JP2003213804A - コンクリート構造物の製造方法 - Google Patents

コンクリート構造物の製造方法

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JP2003213804A JP2002339521A JP2002339521A JP2003213804A JP 2003213804 A JP2003213804 A JP 2003213804A JP 2002339521 A JP2002339521 A JP 2002339521A JP 2002339521 A JP2002339521 A JP 2002339521A JP 2003213804 A JP2003213804 A JP 2003213804A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単に配設可能で、被防食体との間隔を均一
に保持することができ、被防食体と電極が直接接触しな
いアノード電極体を用いて防食するコンクリート構造物
を製造する。 【解決手段】 チタンを主成分とした金属薄板電極また
は金属細線をメッシュ状に織って帯状に形成した電極又
はエキスパンドメタルから成る電極2を、モルタル又は
コンクリート3で被覆し、長手方向端面から電極の端部
を露出して接続片4を備えたアノード電極体をスペーサ
として鉄筋を組込み、側型枠を建て込み、コンクリート
構造物を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼構造物やコンク
リート構造物の鉄筋などの鋼材の防食に用いられる電極
体に関し、更に詳しくは外部電源方式電気防食法に使用
される陽極(アノード)電極の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】古来人類は、地球上に大量に存在し、比
較的簡単に精錬でき加工性が良く安価で安定性のある金
属として、大量の鉄(Fe)を利用してきた。しかし、
近年、塩や酸性環境下の鋼構造物やコンクリート構造物
中の鉄筋などの腐食が社会的な問題となっている。これ
は鋼構造物や鉄筋として使用される鉄(Fe)の化学的
な性状が、通常の環境下ではその表面に薄い酸化鉄の不
動態膜で覆われ安定しているが、海洋などの塩分環境下
や環境汚染などによる酸性環境下ではその不動態膜が破
壊され酸化が内部にまで進行し、ついには構造物の破壊
にまで至る事態が発生するからである。
【0003】このことは古くから認識されており、その
対策として、鉄の表面に異種金属をメッキするなどの腐
食を防止する手段が実施されてきた。この手段には二通
りあって、鉄(Fe)と化学的性質(イオン化傾向)の
異なる亜鉛(Zn)や錫(Sn)をメッキしたもので、
前者はトタン板、後者はブリキ板として知られている。
トタン板は鉄よりイオン化傾向の大きい(腐食し易い)
亜鉛をメッキすることによって、鉄自体よりも先に亜鉛
を腐食させ、亜鉛を犠牲にして鉄を腐食から守ろうとす
るのに対し、後者のブリキ板は鉄よりイオン化傾向の小
さい(腐食し難い)錫をメッキすることによって、鉄自
体を覆い鉄を腐食から守ろうとする違いがある。
【0004】近年金属の腐食のメカニズムが解明され、
金属の持つ固有の化学的性質(自然電位差)を積極的に
利用して化学的性質の異なる異種金属を組合せて電気的
に腐食を防止する電気防食技術が開発されている。電気
防食技術には流電陽極方式、外部電源方式の二通りの方
法があり、いずれも鉄を陰極(カソード)とし、これに
対する異種金属を陽極(アノード)として利用するもの
である。
【0005】流電陽極方式は、鉄よりイオン化傾向の大
きい(低電位の)、亜鉛やアルミニウム合金、マグネシ
ウム合金などの犠牲電極片を陽極として、鉄の被防食体
に添設しておき、自然界の電界質例えば海水中に浸漬し
電気的回路を形成するものである。この電気回路が形成
されると金属のもつ固有の電位差によって電流が流れ、
鉄よりイオン化傾向の大きい亜鉛などの陽極がイオン化
して溶出し、その陽極を犠牲にして被防食体である鉄の
腐食が防止される。この方式は設置が簡単で特別な設備
を必要しないこと等の利点はあるものの、犠牲となる陽
極金属片の定期的な交換の必要性があり、また制御が難
しいという欠点がある。
【0006】外部電源方式は、被防食体の鉄よりイオン
化傾向の小さい金属、例えば白金などの貴金属を用いる
ことが望ましいが高価であることから、白金メッキチタ
ン線や鉛合金、黒鉛などを陽極片として用いる。そし
て、被防食体及び陽極片からそれぞれリード線を引き出
し、これらを直流電源に接続し、電源から防食電流を流
すことによって被防食体の腐食を防止するものである。
防食の制御は直流電源の出力電圧を制御することによっ
て簡単に行うことができる。電源のメンテナンスなどを
必要とするが、電極体の交換などを必要としない利点が
ある。
【0007】本発明者は、外部電源方式の防食技術を橋
桁に適用する技術を開示した。この技術は陽極として白
金メッキチタン線の不溶性電極線条を被防食材である鋼
材と一定間隔を保持するように電極線条に張力を付与し
展張する技術である(例えば、特許文献1参照。)。こ
のようにしたのは電極間の間隔が変動すると流れる防食
電流が不均一になり防食効果を阻害するためである。従
来の電極は細線状、細線をメッシュ状に織ったもの、又
は薄いリボン状の形状のものが用いられていた。これら
の電極は剛性が小さく変形し易く被防食体と均一な間隔
に配設するには問題があった。
【0008】従来、エキスパンデッド不溶性金属メッシ
ュの周縁部に電気防食用陽極材及び周縁部に電気的接続
用の端子を取り付けたエキスパンデッド不溶性金属メッ
シュを、端子を露出させて電導性被覆材内に埋設した電
気防食用陽極材が知らされている(例えば、特許文献2
参照。)。すなわち、外部電極方式の防食技術におい
て、エキスパンデッドメタルからなる不溶性金属メッシ
ュは公知である。
【0009】イオン導通セメントを含むコンクリートブ
ロックに包まれた陽極を備え、その中に活性層で包まれ
両方に突出したバルブメタルコアを備え、鉄筋コンクリ
ート中に固定し、鉄筋の周囲にコンクリートを打設して
養生し、コアと鉄筋とを直流電源に接続した鉄筋コンク
リート保護技術がある。(例えば、特許文献3参
照。)。ここでは、電極を鉄筋コンクリート中に固定し
ている。しかしアノード電極体をスペーサとして用いる
ことは記載されていない。
【0010】
【特許文献1】特開平6−158365号公報(第2−
3頁、図4〜6)
【特許文献2】実開平5−56955号(第1−2頁、
図1)
【特許文献3】米国特許第5609748号明細書(1
997年3月11日)(第1−4欄、図2)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は簡単に配設す
ることが可能で、被防食体との間隔を均一に保持するこ
とができ、被防食体と電極が直接接触することのないア
ノード電極体を用いたコンクリート構造物の製造方法提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属薄板から
なる電極、または金属細線をメッシュ状に織って帯状に
形成した電極であってTiを主成分とする非消耗電極
を、モルタル又はコンクリートで被覆して角棒を形成
し、該角棒の長手方向端面に該電極の端部が露出した接
続片を設けたアノード電極体を製作し、このアノード電
極体をスペーサとして鉄筋を組込み、側型枠を建て込
み、コンクリート構造物を製造することを特徴とするコ
ンクリート構造物の製造方法である。
【0013】前記金属薄板からなる電極、または金属細
線をメッシュ状に織って帯状に形成した電極に代えて公
知のエキスパンドメタルから成る電極を用いてもよい。
【0014】また、前記アノード電極体をスペーサとす
ることに代えて鉄筋に結束固定することとしてもよい。
【0015】前記アノード電極体は長さ1m程度のもの
を所定の長さに接続したものとし、電極断面積0.1c
2程度、モルタル厚さ2.5cm程度とすれば、スペ
ーサとしてアノード電極と鉄筋との間隔が一定になるの
で好適である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態を説明する。図1は本発明の実施例のアノード電
極体1を示す斜視図である。帯状電極2をモルタル3で
角棒状に被覆してある。帯状電極2は金属細線をメッシ
ュ状に織って帯状に形成したものでもよく、金属薄板か
らなるものでもよく、エキスパンデッドメタルでもよ
い。アノード電極体1の長さは製造容易で取り扱い容易
の観点から、約1m程度に成形されている、帯状電極の
断面積は、例えば0.1cm2程度でよく、モルタルの
被覆角棒の寸法は、厚さ2.5cm程度とする。角棒端
部から電極の端部を露出して接続片4としておき、構造
物に電極体を配設するときは接続片4同士をスポット溶
接等の手段で接続し、所望の長さとして使用すればよ
い。電極金属として被防食体である鉄筋の鉄(Fe)よ
り自然電位が高く耐久性に富むチタン(Ti)細線をメ
ッシュ(グリッド)状に形成した電極を使用したが、材
料はこれに限定するものではない。使用可能な電極金属
としては、鉄より電位の高い材料であればよく、ニッケ
ル、錫、鉛、銅、銀、金、白金など及びこれらの合金
材、メッキ材などをコストを勘案して選択すればよい。
【0017】図2は橋桁10の断面図で、新規に桁を製
作する場合のアノード電極体の配設図である。橋桁10
の底面近傍のコンクリート中にアノード電極体1を配設
してある。これは、橋桁10の製作時に橋桁10の底版
型枠の上にモルタルで被覆したアノード電極体1を所定
の長さに接続して配置し、アノード電極体1をスペーサ
として利用して桁の必要な鉄筋11及びPC鋼材12を
組み込み、側型枠を建て込み、通常の方法でコンクリー
ト13を打設し成形したものである。このアノード電極
体1をスペーサとするのではなく鉄筋11に結束線で固
定し、別体のスペーサを使用してもよい。
【0018】図3は鉄筋の腐食によってコンクリートが
剥離したコンクリート桁10の補修にアノード電極体1
を適用した参考例を示した。剥離部分の桁10のコンク
リート13をはつり取り、鉄筋11及びPC鋼材12の
除錆を行い。さらに必要であれば防食塗装を施し、健全
部分のコンクリートにインサート15を埋設して正規の
コンクリート断面に復元するための型枠14をボルト1
6で取付け、骨材17及び充填モルタルを充填して補修
した例である。この場合補修後の鉄筋などの腐食が再発
しないように、防食のためにアノード電極体1を埋装し
た。
【0019】図4は本発明のアノード電極体1を使用す
る外部電源方式の電気防食法の説明図である。コンクリ
ート13中に埋装されたアノード電極から及びコンクリ
ート桁10の構造鉄筋11からそれぞれリード線24、
25を引き出し、外部に設置された直流電源21に接続
する。アノード電極体1の電極のリード線24は、直流
電源21のプラス(+)端子22に、鉄筋11からのリ
ード線25は直流電源21のマイナス(−)端子23に
接続する。このようにすることにより、直流電源21の
プラス側からアノード電極1に防食電流が流れ鉄筋11
の腐食が防止される。この直流電源21は大容量のもの
が必要な場合は、商用交流電源を整流して用いるとよ
い。
【0020】以上はコンクリート桁に適用した例で説明
したが、桁に限らず他のコンクリート構造物の鉄筋の防
食が可能である。更にコンクリート構造物に限定されず
鋼構造物の鋼部材にアノード電極を添設配置することに
よって鋼部材そのものの防食を図ることも可能である。
【0021】
【発明の効果】本発明のアノード電極体は、鉄筋より自
然電位の高いチタンを使用した外部電源方式の陽極電極
を用い、薄板帯状の金属板、又は金属細線をメッシュ状
に織った帯状の電極又はエキスパンドメタルから成る電
極を、モルタルまたはコンクリートで角棒状に被覆し、
角棒の長手方向端面から電極の端部を露出して接続片と
したもので、モルタルで被覆することにより電極自体が
鉄筋に直接接触することもなく、正確な電極間の間隔を
確保することができ、均一な防食電流を流すことが可能
となり、鉄筋などの被防食体の確実な腐食の防止が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のアノード電極体の斜視図である。
【図2】橋桁の断面図である。
【図3】鉄筋の腐食によってコンクリートが剥離したコ
ンクリート桁の補修に適用した例の説明図である。
【図4】アノード電極体を使用する外部電源方式の電気
防食法の説明図である。
【符号の説明】
1 アノード電極体 2 電極 3 被覆体(モルタル又はコンクリート) 4 接続片 10 コンクリート桁(橋桁) 11 鉄筋 12 PC鋼材 13 コンクリート 14 型枠 15 インサート 16 ボルト 17 骨材 21 直流電源 22 (+)極端子 23 (−)極端子 24、25 リード線

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属薄板からなる電極、または金属細線
    をメッシュ状に織って帯状に形成した電極であってTi
    を主成分とする非消耗電極を、モルタル又はコンクリー
    トで被覆して角棒を形成し、該角棒の長手方向端面に該
    電極の端部が露出した接続片を設けたアノード電極体を
    製作し、このアノード電極体をスペーサとして鉄筋を組
    込み、側型枠を建て込み、コンクリート構造物を製造す
    ることを特徴とするコンクリート構造物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金属薄板からなる電極、または金属
    細線をメッシュ状に織って帯状に形成した電極に代えて
    エキスパンドメタルから成る電極を用いることを特徴と
    する請求項1記載のコンクリート構造物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記アノード電極体をスペーサとするこ
    とに代えて鉄筋に結束固定することを特徴とする請求項
    1又は2記載のコンクリート構造物の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アノード電極体は長さ1m程度のも
    のを所定の長さに接続したものとし、電極断面積0.1
    cm2程度、モルタル厚さ2.5cm程度であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリー
    ト構造物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010126752A (ja) * 2008-11-26 2010-06-10 Tokyo Kogyo Boyeki Shokai Ltd 電気防食用陽極体および該陽極体を備えたコンクリート構造物、ならびに電気防食用陽極体の製造方法
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