JP2003207615A - カラーフィルタおよびその製造方法 - Google Patents

カラーフィルタおよびその製造方法

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JP2003207615A
JP2003207615A JP2002325860A JP2002325860A JP2003207615A JP 2003207615 A JP2003207615 A JP 2003207615A JP 2002325860 A JP2002325860 A JP 2002325860A JP 2002325860 A JP2002325860 A JP 2002325860A JP 2003207615 A JP2003207615 A JP 2003207615A
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Masaki Umetani
谷 雅 規 梅
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コレステリック層特有の色純度の高さを保持
しつつ特定色(例えば赤色)の不鮮明さを効果的に解消
することができる、光学的に優れたカラーフィルタを提
供すること。 【解決手段】 カラーフィルタ10は、基材13と、基
材13上に形成された着色層24とを備えている。基材
13は、透明基板11と、透明基板11上に形成された
配向膜12とを有している。着色層24は、基材13の
配向膜12上に形成されたものであり、赤色コレステリ
ック層25、緑色コレステリック層26および青色コレ
ステリック層27が所定のパターンで配置されている。
各色のコレステリック層25,26,27は、コレステ
リック規則性が保持された状態で重合して固定化された
重合性液晶材料からなるコレステリック固定化層であ
り、赤色コレステリック層25におけるΔλ(半値幅)
/λ(反射中心波長)の値が、緑色コレステリック層
26および青色コレステリック層27におけるΔλ/λ
の値の1.2倍から2倍の範囲内にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コレステリック規
則性を有するコレステリック層からなるカラーフィルタ
に係り、とりわけ、コレステリック層特有の色純度の高
さを保持しつつ特定色(例えば赤色)の不鮮明さを効果
的に解消することができる、光学的に優れたカラーフィ
ルタおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コレステリック規則性を有するコレステ
リック層からなる光学素子は、液晶表示装置用の円偏光
制御光学素子(円偏光分離素子やカラーフィルタ等)と
して広く用いられている。
【0003】このような光学素子の用途の1つとして、
赤色(R)、緑色(G)および青色(B)に対応する選
択反射波長帯域を画素単位で有する反射型カラーフィル
タがある。
【0004】一般に、コレステリック層を利用したカラ
ーフィルタ、すなわちコレステリック反射を利用したカ
ラーフィルタは、選択反射波長帯域が狭い場合には、色
純度が極めて高く、従来の顔料や染料を用いた吸収型の
カラーフィルタと比較して光学的特性が優れていると考
えられている。
【0005】一方、人間の視感度は、図3に示す比視感
度曲線からも明らかなように、550nm付近の緑色で
は高く、青色(450nm付近)および赤色(610n
m付近)では低い傾向にある。このうち、青色と赤色と
を比較した場合は、一般に赤色の方が鮮明に見えない場
合が多い。これは図3に示す比視感度曲線には表れてい
ないが、観察する環境や人の感じ方に左右された結果で
あると考えられる。
【0006】このように、人間には特定色が鮮明に見え
ない場合が多く、上述したコレステリック層を利用した
カラーフィルタにおいては、特定色(例えば赤色)が不
鮮明に見えるといった問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点に鑑みてなされたものであり、コレステリック層特
有の色純度の高さを保持しつつ特定色(例えば赤色)の
不鮮明さを効果的に解消することができる、光学的に優
れたカラーフィルタおよびその製造方法を提供すること
を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、本発明は、基材と、前記基材上に形成された着
色層であって、赤色の光を選択的に反射する赤色コレス
テリック層、緑色の光を選択的に反射する緑色コレステ
リック層および青色の光を選択的に反射する青色コレス
テリック層が所定のパターンで配置された着色層とを備
え、前記赤色コレステリック層、前記緑色コレステリッ
ク層および前記青色コレステリック層は、コレステリッ
ク規則性が保持された状態で固定化されたコレステリッ
ク固定化層であり、前記赤色コレステリック層および前
記青色コレステリック層のうちの特定色のコレステリッ
ク層におけるΔλ(半値幅)/λ(反射中心波長)の
値が、残りのコレステリック層におけるΔλ(半値幅)
/λ(反射中心波長)の値の1.2倍から2倍の範囲
内にあることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0009】このようなカラーフィルタであれば、赤色
および青色のうちの特定色のみ半値幅が広く、明るくな
り、特定色以外の他の色は狭帯域となる。従って、不鮮
明になりがちな特定色以外の他の色の色純度の高さを保
持しつつ特定色の明るさを確保することが可能となり、
良好な光学的特性を有するカラーフィルタを得ることが
できる。
【0010】なお、本発明に係るカラーフィルタにおい
ては、前記特定色のコレステリック層は赤色コレステリ
ック層であり、当該赤色コレステリック層におけるΔλ
(半値幅)/λ(反射中心波長)の値が、緑色コレス
テリック層および青色コレステリック層におけるΔλ
(半値幅)/λ(反射中心波長)の値の1.2倍から
2倍の範囲内にあることが好ましい。このようなカラー
フィルタであれば、赤色のみ半値幅が広く、明るくな
り、他の緑色および青色は狭帯域となる。従って、不鮮
明になりがちな赤色以外の青色および緑色の色純度の高
さを保持しつつ赤色の明るさを確保することが可能とな
り、良好な光学的特性を有する実用的な要求に合致した
カラーフィルタを得ることができる。
【0011】また、本発明に係るカラーフィルタにおい
ては、Δλ(半値幅)/λ(反射中心波長)が大きく
なる前記赤色コレステリック層におけるΔλ(半値幅)
が、80nm〜200nmの範囲内にあることが好まし
い。この程度の半値幅Δλであれば、赤色の明るさを確
保しつつ、赤色の色純度も大幅に落とすことがないよう
にすることが可能である。
【0012】なお、本発明に係るカラーフィルタにおい
て、前記赤色コレステリック層、前記緑色コレステリッ
ク層および前記青色コレステリック層は、重合性液晶材
料からなることが好ましいが、特にこれに限定されるも
のではなく、非重合性液晶材料を用いることも可能であ
る。
【0013】また、本発明に係るカラーフィルタは、液
晶表示体に組み込まれて用いられることが好ましい。
【0014】本発明はまた、配向能を有する基材上に、
重合性液晶材料とカイラル剤とを有する赤色液晶層形成
用塗工液を塗布し、コレステリック規則性を有する赤色
液晶層を形成する工程と、前記赤色液晶層のうち赤色コ
レステリック層が形成される領域に相当する赤色領域に
対して広帯域化の処理を行う広帯域化工程と、前記赤色
液晶層のうち広帯域化の処理が行われた赤色領域に対し
て活性放射線を照射することにより、コレステリック規
則性を保持した状態で当該赤色液晶層の当該赤色領域を
硬化させて固定化し、赤色の光を選択的に反射する赤色
コレステリック層を形成する工程と、前記基材上に形成
された前記赤色コレステリック層とは異なる領域に、緑
色の光を選択的に反射する緑色コレステリック層および
青色の光を選択的に反射する青色コレステリック層を形
成する他層形成工程とを含むことを特徴とする、カラー
フィルタの製造方法を提供する。
【0015】このようなカラーフィルタの製造方法であ
れば、赤色コレステリック層のみ選択反射波長帯域の広
帯域化を行うことにより、不鮮明になりがちな赤色以外
の青色および緑色の色純度の高さを保持しつつ赤色の明
るさを確保した、実用的な要求に合致した高品質なカラ
ーフィルタを得ることができる。
【0016】なお、このようなカラーフィルタの製造方
法において、前記カイラル剤は重合性カイラル剤であ
り、前記他層形成工程は、前記赤色コレステリック層が
形成された前記赤色液晶層のうち前記緑色コレステリッ
ク層が形成される領域に相当する緑色領域および前記青
色コレステリック層が形成される領域に相当する青色領
域に対して活性放射線を照射する工程であって、前記青
色領域に比べて前記緑色領域に対して、より強い活性放
射線を照射する工程と、前記赤色液晶層を、重合性液晶
材料を選択的に溶出させることができる溶媒に接触さ
せ、前記赤色液晶層のうち前記緑色領域および前記青色
領域から重合性液晶材料を選択的に溶出させることによ
り、前記赤色液晶層の前記緑色領域を、緑色の光を選択
的に反射する緑色液晶層とし、前記赤色液晶層の前記青
色領域を、青色の光を選択的に反射する青色液晶層とす
る工程と、前記緑色液晶層および前記青色液晶層に対し
て活性放射線を照射することにより、コレステリック規
則性を保持した状態で前記緑色液晶層および前記青色液
晶層を硬化させて固定化し、前記緑色コレステリック層
および前記青色コレステリック層を形成する工程とを含
むことが好ましい。なお、「選択的に溶出させる」と
は、液晶層を形成する重合性液晶材料よび重合性カイラ
ル剤のうちいずれか一方をより多く溶出させることをい
う。
【0017】このようなカラーフィルタの製造方法によ
れば、緑色コレステリック層と青色コレステリック層と
を同時に製造することが可能であり、工程を簡略化する
ことができる。
【0018】なお、上述した本発明に係るカラーフィル
タの製造方法においては、前記広帯域化工程において、
前記基材上に形成された前記赤色液晶層の一方の面のみ
を、前記赤色液晶層がコレステリック相を発現する温度
で加熱しながら常圧での酸素濃度が10%以上の雰囲気
に暴露することが好ましい。これにより、効率よく広帯
域化を図ることができる。
【0019】このような状態は、例えば、前記基材を酸
素不透過性とし、このような基材上に形成された前記赤
色液晶層を当該基材とともに酸素濃度が10%以上の雰
囲気に置くことにより実現することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。
【0021】まず、本発明の一実施の形態に係るカラー
フィルタについて説明し、次いで、そのようなカラーフ
ィルタの製造方法について説明する。
【0022】[A.カラーフィルタ]図1は、本実施の
形態に係るカラーフィルタを示す概略断面図である。図
1に示すように、本実施の形態に係るカラーフィルタ1
0は、液晶表示体に組み込まれて用いられるものであ
り、基材13と、基材13上に形成された着色層24と
を備えている。このうち、基材13は、透明基板11
と、透明基板11上に形成された配向膜12とを有して
いる。また、着色層24は、基材13の配向膜12上に
形成されたものであり、赤色の光を選択的に反射する赤
色コレステリック層25、緑色の光を選択的に反射する
緑色コレステリック層26および青色の光を選択的に反
射する青色コレステリック層27が所定のパターンで配
置されている。
【0023】ここで、着色層24の赤色コレステリック
層25、緑色コレステリック層26および青色コレステ
リック層27は、コレステリック規則性が保持された状
態で重合して固定化された重合性液晶材料からなるコレ
ステリック固定化層であり、赤色コレステリック層25
におけるΔλ(半値幅)/λ(反射中心波長)の値
は、緑色コレステリック層26および青色コレステリッ
ク層27におけるΔλ(半値幅)/λ(反射中心波
長)の値の1.2倍から2倍の範囲内にある。
【0024】このように、本実施の形態に係るカラーフ
ィルタ10は、着色層24の赤色コレステリック層25
におけるΔλ/λの値が、緑色コレステリック層26
および青色コレステリック層27におけるΔλ/λ
値の1.2倍から2倍の範囲内にあり、赤色コレステリ
ック層25が、緑色コレステリック層26および青色コ
レステリック層27の両者と比較して広帯域となってい
る。従って、本実施の形態に係るカラーフィルタ10に
よれば、青色および緑色の色純度の高さを保持しつつ赤
色の明るさを確保することが可能となり、人間の視覚に
対して良好な色味を実現することができる。
【0025】なお、着色層24の赤色コレステリック層
25、緑色コレステリック層26および青色コレステリ
ック層27の帯域幅について、Δλ/λの値を用いて
比較したのは、以下の理由によるものである。すなわ
ち、コレステリック層の反射中心波長λと半値幅Δλ
とは比例関係に近似した関係にあり、反射中心波長λ
が増加した場合には、これにつれて半値幅Δλも増加す
る。このため、単純に半値幅のみで帯域幅を判断するこ
とはできないことになる。そこで、半値幅Δλを反射中
心波長λで割ったΔλ/λの値を用いることとし、
反射中心波長λによる帯域幅の変化を考慮に入れた形
で比較することとしたものである。
【0026】ここで、本実施の形態に係るカラーフィル
タ10においては、上述したように、赤色コレステリッ
ク層25のΔλ/λの値が緑色コレステリック層26
および青色コレステリック層27のΔλ/λの値に対
して1.2倍から2倍の範囲内にあるとしているが、よ
り好ましくは1.3倍〜1.9倍の範囲内にあるとよ
い。上述した範囲より赤色コレステリック層25のΔλ
/λの値が大きい場合は、赤色コレステリック層25
の色味が低下してしまうことから好ましくなく、また、
上述した範囲より赤色コレステリック層25のΔλ/λ
の値が小さい場合は、広帯域化があまりなされず、赤
色の明るさが足りなくなることから好ましくない。
【0027】また、本実施の形態に係るカラーフィルタ
10においては、上述したように、赤色コレステリック
層25のΔλ/λの値に対して、緑色コレステリック
層26および青色コレステリック層27のΔλ/λ
値を比較しているが、これは、緑色コレステリック層2
6および青色コレステリック層27の両者のΔλ/λ
の値と比較した場合に、いずれもが上述した範囲内に入
っていることを意味するものである。赤色コレステリッ
ク層25が緑色コレステリック層26および青色コレス
テリック層27のいずれと比較しても広帯域化がなされ
ていることにより、青色および緑色の色純度の高さを良
好に保持しつつ赤色の明るさも十分に確保することがで
きる。
【0028】さらに、本実施の形態に係るカラーフィル
タ10においては、赤色コレステリック層25の半値幅
Δλが、80nm〜200nmの範囲内、特に90nm
〜155nmの範囲内にあることが好ましい。この程度
の半値幅Δλであれば、赤色の明るさを確保しつつ赤色
の色味を低下させないようにすることが可能である。
【0029】なお、緑色コレステリック層26の半値幅
Δλは、50nm〜100nmの範囲内、特に60nm
〜70nmの範囲内にあることが好ましく、青色コレス
テリック層27の半値幅Δλは、30nm〜70nmの
範囲内、特に50nm〜60nmの範囲内にあることが
好ましい。この程度の半値幅Δλであれば、青色および
緑色の高い色純度が確保されるからである。
【0030】なお、赤色コレステリック層25、緑色コ
レステリック層26および青色コレステリック層27の
反射中心波長λは、各色で必要とされる色味から、赤
色コレステリック層25においては、580nm〜70
0nmの範囲内、特に600nm〜620nmの範囲内
にあることが好ましい。また、緑色コレステリック層2
6においては、500nm〜570nmの範囲内、特に
530nm〜560nmの範囲内にあることが好まし
い。さらに、青色コレステリック層27においては、4
00nm〜480nmの範囲内、特に420nm〜46
0nmの範囲内にあることが好ましい。
【0031】以下、上述したような本実施の形態に係る
カラーフィルタ10について、各構成部材ごとに詳細に
説明する。
【0032】(1.基材)本実施の形態に係るカラーフ
ィルタ10においては、反射中心波長Δλおよび半値幅
λについて上述した特有の関係を有する赤色コレステ
リック層25、緑色コレステリック層26および青色コ
レステリック層27からなる着色層24が基材13上に
形成される。
【0033】このような基材13としては、基材13上
に液晶材料を塗布して着色層24を形成するという製造
方法に適しているという意味で、配向能を有する基材を
用いることが好ましいが、特に配向能を有する基材に限
定されるものではない。基材13が配向能を有しない場
合には、上述したような着色層24を別途形成してお
き、転写工程等により基材13上に配置するようにする
とよい。
【0034】しかしながら、通常は、着色層24は配向
能を有する基材上で形成されることが好ましい。このよ
うな配向能を有する基材としては、図1に示すように、
透明基板11上に配向膜12が形成されて配向能を有す
る基材13として機能するものの他、基材そのものが配
向能を有するものを挙げることができる。以下、それぞ
れの態様について説明する。
【0035】(第1の態様)第1の態様は、図1に示す
ように、配向能を有する基材13が、透明基板11と、
透明基板11上に形成された配向膜12とからなる態様
である。
【0036】この第1の態様においては、配向膜12の
種類等に応じて比較的広範囲の配向方向を選択すること
が可能である。すなわち、透明基板11上に塗布する配
向膜形成用塗工液の種類等を適宜選択することにより、
種々の配向方向を実現することが可能であり、より効果
的な配向を行うことができる。
【0037】ここで、この第1の態様で用いられる配向
膜12は、液晶表示装置等で通常用いられる配向膜が好
適に用いられ、一般的にはポリイミド系の配向膜をラビ
ング処理したものが好適に用いられる。
【0038】また、この第1の態様で用いられる透明基
板11としては、透明材料により形成されたものであれ
ば特に限定されるものではなく、例えば石英ガラスやパ
イレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性
のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルムや
光学用樹脂板等の可撓性のある透明なフレキシブル材を
用いることができる。
【0039】(第2の態様)第2の態様は、基材そのも
のが配向能を有する態様であり、具体的には基材が延伸
フィルムである場合を挙げることができる。このように
延伸フィルムを用いることにより、その延伸方向に沿っ
て液晶材料を配向させることが可能である。このような
基材の調製は、単に延伸フィルムを準備することにより
行うことができるので、工程上極めて簡便である。この
ような延伸フィルムとしては、市販の延伸フィルムを用
いることが可能であり、また必要に応じて種々の材料の
延伸フィルムを形成することも可能である。
【0040】具体的には、ポリカーボネート系高分子、
ポリアリレートやポリエチレンテレフタレートのような
ポリエステル系高分子、ポリイミド系高分子、ポリスル
ホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリス
チレン系高分子、ポリエチレンやポリプロピレンのよう
なポリオレフィン系高分子、ポリビニルアルコール系高
分子、酢酸セルロース系高分子、ポリ塩化ビニル系高分
子、ポリメチルメタクリレート系高分子等の熱可塑性ポ
リマー等からなるフィルム、あるいは液晶ポリマーから
なるフィルム等を挙げることができる。
【0041】中でも、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)フィルムが、延伸率のレンジ幅が広い点、さらに
は入手のしやすさ等の観点から好ましく用いられる。
【0042】ここで、延伸フイルムの延伸率としては、
配向能が発揮し得る程度の延伸率であれば特に限定され
るものではない。従って、2軸延伸フィルムであっても
2軸間で延伸率が異なるものであれば用いることが可能
である。
【0043】このような延伸率は、用いられる材料によ
り大きく異なるものであり、特に限定されるものではな
いが、一般的には150%〜300%程度のものを用い
ることが可能であり、好ましくは200%〜250%の
ものが用いられる。
【0044】(2.着色層)本実施の形態に係るカラー
フィルタ10においては、上述したような基材13上
に、赤色コレステリック層25、緑色コレステリック層
26および青色コレステリック層27からなる着色層2
4が形成される。これらの赤色コレステリック層25、
緑色コレステリック層26および青色コレステリック層
27は通常、カラーフィルタにおいて設けられる所定の
パターンで配置されており、そのパターンは例えばスト
ライプ状であったり千鳥状であったりするものである。
【0045】このような着色層24を構成する各コレス
テリック層(赤色コレステリック層25、緑色コレステ
リック層26および青色コレステリック層27)は、上
述したような範囲の反射中心波長λと半値幅Δλとを
有するものであり、各コレステリック層の反射中心波長
λは、重合性液晶材料の量およびカイラル剤の量が予
め選択されるか、もしくは後述するように溶媒中で適宜
溶出されることにより決定される、各コレステリック層
内の螺旋ピッチに対応するものである。
【0046】本実施の形態に係る着色層24を構成する
各コレステリック層(赤色コレステリック層25、緑色
コレステリック層26および青色コレステリック層2
7)は、重合性液晶材料とカイラル剤(特に重合性カイ
ラル剤)とが、コレステリック規則性が保持された状態
で重合されて固定化された層、すなわちコレステリック
固定化層である。
【0047】このような着色層24で用いられる重合性
液晶材料としては、重合性液晶モノマーや重合性液晶オ
リゴマー、重合性液晶高分子等を挙げることができる。
このような重合性液晶材料としては、通常、それ自体が
ネマチック規則性やスメクチック規則性を有するものが
用いられるが、特にこれに限定されるものではなく、重
合性液晶材料がコレステリック規則性を有するものであ
ってもよい。また、本発明においてはコレステリック規
則牲を有する必要があることから、重合性液晶材料自体
がネマチック規則性もしくはスメクチック規則性を呈す
る場合は、コレステリック規則性を付与するためにカイ
ラル剤が用いられる。以下、それぞれの材料について説
明する。
【0048】(重合性液晶材料)着色層24で用いられ
る重合性液晶材料としては、上述したような重合性液晶
モノマーや重合性液晶オリゴマー、重合性液晶高分子等
を挙げることができる。このような重合性液晶材料とし
ては、これらのみで液晶相を形成した場合に、ネマチッ
ク規則性、スメクチック規則性またはコレステリック規
則性を有する液晶相を形成し得る重合性液晶材料であれ
ば特に限定されるものではない。
【0049】このような重合性液晶材料の一例として
は、例えば下記に示すような重合性液晶モノマーを挙げ
ることができる。すなわち、下記の一般式(1)で表さ
れる化合物(I)と、下記の一般式(2)で表される化
合物(II)とで構成されるものを挙げることができ
る。
【0050】化合物(I)としては、一般式(1)に包
含される化合物の2種を混合して使用することができ、
同様に、化合物(II)としては、一般式(2)に包含
される化合物の2種以上を混合して使用することができ
る。
【0051】
【化1】
【0052】化合物(I)を表す上記一般式(1)にお
いて、RおよびRはそれぞれ水素またはメチル基を
示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからRおよびR
はともに水素であることが好ましい。Xは水素、塩
素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキ
シ基、シアノ基、ニトロ基のいずれであっても差し支え
ないが、塩素またはメチル基であることが好ましい。ま
た、化合物(I)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロ
キシ基と芳香環とのスペーサーであるアルキレン基の鎖
長を示すaおよびbは、それぞれ個別に2〜12の範囲
で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であること
が好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好まし
い。a=b=0である一般式(1)の化合物は、安定性
に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結
晶性が高い。また、aおよびbがそれぞれ13以上であ
る一般式(1)の化合物は、アイソトロピック転移温度
(TI)が低い。この理由から、これらの化合物はどち
らも液晶性を示す温度範囲が狭く、好ましくない。
【0053】
【化2】
【0054】化合物(II)を表す上記一般式(2)に
おいて、Rは水素またはメチル基を示すが、液晶相を
示す温度範囲の広さからRは水素であることが好まし
い。アルキレン基の鎖長を示すcに関して言えば、この
値が2〜12である化合物(II)は液晶性を示さな
い。しかしながら、液晶性を持つ化合物(I)との相溶
性を考慮すると、cは4〜10の範囲であることが好ま
しく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。化合
物(II)も任意の方法で合成可能であり、例えば、1
当量の4−シアノフェノールと1当量の4−(n−(メ
タ)アクリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステ
ル化反応により化合物(II)を合成することができ
る。このエステル化反応は化合物(I)を合成する場合
と同様に、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水
物等で活性化し、これと4−シアノフェノールとを反応
させるのが一般的である。また、DCC(ジシクロヘキ
シルカルボジイミド)等の縮合剤を用いて、上記安息香
酸と4−シアノフェノールとを反応させてもよい。
【0055】その他、着色層24で用いられる重合性液
晶材料としては、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶高
分子等を用いることが可能である。このような重合性液
晶オリゴマーや重合性液晶高分子としては、従来から提
案されているものを適宜選択して用いることが可能であ
る。
【0056】(カイラル剤)着色層24で用いられるカ
イラル剤としては、上記重合性液晶材料とともに用いて
液晶相を形成した場合に、コレステリック規則性を発現
させることができるものであれば特に限定されるもので
はない。例えば、以下のようなカイラル剤を用いること
ができる。
【0057】すなわち、光学活性な部位を有する低分子
化合物であり、分子量1500以下の化合物等を挙げる
ことができる。カイラル剤は主として、上記の化合物
(I)および化合物(II)が発現する正の一軸ネマチ
ック規則性に螺旋ピッチを誘起させる目的で用いられ
る。この目的が達成される限り、上記の化合物(I)お
よび化合物(II)の混合物と溶液状態あるいは溶融状
態において相溶し、上記のネマチック規則性をとり得る
重合性液晶材料の液晶性を損なうことなく、これに所望
の螺旋ピッチを誘起できるものであれば、下記に示すカ
イラル剤としての低分子化合物の種類は特に限定されな
い。液晶に螺旋ピッチを誘起させるために用いるカイラ
ル剤は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを有
していることが必要である。従って、ここで用いられる
カイラル剤としては、例えば1つあるいは2つ以上の不
斉炭素を有する化合物、キラルなアミンやキラルなスル
フォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合
物、あるいはクムレンやビナフトール等の軸不斉を持つ
化合物が挙げられる。さらに具体的には、市販のカイラ
ルネマチック液晶(例えばキラルドーパント液晶S−8
11(Merck社製)等)が挙げられる。
【0058】しかしながら、選択されたカイラル剤の性
質によっては、上記の化合物(I)および化合物(I
I)が形成するネマチック規則性の破壊や、配向性の低
下、あるいは該化合物が非重合性の場合には、液晶性組
成物の硬化性の低下や、硬化フイルムの信頼性の低下を
招くおそれがある。さらに、光学活性な部位を有するカ
イラル剤の多量な使用は、組成物のコストアップを招
く。従って、短螺旋ピッチのコレステリック規則性を有
するコレステリック層を形成する場合には、螺旋ピッチ
を誘発する効果の大きなカイラル剤を選択することが好
ましく、具体的には下記の一般式(3)または(4)で
表されるような、分子内に軸不斉を有する低分子化合物
(III)を用いることが好ましい。
【0059】
【化3】
【0060】
【化4】
【0061】
【化5】
【0062】化合物(III)を表す上記一般式(3)
または(4)において、Rは水素またはメチル基を示
す。Yは上記に示す式(i)〜(xxiv)の任意の1
つであるが、中でも、式(i)、(ii)、(ii
i)、(v)および(vii)のいずれか1つであるこ
とが好ましい。また、アルキレン基の鎖長を示すdおよ
びeは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数を
とり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6
〜9の範囲であることがさらに好ましい。dまたはeの
値が0または1である上記一般式(3)または(4)の
化合物は、安定性に欠け、加水分解を受けやすく、結晶
性も高い。一方、dまたはeの値が13以上である化合
物は融点(Tm)が低い。これらの化合物は、液晶性を
示す化合物(I)および化合物(II)との相溶性が低
下し、濃度によっては相分離等が起きるおそれがある。
【0063】液晶性組成物に含有されるカイラル剤の量
は、螺旋ピッチの誘起能力や最終的に得られる各色の選
択反射波長帯域等を考慮して最適値が決められるが、一
般的には、液晶性組成物を構成する化合物(I)および
化合物(II)の単独での量または合計量100重量部
当り、0.01〜60重量部、好ましくは0.1〜40
重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部、最も好
ましくは1〜20重量部の範囲で選択される。カイラル
剤の含有量が0.01重量部よりも少ない場合は、液晶
性組成物に十分なコレステリック性を付与できない場合
があり、60重量部を越える場合は、液晶分子の配向が
阻害され、活性放射線によって硬化させる際に悪影響を
及ぼす危惧がある。
【0064】なお、このようなカイラル剤としては、特
に重合性を有することが必須ではない。しかしながら、
得られるカラーフィルタの熱安定性等を考慮すると、上
述した重合性液晶材料と重合してコレステリック規則性
を固定化することが可能な重合性カイラル剤を用いるこ
とが好ましい。なお、後述する他層形成工程において、
溶媒接触工程をとる場合には、カイラル剤として重合性
カイラル剤を用いることが好ましい。
【0065】(3.その他の層)本実施の形態に係るカ
ラーフィルタ10においては、上述した基材13や着色
層24の他、必要に応じて種々の層を形成してもよい。
具体的には、着色層24の表面を保護するための保護層
や、ブラックマトリックス、さらには透明電極等を形成
することができる。すなわち、通常このようなコレステ
リック反射タイプのカラーフィルタに用いられる層であ
れば任意のものを形成することができる。
【0066】なお、上述した実施の形態に係るカラーフ
ィルタ10においては、着色層24の赤色コレステリッ
ク層25におけるΔλ(半値幅)/λ(反射中心波
長)の値が、緑色コレステリック層26および青色コレ
ステリック層27におけるΔλ(半値幅)/λ(反射
中心波長)の値の1.2倍から2倍の範囲内にあるよう
にしているが、特にこれに限定されるものではなく、赤
色コレステリック層25以外の緑色コレステリック層2
6や青色コレステリック層27におけるΔλ(半値幅)
/λ(反射中心波長)の値が、残りのコレステリック
層におけるΔλ(半値幅)/λ(反射中心波長)の値
の1.2倍から2倍の範囲内にあるようにしてもよい。
【0067】また、上述した実施の形態に係るカラーフ
ィルタ10においては、着色層24の赤色コレステリッ
ク層25、緑色コレステリック層26および青色コレス
テリック層27が重合性液晶材料からなっているが、特
にこれに限定されるものではなく、非重合性液晶材料を
用いることも可能である。具体的には例えば、特開平1
1−293252号公報や、特開平7−333427号
公報、特開2000−28827号公報等に挙げられて
いる液晶ポリマー等を用いることができるが、特に限定
されるものではない。なお、成膜の容易さや配向状態の
良さ等から、溶媒への溶解性が高いものが好ましい。
【0068】[B.カラーフィルタの製造方法]次に、
本実施の形態に係るカラーフィルタ10の製造方法の一
例について説明する。
【0069】図2は、図1に示すカラーフィルタ10の
製造方法の一例を説明するための工程図である。まず、
透明基材11上に配向膜12が形成された基材13上に
赤色液晶層形成用塗工液を塗布し、乾燥および配向させ
ることにより赤色液晶層14を形成する(図2
(a))。ここで、赤色液晶層14は、赤色の光を選択
的に反射するコレステリック規則性を有する液晶相を呈
している。
【0070】次いで、赤色液晶層14のうち赤色コレス
テリック層が形成される領域に相当する赤色領域に対し
てのみ紫外線等の活性放射線が照射されるようにフォト
マスク15を配置する。ここで照射される活性放射線
は、通常コレステリック層を形成するための硬化の際に
照射する活性放射線より弱い活性放射線16であり、酸
素の存在下でこれを照射することにより広帯域化の処理
を行う(図2(b))。ここで、この広帯域化の処理を
より効率的に行うためには、赤色液晶層14が酸素依存
性を有する重合開始剤を有しており、赤色液晶層14の
一方の表面(ここでは、赤色液晶層14のうち基材13
の反対側に位置する表面)を、常圧での酸素濃度が10
%以上の雰囲気に暴露しながら活性放射線16を照射す
るようにするとよい。なおこのとき、赤色液晶層14は
コレステリック相を発現する温度に加熱する。これによ
り、赤色液晶層14のうち赤色コレステリック層が形成
される領域に相当する赤色領域に、広帯域化された広帯
域化赤色液晶層17が形成される。なお、赤色液晶層1
4の一方の表面のみを常圧での酸素濃度が10%以上の
雰囲気に暴露する方法としては、基材13を酸素不透過
性とし、このような基材13上に形成された赤色液晶層
を基材13とともに酸素濃度が10%以上の雰囲気に置
く方法が考えられる。
【0071】そして、このようにして形成された広帯域
化赤色液晶層17に対して、活性放射線16よりも強い
活性放射線18を同様のフォトマスク15を介して照射
することにより、コレステリック規則性を保持した状態
で広帯域化赤色液晶層17を硬化させて固定化し、赤色
の光を選択的に反射する赤色コレステリック層25を形
成する(図2(c))。
【0072】次いで、赤色液晶層14のうち赤色コレス
テリック層25が形成された領域とは異なる領域(緑色
コレステリック層が形成される領域に相当する緑色領域
および青色コレステリック層が形成される領域に相当す
る青色領域)に対して、所定の透過率で活性放射線が透
過するように形成された選択透過型フォトマスク20を
介して活性放射線18を照射し、半硬化状態の赤色液晶
層14′を形成する(図2(d))。ここで、選択透過
型フォトマスク20では、緑色領域の方に青色領域に比
べてより強い活性放射線18が照射されるように透過率
が設定されており、半硬化状態の赤色液晶層14′のう
ち緑色領域の方が青色領域に比べてより硬化が進むよう
になっている。
【0073】このようにして緑色領域および青色領域が
異なる状態で硬化された半硬化状態の赤色液晶層14′
を溶媒21中に浸漬する。ここで、溶媒21は、半硬化
状態の赤色液晶層14′内の重合性液晶材料を選択的に
溶出させるタイプのものであるので、未硬化であればあ
るほど多量の重合性液晶材料が溶出する。ここで、「選
択的に溶出させる」とは、液晶層を形成する重合性液晶
材料よび重合性カイラル剤のうちいずれか一方をより多
く溶出させることをいう。このようにして重合性液晶材
料を溶出させると、重合性カイラル剤との混合比率が変
化し、重合性カイラル剤の濃度が高く(または低く)な
り、結果として螺旋ピッチが小さく(または大きく)な
る。これにより、より硬化度の低い青色領域の部分は、
ピッチが一番小さくなることから、青色の光を選択的に
反射する青色液晶層23となり、硬化度の比較的高い緑
色領域の部分は、緑色の光を選択的に反射する緑色液晶
層22となる(図2(e))。
【0074】この状態で、基材13上に形成された緑色
液晶層22および青色液晶層23の全体に活性放射線1
8を照射し、緑色液晶層22および青色液晶層23をコ
レステリック規則性を保持した状態で硬化させて固定化
することにより、緑色コレステリック層26および青色
コレステリック層27を形成する。これにより、先に形
成されていた赤色コレステリック層25とともに、全体
として着色層24が形成され、カラーフィルタ10が製
造される(図2(f))。
【0075】以下、上述したようなカラーフィルタの製
造方法について、各工程ごとに詳細に説明する。
【0076】(1.赤色液晶層形成工程)まず、図2
(a)に示すように、配向能を有する基材13上に赤色
液晶層14を形成する。なお、ここで用いられる配向能
を有する基材としては、図2(a)に示すような透明基
材11上に配向膜12が形成された基材13の他、延伸
フィルムのような基材そのものが配向能を有するものを
用いることができる。このような配向能を有する基材の
詳細については、上記[A.カラーフィルタ]の欄で説
明したものと同様であるので、ここでの説明は省略す
る。
【0077】配向能を有する基材13上には、まず、赤
色液晶層14を形成するための赤色液晶層形成用塗工液
が塗布される。この赤色液晶層形成用塗工液は、重合性
液晶材料と重合性カイラル剤とを溶媒に溶解させた溶液
であり、反射中心波長が所定値となるような量でそれぞ
れが溶解されている。このような重合性液晶材料および
重合性カイラル剤の詳細についても、上記[A.カラー
フィルタ]の欄で説明したものと同様であるので、ここ
での説明は省略する。
【0078】そして、配向能を有する基材13上に赤色
液晶層形成用塗工液を塗布した後、溶媒を乾燥等により
除去することにより赤色液晶層形成用層とし、この赤色
液晶層形成用層を液晶相となり得る温度で維持すること
により、基材13の配向能に沿って液晶分子が配向した
赤色液晶層14が形成される。
【0079】以下、赤色液晶層形成用塗工液の成分であ
る溶媒、および広帯域化工程においても重要な働きをす
る重合開始剤の詳細について説明する。
【0080】(1.1.溶媒)赤色液晶層形成用塗工液
で用いられる溶媒としては、上述した重合性液晶材料等
を溶解することが可能な溶媒であり、かつ配向能を有す
る基材13上の配向能を阻害しない溶媒であれば特に限
定されるものではない。
【0081】具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリ
ン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2−ジメト
キシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル
等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2,4−ペン
タンジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコ
ールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクト
ン等のエステル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−
ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド等のアミド系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタ
ン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタ
ン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロ
ロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶
媒、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グ
リセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチ
ルセルソルブ等のアルコール類、フェノール、パラクロ
ロフェノール等のフェノール類等の1種または2種以上
を使用することができる。
【0082】単一種の溶媒を使用しただけでは、重合性
液晶材料等の溶解性が不十分であったり、配向能を有す
る基材が侵食される場合があるが、2種以上の溶媒を混
合して使用することにより、この不都合を回避すること
ができる。上述した溶媒のなかで、単独溶媒として好ま
しいものは、炭化水素系溶媒とグリコールモノエーテル
アセテート系溶媒であり、混合溶媒として好ましいの
は、エーテル類またはケトン類とグリコール類との混合
系である。溶液の濃度は、液晶性組成物の溶解性や製造
しようとするカラーフィルタの膜厚に依存するため一概
には規定できないが、通常は1〜60重量%、好ましく
は3〜40重量%の範囲で調整するとよい。
【0083】(1.2.重合開始剤)赤色液晶層形成用
塗工液には、さらに重合開始剤を添加することが好まし
い。電子線の照射により重合性液晶材料を重合させる際
には、重合開始剤が不要な場合はあるが、例えば紫外線
の照射により重合性液晶材料を重合させる際には、重合
開始剤(光重合開始剤)が重合促進のために好適に用い
られる。
【0084】赤色液晶層形成用塗工液に添加される光重
合開始剤としては、ベンジル(ビベンゾイルともい
う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソ
プロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香
酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4′
−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタ
ール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブ
トキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−
ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3′−ジメチ
ル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフ
ォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フ
ェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−
ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリ
ノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシル
フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1
−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパ
ン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2
−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ク
ロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサント
ン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−
ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサント
ン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙
げることができる。なお、光重合開始剤の他に、増感剤
を、本発明の目的が損なわれない範囲で添加することも
可能である。
【0085】このような光重合開始剤の添加量として
は、重合性液晶材料に対して、一般的には0.01〜2
0重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好まし
くは0.5〜5重量%の範囲で添加することができる。
【0086】(2.広帯域化工程)次いで、図2(b)
に示すように、赤色液晶層14のうち赤色コレステリッ
ク層が形成される領域に相当する赤色領域に対して、酸
素の存在下で微弱な活性放射線16を照射することによ
り、広帯域化の処理を行う。赤色液晶層14に対して所
定のパターンで広帯域化を行う方法としては、広帯域化
の処理を行いたい領域にのみ活性放射線16を照射する
ようにする方法を挙げることができる。具体的には、図
2(b)に示すように、フォトマスク15を用いる方法
等により行うことができる。
【0087】ここで照射される活性放射線16は、重合
性液晶材料や重合性カイラル剤等を重合させることが可
能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通
常は、装置の容易性等の観点から紫外線または可視光線
等の照射光が使用され、その波長は、150〜500n
m、好ましくは250〜450nm、さらに好ましくは
300〜400nmである。
【0088】このような照射光の光源としては、低圧水
銀ランプ(殺菌ランプや蛍光ケミカルランプ、ブラック
ライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプやメタルハ
ライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水
銀ランプやキセノンランプ、水銀キセノンランプ)等が
挙げられる。中でも、メタルハライドランプやキセノン
ランプ、高圧水銀ランプ灯等を使用することが好まし
い。
【0089】このような広帯域化工程における原理は、
以下のとおりである。
【0090】まず、コレステリック層の選択反射波長帯
域Δλ1は以下の式により表される。 Δλ1=Δn・p ここで、Δnは複屈折率であり、pは螺旋ピッチであ
る。
【0091】上記の式により、コレステリック層の選択
反射波長帯域Δλ1は、螺旋ピッチpに支配される関数
で表されることが分かる。よって、コレステリック層を
形成するための赤色液晶層14の螺旋ピッチを基材13
側から基材13の反対側に位置する表面側にかけて変化
させることにより、選択反射波長帯域Δλ1を所定の範
囲内で広帯域化させることができる。この螺旋ピッチp
を変化させるためには、螺旋ピッチを誘起するカイラル
剤の濃度を変化させればよい。
【0092】ここで、赤色液晶層14内に均一に分布し
ているカイラル剤の濃度は、硬化速度に対応して変える
ことができる。これは、液晶性組成物の各組成物によっ
てその硬化のし易さが異なるので、穏やかに硬化が進行
する場合であれば、わずかな硬化のし易さの違いが硬化
速度勾配に対応して生じ、液晶性組成物の混合比率にも
勾配が生じるためである。従って、赤色液晶層14内で
硬化速度勾配を形成し、赤色液晶層14内で基材13側
から基材13の反対側に位置する表面側にかけてカイラ
ル剤の濃度勾配を形成することにより、螺旋ピッチを赤
色液晶層14の両面において変化させ、これにより選択
反射波長帯域Δλ1を広帯域化させることが可能とな
る。
【0093】すなわち、上述したように、コレステリッ
ク層の広帯域化は、コレステリック層を形成するための
赤色液晶層14に硬化速度勾配を形成することにより可
能となる。
【0094】本実施の形態においては、上述したような
原理の下で、赤色液晶層14中の重合性液晶材料の反応
速度に関して赤色液晶層14の両面間で硬化速度勾配を
形成する方法であれば、いかなる方法であっても用いる
ことができるが、酸素の存在により反応が遅延する性質
を利用する方法を用いることが好ましい。
【0095】すなわち、酸素は、特に赤色液晶層14が
酸素依存性の重合開始剤を有している場合には、赤色液
晶層14の硬化を阻害する作用を持つものである。硬化
を阻害する酸素雰囲気に赤色液晶層14のいずれか一方
の面を暴露し、この酸素による硬化阻害作用を損なわせ
ない程度に活性照射線16を照射することにより、赤色
液晶層14内で基材13側から基材13の反対側に位置
する表面側にかけて硬化速度勾配を形成することが可能
である。
【0096】酸素雰囲気に赤色液晶層14を暴露する方
法としては、基材13を酸素不透過性とする方法があ
る。逆に、基材13を酸素透過性とし、赤色液晶層14
のうち基材13の反対側に位置する表面を無酸素状態ま
たは酸素の硬化阻害作用が得られない程度の酸素濃度中
に暴露する方法がある。また、本実施の形態において
は、赤色液晶層14の両面に基材を配置してもよいの
で、このような場合には、赤色液晶層14のうち一方の
面に酸素透過性の基材を配置し、もう一方の面に酸素不
透過性の基材を配置することが考えられる。
【0097】なお、このような広帯域化工程における酸
素雰囲気中の酸素濃度は、10%以上、好ましくは15
%以上、より好ましくは20%以上である。この程度の
範囲の酸素濃度であれば、十分に赤色液晶層14の硬化
を阻害する効果が得られるからである。また、このよう
な酸素雰囲気は空気雰囲気でもよい。この場合には、特
別な設備等を用いなくともよく製造設備の扱いが容易に
なることから、効率面やコスト面からも大いに有利であ
る。
【0098】上述した範囲の酸素雰囲気に赤色液晶層1
4の一方の表面を暴露しながら活性放射線16を照射
し、穏やかに硬化を進行させる。この場合の活性放射線
16の照射強度は、酸素の硬化阻害作用を損なわせない
程度であり、かつ良好な硬化速度勾配が形成される程度
であるとよい。このような照射強度としては、後述する
硬化に用いられる活性放射線18の照射強度に対して、
1%〜10%、特に3%〜8%の範囲内とすることが好
ましい。上述した範囲よりも照射強度を高くすると、酸
素による硬化阻害作用を超えて硬化が促進してしまい、
硬化速度勾配の形成が妨げられる。逆に、上述した範囲
よりも照射強度を低くすると、硬化が生じないため、適
当でない。
【0099】なお、上述したような、酸素の存在により
反応が遅延する性質を利用する広帯域化工程において
は、酸素が主要因となって半硬化状態の液晶層の両面間
で硬化速度勾配を形成するものであるので、重合性開始
剤としては酸素依存性の光重合性開始剤が好適に用いら
れる。その中でも、酸素依存性の高い光重合開始剤を用
いることにより、活性放射線の硬化促進作用以上に、酸
素による硬化阻害効果が作用し、硬化速度勾配を効率的
に形成することができる。ここで、本実施の形態で用い
られる光重合開始剤は、上述した通りであるが、その中
でも、酸素依存性の高い光重合開始剤としては、具体的
には、Irg907や、Irg184、Irg651
(商品名、Ciba Speciality Chemicals社製)等が挙げ
られる。
【0100】ところで、上述したようにして硬化速度勾
配が形成されるのに伴って液晶性組成物の濃度勾配が形
成されるには、半硬化状態の液晶層内で未硬化成分の流
動が生じなければならない。良好な流動を生じさせるた
めには、基材および液晶層を加熱しながら広帯域化工程
を行うことが好ましい。ただし、加熱温度によっては半
硬化状態の液晶層の硬化を過剰に促進させることとなる
ので、硬化を促進させることなくかつ液晶性組成物の未
硬化成分の良好な流動を起こさせる加熱温度として、7
0℃〜100℃、その中でも75℃〜85℃の範囲内と
することが好ましい。
【0101】以上により、赤色液晶層14のうち赤色コ
レステリック層が形成される領域に相当する赤色領域
に、広帯域化された広帯域化赤色液晶層17が形成され
る。
【0102】(3.赤色コレステリック層形成工程)そ
して、図2(c)に示すように、このようにして形成さ
れた広帯域化赤色液晶層17に対して、活性放射線16
よりも強い活性放射線18を同様のフォトマスク15を
介して照射することにより、コレステリック規則性を保
持した状態で広帯域化赤色液晶層17を硬化させて固定
化し、赤色の光を選択的に反射する赤色コレステリック
層25を形成する。
【0103】ここで照射される活性放射線18は、重合
性液晶材料や重合性カイラル剤等を重合させることが可
能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通
常は装置の容易性等の観点から紫外線または可視光線等
の照射光が使用され、その波長は、150〜500n
m、好ましくは250〜450、さらに好ましくは30
0〜400nmである。
【0104】このような照射光の光源としては、低圧水
銀ランプ(殺菌ランプや蛍光ケミカルランプ、ブラック
ライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプやメタルハ
ライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水
銀ランプやキセノンランプ、水銀キセノンランプ)等が
挙げられる。中でも、メタルハライドランプやキセノン
ランプ、高圧水銀ランプ灯等を使用することが好まし
い。
【0105】照射光の照射強度は、液晶層を形成してい
る重合性液晶材料の組成や重合開始剤の多寡に応じて適
宜調整される。
【0106】(4.他層形成工程)次いで、基材13上
に形成された赤色コレステリック層25とは異なる領域
に、緑色コレステリック層が形成される領域に相当する
緑色領域および青色コレステリック層が形成される領域
に相当する青色領域にそれぞれ、緑色コレステリック層
26および青色コレステリック層27を形成する。
【0107】なお、本発明においては、広帯域化された
赤色コレステリック層25が形成されれば、その他の緑
色コレステリック層26および青色コレステリック層2
7を形成する方法には特に限定はない。このため、1つ
の液晶層を複数の領域に分けて赤色コレステリック層2
5、緑色コレステリック層26および青色コレステリッ
ク層27を形成する方法の他、通常のフォトリソグラフ
ィ法を用いる方法、すなわち、赤色コレステリック層2
5をパターン露光した後、緑色液晶層形成用塗工液の調
製、塗布およびパターン露光を行って緑色コレステリッ
ク層26を形成し、さらに青色液晶層形成用塗工液の調
整、塗布およびパターン露光を行って青色コレステリッ
ク層を形成する方法を用いることも可能である。
【0108】しかしながら、好適な実施の形態として
は、図2(d)(e)(f)に示すように、赤色コレス
テリック層25が形成された赤色液晶層14をそのまま
用い、赤色液晶層14のうち赤色コレステリック層25
が形成された領域とは異なる領域(緑色コレステリック
層が形成される領域に相当する緑色領域および青色コレ
ステリック層が形成される領域に相当する青色領域)
に、緑色コレステリック層26および青色コレステリッ
ク層27を形成することが好ましい。これにより、原材
料費の低減につながり、さらに工程も簡略化することが
できる。
【0109】(4.1.半硬化工程)具体的には、図2
(d)に示すように、赤色液晶層14のうち赤色コレス
テリック層25が形成された領域とは異なる領域(緑色
コレステリック層が形成される領域に相当する緑色領域
および青色コレステリック層が形成される領域に相当す
る青色領域)に対して、所定の透過率で活性放射線が透
過するように形成された選択透過型フォトマスク20を
介して活性放射線18を照射し、半硬化状態の赤色液晶
層14′を形成する。ここで、選択透過型フォトマスク
20では、青色領域に比べて緑色領域に対して、より強
い活性放射線18が照射されるように透過率が設定され
ている。すなわち、赤色液晶層14に対して異なる照射
強度の活性放射線18を所定のパターンで照射すること
により、異なる状態で硬化された硬化度の異なる2種類
のパターン(緑色領域および青色領域)を備えた半硬化
状態の赤色液晶層14′を形成する。
【0110】(4.2.溶媒接触工程)そして、図2
(e)に示すように、このようにして緑色領域および青
色領域が異なる状態で硬化された半硬化状態の赤色液晶
層14′を、半硬化状態の赤色液晶層14′内の重合性
液晶材料を選択的に溶出させる溶媒21に接触させ、赤
色液晶層14′の緑色領域および青色領域から重合性液
晶材料を選択的に溶出させることにより、赤色液晶層1
4′の緑色領域を、緑色の光を選択的に反射する緑色液
晶層22とし、赤色液晶層14′の青色領域を、青色の
光を選択的に反射する青色液晶層23とする。
【0111】このような溶媒21の接触方法としては、
選択的に溶出させることができれば特に限定されるもの
ではなく、図2(e)に示す浸漬法の他、スピンシャワ
ーやスピンコート、ダイコート、キャスト法等の各種の
方法を用いることができる。
【0112】なお、このような溶媒21としては、上述
した赤色液晶層形成用塗工液で用いられる溶媒と同様の
ものを用いることができる。
【0113】ここで、半硬化状態の赤色液晶層14′を
溶媒21に接触させることにより、緑色液晶層22およ
び青色液晶層23が形成されるのは、以下の理由によ
る。すなわち、液晶性組成物は主としてネマチック規則
性をとり得る重合性液晶材料および重合性カイラル剤か
らなる。ここで、硬化度の異なる2種類のパターンを備
えた半硬化状態の赤色液晶層14′の未硬化成分からは
重合性液晶材料および重合性カイラル剤のいずれの成分
も溶出するが、両者の溶解度が大幅に異なる溶媒を用い
ると、溶出速度に差が生じる。このことから、半硬化状
態の赤色液晶層14′の硬化度の違いにより、未硬化成
分の溶出度合いが異なり、その結果、液晶性組成物の混
合比率が異なることとなる。従って、予め緑色(G)お
よび青色(B)の光を反射するように硬化度および溶出
の程度を調整することにより、半硬化状態の赤色液晶層
14′から緑色液晶層22および青色液晶層23を形成
することができる。
【0114】(4.3.硬化工程)そして最後に、図2
(f)に示すように、基材13上に形成された緑色液晶
層22および青色液晶層23の全体に活性放射線18を
照射し、緑色液晶層22および青色液晶層23をコレス
テリック規則性を保持した状態でそのまま硬化させて固
定化することにより、緑色コレステリック層26および
青色コレステリック層27を形成する。これにより、先
に形成されていた赤色コレステリック層25とともに、
全体として着色層24が形成され、カラーフィルタ10
が製造される。
【0115】なお、上記各工程で用いられる活性放射線
や溶媒等は、上述したものと同様であるので、ここでの
説明は省略する。
【0116】なお、本発明は、上述した実施の形態に限
定されるものではない。上述した実施の形態は例示であ
り、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と
実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するも
のは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包
含される。
【0117】
【実施例】以下、上述した実施の形態の具体的実施例に
ついて述べる。
【0118】重合可能なネマチック液晶(80重量部)
と重合性カイラル剤(20重量部)と光重合開始剤(1
重量部)とを含む光硬化型のカイラルネマチック液晶を
トルエンに溶解させた25wt%のトルエン溶液を準備
した。
【0119】なお、ネマチック液晶としては、下記の化
学式(5)で表される化合物と下記の化学式(6)で表
される化合物とを重量比90:10の割合で含む液晶を
用いた。
【0120】
【化6】
【0121】また、重合性カイラル剤としては、キラル
ドーパント液晶S−811(Merck社製)を用い、光重
合開始剤としては、Irg631(Ciba Speciality Ch
emicals社製)を用いた。
【0122】一方、ガラス基板上にポリイミド(PI)
をコーティングし、一定方向にラビング処理を施すこと
により、配向能を有する基材を作製した。
【0123】上記のようにして調製されたコレステリッ
ク液晶溶液を、配向能を有する基材上にスピンナーにて
塗布し、90℃で乾燥させて溶媒を除去することによ
り、厚さ4μmの未硬化状態のコレステリック液晶層を
得た。
【0124】このコレステリック液晶層は、常温から1
00℃までの広い温度範囲でコレステリック相を有し、
反射中心波長が630nmで半値幅が65nmであり、
緑色の右円偏光を鏡面的に反射するものであった。
【0125】次に、このような未硬化状態のコレステリ
ック液晶層に対して、所定のパターン(透過率が100
%、0%の2領域がそれぞれ100μm、200μmピ
ッチでストライプ状に配列されたパターン)を有するフ
ォトマスクを介して、超高圧水銀灯を用いた紫外線照射
装置により紫外線(365nm)を2.6mW/cm
の照射強度で60秒照射した。なお、このときの雰囲気
は、大気(空気雰囲気)で、温度は90℃であった。こ
れにより、半値幅が約100nmの広帯域化された領域
(領域1:赤色領域)を有するコレステリック液晶層が
形成された。
【0126】その後、窒素(N)雰囲気下で、上述し
たようにして広帯域化された領域(領域1:赤色領域)
に対してさらに、超高圧水銀灯を用いた紫外線照射装置
により紫外線(365nm)を10mW/cmで10
秒照射することにより、当該領域(領域1:赤色領域)
を固定化した。
【0127】次に、上記フォトマスクを横方向に100
μmずらし、ストライプがちょうど1つ分だけずれるよ
うにフォトマスクとコレステリック液晶層との位置関係
を調整した後、このフォトマスクを介して、超高圧水銀
灯を用いた紫外線照射装置により紫外線(365nm)
を120mJ/cm照射し、コレステリック液晶層の
一部の領域(領域2:緑色領域)の重合性液晶材料を重
合させてポリマー化し、当該領域(領域2:緑色領域)
に半硬化状態のコレステリック液晶層を形成した。
【0128】さらに、もう一度、上記フォトマスクを横
方向に100μmずらした後、このフォトマスクを介し
て、超高圧水銀灯を用いた紫外線照射装置により紫外線
(365nm)を4mJ/cm照射し、コレステリッ
ク液晶層の一部の領域(領域3:青色領域)の重合性液
晶材料を重合させてポリマー化し、当該領域(領域3:
青色領域)に半硬化状態のコレステリック層を形成し
た。
【0129】その後、配向能を有する基材上に形成され
た半硬化状態のコレステリック液晶層をアセトンに5分
間浸漬させ、その後、60℃で15分間加熱し、乾燥処
理を行った。これにより、100μmのストライプ状の
パターンで配列された3つの領域(領域1:赤色領域、
領域2:緑色領域、領域3:青色領域)を備えた半硬化
状態のコレステリック液晶層が形成された。
【0130】さらにその後、窒素雰囲気中で、このよう
にして形成された半硬化状態のコレステリック液晶層に
対して、超高圧水銀灯を用いた紫外線照射装置により紫
外線(365nm)を10mW/cmで10秒照射
し、光学特性を安定化させたコレステリック層を形成し
た。
【0131】このようにして形成されたコレステリック
層は、各領域が赤色、緑色および青色を呈するカラーフ
ィルタとなり、目視により評価したところ、青色および
緑色の色純度はきわめて高く、また赤色の明るさも十分
にあり、不鮮明に見える色はなかった。また、このよう
にして形成されたコレステリック層の各領域での反射率
を顕微分光光度計で測定したところ、コレステリック層
の各領域の反射中心波長λおよび半値幅Δλの測定結
果は下記の表のとおりとなった。
【0132】
【表1】
【0133】上記表に示されるように、赤色領域のΔλ
/λの値は0.16であり、緑色領域および青色領域
のΔλ/λの値は0.13であることから、赤色領域
のΔλ/λの値は、青色領域および緑色領域のΔλ/
λの値の1.23倍であった。
【0134】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、コ
レステリック層特有の色純度の高さを保持しつつ特定色
(例えば赤色)の不鮮明さを効果的に解消することがで
きる、光学的に優れたカラーフィルタを提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカラーフィルタを
示す概略断面図である。
【図2】図1に示すカラーフィルタの製造方法の一例を
説明するための工程図である。
【図3】比視感度曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
11 透明基板 12 配向膜 13 基材 24 着色層 25 赤色コレステリック層 26 緑色コレステリック層 27 青色コレステリック層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材と、 前記基材上に形成された着色層であって、赤色の光を選
    択的に反射する赤色コレステリック層、緑色の光を選択
    的に反射する緑色コレステリック層および青色の光を選
    択的に反射する青色コレステリック層が所定のパターン
    で配置された着色層とを備え、 前記赤色コレステリック層、前記緑色コレステリック層
    および前記青色コレステリック層は、コレステリック規
    則性が保持された状態で固定化されたコレステリック固
    定化層であり、 前記赤色コレステリック層および前記青色コレステリッ
    ク層のうちの特定色のコレステリック層におけるΔλ
    (半値幅)/λ(反射中心波長)の値が、残りのコレ
    ステリック層におけるΔλ(半値幅)/λ(反射中心
    波長)の値の1.2倍から2倍の範囲内にあることを特
    徴とするカラーフィルタ。
  2. 【請求項2】前記特定色のコレステリック層は赤色コレ
    ステリック層であり、当該赤色コレステリック層におけ
    るΔλ(半値幅)/λ(反射中心波長)の値が、緑色
    コレステリック層および青色コレステリック層における
    Δλ(半値幅)/λ(反射中心波長)の値の1.2倍
    から2倍の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に
    記載のカラーフィルタ。
  3. 【請求項3】前記赤色コレステリック層におけるΔλ
    (半値幅)が、80nm〜200nmの範囲内にあるこ
    とを特徴とする、請求項2に記載のカラーフィルタ。
  4. 【請求項4】前記赤色コレステリック層、前記緑色コレ
    ステリック層および前記青色コレステリック層は、重合
    性液晶材料からなることを特徴とする、請求項1乃至3
    のいずれかに記載のカラーフィルタ。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれかに記載のカラー
    フィルタが組み込まれたことを特徴とする液晶表示体。
  6. 【請求項6】配向能を有する基材上に、重合性液晶材料
    とカイラル剤とを含有する赤色液晶層形成用塗工液を塗
    布し、コレステリック規則性を有する赤色液晶層を形成
    する工程と、 前記赤色液晶層のうち赤色コレステリック層が形成され
    る領域に相当する赤色領域に対して広帯域化の処理を行
    う広帯域化工程と、 前記赤色液晶層のうち広帯域化の処理が行われた赤色領
    域に対して活性放射線を照射することにより、コレステ
    リック規則性を保持した状態で当該赤色液晶層の当該赤
    色領域を硬化させて固定化し、赤色の光を選択的に反射
    する赤色コレステリック層を形成する工程と、 前記基材上に形成された前記赤色コレステリック層とは
    異なる領域に、緑色の光を選択的に反射する緑色コレス
    テリック層および青色の光を選択的に反射する青色コレ
    ステリック層を形成する他層形成工程とを含むことを特
    徴とする、カラーフィルタの製造方法。
  7. 【請求項7】前記カイラル剤は重合性カイラル剤であ
    り、 前記他層形成工程は、 前記赤色コレステリック層が形成された前記赤色液晶層
    のうち前記緑色コレステリック層が形成される領域に相
    当する緑色領域および前記青色コレステリック層が形成
    される領域に相当する青色領域に対して活性放射線を照
    射する工程であって、前記青色領域に比べて前記緑色領
    域に対して、より強い活性放射線を照射する工程と、 前記赤色液晶層を、重合性液晶材料を選択的に溶出させ
    ることができる溶媒に接触させ、前記赤色液晶層のうち
    前記緑色領域および前記青色領域から重合性液晶材料を
    選択的に溶出させることにより、前記赤色液晶層の前記
    緑色領域を、緑色の光を選択的に反射する緑色液晶層と
    し、前記赤色液晶層の前記青色領域を、青色の光を選択
    的に反射する青色液晶層とする工程と、 前記緑色液晶層および前記青色液晶層に対して活性放射
    線を照射することにより、コレステリック規則性を保持
    した状態で前記緑色液晶層および前記青色液晶層を硬化
    させて固定化し、前記緑色コレステリック層および前記
    青色コレステリック層を形成する工程とを含むことを特
    徴とする、請求項6に記載のカラーフィルタの製造方
    法。
  8. 【請求項8】前記広帯域化工程において、前記基材上に
    形成された前記赤色液晶層の一方の面のみを、前記赤色
    液晶層がコレステリック相を発現する温度で加熱しなが
    ら常圧での酸素濃度が10%以上の雰囲気に暴露するこ
    とを特徴とする、請求項6または7に記載のカラーフィ
    ルタの製造方法。
  9. 【請求項9】前記基材は酸素不透過性であり、このよう
    な基材上に形成された前記赤色液晶層を当該基材ととも
    に酸素濃度が10%以上の雰囲気に置くことを特徴とす
    る、請求項8に記載のカラーフィルタの製造方法。
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