7に記載のディーゼルエンジン
の制御装置。 - 【請求項10】前記少ないパイロット噴射量は0.2〜
1.0mg/st.cylであり、前記短くするパイロ
ット噴射と主噴射の噴射間隔は7〜18゜CAであり、
前記比較的多くするパイロット噴射量は1.5〜3.0
mg/st.cylであり、前記長くするパイロット噴
射と主噴射の噴射間隔は30゜CAであることを特徴と
する請求項1から9までのいずれか一つに記載のディー
ゼルエンジンの制御装置。
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