JP2003221458A - 熱硬化性樹脂成形品の接着方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂成形品の接着方法

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JP2003221458A
JP2003221458A JP2002020306A JP2002020306A JP2003221458A JP 2003221458 A JP2003221458 A JP 2003221458A JP 2002020306 A JP2002020306 A JP 2002020306A JP 2002020306 A JP2002020306 A JP 2002020306A JP 2003221458 A JP2003221458 A JP 2003221458A
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flame
corona
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Hiroshi Amano
博 天野
Norio Hirayama
紀夫 平山
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Nitto Boseki Co Ltd
Nittobo FRP Laboratory Co Ltd
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Nagase Chemtex Corp
Nitto Boseki Co Ltd
Nittobo FRP Laboratory Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 離型剤を塗布した成形型を用いて形成された
繊維強化熱硬化性樹脂の接着方法において、充分な接着
力を以ってしかも簡便にしてかつ経済的に安定した接着
品質を実現できる接着方法を提供する。 【解決手段】 外部離型剤を塗布した成形型を用いて形
成されたガラス繊維強化熱硬化性樹脂成形品を、接着剤
を用いて相互に又は他の物質と接着させる方法におい
て、該成形品の接着表面にコロナ炎あるいはプラズマ炎
を接触させた後に接着剤を用いて接着を行うことを特徴
とする熱硬化性樹脂成形品の接着方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部離型剤を塗布
した成形型を用いて形成された内部離型剤を含有するガ
ラス繊維強化熱硬化性樹脂成形品の接着方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ガラス繊維で強化された熱硬化性樹脂成
形品(以下GFRPとも言う)は、その比強度が大き
く、かつ高い耐食性能を有することから、種々の分野に
おいて利用されている。また、その成形方法も種類が多
く、スプレーアップ成形、ハンドレイアップ成形、射出
成形、圧縮成形、引抜成形、FW成形等がある。これら
の成形方法で成形される成形品は、単一の部品として使
用されることは稀で、多くが他の部品と接合され、組み
立てられて完成した商品となる。このようなGFRP成
形品を接合する代表的な接合方法には、機械的接合と接
着接合がある。この代表的な2つの接合方法の中でも、
特に接着剤を使用した接合方法は、経済性・作業性に優
れ、非常に古くから実用化され、幅広く使用されてい
る。しかしながら、従来の接着剤を使用したGFRP成
形品の接合方法では、成形型との離型性を向上させるた
めに成形型に塗布されたワックスなどの離型剤が接着剤
を塗布するGFRP成形品の接着表面に存在し、接着剤
による接合ができなかった。このため、一般的には、G
FRP成形品の接着表面をサンドペーパーや研磨機械で
サンディング処理を行い、離型剤が付着している表面層
を削除していた。さらに、要求される接着強度の信頼性
が高い場合や、成形品の形状によりサンディング処理が
できない場合には、プライマーによる下地処理が行われ
る場合も多く、GFRP成形品の接着工程には、非常に
時間とコストのかかる前処理工程が必要であった。ま
た、このサンディング処理やプライマーによる下地処理
は、処理にバラツキが生じやすく、接着強度のバラツキ
が発生しやすく、強度的な品質の安定性に問題があっ
た。さらに最大の問題は、サンディング処理やプライマ
ーによる下地処理が接着工程と別に行われるため、工程
が別になり加工費が増大し最終商品の製造コストを増大
させる原因となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、離型剤を塗
布した成形型を用いて形成された繊維強化熱硬化性樹脂
の接着方法において、充分な接着力を以ってしかも簡便
にしてかつ経済的に安定した接着品質を実現できる接着
方法を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべき鋭意研究を重ねた結果、離型剤を塗布した
成形型を用いて形成されたGFRP成形品の表面を、コ
ロナ炎処理、あるいはプラズマ炎処理により、その成形
品の表面に存在する離型剤が、それらのコロナ炎やプラ
ズマ炎による高エネルギーのイオン分子の衝突により洗
浄され、さらに表面に分子レベルの凹凸が形成された
後、接着剤となじみやすいOH基などの極性基が形成さ
れることを見出した。特に、内部にも離型剤を含有する
GFRP表面の極性基を減少させる離型処理を行った場
合には、コロナ炎処理、あるいはプラズマ炎処理により
接着剤となじみやすいOH基などの極性基が形成される
ことを見出した。さらに本発明者らは、研究を重ねた結
果、これらの表面改質効果が、処理した後の放置時間に
依存し、処理後数時間内に接着剤を塗布すると著しく向
上された接着力で接着を実施し得ることを見出した。本
発明は以上のような知見に基づいてなされたものであ
る。即ち、本発明によれば、以下に示す接着方法が提供
される。 (1)外部離型剤を塗布した成形型を用いて形成された
ガラス繊維強化熱硬化性樹脂成形品を、接着剤を用いて
相互に又は他の物質と接着させる方法において、該成形
品の接着表面にコロナ炎あるいはプラズマ炎を接触させ
た後に接着剤を用いて接着を行うことを特徴とする熱硬
化性樹脂成形品の接着方法。 (2)該成形品が内部離型剤を含有することを特徴とす
る前記(1)に記載の方法。 (3)該コロナ炎が、電極間にガスを流通させながら該
電極間に高電圧を印加して該電極の間隙から外側に突出
させたコロナ炎であることを特徴とする前記(1)又は
(2)に記載の方法。 (4)該プラズマ炎が、電極間にガスを流通させながら
該電極間に高電圧を印加して該電極の間隙から外側に突
出させたプラズマ炎であることを特徴とする前記(1)
〜(3)のいずれかに記載の方法。 (5)該成形品に対してロボットアームに付設された接
着剤塗布ガンを用いて接着剤を塗布することを特徴とす
る前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。 (6)該電極が該接着剤塗布ガンの付設されたロボット
アームに付設されていることを特徴とする前記(5)に
記載の方法。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において接着対象として用
いる材料は、離型剤を塗布した成形型を用いて形成した
GFRP成形品である。このような成形品は、その表面
に、成形品を作るときの成形型内表面に塗布した離型剤
由来の離型剤が付着して、接着剤による接着が非常に困
難なものとなっている。従って、前記したように、従来
は、このような成形品の表面は、サンドペーパーや研磨
機械でサンディング処理を行ってその成形品表面の接着
性を高めるか、そのサンディング処理ができない場合に
は、プライマーによる下地処理を行ってその成形品表面
の接着性を高めることが常識となっていたものである。
このような成形品は、本発明により充分な接着力を以っ
て簡便に接着させることができるが、このようなことは
本発明者らが初めて見出した予想外のことである。
【0006】本発明で用いるGFRP成形品において、
そのプラスチックとしては、従来公知の各種のものが用
いられる。このようなものには、不飽和ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエ
ステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂等が包
含される。
【0007】前記熱硬化性樹脂に含有させるガラス繊維
としては、従来公知の各種のものが用いられ、その含有
量は、その熱硬化性樹脂100重量部当り、10〜75
重量部、好ましくは30〜60重量部の割合である。前
記熱硬化性樹脂には、必要に応じ、その内部に離型剤
(以下、内部離型剤とも言う)を含有させることもでき
る。この内部離型剤としては、従来公知の各種のものが
用いられる。このようなものには、各種ワックス類が包
含される。このワックスとしては、低分子量ポリオレフ
ィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、高級(炭素数8
〜22、好ましくは12〜18)脂肪酸、高級アルコー
ル、高級脂肪酸アミド、脂肪族フロロカーボン等が挙げ
られる。そのワックス類の融点は、通常、50〜200
℃、好ましくは90〜160℃である。熱硬化性樹脂中
の内部離型剤の含有量は、熱硬化性樹脂100重量部当
り、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部
の割合である。熱硬化性樹脂中には、前記成分の他、慣
用の補助成分、例えば、着色剤、硬化剤、硬化促進剤、
反応性希釈剤、フィラー、増粘剤、低収縮剤等を適量添
加することができる。
【0008】熱硬化性樹脂成形品を製造するには、先
ず、所定形状の金型を用意し、その金型の内面に離型剤
(以下、外部離型剤とも言う)を塗布する。この外部離
型剤としては、常温で液状を示す慣用のもの、例えば、
流動パラフィンや、溶剤系ワックス、シリコーン樹脂、
PVA(ポリビニルアルコール)溶液等が用いられる。
次に、この金型に、前記烈硬化性樹脂を充填し、硬化さ
せた後、得られた硬化物を成形品として金型から取出
す。得られた成形品の表面に付着する離型剤は、1m2
当り5g以上、特に30g以上である。
【0009】本発明の接着方法は、前記のようにして得
られた成形品相互又はそれと他の物質とを接着剤で接着
させる方法であるが、この場合、その成形品の接着表面
を、コロナ炎処理又はプラズマ処理炎処理した後、接着
剤を介して接着することを特徴とする。
【0010】前記コロナ炎処理やプラズマ炎処理として
は、従来公知の方法を用いることができる。コロナ炎処
理やプラズマ炎処理においては、電極間にガスを流通さ
せながら該電極間に高電圧を印加して該電極間の間隙か
ら外側に突出するコロナ炎(又はプラズマ炎)を形成さ
せ、このコロナ炎(又はプラズマ炎)を用いて成形品の
表面処理を行う方法が知られているが、本発明では、こ
のような方法を有利に用いることができる。前記コロナ
炎処理やプラズマ炎処理を行うための装置は市販されて
おり、例えば、「コロナマスター」(信光電気計装
社)、「スパジェット」(日本電池社)、「プラズマジ
ェット」(日本スタティック(株))等がある。
【0011】前記電極間の間隙から外側に突出するコロ
ナ炎又はプラズマ炎を用いて成形品の表面処理を行う場
合、その電極間の距離は5〜30mm、好ましくは5〜
10mmである。その電極間に印加する電圧は5〜60
kV、好ましくは15〜25kVであり、その電圧とし
ては、1kHz〜100kHz、好ましくは5〜30k
Hzの周波数を有する電圧が用いられる。電極間を流通
させるガスとしては、空気、酸素、窒素等の各種ガスで
あることができるが、入手容易性の点で空気を用いるの
がよい。電極間を流通するガスの流速は、1〜10m/
秒、好ましくは3〜6m/秒である。コロナ炎又はプラ
ズマ炎と成形品表面との接触時間は、通常、0.1〜1
0秒、好ましくは0.5〜2秒である。
【0012】前記接着剤としては、従来公知の各種接着
剤が用いられる。このようなものには、エポキシ樹脂系
接着剤、ポリウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、シアノ
アクリレート系接着剤、ホットメルト接着剤、アクリル
エマルジョン系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、α−
オレフィン樹脂系接着剤、水性高分子/イソシアネート
系接着剤、反応型アクリル接着剤、弾性接着剤等が包含
される。
【0013】本発明により成形品の接着を行う場合、成
形品を移動させる移動ラインにおいて、コロナ炎処理又
はプラズマ炎処理を行った後、接着剤を用いて成形品の
接着を行うのが好ましい。接着剤を用いる成形品の接着
は、そのコロナ炎処理後又はプラズマ炎処理後、可及的
速やかに行うのが好ましく、通常、そのコロナ炎処理後
又はプラズマ炎処理後、24時間分以内、好ましくは1
0分以内、より好ましくは1分以内で行うのがよい。
【0014】本発明で用いるコロナ炎処理又はプラズマ
炎処理は、その電極として、装置本体から分離した移動
可能な小型のもの(縦:2〜3cm、横:1〜2cm)
を用いるのがよい。接着剤を塗布するために、ロボット
アームに取り付けられた塗布ガンが用いられているが、
本発明の場合、この塗布ガンの付設されたロボットアー
ムに、好ましくはその塗布ガンの近傍(30cm以内、
特に10cm以内)前記小型電極を取付け、その電極間
の間隙から突出したコロナ炎又はプラズマ炎でGFRP
成形品の表面を処理した後接着剤をすぐに塗布すること
で、コロナ炎処理又はプラズマ炎処理と接着処理を有利
に行うことができる。即ち、従来のような大型の電極を
もつ装置により処理し、処理したGFRP成形品を別の
接着工程で接着するのでは、工程間の時間経過や大気中
のゴミやほこり、あるいは作業者の接触によるカーボン
等の付着により、その処理の効果がなくなってしまう
が、前記のようにして電極間から突出するコロナ炎やプ
ラズマ炎を用いる処理と接着処理を行うことによって、
安定した接着を効率よく行うことができる。
【0015】本発明により成形品を他の物質と接着させ
る場合、その他の物質は、プラスチック、金属、セラミ
ックス、木質材等であることができる。プラスチックの
場合、その表面にコロナ炎処理やプラズマ炎処理を施す
ことは有利な方法である。
【0016】
【発明の効果】本発明によるGFRP成形品の接着方法
は、従来の接着方法とは異なり、サンディング処理やプ
ライマーによる下地処理を行わないより簡便でかつ経済
的で高品質な接着方法であり、コロナ炎やプラズマ炎を
接触させるだけで接着表面の改質を行い、そしてコロナ
炎処理やプラズマ炎処理と接着剤の塗布工程を一体化す
ることで、経時的でかつ接着強度のバラツキの少ない高
品質な接着強度がえられる。また、この方法は、従来の
コロナ放電処理やプラズマ放電処理とは異なり、電極間
に被処理物を挿入する必要がなく、被処理物にコロナ炎
やプラズマ炎を接触させるだけで実施できるので、大型
の披処理物やくりぬき部のある被処理物に対しても、何
ら支障なく適用することができる。
【0017】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。
【0018】なお、以下の実験において用いたコロナ放
電処理装置は、図1及び図2に示した構造のものであ
る。図1は、コロナ炎処理装置全体を示す概略図であ
る。図2は、高圧電極の構造説明図である。図1におい
て、1は高電圧発生装置、2は高圧ケーブル、3は高圧
電極、4は送風孔、5は送風管、6は送風機、7はコロ
ナ炎を示す。図2において、1、2、3、4は側板、S
は空間、Eは電極を示す。
【0019】実施例1 GFRPとして母材に炭酸カルシュウムを100重量部
混入した不飽和ポリエステル樹脂(大日本インキ工業
(株)製、)、強化材としてガラス繊維組布(4軸組布
KQ−2270、日東紡績(株)製)からなる引抜成形
品から試験片を切り出した。試験片の幅は20mm、厚
さ5mm、長さ100mmである。この引抜成形品に
は、内部離型剤として(モールドウィズINT−PS1
25、アクセルプラスチックスリサーチラボラトリーズ
社製)を不飽和ポリエステル樹脂に対して5重量部混入
しており、引抜成形型には外部離型剤として、オイル系
離型剤TSM−621、(東芝シリコーン(株)製)が
塗布してある。従って、成形されたGFRP引抜成形品
の表面には、内部離型剤と外部離型剤が存在しており接
着性は非常に悪いものとなっている。このGFRP引抜
成形品の試験片の表面を予めテーチングされたロボット
アームを一定速度2m/分で移動させながら、その表面
上にコロナ炎を接触させながらエポキシ系接着剤[「デ
ナタイトエポキシレジンXNR3124」(主剤)/ハ
ードナーXNH3124(硬化剤)、ナガセケムテック
ス(株)製]を同時に塗布した。この場合、GFRP引
抜成形品の試験片表面と電極先端との間の距離(以下、
照射距離と言う)は一定に保持した。次に、このように
してコロナ炎処理後にGFRP引抜成形品の試験片の表
面に接着剤を塗布した試料を、同様にコロナ炎処理だけ
を行い接着剤を塗布していない試料とオーバーラップ1
0mmで互いに貼合せ、クリップにて圧縮し、25℃で
48時間硬化させた。この後、引張せん断接着強さを測
定した。また、コロナ炎を接触させながらエポキシ系接
着剤を同時に塗布する方法としない方法での接着強度を
比較するため、同じ試料の表面を溶剤で脱脂した後にエ
ポキシ系接着剤のみを塗布した試験片を作成し、引張せ
ん断接着強さを測定した。その結果を表1に示す。この
場合の測定は、イソストロン万能試験機を用いて、クロ
スヘッドスピード5mm/分の条件で行った。なお、コ
ロナ炎処理条件は次の通りである。 (放電条件) 電圧:15kv(周波数:20kHz) 電流:30mA 電極先端からのコロナ炎の長さ:30mm 照射距離:7mm
【0020】
【表1】
【0021】この結果から明らかなように、コロナ炎を
接触させながらエポキシ系接着剤を塗布する本発明の方
法では、単に、試料の表面を溶剤で脱脂した後にエポキ
シ系接着剤のみを塗布した場合に比較して、引張せん断
接着強さで約1.5〜2倍程向上する。また、本発明の
コロナ炎を接触させながらエポキシ系接着剤を塗布する
方法では、材料の破壊状況が接着表面の界面破壊ではな
く、FRPの母材で破壊するため界面の接着強度のばら
つきもすくなく安定した品質の接着が得られる。
【0022】コロナ放電処理やプラズマ放電処理でプラ
スチックの表面が改質されることは、以前から知られて
いたが、内部離型剤と外部離型剤がたくさん付着したG
FRP成形品の表面がこれほど改質されることは知られ
ていなかった。そこで、本発明者らは前記実施例で用い
た試験片の表面分析を行った。コロナ炎処理やプラズマ
炎処理でGFRP成形品の表面が改質され、接着強度が
前記実施例のように大幅に改善される理由としては以下
の3つが考えられる。 (1)表面に付着している外部離型剤などの有機物(汚
れ)がプラズマ粒子と結合して飛ばされ、GFRP成形
品の表面が洗浄される。 (2)プラズマ粒子によりGFRP成形品の表面に原子
レベルの凹凸ができ、接着剤と物理的な結合ができる。 (3)プラズマやコロナ放電により高エネルギーの電子
が大気中の分子と衝突してラジカルやイオンなどが生成
し、これがGFRP成形品の表面で反応してカルボキシ
ル基、カルボニル基、水酸基などの極性官能基が導入さ
れる。これにより、プラスチック表面の改質が行われ
る。 本発明者らは、これらの仮説のうち(3)の理由が最も
大きな要因と考え、表面分析法として高分子に最も利用
されていているXPS(X線光電子分光)を用いたGF
RP成形品の表面の分析を行った。XPSは固体表面に
X線(主としてMgKα(1253.6eV)またはA
lKα(1486.6eV))を照射して外部光電効果
により放出される内殻電子の運動エネルギーを測定する
ことにより、放出される前の電子と原子核との間の結合
エネルギーが算出される。この結合エネルギーは元素特
有の値を示し、光電子放出量が測定領域の元素濃度に比
例することから、XPS測定により元素の定性および定
量分析を行うことができる。
【0023】図3に、GFRP成形品の表面分析結果を
示す。分析は、C1s、O1s及びN1sを対象とし
た。図3に示すコロナ炎電処理後におけるXPSのC1
sスペクトルは処理前のスペクトルと比較して明らかに
高エネルギー側にブロードなショルダーが認められる。
これは、水酸基、カルボニル基及びカルボキシル基など
の親水基に関係したC1sスペクトルが重なり合って生
じたものと考えられる。そこで、C1sスペクトルを波
形分離法によって、水酸基、カルボニル基及びカルボキ
シル基の量を求めた。なお、波形分離は、各官能基によ
るピーク値をガウス分布と仮定し、それぞれに対応する
結合エネルギーを286.51eV,288.03e
V,289.54eVと定めた。表2に波形分離法によ
って求めた、水酸基、カルボニル基及びカルボキシル基
の量を示す。この表からも明らかなように、本発明のコ
ロナ炎を接触させながら処理した表面では、明らかに水
酸基、カルボニル基及びカルボキシル基の量が多くなっ
ており、接着剤と反応する親水基が増えており、逆に接
着に寄与しない炭素の1次結合は減少していることがわ
かる。以上の分析結果から、本発明者らの仮説が立証さ
れ、本発明の優位性が証明された。
【0024】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で用いるコロナ放電処理装置全体
を示す概略説明図である。
【図2】高圧電極の1例についての構造説明図である。 (a):縦断面図 (b):横断面図
【図3】X線光電子分光を用いたGFRP成形品の表面
分析結果を示す。
【符号の説明】
(図1) 1 高電圧発生装置 2 高圧ケーブル 3 高圧電極 4 送風孔 5 送風管 6 送風機 7 コロナ炎 (図2) 1、2、3、4 側板 S 空間 E 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天野 博 兵庫県龍野市龍野町中井236番地 ナガセ ケムテックス株式会社播磨第2工場内 (72)発明者 平山 紀夫 福島県郡山市名倉32−1 レジデンス名倉 208号 Fターム(参考) 4F073 AA01 BA21 BA22 BA23 BA28 BA34 CA01 CA08 CA21 4J002 BB002 BB252 BF051 CC031 CD001 CF211 CK021 DL006 EB067 EC067 EF057 EG017 EH017 EP007 FA046 FD162 FD167

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 離型剤を塗布した成形型を用いて形成さ
    れたガラス繊維強化熱硬化性樹脂成形品を、接着剤を用
    いて相互に又は他の物質と接着させる方法において、該
    成形品の接着表面にコロナ炎あるいはプラズマ炎を接触
    させた後に接着剤を用いて接着を行うことを特徴とする
    熱硬化性樹脂成形品の接着方法。
  2. 【請求項2】 該成形品が内部離型剤を含有することを
    特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 該コロナ炎が、電極間にガスを流通させ
    ながら該電極間に高電圧を印加して該電極の間隙から外
    側に突出させたコロナ炎であることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 該プラズマ炎が、電極間にガスを流通さ
    せながら該電極間に高電圧を印加して該電極の間隙から
    外側に突出させたプラズマ炎であることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 該成形品に対してロボットアームに付設
    された接着剤塗布ガンを用いて接着剤を塗布することを
    特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 該電極が該接着剤塗布ガンの付設された
    ロボットアームに付設されていることを特徴とする請求
    項5に記載の方法。
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