JP2003207396A - 温度センサー - Google Patents

温度センサー

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JP2003207396A
JP2003207396A JP2002004540A JP2002004540A JP2003207396A JP 2003207396 A JP2003207396 A JP 2003207396A JP 2002004540 A JP2002004540 A JP 2002004540A JP 2002004540 A JP2002004540 A JP 2002004540A JP 2003207396 A JP2003207396 A JP 2003207396A
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敏行 高木
Toshihiko Abe
利彦 阿部
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ボズコ・アレクセイ・ディミティリエヴィッチュ
Mikhail Leonidovich Shupegin
シュペギン・ミハイル・レオニドヴィッチュ
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分解能が高く、小型であり、応答が速く、高
温域での磁場感受性が低く、温度センサーにより測定で
きる温度域が広いという多くの特性を備えた温度センサ
ーを提供する。 【解決手段】 非晶質の金属又は導電性化合物−炭素コ
ンポジット膜からなることを特徴とする温度による電気
抵抗の変化を利用した温度センサー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、目的の温度範囲で
分解能が高く、小型であり、応答が速く、高温域での磁
場感受性が低く、温度センサーにより測定できる温度域
が広いという多くの特性を有する温度センサーに関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、温度センサーの持つ望ましい特
性として、目的の温度範囲で分解能が高いこと、小型で
あること、応答が速いこと、使用温度域での磁場感受性
が低いことなどが必要とされる。しかし、従来の温度セ
ンサーは温度域が狭く、温度によって感度が大きく変わ
り、低温で磁場感受性が高く、雰囲気によっては劣化防
止用として特別のハーメチックシールを必要とするなど
の問題があった。
【0003】例えば、一般に広く使われている熱電対
は、より高温での使用に耐えられるという特徴はあるが
温度域が狭くなり、また磁場に反応しやすいといった欠
点がある。また、白金のような金属ベースの抵抗測温体
は熱電対と同じような欠点があり、さらに白金を用いた
熱電対や測温体は使用環境によりシースなどが必要にな
り、コストが増大し、構造的にも複雑になるという問題
があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、分解能が高
く、小型であり、応答が速く、広い温度域での磁場感受
性が低く、温度センサーにより測定できる温度域が広い
という多くの特性を備えた温度センサーを提供すること
を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明者らは鋭意研究を行った結果、非晶質炭素
に金属等を添加し、コンポジット膜(複合膜)とするこ
とにより、従来の温度センサーの欠点を改良し、優れた
性能をもつ温度センサーを得ることができるとの知見を
得た。本発明はこの知見に基づき、 1.非晶質の金属又は導電性化合物−炭素コンポジット
膜からなることを特徴とする温度による電気抵抗の変化
を利用した温度センサー 2.50nm〜50μmの厚さを有するコンポジット膜
であることを特徴とする上記1記載の温度センサー 3.コンポジット膜中の金属又は導電性化合物の濃度が
5〜50at%であることを特徴とする上記1又は2記
載の温度センサー 4.W,Cr,Mo,Ti,Nb,Cu,Al,Hf,
Fe,Ni,Ta,Zr,Co,Sn,Pb,Re,O
s,Ir,Pt,Au,Ag,Mn若しくはこれらの合
金から選択した少なくとも1種類以上の金属又は窒化物
等の導電性化合物であることを特徴とする上記3記載の
温度センサー 5.非晶質炭素がsp結合成分とsp結合成分との
比率により、それぞれダイヤモンド状炭素とグラファイ
ト状炭素の優位的又は双方の性質を示す材料であること
を特徴とする上記1〜4のそれぞれに記載の温度センサ
ー 6.20at%以下のH,Si,Nを含有することを特
徴とする上記1〜5のそれぞれに記載の温度センサー
【0006】7.比電気抵抗が10−4〜10Ω・c
mであることを特徴とする上記1〜6のそれぞれに記載
の温度センサー 8.温度センサー基板又は温度計測を行う機器に非晶質
の金属又は導電性化合物−炭素のコンポジット膜を直接
成膜して温度センサーとすることを特徴とする上記1〜
7のそれぞれに記載の温度センサー 9.コンポジット膜中の金属又は導電性化合物の濃度に
より、絶縁体域、導電−絶縁体遷移点(Metal-Insulato
r Transition (MIT))近傍域、導電域の3種の域に分
けられ、それぞれの域で温度依存性電気抵抗の関数によ
り温度を測定することを特徴とする上記1〜8のそれぞ
れに記載の温度センサー。 10.導体―絶縁体遷移(MIT)点より絶縁体側である
金属濃度が低いとき、電気伝導度の一般的な温度依存性
を、以下の式で表す。
【0007】
【数4】 ( T0,m はパラメーターであり、m は0.25〜
1.00までの値をとる。m が0.25のときは範囲
を変えられるホッピング導電率の典型であり、m が1
の時は移動度しきい値のキャリア活性のケースであ
る。) 導体―絶縁体遷移状態よりも十分に金属が多い場合では
ボルツマン導電率への量子補正を考慮に入れる。この場
合の導電率を、以下の式で表す。
【0008】
【数5】 ( kF はフェルミ波数ベクトル、l は平均自由行
程、L は波動関数の位相緩和長さである。この金属の
濃度域では、導電率の温度依存性は平均自由行程と相緩
和長さの温度依存によって決まる。) 導電―絶縁体遷移点(MIT)の近傍における適当な温度
で導電率は、パラメーターLφで決定される。このLφ
非弾性相互作用によって位相の干渉が崩れたときに決ま
る長さである。MIT点近傍の導電率は、MIT点からそれる
相関長さξによって特徴づけられる。この場合の導電率
を、以下の式で表す。
【0009】
【数6】 ( a と b は適当な定数である。MIT点近傍の導電率
は、温度依存性は位相干渉崩壊長さの温度依存性によ
る。) 上記のそれぞれの域で、温度依存性電気抵抗の関数によ
り、温度を測定することを特徴とする上記9に記載の温
度センサー
【0010】11.温度センサー基板又は温度計測を行
う機器に、予めダイヤモンド状炭素又はポリマー状炭素
の非晶質炭素からなる絶縁性保護膜を形成し、該絶縁性
保護膜は一層の均質膜であるか、特性が異なる多層膜で
あるか、又は金属−絶縁層による多層膜であることを特
徴とする上記1〜9のそれぞれに記載の温度センサー 12.金属又は導電性化合物が、コンポジット膜の厚さ
方向又は長さ方向に、濃度がプラス又はマイナスに傾斜
していることを特徴とする上記1〜11のそれぞれに記
載の温度センサー 13.コンポジット膜は、金属又は導電性化合物の種類
又は濃度が一定若しくは異なる多層膜であるか、多層膜
の少なくとも1層は金属又は導電性化合物の濃度がMI
T点よりも下、近傍、上の何れかであるか、多層膜は一
種類であるか又は繰返して積層された多層膜であるか、
又は以上の多層膜の組み合わせであることを特徴とする
上記1〜12のそれぞれに記載の温度センサー 14.センサーの上に、付加的な保護膜としてダイヤモ
ンド状炭素又はポリマー状炭素の非晶質炭素からなる絶
縁性保護膜を形成し、該絶縁性保護膜が一層の均質膜で
あるか、特性が異なる多層膜であるか、又は金属−絶縁
層による多層膜とすることを特徴とする上記1〜13の
それぞれに記載の温度センサー を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の温度センサーは、非晶質
の金属又は導電性化合物−炭素コンポジット膜からな
り、温度による電気抵抗の変化を利用して1K〜500
Kまでの広い温度域で安定して測定が可能である優れた
特性を有する温度センサーである。また、耐腐食性が極
めて良く、生体適合性があり、耐摩耗性にも優れてい
る。さらに、本発明の温度センサーは反応速度が速いの
で、a.化学工業、b.低温工学、c.医学、薬学、d.生体工
学、e.自動車工業、f.重工業、g.電子工学等の工業用、
研究用で使用する温度センサーとして利用できる。温度
センサーの代表的構造を図2に示す。図2のように、2
端子あるいは4端子の温度センサーとして用いることが
できる。図2aはフィルムの端に電極を設けた場合、図
2bはフィルムの終端に電極を設けた場合の例を示す。
図2において、符号1は接点、符号2は機能膜、符号3
は隔離層、符号4は保護層、符号5は基板(対象物)を
示す。
【0012】本発明の温度センサーは、例えば2.50
nm〜50μmの厚さを有するコンポジット膜とするこ
とができる。コンポジット膜中の金属又は導電性化合物
の濃度は5〜50at.%とし、比電気抵抗10−4
10Ω・cmの温度センサーとして利用できる。コン
ポジット膜に添加(ドーピング)する金属又は導電性化
合物として、W,Cr,Mo,Ti,Nb,Cu,A
l,Hf,Fe,Ni,Ta,Zr,Co,Sn,P
b,Re,Os,Ir,Pt,Au,Ag,Mn若しく
はこれらの合金から選択した少なくとも1種類以上の金
属又は窒化物(TiN)等の導電性化合物を使用する。
【0013】成膜方法としては、以下に述べる方法の一
つもしくは2つ又はそれ以上の組み合わせを使用する。 1.直流マグネトロンスパッタ 2.高周波マグネトロンスパッタ 3.プラズマ化学気相合成法 4.イオンビーム合成法 5.アーク放電合成法 6.電子ビーム合成法 適当なエネルギー(100〜1000eV)で成膜された非晶質
炭素は、sp1,sp2,sp3といった異なる炭素間の結合によ
り様々な網目構造を形成して混在し、不規則性を有して
いる。これらの構造は、成膜条件や成膜方法、圧力など
によって決定することができる。本発明の温度センサー
は、非晶質炭素がsp結合成分とsp結合成分との
比率により、それぞれダイヤモンド状炭素とグラファイ
ト状炭素の優位的又は双方の性質を示す材料から構成さ
れる。本発明の温度センサーは、さらに20at.%以
下の微量のH,Si,Nを含有させることができる。こ
れらの添加により密着性を改良し、ポリマー的性質を持
たせることができる。
【0014】コンポジット膜中の金属又は導電性化合物
の濃度により、絶縁体域、導電−絶縁体遷移点(Metal-
Insulator Transition (MIT))近傍域、導電域の3種
の域に分けられる。すなわち、金属濃度が低いときに
は、非晶質絶縁体となり、金属等の濃度を大きくしてい
くと、導電−絶縁体遷移(MIT)点が見られ、金属濃
度がこれを超え(12〜20at.%)ると、薄膜の特
性は非晶質金属としての性質を持つようになる。
【0015】この場合、導体―絶縁体遷移(MIT)点
より絶縁体側である金属濃度が低いとき、電気伝導度の
一般的な温度依存性を、以下の式で表すことができる。
【0016】
【数7】 ( T0,m はパラメーターであり、m は0.25〜
1.00までの値をとる。m が0.25のときは範囲
を変えられるホッピング導電率の典型であり、m が1
の時は移動度しきい値のキャリア活性のケースであ
る。) また、導体―絶縁体遷移状態よりも十分に金属が多い場
合ではボルツマン導電率への量子補正を考慮に入れる。
この場合の導電率を、以下の式で表すことができる。
【0017】
【数8】 ( kF はフェルミ波数ベクトル、l は平均自由行
程、L は波動関数の位相緩和長さである。この金属の
濃度域では、導電率の温度依存性は平均自由行程と相緩
和長さの温度依存によって決まる。) さらに、導電―絶縁体遷移点(MIT)の近傍における
適当な温度で導電率は、パラメーターLφで決定され
る。このLφは非弾性相互作用によって位相の干渉が崩
れたときに決まる長さである。MIT点近傍の導電率
は、MIT点からそれる相関長さξによって特徴づけら
れる。この場合の導電率を、以下の式で表すことができ
る。
【0018】
【数9】 ( a と b は適当な定数である。MIT点近傍の導電率
は、温度依存性は位相干渉崩壊長さの温度依存性によ
る。) 温度センサーは、上記のそれぞれの域で、温度依存性電
気抵抗の関数により、温度を測定する。
【0019】上記MIT点近より金属側の、機能的に均
質な金属を含む炭素のナノコンポジット非晶質膜のR
(T)の温度依存性の代表的な例を図1に示す。すなわ
ち、図1は温度Tによる抵抗Rの変化を示し、300K
を基準にした比抵抗の模式図である。曲線は負の値をと
るα=dR(T)/dTと、以下に表される伝導率の温度依存性
によって特徴づけられる。
【0020】
【数10】 ( R=1/σであり、A、n、σは成膜条件(エネルギ
ー、基板温度、原料)や添加金属の種類や濃度などによ
って定まるパラメーターである。)
【0021】本発明の温度センサーは、温度センサー基
板又は温度計測を行う機器に非晶質の金属又は導電性化
合物−炭素のコンポジット膜を直接成膜して温度センサ
ーとすることができる。この場合、下地が導体である場
合には、温度センサー基板又は温度計測を行う機器に、
予めダイヤモンド状炭素又はポリマー状炭素の非晶質炭
素からなる絶縁性保護膜を形成することができる。ポリ
マー状炭素は、水素を含有させることにより、膜の硬度
を低下させ軟らかい有機的な性質の膜を形成するもので
ある。この絶縁性保護膜は、一層の均質膜若しくは特性
が異なる多層膜又は金属−絶縁層による多層膜とするこ
とができる。この中間層は、基板とセンサーとの熱応力
を緩和させることもできる。
【0022】本発明の温度センサーの構造は、必要とさ
れる応答性によって決められるもので、均質構造あるい
は不均質構造をとることができる。不均質構造の場合は
この層自体でなく、濃度が一定と見なせる層での温度特
性により温度センサーとして働く。この多層膜温度セン
サーは、層の間の近接効果を考えるのではなく、以下の
ように導電率を考えることができる。
【0023】
【数11】 ( σi (T) は金属濃度が一定の層の導電率である。) 中間層の影響を避けるため、絶縁体の層(図6、図7)
で各層を隔離しても良い。
【0024】本発明の温度センサーにおいて、金属又は
導電性化合物は、コンポジット膜の厚さ方向又は長さ方
向に、濃度がプラス又はマイナスに傾斜させることがで
きる。また、本発明の温度センサーのコンポジット膜
は、金属又は導電性化合物の種類又は濃度が一定若しく
は異なる多層膜であるか、多層膜の少なくとも1層は金
属又は導電性化合物の濃度がMIT点よりも下、近傍、
上の何れかであるか、多層膜は一種類であるか又は繰返
して積層された多層膜であるか、又は以上の多層膜の組
み合わせである膜とすることができる。
【0025】非晶質の金属又は導電性化合物−炭素コン
ポジットからなる多層膜の構造の例を以下に説明する。
金属又は導電性化合物については、代表的な金属をもっ
て説明する。したがって、下記の例は導電性化合物にも
同様に適用できるものである。図3は、均一な金属の濃
度N(Me)の、単一コンポジット膜の例を示す。符号
Lは厚さ、符号Nは濃度を示す。図4はコンポジット膜
の厚さL方向に、濃度Nをプラス(1)又はマイナス
(2)に傾斜させた例を示す。図5はコンポジット膜の
厚さL方向に不規則に濃度Nを変化させた例を示す。図
6〜図10は多層構造の膜の例であり、図6は同一種の
金属の濃度N(Me)が変化した層であり、かつMIT
点の上又は下にある例を示し、図7は同一種の金属の濃
度N(Me)が異なる2層が交互に繰返された例であ
り、図7aはそれがMIT点の上にあり、図7bはMI
T点の上と下に交互に繰返された例を示す。
【0026】図8〜図10は異なる金属のコンポジット
膜の例であり、図8は金属(M1,M2,M3,M4,
M5)が異なり、濃度Nも異なる場合であり、図9aは
2種類の金属(M1,M2)からなり2種の濃度Nの膜
が繰返して積層された場合で、それらがMIT点の上に
あり、図9bはMIT点の上と下に交互に繰返された例
を示す。図10は複数種の金属(M1,M2,M3,M
4,M5)からなり、かつ2種の濃度の膜が交互に積層
された例であり、図10aはそれがMIT点の上にあ
り、図10bはMIT点の上と下に交互に繰返された例
を示す。さらに、図11は底面に絶縁膜を形成したもの
であり、必要とされる誘電特性、機械的特性に応じて、
図11a:均質な底面絶縁膜、図11b:不均質な多層
絶縁膜とすることができる。多層膜の不均質性は非晶質
炭素膜の性質を決める、例えば、硬さ、エネルギーギャ
ップ、内部応力、水素含有量、金属濃度、特性の傾斜、
又は特性の異なる膜を組み合わせた多層膜等の要因によ
って決めることができる。この絶縁層は高分子的な軟質
膜から硬質のダイヤモンド状(DLC)非晶質炭素膜ま
で得ることができ、絶縁特性と機械的特性によって決め
得る。
【0027】本発明の温度センサーの上に、付加的な保
護膜としてダイヤモンド状炭素又はポリマー状炭素の非
晶質炭素からなる絶縁性保護膜を形成することができ
る。この絶縁性保護膜は一層の均質膜であるか、特性が
異なる多層膜であるか、又は金属−絶縁層による多層膜
とすることができる。図12は表面保護膜を形成した例
であり、要求される誘電特性、機械的性質に応じてミク
ロ的又はマクロ的構造を持たせることができる。図12
a:均質膜を形成した例を示し、図12b:多層膜(不
均質膜)を形成した例を示す。これらは、特性の傾斜又
は特性の異なる膜を組み合わせた多層膜とすることがで
きる。
【0028】
【発明の効果】本発明は、従来のサーミスタと比べる
と、より広い温度域、より速い応答速度を得ることがで
きる。また、分解能を細かくとりたいときは金属含有量
を10at.%より少なくすることにより達成すること
ができ、サーミスタと同程度の温度分解能を得ることが
できる。本発明は、特別なシースを必要としないこと点
でも優れている。従来品と本発明を比べたとき、最も優
れている点は著しい柔軟性にある。最も良い性能を引き
出せるように使用環境に応じてセンサーを調整でき、広
い温度領域で使用できる。センサーのミクロ・マクロ構
造を制御することにより広い温度範囲での応答性を高め
るとともに温度分解能が増すという特徴を有する。さら
に、次のような利点がある。非晶質金属-炭素ナノコン
ポジット膜が高温でも優れた安定性を示すので計測でき
る温度範囲が拡大する。温度計測が必要な部分に直接セ
ンサーを成膜できるので精度が増す。絶縁層の機械的特
性を制御することによりセンサーに及ぼす応力の影響を
低減できるので精度が増す。測定精度が高い(再現性が
良い)。非磁性金属を用いる場合は、炭素基地の不規則
性が高いので磁場感受性が低い(磁場の影響を受けにく
い)。異なる構造の非晶質炭素保護膜を用いるので環境
からの腐食、磨耗による劣化を受けにくく、長期にわた
る安定性が高い。機械的特性の向上し、高硬度で耐磨耗
性が大きい。温度センサー上面の摩擦係数が低い。使用
環境や磨耗に対する安定性を増すために、底面にも上記
と同様な絶縁保護層を設けることができ、要求される機
能に応じて構造を変えることができる。以上に示す通
り、現在用いられている一般のセンサーよりも、安価で
温度計測範囲が広く、汎用性及び柔軟性に富むという優
れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】温度Tによる抵抗Rの変化を示し、300Kを
基準にした比抵抗の模式図である。
【図2】温度センサーの代表的構造を示す断面図であ
る。図2aはフィルムの端に電極を設けた場合、図2b
はフィルムの終端に電極を設けた場合の例を示す。
【図3】均一な金属の濃度の、単一コンポジット膜の例
を示す図である。
【図4】コンポジット膜の厚さ方向に、濃度をプラス
(1)又はマイナス(2)に傾斜させた例を示す図であ
る。
【図5】コンポジット膜の厚さ方向に不規則に濃度を変
化させた例を示す図である。
【図6】同一種の金属の濃度が変化した層であり、かつ
MIT点の上又は下にある例を示す図である。
【図7】同一種の金属の濃度が異なる2層が交互に繰返
された例であり、図7aはそれがMIT点の上にあり、
図7bはMIT点の上と下に交互に繰返された例を示す
図である。
【図8】異なる金属のコンポジット膜の例であり、金属
が異なり、濃度も異なる場合の例を示す図である。
【図9】異なる金属のコンポジット膜の例であり、図9
aは2種類の金属からなり2種の濃度の膜が繰返して積
層された場合で、それらがMIT点の上にあり、図9b
はMIT点の上と下に交互に繰返された例を示す図であ
る。
【図10】複数種の金属からなり、2種の濃度の膜が交
互に積層された例であり、図10aはそれがMIT点の
上にあり、図10bはMIT点の上と下に交互に繰返さ
れた例を示す図である。
【図11】底面に絶縁膜を形成したものであり、図11
aは均質な底面絶縁膜を形成した例、図11bは不均質
な多層絶縁膜とした例を示す図である。
【図12】表面保護膜を形成した例であり、図12aは
均質膜を形成した例を示し、図12bは多層膜(不均質
膜)を形成した例を示す図である。
【符号の説明】
1: 接点 2: 機能膜 3: 隔離層 4: 保護層 5: 基板(対象物) N(Me): 金属の濃度 L: 厚さ N: 濃度 M1,M2,M3,M4,M5: 複数種の金属
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 502013780 シュペギン・ミハイル・レオニドヴィッチ ュ ロシア国 モスクワ市 アブラムツェヴス カヤ 14−1−58 (72)発明者 高木 敏行 宮城県仙台市太白区緑ヶ丘3丁目38−15 (72)発明者 阿部 利彦 宮城県多賀城市東田中2−40−27−601 (72)発明者 ボズコ・アレクセイ・ディミティリエヴィ ッチュ ロシア国 モスクワ市 ホフロヴスキー 10−125 (72)発明者 シュペギン・ミハイル・レオニドヴィッチ ュ ロシア国 モスクワ市 アブラムツェヴス カヤ 14−1−58 Fターム(参考) 2F056 MS01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶質の金属又は導電性化合物−炭素コ
    ンポジット膜からなることを特徴とする温度による電気
    抵抗の変化を利用した温度センサー。
  2. 【請求項2】 50nm〜50μmの厚さを有するコン
    ポジット膜であることを特徴とする請求項1記載の温度
    センサー。
  3. 【請求項3】 コンポジット膜中の金属又は導電性化合
    物の濃度が5〜50at%であることを特徴とする請求
    項1又は2記載の温度センサー。
  4. 【請求項4】 W,Cr,Mo,Ti,Nb,Cu,A
    l,Hf,Fe,Ni,Ta,Zr,Co,Sn,P
    b,Re,Os,Ir,Pt,Au,Ag,Mn若しく
    はこれらの合金から選択した少なくとも1種類以上の金
    属又は窒化物等の導電性化合物であることを特徴とする
    請求項3記載の温度センサー。
  5. 【請求項5】 非晶質炭素がsp結合成分とsp
    合成分との比率により、それぞれダイヤモンド状炭素と
    グラファイト状炭素の優位的又は双方の性質を示す材料
    であることを特徴とする請求項1〜4のそれぞれに記載
    の温度センサー。
  6. 【請求項6】 20at.%以下のH,Si,Nを含有
    することを特徴とする請求項1〜5のそれぞれに記載の
    温度センサー。
  7. 【請求項7】 比電気抵抗が10−4〜10Ω・cm
    であることを特徴とする請求項1〜6のそれぞれに記載
    の温度センサー。
  8. 【請求項8】 温度センサー基板又は温度計測を行う機
    器に非晶質の金属又は導電性化合物−炭素のコンポジッ
    ト膜を直接成膜して温度センサーとすることを特徴とす
    る請求項1〜7のそれぞれに記載の温度センサー。
  9. 【請求項9】 コンポジット膜中の金属又は導電性化合
    物の濃度により、絶縁体域、導電−絶縁体遷移点(Meta
    l-Insulator Transition (MIT))近傍域、導電域の3
    種の域に分けられ、それぞれの域で温度依存性電気抵抗
    の関数により温度を測定することを特徴とする請求項1
    〜8のそれぞれに記載の温度センサー。
  10. 【請求項10】 導体―絶縁体遷移(MIT)点より絶縁
    体側である金属濃度が低いとき、電気伝導度の一般的な
    温度依存性を、以下の式で表す。 【数1】 ( T0,m はパラメーターであり、m は0.25〜
    1.00までの値をとる。m が0.25のときは範囲
    を変えられるホッピング導電率の典型であり、m が1
    の時は移動度しきい値のキャリア活性のケースであ
    る。) 導体−絶縁体遷移状態よりも十分に金属が多い場合では
    ボルツマン導電率への量子補正を考慮に入れる。この場
    合の導電率を、以下の式で表す。 【数2】 ( kF はフェルミ波数ベクトル、l は平均自由行
    程、L は波動関数の位相緩和長さである。この金属の
    濃度域では、導電率の温度依存性は平均自由行程と相緩
    和長さの温度依存によって決まる。) 導電―絶縁体遷移点(MIT)の近傍における適当な温度
    で導電率は、パラメーターLφで決定される。このLφ
    非弾性相互作用によって位相の干渉が崩れたときに決ま
    る長さである。MIT点近傍の導電率は、MIT点からそれる
    相関長さξによって特徴づけられる。この場合の導電率
    を、以下の式で表す。 【数3】 ( a と b は適当な定数である。MIT点近傍の導電率
    は、温度依存性は位相干渉崩壊長さの温度依存性によ
    る。) 上記のそれぞれの域で、温度依存性電気抵抗の関数によ
    り、温度を測定することを特徴とする請求項9に記載の
    温度センサー。
  11. 【請求項11】 温度センサー基板又は温度計測を行う
    機器に、予めダイヤモンド状炭素又はポリマー状炭素の
    非晶質炭素からなる絶縁性保護膜を形成し、該絶縁性保
    護膜は一層の均質膜であるか、特性が異なる多層膜であ
    るか、又は金属−絶縁層による多層膜であることを特徴
    とする請求項1〜9のそれぞれに記載の温度センサー。
  12. 【請求項12】 金属又は導電性化合物が、コンポジッ
    ト膜の厚さ方向又は長さ方向に、濃度がプラス又はマイ
    ナスに傾斜していることを特徴とする請求項1〜11の
    それぞれに記載の温度センサー。
  13. 【請求項13】 コンポジット膜は、金属又は導電性化
    合物の種類又は濃度が一定若しくは異なる多層膜である
    か、多層膜の少なくとも1層は金属又は導電性化合物の
    濃度がMIT点よりも下、近傍、上の何れかであるか、
    多層膜は一種類であるか又は繰返して積層された多層膜
    であるか、又は以上の多層膜の組み合わせであることを
    特徴とする請求項1〜12のそれぞれに記載の温度セン
    サー。
  14. 【請求項14】 センサーの上に、付加的な保護膜とし
    てダイヤモンド状炭素又はポリマー状炭素の非晶質炭素
    からなる絶縁性保護膜を形成し、該絶縁性保護膜が一層
    の均質膜であるか、特性が異なる多層膜であるか、又は
    金属−絶縁層による多層膜とすることを特徴とする請求
    項1〜13のそれぞれに記載の温度センサー。
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