JP2003211025A - サイクロン式集塵装置及びそれを用いた電気掃除機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸気の導管部を筒状集塵ケースの端面側に設
けても、サイクロン流を阻害することがなく、塵埃（繊
維分）の圧縮効果が向上し、また塵埃が均一に溜まるよ
うになるサイクロン式集塵装置及びそれを用いた電気掃
除を提供する。 【解決手段】 筒状の集塵ケース１０の一方の端面（上
面）側に環状の流路１４を形成し、この環状流路１４の
内壁１３ａ側に塵埃を含んだ吸気の導管部１５を設ける
と共に、この導管部１５からの吸気を内壁１３ａ側から
前記環状流路１４におけるサイクロン流の旋回方向に案
内する案内流路１７を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本願発明は、サイクロン式集
塵装置及びそれを用いた電気掃除機に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】この種の従来技術として、特表平１０−
５１１８８０号公報（Ａ４７Ｌ ９／１６）には、サイ
クロン（筒状の集塵ケース）の空気吸入口が、サイクロ
ンの長軸にほぼ平行な方向に沿って、サイクロン内部に
おけるサイクロンの外壁とシュラウド（囲い板）との間
に突出した導管によって形成されている塵埃分離装置
（サイクロン式集塵装置）が開示されている。上記導管
は、吸気流を接線方向に沿ってサイクロン内に排出させ
る直角屈曲部を備えている。

【０００３】これにより、ホースをスイベル継手（廻り
継手）によって導管に取り付けることができるようにな
り、ほほ水平な面内で、３６０°にわたって旋回させる
ことができるようになる。この結果、スイベル継手なし
に達成できるであろうレベルより高い柔軟性および操作
性が得られるようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】図９は、上記従来技術
の課題を説明するために図示した要部断面図である。

【０００５】すなわち、ホース１２ｃ，導管１２ａを介
して吸い込まれる塵埃を含んだ空気は、導管１２ａの直
角屈曲部１２ｂにてサイクロン流へと導かれるが、サイ
クロン流は矢印Ｃで示すように、流路に突出した導管１
２ａの直角屈曲部１２ｂによって阻害され、下方等への
乱流となり、直角屈曲部１２ｂからの空気流と相俟って
サイクロン流全体が波打つようになる。これにより、塵
埃（特に繊維分）の圧縮効果が大きく低下し、また塵埃
の溜まり方が均一にならない等の課題が生じるようにな
る。

【０００６】そこで、本願発明はこのような課題を解決
するためになされたものであり、吸気の導管部を筒状集
塵ケースの端面側に設けても、サイクロン流を阻害する
ことがなく、塵埃（繊維分）の圧縮効果が向上し、また
塵埃が均一に溜まるようになるサイクロン式集塵装置及
びそれを用いた電気掃除機を提供することを目的とする
ものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するために、本願発明によるサイクロン式集塵装置は、
筒状の集塵ケースの一方の端面側に環状の流路を形成
し、この環状流路の内壁側に塵埃を含んだ吸気の導管部
を設けると共に、この導管部からの吸気を内壁側から前
記環状流路におけるサイクロン流の旋回方向に案内する
案内流路を形成したことを特徴とするものである。

【０００８】さらに、前記環状流路に、前記案内流路か
らの吸気をサイクロン流の螺旋方向に案内する案内板を
設けたことを特徴とするものである。

【０００９】また、前記筒状の集塵ケースの他方の端面
側に、開閉自在な蓋体を設けたことを特徴とするもので
ある。

【００１０】また、前記塵埃を含んだ吸気は、フィルタ
で濾過されてから排出口より排出されることを特徴とす
るものである。

【００１１】また、前記フィルタとして、吸気中の粗塵
を濾過するプレフィルタと、このプレフィルタにより粗
塵が濾過された吸気中の細塵を濾過するメインフィルタ
とを備えたことを特徴とするものである。

【００１２】一方、本願発明による電気掃除機は、上述
したようなサイクロン式集塵装置を備えたことを特徴と
するものである。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本願発明の一実施形態を図
１〜図４を参照して詳細に説明する。

【００１４】本実施形態は、本願発明を床移動型の電気
掃除機の集塵装置に適用したもので、図４に示すよう
に、この掃除機本体１には、底面側前部中央に小径の前
輪２が取り付けられており、後部には左右一対の大径の
後輪３が取り付けられている。

【００１５】上記大径の後輪３が両側に取り付けられた
後部側には、吸引用の電動送風機（図示せず）が内蔵さ
れ、前部側には、上記電動送風機への吸引経路に連通す
るサイクロン式集塵装置４が着脱自在に装着されるよう
に構成されている。また、掃除機本体１の上面側に、掃
除機本体持ち運び用の取手５が形成されている。

【００１６】上記集塵装置４には、前面側に取手６が形
成され、上面側にはホースジョイント部７が装着される
装着部８が前方にやや傾かせた状態に形成されている。

【００１７】集塵装置４の内部は、図１〜図３に示すよ
うに、透明樹脂等で略円筒状に形成された集塵ケース１
０の内側に略円筒状のプレフィルタ１１ａが装着され、
さらにその内側に略円筒状のメインフィルタ１１ｂが装
着された構成となっている。

【００１８】この集塵ケース１０の上面には、内側を同
心円状に窪ませた凹部１３が形成されて、集塵ケース１
０の外壁１０ａと凹部１３側の内壁１３ａとの間に環状
の流路１４が形成されている。そして、この環状流路１
４の内壁１３ａ側に塵埃を含んだ吸気の導管部１５が設
けられている。

【００１９】上記導管部１５の下部側（凹部１３側）
は、図２，図３に示すように、外側が内壁１３ａと連続
して円弧状に延ばされ、内側が内壁１３ａの接線方向に
円弧状に延ばされて、それぞれ案内壁１５ａ，１５ｂを
形成し、環状流路１４に連通する吸込口１６が形成され
ている。上記両案内壁１５ａ，１５ｂと集塵ケース上面
１０ｂと凹部１３の底板１３ｂとにより、導管部１５か
らの吸気を内壁１３ａ側から環状流路１４におけるサイ
クロン流の旋回方向に案内する案内流路１７が形成され
ている。

【００２０】このように構成することにより、環状流路
１４内に前記従来技術のように導管部が突出してサイク
ロン流が阻害されることがなくなり、サイクロン流の波
打ちを抑えることができるので、塵埃（特に繊維分）の
圧縮効果が向上し、また、塵埃が均一に溜まるようにな
る。

【００２１】上記導管部１５には、ホース９の屈曲した
ジョイント部７が装着されるスイベル継手から成る装着
部８が前方にやや傾かせた状態に取り付けられていて、
ホース９を３６０°にわたって旋回させることができる
ようになっている。従って、高い柔軟性と操作性を有し
ている。

【００２２】また、上記集塵ケース１０の底面側には、
ヒンジ２０により開閉自在に構成された蓋体２１が取り
付けられている。この蓋体２１は、ヒンジ２０とは反対
側の集塵ケース１０下部に設けられたクランプレバー２
２の下端に形成されたフック２２ａを蓋体２１の周縁部
２１ａに引っ掛けることにより、蓋体２１が閉じた状態
にロックされるようになっている。また、クランプレバ
ー２２の上部に形成された操作部２２ｂを押すことによ
り、クランプフック２２ａによるロック状態が解除され
るようになっている。

【００２３】また、蓋体２１の外周縁には、集塵ケース
１０の下部開口縁と密接するためのパッキン２３が装着
されている。また、蓋体２１の上面には、プレフィルタ
１１ａの下部開口外周に装着されたパッキン２４が密接
する環状凸部２５が形成されている。

【００２４】上記蓋体２１の環状凸部２５の内側には、
メインフィルタ１１ｂからの通気路を形成する筒状体２
６の下部開口側が嵌合して集塵ケース１０外に連通する
排出口２７が形成されており、この排出口２７の内周縁
には、上記メインフィルタ１１ｂの筒状体２６開口端と
密接するためのパッキン２８が装着されている。

【００２５】上記メインフィルタ１１ｂは、その中央部
から上方に突出して形成した取付軸２９によって集塵ケ
ース１０上面の上述した凹部１３の底板１３ｂに取り付
けられている。また、このメインフィルタ１１ｂの外側
に装着されるプレフィルタ１１ａの上端側の外周縁に
は、集塵ケース１０上面の凹部底板１３ｂと密接するた
めのパッキン３０が装着されている。

【００２６】上記プレフィルタ１１ａは、全周にわたっ
て網目となっており、この網目で大きな塵埃（粗塵）を
濾過するようになっている。また、メインフィルタ１１
ｂは、濾過された空気の通気路となる筒状体２６を囲む
ように、プリーツ状（蛇腹状）に折り畳まれた濾紙フィ
ルタを筒状に配設したものある。

【００２７】なお、上記集塵装置４で塵埃が濾過された
空気は、上記メインフィルタ１１ｂの筒状体２６から蓋
体２１に形成された排出口２７を通って集塵ケース１０
外に出てから、図示はしないが、電動送風機に取り込ま
れ、電動送風機から排気フィルタを介して掃除機本体１
に形成された排気口から外部へ排出されるようになって
いる。

【００２８】以上のような構成において、ホース９に図
示しない延長管を介して接続された床用吸込具等から吸
い込まれた塵埃を含んだ空気は、ホース９から集塵ケー
ス１０に設けられた導管部１５を通り、案内流路１７に
案内されて内壁１３ａに形成された吸込口１６から集塵
ケース１０内に入って、螺旋状に下降するサイクロン流
となる。

【００２９】塵埃を含んだ空気は、サイクロン流による
遠心力によって大きな塵埃が分離されると共に、プリフ
ィルタ１１ａとメインフィルタ１１ｂにて濾過され、濾
過された空気が排出口２７より出ていく。

【００３０】この時、大きな塵埃（繊維分等の粗塵）
は、螺旋状のサイクロン流によって圧縮されながら、プ
リフィルタ１１ａ外側の蓋体２１部分に溜まる。本実施
形態においては、上述した構成により、導管部１５を集
塵ケース１０の上面側に設けても、環状流路１４内に前
記従来技術のように導管部が突出してサイクロン流が阻
害されることがなくなり、サイクロン流の波打ちを抑え
ることができるので、塵埃（特に繊維分）の圧縮効果が
向上し、また、塵埃が均一に溜まるようになる。

【００３１】また、小さな塵埃（細塵）はプレフィルタ
１１ａを通ってプレフィルタ１１ａの内側に入り、プリ
ーツ状のメインフィルタ１１ｂにて濾過され、きれいな
空気のみメインフィルタ１１ｂの内側に入って下方へと
流れ、排出口２７から掃除機本体１に内蔵された電動送
風機を通って排気口より外部に排出される。

【００３２】このように、サイクロンによる塵埃の分離
に加えて、フィルタ１１ａ，１１ｂにより塵埃が濾過さ
れるため、集塵効率が向上する。特に、プレフィルタ１
１ａとメインフィルタ１１ｂを備えたことにより、大き
な塵埃（粗陣）と細かな塵埃（細塵）を分けて集塵する
ことができるので、集塵効率が更に向上する。

【００３３】一方、集塵ケース１０内に溜まった塵埃を
排出するときは、集塵装置４を掃除機本体１から取り外
して、クランプレバー２２の操作部２２ｂを押すことに
より、その下端のクランプフック２２ａが蓋体２１の周
縁部２１ａから外れる。これにより、蓋体２１がその自
重と蓄積された塵埃の重みで自然に開放するので、集塵
ケース１０内に蓄積された塵埃を容易に排出することが
できる。

【００３４】図５〜図８は、本願発明の他の実施形態を
示し、前記実施形態と同一符号は同一又は相当部分を示
している。なお、掃除機本体１は前記実施形態の図４と
同様である。

【００３５】本実施形態においては、前記実施形態の構
成に加えて、環状流路１４に、前記案内流路１７からの
吸気をサイクロン流の螺旋方向に案内する案内板３１を
設けたものである。

【００３６】上記案内板３１は、環状流路１４の下部側
に、案内流路１７の吸込口１６付近からサイクロン流の
旋回方向に半周以上にわたって形成され、サイクロン流
の螺旋方向，すなわち漸次下方に傾斜するように設けら
れている。

【００３７】このように構成することにより、案内流路
１７の吸込口１６からの吸気流が案内板３１に沿って螺
旋状に案内されることにより、サイクロン流がより滑ら
かに流れるので、前記実施形態の作用効果をより高める
ことができる。

【００３８】

【発明の効果】以上のように本願発明によるサイクロン
式集塵装置は、筒状の集塵ケースの一方の端面側に環状
の流路を形成し、この環状流路の内壁側に塵埃を含んだ
吸気の導管部を設けると共に、この導管部からの吸気を
内壁側から前記環状流路におけるサイクロン流の旋回方
向に案内する案内流路を形成したものであるから、吸気
の導管部を筒状集塵ケースの端面側に設けても、サイク
ロン流を阻害することがなくなり、サイクロン流の波打
ちを抑えることができるので、塵埃（繊維分）の圧縮効
果が向上し、また塵埃の溜まり方が均一になる。

【００３９】さらに、前記環状流路に、前記案内流路か
らの吸気をサイクロン流の螺旋方向に案内する案内板を
設けることにより、サイクロン流が螺旋状により滑らか
に流れるので、上述した効果がより高まる。

【００４０】また、前記筒状の集塵ケースの他方の端面
側に、開閉自在な蓋体を設けたことにより、集塵ケース
内に溜まった塵埃を蓋体を開放することにより、容易に
排出することができる。

【００４１】また、前記塵埃を含んだ吸気は、フィルタ
で濾過されてから排出口より排出されるので、サイクロ
ンによる塵埃の分離に加えて、フィルタにより塵埃が濾
過されるため、集塵効率が向上する。

【００４２】また、前記フィルタとして、吸気中の粗塵
を濾過するプレフィルタと、このプレフィルタにより粗
塵が濾過された吸気中の細塵を濾過するメインフィルタ
とを備えたことにより、大きな塵埃（粗陣）と細かな塵
埃（細塵）を分けて集塵することができるので、集塵効
率が更に向上する。

【００４３】一方、本願発明による電気掃除機は、上述
したようなサイクロン式集塵装置を備えたものであるか
ら、上述した効果に加えて、ホースをスイベル継手によ
って導管部に取り付けることができるようになり、ほほ
水平な面内で、３６０°にわたって旋回させることがで
きるようになるため、集塵効果の向上に加えて、高い柔
軟性と操作性を有する電気掃除機が実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明の一実施形態に係るサイクロン式集塵
装置の側断面図。

【図２】上記図１の集塵ケースの上面図。

【図３】上記図１の集塵ケースのＡ−Ａ断面図。

【図４】上記集塵装置を用いた掃除機本体の一実施形態
を示す側面図。

【図５】本願発明の他の実施形態に係るサイクロン式集
塵装置の側断面図。

【図６】上記図５の集塵ケースの上面図。

【図７】上記図５の集塵ケースのＢ−Ｂ断面図。

【図８】上記図６のＣ−Ｃ断面図。

【図９】従来技術の課題を説明するために図示した要部
断面図。

【符号の説明】

１ 掃除機本体 ４ サイクロン式集塵装置 ７ ホースジョイント部 ８ ホース装着部（スイベル継手） ９ ホース １０ 集塵ケース １０ａ 外壁 １０ｂ 上面 １１ａ プレフィルタ １１ｂ メインフィルタ １３ 凹部 １３ａ 内壁 １３ｂ 底板 １４ 環状流路 １５ 導管部 １５ａ，１５ｂ 案内壁 １６ 吸込口 １７ 案内流路 ２０ ヒンジ ２１ 蓋体 ２２ クランプレバー ２７ 排出口 ３１ 案内板

フロントページの続き (72)発明者 末次 直樹 大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 ▲浜▼田 篤夫 大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三 洋電機株式会社内 Ｆターム(参考） 3B062 AH02 AH05 4D053 AA03 AB01 BA01 BB06 BD01 CA05 CB04 CB15 CC05 CD23 DA02

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 筒状の集塵ケースの一方の端面側に環状
   の流路を形成し、この環状流路の内壁側に塵埃を含んだ
   吸気の導管部を設けると共に、この導管部からの吸気を
   内壁側から前記環状流路におけるサイクロン流の旋回方
   向に案内する案内流路を形成したことを特徴とするサイ
   クロン式集塵装置。
2. 【請求項２】 前記環状流路に、前記案内流路からの吸
   気をサイクロン流の螺旋方向に案内する案内板を設けた
   ことを特徴とする請求項１記載のサイクロン式集塵装
   置。
3. 【請求項３】 前記筒状の集塵ケースの他方の端面側
   に、開閉自在な蓋体を設けたことを特徴とする請求項１
   又は請求項２記載のサイクロン式集塵装置。
4. 【請求項４】 前記塵埃を含んだ吸気は、フィルタで濾
   過されてから排出口より排出されることを特徴とする請
   求項１ないし請求項３のいずれかに記載のサイクロン式
   集塵装置。
5. 【請求項５】 前記フィルタとして、吸気中の粗塵を濾
   過するプレフィルタと、このプレフィルタにより粗塵が
   濾過された吸気中の細塵を濾過するメインフィルタとを
   備えたことを特徴とする請求項４記載のサイクロン式集
   塵装置。
6. 【請求項６】 前記請求項１ないし請求項５のいずれか
   に記載のサイクロン式集塵装置を備えたことを特徴とす
   る電気掃除機。