JP2003206197A - フッ化カルシウム結晶の検査及び製造方法、並びに、かかるフッ化カルシウム結晶から製造された光学素子 - Google Patents

フッ化カルシウム結晶の検査及び製造方法、並びに、かかるフッ化カルシウム結晶から製造された光学素子

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JP2003206197A JP2002000417A JP2002000417A JP2003206197A JP 2003206197 A JP2003206197 A JP 2003206197A JP 2002000417 A JP2002000417 A JP 2002000417A JP 2002000417 A JP2002000417 A JP 2002000417A JP 2003206197 A JP2003206197 A JP 2003206197A
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Tetsuo Kuwabara
鉄夫 桑原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線に対する耐久性に優れた結晶性物質、
特に、Fエキシマレーザーに対する耐久性に優れたフ
ッ化カルシウム単結晶を比較的容易かつ安価に検査及び
製造する方法、当該フッ化カルシウム単結晶から製造さ
れる光学素子、かかる光学素子を利用した露光装置、デ
バイス製造方法並びにデバイスを提供する。 【解決手段】 線量1×10R/時間のガンマ線を1
時間照射した後の波長140nm及び190nmにおけ
る厚さ30mm当たりの透過率の減少量が、照射前に対
して7%以下であるフッ化カルシウム単結晶を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般に結晶性物質
の製造及び検査に係り、特にFエキシマレーザー等の
紫外光、遠紫外光及び真空紫外光を照射する光源を利用
する光学系の光学素子に用いられるフッ化カルシウム
(CaF:蛍石)単結晶、真空紫外域から遠赤外域ま
での広い波長範囲において用いられる、レンズ、窓材、
プリズム、回折格子、光学膜体等の各種光学素子、かか
る光学素子を利用した露光装置、特にガンマ線(γ線)
照射を利用したフッ化カルシウム単結晶の検査方法及び
光学素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フッ化カルシウム等のフッ化物結晶は、
真空紫外域から遠赤外域までの広い波長範囲において透
過率が高く、レンズ、窓材、プリズム等の光学素子に広
く利用されている。
【0003】また、近年の電子機器の小型及び薄型化の
要請から電子機器に搭載される半導体素子の微細化への
要求は益々高くなっており、かかる要求を満足するため
に露光解像度を高める提案が様々なされている。露光光
源の波長を短くすることは解像度の向上に有効な一手段
であるため、近年では、露光光源はKr−Fエキシマレ
ーザー(波長約248nm)からAr−Fエキシマレー
ザー(波長約193nm)になろうとしており、F
キシマレーザー(波長約157nm)の実用化も進んで
いる。フッ化カルシウム単結晶は、かかる波長域の光の
透過率(即ち、内部透過率)が高いために露光光学系に
使用されるレンズや回折格子などの光学素子の光学材料
として最適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】フッ化カルシウム単結
晶はこれらの各種エキシマレーザーに対する耐久性に優
れ、高出力レーザーの繰り返し照射によってもその透過
特性を劣化させることが比較的少ないが、全ての紫外線
光学用フッ化カルシウム結晶が所望の耐久性を有してい
るわけではない。そこで、使用するフッ化カルシウム結
晶が、長時間のレーザー照射に対して十分に透過率劣化
の少ないフッ化カルシウム結晶であるかどうかを検査す
る必要がある。しかし、従来はかかる検査を簡単かつ安
価に行う方法は提案されていなかった。
【0005】典型的に、従来の耐紫外線性(又は紫外線
に対する耐久劣化)の検査方法は、実際に使用される露
光光と同じ紫外線をフッ化カルシウム結晶に連続的に照
射し、そのときの透過率を測定していた。例えば、公開
特許公報平成7年第281001号公報は、透過率変化
は照射する光のエネルギー密度に依存し、ショット数に
は無関係であるとして、実際に使用するよりも高いエネ
ルギー密度の光を照射することで短時間に検査を終了で
きることが示されている。しかし、レーザー照射は高価
であり、大口径結晶に直接照射することは困難である。
また、Fエキシマレーザーを用いる露光装置に使用可
能なフッ化カルシウム結晶の耐久劣化(即ち、透過率の
減少率)は、所望のスループットを維持するために10
分の数%以下に設定されなければならず、このような透
過率の減少量を高精度に測定することは困難で、合格品
(良品)の判定が困難であった。
【0006】そこで、本発明は、紫外線に対する耐久性
に優れた結晶性物質、特に、Fエキシマレーザーに対
する耐久性に優れたフッ化カルシウム単結晶を比較的容
易かつ安価に検査及び製造する方法、当該フッ化カルシ
ウム単結晶から製造される光学素子、かかる光学素子を
利用した露光装置、デバイス製造方法並びにデバイスを
提供することを例示的な目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明の一側面としてのフッ化カルシウム単結晶
は、線量1×10R/時間のガンマ線を1時間照射し
た後の波長140nmにおける厚さ30mm当たりの透
過率の減少量が、照射前に対して12%以下、好ましく
は、7%以下である。また、本発明の一側面としての別
のフッ化カルシウム単結晶は、線量1×10R/時間
のガンマ線を1時間照射した後の波長190nmにおけ
る厚さ30mm当たりの透過率の減少量が、照射前に対
して9%以下、好ましくは、7%以下である。かかるフ
ッ化カルシウム単結晶は、Fエキシマレーザー照射に
対する耐久性が高く、これを利用して製造された光学素
子は、紫外光、遠紫外光及び真空紫外光を露光光を被処
理体に照射して当該被処理体を露光する露光装置の光学
系に好適である。かかる光学素子は、レンズ、回折格
子、光学膜体及びそれらの複合体、例えば、レンズ、マ
ルチレンズ、レンズアレイ、レンチキュラーレンズ、ハ
エの目レンズ、非球面レンズ、回折格子、バイナリーオ
プティックス素子及びそれらの複合体を含む。かかる、
露光装置は、紫外光に対する耐久性のよい光学素子によ
り、所望のスループットを長時間に維持することができ
る。
【0008】本発明の更に別の側面としてのデバイス製
造方法は、上述の露光装置を用いて前記被処理体を投影
露光するステップと、前記投影露光された前記被処理体
に所定のプロセスを行うステップとを有する。上述の露
光装置の作用と同様の作用を奏するデバイス製造方法の
請求項は、中間及び最終結果物であるデバイス自体にも
その効力が及ぶ。また、かかるデバイスは、LSIやV
LSIなどの半導体チップ、CCD、LCD、磁気セン
サー、薄膜磁気ヘッドなどを含む。
【0009】本発明の別の側面としてのフッ化カルシウ
ム単結晶の検査方法は、フッ化カルシウム単結晶のγ線
照射前後の120nm〜200nmにおける分光特性を
測定するステップを有する。後述するように、本発明者
は、フッ化カルシウム単結晶に関してFエキシマレー
ザーに対する耐久劣化量とγ線に対する耐久劣化量には
一定の関係があることを発見した。かかる関係によれ
ば、フッ化カルシウム単結晶に関するFエキシマレー
ザー光の透過率減少量は、γ線の透過率減少量に換算す
ると百倍程度となって現れる。この結果、高価なレーザ
ー照射を行わず、また、Fエキシマレーザー光の微小
な透過率減少量を高精度に測定しなくても、γ線の透過
率減少量を比較的容易に測定することができる。
【0010】本発明の更に別の側面としての結晶性物質
の製造方法は、前記結晶性物質に関してのFエキシマ
レーザー耐久劣化量とγ線耐久劣化量との関係を示す第
1の耐久劣化特性から、前記Fエキシマレーザーに対
して設定された許容劣化量に対応する、前記γ線に対す
る前記結晶性物質の許容劣化量を得るステップと、前記
結晶性物質にγ線を照射するステップと、前記γ線を照
射された前記結晶性物質のうちで、前記γ線に対する前
記許容劣化量を満足するものを合格品として判定して選
別するステップとを有する。後述するように、本発明者
は、第1の耐久劣化特性を発見した。かかる特性によれ
ば、結晶性物質(例えば、フッ化カルシウム)に関する
エキシマレーザー光の透過率減少量は、γ線の透過
率減少量に換算すると百倍程度となって現れる。この結
果、高価なレーザー照射を行わず、また、Fエキシマ
レーザー光の微小な透過率減少量を高精度に測定しなく
ても、γ線の透過率減少量を比較的容易に測定すること
ができる。かかる結晶性物質を、上述の露光装置の光学
系に用いる場合などは所望のスループットを維持するた
めに、γ線に対する許容劣化量は、Fエキシマレーザ
ーに対して許容劣化量として設定された0.1%以下、
好ましくは、0.05%以下に対応する。
【0011】前記結晶性物質にγ線を照射した後の前記
結晶性物質を透過する光の波長と透過率との関係を示す
第2の耐久劣化特性、及び、前記結晶性物質にFエキ
シマレーザーを照射した後の前記結晶性物質を透過する
光の波長と透過率との関係を示す第3の耐久劣化特性に
基づいて評価対象波長を決定するステップを更に有し、
前記判定ステップは、前記決定ステップにおける前記評
価対象波長を使用することが好ましい。これにより、F
エキシマレーザー及びγ線に対して、ピークを示す波
長、例えば、150nm付近や190nm付近、を評価
対象波長に設定することができる。
【0012】本発明の更に別の側面としての光学素子の
製造方法は、線量1×10R/時間のガンマ線を1時
間照射し、照射後の波長140及び190nmにおける
厚さ30mm当たりの透過率の減少量が、照射前に対し
て7%以下であるフッ化カルシウム単結晶を選択するス
テップと、選択された前記フッ化カルシウム単結晶を光
学素子に加工するステップとを有する。かかる方法も上
述した作用を奏する光学素子を製造することができる。
前記加工ステップは、前記フッ化カルシウム単結晶を真
空中又は不活性ガス中にて200℃〜1000℃で熱処
理するステップを有してもよい。また、前記加工ステッ
プは、前記熱処理ステップの後、加工を行って被膜を形
成するステップを更に有してもよい。
【0013】本発明の更なる目的又はその他の特徴は、
以下添付図面を参照して説明される好ましい実施例によ
って明らかにされるであろう。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図9及び図10を参照し
て、本実施形態の検査方法について説明する。ここで、
図9は、フッ化カルシウム単結晶に関してのFエキシ
マレーザー耐久劣化量とγ線耐久劣化量との関係を示す
耐久劣化特性である。また、図10は、フッ化カルシウ
ム結晶に対するγ線とエキシマレーザーとの耐久比較を
示すグラフである。本発明者は、フッ化カルシウム結晶
にFレーザーを照射して透過率の変化を観察するとと
もに、該フッ化カルシウム結晶にガンマ線を照射して透
過率の変化を観察した結果、図9及び図10に示す結果
を得た。
【0015】図9を参照するに、フッ化カルシウム単結
晶に関してFエキシマレーザーに対する耐久劣化量と
γ線に対する耐久劣化量には一定の関係があることが理
解される。図9によれば、横軸であるフッ化カルシウム
単結晶に関するFエキシマレーザー光の透過率減少量
は0.05%刻みであるのに対して、縦軸であるフッ化
カルシウム単結晶に関するγ線の透過率減少量は5%刻
みである。従って、フッ化カルシウム単結晶に関するF
エキシマレーザー光の透過率減少量は、γ線の透過率
減少量に換算すると百倍程度となって現れる。
【0016】一方、Fエキシマレーザーを光源に用い
る露光装置に使用可能なフッ化カルシウム結晶の耐久劣
化量は、露光装置の所望のスループットを維持するため
に10分の数%以下、本実施形態では、0.1%以下、
好ましくは、0.05%以下に設定されなければならな
い。従って、従来の検査方法のように、Fエキシマレ
ーザーをフッ化カルシウム単結晶に直接照射すれば、測
定装置には少なくとも0.1%以下の透過率劣化を測定
できるほどの高精度を求めなければならない。
【0017】そこで、本発明者は、Fエキシマレーザ
ーをフッ化カルシウム単結晶に照射して耐久性を測定す
る代わりに、γ線をフッ化カルシウム単結晶に照射して
耐久性を測定することにより、測定装置に求められる精
度を緩和することができることを発見した。また、γ線
照射は、レーザー照射を行うよりも検査コストを削減す
ることができる。
【0018】図10は、初期透過率特性、フッ化カルシ
ウム単結晶にγ線を照射した後のフッ化カルシウム単結
晶を透過する光の波長と透過率との関係を示す耐久劣化
特性、フッ化カルシウム単結晶にFエキシマレーザー
を照射した後のフッ化カルシウム単結晶を透過する光の
波長と透過率との関係を示す耐久劣化特性、フッ化カル
シウム単結晶にArFエキシマレーザーを照射した後の
フッ化カルシウム単結晶を透過する光の波長と透過率と
の関係を示す耐久劣化特性を示している。なお、図10
は、理解の便宜上、カラー図面を本出願に添付する。
【0019】図10から、γ線はFエキシマレーザー
及びArFエキシマレーザーと類似した特性を示すこと
が理解される。即ち、Fエキシマレーザーは、波長1
40nm付近及び190nm付近にピーク(初期透過率
と差の大きなピーク)が見られ、同様な(もっともより
小さい)ピークがγ線に関しても観察される。また、A
rFエキシマレーザーは、初期透過率から殆ど変化しな
いが、波長275nm付近に若干のピークが見られ、同
様な(もっともより小さい)ピークがγ線に関しても観
察される。本実施形態は、Fエキシマレーザーを光源
とする露光装置の光学系に好適な光学素子をもたらすフ
ッ化カルシウム単結晶を検査及び製造することを目的と
しているので、γ線を照射した後に、透過率の劣化を検
査する波長は初期透過率と差の大きなピークである波長
140nm付近及び190nm付近を評価波長として選
択すればよいことが理解される。このため、図9は、そ
れぞれの波長の特性を示している。
【0020】これとは別に、耐久性試験としてガンマ線
を1×10R(レントゲン)の線量で照射する加速試
験を行い、使用波長(例えば、193nm)或いはそれ
より短い波長における内部透過率を測定する方法もあ
る。しかしながら、フッ化カルシウム結晶の光学特性が
向上するにつれてこの方法でも非常に優れたフッ化カル
シウム結晶と優れたフッ化カルシウム結晶との区別がつ
き難くなってきた。そこで、簡易で安価な本実施形態の
検査方法が好ましいことが理解される。
【0021】上述したように、Fエキシマレーザーを
光源に用いる露光装置に使用可能なフッ化カルシウム結
晶の耐久劣化量を、本実施形態では、0.1%以下、好
ましくは、0.05%以下に設定している。図9を参照
するに、0.1%及び0.05%は、波長140nmに
対しては約12%及び約7%であり、波長190nmに
対しては約9%及び約7%である。
【0022】そこで、Fエキシマレーザーを用いたホ
トリソグラフィー用の露光装置の光学系には、光量の均
一性、耐久性、高透過率が望まれる為、線量1×10
R/時間のガンマ線を1時間照射した前後の波長140
nm、190nmにおける透過率(厚さ30mm当た
り)の減少量が、それぞれ、12%以下好ましくは7%
以下、及び、9%以下好ましくは7%以下であるフッ化
カルシウムが好適である。
【0023】つまり、多数のフッ化カルシウム結晶に上
記線量のガンマ線を照射して、照射後の透過率減少量が
この条件を満足する結晶を選別、選択して、これを研
削、研磨して凸レンズ、凹レンズ等の光学素子の形状に
加工すればよい。
【0024】その後、必要に応じて酸化シリコン、酸化
アルミニウム、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウ
ム等から選ばれる少なくとも一種の増反射性又は反射防
止性の被膜を形成する。
【0025】こうして得られた光学素子は、レンズ、回
折格子、光学膜体及びそれらの複合体、例えば、レン
ズ、マルチレンズ、レンズアレイ、レンチキュラーレン
ズ、ハエの目レンズ、非球面レンズ、回折格子、バイナ
リーオプティックス素子及びそれらの複合体を含む。例
えば、光学素子を、エキシマレーザー装置の窓材として
使用したり、複数枚組み合わされたレンズ素子として使
用して光学系を構成したり、ホトレジストが塗布された
ウェハ等の被露光体を支持するステージと組み合わされ
てホトリソグラフィー用の露光装置が完成する。
【0026】また、上記線量のガンマ線照射後のフッ化
カルシウムは、使用波長における内部透過率が低下して
いるので、検査の後、真空中又は不活性ガス中におい
て、200℃〜1000℃で熱処理を行うことが好まし
い。熱処理時間は、内部透過率が増加するに十分な時間
行えばよく、フッ化カルシウム結晶の大きさにも依存す
るので、少なくとも10分〜20時間であり、コストを
無視すれば上限に制限はない。
【0027】以上説明した検査法を用いた光学部品の製
造工程のフローチャートを図1に示す。工程S1では、
フッ化カルシウムの原料を用意し、工程S2で原料を熔
融した後徐冷してフッ化カルシウム結晶を得る。工程S
3では、ガンマ線を照射し、工程S4では120nm〜
200nmにおける内部透過率を測定する検査を行う。
工程S4において本実施形態の検査方法を適用する。検
査をパスした(選別された)フッ化カルシウム結晶に工
程S5で熱処理を施す。その後、研削、研磨を施し、所
望の表面形状に加工する。工程S6による加工が終了し
たフッ化カルシウム光学部品に工程S7にて被膜を形成
し、良質の光学部品が得られる。
【0028】とりわけ、上述したガンマ線照射による波
長140nm、190nmにおける内部透過率の減少量
を、それぞれ、12%以下好ましくは7%以下、及び、
9%以下好ましくは7%以下にすべく、本発明者は以下
に述べるフッ化カルシウム結晶の作製法を試みたとこ
ろ、比較的高い歩留りで所望の特性をもつ結晶が得られ
た。透過率測定は、真空紫外波長領域測定用の分光光度
計を使用すればよい。かかる分光光度計は、米国マクフ
ァーソンや日本分光株式会社などから入手可能であり、
ここでは詳しい説明は省略する。
【0029】本発明者は、精製工程でのフッ化物原料を
収納する室(例えばルツボ)の雰囲気が非常に重要であ
ることに気が付いた。即ち、加熱工程の途中で、フッ化
物原料が収容された室の雰囲気を、該雰囲気より前記室
内のガスが該室外に放出され易い雰囲気に変えると、原
料の加熱時にはスカベンジャーがルツボ内に留まり反応
が十分に進行すること、また、融解後には反応に使われ
なかったスカベンジャーや反応生成物が全てルツボ外に
出ていき、スカベンジャーの効果を最大限に高めること
ができ、非常に高純度なフッ化物が得られることが分か
った。そして、それを用いれば、光学性能の優れた結晶
が得られることが分かったのである。
【0030】図2及び図3にフッ化物の精製方法のフロ
ーチャート及びタイミングチャートを示す。
【0031】工程S11においては、フッ化亜鉛等の固
体スカベンジャーが添加されたフッ化カルシウム等のフ
ッ化物原料を融解させる為に、加熱を開始する。その
後、工程S12に示すように、所定のタイミングで、フ
ッ化物が収容された室(例えばルツボ)の雰囲気を、室
内のガスが室外に比較的放出され易い雰囲気に変える。
室内のガスが室外に放出され易い雰囲気に変化した後も
加熱を続けて、二酸化炭素等の反応生成物や気化したス
カベンジャーが原料中に取り込まれないようにする。
【0032】工程S13においては、冷却を開始し、融
解した原料を固化する。因みに、この工程においては原
料の温度が融点より低くなればよいのであるから、外部
からの加熱を完全に中止する必要はない。加熱工程にお
ける到達温度は、精製すべきフッ化物原料の融点以上で
あればよく、融点までの昇温過程においては、図3の符
号1に示すように連続的に昇温させてもよく、図3の符
号2に示すように断続的に昇温させてもよい。
【0033】雰囲気変更のタイミングは、スカベンジャ
ーによる不純物除去反応(スカベンジ反応)開始温度T
1に到達した後であって、冷却開始より前である。即
ち、図3の時刻t1乃至時刻t2の間である。
【0034】好ましくは、スカベンジ反応開始温度T1
に到達した後、しばらくしてから雰囲気変更を開始し、
冷却開始より充分前の時点で雰囲気変更を終了すること
が望ましい。すなわち図3における時刻t3乃至t4の
間に雰囲気の変更を開始することが好ましい。なおt3
はスカベンジャーによる不純物除去反応が終了した時点
(t3)であり、フッ化物原料は融点未満の温度であ
る。
【0035】t4はフッ化物原料融解後冷却開始前の任
意の時点であり、フッ化物原料は融点以上の温度であ
る。雰囲気変更は、融点以上の温度で行うことがより純
度の高いフッ化物を得る上からは好ましい。なお、t4
〜t2の間がガス室外に放出されやすい雰囲気の状態で
ある。
【0036】例えば、固体スカベンジャーとしてフッ化
亜鉛、フッ化物原料としてフッ化カルシウムを用いた場
合のスカベンジ反応開始温度は、フッ化亜鉛が融解する
872℃程度である。
【0037】スカベンジ反応に必要な時間は、精製すべ
き原料の量に依存する。従って、実際の作業に際して
は、例えば必要な時間と原料の量との関係を予め実験等
で求めておき、その求めておいた時間に基づき時間を決
めればよい。
【0038】雰囲気を変更するとは、フッ化物原料が収
容されたルツボのような室内において、ガスが室外に放
出され難い第1の雰囲気から、ガスが室外に放出され易
い第2の雰囲気にすることである。第1の雰囲気におい
ては、ガスが室外に放出され難い為、固体スカベンジャ
ーが気化して室外に逃げ出し難くなる。よって、スカベ
ンジ反応が効率よく進行する。第2の雰囲気において
は、ガスが室外に放出され易い為、反応生成物や残留ス
カベンジャーが室外に逃げ出し易い。よって、反応生成
物や残留スカベンジャーが精製された原料に混入し難く
なる。
【0039】雰囲気変更の具体例は、第1の雰囲気の圧
力より第2の雰囲気の圧力を低くすること、或いは室の
内外を遮断した状態(密閉状態)から室の内外を連通さ
せた状態(開放状態)に変更すること等である。前者
は、室内の排気量や室内に供給する不活性ガスの供給量
を増減することにより達成できる。後者は、ルツボ等の
室に開口部を設け、その開口部を開閉することや、室に
連通するガス供給管又はガス排気管のバルブを開閉する
ことにより達成される。
【0040】第1の雰囲気の圧力としては、特に制限は
ないが、1.3Pa以上より好ましくは1気圧(約10
1.325kPa)以上にするとよい。1気圧以上とす
ることで、原料内不純物とスカベンジャーとが効率よく
反応するという効果が得られる。第2の雰囲気の圧力と
しては、特に制限はないが、1気圧以下が好ましく、1
−3Pa以下がより好ましい。10−3Pa以下とす
ることにより、反応生成物や残留スカベンジャーが原料
から容易に除かれるという効果が得られる。加えて、第
2の雰囲気の圧力は、原料自体の一部が大量に気化しな
い程度に設定されればよい。第1の雰囲気を形成する為
のガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、
クリプトン、キセノン等の不活性ガスが好ましく用いら
れる。第2の雰囲気を形成する為のガスとしても、上記
不活性ガスが用いられるが、ガスを供給せずに排気のみ
を行って真空としてもよい。
【0041】第2の雰囲気に移ってから、しばらくした
後に、冷却を開始してフッ化物原料を固化させる。降温
速度は、特に制限はないが、好ましくは300℃/h以
下、更に好ましくは100℃/h程度である。なお、精
製と同時に結晶成長させる場合には、降温速度は3〜4
℃/hにするとよい。
【0042】こうして得られたフッ化物は、酸素含有量
が50重量ppm以下、スカベンジャーを構成する金属
元素の含有量が10重量ppm以下になる。
【0043】このように、本実施形態は、酸素やスカベ
ンジャーの構成金属元素等の光透過性を劣化せしめる物
質を精製工程において十分に除去することができるの
で、精製工程に後続する結晶製造工程において、つま
り、結晶成長のために厳密な制御を必要とする結晶成長
工程において、上記物質を除去する操作を簡略化するこ
とができる。
【0044】更に、必要に応じて、スカベンジ反応前に
室内を不活性ガスでパージしたり、真空引きしたりする
等して、室内を脱水処理することも好ましいものであ
る。
【0045】本発明に用いられる固体スカベンジャー
は、例えば、フッ化鉛、フッ化亜鉛、フッ化カドミウ
ム、フッ化マンガン、フッ化ビスマス、フッ化ナトリウ
ム、フッ化リチウム等である。固体スカベンジャーの添
加量としては、フッ化物原料の0.01mol%以上
0.5mol%以下が好ましい。
【0046】図4に上述したフッ化物の精製法を用いた
フッ化物結晶の製造方法のフローチャートを示す。
【0047】原料調合工程S41では、フッ化物原料に
固体スカベンジャーを添加して十分に混合する。固体ス
カベンジャーの添加量は、原料の0.01mol%以
上、0.5mol%以下とする。フッ化物原料は、フッ
化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化マグネシウムで
あることが望ましい。固体スカベンジャーとして用いら
れるフッ化物は、フッ化鉛、フッ化亜鉛、フッ化カドミ
ウム、フッ化マンガン、フッ化ビスマス、フッ化ナトリ
ウム、フッ化リチウムであることが望ましい。
【0048】精製工程S42では、固体スカベンジャー
を添加・混合したフッ化物原料を図5に示す精製炉のル
ツボの中に入れる。なお、図5において、201は精製
炉のチャンバーであり、真空排気系に接続されている。
202は断熱材、203はヒーター、204は原料を収
容する室としてのルツボ、205はフッ化物原料であ
る。206はルツボを上下させる機構に接続されてい
る。207は202に固定されており、ルツボを上下さ
せることによりルツボ上部の開口部の開閉を行い、かつ
開口部の大きさを制御せしめるものである。208は不
活性ガス導入装置である。
【0049】不活性ガスを使用する場合、開口部を開け
た状態で炉内を真空排気した(S21)後、不活性ガス
を約1気圧ないしはそれ以上の圧力で炉内を充填する
(S22)。ヒーターに通電してルツボを加熱し(S2
3)、スカベンジャーによる不純物除去反応が行われる
温度まで昇温を続ける。反応は、たとえばスカベンジャ
ーにPbFを使用した場合、下式で表される。
【0050】
【数1】
【0051】ここで、Cはルツボなどのカーボン材であ
る。反応には一酸化炭素の生成が含まれるので、反応温
度はガス分析を行って一酸化炭素を検知することによっ
て、容易に知ることができる。反応を十分に促進させる
ため、この温度帯では原料を加熱する速度を遅くしなく
てはならない。反応が終了した温度で炉内を真空に排気
し、次いで原料を完全に融解する(S24)。あるいは
原料を完全に融解した後、炉内を真空に排気する(S2
5)。真空度が十分に安定した後、融解したフッ化物を
徐冷して(S26)、固化させる(融解・成長)。
【0052】ルツボの開口部を開閉する場合は、ルツボ
の開口部を閉じた状態で真空排気し(S31)、ヒータ
ーに通電してルツボを加熱する(S32)。スカベンジ
ャーによる不純物除去反応を十分に促進させるため、反
応が進む温度帯では原料を加熱する速度をゆっくりにし
なくてはならない。反応が終了した温度に達した時点で
ルツボの開口部を開け、さらに加熱を続け原料を完全に
融解する。あるいは、原料を完全に融解した(S33)
のち、ルツボの開口部を開ける(S34)。真空度が十
分に安定した後、融解したフッ化物を徐冷して(S3
5)、固化させる(融解・成長)。
【0053】この工程で得られたフッ化物は、多結晶で
も粒界が存在する単結晶であってよいため、精密な温度
管理は必要としない。なお、徐冷の際、ルツボを引き下
げるのが好ましい。引き下げることにより、不純物の除
去は一層向上する。
【0054】こうして得られた結晶のうち特に上部、即
ち経時的に最後に結晶化した部分を除去する。この部分
は不純物が集まりやすいので、この除去作業によって特
性に悪影響を与える不純物を除去する。
【0055】単結晶成長工程S43では、精製した結晶
を原料として単結晶を成長させる。成長方法は結晶の大
きさや使用目的に応じて適当な方法を選択する。一例と
して、ブリッジマン法による成長工程を示す。
【0056】精製した結晶を図5に示す成長炉のルツボ
内に入れる。なお、図6において、301は成長炉のチ
ャンバーであり、真空排気系に接続されている。302
は断熱材、303はヒーター、304はルツボ、305
はルツボ引き下げ機構、306はフッ化物結晶である。
成長炉のルツボは、外部雰囲気に対する密閉性が高い。
炉内を真空排気した後、ヒーターに通電してルツボを加
熱し、原料となる結晶を完全に融解する。その後、徐々
にルツボを引き下げ冷却して単結晶を成長させる。ルツ
ボの降下速度は、1時間あたり0.1〜5.0mmが好
ましい。こうして得られるフッ化物結晶は、酸素やスカ
ベンジャーの構成元素の含有量が極めて少ない。これ
は、精製工程において既に酸素やスカベンジャーの構成
元素を十分に取り除くことができるからである。
【0057】アニール工程S44では、結晶成長したフ
ッ化物単結晶を図7に示すアニール炉で熱処理する。な
お、図7において、401はアニール炉のチャンバー、
402は断熱材、403はヒーター、404はルツボ、
405はフッ化物結晶である。このアニール工程では、
ルツボをフッ化物結晶融点の400〜500℃以下の温
度に加熱する。加熱時間は20時間以上、より好ましく
は20〜30時間である。
【0058】成形加工工程S45では、必要とされる光
学物品の形状(凸レンズ、凹レンズ、円盤状、板状等)
に成形する。また、必要に応じて、反射防止膜をフッ化
物結晶の光学物品表面に設けるとよい。反射防止膜とし
ては、フッ化マグネシウムや酸化アルミニウム、酸化タ
ンタルが好適に用いられ、これらは抵抗加熱による蒸着
や電子ビーム蒸着やスパッタリングなどで形成できる。
本発明により得られた光学物品は水をほとんど含まない
為に反射防止膜の密着性も優れたものとなる。
【0059】こうして得られたレンズを各種組み合わせ
れば、エキシマレーザー、特にArFエキシマレーザー
に適した光学系を構成できる。特に、フッ化物結晶がフ
ッ化カルシウムの場合、エキシマレーザー光源とフッ化
カルシウム結晶からなるレンズを有する光学系と、被露
光体としてのホトレジスト付きの基板を移動させ得るス
テージとを組み合わせて、露光装置を構成できる。
【0060】以下、図8を参照して、本発明の例示的な
露光装置100について説明する。ここで、図8は、露
光装置100の概略ブロック図である。露光装置100
は、回路パターンが形成されたマスク又はレチクル(本
出願ではこれらの用語を交換可能に使用する)31を照
明する照明装置と、プレート33を支持するステージ3
4と、照明されたマスクパターンから生じる回折光をプ
レート33に投影する投影光学系32とを有する。
【0061】本実施形態に適用可能な露光装置100
は、例えば、ステップアンドリピート方式やステップア
ンドスキャン方式でマスク31に形成された回路パター
ンをプレート33に露光する投影露光装置やレンズ式等
倍投影露光装置である。かかる露光装置は、サブミクロ
ンやクオーターミクロン以下のリソグラフィ工程に好適
であり、以下、本実施形態ではステップアンドスキャン
方式の露光装置(「スキャナー」とも呼ばれる)を例に
説明する。ここで、「ステップアンドスキャン方式」
は、マスクに対してウェハを連続的にスキャンしてマス
クパターンをウェハに露光すると共に、1ショットの露
光終了後ウェハをステップ移動して、次のショットの露
光領域に移動する露光方法である。「ステップアンドリ
ピート方式」は、ウェハのショットの一括露光ごとにウ
ェハをステップ移動して次のショットを露光領域に移動
する露光方法である。
【0062】照明装置は、転写用の回路パターンが形成
されたマスク31を照明し、光源部21と照明光学系と
を有する。照明光学系は露光機構部22内に設けられて
いる。光源部21と露光機構部23は別個独立に構成さ
れ、物理的に分離されている。後述するマスク31と、
投影光学系32、プレート33なども露光機構部22内
に設けられる。
【0063】光源部21は、照明光源23と、折り曲げ
ミラー24と、凹レンズ25と、凸レンズ26と、折り
曲げミラー27と、オプティカルインテグレータ28と
を含む。
【0064】本実施形態は照明光源23としてFエキ
シマレーザーを使用するが、本発明は、ArFエキシマ
レーザー、KrFエキシマレーザー等その種類は問わ
ず、また、エキシマレーザーにも限定されず、例えば、
YAGレーザーを使用してもよいし、そのレーザーの個
数も限定されない。例えば、独立に動作する2個の固体
レーザーを使用すれば固体レーザー相互間のコヒーレン
スはなく、コヒーレンスに起因するスペックルはかなり
低減する。さらにスペックルを低減するために光学系を
直線的又は回転的に揺動させてもよい。また、光源部1
120に使用可能な光源はレーザーに限定されるもので
はなく、一又は複数の水銀ランプやキセノンランプなど
のランプも使用可能である。
【0065】レンズ25及び26は、照明光源23から
の平行光束をおおよそオプティカルインテグレータ28
の大きさにビーム形状に整形するビームエキスパンダー
である。なお、光源部21は、コヒーレントなレーザー
光束をインコヒーレント化するインコヒーレント化光学
系を使用することが好ましい。オプティカルインテグレ
ータ28はレチクル上を均一に照明するためのハエの目
レンズや2組のシリンドリカルレンズアレイ(又はレン
チキュラーレンズ)板を重ねることによって構成される
インテグレーター等を含むが、光学ロッドや回折素子に
置換される場合もある。
【0066】照明光学系はマスク31を照明する光学系
であり、折り曲げミラー29及びコンデンサーレンズ3
0を有する。コンデンサーレンズ30はオプティカルイ
ンテグレータ28が発した光束を平行化してマスク31
を均一に照明する。その他、照明光学系は必要に応じ
て、レンズ、ミラー、オプティカルインテグレータ、絞
り等を含む。例えば、コンデンサーレンズ、ハエの目レ
ンズ、開口絞り、コンデンサーレンズ、スリット、結像
光学系の順で整列する等である。照明光学系は、軸上
光、軸外光を問わず使用することができる。かかる照明
光学系のレンズなどの光学素子に本発明の検査方法で合
格した光学素子を使用することができる。
【0067】マスク31は、例えば、石英製で、その上
には転写されるべき回路パターン(又は像)が形成され
る。マスク31は、レチクルホルダ31aに吸着保持さ
れ、図示しないマスクステージに支持及び駆動される。
マスク31から発せられた回折光は投影光学系32を通
りプレート33上に投影される。プレート33は、ウェ
ハや液晶基板などの被処理体でありレジストが塗布され
ている。マスク31とプレート33とは共役の関係にあ
る。スキャナーの場合は、マスク31とプレート33を
走査することによりマスク31のパターンをプレート3
3上に転写する。ステッパーの場合は、マスク31とプ
レート33を静止させた状態で露光が行われる。
【0068】投影光学系32は、複数のレンズ素子のみ
からなる光学系、複数のレンズ素子と少なくとも一枚の
凹面鏡とを有する光学系(カタディオプトリック光学
系)、複数のレンズ素子と少なくとも一枚のキノフォー
ムなどの回折光学素子とを有する光学系、全ミラー型の
光学系等を使用することができる。色収差の補正が必要
な場合には、互いに分散値(アッベ値)の異なるガラス
材からなる複数のレンズ素子を使用したり、回折光学素
子をレンズ素子と逆方向の分散が生じるように構成した
りする。かかる投影光学系32のレンズなどの光学素子
に本発明の検査方法で合格した光学素子を使用すること
ができる。
【0069】プレート33にはフォトレジストが塗布さ
れている。フォトレジスト塗布工程は、前処理と、密着
性向上剤塗布処理と、フォトレジスト塗布処理と、プリ
ベーク処理とを含む。前処理は、洗浄、乾燥などを含
む。密着性向上剤塗布処理は、フォトレジストと下地と
の密着性を高めるための表面改質(即ち、界面活性剤塗
布による疎水性化)処理であり、HMDS(Hexam
ethyl−disilazane)などの有機膜をコ
ート又は蒸気処理する。プリベークは、ベーキング(焼
成)工程であるが現像後のそれよりもソフトであり、溶
剤を除去する。
【0070】ステージ34はプレート33を支持する。
ステージ34は、当業界で周知のいかなる構成をも適用
することができるので、ここでは詳しい構造及び動作の
説明は省略する。例えば、ステージ34は、リニアモー
ターを利用してXY方向にプレート33を移動すること
ができる。マスク31とプレート33は、例えば、同期
走査され、ステージ34と図示しないマスクステージの
位置は、例えば、レーザー干渉計などにより監視され、
両者は一定の速度比率で駆動される。ステージ34は、
例えば、ダンパを介して床等の上に支持されるステージ
定盤35上に設けられ、マスクステージ及び投影光学系
32は、例えば、鏡筒定盤は床等に載置されたベースフ
レーム上にダンパ等を介して支持される図示しない鏡筒
定盤上に設けられる。
【0071】なお、36は、TTLアライメントに用い
られるアライメント手段である。通常露光装置は、この
他にオートフォーカス機構、ウェハ搬送機構等々によっ
て構成されこれらも露光機構部22に含まれる。
【0072】露光において、Fエキシマレーザーとし
ての照明光源23から発せられた光束は、照明光学系に
よりマスク31を、例えば、ケーラー照明する。マスク
31を通過してマスクパターンを反映する光は投影光学
系32によりプレート33に結像される。露光装置10
0が使用する照明光学系及び投影光学系32は、本発明
による検査方法で合格した光学素子を含んで紫外光、遠
赤外光及び真空紫外光を高い透過率と耐久性で透過する
ので、高いスループットで経済性よくデバイス(半導体
素子、LCD素子、撮像素子(CCDなど)、薄膜磁気
ヘッドなど)を提供することができる。なお、露光装置
100が使用するレンズ又はミラーの表面に反射防止膜
又は増反射膜を設けると好ましい。
【0073】次に、図11及び図12を参照して、上述
の露光装置100を利用したデバイス製造方法の実施例
を説明する。図11は、デバイス(ICやLSIなどの
半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するた
めのフローチャートである。ここでは、半導体チップの
製造を例に説明する。ステップ51(回路設計)では、
デバイスの回路設計を行う。ステップ52(マスク製
作)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製
作する。ステップ53(ウェハ製造)では、シリコンな
どの材料を用いてウェハを製造する。ステップ54(ウ
ェハプロセス)は、前工程と呼ばれ、マスクとウェハを
用いてリソグラフィ技術によってウェハ上に実際の回路
を形成する。ステップ55(組み立て)は、後工程と呼
ばれ、ステップ54によって作成されたウェハを用いて
半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダ
イシング、ボンディング)、パッケージング工程(チッ
プ封入)等の工程を含む。ステップ56(検査)では、
ステップ55で作成された半導体デバイスの動作確認テ
スト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を
経て半導体デバイスが完成し、それが出荷(ステップ5
7)される。
【0074】図12は、ステップ54のウェハプロセス
の詳細なフローチャートである。ステップ61(酸化)
では、ウェハの表面を酸化させる。ステップ62(CV
D)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ
63(電極形成)では、ウェハ上に電極を蒸着などによ
って形成する。ステップ64(イオン打ち込み)では、
ウェハにイオンを打ち込む。ステップ65(レジスト処
理)では、ウェハに感光剤を塗布する。ステップ66
(露光)では、露光装置100によってマスクの回路パ
ターンをウェハに露光する。ステップ67(現像)で
は、露光したウェハを現像する。ステップ68(エッチ
ング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取
る。ステップ69(レジスト剥離)では、エッチングが
済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステ
ップを繰り返し行うことによってウェハ上に多重に回路
パターンが形成される。本実施例の製造方法によれば、
従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。
【0075】以上、本発明の好ましい実施例を説明した
が、本発明はこれらに限定されずその要旨の範囲内で様
々な変形や変更が可能である。
【0076】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明の実施例を説明
する。
【0077】
【実施例1】純度99.99%の高純度合成フッ化カル
シウム原料に、スカベンジャーとしてフッ化亜鉛をフッ
化カルシウムに対して0.2mol%程度添加して混合
した。次いで、この混合物を図5に示す精製炉のルツボ
に入れて炉及びルツボ内を排気した後、Arを10
aの圧力になるまで充填した。この時、ルツボは開口部
を開けて脱ガス性を高めた状態にした。次にルツボの開
口部を閉じルツボを1420℃に加熱して原料を融解し
た後、再び開口部を開いて炉内を排気し真空度を6.6
6×10−4Paにした。その後、ルツボを降下させて
徐冷し、原料を結晶化させた。ルツボ上部にあたる結晶
化したフッ化カルシウムの上部を厚さ1mm除去した。
【0078】次に、上記結晶ブロックを、図5に示す単
結晶成長炉のルツボに入れた。炉内を真空排気し、真空
度を2.66×10−4Pa、温度を1420℃として
11時間保った後、成長用のルツボを1mm/hの速度
で降下させた。次にアニール炉のルツボに成長させたフ
ッ化カルシウム単結晶と、0.005重量%のフッ化亜
鉛を入れた。炉内を排気してルツボの温度を室温から9
00℃に速度100℃/hで上昇させた後、20時間9
00℃に保持した。そして、2℃/hの速度で低下さ
せ、室温まで冷却した。
【0079】こうしてフッ化カルシウム結晶を多数作製
し、切断、研磨して30mm厚の円盤とし、線量1×1
Rのγ線を照射した後の波長120nmから200
nmでの透過率を測定した。このうち、透過率の異なる
5つのサンプルを選び出し、エネルギー密度5mJ/c
のFエキシマレーザー光を10ショット照射し
た後の157nmでの透過率を測定した。
【0080】また、γ線照射後の140及び190nm
での透過率減少量とF2レーザー照射後の透過率減少量
との関係は図9のようになった。
【0081】本実施形態によれば、紫外線に対する耐久
性能に優れたフッ化カルシウム結晶をγ線照射後の透過
率測定によって選別し、用途に合わせたフッ化カルシウ
ム結晶を提供することができる。その結果、安定性、信
頼性の高い紫外光用の光学部品や、露光装置を低コスト
で提供することが可能となる。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、紫外線に対する耐久性
に優れた結晶性物質、特に、Fエキシマレーザーに対
する耐久性に優れたフッ化カルシウム単結晶を比較的容
易かつ安価に検査及び製造する方法、当該フッ化カルシ
ウム単結晶から製造される光学素子、かかる光学素子を
利用した露光装置、デバイス製造方法並びにデバイスを
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による光学部品の製造工程のフローチ
ャートを示す図である。
【図2】 本発明に用いられるフッ化物の精製工程のフ
ローチャートを示す図である。
【図3】 本発明に用いられるフッ化物の精製工程のタ
イミングチャートを示す図である。
【図4】 本発明に用いられるフッ化物結晶の製造工程
のフローチャートを示す図である。
【図5】 精製炉の模式的断面図である。
【図6】 成長炉の模式的断面図である。
【図7】 アニール炉の模式的断面図である。
【図8】 本発明による露光装置を示す図である。
【図9】 フッ化物の透過率の減少量を示す図である。
【図10】 フッ化カルシウム結晶に対するγ線とエキ
シマレーザーとの耐久比較を示すグラフである。
【図11】 本発明の露光装置を有するデバイス製造方
法を説明するためのフローチャートである。
【図12】 図11に示すステップ54の詳細なフロー
チャートである。
【符号の説明】
100 露光装置 30 コンデンサーレンズ 32 投影光学系
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/027 H01L 21/30 515D

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線量1×10R/時間のガンマ線を1
    時間照射した後の波長140nmにおける厚さ30mm
    当たりの透過率の減少量が、照射前に対して12%以下
    であるフッ化カルシウム単結晶。
  2. 【請求項2】 線量1×10R/時間のガンマ線を1
    時間照射した後の波長140nmにおける厚さ30mm
    当たりの透過率の減少量が、照射前に対して7%以下で
    あるフッ化カルシウム単結晶。
  3. 【請求項3】 線量1×10R/時間のガンマ線を1
    時間照射した後の波長190nmにおける厚さ30mm
    当たりの透過率の減少量が、照射前に対して9%以下で
    あるフッ化カルシウム単結晶。
  4. 【請求項4】 線量1×10R/時間のガンマ線を1
    時間照射した後の波長190nmにおける厚さ30mm
    当たりの透過率の減少量が、照射前に対して7%以下で
    あるフッ化カルシウム単結晶。
  5. 【請求項5】 線量1×10R/時間のガンマ線を1
    時間照射した後の波長140nm及び190nmにおけ
    る厚さ30mm当たりの透過率の減少量が、照射前に対
    して7%以下であるフッ化カルシウム単結晶。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5記載のフッ化カルシウム
    単結晶から製造される光学素子。
  7. 【請求項7】 レンズ、回折格子、光学膜体及びそれら
    の複合体の一つである請求項6記載の光学素子。
  8. 【請求項8】 紫外光、遠紫外光及び真空紫外光を露光
    光として、当該露光光を、請求項7記載の光学素子を含
    む光学系を介して被処理体に照射して当該被処理体を露
    光する露光装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の露光装置を用いて前記被
    処理体を投影露光するステップと、 前記投影露光された前記被処理体に所定のプロセスを行
    うステップとを有するデバイス製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の露光装置を用いて投影
    露光された被処理体より製造されるデバイス。
  11. 【請求項11】 フッ化カルシウム単結晶のγ線照射前
    後の120nm〜200nmにおける分光特性を測定す
    るステップを有するフッ化カルシウム単結晶の検査方
    法。
  12. 【請求項12】 前記結晶性物質に関してのFエキ
    シマレーザー耐久劣化量とγ線耐久劣化量との関係を示
    す第1の耐久劣化特性から、前記Fエキシマレーザー
    に対して設定された許容劣化量に対応する、前記γ線に
    対する前記結晶性物質の許容劣化量を得るステップと、 前記結晶性物質にγ線を照射するステップと、 前記γ線を照射された前記結晶性物質のうちで、前記γ
    線に対する前記許容劣化量を満足するものを合格品とし
    て判定して選別するステップとを有する結晶性物質の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 前記γ線に対する前記許容劣化量は、
    前記Fエキシマレーザーに対して許容劣化量として設
    定された0.1%以下に対応する請求項12記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 前記γ線に対する前記許容劣化量は、
    前記Fエキシマレーザーに対して許容劣化量として設
    定された0.05%以下に対応する請求項12記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 前記結晶性物質にγ線を照射した後の
    前記結晶性物質を透過する光の波長と透過率との関係を
    示す第2の耐久劣化特性、及び、前記結晶性物質にF
    エキシマレーザーを照射した後の前記結晶性物質を透過
    する光の波長と透過率との関係を示す第3の耐久劣化特
    性に基づいて評価対象波長を決定するステップを更に有
    し、 前記判定選別ステップは、前記決定ステップにおける前
    記評価対象波長を使用する請求項12記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記決定ステップは、前記評価対象波
    長を約140nmに設定する請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記決定ステップは、前記評価対象波
    長を約190nmに設定する請求項15記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記結晶性物質はフッ化カルシウムで
    ある請求項12記載の方法。
  19. 【請求項19】 線量1×10R/時間のガンマ線を
    1時間照射し、照射後の波長140及び190nmにお
    ける厚さ30mm当たりの透過率の減少量が、照射前に
    対して7%以下であるフッ化カルシウム単結晶を選択す
    るステップと、 選択された前記フッ化カルシウム単結晶を光学素子に加
    工するステップとを有する光学素子の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記加工ステップは、前記フッ化カル
    シウム単結晶を真空中又は不活性ガス中にて200℃〜
    1000℃で熱処理するステップを有する請求項19記
    載の方法。
  21. 【請求項21】 前記加工ステップは、前記熱処理ステ
    ップの後、加工を行って被膜を形成するステップを更に
    有する請求項20記載の方法。
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