JP2003215510A - レンズの着色方法及び着色レンズ - Google Patents

レンズの着色方法及び着色レンズ

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JP2003215510A
JP2003215510A JP2002012077A JP2002012077A JP2003215510A JP 2003215510 A JP2003215510 A JP 2003215510A JP 2002012077 A JP2002012077 A JP 2002012077A JP 2002012077 A JP2002012077 A JP 2002012077A JP 2003215510 A JP2003215510 A JP 2003215510A
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lens
dye
coloring
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dye holding
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JP2002012077A
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English (en)
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Kazunori Shirasawa
和範 白澤
Katsuyoshi Takeshita
克義 竹下
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Seiko Epson Corp
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難染色性のプラスチックレンズにも染色が可
能で、且つあらゆる処方のレンズ曲面に対しても色むら
を生じることなく任意の色調、濃度に着色することが出
来、また、グラデーションや任意の模様を再現良く着色
できるレンズの着色方法を提供する 【解決手段】 転写シートとして平滑な表面を持つ平板
上に、厚さが5乃至30ミクロンから成り、伸縮性のあ
る単層乃至複数層から成る染料保持層を形成しておき、
該染色保持層の表面に昇華性色素を含む染色用材を用い
て印刷を行い、その後前記染料保持層を前記平板から剥
離し、染料保持層の印刷面と反対の面を、界面活性剤及
び有機溶剤から成る溶液をレンズ凸面或いは凹面の表面
に塗布した上に密着させ、加熱して前記昇華性染料をレ
ンズへ移行させ、その後前記染料保持層を除去すること
を特徴とするレンズの染色方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズの着色方法
及び着色レンズに関し、更に詳しくはインクジェット方
式を用いて転写シート表面に昇華性染料から成るインク
の塗布を行い、該転写シートとレンズを直接接触させ加
熱し、昇華性染料をレンズに移行させるレンズの着色方
法及びかかるレンズの着色方法によって着色されたレン
ズに関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズは、無機レンズと比
較して軽量で割れ難く、染色が可能であるという特長を
有するため、眼鏡レンズとして普及している。特に近年
ではプラスチックレンズの高屈折率化が進み、屈折率
1.7以上の超高屈折率光学材料が開発され使用されて
いる。
【0003】ところが、屈折率1.7以上の超高屈折率
光学レンズは、温水に分散染料を溶解した染色槽にプラ
スチックレンズを浸漬する従来の浸漬法では染色が困難
であるという問題がある。プラスチックレンズは、カラ
ー化が大きな特長であり、染色できないということは、
プラスチックレンズの商品価値がかなり低くなることを
意味する。
【0004】難染色性のプラスチックレンズを染色でき
る方法として、特許第3075403号の公報に記載さ
れている昇華性染料の転写方法がある。
【0005】特許第3075403号の公報にはインク
ジェットを用いて水溶性ポリマー硬化被膜が形成された
プラスチックレンズに昇華性染料を塗布することが記載
されている。これらの方法によって、難染色性のプラス
チックレンズを着色することは可能である。
【0006】しかし、前記インクジェット方式の印刷で
は、メガネレンズの表面は様々な曲面を持つため、イン
クジェットヘッドを眼鏡レンズの曲面に追随させて吐出
することは難しく、均一な染色を行うことは難しい。
【0007】また、難染色性のレンズを着色する場合、
染色用材とレンズを非接触の状態で染色する場合、染料
がレンズへ到達するのに時間がかかるため着色の効率が
悪く、生産性に劣る。更には従来行われてきた浸漬方法
による着色では、レンズ表面上の任意の位置に任意の模
様を忠実に着色することは難しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたもので、難染色性のプラスチックレン
ズにも染色が可能で、且つあらゆる処方のレンズ曲面に
対しても色むらを生じることなく染色することが出来、
また、グラデーション染色や任意の色調、濃度の着色及
び任意の模様を再現良く着色できるレンズの着色方法を
提供することを目的とする。
【0009】また、本発明は、かかるレンズの着色方法
によって着色された着色レンズを提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため鋭意検討を重ねた結果、平滑な表面を持
ち、伸縮性のある染料保持層の表面に昇華性色素を含む
染色用材を用いて印刷を行い、その後前記染料保持層を
前記平板から剥離し、染料保持層の印刷面の反対面を、
界面活性剤及び有機溶剤から成る溶液をレンズ凸面或い
は凹面の表面に塗布した上に密着させ、加熱して前記昇
華性染料をレンズへ移行させるレンズの染色方法を見い
出した。
【0011】一般的にはインクジェットによる印刷は平
面であれば可能であるが、レンズのような曲面を有する
ものへ直接印刷することは困難である。また、染色用材
とレンズを非接触の状態で着色することは、着色の効率
が悪く、グラデーションのような任意の着色をレンズに
再現することは困難である。また、染色用材とレンズを
接触した状態で転写を行う時には、染色用材とレンズが
十分密着していないと、色むらの発生が生じる。そこで
請求項1記載の発明は、平滑な表面を持つ平板上に、厚
さが5乃至30ミクロンから成り、伸縮性のある単層乃
至複数層から成る染料保持層を形成しておき、該染料保
持層の表面に昇華性色素を含む染色用材を用いて印刷を
行い、その後前記染料保持層を前記板から剥離し、染料
保持層の印刷面と反対の面をレンズ凸面或いは凹面の表
面に接触させ、加熱して前記昇華性染料をレンズへ移行
させ、その後前記染料保持層を除去することを特徴とす
るレンズの着色方法を提供する。
【0012】請求項2記載の発明は、請求項1記載のレ
ンズの着色方法において、界面活性剤としてシリコン系
の界面活性剤を用いることを特徴とするレンズの着色方
法を提供する。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項1記載のレ
ンズの着色方法において、前記塗布工程が、インクジェ
ット方式のノズルから昇華性染料を含む液滴を前記転写
用シートに吐出して塗布することを特徴とするレンズの
着色方法を提供する。
【0014】請求項4記載の発明は、請求項1または2
記載のレンズの着色方法において、前記染料保持層が、
水溶性ポリマーの塗膜であることを特徴とするレンズの
着色方法を提供する。
【0015】請求項5記載の発明は、請求項1乃至3の
いずれかに記載のレンズの着色方法によって着色された
ことを特徴とする着色レンズを提供する。
【0016】請求項6記載の発明は、請求項4記載の着
色レンズにおいて、プラスチックレンズに昇華性染料で
模様が形成されていることを特徴とする着色レンズを提
供する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明のレンズの着色方法
及び着色レンズの実施の形態について説明するが、本発
明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
【0018】本発明のレンズの着色方法は、上述したよ
うに、平滑な表面を持つ平板上に、伸縮性のある単層乃
至複数層から成る染料保持層を形成しておき、染料保持
層表面に昇華性染料を塗布後に前記平板から剥離する工
程と、着色しようとするレンズ表面に界面活性剤及び溶
剤から成る溶液を塗布する工程と、剥離後のシートをプ
ラスチックレンズの表面に密着させながら染料保持層を
加熱して昇華性染料をプラスチックレンズに移行させる
転写工程とを有する。
【0019】本発明のレンズの着色方法の対象となるレ
ンズとしては、プラスチック眼鏡レンズ、コンタクトレ
ンズ、調光用レンズ、サングラス、カメラレンズ、望遠
鏡レンズ、拡大鏡レンズ、プロジェクターレンズ、ピッ
クアップレンズ、マイクロレンズ等の各種光学レンズを
挙げることができる。
【0020】本発明のレンズの着色方法は、難染色性の
プラスチックレンズも染色可能であるため、プラスチッ
クレンズのあらゆる素材が対象となる。
【0021】プラスチックレンズの素材として、例え
ば、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(C
R−39)、(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボ
ネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリチオウレタ
ン等を挙げることができる。
【0022】これらの樹脂は、分散染料を温水に分散さ
せた染料溶液に浸漬する通常の染色方法で染色可能であ
る。通常の染色方法で染色が困難な樹脂として、例えば
特開平11−322930号公報に記載されている重合
性組成物を硬化して得られる透明樹脂等を挙げることが
できる。
【0023】この公報に記載されている重合性組成物
は、分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有する(チ
オ)エポキシ化合物が主成分である。分子内に1つ以上
のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合物と
しては、例えば、ビス(2,3−エポキシプロピル)ジ
スルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスル
フィド、ビス(2,3−エピチオプロピルジチオ)メタ
ン、ビス(2,3−エピチオプロピルジチオ)エタン、
ビス(6,7−エピチオ−3,4−ジチアヘプタン)ス
ルフィド、1,4−ジチアン−2,5−ビス(2,3−
エピチオプロピルジチオメチル)、1,3−ビス(2,
3−エピチオプロピルジチオメチル)ベンゼン、1,6
−ビス(2,3−エピチオプロピルジチオメチル)−2
−(2,3−エピチオプロピルジチオエチルチオ)−4
−チアヘキサン、1,2,3−トリス(2,3−エピチ
オプロピルジチオ)プロパンを挙げることができる。
【0024】このような分子内に1つ以上のジスルフィ
ド結合を有する(チオ)エポキシ化合物、必要により
(チオ)エポキシ化合物、チオール化合物、メルカプト
有機酸類等の改質剤、及び3級アミン、ホスフィン類、
ルイス酸、ラジカル重合触媒、カチオン重合触媒等の硬
化触媒を含む重合性組成物を注型重合法で熱重合するこ
とによって透明樹脂で構成されるプラスチック光学部材
を得ることができる。
【0025】分子内に1つ以上のジスルフィド結合を有
する(チオ)エポキシ化合物を重合して得られる透明樹
脂は、屈折率が1.72以上の高屈折率を有する。
【0026】本発明のレンズの着色方法は、このような
難染色性のレンズ素材に対して有効であるが、これに限
られないことは勿論である。
【0027】本発明のレンズの着色方法は、まず、染料
保持層を平滑な表面を持つ平板上に設ける。
【0028】平滑な表面を持つ平板としては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタンやポリ
スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、
アミド系のエラストマーを例示することができる。
【0029】染料保持層は、昇華性染料を水性媒体に懸
濁した水系染料溶液を吸収できれば良い。
【0030】染料保持層を形成できる材料としては、水
溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリアク
リルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリ
コール、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のポリ(メ
タ)アクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル
樹脂、ゼラチン、カゼイン、澱粉、カルボキシメチルセ
ルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、ポ
リアクリル酸ソーダ、アクリル系重合ラテックス等が挙
げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を併用して
用いることができる。この中でも、ポリビニルアルコー
ル、ポリエチレングリコールが好ましく用いられる。
【0031】また、顔料を染料保持層に配合することが
できる。顔料の配合は、塗装方法として後述するインク
ジェット方式を用いる場合に、インクジェットのインク
吸収性に優れた染料保持層とすることができる。顔料と
しては、例えば微細シリカ、アルミナ、水和アルミナ、
焼成カオリン、炭酸カルシウム等の無機顔料、尿素−ホ
ルムアルデヒド樹脂微粒子、メラミン−ホルムアルデヒ
ド樹脂微粒子等の有機顔料を挙げることができる。
【0032】これらの水溶性ポリマー、必要により顔料
を水系溶媒に溶解させ、平滑な表面を持つ平板に従来公
知の塗布方法、例えば刷毛塗り、浸漬法、スプレー法、
ドクターブレード法などで塗布し、50〜200℃程度
の温度で加熱処理して染料保持層を形成することができ
る。水系溶媒としては水が用いられ、乾燥を促進するた
めなどの目的で水に溶解する有機溶媒などを添加するこ
とができる。
【0033】昇華性染料は、プラスチックレンズに密着
した転写用シートから又は染料保持層から、加熱により
昇華し、プラスチックレンズ内部に浸透し、拡散するこ
とによってプラスチックレンズを染色するもので、この
ような機能を有すれば、どのような染料、顔料も使用可
能である。一般的には、分散染料を用いて染料を昇華さ
せることができる。分散染料は、疎水性染料で、水性媒
体中でミクロン単位に微粒化される染料である。
【0034】用いることができる分散染料としては、デ
ィスパーズ・イエロー・3、ディスパーズ・イエロー・
33、ディスパーズ・イエロー・54、ディスパーズ・
イエロー・122、ディスパーズ・イエロー・124、
ディスパーズ・イエロー・128、ディスパーズ・イエ
ロー・134、ディスパーズ・イエロー・140、ディ
スパーズ・オレンジ・5、ディスパーズ・オレンジ・3
7、ディスパーズ・オレンジ・93、ディスパーズ・オ
レンジ・103、ディスパーズ・オレンジ・112、デ
ィスパーズ・オレンジ・134、ディスパーズ・オレン
ジ・370、ディスパーズ・グリーン・7、ディスパー
ズ・バイオレット・61、ディスパーズ・バイオレット
・63、ディスパーズ・ブラウン・1、ディスパーズ・
ブラウン・13、ディスパーズ・ブルー・14、ディス
パーズ・ブルー・27、ディスパーズ・ブルー・54、
ディスパーズ・ブルー・56、ディスパーズ・ブルー・
149、ディスパーズ・ブルー・176、ディスパーズ
・ブルー・182、ディスパーズ・ブルー・193、デ
ィスパーズ・レッド・60、ディスパーズ・レッド・9
1、ディスパーズ・レッド・146、ディスパーズ・レ
ッド・199、ディスパーズ・レッド・202、ディス
パーズ・レッド・207、ディスパーズ・レッド・20
4、ディスパーズ・レッド・291等が挙げられ、これ
らの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることが
できる。
【0035】昇華性染料を水系媒体に分散させて水系染
料溶液を調製し、染料保持層に塗布する。水系媒体とし
ては、主として水が用いられるが、有機溶媒、粘度調整
剤、pH調整剤、界面活性剤などを配合することができ
る。
【0036】水系染料溶液を転写用シートに塗布する方
法としては、刷毛塗り、スプレー法、浸漬法、ドクター
ブレード等の通常の塗装方法に加えて、平面の転写用シ
ートに塗装できるため、インクジェット方式による印
刷、シルク印刷、グラビヤ印刷などの印刷方式を挙げる
ことができる。
【0037】印刷により水系染料溶液を塗布する方法を
用いれば、あらゆる種類の色彩、模様をプラスチックレ
ンズ表面に形成することができる。例えば、グラデーシ
ョン染色、一方の側の色彩から他方の側の色彩に順次色
が変化するツイン染色、ハートマーク等の記号や文字等
である。
【0038】中でも、インクジェット方式による塗装
は、電子制御式でカラー印刷を制御することができるた
め、あらゆる種類の色彩、模様を高速で容易に印刷する
ことができる。
【0039】インクジェット方式は、10〜100μm
径の微小なノズル開口部と圧力発生素子とが設けられた
圧力室にインクが充填され、圧力発生素子を電子的に制
御することよって圧力室内のインクを加圧し、その圧力
で、ノズル開口部からインクを微小な液滴として吐出す
るものである。
【0040】圧力発生素子の種類により、ピエゾ素子に
よる圧電振動子を用いたピエゾ方式や、発熱素子を用
い、インクを加熱して気泡を発生させ、その圧力を利用
するいわゆるバブルジェット(登録商標)方式など、種
々の方式がある。本発明では、いずれのインクジェット
方式も用いることができる。
【0041】インクジェット方式で水系染料溶液を塗布
する場合は、微小ノズルでの乾燥、増粘による目詰まり
を抑制するため、例えば、水系染料溶液の固形分を1〜
30重量%、水分を0.5〜90重量%の範囲とするこ
とが好ましい。また、沸点が200℃以上の高沸点の水
溶性有機溶媒を目詰まり防止の液状湿潤剤として配合す
ることができる。水溶性有機溶媒としては、例えば、エ
チレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリ
ン等の炭素数2〜10の2価〜5価アルコール類、ホル
ムアミド類、イミダゾリジノン類、ピロリドン、アミノ
類等の含窒素炭化水素溶媒、あるいは含硫黄炭化水素溶
媒の1種を単独で又は2種以上を混合して添加すること
ができる。
【0042】水系染料溶液を塗布した後、乾燥し、染料
保持層に昇華性染料を保持させる。
【0043】次に、染料保持層を前記平板から剥離し、
塗装した面と反対の平滑な面を界面活性剤及び有機溶剤
から成る溶液をレンズ凸面或いは凹面の表面に塗布した
上に密着させ染料保持層を加熱して昇華性染料をプラス
チックレンズに移行させる転写工程を行う。
【0044】プラスチックレンズの曲面には、球面、回
転対称非球面、多焦点レンズやトーリック面等の非球
面、凸面、凹面等の多様な曲面が設けられている。本発
明のレンズの着色方法では、均一で再現良くレンズへ染
料を浸透させるため、染料保持層をこのような曲面との
間に均一に空気を介在させないで完全に密着させる必要
がある。そのためにはレンズ表面と密着する染料保持層
の表面はできるだけ平滑であることが望ましい。特に平
滑板の上に設けた染料保持層の場合には、平滑板と染料
保持層の界面の方がその反対面に比べ平滑であるため、
この界面側の面をレンズ表面に密着させることが好まし
い。しかしながら、前記平滑面を直接レンズ表面へ密着
させると、レンズと染料保持層との間に気泡が入るた
め、染料保持層の平滑板との界面側の面をレンズに密着
させる際にレンズと染料保持層の間に空気の気泡を巻き
込まないように十分均一に密着させる方法として、レン
ズ表面に界面活性剤及び有機溶剤から成る溶液を塗布
し、その上から染料保持層を密着させることが効果的で
ある。またこのようにして界面活性剤の薄膜をレンズと
染料保持層との間に設けることによって、印字面のイン
クが昇華する際、該薄膜中で適宜に拡散されるため、印
字面の濃度ムラがある場合には、該薄膜層中で比較的均
一に分散した染料がそのままレンズへ移行し、色むらの
少ない着色レンズを得ることが可能となる。更には転写
が終わった後に染料保持層をレンズ表面から取り除く際
に、界面活性剤の存在によってレンズ表面にシートの残
骸が残ることなく速やかに剥離・除去することが可能で
ある。界面活性剤及び有機溶剤は特に限定される物では
ないが、界面活性剤については加熱時に爆発性が無く有
害物質を発生させない物が好ましく、例えばシリコン系
の界面活性剤等を用いることが出来る。有機溶剤につい
ては、塗れ性があり界面活性剤と適度な相溶性を有し、
染料及び染料保持層を侵さない物が好ましく、例えばエ
タノール、メタノールを初めとしたアルコール類やブチ
ルセロソルブ等のセロソルブ類等を挙げることが出来
る。また有機溶剤中に存在する界面活性剤の量は50〜10
00ppmが適量であり、更に好ましくは100〜300ppm程度が
適量である。これらのレンズ表面への塗布方法として
は、スピン法や浸漬法、刷毛塗り法及びスプレー法等が
挙げられるがこれらに限定されない。これらの溶液をレ
ンズと染料保持層の間に用いることによりレンズ表面へ
染料保持層を設ける際の気泡の巻き込み及びしわの発生
を押さえることができる。
【0045】染料保持層をレンズ曲面に密着させる方法
としては、例えば、注型成形型から得られた曲面を有す
るレンズでは、その注型成形型とレンズとの間に転写用
シートを挟んで転写用シートをレンズに密着させる方法
を採用することができる。また、レンズ表面に転写用シ
ートを載置し、先端面形状がレンズの曲面形状に対応し
た厚みのあるゴム、エラストマーあるいはゲル等の弾性
素材で構成される押圧部材を転写用シートに圧着させる
方法も採用することができる。この場合、押圧部材の先
端面の形状は、その先端面を押し付けていく際に、最初
にレンズ中心部に当接し、中心部から周辺に向かって漸
次押圧するようにして、空気を排除できるようにするこ
とが好ましい。シリコンゴム等の弾性を有する転写用シ
ートであれば、張設したシリコンゴムシートにレンズを
押し付ける方法を採用することができる。あるいは、流
体により張りを与えた染料保持層にレンズを押し付ける
方法もある。更に、例えば球面を形成するように染料保
持層を圧力流体で膨らませ、レンズの凹面に押し付ける
ことにより、染料保持層をレンズの凹面に密着させるこ
とができる。
【0046】次に、このように染料保持層をレンズ曲面
に密着させながら、染料保持層を加熱する。
【0047】加熱雰囲気は、空気を排除できる真空中が
好ましく、例えば赤外線で加熱する方法を採用すること
ができる。一般的には、加熱炉中で空気を介在させて加
熱する方法が採用される。流体で転写用シートに張りを
与える方法では、加熱流体を用いることができる。ま
た、上記押圧部材を加熱できるヒータを配置し、押圧部
材を介して転写用シートを加熱することも可能である。
【0048】加熱温度は、80〜220℃、好ましくは
100〜200℃の範囲である。加熱時間は数分〜1時
間程度である。加熱温度が高いほど昇華性染料の昇華速
度が速くなるが、転写用シートやプラスチックレンズの
材質の耐熱性を考慮して適切な温度を選定する。
【0049】加熱により、昇華性染料は染料保持層側か
ら昇華し、プラスチックレンズの内部に浸透し、拡散
し、保持される。これによって、プラスチックレンズが
染色される。
【0050】転写工程後は、染料保持層を剥離し、プラ
スチックレンズ表面に残存している染料等を洗浄により
洗い流すことが望ましい。
【0051】プラスチックレンズの一方の面の染色だけ
で十分な染色濃度が得られる場合は、一方の面の染色で
染色を終了する。サングラスのように濃い着色が必要な
場合は、両面に上述した染色を施す。
【0052】その後は、例えばハードコート被膜の形
成、反射防止膜の形成等の工程を経て完成レンズとな
る。
【0053】
【実施例】<実施例1> (1)染料保持層 染料保持層が形成されている市販PETフィルムとして
(株)きもと製の商品名キモトアートシルクジェットを
用いた。このPETフィルムは厚さ100μmのPET
フィルム上に厚さ12μmの染料保持層をコーティングし
た染料インク用フィルムである。 (2)染料保持層への昇華性染料の印刷 Miketon Fast Brown 3R(三井東
圧化学(株)製、Disperse Oreange
5)、Miketon polyesterRed 4
BF(三井東圧化学(株)製、Disperse Re
d 207)、Kiwalon Polyester
Fast Yellow G(紀和化学工業(株)製、
Disperse Yellow 3)及びKiwal
onPolyester Blue FBL(紀和化学
工業(株)製、Disperse Blue 56)を
配合したAcute Color シェードブラウン色
のインクジェット用インクを調製した。
【0054】このインクをインクジェットプリンター
(セイコーエプソン(株)製、EM900C)で、
(1)で形成したフィルムの染料保持層上に均一に印刷
した。 (3)転写 プラスチックレンズとして、セイコーエプソンプレステ
ージ用生地(セイコーエプソン(株)製、分子内に1つ
以上のジスルフィド結合を有する(チオ)エポキシ化合
物を重合して得られた樹脂(屈折率n=1.74))を
用いた。
【0055】図1、2に示す方法を用いて印刷後の染料
保持層をPETから剥離しレンズに密着させた。まず図1
に示したように、PET平板00から印刷後の染料保持層
01を剥離し、レンズ径より大きめの円形にくり抜いた
金属板02上に、該染料保持層01の印刷面側を接触さ
せるように固定した。次に、凸面上にスピン法でシリコ
ン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商標名「L-70
01」)を300ppm添加含有したブチルセロソルブ溶液
を3cc塗布したレンズ03に染料保持層01の印刷面と
反対の面が接触するようにして、03を01に隙間無く
密着させた。図2はその断面図である。90℃の温度で
20分加熱し溶剤を飛ばした後、180℃の温度で20
分間加熱した。その後、レンズ表面から染料保持層01
を取り去った。プラスチックレンズ全面に染料がムラな
く転写されていた。
【0056】<実施例2> (1)染料保持層 実施例1と同じ物を用いた。 (2)印刷 インク及び印刷方法はは実施例1と同様の方法で行い、
グラデーションをシート上に印字した。 (3)転写 実施例1と同様の方法で行った結果、グラデーションパ
ターンが綺麗にレンズに転写されていた。
【0057】<比較例1> (1)染料保持層 実施例1と同じ物を用いた。 (2)印刷 実施例1と同様の方法で行った。 (3)転写 界面活性剤含有溶剤を用いなかったこと以外は全て実施
例1と同様の方法で行った結果、レンズにシートを密着
させる際に気泡を巻き込み、これが原因による色むらが
発生した。
【0058】<比較例2> (1)染料保持層 実施例1と同じ物を用いた。 (2)印刷 実施例1と同様の方法で行った。 (3)転写 レンズ表面に染料保持層の印字面を密着させたこと以外
は全て実施例1と同様の方法で行った結果、印字面のイ
ンクが溶剤によってレンズ上に分散し、これが原因によ
る色むらが発生した。
【0059】
【発明の効果】本発明のレンズの着色方法によれば、従
来の染色方法では染色が困難なレンズ素材にも任意の色
調及び濃度の着色が可能で、グラデーションや任意の模
様を再現良く着色することが出来、且つあらゆるレンズ
曲面においても色むらが発生することなく着色を行うこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例においてPET平板から印刷後の染料保持
層を剥離し、金属板上に固定する手順を示した概要図で
ある。
【図2】実施例において転写用シートをレンズ表面に密
着させて転写させる方法を示す断面図である。
【符号の説明】
00 PET平板 01 染料保持層 02 金属板 03 レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 3/00 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2H006 BA01 BA03 BA06 BC05 BC06 BE05 2K009 BB11 BB13 BB14 BB23 BB24 BB25 CC21 CC47 DD02 DD06 DD08 EE01 4H057 AA01 AA02 CA12 CA29 CB08 CC01 DA02 FA17 FA42 GA05 GA06 HA01 JA10 JB02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転写シートとして平滑な表面を持つ平板
    上に、厚さが5乃至30ミクロンから成り、伸縮性のあ
    る単層乃至複数層から成る染料保持層を形成しておき、
    該染色保持層の表面に昇華性色素を含む染色用材を用い
    て印刷を行い、その後前記染料保持層を前記平板から剥
    離し、染料保持層の印刷面と反対の面を、界面活性剤及
    び有機溶剤から成る溶液をレンズ凸面或いは凹面の表面
    に塗布した上に密着させ、加熱して前記昇華性染料をレ
    ンズへ移行させ、その後前記染料保持層を除去すること
    を特徴とするレンズの染色方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のレンズの着色方法におい
    て、界面活性剤としてシリコン系の界面活性剤を用いる
    ことを特徴とするレンズの着色方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のレンズの着色方法におい
    て、染料保持層へ印刷する工程が、インクジェット方式
    のノズルから昇華性染料を含む液滴を前記転写用シート
    に吐出して塗布することを特徴とするレンズの着色方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載のレンズの着色方
    法において、前記転写シートが水溶性ポリマーの塗膜で
    あることを特徴とするレンズの着色方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載のレン
    ズの着色方法によって着色されたことを特徴とする着色
    レンズ。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の着色レンズにおいて、プ
    ラスチックレンズに昇華性染料で模様が形成されている
    ことを特徴とする着色レンズ。
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